説明

蓋部材及び電子機器

【課題】 使い勝手の向上を図る。
【解決手段】 樹脂材料によって形成され、所定の部分を閉塞する蓋部14と、蓋部から突出され撮像装置1の筐体2に形成された支持孔11aに摺動自在に支持されたアーム部15とを設け、アーム部を所定の角度で屈曲する屈曲部15cを有する形状に形成した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は蓋部材及び電子機器についての技術分野に関する。詳しくは、蓋部材のアーム部に屈曲部を設けて蓋部材の開放時における使い勝手の向上を図る技術分野に関する。
【背景技術】
【0002】
ビデオカメラ等の各種の電子機器には、外部機器等が接続される接続端子が設けられ、接続端子が蓋部材(端子カバー蓋)によって閉塞されるものがある(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
このような蓋部材は、適度な強度と柔軟性を有する、例えば、エラストマーやポリプロピレン等の樹脂材料によって形成される。
【0004】
【特許文献1】特開2005−184669号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところが、特許文献1に記載された電子機器にあっては、蓋部材を開いたときに蓋部材が接続端子を閉塞する閉塞状態に弾性によって戻らないようにするために、蓋部材を手で押さえて開放状態に保持する必要がある。
【0006】
従って、接続端子に外部機器を接続する作業が行い難く、使い勝手が悪いと言う問題がある。
【0007】
そこで、本発明電子機器は、上記した問題点を克服し、使い勝手の向上を図ることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明蓋部材及び電子機器は、上記した課題を解決するために、所定の部分を閉塞する蓋部と、蓋部から突出され電子機器の筐体に形成された支持孔に摺動自在に支持されたアーム部とを設け、アーム部を所定の角度で屈曲する屈曲部を有する形状に形成したものである。
【0009】
従って、本発明蓋部材及び電子機器にあっては、蓋部材が開放時に屈曲部の屈曲方向へ開いた位置に保持される。
【発明の効果】
【0010】
本発明電子機器は、電子機器の所定の部分を開閉し樹脂材料によって形成された蓋部材であって、所定の部分を閉塞する蓋部と、蓋部から突出され電子機器の筐体に形成された支持孔に摺動自在に支持されたアーム部とを備え、アーム部を所定の角度で屈曲する屈曲部を有する形状に形成したことを特徴とする。
【0011】
従って、アーム部の屈曲部の屈曲方向に蓋部材が大きく開放され、接続端子に対する着脱作業時に蓋部を手で押さえておく必要がなく、作業性が向上し使い勝手の向上を図ることができる。
【0012】
請求項2に記載した発明にあっては、電子機器の所定の部分が蓋部に閉塞されたときに屈曲部が支持孔の内側開口縁に係合するようにしたので、閉塞状態において蓋部材にガタツキが生じ難く、閉塞状態の安定化を図ることができる。
【0013】
本発明撮像装置は、接続端子が配置された端子配置部が樹脂材料によって形成された蓋部材によって開閉される電子機器であって、蓋部材に、所定の部分を閉塞する蓋部と、蓋部から突出され電子機器の筐体に形成された支持孔に摺動自在に支持されたアーム部とを設け、アーム部を所定の角度で屈曲する屈曲部を有する形状に形成したことを特徴とする。
【0014】
従って、アーム部の屈曲部の屈曲方向に蓋部材が大きく開放され、接続端子に対する着脱作業時に蓋部を手で押さえておく必要がなく、作業性が向上し使い勝手の向上を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下に、本発明を実施するための最良の形態を添付図面に従って説明する。
【0016】
以下に示した最良の形態は、本発明をビデオカメラに適用したものである。尚、本発明の適用範囲はビデオカメラに限られることはなく、例えば、スチルカメラや画像を撮影する他の撮像装置等に広く適用することができる。
【0017】
以下の説明にあっては、ビデオカメラの撮影時において撮影者(使用者)から見た方向で前後上下左右の方向を示すものとする。従って、被写体側を前方とし、撮影者側を後方とする。尚、以下に示す前後上下左右の方向は説明の便宜上のものであり、本発明の実施に関しては、これらの方向に限定されることはない。
【0018】
撮像装置(電子機器であるビデオカメラ)1は筐体2の内外に所要の各部が配置されて成る(図1乃至図3参照)。
【0019】
撮像装置1は、装置本体3と該装置本体3に開閉自在かつ回動自在に連結された表示部4とを有している。
