蓄電装置及びその作製方法
【課題】固体電解質を有する蓄電装置において、充放電容量を高めることが可能な、蓄電装置及びその作製方法を提供する。
【解決手段】正極と、負極と、正極及び負極の間に設けられる電解質とを有し、電解質は、イオン伝導性高分子化合物、無機酸化物、及びリチウム塩を有し、電解質において、イオン伝導性高分子化合物及び無機酸化物の合計に対して無機酸化物は30wt%より多く50wt%以下である蓄電装置である。
【解決手段】正極と、負極と、正極及び負極の間に設けられる電解質とを有し、電解質は、イオン伝導性高分子化合物、無機酸化物、及びリチウム塩を有し、電解質において、イオン伝導性高分子化合物及び無機酸化物の合計に対して無機酸化物は30wt%より多く50wt%以下である蓄電装置である。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、蓄電装置及びその作製方法に関する。
【0002】
なお、蓄電装置とは、蓄電機能を有する素子及び装置全般を指すものである。
【背景技術】
【0003】
近年、リチウムイオン二次電池及びリチウムイオンキャパシタなど、蓄電装置の開発が行われている。
【0004】
また、固体電解質を用いた蓄電装置として、電解質にポリエチレンオキサイドにリチウム塩を溶解したイオン伝導性の高い高分子化合物を用いることが検討されている。
【0005】
また、イオン伝導性の高い高分子化合物のイオン伝導性を向上させるために、金属酸化物で形成されるメソ多孔体フィラーをイオン伝導パスとして電極間に設け、且つメソ多孔体フィラーの間にイオン導電性の高い高分子化合物を満たした蓄電装置が提案されている(例えば特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2006−40853号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、イオン導電性パスとして機能する金属酸化物で形成されるメソ多孔体フィラーを電極間に設けることで、電解質の導電率を向上させることが可能ではあるもの、蓄電装置の充放電容量は依然として向上しない。
【0008】
そこで、本発明の一態様では、固体電解質を有する蓄電装置において、充放電容量を高めることが可能な、蓄電装置及びその作製方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一態様は、正極、固体電解質、及び負極を有する蓄電装置において、電解質は、イオン伝導性高分子化合物、無機酸化物、及びアルカリ金属塩を有し、電解質において、高分子化合物及び無機酸化物の合計に対して、30wt%より多く50wt%以下、より好ましくは33wt%以上50wt%以下の無機酸化物が含まれる。
【0010】
また、本発明の一態様は、正極、固体電解質、及び負極を有する蓄電装置において、電解質は、イオン伝導性高分子化合物、無機酸化物、及びアルカリ金属塩を有し、正極または負極に含まれる活物質層には、バインダとして、軟化点が、電解質に含まれるイオン伝導性高分子化合物の軟化点以下である高分子化合物を有することを特徴とする。なお、正極または負極に含まれる活物質層には、バインダとして、イオン伝導性高分子化合物を用いてもよい。または、バインダとして、電解質に含まれるイオン伝導性高分子化合物と同じ材料のイオン伝導性高分子化合物を有してもよい。
【0011】
本発明の一態様は、イオン伝導性高分子化合物、無機酸化物、及びアルカリ金属塩を混合し、基板上に塗布し乾燥して電解質を形成した後、基板から該電解質を剥離し、正極と、負極とで、剥離した電解質を挟持し、イオン伝導性高分子化合物の軟化点より高い温度において上記正極及び負極の間で1回の充電及び放電をし、電解質、第1の活物質層、及び第2の活物質層を癒着させて、蓄電装置を作製することを特徴とする。
【0012】
イオン伝導性高分子化合物の代表例は、ポリアルキレンオキサイドがある。ポリアルキレンオキサイドの代表例としては、ポリエチレンオキサイド、ポリプロピレンオキサイド、ポリフェニレンオキサイド等がある。
【0013】
電解質に含まれる無機酸化物としては、酸化シリコン、酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化アルミニウム、酸化亜鉛、酸化鉄、酸化セリウム、酸化マグネシウム、酸化アンチモン、酸化ゲルマニウム、酸化リチウム、酸化グラファイト、チタン酸バリウム、及びメタ珪素酸リチウムから選ばれる一または複数がある。
【0014】
アルカリ金属塩の代表例は、リチウム塩、ナトリウム塩等を有する。リチウム塩の代表例としては、LiCF3SO3、LiPF6、LiBF4、LiClO4、LiSCN、LiN(CF3SO2)2(LiTFSIともいう。)、LiN(C2F5SO2)2(LiBETIともいう。)等がある。
【発明の効果】
【0015】
本発明の一態様により、電解質に含まれるイオン伝導性高分子化合物の軟化点より低い温度においても、充放電容量の高い蓄電装置を作製することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】蓄電装置を説明するための断面図である。
【図2】蓄電装置の作製方法を説明するための図である。
【図3】蓄電装置の電解質の作製方法を説明するための図である。
【図4】蓄電装置の電解質の作製方法を説明するための図である。
【図5】蓄電装置の応用の一形態の斜視図である。
【図6】無線給電システムの構成の例を示す図である。
【図7】無線給電システムの構成の例を示す図である。
【図8】二次電池の充放電特性を説明するための図である。
【図9】二次電池の充放電特性を説明するための図である。
【図10】二次電池の充放電特性を説明するための図である。
【図11】二次電池の充放電特性を説明するための図である。
【図12】二次電池の充放電特性を説明するための図である。
【図13】二次電池のインピーダンスを説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明の実施の形態の一例について、図面を用いて以下に説明する。但し、本発明は以下の説明に限定されず、本発明の趣旨及びその範囲から逸脱することなくその形態及び詳細を様々に変更し得ることは当業者であれば容易に理解される。従って、本発明は以下に示す実施の形態及び実施例の記載内容に限定して解釈されるものではないとする。なお、説明中に図面を参照するにあたり、同じものを指す符号は異なる図面間でも共通して用いる場合がある。また、同様のものを指す際には同じハッチパターンを使用し、特に符号を付さない場合がある。
【0018】
(実施の形態1)
本実施の形態では、本発明の一態様である蓄電装置及びその作製方法について説明する。
【0019】
本実施の形態の蓄電装置の一形態について図1を用いて説明する。ここでは、蓄電装置として、二次電池の断面構造について、以下に説明する。
【0020】
二次電池として、リチウム含有金属酸化物を用いたリチウムイオン二次電池は、容量が高く、安全性が高い。ここでは、二次電池の代表例であるリチウムイオン二次電池の構造について、説明する。
【0021】
図1は、蓄電装置100の断面図である。
【0022】
蓄電装置100は、負極101と、正極111と、負極101及び正極111で挟持された固体電解質(以下、電解質121と示す。)とで構成される。また、負極101は、負極集電体102及び負極活物質層103とで構成されてもよい。正極111は、正極集電体112及び正極活物質層113で構成されてもよい。また、電解質121は、負極活物質層103及び正極活物質層113と接する。
【0023】
負極集電体102及び正極集電体112はそれぞれ異なる外部端子と接続する。また、負極101、電解質121、及び正極111は、図示しない外装部材で覆われている。
【0024】
なお、活物質とは、キャリアであるイオンの挿入及び脱離に関わる物質を指し、グルコース等を用いて得られた炭素層などを含むものではない。後に説明する塗布法により正極及び負極等の電極を作製する時には、炭素層に覆われた活物質と共に、導電助剤やバインダ、溶媒等の他の材料を混合したものを活物質層として集電体上に形成する。よって、「活物質」と「活物質層」は区別される。
【0025】
はじめに、本実施の形態に示す蓄電装置100に含まれる電解質121について説明する。
【0026】
電解質121には、イオン伝導性高分子化合物、無機酸化物、及びアルカリ金属塩が含まれる。なお、電解質121は、複数のイオン伝導性高分子化合物を有してもよい。また、電解質121は、複数の無機酸化物を有してもよい。また、電解質121は、複数のアルカリ金属塩を有してもよい。
【0027】
イオン伝導性高分子化合物の代表例としては、分子量が1万以上100万以下のポリアルキレンオキサイドがある。ポリアルキレンオキサイドの代表例としては、ポリエチレンオキサイド、ポリプロピレンオキサイド、ポリフェニレンオキサイド等である。
【0028】
無機酸化物としては、酸化シリコン、酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化アルミニウム、酸化亜鉛、酸化鉄、酸化セリウム、酸化マグネシウム、酸化アンチモン、酸化ゲルマニウム、酸化リチウム、酸化グラファイト、チタン酸バリウム、メタ珪素酸リチウム等がある。
【0029】
無機酸化物の粒子の直径は、50nm以上10μm以下が好ましい。
【0030】
アルカリ金属塩としては、リチウム塩、ナトリウム塩等がある。リチウム塩の代表例としては、LiCF3SO3、LiPF6、LiBF4、LiClO4、LiSCN、LiN(CF3SO2)2、LiN(C2F5SO2)2等がある。ナトリウム塩の代表例としては、NaClO4、NaPF6、NaBF4、NaCF3SO3、NaN(CF3SO2)2、NaN(C2F5SO2)2、NaC(CF3SO2)3等がある。
【0031】
電解質において、イオン伝導性高分子化合物、無機酸化物、及びアルカリ金属塩は、それぞれ15〜65重量%、12〜80重量%、5〜50重量%の割合で、且つ全体で100重量%になるように混合する。また、イオン伝導性高分子化合物及び無機酸化物の合計に対して、30wt%より多く50wt%以下、より好ましくは33wt%以上50wt%以下の無機酸化物が電解質に含まれることで、電解質に含まれるイオン伝導性高分子化合物の結晶化を抑制することが可能であり、電解質のイオン伝導率が高まる。これらの結果、正極及び負極の間での可動イオンの移動が容易となり、充放電容量を高めることができる。また、電解質に含まれるイオン伝導性高分子化合物の軟化点より低い温度でも、高い充放電容量を得ることができる。
【0032】
次に、本実施の形態に示す蓄電装置100に含まれる負極101について説明する。
【0033】
負極集電体102は、銅、ステンレス、鉄、ニッケル等の導電性の高い材料を用いることができる。また、負極集電体102は、箔状、板状、網状等の形状を適宜用いることができる。
【0034】
負極活物質層103としては、リチウムイオンの吸蔵放出が可能な材料を用いる。代表的には、リチウム、アルミニウム、黒鉛、シリコン、錫、ゲルマニウムなどが用いられる。負極集電体102を用いずそれぞれの負極活物質層103を単体で負極として用いてもよい。黒鉛と比較すると、ゲルマニウム、シリコン、リチウム、アルミニウムの理論リチウム吸蔵容量が大きい。吸蔵容量が大きいと小面積でも十分に充放電が可能であり、負極として機能するため、コストの節減及び二次電池の小型化につながる。ただし、シリコンなどはリチウム吸蔵により体積が4倍程度まで増えるために、材料自身が脆くなる事に十分に気をつける必要がある。
【0035】
なお、負極活物質層103にリチウムをプレドープしてもよい。リチウムのプレドープ方法としては、スパッタリング法により負極活物質層103表面にリチウム層を形成してもよい。または、負極活物質層103の表面にリチウム箔を設けることで、負極活物質層103にリチウムをプレドープすることができる。
【0036】
負極活物質層103の厚さは、20μm以上100μm以下の間で所望の厚さを選択する。
【0037】
なお、負極活物質層103には、バインダ、導電助剤を有してもよい。
