説明

落雷保護のための装置

【課題】風車の落雷保護のための改良された装置を提供する。
【解決手段】風車WTの羽根BLが、成形された小翼WLによって延長されており、羽根が、該羽根の先端領域TERに配置された受雷体LR21を有しており、前記小翼WLが、付加的な受雷体LR22を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、風車羽根の落雷保護のための装置に関する。
【背景技術】
【0002】
米国特許第7540716号明細書には、音の発生を低減するために特定の形式で成形されたロータ羽根が記載されている。羽根の先端の形状は、羽根の圧力面の方向へ湾曲若しくは傾斜させられている。この目的のために、いわゆる「エッジアーク」コンポーネントが使用される。このコンポーネントは、羽根の先端に配置されている。成形された先端は、金属から成り、ひいては避雷導体としても使用される。
【0003】
先端が、一般的に風車羽根のために使用されるガラス繊維の代わりに金属から形成されている場合、上述の構成は高価である。先端が、避雷導体として働くように設計されている場合にも、金属から形成された羽根延長部は、羽根のその他の部分が落雷を受けることを防止しない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】米国特許第7540716号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従って、本発明の課題は、風車羽根の落雷保護のための改良された装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題は、請求項1の特徴によって達成される。発明の好適な構成は、従属請求項の対象である。
【0007】
本発明によれば、風車の羽根は、成形された小翼によって延長されている。羽根は、羽根の先端領域に配置された受雷体を有している。小翼は、付加的な受雷体を有している。
【0008】
好適には、小翼は、羽根の先端領域に又は羽根の先端領域の近くに配置されている。
【0009】
好適には、小翼は、羽根の揚力/抗力比が最適化されるように成形されている。小翼により、回転する羽根は、回転モーメントに関してより少ない抵抗を有し、これにより、風車の効率が高められる。
【0010】
本発明によれば、1つ又は多数の受雷体が、羽根の先端領域に配置されている。この領域は、落雷の観点から、羽根の最も関連する部分である。
【0011】
本発明によれば、1つ又は多数の付加的な受雷体が、小翼に配置されている。なぜならば、小翼も、羽根の先端領域に影響するからである。
【0012】
好適には、受雷体は、小翼において、いわゆる「負圧渦」が発生される特定の領域に配置されている。
【0013】
「負圧渦」は、例えば小翼又は羽根の吸込面に沿って発生される渦である。
【0014】
好適には、羽根の受雷体の位置と、小翼の受雷体の位置とは、一緒に最適化される。
【0015】
例えば、小翼を備えずに使用するように設計された第1の羽根の受雷体は、小翼を備えて使用するように設計された第2の羽根の受雷体と同じ位置に配置されている。
【0016】
このように、風車設置現場の特定の状況によってこれが問題となる場合、既に取り付けられた羽根を、小翼によって改造することができる。
【0017】
受雷体は、落雷によって発生される雷電流が、羽根の包囲部分を損傷することなく、受け取られることを保証する。
【0018】
好適には、受雷体は、雷電流を大地へ導く雷導体に取り付けられている。
【0019】
受雷体の位置、特に小翼の受雷体の位置は、公知のコンピュータシミュレーションによって最適化される。これらのシミュレーションは、成形された小翼及び成形された羽根自体により羽根に沿って生じる圧力条件に基づく。
【0020】
本発明の場合、各受雷体は、好適には、小翼/羽根の開口内に配置されている。
【0021】
開口は、羽根の製造プロセスの後に、羽根/小翼に形成されてよい。つまり、必要な場合に、小翼/羽根の適切な開口内に受雷体が後付けされてよい。
【0022】
開口自体は、製造プロセスの間に、羽根/小翼に配置若しくは提供されてもよい。
【0023】
各受雷体が、羽根/小翼の製造中に小翼/羽根内に成形されることも可能である。つまり、受雷体は、羽根/小翼の製造後には、風車の一体化された部分である。
【0024】
これらの2つの構成の組合せも、発明の範囲に含まれる。
【0025】
