蒸気タービンプラント
【課題】上流側タービンの内部や排気蒸気から水を捕集する機構を具備する蒸気タービンプラントを提供する。
【解決手段】蒸気タービンプラントは、水を蒸気に変化させるボイラ108と、ボイラからの蒸気により駆動される上流側タービン203と、上流側タービンからの蒸気により駆動される下流側タービン204と、下流側タービンから排気された蒸気を水に戻す復水器104と、上流側タービン内の最終段の動翼の入口よりも上流の蒸気、または上流側タービンから排気された蒸気から、水を捕集する捕集機構と、捕集機構により捕集された捕集物を、上流側タービンの最終段の動翼の出口から下流側タービンの最終段の動翼の入口に到る間の蒸気、上流側タービン内の捕集物の捕集場所と最終段の動翼の入口との間の蒸気、復水器からボイラに到る間の水、上流側タービンまたは下流側タービンの抽気口からの抽気蒸気、等に流入させる捕集物流入経路Pとを具備する。
【解決手段】蒸気タービンプラントは、水を蒸気に変化させるボイラ108と、ボイラからの蒸気により駆動される上流側タービン203と、上流側タービンからの蒸気により駆動される下流側タービン204と、下流側タービンから排気された蒸気を水に戻す復水器104と、上流側タービン内の最終段の動翼の入口よりも上流の蒸気、または上流側タービンから排気された蒸気から、水を捕集する捕集機構と、捕集機構により捕集された捕集物を、上流側タービンの最終段の動翼の出口から下流側タービンの最終段の動翼の入口に到る間の蒸気、上流側タービン内の捕集物の捕集場所と最終段の動翼の入口との間の蒸気、復水器からボイラに到る間の水、上流側タービンまたは下流側タービンの抽気口からの抽気蒸気、等に流入させる捕集物流入経路Pとを具備する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、蒸気タービンプラントに関し、例えば、上流側タービン内の蒸気や、上流側タービンからの排気蒸気から、水を捕集する機構を具備する蒸気タービンプラントに関する。
【背景技術】
【0002】
図10は、太陽熱を利用した従来の蒸気タービンプラントの第1の構成例を示す概略図である。図10のプラントにおける蒸気タービンサイクルについて説明する。
【0003】
熱媒体118は、熱媒体ポンプ116により、太陽熱を集める集熱器119に搬送される。熱媒体118は、例えば油である。熱媒体118は、集熱器119にて、太陽光線117の輻射熱により加熱される。その後、熱媒体118は、熱交換器である加熱器110に搬送され、そこで加熱対象の水や蒸気を加熱する。熱媒体118は、加熱器110にて温度低下した後、熱媒体ポンプ116の上流に戻る。このようにして、熱媒体118は循環する。
【0004】
太陽光線117を受ける事のできない夜間や、太陽光線117が弱い天候の時の昼間には、集熱器119をバイパスして、蓄熱タンク内に貯蔵された熱媒体118を循環させるが、そのための機器やフローは、ここでは図示していない。
【0005】
図10の蒸気タービンサイクルは、高圧タービン101と、中圧タービン102と低圧タービン103からなる再熱タービン113から構成される1段再熱サイクルとなっている。
【0006】
加熱器110は、給水111を蒸気112に変化させるボイラ108と、再熱タービン113向けの蒸気を加熱する再熱器109から構成される。給水111は、ポンプ105により、加熱器110の一部であるボイラ108に搬送され、ボイラ108にて加熱される事で、高圧タービン入口蒸気112に変化する。
【0007】
高圧タービン入口蒸気112は、高圧タービン101に流入し、高圧タービン101の内部で膨張し、その圧力、温度ともに低下する。高圧タービン101は、この高圧タービン入口蒸気112により駆動される。太陽熱を利用した蒸気タービンサイクルでは、燃料の燃焼排ガスの熱を利用した蒸気タービンサイクルと比較して、高圧タービン入口蒸気112の温度が低い事が多い。そのため、高圧タービン排気114が、全てが気体である乾き蒸気でなく、一部液体が混在する、即ち、乾き度が1未満である湿り蒸気である事が多い。
【0008】
図10では、高圧タービン101の最下流にある出口(排気口)が、符号Xで示されている。高圧タービン排気114は、加熱器110の一部である再熱器109に流入して加熱された後、中圧タービン102に流入する。
【0009】
中圧タービン入口蒸気106は、中圧タービン102の内部で膨張し、圧力、温度ともに低下し、低圧タービン103に流入する。図10の低圧タービン103は、中圧タービン排気123が低圧タービン103の中央から流入し、左右に流れて2つの出口から流出するダブルフロー型である。低圧タービン103に流入した蒸気は、低圧タービン103内部で膨張し、圧力、温度ともに低下し、湿り蒸気になって流出する。この蒸気により、高圧タービン101と同様に、中圧タービン102と低圧タービン103が駆動される。
【0010】
低圧タービン103から流出した蒸気、即ち、低圧タービン排気115は、復水器104に流入する。復水器104では、冷却水により低圧タービン排気115を冷却し、これを給水111に戻す。給水111は、ポンプ105の上流に戻る。このようにして、給水111が蒸気112に変化しながら循環する。なお、冷却水は、海水や河川水を用いてもよいし、復水器104にて温度上昇した後、大気を用いた冷却塔で冷却し、循環させてもよい。
【0011】
高圧タービン101、中圧タービン102、および低圧タービン103の回転軸は、発電機107に接続されている。回転軸は、膨張していく蒸気により高圧タービン101、中圧タービン102、および低圧タービン103が回転する事で回転する。この回転軸の回転により、発電機107にて発電が行われる。
【0012】
図10では、高圧タービン101、中圧タービン102、および低圧タービン103の途中段に設けられた抽気口が、符号Eで示されており、これらの抽気口Eの内の1つ以上から、抽気蒸気120が抽気される。図10では、復水器104とボイラ108との間において、給水111が、抽気蒸気120を熱源として、給水加熱器121にて加熱される再生サイクル(再熱再生サイクル)が構成されている。図10のサイクルは、再生サイクルでなくても構わないが、再生サイクルとする事でサイクル効率は向上する。
【0013】
なお、抽気蒸気120は、給水加熱器121にて冷却されて水に変化した後、ドレン水ポンプ122で給水111に合流する。
【0014】
図11は、太陽熱を利用した従来の蒸気タービンプラントの第2の構成例を示す概略図である。図11では、熱媒体118のフローの記載を省略しており、これ以降に説明する図12以外の各図でも、これを同様に省略する。
【0015】
太陽熱を利用した再熱サイクルの入口蒸気は、例えば圧力110ata、温度380℃のように、比エンタルピ−比エントロピ線図にて湿り領域に近い事が多く、高圧タービン排気114が、湿り蒸気になる事が多い。高圧タービン101内において、湿り蒸気は、湿り損失を発生させ、タービン内部効率を低下させる。また、高圧タービン101のタービン翼の表面に水滴が衝突する事により、エロージョンが発生する。
【0016】
そこで、図11の高圧タービン101は、高圧タービン101内の蒸気から、水を捕集する捕集機構を具備している。そして、図11の蒸気タービンプラントは、捕集機構により捕集された捕集物201を、復水器104に流入させる捕集物流入経路Pを具備している。図11では、高圧タービン101から水が捕集される捕集場所が、符号Yで示されている。捕集物201は、捕集場所Yから捕集物流入経路Pを介して復水器104に流入される。捕集物201には、捕集された水に加え、水に随伴して回収された湿り蒸気または乾き蒸気が含まれている場合がある。
【0017】
図12は、太陽熱を利用した従来の蒸気タービンプラントの第3の構成例を示す概略図である。図12のプラントにおける蒸気タービンサイクルについて説明する。図12に示す構成については、図10に示す構成との相違点を中心に説明する。
【0018】
図10の蒸気タービンサイクルが、高圧タービン101と再熱タービン113から構成される再熱サイクルであるのに対し、図12の蒸気タービンサイクルは、上流側タービン203と下流側タービン204から構成される非再熱サイクルとなっている。
【0019】
図12では、給水111が、ポンプ105によりボイラ108に搬送される。そして、給水111は、ボイラ108により加熱される事で、上流側タービン入口蒸気112に変化する。
【0020】
上流側タービン入口蒸気112は、上流側タービン203に流入し、上流側タービン203の内部で膨張し、その圧力、温度ともに低下する。上流側タービン203は、この上流側タービン入口蒸気112により駆動される。太陽熱を利用した蒸気タービンサイクルでは、燃料の燃焼排ガスの熱を利用した蒸気タービンサイクルと比較して、上流側タービン入口蒸気112の温度が低い事が多い。そのため、上流側タービン排気123が、全てが気体である乾き蒸気でなく、一部液体が混在する、即ち、乾き度が1未満である湿り蒸気である事が多い。
【0021】
図12では、上流側タービン203の最下流にある出口(排気口)が、符号Xで示されている。上流側タービン排気123は、下流側タービン204に流入する。上流側タービン排気123は、下流側タービン204の内部で膨張し、圧力、温度ともに低下する。下流側タービン204は、この上流側タービン排気123により駆動される。
【0022】
下流側タービン204から流出した蒸気、即ち、下流側タービン排気115は、復水器104に流入する。復水器104では、冷却水により下流側タービン排気115を冷却し、これを給水111に戻す。給水111は、ポンプ105の上流に戻る。このようにして、給水111が蒸気112に変化しながら循環する。
【0023】
上流側タービン203および下流側タービン204の回転軸は、発電機107に接続されている。回転軸は、膨張していく蒸気により上流側タービン203および下流側タービン204が回転する事で回転する。この回転軸の回転により、発電機107にて発電が行われる。
【0024】
図13は、太陽熱を利用した従来の蒸気タービンプラントの第4の構成例を示す概略図である。図13では、熱媒体118のフローの記載を省略しており、これ以降に説明する各図でも、これを同様に省略する。
【0025】
図13の上流側タービン203は、図11の高圧タービン101の場合と同様の理由で、上流側タービン203内の蒸気から、水を捕集する捕集機構を具備している。そして、図13の蒸気タービンプラントは、捕集機構により捕集された捕集物201を、復水器104に流入させる捕集物流入経路Pを具備している。図13では、上流側タービン203から水が捕集される捕集場所が、符号Yで示されている。捕集物201は、捕集場所Yから捕集物流入経路Pを介して復水器104に流入される。捕集物201には、捕集された水に加え、水に随伴して回収された湿り蒸気または乾き蒸気が含まれている場合がある。
【0026】
以下、図13の蒸気タービンプラントにおける捕集機構の第1から第3の構成例について説明する。
【0027】
図14は、捕集機構の第1の構成例を示す概略図である。
【0028】
図14に示すように、上流側タービン203は、複数段の動翼301と、複数段の静翼302とを具備している。そして、図14では、蒸気流路の外周側の内壁面303に、ドレンキャッチャ304が設けられている。このドレンキャッチャ304が、捕集機構の第1の構成例である。
【0029】
ドレンキャッチャ304は、復水器104まで配管(捕集物流入経路P)で連結されている。復水器104の内部は、上流側タービン203の内部よりも低圧なので、内壁面303に存在する水分は、捕集物201になり吸い出され、復水器104に流入する。これにより、上流側タービン203内の蒸気流中の水分が減少する。
【0030】
図15は、捕集機構の第2の構成例を示す概略図である。
【0031】
第1の構成例よりも積極的に水分除去を行うための構成として、溝付き動翼311がある。図15では、湿り蒸気が流れるタービン段の動翼301(311)の表面に、溝305が設けられており、これにより、湿り蒸気中の水滴306が捕獲される。捕獲された水滴306は、回転する動翼301の表面上の遠心力により、溝305に沿って動翼301の外周側に移動していく。そして、水滴306は、内壁面303に設けられたドレンキャッチャ304へと飛ばされる。
【0032】
ドレンキャッチャ304は、復水器104まで配管(捕集物流入経路P)で連結されている。復水器104の内部は、上流側タービン203の内部より低圧なので、ドレンキャッチャ304内にある水分は、捕集物201として吸い出され、復水器104に流入する。これにより、上流側タービン203内の蒸気流中の水分が減少する。これらドレンキャッチャ304と溝付き動翼311が、捕集機構の第2の構成例である。
【0033】
図14や図15に示す捕集機構は、下流側タービン204に設けても構わない。ただし、溝付き動翼311は、下流側タービン204の最終段の動翼301に適用すると、それより下流に動翼301がないので効果がない。そのため、溝付き動翼311は、下流側タービン204の最終段の動翼301よりも上流の動翼301に適用する。
【0034】
図16〜図18は、捕集機構の第3の構成例を示す概略図である。
【0035】
第1の構成例よりも積極的に水分除去を行うための別の構成として、スリット付き静翼312がある。図16は、スリット付き静翼312を、タービン回転軸を含む断面から見た図、図17は、スリット付き静翼312を、タービン回転軸に垂直な断面から見た図である。また、図18は、1枚のスリット付き静翼312について、径方向に垂直な断面を示した図である。
【0036】
図16〜図18では、湿り蒸気が流れるタービン段の静翼302(312)の表面に、スリット孔307が設けられている。さらに、静翼312の内部には、空洞308が設けられており、静翼312は、中空の翼となっている。静翼312の表面と空洞308は、スリット孔307により繋がっている。このスリット付き静翼312が、捕集機構の第3の構成例である。
【0037】
空洞308は、スリット孔307を介して復水器104まで配管(捕集物流入経路P)で連結されている。復水器104の内部は、スリット孔307付近よりも低圧なので、スリット付き静翼312の表面を流れる水滴306や水膜は、捕集物201になり吸い出され、復水器104に流入する。これにより、上流側タービン203内の蒸気流中の水分が減少する。
【0038】
また、静翼302の表面を流れる水滴306や水膜は、静翼302の表面から水滴状態で剥がれて、より下流側に飛散し、より下流側の動翼301に衝突するのであるが、スリット付き静翼312によれば、このようにして衝突する水滴306が特に減少する。
【0039】
図16〜図18に示す捕集機構は、下流側タービン204に設けても構わない。
【0040】
なお、下流側タービン排気115は、入口蒸気の性状がどうであれ、湿り蒸気に変化するまで降圧させられるので、太陽熱を利用した蒸気タービンサイクルでは、上流側タービン排気123と下流側タービン排気115は、湿り蒸気である。
【0041】
なお、図14〜図18に示す捕集機構は、図11の蒸気タービンプラントの高圧タービン101、中圧タービン102、または低圧タービン103に設けても構わない。
【0042】