【0038】
バインダとしては、澱粉、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、再生セルロース、ジアセチルセルロースなどの多糖類や、ポリビニルクロリド、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデン、EPDM(Ethylene Propylene Diene Monomer)ゴム、スルホン化EPDMゴム、スチレンブタジエンゴム、ブタジエンゴム、フッ素ゴムなどのビニルポリマー、ポリエチレンオキシドなどのポリエーテルなどがある。
【0039】
導電助剤としては、その材料自身が電子導電体であり、蓄電装置内で他の物質と化学変化を起こさないものであればよい。例えば、黒鉛、炭素繊維、カーボンブラック、アセチレンブラック、VGCF(登録商標)などの炭素系材料、銅、ニッケル、アルミニウムもしくは銀などの金属材料またはこれらの混合物の粉末や繊維などがそれに該当する。導電助剤とは、活物質間の導電性を助ける物質であり、離れている活物質の間に充填され、活物質同士の導通をとる材料である。
【0040】
次に、本実施の形態に示す蓄電装置100に含まれる正極111について説明する。
【0041】
正極集電体112は、白金、アルミニウム、銅、チタン、ステンレス等の導電性の高い材料を用いることができる。また、正極集電体112は、箔状、板状、網状等の形状を適宜用いることができる。
【0042】
正極活物質層113は、LiFeO2、LiCoO2、LiNiO2、LiMn2O4、LiFePO4、Li3Fe2(PO4)3、LiCoPO4、LiNiPO4、LiMn2PO4、Li1−x1Fey1M1−y1PO4(x1は0以上1以下)(Mは、Mn、Co、及びNiの一以上)(y1は0以上1未満)、Li2FeSiO4、Li2MnSiO4、V2O5、Cr2O5、MnO2、その他の材料を用いることができる。
【0043】
正極活物質層113の厚さは、20μm以上100μm以下の間で所望の厚さを選択する。なお、クラックや剥離が生じないように、正極活物質層113の厚さを適宜調整することが好ましい。
【0044】
また、正極活物質層113には、負極活物質層103と同様に、バインダ及び導電助剤を有してもよい。バインダ及び導電助剤は、負極活物質層103に列挙するバインダ及び導電助剤を適宜用いることができる。
【0045】
リチウムイオン二次電池は、メモリー効果が小さく、エネルギー密度が高く、容量が大きい。また、出力電圧が高い。これらのため、小型化及び軽量化が可能である。また、充放電の繰り返しによる劣化が少なく、長期間の使用が可能であり、コスト削減が可能である。また、本実施の形態において、電解質に、イオン伝導性高分子化合物と共に無機酸化物を有するため、イオン伝導性高分子化合物の結晶化が抑制され、電解質のイオン伝導率が高まる。これらの結果、正極及び負極の間での可動イオンの移動が容易となり、充放電容量を高めることができる。
【0046】
次に、本実施の形態に示す蓄電装置100の作製方法について、図2乃至図3を用いて説明する。
【0047】
図2に示すように、工程S301に示すように、電解質、正極及び負極を作製する。
【0048】
はじめに、電解質の作製方法について、図3及び図4を用いて説明する。
【0049】
電解質の材料として、イオン伝導性高分子化合物、無機酸化物、及びアルカリ金属塩をそれぞれ秤量する。また、溶媒を秤量する。溶媒としては、脱水アセトニトリル、乳酸エステル、N−メチル−2ピロリドン(NMP)等を用いることができる。
【0050】
ここでは、イオン伝導性高分子化合物としてポリエチレンオキサイド、無機酸化物として酸化シリコン、酸化チタン、及び酸化アルミニウムの混合物、アルカリ金属塩としてLiTFSIを用いる。また、溶媒として脱水アセトニトリルを用いる。
【0051】
次に、図3の工程S201に示すように、電解質の材料及び溶媒を混合し、混合溶液を形成する。
【0052】
ここで、当該工程において、電解質の材料を均質に混合する一形態について、図4を用いて説明する。ここでは、材料を入れた容器に自転及び公転を同時に行う撹拌装置を用いることで、均質に撹拌することができる。
【0053】
図4(A)に示すように、電解質の材料を入れた容器251を撹拌装置にセットし、容器251を自転させながら、右回りの公転をさせる。図4(B)、図4(C)、及び図4(D)はそれぞれ、図4(A)の位置から、容器251を90度、180度、及び270度公転させた状態である。このように、容器251を自転しつつ公転させることで、電解質の材料の撹拌の際に空気を含ませず、材料を均質に混合させることができる。なお、ここでは、右回りの公転をさせたが、左回りの公転をさせてもよい。また、自転は右回りまたは左回りを適宜行えばよい。
【0054】
次に、図3の工程S211に示すように、基板上に混合溶液を塗布する。基板としては、後の乾燥工程の温度に耐えうる基板を適宜用いればよい。基板の代表例としては、ガラス基板、ウェハー基板、プラスチック基板等がある。ここでは、基板としてガラス基板を用いる。また、自動塗工機に基板をセットし、上記混合溶液を基板に塗布する。
【0055】
次に、図3の工程S221に示すように、基板上に塗布された混合溶液を乾燥する。ここでは、溶媒が蒸発する温度で加熱すればよい。ここでは、通風乾燥機中で溶媒を蒸発させ乾燥させる。この結果、基板上に固体の電解質が形成される。
【0056】
次に、図3の工程S231に示すように、基板から電解質を剥離する。電解質として無機酸化物を混入することで、容易に基板から電解質を剥離することができる。ここでは、ピンセットを用いて、基板から電解質を剥離する。
【0057】
この後、さらに乾燥処理を行ってもよい。この結果、電解質から水分、溶媒等を除去することができる。
【0058】
以上の工程により、電解質を作製することができる。
【0059】
次に、負極の作製方法について、説明する。
【0060】
負極集電体102上に、塗布法、スパッタリング法、蒸着法などにより負極活物質層103を形成することで、負極を作製することができる。または、負極として、リチウム、アルミニウム、黒鉛、及びシリコンの箔、板、または網を負極として用いることができる。または、リチウムをプレドープした黒鉛を用いることができる。ここでは、黒鉛にリチウムをプレドープして負極を作製する。
【0061】
次に、正極の作製方法について、説明する。
【0062】
正極集電体112上に、塗布法、スパッタリング法、蒸着法などにより正極活物質層113を形成することで、正極を作製することができる。
【0063】
次に、図2の工程S311に示すように、正極、電解質、及び負極の順に重ね合わせ、電解質を正極及び負極で挟持し、蓄電セルを作製する。
【0064】
次に、工程S321に示すように、蓄電セルを加熱しながら、1回の充電及び放電を行う。ここでは、電解質に含まれるイオン伝導性高分子化合物の軟化点より高い温度で加熱しながら1回の充放電を行う。以上の工程により、蓄電装置を作製することができる。
【0065】
本実施の形態で作製される蓄電セルにおいて、電解質に含まれるイオン伝導性高分子化合物の軟化点より高い温度で加熱しながら1回の充放電を行うことで、電解質と、正極及び負極との密着性が高まる。この結果、電解質と、正極及び負極との界面における抵抗を低減することができる。また、電解質に、イオン伝導性高分子化合物及び無機酸化物の合計に対して30wt%より多く50wt%以下、より好ましくは33wt%以上50wt%以下である無機酸化物を混合することで、電解質に含まれるイオン伝導性高分子化合物の結晶化を抑制することが可能であり、電解質のイオン伝導率が高まる。これらの結果、正極及び負極の間での可動イオンの移動が容易となり充放電容量を高めることができる。また、電解質に含まれるイオン伝導性高分子化合物の軟化点より低い温度でも、高い充放電容量を得ることができる。
【0066】
(実施の形態2)
本実施の形態では、実施の形態1に示す蓄電装置よりも充放電容量を高めるため、実施の形態1に示す蓄電装置において、正極及び負極の一以上を塗布法により作製し、且つ軟化点が、電解質に含まれるイオン伝導性高分子化合物の軟化点以下である高分子化合物を正極活物質層及び負極活物質層の一以上のバインダとして用いることを特徴とする。
【0067】
本実施の形態で説明する蓄電装置は、正極、電解質、及び負極により構成される。電解質は実施の形態1に示す電解質を適宜用いることができる。
【0068】
また、負極を構成する負極活物質層は、活物質となるアルミニウム、黒鉛、シリコン、錫、ゲルマニウム等の粒子と、導電助剤と、バインダとを有し、バインダとして、軟化点が、電解質に含まれるイオン伝導性高分子化合物の軟化点以下の高分子化合物を用いる。
【0069】
また、正極を構成する正極活物質層は、活物質となるLiFeO2、LiCoO2、LiNiO2、LiMn2O4、LiFePO4、Li3Fe2(PO4)3、LiCoPO4、LiNiPO4、LiMn2PO4、Li1−x1Fey1M1−y1PO4(x1は0以上1以下)(Mは、Mn、Co、及びNiの一以上)(y1は0以上1未満)、Li2FeSiO4、Li2MnSiO4、V2O5、Cr2O5、MnO2等と、導電助剤と、バインダとを有する。さらに、バインダとして、軟化点が、電解質に含まれるイオン伝導性高分子化合物の軟化点以下である高分子化合物を用いることを特徴とする。
【0070】
軟化点が、電解質に含まれるイオン伝導性高分子化合物の軟化点以下である高分子化合物としては、スチレンブタジエン共重合体がある。
【0071】
また、軟化点が、電解質に含まれるイオン伝導性高分子化合物の軟化点以下である高分子化合物の代わりに、電解質に含まれるイオン伝導性高分子化合物の軟化点以下である、イオン伝導性高分子化合物をバインダとしてもよい。この場合、電解質に含まれるイオン伝導性高分子化合物と、正極活物質層に含まれるバインダとが、同じイオン伝導性高分子化合物であってもよく、または異なっていてもよい。
【0072】
なお、本実施の形態では、正極活物質層及び負極活物質層の少なくとも一において、バインダとして、軟化点が、電解質に含まれるイオン伝導性高分子化合物の軟化点以下である高分子化合物を用いればよい。
【0073】
次に、本実施の形態に示す蓄電装置の作製方法について、図2を用いて説明する。
【0074】
図2に示すように、工程S301で、電解質、正極及び負極を作製する。電解質は、実施の形態1と同様に作製することができる。
【0075】
次に、負極及び正極の作製方法について説明する。
【0076】
はじめに本実施の形態に示す負極の作製方法について説明する。
【0077】
負極活物質、導電助剤、バインダ、及び溶媒を混合する。なお、バインダとしては、本実施の形態で述べた、軟化点が、電解質に含まれるイオン伝導性高分子化合物の軟化点以下である高分子化合物を適宜用いることができる。
【0078】
負極活物質、導電助剤、及びバインダは、それぞれ80〜96重量%、2〜10重量%、2〜10重量%の割合で、且つ全体で100重量%になるように混合する。更に、活物質、導電助剤、及びバインダの混合物と同体積程度の有機溶媒を混合し、スラリーを形成する。なお、後に形成される活物質層の活物質及び導電助剤の密着性が弱い時にはバインダを多くし、活物質の抵抗が高い時には導電助剤を多くするなどして、活物質、導電助剤、バインダの割合を適宜調整する。
【0079】
次に、負極集電体上にキャスト法、塗布法等によりスラリーを塗布し薄く広げ、ロールプレス機で更に延伸し、厚みを均等にした後、真空乾燥(10Pa以下)や加熱乾燥(150〜280℃)して、負極集電体上に負極活物質層を形成する。
【0080】
なお、正極は、負極と同様に、正極活物質、導電助剤、バインダ、及び溶媒を加えて混合しスラリーを形成した後、当該スラリーを正極集電体上に塗布し乾燥して、正極集電体上に正極活物質を形成する。なお、バインダとしては、本実施の形態で述べた、軟化点が、電解質に含まれるイオン伝導性高分子化合物の軟化点以下である高分子化合物を適宜用いることができる。
【0081】
