説明

蓄電池装置、蓄電池装置の制御方法及び制御プログラム

【課題】電池ユニット間で電位差が生じていた場合でも、より多くの電池ユニットを主回路へ接続して起動できる。
【解決手段】実施形態の蓄電池装置は、複数の組電池群と、組電池群のそれぞれに対応し、対応する組電池群を出力電源線に電気的に接続する複数の電磁接触器と、を備えている。そして、接続制御手段は、組電池群の電圧と出力電源線の電圧との電圧差が所定電圧以下である場合に当該組電池群を接続対象と判断し、対応する電磁接触器を介して出力電源線に接続する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、蓄電池装置、蓄電池装置の制御方法及び制御プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、リチウムイオン二次電池等の蓄電池技術の進歩により、大規模電力蓄積システムへの蓄電池の利用が検討されている。
リチウムイオン二次電池を例に考えると、単セルの蓄電容量は概ね100Wh程度である。したがって、MWhオーダーの蓄電池装置を実現するには、数千個乃至数万個オーダーのセルを直列および並列に並べ、所望の電圧及び電流容量を有する蓄電池装置を構成する必要がある。
【0003】
まず、蓄電池装置を構成するに際しては、セルを直列に接続して電池ユニットを構成する。そして、電磁接触器(コンタクタ)を介して一対の主回路(直流母線)に対して電池ユニットを多数並列に接続した蓄電池装置を想定する。
通常、蓄電池装置を構成している複数のセルは互いに漏れ電流量が異なるため、動作停止中の自己放電電流に差がある。
また、電池ユニットを組み合わせた電池モジュールや電池ユニットを単独で交換した場合には、電池ユニットの充電状態に差があるなどの理由により、複数のユニット間で電位差が生じる。
【0004】
そして、主回路の電位と電池ユニットの電位との間の電位差(電圧差)が所定以上生じている状態では、電磁接触器を閉じたときに過大な電流が流れて電磁接触器が損傷する恐れがある。
このため、電磁接触器と並列に電流制限回路を直列に備えた補助電磁接触器(プリチャージコンタクタ)を設け、蓄電池装置の起動時にはその過大な電流を抑制するために、この補助電磁接触器を閉じる仕組みが一般的に提案されている(例えば、特許文献1あるいは特許文献2参照)。
【0005】
これにより、電池ユニットの1時間放電率の1/10(1/10C)程度の電流に電流制限がかかった状態で蓄電池装置へ主回路が接続される。
したがって、電池ユニットの電圧と蓄電池装置の主回路の電圧との電圧差が所定電圧以下になり、電磁接触器を閉じたときに発生し得る突入電流が安全な電流と予想される状態になったときに、電磁接触器が閉じる。このため、その後電磁接触器を閉じた場合に過大な電流が流れることがないようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2006−318843号公報
【特許文献2】特開2009−220099号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、電流制限回路としては、バイパス回路を構成する抵抗器(プリチャージ抵抗)が使われることが多い。
ここで、700V前後の出力を得るために数百個のリチウムイオン二次電池を直列接続した電池ユニットを想定する。この場合に、充電率100%付近の電池ユニットと、充電率0%付近の電池ユニットでは、リチウムイオン二次電池一つあたり約1Vの電位差があることから数百Vの電位差が発生することとなる。
【0008】
一方、電磁接触器を閉じたときに発生し得る突入電流が安全な電流となる電池ユニットの電圧と蓄電池装置の主回路の電圧の電圧差は、電池ユニットの直列等価抵抗値と電池ユニット電圧と主回路電圧の差に依存するが、数Vから数十V程度である。
例えば、50Ahの組電池ユニットに対して、電池ユニット電圧と蓄電池装置の主回路電圧の電圧差100Vで1/10C(=5A)の電流に制限できるプリチャージ抵抗値は20Ωになる。
【0009】
したがって、電流制限抵抗の発熱量は500Wになり、電流制限抵抗の放熱方法と取り付け場所が課題となる。
さらに、この状態で電位差が縮小して10Vになると1/100(=0.5A)となり、流れる電流は1/10になり、それに伴って電位差が縮まる速度が遅くなる。
このため、充電率が異なる電池ユニットが存在する状態で蓄電池装置が起動した場合は、電池ユニットの電圧と蓄電池装置の主回路の電圧の電圧差が大きな電池ユニットは、長時間にわたり電磁接触器を閉じることができない状態が継続してしまう場合がある。
【0010】
従って、長時間抵抗器を介して電流が流れることによる発熱とエネルギーロスの問題、長時間にわたり電磁接触器を閉じることができない状態が継続した場合はシステム全体としての充放電可能電力が低下してしまう。
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、電池ユニット間で電位差が生じていた場合でも、より多くの電池ユニットを主回路へ接続して起動可能とする蓄電池装置、蓄電池装置の制御方法及び制御プログラムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0011】
実施形態の蓄電池装置は、複数の組電池群と、組電池群のそれぞれに対応し、対応する組電池群を出力電源線に電気的に接続する複数の電磁接触器と、を備えている。
そして、接続制御手段は、組電池群の電圧と出力電源線の電圧との電圧差が、所定電圧以下である場合に当該組電池群を接続対象と判断し、当該組電池群を対応する電磁接触器を介して出力電源線に接続する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】図1は、実施形態の蓄電池装置を備えた蓄電池システムの概要構成ブロック図である。
【図2】図2は、全体動作タイミングチャート(その1)である。
【図3】図3は、全体動作タイミングチャート(その2)である。
【図4】図4は、電池ユニットの電圧が高い順に投入する場合にゲートウェイ装置における起動対象の電池ユニットの選択手順の処理フローチャートである。
【図5】図5は、電池ユニットの電圧が低い順に投入する場合にゲートウェイ装置における起動対象の電池ユニットの選択手順の処理フローチャートである。
【図6】図6は、電池ユニットの電圧が電池ユニットの平均値に近い順に投入する場合にゲートウェイ装置における起動対象の電池ユニットの選択手順の処理フローチャートである。
【図7】図7は、電池ユニットの電圧が高い順に投入する場合にゲートウェイ装置における起動対象の電池ユニットの選択手順の処理フローチャートである。
【図8】図8は、電池ユニットの電圧が低い順に投入する場合にゲートウェイ装置における起動対象の電池ユニットの選択手順の処理フローチャートである。
【図9】図9は、電池ユニットの電圧が全電池ユニットの平均値に近い順に投入する場合にゲートウェイ装置における起動対象の電池ユニットの選択手順の処理フローチャートである。
【図10】図10は、未投入の電池ユニット数を低減させるためのゲートウェイ装置の処理フローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
次に図面を参照して、実施形態の蓄電池装置について詳細に説明する。
図1は、実施形態の蓄電池装置を備えた蓄電池システムの概要構成ブロック図である。
蓄電池システム10は、大別すると、電力を蓄える蓄電池装置11と、蓄電池装置11から供給された直流電力を所望の交流電力に変換して負荷に供給する電力変換装置(PCS:Power Conditioning System)12と、を備えている。
【0014】
蓄電池装置11は、大別すると、複数の電池盤21−1〜21−N(Nは自然数)と、電池盤21−1〜21−Nが接続された電池端子盤22と、を備えている。
電池盤21−1〜21−Nは、互いに並列に接続された複数の電池ユニット23−1〜23−M(Mは自然数)と、ゲートウェイ装置24と、後述のBMU(Battery Management Unit)及びCMU(Cell Monitoring Unit)に動作用の直流電源を供給する直流電源装置25と、を備えている。
