説明

蓋材装着装置

【課題】容器の開口部の外周縁からはみ出すことがないように蓋材をぴったりと容器の開口端に装着することができ、蓋材が装着された容器の美観を向上させることが可能な蓋材装着装置を提供する。
【解決手段】容器200の開口端面201に蓋材110を固着するための蓋材装着装置1は、帯フィルム100から蓋材110を打ち抜く蓋材打ち抜き部10と、蓋材打ち抜き部10で帯フィルム100から蓋材110を打ち抜くのとほぼ同時にその打ち抜かれた蓋材110を吸着して保持する蓋材吸引部20と、蓋材吸引部20を容器200の上方に移送する蓋材移送部30と、蓋材110を容器200の開口端面201に固着する前に容器200の上方に移送された蓋材吸引部20によって吸着されて保持された状態で蓋材110を容器200の開口端面201に仮に溶着する蓋材仮溶着部40とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、一般的には蓋材装着装置に関し、特定的には医薬品、化粧品、芳香剤、食品等を充填するための成型カップ等の容器の開口端面にラミネート合成樹脂フィルム等からなる蓋材を固着するための蓋材装着装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、医薬品、化粧品、芳香剤、食品等を充填するための成型カップ等の容器の開口端面にラミネート合成樹脂フィルム等からなる蓋材を固着するための蓋材装着装置は、自動包装システムを構成する自動包装機械に広く使用されている。
【0003】
たとえば、特開2003−252301号公報(以下、特許文献1という)には、稼動効率を高めるとともに、確実なキャップシールの装着が可能なキャップシール装着装置が開示されている。このキャップシール装着装置では、キャップシールは鍔つきの蓋材に成形された後、容器の開口端に装着される。このため、キャップシールは、鍔部分が容器の開口部の外周縁からはみ出て容器の開口部の外周を覆う形態で容器に装着される。
【0004】
また、特開2002−179124号公報(以下、特許文献2という)では、シール材が容器の開口部の外周縁からはみ出すことがない形態のインナーシールと、そのインナーシールを用いて容器の開口部を封緘した容器が開示されている。
【特許文献1】特開2003−252301号公報
【特許文献2】特開2002−179124号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来の特許文献1で開示されたキャップシール装着装置では、キャップシールの鍔部分が容器の開口部の外周縁からはみ出て容器の開口部の外周を覆うようになっているので、美観に劣るという問題があった。また、鍔部分だけ余分な材料がキャップシール用の素材として必要となるので、コストが高くなるという問題があった。
【0006】
一方、特許文献2で開示されたインナーシールは、容器の開口部の外径と同じ寸法の円形状に裁断することによって製造される。しかし、容器の開口部の外径と同じ寸法の円形状のインナーシールを、容器の開口部の外周縁からはみ出すことがないように容器の開口端に装着するための具体的な方法については、特許文献2には何ら開示も示唆もなされていない。
【0007】
そこで、この発明の目的は、容器の開口部の外周縁からはみ出すことがないように蓋材をぴったりと容器の開口端に装着することができ、蓋材が装着された容器の美観を向上させることが可能な蓋材装着装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明に従った蓋材装着装置は、容器の開口端面に蓋材を固着するための蓋材装着装置であって、蓋材打ち抜き部と、蓋材吸引部と、蓋材移送部と、蓋材仮溶着部とを備える。蓋材打ち抜き部は、フィルム素材から蓋材を打ち抜くものである。蓋材吸引部は、上記の蓋材打ち抜き部でフィルム素材から蓋材を打ち抜くのとほぼ同時に、その打ち抜かれた蓋材を吸着して保持するものである。蓋材移送部は、上記の蓋材吸引部を容器の上方に移送するものである。蓋材仮溶着部は、蓋材を容器の開口端面に固着する前に、容器の上方に移送された上記の蓋材吸引部によって吸着されて保持された状態で、蓋材を容器の開口端面に仮に溶着するものである。ここで、フィルム素材とは、合成樹脂フィルム、アルミニウム箔等の金属箔、紙や合成樹脂フィルムの積層体、アルミニウム箔を介在した紙や合成樹脂フィルムの積層体等をいう。
【0009】
