説明

薄切片作製装置、並びに、包埋ブロックの切削方法及び薄切片の作製方法

【課題】切削屑が支障となってしまうこと無く、包埋ブロックを切削することが可能な薄切片作製装置、並びに、包埋ブロックの切削方法及び薄切片の作製方法を提供する。
【解決手段】薄切片作製装置1は、包埋ブロックBを固定する試料台2と、試料台2に固定された包埋ブロックBを切削するカッター3と、カッター3を固定するホルダ9と、カッター3によって包埋ブロックBを切削する切削方向Xに、カッター3を試料台2に固定された包埋ブロックBに対して相対的に移動させることが可能なXステージ4と、包埋ブロックBの厚さ方向Zに、カッター3と試料台2に固定された包埋ブロックBとの相対的位置を調整可能なZステージ5と、開口部10aがカッター3の刃先3a近傍に配置された吸引ノズル10及び吸引ノズル10から包埋ブロックBを切削した際に生じる切削屑を吸引可能な吸引機12を有する切削屑除去手段6とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、人体や実験動物等から取り出した生体試料を包埋した包埋ブロックを切削し薄切片を作製する薄切片作製装置及び包埋ブロックの切削方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、人体や実験動物等から取り出した生体試料を検査、観察する方法の1つとして、包埋剤によって生体試料を包埋した包埋ブロックから薄切片を作製して生体試料の観察を行う方法が知られている。ここで、包埋ブロックを切削して薄切片を作製する装置としては、カッターと、カッターを包埋ブロックの厚さ方向に移動させるカッター駆動機構と、包埋ブロックをカッターに向かって移動させる搬送機構とを備える薄切片作製装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。この薄切片作製装置によれば、カッター駆動機構によってカッターを移動させることで、カッターと包埋ブロックの厚さ方向の位置関係を調整する。そして、搬送機構によって包埋ブロックをカッターに向かって移動させることで、カッターによって包埋ブロックを所望の厚さに切削して薄切片を作製することができるとされている。
【0003】
ここで、カッターによって包埋ブロックを切削する場合には、薄切片が作製されるとともに、切削屑が発生する。また、包埋ブロックを切削する工程は、一般に、所望の生体試料が露出した切断面を形成した後に、所定の厚さで再度切削して薄切片を採取する本削りと、本削りの前工程として、所望の生体試料が露出するまで繰り返し切削を行う粗削りとがある。そして、特に粗削りにおいては、繰り返し切削が行われることで大量の切削屑が発生することとなる。
【特許文献1】特開2004−28910号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1による装置では、切削に伴って発生する切削屑を除去する手段を有していなく、定期的に装置を停止させて、切削屑の清掃を行う必要があった。また、このような切削屑の清掃を行う方法としては、刷毛などで包埋ブロック上、及び、カッターの刃先の切削屑を払い除ける方法が考えられる。しかしながら、このような方法では、刷毛によりカッターの刃先を損傷させてしまうおそれがあり、カッターの寿命の低下、作製される薄切片の品質の低下のおそれがあった。また、カッターの刃先に切削屑が付着してしまった場合には、切削屑により構成刃先が形成されてしまい、これにより包埋ブロックを切削して薄切片を作製する際に薄切片が裂けてしまうなどして、薄切片を採取することができない場合があった。
【0005】
この発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであって、切削屑が支障となってしまうこと無く、包埋ブロックを切削することが可能な薄切片作製装置、並びに、包埋ブロックの切削方法及び薄切片の作製方法を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、この発明は以下の手段を提案している。
本発明は、生体試料が包埋された包埋ブロックを切削して薄切片を作製する薄切片作製装置であって、前記包埋ブロックを固定する試料台と、該試料台に固定された前記包埋ブロックを切削するカッターと、該カッターを固定するホルダと、前記カッターによって前記包埋ブロックを切削する切削方向に、前記カッターを前記試料台に固定された前記包埋ブロックに対して相対的に移動させることが可能なXステージと、前記包埋ブロックの厚さ方向に、前記カッターと前記試料台に固定された前記包埋ブロックとの相対的位置を調整可能なZステージと、開口部が前記カッターの刃先近傍に配置された吸引ノズル及び該吸引ノズルから前記包埋ブロックを切削した際に生じる切削屑を吸引可能な吸引機を有する切削屑除去手段とを備えることを特徴としている。
【0007】
また、本発明は、生体試料が包埋された包埋ブロックを切削する包埋ブロックの切削方法であって、前記包埋ブロックに対してホルダに固定されたカッターを切削方向に相対的に移動させて、前記包埋ブロックを切削するとともに、前記カッターの刃先近傍に吸引ノズルを配置して該吸引ノズルの開口部から切削した際に生じる切削屑を吸引することを特徴としている。