【0015】
ここで、電池ユニットの構成について説明する。
電池ユニット23−1〜23−Mは、それぞれ、高電位側電源供給ライン(高電位側電源供給線)LH及び低電位側電源供給ライン(低電位側電源供給線)LLを介して、出力電源ライン(出力電源線;母線)LHO、LLOに接続され、主回路である電力変換装置に電力を供給している。
【0016】
また電池ユニット23−1〜23−Mは、同一構成であるので、電池ユニット23−1を例として説明する。
電池ユニット23−1は、大別すると、複数のセルモジュール31と、セルモジュール31にそれぞれ設けられた複数のCMU32と、サービスディスコネクト33と、電流センサ34と、コンタクタ35と、を備え、複数のセルモジュール31、サービスディスコネクト33、電流センサ34及びコンタクタ35は、直列に接続されている。
【0017】
ここで、セルモジュール31は、電池であるセルを複数、直並列に接続されて組電池を構成している。そして、複数の直列接続されたセルモジュール31で組電池群を構成している。
【0018】
さらに電池ユニット23−1は、BMU36を備え、各CMU32の通信ライン、電流センサ34の出力ラインは、BMU36に接続されている。
BMU36は、ゲートウェイ装置24の制御下で、電池ユニット23−1全体を制御し、各CMU32との通信結果及び電流センサ34の検出結果に基づいてコンタクタ35の開閉制御を行う。
【0019】
次に電池端子盤の構成について説明する。
電池端子盤22は、電池盤21−1〜21−Nに対応させて設けられた複数の盤遮断機41−1〜41−Nと、蓄電池装置11全体を制御するマイクロコンピュータとして構成されたマスタ(MASTER)装置42と、を備えている。
【0020】
マスタ装置42には、電力変換装置12との間に、電力変換装置12のUPS(Uninterruptible Power System)12Aを介して供給される制御電源線51と、イーサネット(登録商標)として構成され、制御データのやりとりを行う制御通信線52と、が接続されている。
【0021】
次に実施形態の動作を説明する。
本実施形態においては、主回路電圧と電池ユニット電圧が所定の電圧以下になったまたは所定の電圧以下である場合にコンタクタ35を閉じるようにゲートウェイ装置24がBMU36を制御する構成を採っている。これにより、本実施形態では、コンタクタ35と並列に電流制限回路を接続する補助コンタクタを設ける必要がなくなっている。
【0022】
まず、蓄電池システム10全体の動作を説明する。
図2は、全体動作タイミングチャート(その1)である。
図3は、全体動作タイミングチャート(その2)である。
電力変換装置12に電源が投入されると(ステップS1)、電力変換装置12のUPS12Aからマスタ装置42及びゲートウェイ装置24に電源が供給される(ステップS2、S3)。これによりマスタ装置42及びゲートウェイ装置24は、動作可能状態となる。
【0023】
続いてゲートウェイ装置24は、正常動作可能か否かを判断すべく自己診断を行う(ステップS4)。
そして正常動作可能な場合には、ゲートウェイ装置24は、マスタ装置42に対し、ゲートウェイライフ信号を出力する(ステップS5)。
【0024】
マスタ装置42は、ゲートウェイ装置24からゲートウェイライフ信号が入力されると、電池盤21−1〜21−Nを順次起動させるべく、複数の盤遮断機41−1〜41−Nが閉状態であることを検出する(ステップS6)。
続いて、マスタ装置42は、使用履歴等に基づいて電池盤21−1〜21−Nのうち、いずれを最初に起動させるかを決定する起動電池盤選択処理を行う(ステップS7)。
続いてマスタ装置42は、ゲートウェイ装置24に対し、盤遮断機41−1〜41−Nが閉状態であることを検出した旨を通知する(ステップS8)。
【0025】
次にマスタ装置42は、停電停止及びトリップを解除する通知をゲートウェイ装置24に通知する(ステップS9)。
これによりゲートウェイ装置24は、起動電池盤(電池盤21−1〜21−Nのうちいずれか一つ)に対応するBMU36に対し、電源投入を指示する(ステップS10)。
この電源投入指示に基づいて起動電池盤に対応するBMU36は、自己診断ログチェックを行い正常に起動できるかを判別する(ステップS11)。
【0026】
このBMU36の自己診断ログチェックと並行して、ゲートウェイ装置24は、BMU36の起動待ち状態となる(ステップS12)。
そして、ゲートウェイ装置24は、起動電池盤に対応するBMU36が起動すると、当該BMU36に対し、UART(Universal Asynchronous Receiver Transmitter)を介して、CAN(Controller Area Network)を利用して通信を行うためのCAN_IDを自動付番するように指示する(ステップS13)。
【0027】
これによりBMU36は、所定の手順に従って、自動付番を行う(ステップS14)。そして、ゲートウェイ装置24は、BMU36において自動付番が完了するまで待機状態となる(ステップS15)。
続いて起動電池盤に対応するBMU36は、CAN_IDの自動付番が完了すると、UARTを介して、自動付番完了通知を行う(ステップS16)。
【0028】
そして、起動電池盤に対応する複数のBMU36は、ゲートウェイ装置24との間でCANを利用した通信を開始する(ステップS17)。
このCANを利用した通信により、BMU36は、自己の配下にある複数のCMU32に対し、ブロードキャストで電源投入を指示する(ステップS18)。
【0029】
また、ゲートウェイ装置24は、CAN通信が可能か否かを確認する(ステップS19)。
一方、電源投入を指示された複数のCMU32は、それぞれ、自己診断ログチェックを行い正常に起動できるかを判別する(ステップS20)。
このCMU32の自己診断ログチェックと並行して、BMU36は、CMU32の起動待ち状態となる(ステップS21)。
【0030】
そして、BMU36は、各CMU32に対し、UARTを介して、CANを利用して通信を行うためのCAN_IDを自動付番するように指示する(ステップS22)。
これによりCMU32は、所定の手順に従って、自動付番を行う(ステップS23)。そして、BMU36は、全CMU32において自動付番が完了するまで待機状態となる(ステップS24)。
【0031】
続いて各CMU32は、CAN_IDの自動付番が完了すると、UARTを介して、自動付番完了通知を行う(ステップS25)。
そして、自動付番が完了して各CMU32は、BMU36との間でCANを利用した通信を開始し、対応するセルモジュール31の温度及び電圧を通知する(ステップS26)。
【0032】
一方、起動電池盤に対応する複数のBMU36は、自己の配下にある全CMU32と通信ができたか否かを確認する(ステップS27)。
起動電池盤に対応する複数のBMU36は、自己の配下にある全CMU32と通信ができた場合には、通知されたセルモジュール31の電圧に基づいて、CANを利用した通信により、自己が属する電池ユニット(電池ユニット23−1〜23−Mのいずれか)の電圧であるユニット電圧をゲートウェイ装置24に通知する(ステップS28)。
【0033】
このCANを利用した通信により、ゲートウェイ装置24は、自己の配下にある複数の電池ユニット23−1〜23−Mのうち、いずれを起動ユニットとするかを選択する(ステップS29)。この起動ユニットの選択方法については、後に詳述するが、最もユニット電圧が高い電池ユニット、最もユニット電圧が低い電池ユニットあるいはユニット電圧が平均ユニット電圧に最も近い電池ユニット等が起動ユニットとして選択される。
【0034】
そして、ゲートウェイ装置24は、選択した起動ユニットである電池ユニット23−Xに属するBMU36に対し、運転指令を出力する(ステップS30)。
この結果、運転指令が入力された起動ユニットである電池ユニット23−Xに属するBMU36は、ゲートウェイ装置24に対し、起動の準備中である旨の準備中フラグを通知する(ステップS31)。
