説明

蒸気の流量計測方法

【課題】蒸気の流量を精度よく、かつ簡便に算出することができる蒸気の流量計測方法を提供する。
【解決手段】実施形態の蒸気の流量計測方法は、絞り機構の入口および出口における湿り度を算出するステップと、(A)絞り機構の入口が乾き蒸気、かつ絞り機構の出口が乾き蒸気、(B)絞り機構の入口が乾き蒸気、かつ絞り機構の出口が湿り蒸気、(C)絞り機構の入口の湿り度yが0<y≦yの湿り蒸気、かつ絞り機構の出口が湿り蒸気、(D)絞り機構の入口の湿り度yがy>yの湿り蒸気、かつ絞り機構の出口が湿り蒸気、によって区分された(A)〜(D)のうちのいずれかの蒸気条件に、絞り機構の入口および出口における湿り度に基づいて蒸気条件を特定するステップと、蒸気条件に基づいて流量係数を算出するステップと、算出された流量係数を用いて蒸気の流量を算出するステップとを具備する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、蒸気の流量計測方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、蒸気の流量をオリフィスやノズルなどの絞り機構の流量計で計測する場合、蒸気の過飽和現象や水滴速度と蒸気速度との相違によって、絞り機構の下流の状態値は、平衡状態ベースの状態値とは異なる値になる。
【0003】
そのため、蒸気の流量を計測する場合には、これらの現象を考慮して流量を算出する必要があり、蒸気の流量特性に関する種々の研究が行われてきた。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】Filippov,G.A., et.al, “The steam flow discharge coefficient and losses in nozzles of a steam turbine stage operating in the low steam wetness zone”, ASME Winter Annual Meeting, (1982), p.39
【非特許文献2】谷下市松、 “工業熱力学 基礎編”第38版、 裳華房 (1991)、p.379−380
【非特許文献3】Guo,T, Sumner,W.J., and Hofer,D.C., “Development of Highly Efficient Nuclear HP Steam Turbines Using Physics Based Moisture Loss Models”, ASME Turbo Expo, GT2007-27960 (2007), p.3
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
蒸気の流量を算出する際に使用される流量係数は、過飽和現象によって大きく変化する。従来においては、過飽和現象によって大きく変化する流量係数を考慮して、蒸気の流量を計測する方法はなかった。
【0006】
本発明が解決しようとする課題は、蒸気の流量を精度よく、かつ簡便に算出することができる蒸気の流量計測方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
実施形態の蒸気の流量計測方法は、絞り機構を用いた蒸気の流量計測方法において、絞り機構の入口および出口における湿り度を算出するステップと、(A)絞り機構の入口が乾き蒸気、かつ絞り機構の出口が乾き蒸気、(B)絞り機構の入口が乾き蒸気、かつ絞り機構の出口が湿り蒸気、(C)絞り機構の入口の湿り度yが0<y≦yの湿り蒸気(yは過飽和現象が維持される湿り度の境界値)、かつ絞り機構の出口が湿り蒸気、(D)絞り機構の入口の湿り度yがy>yの湿り蒸気(yは過飽和現象が維持される湿り度の境界値)、かつ絞り機構の出口が湿り蒸気、によって区分された(A)〜(D)のうちのいずれかの蒸気条件に、前記算出された絞り機構の入口および出口における湿り度に基づいて蒸気条件を特定するステップを備える。さらに、特定された前記蒸気条件に基づいて流量係数を算出するステップと、算出された流量係数を用いて蒸気の流量を算出するステップとを備える。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明に係る実施の形態の蒸気の流量計測方法に係る演算処理を実行するコンピュータの概要を示す構成図である。
【図2】本発明に係る実施の形態の蒸気の流量計測方法の手順を示す流れ図である。
【図3】本発明に係る実施の形態の区分された4つの蒸気条件を説明するためのh−s線図を示す図である。
【図4】実験的ウィルソン点のデータの概要を示すモリエル線図である。
【図5】過飽和膨張の場合のP−v線図である。
【図6】過飽和膨張の場合のh−s線図である。
【図7】本発明に係る実施の形態の蒸気の流量計測方法によって得られた流量係数比の特性を示す図である。
【図8】本発明に係る実施の形態の蒸気の流量計測方法によって得られた流量係数比と、試験用タービンを使用して実測値に基づいて算出した流量係数比を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
