説明

蒸気発生器、沸騰装置、蒸気発生器を作動させるためのまたは蒸気発生器を製造するための方法、および加熱装置を冷却するための方法

【課題】 蒸気発生器と、蒸気発生器を有する沸騰装置と、蒸気発生器用の加熱装置を作動させるための方法と、加熱装置を製造するための方法と、水蒸気の供給時間に対する蒸気発生器の応答特性が明らかに改善されており、かつ使用される加熱装置のエネルギー効率が向上している、蒸気発生器用の加熱装置を冷却するための方法とを提供する。
【解決手段】 容器は、蒸発させるべき水の水案内領域を備え、この場合、加熱装置は、蒸発させるべき水を沸騰温度まで蒸気になるまで加熱する。容器の蒸気案内領域が、発生された蒸気を容器から導くか、または発生された蒸気が蒸気案内領域に沿って流れる。加熱面または加熱装置が、水案内領域に、必要に応じて、蒸気案内領域にも設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくとも1つの容器と、加熱面を有する少なくとも1つの加熱装置とを有する特に沸騰装置用の蒸気発生器であって、前記容器が、蒸発させるべき水用の水案内領域を備え、前記加熱装置が、前記蒸発させるべき水をその沸騰温度まで蒸気になるまで加熱し、前記容器が、前記発生された蒸気を前記容器から導くための、または前記発生された蒸気を前記容器に沿って流すための蒸気案内領域を備える蒸気発生器において、前記加熱面が、前記水案内領域に、必要に応じて、前記蒸気案内領域にも設けられている蒸気発生器に関する。さらに、本発明は、上記蒸気発生器を有する沸騰装置、作動方法、製造方法、および前記蒸気発生器用の加熱装置を冷却するための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
上記種類の蒸気発生器は、例えば、特許文献1から知られており、この蒸気発生器は、ボイラ壁によって囲まれているボイラの内部空間を備える。ボイラの内部空間は、加熱ワイヤによって加熱され、最終的に蒸発する水を収容するために使用され、この場合、加熱ワイヤは、本質的に、ボイラ壁およびボイラ底部全体にわたって分布して延びる。しかし、ボイラ室、またはその中に存在する水を加熱するための加熱ワイヤを使用する際に、大量の加熱エネルギーが本質的に利用されずに損失となるという不都合が生じる。このことは、一方では、蒸発させるべき水が存在していない領域で生じ、したがって他方では、その場合、蒸発させるべき水と、加熱ワイヤによって直接加熱可能な表面との比率が比較的低くなる。さらに、水蒸気の供給に対するこのような蒸気発生装置の応答特性は遅いことが好ましかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】独国特許発明第10109251C1号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
したがって、本発明の課題は、蒸気発生器と、蒸気発生器を有する沸騰装置と、蒸気発生器用の加熱装置を作動させるための方法と、加熱装置を製造するための方法と、水蒸気の供給時間に対する蒸気発生器の応答特性が明らかに改善されており、かつ使用される加熱装置のエネルギー効率が向上している、蒸気発生器用の加熱装置を冷却するための方法とを提供することである。さらに、蒸気発生器の乾燥動作に危険性がないことを示すべきである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この課題は、請求項1の特徴を有する蒸気発生器によって、請求項2の特徴を有する蒸気発生器によって、請求項10の特徴を有する沸騰装置によって、および請求項11、12、14または15の特徴を有する方法によって解決される。本発明の有利かつ好ましい実施形態は、別の請求項の対象であり、以下に詳細に説明される。請求項の内容は明細書の内容に明確に関連する。以下に詳細に示されない多数の特徴および特性であっても、本装置にも本方法にも適合する。それらの特徴および特性は、部分的に1回だけ説明されるが、本方法についても、本装置についても、互いに独立して任意の組み合わせで適用される。請求項の内容は、本明細書によれば、説明の内容に明確に関連する。
【0006】