【0035】
そして、起動ユニットである電池ユニット23−Xに属するBMU36は、対応するコンタクタ35を閉状態とするコンタクタ閉処理を行う(ステップS32)。
そして、コンタクタ閉処理が完了すると、起動ユニットである電池ユニット23−Xに属するBMU36は、コンタクタ状態通知(準備中フラグ解除通知)をゲートウェイ装置24に対して行う(ステップS33)。
【0036】
これにより、ゲートウェイ装置24は、マスタ装置42に対し、起動電池盤を構成する電池ユニット23−1〜23−Mをその運転状態(正常運転状態、要充電状態、停止状態等)毎に電池ユニット数を通知する(ステップS34)。
そして、マスタ装置42は、主回路の電圧をゲートウェイ装置24に通知する(ステップS35)。
【0037】
続いて、ゲートウェイ装置24は、CANを利用した通信により、自己の配下にある複数の電池ユニット23−1〜23−Mのうち、起動ユニット以外の全ての電池ユニットを投入(起動)する処理を行う(ステップS36)。
この場合において、ステップS35で通知された主回路の電圧に基づいて、主回路の電圧に対して所定の電圧範囲内(例えば、±15V以内)にある電圧を有する電池ユニットのうち、最もユニット電圧が高い電池ユニット、最もユニット電圧が低い電池ユニットあるいはユニット電圧が平均ユニット電圧に最も近い電池ユニット等が起動対象となり、順次起動されることとなる。
【0038】
そして、ゲートウェイ装置24は、起動対象となる電池ユニット23−Xに属するBMU36に対し、運転指令を出力する(ステップS37)。
この結果、運転指令が入力された電池ユニット23−Xに属するBMU36は、ゲートウェイ装置24に対し、起動の準備中である旨の準備中フラグを通知する(ステップS38)。
【0039】
一方、マスタ装置42は、起動電池盤以外の残りの電池盤も同様に起動する(ステップS39)。
そして、運転指令が入力された電池ユニット23−Xに属するBMU36は、対応するコンタクタ35を閉状態とするコンタクタ閉処理を行う(ステップS40)。
そして、コンタクタ閉処理が完了すると、起動ユニットである電池ユニット23−Xに属するBMU36は、コンタクタ状態通知(準備中フラグ解除通知)をゲートウェイ装置24に対して行う(ステップS41)。
【0040】
これにより、ゲートウェイ装置24は、マスタ装置42に対し、起動電池盤を構成する電池ユニット23−1〜23−Mをその運転状態(正常運転状態、要充電状態、停止状態等)毎に電池ユニット数を通知する(ステップS42)。
これらの結果、マスタ装置42は、利用可能な電池盤数を電力変換装置12に通知する(ステップS43)。
【0041】
続いてマスタ装置42は、ステップS39で起動しようとする電池盤21-Yのゲートウェイ装置24に対し、遮断機41−1〜41−Nが閉状態であることを検出した旨を通知する(ステップS44)。
次にマスタ装置42は、停電停止及びトリップを解除する通知をゲートウェイ装置24に通知する(ステップS45)。
これによりゲートウェイ装置24は、起動対象の電池盤21−Yに対応するBMU36に対し、電源投入を指示する(ステップS46)。
【0042】
そして、当該起動対象の電池盤21−Yに対応するBMU36に対し、運転指令を行う(ステップS47)。
この運転指令に基づいて起動対象の電池盤21−Yに対応するBMU36は、自己診断ログチェックを行い正常に起動できるかを判別する(ステップS48)。
このBMU36の自己診断ログチェックと並行して、ゲートウェイ装置24は、BMU36の起動待ち状態となる(ステップS49)。
【0043】
そして、ゲートウェイ装置24は、起動対象の電池盤21−Yに対応するBMU36が起動すると、当該BMU36に対し、UARTを介して、CANを利用して通信を行うためのCAN_IDを自動付番するように指示する(ステップS50)。
これによりBMU36は、所定の手順に従って、自動付番を行う(ステップS51)。そして、ゲートウェイ装置24は、BMU36において自動付番が完了するまで待機状態となる(ステップS52)。
【0044】
続いて起動対象の電池盤21−Yに対応するBMU36は、CAN_IDの自動付番が完了すると、UARTを介して、自動付番完了通知を行う(ステップS53)。
そして、起動対象の電池盤21−Yに対応する複数のBMU36は、ゲートウェイ装置24との間でCANを利用した通信を開始する(ステップS54)。
この結果、運転指令が入力された電池ユニット23−Xに属するBMU36は、ゲートウェイ装置24に対し、起動の準備中である旨の準備中フラグを通知する(ステップS55)。
さらにBMU36は、CANを利用した通信により、自己の配下にある複数のCMU32に対し、ブロードキャストで電源投入を指示する(ステップS56)。
【0045】
一方、電源投入を指示された複数のCMU32は、それぞれ、自己診断ログチェックを行い正常に起動できるかを判別する(ステップS57)。
このCMU32の自己診断ログチェックと並行して、BMU36は、CMU32の起動待ち状態となる(ステップS58)。
また、ゲートウェイ装置24は、CAN通信が可能か否かを確認する(ステップS59)。
【0046】
そして、BMU36は、各CMU32に対し、UARTを介して、CANを利用して通信を行うためのCAN_IDを自動付番するように指示する(ステップS60)。
これによりCMU32は、所定の手順に従って、自動付番を行う(ステップS61)。そして、BMU36は、全CMU32において自動付番が完了するまで待機状態となる(ステップS62)。
【0047】
続いて各CMU32は、CAN_IDの自動付番が完了すると、UARTを介して、自動付番完了通知を行う(ステップS63)。
そして、自動付番が完了した各CMU32は、BMU36との間でCANを利用した通信を開始し、対応するセルモジュール31の温度及び電圧を通知する(ステップS64)。
【0048】
一方、起動対象の電池盤に対応する複数のBMU36は、自己の配下にある全CMU32と通信ができたか否かを確認する(ステップS65)。
そして、起動対象の電池ユニット23−Xに属するBMU36は、対応するコンタクタ35を閉状態とするコンタクタ閉処理を行う(ステップS66)。
【0049】
そして、コンタクタ閉処理が完了すると、起動対象の電池ユニット23−Xに属するBMU36は、コンタクタ状態通知(準備中フラグ解除通知)をゲートウェイ装置24に対して行う(ステップS67)。
そして、コンタクタ閉処理が完了すると、起動対象の電池ユニット23−Xに属するBMU36は、コンタクタ状態通知(準備中フラグ解除通知)をゲートウェイ装置24に対して行う(ステップS68)。
【0050】
これにより、ゲートウェイ装置24は、マスタ装置42に対し、起動電池盤を構成する電池ユニット23−1〜23−Mをその運転状態(正常運転状態、要充電状態、停止状態等)毎に電池ユニット数を通知する(ステップS69)。
【0051】
以上の説明のように、本実施形態によれば、起動時に電池ユニット間で電位差が生じていた場合でも、コンタクタを保護しつつ、より多くの電池ユニットを主回路へ接続して電力供給を行うことができる。
【0052】
ところで、上述した蓄電池装置11のような蓄電池装置では、構成する全ての電池ユニット23−1〜23−Mの蓄電可能容量が等しいとすれば、全ての電池ユニット23−1〜23−Mが主回路へ接続されたときの主回路の電圧は、最後には主回路接続前の電池ユニット23−1〜23−Mの電圧の平均値となるはずである。
現実には構成する全ての電池ユニットの蓄電可能容量が全く等しいことはないが、通常は等しいとみなして問題は無い。
しかしながら、出力電圧にばらつきがある電池ユニットの電磁接触器を順次閉じていく場合、ばらつき方と閉じる順番によっては、その時点で閉じられる電池ユニットの数が限られてしまうことがある。
【0053】
例えば、電池盤21−1が電池ユニット23−1〜23−3の3つの電池ユニットを備えている場合を想定する。
