説明

蓄電装置

【課題】少なくともDC/DCコンバータと蓄電部のいずれかの異常を判断できる高信頼な蓄電装置を提供すること。
【解決手段】蓄電部27に接続されたDC/DCコンバータ21と、それを制御する制御回路35とからなり、制御回路35は蓄電部27を充電、または放電している時に、入出力電圧検出回路19、入出力電流検出回路17、および蓄電部電圧検出回路29により、それぞれ検出される入出力電圧Vi、入出力電流値I、蓄電部電圧Vcから、DC/DCコンバータ21の効率Efを求めるとともに、温度センサ31により検出される温度Tを用いて、効率Efが、入出力電圧Vi、入出力電流値I、蓄電部電圧Vc、および温度Tに応じた所定範囲(EminからEmax)を超えれば、少なくとも蓄電部27、またはDC/DCコンバータ21のいずれかが異常であると判断するようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、蓄電部に電力を蓄え、必要な時に放電する蓄電装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、環境への配慮や燃費向上のために、制動時に発電を行うことで制動エネルギーを電気エネルギーとして回収する回生システムを搭載した自動車(以下、車両という)が開発されている。この回生システムは車両減速時に発電機で発生する電力(以下、回生電力という)を充電することで、減速時以外の発電量を減らすことができるので、その分、エンジン負担が軽減され省燃費が可能となる。
【0003】
このような回生電力は車両減速時に急峻に発生するため、回生電力を十分に充電するためには、例えば急速充放電特性に優れた電気二重層キャパシタにDC/DCコンバータを介して充電する蓄電装置を用いるシステムとすることが望ましい。しかし、この蓄電装置は車両に用いられるため、蓄電装置の異常を判断することで高信頼性を得る機能が要求される。このような異常判断を行う装置が、例えば下記特許文献1に提案されている。図6はこのような車両用電源診断装置における異常判定手段の要部ブロック図である。
【0004】
図6において、異常判定手段101にはバッテリ(図示せず)の端子電圧Vbと放電電流Ibを検出するための端子電圧検出手段103と電流検出手段105がそれぞれ接続されている。端子電圧検出手段103の検出出力は端子電圧信号Vd、Veとして、それぞれ異常判定手段101に内蔵された比較判別手段107と記憶手段109に入力される。また、電流検出手段105の検出出力は検出電流信号Idとして比較判別手段107に入力される。異常判定手段101にはさらに記憶手段109に接続された記憶消去手段111とタイマ113を内蔵している。記憶消去手段111は記憶手段109に記憶された端子電圧信号Veを消去するスイッチで、バッテリ交換時にオンにすることで所定値にリセットされる。タイマ113はイグニションオン後、所定時間経過後に起動信号Bcを記憶手段109に出力する。
【0005】
次に、車両用電源診断装置の特に異常判定手段101の動作を説明する。端子電圧検出手段103から端子電圧信号Vdが、電流検出手段105から検出電流信号Idが、それぞれ比較判別手段107に入力されると、比較判別手段107はあらかじめ記憶手段109に記憶されたバッテリの放電電流値Ibと端子電圧Vbの境界特性Cを特性信号Hkとして取り込む。ここで、境界特性Cは図7に示すように、横軸が放電電流Ib、縦軸が端子電圧Vbとした時のバッテリにおける正常と異常の境界にあたる特性のことであり、境界特性Cより小さい斜線の領域に放電電流Ibと端子電圧Vbが至っていれば異常と判断する。従って、比較判別手段107に入力された端子電圧信号Vdと検出電流信号Idを特性信号Hkとして取り込んだ境界特性Cと比較し、これらの値が境界特性Cを下回ればバッテリ異常と判断する。異常であれば異常信号Kcを出力する。その結果、異常警告手段(図示せず)が運転者に異常を知らせる。このような動作によりバッテリの異常を判断できるので高信頼性が得られる。
【特許文献1】特開2000−206215号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記の車両用電源診断装置によると、確かにバッテリの異常を判断することができるのであるが、このような車両用電源診断装置を前記した車両用の蓄電装置に適用すると、以下のような課題が生じる。
【0007】
回生システム用の蓄電装置では、前記したように蓄電部として電気二重層キャパシタの充放電制御をDC/DCコンバータにより行う構成となる。この場合、例えば回生による発電電力を蓄電装置に充電する際に、図6の構成と同様にして、蓄電装置の正負極間の電圧と、流れる電流のみで異常判断を行うと、蓄電部に正常に充電されたか否かが不明確となる可能性があった。すなわち、もしDC/DCコンバータが異常となり、入力された電流の一部が漏れ電流として流れたとすると、その分、蓄電部への充電が少なくなる。しかし、蓄電装置の正負極間の電圧と、流れる電流だけを検出していると、見かけ上、蓄電装置は正常範囲に入っている可能性がある。従って、この場合、DC/DCコンバータが異常であるにも関わらず、蓄電装置としては正常と判断する可能性があるという課題があった。