この発明の蓋材装着装置では、まず、蓋材吸引部が、蓋材打ち抜き部でフィルム素材から蓋材を打ち抜くのとほぼ同時に、その打ち抜かれた蓋材を吸着して保持する。次に、蓋材移送部は、上記の蓋材吸引部を容器の上方に移送するので、蓋材打ち抜き部で打ち抜かれた状態のままで蓋材が容器の上方に移送される。そして、蓋材仮溶着部は、蓋材を容器の開口端面に固着する前に、容器の上方に移送された上記の蓋材吸引部によって吸着されて保持された状態で、蓋材を容器の開口端面に仮に溶着する。このようにして、蓋材は、フィルム素材から打ち抜かれたときに蓋材吸引部で保持された一定の位置を維持して、容器の上方に移送され、そして、吸着されて保持された状態で容器の開口端面に仮に溶着された後に、本溶着として最終的に容器の開口端面に固着される。このため、蓋材が容器の開口端面の外周縁からはみ出すことがないように、蓋材をぴったりと容器の開口端面に固着することができる。
【0010】
この発明の蓋材装着装置において、上記の蓋材打ち抜き部は、下方に配置されたパンチと、上方に配置されたダイとを含むことが好ましい。
【0011】
このように構成することにより、パンチで打ち抜かれた蓋材を、パンチの上方の位置で上記の蓋材吸引部が吸着することによって、打ち抜き後に位置がずれないように蓋材を容易に保持することができる。
【0012】
上記のように構成されたこの発明の蓋材装着装置において、上記の蓋材吸引部は、パンチがダイに向かって上方に移動することによってフィルム素材から打ち抜かれた蓋材をダイ内で吸着して保持することが好ましい。
【0013】
このように構成することにより、パンチで打ち抜かれた蓋材をそのままダイ内で吸着して保持することができるので、打ち抜かれた蓋材の位置がダイ内でずれるのを効果的に防止することができる。
【0014】
また、この発明の蓋材装着装置において、上記の蓋材打ち抜き部と、蓋材移送部と、蓋材仮溶着部とは、水平方向に配置されていることが好ましい。
【0015】
このように構成することにより、打ち抜かれた蓋材は、蓋材打ち抜き部から、容器の開口部の上方まで水平方向に移送されるので、打ち抜かれた蓋材の表面への異物の付着、ひいては蓋材で覆われる容器の開口部への異物混入を効果的に防止することができる。
【0016】
さらに、この発明の蓋材装着装置において、上記の蓋材移送部は、容器の開口端面に固着される側の蓋材の表面を下方に向けた状態で蓋材を吸着して保持するように上記の蓋材吸引部を容器の上方に移送することが好ましい。
【0017】
このように構成することにより、打ち抜かれた蓋材は、容器の開口端面に固着される側の蓋材の表面を下方に向けた状態で、蓋材打ち抜き部から、容器の開口部の上方まで移送されるので、打ち抜かれた蓋材の表面への異物の付着、ひいては蓋材で覆われる容器の開口部への異物混入を効果的に防止することができるだけでなく、容器の開口端面に固着される側の蓋材の表面を真空ブロー等によって吸塵することにより、蓋材の表面を清浄化することができる。
【0018】
この発明の蓋材装着装置において、上記の蓋材仮溶着部は、上記の蓋材吸引部によって吸着されて保持された蓋材の周縁部に接触して、蓋材の周縁部を容器の開口端面に溶着することができるように、上記の蓋材吸引部と容器の開口端面の上方で昇降する複数の棒状加熱ヘッドを含むことが好ましい。
【0019】
このように構成することにより、蓋材吸引部が蓋材を吸着して保持した状態のままで、複数の棒状加熱ヘッドが下降することにより、蓋材の周縁部に接触して、蓋材の周縁部を加熱して容器の開口端面に溶着することができる。
【0020】
上記のように構成されたこの発明の蓋材装着装置において、上記の蓋材仮溶着部では、複数の棒状加熱ヘッドで囲まれた領域の中心を含みかつ複数の棒状加熱ヘッドと接触しない領域内で、蓋材吸引部が、容器の開口端面の上方で昇降するように構成されていることが好ましい。
【0021】
このように構成することにより、棒状加熱ヘッドと蓋材吸引部が干渉しないように構成することができるとともに、蓋材が十分に吸着されて保持された状態で蓋材を容器の開口端面に溶着することができる。
【0022】
なお、この発明の蓋材装着装置において、上記の蓋材仮溶着部は、容器を位置付けるための容器位置決め部を含み、蓋材吸引部によって吸着されて保持された蓋材と、容器位置決め部によって位置付けられた容器の開口端面とが整合するように、蓋材吸引部と容器位置決め部とが配置されていることが好ましい。
【0023】
このように構成することにより、蓋材吸引部と容器位置決め部のそれぞれの中心等の基準点を一致させることによって、蓋材と容器の開口端面とを整合させることができる。
