説明

蓋留め具

【課題】インスタント食品の味を損なわせることなく調理することができ、製造コストを抑えることができる蓋留め具を提供する。
【解決手段】薄板状に形成された蓋押さえ部12と、この蓋押さえ部12の縁寄りに形成された複数のクリップ部11とから構成し、蓋押さえ部12とクリップ部11とを可撓性素材で形成し、径方向に周回する鍔2aを形成した開口縁2bを有するインスタント食品用容器1を閉じる蓋3を、蓋押さえ部12で押さえるとともに、縁寄りの基部11aから中心に向けて自由端部11bを形成するスリットを設けて形成したクリップ部11の復元力により蓋押さえ部12と鍔2aとで挟んで開口縁2bに留めるようにして蓋留め具10を構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カップ麺などの容器の蓋を押さえて留める蓋留め具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、カップ麺などのインスタント食品を調理する際に、インスタント食品が入った容器に注いだ熱湯の湯気が逃げないように、閉じた蓋を留めるカップ麺蓋閉じハサミ具が下記特許文献1に提案されている。
【0003】
上記のカップ麺蓋閉じハサミ具は、硬鋼線バネを挾む下側ア−ム先端内側に突起を、上側アーム先端内側に滑り止めをそれぞれ設けて、これらの先端同士でカップ麺の容器の縁と蓋のつまみ用取っ手とを挟み込む用途に使われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第4665745号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、上記したカップ麺蓋閉じハサミ具には、以下のような課題がある。
このカップ麺蓋閉じハサミ具によれば、カップ麺の容器を周回する縁と蓋とを一点で挟み込むことになるため、周辺の縁と蓋との間から湯気が逃げて、インスタント食品の仕上がりに斑を生じさせ、味が損なわれる場合がある。また、挟み込むために硬鋼線バネを用いるため、部品点数が増え、製造コストがかかる。
【0006】
本発明は、上記の実情に鑑みて提案されたものである。すなわち、インスタント食品の味を損なわせることなく調理することができ、製造コストを抑えることができる蓋留め具の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明は、薄板状に形成された蓋押さえ部と、この蓋押さえ部の縁寄りに形成された複数のクリップ部と、から構成され、前記蓋押さえ部と前記クリップ部とは、可撓性素材により形成され、径方向に周回する鍔が形成された開口縁を有するインスタント食品用容器を閉じる蓋を、前記蓋押さえ部で押さえるとともに、前記クリップ部の復元力により前記蓋押さえ部と前記鍔とで挟んで前記開口縁に留めたことを特徴としている。
【0008】
また、薄板状に形成された蓋押さえ部と、この蓋押さえ部の縁寄りに形成された複数のクリップ部と、から構成され、前記蓋押さえ部と前記クリップ部とは、可撓性素材により形成され、開口縁を有するインスタント食品用容器を閉じる蓋を、前記蓋押さえ部で押さえ、前記インスタント食品用容器の側面を、前記クリップ部の復元力により挟んだことを特徴としている。
【0009】
また、前記クリップ部は、前記縁寄りを基部とし、この基部から中心に向けて自由端部を形成するスリットが設けられて形成されたことを特徴としている。
【0010】
また、前記クリップ部の先端形状は、前記インスタント食品用容器の側面形状に対応していることを特徴としている。
【発明の効果】
【0011】
本発明に係る蓋留め具によれば、インスタント食品の味を損なわせることなく調理することができ、製造コストを抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の実施形態に係る蓋留め具の平面図である。
【図2】本発明の実施形態に係る蓋留め具の使用状態を示す斜視図である。
【図3】本発明に係る蓋留め具の使用状態を説明する縦断面図であり、(a)は図2のIIIa―IIIa断面説明図、(b)は他の実施形態の断面説明図である。
【図4】本発明に係る蓋留め具の変形例を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
図1、図2において、本実施形態に係る蓋留め具10は、薄板状に形成された蓋押さえ部12と、この蓋押さえ部12の縁寄りに形成されたクリップ部11とから構成され、インスタント食品用容器1に取り付けられている。インスタント食品用容器1は、底面と、この底面から拡径して立設された側面1aとで略円筒状に形成された容器本体と、この容器本体の開口部で径方向に周回する鍔2aが形成された開口縁2bとから構成されている。開口縁2bには蓋3が備えられている。この蓋3は開口縁2bから一旦剥離されて図示しないインスタント食品が収納された内部に湯が注がれた後、蓋留め具10によって開口縁2bに留められている。
【0014】
蓋留め具10は、可撓性素材で構成されている。例えば、ポリプロピレン(PP)やポリエチレンテレフタラート(PET)などの合成樹脂系素材、合成紙、PPまたはPETと紙との多層構造素材、シリコンなどのゴム素材、その他コルクなどで形成されている。蓋留め具10の厚さは、蓋留め具10がPETから成形されているのであれば撓らせ易さから0.2mm程度が好ましいが、クリップ部11を適度に撓らせられる範囲で変更することができる。また、蓋留め具10の大きさは、クリップ部11を撓らせて開口縁2bを挟める構成であれば、インスタント食品用容器の大きさに応じて適宜変更することができる。