なお、特許文献1には、湿分分離器を具備する蒸気タービンプラントの例が記載されている。
【0043】
また、特許文献2から4には、水分を捕集する機構を具備する蒸気タービンプラントの例が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0044】
【特許文献1】特開2006−242083号公報
【特許文献2】特開平11−22410号公報
【特許文献3】特開2004−124751号公報
【特許文献4】特開平11−159302号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0045】
ここで、図11および図13の蒸気タービンプラントの問題点について、図13を参照して説明する。
【0046】
図13では、上流側タービン203にて水分除去した場合、取り出した水分の分、下流側の全タービンの蒸気流量が減少する。そのため、プラントの発電出力が減少し、蒸気タービンサイクルの性能が低下する。蒸気タービンサイクル性能は、例えば単位入熱当たりの発電出力であり、この値が大きいほど蒸気タービンサイクル性能が良い。なお、下流側の全タービンとは、上流側タービン203の内、水分を取り出した位置よりも下流側のタービン段と、下流側タービン204である。
【0047】
また、スリット付き静翼312を適用した場合には、スリット孔307から翼表面上の水分を吸い出す際に、湿り蒸気も吸い出してしまう。この湿り蒸気は、水と気体状態の蒸気からなっている。そのため、上記の吸い出しの際には、気体状態の蒸気が吸い出される事になり、タービンを駆動させる流体が減ってしまう事になる。
【0048】
図13では、捕集機構から復水器104までの吸い出しライン(捕集物流入経路P)上に弁202を設ける。そして、翼表面上の水分を吸い出す際、随伴蒸気の吸い出し量が少なくなるように、吸い出し圧力差(ここでは、スリット孔307付近と復水器104との圧力差)を、弁202の開度により調整する。
【0049】
しかしながら、随伴蒸気を全く吸い出さずに翼表面上の水分のみを吸い出す事は極めて困難であるため、この随伴蒸気の分、下流側の全タービンの蒸気流量が減少する。そのため、プラントの発電出力が減少し、蒸気タービンサイクルの性能が低下する。随伴蒸気の持っているエンタルピは充分高く、さらに、随伴蒸気は水と異なりタービンにてエンタルピを取り出す事ができるのであるが、図13では、エンタルピを取り出さずに復水器104に排出しているので、上流側タービン203でも発電出力が減少する。
【0050】
また、上流側タービン203から排出される水分は、上流側タービン203内では充分高温であるが、仮に除去されなければ下流側タービン204にてエンタルピを取り出す事になる。しかしながら、上流側タービン203から排出された水分が除去されると、当該水分は充分な顕熱が利用される事なく復水器104に捨てられるため、蒸気タービンサイクルの性能が低下する。
【0051】
よって、本発明は、上流側タービン203内の蒸気、または上流側タービン203からの排気蒸気から水分除去を行う場合において、水分除去に伴う発電出力の低下および蒸気タービンサイクル性能の低下を低減する事が可能な蒸気タービンプラントを提供する事を課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0052】
本発明の一の態様の蒸気タービンプラントは例えば、水を蒸気に変化させるボイラと、複数段の動翼と複数段の静翼とを有し、前記ボイラからの蒸気により駆動される上流側タービンと、複数段の動翼と複数段の静翼とを有し、前記上流側タービンからの蒸気により駆動される下流側タービンと、前記下流側タービンから排気された蒸気を水に戻す復水器と、前記上流側タービン内の最終段の動翼の入口よりも上流の蒸気、または前記上流側タービンから排気された蒸気から、水を捕集する捕集機構と、前記捕集機構により捕集された捕集物を、前記上流側タービンの最終段の動翼の出口から前記下流側タービンの最終段の動翼の入口に到る間の蒸気、前記上流側タービン内の前記捕集物の捕集場所と前記最終段の動翼の入口との間の蒸気、前記復水器から前記ボイラに到る間の水、前記上流側タービンまたは前記下流側タービンの抽気口からの抽気蒸気、前記抽気蒸気が流入する給水加熱器の内部、または前記抽気蒸気が流入する給水ポンプ駆動用蒸気タービンの内部、に流入させる捕集物流入経路とを具備する。
【発明の効果】
【0053】
本発明によれば、上流側タービン内の蒸気、または上流側タービンからの排気蒸気から水分除去を行う場合において、水分除去に伴う発電出力の低下および蒸気タービンサイクル性能の低下を低減する事が可能な蒸気タービンプラントを提供する事が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】第1実施形態の蒸気タービンプラントの構成を示す概略図である。
【図2】第2実施形態の蒸気タービンプラントの構成を示す概略図である。
【図3】第3実施形態の蒸気タービンプラントの構成を示す概略図である。
【図4】第4実施形態の蒸気タービンプラントの構成を示す概略図である。
【図5】第5実施形態の蒸気タービンプラントの構成を示す概略図である。
【図6】第6実施形態の蒸気タービンプラントの構成を示す概略図である。
【図7】第7実施形態の蒸気タービンプラントの構成を示す概略図である。
【図8】第8実施形態の蒸気タービンプラントの構成を示す概略図である。
【図9】第9実施形態の蒸気タービンプラントの構成を示す概略図である。
【図10】従来の蒸気タービンプラントの第1の構成例を示す概略図である。
【図11】従来の蒸気タービンプラントの第2の構成例を示す概略図である。
【図12】従来の蒸気タービンプラントの第3の構成例を示す概略図である。
【図13】従来の蒸気タービンプラントの第4の構成例を示す概略図である。
【図14】捕集機構の第1の構成例を示す概略図である。
【図15】捕集機構の第2の構成例を示す概略図である。
【図16】捕集機構の第3の構成例を示す概略図である。
【図17】捕集機構の第3の構成例を示す概略図である。
【図18】捕集機構の第3の構成例を示す概略図である。
【図19】太陽熱発電用および地熱発電用の蒸気タービンプラントの構成を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0055】
本発明の実施形態を、図面に基づいて説明する。
【0056】
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態の蒸気タービンプラントの構成を示す概略図である。図1に示す構成については、図12および図13に示す構成との相違点を中心に説明する。
【0057】
本実施形態の蒸気タービンプラントでは、図12や図13に示す蒸気タービンプラントと同様に、非再熱サイクルが構成されており、上流側タービン203と下流側タービン204が、再熱器を介さずに直列に接続されている。
【0058】
また、本実施形態の上流側タービン203は、図12や図13に示す上流側タービン203と同様に、複数段の動翼301と、複数段の静翼302とを具備している(図14参照)。同様に、本実施形態の下流側タービン204は、複数段の動翼と、複数段の静翼とを具備している。また、本実施形態の上流側タービン203は、1つまたは互いに直列に接続された複数のタービンから成る。同様に、本実施形態の下流側タービン204は、1つまたは互いに直列に接続された複数のタービンから成る。
【0059】
また、本実施形態の上流側タービン203では、図12や図13に示す上流側タービン203と同様に、その内部で流通蒸気が湿り蒸気に変化する。そこで、本実施形態の上流側タービン203には、上流側タービン203内の蒸気から水分を捕集する捕集機構が設けられている。捕集機構の例としては、図14に示すドレンキャッチャ304、図15に示すドレンキャッチャ304および溝付き動翼311、図16〜図18に示すスリット付き静翼312等が挙げられる。
【0060】
なお、本実施形態では、捕集機構は、上流側タービン203内の最終段の動翼301の入口よりも上流の蒸気から、水分を捕集する位置に配置されている。また、本実施形態では、捕集機構は、上流側タービン203内の湿り領域の蒸気から、水分を捕集する位置に配置されている。
【0061】
捕集機構からの捕集物201は、捕集機構がドレンキャッチャ304の場合や、ドレンキャッチャ304および溝付き動翼311の場合には、水分であり、捕集機構がスリット付き静翼312の場合には、水分と随伴蒸気である。
【0062】
本実施形態の蒸気タービンプラントは、この捕集物201を、復水器104ではなく、上流側タービン203の最終段の動翼301の出口から下流側タービン204の最終段の動翼の入口に到る間の蒸気、に流入させる捕集物流入経路Pを具備している。具体的には、本実施形態の捕集物流入経路Pは、捕集物201を、上流側タービン203と下流側タービン204との間に流入させる。
【0063】
ただし、捕集機構がスリット付き静翼312の場合には、吸い出し圧力差、即ち、捕集物201の流入場所と、捕集物201の流出場所(捕集場所Y)であるスリット孔307付近との圧力差は、水分を吸い出すのに十分な大きさであるものとする。
【0064】
なお、本実施形態では、捕集物201そのものではなく、捕集物201から分離された気体を、捕集物流入経路Pを介して、上流側タービン203と下流側タービン204との間に流入させる。これに関しては、以下詳細に説明する。
【0065】
ここで、図1に示す気液分離器212について説明する。
【0066】
本実施形態では、捕集物流入経路P上に気液分離器212が配置されており、捕集物201が、気液分離器212に流入される。気液分離器212は、捕集物201を気体211と液体213とに分離する。気体211は蒸気であり、液体213は水である。
【0067】
その後、気体211は、捕集物流入経路Pにより、上流側タービン203の最終段の動翼301の出口から下流側タービン204の最終段の動翼の入口に到る間の蒸気に流入される。一方、液体213は、分離液体流通経路PXにより、復水器104に流入される。本実施形態では、分離液体流通経路PX上に液流路弁214が設けられている。
【0068】
本実施形態では例えば、スリット付き静翼312から捕集された捕集物201を、気液分離器211の一種である気液分離タンクに入れ、捕集物201を重力により気体211と液体213とに分離する。
【0069】
捕集機構がドレンキャッチャ304、またはドレンキャッチャ304および溝付き動翼311の場合には、捕集物201は水分である。しかしながら、この捕集物201を気液分離タンク内に流入させる場合には、タンクまでの圧力損失と熱移動により捕集物201の一部が気化して、タンク内には気体211と液体213とが存在する事となる。
【0070】
分離された気体211および液体213はそれぞれ、より低圧な場所に流入される。液体213である水は、タンクの底面から抜き出され、液体213として復水器104に流入される。一方、気体211である蒸気は、タンクの上側から抜き出され、気体211として、上流側タービン203の最終段の動翼301の出口と下流側タービン204の最終段の動翼の入口との間に流入される。なお、気体211と液体213の分離は、気液分離膜等、気液分離タンク以外の手段により実現してもよい。
【0071】
本実施形態では、気液分離器212は、捕集物201または捕集物201が変化した物を、気体211と液体213に分離し、捕集物流入経路Pは、分離された気体211を、上流側タービン203と下流側タービン204との間に流入させる。即ち、本実施形態では、上流側タービン203内の最終段の動翼301の入口よりも上流の蒸気から、水分を捕集し、水分が取り除かれた蒸気を、上流側タービン203の最終段の動翼301の出口(から下流側タービン204の最終段の動翼の入口に到る間)の蒸気に流入させる事から、少なくとも上流側タービン203の最終段の動翼301における湿り損失を低減できる、という優れた作用効果を得る事ができる。
【0072】
上流側タービン203に捕集機構および捕集物流入経路Pを設け、捕集物流入経路P上に気液分離器212を配置する事には、下流側タービン204の蒸気流量の減少が少なくなるという利点がある。捕集機構がスリット付き静翼312の場合には、随伴蒸気のエンタルピが、復水器104に直接捨てられる事なく活用され、下流側タービン204にて発電出力の一部になる。よって、本実施形態によれば、水分除去に伴う発電出力の低下およびタービンサイクル性能の低下が低減される。
【0073】
一方、捕集物201から分離された液体213は、廃棄される事なく、復水器104に戻され、以降のサイクルで有効に活用される。なお、分離された液体213は、復水器104に直接流入させるのではなく、まず給水加熱器121で発生するドレンと混合させ、各給水加熱器121で給水111を加熱するために用いた後に、ドレン水ポンプ122で給水111に合流させるようにすれば、分離された液体213の持つ熱を有効活用する事ができ、蒸気タービンサイクルの効率を向上させる事が可能となる。この場合、分離された液体213を、ドレン水ポンプ122で給水111に合流させる代わりに、各給水加熱器121で給水111を加熱するために用いた後に、最終的に復水器104に流入させるように構成してもよい。
【0074】
なお、本実施形態では、捕集機構は、上流側タービン203内の最終段の動翼301の入口よりも上流の蒸気から、水分を捕集する位置に配置されている。これには、上流側タービン203内の捕集位置以降の蒸気の水分含有量が減り、捕集位置以降の上流側タービン段にて湿り損失が低減され、タービン内部効率が向上するという利点がある。また、捕集位置以降の上流側タービン翼と下流側タービン翼にてエロージョンが低減されるという利点がある。
【0075】
また、本実施形態では、捕集物201そのものではなく、捕集物201から分離された気体211を、上流側タービン203の最終段の動翼301の出口から下流側タービン204の最終段の動翼の入口に到る間の蒸気に流入させる。これにより、蒸気および水分ではなく、蒸気のみを下流側タービン204に流入させる事が可能となり、上流側タービン203内の蒸気から水分除去を行う場合において、水分除去に伴う発電出力の低下および蒸気タービンサイクル性能の低下を低減する事が可能となる。
【0076】
以下、第1実施形態の変形例である第2から第17実施形態について、第1実施形態との相違点を中心に説明する。
【0077】
(第2実施形態)
図2は、第2実施形態の蒸気タービンプラントの構成を示す概略図である。
【0078】
本実施形態では、気液分離器212は、捕集物201または捕集物201が変化した物を、気体211と液体213に分離し、捕集物流入経路Pは、分離された気体211を、下流側タービン204の入口または途中段に流入させる。後者の場合、気体211は、下流側タービン204の入口と最終段の動翼の入口との間に流入される。
【0079】
ここで、第1実施形態と第2実施形態とを比較する。
【0080】
第1実施形態では、第2実施形態に比べ、捕集物201をより上流の流入場所に流入させるため、蒸気タービンサイクル性能をより効率化できるという利点がある。
【0081】