【0020】
装置本体3の前端部にはレンズバリヤー部5が設けられている。装置本体3は前後に長い形状に形成され、外周面が天面3aと底面3bと側面3c、3cとによって構成されている。装置本体3の内部には図示しない撮影用のレンズ、例えば、ズームレンズやフォーカスレンズが複数配置され、これらのレンズが前後方向に離隔して位置されている。従って、撮像装置1にあっては、レンズの光軸方向が前後方向とされている。
【0021】
天面3aの左右方向における中央部には前後に長い上側指宛凹部6が形成されている(図1及び図2参照)。天面3aには、上側指宛凹部6の真後ろの位置に複数の操作部7、7、・・・が配置されている。操作部7、7、・・・としては、例えば、ズーム摘子、静止画撮影用のシャッター釦、電源ダイヤル、録画モードと再生モードを切り替えるモード切替ダイヤル等が設けられている。
【0022】
後面3dの上端寄りの位置にも操作部7が設けられ、該操作部7は、例えば、動画撮影又はその停止を行うための釦である。
【0023】
底面3bの左右方向における中央部には前後に長い下側指宛凹部8が形成されている(図3参照)。底面3bには、下側指宛凹部8の近傍の位置に、三脚が取り付けられるネジ部9が設けられている。ネジ部9は雌ネジであり、下方に開口され筐体2の内部へ突出するように設けられている。
【0024】
装置本体3の右側の側面3cにはグリップベルト10が取り付けられている。
【0025】
使用者は、図4に示すように、グリップベルト10の内側に右手100を下側から通し、掌を装置本体3に押し宛てて把持する。このとき、例えば、親指101や人差し指102で操作部7、7、・・・を操作し、中指103、薬指104及び小指105の各指先を上側指宛凹部6に宛う。
【0026】
また、操作部7、7、・・・を操作しないときには、親指101を底面3bに形成された下側指宛凹部8に宛い、人差し指102、中指103、薬指104及び小指105の各指先を上側指宛凹部6に宛う。
【0027】
使用者は、図5に示すように、左手200の掌を装置本体3に押し宛てて把持することもできる。このとき、例えば、親指201や人差し指202で操作部7、7、・・・を操作し、中指203、薬指204及び小指205の各指先を上側指宛凹部6に宛う。
【0028】
また、操作部7、7、・・・を操作しないときには、親指201を底面3bに形成された下側指宛凹部8に宛い、人差し指202、中指203、薬指204及び小指205の各指先を上側指宛凹部6に宛う。
【0029】
このように撮像装置1にあっては、装置本体3の天面3aの左右方向における中央部に上側指宛凹部6を形成しているため、右手100と左手200の何れの手でも撮影時における良好な把持性を確保することができる。このような良好な把持性を確保することにより、特に、像ブレのない高画質の映像を撮影することができる。
【0030】
また、右手100と左手200の持ち替えに手間がかかることがないため、使い勝手の向上を図ることができる。
【0031】
さらに、底面3bの左右方向における中央部に指先が宛われる下側指宛凹部8を形成しているため、操作部7、7、・・・を使用しない状態において撮像装置1の安定した把持状態を確保することができる。
【0032】
加えて、上側指宛凹部6の後方に操作部7、7、・・・が設けられているため、安定した把持状態を確保した上で操作部7、7、・・・に対する操作性の向上を図ることができる。
【0033】
装置本体3の右側の側面3cにおける後端部には、図1に示すように、右方に開口された端子配置部11が形成され、該端子配置部11には接続端子12、12が設けられている(図1参照)。接続端子12、12は、例えば、テレビジョン等の外部機器との接続用の端子として用いられる。
【0034】
筐体2には端子配置部11と内部とを連通する支持孔11aが形成されている(図6及び図7参照)。支持孔11aは、例えば、左右に貫通されている。端子配置部11の前端部には係合凹部11bが形成されている。
【0035】
端子配置部11は蓋部材13によって開閉される。蓋部材13は、図6乃至図8に示すように、蓋部14と該蓋部14の内面における後端部から突出されたアーム部15と蓋部14の内面における前端部に設けられた係合突部16とが、例えば、エラストマーやポリプロピレン等の適度な強度と柔軟性を有する樹脂材料によって一体に形成されている。
【0036】
アーム部15は蓋部14から直交する方向へ突出された第1の部分15aと該第1の部分15aに対して屈曲された第2の部分15bとから成り、第1の部分15aと第2の部分15bの連続部分が屈曲部15cとして設けられている。第2の部分15bの先端部にはストッパー突片15dが設けられている。アーム部15は、第1の部分15aが左右に延びる状態において、第2の部分15bが後方へ折り曲げられる方向へ屈曲されている。