次に、図2の工程S311に示すように、正極、電解質、及び負極の順に重ね合わせ、電解質を正極及び負極で挟持する。
【0082】
次に、工程S321に示すように、蓄電セルを加熱しながら、1回の充電及び放電を行う。ここでは、電解質に含まれるイオン伝導性高分子化合物の軟化点より高い温度で加熱する。以上の工程により、蓄電セルを作製することができる。
【0083】
本実施の形態で作製される蓄電セルにおいて、電解質に含まれるイオン伝導性高分子化合物の軟化点より高い温度で加熱しながら1回の充放電を行うことで、電解質と、正極及び負極との密着性が高まる。ここでは、正極及び負極の一以上に、軟化点が、電解質に含まれるイオン伝導性高分子化合物の軟化点以下である高分子化合物がバインダとして含まれるため、高分子化合物の軟化点より高い温度で加熱しながら1回の充放電を行うと、正極及び負極の一に含まれるバインダと、電解質に含まれるイオン伝導性高分子化合物とが融着し、正極及び負極の一と、電解質との密着性が、実施の形態1よりも高まる。この結果、電解質と、正極及び負極との界面における抵抗を低減することができる。また、イオン伝導性高分子化合物及び無機酸化物の合計に対して30wt%より多く50wt%以下より好ましくは33wt%以上50wt%以下である無機酸化物を混合することで、電解質に含まれるイオン伝導性高分子化合物の結晶化を抑制することが可能であり、電解質のイオン伝導率が高まる。これらの結果、正極及び負極の間での可動イオンの移動が容易となり、充放電容量を高めることができる。
【0084】
(実施の形態3)
本実施の形態では、実施の形態1及び実施の形態2で説明した蓄電装置の応用形態について図5を用いて説明する。
【0085】
実施の形態1及び実施の形態2で説明した蓄電装置は、デジタルカメラやビデオカメラ等のカメラ、デジタルフォトフレーム、携帯電話機(携帯電話、携帯電話装置ともいう。)、携帯型ゲーム機、携帯情報端末、音響再生装置等の電子機器に用いることができる。また、電気自動車、ハイブリッド自動車、鉄道用電気車両、作業車、カート、電動車椅子等の電気推進車両に用いることができる。ここでは、電気推進車両の例を説明する。
【0086】
図5(A)に、電気推進車両の一つである四輪の自動車500の構成を示す。自動車500は、電気自動車またはハイブリッド自動車である。自動車500は、その底部に蓄電装置502が設けられている例を示している。自動車500における蓄電装置502の位置を明確にするために、図5(B)に、輪郭だけ示した自動車500と、自動車500の底部に設けられた蓄電装置502とを示す。実施の形態1及び実施の形態2で説明した蓄電装置を、蓄電装置502に用いることができる。蓄電装置502は、プラグイン技術や無線給電システムによる外部からの電力供給により充電をすることができる。
【0087】
(実施の形態4)
本実施の形態では、本発明の一態様に係る蓄電装置の一例である二次電池を、無線給電システム(以下、RF給電システムと呼ぶ。)に用いた場合の一例を、図6および図7のブロック図を用いて説明する。なお、各ブロック図では、受電装置および給電装置内の構成要素を機能ごとに分類し、互いに独立したブロックとして示しているが、実際の構成要素は機能ごとに完全に切り分けることが困難であり、一つの構成要素が複数の機能に係わることもあり得る。
【0088】
はじめに、図6を用いてRF給電システムについて説明する。
【0089】
受電装置600は、給電装置700から供給された電力で駆動する電子機器または電気推進車両であるが、この他電力で駆動する装置に適宜適用することができる。電子機器の代表的としては、デジタルカメラやビデオカメラ等のカメラ、デジタルフォトフレーム、携帯電話機、携帯型ゲーム機、携帯情報端末、音響再生装置、表示装置、コンピュータ等がある。また、電気推進車両の代表例としては、電気自動車、ハイブリッド自動車、鉄道用電気車両、作業車、カート、電動車椅子等がある。また、給電装置700は、受電装置600に電力を供給する機能を有する。
【0090】
図6において、受電装置600は、受電装置部601と、電源負荷部610とを有する。受電装置部601は、受電装置用アンテナ回路602と、信号処理回路603と、二次電池604とを少なくとも有する。また、給電装置700は、給電装置用アンテナ回路701と、信号処理回路702とを少なくとも有する。
【0091】
受電装置用アンテナ回路602は、給電装置用アンテナ回路701が発信する信号を受け取る、あるいは、給電装置用アンテナ回路701に信号を発信する役割を有する。信号処理回路603は、受電装置用アンテナ回路602が受信した信号を処理し、二次電池604の充電、二次電池604から電源負荷部610への電力の供給を制御する。また、信号処理回路603は、受電装置用アンテナ回路602の動作を制御する。すなわち、受電装置用アンテナ回路602から発信する信号の強度、周波数などを制御することができる。電源負荷部610は、二次電池604から電力を受け取り、受電装置600を駆動する駆動部である。電源負荷部610の代表例としては、モータ、駆動回路等があるが、その他の電力を受け取って受電装置を駆動する装置を適宜用いることができる。また、給電装置用アンテナ回路701は、受電装置用アンテナ回路602に信号を送る、あるいは、受電装置用アンテナ回路602からの信号を受け取る役割を有する。信号処理回路702は、給電装置用アンテナ回路701が受信した信号を処理する。また、信号処理回路702は、給電装置用アンテナ回路701の動作を制御する。すなわち、給電装置用アンテナ回路701から発信する信号の強度、周波数などを制御することができる。
【0092】
本発明の一態様に係る二次電池は、図6で説明したRF給電システムにおける受電装置600が有する二次電池604として利用される。
【0093】
RF給電システムに本発明の一態様に係る二次電池を利用することで、従来の二次電池に比べて放電容量または充電容量(蓄電量ともいう)を増やすことができる。よって、無線給電の時間間隔を延ばすことができる(何度も給電する手間を省くことができる)。
【0094】
また、RF給電システムに本発明の一態様に係る二次電池を利用することで、電源負荷部610を駆動することができる放電容量または充電容量が従来と同じであれば、受電装置600の小型化および軽量化が可能である。従って、トータルコストを減らすことができる。
【0095】
次に、RF給電システムの他の例について図7を用いて説明する。
【0096】
図7において、受電装置600は、受電装置部601と、電源負荷部610とを有する。受電装置部601は、受電装置用アンテナ回路602と、信号処理回路603と、二次電池604と、整流回路605と、変調回路606と、電源回路607とを、少なくとも有する。また、給電装置700は、給電装置用アンテナ回路701と、信号処理回路702と、整流回路703と、変調回路704と、復調回路705と、発振回路706とを、少なくとも有する。
【0097】
受電装置用アンテナ回路602は、給電装置用アンテナ回路701が発信する信号を受け取る、あるいは、給電装置用アンテナ回路701に信号を発信する役割を有する。給電装置用アンテナ回路701が発信する信号を受け取る場合、整流回路605は受電装置用アンテナ回路602が受信した信号から直流電圧を生成する役割を有する。信号処理回路603は受電装置用アンテナ回路602が受信した信号を処理し、二次電池604の充電、二次電池604から電源回路607への電力の供給を制御する役割を有する。電源回路607は、二次電池604が蓄電している電圧を電源負荷部610に必要な電圧に変換する役割を有する。変調回路606は受電装置600から給電装置700へ何らかの応答を送信する場合に使用される。
【0098】
電源回路607を有することで、電源負荷部610に供給する電力を制御することができる。このため、電源負荷部610に過電圧が印加されることを低減することが可能であり、受電装置600の劣化や破壊を低減することができる。
【0099】
また、変調回路606を有することで、受電装置600から給電装置700へ信号を送信することが可能である。このため、受電装置600の充電量を判断し、一定量の充電が行われた場合に、受電装置600から給電装置700に信号を送信し、給電装置700から受電装置600への給電を停止させることができる。この結果、二次電池604の充電量を100%としないことで、二次電池604の充電回数を増加させることが可能である。
【0100】
また、給電装置用アンテナ回路701は、受電装置用アンテナ回路602に信号を送る、あるいは、受電装置用アンテナ回路602から信号を受け取る役割を有する。受電装置用アンテナ回路602に信号を送る場合、信号処理回路702は、受電装置に送信する信号を生成する回路である。発振回路706は一定の周波数の信号を生成する回路である。変調回路704は、信号処理回路702が生成した信号と発振回路706で生成された一定の周波数の信号に従って、給電装置用アンテナ回路701に電圧を印加する役割を有する。そうすることで、給電装置用アンテナ回路701から信号が出力される。一方、受電装置用アンテナ回路602から信号を受け取る場合、整流回路703は受け取った信号を整流する役割を有する。復調回路705は、整流回路703が整流した信号から受電装置600が給電装置700に送った信号を抽出する。信号処理回路702は復調回路705によって抽出された信号を解析する役割を有する。
【0101】
なお、RF給電を行うことができれば、各回路の間にどんな回路を設けてもよい。例えば、受電装置600が信号を受信し整流回路605で直流電圧を生成したあとに、後段に設けられたDC−DCコンバータやレギュレータといった回路によって、定電圧を生成してもよい。そうすることで、受電装置600内部に過電圧が印加されることを抑制することができる。
【0102】
本発明の一態様に係る二次電池は、図7で説明したRF給電システムにおける受電装置600が有する二次電池604として利用される。
【0103】
RF給電システムに本発明の一態様に係る二次電池を利用することで、従来の二次電池に比べて放電容量または充電容量を増やすことができるので、無線給電の時間間隔を延ばすことができる(何度も給電する手間を省くことができる)。
【0104】
また、RF給電システムに本発明の一態様に係る二次電池を利用することで、電源負荷部610を駆動することができる放電容量または充電容量が従来と同じであれば、受電装置600の小型化および軽量化が可能である。従って、トータルコストを減らすことができる。
【0105】
なお、RF給電システムに本発明の一態様に係る二次電池を利用し、受電装置用アンテナ回路602と二次電池604を重ねる場合は、二次電池604の充放電による二次電池604の変形と、当該変形に伴うアンテナの形状の変化によって、受電装置用アンテナ回路602のインピーダンスが変化しないようにすることが好ましい。アンテナのインピーダンスが変化してしまうと、十分な電力供給がなされない可能性があるためである。例えば、二次電池604を金属製あるいはセラミックス製の電池パックに装填するようにすればよい。なお、その際、受電装置用アンテナ回路602と電池パックは数十μm以上離れていることが望ましい。
【0106】
また、本実施の形態では、充電用の信号の周波数に特に限定はなく、電力が伝送できる周波数であれば、どの帯域であっても構わない。充電用の信号は、例えば、135kHzのLF帯(長波)でも良いし、13.56MHzのHF帯(短波)でも良いし、900MHz〜1GHzのUHF帯(極超短波)でも良いし、2.45GHzのマイクロ波帯でもよい。
【0107】
また、信号の伝送方式としては電磁結合方式、電磁誘導方式、共鳴方式、マイクロ波方式など様々な種類があるが、適宜選択すればよい。ただし、雨や泥などの、水分を含んだ異物によるエネルギーの損失を抑えるためには、周波数が低い帯域、具体的には、短波である3MHz〜30MHz、中波である300kHz〜3MHz、長波である30kHz〜300kHz、および超長波である3kHz〜30kHzの周波数を利用した電磁誘導方式や共鳴方式を用いることが望ましい。
【0108】
本実施の形態は、上記実施の形態と組み合わせて実施することが可能である。
【実施例1】
【0109】