【0010】
図1は、本発明に係る実施の形態の蒸気の流量計測方法に係る演算処理を実行するコンピュータの概要を示す構成図である。図2は、本発明に係る実施の形態の蒸気の流量計測方法の手順を示す流れ図である。
【0011】
図1に示すように、コンピュータは、主に、演算処理装置10、入出力装置11、記憶装置12を備えている。このコンピュータにおいて、入出力装置11から入力されたデータ、予め記憶装置12に記憶されたデータ、これらのデータを使用して演算処理装置10によって演算された演算結果などに基づいて、蒸気の流量が算出される。
【0012】
本発明に係る実施の形態の蒸気の流量計測方法においては、絞り機構の入口および出口における蒸気条件を、以下の蒸気条件(A)〜蒸気条件(D)の4つの蒸気条件に区分している。
【0013】
蒸気条件(A)は、絞り機構の入口が乾き蒸気、かつ絞り機構の出口が乾き蒸気の場合、蒸気条件(B)は、絞り機構の入口が乾き蒸気、かつ絞り機構の出口が湿り蒸気の場合、蒸気条件(C)は、絞り機構の入口の湿り度yが0<y≦yの湿り蒸気(yは過飽和現象が維持される湿り度の境界値)、かつ絞り機構の出口が湿り蒸気の場合、(D)蒸気条件は、絞り機構の入口の湿り度yがy>yの湿り蒸気(yは過飽和現象が維持される湿り度の境界値)、かつ絞り機構の出口が湿り蒸気の場合である。
【0014】
そして、絞り機構の入口および出口における湿り度に基づいて、蒸気条件を上記した蒸気条件(A)〜蒸気条件(D)のいずれかに特定する。
【0015】
ここで、絞り機構としては、オリフィス、フローノズル、ベンチュリ管などが挙げられる。また、蒸気タービンのノズル翼列や動翼翼列も一種の絞り機構であるため、本実施の形態を適用して蒸気流量を得ることができる。
【0016】
次に、本発明に係る実施の形態の、蒸気の流量計測方法について説明する。
【0017】
入出力装置11により、蒸気の流量を算出しようとする絞り機構の入口における蒸気圧力および蒸気温度、絞り機構の出口における蒸気圧力、絞り機構の形状データなどの基本要項が入力される。
【0018】
ここで、絞り機構として蒸気タービンのノズル翼列や動翼翼列を適用する場合には、入出力装置11により、蒸気の流量を算出しようとする静翼翼列や動翼翼列、静翼翼列や動翼翼列を構成するノズルや動翼における、例えば配置ピッチや流出有効角などの翼に係るデータ、ノズル翼列や動翼翼列の入口における蒸気圧力および蒸気温度、ノズル翼列や動翼翼列の出口における蒸気圧力などの基本要項が入力される。
【0019】
まず、演算処理装置10は、上記した入力データなどに基づいて、絞り機構の入口と出口における、蒸気の湿り度を算出する(ステップS20)。
【0020】
続いて、算出された絞り機構の入口および出口における蒸気の湿り度に基づいて、蒸気条件を上記した4つに区分のいずれかの蒸気条件に特定する(ステップS21)。
【0021】
図3は、本発明に係る実施の形態の区分された4つの蒸気条件を説明するためのh−s線図を示す図である。ここでは、絞り機構によって、入口圧力Pから出口圧力Pに膨張する場合を想定している。図3において、Pは、膨張線と飽和蒸気線との交点を通る飽和蒸気圧力、yは、過飽和現象が維持される湿り度の境界値(ウィルソン点)を示す。
【0022】
上記した蒸気条件の4つの区分は、図1に示された蒸気条件(A)〜蒸気条件(D)に対応するものである。ここで、蒸気の湿り度の境界値をyは、3%〜5%の湿り度の範囲内とすることが好ましい。図4は、実験的ウィルソン点のデータの概要を示すモリエル線図である。なお、図4に示すモリエル線図は、非特許文献3に示されたモリエル線図を引用するものである。
【0023】
蒸気の湿り度の境界値yを3%〜5%とすることが好ましいとしたのは、図4に示すように、圧力レベルが変化しても、ウィルソン点は湿り度が3〜5%の間に存在するからである。
【0024】
続いて、演算処理装置10は、特定された蒸気条件に基づいて流量係数を算出する(ステップS22)。なお、各蒸気条件における流量係数を算出するための演算式などは、記憶装置12に記憶されており、演算処理装置10は、この記憶装置12に記憶された演算式などに基づいて流量係数を算出する。
【0025】
各蒸気条件における流量係数の算出方法について説明する。
【0026】
(蒸気条件(A))
乾き蒸気の流量係数は、絞り機構の種類によって求め方が異なる。例えば、オリフィスの場合には、オリフィス面積と管路面積の比で定義される開口比とレイノルズ数から求めることができる。標準形のオリフィスやフローノズルにおいては、例えば、非特許文献2のp.391に記載されているように、開口比に基づいて流量係数が定められる。
【0027】
また、ノズル翼列や動翼翼列の場合には、翼型と圧力比などのデータに基づいて算出される。例えば、ノズル翼列における流量係数Cは、蒸気の流出部の境界層厚さに基づいて、次に示す式(1)によって算出することができる。
【0028】
【数1】