【0008】
本発明は、前記従来の課題を解決するもので、少なくともDC/DCコンバータと蓄電部のいずれかの異常を判断できる高信頼な蓄電装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記従来の課題を解決するために、本発明の蓄電装置は、キャパシタからなる蓄電部と、前記蓄電部に接続されたDC/DCコンバータと、前記DC/DCコンバータに接続された制御回路とからなり、前記制御回路は、前記DC/DCコンバータにより前記蓄電部を充電、または放電している時に、前記DC/DCコンバータの入出力電力量と、前記蓄電部への充電、または放電による電力量との比率から前記DC/DCコンバータの効率(Ef)を求め、前記効率(Ef)が所定範囲(EminからEmax)を超えれば、少なくとも前記蓄電部、または前記DC/DCコンバータのいずれかが異常であると判断するようにしたものである。
【発明の効果】
【0010】
本発明の蓄電装置によれば、充電時、または放電時にDC/DCコンバータの効率(Ef)を求め、効率(Ef)が所定範囲(EminからEmax)を超えれば、少なくとも蓄電部、またはDC/DCコンバータのいずれかが異常であると判断するようにした。これにより、例えば充電時にDC/DCコンバータに漏れ電流が流れると効率(Ef)が低下するので、所定範囲の下限(Emin)未満となればDC/DCコンバータが異常であると判断できる。さらに、蓄電部が劣化し容量値(C)が小さくなると早期に蓄電部電圧(Vc)が上昇するが、効率(Ef)の計算に用いる容量値(C)は初期の値で一定なので、数式上は効率(Ef)が上昇する。ゆえに、所定範囲の上限(Emax)を超えると蓄電部が劣化して異常であると判断できる。このような判断の組み合わせにより、少なくとも蓄電部、またはDC/DCコンバータのいずれかが異常であると判断することが可能となり、高信頼な蓄電装置が実現できるという効果が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明を実施するための最良の形態について図面を参照しながら説明する。
【0012】
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1における蓄電装置のブロック回路図である。図2は、本発明の実施の形態1における蓄電装置の異常判断時のフローチャートである。なお、図1において太線は電力系配線を、細線は信号系配線をそれぞれ示す。また、本実施の形態1では蓄電装置を車両の回生システムに適用した場合について述べる。
【0013】
図1において、蓄電装置11の正極13、および負極15は車両のバッテリ、発電機、負荷等(いずれも図示せず)に接続されている。従って、車両の制動時には発電機で発電した回生電力を蓄電装置11に充電し、制動時以外には蓄電装置11の電力をバッテリや負荷に放電する動作を行うことができる。
【0014】
次に、蓄電装置11の構成について述べる。正極13には入出力電流検出回路17、および入出力電圧検出回路19を介してDC/DCコンバータ21の入出力端子23に接続されている。従って、DC/DCコンバータ21の入出力端子23には入出力電圧検出回路19、および入出力電流検出回路17が接続されていることになるので、これらにより入出力端子23の電圧(以下、入出力電圧Viという)と、入出力端子23に流れる電流値(以下、入出力電流値Iという)を検出することができる。
【0015】
DC/DCコンバータ21の蓄電部端子25には、回生電力を蓄える蓄電部27が接続されている。蓄電部27は複数の電気二重層キャパシタを直列、または直並列に接続した構成を有する。なお、電気二重層キャパシタの数量や接続方法は蓄電装置11に要求される電力仕様に応じて適宜決定すればよい。
【0016】
蓄電部端子25には、さらに蓄電部電圧検出回路29が接続されている。これにより、蓄電部27の電圧(以下、蓄電部電圧Vcという)を検出することができる。
【0017】
以上までに説明した入出力電流検出回路17、入出力電圧検出回路19、および蓄電部電圧検出回路29は、図1においてそれぞれ別体構成で示しているが、これらはDC/DCコンバータ21の機能として内蔵してもよい。この場合は、DC/DCコンバータ21から入出力電圧Vi、入出力電流値I、および蓄電部電圧Vcを出力する構成とすればよい。
【0018】
DC/DCコンバータ21には温度センサ31が配されている。温度センサ31はDC/DCコンバータ21の近傍の温度Tを検出して出力する機能を有する。
【0019】
DC/DCコンバータ21、入出力電圧検出回路19、入出力電流検出回路17、蓄電部電圧検出回路29、および温度センサ31は信号系配線で制御回路35にも接続されている。制御回路35はマイクロコンピュータと周辺回路から構成されており、蓄電装置11の全体の動作を制御している。すなわち、制御回路35は入出力電圧検出回路19、入出力電流検出回路17、蓄電部電圧検出回路29、および温度センサ31から、それぞれ入出力電圧Vi、入出力電流値I、蓄電部電圧Vc、および温度Tを読み込む。また、制御回路35はDC/DCコンバータ21に制御信号contを送信することでDC/DCコンバータ21の蓄電部27に対する充放電制御を行う。さらに、制御回路35は車両側制御回路(図示せず)とデータ信号dataの送受信を行うことで互いに交信する機能を有している。