さらに、本発明の場合、受雷体は、羽根/小翼を貫通している。つまり、羽根/小翼の受雷体は、第1の面及び第2の面を有しており、受雷体の第1の面は、羽根若しくは小翼の第1の面に配置されており、受雷体の第2の面は、羽根若しくは小翼の第2の面に配置されている。
【0026】
受雷体の両面は、各面が、到来する落雷に耐えることができかつ、その結果生じる雷エネルギを風車の電気的大地へ通過させることができるように、設計及び配置されている。
【0027】
ここで発明を幾つかの図面を用いてより詳細に説明する。
【0028】
図面は、好適な態様を示しており、発明の範囲を限定するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】第1の小翼タイプの場合の、本発明による落雷保護を示している。
【図2】第2の小翼タイプの場合の、本発明による落雷保護を示している。
【図3】第3の小翼タイプの場合の、本発明による落雷保護を示している。
【図4】片側小翼と結合された羽根の先端の横断面を示しており、小翼は、羽根の上流方向に向けられている。
【図5】両側小翼と結合された羽根の先端の横断面を示しており、小翼は、非対称であり、羽根の上流方向に向けられている。
【図6】片側小翼と結合された羽根の先端の横断面を示しており、小翼は、羽根の下流方向に向けられている。
【図7】両側小翼と結合された羽根の先端の横断面を示しており、小翼は、非対称であり、羽根の上流方向に向けられている。
【図8】両側小翼と結合された羽根の先端の横断面を示しており、小翼は、非対称であり、羽根の下流方向に向けられている。
【発明を実施するための形態】
【0030】
図面において、「上流」又は「風上」は、風の到来方向を表す。つまり、この方向は、到来する風に逆らう方向である。図面において、「下流」又は「風下」は、羽根を通過する風の方向を表す。つまり、この方向は、羽根を通過する風に沿った、風と直列の方向である。
【0031】
図1は、第1の小翼タイプの場合の、本発明による落雷保護を示している。羽根BLは、風車WTのハブHBを中心にして回転する。羽根BLは、小翼WL1によって延長されており、この小翼WL1は、羽根BLの先端領域TERの近くに配置されている。小翼WL1は、片側小翼として成形されている。小翼WL1は、風車WTの風到来方向に向けられているので、この小翼WL1は、「片側上流小翼」と呼ばれる。受雷体LR11は、羽根BLの先端領域TERの近くに配置されている。付加的な受雷体LR12は、小翼WLに配置されている。この受雷体LR12の位置は、小翼WL1の先端領域の近くであってもよい。受雷体LR11及びLR12は、雷導体と結合されており、この雷導体は雷電流を大地へ導く。
【0032】
図2は、第2の小翼タイプの場合の、本発明による落雷保護を示している。羽根BLは、風車WTのハブHBを中心にして回転する。羽根BLは、小翼W2によって延長されており、この小翼W2は、羽根BLの先端領域TERの近くに配置されている。小翼WL2は、いわゆる「両側小翼」として成形されている。つまり、小翼WL2は、2つの方向、つまり、(風が到来する方向である)上流と、(風が羽根を通過した後の風の方向である)下流とに、向けられている。小翼WL2は、非対称又は対称に成形されていてよい。図2は、対称の場合を示している。受雷体LR21は、羽根BLの先端領域TERの近くに配置されている。2つの付加的な受雷体LR22及びLR23は、小翼WL2に配置されている。受雷体LR22及びLR23の位置は、小翼WL2の先端領域TER1及びTER2の近くであってもよい。受雷体LR21,LR22及びLR23は、雷導体と結合されており、この雷導体は雷電流を大地へ導く。
【0033】
図3は、第3の小翼タイプの場合の、本発明による雷保護を示している。羽根LBは、風車WTのハブHBを中心にして回転する。羽根BLは、小翼WL3によって延長されており、この小翼WL3は、羽根BLの先端領域TERの近くに配置されている。小翼WL3は、片側小翼として成形されている。小翼WL3は、風車WTの風下方向に向けられているので、小翼WL3は、「片側下流小翼」と呼ばれる。受雷体LR31は、羽根BLの先端領域TERの近くに配置されている。付加的な受雷体LR32は、小翼WL3に配置されている。この受雷体LR32の位置は、小翼WL3の先端領域TERの近くであってもよい。受雷体LR31及びLR32は、雷導体と結合されており、この雷導体は雷電流を大地へ導く。
【0034】
図4は、片側小翼WL4と結合された、羽根BLの先端の横断面CSを示している。小翼WL4は、羽根BLの上流方向に向けられているので、図4の場合、図1が参照される。好適には、小翼WL4は、1つの専用の受雷体LRを有している。