【発明の効果】
【0024】
以上のように、この発明によれば、蓋材が容器の開口端面の外周縁からはみ出すことがないように、蓋材をぴったりと容器の開口端面に固着することができるので、蓋材が装着された容器の美観を向上させることが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
以下、この発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0026】
図1は本発明の一つの実施の形態として蓋材装着装置の概略的な構成を示す平面図、図2は本発明の一つの実施の形態として蓋材装着装置の概略的な構成を示す正面図である。
【0027】
図1と図2に示すように、蓋材装着装置1は、蓋材打ち抜き部10と、蓋材吸引部20と、蓋材移送部30と、蓋材仮溶着部40と、容器移送部50と、帯フィルム移送部60と、容器位置決め部70と、蓋材本溶着部(図示せず)とから構成される。
【0028】
まず、蓋材装着装置1を構成する各構成要素を説明する。蓋材打ち抜き部10は、フィルム素材の一例である帯フィルム100から蓋材110を打ち抜くために設けられている。蓋材吸引部20は、蓋材打ち抜き部10で帯フィルム100から蓋材110を打ち抜くのとほぼ同時に、その打ち抜かれた蓋材110を吸着して保持するために設けられている。この実施の形態では一例として4個の蓋材吸引部20が回転移動によって各位置が変わるように配置されている。蓋材移送部30は、蓋材110を吸着して保持する蓋材吸引部20を容器200の上方に移送するために設けられている。蓋材仮溶着部40は、蓋材110を容器200の開口端面201に固着する前に、容器200の上方に移送された蓋材吸引部20によって吸着されて保持された状態で、蓋材110を容器200の開口端面201に仮に溶着する。容器移送部50は、回転テーブル51を備えており、回転テーブル51には、複数の容器載置プレート52がほぼ円周上に並んで配置されている。この実施の形態では一例として8個の容器載置プレート52がほぼ円周上に並んで配置されている。まず、容器200は容器供給位置53にて容器載置プレート52の上に置かれて回転テーブル51に供給される。回転テーブル51が回転することにより、容器200は仮溶着位置54に移送されると、蓋材仮溶着部40によって蓋材110が開口端面201の上に仮溶着される。その後、回転テーブル51が回転することにより、容器200は本溶着位置55に移送されると、蓋材本溶着部(図示せず)によって蓋材110が開口端面201の上に固着される。そして、回転テーブル51が回転することにより、容器200は容器排出位置56に移送されると、蓋材110が開口端面201の上に固着された容器200は、容器排出位置56にて容器載置プレート52から取り除かれる。なお、蓋材仮溶着部40においては、容器200は容器位置決め部70によって容器載置プレート52の上で位置決めされた状態で、蓋材110が開口端面201の上に仮溶着される。蓋材打ち抜き部10と蓋材移送部30と蓋材仮溶着部40は、図1に示されるように水平方向に配置されている。
【0029】
次に、蓋材装着装置1を用いて蓋材110が容器200に装着される工程を順に詳細に説明する。
【0030】
まず、図1に示すように、帯フィルム移送部60では、ロール巻きされたフィルムロール(図示せず)から、蓋材110の素材である帯フィルム100が矢印S1で示す方向に沿って移動することにより、蓋材打ち抜き部10へ移送される。
【0031】
次に、蓋材打ち抜き部10では蓋材110が帯フィルム100から打ち抜かれることによって得られる。
【0032】
図3は、図2に示された蓋材装着装置1における蓋材打ち抜き部10の概略的な構成を示す部分断面側面図である。
【0033】
図2と図3に示すように、蓋材打ち抜き部10は、下方に配置されたパンチ11と、上方に配置されたダイ12と、矢印Pで示される方向にパンチ11を昇降させる流体圧シリンダー13とから構成される。ダイ12は、上部ダイ12aと下部ダイ12bとから構成される。パンチ11が上部ダイ12aと下部ダイ12bとに案内されて、流体圧シリンダー13によって上下移動するように構成されている。打ち抜かれる帯フィルム100は、帯フィルム移送部60(図1)によって、上部ダイ12aと下部ダイ12bとの間に挿入されて移送される。
【0034】
一方、図1と図2に示すように、4個の蓋材吸引部20は、吸引ヘッド22と、吸引ヘッド22に取り付けられた吸引パッド21から真空吸引することができるように配置されたエア配管23とから構成されている。