【0020】
次に、このような蓄電装置11の異常判断動作について、図2のフローチャートを用いて説明する。なお、制御回路35はメインルーチンから必要に応じて様々なサブルーチンを実行することにより全体の動作を行うソフトウエア構成としているので、図2に示すフローチャートをサブルーチンの形態で示した。以後同様に、全てのフローチャートをサブルーチンの形態で示す。
【0021】
制御回路35は蓄電部27を充電、または放電している時に図2のサブルーチンを実行する。なお、蓄電部27が充電中であるか、または放電中であるかは、制御回路35がDC/DCコンバータ21の動作を制御しているので、それにより知ることができる。また、図2のサブルーチンは蓄電部27を充電、または放電している時で、かつ既定時間毎(例えば2秒毎)に実行される。これにより、DC/DCコンバータ21や蓄電部27のタイムリーな異常判断が可能となる。
【0022】
図2のサブルーチンが実行されると、現在の時間t1における蓄電部電圧Vc1を蓄電部電圧検出回路29から読み込む(ステップ番号S11)。次に、時間t1から時間t2(ここでは時間t1から1秒後とした)までの所定期間(1秒間)における入出力端子23に流れる電力量Wを求める(S13)。ここで、電力量Wは次のようにして求める。制御回路35は、入出力電圧検出回路19と入出力電流検出回路17から、入出力電圧Viと入出力電流値Iをそれぞれ読み込む。次に、両者の積(Vi・I)を求める。この値を時間t1から時間t2までの所定期間に渡り積算していく。すなわち、これを式で表すと、
【0023】
【数1】

【0024】
のようになる。この動作により、所定期間に蓄電装置11に入力、または出力された電力量Wが求められる。なお、電力量WがDC/DCコンバータ21の入出力電力量に相当する。
【0025】
次に、制御回路35は時間t2における蓄電部電圧Vc2を蓄電部電圧検出回路29から読み込む(S15)。その後、現在蓄電部27を充電中であるか否か判断する(S17)。ここで、前記したように制御回路35はDC/DCコンバータ21に対する動作制御から、充電中か放電中かを知ることができる。
【0026】
もし、充電中であれば(S17のYes)、制御回路35はDC/DCコンバータ21の効率Efを(数2)に基づいて求める(S19)。
【0027】
【数2】

【0028】
なお、S13で電力量Wが求められているので、S19では(数1)を(数2)に代入して、Ef=C・|Vc22−Vc12|/(2・W)より求めている。ここで、蓄電部27の容量値Cは初期の値をあらかじめ求めて制御回路35のメモリに記憶している。従って、ここでは容量値Cは一定となる。
【0029】
ここで、DC/DCコンバータ21の効率Efは、入力された電力量に対する出力された電力量の比率で定義されるため、(数2)において分母の電力量Wが入力された電力量に、残りのC・|Vc22−Vc12|/2が出力された電力量に相当する。ここで、出力された電力量は蓄電部27に充電されるので、時間t1から時間t2までに蓄電部27に充電される電力量(エネルギー)は、C・Vc22/2−C・Vc12/2=C・(Vc22−Vc12)/2となる。但し、放電時はカッコ内の符号が負になるため、一般式としてカッコ内の絶対値を求めるようにして、出力された電力量は前記したC・|Vc22−Vc12|/2となる。これらのことから、DC/DCコンバータ21の効率Efは(数2)で示されることになる。
【0030】
なお、DC/DCコンバータ21から蓄電部27に充電される電力の一部は、蓄電部27の内部抵抗値Rと蓄電部27に流れる充電電流値Icによって熱として消費される。その熱エネルギーEhは、Eh=R・∫Ic2・dTで表される。ここで、積分範囲は時間t1から時間t2である。以上のことから、効率Efは、正確にはEf=(C・|Vc22−Vc12|+2・Eh)/(2・W)となる。これに対し、蓄電装置11を車両の回生電力回収用に適用した場合における前記効率Efの式の分子の値を、実際の容量値C、内部抵抗値R、蓄電部電圧Vc1、Vc2、および充電電流値Icの測定値を用いて計算してみた。その結果、分子第一項(C・|Vc22−Vc12|)は、分子第2項(2・Eh)に対しておよそ1桁大きい値となった。従って、本実施の形態1では、熱エネルギーEhの項を無視している。ゆえに、効率Efは(数2)となる。
【0031】
また、蓄電部27の劣化が進行すると、容量値Cが小さくなり、内部抵抗値Rが大きくなるので、熱エネルギーEhは大きくなる。しかし、実際に測定した劣化進行前後の内部抵抗値Rの変化幅は、内部抵抗値Rの絶対値と同等のオーダーであったので、蓄電部27が劣化して内部抵抗値Rが大きくなっても、依然熱エネルギーEhの影響は小さいままである。従って、蓄電部27の劣化有無に関わらず、(数2)においては熱エネルギーEhの項を無視している。
【0032】
