説明

蓋付き樽形容器

【課題】中程度の且つ比較的に大きな高さからの樽形容器の転落の場合の樽形容器蓋の封隙性を顧慮した蓋付き樽形容器を提供する。
【解決手段】 締付けリング5の上側および下側のリブ7、9の結合リブ19に、環状隆起部20が表面に沿って形成されており、この環状隆起部は、半径方向に内方へと整向されており、且つ、この締付けリング5が閉鎖された際に、蓋4の外側縁部15に形成された係合溝部21内へと、上側の樽形容器縁部6の上でのこの蓋の固定のために食い込む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、上側の樽形容器縁部の上でこの樽形容器蓋を固定するための金属から成る締付けリングを有する、合成物質から成る蓋付き樽形容器であって、その際、
断面においてU字形のこの締付けリングが、閉鎖状態において、
この締付けリングの上側のリブでもって、蓋縁部を上側からグリップし、且つ、
この締付けリングの下側のリブでもって、上側および下側の樽形容器縁部に設けられており且つこの樽形容器外套部の上側の部分におけるくびれ部の上側の境界部である、樽形容器長手方向軸線に対して垂直に、または傾斜して指向する、樽形容器外套部の環状の縁取り部の当接面を下側からグリップし、且つその際、
内側縁部、外側縁部、および結合環状部によって形成される蓋縁部が、蓋封隙材の挿入または発泡注入のための封隙材ベッド部を備える、下方へと開いたU字形の断面輪郭を有しており、この蓋封隙材が、樽形容器蓋の閉鎖状態において、この締付けリングの締付け力によって、上側の蓋縁部(Deckelrand)に対して押圧される様式の上記蓋付き樽形容器に関する。
【背景技術】
【0002】
この様式の、米国特許第5,301,853号明細書(特許文献1)から公知の蓋付き樽形容器の場合、
樽形容器蓋の封隙作用は、上側の樽形容器縁部の上に載置している蓋封隙材の軸線方向の予負荷によって行なわれ、その際、この軸線方向の予負荷力が、締付けリングを閉鎖した際に、この締付けリングの蓋縁部、および、樽形容器縁取り部の表面に沿って滑動する、両方の傾斜したリブを介して形成される。危険な液体の収納、および移送のために許可されている蓋付き樽形容器に対して、これら蓋付き樽形容器の収容および移送信頼性に関しての、規定された諸認可検査によって検査される所定の諸要件が課され、これら諸認可検査の際に、特に、外套部上への側方落下、蓋縁部上への対角線落下、静力学的な内部圧力検査、および積載負荷が被らせられる。
【0003】
特許文献1による蓋付き樽形容器の場合、締付けリングの比較的に大きな薄板厚さによって、このリングの必要な強度が達せられ、この強度は、例えばトラックの積載面からの樽形容器の落下の際に樽形容器蓋の漏洩を、および、比較的に大きな高さからの樽形容器の落下の際に樽形容器蓋の脱落を防止する。この公知の蓋付き樽形容器の場合、このリングの比較的に大きな材料厚さに基づく締付けリングの重量、および、このリングの高い製造価格は欠点である。
【特許文献1】米国特許第5,301,853号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従って、本発明の根底をなす課題は、冒頭に記載した様式の蓋付き樽形容器を、中程度の且つ比較的に大きな高さ(mittleren und groesseren Hoehen)からの樽形容器の転落の場合の樽形容器蓋の封隙性を顧慮して、更に発展させることである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この課題は、本発明により、請求項1の特徴を有する蓋付き樽形容器によって解決される。
【発明の効果】
【0006】
従属請求項は、有利、且つ合目的な、本発明の更なる構成を内容としている。
【0007】
本発明による、上側の樽形容器縁部の上でこの樽形容器蓋を固定するための金属から成る締付けリングを有する、合成物質から成る蓋付き樽形容器は、公知の蓋付き樽形容器に比して、改善された落下強度、並びに、減少された材料厚さを有する締付けリングによって特徴付けられ、この締付けリングが、締付けリングの重量の減少を誘起し、且つ、材料削減によって、この締付けリングの引き下げられた製造価格を誘起する。
【0008】
次に、本発明による蓋付き樽形容器の2つの実施例を、図面に基づいて説明する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
図1による、合成物質から製造される蓋付き樽形容器1は、樽形容器外套部2、底板3、樽形容器蓋4、並びに、上側の樽形容器縁部6の上でこの蓋4を固定するための、金属から成る締付けリング5から成っている。
【0010】
図2および3において図示された、両方の樽形容器の実施形態の場合、U字形の断面輪郭を有する締付けリング5は、
この締付けリングの上側のリブ7でもって、蓋縁部8を上側からグリップし、且つ、
この締付けリングの下側のリブ9でもって、上側および下側の樽形容器縁部6に設けられており且つこの樽形容器外套部2の上側の部分におけるくびれ部13の上側の境界部である、樽形容器長手方向軸線10−10に対して傾斜して指向する、樽形容器外套部2の環状の縁取り部12の当接面11を下側からグリップする。