【0035】
図2と図3に示すように、蓋材移送部30は、蓋材吸引部20を回転移動させるための回動アーム31と、回動アーム31を上下移動させるための伸縮ロッド32と、回動アーム31を回転させるための駆動源(図示せず)と、伸縮ロッド32を上下移動させるための流体圧シリンダー(図示せず)とから構成されている。
【0036】
蓋材吸引部20は、蓋材移送部30の回動アーム31に取り付けられている。また、回動アーム31は、伸縮ロッド32の周りを回動することができるように伸縮ロッド32に取り付けられている。このように構成されているので、蓋材移送部30は、4個の蓋材吸引部20を伸縮ロッド32の周りで回転移動するとともに、上下移動することができる。
【0037】
したがって、図1に示すように、4個の蓋材吸引部20は、蓋材移送部30によって矢印R1、R2、R3、R4で示される方向に回転することができる。また、図2に示すように、蓋材吸引部20は、蓋材移送部30の伸縮ロッド32が流体圧シリンダーによって矢印Qで示される方向に上下移動することにより、昇降することができる。なお、蓋材吸引部20は、ダイ12内に入って上下移動することができるように構成されている。
【0038】
上述のように構成された蓋材打ち抜き部10においては、パンチ11は、流体圧シリンダー13によってダイ12に向かって上方に移動し、上部ダイ12aと下部ダイ12bとに案内されてさらに上方に移動することによって、帯フィルム100から蓋材110を打ち抜く。このとき、ほぼ同時に、蓋材吸引部20は、ダイ12内に下降し、帯フィルム100から打ち抜かれた蓋材110をダイ12内で吸着して保持する。
【0039】
図4は、図3に示された蓋材打ち抜き部10において蓋材110が打ち抜かれて蓋材吸引部20によって吸着された状態を示す部分断面側面図である。
【0040】
図4に示すように、パンチ11は、上部ダイ12aと下部ダイ12bとに案内されてさらに上方に移動することによって、帯フィルム100から蓋材110を打ち抜く。この蓋材110の打ち抜きとほぼ同時に、蓋材吸引部20の吸引ヘッド22はダイ12内に下降することにより、吸引パッド21が蓋材110を吸着して保持する。
【0041】
なお、図8は、蓋材吸引部20の吸引パッド21の表面を示す図(A)と、図(A)のB−B線における部分断面を示す図(B)である。
【0042】
図8の(A)で示すように、吸引パッド21において蓋材110を吸着する側の表面には吸引溝21bが形成されている。吸引溝21bは、ほぼ同心円状に対向する二つの内周側壁と、これらの二つの内周側壁を結ぶ内周底壁とから形成されている。内周底壁には、多数個の吸引口21aが周方向に沿って配置されている。このように吸引パッド21を構成することにより、蓋材110の外周部を効果的に吸着することができるので、蓋材110を安定して保持することができる。なお、吸引パッド21の構成は、図8に示されるものに限定されることはなく、蓋材110を吸着する側の表面に多数の吸引口をランダムに配置してもよく、多数の円盤状のゴムパッドが配置され、これらのゴムパッド内に吸引口を配置してもよく、種々の形態が適用される。
【0043】
このようにして蓋材110を吸着して保持した蓋材吸引部20は、図1に示されるように、蓋材移送部30によって、矢印R1で示される方向に回転移動する。回転位置33では、蓋材吸引部20によって吸着されて保持された蓋材110の下方に向いた表面が真空ブロー等で吸塵されることによって清浄化される。
【0044】
一方、蓋材110が打ち抜かれて打ち抜き穴120を有する帯フィルム100は、図1に示されるように、帯フィルム移送部60によって矢印S2で示される方向に移送される。
【0045】
その後、蓋材110を吸着して保持した蓋材吸引部20は、図1に示されるように、蓋材移送部30によって、矢印R2で示される方向に回転移動し、蓋材仮溶着部40に位置付けられる。
【0046】
図5は、図2に示された蓋材装着装置1において蓋材移送部30によって蓋材110が容器200の上方に移送された状態を示す正面図である。
【0047】
図2と図5に示すように、蓋材仮溶着部40は、容器200の開口端面201に接触できるように配置された三本の棒状加熱ヘッド41(図1)と、棒状加熱ヘッド41を加熱するための熱源部42と、棒状加熱ヘッド41を矢印Wで示される方向に上下移動させるための伸縮ロッド44と、棒状加熱ヘッド41と伸縮ロッド44とを接続する支持アーム43と、伸縮ロッド44を上下移動させるための流体圧シリンダー(図示せず)とから構成されている。