【0035】
図5は、両側小翼WL5に結合された、羽根BLの先端の横断面CSを示している。小翼WL5は、非対称であり、その形状により、羽根BLの下流方向よりも、上流方向へさらに向けられている。つまり、図5の場合、対応して図2が参照することができる。好適には、小翼WL5の各部分(側部)は、1つの専用の受雷体LRを有している。つまり、2つの受雷体LRが使用されており、小翼WL5に配置されている。
【0036】
図6は、片側小翼WL6に結合された、羽根BLの先端の横断面CSを示している。小翼WL6は、羽根BLの下流方向に向けられている。つまり、図6の場合、図3が参照される。好適には、小翼WL6は、1つの専用の受雷体LRを有している。
【0037】
図7は、両側小翼WL7と結合された、羽根の先端の横断面CSを示している。小翼WL7は、対称であり、その形状により、羽根BLの上流方向及び下流方向に向けられている。つまり、図7の場合、図2が参照される。好適には、小翼WL7の各部分(側部)は、1つの専用の受雷体LRを有している。つまり、2つの受雷体が、使用されており、小翼WL7に配置されている。
【0038】
図8は、両側小翼WL8と結合された、羽根BLの先端の横断面CSを示している。小翼WL8は、非対称であり、その形状により、羽根BLの上流方向よりも、羽根BLの下流方向へさらに向けられている。つまり、図8の場合、対応して図2を参照することができる。好適には、小翼WL8の各部分(側部)は、1つの専用の受雷体LRを有している。つまり、2つの受雷体が、使用されており、小翼WL8の脇に配置されている。
【符号の説明】
【0039】
BL 羽根、 WT 風車、 HB ハブ、 WL 小翼、 TER 先端領域、 LR 受雷体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
風車の羽根の落雷保護のための装置において、
風車の羽根が、成形された小翼によって延長されており、
羽根が、該羽根の先端領域に配置された受雷体を有しており、
前記小翼が、付加的な受雷体を有することを特徴とする、風車の羽根の落雷保護のための装置。
【請求項2】
前記受雷体が、小翼及び/又は羽根における、負圧渦が発生される領域に配置されている、請求項1記載の装置。
【請求項3】
前記受雷体が、小翼及び/又は羽根の先端領域に配置されている、請求項1又は2記載の装置。
【請求項4】
前記受雷体が、小翼及び/又は羽根の開口内に配置されている、請求項1から3までのいずれか1項記載の装置。
【請求項5】
前記受雷体が、小翼/羽根が製造されるときの、小翼及び/又は羽根の一体化された部分である、請求項1から4までのいずれか1項記載の装置。
【請求項6】
前記小翼が、羽根の先端領域に配置されている、請求項1から4までのいずれか1項記載の装置。
【請求項7】
前記小翼が、固定されているが取外し可能な形式で羽根と結合されている、請求項1から6までのいずれか1項記載の装置。
【請求項8】
前記受雷体が、雷電流を風車の電気的大地へ導く雷導体と結合されている、請求項1から7までのいずれか1項記載の装置。
【請求項9】
前記小翼が、
羽根の上流又は下流に向けられた片側小翼として、又は
羽根の上流及び下流に向けられた両側小翼として成形及び配置されており、前記両側小翼は対称又は非対称の小翼として成形されている、請求項1から8までのいずれか1項記載の装置。
【請求項10】
羽根又は小翼の受雷体が、第1の面及び第2の面を有しており、
受雷体の第1の面が、羽根又は小翼の第1の面に配置されており、
受雷体の第2の面が、羽根又は小翼の第2の面に配置されており、
受雷体の第1の面及び第2の面は、それぞれの面が落雷を受けることができるように設計及び配置されている、請求項1から9までのいずれか1項記載の装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−31866(P2012−31866A)
【公開日】平成24年2月16日(2012.2.16)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2011−168950(P2011−168950)
【出願日】平成23年8月2日(2011.8.2)
【出願人】(390039413)シーメンス アクチエンゲゼルシヤフト (2,104)
【氏名又は名称原語表記】Siemens Aktiengesellschaft
【住所又は居所原語表記】Wittelsbacherplatz 2, D−80333 Muenchen, Germany
【Fターム(参考)】