説明

蓄電装置、電極及びその作製方法

【課題】サイクル特性が向上した蓄電装置を提供する。
【解決手段】シリコン等からなる活物質層の表面に接して導電性を有する触媒層と、導電性を有する触媒層上に炭素層を設けた蓄電装置である。炭素層は、触媒層の作用によりCVD法により形成される。CVD法で形成された炭素層は結晶質であり、このような炭素層を設けることにより、蓄電装置の電極表面へのSEI等の不純物の付着を抑制することができ、蓄電装置のサイクル特性の向上を図ることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、蓄電装置及びその作製方法に関する。なお、本明細書において蓄電装置とは、蓄電機能を有する装置の一部あるいは全般を指すものである。
【背景技術】
【0002】
近年、リチウムイオン二次電池、リチウムイオンキャパシタなど、蓄電装置の開発が行われている。また、そのような蓄電装置を冷蔵庫(特許文献1参照)、エアコンディショナー(特許文献2参照)、室内照明装置(特許文献3参照)、電子レンジ(特許文献4参照)等の各種電気機器に用いることも提案されている。
【0003】
蓄電装置用の電極は、集電体の一表面に活物質を形成することにより作製される。集電体の一表面に形成された活物質が層状であるとき、これを活物質層という。なお、活物質層は、活物質以外の材料(例えば、導電助剤やバインダ等)を含むことがある。リチウムを吸蔵する活物質としては、例えばグラファイト又はシリコンなど、キャリアとなるイオンの吸蔵及び放出が可能な材料が用いられる。中でもシリコンは、グラファイトに比べ理論容量が大きく、蓄電装置の大容量化という点において優れているため、注目されている。
【0004】
例えば非特許文献1では、活物質にウィスカー状の単結晶シリコンを用いたリチウムイオン二次電池が報告されている。非特許文献1では、ウィスカー状シリコンを用いることで、リチウムイオンの吸蔵および放出によってシリコンの体積が変化しても、電極の構造破壊を引き起こしにくいため、充放電特性を向上させることができるとされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】米国特許出願公開第2009/0045680号明細書
【特許文献2】米国特許第6134902号明細書
【特許文献3】米国特許第4764853号明細書
【特許文献4】米国特許出願公開第2007/0295718号明細書
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】「High−performance lithium battery anodes using silicon nanowires」, CANDACE K. CHAN et al., nature nanotechnology, p. 31−35, VOL 3, 2008
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
一般にリチウムイオン二次電池では、充放電の際に活物質と電解質が反応して、電極表面に電解質の分解した化合物膜が形成されることが知られている。このような化合物膜はSEI(Solid Elctrolyte Interface)と呼ばれ、電極と電解質の反応を和らげ、安定化させるために必要であると考えられている。
【0008】
しかしながら、その厚さは電極と電解質の組み合わせによって決定されるため、必要以上に厚くなることもある。一般に、活物質としてシリコンを用いた場合には、グラファイトを用いた場合よりもSEIの形成が大きくなった。SEI形成に伴う悪影響としては、クーロン効率の低下、電極と電解質間のリチウムイオン伝導性の低下、電解質の消耗などが挙げられる。
【0009】
このような現象は、リチウムイオン二次電池に限られず、アルカリ金属イオンあるいはアルカリ土類金属イオンをキャリアイオンとして用いる蓄電装置に共通のものである。また、活物質をシリコン以外の材料とした場合でも同様の問題が生じることがある。電解質も有機電解液に限られず、固体電解質、イオン液体とした場合でも同様の問題が生じることがある。
【0010】
本発明の一態様は、このような問題を解決するためになされたもので、SEIの形成が抑制された蓄電装置を提供することを目的とする。あるいは、本発明の一態様は、充放電特性の優れた蓄電装置を提供することを目的とする。あるいは、信頼性や長期あるいは繰り返しの使用にも耐える蓄電装置を提供することを目的とする。本発明は上記の課題の少なくとも一を解決する。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の一態様は、集電体と、集電体上の活物質層と、活物質層に接する導電性を有する触媒層と、触媒層と接する炭素層とを有することを特徴とする蓄電装置あるいは蓄電装置の電極である。
【0012】
また、本発明の一態様は、集電体上に活物質層を形成し、活物質層に接して導電性を有する触媒層を形成し、触媒層上に気相成長法により炭素層を形成する蓄電装置の作製方法あるいは蓄電装置の電極の作製方法である。
【0013】
上記において、触媒層は、銅、ニッケル、チタン、マンガン、コバルト、及び鉄の一以上を含むことが好ましい。また、炭素層の厚さは0.4nm以上4nm以下であることが好ましい。なお、炭素層は、単層のグラフェンあるいは2以上10以下のグラフェンが積層したもの(以下、これらをグラフェンの積層体、という)よりなることが好ましい。また、触媒層の厚さは0.1nm以上10nm以下であることが好ましい。
【0014】
上記において、活物質層はシリコン、ゲルマニウム、スズ、アルミニウムのいずれかより形成されていてもよい。また、活物質としてシリコンを用いる場合、シリコンは、リンまたはボロンを含んでもよい。また、活物質層は化学的気相成長(CVD)法、あるいは気相‐液相‐固相(VLS)成長法で形成されてもよい。また、活物質層はウィスカー状の物体を含んでもよい。なお、活物質層は結晶質であっても、非晶質であっても、あるいはその双方の特徴を併せ持つ形態であってもよい。