【0008】
この発明に係る薄切片作製装置及び包埋ブロックの切削方法によれば、包埋ブロックを試料台に固定し、Zステージによって包埋ブロックの厚さ方向に、カッターと包埋ブロックとの相対的位置を調整する。そして、Xステージによってカッターを包埋ブロックに向かって相対的に移動させるとともに、切削屑除去手段の吸引機による吸引を行う。これにより、カッターによってZステージによる調整に応じた厚さで包埋ブロックを切削するとともに、切削するのに伴って発生する切削屑を、カッターの刃先近傍に配置された吸引ノズルの開口部から吸引し、除去することができる。
【0009】
また、上記の薄切片作製装置において、前記カッターの前記刃先に近接する吸引位置と離間する退避位置とで前記吸引機の前記吸引ノズルを進退させる進退手段を備えることがより好ましいとされている。
【0010】
この発明に係る薄切片作製装置によれば、進退手段によって切削屑除去手段の吸引ノズルを吸引位置に設定することで、カッターの刃先及び包埋ブロック上の切削屑を効果的に吸引することが可能である一方、退避位置に設定することで、カッターの刃先近傍で他の動作を行う際に吸引ノズルが支障となってしまうのを防ぐことができる。
【0011】
また、上記の薄切片作製装置において、前記進退手段は、前記吸引位置で、前記吸引ノズルの前記開口部の縁端の一部を前記カッターまたは前記ホルダに当接配置させることがより好ましいとされている。
また、上記の包埋ブロックの切削方法において、前記切削屑を吸引する際に、前記吸引ノズルの前記開口部の縁端の一部を前記カッターまたは前記ホルダに当接させることがより好ましいとされている。
【0012】
この発明に係る薄切片作製装置及び包埋ブロックの切削方法によれば、吸引ノズルの開口部の縁端の一部をカッターまたはホルダに当接配置させることで、吸引ノズルをカッターの刃先及び包埋ブロックにより近接させた位置とすることができるとともに、吸引による空気の流れをカッターまたはホルダによって一部規制し、限定させることができる。このため、吸引機による吸引力を同じとしても、吸引される空気の流速を高め、より効果的に切削屑を吸引することができる。
【0013】
さらに、上記の薄切片作製装置において、前記吸引ノズルの内、少なくとも、前記カッターまたは前記ホルダと当接される前記開口部の前記縁端の一部は、前記カッターと当接することで弾性変形可能な軟性材で形成されていることがより好ましいとされている。
【0014】
この発明に係る薄切片作製装置によれば、吸引ノズルの内、少なくとも、カッターまたはホルダと当接される開口部の縁端の一部が弾性変形可能な軟性材で形成されていることで、カッターまたはホルダと吸引ノズルとの密着性を高めることができ、吸引による空気の流れをカッターまたはホルダによってより効果的に規制して吸引することができる。
【0015】
また、上記の薄切片作製装置において前記吸引ノズルの内周面には、該内周面を伝わる水滴を回収可能な水受け部が設けられていることがより好ましいとされている。
この発明に係る薄切片作製装置によれば、切削屑除去手段の吸引ノズルによって吸引する際、空気及び切削屑とともに、空気中や包埋ブロックに付着した水分も同時に吸引することとなる。このような水分の一部は、吸引ノズルの内周面に付着し、結合して水滴となる。そして、水滴は、一定の大きさに成長することで吸引力よりも重力の方が大きくなり、吸引ノズルの内周面を伝って降下し、水受け部に回収されることとなる。このため、この水滴が吸引ノズルの開口部からカッターまたは包埋ブロックに落下し、切削に支障となってしまうのを防ぐことができる。
【0016】
さらに、上記の薄切片作製装置において、前記吸引ノズルの前記水受け部には、該水受け部に回収された水滴を外部に適宜排出可能な排出管を備えることがより好ましいとされている。
この発明に係る薄切片作製装置によれば、排出管によって水受け部に滞留した水滴を適宜排出させることができ、滞留した水滴の影響を受けること無く、連続して吸引し切削することができる。
【0017】
また、上記の薄切片作製装置において、前記切削屑除去手段は、開口部が前記カッターの前記刃先近傍に配置された吹出しノズルと、該吹出しノズルから前記カッターの前記刃先に向かって圧縮空気を送出可能な吹出し機とを有することがより好ましいとされている。
【0018】
また、上記の包埋ブロックの切削方法において、前記切削屑を吸引するとともに、前記カッターの前記刃先近傍に吹出しノズルを配置して、該吹出しノズルから前記カッターの前記刃先に向かって圧縮空気を送出させることがより好ましいとされている。
【0019】
この発明に係る薄切片作製装置及び包埋ブロックの切削方法によれば、吹出し機及び吹出しノズルによってカッターの刃先近傍に圧縮空気を送出させることで、カッター及び包埋ブロックに付着した切削屑を剥ぎ取ることができる。そして、吸引機及び吸引ノズルによって吸引することで、この剥ぎ取られた切削屑を吸引することができ、より効果的に切削屑を除去することができる。
【0020】