本実施例では、電解質における無機酸化物の添加の有無と蓄電装置の充放電特性について、図8を用いて説明する。
【0110】
はじめに、蓄電装置として、リチウムイオン二次電池の作製工程及び構成について、説明する。
【0111】
<電解質1〜電解質6の作製工程及び構成>
電解質1〜電解質6の材料として、表1に示す重量のポリエチレンオキサイド(以下、PEOと示す。軟化点65〜67度。)、LiTFSI、及びSiO2、Li2O、Al2O3の一以上を含む無機酸化物を秤量した。ここでは、PEOに含まれる酸素原子と、LiTFSIに含まれるリチウムイオンの比が20:1となるように、それぞれの重量を決定した。次に、PEO、LiTFSI、及び無機酸化物の混合物それぞれに、溶媒として15mlの脱水アセトニトリルを混合し、混合溶液を形成した。
【0112】
次に、自動塗工機にガラス基板を設けた後、ガラス基板上に混合溶液をそれぞれ塗布した。このときの混合溶液の厚さを300μmとした。
【0113】
次に、室温の通風乾燥機に上記基板を設置し、混合溶液を自然乾燥して、電解質1〜電解質6を形成した。電解質1〜電解質6に含まれるPEO及び無機酸化物の合計に対する無機酸化物の重量比と、電解質に対する無機酸化物の重量比を表1に示す。
【0114】
【表1】
【0115】
次に、ガラス基板から電解質1〜電解質6を剥がした後、2枚のフッ素樹脂シートで電解質を挟んだ状態で、真空乾燥機において温度80度で3時間加熱し、電解質1〜電解質6中の溶媒を乾燥させた。以上の工程により、PEO、LiTFSI、及び無機酸化物を有する電解質を作製した。
【0116】
<比較電解質の作製工程及び構成>
1gのPEO、及び0.1724gのLiPF6を秤量した。次に、上記電解質1〜電解質6と同様の工程により、PEO及びLiPF6を有する比較電解質を形成した。
【0117】
<正極の構成>
活物質層の材料として、79.4gのLiFePO4、14.8gのアセチレンブラック、5gのPEO、及び0.8gのLiPF6を混合し、スラリーを形成した。
【0118】
次に、集電体であるアルミニウム箔上に、スラリーを塗布した後、真空乾燥及び加熱乾燥により活物質層を形成した。以上の工程により、集電体上に活物質層を有する正極を形成した。
<負極の構成>
ここでは、負極としてリチウム箔を準備した。
【0119】
<二次電池の作製工程>
次に、本実施例の二次電池の作製工程を示す。
【0120】
上記電解質1〜電解質6のいずれか、または比較電解質を、正極及び負極で挟んで二次電池を形成した。
【0121】
次に、二次電池の充電及び放電特性を測定した。このときの電気特性を図8に示す。
【0122】
図8(A)に、電解質1を有する二次電池(以下、二次電池1とする。)の温度を50度、または40度として充放電したとき、電解質2を有する二次電池(以下、二次電池2とする。)の温度を30度で充放電したとき、それぞれの容量及び電圧の関係を示す。なお、ここでは、各二次電池において、充放電を2回行った後の、3回目の充放電の測定結果を示す。
【0123】
図8(A)に示すように、二次電池1を50度で充放電を行ったときの放電容量は、正極(LiFePO4)の理論放電容量の170mAh/gを超える、187mAh/gであった。また、二次電池1の温度を40度として充放電を行ったときの放電容量は133mAh/g、二次電池2の温度を30度として充放電を行ったときの放電容量は92mAh/gであった。
【0124】
一方、比較電解質を用いた比較二次電池の充電及び放電特性を図8(B)に示す。図8(B)においては、比較二次電池の温度をそれぞれ50度、55度として充放電を行ったときの、容量及び電圧の関係をそれぞれ示す。
【0125】
55度で充放電を行ったときの放電容量は76mAh/g、50度で充放電を行ったときの放電容量は17mAh/gであった。
【0126】
図8(A)を図8(B)と比較すると、PEO及び無機酸化物の合計に対して、33wt%、または50wt%の無機酸化物(ここでは、酸化シリコン)を電解質に添加することで、電解質に含まれるイオン伝導性高分子化合物であるPEOの軟化点以下の50度での充放電においても充放電容量が急増した。また、図示しないが、温度30度及び40度の充放電においても、比較的高い充放電容量が得られた。以上のことから、電解質に無機酸化物を添加することで、イオン伝導性高分子化合物の軟化点より低い温度においても、二次電池の充放電容量を理論容量に近づけることができることが分かる。
【0127】
次に、電解質3を有する二次電池(二次電池3と示す。)の充電及び放電特性を測定した。このときの電気特性を図9に示す。なお、ここでは、二次電池3において、温度50度で1時間保持した後、室温で1回の充放電を行い、各電極の活物質層及び電解質を癒着させ、室温での充放電をさらに2回行った後の、室温での4回目の充放電の測定結果を示す。
【0128】
図9に示すように、二次電池3を室温で充放電を行ったときの放電容量は、51mAh/gであった。
【0129】
図9から、PEO及び無機酸化物の合計に対して44wt%の無機酸化物(ここでは、酸化シリコン)を電解質に添加することで、室温での充放電においても、充放電容量を得ることができた。
【0130】
次に、電解質4を有する二次電池(二次電池4と示す。)の充電及び放電特性を測定した。このときの電気特性を図10に示す。なお、ここでは、二次電池3と同様処理を行い、室温での4回目の充放電の測定結果を示す。
【0131】
図10に示すように、二次電池4を室温で充放電を行ったときの放電容量は、55mAh/gであった。
【0132】
図10から、PEO及び無機酸化物の合計に対して33wt%の無機酸化物(ここでは、酸化リチウム)を電解質に添加することで、室温での充放電においても、充放電容量を得ることができた。
【0133】
次に、電解質5を有する二次電池(二次電池5と示す。)の充電及び放電特性を測定した。このときの電気特性を図11に示す。なお、ここでは、二次電池3と同様の処理を行い、室温での4回目の充放電の測定結果を示す。
【0134】
図11に示すように、二次電池5を室温で充放電を行ったときの放電容量は、43mAh/gであった。
【0135】
図11から、PEO及び無機酸化物の合計に対して50wt%の無機酸化物(ここでは、酸化シリコン、酸化リチウム、及び酸化アルミニウム)を電解質に添加することで、室温での充放電においても、充放電容量を得ることができた。
【0136】
次に、電解質6を有する二次電池(二次電池6と示す。)の充電及び放電特性を測定した。このときの電気特性を図12に示す。なお、ここでは、二次電池3と同様の処理を行い、室温での4回目の充放電の測定結果を示す。
【0137】
図12に示すように、二次電池6を室温で充放電を行ったときの放電容量は、53mAh/gであった。
【0138】
図12から、PEO及び無機酸化物の合計に対して33wt%の無機酸化物(ここでは、酸化シリコン、酸化リチウム、及び酸化アルミニウム)を電解質に添加することで、室温での充放電においても、充放電容量を得ることができた。
【0139】
即ち、イオン伝導性高分子化合物及び無機酸化物の合計に対して、33wt%以上50wt%以下の無機酸化物を含む電解質を有する二次電池は、イオン伝導性高分子化合物の軟化点より低い温度においても充放電容量を得ることが可能であり、さらには室温での充放電が可能である。
【実施例2】
【0140】
本実施例では、電解質における無機酸化物の添加の有無と、正極及び負極と電解質との界面における抵抗について、図13を用いて説明する。
【0141】
はじめに、二次電池の作製方法について、以下に説明する。
【0142】
電解質の材料として、1gのPEO、0.1724gのLiPF6、及び1gの酸化シリコンを秤量した後、実施例1と同様の作製方法により、電解質を形成した。また、実施例1と同様の正極及び負極で当該電解質を挟んで、電池セルを作製した。
【0143】
次に、電池セルの温度を70度で保ちながら、1回の充放電を行い、二次電池を作製した。
【0144】
次に、比較用二次電池の作製方法を以下に示す。
【0145】
上記電解質の材料から酸化シリコンを除いた、1gのPEO、及び0.1724gのLiPF6を比較電解質の材料として秤量した。次に、実施例1と同様の作製方法により、比較電解質を形成した。また、実施例1と同様の正極及び負極で当該比較電解質を挟んで、比較電池セルを作製した。
【0146】
次に、電池セルの温度を70度で保ちながら、1回の充放電を行い、比較二次電池を作製した。
【0147】
次に、二次電池、及び比較二次電池の温度をそれぞれ、40度、50度、60度、70度に保ちながら、各二次電池のインピーダンスを測定した。ここでは、北斗電工株式会社製の電気化学測定システムHZ−5000を用いて、定電位交流インピーダンス測定を行った。このときの、測定条件は、開始周波数を20kHz、AC(交流)振幅を10mV、終了周波数を100mHz、測定時間を1時間、サンプリング間隔を10秒とした。
【0148】
図13(A)は40度での測定結果、図13(B)は50度での測定結果、図13(C)は60度での測定結果、図13(D)は70度での測定結果を示す。また、それぞれのグラフにおいて、三角印Aは二次電池のインピーダンスZ、菱形印Bは比較二次電池のインピーダンスZを示す。また、横軸はインピーダンスZの実部を示し、縦軸はインピーダンスZの虚部を示す。
【0149】
図13より、比較二次電池と比べ、二次電池は、インピーダンスZの実部が低下していることが分かる。特に、図13(A)及び図13(B)のように、40度、50度と、PEOの軟化点より低い温度で、インピーダンスZの実部の低減が大きい。
【0150】
このことから、電解質に無機酸化物を添加することで、電解質と、正極及び負極との界面における抵抗が低減していることが分かる。また、イオン伝導性高分子化合物であるPEOの軟化点より高い温度で1度充放電することで、電解質と、正極及び負極との界面における抵抗が低減していることが分かる。
【技術分野】
【0001】
本発明は、蓄電装置及びその作製方法に関する。
【0002】
なお、蓄電装置とは、蓄電機能を有する素子及び装置全般を指すものである。
【背景技術】
【0003】
近年、リチウムイオン二次電池及びリチウムイオンキャパシタなど、蓄電装置の開発が行われている。
【0004】
また、固体電解質を用いた蓄電装置として、電解質にポリエチレンオキサイドにリチウム塩を溶解したイオン伝導性の高い高分子化合物を用いることが検討されている。
【0005】
また、イオン伝導性の高い高分子化合物のイオン伝導性を向上させるために、金属酸化物で形成されるメソ多孔体フィラーをイオン伝導パスとして電極間に設け、且つメソ多孔体フィラーの間にイオン導電性の高い高分子化合物を満たした蓄電装置が提案されている(例えば特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2006−40853号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、イオン導電性パスとして機能する金属酸化物で形成されるメソ多孔体フィラーを電極間に設けることで、電解質の導電率を向上させることが可能ではあるもの、蓄電装置の充放電容量は依然として向上しない。
【0008】
そこで、本発明の一態様では、固体電解質を有する蓄電装置において、充放電容量を高めることが可能な、蓄電装置及びその作製方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一態様は、正極、固体電解質、及び負極を有する蓄電装置において、電解質は、イオン伝導性高分子化合物、無機酸化物、及びアルカリ金属塩を有し、電解質において、高分子化合物及び無機酸化物の合計に対して、30wt%より多く50wt%以下、より好ましくは33wt%以上50wt%以下の無機酸化物が含まれる。
【0010】