【0015】
一般に活物質層が非晶質であると、集電体との間に合金層が形成されにくく、キャリアイオンの吸蔵の際にも、集電体との密着性を維持でき、活物質が集電体から剥離することを防止できる。なお、活物質層が結晶質であっても、一定の比率以上のキャリアイオンを吸蔵すると、非晶質となり、キャリアイオンを放出した後でも非晶質のままである。
【発明の効果】
【0016】
上記構成においては、電解質は炭素層と接するが、炭素層はシリコン等の活物質よりも安定であり、炭素層と電解質との反応によって生じるSEIは厚さが限られているため、活物質が電解質と接する場合に比べてSEIは十分に薄くなる。特に炭素層が結晶質であるグラフェンの積層体よりなると、表面が化学的に不活性であるため、この効果が顕著である。
【0017】
また、炭素層がグラフェンの積層体よりなる場合には、sp結合が表面に平行に存在するため、機械的強度も十分であり、炭素層が活物質から剥離あるいは離脱することを防止できるので、より好ましい。特にCVD法で形成される炭素層は結晶性が高いので非常に好ましい。ただし、炭素層が過剰に厚いとキャリアイオンの移動を妨げることがある。
【0018】
また、触媒層は、CVD法で炭素層を形成する際に、触媒として機能するものであるが、同時に、炭素層が剥離することを防止するような応力緩和作用を有することもある。触媒層は、キャリアイオンの吸蔵や放出の際に障害とならないような材料で構成されることが好ましい。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】蓄電装置の負極の作製方法を説明するための断面図である。
【図2】蓄電装置の負極の作製方法を説明するための断面図である。
【図3】蓄電装置の一形態を説明するための平面図及び断面図である。
【図4】蓄電装置の応用の形態を説明するための図である。
【図5】無線給電システムの構成を示す図である。
【図6】無線給電システムの構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明の実施の形態の一例について、図面を用いて以下に説明する。但し、本発明は以下の説明に限定されず、本発明の趣旨及びその範囲から逸脱することなくその形態及び詳細を様々に変更し得ることは当業者であれば容易に理解される。従って、本発明は以下に示す実施の形態の記載内容に限定して解釈されるものではないとする。なお、説明中に図面を参照するにあたり、同じものを指す符号は異なる図面間でも共通して用いる場合がある。また、同様のものを指す際には同じハッチパターンを使用し、特に符号を付さない場合がある。
【0021】
(実施の形態1)
本実施の形態では、本発明の一態様である蓄電装置の電極及びその作製方法について、図1及び図2を用いて説明する。
【0022】
まず、集電体101上に、蒸着法、スパッタリング法、プラズマCVD法、熱CVD法(好ましくは減圧CVD(LPCVD:Low Pressure Chemical vapor deposition)法)等により、シリコン層を活物質層103として形成する。(図1(A)参照)。
【0023】
集電体101は、電極の集電体として機能する。このため、箔状、板状、または網状の導電性部材を用いる。例えば、白金、アルミニウム、銅、チタン等に代表される導電性の高い金属元素を用いて集電体101を形成することができる。また、耐熱性を向上させるためにシリコン、チタン、ネオジム、スカンジウム、モリブデンなどが添加されたアルミニウム合金を用いても良い。
【0024】
または、集電体101としてシリコンウェハを用いてもよい。また、集電体101を、シリサイドを形成する金属元素で形成してもよい。シリサイドを形成する金属元素としては、ジルコニウム、チタン、ハフニウム、バナジウム、ニオブ、タンタル、クロム、モリブデン、タングステン、コバルト、ニッケル等がある。
【0025】
シリコン層を、プラズマCVD法、熱CVD法等のCVD法を用いて形成する場合、原料ガスとしてシリコンを含む堆積性ガスを用いる。シリコンを含む堆積性ガスとしては、水素化シリコン、フッ化シリコン、塩化シリコンなどがあり、代表的には、SiH、Si、SiF、SiCl、SiCl等がある。原料ガスに、ヘリウム、ネオン、アルゴン、キセノン等の希ガスや水素を混合させてもよい。なお、蒸着法やスパッタリング法を用いてシリコン層を形成しても良い。
【0026】
また、シリコン層には、リン、ボロン等の一導電型を付与する不純物元素が添加されていてもよい。リン、ボロン等の一導電型を付与する不純物元素が添加されたシリコン層は、導電性が高くなるため、電極の導電率を高めることができる。このため、蓄電装置の内部抵抗を低減することができる。
【0027】
プラズマCVD法、熱CVD法、LPCVD法を用いてシリコン層を形成する場合、リン、ボロン等の一導電型を付与する不純物元素を含む雰囲気で成膜を行えばよい。例えば、シリコン層にリンを含ませるためには、材料ガスにホスフィンを含ませればよい。また、蒸着法やスパッタリング法を用いてシリコン層を形成する場合、リン、ボロン等の一導電型を付与する不純物元素をシリコン層にドープしても良い。
【0028】
なお、シリコン層の結晶性は特に限定されず、非晶質であってもよいし、結晶質でもよい。シリコン層として、例えば、非晶質シリコン層、微結晶シリコン層、単結晶シリコン層または多結晶シリコン層を用いることができる。シリコン層に対して結晶化処理を行ってもよい。シリコン層に対して結晶化処理を行う場合には、シリコン層中の水素濃度を十分に低減させた後に、該シリコン層に熱処理可能な程度の温度で熱処理を行ってもよいし、該シリコン層にレーザ光を照射して結晶化させてもよい。
【0029】
なお、CVD法を用いてシリコン層を形成すると、シリコン層中に不純物として、CVD装置のチャンバーに起因する酸素などが含まれている場合がある。