この場合に、電池ユニット23−1の出力電圧が20V、電池ユニット23−2の出力電圧が40V、電池ユニット23−3の出力電圧が30Vであって、主回路電圧と電池ユニット23−1〜23−3の出力電圧差が15V以下の時にコンタクタ(電磁接触器)35の閉動作を行えるとする。
ここで、全電池ユニット23−1〜23−3の容量が等しいとすれば、電池ユニット23−1→電池ユニット23−2→電池ユニット23−3の順番で対応するコンタクタ35の閉処理を行うと決めている場合、電池ユニット23−1のコンタクタ35が閉じた後の主回路電圧は20Vとなる。
このときの電池ユニット23−2との出力電圧差は20Vとなり、電池ユニット23−1しか主回路へ接続できないこととなる。
【0054】
これに対し、電池ユニット23−1〜23−3を電圧が低い順番に、電池ユニット23−1→電池ユニット23−3→電池ユニット23−2の順番でコンタクタ35の閉処理を行った場合、電池ユニット23−1の電磁接触器が閉じた後の主回路電圧は20V、そのときの電池ユニット23−3との出力電圧差は10Vとなる。そして、電池ユニット23−3のコンタクタ35が閉じた後の主回路の電圧は25V(=[20+30]/2)、そのときの電池ユニット23−2との出力電圧差は15Vとなる。したがって、電池ユニット23−2のコンタクタ35が閉じた後の主回路の電圧は30V(=[20+30+40]/3)となり、3つ全ての電池ユニット23−1〜23−3を主回路に接続可能である。
【0055】
ところで、上述した方法により最初に主回路へ接続する電池ユニットが定まったとしても、初期状態では蓄電池装置の主回路電圧は0V(あるいは不定)であるので、最初に主回路へ接続する電池ユニットについては、主回路電圧と電池ユニット電圧が所定以上電位差を生じている状態でも接続することとなる。
【0056】
なお、主回路の電圧と、接続対象とすべき電池ユニットの電圧差については、測定誤差も考慮した値にするのが望ましい。この場合において、主回路の電圧は、ゲートウェイ装置24が測定機能を持っていてもよいし、蓄電池装置11の電力供給先の装置(図1においては、電力変換装置12)が測定機能を有し、通信ネットワークを介してゲートウェイ装置24に通知するようにしてもよい。
【0057】
以下、起動対象の電池ユニットの選択手順についてより具体的に説明する。
(1)電池ユニットの電圧が高い順に投入する場合の選択手順
図4は、電池ユニットの電圧が高い順に投入する場合にゲートウェイ装置における起動対象の電池ユニットの選択手順の処理フローチャートである。
ゲートウェイ装置24は、コンタクタ35を閉じていない電池ユニット23−1〜23−Mの中で、最も電圧の高い電池ユニット23−Hを選択する(ステップS81)。
【0058】
次にゲートウェイ装置24は、主回路の電圧である母線電圧が0Vまたは母線電圧と選択した電池ユニット23−Hの電圧の差が所定値以下であるか否かを判別する(ステップS82)。
ステップS82の判別において、主回路の電圧である母線電圧が0Vではなく、母線電圧と選択した電池ユニット23−Hの電圧の差が所定値を超えている場合には(ステップS82;No)、ゲートウェイ装置24は、待機状態となる。
【0059】
一方、主回路の電圧である母線電圧が0Vまたは母線電圧と選択した電池ユニット23−Hの電圧の差が所定値以下である場合には(ステップS82;Yes)、ゲートウェイ装置24は、選択した電池ユニット23−Hのコンタクタ35を閉じる指令を当該電池ユニット23−HのBMU36に出力する(ステップS83)。
続いて、ゲートウェイ装置24は、コンタクタ35を閉じる指令を出力したBMU36からコンタクタ35が閉じた旨の報告であるコンタクタ状態通知がなされたか否かを判別する(ステップS84)。
【0060】
ステップS84の判別において、未だコンタクタ状態通知がなされていない場合には(ステップS84;No)、ゲートウェイ装置24は、待機状態となる。
ステップS84の判別において、コンタクタ状態通知がなされた場合には(ステップS84;Yes)、ゲートウェイ装置24は、マスタ装置42に対し、当該時点において、運転可能な電池ユニット数を通知する(ステップS85)。
【0061】
続いてゲートウェイ装置24は、全ての電池ユニット23−1〜23−Mが起動したか否かを判別する(ステップS86)。
ステップS86の判別において、未だ全ての電池ユニット23−1〜23−Mが起動していない場合には(ステップS86;No)、処理を再びステップS81に移行して、以下、同様の処理を行う。
【0062】
ステップS86の判別において、全ての電池ユニット23−1〜23−Mが起動した場合には(ステップS86;Yes)、処理を終了する。
以上の説明のように、電池ユニットの電圧が高い順に電池ユニット23−1〜23−Mが順次投入されて、主回路に電力が供給されることとなる。
【0063】
(2)電池ユニットの電圧が低い順に投入する場合の選択手順
図5は、電池ユニットの電圧が低い順に投入する場合にゲートウェイ装置における起動対象の電池ユニットの選択手順の処理フローチャートである。
ゲートウェイ装置24は、コンタクタ35を閉じていない電池ユニット23−1〜23−Mの中で、最も電圧の低い電池ユニット23−Lを選択する(ステップS91)。
【0064】
次にゲートウェイ装置24は、主回路の電圧である母線電圧が0Vまたは母線電圧と選択した電池ユニット23−Lの電圧の差が所定値以下であるか否かを判別する(ステップS92)。
ステップS92の判別において、主回路の電圧である母線電圧が0Vではなく、母線電圧と選択した電池ユニット23−Lの電圧の差が所定値を超えている場合には(ステップS92;No)、ゲートウェイ装置24は、待機状態となる。
【0065】
一方、主回路の電圧である母線電圧が0Vまたは母線電圧と選択した電池ユニット23−Lの電圧の差が所定値以下である場合には(ステップS92;Yes)、ゲートウェイ装置24は、選択した電池ユニット23−Lのコンタクタ35を閉じる指令を当該電池ユニット23−LのBMU36に出力する(ステップS93)。
続いて、ゲートウェイ装置24は、コンタクタ35を閉じる指令を出力したBMU36からコンタクタ35が閉じた旨の報告であるコンタクタ状態通知がなされたか否かを判別する(ステップS94)。
【0066】
ステップS94の判別において、未だコンタクタ状態通知がなされていない場合には(ステップS94;No)、ゲートウェイ装置24は、待機状態となる。
ステップS94の判別において、コンタクタ状態通知がなされた場合には(ステップS94;Yes)、ゲートウェイ装置24は、マスタ装置42に対し、当該時点において、運転可能な電池ユニット数を通知する(ステップS95)。
続いてゲートウェイ装置24は、全ての電池ユニット23−1〜23−Mが起動したか否かを判別する(ステップS96)。
【0067】
ステップS96の判別において、未だ全ての電池ユニット23−1〜23−Mが起動していない場合には(ステップS96;No)、処理を再びステップS91に移行して、以下、同様の処理を行う。
ステップS96の判別において、全ての電池ユニット23−1〜23−Mが起動した場合には(ステップS96;Yes)、処理を終了する。
以上の説明のように、電池ユニットの電圧が低い順に電池ユニット23−1〜23−Mが順次投入されて、主回路に供給されることとなる。
【0068】
(3)電池ユニットの電圧が電池ユニットの平均値に近い順に投入する場合の選択手順
図6は、電池ユニットの電圧が電池ユニットの平均値に近い順に投入する場合にゲートウェイ装置における起動対象の電池ユニットの選択手順の処理フローチャートである。
ゲートウェイ装置24は、支配下にある電池ユニット23−1〜23−Mの電圧の平均値を計算する(ステップS100)。
【0069】
ゲートウェイ装置24は、コンタクタ35を閉じていない電池ユニット23−1〜23−Mの中で、最も電圧が電池ユニットの平均値に近い電池ユニット23−Aを選択する(ステップS101)。
次にゲートウェイ装置24は、主回路の電圧である母線電圧が0Vまたは母線電圧と選択した電池ユニット23−Aの電圧の差が所定値以下であるか否かを判別する(ステップS102)。