以上のことから、蓄電装置11はDC/DCコンバータ21に蓄電部27が接続された構成を有するので、DC/DCコンバータ21から出力された電力量を蓄電部27に充電される電力量として、蓄電部27の容量値Cと蓄電部電圧Vc1、Vc2より求めることができる。従って、蓄電部端子25に流れる電流値を検出する必要がなくなり、簡単な回路構成で効率Efを求めることができる。効率Efの計算後は、後述するS23にジャンプする。
【0033】
一方、現在充電中でなければ(S17のNo)、放電中であるので、制御回路35はDC/DCコンバータ21の効率Efを(数2)の逆数により求める(S21)。これは、DC/DCコンバータ21における入力された電力量と出力された電力量が逆になるためである。すなわち、放電時は蓄電部27の電力を蓄電装置11の外部に供給するので、時間t1から時間t2までの所定期間にDC/DCコンバータ21に入力された電力量は蓄電部27の放電した電力量(エネルギー)に相当する。従って、その電力量は、C・Vc12/2−C・Vc22/2=C・(Vc12−Vc22)/2=C・|Vc22−Vc12|/2となる。一方、所定期間にDC/DCコンバータ21から出力された電力量Wは(数1)で表される。以上のことから、放電時のDC/DCコンバータ21の効率Efは(数2)の逆数となる。なお、S21ではS19と同様に(数1)を(数2)に代入した後、逆数を取り、Ef=2・W/(C・|Vc22−Vc12|)より効率Efを求めている。
【0034】
効率Efが求められると、次に制御回路35は、S13とS15で既に求めた時間t2における入出力電圧Vi2、入出力電流値I2、蓄電部電圧Vc2と、温度センサ31から読み込んだDC/DCコンバータ21の温度Tに応じて、あらかじめ制御回路35に内蔵されたメモリに記憶した効率Efの所定範囲Emin、Emaxを求める(S23)。
【0035】
ここで、効率Efの所定範囲Emin、Emaxについて説明する。DC/DCコンバータ21の効率Efは入出力電圧Viと蓄電部電圧Vcの差が大きいほど小さくなる特性を有する。同様に、入出力電流値Iや温度Tによっても影響を受ける。そこで、これらのパラメータを変更した時における、DC/DCコンバータ21が正常で蓄電部27が劣化限界時(これ以上劣化すれば蓄電部27が使用できない状態)の効率を所定範囲の上限Emaxとして、DC/DCコンバータ21が異常で蓄電部27が正常時の効率を所定範囲の下限Eminとして、それぞれあらかじめ求めてメモリに記憶しておく。これにより、現在の入出力電圧Vi2、入出力電流値I2、蓄電部電圧Vc2、および温度Tから、それらに応じて効率Efが取り得る所定範囲Emin、Emaxを求めることができる。
【0036】
以上をまとめると、蓄電部27とDC/DCコンバータ21が正常な状態において、入出力電圧Vi、入出力電流値I、蓄電部電圧Vc、および温度Tを変えた時の効率Efが取り得る範囲をあらかじめ求め、所定範囲EminからEmaxとして、それぞれ制御回路35に記憶していることになる。これにより、蓄電装置11の使用状況に応じた所定範囲Emin、Emaxが得られるので、蓄電装置11の高精度な異常判断が可能となり、信頼性が高まる。
【0037】
次に、制御回路35は効率Efが所定範囲EminからEmaxに入っているか否かを判断する(S25)。もし、効率Efが所定範囲EminからEmaxを超えれば(S25のNo)、少なくとも蓄電部27、またはDC/DCコンバータ21のいずれかが異常であると判断する。この場合の具体例を以下に示す。
【0038】
例えばDC/DCコンバータ21が異常となり漏れ電流が流れるとする。この場合は、蓄電部27の充電中では漏れ電流の分、蓄電部27に蓄えられるエネルギーが少なくなり、時間t2が経過後の蓄電部電圧Vc2はDC/DCコンバータ21が正常な時に比べ小さくなる。その結果、(数2)の分子が小さくなり、効率Efが低下する。従って、効率Efが所定範囲の下限Eminより小さくなればDC/DCコンバータ21が異常であると判断することができる。
【0039】
また、蓄電部27が劣化した場合は、その容量値Cが小さくなるとともに、内部抵抗値Rが大きくなる。但し、上記のように内部抵抗値Rの増大による熱エネルギーEhの影響は小さいので、本実施の形態1では劣化による熱エネルギーEhの変化を無視している。従って、蓄電部27に蓄えられる電力量(エネルギー)が一定であれば、時間t2が経過後の蓄電部電圧Vc2は容量値Cが劣化により小さくなった分、大きくなることになる。しかし、前記したように、本実施の形態1では(数2)の容量値Cを初期値のまま一定であるとしているので、劣化した蓄電部27に充電すると、蓄電部電圧Vc2だけが大きくなる。その結果、(数2)で示される数式上は、蓄電部27の劣化とともに蓄電部27に蓄えられるエネルギーが大きくなることになり、(数2)の分子が大きくなる。ゆえに、効率Efが上昇する。従って、効率Efが所定範囲の上限Emaxを超えると蓄電部27が劣化して異常であると判断することができる。
【0040】
他にも様々な異常状態が想定されるが、上記のような判断の組み合わせにより、少なくとも蓄電部、またはDC/DCコンバータのいずれかが異常であると判断できる。なお、この場合は後述するS31にジャンプする。
【0041】