一方、第2実施形態では、第1実施形態に比べ、捕集物201をより下流の流入場所に流入させるため、捕集物201の流入場所と流出場所との圧力差を確保しやすく、その結果、捕集物201を流入場所に流入させやすいという利点がある。
【0082】
本実施形態によれば、第1実施形態と同様、上流側タービン203内の蒸気から水分除去を行う場合において、水分除去に伴う発電出力の低下および蒸気タービンサイクル性能の低下を低減する事が可能となる。ただし、本実施形態には、第1実施形態に比べ、吸い込み圧力差を確保しやすいという利点がある。
【0083】
(第3実施形態)
図3は、第3実施形態の蒸気タービンプラントの構成を示す概略図である。
【0084】
本実施形態の捕集機構は、上流側タービン排気123から水分を分離し、捕集物201として、分離された水分を捕集する湿分分離器231である。本実施形態では、上流側タービン排気123が、湿り蒸気になっており、湿分分離器231に流入される。湿分分離器231により上流側タービン排気123から分離された水分、即ち、捕集物201は、捕集物流入経路Pへと排出される。本実施形態で使用する湿分分離器231は、如何なる作動原理の物でもよい。
【0085】
本実施形態では、上流側タービン排気123の湿り度が非常に大きい場合、上流側タービン排気123の全量を下流側タービン204に流入させずに、湿分分離器231で当該排気123中の大部分の水分(捕集物201)を除去する事が可能である。この場合には、水分が除去された残りの蒸気232を下流側タービン204に流入させる。図3には、水分が除去された蒸気232を下流側タービン204に流入させる分離蒸気流通経路PYが示されている。
【0086】
本実施形態では、湿分分離器231からの捕集物201は、水分、あるいは水分および蒸気である。本実施形態の捕集物流入経路Pは、このような捕集物201を、復水器104からボイラ108に到る間の給水111に流入させる。ただし、捕集物201を流入場所に流入させやすくするためには、流入場所は、湿分分離器231付近よりも低圧である必要があるため、本実施形態の捕集物流入経路Pは、捕集物201を、復水器104と復水ポンプ105との間に流入させる。
【0087】
仮に捕集物201を復水器104に捨てると、捕集物201が冷却水にて冷却されるので、捕集物201に含まれる随伴蒸気の潜熱および顕熱や、捕集物201に含まれる水の顕熱が無駄になる。しかしながら、本実施形態では、捕集物201を給水111に流入させるので、捕集物201の潜熱および顕熱が無駄にならない分だけ、ボイラ108の入熱量が減少し、蒸気タービンサイクル性能の低下が低減される。
【0088】
以上のように、本実施形態によれば、上流側タービン203の排気から水分除去を行う場合において、水分除去に伴う発電出力の低下および蒸気タービンサイクル性能の低下を低減する事が可能となる。具体的には、本実施形態によれば、捕集物201の潜熱および顕熱が無駄にならない分だけ、蒸気タービンサイクル性能を改善する事が可能となる。
【0089】
(第4実施形態)
図4は、第4実施形態の蒸気タービンプラントの構成を示す概略図である。
【0090】
本実施形態の捕集機構は、第3実施形態と同様、上流側タービン排気123から水分を分離し、捕集物201として、少なくとも分離された水分を捕集する湿分分離器231である。本実施形態では、上流側タービン排気123が、湿り蒸気になっており、湿分分離器231に流入される。
【0091】
本実施形態の捕集物流入経路Pは、捕集物201を、復水器104からの給水111を加熱する給水加熱器223の内部、または上流側タービン203または下流側タービン204の抽気口Eと給水加熱器223との間に流入させる。ただし、抽気口Eは、捕集場所Yよりも下流でより低圧な場所とする。図4では、捕集物201を、下流側タービン204の抽気口Eと給水加熱器223との間に流入させている。図4では、捕集物201が流入される給水加熱器とその他の給水加熱器が、符号223と符号121で区別されている。
【0092】
図4では、下流側タービン204の抽気口Eからの抽気蒸気が、符号221で示されている。本実施形態の捕集物流入経路Pは、捕集物201を、この抽気蒸気221が流れる抽気流路に合流させる。図4では、捕集物201が合流した抽気蒸気が、符号222で示されている。この抽気蒸気222は、給水加熱器223に流入し、給水111の加熱源になり、給水111の加熱後に給水111に合流される。
【0093】
仮に捕集物201を復水器104に捨てると、捕集物201が冷却水にて冷却されるので、捕集物201の顕熱が無駄になる。しかしながら、本実施形態では、捕集物201を抽気蒸気221に流入させるので、捕集物201の顕熱が無駄にならない分だけ、ボイラ108の入熱量が減少し、蒸気タービンサイクル性能の低下が低減される。
【0094】
また、本実施形態では、捕集物201を直接給水111に合流させる第3実施形態に比べて、蒸気タービンサイクルがカルノーサイクルに近い分、蒸気タービンサイクル性能が高くなる。
【0095】
以上のように、本実施形態によれば、高圧タービン101の排気から水分除去を行う場合に、捕集物201の顕熱が無駄にならない分だけ、蒸気タービンサイクル性能を改善する事が可能となる。
【0096】
なお、本実施形態の給水加熱器223には、抽気蒸気222を流入させる事で給水111を脱気する脱気器も含まれるとする。
【0097】
(第5実施形態)
図5は、第5実施形態の蒸気タービンプラントの構成を示す概略図である。
【0098】
本実施形態の捕集機構は、第3および第4実施形態と同様、上流側タービン排気123から水分を分離し、捕集物201として、少なくとも分離された水分を捕集する湿分分離器231である。本実施形態では、上流側タービン排気123が、湿り蒸気になっており、湿分分離器231に流入される。
【0099】
図5では、復水器104とボイラ108との間の経路上に、給水111を搬送するための給水ポンプ224が配置されている。さらに、図5では、上流側タービン203または下流側タービン204の抽気口Eと復水器104との間の経路上に、給水ポンプ224を駆動するための給水ポンプ駆動用蒸気タービン225が配置されている。ただし、抽気口Eは、排気口Xと同じ圧力である場所か、あるいは、排気口Xよりも下流でより低圧な場所とする。本実施形態の捕集物流入経路Pは、捕集物201を、給水ポンプ駆動用蒸気タービン225内、または給水ポンプ駆動用蒸気タービン225への抽気流路に流入させる。
【0100】
図5では、上流側タービン203の抽気口Eからの抽気蒸気が、符号221で示されている。本実施形態の捕集物流入経路Pは、捕集物201を、この抽気蒸気221が流れる抽気流路に合流させる。図5では、捕集物201が合流した抽気蒸気が、符号222で示されている。この抽気蒸気222は、給水ポンプ駆動用蒸気タービン225に流入し、圧力、温度ともに低下しながら流通し、この給水ポンプ駆動用蒸気タービン225を駆動させる。
【0101】
給水ポンプ駆動用蒸気タービン排気226は、圧力、温度ともに充分に低下しており、復水器104に流入される。給水ポンプ224は、給水ポンプ駆動用蒸気タービン225により得られた動力を用いて駆動される。
【0102】
抽気蒸気221に合流する捕集物201は、周りの蒸気と比較するとごく少量なので、周りの蒸気により加熱される事で蒸気に変化し、給水ポンプ駆動用蒸気タービン225を駆動させる蒸気の一部になる。
【0103】
仮に捕集物201を復水器104に捨てると、捕集物201が冷却水にて冷却されるので、捕集物201の顕熱と圧力が無駄になる。しかしながら、本実施形態では、捕集物201を抽気蒸気221に合流させるので、捕集物201の顕熱と圧力が無駄にならない分だけ、ボイラ108の入熱量が減少し、蒸気タービンサイクル性能の低下が低減される。
【0104】
また、本実施形態では、捕集物201を給水ポンプ駆動用蒸気タービン225に使用するため、抽気蒸気量を減らす事が可能となる。よって、本実施形態によれば、抽気蒸気221の抽気場所よりも下流におけるタービン蒸気流量の低下が低減され、発電出力および蒸気タービンサイクル性能が改善される。
【0105】
以上のように、本実施形態によれば、上流側タービン203の排気から水分除去を行う場合に、捕集物201の顕熱と圧力が無駄にならない分だけ、蒸気タービンサイクル性能を改善する事が可能となる。
【0106】
(第6実施形態)
図6は、第6実施形態の蒸気タービンプラントの構成を示す概略図である。
【0107】
本実施形態では、気液分離器212は、捕集物201または捕集物201が変化した物を、気体211と液体213に分離し、捕集物流入経路Pは、分離された気体211を、上流側タービン203内の捕集物201の捕集場所と最終段の動翼の入口との間の蒸気に流入させる。図6では、捕集物201の捕集場所(流出場所)が、符号Yで示され、捕集物201の流入場所が、符号Zで示されている。
【0108】
図6では、捕集物201の流入場所Zが、捕集場所Yよりも下流に位置している事に留意されたい。本実施形態では、捕集物201の流入場所Zを、捕集場所Yよりも下流に位置する最も近い動翼301よりも下流の場所に設置する。
【0109】
捕集機構がスリット付き静翼312である場合には、流入場所Zは、スリット付き静翼312の直後の動翼301よりも下流に設置される。この場合、流入場所Zは、吸い込み圧力差、即ち、スリット孔307付近と流入場所Zとの圧力差が適当な値である場所に設置するものとする。圧力差が大きい場合には、弁202の開度により圧力差を調節する。捕集機構がスリット付き静翼312の場合には、随伴蒸気のエンタルピが、復水器104に直接捨てられる事なく活用され、発電出力の一部になる。
【0110】
捕集機構がドレンキャッチャ304、または溝付き動翼311およびドレンキャッチャ304である場合には、流入場所Zは、ドレンキャッチャ304の直後の動翼301よりも下流に設置される。これには、流入場所Z以降の蒸気流量の減少が少なくなるという利点がある。
【0111】
以上のように、本実施形態によれば、蒸気タービン内の蒸気から水分除去を行う場合において、水分除去に伴う発電出力の低下および蒸気タービンサイクル性能の低下を低減する事が可能となる。なお、本実施形態では、下流側タービン204内に湿り蒸気が存在する場合には、捕集物201の捕集場所Yおよび流入場所Zを、下流側タービン204に設置しても構わない。
【0112】
(第7実施形態)
図7は、第7実施形態の蒸気タービンプラントの構成を示す概略図である。
【0113】
第1実施形態(図1)では、液体213が、分離液体流通経路PXにより復水器104に流入される。これに対し、第7実施形態(図7)では、液体213が、分離液体流通経路PXにより、復水器104と復水ポンプ105との間に流入される。
【0114】
図1のように、液体213を復水器104に捨てると、液体213に含まれる顕熱が無駄になる。しかしながら、図7では、液体213を給水111に流入させるので、液体213の顕熱が無駄にならない分だけ、ボイラ108の入熱量が減少し、蒸気タービンサイクル性能の低下が低減される。
【0115】
以上のように、本実施形態によれば、上流側タービン203の最終段の動翼の入口よりも上流の蒸気から水分除去を行う場合において、水分除去に伴う発電出力の低下および蒸気タービンサイクル性能の低下を低減する事が可能となる。具体的には、本実施形態によれば、液体213の顕熱が無駄にならない分だけ、蒸気タービンサイクル性能を改善する事が可能となる。
【0116】
(第8実施形態)
図8は、第8実施形態の蒸気タービンプラントの構成を示す概略図である。
【0117】
第1実施形態(図1)では、液体213が、分離液体流通経路PXにより復水器104に流入される。これに対し、第8実施形態(図8)では、液体213が、分離液体流通経路PXにより、上流側タービン203または下流側タービン204の抽気口Eと給水加熱器223との間の抽気蒸気221、またはこの給水加熱器223の内部に流入される。
【0118】
図7のように、液体213を復水器104に捨てると、液体213に含まれる顕熱が無駄になる。しかしながら、図8では、液体213を抽気蒸気221に流入させるので、液体213の顕熱が無駄にならない分だけ、ボイラ108の入熱量が減少し、蒸気タービンサイクル性能の低下が低減される。
【0119】
また、本実施形態では、液体213を直接給水111に合流させる第7実施形態に比べて、蒸気タービンサイクルがカルノーサイクルに近い分、蒸気タービンサイクル性能が高くなる。
【0120】
以上のように、本実施形態によれば、第7実施形態と同様、上流側タービン203の排気から水分除去を行う場合において、水分除去に伴う発電出力の低下および蒸気タービンサイクル性能の低下を低減する事が可能となる。
【0121】
(第9実施形態)
図9は、第9実施形態の蒸気タービンプラントの構成を示す概略図である。
【0122】
第1実施形態(図1)では、液体213が、分離液体流通経路PXにより復水器104に流入される。これに対し、第9実施形態(図9)では、液体213が、分離液体流通経路PXにより、給水ポンプ駆動用蒸気タービン225内、または給水ポンプ駆動用蒸気タービン225への抽気流路に流入される。ただし、給水ポンプ駆動用蒸気タービン225につながる抽気口Eは、捕集場所Yよりも下流でより低圧な場所とする。
【0123】
抽気蒸気221に合流する捕集物201は、周りの蒸気と比較するとごく少量なので、周りの蒸気により加熱される事で水は蒸気に変化し、給水ポンプ駆動用蒸気タービン225を駆動させる蒸気の一部になる。
【0124】
図1のように、液体213を復水器104に捨てると、液体213に含まれる顕熱と圧力が無駄になる。しかしながら、図9では、液体213を抽気蒸気221に合流させるので、液体213の顕熱と圧力が無駄にならない分だけ、ボイラ108の入熱量が減少し、蒸気タービンサイクル性能の低下が低減される。
【0125】
また、本実施形態では、液体213を給水ポンプ駆動用蒸気タービン225に使用するため、抽気蒸気量を減らす事が可能となる。よって、本実施形態によれば、抽気蒸気221の抽気場所よりも下流におけるタービン蒸気流量の低下が低減され、発電出力および蒸気タービンサイクル性能が改善される。
【0126】
以上のように、本実施形態によれば、第7および第8実施形態と同様、上流側タービン203の排気から水分除去を行う場合において、水分除去に伴う発電出力の低下および蒸気タービンサイクル性能の低下を低減する事が可能となる。
【0127】
(第10実施形態)
第10実施形態は、図3〜図5に示されている。以下、第10実施形態について、図3を参照して説明する。
【0128】
本実施形態では、捕集物流入経路P上に、捕集物201の流通を停止する開閉弁、あるいは捕集物201の流量を調整する圧力調整弁である弁202が設置されている。
【0129】
太陽熱発電では、太陽光線117(図12)を受ける事のできない夜間や、太陽光線117が弱い天候の昼間には、集熱器119をバイパスして、蓄熱タンク内に貯蔵された熱媒体118を循環させる。これにより、各タービンの運転状態が変化する。また、昼間でも天候、季節、時刻によって太陽光線117の状態が異なるため、それに対応して各タービンの運転状態が変化する。
【0130】