本発明によれば、容器は、蒸発させるべき水の水案内領域を備え、この場合、加熱装置は、蒸発させるべき水を沸騰温度まで蒸気になるまで加熱する。容器の蒸気案内領域が、発生された蒸気を容器から導くか、または発生された蒸気が蒸気案内領域に沿って流れる。加熱面または加熱装置が、水案内領域に、必要に応じて、蒸気案内領域にも設けられている。つまり、蒸気は水自体よりも高温であるが、非冷却動作において、すなわち、加熱装置がエネルギーを放出することができない場合に、蒸気の温度は、依然として、加熱装置の温度を下回ることが明らかである。したがって、蒸発、または発生する蒸気は、すなわち容器の冷却も同時に行う。このため、蒸気は、蒸気案内部に発生後、加熱された容器の表面に沿って流れる。次に、これによって、加熱装置が冷却されるようになり、すなわち有利には、水レベルが低くなるにもかかわらず、つまり、容器が空焚きに近づくにもかかわらず、加熱装置が、蒸発工程中、ほぼ一定の温度を有することが保証されている。次に、水案内部内の、すなわち容器の下方の水の冷却効果がますます蒸気に与えられ、すなわち、冷却効果は僅かに低くなるが、依然として、加熱装置を冷却するにはより十分である。容器内の水がほぼ完全に蒸発している場合、最初に、加熱装置の温度が上昇するが、その理由は、蒸気案内部内の蒸気量が減少し、したがって、この冷却効果が減少するからである。次に、加熱装置の温度上昇により、加熱装置の好ましくは簡単に測定可能な物理的特性変化、例えば、加熱装置の電気抵抗の変化が生じる。
【0007】
原則として、任意の液体を有する蒸気発生器が作動することができる。好ましくは、水または蒸発水、特に水道水を有する蒸気発生器が作動する。
【0008】
有利には、上記蒸気発生器において、加熱装置が比較的小部分に形成されており、特に有利には、加熱装置は、容器の表面に適用された厚層加熱装置である。厚層加熱装置を加熱装置として使用することにより、有利には、蒸気発生器全体が比較的小さな構造空間で済むことになる。厚層加熱装置は、例えば、印刷法によって容器の表面に適用することができ、その結果、すなわち、厚層加熱装置と表面との間には、物質的な直接接触がある。すなわち、厚層加熱装置によって発生された加熱エネルギーを容器に伝達することは、別の伝達媒体なしに達成しなければならない。代わりに、管加熱体、特に、小部分のまたは薄い管加熱体を使用してもよい。
【0009】
使用される加熱装置は、例えば、温度センサとしてまたは充填レベルセンサとして使用することもできる。加熱装置、特に厚層加熱装置を容器に直接適用することによって、加熱装置で発生された加熱エネルギーは、加熱すべき容器にほぼ均一に伝達され、容器の材料から、蒸発させるべき水に直接伝達される。この場合、容器の上昇温度で表される加熱エネルギーは、容器内に、少なくとも、加熱装置を有する容器の領域に、すなわち水案内領域に分配される。加熱エネルギーは次第に水を蒸発させる。
【0010】
本発明による蒸気発生器は好ましくは沸騰装置に使用される。このような沸騰装置は、例えば、いわゆる、茹でるべき食品が、本質的に、高温の水蒸気のみによって茹でられるスチーマーである。もちろん、沸騰時には、蒸発させるべき水がほぼ沸騰温度まで加熱されると有利である。しかし、例えば、茹でるべき食品の乾燥を防止するように、沸騰装置内で比較的湿った環境を提供するために、蒸気発生器を使用すべきである場合には、蒸発させるべき水を沸騰温度まで加熱することは不要である。すなわち、例えば、本発明による蒸気発生器は、水蒸気を有する存在する空気が蒸気発生器から飽和される焼成装置に使用することも可能であり、その結果、焼成装置に存在する空気は、焼成材料からの別の湿気をもはや吸収することができない。一般に、本発明による蒸気発生器の使用または適用は非常に様々に可能である。
【0011】
この場合、本発明によれば、各装置は、本発明による用途の加熱装置によって十分に適切に加熱することができるような水量を収容することができる容器であると理解される。もちろん、水量は容器の内部空間にある。本発明によれば、加熱装置は有利には厚層加熱装置であり、この場合、さらに、他の加熱装置を設けることができる。
【0012】
さらに、本発明の課題は、容器の内部空間に、特に水案内領域に、なおさらに有利には蒸気案内領域に、自由容量を減少させるための押圧体の部分が配置されている同じ範疇の蒸気発生器によって解決される。押圧体は、ほぼ任意の形状を有することができ、もちろん、押圧体のほぼ任意の容量も可能である。
【0013】
蒸発中、押圧体は、容器の内部空間において、水を有する水案内領域に達する。このようにして、まさにこの領域で、蒸発させるべき水の最大可能な収容量が明らかに減少し、その結果、外面と蒸発させるべき水の容量との比率が外面に有利に変化する。これにより、有利には、蒸発させるべき水を蒸発させるためのまたはそれを沸騰温度まで加熱するための時間が非常に短くて済むことになり、したがって、全エネルギーも少なくて済むことになる。さらに、蒸気発生器の応答特性が明らかに改善され、すなわち、蒸気発生器の始動と、沸騰温度の、または蒸発させるべき水の所望の温度の到達との間の時間が短くなる。
【0014】