【0070】
ステップS102の判別において、主回路の電圧である母線電圧が0Vではなく、母線電圧と選択した電池ユニット23−Aの電圧の差が所定値を超えている場合には(ステップS102;No)、ゲートウェイ装置24は、待機状態となる。
【0071】
一方、主回路の電圧である母線電圧が0Vまたは母線電圧と選択した電池ユニット23−Aの電圧の差が所定値以下である場合には(ステップS102;Yes)、ゲートウェイ装置24は、選択した電池ユニット23−Aのコンタクタ35を閉じる指令を当該電池ユニット23−AのBMU36に出力する(ステップS103)。
【0072】
続いて、ゲートウェイ装置24は、コンタクタ35を閉じる指令を出力したBMU36からコンタクタ35が閉じた旨の報告であるコンタクタ状態通知がなされたか否かを判別する(ステップS104)。
ステップS104の判別において、未だコンタクタ状態通知がなされていない場合には(ステップS104;No)、ゲートウェイ装置24は、待機状態となる。
【0073】
ステップS104の判別において、コンタクタ状態通知がなされた場合には(ステップS104;Yes)、ゲートウェイ装置24は、マスタ装置42に対し、当該時点において、運転可能な電池ユニット数を通知する(ステップS105)。
続いてゲートウェイ装置24は、全ての電池ユニット23−1〜23−Mが起動したか否かを判別する(ステップS106)。
【0074】
ステップS106の判別において、未だ全ての電池ユニット23−1〜23−Mが起動していない場合には(ステップS106;No)、処理を再びステップS101に移行して、以下、同様の処理を行う。
ステップS106の判別において、全ての電池ユニット23−1〜23−Mが起動した場合には(ステップS106;Yes)、処理を終了する。
以上の説明のように、電池ユニットの電圧が電池ユニットの平均値に近い順に電池ユニット23−1〜23−Mが順次投入されて、電力が主回路に供給されることとなる。
【0075】
(4)最も多くの電池ユニットを投入可能とする順番で電池ユニットの電圧が高い順に投入する場合の選択手順
図7は、電池ユニットの電圧が高い順に投入する場合にゲートウェイ装置における起動対象の電池ユニットの選択手順の処理フローチャートである。
まず、ゲートウェイ装置24は、最初に起動する電池ユニットの電圧の順番を示すインデックスN=1に初期化する(ステップS111)。
【0076】
次にゲートウェイ装置24は、N番目に高い電圧の電池ユニットから投入した場合に主回路の電圧である母線電圧から所定電圧範囲となるように投入可能な電池ユニット数SUM=0に初期化する(ステップS112)
続いてゲートウェイ装置24は、N番目に高い電圧の電池ユニットから起動したと仮定したときに起動可能な電池ユニットの電圧の順位を示すインデックスをMとし、M=Nとする(ステップS113)。
次にゲートウェイ装置24は、電池ユニットの電圧が高い順番でN番目からM番目までの電池ユニットの平均電圧値を演算する(ステップS114)。
【0077】
次にゲートウェイ装置24は、ステップS114で演算した電池ユニットの電圧が高い順番でN番目からM番目までの電池ユニットの平均電圧値と、(M+1)番目の電池ユニットの電圧差が所定値以下であるか否かを判別する(ステップS115)。この場合において、所定値は、主回路の電圧である母線電圧から所定電圧範囲となる電圧範囲である。
ステップS115の判別において、ステップS114で演算した電池ユニットの電圧が高い順番でN番目からM番目までの電池ユニットの平均電圧値と、(M+1)番目の電池ユニットの電圧差が所定値を超えている場合には(ステップS115;No)、処理をステップS118に移行する。
【0078】
ステップS115の判別において、ステップS114で演算した電池ユニットの電圧が高い順番でN番目からM番目までの電池ユニットの平均電圧値と、(M+1)番目の電池ユニットの電圧差が所定値以下である場合には(ステップS115;Yes)、ゲートウェイ装置24は、インデックスM=M+1とし、電池ユニット数SUM=SUM+1とする(ステップS116)。すなわち、投入可能と判断された電池ユニット数が一つ増えたことととなる。
【0079】
次にゲートウェイ装置24は、インデックスMの値が総電池ユニット数以下であるか否かを判別する(ステップS117)。
ステップS117の判別において、インデックスMの値が総電池ユニット数以下である場合には(ステップS117;Yes)、ゲートウェイ装置24は、処理を再びステップS114に移行して、以下、同様の処理を行う。
ステップS117の判別において、インデックスMの値が総電池ユニット数を超えている場合には(ステップS117;No)、ゲートウェイ装置24は、インデックスN=N+1とする(ステップS118)。
【0080】
次にゲートウェイ装置24は、インデックスNの値が総電池ユニット数を超えているか否かを判別する(ステップS119)。
ステップS119の判別において、インデックスNの値が総電池ユニット数以下である場合には(ステップS119;No)、ゲートウェイ装置24は、処理を再びステップS112に移行し、以下、同様の処理を行う。
ステップS119の判別において、インデックスNの値が総電池ユニット数を超えた場合には(ステップS119;Yes)、起動ユニット選択のための情報収集が完了したので、インデックスNを1から電池ユニット数まで変化させて、電池ユニット数SUMの値が最も大きいインデックスNの値を探索する(ステップS120)。すなわち、最も投入可能な電池ユニットの数が多いインデックスNの値を取得することとなる。
【0081】
次にゲートウェイ装置24は、電池ユニット23−1〜23−Mの中で、N番目に電圧の高い電池ユニット23−HNを選択する(ステップS121)。
次にゲートウェイ装置24は、主回路の電圧である母線電圧が0Vまたは母線電圧と選択した電池ユニット23−HNの電圧の差が所定値以下であるか否かを判別する(ステップS122)。
ステップS122の判別において、主回路の電圧である母線電圧が0Vではなく、母線電圧と選択した電池ユニット23−HNの電圧の差が所定値を超えている場合には(ステップS122;No)、ゲートウェイ装置24は、待機状態となる。
【0082】
一方、主回路の電圧である母線電圧が0Vまたは母線電圧と選択した電池ユニット23−HNの電圧の差が所定値以下である場合には(ステップS122;Yes)、ゲートウェイ装置24は、選択した電池ユニット23−HNのコンタクタ35を閉じる指令を当該電池ユニット23−HNのBMU36に出力する(ステップS123)。
続いて、ゲートウェイ装置24は、コンタクタ35を閉じる指令を出力したBMU36からコンタクタ35が閉じた旨の報告であるコンタクタ状態通知がなされたか否かを判別する(ステップS124)。
ステップS124の判別において、未だコンタクタ状態通知がなされていない場合には(ステップS124;No)、ゲートウェイ装置24は、待機状態となる。
ステップS124の判別において、コンタクタ状態通知がなされた場合には(ステップS124;Yes)、ゲートウェイ装置24は、マスタ装置42に対し、当該時点において、運転可能な電池ユニット数を通知する(ステップS125)。
【0083】
続いてゲートウェイ装置24は、起動して投入した電池ユニットの個数が電池ユニット数SUMとなったか否かを判別する(ステップS126)。
ステップS126の判別において、未だ起動して投入した電池ユニットの個数が電池ユニット数SUMとなっていない場合には(ステップS126;No)、電圧が直前に起動した電池ユニットの次に低い電圧の電池ユニットを選択し、処理を再びステップS122に移行して、以下、同様の処理を行う。
ステップS126の判別において、起動して投入した電池ユニットの個数が電池ユニット数SUMとなった場合には(ステップS126;Yes)、処理を終了する。
以上の説明のように、最も多くの電池ユニットが投入可能な状態で、電池ユニットの電圧が高い順に電池ユニットが順次投入されて、電力が主回路に供給されることとなる。