【0030】
また、シリコン層を形成する際、シリコン層の表面には導電性の低い自然酸化膜などの酸化膜が形成されてしまう。この表面に形成された自然酸化膜などの酸化膜に、充放電の際に過剰な負荷が掛かって電極の機能が低下する危険性が生じ、蓄電装置のサイクル特性の向上を妨げることがある。よって、次に、シリコン層の表面に形成される自然酸化膜などの酸化膜を除去することが好ましい。
【0031】
ここで、シリコン層の表面に形成される自然酸化膜などの酸化膜は、フッ酸を含む溶液、またはフッ酸を含む水溶液をエッチャントとするウェットエッチング処理によって除去することができる。また、自然酸化膜などの酸化膜を除去するエッチング処理としては、自然酸化膜などの酸化膜が除去できればよく、ドライエッチング処理を用いても良い。
【0032】
また、ウェットエッチング処理とドライエッチング処理とを組み合わせて用いてもよい。ドライエッチング処理としては、平行平板型RIE(Reactive Ion Etching)法や、ICP(Inductively Coupled Plasma:誘導結合型プラズマ)エッチング法などを用いることができる。
【0033】
その後、活物質層103上に接して、CVD法やスパッタ法を用いて導電性を有する触媒層105を形成する(図1(A)参照)。ここで、触媒層105の膜厚は0.1nm以上10nm以下とするのが好ましい。
【0034】
ここで、触媒層105は銅、ニッケル、チタン、マンガン、コバルト、鉄などに代表される導電性の高い金属元素を用いて、CVD法やスパッタリング法で形成することができ、特に銅または鉄を用いて形成することが好ましい。触媒層105は、上記の金属元素の一以上を含むと良い。また、触媒層105には、キャリアイオン(リチウム等)との反応性が低い元素を用いるのが好ましい。
【0035】
このような観点からすれば、銅はリチウムイオンを透過させ、かつ、良質なグラフェンを形成する上で触媒となるので、リチウムイオン二次電池の作製には触媒層105として銅を用いることが非常に好ましい。
【0036】
なお、活物質層103として、後述するウィスカー状のシリコン(以下ウィスカーという)を有する層を用いる場合、触媒層105に用いる上述の金属元素の成膜は有機金属CVD法を用いるのが好ましい。また、電気めっき法でもよい。
【0037】
触媒層105の重要な役割は、その表面に炭素層107を形成することであり、そのような作用を要する材料であることが求められる。すなわち、触媒層105を450℃〜1000℃に加熱し、アセチレンやメタン等の雰囲気に曝すことにより、表面に炭素層107を形成することができる。
【0038】
このようにして形成される炭素層107は、結晶性が高いグラフェンの積層体よりなっていることがある。このような結晶性が高いグラフェンの積層体よりなる炭素層107が過剰に厚いとキャリアイオンの移動の障害となる。炭素層107をグラフェンの積層体によって構成する場合、グラフェンの層数は1以上10以下とするとよい。
【0039】
活物質層103は、キャリアイオンを吸収することにより膨張し、また、キャリアイオンを放出することにより収縮する。このため、充放電を繰り返すと活物質層103は壊れてしまうことがある。
【0040】
しかし、触媒層105および炭素層107で活物質層103を覆うことにより、キャリアイオンの吸収放出による活物質層103の体積変化を低減できるので、充放電を繰り返しても活物質層103が壊れるのを防ぐこともできる。これにより、蓄電装置のサイクル特性を向上させることができる。
【0041】
また、活物質層103をシリコンで構成する際、LPCVD法で活物質層103を形成することにより、活物質層103に、シリコン領域103aと、当該領域上の、ウィスカーを含むシリコン領域103bとを有せしめることができる(図1(B)参照)。成膜条件によっては、シリコン領域103aに相当する部分が形成されないか、極めて薄いことがある。
【0042】
シリコン領域103aと、当該領域上の、ウィスカーを含むシリコン領域103bとを有する活物質層103は、例えば、500℃より高い温度で且つLPCVD装置及び集電体101が耐えうる温度以下、好ましくは530℃以上650℃未満の加熱をしつつ、原料ガスとしてシリコンを含む堆積性ガスを用いることで形成される。
【0043】
なお、シリコン領域103a及びウィスカーを含むシリコン領域103bは、その境界が明確ではない。ここでは、ウィスカーを含むシリコン領域103bのウィスカーとウィスカーの間に形成される谷を含む面を、シリコン領域103aとウィスカーを含むシリコン領域103bとの一応の境界として扱う。
【0044】
シリコン領域103aは、集電体101を覆うように設けられている。なお、シリコン領域103bにおけるウィスカーは、円柱状、角柱状などの柱状、円錐状、角錐状などの錐状、あるいは針状、糸状でもよい。ウィスカーは、先端が湾曲していてもよい。ウィスカーの径は、50nm以上10μm以下、好ましくは500nm以上3μm以下である。また、ウィスカーの長さは、0.5μm以上1000μm以下、好ましくは1.0μm以上100μm以下である。
【0045】
ここで、ウィスカーの長さhとは、ウィスカーの成長方向(長手方向)の大きさをいう。例えば、ウィスカーを柱状と仮定する場合には、上面と底面との距離をいい、錐状と仮定する場合には、頭頂点と底面との距離をいうものとする。また、シリコン層の厚さは、シリコン領域103aの厚さと、ウィスカーを含むシリコン領域103bの厚さの和をいい、ウィスカーを含むシリコン領域103bの厚さとは、ウィスカーにおいて高さが最大となる点から、シリコン領域103aとウィスカーを含むシリコン領域103bとの境界までの距離をいう。
【0046】
なお、以下では、ウィスカーの成長方向(シリコン領域103aから伸張する方向)を長手方向といい、長手方向に沿った断面の形状を長手断面形状という場合がある。また、長手方向が法線方向となる断面の形状を輪切り断面形状という場合がある。