一方、効率Efが所定範囲EminからEmaxに入っていれば(S25のYes)、効率Efが正常範囲であるので、蓄電部27とDC/DCコンバータ21は正常であると考えられる。しかし、蓄電部27の劣化とDC/DCコンバータ21の異常が同時に進行することで、ちょうど効率Efが所定範囲EminからEmaxに入る可能性もある。そこで、この場合の異常判断を行うために、制御回路25は前回の異常判断で求めた前回効率Efoと今回求めた効率Efの差(=Efo−Ef)の符号が前回と異なるか否かを判断する(S27)。なお、前回の符号は制御回路35に内蔵したメモリに設けた符号フラグ(例えば正なら0、負なら−1)により得られる。
【0042】
ここで、S27のような動作を行う理由を以下に述べる。
【0043】
蓄電部27やDC/DCコンバータ21が断線等の急激な異常を起こした場合は、直ちに効率Efが所定範囲EminからEmaxを超える。従って、蓄電部27の劣化とDC/DCコンバータ21の異常が同時に進行して、効率Efが所定範囲EminからEmaxに入る場合は、それぞれの異常が緩やかに進行していると想定される。この場合は図2の異常判断のサブルーチンを実行する毎に徐々に効率Efが大きくなるか、または小さくなるいずれかの傾向を示す。従って、前回効率Efoと今回の効率Efの差(=Efo−Ef)の符号は、徐々に効率Efが大きくなる場合は負を、小さくなる場合は正を、それぞれ維持する。このことから、もし符号が逆になれば、蓄電部27、またはDC/DCコンバータ21のいずれかの異常進行が急になったと考えられる。このような場合は蓄電装置11としての動作が不安定になる要因となるので、少なくとも蓄電部27、またはDC/DCコンバータ21のいずれかが異常であると判断するようにしている。これにより、さらなる蓄電装置11の高信頼性が得られる。
【0044】
ここでS27に戻り、もし符号が前回と同じであれば(S27のNo)、異常が緩やかに進行しているが、S25で効率Efが所定範囲EminからEmaxに入っているので、蓄電部27とDC/DCコンバータ21は正常であると判断する。この場合は、前回効率Efoに今回の効率Efを代入して前回効率Efoを更新する(S29)。なお、S29において、Efo=Efと記載しているが、これは右辺(Ef)の値を左辺(Efo)に代入するという意味であると以後定義する。なお、図2には示していないが、この時、符号フラグも更新する。その後、図2の異常判断サブルーチンを終了し、メインルーチンに戻る。
【0045】
一方、前回効率Efoと今回の効率Efの差Efo−Efにおける符号が前回と異なれば(S27のYes)、少なくとも蓄電部27、またはDC/DCコンバータ21のいずれかが異常であると判断されるので、制御回路35は車両側制御回路へ蓄電部27、またはDC/DCコンバータ21の異常信号をdata信号として出力する(S31)。これにより、車両側制御回路は蓄電装置11が異常であるとして運転者に警告し、修理を促す。その後、図2の異常判断サブルーチンを終了し、メインルーチンに戻る。
【0046】
以上の構成、動作により、入出力電圧Vi、入出力電流値I、蓄電部電圧Vcと温度Tを検出し、それらに応じた所定範囲EminからEmaxとDC/DCコンバータ21の効率Efを求め、効率Efが所定範囲を超えれば、少なくとも蓄電部27、またはDC/DCコンバータ21のいずれかが異常であると判断するので、高信頼な蓄電装置11を実現できる。
【0047】
なお、本実施の形態1ではDC/DCコンバータ21に温度センサ31を配する構成としたが、これは、例えば蓄電装置11を非常用補助電源に用いる場合のように、温度Tがあまり変化しない時には、所定範囲EminからEmaxの温度Tによる影響を加味しなくてもよいことになる。従って、この場合は温度センサ31を用いなくてもよい。
【0048】
(実施の形態2)
図3は、本発明の実施の形態2における蓄電装置のブロック回路図である。図4は、本発明の実施の形態2における蓄電装置の蓄電部の容量値計算のフローチャートである。図5は、本発明の実施の形態2における蓄電装置の異常判断時のフローチャートである。なお、図3においても図1と同様に、太線は電力系配線を、細線は信号系配線をそれぞれ示す。
【0049】
図3において、図1と同じ構成には同じ符号を付し詳細な説明を省略する。すなわち、本実施の形態2における特徴となる構成は、蓄電部27にも蓄電部温度センサ37を配した点である。蓄電部温度センサ37は信号系配線で制御回路35に接続されているので、制御回路35は蓄電部温度センサ37から蓄電部27の近傍の温度(以下、蓄電部温度Tcという)を読み込むことができる。
【0050】
次に、このような蓄電装置11の異常判断動作について図4、図5のフローチャートを用いて説明する。
【0051】
本実施の形態2における特徴となる動作は次の通りである。実施の形態1においては、蓄電部27の容量値Cが初期値のまま一定であるとして効率Efを計算していたが、本実施の形態2では異常判断時の容量値Cを求めて効率Efを計算するようにしている。これにより、実施の形態1よりも高精度に効率Efを求めることができる。以下に具体的な動作を説明する。
【0052】