【0015】
蓋押さえ部12は、インスタント食品用容器1を閉じる蓋3に内接されるような略四角形に形成されている。蓋留め具10が蓋3の面上に載置されたとき、蓋押さえ部12は対面した蓋3の全体を開口縁2bに押さえ付けている。
【0016】
クリップ部11は、蓋押さえ部12と同一面上の縁寄りから中心に向かって設けられた略凸状のスリットにより形成されている。クリップ部11は、蓋押さえ部12の縁寄りである基部11aと、この基部11aから先端部11cに至るまでの自由端部11bとから構成されている。クリップ部11は、蓋押さえ部12の一対の対角に形成され、基部11a同士の間隔が鍔2aの外径より大きく、先端部11c同士の間隔が開口縁2bの内径より小さい。クリップ部11は、自由端部11bが基部11aを支点に蓋3側へ撓って鍔2aの下側に係止され、可撓性素材に基づく復元力によって、蓋3を蓋押さえ部12と鍔2aとで挟み込んで開口縁2bに押え付けて留めている。先端部11cは、インスタント食品用容器1の側面1aの周面に沿って基部11a側に湾曲した弧状に形成され、側面1aに嵌合している。
【0017】
次に、本実施形態に係る蓋留め具10の取り付け方の一例を説明する。
【0018】
図2、図3(a)において、蓋留め具10を、蓋押さえ部12でインスタント食品用容器1を閉じる蓋3の全面を覆うように載置し、蓋3を押える。ここで、蓋押さえ部12に形成されたクリップ部11は、基部11a同士の間隔が鍔2aの外径より大きく、先端部11c同士の間隔が開口縁2bの内径より小さい。したがって、留め具10は、基部11aが開口縁2bの外側に、先端部11cが開口縁2bの内側に、かつ、自由端部11bが開口縁2bを外側から内側へ跨ぐように、蓋3上に配置される(図1参照)。
【0019】
クリップ部11が形成された蓋押さえ部12の対角を中央に向けて捻り、立ち上がらせる。このとき、自由端部11bは、基部11aを支点に蓋3側へ撓り、先端部11cが開口縁2bの下側に係止される。蓋留め具10は可撓性素材で形成されているため、撓ったクリップ部11が、復元力により撓る前の状態に戻ろうとして、蓋3を蓋押さえ部12と鍔2aとで挟み込んで開口縁2bに押さえ付けて留める。
【0020】
上記のとおり、本実施形態に係る蓋留め具10は、薄板状に形成された蓋押さえ部12と、この蓋押さえ部12の縁寄りに形成された複数のクリップ部11とから構成されている。蓋押さえ部12とクリップ部11とは可撓性素材により形成されている。これにより、径方向に周回する鍔2aが形成された開口縁2bを有するインスタント食品用容器1を閉じる蓋3を、蓋押さえ部12で押さえるとともに、クリップ部11の復元力により蓋押さえ部12と鍔2aとで挟み込んで開口縁2bに押え付けて留めることができる。
したがって、薄板状の蓋押さえ部12で蓋3の全面を押さえるため、蓋3と開口縁2bとの間に隙間が生じることがなく、湯気が逃げてインスタント食品の仕上がりに斑が生じて味が損なわれることがない。
【0021】
また、クリップ部11は蓋押さえ部12の一対の対角に形成されている。
したがって、両側から二点で簡便かつ確実に蓋3を蓋押さえ部12と鍔2aとで挟み込んで開口縁2bに押さえ付けて留めることができる。なお、クリップ部は蓋押さえ部12の四隅の角すべてに形成してもよい。クリップ部を四隅の角に形成すれば、蓋3を四点で確実に留めることができる。
【0022】
また、クリップ部11の復元力によって蓋3が蓋押さえ部12と鍔2aとで挟み込まれて開口縁2bに押え付けられて留まる構成とした。
したがって、自重によらずに蓋3を開口縁2bに押さえ付けることができ、蓋留め具10を軽量化することができる。さらに、蓋留め具10は、クリップ部11が撓ることで、開口縁の鍔の厚さが異なる様々なインスタント食品用容器に対応することができる。
【0023】
また、本実施形態では、クリップ部11が、蓋留め具10の縁寄りを基部11aとし、この基部11aから中心に向けて自由端部11bを形成する略凸状のスリットにより設けられている。
したがって、自由端部11bを、基部11aを支点に蓋3側へ撓らせることができるため、バネなどの補助部品を用いることなく、構成を簡略化しつつ、低コスト化することができる。さらに、不使用時はクリップ部11が撓らず蓋留め具10と同一平面上に収められているため、収納性に優れている。
【0024】
また、本実施形態では、クリップ部11が、先端部11cがインスタント食品用容器1の側面1aの形状に沿って基部11a側に湾曲した弧状に形成されている。
したがって、先端部11cが側面1aに嵌合され、クリップ11は確実に開口縁2bを挟み込み、蓋3を開口縁2bに押さえ付けて留めることができる。なお、インスタント食品用容器の側面の形状が平坦であれば、先端部の形状を平坦としてもよい。
【0025】
次に、本発明の他の実施形態について、図3(b)に基づいて説明する。
【0026】
他の実施形態に係る蓋留め具100は、上記の実施形態と比べてクリップ部110の先端部110c同士の間隔が、インスタント食品用容器200に形成された開口縁20bの内径よりも、さらに狭く、すなわち、自由端部110bが長く形成されている。なお、他の構成は、上記の実施形態と同じであるため説明を省略する。