そのため、タービンの運転状態によっては、捕集物201の流出場所の蒸気が湿り蒸気でない場合がある。この場合、捕集物201が捕集されないため、捕集物流入経路Pに乾き蒸気が流通してしまう。この場合、かえってタービン出力やタービンサイクル性能が低下してしまう。また、捕集物201の流出場所の蒸気が、湿り蒸気であっても湿り度が小さい場合にも、水分の捕集量がより少なく、蒸気の捕集量がより多くなるので、タービン出力やタービンサイクル性能が低下してしまう。
【0131】
これらの場合、本実施形態では、弁202を全閉にする事で、タービン出力やタービンサイクル性能を低下させずに維持する事ができる。
【0132】
また、本実施形態では、捕集機構がスリット付き静翼312である場合、吸い出し圧力差を、弁202の開度により調整する事ができる。これにより、例えば、随伴蒸気の吸い出し量を少なくする事が可能となる。
【0133】
本実施形態では、タービンの運転状態の変化に応じて、圧力差を調節する事も可能である。捕集機構がドレンキャッチャ304、または溝付き動翼311およびドレンキャッチャ304である場合にも、捕集物201の流出場所の蒸気の湿り度が小さいと、水分以外に蒸気が流出しやすい。よって、この場合には、弁202の開度を調節して、ドレンキャッチャ304からの捕集物201の流出を鈍らせる事で、水分以外の蒸気の流出を抑える事ができる。
【0134】
以上のように、本実施形態によれば、開閉弁または圧力調整弁である弁202により、捕集物流入経路P上を流通する捕集物201の流通や流量を、望ましいように制御する事が可能となる。
【0135】
(第11実施形態)
第11実施形態は、図1〜図2、図6〜図9に示されている。以下、第11実施形態について、図1を参照して説明する。
【0136】
本実施形態では、気液分離器212の下流における捕集物流入経路P上に、気体211の流通を停止する開閉弁、あるいは気体211の流量を調整する圧力調整弁である弁202が設置されている。さらには、分離液体流通経路PX上に、液体213の流通を停止する開閉弁、あるいは液体213の流量を調整する圧力調整弁である液流路弁214が設置されている。
【0137】
本実施形態では、タービンの運転状態に合わせて、弁202を全閉にするまたは開度調整すると共に、液流路弁214を全閉にするまたは開度調整する。これにより、第10実施形態と同様の効果を得る事ができる。本実施形態では、捕集物201の捕集場所Yから気液分離器212までの捕集物流入経路P上に、開閉弁または圧力調整弁を設置しても構わない。
【0138】
以上のように、本実施形態によれば、開閉弁または圧力調整弁である弁202および液流路弁214により、捕集物201から分離された気体211および液体213の流通や流量を、望ましいように制御する事が可能となる。
【0139】
(第12実施形態)
第12実施形態は、図14に示されている。図14の捕集機構は、第1、第2、または第6〜第9実施形態と組み合わせて使用可能である。
【0140】
本実施形態では、上流側タービン203のケーシングの外周側の内壁面303に、水分を捕集する構造であるドレンキャッチャ304が設けられている。これにより、内壁面303に存在する水分を捕集する事が可能となる。本実施形態には、簡単な構造で捕集機構を実現できるという利点がある。
【0141】
(第13実施形態)
第13実施形態は、図15に示されている。図15の捕集機構は、第1、第2、または第6〜第9実施形態と組み合わせて使用可能である。
【0142】
本実施形態では、上流側タービン203の動翼301の表面に、内周から外周に向けて溝305が設けられている。さらには、上流側タービン203のケーシングの外周側の内壁面303に、ドレンキャッチャ304が設けられている。これにより、溝305で捕獲した水分を遠心力により内壁面303に向けて飛ばし、これをドレンキャッチャ304で捕集する事が可能となる。本実施形態には、第12実施形態よりも積極的に水分除去できるという利点がある。
【0143】
(第14実施形態)
第14実施形態は、図16〜図18に示されている。図16〜図18の捕集機構は、第1、第2、または第6〜第9実施形態と組み合わせて使用可能である。
【0144】
本実施形態では、上流側タービン203の静翼302の表面に、スリット孔307が設けられている。さらには、この静翼302の内部に、スリット孔307から外周側への空洞308の流路が設けられている。これにより、この静翼302の表面に存在する水分を捕集して、上流側タービン203外へと流出させる構造が実現されている。
【0145】
静翼302の表面に存在する水分または湿り蒸気は、捕集物201の流出場所と流入場所との圧力差を用いて吸い出す。本実施形態には、第12および第13実施形態よりも積極的に水分除去できるという利点がある。
【0146】
また、第13実施形態では、溝付き動翼311の形状が、空力的に最適な形状ではなくなるため、蒸気タービンサイクル性能が低下するのに対して、本実施形態のスリット付き静翼312によれば、このような性能低下を回避する事ができる。
【0147】
なお、図14〜図18では、捕集物201の流出場所として、復水器104が示されているが、これは、図14〜図18の捕集機構を、図10〜図13のいずれかの蒸気タービンプラントに適用した場合を示している。図14〜図18の捕集機構を、第1から第9実施形態のいずれかに適用する場合には、捕集物201の流出場所は、これらの実施形態の説明中で示した場所となる。
【0148】
(第15実施形態)
第15実施形態は、第1から第9実施形態のいずれかと組み合わせて採用する事が可能である。
【0149】
第15実施形態では、蒸気タービンプラントを構成する蒸気タービンを、太陽熱を用いて発生させた蒸気により駆動する。太陽熱を利用した蒸気タービンプラントでは、燃料の燃焼排ガスの熱を利用した蒸気タービンプラントと比較して、タービン入口蒸気温度が低く、タービン途中段から湿り蒸気になりやすい。
【0150】
よって、水分除去に伴う発電出力の低下および蒸気タービンサイクル性能の低下を低減可能という第1から第9実施形態の効果は、これらの実施形態を太陽熱発電に適用する場合に有効度が高い。
【0151】
(第16実施形態)
第16実施形態は、第1から第9実施形態のいずれかと組み合わせて採用する事が可能である。
【0152】
第16実施形態では、蒸気タービンプラントを構成する蒸気タービンを、地熱発電に用いる蒸気タービンとする。地熱発電における蒸気タービンプラントでは、タービン入口蒸気の湿り度がゼロでない事が多く、蒸気が下流に進むにつれて、さらに湿り度が上がっていく。
【0153】
よって、水分除去に伴う発電出力の低下および蒸気タービンサイクル性能の低下を低減可能という第1から第9実施形態の効果は、これらの実施形態を、蒸気中の水分が非常に多い地熱発電に適用する場合に有効度が高い。
【0154】
図19は、太陽熱発電用および地熱発電用の蒸気タービンプラントの構成を示す概略図である。以下、図19を参照して、これらのプラントの構成の違いについて説明する。
【0155】
図19(A)および(B)にはそれぞれ、太陽熱発電用および地熱発電用の蒸気タービンプラントの構成が概略的に示されている。図19(A)では、復水器104からの水111は、ボイラ108に戻されて再利用されるのに対し、図19(B)では、復水器104からの水111は、ボイラ108には戻されない。即ち、地熱発電用の蒸気タービンサイクルは、オープンサイクルとなっている。
【0156】
図19(B)の蒸気タービンプラントは、セパレータ321と、温水ポンプ325と、冷却塔326とを具備している。
【0157】
セパレータ321は、生産井からの天然蒸気322を、より乾いた蒸気323と、熱水324とに分離する機構である。蒸気323は、上流側タービン203および下流側タービン204を含むタービン群331を駆動するために使用され、熱水323は、還元井へと戻される。
【0158】
温水ポンプ325は、復水器104からの温水327を、冷却塔326に搬送するためのポンプである。冷却塔326は、温水327を大気に触れさせて冷却するための構造物である。冷却塔326により、温水327は冷水328へと冷却される。冷水328は、復水器104へと搬送され、蒸気を水に戻すために用いられる。なお、余剰な冷水328は、オーバーフロー水329として還元井へと戻される。
【0159】
なお、図19(A)および(B)に示すタービン群331と復水器104との間の構成については、図1〜図13に示すいずれかの構成を適用可能である。
【0160】
(第17実施形態)
第17実施形態は、第1から第9実施形態のいずれかと組み合わせて採用する事が可能である。
【0161】
第17実施形態では、蒸気タービンプラントを構成する蒸気タービンを、原子力発電に用いる蒸気タービンとする。原子力発電における蒸気タービンプラントでは、タービン入口蒸気の湿り度がゼロでない事がほとんどであり、蒸気が下流に進むにつれて、さらに湿り度が上がっていく。
【0162】
よって、水分除去に伴う発電出力の低下および蒸気タービンサイクル性能の低下を低減可能という第1から第9実施形態の効果は、これらの実施形態を、蒸気中の水分が非常に多い原子力発電に適用する場合に有効度が高い。
【0163】
以上、本発明の具体的な態様の例を、第1から第17実施形態により説明したが、本発明は、これらの実施形態に限定されるものではない。
【符号の説明】
【0164】
101:高圧タービン、102:中圧タービン、103:低圧タービン、
104:復水器、105:ポンプ、106:中圧タービン入口蒸気、
107:発電機、108:ボイラ、109:再熱器、110:加熱器、
111:給水、112:高圧タービン入口蒸気(上流側タービン入口蒸気)、
113:再熱タービン、114:高圧タービン排気、
115:低圧タービン排気(下流側タービン排気)、116:熱媒体ポンプ、
117:太陽光線、118:熱媒体、119:集熱器、120:抽気蒸気、
121:給水加熱器、122:ドレン水ポンプ、
123:中圧タービン排気(上流側タービン排気)、
201:捕集物、202:弁、203:上流側タービン、204:下流側タービン、
211:気体、212:気液分離器、213:液体、214:液流路弁、
221:抽気蒸気、222:合流後の抽気蒸気、
223:給水加熱器、224:給水ポンプ、
225:給水ポンプ駆動用蒸気タービン、
226:給水ポンプ駆動用蒸気タービン排気、
231:湿分分離器、232:湿分分離後の蒸気、
301:動翼、302:静翼、303:蒸気流路外周側内壁、
304:ドレンキャッチャ、305:溝、306:水滴、307:スリット孔、
308:空洞、311:溝付き動翼、312:スリット付き静翼、
321:セパレータ、322:天然蒸気、323:蒸気、324:熱水、
325:温水ポンプ、326:冷却塔、327:温水、328:冷水、
329:オーバーフロー水、331:タービン群、
X:排気口、Y:捕集場所、E:抽気口、
P:捕集物流入経路、PX:分離液体流通経路、PY:分離蒸気流通経路
【技術分野】
【0001】
本発明は、蒸気タービンプラントに関し、例えば、上流側タービン内の蒸気や、上流側タービンからの排気蒸気から、水を捕集する機構を具備する蒸気タービンプラントに関する。
【背景技術】
【0002】
図10は、太陽熱を利用した従来の蒸気タービンプラントの第1の構成例を示す概略図である。図10のプラントにおける蒸気タービンサイクルについて説明する。
【0003】
熱媒体118は、熱媒体ポンプ116により、太陽熱を集める集熱器119に搬送される。熱媒体118は、例えば油である。熱媒体118は、集熱器119にて、太陽光線117の輻射熱により加熱される。その後、熱媒体118は、熱交換器である加熱器110に搬送され、そこで加熱対象の水や蒸気を加熱する。熱媒体118は、加熱器110にて温度低下した後、熱媒体ポンプ116の上流に戻る。このようにして、熱媒体118は循環する。
【0004】
太陽光線117を受ける事のできない夜間や、太陽光線117が弱い天候の時の昼間には、集熱器119をバイパスして、蓄熱タンク内に貯蔵された熱媒体118を循環させるが、そのための機器やフローは、ここでは図示していない。
【0005】
図10の蒸気タービンサイクルは、高圧タービン101と、中圧タービン102と低圧タービン103からなる再熱タービン113から構成される1段再熱サイクルとなっている。
【0006】
加熱器110は、給水111を蒸気112に変化させるボイラ108と、再熱タービン113向けの蒸気を加熱する再熱器109から構成される。給水111は、ポンプ105により、加熱器110の一部であるボイラ108に搬送され、ボイラ108にて加熱される事で、高圧タービン入口蒸気112に変化する。
【0007】
高圧タービン入口蒸気112は、高圧タービン101に流入し、高圧タービン101の内部で膨張し、その圧力、温度ともに低下する。高圧タービン101は、この高圧タービン入口蒸気112により駆動される。太陽熱を利用した蒸気タービンサイクルでは、燃料の燃焼排ガスの熱を利用した蒸気タービンサイクルと比較して、高圧タービン入口蒸気112の温度が低い事が多い。そのため、高圧タービン排気114が、全てが気体である乾き蒸気でなく、一部液体が混在する、即ち、乾き度が1未満である湿り蒸気である事が多い。
【0008】
図10では、高圧タービン101の最下流にある出口(排気口)が、符号Xで示されている。高圧タービン排気114は、加熱器110の一部である再熱器109に流入して加熱された後、中圧タービン102に流入する。
【0009】
中圧タービン入口蒸気106は、中圧タービン102の内部で膨張し、圧力、温度ともに低下し、低圧タービン103に流入する。図10の低圧タービン103は、中圧タービン排気123が低圧タービン103の中央から流入し、左右に流れて2つの出口から流出するダブルフロー型である。低圧タービン103に流入した蒸気は、低圧タービン103内部で膨張し、圧力、温度ともに低下し、湿り蒸気になって流出する。この蒸気により、高圧タービン101と同様に、中圧タービン102と低圧タービン103が駆動される。
【0010】
低圧タービン103から流出した蒸気、即ち、低圧タービン排気115は、復水器104に流入する。復水器104では、冷却水により低圧タービン排気115を冷却し、これを給水111に戻す。給水111は、ポンプ105の上流に戻る。このようにして、給水111が蒸気112に変化しながら循環する。なお、冷却水は、海水や河川水を用いてもよいし、復水器104にて温度上昇した後、大気を用いた冷却塔で冷却し、循環させてもよい。
【0011】
高圧タービン101、中圧タービン102、および低圧タービン103の回転軸は、発電機107に接続されている。回転軸は、膨張していく蒸気により高圧タービン101、中圧タービン102、および低圧タービン103が回転する事で回転する。この回転軸の回転により、発電機107にて発電が行われる。
【0012】
図10では、高圧タービン101、中圧タービン102、および低圧タービン103の途中段に設けられた抽気口が、符号Eで示されており、これらの抽気口Eの内の1つ以上から、抽気蒸気120が抽気される。図10では、復水器104とボイラ108との間において、給水111が、抽気蒸気120を熱源として、給水加熱器121にて加熱される再生サイクル(再熱再生サイクル)が構成されている。図10のサイクルは、再生サイクルでなくても構わないが、再生サイクルとする事でサイクル効率は向上する。