まず、容量値Cを図4のサブルーチンにより求める。なお、図4のサブルーチンは既定時間間隔Δt毎に割り込んで実行されるので、蓄電装置11の起動と同時に割り込みを許可して容量値Cを求める動作を繰り返している。
【0053】
既定時間間隔Δt(ここでは0.1秒とした)毎に割り込みが発生し、図4のサブルーチンが実行されると、まず蓄電部温度センサ37により蓄電部温度Tcを読み込むと同時に、蓄電部電圧検出回路29から蓄電部電圧Vcを読み込む(S41)。次に、容量値Cを求める際に必要な積算時間tsを計算する(S43)。ここで、積算時間tsとは蓄電部27が新品の状態から現在までに電力を蓄えた総時間のことを示すが、蓄電部27を構成する電気二重層キャパシタは印加されている蓄電部電圧Vcや蓄電部温度Tcによって寿命が大きく影響されるので、これらの影響を加味した積算時間tsを以下のようにして計算している。
【0054】
電気二重層キャパシタは印加されている蓄電部電圧Vcが高いほど、また蓄電部温度Tcが高いほど、指数関数的に寿命が短くなる傾向がある。そこで、まず蓄電部電圧Vcと寿命の関係から電圧劣化係数K(Vc)を求めておく。これは、蓄電部電圧Vcが基準電圧(例えば12V)時の電圧劣化係数K(12V)を1とした時に、基準電圧と異なる蓄電部電圧Vcが印加された時の蓄電部27の寿命が基準電圧印加時の寿命の何倍になるか、の逆数を求めたもので、蓄電部電圧Vcが大きいほど電圧劣化係数K(Vc)も大きくなる。従って、同じ既定時間間隔Δtであっても、電圧劣化係数K(Vc)が例えば2であれば、蓄電部27に基準電圧(12V)が印加されている場合の2倍の時間、すなわち2×Δtを積算時間tsに加算するようにしている。これにより、蓄電部27に印加される蓄電部電圧Vcの影響を加味した積算時間tsを計算することができる。なお、電圧劣化係数K(Vc)はあらかじめ制御回路35のメモリに記憶してある。
【0055】
同様に、蓄電部温度Tcと寿命の関係から温度劣化係数K(Tc)も求めておく。これは、蓄電部温度Tcが基準温度(例えば25℃)時の温度劣化係数K(25℃)を1とした時に、基準温度と異なる蓄電部温度Tcの環境下における蓄電部27の寿命が基準温度時の寿命の何倍になるか、の逆数を求めたもので、蓄電部温度Tcが高いほど温度劣化係数K(Tc)も大きくなる。従って、同じ既定時間間隔Δtであっても、温度劣化係数K(Tc)が例えば2であれば、蓄電部27が基準温度(25℃)下の場合の2倍の時間、すなわち2×Δtを積算時間tsに加算するようにしている。これにより、蓄電部温度Tcの影響を加味した積算時間tsを計算することができる。なお、温度劣化係数K(Tc)はあらかじめ制御回路35のメモリに記憶してある。
【0056】
以上のことから、蓄電部電圧Vcと蓄電部温度Tcの両方の影響を加味すると、制御回路35は、既定時間間隔Δt毎に蓄電部電圧Vcから現在の電圧劣化係数K(Vc)を求めるとともに、蓄電部温度Tcから現在の温度劣化係数K(Tc)を求め、既定時間間隔Δtに現在の電圧劣化係数K(Vc)と現在の温度劣化係数K(Tc)を乗じた値を積算時間tsに加算することで、積算時間tsを計測することになる。すなわち、これまでの積算時間tsにΔt×K(Vc)×K(Tc)を加算して、積算時間tsの値を更新する。このようにして求めた積算時間tsは基準電圧(12V)下、および基準温度(25℃)下に換算した積算時間に相当する。
【0057】
次に、制御回路35は、S43で求めた積算時間tsから、基準電圧、および基準温度における積算時間tsと蓄電部27の容量値Cの相関関係を用いて、容量値Cを求める(S45)。なお、積算時間tsと容量値Cの相関関係は、積算時間tsが長くなるほど容量値Cが非線形に小さくなる関係となるので、これを実験的に求めて、あらかじめ制御回路35のメモリに記憶している。これにより、積算時間tsから容量値Cを求めている。求めた容量値Cはメモリに記憶される。
【0058】
その後、図4のサブルーチンを終了して、割り込み元に戻る。
【0059】
このような動作により、蓄電部27の容量値Cは既定時間間隔Δt毎に更新されることになり、常に最新の容量値Cを得ることができる。
【0060】
次に、蓄電装置11の異常判断動作について図5のフローチャートを用いて説明する。なお、図5に示すサブルーチンも図2と同様に既定時間毎(2秒毎)に実行される。
【0061】
図5において、図2のサブルーチンと同じ動作を行うステップ番号は同一のステップ番号を付して詳細な説明を省略し、動作が異なる部分について説明する。
【0062】
まず、図5においてS15の後、制御回路35は現在の容量値Cをメモリから読み込み、同じくメモリにあらかじめ記憶した容量値Cに対する劣化限界値Cdも読み込んだ後、両者を比較する(S51)。なお、劣化限界値Cdは蓄電部27をこれ以上使用することのできない限界状態における容量値のことである。
【0063】
もし、容量値Cが劣化限界値Cd以上であれば(S51のNo)、蓄電部27は正常であるので、引き続きS17以降の動作を行う。
【0064】
一方、容量値Cが劣化限界値Cdよりも小さくなれば(S51のYes)、制御回路35は蓄電部27が異常であると判断し、蓄電部27の異常信号をデータ信号dataとして車両側制御回路に出力する(S53)。これにより、車両側制御回路は運転者に蓄電部27の異常を警告し、修理を促す。その後、引き続きS17以降の動作を行う。
