説明

蒸気使用量計測装置

【課題】負荷機器から発生するドレンの流量に基づいて蒸気の使用量を正確に計測することができる蒸気使用量計測装置を提供する。
【解決手段】タンク36に貯留されたドレンがドレン排出弁38を通ってドレンライン20を流れている期間、ドレン流量算出手段52Aは、差圧検出器40により検出された差圧に基づいて単位時間当たりのドレン流量を算出する。また、ドレン流量積算値算出手段52Bは、ドレン流量算出手段52Aによって算出されたドレン流量を積算することによりドレン流量の積算値を算出する。蒸気使用量算出手段34は、ドレン流量積算値算出手段52Bによって算出されたドレン流量の積算値から蒸気の使用量の積算値を算出する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、蒸気供給源から負荷機器に供給され該負荷機器で使用される蒸気の使用量を計測する蒸気使用量計測装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ボイラ(蒸気供給源)から供給される蒸気を利用する暖房装置や熱風乾燥機などの負荷機器がある。
ボイラから負荷機器に供給される蒸気流量、すなわち、負荷機器において使用される蒸気の使用量を計測することが行われている(特許文献1参照)。
この場合、蒸気流量の計測は、ボイラから負荷機器に蒸気を供給する蒸気供給ラインに介設した市販品の蒸気流量計を用いて行われている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平3−36404号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、市販品の蒸気流量計は、負荷機器における最大蒸気使用量に合わせて計測流量範囲を選定しており、その計測範囲には下限があるため、負荷機器が低負荷の場合は、蒸気流量を精度良く計測することが難しい。そのため、負荷機器における蒸気使用量を正確に把握することができない課題がある。
ところで、蒸気供給源から供給される蒸気を負荷機器が利用することによって負荷機器から発生するドレンの量は、負荷機器で使用される蒸気の使用量に対応する。ドレンの流量は比較的正確に測定できるため、ドレン流量に基づいて蒸気の使用量を計測することが考えられる。
本発明は上記のような点に鑑みなされたもので、負荷機器における蒸気の使用量を広い範囲にわたって正確に計測することができる蒸気使用量計測装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、蒸気供給源から負荷機器に供給され該負荷機器で使用される蒸気の使用量を計測する蒸気使用量計測装置であって、前記蒸気供給源から供給される蒸気を前記負荷機器が利用することによって前記負荷機器から発生するドレンの流量を計測するドレン流量計測手段と、前記ドレン流量計測手段により計測されたドレンの流量から前記蒸気の使用量を算出する蒸気使用量算出手段とを備えることを特徴とする。
【0006】
請求項1に記載の発明によれば、蒸気供給源から供給される蒸気を負荷機器が利用することによって負荷機器から発生するドレンの流量を計測し、計測したドレンの流量から負荷機器で使用される蒸気使用量を算出するようにした。したがって、蒸気使用量を広い範囲にわたって精度良く計測することができる。
【0007】
請求項2に記載の発明は、前記ドレン流量計測手段は、前記負荷機器から発生したドレンが流れるドレンラインに介設され前記ドレンを一時的に貯留するドレン貯留部と、前記ドレンラインのうち、前記ドレン貯留部よりも下流側の箇所に介設された流量制御手段と、前記ドレンラインの前記流量制御手段の上流側と下流側との差圧を検出する差圧検出手段と、前記ドレン貯留部に貯留されたドレンが前記流量制御手段を通って前記ドレンラインを流れている状態で前記差圧検出手段により検出された前記差圧に基づいて単位時間当たりのドレン流量を算出するドレン流量算出手段と、前記ドレン流量算出手段によって算出された前記ドレン流量を積算することによりドレン流量の積算値を算出するドレン流量積算値算出手段とを含んで構成され、前記蒸気使用量算出手段は、前記ドレン流量の積算値から蒸気の使用量の積算値を算出することを特徴とする。
【0008】
請求項2に記載の発明によれば、差圧検出手段によって検出した差圧に基づいて算出された単位時間当たりのドレン流量からドレン流量の積算値を算出し、その積算値から蒸気の使用量の積算値を算出するようにした。したがって、差圧検出手段を設けるといった簡単な構成によって蒸気使用量の積算値を的確に計測することができ、構成の簡素化およびコストの低減化を図ることができる。