【0013】
なお、抽気蒸気120は、給水加熱器121にて冷却されて水に変化した後、ドレン水ポンプ122で給水111に合流する。
【0014】
図11は、太陽熱を利用した従来の蒸気タービンプラントの第2の構成例を示す概略図である。図11では、熱媒体118のフローの記載を省略しており、これ以降に説明する図12以外の各図でも、これを同様に省略する。
【0015】
太陽熱を利用した再熱サイクルの入口蒸気は、例えば圧力110ata、温度380℃のように、比エンタルピ−比エントロピ線図にて湿り領域に近い事が多く、高圧タービン排気114が、湿り蒸気になる事が多い。高圧タービン101内において、湿り蒸気は、湿り損失を発生させ、タービン内部効率を低下させる。また、高圧タービン101のタービン翼の表面に水滴が衝突する事により、エロージョンが発生する。
【0016】
そこで、図11の高圧タービン101は、高圧タービン101内の蒸気から、水を捕集する捕集機構を具備している。そして、図11の蒸気タービンプラントは、捕集機構により捕集された捕集物201を、復水器104に流入させる捕集物流入経路Pを具備している。図11では、高圧タービン101から水が捕集される捕集場所が、符号Yで示されている。捕集物201は、捕集場所Yから捕集物流入経路Pを介して復水器104に流入される。捕集物201には、捕集された水に加え、水に随伴して回収された湿り蒸気または乾き蒸気が含まれている場合がある。
【0017】
図12は、太陽熱を利用した従来の蒸気タービンプラントの第3の構成例を示す概略図である。図12のプラントにおける蒸気タービンサイクルについて説明する。図12に示す構成については、図10に示す構成との相違点を中心に説明する。
【0018】
図10の蒸気タービンサイクルが、高圧タービン101と再熱タービン113から構成される再熱サイクルであるのに対し、図12の蒸気タービンサイクルは、上流側タービン203と下流側タービン204から構成される非再熱サイクルとなっている。
【0019】
図12では、給水111が、ポンプ105によりボイラ108に搬送される。そして、給水111は、ボイラ108により加熱される事で、上流側タービン入口蒸気112に変化する。
【0020】
上流側タービン入口蒸気112は、上流側タービン203に流入し、上流側タービン203の内部で膨張し、その圧力、温度ともに低下する。上流側タービン203は、この上流側タービン入口蒸気112により駆動される。太陽熱を利用した蒸気タービンサイクルでは、燃料の燃焼排ガスの熱を利用した蒸気タービンサイクルと比較して、上流側タービン入口蒸気112の温度が低い事が多い。そのため、上流側タービン排気123が、全てが気体である乾き蒸気でなく、一部液体が混在する、即ち、乾き度が1未満である湿り蒸気である事が多い。
【0021】
図12では、上流側タービン203の最下流にある出口(排気口)が、符号Xで示されている。上流側タービン排気123は、下流側タービン204に流入する。上流側タービン排気123は、下流側タービン204の内部で膨張し、圧力、温度ともに低下する。下流側タービン204は、この上流側タービン排気123により駆動される。
【0022】
下流側タービン204から流出した蒸気、即ち、下流側タービン排気115は、復水器104に流入する。復水器104では、冷却水により下流側タービン排気115を冷却し、これを給水111に戻す。給水111は、ポンプ105の上流に戻る。このようにして、給水111が蒸気112に変化しながら循環する。
【0023】
上流側タービン203および下流側タービン204の回転軸は、発電機107に接続されている。回転軸は、膨張していく蒸気により上流側タービン203および下流側タービン204が回転する事で回転する。この回転軸の回転により、発電機107にて発電が行われる。
【0024】
図13は、太陽熱を利用した従来の蒸気タービンプラントの第4の構成例を示す概略図である。図13では、熱媒体118のフローの記載を省略しており、これ以降に説明する各図でも、これを同様に省略する。
【0025】
図13の上流側タービン203は、図11の高圧タービン101の場合と同様の理由で、上流側タービン203内の蒸気から、水を捕集する捕集機構を具備している。そして、図13の蒸気タービンプラントは、捕集機構により捕集された捕集物201を、復水器104に流入させる捕集物流入経路Pを具備している。図13では、上流側タービン203から水が捕集される捕集場所が、符号Yで示されている。捕集物201は、捕集場所Yから捕集物流入経路Pを介して復水器104に流入される。捕集物201には、捕集された水に加え、水に随伴して回収された湿り蒸気または乾き蒸気が含まれている場合がある。
【0026】
以下、図13の蒸気タービンプラントにおける捕集機構の第1から第3の構成例について説明する。
【0027】
図14は、捕集機構の第1の構成例を示す概略図である。
【0028】
図14に示すように、上流側タービン203は、複数段の動翼301と、複数段の静翼302とを具備している。そして、図14では、蒸気流路の外周側の内壁面303に、ドレンキャッチャ304が設けられている。このドレンキャッチャ304が、捕集機構の第1の構成例である。
【0029】
ドレンキャッチャ304は、復水器104まで配管(捕集物流入経路P)で連結されている。復水器104の内部は、上流側タービン203の内部よりも低圧なので、内壁面303に存在する水分は、捕集物201になり吸い出され、復水器104に流入する。これにより、上流側タービン203内の蒸気流中の水分が減少する。
【0030】
図15は、捕集機構の第2の構成例を示す概略図である。
【0031】
第1の構成例よりも積極的に水分除去を行うための構成として、溝付き動翼311がある。図15では、湿り蒸気が流れるタービン段の動翼301(311)の表面に、溝305が設けられており、これにより、湿り蒸気中の水滴306が捕獲される。捕獲された水滴306は、回転する動翼301の表面上の遠心力により、溝305に沿って動翼301の外周側に移動していく。そして、水滴306は、内壁面303に設けられたドレンキャッチャ304へと飛ばされる。
【0032】
ドレンキャッチャ304は、復水器104まで配管(捕集物流入経路P)で連結されている。復水器104の内部は、上流側タービン203の内部より低圧なので、ドレンキャッチャ304内にある水分は、捕集物201として吸い出され、復水器104に流入する。これにより、上流側タービン203内の蒸気流中の水分が減少する。これらドレンキャッチャ304と溝付き動翼311が、捕集機構の第2の構成例である。
【0033】
図14や図15に示す捕集機構は、下流側タービン204に設けても構わない。ただし、溝付き動翼311は、下流側タービン204の最終段の動翼301に適用すると、それより下流に動翼301がないので効果がない。そのため、溝付き動翼311は、下流側タービン204の最終段の動翼301よりも上流の動翼301に適用する。
【0034】
図16〜図18は、捕集機構の第3の構成例を示す概略図である。
【0035】
第1の構成例よりも積極的に水分除去を行うための別の構成として、スリット付き静翼312がある。図16は、スリット付き静翼312を、タービン回転軸を含む断面から見た図、図17は、スリット付き静翼312を、タービン回転軸に垂直な断面から見た図である。また、図18は、1枚のスリット付き静翼312について、径方向に垂直な断面を示した図である。
【0036】
図16〜図18では、湿り蒸気が流れるタービン段の静翼302(312)の表面に、スリット孔307が設けられている。さらに、静翼312の内部には、空洞308が設けられており、静翼312は、中空の翼となっている。静翼312の表面と空洞308は、スリット孔307により繋がっている。このスリット付き静翼312が、捕集機構の第3の構成例である。
【0037】
空洞308は、スリット孔307を介して復水器104まで配管(捕集物流入経路P)で連結されている。復水器104の内部は、スリット孔307付近よりも低圧なので、スリット付き静翼312の表面を流れる水滴306や水膜は、捕集物201になり吸い出され、復水器104に流入する。これにより、上流側タービン203内の蒸気流中の水分が減少する。
【0038】
また、静翼302の表面を流れる水滴306や水膜は、静翼302の表面から水滴状態で剥がれて、より下流側に飛散し、より下流側の動翼301に衝突するのであるが、スリット付き静翼312によれば、このようにして衝突する水滴306が特に減少する。
【0039】
図16〜図18に示す捕集機構は、下流側タービン204に設けても構わない。
【0040】
なお、下流側タービン排気115は、入口蒸気の性状がどうであれ、湿り蒸気に変化するまで降圧させられるので、太陽熱を利用した蒸気タービンサイクルでは、上流側タービン排気123と下流側タービン排気115は、湿り蒸気である。
【0041】
なお、図14〜図18に示す捕集機構は、図11の蒸気タービンプラントの高圧タービン101、中圧タービン102、または低圧タービン103に設けても構わない。
【0042】
なお、特許文献1には、湿分分離器を具備する蒸気タービンプラントの例が記載されている。
【0043】
また、特許文献2から4には、水分を捕集する機構を具備する蒸気タービンプラントの例が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0044】
【特許文献1】特開2006−242083号公報
【特許文献2】特開平11−22410号公報
【特許文献3】特開2004−124751号公報
【特許文献4】特開平11−159302号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0045】
ここで、図11および図13の蒸気タービンプラントの問題点について、図13を参照して説明する。
【0046】
図13では、上流側タービン203にて水分除去した場合、取り出した水分の分、下流側の全タービンの蒸気流量が減少する。そのため、プラントの発電出力が減少し、蒸気タービンサイクルの性能が低下する。蒸気タービンサイクル性能は、例えば単位入熱当たりの発電出力であり、この値が大きいほど蒸気タービンサイクル性能が良い。なお、下流側の全タービンとは、上流側タービン203の内、水分を取り出した位置よりも下流側のタービン段と、下流側タービン204である。
【0047】
また、スリット付き静翼312を適用した場合には、スリット孔307から翼表面上の水分を吸い出す際に、湿り蒸気も吸い出してしまう。この湿り蒸気は、水と気体状態の蒸気からなっている。そのため、上記の吸い出しの際には、気体状態の蒸気が吸い出される事になり、タービンを駆動させる流体が減ってしまう事になる。
【0048】
図13では、捕集機構から復水器104までの吸い出しライン(捕集物流入経路P)上に弁202を設ける。そして、翼表面上の水分を吸い出す際、随伴蒸気の吸い出し量が少なくなるように、吸い出し圧力差(ここでは、スリット孔307付近と復水器104との圧力差)を、弁202の開度により調整する。
【0049】
しかしながら、随伴蒸気を全く吸い出さずに翼表面上の水分のみを吸い出す事は極めて困難であるため、この随伴蒸気の分、下流側の全タービンの蒸気流量が減少する。そのため、プラントの発電出力が減少し、蒸気タービンサイクルの性能が低下する。随伴蒸気の持っているエンタルピは充分高く、さらに、随伴蒸気は水と異なりタービンにてエンタルピを取り出す事ができるのであるが、図13では、エンタルピを取り出さずに復水器104に排出しているので、上流側タービン203でも発電出力が減少する。
【0050】
また、上流側タービン203から排出される水分は、上流側タービン203内では充分高温であるが、仮に除去されなければ下流側タービン204にてエンタルピを取り出す事になる。しかしながら、上流側タービン203から排出された水分が除去されると、当該水分は充分な顕熱が利用される事なく復水器104に捨てられるため、蒸気タービンサイクルの性能が低下する。
【0051】
よって、本発明は、上流側タービン203内の蒸気、または上流側タービン203からの排気蒸気から水分除去を行う場合において、水分除去に伴う発電出力の低下および蒸気タービンサイクル性能の低下を低減する事が可能な蒸気タービンプラントを提供する事を課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0052】
本発明の一の態様の蒸気タービンプラントは例えば、水を蒸気に変化させるボイラと、複数段の動翼と複数段の静翼とを有し、前記ボイラからの蒸気により駆動される上流側タービンと、複数段の動翼と複数段の静翼とを有し、前記上流側タービンからの蒸気により駆動される下流側タービンと、前記下流側タービンから排気された蒸気を水に戻す復水器と、前記上流側タービン内の最終段の動翼の入口よりも上流の蒸気、または前記上流側タービンから排気された蒸気から、水を捕集する捕集機構と、前記捕集機構により捕集された捕集物を、前記上流側タービンの最終段の動翼の出口から前記下流側タービンの最終段の動翼の入口に到る間の蒸気、前記上流側タービン内の前記捕集物の捕集場所と前記最終段の動翼の入口との間の蒸気、前記復水器から前記ボイラに到る間の水、前記上流側タービンまたは前記下流側タービンの抽気口からの抽気蒸気、前記抽気蒸気が流入する給水加熱器の内部、または前記抽気蒸気が流入する給水ポンプ駆動用蒸気タービンの内部、に流入させる捕集物流入経路とを具備する。
【発明の効果】
【0053】
本発明によれば、上流側タービン内の蒸気、または上流側タービンからの排気蒸気から水分除去を行う場合において、水分除去に伴う発電出力の低下および蒸気タービンサイクル性能の低下を低減する事が可能な蒸気タービンプラントを提供する事が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】第1実施形態の蒸気タービンプラントの構成を示す概略図である。
【図2】第2実施形態の蒸気タービンプラントの構成を示す概略図である。
【図3】第3実施形態の蒸気タービンプラントの構成を示す概略図である。
【図4】第4実施形態の蒸気タービンプラントの構成を示す概略図である。
【図5】第5実施形態の蒸気タービンプラントの構成を示す概略図である。
【図6】第6実施形態の蒸気タービンプラントの構成を示す概略図である。
【図7】第7実施形態の蒸気タービンプラントの構成を示す概略図である。
【図8】第8実施形態の蒸気タービンプラントの構成を示す概略図である。
【図9】第9実施形態の蒸気タービンプラントの構成を示す概略図である。
【図10】従来の蒸気タービンプラントの第1の構成例を示す概略図である。
【図11】従来の蒸気タービンプラントの第2の構成例を示す概略図である。
【図12】従来の蒸気タービンプラントの第3の構成例を示す概略図である。
【図13】従来の蒸気タービンプラントの第4の構成例を示す概略図である。
【図14】捕集機構の第1の構成例を示す概略図である。
【図15】捕集機構の第2の構成例を示す概略図である。
【図16】捕集機構の第3の構成例を示す概略図である。
【図17】捕集機構の第3の構成例を示す概略図である。
【図18】捕集機構の第3の構成例を示す概略図である。
