説明

蒸気弁

【課題】 別個に入口側と出口側に開閉弁を取り付けなくても、自動排液弁を分解・保守することのできる蒸気弁を得ること。
【解決手段】 弁ケーシング3に入口1と出口2を形成する。入口1と出口2の間に弁体8を配置する。弁体8に弁軸9を連結する。弁体8の上下部に出口側弁口6と自動排液弁側弁口7を配置する。自動排液弁側弁口7の下方に自動排液弁5を連結する。
図1に示すように、弁体8で自動排液弁側弁口7を閉口することで、入口1と出口2からの流体が自動排液弁5内へ流入することがなく、自動排液弁5を分解・保守することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、蒸気配管系に取り付けて、蒸気の通過量を制御したり、あるいは、蒸気の流下を阻止することのできる蒸気弁に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の蒸気弁は、入口と出口を弁ケーシングに形成し、入口と出口を連通する弁口を配置して、弁口を開閉する弁体を取り付け、弁体を開閉操作する弁軸を連結し、弁口の下方に気液分離器と自動排液弁を設けたもので、蒸気と、蒸気の凝縮した復水との混合流体から、蒸気と復水を気液分離して、分離した復水だけを自動排液弁から外部へ排出して、蒸気だけを弁の下流側へ流下させることができるものである。
【0003】
上記従来の蒸気弁では、自動排液弁を分解して保守する場合に、蒸気弁の入口側と出口側にそれぞれ別個に取り付けた開閉弁を閉弁してからでないと保守ができない問題があった。蒸気弁の入口側と出口側に別個に開閉弁を取り付けることは、コスト高となるのである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開昭62−67395号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
解決しようとする問題点は、別個に入口側と出口側に開閉弁を取り付けなくても、自動排液弁を分解・保守することのできる蒸気弁を得ることである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、弁ケーシングで入口と出口を形成し、入口と出口を連通する弁口を形成した弁座部材を弁ケーシングに取り付け、弁座部材に離着座して弁口を開閉する弁体を配置し、弁体を開閉操作する弁軸を連結し、弁口の下方に自動排液弁を設け、当該自動排液弁の上方に入口を連結したものにおいて、弁口を形成する弁座部材に、出口側弁口と自動排液弁側弁口の少なくとも2つの弁口を形成したものである。
【発明の効果】
【0007】
本発明は、弁座部材に自動排液弁側弁口を形成したことにより、この自動排液弁側弁口を弁体で閉弁することで、入口と出口の両方向からの流体が自動排液弁内へ流入することがなく、この自動排液弁を分解・保守することができるという利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明に係る蒸気弁の実施例を示す構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明は、弁座部材に出口側弁口と自動排液弁側弁口の少なくとも2つの弁口を形成するものであるが、出口側弁口を上部に、自動排液弁側弁口を下部に配置することが望ましい。
【実施例】
【0010】
図1において、入口1と出口2を形成した弁ケーシング3と、出口側弁口6と自動排液弁側弁口7を形成した弁座部材4、及び、自動排液弁5とで蒸気弁を構成する。
【0011】
入口1と出口2を同軸上に配置して、この入口1と出口2に直交する位置に、出口側弁口6と自動排液弁側弁口7を配置する。それぞれの弁口6,7は、円形で、且つ、対向する位置に配置した弁体8により開閉弁されるものである。出口側弁口6は、入口1と出口2を連通し、一方、自動排液弁側弁口7は、入口1と自動排液弁5、並びに、出口2と自動排液弁5を連通する。
【0012】
弁体8を外部から開閉操作することのできる弁軸9を連結する。弁軸9は、図示はしていないが、人間が手動で回転操作するためのハンドルを取り付けたり、あるいは、電動モータで回転操作できるようにすることもできる。
【0013】
自動排液弁5は、内部にスチームトラップを内蔵したもので、入口1から流入してくる蒸気と復水の混合流体の中から復水だけを復水出口10から外部へ排出することができるものである。
【0014】
図1に示す状態は、弁体8により自動排液弁側弁口7を閉弁している状態であり、入口1からの流体も、出口2からの逆流流体も共に自動排液弁7に流入することがなく、この状態において、自動排液弁5を分解・保守することができる。
【0015】
弁体8を少し上昇させて、自動排液弁側弁口7と出口側弁口6の間に位置させることで、入口1から出口2へ蒸気を流下させると共に、自動排液弁5から復水を自動的に外部へ排出することができる。
【0016】
弁体8の位置を上下に調節することで、入口1から出口2へ流下する蒸気の量を増減して制御することができる
【0017】
弁体8を上端、すなわち、出口側弁口6の上に位置させることで、入口1から出口2への蒸気の流下を閉止することができる。
【産業上の利用可能性】
【0018】
蒸気を使用する各種装置へ、蒸気を供給する蒸気弁として適用できる。
【符号の説明】
【0019】
1 入口
2 出口
3 弁ケーシング
5 自動排液弁
6 出口側弁口
7 自動排液弁側弁口
8 弁体
9 弁軸


【特許請求の範囲】
【請求項1】
弁ケーシングで入口と出口を形成し、入口と出口を連通する弁口を形成した弁座部材を弁ケーシングに取り付け、弁座部材に離着座して弁口を開閉する弁体を配置し、弁体を開閉操作する弁軸を連結し、弁口の下方に自動排液弁を設け、当該自動排液弁の上方に入口を連結したものにおいて、弁口を形成する弁座部材に、出口側弁口と自動排液弁側弁口の少なくとも2つの弁口を形成したことを特徴とする蒸気弁。

【図1】
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