【0009】
請求項3に記載の発明は、前記ドレン流量計測手段は、前記負荷機器から発生したドレンが流れるドレンラインに介設され前記ドレンを一時的に貯留するドレン貯留部と、前記ドレン貯留部に予め定められた一定量のドレンが貯まるまでに要する到達時間を検出する時間検出手段と、前記一定量を前記到達時間で除することにより単位時間当たりのドレン流量を算出するドレン流量算出手段とを含んで構成され、前記蒸気使用量算出手段は、前記単位時間当たりのドレン流量から単位時間当たりの蒸気の使用量を算出することを特徴とする。
【0010】
請求項3に記載の発明によれば、ドレンタンクに一定量のドレンが貯まるまでに要する到達時間を検出し、一定量を到達時間で除することにより単位時間当たりのドレン流量を算出し、単位時間当たりのドレン流量から単位時間当たりの蒸気の使用量を算出するようにした。したがって、簡素な構成により蒸気使用量を正確に計測することができ、構成の簡素化およびコストの低減化を図ることができる。
【0011】
請求項4に記載の発明は、前記ドレン流量計測手段は、前記ドレン貯留部内における前記ドレンの液位が、予め定められた低液位に到達したこと、および、前記低液位よりも高い予め定められた高液位に到達したことを検出する液位検出手段をさらに含み、前記時間検出手段は、前記液位検出手段の検出結果に基づいて前記ドレンの液位が前記低液位から前記高液位に到達するまでに要する時間を前記到達時間として検出することを特徴とする。
【0012】
請求項4に記載の発明によれば、液位検出手段の検出結果に基づいてドレンの液位が低液位から高液位に到達するまでに要する時間を到達時間として検出するようにした。したがって、液位検出手段を設けるという簡単な構成によって到達時間を検出することができるため、構成の簡素化およびコストの低減化を図ることができる。
【0013】
請求項5に記載の発明は、前記ドレン流量計測手段は、前記ドレンラインのうち、前記ドレン貯留部よりも下流側の箇所に介設されたドレン排出弁と、前記液位検出手段の検出結果に基づいて、前記ドレンの液位が前記低液位を下回ったと判定したときに前記ドレン排出弁を閉状態とし、前記ドレンの液位が前記高液位に到達したと判定したときに前記ドレン排出弁を開状態とする弁制御手段と、前記ドレン排出弁が閉状態を継続し次いで開状態を継続する一連の工程を単位工程としたとき、前記単位工程に要する時間を単位工程時間として検出する単位工程時間検出手段と、前記単位工程時間と前記算出されたドレン流量と乗算することにより単位工程当たりのドレン流量を算出し、かつ、前記単位工程が繰り返される毎に前記単位工程当たりのドレン流量を積算することによりドレン流量の積算値を算出するドレン流量積算値算出手段とをさらに含み、前記蒸気使用量算出手段は、前記ドレン流量の積算値から蒸気の使用量の積算値を算出することを特徴とする。
【0014】
請求項5に記載の発明によれば、単位工程時間と算出されたドレン流量と乗算することにより単位工程当たりのドレン流量を算出し、かつ、単位工程が繰り返される毎に単位工程当たりのドレン流量を積算することによりドレン流量の積算値を算出し、ドレン流量の積算値から蒸気の使用量の積算値を算出するようにした。したがって、蒸気使用量の積算値を的確に計測することができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、負荷機器から発生するドレンの流量を計測し、計測したドレンの流量から負荷機器で使用される蒸気使用量を算出するようにしたので、蒸気使用量を広い範囲にわたって精度良く計測することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】第1の実施の形態における蒸気使用量計測装置30の構成を示す構成図である。
【図2】第2の実施の形態における蒸気使用量計測装置30の構成を示す構成図である。
【図3】第2の実施の形態における蒸気使用量計測装置30の動作を説明するフローチャートである。
【図4】(A)乃至(D)は第2の実施の形態における蒸気使用量計測装置30の動作説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
(第1の実施の形態)
以下、本発明にかかる蒸気使用量計測装置の実施の形態について、図1を参照して説明する。
本実施の形態では、蒸気使用量計測装置30が、負荷機器としての熱風乾燥機10から発生するドレン流量を計測する場合について説明する。