【0048】
一方、図1に示すように、容器供給位置53にて回転テーブル51の容器載置プレート52に載せられた容器200は、容器移送部50によって、矢印R5で示される方向に回転することにより、仮溶着位置54に到着する。
【0049】
仮溶着位置54に到着した容器200は、まず、容器位置決め部70によって容器載置プレート52の上で位置決めされる。
【0050】
図1と図2に示すように、容器位置決め部70は、一対の開閉アーム71、72と、開閉アーム71、72を上下移動させるための伸縮ロッド73と、伸縮ロッド73を上下移動させるための流体圧シリンダー(図示せず)とから構成されている。
【0051】
伸縮ロッド73によって下降した一対の開閉アーム71、72は閉じることにより、仮溶着位置54に到着した容器200をつかむ。これにより、容器200が容器載置プレート52の上で位置決めされる。このとき、一対の開閉アーム71、72の中心位置が、蓋材吸引部20の吸引パッド21の中心位置が合致するように、蓋材吸引部20、回転テーブル51の容器載置プレート52、容器位置決め部70が配置されている。このようにして、蓋材吸引部20の吸引パッド21に吸着されて保持された蓋材110と、容器位置決め部70によって位置付けられた容器200の開口端面201とを整合させることができる。
【0052】
その後、蓋材吸引部20が下降することにより、吸引パッド21が容器200の開口端面201の直上近傍まで下方移動する。これにより、蓋材110は容器200の開口端面201の直上で蓋材吸引部20によって吸着されて保持された状態で維持される。
【0053】
図6は、図2に示された蓋材装着装置1において蓋材吸引部20によって吸着された蓋材110が容器200の開口端面201まで下降した状態を示す正面図である。
【0054】
そして、伸縮ロッド44を下降させることにより、3本の棒状加熱ヘッド41が下方移動する。このとき、棒状加熱ヘッド41の先端部は、容器200の開口端面201の直上で蓋材吸引部20によって吸着されて保持された状態の蓋材110の周縁部を、容器200の開口端面201の周縁部に接触させて押圧する。この状態で、蓋材110が棒状加熱ヘッド41の先端部によって加熱されることによって、蓋材110の周縁部の3点が容器200の開口端面201に仮溶着される。仮溶着条件は、棒状加熱ヘッド41の先端部によって蓋材110が加熱される時間、その加熱によって得られる蓋材110の温度、接触圧力(押圧力)によって制御される。なお、棒状加熱ヘッド41は、蓋材110の周縁部の3点以上を容器200の開口端面201に仮溶着するために3本以上配置されてもよい。
【0055】
図7は、図2に示された蓋材装着装置1において蓋材仮溶着部40によって蓋材110が容器200の開口端面201に溶着されている状態を示す正面図である。
【0056】
図2と図7に示されるように、蓋材仮溶着部40の3本の棒状加熱ヘッド41は、蓋材吸引部20と容器200の開口端面201の上方で昇降する。このとき、図1に示すように3本の棒状加熱ヘッド41で囲まれた領域の中心を含み、かつ、3本の棒状加熱ヘッド41と接触しない領域内で、蓋材吸引部20が、容器200の開口端面201の上方で昇降するように構成されている。
【0057】
また、蓋材移送部30は、図1に示されるように矢印R1、R2で示される方向に蓋材吸引部20を蓋材打ち抜き部10から蓋材仮溶着部40まで回転移動させる。この場合、蓋材移送部30は、容器200の開口端面201に固着される側の蓋材110の表面を下方に向けた状態で蓋材110を吸着して保持するように蓋材吸引部20を容器200の上方に移送する。
【0058】
上述のようにして、蓋材仮溶着部40によって、蓋材110が容器200の開口端面201に仮に溶着された後、図6に示す位置に棒状加熱ヘッド41が伸縮ロッド44の上方移動により上昇する。その後、または、棒状加熱ヘッド41の上昇と同時に、蓋材吸引部20の吸引パッド21の真空状態が破壊される。そして、容器位置決め部70の開閉アーム71、72が伸縮ロッド73の上方移動により上昇する。
【0059】
その後、図5に示す位置に蓋材吸引部20が蓋材移送部30の伸縮ロッド32の上方移動により上昇する。そして、図1に示すように蓋材吸引部20が蓋材移送部30の回動アーム31の回動により、矢印R3、R4で示される方向に回転移動して、蓋材打ち抜き部10の位置まで戻される。これと同時に、新たな蓋材110を吸着して保持した蓋材吸引部20が蓋材移送部30の回動アーム31の回動により、矢印R1、R2で示される方向に回転移動して、回転位置33で吸塵された後、蓋材仮溶着部40の位置に移動する。