【0037】
蓋部材13は、端子配置部11を閉塞した閉塞状態において、図6に示すように、第1の部分15aが支持孔11aに挿通され、屈曲部15cが支持孔11aの内側開口縁に係合されている。このとき係合突部16が係合凹部11bに係合され、蓋部14の外周部が側面3cに密着された状態とされている。
【0038】
蓋部材13は、端子配置部11を開放した開放状態において、図7に示すように、第2の部分15bが左右に延びる状態で支持孔11aに挿通され、第1の部分15aが第2の部分15bから右斜め後方へ延びるように位置されている。従って、端子配置部11は大きく開放されている。このときアーム部15のストッパー突片15dが支持孔11aの内側開口縁に係合され、蓋部材13の筐体2からの脱落が防止されている。
【0039】
上記したように、撮像装置1にあっては、アーム部15に屈曲部15cを有する蓋部材13を用いているため、開放状態において端子配置部11が大きく開放されており、接続端子12、12に対する外部機器等の着脱作業時に蓋部14を手で押さえておく必要がなく、作業性が向上し使い勝手の向上を図ることができる。
【0040】
また、端子配置部11を閉塞した閉塞状態において、蓋部材13の屈曲部15cが支持孔11aの内側開口縁に係合されるため、閉塞状態において蓋部材13にガタツキが生じ難く、閉塞状態の安定化を図ることができる。
【0041】
筐体2の前面に設けられたレンズバリヤー部5は、ベース板17を備えている(図9及び図10参照)。
【0042】
ベース板17は外形が略円形状に形成された支持面部18と該支持面部18から下方へ突出されたケース部19とを有し、支持面部18の中央部に透過孔18aが形成されている。
【0043】
透過孔18aの中心Pは支持面部18の中心Qより稍上方に位置されている(図11参照)。従って、ベース板17にあっては、透過孔18aの中心Pが偏心されており、透過孔18aの下側の部分が光軸と直交する方向における幅が広い幅広部20として設けられ、透過孔18aの上側の部分が光軸と直交する方向における幅が狭い幅狭部21として設けられている。
【0044】
支持面部18の右端部には左右に貫通された摘子突出孔18bが形成されている(図9参照)。
【0045】
支持面部18における背面の幅広部20から右端部に亘る位置に、移動用凹部22が形成されている(図9乃至図11参照)。移動用凹部22は摘子突出孔18bに連通されている。支持面部18の背面には、透過孔18aを挟んだ左右の位置にそれぞれ後方へ突出された支持ピン18c、18dが設けられている。
【0046】
支持面部18の移動用凹部22には作動アーム23が上下方向へ移動自在に支持される。作動アーム23は略円弧状に形成されたリンク部24と該リンク部24の左端部に設けられた支持突部25とリンク部24から右方へ突出された被操作部26とから成る。支持突部25はリンク部24の後方に位置されている。リンク部24の右端部には連結溝24aが形成され、支持突部25の先端部には連結溝25aが形成されている。
【0047】
ケース部19の内部には図示しないマイクロフォンが配置される。
【0048】
ベース板17には第1の羽根27と第2の羽根28がそれぞれ回動自在に支持されている。
【0049】
第1の羽根27は羽根部27aと該羽根部27aの右端部から前方へ突出された連結部27bと羽根部27aの右端部から後方へ突出されたバネ掛けピン27cとから成る。第1の羽根27の右端寄りの位置には被支持孔27dが形成されている。
【0050】
第1の羽根27は被支持孔27dに支持ピン18cが挿入され、該支持ピン18cを支点としてベース板17に回動自在に支持される。第1の羽根27は連結部27bが作動アーム23の連結溝24aに挿入され、作動アーム23に対して回動可能とされる。
【0051】
第1の羽根27は回動支点(被支持孔27d)が連結部27bより内側に位置されている。従って、作動アーム23が下方へ移動されると第1の羽根27は略上方へ移動されるように回動され、作動アーム23が上方へ移動されると第1の羽根27は略下方へ移動されるように回動される。
【0052】
第2の羽根28は羽根部28aと該羽根部28aの左端寄りの位置から後方へ突出された連結部28bと羽根部28aの右端部から後方へ突出されたバネ掛けピン28cとから成る。第2の羽根28の左端部には被支持孔28dが形成されている。
【0053】