【0084】
(5)最も多くの電池ユニットを投入可能とする順番で電池ユニットの電圧が低い順に投入する場合の選択手順
図8は、電池ユニットの電圧が低い順に投入する場合にゲートウェイ装置における起動対象の電池ユニットの選択手順の処理フローチャートである。
まず、ゲートウェイ装置24は、最初に起動する電池ユニットの電圧の順番を示すインデックスN=1に初期化する(ステップS131)。
【0085】
次にゲートウェイ装置24は、N番目に低い電圧の電池ユニットから投入した場合に主回路の電圧である母線電圧から所定電圧範囲となるように投入可能な電池ユニット数SUM=0に初期化する(ステップS132)
【0086】
続いてゲートウェイ装置24は、N番目に低い電圧の電池ユニットから起動したと仮定したときに起動可能な電池ユニットの電圧の順位を示すインデックスをMとし、M=Nとする(ステップS133)。
次にゲートウェイ装置24は、電池ユニットの電圧が低い順番でN番目からM番目までの電池ユニットの平均電圧値を演算する(ステップS134)。
【0087】
次にゲートウェイ装置24は、ステップS134で演算した電池ユニットの電圧が低い順番でN番目からM番目までの電池ユニットの平均電圧値と、(M+1)番目の電池ユニットの電圧差が所定値以下であるか否かを判別する(ステップS135)。この場合において、所定値は、主回路の電圧である母線電圧から所定電圧範囲となる電圧範囲である。
ステップS135の判別において、ステップS134で演算した電池ユニットの電圧が低い順番でN番目からM番目までの電池ユニットの平均電圧値と、(M+1)番目の電池ユニットの電圧差が所定値を超えている場合には(ステップS135;No)、処理をステップS138に移行する。
【0088】
ステップS135の判別において、ステップS134で演算した電池ユニットの電圧が低い順番でN番目からM番目までの電池ユニットの平均電圧値と、(M+1)番目の電池ユニットの電圧差が所定値以下である場合には(ステップS135;Yes)、ゲートウェイ装置24は、インデックスM=M+1とし、電池ユニット数SUM=SUM+1とする(ステップS136)。すなわち、投入可能と判断された電池ユニット数が一つ増えたことととなる。
次にゲートウェイ装置24は、インデックスMの値が総電池ユニット数以下であるか否かを判別する(ステップS137)。
【0089】
ステップS137の判別において、インデックスMの値が総電池ユニット数以下である場合には(ステップS137;Yes)、ゲートウェイ装置24は、処理を再びステップS134に移行して、以下、同様の処理を行う。
ステップS137の判別において、インデックスMの値が総電池ユニット数を超えている場合には(ステップS137;No)、ゲートウェイ装置24は、インデックスN=N+1とする(ステップS138)。
【0090】
次にゲートウェイ装置24は、インデックスNの値が総電池ユニット数を超えているか否かを判別する(ステップS139)。
ステップS139の判別において、インデックスNの値が総電池ユニット数以下である場合には(ステップS139;No)、ゲートウェイ装置24は、処理を再びステップS132に移行し、以下、同様の処理を行う。
【0091】
ステップS139の判別において、インデックスNの値が総電池ユニット数を超えた場合には(ステップS139;Yes)、起動ユニット選択のための情報収集が完了したので、インデックスNを1から電池ユニット数まで変化させて、電池ユニット数SUMの値が最も大きいインデックスNの値を探索する(ステップS140)。すなわち、最も投入可能な電池ユニットの数が多いインデックスNの値を取得することとなる。
次にゲートウェイ装置24は、電池ユニット23−1〜23−Mの中で、N番目に電圧の低い電池ユニット23−LNを選択する(ステップS141)。
【0092】
次にゲートウェイ装置24は、主回路の電圧である母線電圧が0Vまたは母線電圧と選択した電池ユニット23−LNの電圧の差が所定値以下であるか否かを判別する(ステップS142)。
ステップS142の判別において、主回路の電圧である母線電圧が0Vではなく、母線電圧と選択した電池ユニット23−LNの電圧の差が所定値を超えている場合には(ステップS142;No)、ゲートウェイ装置24は、待機状態となる。
【0093】
一方、主回路の電圧である母線電圧が0Vまたは母線電圧と選択した電池ユニット23−LNの電圧の差が所定値以下である場合には(ステップS142;Yes)、ゲートウェイ装置24は、選択した電池ユニット23−LNのコンタクタ35を閉じる指令を当該電池ユニット23−LNのBMU36に出力する(ステップS143)。
続いて、ゲートウェイ装置24は、コンタクタ35を閉じる指令を出力したBMU36からコンタクタ35が閉じた旨の報告であるコンタクタ状態通知がなされたか否かを判別する(ステップS144)。
【0094】
ステップS144の判別において、未だコンタクタ状態通知がなされていない場合には(ステップS144;No)、ゲートウェイ装置24は、待機状態となる。
ステップS144の判別において、コンタクタ状態通知がなされた場合には(ステップS144;Yes)、ゲートウェイ装置24は、マスタ装置42に対し、当該時点において、運転可能な電池ユニット数を通知する(ステップS145)。
続いてゲートウェイ装置24は、起動して投入した電池ユニットの個数が電池ユニット数SUMとなったか否かを判別する(ステップS146)。
【0095】
ステップS146の判別において、未だ起動して投入した電池ユニットの個数が電池ユニット数SUMとなっていない場合には(ステップS146;No)、電圧が直前に起動した電池ユニットの次に高い電圧の電池ユニットを選択し(ステップS147)、処理を再びステップS142に移行して、以下、同様の処理を行う。
ステップS146の判別において、起動して投入した電池ユニットの個数が電池ユニット数SUMとなった場合には(ステップS146;Yes)、処理を終了する。
以上の説明のように、最も多くの電池ユニットが投入可能な状態で、電池ユニットの電圧が低い順に電池ユニットが順次投入されて、電力が主回路に供給されることとなる。
【0096】
(6)最も多くの電池ユニットを投入可能とする順番で電池ユニットの電圧が全電池ユニットの平均値に近い順に投入する場合の選択手順
図9は、電池ユニットの電圧が全電池ユニットの平均値に近い順に投入する場合にゲートウェイ装置における起動対象の電池ユニットの選択手順の処理フローチャートである。
まず、ゲートウェイ装置24は、最初に起動する電池ユニットの電圧の順番を示すインデックスN=1に初期化する(ステップS151)。
【0097】
次にゲートウェイ装置24は、N番目に低い電圧の電池ユニットから投入した場合に主回路の電圧である母線電圧から所定電圧範囲となるように投入可能な電池ユニット数SUM=0に初期化する(ステップS152)
続いてゲートウェイ装置24は、N番目に全電池ユニットの平均値に近い電圧の電池ユニットから起動したと仮定したときに起動可能な電池ユニットの電圧の順位を示すインデックスをMとし、M=Nとする(ステップS153)。
次にゲートウェイ装置24は、電池ユニットの電圧が全電池ユニットの平均値に近い順番でN番目からM番目までの電池ユニットの平均電圧値を演算する(ステップS154)。
【0098】
次にゲートウェイ装置24は、ステップS154で演算した電池ユニットの電圧が全電池ユニットの平均値に近い順番でN番目からM番目までの電池ユニットの平均電圧値と、(M+1)番目の電池ユニットの電圧差が所定値以下であるか否かを判別する(ステップS155)。この場合において、所定値は、主回路の電圧である母線電圧から所定電圧範囲となる電圧範囲である。
ステップS155の判別において、ステップS154で演算した電池ユニットの電圧が全電池ユニットの平均値に近い順番でN番目からM番目までの電池ユニットの平均電圧値と、(M+1)番目の電池ユニットの電圧差が所定値を超えている場合には(ステップS155;No)、処理をステップS158に移行する。
【0099】