【0047】
図1(B)に示すように、ウィスカーの長手方向は一方向、例えば、シリコン領域103aの表面に関する法線の方向に伸張していてもよい。なお、この場合、ウィスカーの長手方向は、シリコン領域103aの表面に関する法線の方向と、略一致していればよい。つまり、図1(B)においては、主にウィスカーの長手断面形状が示されていることになる。
【0048】
または、図1(C)に示すように、ウィスカーの長手方向は不揃いであってもよい。代表的には、ウィスカーを含むシリコン領域103bは、長手方向がシリコン領域103aの表面に関する法線の方向と略一致する第一のウィスカー113aと、長手方向が法線の方向とは異なる第二のウィスカー113bとを有してもよい。
【0049】
さらには、第一のウィスカーより第二のウィスカーが長くても良い。つまり、図1(C)においては、ウィスカーの長手断面形状と共に、領域103cで示すように、ウィスカーの輪切り断面形状が混在する。領域103cは、円柱状または円錐状のウィスカーの輪切り断面形状であるため円形であるが、ウィスカーが角柱状または角錐状であれば、領域103cは、多角形状である。ウィスカーの長手方向が不揃いであると、ウィスカー同士が絡む場合があるため、蓄電装置の充放電においてウィスカーが脱離しにくい。
【0050】
図1(B)または図1(C)に示す蓄電装置の電極は、ウィスカー状の結晶性シリコン層を活物質層として含む。このように活物質層中にウィスカーを含むことで、活物質層の表面積が増大するため、蓄電装置の放電容量が高めることができる。
【0051】
なお、図1においては、集電体101は、箔状、板状、または網状の導電性部材で形成される形態を示したが、図2(A)に示すように、基板109上に、スパッタリング法、蒸着法、印刷法、インクジェット法、CVD法等を適宜用いて、薄膜集電体111を形成し、その上にシリコンよりなる活物質層103と、触媒層105、炭素層107を形成することもできる。
【0052】
同様に、図2(B)に示すように、基板109上に、スパッタリング法、蒸着法、印刷法、インクジェット法、CVD法等を適宜用いて、薄膜集電体111を形成し、その上に活物質層103をLPCVD法で形成することにより、活物質層103に、シリコン領域103aと、当該領域上の、ウィスカーを含むシリコン領域103bとを有せしめることができる。それらを覆って、触媒層105、炭素層107を形成することもできる。
【0053】
以上により、放電容量の高い蓄電装置の電極を作製することができる。本実施の形態は、他の実施の形態と組み合わせて実施することが可能である。
【0054】
(実施の形態2)
本実施の形態では、蓄電装置の構造について、図3を用いて説明する。
【0055】
はじめに、蓄電装置の一例である二次電池の構造について説明する。二次電池の中でも、燐酸鉄リチウム、コバルト酸リチウム等のリチウム含有金属酸化物を用いたリチウムイオン二次電池等は、放電容量が高い。ここでは、二次電池の代表例であるリチウムイオン二次電池の構造について説明する。
【0056】
図3(A)は、蓄電装置151の平面図であり、図3(A)の一点鎖線A−Bの断面図を図3(B)に示す。
【0057】
図3(A)に示す蓄電装置151は、外装部材153の内部に蓄電セル155を有する。また、蓄電セル155に接続する端子部157、端子部159を有する。外装部材153には、ラミネートフィルム、高分子フィルム、金属フィルム、金属ケース、プラスチックケース等を用いることができる。
【0058】
図3(B)に示すように、蓄電セル155は、負極163と、正極165と、負極163及び正極165の間に設けられるセパレータ167と、外装部材153中に満たされる電解質169とで構成される。
【0059】
負極163は、負極集電体171及び負極活物質層173を含んで構成される。正極165は、正極集電体175及び正極活物質層177を含んで構成される。負極活物質層173は、負極集電体171の一方または両方の面に形成される。正極活物質層177は、正極集電体175の一方または両方の面に形成される。
【0060】
また、負極集電体171は、端子部157と接続する。また、正極集電体175は、端子部159と接続する。また、端子部157、端子部159は、それぞれ一部が外装部材153の外側に導出されている。
【0061】
なお、本実施の形態では、蓄電装置151として、パウチされた薄型蓄電装置を示したが、ボタン型蓄電装置、円筒型蓄電装置、角型蓄電装置等、様々な構造の蓄電装置を実現しうる。また、本実施の形態では、正極、負極、及びセパレータが積層された構造を示したが、正極、負極、及びセパレータが捲回された構造であってもよい。
【0062】
負極集電体171には、実施の形態1に示す集電体101、薄膜集電体111を用いることができる。
【0063】
負極集電体171の上には、実施の形態1に示すシリコンで形成される活物質層103、触媒層105、炭素層107を有する負極活物質層173を設ける。なお、シリコン層にリチウムをプリドープしてもよい。
【0064】
正極集電体175には、アルミニウム、ステンレス等を用いる。正極集電体175には、箔状、板状、網状等の形状を適用することができる。
【0065】
正極活物質層177には、LiFeO、LiCoO、LiNiO、LiMn、LiFePO、LiCoPO、LiNiPO、LiMnPO等のリチウム化合物を材料として用いることができる。なお、キャリアイオンを、リチウム以外のアルカリ金属イオンまたはアルカリ土類金属イオンとする場合には、正極活物質層177の上記リチウム化合物において、リチウムの代わりに、アルカリ金属(例えば、ナトリウムやカリウム等)やアルカリ土類金属(例えば、カルシウム、ストロンチウム、バリウム等)、マグネシウム等を用いたものとすればよい。
【0066】