第2の羽根28は被支持孔28dに支持ピン18dが挿入され、該支持ピン18dを支点としてベース板17に回動自在に支持される。第2の羽根28は連結部28bが作動アーム23の連結溝25aに挿入され、作動アーム23に対して回動可能とされる。
【0054】
第2の羽根28は回動支点(被支持孔28d)が連結部28bより外側に位置されている。従って、作動アーム23が下方へ移動されると第2の羽根28は略下方へ移動されるように回動され、作動アーム23が上方へ移動されると第2の羽根28は略上方へ移動されるように回動される。
【0055】
ベース板17に作動アーム23、第1の羽根27及び第2の羽根28が支持された状態において、ベース板17に後方から押さえ板29が取り付けられる。従って、作動アーム23、第1の羽根27及び第2の羽根28はベース板17と押さえ板29の間で移動可能な状態で保持される。
【0056】
押さえ板29の右端側の部分には連結用切欠29aと連結用孔29bが形成され、連結用切欠29aと連結用孔29bの縁部にそれぞれ後方へ突出されたバネ掛け片29c、29dが設けられている。
【0057】
第1の羽根27のバネ掛けピン27cと押さえ板29のバネ掛け片29cとの間には連結用切欠29aを通ってトグルバネ30が支持され、第2の羽根28のバネ掛けピン28cと押さえ板29のバネ掛け片29dとの間には連結用孔29bを通ってトグルバネ31が支持される。従って、第1の羽根27と第2の羽根28は各回動方向においてそれぞれトグルバネ30、31によって付勢される。
【0058】
押さえ板29の後方からは取付板32が押さえ板29とベース板17に取り付けられ、押さえ板29とベース板17が固定される。
【0059】
レンズバリヤー部5において、使用者によって被操作部26が、例えば、下方へ操作されて作動アーム23が下方へ移動されると、図12に示すように、第1の羽根27が略上方へ移動されるように回動されると共に第2の羽根28が略下方へ移動されるように回動され、透過孔18aが開放される。第1の羽根27と第2の羽根28によって透過孔18aが開放された状態においては、第1の羽根27と第2の羽根28がそれぞれトグルバネ30、31によって互いに遠去かる方向へ付勢され、羽根部27a、28aがベース板17の一部に接触しガタツキがない状態で保持される。
【0060】
一方、使用者によって、被操作部26が上方へ操作されて作動アーム23が上方へ移動されると、図13に示すように、第1の羽根27が略下方へ移動されるように回動されると共に第2の羽根28が略上方へ移動されるように回動され、透過孔18aが閉塞される。第1の羽根27と第2の羽根28によって透過孔18aが閉塞された状態においては、第1の羽根27と第2の羽根28がそれぞれトグルバネ30、31によって互いに近付く方向へ付勢され、羽根部27a、28aが接触しガタツキがない状態で保持される。
【0061】
上記したように、撮像装置1にあっては、作動アーム23のみによって第1の羽根27と第2の羽根28を動作させるようにしているため、部品点数の削減及び機構の簡素化を図ることができる。
【0062】
また、作動アーム23が円環状に形成されていないため、作動アーム23の移動スペースとして透過孔18aの全周を必要とせず、その分、移動スペースの低減による撮像装置1の小型化を図ることができる。
【0063】
さらに、作動アーム23がベース板17の外周側において直線移動されるため、作動アーム23の移動スペースが小さくて済み、撮像装置1の一層の小型化を図ることができる。
【0064】
さらにまた、レンズバリヤー部5にあっては、第1の羽根27と第2の羽根28をそれぞれ開放方向及び閉塞方向へ付勢するトグルバネ30、31を設けているため、透過孔18aが開放された状態及び閉塞された状態の何れの状態においても第1の羽根27と第2の羽根28にガタツキや揺れが発生することがなく、透過孔18aが開放された状態及び閉塞された状態を確実に保持することができる。
【0065】
尚、上記したように、トグルバネ30、31を透過孔18aの外周側における一方の側(右側)に配置することにより、トグルバネ30、31が配置されないスペースを他の部品の配置スペースとして利用することができ、撮像装置1の小型化を図ることができる。
【0066】
加えて、レンズバリヤー部5にあっては、透過孔18aの中心Pをベース板17の中心Qに対して偏心させて作動アーム23の移動スペースとなる幅広部20を形成しているため、レンズバリヤー部5を大型化することなく作動アーム23の移動スペースを容易に確保することができる。
【0067】