【0065】
次に、S25でNoの場合、およびS27でYesの場合の動作について説明する。これらの場合、制御回路35は蓄電部27が異常であったか否かを判断する(S55)。ここで、蓄電部27の異常有無はS53を実行したか否かで知ることができる。もし、蓄電部27が異常であれば(S55のYes)、既にS53で蓄電部27の異常信号を出力しているので、そのまま図5のサブルーチンを終了してメインルーチンに戻る。
【0066】
一方、蓄電部27が異常でなければ(S55のNo)、DC/DCコンバータ21が異常であると判断する。これは、実施の形態1で説明したように、S25でNoの場合、およびS27でYesの場合は、少なくともDC/DCコンバータ21、または蓄電部27のいずれかが異常であると判断しているが、ここでは既にS51で蓄電部27は正常であると判断されているので、DC/DCコンバータ21が異常と判断できる。これにより、制御回路35はDC/DCコンバータ21の異常信号を車両用制御回路35に出力する(S57)。その後、図5のサブルーチンを終了してメインルーチンに戻る。
【0067】
このような本実施の形態2における特徴となる動作をまとめると、次のようになる。制御回路35は、積算時間tsから求めた蓄電部27の容量値Cが劣化限界値Cdよりも小さくなれば、蓄電部27が異常であると判断する。その後、効率Efを求め、所定範囲EminからEmaxを超えるか、あるいは効率Efが所定範囲EminからEmaxに入っている時は、前回効率Efoと今回の効率Efの差(=Efo−Ef)の符号が前回と異なれば、蓄電部27が正常な場合はDC/DCコンバータ21が異常であると判断する。
【0068】
以上の構成、動作により、蓄電部27とDC/DCコンバータ21の異常を区別して判断することが可能となり、高信頼性が得られると同時に、異常部分のみを修理できるのでサービス性が向上した蓄電装置11を実現できる。
【0069】
なお、本実施の形態2においては、蓄電装置11を使用している間、図4の割り込みサブルーチンにより既定時間間隔Δt毎に積算時間tsを更新しているが、使用終了時には蓄電部27の電力を全て放電するようにしている。これにより、車両非使用時には蓄電部27に電力が蓄えられていないので、積算時間tsを更新する必要がなくなる。その結果、車両非使用時における積算時間tsの更新に要する暗電流を不要にできる。但し、この場合は蓄電部27から放電される電力が無駄になるので、車両非使用時にも蓄電部27に電力を蓄え続ける構成としてもよい。この際は車両の使用、非使用に関わらず常に蓄電部27が電力を蓄えていることになるので、車両非使用時であっても積算時間tsを更新し続ける必要がある。
【0070】
また、実施の形態1、2において蓄電部27には電気二重層キャパシタを用いたが、これは電気化学キャパシタ等の他のキャパシタでもよい。
【0071】
また、実施の形態1、2において蓄電装置11を車両の回生システムに適用した場合について述べたが、それらに限らず、ハイブリッド車や、アイドリングストップ、電動パワーステアリング、車両制動システム、電動過給器等の各システムにおける車両用補助電源等にも適用可能である。さらに、車両用以外の非常用補助電源等にも適用できる。
【産業上の利用可能性】
【0072】
本発明にかかる蓄電装置は、少なくともDC/DCコンバータと蓄電部のいずれかの異常を判断でき高信頼性が得られるので、特に蓄電部に電力を蓄え、必要な時に放電する車両用の蓄電装置等として有用である。
【図面の簡単な説明】
【0073】
【図1】本発明の実施の形態1における蓄電装置のブロック回路図
【図2】本発明の実施の形態1における蓄電装置の異常判断時のフローチャート
【図3】本発明の実施の形態2における蓄電装置のブロック回路図
【図4】本発明の実施の形態2における蓄電装置の蓄電部の容量値計算のフローチャート
【図5】本発明の実施の形態2における蓄電装置の異常判断時のフローチャート
【図6】従来の車両用電源診断装置における異常判定手段の要部ブロック図
【図7】従来の車両用電源診断装置における異常または正常バッテリの境界特性図
【符号の説明】
【0074】
11 蓄電装置
17 入出力電流検出回路
19 入出力電圧検出回路
21 DC/DCコンバータ
23 入出力端子
25 蓄電部端子
27 蓄電部
29 蓄電部電圧検出回路
31 温度センサ
35 制御回路
37 蓄電部温度センサ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
キャパシタからなる蓄電部と、
前記蓄電部に接続されたDC/DCコンバータと、
前記DC/DCコンバータに接続された制御回路とからなり、
前記制御回路は、前記DC/DCコンバータにより前記蓄電部を充電、または放電している時に、前記DC/DCコンバータの入出力電力量と、前記蓄電部への充電、または放電による電力量との比率から前記DC/DCコンバータの効率(Ef)を求め、
前記効率(Ef)が所定範囲(EminからEmax)を超えれば、少なくとも前記蓄電部、または前記DC/DCコンバータのいずれかが異常であると判断するようにした蓄電装置。