【0029】
ここで、δは、ノズルの腹側(圧力側)の後縁における境界層厚さであり、δは、ノズルの背側のスロート部における境界層厚さである。tは、周方向のノズルのピッチである。例えば、ノズルが周方向にZ個備えられる場合、t=2πr/Zで算出される。なお、rは、ノズルにおけるタービンロータ軸からの半径である。αは、ノズルにおける流出有効角である。
【0030】
例えば、動翼翼列における流量係数Cも、式(1)によって算出することができる。この場合、δは、動翼の腹側(圧力側)の後縁における境界層厚さであり、δは、動翼の背側のスロート部における境界層厚さである。tは、周方向の動翼のピッチである。例えば、動翼が周方向にZ個備えられる場合、t=2πr/Zで算出される。なお、rは、動翼におけるタービンロータ軸からの半径である。αは、動翼における流出有効角である。
【0031】
なお、ノズルや動翼に係るデータは、例えば、ノズルや動翼の翼型を特定することで、記憶装置12に記憶されたデータベースから得られるように構成される。また、蒸気条件(A)、すなわち絞り機構の入口が乾き蒸気、かつ絞り機構の出口が乾き蒸気の場合における流量係数Cは、上記した算出方法に限られず、乾き蒸気において一般的に算出されている方法で算出することができる。
【0032】
(蒸気条件(B))
蒸気条件(B)では、過飽和現象の影響を受け、蒸気条件(A)の場合よりも流量係数は増加する。蒸気条件(B)における流量係数Cは、次の式(2)に示すように、蒸気条件(A)の流量係数Cに補正項のf関数を乗じて算出される。
【0033】
【数2】

【0034】
ここで、湿り比熱比κとして、図3に示すように、絞り機構の入口からの断熱線が絞り機構の出口圧力Pの等圧線と交わる点での比熱比を使用する。乾き比熱比κとして、絞り機構の入口からの断熱線が飽和蒸気線と交わる点での乾き側の比熱比を使用する。
【0035】
次に、式(2)における補正項のf関数について説明する。
【0036】
図5は、過飽和膨張の場合のP−v線図である。図6は、過飽和膨張の場合のh−s線図である。
【0037】
図5および図6に破線で示す過飽和膨張の場合には、実線で示す飽和膨張の場合と比較して、比容積と熱落差(速度)が異なる特性となる。飽和膨張の場合の比容積vと過飽和膨張の場合の比容積v2’は、断熱膨張の式により、それぞれ式(3)と式(4)で定義される。
【0038】
【数3】

【0039】
【数4】

【0040】
飽和膨張の場合の速度wと過飽和膨張の場合の速度w2′は、エネルギ保存則により、それぞれ式(5)と式(6)で定義される。
【0041】
【数5】

【0042】
【数6】

【0043】
飽和膨張の流量をG、過飽和膨張の流量をGne、オリフィス面積、フローノズル・ベンチュリ管のスロート面積、ノズル翼列や動翼翼列のスロート面積をAとすると、過飽和域の流量比、すなわち補正項のf関数は、式(7)で定義される。
【0044】
【数7】

【0045】
なお、上記のf関数で定義する変数を全て使用せずに、一部の変数を定数として定義することも可能である。
【0046】
(蒸気条件(C))
蒸気条件(C)では、絞り機構の入口における湿り度が増加するのに伴い、過飽和現象の影響は小さくなり、流量係数は減少する。蒸気条件(C)における流量係数Cは、次の式(8)に示すように、蒸気条件(A)の流量係数Cに補正項のf関数を乗じて算出される。
【0047】
【数8】