装置本体3の前面3eにはレンズバリヤー部5の側方の位置に、赤外線発光部3fが設けられている(図1及び図5参照)。赤外線発光部3fは、被操作部26が操作されず透過孔18aが第1の羽根27と第2の羽根28によって閉塞されている状態において、被操作部26によって前面側から遮蔽されている(図1参照)。
【0068】
一方、赤外線発光部3fは、被操作部26が操作され透過孔18aが開放されている状態において、被操作部26によって遮蔽されない(図5参照)。従って、赤外線発光部3fは、不使用時には被操作部26によって前面側から遮蔽され、使用時にのみ開放されるため、赤外線発光部3fの保護を図ることができる。
【0069】
装置本体3の後面3dには凹状に形成されたバッテリー装着部33が形成されている(図14参照)。バッテリー装着部33の左右両側部には後述するバッテリーを取り付けるための装着用突部33a、33a、・・・が設けられている。
【0070】
バッテリー装着部33の下端部には前後に貫通されたレバー支持孔33bが形成されている(図15参照)。
【0071】
レバー支持孔33bにはロックレバー34が前後方向へ移動自在に支持されている。ロックレバー34はロック部35と該ロック部35の後端に連続され下方に開口された凹状に形成された連結用凹部36とから成る。連結用凹部36の後端部には案内用傾斜面36aが形成されている。案内用傾斜面36aは後方へ行くに従って上方へ変位するように傾斜されている。
【0072】
ロックレバー34はロック部35がレバー支持孔33bに対して摺動される。ロックレバー34は、連結用凹部36が筐体2の後面壁に接する位置まで後方へ移動可能とされ、連結用凹部36が図示しないストッパーに接する位置まで前方へ移動可能とされる。
【0073】
筐体2の下面側は開口され、この開口は筐体2に着脱可能とされた開閉蓋37によって開閉される。開閉蓋37は筐体2の内部における下端部に配置された後述するハードディスクドライブの取出又は取付等を行うための蓋である。
【0074】
開閉蓋37の後端部には上下に貫通されたスライド支持孔37aが形成され、該スライド支持孔37aにリリースレバー38が前後方向へ移動自在に支持されている。リリースレバー38は略平板状に形成されたスライド操作部39と該スライド操作部39の後端部から上方へ突出された連結用突部40とから成り、該連結用突部40の上端部には案内用傾斜面40aが形成されている。案内用傾斜面40aは前方へ行くに従って上方へ変位するように傾斜されている。
【0075】
リリースレバー38は開閉蓋37の外面側と内面側に跨った状態で支持され、開閉蓋37の内面に取り付けられた押さえ部材41によって押さえられている。
【0076】
リリースレバー38が開閉蓋37に支持された状態において、リリースレバー38と開閉蓋37との間に圧縮コイルバネ42が支持される。従って、リリースレバー38は圧縮コイルバネ42によって後方へ付勢される。
【0077】
開閉蓋37が取り外された状態においては、ロックレバー34とリリースレバー38は連結されていない(図16参照)。
【0078】
開閉蓋37が取り付けられるときには、図17に示すように、リリースレバー38の案内用傾斜面40aがロックレバー34の案内用傾斜面36aと摺接され、リリースレバー38の連結用突部40がロックレバー34の連結用凹部36に挿入されて嵌合され両者が連結される(図15参照)。
【0079】
リリースレバー38とロックレバー34が連結されると、ロックレバー34にはリリースレバー38を介して圧縮コイルバネ42の付勢力が付与され、ロックレバー34が後方へ付勢されてロック部35がレバー支持孔33bから後方へ突出された状態が保持される。
【0080】
開閉蓋37が筐体2に取り付けられた状態において、バッテリー300が、例えば、下方からバッテリー装着部33に対してスライドされていくと、図18に示すように、バッテリー300によってロックレバー34が圧縮コイルバネ42の付勢力に抗してリリースレバー38と一体となって前方へ移動される。
【0081】
バッテリー300をさらに上方へスライドさせると、図19に示すように、バッテリー300の装着片300a、300a、・・・にそれぞれ装着用突部33a、33a、・・・が係合され、圧縮コイルバネ42の付勢力によってロックレバー34のロック部35がバッテリー300に形成されたロック用凹部300bに挿入される。従って、バッテリー300はロックレバー34にロックされた状態でバッテリー装着部33に装着される。
【0082】
バッテリー300のバッテリー装着部33からの取り外しは、リリースレバー38を前方へスライド操作してロックレバー34によるバッテリー300のロック状態を解除し、バッテリー300を下方へスライドすることにより行うことができる。