さらに、上記の薄切片作製装置において、前記Xステージを駆動して前記カッターによって前記包埋ブロックを切削する際の切削時間、及び、該切削時間の前後のそれぞれ一定時間の間、前記切削屑除去手段の前記吸引機によって吸引させるとともに、前記切削時間経過後前記吸引機によって吸引を行っている内の一定時間の間、前記吹出し機によって圧縮空気を送出させる制御部を備えることがより好ましいとされている。
【0021】
さらに、上記の包埋ブロックの切削方法において、前記カッターによって前記包埋ブロックを切削する際の切削時間、及び、該切削時間の前後のそれぞれ一定時間の間、前記吸引ノズルから前記切削屑の吸引を行うとともに、前記切削時間経過後吸引を行っている内の一定時間の間、前記吹出しノズルから圧縮空気の送出を行うことがより好ましいとされている。
【0022】
この発明に係る薄切片作製装置及び包埋ブロックの切削方法によれば、制御部による制御のもと、切削屑除去手段の吸引機は、カッターによって包埋ブロックを切削し始める前から吸引を開始し、切削している間、さらに切削完了後も吸引を行う。このため、切削に伴って発生する切削屑を効果的に除去しつつ切削することできる。この際、吹出しノズルから圧縮空気を送出していないので、圧縮空気によって包埋ブロックの切断面が乱れて切削の支障となってしまうことが無い。一方、制御部による制御のもと、切削屑除去手段の吹出し機は、切削完了後で、吸引機によって吸引が行われている間の一定時間に圧縮空気を送出する。このため、カッター及び包埋ブロックに付着して残留している切削屑を効果的に除去することができる。
【0023】
また、本発明の薄切片の作製方法は、上記の包埋ブロックの切削方法によって前記包埋ブロックを切削して所望の切断面を形成した後に、所定の厚さで前記包埋ブロックを再度切削して薄切片を作製することを特徴としている。
【0024】
この発明に係る薄切片の作製方法によれば、上記の包埋ブロックの切削方法により包埋ブロックを切削することで、切削屑が支障となってしまうこと無く、良好な切断面を得ることができる。そして、良好な切断面が形成された状態で、所定の厚さで再度切削することで、対応して良好な切断面を有する薄切片を作製することができる。
【発明の効果】
【0025】
本発明の薄切片作製装置によれば、切削屑除去手段を備えることで、切削屑が支障となってしまうこと無く、包埋ブロックを切削することが可能であり、これにより良好な切断面の薄切片を作製することができる。
本発明の包埋ブロックの切削方法によれば、切削しながら吸引ノズルによって切削屑を吸引することで、切削屑が支障となってしまうこと無く、包埋ブロックを切削することが可能であり、これにより良好な切断面の薄切片を作製することができる。
本発明の薄切片の作製方法によれば、上記の包埋ブロックの切削方法で包埋ブロックを切削することで、切削屑の影響を受けずに、良好な切断面の薄切片を作製することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
(第1の実施形態)
図1及び図2は、この発明に係る第1の実施形態を示している。図1及び図2に示す薄切片作製装置1は、生体試料Sが包埋された包埋ブロックBから厚さ3〜5μm程度の極薄の薄切片B1を作製し、薄切片B1に含まれる生体試料Sを検査、観察する過程において、自動的に、包埋ブロックBを切削して、薄切片B1を作製する装置である。生体試料Sは、例えば、人体や実験動物等から取り出した臓器などの組織から切除された試料であり、医療分野、製薬分野、食品分野、生物分野などで適時選択されるものである。また、包埋ブロックBは、上記のような生体試料Sを包埋剤B2によって包埋、すなわち周囲を覆い固めたものである。そして、包埋ブロックBは、樹脂などで形成された包埋カセットCに搭載して取り扱われている。このような包埋ブロックBは、より詳しくは、以下のように作製されるものである。まず、上記の生体試料Sの塊をホルマリンに漬けて、生体試料Sを構成する蛋白質を固定する。そして、組織を固い状態にした後、適当な大きさに切断する。最後に、切断された生体試料Sの内部の水分を包埋剤B2に置き換えたものを、溶解した包埋剤B2の中に埋め込んで、固めることで作製される。ここで、包埋剤B2は、上記のように液状化と冷却固化が容易に可能とされるとともに、有機溶媒に浸漬することで溶解する材質であり、樹脂やパラフィンなどである。以下、薄切片作製装置1の構成について説明する。
【0027】
図1及び図2に示すように、薄切片作製装置1は、包埋ブロックBを固定する試料台2と、試料台2に固定された包埋ブロックBを切削するカッター3と、試料台2に固定された包埋ブロックBを移動させるXステージ4及びZステージ5と、切削屑を除去する切削屑除去手段6と、制御部7とを備える。試料台2は、包埋ブロックBが包埋カセットCに搭載された状態で包埋カセットCを固定することで、包埋ブロックBを位置決めし、固定することが可能である。また、カッター3は、固定台8に設けられたホルダ9に固定されている。より詳しくは、ホルダ9は、一定の角度に設定された挟持面9bを有するホルダ本体9aと、ホルダ本体9aの挟持面9bとの間でカッター3を挟持する刃押さえ9cとを有している。そして、カッター3は、ホルダ9に固定されることで、挟持面9bと対応する角度で刃先3aを突出させた状態で、切削面B3内で切削可能に固定されている。