電解質169の溶質は、キャリアイオンであるリチウムイオンを有する材料を用いる。電解質の溶質の代表例としては、LiClO、LiAsF、LiBF、LiPF、Li(CSON等のリチウム塩がある。なお、キャリアイオンを、リチウム以外のアルカリ金属イオンまたはアルカリ土類金属イオンとする場合には、電解質169の溶質として、ナトリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属塩や、カルシウム塩、ストロンチウム塩、バリウム塩等のアルカリ土類金属塩、マグネシウム塩等を適宜用いることができる。
【0067】
また、電解質169の溶媒としては、キャリアイオンの移送が可能な材料を用いる。電解質169の溶媒としては、非プロトン性有機溶媒が好ましい。非プロトン性有機溶媒の代表例としては、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、γーブチロラクトン、アセトニトリル、ジメトキシエタン、テトラヒドロフラン等があり、これらの一つまたは複数を用いることができる。
【0068】
また、電解質169の溶媒としてゲル化される高分子材料を用いることで、漏液のリスクが低減し、安全性が高まる。また、蓄電装置151の薄型化及び軽量化が可能である。ゲル化される高分子材料の代表例としては、シリコンゲル、アクリルゲル、アクリロニトリルゲル、ポリエチレンオキサイド、ポリプロピレンオキサイド、フッ素系ポリマー等がある。また、電解質169として、LiPO等の固体電解質を用いることができる。
【0069】
セパレータ167には、絶縁性の多孔体を用いる。セパレータ167としては、セルロース(紙)、ポリエチレン、ポリプロピレン等の有機物を用いて作製できる。その他にガラス繊維等の無機物を用いても良い。
【0070】
リチウムイオン二次電池は、メモリー効果が小さく、エネルギー密度が高く、放電容量が大きい。また、出力電圧が高い。そして、これらによって、小型化及び軽量化が可能である。また、充放電の繰り返しによる劣化が少なく、長期間の使用が可能であり、コスト削減が可能である。
【0071】
次に、蓄電装置の別の例であるキャパシタの構造について説明する。キャパシタの代表例としては、二重層キャパシタ、リチウムイオンキャパシタ等がある。ここではリチウムイオンキャパシタについて説明する。
【0072】
キャパシタの場合は、図3(B)に示す二次電池の正極活物質層177の代わりに、リチウムイオン及び/またはアニオンを可逆的に吸蔵できる材料を用いればよい。正極活物質層177の代表例としては、活性炭、導電性高分子、ポリアセン有機半導体(PAS)がある。
【0073】
リチウムイオンキャパシタは、充放電の効率が高く、急速充放電が可能であり、繰り返し利用による寿命も長い。
【0074】
これらのキャパシタにおいても、負極として実施の形態1に示す集電体101あるいは薄膜集電体111、活物質層103、触媒層105及び炭素層107を含む電極を用いることで、サイクル特性の向上した蓄電装置を作製することができる。
【0075】
なお、開示する発明の一形態である電極を用いる蓄電装置は、上述のものに限られない。例えば、蓄電装置の別の一形態である空気電池の負極として実施の形態1に示す集電体及び活物質層を含む電極を用いることも可能である。この場合にも、サイクル特性の向上した蓄電装置を作製することができる。
【0076】
本実施の形態は、他の実施の形態と組み合わせて実施することが可能である。
【0077】
(実施の形態3)
本発明の一態様に係る蓄電装置は、電力により駆動する様々な電子機器・電気機器の電源として用いることができる。
【0078】
本発明の一態様に係る蓄電装置を用いた電子機器・電気機器の具体例として、表示装置、照明装置、デスクトップ型或いはノート型のパーソナルコンピュータ、DVD(Digital Versatile Disc)などの記録媒体に記憶された静止画または動画を再生する画像再生装置、携帯電話、携帯型ゲーム機、携帯情報端末、電子書籍、ビデオカメラ、デジタルスチルカメラ、電子レンジ等の高周波加熱装置、電気炊飯器、電気洗濯機、エアコンディショナーなどの空調設備、電気冷蔵庫、電気冷凍庫、電気冷凍冷蔵庫等の電化製品、DNA保存用冷凍庫、透析装置等の医療用機器などが挙げられる。
【0079】
また、蓄電装置からの電力を用いて電動機により推進する移動体なども、電子機器・電気機器の範疇に含まれるものとする。上記移動体として、例えば、電気自動車、内燃機関と電動機を併せ持った複合型自動車(ハイブリッドカー)、電動アシスト自転車を含む原動機付自転車などが挙げられる。
【0080】
なお、上記電子機器・電気機器は、消費電力の殆ど全てを賄うための蓄電装置(主電源と呼ぶ)として、本発明の一態様に係る蓄電装置を用いることができる。或いは、上記電子機器・電気機器は、上記主電源や商用電源からの電力の供給が停止した場合に、電子機器・電気機器への電力の供給を行うことができる蓄電装置(無停電電源と呼ぶ)として、本発明の一態様に係る蓄電装置を用いることができる。或いは、上記電子機器・電気機器は、上記主電源や商用電源からの電子機器・電気機器への電力の供給と並行して、電子機器・電気機器への電力の供給を行うための蓄電装置(補助電源と呼ぶ)として、本発明の一態様に係る蓄電装置を用いることができる。
【0081】
図4に、上記電子機器・電気機器の具体的な構成を示す。図4において、表示装置201は、本発明の一態様に係る蓄電装置205を用いた電子機器・電気機器の一例である。具体的に、表示装置201は、TV放送受信用の表示装置に相当し、筐体202、表示部203、スピーカー部204、蓄電装置205等を有する。本発明の一態様に係る蓄電装置205は、筐体202の内部に設けられている。
【0082】
表示装置201は、商用電源から電力の供給を受けることもできるし、蓄電装置205に蓄積された電力を用いることもできる。よって、停電などにより商用電源から電力の供給が受けられない時でも、本発明の一態様に係る蓄電装置205を無停電電源として用いることで、表示装置201の利用が可能となる。