まず、熱風乾燥機10について説明する。
熱風乾燥機10は、ダクト12と、熱交換器14と、乾燥室16と、蒸気供給ライン18と、ドレンライン20と、温度センサ22と、負荷機器制御部24とを含んで構成されている。
【0018】
ダクト12は、例えば筒状を呈する側壁1202と、側壁1202の長手方向の一端に形成された上流側開口部1204と、他端に形成された下流側開口部1206とを備える。
熱交換器14は、ダクト12の内部に配設され、蒸気供給ライン18を介して供給される蒸気と、ダクト12の内部を流れる空気Aとの間で熱交換を行うことにより、空気Aを加熱するものである。
不図示の送風機から上流側開口部1204に空気Aが供給されることにより、ダクト12の内部を流れる空気Aが熱交換器14で加熱され、加熱された空気が下流側開口部1206から熱風Ahとして乾燥室16に供給される。
乾燥室16は、乾燥物を収容するものであり、供給された熱風Ahが乾燥室16内を流れることにより乾燥物の乾燥がなされる。
【0019】
蒸気供給ライン18は、蒸気供給源としてのボイラ26から供給される蒸気を熱交換器14に供給するものである。
蒸気供給ライン18には、減圧弁28と、制御弁29とが介設されている。
減圧弁28は、下流側の蒸気の圧力(背圧)を一定に保つものである。
制御弁29は、減圧弁28の下流側に配置され、負荷機器制御部24から供給される制御信号に基づいて開度調整がなされることにより蒸気供給ライン18の蒸気流量を制御するものである。
【0020】
温度センサ22は、下流側開口部1206を通る熱風Ahの温度を検出してその検出結果を負荷機器制御部24に供給するものである。
負荷機器制御部24は、温度センサ22で検出された熱風の温度が予め定められた目標温度に維持されるように制御弁29に制御信号を与えてその開度を制御する。
【0021】
ドレンライン20は、蒸気が熱交換器14を通ることで生じるドレンをドレン回収元に回収し、あるいは、ドレンを排出するものである。ドレンライン20を介してドレン回収元に回収されたドレンは、例えば、ボイラ26の給水として再利用される。
【0022】
次に、蒸気使用量計測装置30について説明する。
蒸気使用量計測装置30は、ドレン流量計測手段32と、蒸気使用量算出手段34とを備える。
ドレン流量計測手段32は、ボイラ26から供給される蒸気を熱風乾燥機10が利用することによって熱風乾燥機10から発生するドレンの流量を計測するものである。
蒸気使用量算出手段34は、ドレン流量計測手段32により計測されたドレンの流量から熱風乾燥機10で使用される蒸気の使用量を算出するものである。
【0023】
ドレン流量計測手段32は、ドレン貯留部としてのタンク36と、ドレン排出弁38と、差圧検出器40と、温度センサ44と、圧力センサ46と、第1、第2の液位センサ48、50と、制御部52とを含んで構成されている。
【0024】
タンク36は、ドレンライン20に介設されドレンを一時的に貯留するものであり、ドレンに圧力をかけた状態で貯留する。図中、符号42は、タンク36の下部に設けられた開閉弁を示す。開閉弁42は、通常は閉状態とされており、初期ドレン排出や保守作業などの目的でタンク36に貯留されたドレンを全て排出する際に開状態とされる。
【0025】
ドレン排出弁38は、ドレンライン20のうち、タンク36よりも下流側の箇所に介設されており、制御部52から供給される制御信号により開閉制御されるものであり、ドレン排出弁38は、ドレンの流量を制御する流量制御手段を構成する。
本実施の形態では、ドレン排出弁38は、制御信号によって開度が調整されるモータ弁あるいは比例弁で構成されている。
【0026】
差圧検出器40は、ドレンライン20のドレン排出弁38の上流側と下流側との差圧を検出してその検出結果を制御部52に供給するものであり、差圧検出手段を構成する。
【0027】
温度センサ44は、タンク36に貯留されたドレンの温度を検出してその検出結果を制御部52に供給する。
圧力センサ46は、タンク36に貯留されたドレンの圧力を検出してその検出結果を制御部52に供給する。
【0028】
第1の液位センサ48は、タンク36内におけるドレンの液位が、予め定められた低液位Lに到達したか否かを検出し、その検出結果を制御部52に供給する。
第2の液位センサ50は、低液位Lよりも高い予め定められた高液位Hに到達したか否かを検出し、その検出結果を制御部52に供給する。