また、本発明の一態様は、正極、固体電解質、及び負極を有する蓄電装置において、電解質は、イオン伝導性高分子化合物、無機酸化物、及びアルカリ金属塩を有し、正極または負極に含まれる活物質層には、バインダとして、軟化点が、電解質に含まれるイオン伝導性高分子化合物の軟化点以下である高分子化合物を有することを特徴とする。なお、正極または負極に含まれる活物質層には、バインダとして、イオン伝導性高分子化合物を用いてもよい。または、バインダとして、電解質に含まれるイオン伝導性高分子化合物と同じ材料のイオン伝導性高分子化合物を有してもよい。
【0011】
本発明の一態様は、イオン伝導性高分子化合物、無機酸化物、及びアルカリ金属塩を混合し、基板上に塗布し乾燥して電解質を形成した後、基板から該電解質を剥離し、正極と、負極とで、剥離した電解質を挟持し、イオン伝導性高分子化合物の軟化点より高い温度において上記正極及び負極の間で1回の充電及び放電をし、電解質、第1の活物質層、及び第2の活物質層を癒着させて、蓄電装置を作製することを特徴とする。
【0012】
イオン伝導性高分子化合物の代表例は、ポリアルキレンオキサイドがある。ポリアルキレンオキサイドの代表例としては、ポリエチレンオキサイド、ポリプロピレンオキサイド、ポリフェニレンオキサイド等がある。
【0013】
電解質に含まれる無機酸化物としては、酸化シリコン、酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化アルミニウム、酸化亜鉛、酸化鉄、酸化セリウム、酸化マグネシウム、酸化アンチモン、酸化ゲルマニウム、酸化リチウム、酸化グラファイト、チタン酸バリウム、及びメタ珪素酸リチウムから選ばれる一または複数がある。
【0014】
アルカリ金属塩の代表例は、リチウム塩、ナトリウム塩等を有する。リチウム塩の代表例としては、LiCF3SO3、LiPF6、LiBF4、LiClO4、LiSCN、LiN(CF3SO2)2(LiTFSIともいう。)、LiN(C2F5SO2)2(LiBETIともいう。)等がある。
【発明の効果】
【0015】
本発明の一態様により、電解質に含まれるイオン伝導性高分子化合物の軟化点より低い温度においても、充放電容量の高い蓄電装置を作製することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】蓄電装置を説明するための断面図である。
【図2】蓄電装置の作製方法を説明するための図である。
【図3】蓄電装置の電解質の作製方法を説明するための図である。
【図4】蓄電装置の電解質の作製方法を説明するための図である。
【図5】蓄電装置の応用の一形態の斜視図である。
【図6】無線給電システムの構成の例を示す図である。
【図7】無線給電システムの構成の例を示す図である。
【図8】二次電池の充放電特性を説明するための図である。
【図9】二次電池の充放電特性を説明するための図である。
【図10】二次電池の充放電特性を説明するための図である。
【図11】二次電池の充放電特性を説明するための図である。
【図12】二次電池の充放電特性を説明するための図である。
【図13】二次電池のインピーダンスを説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明の実施の形態の一例について、図面を用いて以下に説明する。但し、本発明は以下の説明に限定されず、本発明の趣旨及びその範囲から逸脱することなくその形態及び詳細を様々に変更し得ることは当業者であれば容易に理解される。従って、本発明は以下に示す実施の形態及び実施例の記載内容に限定して解釈されるものではないとする。なお、説明中に図面を参照するにあたり、同じものを指す符号は異なる図面間でも共通して用いる場合がある。また、同様のものを指す際には同じハッチパターンを使用し、特に符号を付さない場合がある。
【0018】
(実施の形態1)
本実施の形態では、本発明の一態様である蓄電装置及びその作製方法について説明する。
【0019】
本実施の形態の蓄電装置の一形態について図1を用いて説明する。ここでは、蓄電装置として、二次電池の断面構造について、以下に説明する。
【0020】
二次電池として、リチウム含有金属酸化物を用いたリチウムイオン二次電池は、容量が高く、安全性が高い。ここでは、二次電池の代表例であるリチウムイオン二次電池の構造について、説明する。
【0021】
図1は、蓄電装置100の断面図である。
【0022】
蓄電装置100は、負極101と、正極111と、負極101及び正極111で挟持された固体電解質(以下、電解質121と示す。)とで構成される。また、負極101は、負極集電体102及び負極活物質層103とで構成されてもよい。正極111は、正極集電体112及び正極活物質層113で構成されてもよい。また、電解質121は、負極活物質層103及び正極活物質層113と接する。
【0023】
負極集電体102及び正極集電体112はそれぞれ異なる外部端子と接続する。また、負極101、電解質121、及び正極111は、図示しない外装部材で覆われている。
【0024】
なお、活物質とは、キャリアであるイオンの挿入及び脱離に関わる物質を指し、グルコース等を用いて得られた炭素層などを含むものではない。後に説明する塗布法により正極及び負極等の電極を作製する時には、炭素層に覆われた活物質と共に、導電助剤やバインダ、溶媒等の他の材料を混合したものを活物質層として集電体上に形成する。よって、「活物質」と「活物質層」は区別される。
【0025】
はじめに、本実施の形態に示す蓄電装置100に含まれる電解質121について説明する。
【0026】
電解質121には、イオン伝導性高分子化合物、無機酸化物、及びアルカリ金属塩が含まれる。なお、電解質121は、複数のイオン伝導性高分子化合物を有してもよい。また、電解質121は、複数の無機酸化物を有してもよい。また、電解質121は、複数のアルカリ金属塩を有してもよい。
【0027】
イオン伝導性高分子化合物の代表例としては、分子量が1万以上100万以下のポリアルキレンオキサイドがある。ポリアルキレンオキサイドの代表例としては、ポリエチレンオキサイド、ポリプロピレンオキサイド、ポリフェニレンオキサイド等である。
【0028】
無機酸化物としては、酸化シリコン、酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化アルミニウム、酸化亜鉛、酸化鉄、酸化セリウム、酸化マグネシウム、酸化アンチモン、酸化ゲルマニウム、酸化リチウム、酸化グラファイト、チタン酸バリウム、メタ珪素酸リチウム等がある。
【0029】
無機酸化物の粒子の直径は、50nm以上10μm以下が好ましい。
【0030】
アルカリ金属塩としては、リチウム塩、ナトリウム塩等がある。リチウム塩の代表例としては、LiCF3SO3、LiPF6、LiBF4、LiClO4、LiSCN、LiN(CF3SO2)2、LiN(C2F5SO2)2等がある。ナトリウム塩の代表例としては、NaClO4、NaPF6、NaBF4、NaCF3SO3、NaN(CF3SO2)2、NaN(C2F5SO2)2、NaC(CF3SO2)3等がある。
【0031】
電解質において、イオン伝導性高分子化合物、無機酸化物、及びアルカリ金属塩は、それぞれ15〜65重量%、12〜80重量%、5〜50重量%の割合で、且つ全体で100重量%になるように混合する。また、イオン伝導性高分子化合物及び無機酸化物の合計に対して、30wt%より多く50wt%以下、より好ましくは33wt%以上50wt%以下の無機酸化物が電解質に含まれることで、電解質に含まれるイオン伝導性高分子化合物の結晶化を抑制することが可能であり、電解質のイオン伝導率が高まる。これらの結果、正極及び負極の間での可動イオンの移動が容易となり、充放電容量を高めることができる。また、電解質に含まれるイオン伝導性高分子化合物の軟化点より低い温度でも、高い充放電容量を得ることができる。
【0032】
次に、本実施の形態に示す蓄電装置100に含まれる負極101について説明する。
【0033】
負極集電体102は、銅、ステンレス、鉄、ニッケル等の導電性の高い材料を用いることができる。また、負極集電体102は、箔状、板状、網状等の形状を適宜用いることができる。
【0034】
負極活物質層103としては、リチウムイオンの吸蔵放出が可能な材料を用いる。代表的には、リチウム、アルミニウム、黒鉛、シリコン、錫、ゲルマニウムなどが用いられる。負極集電体102を用いずそれぞれの負極活物質層103を単体で負極として用いてもよい。黒鉛と比較すると、ゲルマニウム、シリコン、リチウム、アルミニウムの理論リチウム吸蔵容量が大きい。吸蔵容量が大きいと小面積でも十分に充放電が可能であり、負極として機能するため、コストの節減及び二次電池の小型化につながる。ただし、シリコンなどはリチウム吸蔵により体積が4倍程度まで増えるために、材料自身が脆くなる事に十分に気をつける必要がある。
【0035】
なお、負極活物質層103にリチウムをプレドープしてもよい。リチウムのプレドープ方法としては、スパッタリング法により負極活物質層103表面にリチウム層を形成してもよい。または、負極活物質層103の表面にリチウム箔を設けることで、負極活物質層103にリチウムをプレドープすることができる。
【0036】
負極活物質層103の厚さは、20μm以上100μm以下の間で所望の厚さを選択する。
【0037】
なお、負極活物質層103には、バインダ、導電助剤を有してもよい。
【0038】
バインダとしては、澱粉、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、再生セルロース、ジアセチルセルロースなどの多糖類や、ポリビニルクロリド、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデン、EPDM(Ethylene Propylene Diene Monomer)ゴム、スルホン化EPDMゴム、スチレンブタジエンゴム、ブタジエンゴム、フッ素ゴムなどのビニルポリマー、ポリエチレンオキシドなどのポリエーテルなどがある。
【0039】
導電助剤としては、その材料自身が電子導電体であり、蓄電装置内で他の物質と化学変化を起こさないものであればよい。例えば、黒鉛、炭素繊維、カーボンブラック、アセチレンブラック、VGCF(登録商標)などの炭素系材料、銅、ニッケル、アルミニウムもしくは銀などの金属材料またはこれらの混合物の粉末や繊維などがそれに該当する。導電助剤とは、活物質間の導電性を助ける物質であり、離れている活物質の間に充填され、活物質同士の導通をとる材料である。
【0040】
次に、本実施の形態に示す蓄電装置100に含まれる正極111について説明する。
【0041】
正極集電体112は、白金、アルミニウム、銅、チタン、ステンレス等の導電性の高い材料を用いることができる。また、正極集電体112は、箔状、板状、網状等の形状を適宜用いることができる。
【0042】
正極活物質層113は、LiFeO2、LiCoO2、LiNiO2、LiMn2O4、LiFePO4、Li3Fe2(PO4)3、LiCoPO4、LiNiPO4、LiMn2PO4、Li1−x1Fey1M1−y1PO4(x1は0以上1以下)(Mは、Mn、Co、及びNiの一以上)(y1は0以上1未満)、Li2FeSiO4、Li2MnSiO4、V2O5、Cr2O5、MnO2、その他の材料を用いることができる。
【0043】
正極活物質層113の厚さは、20μm以上100μm以下の間で所望の厚さを選択する。なお、クラックや剥離が生じないように、正極活物質層113の厚さを適宜調整することが好ましい。
【0044】
また、正極活物質層113には、負極活物質層103と同様に、バインダ及び導電助剤を有してもよい。バインダ及び導電助剤は、負極活物質層103に列挙するバインダ及び導電助剤を適宜用いることができる。
【0045】
リチウムイオン二次電池は、メモリー効果が小さく、エネルギー密度が高く、容量が大きい。また、出力電圧が高い。これらのため、小型化及び軽量化が可能である。また、充放電の繰り返しによる劣化が少なく、長期間の使用が可能であり、コスト削減が可能である。また、本実施の形態において、電解質に、イオン伝導性高分子化合物と共に無機酸化物を有するため、イオン伝導性高分子化合物の結晶化が抑制され、電解質のイオン伝導率が高まる。これらの結果、正極及び負極の間での可動イオンの移動が容易となり、充放電容量を高めることができる。
【0046】