【0083】
表示部203には、液晶表示装置、有機EL素子などの発光素子を各画素に備えた発光装置、電気泳動表示装置、DMD(Digital Micromirror Device)、PDP(Plasma Display Panel)、FED(Field Emission Display)などの、半導体表示装置を用いることができる。
【0084】
なお、表示装置には、TV放送受信用の他、パーソナルコンピュータ用、広告表示用など、全ての情報表示用表示装置が含まれる。
【0085】
図4において、据え付け型の照明装置211は、本発明の一態様に係る蓄電装置214を用いた電気機器の一例である。具体的に、照明装置211は、筐体212、光源213、蓄電装置214等を有する。図4では、蓄電装置214が、筐体212及び光源213が据え付けられた天井215の内部に設けられている場合を例示しているが、蓄電装置214は、筐体212の内部に設けられていても良い。
【0086】
照明装置211は、商用電源から電力の供給を受けることもできるし、蓄電装置214に蓄積された電力を用いることもできる。よって、停電などにより商用電源から電力の供給が受けられない時でも、本発明の一態様に係る蓄電装置214を無停電電源として用いることで、照明装置211の利用が可能となる。
【0087】
なお、図4では天井215に設けられた据え付け型の照明装置211を例示しているが、本発明の一態様に係る蓄電装置は、天井215以外、例えば側壁216、床217、窓218等に設けられた据え付け型の照明装置に用いることもできるし、卓上型の照明装置などに用いることもできる。
【0088】
また、光源213には、電力を利用して人工的に光を得る人工光源を用いることができる。具体的には、白熱電球、蛍光灯などの放電ランプ、LEDや有機EL素子などの発光素子が、上記人工光源の一例として挙げられる。
【0089】
図4において、室内機221及び室外機225を有するエアコンディショナーは、本発明の一態様に係る蓄電装置224を用いた電気機器の一例である。具体的に、室内機221は、筐体222、送風口223、蓄電装置224等を有する。図4では、蓄電装置224が、室内機221に設けられている場合を例示しているが、蓄電装置224は室外機225に設けられていても良い。或いは、室内機221と室外機225の両方に、蓄電装置224が設けられていても良い。
【0090】
エアコンディショナーは、商用電源から電力の供給を受けることもできるし、蓄電装置224に蓄積された電力を用いることもできる。特に、室内機221と室外機225の両方に蓄電装置224が設けられている場合、停電などにより商用電源から電力の供給が受けられない時でも、本発明の一態様に係る蓄電装置224を無停電電源として用いることで、エアコンディショナーの利用が可能となる。
【0091】
なお、図4では、室内機と室外機で構成されるセパレート型のエアコンディショナーを例示しているが、室内機の機能と室外機の機能とを1つの筐体に有する一体型のエアコンディショナーに、本発明の一態様に係る蓄電装置を用いることもできる。
【0092】
図4において、電気冷凍冷蔵庫231は、本発明の一態様に係る蓄電装置235を用いた電気機器の一例である。具体的に、電気冷凍冷蔵庫231は、筐体232、冷蔵室用扉233、冷凍室用扉234、蓄電装置235等を有する。図4では、蓄電装置235が、筐体232の内部に設けられている。電気冷凍冷蔵庫231は、商用電源から電力の供給を受けることもできるし、蓄電装置235に蓄積された電力を用いることもできる。よって、停電などにより商用電源から電力の供給が受けられない時でも、本発明の一態様に係る蓄電装置235を無停電電源として用いることで、電気冷凍冷蔵庫231の利用が可能となる。
【0093】
なお、上述した電子機器・電気機器のうち、電子レンジ等の高周波加熱装置、電気炊飯器などの電気機器は、短時間で高い電力を必要とする。よって、商用電源では賄いきれない電力を補助するための補助電源として、本発明の一態様に係る蓄電装置を用いることで、電気機器の使用時に商用電源のブレーカーが落ちるのを防ぐことができる。
【0094】
また、電気機器・電気機器が使用されない時間帯、特に、商用電源の供給元が供給可能な総電力量のうち、実際に使用される電力量の割合(電力使用率と呼ぶ)が低い時間帯において、蓄電装置に電力を蓄えておくことで、上記時間帯以外において電力使用率が高まるのを抑えることができる。例えば、電気冷凍冷蔵庫231の場合、気温が低く、冷蔵室用扉233、冷凍室用扉234の開閉が行われない夜間において、蓄電装置235に電力を蓄える。そして、気温が高くなり、冷蔵室用扉233、冷凍室用扉234の開閉が行われる昼間において、蓄電装置235を補助電源として用いることで、昼間の電力使用率を低く抑えることができる。
【0095】
(実施の形態4)
本実施の形態では、本発明の一態様に係る二次電池を、無線給電システム(以下、RF給電システムと呼ぶ。)に用いた場合の一例を、図5及び図6のブロック図を用いて説明する。なお、各ブロック図では、受電装置及び給電装置内の構成要素を機能ごとに分類し、互いに独立したブロックとして示しているが、実際の構成要素は機能ごとに完全に切り分けることが困難であり、一つの構成要素が複数の機能に係わることもあり得る。
【0096】
はじめに、図5を用いてRF給電システムについて説明する。受電装置301は、給電装置311から供給された電力で駆動する電子機器または電気推進車両等に含まれているが、この他電力で駆動する装置に適宜適用することができる。
【0097】
電子機器の代表例としては、デジタルカメラやビデオカメラ等のカメラ、デジタルフォトフレーム、携帯電話機(携帯電話、携帯電話装置ともいう)、携帯型ゲーム機、携帯情報端末、音響再生装置、表示装置、コンピュータ等がある。
【0098】