第1、第2の液位センサ48、50としては、ドレンよりも比重が軽い浮子(フロート)の位置に基づいて液位を検出するフロート式の液位センサ、あるいは、電極がドレンに浸るか否かによって変化する静電容量を検出する静電容量式の液位センサなど従来公知のさまざまな液位センサが使用可能である。
【0029】
なお、図中符号41は、タンク36とドレン排出弁38および差圧検出器40との間に介設されたサブクール用の熱交換器を示す。
サブクール用の熱交換器41は、冷却水が供給されることによりタンク36からドレンライン20に流れるドレンの温度を下げることでフラッシュ(再蒸発)を防止する目的で設けられる。
フラッシュとは、ドレン排出弁38を境にしてドレン排出弁38の下流側では上流側に比べて圧力が下がるため、高温のドレンの一部が蒸気になる現象である。フラッシュが生じると、流量計測が正確にできなくなる他、配管が振動し配管の耐久性に悪影響を与えるおそれがある。
【0030】
制御部52は、CPUと、バスラインを介して接続されたROM、RAM、インタフェースなどを含むマイクロコンピュータで構成されている。ROMはCPUが実行する制御プログラムなどを格納し、RAMはワーキングエリアを提供する。
制御部52は、CPUが制御プログラムを実行することにより、差圧検出器40、温度センサ44、圧力センサ46、第1、第2の液位センサ48、50からの検出結果を受け付けると共に、ドレン排出弁38に制御信号を供給して開閉制御を行う。
また、制御部52は、CPUが制御プログラムを実行することにより、前記の蒸気使用量算出手段34と、ドレン流量算出手段52Aおよびドレン流量積算値算出手段52Bとを実現する。
【0031】
ドレン流量算出手段52Aは、タンク36に貯留されたドレンがドレン排出弁38を通ってドレンライン20を流れている状態で差圧検出器40により検出された差圧に基づいて単位時間当たりのドレン流量を算出する。
なお、ドレン流量は、流路断面積と差圧とに基づいて算出されるため、制御部52は流路断面積を特定する必要がある。
本実施の形態では、ドレン排出弁38が開度を調整可能であるため、制御部52は、ドレン排出弁38の開度を検出すると共に、開度から流路断面積を特定するためのマップを備えており、検出した開度からマップに基づいて流路断面積を特定する。
【0032】
ドレン流量積算値算出手段52Bは、ドレン流量算出手段52Aによって算出されたドレン流量を積算することによりドレン流量の積算値を算出する。
より詳細には、ドレン流量積算値算出手段52Bは、ドレン排出弁38が開状態となっている時間(ドレンがドレン排出弁38を通過している時間)を計時し、その時間と、単位時間当たりのドレン流量とを乗算することにより、ドレン排出弁38が開状態となっている間に流れるドレン流量の積算値を算出する。
【0033】
次に、蒸気使用量計測装置30の動作について説明する。
ボイラ26から供給される蒸気を使用して熱風乾燥機10が動作することにより熱風乾燥機10から発生したドレンはドレンライン20を介してタンク36に貯留される。
タンク36に貯留されるドレンの量が増加するに従ってドレンの液位は上昇し、やがて、第2の液位センサ50によってドレンの液位が高液位Hに到達したことが検出されたならば、ドレン排出弁38を閉状態から開状態に制御する。
これにより、タンク36に貯留されていたドレンは、ドレン排出弁38を通ってドレン回収元へ供給される。
【0034】
タンク36からドレンがドレン回収元へ供給されることによりタンク36に貯留されるドレンの量が減少するに従ってドレンの液位は下降し、やがて、液位が低液位Lよりも低位となり、第1の液位センサ48によってドレンの液位が検出されなくなる。
すると、制御部52は、ドレン排出弁38を開状態から閉状態に制御し、再び、タンク36にドレンを貯留させる。
【0035】
タンク36に貯留されたドレンがドレン排出弁38を通ってドレンライン20を流れている期間、ドレン流量算出手段52Aは、差圧検出器40により検出された差圧に基づいて単位時間当たりのドレン流量を算出する。
また、ドレン流量積算値算出手段52Bは、ドレン流量算出手段52Aによって算出された単位時間当たりのドレン流量にそのときのドレン排出弁38の開時間を乗算してその乗算値を積算することによりドレン流量の積算値を算出し、あるいは、単位時間当たりのドレン流量の時間に対する変化値を積分してその積分値を積算することによりドレン流量の積算値を算出する。
【0036】
蒸気使用量算出手段34は、ドレン流量積算値算出手段52Bによって算出されたドレン流量の積算値から蒸気の使用量の積算値を算出する。