【0027】
次に、蓋留め具100の取り付け方の一例を説明する。
【0028】
クリップ部110が形成された蓋押さえ部120の対角を中央に向けて捻り、立ち上がらせる。このとき、自由端部110bは、基部110aを支点に蓋3側へ撓る。クリップ110が撓った状態で、蓋押さえ部120が蓋30の全面を覆うように載置する。蓋留め具100は可撓性素材で形成されているため、撓ったクリップ部110が復元力により撓る前の状態に戻ろうとしてインスタント食品用容器200の側面201を両側から挟み込む。蓋30は、側面201がクリップ部110同士で挟まれることで開口縁20bに留められる。
【0029】
上記のとおり、他の実施形態に係る蓋留め具100は、薄板状に形成された蓋押さえ部120と、この蓋押さえ部120の縁寄りに形成された複数のクリップ部110とから構成されている。蓋押さえ部120とクリップ部110とは、可撓性素材により形成されている。これにより、開口縁20bを有するインスタント食品用容器200を閉じる蓋30を、蓋押さえ部120で押さえ、クリップ部110の復元力によりインスタント食品用容器200の側面201を挟み込むことができる。
したがって、鍔が形成されていない開口縁20bを有するインスタント食品用容器200であっても、側面201を両側から挟むことで、蓋30が開かないように蓋押さえ部120で蓋30を押さえることができる。
【0030】
次に、本発明の実施形態の変形例について、図4に基づいて説明する。
【0031】
まず、図4(a)に示すように、蓋留め具の縁寄りに穴13を形成し、親指を挿入して引っ掛けることで、団扇として用いることができるような構成としてもよい。蓋留め具は、PPなどの素材で構成されているため適度に撓って扇ぐことができる。また、蓋留め具の形状は、インスタント食品用容器の形状に応じて円形などに変更することの他、多角形、星形(図4(b)参照)など任意の形状とすることなどもできる。
【0032】
また、図4(c)に示すように、クリップ部を、ハート型などその他の形状としてもよい。また、クリップ部を対辺に形成してもよい。
【0033】
以上、本発明の実施形態の一つを例示して詳述したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。そして本発明は、特許請求の範囲に記載された事項を逸脱することがなければ、種々の設計変更を行うことが可能である。
【0034】
使用例の一つとして、インスタント食品用容器1の開口縁2bから蓋3を全て剥離し、蓋留め具10を蓋代わりに、蓋押さえ部12で開口縁2bの全体を覆うことができる。
【0035】
また、他の使用例として、インスタント食品を食する際にインスタント食品用容器を置くトレイや、グラスなどを置くコースターなどとして用いることもできる。また、蓋留め具の薄板状面に広告を印刷することで販促品や広告物として用いることの他、絵や写真などの印刷を施してインテリアとして用いることなどもできる。
【符号の説明】
【0036】
1、200 インスタント食品用容器
1a、201 側面
2a 鍔
2b、20b 開口縁
3、30 蓋
10、100 蓋留め具
11、110、 クリップ部
11a、110a 基部
11b、110b 自由端部
11c、110c 先端部
12、120 蓋押さえ部
13 穴

【特許請求の範囲】
【請求項1】
薄板状に形成された蓋押さえ部と、この蓋押さえ部の縁寄りに形成された複数のクリップ部と、から構成され、
前記蓋押さえ部と前記クリップ部とは、可撓性素材により形成され、
径方向に周回する鍔が形成された開口縁を有するインスタント食品用容器を閉じる蓋を、前記蓋押さえ部で押さえるとともに、前記クリップ部の復元力により前記蓋押さえ部と前記鍔とで挟んで前記開口縁に留めた、
ことを特徴とする蓋留め具。
【請求項2】
薄板状に形成された蓋押さえ部と、この蓋押さえ部の縁寄りに形成された複数のクリップ部と、から構成され、
前記蓋押さえ部と前記クリップ部とは、可撓性素材により形成され、
開口縁を有するインスタント食品用容器を閉じる蓋を、前記蓋押さえ部で押さえ、前記インスタント食品用容器の側面を、前記クリップ部の復元力により挟んだ、
ことを特徴とする蓋留め具。
【請求項3】
前記クリップ部は、前記縁寄りを基部とし、この基部から中心に向けて自由端部を形成するスリットが設けられて形成された、
ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の蓋留め具。
【請求項4】
前記クリップ部の先端形状は、前記インスタント食品用容器の側面形状に対応している、
ことを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の蓋留め具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2013−18538(P2013−18538A)
【公開日】平成25年1月31日(2013.1.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−155624(P2011−155624)
【出願日】平成23年7月14日(2011.7.14)
【出願人】(503098791)株式会社トーツヤ・エコー (12)
【Fターム(参考)】