また、電気推進車両の代表例としては、電気自動車、ハイブリッド自動車、鉄道用電気車両、作業車、カート、車椅子等がある。また、給電装置311は、受電装置301に電力を供給する機能を有する。
【0099】
図5において、受電装置301は、受電装置部302と、電源負荷部309とを有する。受電装置部302は、受電装置用アンテナ回路303と、信号処理回路304と、二次電池305とを少なくとも有する。また、給電装置311は、給電装置用アンテナ回路312と、信号処理回路313とを少なくとも有する。
【0100】
受電装置用アンテナ回路303は、給電装置用アンテナ回路312が発信する信号を受け取る、あるいは、給電装置用アンテナ回路312に信号を発信する役割を有する。信号処理回路304は、受電装置用アンテナ回路303が受信した信号を処理し、二次電池305の充電、二次電池305から電源負荷部309への電力の供給を制御する。また、信号処理回路304は、受電装置用アンテナ回路303の動作を制御する。すなわち、受電装置用アンテナ回路303から発信する信号の強度、周波数などを制御することができる。電源負荷部309は、二次電池305から電力を受け取り、受電装置301を駆動する駆動部である。電源負荷部309の代表例としては、モータ、駆動回路等があるが、その他の電力を受け取って受電装置を駆動する装置を適宜用いることができる。また、給電装置用アンテナ回路312は、受電装置用アンテナ回路303に信号を送る、あるいは、受電装置用アンテナ回路303からの信号を受け取る役割を有する。信号処理回路313は、給電装置用アンテナ回路312が受信した信号を処理する。また、信号処理回路313は、給電装置用アンテナ回路312の動作を制御する。すなわち、給電装置用アンテナ回路312から発信する信号の強度、周波数などを制御することができる。
【0101】
本発明の一態様に係る二次電池は、図5で説明したRF給電システムにおける受電装置301が有する二次電池305として利用される。
【0102】
RF給電システムに本発明の一態様に係る二次電池を利用することで、従来の二次電池に比べて蓄電量を増やすことができる。よって、無線給電の時間間隔を延ばすことができる(何度も給電する手間を省くことができる)。
【0103】
また、RF給電システムに本発明の一態様に係る二次電池を利用することで、電源負荷部309を駆動することができる蓄電量が従来と同じであれば、受電装置301の小型化及び軽量化が可能である。従って、トータルコストを減らすことができる。
【0104】
次に、RF給電システムの他の例について図6を用いて説明する。
【0105】
図6において、受電装置301は、受電装置部302と、電源負荷部309とを有する。受電装置部302は、受電装置用アンテナ回路303と、信号処理回路304と、二次電池305と、整流回路306と、変調回路307と、電源回路308とを、少なくとも有する。また、給電装置311は、給電装置用アンテナ回路312と、信号処理回路313と、整流回路314と、変調回路315と、復調回路316と、発振回路317とを、少なくとも有する。
【0106】
受電装置用アンテナ回路303は、給電装置用アンテナ回路312が発信する信号を受け取る、あるいは、給電装置用アンテナ回路312に信号を発信する役割を有する。給電装置用アンテナ回路312が発信する信号を受け取る場合、整流回路306は受電装置用アンテナ回路303が受信した信号から直流電圧を生成する役割を有する。信号処理回路304は受電装置用アンテナ回路303が受信した信号を処理し、二次電池305の充電、二次電池305から電源回路308への電力の供給を制御する役割を有する。電源回路308は、二次電池305が蓄電している電圧を電源負荷部309に必要な電圧に変換する役割を有する。変調回路307は受電装置301から給電装置311へ何らかの応答信号を送信する場合に使用される。
【0107】
電源回路308を有することで、電源負荷部309に供給する電力を制御することができる。このため、電源負荷部309に過電圧が印加されることを低減することが可能であり、受電装置301の劣化や破壊を低減することができる。
【0108】
また、変調回路307を有することで、受電装置301から給電装置311へ信号を送信することが可能である。このため、受電装置301の充電量を判断し、一定量の充電が行われた場合に、受電装置301から給電装置311に信号を送信し、給電装置311から受電装置301への給電を停止させることができる。この結果、二次電池305の充電量を100%としないことで、二次電池305の充電回数を増加させることが可能である。
【0109】
また、給電装置用アンテナ回路312は、受電装置用アンテナ回路303に信号を送る、あるいは、受電装置用アンテナ回路303から信号を受け取る役割を有する。受電装置用アンテナ回路303に信号を送る場合、信号処理回路313は、受電装置に送信する信号を生成する。発振回路317は一定の周波数の信号を生成する。変調回路315は、信号処理回路313が生成した信号と発振回路317で生成された一定の周波数の信号に従って、給電装置用アンテナ回路312に電圧を印加する役割を有する。このようにすることで、給電装置用アンテナ回路312から信号が出力される。一方、受電装置用アンテナ回路303から信号を受け取る場合、整流回路314は受け取った信号を整流する役割を有する。復調回路316は、整流回路314が整流した信号から受電装置301が給電装置311に送った信号を抽出する。信号処理回路313は復調回路316によって抽出された信号を解析する役割を有する。
【0110】
なお、RF給電を行うことができれば、各回路の間に他のどのような回路を設けてもよい。例えば、受電装置301が信号を受信し整流回路306で直流電圧を生成したあとに、後段に設けられたDC−DCコンバータやレギュレータといった回路によって、定電圧を生成してもよい。このようにすることで、受電装置301内部に過電圧が印加されることを抑制することができる。
【0111】