【0060】
一方、開口端面201に蓋材110が仮溶着された容器200は、図1に示すように容器移送部50の回転テーブル51が矢印R6で示される方向に回転することにより、本溶着位置55に移送され、蓋材本溶着部(図示せず)によって、蓋材110が開口端面201に固着される。なお、図1に示すように蓋材110は、手で簡単に引き剥がすことができるように摘み部111を有する。
【0061】
蓋材110が固着された容器200は、図1に示すように容器移送部50の回転テーブル51がさらに回転することにより、容器排出位置56にて容器載置プレート52から取り除かれる。
【0062】
以上の工程を繰り返すことにより蓋材110を容器200に装着する工程が行われる。
【0063】
要約すると、この発明の一つの実施の形態の蓋材装着装置1では、まず、蓋材吸引部20が、蓋材打ち抜き部10で帯フィルム100から蓋材110を打ち抜くのとほぼ同時に、その打ち抜かれた蓋材110を吸着して保持する。次に、蓋材移送部30は、蓋材吸引部20を容器200の上方に移送するので、蓋材打ち抜き部10で打ち抜かれた状態のままで蓋材110が容器200の上方に移送される。そして、蓋材仮溶着部40は、蓋材110を容器200の開口端面201に固着する前に、容器200の上方に移送された蓋材吸引部20によって吸着されて保持された状態で、蓋材110を容器200の開口端面201に仮に溶着する。このようにして、蓋材110は、帯フィルム100から打ち抜かれたときに蓋材吸引部20で保持された一定の位置を維持して、容器200の上方に移送され、そして、吸着されて保持された状態で容器200の開口端面201に仮に溶着された後に、本溶着として最終的に容器200の開口端面201に固着される。このため、蓋材110が容器200の開口端面201の外周縁からはみ出すことがないように、蓋材110をぴったりと容器200の開口端面201に固着することができる。すなわち、打ち抜き、保持、移送、仮溶着まで、蓋材110が一定の位置で保持されるので、蓋材110が容器200の開口端面201の外周縁からはみ出すことがないように蓋材110を容器200の開口端面201に固着することができる。
【0064】
また、この発明の一つの実施の形態の蓋材装着装置1において、蓋材打ち抜き部10は、下方に配置されたパンチ11と、上方に配置されたダイ12とを含むので、パンチ11で打ち抜かれた蓋材110を、パンチ11の上方の位置で蓋材吸引部20が吸着することによって、打ち抜き後に位置がずれないように蓋材110を容易に保持することができる。
【0065】
上記のように構成された蓋材装着装置1において、蓋材吸引部20は、パンチ11がダイ12に向かって上方に移動することによって帯フィルム100から打ち抜かれた蓋材110をダイ12内で吸着して保持する。これにより、パンチ11で打ち抜かれた蓋材110をそのままダイ12内で吸着して保持することができるので、打ち抜かれた蓋材110の位置がダイ12内でずれるのを効果的に防止することができる。
【0066】
また、この発明の一つの実施の形態の蓋材装着装置1において、蓋材打ち抜き部10と蓋材移送部30と蓋材仮溶着部40とは、水平方向に配置されている。これにより、打ち抜かれた蓋材110は、蓋材打ち抜き部10から、容器200の開口端面201の上方まで水平方向に移送されるので、打ち抜かれた蓋材110の表面への異物の付着、ひいては蓋材110で覆われる容器200の開口部への異物混入を効果的に防止することができる。
【0067】
さらに、この発明の一つの実施の形態の蓋材装着装置1において、蓋材移送部30は、容器200の開口端面201に固着される側の蓋材110の表面を下方に向けた状態で蓋材110を吸着して保持するように蓋材吸引部20を容器200の上方に移送する。このようにして、打ち抜かれた蓋材110は、容器200の開口端面201に固着される側の蓋材110の表面を下方に向けた状態で、蓋材打ち抜き部10から、容器200の開口端面201の上方まで移送される。これにより、打ち抜かれた蓋材110の表面への異物の付着、ひいては蓋材110で覆われる容器200の開口部への異物混入を効果的に防止することができるだけでなく、容器200の開口端面201に固着される側の蓋材110の表面を真空ブロー等によって吸塵することにより、蓋材110の表面を清浄化することができる。
【0068】