算出された蒸気使用量の積算値は、例えば、不図示のパーソナルコンピュータなどの外部装置に供給され、外部装置のディスプレイ装置に表示され、あるいは、外部装置の記憶媒体に格納される。
【0037】
なお、ドレン排出弁38は、全開と全閉とに切り替えられる電磁弁であってもよく、その場合には、ドレン流量算出手段52Aは、ドレン排出弁38の全開状態での流路断面積と差圧とに基づいてドレン流量を算出すればよい。この場合には、電磁弁が流量制御手段を構成する。
また、ドレン排出弁38の他にオリフィスをドレンライン20に設け、オリフィスの上流側と下流側との差圧を差圧検出器40で検出し、ドレン流量算出手段52Aは、検出された差圧とオリフィスの流路断面積とに基づいてドレン流量を算出するようにしてもよい。この場合には、オリフィスが流量制御手段を構成する。
【0038】
以上説明したように、第1の実施の形態によれば、ボイラ26から供給される蒸気を熱風乾燥機10が利用することによって熱風乾燥機10から発生するドレンの流量を計測し、計測したドレンの流量から熱風乾燥機10で使用される蒸気使用量を算出するようにした。
すなわち、液相であるドレンの流量は、蒸気の流量に比較して正確に計測できることから、市販品の蒸気流量計によって蒸気の流量を計測する場合に比較して、蒸気使用量を広い範囲にわたって正確に計測することができる。
したがって、負荷機器が低負荷の場合であっても、蒸気使用量を精度良く計測することができる。
【0039】
また、本実施の形態では、差圧検出器40によってドレン排出弁38の上流側と下流側との差圧を検出し、この差圧に基づいて算出された単位時間当たりのドレン流量からドレン流量の積算値を算出し、その積算値から蒸気の使用量の積算値を算出するようにした。
したがって、差圧検出手段を設けるといった簡単な構成によって蒸気使用量の積算値を的確に計測することができ、構成の簡素化およびコストの低減化を図ることができる。
【0040】
(第2の実施の形態)
次に第2の実施の形態について説明する。
図2は第2の実施の形態における蒸気使用量計測装置30の構成を示す構成図である。
以下の実施の形態において第1の実施の形態と同様あるいは同一の部分、部材については同一の符号を付してその説明を省略し、あるいは、説明を簡単に行う。
図2に示すように、蒸気使用量計測装置30は、第1の実施の形態と同様に、ドレン流量計測手段32と、蒸気使用量算出手段34とを備えるが、ドレン流量計測手段32の構成が第1の実施の形態と異なる。
図2に示すように、ドレン流量計測手段32は、タンク36と、ドレン排出弁38と、時間検出手段54Aと、ドレン流量算出手段54Bと、弁制御手段54Cと、単位工程時間検出手段54Dと、ドレン流量積算値算出手段54Eとを含んで構成されている。
なお、蒸気使用量算出手段34、時間検出手段54A、ドレン流量算出手段54B、弁制御手段54C、単位工程時間検出手段54D、ドレン流量積算値算出手段54Eは、制御部52のCPUが制御プログラムを実行することによって実現される。
【0041】
タンク36は、第1の実施の形態と同様に、ドレンライン20に介設されドレンを一時的に貯留するものである。
ドレン排出弁38は、第1の実施の形態と同様に、ドレンライン20のうち、タンク36よりも下流側の箇所に介設されており、制御部52から供給される制御信号により開閉制御される。
【0042】
時間検出手段54Aは、タンク36に予め定められた一定量のドレンが貯まるまでに要する到達時間を検出するものである。
具体的には、制御部52は計時動作を行うタイマを用いて到達時間の検出を行う。制御部52がタイマを起動させることにより時間が計時され、制御部52がタイマをリセットすることでタイマが初期化される。
第2の実施の形態では、前記一定量のドレンは、タンク36内におけるドレンの液位が低液位Lから高液位Hに到達するまでに要するドレンの量である。
そして、時間検出手段54Aは、第1の液位センサ48によりドレンの液位が低液位Lに到達したことが検出されてから、第2の液位センサ50により高液位Hに到達したことが検出されるまでに要する時間を前記の到達時間として検出する。
したがって、第2の実施の形態では、第1、第2の液位センサ48、50は、タンク36内におけるドレンの液位が、予め定められた低液位Lに到達したこと、および、低液位Lよりも高い予め定められた高液位Hに到達したことを検出する液位検出手段を構成する。
【0043】
ドレン流量算出手段54Bは、前記一定量を前記到達時間で除することにより単位時間当たりのドレン流量を算出するものである。
【0044】