【0048】
ここで、湿り比熱比κとして、図3に示すように、絞り機構の入口からの断熱線が絞り機構の出口圧力Pの等圧線と交わる点での比熱比を使用する。乾き比熱比κとして、絞り機構の入口圧力Pの等圧線が飽和蒸気線と交わる点での乾き側の比熱比を使用する。
【0049】
式(8)における補正項のf関数は、蒸気条件(B)で説明した補正項のf関数と同様に定義され、式(3)〜式(6)に基づいて式(7)によって定義される。ここで、式(3)および式(4)における飽和蒸気圧力Pの代わりに入口圧力Pを、比容積vの代わりに比容積vを用いる。なお、比容積vは、入口圧力Pにおける比容積である。
【0050】
なお、上記のf関数で定義する変数を全て使用せずに、一部の変数を定数として定義することも可能である。
【0051】
(蒸気条件(D))
蒸気条件(D)では、絞り機構の入口における湿り度が増加するのに伴い、流量係数は増加する。蒸気条件(D)における流量係数Cは、次の式(9)に示すように、絞り機構の入口における湿り度yの関数g(y)、蒸気条件(C)における、入口の湿り度yが境界値yのときの流量係数Cに基づいて算出される。
【0052】
【数9】

【0053】
続いて、演算処理装置10は、ステップS22において算出された流量係数に基づいて蒸気の流量を算出する(ステップS23)。なお、蒸気の流量を算出するための演算式などは、例えば、記憶装置12に記憶されており、演算処理装置10は、この記憶装置12に記憶された演算式などに基づいて蒸気の流量を算出する。
【0054】
蒸気の流量Gは、各蒸気条件における流量係数C(C、C、C、C)および理論流量Gthに基づいて次の式(10)によって算出される。
【0055】
【数10】