【図19】太陽熱発電用および地熱発電用の蒸気タービンプラントの構成を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0055】
本発明の実施形態を、図面に基づいて説明する。
【0056】
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態の蒸気タービンプラントの構成を示す概略図である。図1に示す構成については、図12および図13に示す構成との相違点を中心に説明する。
【0057】
本実施形態の蒸気タービンプラントでは、図12や図13に示す蒸気タービンプラントと同様に、非再熱サイクルが構成されており、上流側タービン203と下流側タービン204が、再熱器を介さずに直列に接続されている。
【0058】
また、本実施形態の上流側タービン203は、図12や図13に示す上流側タービン203と同様に、複数段の動翼301と、複数段の静翼302とを具備している(図14参照)。同様に、本実施形態の下流側タービン204は、複数段の動翼と、複数段の静翼とを具備している。また、本実施形態の上流側タービン203は、1つまたは互いに直列に接続された複数のタービンから成る。同様に、本実施形態の下流側タービン204は、1つまたは互いに直列に接続された複数のタービンから成る。
【0059】
また、本実施形態の上流側タービン203では、図12や図13に示す上流側タービン203と同様に、その内部で流通蒸気が湿り蒸気に変化する。そこで、本実施形態の上流側タービン203には、上流側タービン203内の蒸気から水分を捕集する捕集機構が設けられている。捕集機構の例としては、図14に示すドレンキャッチャ304、図15に示すドレンキャッチャ304および溝付き動翼311、図16〜図18に示すスリット付き静翼312等が挙げられる。
【0060】
なお、本実施形態では、捕集機構は、上流側タービン203内の最終段の動翼301の入口よりも上流の蒸気から、水分を捕集する位置に配置されている。また、本実施形態では、捕集機構は、上流側タービン203内の湿り領域の蒸気から、水分を捕集する位置に配置されている。
【0061】
捕集機構からの捕集物201は、捕集機構がドレンキャッチャ304の場合や、ドレンキャッチャ304および溝付き動翼311の場合には、水分であり、捕集機構がスリット付き静翼312の場合には、水分と随伴蒸気である。
【0062】
本実施形態の蒸気タービンプラントは、この捕集物201を、復水器104ではなく、上流側タービン203の最終段の動翼301の出口から下流側タービン204の最終段の動翼の入口に到る間の蒸気、に流入させる捕集物流入経路Pを具備している。具体的には、本実施形態の捕集物流入経路Pは、捕集物201を、上流側タービン203と下流側タービン204との間に流入させる。
【0063】
ただし、捕集機構がスリット付き静翼312の場合には、吸い出し圧力差、即ち、捕集物201の流入場所と、捕集物201の流出場所(捕集場所Y)であるスリット孔307付近との圧力差は、水分を吸い出すのに十分な大きさであるものとする。
【0064】
なお、本実施形態では、捕集物201そのものではなく、捕集物201から分離された気体を、捕集物流入経路Pを介して、上流側タービン203と下流側タービン204との間に流入させる。これに関しては、以下詳細に説明する。
【0065】
ここで、図1に示す気液分離器212について説明する。
【0066】
本実施形態では、捕集物流入経路P上に気液分離器212が配置されており、捕集物201が、気液分離器212に流入される。気液分離器212は、捕集物201を気体211と液体213とに分離する。気体211は蒸気であり、液体213は水である。
【0067】
その後、気体211は、捕集物流入経路Pにより、上流側タービン203の最終段の動翼301の出口から下流側タービン204の最終段の動翼の入口に到る間の蒸気に流入される。一方、液体213は、分離液体流通経路PXにより、復水器104に流入される。本実施形態では、分離液体流通経路PX上に液流路弁214が設けられている。
【0068】
本実施形態では例えば、スリット付き静翼312から捕集された捕集物201を、気液分離器211の一種である気液分離タンクに入れ、捕集物201を重力により気体211と液体213とに分離する。
【0069】
捕集機構がドレンキャッチャ304、またはドレンキャッチャ304および溝付き動翼311の場合には、捕集物201は水分である。しかしながら、この捕集物201を気液分離タンク内に流入させる場合には、タンクまでの圧力損失と熱移動により捕集物201の一部が気化して、タンク内には気体211と液体213とが存在する事となる。
【0070】
分離された気体211および液体213はそれぞれ、より低圧な場所に流入される。液体213である水は、タンクの底面から抜き出され、液体213として復水器104に流入される。一方、気体211である蒸気は、タンクの上側から抜き出され、気体211として、上流側タービン203の最終段の動翼301の出口と下流側タービン204の最終段の動翼の入口との間に流入される。なお、気体211と液体213の分離は、気液分離膜等、気液分離タンク以外の手段により実現してもよい。
【0071】
本実施形態では、気液分離器212は、捕集物201または捕集物201が変化した物を、気体211と液体213に分離し、捕集物流入経路Pは、分離された気体211を、上流側タービン203と下流側タービン204との間に流入させる。即ち、本実施形態では、上流側タービン203内の最終段の動翼301の入口よりも上流の蒸気から、水分を捕集し、水分が取り除かれた蒸気を、上流側タービン203の最終段の動翼301の出口(から下流側タービン204の最終段の動翼の入口に到る間)の蒸気に流入させる事から、少なくとも上流側タービン203の最終段の動翼301における湿り損失を低減できる、という優れた作用効果を得る事ができる。
【0072】
上流側タービン203に捕集機構および捕集物流入経路Pを設け、捕集物流入経路P上に気液分離器212を配置する事には、下流側タービン204の蒸気流量の減少が少なくなるという利点がある。捕集機構がスリット付き静翼312の場合には、随伴蒸気のエンタルピが、復水器104に直接捨てられる事なく活用され、下流側タービン204にて発電出力の一部になる。よって、本実施形態によれば、水分除去に伴う発電出力の低下およびタービンサイクル性能の低下が低減される。
【0073】
一方、捕集物201から分離された液体213は、廃棄される事なく、復水器104に戻され、以降のサイクルで有効に活用される。なお、分離された液体213は、復水器104に直接流入させるのではなく、まず給水加熱器121で発生するドレンと混合させ、各給水加熱器121で給水111を加熱するために用いた後に、ドレン水ポンプ122で給水111に合流させるようにすれば、分離された液体213の持つ熱を有効活用する事ができ、蒸気タービンサイクルの効率を向上させる事が可能となる。この場合、分離された液体213を、ドレン水ポンプ122で給水111に合流させる代わりに、各給水加熱器121で給水111を加熱するために用いた後に、最終的に復水器104に流入させるように構成してもよい。
【0074】
なお、本実施形態では、捕集機構は、上流側タービン203内の最終段の動翼301の入口よりも上流の蒸気から、水分を捕集する位置に配置されている。これには、上流側タービン203内の捕集位置以降の蒸気の水分含有量が減り、捕集位置以降の上流側タービン段にて湿り損失が低減され、タービン内部効率が向上するという利点がある。また、捕集位置以降の上流側タービン翼と下流側タービン翼にてエロージョンが低減されるという利点がある。
【0075】
また、本実施形態では、捕集物201そのものではなく、捕集物201から分離された気体211を、上流側タービン203の最終段の動翼301の出口から下流側タービン204の最終段の動翼の入口に到る間の蒸気に流入させる。これにより、蒸気および水分ではなく、蒸気のみを下流側タービン204に流入させる事が可能となり、上流側タービン203内の蒸気から水分除去を行う場合において、水分除去に伴う発電出力の低下および蒸気タービンサイクル性能の低下を低減する事が可能となる。
【0076】
以下、第1実施形態の変形例である第2から第17実施形態について、第1実施形態との相違点を中心に説明する。
【0077】
(第2実施形態)
図2は、第2実施形態の蒸気タービンプラントの構成を示す概略図である。
【0078】
本実施形態では、気液分離器212は、捕集物201または捕集物201が変化した物を、気体211と液体213に分離し、捕集物流入経路Pは、分離された気体211を、下流側タービン204の入口または途中段に流入させる。後者の場合、気体211は、下流側タービン204の入口と最終段の動翼の入口との間に流入される。
【0079】
ここで、第1実施形態と第2実施形態とを比較する。
【0080】
第1実施形態では、第2実施形態に比べ、捕集物201をより上流の流入場所に流入させるため、蒸気タービンサイクル性能をより効率化できるという利点がある。
【0081】
一方、第2実施形態では、第1実施形態に比べ、捕集物201をより下流の流入場所に流入させるため、捕集物201の流入場所と流出場所との圧力差を確保しやすく、その結果、捕集物201を流入場所に流入させやすいという利点がある。
【0082】
本実施形態によれば、第1実施形態と同様、上流側タービン203内の蒸気から水分除去を行う場合において、水分除去に伴う発電出力の低下および蒸気タービンサイクル性能の低下を低減する事が可能となる。ただし、本実施形態には、第1実施形態に比べ、吸い込み圧力差を確保しやすいという利点がある。
【0083】
(第3実施形態)
図3は、第3実施形態の蒸気タービンプラントの構成を示す概略図である。
【0084】
本実施形態の捕集機構は、上流側タービン排気123から水分を分離し、捕集物201として、分離された水分を捕集する湿分分離器231である。本実施形態では、上流側タービン排気123が、湿り蒸気になっており、湿分分離器231に流入される。湿分分離器231により上流側タービン排気123から分離された水分、即ち、捕集物201は、捕集物流入経路Pへと排出される。本実施形態で使用する湿分分離器231は、如何なる作動原理の物でもよい。
【0085】
本実施形態では、上流側タービン排気123の湿り度が非常に大きい場合、上流側タービン排気123の全量を下流側タービン204に流入させずに、湿分分離器231で当該排気123中の大部分の水分(捕集物201)を除去する事が可能である。この場合には、水分が除去された残りの蒸気232を下流側タービン204に流入させる。図3には、水分が除去された蒸気232を下流側タービン204に流入させる分離蒸気流通経路PYが示されている。
【0086】
本実施形態では、湿分分離器231からの捕集物201は、水分、あるいは水分および蒸気である。本実施形態の捕集物流入経路Pは、このような捕集物201を、復水器104からボイラ108に到る間の給水111に流入させる。ただし、捕集物201を流入場所に流入させやすくするためには、流入場所は、湿分分離器231付近よりも低圧である必要があるため、本実施形態の捕集物流入経路Pは、捕集物201を、復水器104と復水ポンプ105との間に流入させる。
【0087】
仮に捕集物201を復水器104に捨てると、捕集物201が冷却水にて冷却されるので、捕集物201に含まれる随伴蒸気の潜熱および顕熱や、捕集物201に含まれる水の顕熱が無駄になる。しかしながら、本実施形態では、捕集物201を給水111に流入させるので、捕集物201の潜熱および顕熱が無駄にならない分だけ、ボイラ108の入熱量が減少し、蒸気タービンサイクル性能の低下が低減される。
【0088】
以上のように、本実施形態によれば、上流側タービン203の排気から水分除去を行う場合において、水分除去に伴う発電出力の低下および蒸気タービンサイクル性能の低下を低減する事が可能となる。具体的には、本実施形態によれば、捕集物201の潜熱および顕熱が無駄にならない分だけ、蒸気タービンサイクル性能を改善する事が可能となる。
【0089】
(第4実施形態)
図4は、第4実施形態の蒸気タービンプラントの構成を示す概略図である。
【0090】
本実施形態の捕集機構は、第3実施形態と同様、上流側タービン排気123から水分を分離し、捕集物201として、少なくとも分離された水分を捕集する湿分分離器231である。本実施形態では、上流側タービン排気123が、湿り蒸気になっており、湿分分離器231に流入される。
【0091】
本実施形態の捕集物流入経路Pは、捕集物201を、復水器104からの給水111を加熱する給水加熱器223の内部、または上流側タービン203または下流側タービン204の抽気口Eと給水加熱器223との間に流入させる。ただし、抽気口Eは、捕集場所Yよりも下流でより低圧な場所とする。図4では、捕集物201を、下流側タービン204の抽気口Eと給水加熱器223との間に流入させている。図4では、捕集物201が流入される給水加熱器とその他の給水加熱器が、符号223と符号121で区別されている。
【0092】
図4では、下流側タービン204の抽気口Eからの抽気蒸気が、符号221で示されている。本実施形態の捕集物流入経路Pは、捕集物201を、この抽気蒸気221が流れる抽気流路に合流させる。図4では、捕集物201が合流した抽気蒸気が、符号222で示されている。この抽気蒸気222は、給水加熱器223に流入し、給水111の加熱源になり、給水111の加熱後に給水111に合流される。
【0093】
仮に捕集物201を復水器104に捨てると、捕集物201が冷却水にて冷却されるので、捕集物201の顕熱が無駄になる。しかしながら、本実施形態では、捕集物201を抽気蒸気221に流入させるので、捕集物201の顕熱が無駄にならない分だけ、ボイラ108の入熱量が減少し、蒸気タービンサイクル性能の低下が低減される。
【0094】
また、本実施形態では、捕集物201を直接給水111に合流させる第3実施形態に比べて、蒸気タービンサイクルがカルノーサイクルに近い分、蒸気タービンサイクル性能が高くなる。
【0095】
以上のように、本実施形態によれば、高圧タービン101の排気から水分除去を行う場合に、捕集物201の顕熱が無駄にならない分だけ、蒸気タービンサイクル性能を改善する事が可能となる。
【0096】
なお、本実施形態の給水加熱器223には、抽気蒸気222を流入させる事で給水111を脱気する脱気器も含まれるとする。
【0097】
(第5実施形態)
図5は、第5実施形態の蒸気タービンプラントの構成を示す概略図である。
【0098】
本実施形態の捕集機構は、第3および第4実施形態と同様、上流側タービン排気123から水分を分離し、捕集物201として、少なくとも分離された水分を捕集する湿分分離器231である。本実施形態では、上流側タービン排気123が、湿り蒸気になっており、湿分分離器231に流入される。
【0099】
図5では、復水器104とボイラ108との間の経路上に、給水111を搬送するための給水ポンプ224が配置されている。さらに、図5では、上流側タービン203または下流側タービン204の抽気口Eと復水器104との間の経路上に、給水ポンプ224を駆動するための給水ポンプ駆動用蒸気タービン225が配置されている。ただし、抽気口Eは、排気口Xと同じ圧力である場所か、あるいは、排気口Xよりも下流でより低圧な場所とする。本実施形態の捕集物流入経路Pは、捕集物201を、給水ポンプ駆動用蒸気タービン225内、または給水ポンプ駆動用蒸気タービン225への抽気流路に流入させる。