内側縁部14、外側縁部15、および結合環状部16によって形成される蓋縁部8は、蓋封隙材18の挿入または発泡注入のための封隙材ベッド部17を備える、下方へと開いたU字形の断面輪郭を有しており、この蓋封隙材が、蓋4の閉鎖状態において、この締付けリング5の締付け力によって、上側の樽形容器縁部(Fassrand)6に対して押圧される。
【0011】
図2において図示された、樽形容器蓋4の締付けリング閉鎖部の第1の実施形態の場合、締付けリング5の上側および下側のリブ7、9の結合リブ19に、環状隆起部20が表面に沿って形成されており、この環状隆起部は、半径方向に内方へと整向されており、且つ、この締付けリング5が閉鎖された際に、蓋4の外側縁部15に形成された係合溝部21内へと、上側の樽形容器縁部6の上でのこの蓋の固定のために食い込む。
【0012】
蓋縁部8の上へと上方から蓋付き樽形容器1を下降した場合、締付けリング5は押し潰され、且つ、この締付けリング5の環状隆起部20が、蓋縁部8の外側縁部15内における係合溝部21内へと押圧される。このようにして、樽形容器蓋4は、比較的に良好に、この樽形容器縁部6の上で固定され、且つこれに伴って、樽形容器の落下強度が向上され、その際、この締付けリングの材料厚さが減少され得る。
【0013】
図3による、樽形容器蓋4の締付けリング閉鎖部の第2の実施形態は、締付けリング5が閉鎖された場合、この締付けリングに設けられた環状隆起部20が、上側の樽形容器縁部6の上でのこの樽形容器蓋4の固定のために、この蓋の外側縁部15の表面に沿って形成された下側の保持環状部22に係合することによって特徴付けられている。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】蓋付き樽形容器の側面図である。
【図2】樽形容器蓋の締付けリング閉鎖部の2つの異なる実施形態についての、蓋付き樽形容器の上側の領域の、部分的に拡大された断面図である。
【図3】樽形容器蓋の締付けリング閉鎖部の2つの異なる実施形態についての、蓋付き樽形容器の上側の領域の、部分的に拡大された断面図である。
【符号の説明】
【0015】
1 蓋付き樽形容器
2 樽形容器外套部
3 底板
4 樽形容器蓋
5 締付けリング
6 樽形容器縁部
7 上側のリブ
8 蓋縁部
9 下側のリブ
10 樽形容器長手方向軸線
11 当接面
12 縁取り部
13 くびれ部
14 内側縁部
15 外側縁部
16 結合環状部
17 封隙材ベッド部
18 蓋封隙材
19 結合リブ
20 環状隆起部
21 係合溝部
22 下側の保持環状部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
上側の樽形容器縁部の上でこの樽形容器蓋を固定するための金属から成る締付けリングを有する、合成物質から成る蓋付き樽形容器であって、その際、
断面においてU字形のこの締付けリングが、閉鎖状態において、
この締付けリングの上側のリブでもって、蓋縁部を上側からグリップし、且つ、
この締付けリングの下側のリブでもって、上側および下側の樽形容器縁部に設けられており且つこの樽形容器外套部の上側の部分におけるくびれ部の上側の境界部である、樽形容器長手方向軸線に対して垂直に、または傾斜して指向する、樽形容器外套部の環状の縁取り部の当接面を下側からグリップし、且つその際、
内側縁部、外側縁部、および結合環状部によって形成される蓋縁部が、蓋封隙材の挿入または発泡注入のための封隙材ベッド部を備える、下方へと開いたU字形の断面輪郭を有しており、この蓋封隙材が、樽形容器蓋の閉鎖状態において、この締付けリングの締付け力によって、上側の蓋縁部に対して押圧される様式の、
上記蓋付き樽形容器において、
締付けリング(5)の上側および下側のリブ(7、9)の結合リブ(19)に、表面に沿って形成された環状隆起部(20)が設けられており、
この環状隆起部が、半径方向に内方へと整向されており、且つ、この締付けリング(5)が閉鎖された際に、蓋(4)の外側縁部(15)に対して、上側の樽形容器縁部(6)の上でのこの当該の蓋の固定のために、形状一体的に係合するように構成されている、
ことを特徴とする蓋付き樽形容器。
【請求項2】
樽形容器蓋(4)の外側縁部(15)に形成された係合溝部(21)が、締付けリング(5)の環状隆起部(20)ために設けられていることを特徴とする請求項1に記載の蓋付き樽形容器。
【請求項3】
蓋縁部(8)の外側縁部(15)の表面に沿って形成された下側の保持環状部(22)が、この下側の保持環状部に係合する、締付けリング(5)の環状隆起部(20)ために設けられていることを特徴とする請求項1に記載の蓋付き樽形容器。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate


【公開番号】特開2006−193218(P2006−193218A)
【公開日】平成18年7月27日(2006.7.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−367352(P2005−367352)
【出願日】平成17年12月21日(2005.12.21)
【出願人】(300088304)シュツツ・ゲゼルシヤフト・ミト・ベシュレンクテル・ハフツング・ウント・コンパニー・コマンデイトゲゼルシヤフト・アウフ・アクティーン (3)
【Fターム(参考)】