本発明の実施形態では、押圧体は、容器の内郭にほぼ平行に延びるか、または対応する同様の延在部を備える外郭を備える。押圧体のこの形状によって、蒸発させるべき水のために、ほぼリング状の室を得ることができる。特に好ましくは、押圧体が容器とほぼ同軸に整列されるように配置される場合、容器の内郭と押圧体の外郭との間には、ほぼ一定の幅を有するリング状の室が得られる。この幅は最高数mmであり、すなわち、非常に細いものであり得る。このようにして、蒸発工程のために、蒸発させるべき水に導入すべき加熱エネルギーを特に均一に分配することができる。
【0015】
押圧体は、不均一な外郭を備えるか、またはリング状の室の幅が、リングの延在部で変化し、すなわち、ある領域で比較的細く、他の領域で比較的太くなるように配置されることも可能である。したがって、例えば、蒸気発生器の応答特性をさらに改善することができるが、その理由は、リング状の室の特に狭い幅を有する領域において、蒸発させるべき水がより迅速に沸騰温度に達するからである。
【0016】
本発明の実施形態では、押圧体は中空体である。本発明の発展形態では、押圧体は管状に、好ましくは直立管として形成されており、管状の押圧体の下側端部領域は内部空間の表面に特に液密に接続されている。本発明によれば、切欠きに設けられている各本体は中空体であると理解される。すなわち、中空体は、コップ形状を有するか、管状であるか、または例えば内部が中空の立方体形状を有することができる。押圧体と内部空間との接続は、例えば、溶接、ねじ止め等によって実現することができ、この場合、選択された接続は必ず耐熱性および耐水性であるべきである。中空体を押圧体として設けることによって、蒸気発生器全体の重量を比較的小さく維持することができ、さらに、加熱すべき領域全体がほんの僅かな大きさを有することが実現される。このようにして、特に、押圧体が金属から製造されている場合、一方では、さらなるエネルギー節約が実現され、他方では、例えば、蒸気発生器の改善された冷却特性が実現される。
【0017】
押圧体の管状の形状によって、押圧体を比較的有利に形成することができるが、その理由は、製造のために、例えば市販の管を使用することができるからである。この管から、所定の長さの対応する部分のみを切断して、容器の内部空間に取り付ける必要がある。
【0018】
本発明の実施形態では、容器はほぼコップ状に形成されており、加熱装置は、少なくとも部分的に、容器の外側外面の領域に、容器の底面の領域に、および/または容器内に配置された押圧体の内側外面および/または外側外面の領域に配置されており、特に有利には、前記加熱装置は、少なくとも、全ての水案内領域を覆う。電気的に作動される加熱装置が使用される限り、加熱装置は、有利には、水に直接接触することができないように配置されている。代わりに、加熱装置は、容器の内面にまたは押圧体の外面に、すなわち水中に配置してもよい。その場合、その加熱装置は絶縁されるかまたは絶縁層によって覆われなければならない。
【0019】
容器のまたは押圧体の上記面への加熱装置の上記配置方法は、好ましくは、比較的小さな面であり、好ましくは、少なくともその面の投影が、そこにある水で覆われる。この形状により、有利には、エネルギー節約を実現することもできるが、その理由は、蒸発させるべき水が用意されている領域のみが加熱されるからである。
【0020】
本発明の実施形態では、加熱装置は容器の下部領域に、したがって同様に水案内領域に配置されている。蒸気案内領域は、上記水案内領域に直接当接することができ、特に、水レベルが低くなることによって水案内領域が後退する箇所まで延びる。このようにして、蒸気発生器の使用を終了した後、容器をほぼ完全に乾燥することができる。したがって、例えば、後加熱方法なしでは場合によっては残ってしまう湿った箇所の菌巣等を回避することができる。
【0021】
本発明の実施形態では、加熱装置は、少なくとも部分的に容器の外面領域を囲む。この場合、好ましくは、容器の、またはその中に用意された水の均一な加熱が保証されるように、加熱装置は容器の外面に分配して配置されている。
【0022】
本発明の実施形態では、容器の直径と、加熱装置または加熱導体によって覆われた容器の領域の高さとの比率は0.25〜10、特に1〜5である。本発明の別の実施形態では、加熱装置によって覆われた領域の高さは、本質的に、容器の最小充填高さ、または作動を開始するための水案内領域を規定する。容器の直径と高さまたは最小充填高さとの比率を上記のように選択することによって、それぞれの用途に最良の蒸気発生器の効率を予め規定することができる。特に、容器の最小充填高さにほぼ対応する加熱装置の高さによって、水がある領域のみが加熱されるので、蒸気発生器の作動時にエネルギー節約が実現される。