【0100】
図5では、上流側タービン203の抽気口Eからの抽気蒸気が、符号221で示されている。本実施形態の捕集物流入経路Pは、捕集物201を、この抽気蒸気221が流れる抽気流路に合流させる。図5では、捕集物201が合流した抽気蒸気が、符号222で示されている。この抽気蒸気222は、給水ポンプ駆動用蒸気タービン225に流入し、圧力、温度ともに低下しながら流通し、この給水ポンプ駆動用蒸気タービン225を駆動させる。
【0101】
給水ポンプ駆動用蒸気タービン排気226は、圧力、温度ともに充分に低下しており、復水器104に流入される。給水ポンプ224は、給水ポンプ駆動用蒸気タービン225により得られた動力を用いて駆動される。
【0102】
抽気蒸気221に合流する捕集物201は、周りの蒸気と比較するとごく少量なので、周りの蒸気により加熱される事で蒸気に変化し、給水ポンプ駆動用蒸気タービン225を駆動させる蒸気の一部になる。
【0103】
仮に捕集物201を復水器104に捨てると、捕集物201が冷却水にて冷却されるので、捕集物201の顕熱と圧力が無駄になる。しかしながら、本実施形態では、捕集物201を抽気蒸気221に合流させるので、捕集物201の顕熱と圧力が無駄にならない分だけ、ボイラ108の入熱量が減少し、蒸気タービンサイクル性能の低下が低減される。
【0104】
また、本実施形態では、捕集物201を給水ポンプ駆動用蒸気タービン225に使用するため、抽気蒸気量を減らす事が可能となる。よって、本実施形態によれば、抽気蒸気221の抽気場所よりも下流におけるタービン蒸気流量の低下が低減され、発電出力および蒸気タービンサイクル性能が改善される。
【0105】
以上のように、本実施形態によれば、上流側タービン203の排気から水分除去を行う場合に、捕集物201の顕熱と圧力が無駄にならない分だけ、蒸気タービンサイクル性能を改善する事が可能となる。
【0106】
(第6実施形態)
図6は、第6実施形態の蒸気タービンプラントの構成を示す概略図である。
【0107】
本実施形態では、気液分離器212は、捕集物201または捕集物201が変化した物を、気体211と液体213に分離し、捕集物流入経路Pは、分離された気体211を、上流側タービン203内の捕集物201の捕集場所と最終段の動翼の入口との間の蒸気に流入させる。図6では、捕集物201の捕集場所(流出場所)が、符号Yで示され、捕集物201の流入場所が、符号Zで示されている。
【0108】
図6では、捕集物201の流入場所Zが、捕集場所Yよりも下流に位置している事に留意されたい。本実施形態では、捕集物201の流入場所Zを、捕集場所Yよりも下流に位置する最も近い動翼301よりも下流の場所に設置する。
【0109】
捕集機構がスリット付き静翼312である場合には、流入場所Zは、スリット付き静翼312の直後の動翼301よりも下流に設置される。この場合、流入場所Zは、吸い込み圧力差、即ち、スリット孔307付近と流入場所Zとの圧力差が適当な値である場所に設置するものとする。圧力差が大きい場合には、弁202の開度により圧力差を調節する。捕集機構がスリット付き静翼312の場合には、随伴蒸気のエンタルピが、復水器104に直接捨てられる事なく活用され、発電出力の一部になる。
【0110】
捕集機構がドレンキャッチャ304、または溝付き動翼311およびドレンキャッチャ304である場合には、流入場所Zは、ドレンキャッチャ304の直後の動翼301よりも下流に設置される。これには、流入場所Z以降の蒸気流量の減少が少なくなるという利点がある。
【0111】
以上のように、本実施形態によれば、蒸気タービン内の蒸気から水分除去を行う場合において、水分除去に伴う発電出力の低下および蒸気タービンサイクル性能の低下を低減する事が可能となる。なお、本実施形態では、下流側タービン204内に湿り蒸気が存在する場合には、捕集物201の捕集場所Yおよび流入場所Zを、下流側タービン204に設置しても構わない。
【0112】
(第7実施形態)
図7は、第7実施形態の蒸気タービンプラントの構成を示す概略図である。
【0113】
第1実施形態(図1)では、液体213が、分離液体流通経路PXにより復水器104に流入される。これに対し、第7実施形態(図7)では、液体213が、分離液体流通経路PXにより、復水器104と復水ポンプ105との間に流入される。
【0114】
図1のように、液体213を復水器104に捨てると、液体213に含まれる顕熱が無駄になる。しかしながら、図7では、液体213を給水111に流入させるので、液体213の顕熱が無駄にならない分だけ、ボイラ108の入熱量が減少し、蒸気タービンサイクル性能の低下が低減される。
【0115】
以上のように、本実施形態によれば、上流側タービン203の最終段の動翼の入口よりも上流の蒸気から水分除去を行う場合において、水分除去に伴う発電出力の低下および蒸気タービンサイクル性能の低下を低減する事が可能となる。具体的には、本実施形態によれば、液体213の顕熱が無駄にならない分だけ、蒸気タービンサイクル性能を改善する事が可能となる。
【0116】
(第8実施形態)
図8は、第8実施形態の蒸気タービンプラントの構成を示す概略図である。
【0117】
第1実施形態(図1)では、液体213が、分離液体流通経路PXにより復水器104に流入される。これに対し、第8実施形態(図8)では、液体213が、分離液体流通経路PXにより、上流側タービン203または下流側タービン204の抽気口Eと給水加熱器223との間の抽気蒸気221、またはこの給水加熱器223の内部に流入される。
【0118】
図7のように、液体213を復水器104に捨てると、液体213に含まれる顕熱が無駄になる。しかしながら、図8では、液体213を抽気蒸気221に流入させるので、液体213の顕熱が無駄にならない分だけ、ボイラ108の入熱量が減少し、蒸気タービンサイクル性能の低下が低減される。
【0119】
また、本実施形態では、液体213を直接給水111に合流させる第7実施形態に比べて、蒸気タービンサイクルがカルノーサイクルに近い分、蒸気タービンサイクル性能が高くなる。
【0120】
以上のように、本実施形態によれば、第7実施形態と同様、上流側タービン203の排気から水分除去を行う場合において、水分除去に伴う発電出力の低下および蒸気タービンサイクル性能の低下を低減する事が可能となる。
【0121】
(第9実施形態)
図9は、第9実施形態の蒸気タービンプラントの構成を示す概略図である。
【0122】
第1実施形態(図1)では、液体213が、分離液体流通経路PXにより復水器104に流入される。これに対し、第9実施形態(図9)では、液体213が、分離液体流通経路PXにより、給水ポンプ駆動用蒸気タービン225内、または給水ポンプ駆動用蒸気タービン225への抽気流路に流入される。ただし、給水ポンプ駆動用蒸気タービン225につながる抽気口Eは、捕集場所Yよりも下流でより低圧な場所とする。
【0123】
抽気蒸気221に合流する捕集物201は、周りの蒸気と比較するとごく少量なので、周りの蒸気により加熱される事で水は蒸気に変化し、給水ポンプ駆動用蒸気タービン225を駆動させる蒸気の一部になる。
【0124】
図1のように、液体213を復水器104に捨てると、液体213に含まれる顕熱と圧力が無駄になる。しかしながら、図9では、液体213を抽気蒸気221に合流させるので、液体213の顕熱と圧力が無駄にならない分だけ、ボイラ108の入熱量が減少し、蒸気タービンサイクル性能の低下が低減される。
【0125】
また、本実施形態では、液体213を給水ポンプ駆動用蒸気タービン225に使用するため、抽気蒸気量を減らす事が可能となる。よって、本実施形態によれば、抽気蒸気221の抽気場所よりも下流におけるタービン蒸気流量の低下が低減され、発電出力および蒸気タービンサイクル性能が改善される。
【0126】
以上のように、本実施形態によれば、第7および第8実施形態と同様、上流側タービン203の排気から水分除去を行う場合において、水分除去に伴う発電出力の低下および蒸気タービンサイクル性能の低下を低減する事が可能となる。
【0127】
(第10実施形態)
第10実施形態は、図3〜図5に示されている。以下、第10実施形態について、図3を参照して説明する。
【0128】
本実施形態では、捕集物流入経路P上に、捕集物201の流通を停止する開閉弁、あるいは捕集物201の流量を調整する圧力調整弁である弁202が設置されている。
【0129】
太陽熱発電では、太陽光線117(図12)を受ける事のできない夜間や、太陽光線117が弱い天候の昼間には、集熱器119をバイパスして、蓄熱タンク内に貯蔵された熱媒体118を循環させる。これにより、各タービンの運転状態が変化する。また、昼間でも天候、季節、時刻によって太陽光線117の状態が異なるため、それに対応して各タービンの運転状態が変化する。
【0130】
そのため、タービンの運転状態によっては、捕集物201の流出場所の蒸気が湿り蒸気でない場合がある。この場合、捕集物201が捕集されないため、捕集物流入経路Pに乾き蒸気が流通してしまう。この場合、かえってタービン出力やタービンサイクル性能が低下してしまう。また、捕集物201の流出場所の蒸気が、湿り蒸気であっても湿り度が小さい場合にも、水分の捕集量がより少なく、蒸気の捕集量がより多くなるので、タービン出力やタービンサイクル性能が低下してしまう。
【0131】
これらの場合、本実施形態では、弁202を全閉にする事で、タービン出力やタービンサイクル性能を低下させずに維持する事ができる。
【0132】
また、本実施形態では、捕集機構がスリット付き静翼312である場合、吸い出し圧力差を、弁202の開度により調整する事ができる。これにより、例えば、随伴蒸気の吸い出し量を少なくする事が可能となる。
【0133】
本実施形態では、タービンの運転状態の変化に応じて、圧力差を調節する事も可能である。捕集機構がドレンキャッチャ304、または溝付き動翼311およびドレンキャッチャ304である場合にも、捕集物201の流出場所の蒸気の湿り度が小さいと、水分以外に蒸気が流出しやすい。よって、この場合には、弁202の開度を調節して、ドレンキャッチャ304からの捕集物201の流出を鈍らせる事で、水分以外の蒸気の流出を抑える事ができる。
【0134】
以上のように、本実施形態によれば、開閉弁または圧力調整弁である弁202により、捕集物流入経路P上を流通する捕集物201の流通や流量を、望ましいように制御する事が可能となる。
【0135】
(第11実施形態)
第11実施形態は、図1〜図2、図6〜図9に示されている。以下、第11実施形態について、図1を参照して説明する。
【0136】
本実施形態では、気液分離器212の下流における捕集物流入経路P上に、気体211の流通を停止する開閉弁、あるいは気体211の流量を調整する圧力調整弁である弁202が設置されている。さらには、分離液体流通経路PX上に、液体213の流通を停止する開閉弁、あるいは液体213の流量を調整する圧力調整弁である液流路弁214が設置されている。
【0137】
本実施形態では、タービンの運転状態に合わせて、弁202を全閉にするまたは開度調整すると共に、液流路弁214を全閉にするまたは開度調整する。これにより、第10実施形態と同様の効果を得る事ができる。本実施形態では、捕集物201の捕集場所Yから気液分離器212までの捕集物流入経路P上に、開閉弁または圧力調整弁を設置しても構わない。
【0138】
以上のように、本実施形態によれば、開閉弁または圧力調整弁である弁202および液流路弁214により、捕集物201から分離された気体211および液体213の流通や流量を、望ましいように制御する事が可能となる。
【0139】
(第12実施形態)
第12実施形態は、図14に示されている。図14の捕集機構は、第1、第2、または第6〜第9実施形態と組み合わせて使用可能である。
【0140】
本実施形態では、上流側タービン203のケーシングの外周側の内壁面303に、水分を捕集する構造であるドレンキャッチャ304が設けられている。これにより、内壁面303に存在する水分を捕集する事が可能となる。本実施形態には、簡単な構造で捕集機構を実現できるという利点がある。
【0141】
(第13実施形態)
第13実施形態は、図15に示されている。図15の捕集機構は、第1、第2、または第6〜第9実施形態と組み合わせて使用可能である。
【0142】
本実施形態では、上流側タービン203の動翼301の表面に、内周から外周に向けて溝305が設けられている。さらには、上流側タービン203のケーシングの外周側の内壁面303に、ドレンキャッチャ304が設けられている。これにより、溝305で捕獲した水分を遠心力により内壁面303に向けて飛ばし、これをドレンキャッチャ304で捕集する事が可能となる。本実施形態には、第12実施形態よりも積極的に水分除去できるという利点がある。
【0143】
(第14実施形態)
第14実施形態は、図16〜図18に示されている。図16〜図18の捕集機構は、第1、第2、または第6〜第9実施形態と組み合わせて使用可能である。
【0144】
本実施形態では、上流側タービン203の静翼302の表面に、スリット孔307が設けられている。さらには、この静翼302の内部に、スリット孔307から外周側への空洞308の流路が設けられている。これにより、この静翼302の表面に存在する水分を捕集して、上流側タービン203外へと流出させる構造が実現されている。
【0145】
静翼302の表面に存在する水分または湿り蒸気は、捕集物201の流出場所と流入場所との圧力差を用いて吸い出す。本実施形態には、第12および第13実施形態よりも積極的に水分除去できるという利点がある。
【0146】
また、第13実施形態では、溝付き動翼311の形状が、空力的に最適な形状ではなくなるため、蒸気タービンサイクル性能が低下するのに対して、本実施形態のスリット付き静翼312によれば、このような性能低下を回避する事ができる。
【0147】
なお、図14〜図18では、捕集物201の流出場所として、復水器104が示されているが、これは、図14〜図18の捕集機構を、図10〜図13のいずれかの蒸気タービンプラントに適用した場合を示している。図14〜図18の捕集機構を、第1から第9実施形態のいずれかに適用する場合には、捕集物201の流出場所は、これらの実施形態の説明中で示した場所となる。
【0148】
(第15実施形態)
第15実施形態は、第1から第9実施形態のいずれかと組み合わせて採用する事が可能である。
【0149】
第15実施形態では、蒸気タービンプラントを構成する蒸気タービンを、太陽熱を用いて発生させた蒸気により駆動する。太陽熱を利用した蒸気タービンプラントでは、燃料の燃焼排ガスの熱を利用した蒸気タービンプラントと比較して、タービン入口蒸気温度が低く、タービン途中段から湿り蒸気になりやすい。
【0150】
よって、水分除去に伴う発電出力の低下および蒸気タービンサイクル性能の低下を低減可能という第1から第9実施形態の効果は、これらの実施形態を太陽熱発電に適用する場合に有効度が高い。
【0151】
(第16実施形態)
第16実施形態は、第1から第9実施形態のいずれかと組み合わせて採用する事が可能である。
【0152】