この発明の一つの実施の形態の蓋材装着装置1において、蓋材仮溶着部40は、蓋材吸引部20によって吸着されて保持された蓋材110の周縁部に接触して、蓋材110の周縁部を容器200の開口端面201に溶着することができるように、蓋材吸引部20と容器200の開口端面201の上方で昇降する複数の棒状加熱ヘッド41を含む。これにより、蓋材吸引部20が蓋材110を吸着して保持した状態のままで、複数の棒状加熱ヘッド41が下降することにより、蓋材110の周縁部に接触して、蓋材110の周縁部を加熱して容器200の開口端面201に溶着することができる。すなわち、蓋材110を吸着保持した状態のままで、蓋材110の周縁部を加熱して溶着することができる。
【0069】
上記のように構成された蓋材装着装置1において、蓋材仮溶着部40では、複数の棒状加熱ヘッド41で囲まれた領域の中心を含みかつ複数の棒状加熱ヘッド41と接触しない領域内で、蓋材吸引部20が、容器200の開口端面201の上方で昇降するように構成されている。これにより、棒状加熱ヘッド41と蓋材吸引部20が干渉しないように構成することができるとともに、蓋材110が十分に吸着されて保持された状態で蓋材110を容器200の開口端面201に溶着することができる。
【0070】
なお、この発明の一つの実施の形態の蓋材装着装置1において、蓋材仮溶着部40は、容器200を位置付けるための容器位置決め部70を含み、蓋材吸引部20によって吸着されて保持された蓋材110と、容器位置決め部70によって位置付けられた容器200の開口端面201とが整合するように、蓋材吸引部20と容器位置決め部70とが配置されている。これにより、蓋材吸引部20と容器位置決め部70のそれぞれの中心等の基準点を一致させることによって、蓋材110と容器200の開口端面201とを整合させることができる。
【0071】
以上のようにして、蓋材110が容器200の開口端面201の外周縁からはみ出すことがないように、蓋材110をぴったりと容器200の開口端面201に固着することができるので、蓋材110が装着された容器200の美観を向上させることが可能となる。
【0072】
なお、上記の実施の形態においては、蓋材110の素材としてロール巻きされた帯フィルム100が用いられているが、少なくとも打ち抜き後、自動化ラインにて蓋材110を蓋材仮溶着部40に供給することができるのであれば、蓋材110の素材は帯フィルム110に限定されず、種々の形態の板状フィルム等でもよい。
【0073】
また、上記の実施の形態においては、容器200は、回転テーブル51を用いた容器移送部50によって、容器供給位置53、仮溶着位置54、本溶着位置55、容器排出位置56に移送されているが、回転テーブル51を用いないで、容器200をスライド移動させる等の種々の形態で移送されてもよい。
【0074】
さらに、上記の実施の形態においては、蓋材110は、上下移動および回転移動によって、蓋材仮溶着部40に移送しているが、スライド移動、反転移動等の種々の形態で移送されてもよい。
【0075】
蓋材110を本溶着する方法は、ベルト式ヒートシール方式、高周波電磁誘導方式、超音波方式等の方法を採用してもよく、ヒートシールの回数も限定されるものではない。上記の実施の形態では、溶着方法として熱源接触方式のヒートシールを採用している。これは、温度、圧力、時間というシール条件の三要素を設定、調整することが容易であり、また装置のコストが安価であることによる。
【0076】
蓋材110の素材や構成は、限定されることはなく、医薬品、化粧品、芳香剤、食品等を充填するための成型カップ等の容器の開口端面に溶着することができるものであればよい。たとえば、蓋材110の素材や構成としては、合成樹脂フィルム、アルミニウム箔等の金属箔、紙や合成樹脂フィルムの積層体、アルミニウム箔を介在した紙や合成樹脂フィルムの積層体等を挙げることができる。
【0077】
また、蓋材110を容器200の開口端面201から簡単に手で引っ張って剥がすことができるようにするための蓋材110の形態は、凝集剥離、界面剥離、層間剥離のいずれを採用してもよく、上記のいずれかの形態に応じて、蓋材110と容器200の素材や構成の組み合わせが選ばれる。また、容器200がガラス製等の場合には、蓋材110は表面にホットメルト接着剤が付着されたものを用いてもよい。さらに、蓋材110は、インナー包装材として用いられてもよく、アウター包装材として用いられてもよい。
【0078】