【0028】
Xステージ4及びZステージ5は、試料台2の下部に設けられている。Zステージ5は、制御部7による制御のもと、包埋ブロックBの厚さ方向であるZ方向に、試料台2上の包埋ブロックBを所定量移動させることが可能である。また、Xステージ4は、制御部7による制御のもと、切削面B3内においてカッター3と試料台2に固定された包埋ブロックBとが対向するX方向に、所定の移動速度で包埋ブロックBを移動させることが可能である。
【0029】
切削屑除去手段6は、略筒状で先端側に開口部10aを有する吸引ノズル10と、吸引ノズル10に連通した略管状の吸引管11と、吸引管11によって吸引ノズル10と接続された吸引機12とを備える。吸引ノズル10は、開口部10aが、カッター3の刃先3a近傍において、刃先3a及び包埋ブロックBの切断面B4と対向するように配置されている。また、吸引ノズル10の開口部10aは、刃先3aが延びる方向においてカッター3によって包埋ブロックBを切削する範囲全体を吸引可能に、基端側と比較して開口幅が拡大しているとともに、切削方向であるX方向において基端側と比較して開口幅が縮小している。また、吸引機12は、制御部7による制御のもと駆動することで、吸引管11及び吸引ノズル10を介して、開口部10aから外気を吸引することが可能である。
【0030】
また、薄切片作製装置1は、切削屑除去手段6を構成する吸引ノズル10、吸引管11、及び吸引機12をZ方向に進退させる進退手段15を備える。進退手段15は、Z方向に立設するガイド16と、ガイド16に沿ってZ方向に進退可能なスライダ17とを有する。スライダ17には吸引機12が固定されていて、制御部7による制御のもとスライダ17を進退させることで、吸引ノズル10の開口部10aを、刃先3aに近接させた吸引位置Pと、離間した退避位置Qとで進退させることが可能である。
【0031】
次に、薄切片標本作製装置1の作用について説明する。まず、試料台2に、包埋ブロックBが搭載された包埋カセットCを載置して固定する。そして、まず包埋ブロックBの粗削りを行い、包埋ブロックBの切断面B4に生体試料Sを最適な状態で露出させる。すなわち、制御部7は、進退手段15のスライダ17を駆動することで、切削屑除去手段6の吸引ノズル10を退避位置Qから吸引位置Pへ移動させ、吸引ノズル10の開口部10aを刃先3a及び包埋ブロックBに近接配置させる。

次に、制御部7は、Zステージ5を駆動して、Z方向でカッター3に近接する方へ、予め設定された送り量だけ包埋ブロックBを移動させる。そして、制御部7は、切削屑除去手段6の吸引機12を駆動させて吸引ノズル10の開口部10aから外気を吸引する状態にさせる。この状態で、制御部7は、Xステージ4を駆動して、X方向でカッター3に向う方に、所定の移動速度で包埋ブロックBを移動させる。これにより、包埋ブロックBはカッター3によって切削され、切削屑として、Zステージ5の送り量と対応する厚さの切片B5が形成されていくとともに、細かく砕けた細片B6が形成されていく。ここで、カッター3によって包埋ブロックBを切削するとともに、切削除去手段6の吸引機12によって吸引ノズル10の開口部10aから吸引していることで、切削屑である切片B5及び細片B6は外気とともに吸引されることとなる。このため、切削屑が除去された状態で、カッター3によって包埋ブロックBを切削していくことができる。また、吸引ノズル10の開口部10aの形状が、刃先3aが延びる方向に開口幅を拡大させているとともに、切削方向であるX方向に開口幅を縮小させていることで、切削屑が発生する範囲を効率的に、かつ、効果的に吸引することができる。
【0032】
上記の荒削りの工程を繰り返し行い、包埋ブロックBの切断面B4に、生体試料Sが最適な状態で露出したら、次に本削りを行う。まず、制御部7は、切削屑除去手段6の吸引機12の駆動を停止させるとともに、進退手段15のスライダ17を駆動して、吸引ノズル10を吸引位置Pから退避位置QまでZ方向に退避させる。次に、制御部7は、Zステージ5を駆動して、Z方向でカッター3に近接する方へ、予め設定された送り量だけ包埋ブロックBを移動させる。この状態で、制御部7は、Xステージを駆動して、X方向でカッター3に向う方に、所定の送り速度で包埋ブロックBを移動させる。これにより、包埋ブロックBはカッター3により切削され、Zステージ5の送り量と対応する厚さの薄切片B1が形成されることとなる。この際、吸引ノズル10が退避位置Qに退避していることで、吸引ノズル10が支障となってしまうこと無く、薄切片B1を採取することができる。なお、本削り時のZステージ5の送り量及びXステージ4の移動速度は、粗削り時のZステージ5の送り量及びXステージ4の移動速度と同じ設定としても良いが、ともに小さい値に設定することで、より精密に本削りを行って薄切片B1を作製するとともに、効率的に粗削りを行うことができる。
【0033】