【0023】
本発明の実施形態では、加熱装置は、容器内の蒸発させるべき水の充填レベルセンサ、および/または温度センサであり、この場合、好ましくは、蒸気発生器は、センサによって出力されたセンサ信号を評価するための制御装置を備える。本発明の別の実施形態では、加熱装置は正の温度係数を有する。正の温度係数によって、すなわち冷却導体として加熱装置を形成することにより、温度の上昇と共に加熱装置の抵抗も増大するので、加熱装置を温度センサとして簡単に使用することができる。加熱装置を充填レベルセンサとして使用することは、本質的に、同じ原理に従って行われるが、その理由は、蒸発させるべき水がもはや存在していない領域において、加熱装置の温度が僅かに上昇することがあるからである。
【0024】
またもちろん、このためだけでなく、充填レベルを検出するために、加熱装置を個々の加熱領域に、例えば、本質的に互いに平行に延びるストリップに分割することができる。次に、このストリップは、好ましくは、充填レベル面の延在部にほぼ平行に配置することもでき、その結果、下降または上昇する充填レベルは、下降または上昇時に、個々のストリップを連続的に通過する。次に、容器の対応する形状において、個々のストリップにより発生された加熱出力は、それぞれ実際の充填レベルでストリップが充填レベルラインの下方または上方に配置されているかどうかに応じて、良くても悪くても適切に水中に伝達される。ストリップが充填レベルラインの上方に配置されている場合には、ストリップ自体がさらに加熱されるので、加熱装置の温度の部分的な上昇から蒸気発生器の充填レベルを逆推論することができる。
【0025】
加熱装置の面の出力は、有利には、20W/cmよりも大きく、特に有利には、25W/cm〜75W/cmである。容器内の水量当たりの出力は、上記押圧体を有しない場合には、約10W/mlであり、その押圧体を有する場合には、約30W/ml〜100W/mlであり得る。
【0026】
さらに、本発明の課題は、蒸気発生器を有する沸騰装置、この場合、蒸気沸騰器によって解決される。このような蒸気沸騰器は、上で既に説明したように、いわゆるスチーマーとして知られている。
【0027】
本発明の課題の別の解決策は、蒸発させるべき水の温度と加熱装置の温度とが算出される、蒸気発生器用の加熱装置を作動させるための方法である。算出された温度に基づいて、特に制御装置により蒸気発生器のレベルが算出される。例えば、追加の温度センサによって、蒸発させるべき水の温度を算出することができ、前記温度センサは、加熱装置または温度算出と独立して、加熱装置により作動することができる。上記方法によって算出される蒸気沸騰器のレベルは、特に、蒸発器の石灰化の程度に関する。この石灰化の程度は、例えば、加熱装置の効率が監視されることによって、算出することができる。この効率は、加熱装置の温度、加熱装置の温度変化、水の温度から、ならびに蒸発させるべき水の温度変化から得られる。したがって、ほぼ一定の温度の加熱装置において、水の所定の温度に達するまでの時間が比較的長く継続する場合、このことは、蒸気発生器の進行した石灰化のほぼ明確な指標であるが、その理由は、石灰層が比較的十分な断熱体であるからである。その場合、所定の温度に達するまでの時間がどのように変化するかを評価できるようにするために、水レベル全体を比較測定することが必要である。操作者の石灰分除去の要求に関する信号を出力することができる。その代わりにまたはそれに加えて、付着防止コーティングは石灰の付着を防止または低減することができる。
【0028】
例えば、対応する制御装置によって、変化する石灰化の程度を算出することができ、この場合、次に、この制御装置は、対応する信号を出力することができる。このような制御装置は、例えば、マイクロプロセッサ、SPSユニットとして、電子部品構成等として形成することができる。制御ユニットは、蒸気発生器のみに割り当てられた別個の構造ユニットとして設けることができる。また、上記制御ユニットは、例えば、本発明による蒸気発生器が配置されている蒸気沸騰器用の制御ユニットの一部であることも可能である。
【0029】
本発明の実施形態では、蒸気発生器の充填レベルは加熱装置の電気抵抗によって検出される。本発明の発展形態では、加熱装置の抵抗が所定の値を上回るか、あるいは電流または出力が所定の値を下回る場合に、加熱装置が停止される。このようにして、加熱装置が過熱せず、したがって、本質的に過熱燃焼も防止されることを保証することができる。
【0030】
さらに、本発明の課題は、蒸気発生器用の加熱装置を製造するための方法であって、加熱装置が、印刷法、特にシルクスクリーン印刷法により、厚層加熱装置として容器の表面に適用される方法によって解決される。厚層部材を基板に適用するためのシルクスクリーン印刷法を用いることは、一般に公知の万能な技術である。すなわち、このようにして、本発明による厚層加熱装置の製造が簡略化され、比較的高い品質基準が保証される。