【請求項2】
前記DC/DCコンバータの蓄電部端子に接続された蓄電部電圧検出回路と、
前記DC/DCコンバータの入出力端子に接続された入出力電圧検出回路、および入出力電流検出回路とを備えるとともに、
前記蓄電部電圧検出回路、入出力電圧検出回路、および入出力電流検出回路が前記制御回路に接続された構成を有し、
前記制御回路は、前記DC/DCコンバータにより前記蓄電部を充電、または放電している時に、所定期間(時間t1から時間t2)において、前記入出力電圧検出回路、入出力電流検出回路、および蓄電部電圧検出回路により、それぞれ入出力電圧(Vi)、入出力電流値(I)、蓄電部電圧(Vc)を検出するとともに、前記蓄電部の容量値(C)を用いて、
前記蓄電部が充電時の場合には、前記効率(Ef)を
【数1】

により求め、
前記蓄電部が放電時の場合には、前記効率(Ef)を(数1)の逆数により求めるようにした請求項1に記載の蓄電装置。
【請求項3】
前記所定範囲(EminからEmax)は、前記入出力電圧(Vi)、入出力電流値(I)、および蓄電部電圧(Vc)に応じて求めるようにした請求項1に記載の蓄電装置。
【請求項4】
前記蓄電部と前記DC/DCコンバータが正常な状態において、前記入出力電圧(Vi)、入出力電流値(I)、および蓄電部電圧(Vc)を変えた時の前記効率(Ef)が取り得る範囲をあらかじめ求め、前記所定範囲(EminからEmax)として、それぞれ前記制御回路に記憶しておくようにした請求項3に記載の蓄電装置。
【請求項5】
前記制御回路に接続された温度センサを前記DC/DCコンバータに配した構成を有し、
前記制御回路は、前記入出力電圧(Vi)、入出力電流値(I)、蓄電部電圧(Vc)、および前記温度センサにより検出される温度(T)に応じて前記所定範囲(EminからEmax)を求めるようにした請求項1に記載の蓄電装置。
【請求項6】
前記蓄電部と前記DC/DCコンバータが正常な状態において、前記入出力電圧(Vi)、入出力電流値(I)、蓄電部電圧(Vc)、および温度(T)を変えた時の前記効率(Ef)が取り得る範囲をあらかじめ求め、前記所定範囲(EminからEmax)として、それぞれ前記制御回路に記憶しておくようにした請求項5に記載の蓄電装置。
【請求項7】
前記制御回路は、前記効率(Ef)が前記所定範囲(EminからEmax)に入っていた場合、前回に求めた前回効率(Efo)と前記効率(Ef)の差(Efo−Ef)の符号が前回と異なれば、少なくとも前記蓄電部、または前記DC/DCコンバータのいずれかが異常であると判断するようにした請求項1に記載の蓄電装置。
【請求項8】
前記制御回路に接続された蓄電部温度センサを前記蓄電部に配した構成を有し、
前記蓄電部電圧(Vc)が基準電圧時の前記蓄電部の寿命を1とした時に、前記基準電圧と異なる電圧が印加された時の前記蓄電部の寿命が前記基準電圧の印加時における寿命の何倍になるか、の逆数を求めた電圧劣化係数(K(Vc))、および前記蓄電部温度センサの出力である蓄電部温度(Tc)が基準温度時の前記蓄電部の寿命を1とした時に、前記基準温度と異なる温度環境下の前記蓄電部の寿命が前記基準温度時における寿命の何倍になるか、の逆数を求めた温度劣化係数(K(Tc))をあらかじめ前記制御回路に記憶しておき、
前記制御回路は、既定時間間隔(Δt)毎に前記蓄電部電圧(Vc)から現在の前記電圧劣化係数(K(Vc))を求めるとともに、前記蓄電部温度(Tc)から現在の前記温度劣化係数(K(Tc))を求め、
前記既定時間間隔(Δt)に現在の前記電圧劣化係数(K(Vc))と現在の前記温度劣化係数(K(Tc))を乗じた値を、前記蓄電部が電力を蓄えた積算時間(ts)に加算し、
あらかじめ求めて前記制御回路に記憶した、前記基準電圧および前記基準温度における前記積算時間(ts)と前記蓄電部の容量値(C)の相関関係から、前記積算時間(ts)より前記容量値(C)を求めるようにした請求項2に記載の蓄電装置。
【請求項9】
前記制御回路は、前記容量値(C)が劣化限界値(Cd)よりも小さくなれば、前記蓄電部が異常であると判断するとともに、
前記効率(Ef)を求め、前記効率(Ef)が前記所定範囲(EminからEmax)を超え、かつ前記蓄電部が正常であれば、前記DC/DCコンバータが異常であると判断するようにした請求項8に記載の蓄電装置。
【請求項10】
前記制御回路は、少なくとも前記蓄電部、または前記DC/DCコンバータのいずれかが異常であると判断すれば、異常信号を出力するようにした請求項1に記載の蓄電装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate


【公開番号】特開2009−148126(P2009−148126A)
【公開日】平成21年7月2日(2009.7.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−325564(P2007−325564)
【出願日】平成19年12月18日(2007.12.18)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】