【0083】
開閉蓋37の取付としては、例えば、図20に示すように、開閉蓋37に取付突部37b、37b、・・・を設け、筐体2に取付凹部2a、2a、・・・を形成し、取付突部37b、37b、・・・をそれぞれ取付凹部2a、2a、・・・に係合することにより行うことができる。尚、逆に、開閉蓋37に取付凹部を形成し、筐体2に取付突部を設け、両者を係合することにより開閉蓋37を取り付けることもできる。
【0084】
また、図21に示すように、開閉蓋37を筐体2にヒンジ機構43を介して開閉可能に連結し、ヒンジ機構43が設けられた側と反対側にロック片37cや係合片37cを設け、筐体2にロック用凹部2bや係合用凹部2bを形成し、ロック片37c又は係合片37cをロック用凹部2b又は係合用凹部2bに係合することにより行うことができる。尚、逆に、開閉蓋37にロック用凹部又は係合用凹部を形成し、筐体2にロック片又は係合片を設け、両者を係合することにより開閉蓋37を取り付けることもできる。
【0085】
上記したように、撮像装置1にあっては、バッテリー装着部33に支持されたロックレバー34と開閉蓋37に支持されたリリースレバー38とを設け、開閉蓋37が筐体2に取り付けられるときに、同時に、ロックレバー34とリリースレバー38が連結され、開閉蓋37が筐体2から取り外されるときに、同時に、ロックレバー34とリリースレバー38の連結が解除されるようにしている。
【0086】
従って、ハードディスクドライブを開閉する開閉蓋37を設けた場合にあっても、開閉蓋37の開閉作業(筐体2に対する取付及び取り外し)時に、別に、ロックレバー34とリリースレバー38の連結又はその解除作業を行う必要がなく、作業性の向上による撮像装置1の使い勝手の向上を図ることができる。
【0087】
また、ロックレバー34の連結用凹部36に案内用傾斜面36aを形成し、リリースレバー38の連結用突部40に案内用傾斜面40aを形成しているため、ロックレバー34とリリースレバー38の連結を円滑に行うことができる。
【0088】
尚、上記には、ロックレバー34に連結用凹部36を設け、リリースレバー38に連結用突部40を設けた構成を例として示したが、逆に、ロックレバーに連結用突部を設け、リリースレバーに連結用凹部を設けることも可能である。
【0089】
また、上記には、連結用凹部36と連結用突部40の双方に案内用傾斜面36a、40aを形成した例を示したが、案内用傾斜面は連結用凹部又は連結用突部の一方にのみ形成するようにしてもよい。
【0090】
筐体2の左側部には、その下端部に左方へ突出された受部3gが設けられている。筐体2の左側の側面3cに回動可能に連結された表示部4は、閉塞された状態において受部3gの上側に位置され、縦断面が略平行四辺形状に形成されている(図22及び図23参照)。
【0091】
筐体2の天面3aは上方へ凸の緩やかな曲面状に形成されている。表示部4の表示画面4aが筐体2の側面3cに対向した向きとされている状態において、天面3aが表示部4の上面4bと傾斜した状態で略連続される(図22参照)。
【0092】
また、表示部4は前後に延びる軸を支点として回転され表示画面4aと反対側の面が筐体2の側面3cに対向した向きとされるが、この状態において、天面3aが表示部4の下面4c(回転されて上方に位置された面)と傾斜した状態で略連続される(図23参照)。従って、撮像装置1にあっては、表示部4の回転前及び回転後の両方の向きにおいて、上方に位置する面が筐体2の天面2aと傾斜した状態で略連続される。
【0093】
撮像装置1にあっては、表示部4の二つの面がそれぞれ筐体2の側面3cと受部3gに対向した状態とされている(図22及び図23参照)。このとき、例えば、表示部4に側方からの外力Fが付与された場合に、外力Fが側面3cで受けられ、表示部4が撓んで上下方向へ逃げる力T1、T2が発生するが、逃げる力T1、T2のうち一方の力T2のみが受部3gで受けられ力T1は受けられないため、表示部4の破損や損傷を防止することができる。
【0094】
筐体2の内部には、金属材料によって形成された保持フレーム44、45が配置されている(図24参照)。
【0095】
保持フレーム44は筐体2の内部に配置されたレンズ鏡筒部46を上方側から覆うように配置され、右側の側部に基板取付部44a、44bを有している。基板取付部44a、44bは左右方向を向いた状態で左右に離隔して位置され、基板取付部44a、44bにはそれぞれ制御回路基板47、48が取り付けられている。制御回路基板47、48は電源の制御や各部の動作制御等を行う回路基板である。
【0096】
保持フレーム44には、基板取付部44aの右方に離隔して取付部44cが設けられている。