本発明の一態様に係る二次電池は、図6で説明したRF給電システムにおける受電装置301が有する二次電池305として利用される。
【0112】
RF給電システムに本発明の一態様に係る二次電池を利用することで、従来の二次電池に比べて蓄電量を増やすことができるので、無線給電の間隔を延ばすことができる(何度も給電する手間を省くことができる)。
【0113】
また、RF給電システムに本発明の一態様に係る二次電池を利用することで、電源負荷部309を駆動することができる蓄電量が従来と同じであれば、受電装置301の小型化及び軽量化が可能である。従って、トータルコストを減らすことができる。
【0114】
なお、RF給電システムに本発明の一態様に係る二次電池を利用し、受電装置用アンテナ回路303と二次電池305を重ねる場合は、二次電池305の充放電による二次電池305の形状の変化と、当該変形に伴うアンテナの形状の変化によって、受電装置用アンテナ回路303のインピーダンスが変化しないようにすることが好ましい。アンテナのインピーダンスが変化してしまうと、十分な電力供給がなされない可能性があるためである。例えば、二次電池305を金属製あるいはセラミックス製の電池パックに装填するようにすればよい。なお、その際、受電装置用アンテナ回路303と電池パックは数十μm以上離れていることが望ましい。
【0115】
また、充電用の信号の周波数に特に限定はなく、電力が伝送できる周波数であればどの帯域であっても構わない。充電用の信号は、例えば、135kHzのLF帯(長波)でも良いし、13.56MHzのHF帯でも良いし、900MHz〜1GHzのUHF帯でも良いし、2.45GHzのマイクロ波帯でもよい。
【0116】
また、信号の伝送方式として電磁結合方式、電磁誘導方式、共鳴方式、マイクロ波方式など様々な種類があるが、適宜選択すればよい。ただし、雨や泥などの、水分を含んだ異物によるエネルギーの損失を抑えるためには、周波数が低い帯域、具体的には、短波である3MHz〜30MHz、中波である300kHz〜3MHz、長波である30kHz〜300kHz、及び超長波である3kHz〜30kHzの周波数を利用した電磁誘導方式や共鳴方式を用いることが望ましい。
【0117】
本実施の形態は、他の実施の形態と組み合わせて実施することが可能である。
【符号の説明】
【0118】
101 集電体
103 活物質層
103a シリコン領域
103b シリコン領域
103c 領域
105 触媒層
107 炭素層
109 基板
111 薄膜集電体
113a ウィスカー
113b ウィスカー
151 蓄電装置
153 外装部材
155 蓄電セル
157 端子部
159 端子部
163 負極
165 正極
167 セパレータ
169 電解質
171 負極集電体
173 負極活物質層
175 正極集電体
177 正極活物質層
201 表示装置
202 筐体
203 表示部
204 スピーカー部
205 蓄電装置
211 照明装置
212 筐体
213 光源
214 蓄電装置
215 天井
216 側壁
217 床
218 窓
221 室内機
222 筐体
223 送風口
224 蓄電装置
225 室外機
231 電気冷凍冷蔵庫
232 筐体
233 冷蔵室用扉
234 冷凍室用扉
235 蓄電装置
301 受電装置
302 受電装置部
303 受電装置用アンテナ回路
304 信号処理回路
305 二次電池
306 整流回路
307 変調回路
308 電源回路
309 電源負荷部
311 給電装置
312 給電装置用アンテナ回路
313 信号処理回路
314 整流回路
315 変調回路
316 復調回路
317 発振回路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
集電体と、
前記集電体上の活物質層と、
前記活物質層に接する導電性を有する触媒層と、
前記触媒層と接する炭素層とを有することを特徴とする電極。
【請求項2】
前記触媒層は、銅、ニッケル、チタン、マンガン、コバルト、及び鉄の一以上を含むことを特徴とする請求項1に記載の電極。
【請求項3】
前記炭素層の厚さは0.4nm以上4nm以下であることを特徴とする請求項1あるいは2に記載の電極。
【請求項4】
前記触媒層の厚さは0.1nm以上10nm以下であることを特徴とする請求項1乃至3に記載の電極。
【請求項5】
前記活物質層がウィスカー状のシリコンを含む請求項1乃至4のいずれか一に記載の電極。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれか一に記載の電極を有する蓄電装置。
【請求項7】
集電体上に活物質層を形成し、
前記活物質層に接して導電性を有する触媒層を形成し、
前記触媒層上に気相成長法により炭素層を形成する電極の作製方法。
【請求項8】
前記触媒層は、銅、ニッケル、チタン、マンガン、コバルト、及び鉄の一以上を含むことを特徴とする請求項7に記載の電極の作製方法。
【請求項9】
前記炭素層の厚さは0.4nm以上4nm以下であることを特徴とする請求項7あるいは8に記載の電極の作製方法。
【請求項10】
前記触媒層の厚さは0.1nm以上10nm以下であることを特徴とする請求項7乃至9に記載の電極の作製方法。
【請求項11】
前記活物質層は化学的気相成長法で形成されることを特徴とする請求項7乃至10のいずれか一に記載の電極の作製方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate


【公開番号】特開2013−38073(P2013−38073A)
【公開日】平成25年2月21日(2013.2.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−157030(P2012−157030)
【出願日】平成24年7月13日(2012.7.13)
【出願人】(000153878)株式会社半導体エネルギー研究所 (5,264)
【Fターム(参考)】