以上のように、本実施形態の薄切片作製装置1によれば、切削屑除去手段6によって切削屑を吸引することで、構成刃先の形成など、切削屑が支障となってしまうこと無く、包埋ブロックBを切削することが可能である。また、切削屑を外気とともに吸引するだけであるので、カッター3の刃先3aを損傷させてしまうおそれが無い。このため、カッター3の耐久性を向上させ、良好な切断面B4の薄切片B1を作製することができる。なお、包埋ブロックBの切削に際しては、生体試料Sの種類によっては包埋ブロックBの切断面B4を加湿する場合がある。このような場合でも、切削屑除去手段6によって吸引することで、加湿された水分を吸引し、カッター3が結露してしまうのを防止することができる。このため、切削した薄切片B1または切片B5若しくは細片B6などの切削屑がカッター3に貼り付いてしまうこと無く、加湿した状態で包埋ブロックBを好適に切削することができる。
【0034】
(第2の実施形態)
図3は、この発明に係る第2の実施形態を示している。この実施形態において、前述した実施形態で用いた部材と共通の部材には同一の符号を付して、その説明を省略する。
【0035】
図3に示すように、この実施形態の薄切片作製装置20において、切削屑除去手段21の吸引ノズル22は、開口部22aを含む先端部22bが弾性変形可能な軟性材で形成されていて、本実施形態では例えばゴムで形成されている。また、吸引ノズル22は、進退手段15によって、吸引位置Pにおいては、開口部22aの縁端22cの一部がカッター3に当接した状態となるように設定されている。
【0036】
この実施形態の薄切片作製装置20では、包埋ブロックBを切削するに際して、吸引ノズル22を上記のような吸引位置Pでカッター3に当接配置することで、カッター3の刃先3a及び包埋ブロックBの切断面B4に吸引ノズル22をより近接させた位置とすることができる。さらに、吸引ノズル22の開口部22aの縁端22cの一部がカッター3に当接することで、吸引による空気の流れをカッター3によって一部規制し、限定させることができる。このため、吸引機12による吸引力を同じとしても、吸引される空気の流速を高め、より効果的に切削屑を吸引することができる。特に、本実施形態では、吸引ノズル22の先端部22bが弾性変形可能な軟性材で形成されていることで、吸引ノズル22が吸引位置Pに配置されるのに伴って、縁端22cは弾性変形してカッター3に当接した状態となる。このため、カッター3と吸引ノズル22との密着性を高めることができ、吸引による空気の流れをカッター3によってより効果的に規制して吸引することができる。なお、本実施形態では、吸引ノズル22の内、先端部22bを軟性材で形成するものとしたが、これに限るものでは無く、全体を軟性材で形成するものとしても良く、あるいは、先端部22bの内、カッター3に当接する縁端22cの一部を含む範囲のみ軟性材で形成するものとしても良い。また、本実施形態では、吸引位置Pにおいて、吸引ノズル10は、カッター3に当接するものとしたが、カッター3を固定する刃押さえ9cに当接させても同様の効果を期待することができる。
【0037】
(第3の実施形態)
図4及び図5は、この発明に係る第3の実施形態を示している。この実施形態において、前述した実施形態で用いた部材と共通の部材には同一の符号を付して、その説明を省略する。
【0038】
図4及び図5に示すように、この実施形態の薄切片作製装置30において、切削屑除去手段31の吸引ノズル32の内周面32aには、内周面32aを伝わる水滴W1を回収可能な水受け部33が設けられている。より詳しくは、水受け部33は、吸引ノズル32の開口部32bの縁端32cが内周側に断面略コの字状に折り返されることで、内周面32aにおいて周方向に沿って形成された溝である。また、水受け部33の一部には、外部と連通する排出管34が設けられている。排出管34は、開閉自在な排出弁34aを有している。排出弁34aは、吸引機12による吸引時には負圧により排出管34の開口部34bを閉塞するとともに、水受け部33に一定の水量の水Wが滞留することで、その自重により開放するように設定されている。
【0039】
この実施形態の薄切片作製装置30によれば、切削屑除去手段6の吸引機12によって吸引することで、第1の実施形態でも述べたように、空気及び切削屑とともに、空気中や包埋ブロックBに付着した水分も同時に吸引することとなる。このような水分の一部は、吸引ノズル32の内周面32aに付着し、結合して水滴W1となる。そして、水滴W1は、一定の大きさに成長することで吸引力よりも重力の方が大きくなり、吸引ノズル32の内周面32aを伝って降下し、水受け部33に回収されることとなる。このため、この水滴W1が吸引ノズル32の開口部32bからカッター3または包埋ブロックBに落下し、薄切片B1または切片B5若しくは細片B6などの切削屑がカッター3に貼り付いてしまうなどして、切削に支障となってしまうのを防ぐことができる。ここで、水受け部33に一定の水量の水Wが滞留すると、その自重によって排出弁34aが開放し、水受け部33の水Wは排出される。このため、滞留した水Wの影響を受けること無く、連続して吸引しながら切削することができる。
【0040】