【0097】
保持フレーム45はレンズ鏡筒部46を下方側から覆うように配置され、一部が保持フレーム44に固定されている。
【0098】
筐体2の内部には、図14及び図24に示すように、板状の金属材料によって形成されたドライブホルダー49が配置され、該ドライブホルダー49は第1のケース部50と第2のケース部51が上下で結合されて成る。
【0099】
第1のケース部50は下方に開口された略箱状に形成された収納部50aと該収納部50aの右端部から上方へ突出された被取付部50bとを有している。
【0100】
第2のケース部51は収納面部51aと該収納面部51aの右端部から上方へ突出された被取付部51bとを有している。収納面部51aは開閉蓋37の内面に固定されている。
【0101】
尚、上記には、開閉蓋37に支持されたリリースレバー38を押さえる押さえ部材41について説明したが、この押さえ部材41は第2のケース部51と同一の部材であってもよい。押さえ部材41と第2のケース部51を同一の部材とすることにより、部品点数の削減を図ることができる。
【0102】
ドライブホルダー49は第1のケース部50の被取付部50bと第2のケース部51の被取付部51bが重ね合わされた状態で保持フレーム44の取付部44cに固定されている。
【0103】
ドライブホルダー49には第1のケース部50の収納部50aと第2のケース部51の収納面部51aとの間に、ウレタン材料等によって形成されたバンパー52、53を介してハードディスクドライブ54が保持されている。バンパー52、53はそれぞれハードディスクドライブ54の左右両端部に取り付けられ、ハードディスクドライブ54に対する衝撃を緩和する機能を有する。
【0104】
ハードディスクドライブ54は、図24に示すように、水平面Hに対して所定の角度α傾斜した状態でドライブホルダー49に保持されている。
【0105】
ハードディスクドライブ54の水平面Hに対する傾斜角度αは、例えば、10°乃至30°に設定されている。このようにハードディスクドライブ54は水平面Hに対して傾斜されており、筐体2の内部におけるハードディスクドライブ54の下方に空間55が形成される。空間55には三脚が取り付けられる上記ネジ部9が配置されている。
【0106】
撮像装置1においては、各部の駆動時に制御回路基板47、48が発熱するが、発生した熱は、主に、図24に矢印で示すように、保持フレーム44を伝達されレンズ鏡筒部46の上方側を通って左方側へ移動され、筐体2に伝達されて左側の側面3cから外部へ放出される。このときドライブホルダー49へも熱が移動するが、バンパー52、53によって熱が遮断されてハードディスクドライブ54にはほとんど伝達されない。従って、制御回路基板47、48に発生する熱のハードディスクドライブ54に対する影響は軽減される。
【0107】
撮像装置1は、一般に、グリップベルト10が取り付けられた筐体2の右側の部分が右手100によって把持される。従って、上記のように、制御回路基板47、48に発生した熱を筐体2の左側の側面3cから外部へ放出することにより、把持した右手100に熱が伝達されず、撮像装置1の良好な把持性を確保することができる。
【0108】
上記したように、撮像装置1にあっては、ハードディスクドライブ54を水平面Hに対して所定の角度α傾斜させた状態でレンズ鏡筒部46の下側に配置している。
【0109】
従って、ハードディスクドライブ54が水平状態で配置されている場合に比し、例えば、使用者が撮像装置1を誤って落下したとき等にハードディスクドライブ54に付与される衝撃力が傾斜された向きに応じて分力として付与されることにより緩和され、ハードディスクドライブ54の正常な動作を確保することができる。
【0110】
また、ハードディスクドライブ54に対する衝撃力の緩和により、衝撃力を吸収するダンパー52、53の厚みを薄くすることができ、その分、撮像装置1の小型化を図ることができる。
【0111】
さらに、ハードディスクドライブ54の水平面Hに対する角度を10°乃至30°としているため、空間55の大きさを必要以上に大きくすることなく、衝撃力の緩和を図ることができる。
【0112】
さらにまた、ハードディスクドライブ54の下側の空間55に三脚が取り付けられるネジ部9を配置しているため、スペースの有効活用による撮像装置1の小型化を図ることができる。
【0113】
加えて、ハードディスクドライブ54を保持するドライブホルダー49を金属材料によって形成しているため、ハードディスクドライブ54を強固に保持することができると共にドライブホルダー49が薄型化され撮像装置1の小型化を図ることができる。
【0114】