次に、本実施の形態に示す蓄電装置100の作製方法について、図2乃至図3を用いて説明する。
【0047】
図2に示すように、工程S301に示すように、電解質、正極及び負極を作製する。
【0048】
はじめに、電解質の作製方法について、図3及び図4を用いて説明する。
【0049】
電解質の材料として、イオン伝導性高分子化合物、無機酸化物、及びアルカリ金属塩をそれぞれ秤量する。また、溶媒を秤量する。溶媒としては、脱水アセトニトリル、乳酸エステル、N−メチル−2ピロリドン(NMP)等を用いることができる。
【0050】
ここでは、イオン伝導性高分子化合物としてポリエチレンオキサイド、無機酸化物として酸化シリコン、酸化チタン、及び酸化アルミニウムの混合物、アルカリ金属塩としてLiTFSIを用いる。また、溶媒として脱水アセトニトリルを用いる。
【0051】
次に、図3の工程S201に示すように、電解質の材料及び溶媒を混合し、混合溶液を形成する。
【0052】
ここで、当該工程において、電解質の材料を均質に混合する一形態について、図4を用いて説明する。ここでは、材料を入れた容器に自転及び公転を同時に行う撹拌装置を用いることで、均質に撹拌することができる。
【0053】
図4(A)に示すように、電解質の材料を入れた容器251を撹拌装置にセットし、容器251を自転させながら、右回りの公転をさせる。図4(B)、図4(C)、及び図4(D)はそれぞれ、図4(A)の位置から、容器251を90度、180度、及び270度公転させた状態である。このように、容器251を自転しつつ公転させることで、電解質の材料の撹拌の際に空気を含ませず、材料を均質に混合させることができる。なお、ここでは、右回りの公転をさせたが、左回りの公転をさせてもよい。また、自転は右回りまたは左回りを適宜行えばよい。
【0054】
次に、図3の工程S211に示すように、基板上に混合溶液を塗布する。基板としては、後の乾燥工程の温度に耐えうる基板を適宜用いればよい。基板の代表例としては、ガラス基板、ウェハー基板、プラスチック基板等がある。ここでは、基板としてガラス基板を用いる。また、自動塗工機に基板をセットし、上記混合溶液を基板に塗布する。
【0055】
次に、図3の工程S221に示すように、基板上に塗布された混合溶液を乾燥する。ここでは、溶媒が蒸発する温度で加熱すればよい。ここでは、通風乾燥機中で溶媒を蒸発させ乾燥させる。この結果、基板上に固体の電解質が形成される。
【0056】
次に、図3の工程S231に示すように、基板から電解質を剥離する。電解質として無機酸化物を混入することで、容易に基板から電解質を剥離することができる。ここでは、ピンセットを用いて、基板から電解質を剥離する。
【0057】
この後、さらに乾燥処理を行ってもよい。この結果、電解質から水分、溶媒等を除去することができる。
【0058】
以上の工程により、電解質を作製することができる。
【0059】
次に、負極の作製方法について、説明する。
【0060】
負極集電体102上に、塗布法、スパッタリング法、蒸着法などにより負極活物質層103を形成することで、負極を作製することができる。または、負極として、リチウム、アルミニウム、黒鉛、及びシリコンの箔、板、または網を負極として用いることができる。または、リチウムをプレドープした黒鉛を用いることができる。ここでは、黒鉛にリチウムをプレドープして負極を作製する。
【0061】
次に、正極の作製方法について、説明する。
【0062】
正極集電体112上に、塗布法、スパッタリング法、蒸着法などにより正極活物質層113を形成することで、正極を作製することができる。
【0063】
次に、図2の工程S311に示すように、正極、電解質、及び負極の順に重ね合わせ、電解質を正極及び負極で挟持し、蓄電セルを作製する。
【0064】
次に、工程S321に示すように、蓄電セルを加熱しながら、1回の充電及び放電を行う。ここでは、電解質に含まれるイオン伝導性高分子化合物の軟化点より高い温度で加熱しながら1回の充放電を行う。以上の工程により、蓄電装置を作製することができる。
【0065】
本実施の形態で作製される蓄電セルにおいて、電解質に含まれるイオン伝導性高分子化合物の軟化点より高い温度で加熱しながら1回の充放電を行うことで、電解質と、正極及び負極との密着性が高まる。この結果、電解質と、正極及び負極との界面における抵抗を低減することができる。また、電解質に、イオン伝導性高分子化合物及び無機酸化物の合計に対して30wt%より多く50wt%以下、より好ましくは33wt%以上50wt%以下である無機酸化物を混合することで、電解質に含まれるイオン伝導性高分子化合物の結晶化を抑制することが可能であり、電解質のイオン伝導率が高まる。これらの結果、正極及び負極の間での可動イオンの移動が容易となり充放電容量を高めることができる。また、電解質に含まれるイオン伝導性高分子化合物の軟化点より低い温度でも、高い充放電容量を得ることができる。
【0066】
(実施の形態2)
本実施の形態では、実施の形態1に示す蓄電装置よりも充放電容量を高めるため、実施の形態1に示す蓄電装置において、正極及び負極の一以上を塗布法により作製し、且つ軟化点が、電解質に含まれるイオン伝導性高分子化合物の軟化点以下である高分子化合物を正極活物質層及び負極活物質層の一以上のバインダとして用いることを特徴とする。
【0067】
本実施の形態で説明する蓄電装置は、正極、電解質、及び負極により構成される。電解質は実施の形態1に示す電解質を適宜用いることができる。
【0068】
また、負極を構成する負極活物質層は、活物質となるアルミニウム、黒鉛、シリコン、錫、ゲルマニウム等の粒子と、導電助剤と、バインダとを有し、バインダとして、軟化点が、電解質に含まれるイオン伝導性高分子化合物の軟化点以下の高分子化合物を用いる。
【0069】
また、正極を構成する正極活物質層は、活物質となるLiFeO2、LiCoO2、LiNiO2、LiMn2O4、LiFePO4、Li3Fe2(PO4)3、LiCoPO4、LiNiPO4、LiMn2PO4、Li1−x1Fey1M1−y1PO4(x1は0以上1以下)(Mは、Mn、Co、及びNiの一以上)(y1は0以上1未満)、Li2FeSiO4、Li2MnSiO4、V2O5、Cr2O5、MnO2等と、導電助剤と、バインダとを有する。さらに、バインダとして、軟化点が、電解質に含まれるイオン伝導性高分子化合物の軟化点以下である高分子化合物を用いることを特徴とする。
【0070】
軟化点が、電解質に含まれるイオン伝導性高分子化合物の軟化点以下である高分子化合物としては、スチレンブタジエン共重合体がある。
【0071】
また、軟化点が、電解質に含まれるイオン伝導性高分子化合物の軟化点以下である高分子化合物の代わりに、電解質に含まれるイオン伝導性高分子化合物の軟化点以下である、イオン伝導性高分子化合物をバインダとしてもよい。この場合、電解質に含まれるイオン伝導性高分子化合物と、正極活物質層に含まれるバインダとが、同じイオン伝導性高分子化合物であってもよく、または異なっていてもよい。
【0072】
なお、本実施の形態では、正極活物質層及び負極活物質層の少なくとも一において、バインダとして、軟化点が、電解質に含まれるイオン伝導性高分子化合物の軟化点以下である高分子化合物を用いればよい。
【0073】
次に、本実施の形態に示す蓄電装置の作製方法について、図2を用いて説明する。
【0074】
図2に示すように、工程S301で、電解質、正極及び負極を作製する。電解質は、実施の形態1と同様に作製することができる。
【0075】
次に、負極及び正極の作製方法について説明する。
【0076】
はじめに本実施の形態に示す負極の作製方法について説明する。
【0077】
負極活物質、導電助剤、バインダ、及び溶媒を混合する。なお、バインダとしては、本実施の形態で述べた、軟化点が、電解質に含まれるイオン伝導性高分子化合物の軟化点以下である高分子化合物を適宜用いることができる。
【0078】
負極活物質、導電助剤、及びバインダは、それぞれ80〜96重量%、2〜10重量%、2〜10重量%の割合で、且つ全体で100重量%になるように混合する。更に、活物質、導電助剤、及びバインダの混合物と同体積程度の有機溶媒を混合し、スラリーを形成する。なお、後に形成される活物質層の活物質及び導電助剤の密着性が弱い時にはバインダを多くし、活物質の抵抗が高い時には導電助剤を多くするなどして、活物質、導電助剤、バインダの割合を適宜調整する。
【0079】
次に、負極集電体上にキャスト法、塗布法等によりスラリーを塗布し薄く広げ、ロールプレス機で更に延伸し、厚みを均等にした後、真空乾燥(10Pa以下)や加熱乾燥(150〜280℃)して、負極集電体上に負極活物質層を形成する。
【0080】
なお、正極は、負極と同様に、正極活物質、導電助剤、バインダ、及び溶媒を加えて混合しスラリーを形成した後、当該スラリーを正極集電体上に塗布し乾燥して、正極集電体上に正極活物質を形成する。なお、バインダとしては、本実施の形態で述べた、軟化点が、電解質に含まれるイオン伝導性高分子化合物の軟化点以下である高分子化合物を適宜用いることができる。
【0081】
次に、図2の工程S311に示すように、正極、電解質、及び負極の順に重ね合わせ、電解質を正極及び負極で挟持する。
【0082】
次に、工程S321に示すように、蓄電セルを加熱しながら、1回の充電及び放電を行う。ここでは、電解質に含まれるイオン伝導性高分子化合物の軟化点より高い温度で加熱する。以上の工程により、蓄電セルを作製することができる。
【0083】
本実施の形態で作製される蓄電セルにおいて、電解質に含まれるイオン伝導性高分子化合物の軟化点より高い温度で加熱しながら1回の充放電を行うことで、電解質と、正極及び負極との密着性が高まる。ここでは、正極及び負極の一以上に、軟化点が、電解質に含まれるイオン伝導性高分子化合物の軟化点以下である高分子化合物がバインダとして含まれるため、高分子化合物の軟化点より高い温度で加熱しながら1回の充放電を行うと、正極及び負極の一に含まれるバインダと、電解質に含まれるイオン伝導性高分子化合物とが融着し、正極及び負極の一と、電解質との密着性が、実施の形態1よりも高まる。この結果、電解質と、正極及び負極との界面における抵抗を低減することができる。また、イオン伝導性高分子化合物及び無機酸化物の合計に対して30wt%より多く50wt%以下より好ましくは33wt%以上50wt%以下である無機酸化物を混合することで、電解質に含まれるイオン伝導性高分子化合物の結晶化を抑制することが可能であり、電解質のイオン伝導率が高まる。これらの結果、正極及び負極の間での可動イオンの移動が容易となり、充放電容量を高めることができる。
【0084】
(実施の形態3)
本実施の形態では、実施の形態1及び実施の形態2で説明した蓄電装置の応用形態について図5を用いて説明する。
【0085】
実施の形態1及び実施の形態2で説明した蓄電装置は、デジタルカメラやビデオカメラ等のカメラ、デジタルフォトフレーム、携帯電話機(携帯電話、携帯電話装置ともいう。)、携帯型ゲーム機、携帯情報端末、音響再生装置等の電子機器に用いることができる。また、電気自動車、ハイブリッド自動車、鉄道用電気車両、作業車、カート、電動車椅子等の電気推進車両に用いることができる。ここでは、電気推進車両の例を説明する。
【0086】
図5(A)に、電気推進車両の一つである四輪の自動車500の構成を示す。自動車500は、電気自動車またはハイブリッド自動車である。自動車500は、その底部に蓄電装置502が設けられている例を示している。自動車500における蓄電装置502の位置を明確にするために、図5(B)に、輪郭だけ示した自動車500と、自動車500の底部に設けられた蓄電装置502とを示す。実施の形態1及び実施の形態2で説明した蓄電装置を、蓄電装置502に用いることができる。蓄電装置502は、プラグイン技術や無線給電システムによる外部からの電力供給により充電をすることができる。
【0087】
(実施の形態4)
本実施の形態では、本発明の一態様に係る蓄電装置の一例である二次電池を、無線給電システム(以下、RF給電システムと呼ぶ。)に用いた場合の一例を、図6および図7のブロック図を用いて説明する。なお、各ブロック図では、受電装置および給電装置内の構成要素を機能ごとに分類し、互いに独立したブロックとして示しているが、実際の構成要素は機能ごとに完全に切り分けることが困難であり、一つの構成要素が複数の機能に係わることもあり得る。