弁制御手段54Cは、第1、第2の液位センサ48、50の検出結果に基づいて、ドレンの液位が低液位Lを下回ったと判定したときにドレン排出弁38を閉状態とし、ドレンの液位が高液位Hに到達したと判定したときにドレン排出弁38を開状態とするものである。
【0045】
単位工程時間検出手段54Dは、ドレン排出弁38が閉状態を継続し次いで開状態を継続する一連の工程を単位工程としたとき、単位工程に要する時間を単位工程時間として検出するものである。
具体的には、制御部52が前記のタイマを用いて単位工程時間の検出を行う。
【0046】
ドレン流量積算値算出手段54Eは、単位工程時間と算出されたドレン流量と乗算することにより単位工程当たりのドレン流量を算出し、かつ、単位工程が繰り返される毎に単位工程当たりのドレン流量を積算することによりドレン流量の積算値を算出するものである。
【0047】
蒸気使用量算出手段34は、ドレン流量算出手段54Bによって算出された単位時間当たりのドレン流量から単位時間当たりの蒸気の使用量を算出し、ドレン流量積算値算出手段54Eによって算出されたドレン流量の積算値から蒸気の使用量の積算値を算出する。
【0048】
次に、蒸気使用量計測装置30の動作について図3のフローチャート、図4の動作説明図を参照して説明する。
熱風乾燥機10の動作が開始されると、まず、制御部52は、計測動作の開始に先立って、ドレン排出弁38を開状態としタンク36内のドレンを排出させドレンの液位が低液位Lに到達したならば、ドレン排出弁38を閉状態とする(ステップS10)。そして、制御部52はタイマを起動させる(ステップS12)。
図4(A)、(B)に示すように、熱風乾燥機10の動作に伴い、ドレンライン20を介してドレンがタンク36に供給され、タンク36内のドレンの液位が次第に上昇する。
【0049】
制御部52は、第2の液位センサ50の検出結果に基づいてドレンの液位が高液位Hに到達したか否かを判定する(ステップS14)。
制御部52は、ステップS14の判定結果がNoならばステップS14を繰り返す。
図4(C)に示すように、ドレンの液位が高液位Hに到達してステップS14の判定結果がYesならば、制御部52は、図4(D)に示すように、ドレン排出弁38を閉状態から開状態としてタンク36からドレンを排出させる(ステップS16:弁制御手段54C)。そして、制御部52は、タイマの計時結果に基づいて到達時間を検出する(ステップS18:時間検出手段54A)。
そして、制御部52は、前記一定量を到達時間で除することにより単位時間当たりのドレン流量を算出する(ステップS20:ドレン流量算出手段54B)。
そして、制御部52は、単位時間当たりのドレン流量から単位時間当たりの蒸気使用量を算出する(ステップS22:蒸気使用量算出手段34)。
【0050】
タンク36内のドレンの液位が次第に下降する。制御部52は、第1の液位センサ48の検出結果に基づいてドレンの液位が低液位Lに到達したか否かを判定する(ステップS24)。
制御部52は、ステップS24の判定結果がNoであればステップS24を繰り返す。
図4(E)に示すように、ドレンの液位が低液位Lに到達してステップS24の判定結果がYesならば、ドレン排出弁38を開状態から閉状態とする(ステップS26:弁制御手段54C)。
そして、制御部52は、タイマの計時結果に基づいて単位工程時間を検出する(ステップS28:単位工程時間検出手段54D)。ここで、単位工程時間は、ドレン排出弁38が閉状態を継続し次いで開状態を継続する一連の工程(ステップS12〜S26)を単位工程としたときに要する時間に相当する。
次いで、制御部52は、タイマをいったんリセットして初期化したのち、起動させ計時動作を再度開始させる(ステップS30)。
【0051】
制御部52は、ステップS28で検出した単位工程時間と、ステップS20で算出された単位時間当たりのドレン流量とを乗算することにより単位工程当たりのドレン流量を算出し、かつ、単位工程当たりのドレン流量を積算することによりドレン流量の積算値を算出する(ステップS32、S34:ドレン流量積算値算出手段54E)。
そして、制御部52は、ドレン流量の積算値から蒸気使用量の積算値を算出する(ステップS36:蒸気使用量算出手段34)。
次いで、制御部52は、ステップS14に移行してステップS14〜S36の処理ループを繰り返す。したがって、この処理ループが実行される毎に(単位工程が繰り返される毎に)ステップS34が実行されることにより、単位工程当たりのドレン流量が積算されることになる。