上記した最良の形態において示した各部の具体的な形状及び構造は、何れも本発明を実施する際の具体化のほんの一例を示したものにすぎず、これらによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されることがあってはならないものである。
【図面の簡単な説明】
【0115】
【図1】図2乃至図24と共に本発明の最良の形態を示すものであり、本図は、撮像装置の斜視図である。
【図2】撮像装置を図1とは別の方向から見た状態で示す斜視図である。
【図3】撮像装置を図1及び図2とは別の方向から見た状態で示す斜視図である。
【図4】撮像装置を右手で把持した状態を示す斜視図である。
【図5】撮像装置を左手で把持した状態を示す斜視図である。
【図6】端子配置部が蓋部材によって閉塞された状態を示す拡大断面図である。
【図7】端子配置部が蓋部材によって開放された状態を示す拡大断面図である。
【図8】蓋部材を示す拡大斜視図である。
【図9】レンズバリヤー部の拡大分解斜視図である。
【図10】押さえ板を分離して示すレンズバリヤー部の拡大斜視図である。
【図11】ベース板の拡大背面図である。
【図12】透過孔が開放された状態を示す拡大正面図である。
【図13】透過孔が閉塞された状態を示す拡大正面図である。
【図14】ハードディスクドライブ及びこれに関連する部材を分離して示す撮像装置の斜視図である。
【図15】図16乃至図19と共にロックレバーとリリースレバーの連結及びバッテリーの装着時の動作を示すものであり、本図は、ロックレバーとリリースレバーが連結された状態を示す拡大断面図である。
【図16】ロックレバーとリリースレバーが連結される前の状態を示す拡大断面図である。
【図17】ロックレバーとリリースレバーが連結されている途中の状態を示す拡大断面図である。
【図18】バッテリーがバッテリー装着部に装着されている途中の状態を示す拡大断面図である。
【図19】バッテリーがバッテリー装着部に装着されてロックされた状態を示す拡大断面図である。
【図20】図21と共に開閉蓋の取付例を示すものであり、本図は、開閉蓋に取付突部が設けられた例を示す概念図である。
【図21】開閉蓋がヒンジ機構によって支持された例を示す概念図である。
【図22】図23と共に装置本体と表示部の形状の関係を示すものであり、本図は、表示画面が装置本体に対向して位置されている状態を示す概念図である。
【図23】図22に対して表示部が反転された状態を示す概念図である。
【図24】内部構造を示す概略拡大断面図である。
【符号の説明】
【0116】
1…撮像装置(電子機器)、2…筐体、 11…端子配置部、11a…支持孔、12…接続端子、13…蓋部材、14…蓋部、15…アーム部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子機器の所定の部分を開閉し樹脂材料によって形成された蓋部材であって、
所定の部分を閉塞する蓋部と、
蓋部から突出され電子機器の筐体に形成された支持孔に摺動自在に支持されたアーム部とを備え、
アーム部を所定の角度で屈曲する屈曲部を有する形状に形成した
ことを特徴とする蓋部材。
【請求項2】
電子機器の所定の部分が蓋部に閉塞されたときに屈曲部が支持孔の内側開口縁に係合するようにした
ことを特徴とする請求項1に記載の蓋部材。
【請求項3】
接続端子が配置された端子配置部が樹脂材料によって形成された蓋部材によって開閉される電子機器であって、
蓋部材に、所定の部分を閉塞する蓋部と、蓋部から突出され電子機器の筐体に形成された支持孔に摺動自在に支持されたアーム部とを設け、
アーム部を所定の角度で屈曲する屈曲部を有する形状に形成した
ことを特徴とする電子機器。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate

【図18】
image rotate

【図19】
image rotate

【図20】
image rotate

【図21】
image rotate

【図22】
image rotate

【図23】
image rotate

【図24】
image rotate


【公開番号】特開2008−166140(P2008−166140A)
【公開日】平成20年7月17日(2008.7.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−354865(P2006−354865)
【出願日】平成18年12月28日(2006.12.28)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】