【0056】
なお、理論流量Gthは、式(11)によって算出される。
【0057】
【数11】

【0058】
ここで、Aは、オリフィス面積、フローノズル・ベンチュリ管のスロート面積、ノズル翼列や動翼翼列のスロート面積である。wは理論速度、vは比容積である。なお、理論速度wは、前述した式(5)によって算出される。
【0059】
上記したように、本発明に係る実施の形態の蒸気の流量計測方法によれば、蒸気の流量を精度よく、かつ簡便に算出することができる。また、蒸気が湿り蒸気である場合においても、蒸気の流量を精度よく、かつ簡便に算出することができる。
【0060】
(蒸気の流量計測方法における算出結果の評価)
図7は、本発明に係る実施の形態の蒸気の流量計測方法によって得られた流量係数比の特性を示す図である。図7において、横軸は、絞り機構の入口における蒸気の過熱度および湿り度を示し、縦軸は、(湿り流量係数/乾き流量係数)で定義される流量係数比を示す。
【0061】
ここでは、絞り機構の、出口圧力Pと入口圧力Pとの圧力比(P/P)を0.4〜0.8の範囲で変化させた結果を示している。なお、例えば、蒸気タービンの動翼翼列またはノズル翼列においては、圧力比(P/P)は、通常0.4〜0.8程度である。なお、図7における乾き流量係数は、圧力比(P/P)が同じ条件における乾き蒸気の流量係数である。
【0062】
図7に示すように、絞り機構の入口における蒸気の過熱度が小さくなるに伴って、流量係数比は増加し、蒸気の湿り度が0%でピークを示している。蒸気の湿り度が0%から境界値yの間においては、流量係数比は、一旦減少し、境界値yを超えると漸増している。
【0063】
絞り機構の入口における蒸気の過熱度および湿り度が小さな領域で流量係数比が大きくなるのは、過飽和現象による影響である。また、絞り機構の入口における蒸気の過熱度または湿り度が同じであっても、圧力比(P/P)が小さくなるほど流量係数比は増加している。
【0064】
図8は、本発明に係る実施の形態の蒸気の流量計測方法によって得られた流量係数比と、試験用蒸気タービンを使用して実測値に基づいて算出した流量係数比を示す図である。
【0065】
なお、試験用タービンを使用した実測値は、ノズル翼列におけるものである。また、図8において示したシンボルの種別は、ノズル翼列の種別を示す。すなわち、シンボルの種別数に対応する数のノズル翼列におけるデータを示している。
【0066】
図8に示すように、実施の形態の蒸気の流量計測方法によって得られた流量係数比と、試験用タービンを使用して実測値に基づいて算出した流量係数比とは同様の傾向を示すことがわかる。この結果から、本発明に係る実施の形態の蒸気の流量計測方法の有効性を検証することができた。
【0067】
以上説明した実施形態によれば、蒸気の流量を精度よく、かつ簡便に算出することが可能となる。
【0068】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。
【符号の説明】
【0069】
10…演算処理装置、11…入出力装置、12…記憶装置。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
絞り機構を用いた蒸気の流量計測方法において、
絞り機構の入口および出口における湿り度を算出するステップと、
(A)絞り機構の入口が乾き蒸気、かつ絞り機構の出口が乾き蒸気、(B)絞り機構の入口が乾き蒸気、かつ絞り機構の出口が湿り蒸気、(C)絞り機構の入口の湿り度yが0<y≦yの湿り蒸気(yは過飽和現象が維持される湿り度の境界値)、かつ絞り機構の出口が湿り蒸気、(D)絞り機構の入口の湿り度yがy>yの湿り蒸気(yは過飽和現象が維持される湿り度の境界値)、かつ絞り機構の出口が湿り蒸気、によって区分された(A)〜(D)のうちのいずれかの蒸気条件に、前記算出された絞り機構の入口および出口における湿り度に基づいて蒸気条件を特定するステップと、
特定された前記蒸気条件に基づいて流量係数を算出するステップと、
算出された流量係数を用いて蒸気の流量を算出するステップと
を具備したことを特徴とする蒸気の流量計測方法。
【請求項2】
前記(B)の蒸気条件であると特定された場合において、
前記(B)の蒸気条件における流量係数Cは、前記(B)の蒸気条件における蒸気の、入口圧力P、出口圧力P、飽和蒸気圧力P、湿り比熱比κおよび乾き比熱比κから選択された変数、および前記(A)の蒸気条件における流量係数Cに基づいて算出されることを特徴とする請求項1記載の蒸気の流量計測方法。
【請求項3】
前記(C)の蒸気条件であると特定された場合において、
前記(C)の蒸気条件における流量係数Cは、前記(C)の蒸気条件における蒸気の、入口圧力P、出口圧力P、湿り比熱比κおよび乾き比熱比κから選択された変数、および前記(A)の蒸気条件における流量係数Cに基づいて算出されることを特徴とする請求項1記載の蒸気の流量計測方法。
【請求項4】
前記(D)の蒸気条件であると特定された場合において、
前記(D)の蒸気条件における流量係数Cは、前記(D)の蒸気条件における入口の湿り度yの関数および前記(C)の蒸気条件における入口の湿り度yが前記境界値yのときの流量係数Cに基づいて算出されることを特徴とする請求項1記載の蒸気の流量計測方法。
【請求項5】
前記(B)の蒸気条件であると特定された場合において、
前記湿り比熱比κとして、入口からの断熱線が出口圧力Pの等圧線と交わる点での比熱比を使用することを特徴とする請求項2記載の蒸気の流量計測方法。
【請求項6】
前記(C)の蒸気条件であると特定された場合において、
前記湿り比熱比κとして、入口からの断熱線が出口圧力Pの等圧線と交わる点での比熱比を使用することを特徴とする請求項3記載の蒸気の流量計測方法。
【請求項7】
前記(B)の蒸気条件であると特定された場合において、
前記乾き比熱比κとして、入口からの断熱線が飽和蒸気線と交わる点での比熱比を使用することを特徴とする請求項2または5記載の蒸気の流量計測方法。
【請求項8】
前記(C)の蒸気条件であると特定された場合において、
前記乾き比熱比κとして、入口圧力Pの等圧線が飽和蒸気線と交わる点での比熱比を使用することを特徴とする請求項3または6記載の蒸気の流量計測方法。
【請求項9】
前記境界値yが3%〜5%の湿り度の範囲にあることを特徴とする請求項1乃至8のいずれか1項記載の蒸気の流量計測方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate


【公開番号】特開2012−247247(P2012−247247A)
【公開日】平成24年12月13日(2012.12.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−117905(P2011−117905)
【出願日】平成23年5月26日(2011.5.26)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】