【0031】
本発明の課題は、蒸気発生器の加熱装置を冷却するための方法によっても解決することができる。本方法によれば、特に、蒸発させるべき水の表面が加熱装置の上縁の下方に存在する範囲において、蒸発させるべき水が蒸発している場合に、ある領域の加熱装置が、それに沿って導かれた蒸気により冷却される。その場合、水案内領域の水レベルが減少し、蒸気案内領域が、加熱領域または加熱装置を冷却するためにますます下方に延びる。
【0032】
これらおよび別の特徴は、請求項からだけでなく、説明および図面からも明らかになり、この場合、個々の特徴は、本発明の実施形態のサブコンビネーションの形態においてまた他の分野において、それぞれ単独でまたは複数の組み合わせで実現され、そして本明細書で保護が請求される有利で保護可能な実施形態を表すことができる。本出願が個々の区分および副題に細分されても、以下になされる説明の一般的な適用性が制限されない。
【0033】
本発明の種々の実施形態を図面に概略的に示し、以下に詳細に説明する。個々の図面に示した実施形態は、本発明の図示した他の実施形態が有しない特徴を部分的に有する。また、本発明の範囲から逸脱することなく、個々の特徴を互いに任意に組み合わせることができる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】蒸気発生器内に配置された押圧体および加熱装置を有する第1の実施形態による本発明の蒸気発生器の断面図である。
【図2】押圧体と蒸気発生器内に配置された複数の加熱装置とを有する第2の実施形態による本発明の蒸気発生器の断面図である。
【図3】加熱装置と蒸気発生器に設けられた複数の温度センサとを有する第3の実施形態による本発明の蒸気発生器の断面図である。
【図4】本発明による蒸気発生器を有する沸騰装置の図である。
【発明を実施するための形態】
【0035】
図1に示した蒸気発生器110は、管部114と底部要素116とから形成されている容器112を備える。容器112は、蒸発させるべき水118を収容するために形成されている。容器112内には、底部116の部分と協働する管状部122から形成されている押圧体120が配置されている。押圧体120は容器112とほぼ同軸である。押圧体120の管状部122の直径は容器の管部114の直径よりも小さい。これによって、環状領域124内には水118が得られる。
【0036】
管部114の外面126には加熱装置128が取り付けられている。加熱装置128は、厚層加熱装置130として形成されており、例えば、シルクスクリーン印刷法によって管部114に取り付けられている。厚層加熱装置130は、接続装置132によって、図1に示されていないほぼ任意の制御手段に接続することができる。
【0037】
容器112はアダプタリング134によって蒸気管136に接続されている。蒸気管136によって、蒸気発生器110から発生される蒸気が、図1に示していない沸騰装置等に供給される。蒸気発生器110によって蒸気を発生するために、環状領域124には、蒸発させるべき水118が充填される。充填は、好ましくは、環状領域に直接接続された図示されていない水供給部によって行われる。加熱装置の始動時における容器112のまたは環状領域124の最小充填高さは、線引きされて示されている波線138によって図1に示されている。最小充填高さは厚層加熱装置130の上縁にほぼ対応する。蒸発させるべき水118の蒸発工程の進行において、新しい水が再充填されない限り、充填高さ138はなおさらに下降する。下降する充填高さは、異なって形成された波線140、142、144で示されており、この場合、観測面の最下部の波線144は、蒸発後の残留水量の残留充填レベルを示している。
【0038】
図示していない制御装置によって、例えば厚層加熱装置130の電気抵抗を算出することができ、これから、厚層加熱装置130の現在の平均温度を直接導出することができる。この方法は、厚層加熱装置130の保護方法を意味するが、その理由は、これにより、厚層加熱装置130の過熱、したがって破損を防止することができるからである。環状領域124の充填レベルが残留充填レベル144を上回る限り、蒸発工程中、厚層加熱装置130の温度を均一に維持することができることが実証された。したがって、この効果は、管部114の表面で蒸気案内領域に沿って上昇する蒸気が管部114を冷却し、これにより、厚層加熱装置130も冷却されることであると説明することができる。しかし、充填レベルが、波線で示した残留充填レベル144を下回ると、厚層加熱装置を十分に冷却するような蒸気はもはや十分に発生されない。それに応じて、上記厚層加熱装置の温度が上昇し、これにより、冷却導体を加熱装置として使用する際に、厚層加熱装置130の抵抗も大きくなり、このことは認識することができる。