【0088】
はじめに、図6を用いてRF給電システムについて説明する。
【0089】
受電装置600は、給電装置700から供給された電力で駆動する電子機器または電気推進車両であるが、この他電力で駆動する装置に適宜適用することができる。電子機器の代表的としては、デジタルカメラやビデオカメラ等のカメラ、デジタルフォトフレーム、携帯電話機、携帯型ゲーム機、携帯情報端末、音響再生装置、表示装置、コンピュータ等がある。また、電気推進車両の代表例としては、電気自動車、ハイブリッド自動車、鉄道用電気車両、作業車、カート、電動車椅子等がある。また、給電装置700は、受電装置600に電力を供給する機能を有する。
【0090】
図6において、受電装置600は、受電装置部601と、電源負荷部610とを有する。受電装置部601は、受電装置用アンテナ回路602と、信号処理回路603と、二次電池604とを少なくとも有する。また、給電装置700は、給電装置用アンテナ回路701と、信号処理回路702とを少なくとも有する。
【0091】
受電装置用アンテナ回路602は、給電装置用アンテナ回路701が発信する信号を受け取る、あるいは、給電装置用アンテナ回路701に信号を発信する役割を有する。信号処理回路603は、受電装置用アンテナ回路602が受信した信号を処理し、二次電池604の充電、二次電池604から電源負荷部610への電力の供給を制御する。また、信号処理回路603は、受電装置用アンテナ回路602の動作を制御する。すなわち、受電装置用アンテナ回路602から発信する信号の強度、周波数などを制御することができる。電源負荷部610は、二次電池604から電力を受け取り、受電装置600を駆動する駆動部である。電源負荷部610の代表例としては、モータ、駆動回路等があるが、その他の電力を受け取って受電装置を駆動する装置を適宜用いることができる。また、給電装置用アンテナ回路701は、受電装置用アンテナ回路602に信号を送る、あるいは、受電装置用アンテナ回路602からの信号を受け取る役割を有する。信号処理回路702は、給電装置用アンテナ回路701が受信した信号を処理する。また、信号処理回路702は、給電装置用アンテナ回路701の動作を制御する。すなわち、給電装置用アンテナ回路701から発信する信号の強度、周波数などを制御することができる。
【0092】
本発明の一態様に係る二次電池は、図6で説明したRF給電システムにおける受電装置600が有する二次電池604として利用される。
【0093】
RF給電システムに本発明の一態様に係る二次電池を利用することで、従来の二次電池に比べて放電容量または充電容量(蓄電量ともいう)を増やすことができる。よって、無線給電の時間間隔を延ばすことができる(何度も給電する手間を省くことができる)。
【0094】
また、RF給電システムに本発明の一態様に係る二次電池を利用することで、電源負荷部610を駆動することができる放電容量または充電容量が従来と同じであれば、受電装置600の小型化および軽量化が可能である。従って、トータルコストを減らすことができる。
【0095】
次に、RF給電システムの他の例について図7を用いて説明する。
【0096】
図7において、受電装置600は、受電装置部601と、電源負荷部610とを有する。受電装置部601は、受電装置用アンテナ回路602と、信号処理回路603と、二次電池604と、整流回路605と、変調回路606と、電源回路607とを、少なくとも有する。また、給電装置700は、給電装置用アンテナ回路701と、信号処理回路702と、整流回路703と、変調回路704と、復調回路705と、発振回路706とを、少なくとも有する。
【0097】
受電装置用アンテナ回路602は、給電装置用アンテナ回路701が発信する信号を受け取る、あるいは、給電装置用アンテナ回路701に信号を発信する役割を有する。給電装置用アンテナ回路701が発信する信号を受け取る場合、整流回路605は受電装置用アンテナ回路602が受信した信号から直流電圧を生成する役割を有する。信号処理回路603は受電装置用アンテナ回路602が受信した信号を処理し、二次電池604の充電、二次電池604から電源回路607への電力の供給を制御する役割を有する。電源回路607は、二次電池604が蓄電している電圧を電源負荷部610に必要な電圧に変換する役割を有する。変調回路606は受電装置600から給電装置700へ何らかの応答を送信する場合に使用される。
【0098】
電源回路607を有することで、電源負荷部610に供給する電力を制御することができる。このため、電源負荷部610に過電圧が印加されることを低減することが可能であり、受電装置600の劣化や破壊を低減することができる。
【0099】
また、変調回路606を有することで、受電装置600から給電装置700へ信号を送信することが可能である。このため、受電装置600の充電量を判断し、一定量の充電が行われた場合に、受電装置600から給電装置700に信号を送信し、給電装置700から受電装置600への給電を停止させることができる。この結果、二次電池604の充電量を100%としないことで、二次電池604の充電回数を増加させることが可能である。
【0100】
また、給電装置用アンテナ回路701は、受電装置用アンテナ回路602に信号を送る、あるいは、受電装置用アンテナ回路602から信号を受け取る役割を有する。受電装置用アンテナ回路602に信号を送る場合、信号処理回路702は、受電装置に送信する信号を生成する回路である。発振回路706は一定の周波数の信号を生成する回路である。変調回路704は、信号処理回路702が生成した信号と発振回路706で生成された一定の周波数の信号に従って、給電装置用アンテナ回路701に電圧を印加する役割を有する。そうすることで、給電装置用アンテナ回路701から信号が出力される。一方、受電装置用アンテナ回路602から信号を受け取る場合、整流回路703は受け取った信号を整流する役割を有する。復調回路705は、整流回路703が整流した信号から受電装置600が給電装置700に送った信号を抽出する。信号処理回路702は復調回路705によって抽出された信号を解析する役割を有する。
【0101】
なお、RF給電を行うことができれば、各回路の間にどんな回路を設けてもよい。例えば、受電装置600が信号を受信し整流回路605で直流電圧を生成したあとに、後段に設けられたDC−DCコンバータやレギュレータといった回路によって、定電圧を生成してもよい。そうすることで、受電装置600内部に過電圧が印加されることを抑制することができる。
【0102】
本発明の一態様に係る二次電池は、図7で説明したRF給電システムにおける受電装置600が有する二次電池604として利用される。
【0103】
RF給電システムに本発明の一態様に係る二次電池を利用することで、従来の二次電池に比べて放電容量または充電容量を増やすことができるので、無線給電の時間間隔を延ばすことができる(何度も給電する手間を省くことができる)。
【0104】
また、RF給電システムに本発明の一態様に係る二次電池を利用することで、電源負荷部610を駆動することができる放電容量または充電容量が従来と同じであれば、受電装置600の小型化および軽量化が可能である。従って、トータルコストを減らすことができる。
【0105】
なお、RF給電システムに本発明の一態様に係る二次電池を利用し、受電装置用アンテナ回路602と二次電池604を重ねる場合は、二次電池604の充放電による二次電池604の変形と、当該変形に伴うアンテナの形状の変化によって、受電装置用アンテナ回路602のインピーダンスが変化しないようにすることが好ましい。アンテナのインピーダンスが変化してしまうと、十分な電力供給がなされない可能性があるためである。例えば、二次電池604を金属製あるいはセラミックス製の電池パックに装填するようにすればよい。なお、その際、受電装置用アンテナ回路602と電池パックは数十μm以上離れていることが望ましい。
【0106】
また、本実施の形態では、充電用の信号の周波数に特に限定はなく、電力が伝送できる周波数であれば、どの帯域であっても構わない。充電用の信号は、例えば、135kHzのLF帯(長波)でも良いし、13.56MHzのHF帯(短波)でも良いし、900MHz〜1GHzのUHF帯(極超短波)でも良いし、2.45GHzのマイクロ波帯でもよい。
【0107】
また、信号の伝送方式としては電磁結合方式、電磁誘導方式、共鳴方式、マイクロ波方式など様々な種類があるが、適宜選択すればよい。ただし、雨や泥などの、水分を含んだ異物によるエネルギーの損失を抑えるためには、周波数が低い帯域、具体的には、短波である3MHz〜30MHz、中波である300kHz〜3MHz、長波である30kHz〜300kHz、および超長波である3kHz〜30kHzの周波数を利用した電磁誘導方式や共鳴方式を用いることが望ましい。
【0108】
本実施の形態は、上記実施の形態と組み合わせて実施することが可能である。
【実施例1】
【0109】
本実施例では、電解質における無機酸化物の添加の有無と蓄電装置の充放電特性について、図8を用いて説明する。
【0110】
はじめに、蓄電装置として、リチウムイオン二次電池の作製工程及び構成について、説明する。
【0111】
<電解質1〜電解質6の作製工程及び構成>
電解質1〜電解質6の材料として、表1に示す重量のポリエチレンオキサイド(以下、PEOと示す。軟化点65〜67度。)、LiTFSI、及びSiO2、Li2O、Al2O3の一以上を含む無機酸化物を秤量した。ここでは、PEOに含まれる酸素原子と、LiTFSIに含まれるリチウムイオンの比が20:1となるように、それぞれの重量を決定した。次に、PEO、LiTFSI、及び無機酸化物の混合物それぞれに、溶媒として15mlの脱水アセトニトリルを混合し、混合溶液を形成した。
【0112】
次に、自動塗工機にガラス基板を設けた後、ガラス基板上に混合溶液をそれぞれ塗布した。このときの混合溶液の厚さを300μmとした。
【0113】
次に、室温の通風乾燥機に上記基板を設置し、混合溶液を自然乾燥して、電解質1〜電解質6を形成した。電解質1〜電解質6に含まれるPEO及び無機酸化物の合計に対する無機酸化物の重量比と、電解質に対する無機酸化物の重量比を表1に示す。
【0114】
【表1】
【0115】
次に、ガラス基板から電解質1〜電解質6を剥がした後、2枚のフッ素樹脂シートで電解質を挟んだ状態で、真空乾燥機において温度80度で3時間加熱し、電解質1〜電解質6中の溶媒を乾燥させた。以上の工程により、PEO、LiTFSI、及び無機酸化物を有する電解質を作製した。
【0116】
<比較電解質の作製工程及び構成>
1gのPEO、及び0.1724gのLiPF6を秤量した。次に、上記電解質1〜電解質6と同様の工程により、PEO及びLiPF6を有する比較電解質を形成した。
【0117】
<正極の構成>
活物質層の材料として、79.4gのLiFePO4、14.8gのアセチレンブラック、5gのPEO、及び0.8gのLiPF6を混合し、スラリーを形成した。
【0118】
次に、集電体であるアルミニウム箔上に、スラリーを塗布した後、真空乾燥及び加熱乾燥により活物質層を形成した。以上の工程により、集電体上に活物質層を有する正極を形成した。
<負極の構成>
ここでは、負極としてリチウム箔を準備した。
【0119】
<二次電池の作製工程>
次に、本実施例の二次電池の作製工程を示す。
【0120】
上記電解質1〜電解質6のいずれか、または比較電解質を、正極及び負極で挟んで二次電池を形成した。
【0121】
次に、二次電池の充電及び放電特性を測定した。このときの電気特性を図8に示す。
【0122】
図8(A)に、電解質1を有する二次電池(以下、二次電池1とする。)の温度を50度、または40度として充放電したとき、電解質2を有する二次電池(以下、二次電池2とする。)の温度を30度で充放電したとき、それぞれの容量及び電圧の関係を示す。なお、ここでは、各二次電池において、充放電を2回行った後の、3回目の充放電の測定結果を示す。
【0123】