また、ステップS22、S36で算出された単位時間当たりの蒸気使用量、蒸気使用量の積算値は、例えば、不図示のパーソナルコンピュータなどの外部装置に供給され、外部装置のディスプレイ装置に表示され、あるいは、外部装置の記憶媒体に格納される。
なお、本実施の形態では、前記の単位工程内においては、ドレン排出弁38の開状態が継続されてドレンが排出されている期間と、ドレン排出弁38の閉状態が継続されている期間との双方においてタンク36に流入するドレンの流量がほぼ同一であると仮定している。
【0052】
以上説明したように、第2の実施の形態によれば、第1の実施の形態と同様に、熱風乾燥機10から発生するドレンの流量を計測し、計測したドレンの流量から熱風乾燥機10で使用される蒸気使用量を算出するようにした。
したがって、負荷機器が低負荷の場合であっても、蒸気使用量を広い範囲にわたって精度良く計測することができる。
【0053】
また、第2の実施の形態では、タンク36に予め定められた一定量のドレンが貯まるまでに要する到達時間を検出し、一定量を到達時間で除することにより単位時間当たりのドレン流量を算出し、単位時間当たりのドレン流量から単位時間当たりの蒸気の使用量を算出するようにした。
したがって、市販品の蒸気流量計によって蒸気の流量を計測する場合に比較して、蒸気使用量を広い範囲にわたって正確に計測することができる。
また、第1の実施の形態に比較して、ドレン排出弁38の上流側と下流側との差圧を検出する差圧検出器40が不要となるため、構成の簡素化およびコスト低減化を図ることができる。
【0054】
また、第2の実施の形態では、第1、第2の液位センサ48、50の検出結果に基づいてドレンの液位が低液位Lから高液位Hに到達するまでに要する時間を到達時間として検出するようにした。
したがって、タンク36に第1、第2の液位センサ48、50を設けるという簡単な構成によって到達時間を検出することができるため、構成の簡素化およびコスト低減化を図ることができる。
【0055】
また、第2の実施の形態では、ドレン排出弁38が閉状態を継続し次いで開状態を継続する一連の工程を単位工程としたとき、単位工程に要する時間を単位工程時間として検出し、単位工程時間と算出されたドレン流量と乗算することにより単位工程当たりのドレン流量を算出し、かつ、単位工程が繰り返される毎に単位工程当たりのドレン流量を積算することによりドレン流量の積算値を算出し、ドレン流量の積算値から蒸気の使用量の積算値を算出するようにした。
したがって、単位時間当たりのドレン流量に基づいて蒸気使用量の積算値を的確に計測することができる。
【0056】
(第3の実施の形態)
次に第3の実施の形態について図2を流用して説明する。
第3の実施の形態は、市販の流量計(ドレン流量計)をドレンライン20に介設することによりドレン流量を検出するようにしたものである。
流量計を介設する箇所は、図2に示すドレンライン20上の箇所であればよく限定されない。
具体的には、負荷機器とタンク36との間の箇所X、タンク36とドレン排出弁38との間の箇所Y、ドレン排出弁38よりも下流側の箇所Zの何れであっても良い。
ただし、ドレンの流量を正確に検出するためには、ドレンが受ける圧力変化が少ない方が好ましいという観点からみると、ドレン排出弁38が閉状態から開状態に変化したときに圧力変化が生じやすい箇所Zよりも、圧力変化が少ない箇所X、箇所Yがより好ましい。
【0057】
第3の実施の形態では、以下のようにして負荷機器から発生するドレンの流量を流量計によって検出し、検出したドレンの流量に基づいて蒸気の使用量を算出すればよい。
すなわち、流量計が前記の箇所Xに介設されている場合は、制御部52は、負荷機器からドレンライン20を介してタンク36に供給されるドレンを流量計で検出し、検出されたドレンの流量の積算値を算出し、この流量の積算値から蒸気の使用量の積算値を算出すればよい。
また、流量計が前記の箇所Y、箇所Zに介設されている場合は、制御部52は、ドレン排出弁38を開状態としたときに、タンク36からドレンライン20を介して排出されるドレンを流量計で検出し、検出されたドレンの流量の積算値を算出し、この流量の積算値から蒸気の使用量の積算値を算出すればよい。
このような第3の実施の形態においても第1の実施の形態と同様に、蒸気使用量を精度良く計測することができる。
【符号の説明】
【0058】
10……熱風乾燥機
20……ドレンライン
26……ボイラ
30……蒸気使用量計測装置
32……ドレン流量計測手段
34……蒸気使用量算出手段
36……タンク
38……ドレン排出弁