【0039】
水の実際の充填高さを有する領域は、厚層加熱装置130がいずれにしろ水によって冷却される水案内領域である。水案内領域の上方には蒸気案内領域がシームレスに当接し、この蒸気案内領域において、厚層加熱装置130が、それに沿って流れる蒸気によりなおさらに冷却される。したがって、本発明では、水案内領域または少なくとも蒸気案内領域が、加熱装置を有する加熱面にあることが重要である。
【0040】
図1とは異なり、図2の蒸気発生器210の場合、管部214に加熱装置228が設けられているだけでなく、押圧体220の管状部222の内面246に別の加熱装置248が設けられている。この加熱装置248は同様に厚層加熱装置250として形成されており、この厚層加熱装置250も接続装置252によって、図示していない制御装置に接続されている。両方の厚層加熱装置230、250は、蒸発させるべき水218を有する環状領域224を加熱するために使用される。第2の厚層加熱装置250を設けることにより、特に蒸気発生器の始動と蒸気の供給との間で経過する供給時間について、蒸気発生器210の応答特性が明らかに改善されるが、その理由は、容量単位毎に、非常に高い加熱出力を、蒸発させるべき水218に利用することができるからである。
【0041】
最後に、図2は、さらに、蒸気発生器の底部216に配置されている第3の加熱装置254を示している。加熱装置254はほぼ任意に形成することができる。しかし、上記加熱装置254は、他の加熱装置228、248がほぼリング状に形成され、すなわち、蒸気発生器の中心縦軸256を半径方向に囲むようなものであることが好ましい。特に好ましくは、加熱装置228、248、254が互いに同軸に配置されている。加熱装置254は、本質的に、蒸気発生器の作動を終了した後に、蒸発させるべき液体218の残りを環状領域224から除去するために使用される。これによって、いわゆる菌巣の発生を防止することができる。しかし、蒸気発生器214の通常の蒸発作動でも加熱装置254を使用することは不可能ではない。さらに、残留水量の問題は、大きく湾曲されるかまたは内部上方にずらされた底部によって構造的に除去するかまたは解決することができる。
【0042】
図3に示した蒸気発生器310は、図1および図2の蒸気発生器とは異なり、押圧体を備えない。したがって、十分な量の蒸気を利用または発生することができるまで、図1および図2に示した水量と比較して大量の蒸発させるべき水を蒸気発生器310の厚層加熱装置330によって加熱しなければならない。なおさらに、図3に示した蒸気発生器310には、厚層加熱装置330用の第1の温度センサ358と、蒸発させるべき水318用の第2の温度センサ360とが設けられている。両方の温度センサ358、360は、図示していない制御ユニットに接続されている。これらの温度センサは、加熱装置のまたは沸騰装置の制御ユニットとは別個にまたはその一部として構成することができる。温度センサ358、360によって、例えば蒸気発生器310の、特に容器312の石灰化の程度を検出することができる。例えば、蒸発させるべき水318の沸騰温度に達するには、予め規定された時間間隔よりも長く継続する時間間隔が必要となり、この場合、温度センサ360は、蒸発させるべき水318の沸騰温度を検出するために設けられており、したがって、このことは、加熱出力を十分に利用することができないことの指標となる。このことは、加熱装置328、本例では厚層加熱装置330が故障していることの根拠とすることができる。さらに、このことは、蒸発させるべき水への厚層加熱装置330の加熱出力の伝達が、所望の程度で行われないことの指標とすることもできる。加熱出力の伝達の障害は、例えば、管部314の内面362にある石灰層に原因があるとすることができる。これらの両方の指標の区別は第1の温度センサ358によって可能であるが、その理由は、このことにより、所望のまたは必要に応じて予め規定されたパラメータ限界値において、加熱装置328が機能するかどうかを逆推論することが可能になるからである。
【0043】
なおさらに、容器312の直径Dと、加熱装置328の高さH、したがって、加熱面との所定の比率は、すなわち、1:4〜10:1であることが、図3から明らかである。
【0044】