第16実施形態では、蒸気タービンプラントを構成する蒸気タービンを、地熱発電に用いる蒸気タービンとする。地熱発電における蒸気タービンプラントでは、タービン入口蒸気の湿り度がゼロでない事が多く、蒸気が下流に進むにつれて、さらに湿り度が上がっていく。
【0153】
よって、水分除去に伴う発電出力の低下および蒸気タービンサイクル性能の低下を低減可能という第1から第9実施形態の効果は、これらの実施形態を、蒸気中の水分が非常に多い地熱発電に適用する場合に有効度が高い。
【0154】
図19は、太陽熱発電用および地熱発電用の蒸気タービンプラントの構成を示す概略図である。以下、図19を参照して、これらのプラントの構成の違いについて説明する。
【0155】
図19(A)および(B)にはそれぞれ、太陽熱発電用および地熱発電用の蒸気タービンプラントの構成が概略的に示されている。図19(A)では、復水器104からの水111は、ボイラ108に戻されて再利用されるのに対し、図19(B)では、復水器104からの水111は、ボイラ108には戻されない。即ち、地熱発電用の蒸気タービンサイクルは、オープンサイクルとなっている。
【0156】
図19(B)の蒸気タービンプラントは、セパレータ321と、温水ポンプ325と、冷却塔326とを具備している。
【0157】
セパレータ321は、生産井からの天然蒸気322を、より乾いた蒸気323と、熱水324とに分離する機構である。蒸気323は、上流側タービン203および下流側タービン204を含むタービン群331を駆動するために使用され、熱水323は、還元井へと戻される。
【0158】
温水ポンプ325は、復水器104からの温水327を、冷却塔326に搬送するためのポンプである。冷却塔326は、温水327を大気に触れさせて冷却するための構造物である。冷却塔326により、温水327は冷水328へと冷却される。冷水328は、復水器104へと搬送され、蒸気を水に戻すために用いられる。なお、余剰な冷水328は、オーバーフロー水329として還元井へと戻される。
【0159】
なお、図19(A)および(B)に示すタービン群331と復水器104との間の構成については、図1〜図13に示すいずれかの構成を適用可能である。
【0160】
(第17実施形態)
第17実施形態は、第1から第9実施形態のいずれかと組み合わせて採用する事が可能である。
【0161】
第17実施形態では、蒸気タービンプラントを構成する蒸気タービンを、原子力発電に用いる蒸気タービンとする。原子力発電における蒸気タービンプラントでは、タービン入口蒸気の湿り度がゼロでない事がほとんどであり、蒸気が下流に進むにつれて、さらに湿り度が上がっていく。
【0162】
よって、水分除去に伴う発電出力の低下および蒸気タービンサイクル性能の低下を低減可能という第1から第9実施形態の効果は、これらの実施形態を、蒸気中の水分が非常に多い原子力発電に適用する場合に有効度が高い。
【0163】
以上、本発明の具体的な態様の例を、第1から第17実施形態により説明したが、本発明は、これらの実施形態に限定されるものではない。
【符号の説明】
【0164】
101:高圧タービン、102:中圧タービン、103:低圧タービン、
104:復水器、105:ポンプ、106:中圧タービン入口蒸気、
107:発電機、108:ボイラ、109:再熱器、110:加熱器、
111:給水、112:高圧タービン入口蒸気(上流側タービン入口蒸気)、
113:再熱タービン、114:高圧タービン排気、
115:低圧タービン排気(下流側タービン排気)、116:熱媒体ポンプ、
117:太陽光線、118:熱媒体、119:集熱器、120:抽気蒸気、
121:給水加熱器、122:ドレン水ポンプ、
123:中圧タービン排気(上流側タービン排気)、
201:捕集物、202:弁、203:上流側タービン、204:下流側タービン、
211:気体、212:気液分離器、213:液体、214:液流路弁、
221:抽気蒸気、222:合流後の抽気蒸気、
223:給水加熱器、224:給水ポンプ、
225:給水ポンプ駆動用蒸気タービン、
226:給水ポンプ駆動用蒸気タービン排気、
231:湿分分離器、232:湿分分離後の蒸気、
301:動翼、302:静翼、303:蒸気流路外周側内壁、
304:ドレンキャッチャ、305:溝、306:水滴、307:スリット孔、
308:空洞、311:溝付き動翼、312:スリット付き静翼、
321:セパレータ、322:天然蒸気、323:蒸気、324:熱水、
325:温水ポンプ、326:冷却塔、327:温水、328:冷水、
329:オーバーフロー水、331:タービン群、
X:排気口、Y:捕集場所、E:抽気口、
P:捕集物流入経路、PX:分離液体流通経路、PY:分離蒸気流通経路
【特許請求の範囲】
【請求項1】
水を蒸気に変化させるボイラと、
複数段の動翼と複数段の静翼とを有し、前記ボイラからの蒸気により駆動される上流側タービンと、
複数段の動翼と複数段の静翼とを有し、前記上流側タービンからの蒸気により駆動される下流側タービンと、
前記下流側タービンから排気された蒸気を水に戻す復水器と、
前記上流側タービン内の最終段の動翼の入口よりも上流の蒸気、または前記上流側タービンから排気された蒸気から、水を捕集する捕集機構と、
前記捕集機構により捕集された捕集物を、前記上流側タービンの最終段の動翼の出口から前記下流側タービンの最終段の動翼の入口に到る間の蒸気、前記上流側タービン内の前記捕集物の捕集場所と前記最終段の動翼の入口との間の蒸気、前記復水器から前記ボイラに到る間の水、前記上流側タービンまたは前記下流側タービンの抽気口からの抽気蒸気、前記抽気蒸気が流入する給水加熱器の内部、または前記抽気蒸気が流入する給水ポンプ駆動用蒸気タービンの内部、に流入させる捕集物流入経路と、
を具備する事を特徴とする蒸気タービンプラント。
【請求項2】
前記捕集物流入経路は、前記捕集物を、
前記上流側タービンと前記下流側タービンとの間、または
前記下流側タービンの入口または途中段、
に流入させる事を特徴とする請求項1に記載の蒸気タービンプラント。
【請求項3】
前記捕集物流入経路は、前記捕集物を、
前記復水器と、前記復水器から前記ボイラに水を搬送するための復水ポンプとの間、
前記抽気蒸気が流入し、前記復水器からの水を加熱する前記給水加熱器の内部、
前記抽気口と前記復水器との間に配置され、前記抽気蒸気が流入する前記給水ポンプ駆動用蒸気タービンの内部、または
前記抽気口と前記給水加熱器または前記給水ポンプ駆動用蒸気タービンとの間の抽気蒸気、
に流入させる事を特徴とする請求項1に記載の蒸気タービンプラント。
【請求項4】
前記捕集物流入経路上に配置され、前記捕集物または前記捕集物が変化した物を気体と液体とに分離する気液分離器を具備し、
前記捕集物流入経路は、前記分離された気体を、前記上流側タービンの最終段の動翼の出口から前記下流側タービンの最終段の動翼の入口に到る間の蒸気、または前記上流側タービン内の前記捕集物の捕集場所と前記最終段の動翼の入口との間の蒸気、に流入させる事を特徴とする請求項1に記載の蒸気タービンプラント。
【請求項5】
前記捕集物流入経路は、前記分離された気体を、
前記上流側タービンと前記下流側タービンとの間、
前記下流側タービンの入口または途中段、または
前記上流側タービン内の前記捕集物の捕集場所と前記最終段の動翼の入口との間、
に流入させる事を特徴とする請求項4に記載の蒸気タービンプラント。
【請求項6】
前記分離された液体を、
前記復水器と、前記復水器から前記ボイラに水を搬送するための復水ポンプとの間、
前記抽気蒸気が流入し、前記復水器からの水を加熱する前記給水加熱器の内部、
前記抽気口と前記復水器との間に配置され、前記抽気蒸気が流入する前記給水ポンプ駆動用蒸気タービンの内部、または
前記抽気口と前記給水加熱器または前記給水ポンプ駆動用蒸気タービンとの間の抽気蒸気、
に流入させる事を特徴とする請求項4または5に記載の蒸気タービンプラント。
【請求項7】
前記捕集機構は、前記上流側タービンから排気された蒸気から水を分離し、前記捕集物として、少なくとも前記分離された水を捕集する湿分分離器であり、
前記捕集物流入経路は、前記捕集物を、前記復水器から前記ボイラに到る間の水、前記抽気口からの抽気蒸気、前記抽気蒸気が流入する前記給水加熱器の内部、または前記抽気蒸気が流入する前記給水ポンプ駆動用蒸気タービンの内部、に流入させる事を特徴とする請求項1に記載の蒸気タービンプラント。
【請求項8】
前記捕集物流入経路は、前記捕集物を、
前記復水器と、前記復水器から前記ボイラに水を搬送するための復水ポンプとの間、
前記抽気蒸気が流入し、前記復水器からの水を加熱する前記給水加熱器の内部、
前記抽気口と前記復水器との間に配置され、前記抽気蒸気が流入する前記給水ポンプ駆動用蒸気タービンの内部、または
前記抽気口と前記給水加熱器または前記給水ポンプ駆動用蒸気タービンとの間の抽気蒸気、
に流入させる事を特徴とする請求項7に記載の蒸気タービンプラント。
【請求項9】
前記捕集物流入経路は、前記捕集物の流通を停止または流量を調整する弁を具備する事を特徴とする請求項1から8のいずれか1項に記載の蒸気タービンプラント。
【請求項10】
前記分離された液体を流通させる分離液体流通経路を具備し、
前記捕集物流入経路は、前記気液分離器の下流において、前記分離された気体の流通を停止または流量を調整する弁を具備し、
前記分離液体流通経路は、前記分離された液体の流通を停止または流量を調整する弁を具備する事を特徴とする請求項4から6のいずれか1項に記載の蒸気タービンプラント。
【請求項1】
水を蒸気に変化させるボイラと、
複数段の動翼と複数段の静翼とを有し、前記ボイラからの蒸気により駆動される上流側タービンと、
複数段の動翼と複数段の静翼とを有し、前記上流側タービンからの蒸気により駆動される下流側タービンと、
前記下流側タービンから排気された蒸気を水に戻す復水器と、
前記上流側タービン内の最終段の動翼の入口よりも上流の蒸気、または前記上流側タービンから排気された蒸気から、水を捕集する捕集機構と、
前記捕集機構により捕集された捕集物を、前記上流側タービンの最終段の動翼の出口から前記下流側タービンの最終段の動翼の入口に到る間の蒸気、前記上流側タービン内の前記捕集物の捕集場所と前記最終段の動翼の入口との間の蒸気、前記復水器から前記ボイラに到る間の水、前記上流側タービンまたは前記下流側タービンの抽気口からの抽気蒸気、前記抽気蒸気が流入する給水加熱器の内部、または前記抽気蒸気が流入する給水ポンプ駆動用蒸気タービンの内部、に流入させる捕集物流入経路と、
を具備する事を特徴とする蒸気タービンプラント。
【請求項2】
前記捕集物流入経路は、前記捕集物を、
前記上流側タービンと前記下流側タービンとの間、または
前記下流側タービンの入口または途中段、
に流入させる事を特徴とする請求項1に記載の蒸気タービンプラント。
【請求項3】
前記捕集物流入経路は、前記捕集物を、
前記復水器と、前記復水器から前記ボイラに水を搬送するための復水ポンプとの間、
前記抽気蒸気が流入し、前記復水器からの水を加熱する前記給水加熱器の内部、
前記抽気口と前記復水器との間に配置され、前記抽気蒸気が流入する前記給水ポンプ駆動用蒸気タービンの内部、または
前記抽気口と前記給水加熱器または前記給水ポンプ駆動用蒸気タービンとの間の抽気蒸気、
に流入させる事を特徴とする請求項1に記載の蒸気タービンプラント。
【請求項4】
前記捕集物流入経路上に配置され、前記捕集物または前記捕集物が変化した物を気体と液体とに分離する気液分離器を具備し、
前記捕集物流入経路は、前記分離された気体を、前記上流側タービンの最終段の動翼の出口から前記下流側タービンの最終段の動翼の入口に到る間の蒸気、または前記上流側タービン内の前記捕集物の捕集場所と前記最終段の動翼の入口との間の蒸気、に流入させる事を特徴とする請求項1に記載の蒸気タービンプラント。
【請求項5】
前記捕集物流入経路は、前記分離された気体を、
前記上流側タービンと前記下流側タービンとの間、
前記下流側タービンの入口または途中段、または
前記上流側タービン内の前記捕集物の捕集場所と前記最終段の動翼の入口との間、
に流入させる事を特徴とする請求項4に記載の蒸気タービンプラント。
【請求項6】
前記分離された液体を、
前記復水器と、前記復水器から前記ボイラに水を搬送するための復水ポンプとの間、
前記抽気蒸気が流入し、前記復水器からの水を加熱する前記給水加熱器の内部、
前記抽気口と前記復水器との間に配置され、前記抽気蒸気が流入する前記給水ポンプ駆動用蒸気タービンの内部、または
前記抽気口と前記給水加熱器または前記給水ポンプ駆動用蒸気タービンとの間の抽気蒸気、
に流入させる事を特徴とする請求項4または5に記載の蒸気タービンプラント。
【請求項7】
前記捕集機構は、前記上流側タービンから排気された蒸気から水を分離し、前記捕集物として、少なくとも前記分離された水を捕集する湿分分離器であり、
前記捕集物流入経路は、前記捕集物を、前記復水器から前記ボイラに到る間の水、前記抽気口からの抽気蒸気、前記抽気蒸気が流入する前記給水加熱器の内部、または前記抽気蒸気が流入する前記給水ポンプ駆動用蒸気タービンの内部、に流入させる事を特徴とする請求項1に記載の蒸気タービンプラント。
【請求項8】
前記捕集物流入経路は、前記捕集物を、
前記復水器と、前記復水器から前記ボイラに水を搬送するための復水ポンプとの間、
前記抽気蒸気が流入し、前記復水器からの水を加熱する前記給水加熱器の内部、
前記抽気口と前記復水器との間に配置され、前記抽気蒸気が流入する前記給水ポンプ駆動用蒸気タービンの内部、または
前記抽気口と前記給水加熱器または前記給水ポンプ駆動用蒸気タービンとの間の抽気蒸気、
に流入させる事を特徴とする請求項7に記載の蒸気タービンプラント。
【請求項9】
前記捕集物流入経路は、前記捕集物の流通を停止または流量を調整する弁を具備する事を特徴とする請求項1から8のいずれか1項に記載の蒸気タービンプラント。
【請求項10】
前記分離された液体を流通させる分離液体流通経路を具備し、
前記捕集物流入経路は、前記気液分離器の下流において、前記分離された気体の流通を停止または流量を調整する弁を具備し、
前記分離液体流通経路は、前記分離された液体の流通を停止または流量を調整する弁を具備する事を特徴とする請求項4から6のいずれか1項に記載の蒸気タービンプラント。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【公開番号】特開2012−107610(P2012−107610A)
【公開日】平成24年6月7日(2012.6.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−164613(P2011−164613)
【出願日】平成23年7月27日(2011.7.27)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【公開日】平成24年6月7日(2012.6.7)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年7月27日(2011.7.27)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
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