なお、本実施形態において、水受け部33は、吸引ノズル32の開口部32bの縁端32cが折り返されることで周方向に沿って形成された溝であるとしたが、これに限るもので無い。例えば、内周面32aに周方向に沿って凹状に形成された溝としても良く、内周面32a全体に螺旋状に形成するものとしても良い。少なくとも、吸引ノズル32に付着した水滴W1が開口部から落下せずに滞留させることが可能であれば良い。また、排出管34において、排出弁34aは滞留する水Wの重量によって開閉するものとしたが、制御部7による制御のもと、電気的に適宜開閉可能な構成としても良い。
【0041】
(第4の実施形態)
図6から図8は、この発明に係る第4の実施形態を示している。この実施形態において、前述した実施形態で用いた部材と共通の部材には同一の符号を付して、その説明を省略する。
【0042】
図6に示すように、この実施形態の薄切片作製装置40において、切削屑除去手段41は、吸引ノズル10、吸引管11、及び、吸引機12とともに、さらに、略筒状で先端側に開口部42aを有する吹出しノズル42と、吹出しノズル42に連通した略管状の送出管43と、送出管43によって吹出しノズル42と接続された吹出し機44とを備える。吹出しノズル42は、開口部42aが、カッター3a近傍において刃先3a及び包埋ブロックBの切断面B4と対向するように配置されている。より詳しくは、図7に示すように、吸引ノズル10の開口部10a及び吹出しノズル42の開口部42aの形状は、ともに、カッター3の刃先3aの延びる方向に開口幅が拡げられた形状を有していて、吹出しノズル42がカッター3側となるようにして、吸引ノズル10と吹出しノズル42とは一体となっている。また、図6に示すように、吸引位置Pにおいて、吹出しノズル42の開口部42aの縁端42bの一部はカッター3に当接するように設定されている。吹出し機44は、制御部7による制御のもと駆動することで、送出管43及び吹出しノズル42を介して、開口部42aから圧縮空気を送出することが可能である。また、吸引機12と吹出し機44とは、一体となって進退手段15のスライダ17に固定されていて、これにより吸引位置Pから退避位置Qまで一体として進退可能である。
【0043】
次に、この実施形態の薄切片作製装置40の作用、及び、制御部7による制御の詳細について説明する。まず、制御部7は、第1の実施形態同様に、吸引ノズル10及び吹出しノズル42を、吸引位置P、すなわち吹出しノズル42の開口部42aの縁端42bがカッター3に当接する位置まで移動させる。そして、Zステージ5を駆動して包埋ブロックBをZ方向に位置調整する。そして、図8に示すように、吸引機12を駆動させて、吸引ノズル10の開口部10aからの吸引を開始し(ステップS1)、一定時間経過後に、Xステージ4を駆動して切削を開始させる(ステップS2)。このため、切削を開始した時点から発生する切削屑を好適に吸引ノズル10の開口部10aから吸引して除去ことができる。そして、制御部7は、包埋ブロックBを切削している切削時間中、継続して吸引を行い、切削完了(ステップS3)後一定時間が経過するまで、さらに吸引を行う(ステップS4)。このため、切削後にカッター3及び包埋ブロックBに残留した切削屑を確実に除去することができる。さらに、制御部7は、切削完了後、吸引機12による吸引を行っている内の一定時間の間、吹出し機44を駆動して吹出しノズル42の開口部42aから圧縮空気を送出させる(ステップS5〜ステップS6)。このため、カッター3及び包埋ブロックBに付着して残留している切削屑は、カッター3及び包埋ブロックBから剥ぎ取られることとなり、効果的に除去することができる。
【0044】
なお、吹出し機44による圧縮空気の送出は、切削時間中に実施するものとしても良い。ただし、切削完了後吸引中の一定時間に圧縮空気の送出を限定して行うことで、圧縮空気によって包埋ブロックBの切断面B4が乱れて切削の支障となってしまうことを防ぐことができ、より好適である。また、本実施形態では、吸引ノズル10よりも吹出しノズル42をカッター3側に配置している。このため、カッター3に付着した切削屑をより確実に除去することができ、構成刃先の形成をより確実に防止することができる。さらに、吸引位置Pにおいて、吹出しノズル42の開口部42aの縁端42bの一部をカッター3に当接配置させている。このため、吹出しノズル42をカッター3の刃先3a及び包埋ブロックBにより近接させた位置とすることができるとともに、圧縮空気の流れをカッター3によって一部規制し、限定させることができる。このため、吹出し機44による圧力を同じとしても、圧縮空気の流速を高め、より効果的に切削屑を除去することができる。なお、第2の実施形態同様に、吹出しノズル42を刃押さえ9cに当接するものとしても、同様の効果を期待することができる。
【0045】
(第5の実施形態)
図9は、この発明に係る第5の実施形態を示している。この実施形態において、前述した実施形態で用いた部材と共通の部材には同一の符号を付して、その説明を省略する。
【0046】