図4に示した沸騰装置464には、本発明による蒸気発生器410が設けられている。沸騰装置464は、いわゆるスチーマーとして形成されているが、食品等を茹でるために蒸気を利用する各々の他の沸騰装置であってもよい。沸騰装置464は、概略的にのみ図示されている接続ライン466によって、例えば電力網および/または水道に接続されている。蒸気発生器410を起点として、蒸気案内用の通路468は、沸騰装置464のドア470で閉鎖可能な沸騰室472に延びる。
【符号の説明】
【0045】
110 蒸気発生器
112 容器
114 管部
116 底部要素
118 蒸発させるべき水
120 押圧体
122 管状部
124 環状領域
126 外面
128 加熱装置
130 厚層加熱装置
132 接続装置
134 アダプタリング
136 蒸気管
138 波線
138 充填高さ
140 波線
142 波線
144 波線
144 残留充填レベル
210 蒸気発生器
214 管部
216 蒸気発生器の底部
218 蒸発させるべき水
218 蒸発させるべき液体
220 押圧体
222 管状部
224 環状領域
228 他の加熱装置
230 厚層加熱装置
246 内面
248 他の加熱装置
250 厚層加熱装置
252 接続装置
254 第3の加熱装置
256 蒸気発生器の中心縦軸
310 蒸気発生器
312 容器
314 管部
318 蒸発させるべき水
328 加熱装置
330 厚層加熱装置
358 第1の温度センサ
360 第2の温度センサ
362 内面
410 蒸気発生器
464 沸騰装置
466 接続ライン
468 蒸気案内用の通路
470 ドア
472 沸騰室
D 直径
H 高さ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの容器(112、312)と、加熱面を有する少なくとも1つの加熱装置(128、228、248、254、328)とを有する特に沸騰装置(464)用の蒸気発生器であって、
前記容器(112、312)が、蒸発させるべき水(118、218、318)用の水案内領域を備え、前記加熱装置(128、228、248、254、328)が、前記蒸発させるべき水(118、218、318)をその沸騰温度まで蒸気になるまで加熱し、前記容器が、前記発生された蒸気を前記容器(112、312)から導くための、または前記発生された蒸気を前記容器に沿って流すための蒸気案内領域を備える蒸気発生器において、前記加熱面が、前記水案内領域に、必要に応じて、前記蒸気案内領域にも設けられていることを特徴とする蒸気発生器。
【請求項2】
少なくとも1つの容器(112、312)と、加熱面を有する少なくとも1つの加熱装置(128、228、248、254、328)とを有する特に沸騰装置(464)用の蒸気発生器であって、
前記容器(112、312)の内部空間には、自由容量を減少させるための押圧体(120、220)が配置されており、前記押圧体(120、220)が、容器(112、312)の内郭にほぼ平行に延び、好ましくは、対応する同様の延在部を備える外郭を有することを特徴とする蒸気発生器。
【請求項3】
前記加熱装置(128、228、248、254、328)が、前記容器(112、312)の面(126)の小部分であるかまたは厚層加熱装置(130、230、250、330)であり、好ましくは、底部領域に取り付けられず、内側外面および/または外側外面のみに取り付けられることを特徴とする請求項1または2に記載の蒸気発生器。
【請求項4】
前記押圧体(120、220)が、中空体であり、特に管状に、好ましくは直立管(122、222)として形成されており、前記管状の押圧体(120、220)の下側端部領域が前記内部空間の表面に特に水密に接続されていることを特徴とする請求項2に記載の蒸気発生器。
【請求項5】
前記容器(112、312)がほぼコップ状に形成されていることと、前記加熱装置(128、228、248、254、328)が、少なくとも部分的に、前記容器(112、312)の外側外面(126)の領域に、前記容器(112、312)の底面(116、216)の領域に、および/または前記容器(112、312)内に配置された押圧体(120、220)の内側外面または外側外面(246)の領域に配置されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の蒸気発生器。
【請求項6】
前記加熱装置(128、228、248、254、328)が、前記容器(112、312)の前記外面(126)の領域において、前記容器(112、312)を少なくとも部分的に囲み、このようにして、前記水案内領域を規定するように、前記加熱装置(128、228、248、254、328)が、前記容器(112、312)の下側壁領域に、好ましくは底部の直前に配置されていることを特徴とする請求項5に記載の蒸気発生器。
【請求項7】