ステップS155の判別において、ステップS154で演算した電池ユニットの電圧が全電池ユニットの平均値に近い順番でN番目からM番目までの電池ユニットの平均電圧値と、(M+1)番目の電池ユニットの電圧差が所定値以下である場合には(ステップS155;Yes)、ゲートウェイ装置24は、インデックスM=M+1とし、電池ユニット数SUM=SUM+1とする(ステップS156)。すなわち、投入可能と判断された電池ユニット数が一つ増えたことととなる。
【0100】
次にゲートウェイ装置24は、インデックスMの値が総電池ユニット数以下であるか否かを判別する(ステップS157)。
ステップS157の判別において、インデックスMの値が総電池ユニット数以下である場合には(ステップS157;Yes)、ゲートウェイ装置24は、処理を再びステップS154に移行して、以下、同様の処理を行う。
ステップS157の判別において、インデックスMの値が総電池ユニット数を超えている場合には(ステップS157;No)、ゲートウェイ装置24は、インデックスN=N+1とする(ステップS158)。
【0101】
次にゲートウェイ装置24は、インデックスNの値が総電池ユニット数を超えているか否かを判別する(ステップS159)。
ステップS159の判別において、インデックスNの値が総電池ユニット数以下である場合には(ステップS159;No)、ゲートウェイ装置24は、処理を再びステップS152に移行し、以下、同様の処理を行う。
【0102】
ステップS159の判別において、インデックスNの値が総電池ユニット数を超えた場合には(ステップS159;Yes)、起動ユニット選択のための情報収集が完了したので、インデックスNを1から電池ユニット数まで変化させて、電池ユニット数SUMの値が最も大きいインデックスNの値を探索する(ステップS160)。すなわち、最も投入可能な電池ユニットの数が多いインデックスNの値を取得することとなる。
【0103】
次にゲートウェイ装置24は、電池ユニット23−1〜23−Mの中で、N番目に全電池ユニットの平均値に近い電圧の電池ユニット23−ANを選択する(ステップS161)。
次にゲートウェイ装置24は、主回路の電圧である母線電圧が0Vまたは母線電圧と選択した電池ユニット23−ANの電圧の差が所定値以下であるか否かを判別する(ステップS162)。
ステップS162の判別において、主回路の電圧である母線電圧が0Vではなく、母線電圧と選択した電池ユニット23−ANの電圧の差が所定値を超えている場合には(ステップS162;No)、ゲートウェイ装置24は、待機状態となる。
【0104】
一方、主回路の電圧である母線電圧が0Vまたは母線電圧と選択した電池ユニット23−LNの電圧の差が所定値以下である場合には(ステップS162;Yes)、ゲートウェイ装置24は、選択した電池ユニット23−ANのコンタクタ35を閉じる指令を当該電池ユニット23−1のBMU36に出力する(ステップS163)。
【0105】
続いて、ゲートウェイ装置24は、コンタクタ35を閉じる指令を出力したBMU36からコンタクタ35が閉じた旨の報告であるコンタクタ状態通知がなされたか否かを判別する(ステップS164)。
【0106】
ステップS164の判別において、未だコンタクタ状態通知がなされていない場合には(ステップS164;No)、ゲートウェイ装置24は、待機状態となる。
ステップS164の判別において、コンタクタ状態通知がなされた場合には(ステップS164;Yes)、ゲートウェイ装置24は、マスタ装置42に対し、当該時点において、運転可能な電池ユニット数を通知する(ステップS165)。
【0107】
続いてゲートウェイ装置24は、起動して投入した電池ユニットの個数が電池ユニット数SUMとなったか否かを判別する(ステップS166)。
ステップS166の判別において、未だ起動して投入した電池ユニットの個数が電池ユニット数SUMとなっていない場合には(ステップS166;No)、電圧が直前に起動した電池ユニットの次に全電池ユニットの平均値に近い電圧の電池ユニットを選択し(ステップS167)、処理を再びステップS162に移行して、以下、同様の処理を行う。
ステップS166の判別において、起動して投入した電池ユニットの個数が電池ユニット数SUMとなった場合には(ステップS166;Yes)、処理を終了する。
【0108】
以上の説明のように、最も多くの電池ユニットが投入可能な状態で、電池ユニットの電圧が全電池ユニットの平均値に近い順に電池ユニットが順次投入されて、電力が主回路に供給されることとなる。
【0109】
(7)投入できなかった電池ユニットに対する処理
以上の説明においては、詳細に述べなかったが、いずれの手法においても投入できない電池ユニットが発生する可能性がある。
ところで、各電池ユニット23−1〜23−Mは、各電池ユニット23−1〜23−Mが独立して放電することで各電池ユニット23−1〜23−Mの電圧バランスをとるセルバランス動作が可能とされている。ここで、セルバランス動作とは、セルモジュールを構成するセル(電池)と並列に接続/切り離し可能に設けた放電抵抗(セルバランス抵抗)を用い、セル(電池)単位で放電を行わせてセル(電池)の電圧を下げ、ひいては、セルモジュールの電圧を下げる動作である。
【0110】
そこで、投入可能な電池ユニットを投入して、どうしても投入できなかった電池ユニットが発生した場合には、可能な限り電圧調整を行って、投入するようにすることができる。
【0111】
図10は、未投入の電池ユニット数を低減させるためのゲートウェイ装置の処理フローチャートである。
まず、ゲートウェイ装置24は、上述した各処理によって、電池ユニットの投入が終了した時点あるいは電池ユニットの投入処理の途中で投入できないと判断された未投入の電池ユニットが存在する場合には、各電池ユニットの電圧が主回路の電圧である母線電圧より高いか否かを判別する(ステップS171)。
【0112】
ステップS171の判別において、未投入の電池ユニットの電圧が主回路の電圧である母線電圧より高い場合には(ステップS171;Yes)、ゲートウェイ装置24は、セルバランス動作を行うように、対応するBMU36に対してセルバランス開始指令を出力する(ステップS172)。
次にゲートウェイ装置24は、未投入の電池ユニットの電圧が主回路の電圧である母線電圧との差が所定電圧以下となったか否かを判別する(ステップS173)。ここで、所定電圧とは、当該未投入の電池ユニットを投入可能と判断される電圧である。
【0113】
ステップS173の判別において、未投入の電池ユニットの電圧が主回路の電圧である母線電圧との差が所定電圧以下となった場合には(ステップS173;Yes)、当該未投入の電池ユニットは投入可能な状態となったので、ゲートウェイ装置24は、セルバランス動作を停止するように、対応するBMU36に対してセルバランス停止指令を出力し(ステップS174)、処理を終了する。これにより、当該セルバランス動作を停止した未投入の電池ユニットは、投入可能な状態となっているので、その後投入されることとなる。
【0114】
一方、ステップS171の判別において、未投入の電池ユニットの電圧が主回路の電圧である母線電圧以下である場合には(ステップS171;No)、ゲートウェイ装置24は、未投入の電池ユニットの電圧が主回路の電圧である母線電圧との差が所定電圧以下となっているか否かを判別する(ステップS175)。
【0115】
ステップS175の判別において、未投入の電池ユニットの電圧が主回路の電圧である母線電圧との差が所定電圧を超えている場合には(ステップS175;No)、未投入の電池ユニットの電圧が主回路の電圧に対して低すぎるので、ゲートウェイ装置24は、待機状態となる。
ステップS175の判別において、未投入の電池ユニットの電圧が主回路の電圧である母線電圧との差が所定電圧以下となっている場合には(ステップS175;Yes)、当該未投入の電池ユニットは、投入可能な状態となっているので、その後投入されることとなる。
【0116】
以上の説明のように、セルバランス動作をおこなわせることで、未投入の電池ユニット数を低減することが可能となる。