容器200を回転テーブル51の容器供給位置53に供給する方法や、容器排出位置56から取り除く方法については、作業者が手で容器200を置く、または取り除くようにしてもよく、機械を用いて自動的に容器200の供給と除去を行ってもよい。
【0079】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考慮されるべきである。本発明の範囲は以上の実施の形態ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての修正と変形を含むものであることが意図される。
【図面の簡単な説明】
【0080】
【図1】本発明の一つの実施の形態として蓋材装着装置の概略的な構成を示す平面図である。
【図2】本発明の一つの実施の形態として蓋材装着装置の概略的な構成を示す正面図である。
【図3】図2に示された蓋材装着装置における蓋材打ち抜き部の概略的な構成を示す部分断面側面図である。
【図4】図3に示された蓋材打ち抜き部において蓋材が打ち抜かれて蓋材吸引部によって吸着された状態を示す部分断面側面図である。
【図5】図2に示された蓋材装着装置において蓋材移送部によって蓋材が容器の上方に移送された状態を示す正面図である。
【図6】図2に示された蓋材装着装置において蓋材吸引部によって吸着された蓋材が容器の開口端面まで下降した状態を示す正面図である。
【図7】図2に示された蓋材装着装置において蓋材仮溶着部によって蓋材が容器の開口端面に溶着されている状態を示す正面図である。
【図8】蓋材吸引部の吸引パッドの表面を示す図(A)と、図(A)のB−B線における部分断面を示す図(B)である。
【符号の説明】
【0081】
1:蓋材装着装置、10:蓋材打ち抜き部、11:パンチ、12:ダイ、20:蓋材吸引部、30:蓋材移送部、40:蓋材仮溶着部、41:棒状加熱ヘッド、70:容器位置決め部、100:帯フィルム、110:蓋材、200:容器、201:開口端面。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器の開口端面に蓋材を固着するための蓋材装着装置であって、
フィルム素材から蓋材を打ち抜く蓋材打ち抜き部と、
前記蓋材打ち抜き部でフィルム素材から蓋材を打ち抜くのとほぼ同時に、その打ち抜かれた蓋材を吸着して保持する蓋材吸引部と、
前記蓋材吸引部を容器の上方に移送する蓋材移送部と、
蓋材を容器の開口端面に固着する前に、容器の上方に移送された前記蓋材吸引部によって吸着されて保持された状態で、蓋材を容器の開口端面に仮に溶着する蓋材仮溶着部と、
を備える、蓋材装着装置。
【請求項2】
前記蓋材打ち抜き部は、下方に配置されたパンチと、上方に配置されたダイとを含む、請求項1に記載の蓋材装着装置。
【請求項3】
前記蓋材吸引部は、前記パンチが前記ダイに向かって上方に移動することによってフィルム素材から打ち抜かれた蓋材を前記ダイ内で吸着して保持する、請求項2に記載の蓋材装着装置。
【請求項4】
前記蓋材打ち抜き部と、前記蓋材移送部と、前記蓋材仮溶着部とは、水平方向に配置されている、請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載の蓋材装着装置。
【請求項5】
前記蓋材移送部は、容器の開口端面に固着される側の蓋材の表面を下方に向けた状態で蓋材を吸着して保持するように前記蓋材吸引部を容器の上方に移送する、請求項1から請求項4までのいずれか1項に記載の蓋材装着装置。
【請求項6】
前記蓋材仮溶着部は、前記蓋材吸引部によって吸着されて保持された蓋材の周縁部に接触して、蓋材の周縁部を容器の開口端面に溶着することができるように、前記蓋材吸引部と容器の開口端面の上方で昇降する複数の棒状加熱ヘッドを含む、請求項1から請求項5までのいずれか1項に記載の蓋材装着装置。
【請求項7】
前記蓋材仮溶着部では、前記複数の棒状加熱ヘッドで囲まれた領域の中心を含みかつ前記複数の棒状加熱ヘッドと接触しない領域内で、前記蓋材吸引部が、容器の開口端面の上方で昇降するように構成されている、請求項6に記載の蓋材装着装置。
【請求項8】
前記蓋材仮溶着部は、容器を位置付けるための容器位置決め部を含み、前記蓋材吸引部によって吸着されて保持された蓋材と、前記容器位置決め部によって位置付けられた容器の開口端面とが整合するように、前記蓋材吸引部と前記容器位置決め部とが配置されている、請求項7に記載の蓋材装着装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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