前記容器(112、312)の直径Dと、前記加熱装置(128、228、248、254、328)によって覆われた前記容器(112、312)の領域(126)の高さHとの比率が、0.25〜10、特に1〜5であることと、前記加熱装置(128、228、248、254、328)によって覆われた前記領域の、したがって、前記水案内領域の前記高さが、本質的に、前記容器(112、312)の最小充填高さ(138)を規定することを特徴とする請求項6に記載の蒸気発生器。
【請求項8】
前記加熱装置(128、228、248、254、328)が、前記容器(112、312)内の前記蒸発させるべき水(118、218、318)の充填レベルセンサであり、および/または温度センサであり、好ましくは、前記蒸気発生器(110、210、310、410)が、前記充填レベルセンサから出力されたセンサ信号を評価するための制御装置を備え、前記加熱装置(128、228、248、254、328)が正の温度係数を有することを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の蒸気発生器。
【請求項9】
前記加熱装置の面の出力が20W/cmよりも大きく、好ましくは、25W/cm〜75W/cmであることと、前記容器内の水量当たりの出力が、請求項3に記載の押圧体を有しない場合には、約10W/mlであり、請求項3に記載の押圧体を有する場合には、約30W/ml〜100W/mlであることを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載の蒸気発生器。
【請求項10】
請求項1〜9のいずれか1項に記載の蒸気発生器を有する沸騰装置であって、前記沸騰装置(464)が蒸気沸騰器である沸騰装置。
【請求項11】
特に請求項1〜9のいずれか1項に記載の蒸気発生器用の加熱装置を作動させるための方法において、蒸発させるべき液体(118、218、318)の温度と前記加熱装置(128、228、248、254、328)の温度とが算出されることと、前記算出された温度値に基づき、前記蒸気発生器(110、210、310、410)のレベルが特に制御装置によって算出されることを特徴とする方法。
【請求項12】
特に請求項1〜9のいずれか1項に記載の蒸気発生器用の加熱装置を作動させるための、および/または請求項11に記載の方法において、前記蒸気発生器(110、210、310、410)の充填レベル(138、140、142、144)が、前記加熱装置(128、228、248、254、328)の電気抵抗によって検出されることを特徴とする方法。
【請求項13】
前記加熱装置(128、228、248、254、328)の前記抵抗が所定の値を上回るか、あるいは電流または前記出力が所定の値を下回るか、あるいは前記値が所定の相対的変化を生じる場合に、前記加熱装置(128、228、248、254、328)が停止されることを特徴とする請求項12に記載の方法。
【請求項14】
特に請求項1に記載の蒸気発生器用の加熱装置を製造するための方法において、前記加熱装置(128、228、248、254、328)が、印刷法により、特にシルクスクリーン印刷法により、厚層加熱装置(130、230、250、330)として容器(121、312)の表面(126、246)に適用されることを特徴とする方法。
【請求項15】
特に請求項1〜9のいずれか1項に記載の蒸気発生器の加熱装置を冷却するための方法において、特に、蒸発させるべき液体の表面(138、140、142、144)が前記加熱装置(128、228、248、254、328)の上縁の下方に存在するように、前記蒸発させるべき液体(118、218、318)が長時間にわたって蒸発している場合に、前記加熱装置(128、228、248、254、328)が、蒸気案内領域において、前記加熱装置(128、228、248、254、328)に沿って導かれた蒸気により冷却されることを特徴とする方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2010−532853(P2010−532853A)
【公表日】平成22年10月14日(2010.10.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−511538(P2010−511538)
【出願日】平成20年6月12日(2008.6.12)
【国際出願番号】PCT/EP2008/004716
【国際公開番号】WO2008/151798
【国際公開日】平成20年12月18日(2008.12.18)
【出願人】(597022218)エーゲーオー エレクトロ・ゲレーテバウ ゲーエムベーハー (64)
【Fターム(参考)】