以上のセルバランス動作は、電池ユニット23−1〜23−Mのセルモジュール31構成するに並列にセルバランス抵抗を接続/切り離し可能としてセル(電池)単位で放電を行わせるものを想定していたが、セルモジュール31と並列にモジュールバランス抵抗を接続/切り離し可能とし、セルモジュール単位で放電をおこなわせるように構成することも可能である。
【0117】
以上の説明では、電池ユニットを主回路に接続する場合の主回路との電圧差は、一定であるものとして説明したが、蓄電池装置11の電力供給先(図1の例では、電力変換装置12)が充放電を行っているときに、未接続だった電池ユニットが突然接続されると、主回路の電圧が急激に変動するため、変動幅によっては蓄電池装置の電力供給先の異常を誘発するおそれがある。
そこで、これを防ぐために、ゲートウェイ装置24は、マスタ装置42からの通信により蓄電池装置の電力供給先が充放電可能状態にあると判断したときは、電池ユニットの接続を行う主回路電圧と電池ユニット電圧の差を起動時よりも小さい値に設定するようにすることができる。
【0118】
本実施形態の蓄電池装置は、CPUなどの制御装置と、ROM(Read Only Memory)やRAMなどの記憶装置と、を備えており、通常のコンピュータを利用したハードウェア構成となっている。
【0119】
本実施形態の蓄電池装置で実行される制御プログラムは、インストール可能な形式又は実行可能な形式のファイルでCD−ROM、フレキシブルディスク(FD)、CD−R、DVD(Digital Versatile Disk)等のコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録されて提供される。
【0120】
また、本実施形態の蓄電池装置で実行される制御プログラムを、インターネット等のネットワークに接続されたコンピュータ上に格納し、ネットワーク経由でダウンロードさせることにより提供するように構成しても良い。また、本実施形態の蓄電池装置で実行される制御プログラムをインターネット等のネットワーク経由で提供または配布するように構成しても良い。
また、本実施形態の蓄電池装置の制御プログラムを、ROM等に予め組み込んで提供するように構成してもよい。
【0121】
以上、本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。例えば、本実施形態では各電池ユニットは1並列多直列のユニットを用いているが、多並列多直列であっても良い。電池ユニットが多並多直列で接続されている場合、並列に接続されている複数の単セルを1つの単セルとみなして各構成要素が処理を実行することにより本実施形態の課題解決手段を利用することができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0122】
10 蓄電池システム
11 蓄電池装置
12 電力変換装置
12A UPS
21 電池盤
22 電池端子盤
23−1〜23−M 電池ユニット
24 ゲートウェイ装置(接続制御手段)
25 直流電源装置
31 セルモジュール(組電池群)
32 CMU
33 サービスディスコネクト
34 電流センサ
35 コンタクタ(電磁接触器)
36 BMU
41−1〜41-N 盤遮断機
42 マスタ装置
51 制御電源線
52 制御通信線
LH 高電位側電源供給ライン(高電位側電源供給線)
LL 低電位側電源供給ライン(低電位側電源供給線)
LHO、LLO 出力電源ライン(出力電源線;母線)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の組電池群と、
前記組電池群のそれぞれに対応し、対応する組電池群を出力電源線に電気的に接続する複数の電磁接触器と、
前記組電池群の電圧と前記出力電源線の電圧との電圧差が、所定電圧以下である組電池群を接続対象と判断し、当該組電池群を対応する前記電磁接触器を介して前記出力電源線に接続する接続制御手段と、
を備えた蓄電池装置。
【請求項2】
前記接続制御手段は、前記出力電源線に未接続の組電池群のうち、最も電圧の高い組電池群を前記接続対象の候補とする、
請求項1記載の蓄電池装置。
【請求項3】
前記接続制御手段は、前記出力電源線に未接続の組電池群のうち、最も電圧の低い組電池群を前記接続対象の候補とする、
請求項1記載の蓄電池装置。
【請求項4】
前記接続制御手段は、前記出力電源線に接続可能な全組電池群の平均電圧を求め、
前記出力電源線に未接続の組電池群のうち、最も電圧が前記平均電圧に近い組電池群を前記接続対象の候補とする、
請求項1記載の蓄電池装置。
【請求項5】
前記接続制御手段は、前記出力電源線に接続可能な全組電池群のうち、最初に前記出力電源線に接続した場合に、最も多く他の前記組電池群を前記出力電源線に接続できる組電池群を判別する、
請求項1記載の蓄電池装置。
【請求項6】
前記接続制御手段は、前記判別を行うに際し、最も多く他の前記組電池群を前記出力電源線に接続できる組電池群のうち、最も電圧の高い組電池群を最初に前記出力電源線に接続する組電池群として判別する、
請求項5記載の蓄電池装置。
【請求項7】
前記接続制御手段は、前記判別を行うに際し、最も多く他の前記組電池群を前記出力電源線に接続できる組電池群のうち、最も電圧の低い組電池群を最初に前記出力電源線に接続する組電池群として判別する、
請求項5記載の蓄電池装置。
【請求項8】
前記接続制御手段は、前記出力電源線に接続可能な全組電池群の平均電圧を求め、
前記判別を行うに際し、最も多く他の前記組電池群を前記出力電源線に接続できる組電池群のうち、最も電圧が前記平均電圧に近い組電池群を最初に前記出力電源線に接続する組電池群として判別する、
請求項5記載の蓄電池装置。
【請求項9】
前記接続制御手段は、前記所定電圧を、前記組電池群を前記出力電源線に接続した場合に前記電磁接触器に流れる電流が許容可能範囲となるように設定する、
請求項1乃至請求項8のいずれかに記載の蓄電池装置。
【請求項10】
前記接続制御手段は、前記出力電源線に接続される負荷としての装置が、充放電可能な状態である場合に、前記所定電圧を通常時よりも低く設定する、
請求項9記載の蓄電池装置。
【請求項11】
前記出力電源線の電圧との電圧差が、所定電圧を超えて高い前記組電池群について、前記出力電源線の電圧差が所定電圧が以下となるように、当該組電池群を構成する電池毎あるいは当該組電池群に放電を行わせる放電手段を備えた請求項1乃至請求項10のいずれかに記載の蓄電池装置。
【請求項12】
複数の組電池群と、前記組電池群のそれぞれに対応し、対応する組電池群を出力電源線に電気的に接続する複数の電磁接触器と、を備えた蓄電池装置で実行される蓄電池装置の制御方法であって、
前記組電池群の電圧と、前記出力電源線の電圧との電圧差を求める過程と、
前記電圧差が所定電圧以下である場合に当該組電池群を接続対象と判断する過程と、
当該組電池群を対応する前記電磁接触器を介して前記出力電源線に接続する過程と、
を備えた蓄電池装置の制御方法。
【請求項13】
複数の組電池群と、前記組電池群のそれぞれに対応し、対応する組電池群を出力電源線に電気的に接続する複数の電磁接触器と、を備えた蓄電池装置をコンピュータにより制御するための制御プログラムであって、
前記コンピュータを、
前記組電池群の電圧と、前記出力電源線の電圧との電圧差を求める手段と、
前記電圧差が所定電圧以下である場合に当該組電池群を接続対象と判断する手段と、
当該組電池群を対応する前記電磁接触器を介して前記出力電源線に接続する手段と、
して機能させる制御プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2013−78241(P2013−78241A)
【公開日】平成25年4月25日(2013.4.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−218076(P2011−218076)
【出願日】平成23年9月30日(2011.9.30)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】