図8(A)に示すように、二次電池1を50度で充放電を行ったときの放電容量は、正極(LiFePO4)の理論放電容量の170mAh/gを超える、187mAh/gであった。また、二次電池1の温度を40度として充放電を行ったときの放電容量は133mAh/g、二次電池2の温度を30度として充放電を行ったときの放電容量は92mAh/gであった。
【0124】
一方、比較電解質を用いた比較二次電池の充電及び放電特性を図8(B)に示す。図8(B)においては、比較二次電池の温度をそれぞれ50度、55度として充放電を行ったときの、容量及び電圧の関係をそれぞれ示す。
【0125】
55度で充放電を行ったときの放電容量は76mAh/g、50度で充放電を行ったときの放電容量は17mAh/gであった。
【0126】
図8(A)を図8(B)と比較すると、PEO及び無機酸化物の合計に対して、33wt%、または50wt%の無機酸化物(ここでは、酸化シリコン)を電解質に添加することで、電解質に含まれるイオン伝導性高分子化合物であるPEOの軟化点以下の50度での充放電においても充放電容量が急増した。また、図示しないが、温度30度及び40度の充放電においても、比較的高い充放電容量が得られた。以上のことから、電解質に無機酸化物を添加することで、イオン伝導性高分子化合物の軟化点より低い温度においても、二次電池の充放電容量を理論容量に近づけることができることが分かる。
【0127】
次に、電解質3を有する二次電池(二次電池3と示す。)の充電及び放電特性を測定した。このときの電気特性を図9に示す。なお、ここでは、二次電池3において、温度50度で1時間保持した後、室温で1回の充放電を行い、各電極の活物質層及び電解質を癒着させ、室温での充放電をさらに2回行った後の、室温での4回目の充放電の測定結果を示す。
【0128】
図9に示すように、二次電池3を室温で充放電を行ったときの放電容量は、51mAh/gであった。
【0129】
図9から、PEO及び無機酸化物の合計に対して44wt%の無機酸化物(ここでは、酸化シリコン)を電解質に添加することで、室温での充放電においても、充放電容量を得ることができた。
【0130】
次に、電解質4を有する二次電池(二次電池4と示す。)の充電及び放電特性を測定した。このときの電気特性を図10に示す。なお、ここでは、二次電池3と同様処理を行い、室温での4回目の充放電の測定結果を示す。
【0131】
図10に示すように、二次電池4を室温で充放電を行ったときの放電容量は、55mAh/gであった。
【0132】
図10から、PEO及び無機酸化物の合計に対して33wt%の無機酸化物(ここでは、酸化リチウム)を電解質に添加することで、室温での充放電においても、充放電容量を得ることができた。
【0133】
次に、電解質5を有する二次電池(二次電池5と示す。)の充電及び放電特性を測定した。このときの電気特性を図11に示す。なお、ここでは、二次電池3と同様の処理を行い、室温での4回目の充放電の測定結果を示す。
【0134】
図11に示すように、二次電池5を室温で充放電を行ったときの放電容量は、43mAh/gであった。
【0135】
図11から、PEO及び無機酸化物の合計に対して50wt%の無機酸化物(ここでは、酸化シリコン、酸化リチウム、及び酸化アルミニウム)を電解質に添加することで、室温での充放電においても、充放電容量を得ることができた。
【0136】
次に、電解質6を有する二次電池(二次電池6と示す。)の充電及び放電特性を測定した。このときの電気特性を図12に示す。なお、ここでは、二次電池3と同様の処理を行い、室温での4回目の充放電の測定結果を示す。
【0137】
図12に示すように、二次電池6を室温で充放電を行ったときの放電容量は、53mAh/gであった。
【0138】
図12から、PEO及び無機酸化物の合計に対して33wt%の無機酸化物(ここでは、酸化シリコン、酸化リチウム、及び酸化アルミニウム)を電解質に添加することで、室温での充放電においても、充放電容量を得ることができた。
【0139】
即ち、イオン伝導性高分子化合物及び無機酸化物の合計に対して、33wt%以上50wt%以下の無機酸化物を含む電解質を有する二次電池は、イオン伝導性高分子化合物の軟化点より低い温度においても充放電容量を得ることが可能であり、さらには室温での充放電が可能である。
【実施例2】
【0140】
本実施例では、電解質における無機酸化物の添加の有無と、正極及び負極と電解質との界面における抵抗について、図13を用いて説明する。
【0141】
はじめに、二次電池の作製方法について、以下に説明する。
【0142】
電解質の材料として、1gのPEO、0.1724gのLiPF6、及び1gの酸化シリコンを秤量した後、実施例1と同様の作製方法により、電解質を形成した。また、実施例1と同様の正極及び負極で当該電解質を挟んで、電池セルを作製した。
【0143】
次に、電池セルの温度を70度で保ちながら、1回の充放電を行い、二次電池を作製した。
【0144】
次に、比較用二次電池の作製方法を以下に示す。
【0145】
上記電解質の材料から酸化シリコンを除いた、1gのPEO、及び0.1724gのLiPF6を比較電解質の材料として秤量した。次に、実施例1と同様の作製方法により、比較電解質を形成した。また、実施例1と同様の正極及び負極で当該比較電解質を挟んで、比較電池セルを作製した。
【0146】
次に、電池セルの温度を70度で保ちながら、1回の充放電を行い、比較二次電池を作製した。
【0147】
次に、二次電池、及び比較二次電池の温度をそれぞれ、40度、50度、60度、70度に保ちながら、各二次電池のインピーダンスを測定した。ここでは、北斗電工株式会社製の電気化学測定システムHZ−5000を用いて、定電位交流インピーダンス測定を行った。このときの、測定条件は、開始周波数を20kHz、AC(交流)振幅を10mV、終了周波数を100mHz、測定時間を1時間、サンプリング間隔を10秒とした。
【0148】
図13(A)は40度での測定結果、図13(B)は50度での測定結果、図13(C)は60度での測定結果、図13(D)は70度での測定結果を示す。また、それぞれのグラフにおいて、三角印Aは二次電池のインピーダンスZ、菱形印Bは比較二次電池のインピーダンスZを示す。また、横軸はインピーダンスZの実部を示し、縦軸はインピーダンスZの虚部を示す。
【0149】
図13より、比較二次電池と比べ、二次電池は、インピーダンスZの実部が低下していることが分かる。特に、図13(A)及び図13(B)のように、40度、50度と、PEOの軟化点より低い温度で、インピーダンスZの実部の低減が大きい。
【0150】
このことから、電解質に無機酸化物を添加することで、電解質と、正極及び負極との界面における抵抗が低減していることが分かる。また、イオン伝導性高分子化合物であるPEOの軟化点より高い温度で1度充放電することで、電解質と、正極及び負極との界面における抵抗が低減していることが分かる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
正極と、負極と、前記正極及び前記負極の間に設けられる電解質とを有し、
前記電解質は、イオン伝導性高分子化合物、無機酸化物、及びリチウム塩を有し、
前記電解質において、前記イオン伝導性高分子化合物及び前記無機酸化物の合計に対して前記無機酸化物は30wt%より多く50wt%以下であることを特徴とする蓄電装置。
【請求項2】
正極と、負極と、前記正極及び前記負極の間に設けられる電解質とを有し、
前記電解質は、イオン伝導性高分子化合物、無機酸化物、及びリチウム塩を有し、
前記電解質において、前記イオン伝導性高分子化合物及び前記無機酸化物の合計に対して前記無機酸化物は30wt%より多く50wt%以下であり、
前記正極及び前記負極の少なくとも一方は、集電体上に活物質層が設けられ、
前記活物質層は、前記イオン伝導性高分子化合物を有することを特徴とする蓄電装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2において、前記イオン伝導性高分子化合物は、ポリアルキレンオキサイドであることを特徴とする蓄電装置。
【請求項4】
請求項3において、前記ポリアルキレンオキサイドは、ポリエチレンオキサイド及びポリプロピレンオキサイドの一以上であることを特徴とする蓄電装置。
【請求項5】
請求項1乃至請求項4のいずれか一項において、前記無機酸化物は、酸化シリコン、酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化アルミニウム、酸化亜鉛、酸化鉄、酸化セリウム、酸化マグネシウム、酸化アンチモン、酸化ゲルマニウム、酸化リチウム、酸化グラファイト、チタン酸バリウム、及びメタ珪素酸リチウムの一以上であることを特徴とする蓄電装置。
【請求項6】
請求項1乃至請求項5のいずれか一項において、前記リチウム塩は、LiCF3SO3、LiPF6、LiBF4、LiSCN、LiN(C2F5SO2)2、LiN(CF3SO2)2及びLiClO4の一以上であることを特徴とする蓄電装置。
【請求項1】
正極と、負極と、前記正極及び前記負極の間に設けられる電解質とを有し、
前記電解質は、イオン伝導性高分子化合物、無機酸化物、及びリチウム塩を有し、
前記電解質において、前記イオン伝導性高分子化合物及び前記無機酸化物の合計に対して前記無機酸化物は30wt%より多く50wt%以下であることを特徴とする蓄電装置。
【請求項2】
正極と、負極と、前記正極及び前記負極の間に設けられる電解質とを有し、
前記電解質は、イオン伝導性高分子化合物、無機酸化物、及びリチウム塩を有し、
前記電解質において、前記イオン伝導性高分子化合物及び前記無機酸化物の合計に対して前記無機酸化物は30wt%より多く50wt%以下であり、
前記正極及び前記負極の少なくとも一方は、集電体上に活物質層が設けられ、
前記活物質層は、前記イオン伝導性高分子化合物を有することを特徴とする蓄電装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2において、前記イオン伝導性高分子化合物は、ポリアルキレンオキサイドであることを特徴とする蓄電装置。
【請求項4】
請求項3において、前記ポリアルキレンオキサイドは、ポリエチレンオキサイド及びポリプロピレンオキサイドの一以上であることを特徴とする蓄電装置。
【請求項5】
請求項1乃至請求項4のいずれか一項において、前記無機酸化物は、酸化シリコン、酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化アルミニウム、酸化亜鉛、酸化鉄、酸化セリウム、酸化マグネシウム、酸化アンチモン、酸化ゲルマニウム、酸化リチウム、酸化グラファイト、チタン酸バリウム、及びメタ珪素酸リチウムの一以上であることを特徴とする蓄電装置。
【請求項6】
請求項1乃至請求項5のいずれか一項において、前記リチウム塩は、LiCF3SO3、LiPF6、LiBF4、LiSCN、LiN(C2F5SO2)2、LiN(CF3SO2)2及びLiClO4の一以上であることを特徴とする蓄電装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2012−138353(P2012−138353A)
【公開日】平成24年7月19日(2012.7.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−267878(P2011−267878)
【出願日】平成23年12月7日(2011.12.7)
【出願人】(000153878)株式会社半導体エネルギー研究所 (5,264)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年7月19日(2012.7.19)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年12月7日(2011.12.7)
【出願人】(000153878)株式会社半導体エネルギー研究所 (5,264)
【Fターム(参考)】
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