40……差圧検出器
44……温度センサ
46……圧力センサ
48……第1の液位センサ
50……第2の液位センサ
52……制御部
52A……ドレン流量算出手段
52B……ドレン流量積算値算出手段
54A……時間検出手段
54B……ドレン流量算出手段
54C……弁制御手段
54D……単位工程時間検出手段
54E……ドレン流量積算値算出手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
蒸気供給源から負荷機器に供給され該負荷機器で使用される蒸気の使用量を計測する蒸気使用量計測装置であって、
前記蒸気供給源から供給される蒸気を前記負荷機器が利用することによって前記負荷機器から発生するドレンの流量を計測するドレン流量計測手段と、
前記ドレン流量計測手段により計測されたドレンの流量から前記蒸気の使用量を算出する蒸気使用量算出手段とを備える、
ことを特徴とする蒸気使用量計測装置。
【請求項2】
前記ドレン流量計測手段は、
前記負荷機器から発生したドレンが流れるドレンラインに介設され前記ドレンを一時的に貯留するドレン貯留部と、
前記ドレンラインのうち、前記ドレン貯留部よりも下流側の箇所に介設された流量制御手段と、
前記ドレンラインの前記流量制御手段の上流側と下流側との差圧を検出する差圧検出手段と、
前記ドレン貯留部に貯留されたドレンが前記流量制御手段を通って前記ドレンラインを流れている状態で前記差圧検出手段により検出された前記差圧に基づいて単位時間当たりのドレン流量を算出するドレン流量算出手段と、
前記ドレン流量算出手段によって算出された前記ドレン流量を積算することによりドレン流量の積算値を算出するドレン流量積算値算出手段とを含んで構成され、
前記蒸気使用量算出手段は、前記ドレン流量の積算値から蒸気の使用量の積算値を算出することを特徴とする、
請求項1に記載の蒸気使用量計測装置。
【請求項3】
前記ドレン流量計測手段は、
前記負荷機器から発生したドレンが流れるドレンラインに介設され前記ドレンを一時的に貯留するドレン貯留部と、
前記ドレン貯留部に予め定められた一定量のドレンが貯まるまでに要する到達時間を検出する時間検出手段と、
前記一定量を前記到達時間で除することにより単位時間当たりのドレン流量を算出するドレン流量算出手段とを含んで構成され、
前記蒸気使用量算出手段は、前記単位時間当たりのドレン流量から単位時間当たりの蒸気の使用量を算出することを特徴とする、
請求項1に記載の蒸気使用量計測装置。
【請求項4】
前記ドレン流量計測手段は、前記ドレン貯留部内における前記ドレンの液位が、予め定められた低液位に到達したこと、および、前記低液位よりも高い予め定められた高液位に到達したことを検出する液位検出手段をさらに含み、
前記時間検出手段は、前記液位検出手段の検出結果に基づいて前記ドレンの液位が前記低液位から前記高液位に到達するまでに要する時間を前記到達時間として検出することを特徴とする、
請求項3に記載の蒸気使用量計測装置。
【請求項5】
前記ドレン流量計測手段は、
前記ドレンラインのうち、前記ドレン貯留部よりも下流側の箇所に介設されたドレン排出弁と、
前記液位検出手段の検出結果に基づいて、前記ドレンの液位が前記低液位を下回ったと判定したときに前記ドレン排出弁を閉状態とし、前記ドレンの液位が前記高液位に到達したと判定したときに前記ドレン排出弁を開状態とする弁制御手段と、
前記ドレン排出弁が閉状態を継続し次いで開状態を継続する一連の工程を単位工程としたとき、前記単位工程に要する時間を単位工程時間として検出する単位工程時間検出手段と、
前記単位工程時間と前記算出されたドレン流量と乗算することにより単位工程当たりのドレン流量を算出し、かつ、前記単位工程が繰り返される毎に前記単位工程当たりのドレン流量を積算することによりドレン流量の積算値を算出するドレン流量積算値算出手段とをさらに含み、
前記蒸気使用量算出手段は、前記ドレン流量の積算値から蒸気の使用量の積算値を算出することを特徴とする、
請求項4に記載の蒸気使用量計測装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−173239(P2012−173239A)
【公開日】平成24年9月10日(2012.9.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−38119(P2011−38119)
【出願日】平成23年2月24日(2011.2.24)
【出願人】(000175272)三浦工業株式会社 (1,055)
【Fターム(参考)】