図9に示すように、この実施形態の薄切片作製装置50において、カッター3を固定する固定台51は、X方向に延設されたカッターガイド52と、カッターガイド52に沿ってX方向に進退可能なXステージ53とを備える。Xステージ53には、ホルダ54が固定されている。そして、カッター3は、ホルダ54に固定されていることで、X方向に進退可能であり、刃先3aを突出させて切削面B3内で切削することが可能である。なお、図示しないが、本実施形態の切削屑除去手段6には、カッター3に追従させて吸引ノズル10の開口部10aをX方向へ移動させる移動機構が備えられている。
【0047】
また、薄切片作製装置50は、切削屑除去手段6と別途に、カッター3に付着した切削屑の除去を行う清掃手段55を備える。清掃手段55は、固定台51のカッターガイド52の前端52aにXステージ53を配置させて、カッター3を包埋ブロックBから離間させた状態において、カッター3の刃先3aを囲む断面略コの字の筐体56と、吸引機57とを備える。筐体56には、内周面56aから外周面56bまで貫通する吸引孔56cが形成されている。吸引孔56cにおいて、内周面56a側に開口する開口部56dは、カッター3の刃先3aに対向する位置で、刃先3aの延びる方向に開口幅を拡大させて形成されている。一方、吸引孔56cの外周面56b側と吸引機57との間には、吸引管58が接続されている。
【0048】
この実施形態の薄切片作製装置50によれば、制御部7によってZステージ5を駆動して包埋ブロックBをZ方向に所定量移動させる。次に、制御部7によってXステージ53を駆動して、包埋ブロックBに対してカッター3をX方向に移動させることで、所定の厚さで包埋ブロックBを切削することができる。この際、図示しない移動機構によって切削屑除去手段6の吸引ノズル10を追従して移動させることで、カッター3の刃先3a及び包埋ブロックBの切削面B4上の切削屑を第1の実施形態同様に除去することができる。また、本実施形態では、切削完了後、制御部7は、進退手段15によって切削屑除去手段6の吸引ノズル10を退避させた後に、Xステージ53を駆動して、カッター3をカッターガイド52の前端52a側に配置、すなわちカッター3の刃先3aを清掃手段55の筐体56の内部に配置させる。そして、制御部7は、吸引機57を駆動することで、筐体56の内部を吸引させる。これにより、カッター3に付着した切削屑を再度吸引して除去することができる。ここで、カッター3の刃先3aは、筐体56で囲まれている。このため、吸引機57によって効果的に切削屑を吸引することができ、切削屑除去手段6による切削中または切削後における除去によって切削屑の一部が残存してしまったとしても、清掃手段55によってカッター3に付着した切削屑を確実に除去することができる。
【0049】
図10は、この実施形態の薄切片作製装置50において、清掃手段の変形例を示している。この変形例の清掃手段60は、吹出し機61を備えている。また、清掃手段60において、筐体56には、内周面56aから外周面56bまで貫通する送出孔56eが形成されている。送出孔56eにおいて、内周面56c側に開口する開口部56fは、カッター3の刃先3aに対向する位置で、刃先3aの延びる方向に開口幅を拡大させて形成されている。一方、送出孔56eの外周面56b側と吹出し機61との間には、送出管62が接続されている。
【0050】
この変形例の清掃手段60においては、カッター3に付着した切削屑を除去する場合、吸引機57によって吸引するとともに、吹出し機61によってカッター3に向かって圧縮空気を送出させることができる。このため、より効果的に、カッター3に付着した切削屑を除去することができる。ここで、カッター3の刃先3aは筐体56によって囲まれている。このため、吹出し機61による圧縮空気を拡散してしまうこと無くカッター3に送出することができる。また、剥離した切削屑が周囲に散乱するおそれが無いので、より高圧で圧縮空気を送出することができる。このため、より効果的にカッター3に付着した切削屑を除去することができる。
【0051】
なお、本実施形態及び変形例では、Xステージ53によってカッター3がX方向に移動して、包埋ブロックBから退避した位置で清掃手段55(60)によってカッター3の切削屑の除去を行うものとしたが、これに限るものでは無い。第1から第4の実施形態と同様に、カッター3は固定台に固定された状態とし、Xステージによって包埋ブロックBがX方向に移動可能な構成としても良い。この場合には、清掃手段55(60)の筐体56をX方向に移動可能な構成とし、Xステージによって包埋ブロックBをカッター3から退避させた後に、筐体56をカッター3の刃先3aの位置に移動させるようにすれば良い。また、切削屑除去手段6による切削屑の除去と、清掃手段55(60)による切削屑の除去とを併せて行うものとしたが、清掃手段55(60)のみの構成としても、カッター3に付着した切削屑の除去を行うことは可能である。
【0052】
以上、本発明の実施形態について図面を参照して詳述したが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等も含まれる。
【0053】
なお、各実施形態において、切削屑除去手段6を構成する吸引ノズル10、吸引管11、及び、吸引機12は、進退手段15によって一体となって移動可能としたが、これに限るものでは無く、少なくとも開口部10aの位置を調整可能に吸引ノズル10が移動可能であれば良い。また、各実施形態において、Xステージ、Zステージ、吸引機などの各構成は制御部7による制御のもと駆動するものとしたが、これに限るものでは無い。各構成を操作可能な操作部を有し、手動によって動作させるものとしても、同様の効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】この発明の第1の実施形態の薄切片作製装置の側面図である。
【図2】この発明の第1の実施形態の薄切片作製装置の正面図である。
【図3】この発明の第2の実施形態の薄切片作製装置の側面図である。
【図4】この発明の第3の実施形態の薄切片作製装置の側面図である。
【図5】この発明の第3の実施形態の薄切片作製装置の正面図である。
【図6】この発明の第4の実施形態の薄切片作製装置の側面図である。
【図7】この発明の第4の実施形態の薄切片作製装置において、吸引ノズル及び吹出しノズルの各開口部の詳細図である。
【図8】この発明の第4の実施形態の薄切片作製装置において、薄切片作製の工程図である。
【図9】この発明の第5の実施形態の薄切片作製装置の側面図である。
【図10】この発明の第5の実施形態の変形例の清掃手段の詳細図である。
【符号の説明】
【0055】
1、20、30、40、50 薄切片作製装置
2 試料台
3 カッター
3a 刃先
4 Xステージ
5 Zステージ
6、21、31、41 切削屑除去手段
7 制御部
9 ホルダ
10、22、32 吸引ノズル
10a、22a、32b 開口部
12 吸引機
15 進退手段
22c 縁端
32a 内周面
33 水受け部
34 排出管
42 吹出しノズル
42a 開口部
44 吹出し機
B 包埋ブロック
B1 薄切片
B3 切削面
B5 切片(切削屑)
B6 細片(切削屑)
P 吸引位置
Q 退避位置
S 生体試料
W1 水滴
X 切削方向
Z 厚さ方向

【特許請求の範囲】
【請求項1】
生体試料が包埋された包埋ブロックを切削して薄切片を作製する薄切片作製装置であって、
前記包埋ブロックを固定する試料台と、
該試料台に固定された前記包埋ブロックを切削するカッターと、
該カッターを固定するホルダと、
前記カッターによって前記包埋ブロックを切削する切削方向に、前記カッターを前記試料台に固定された前記包埋ブロックに対して相対的に移動させることが可能なXステージと、
前記包埋ブロックの厚さ方向に、前記カッターと前記試料台に固定された前記包埋ブロックとの相対的位置を調整可能なZステージと、
開口部が前記カッターの刃先近傍に配置された吸引ノズル及び該吸引ノズルから前記包埋ブロックを切削した際に生じる切削屑を吸引可能な吸引機を有する切削屑除去手段とを備えることを特徴とする薄切片作製装置。
【請求項2】
請求項1に記載の薄切片作製装置において、
前記カッターの前記刃先に近接する吸引位置と離間する退避位置とで前記吸引機の前記吸引ノズルを進退させる進退手段を備えることを特徴とする薄切片作製装置。
【請求項3】
請求項2に記載の薄切片作製装置において、
前記進退手段は、前記吸引位置で、前記吸引ノズルの前記開口部の縁端の一部を前記カッターまたは前記ホルダに当接配置させることを特徴とする薄切片作製装置。
【請求項4】
請求項3に記載の薄切片作製装置において、
前記吸引ノズルの内、少なくとも、前記カッターまたは前記ホルダと当接される前記開口部の前記縁端の一部は、前記カッターと当接することで弾性変形可能な軟性材で形成されていることを特徴とする薄切片作製装置。
【請求項5】
請求項1から請求項4のいずれかに記載の薄切片作製装置において、
前記吸引ノズルの内周面には、該内周面を伝わる水滴を回収可能な水受け部が設けられていることを特徴とする薄切片作製装置。
【請求項6】
請求項5に記載の薄切片作製装置において、
前記吸引ノズルの前記水受け部には、該水受け部に回収された水滴を外部に適宜排出可能な排出管を備えることを特徴とする薄切片作製装置。
【請求項7】
請求項1から請求項6のいずれかに記載の薄切片作製装置において、
前記切削屑除去手段は、開口部が前記カッターの前記刃先近傍に配置された吹出しノズルと、
該吹出しノズルから前記カッターの前記刃先に向かって圧縮空気を送出可能な吹出し機とを有することを特徴とする薄切片作製装置。
【請求項8】
請求項7に記載の薄切片作製装置において、
前記Xステージを駆動して前記カッターによって前記包埋ブロックを切削する際の切削時間、及び、該切削時間の前後のそれぞれ一定時間の間、前記切削屑除去手段の前記吸引機によって吸引させるとともに、前記切削時間経過後前記吸引機によって吸引を行っている内の一定時間の間、前記吹出し機によって圧縮空気を送出させる制御部を備えることを特徴とする薄切片作製装置。
【請求項9】
生体試料が包埋された包埋ブロックを切削する包埋ブロックの切削方法であって、
前記包埋ブロックに対してホルダに固定されたカッターを切削方向に相対的に移動させて、前記包埋ブロックを切削するとともに、前記カッターの刃先近傍に吸引ノズルを配置して該吸引ノズルの開口部から切削した際に生じる切削屑を吸引することを特徴とする包埋ブロックの切削方法。
【請求項10】
請求項9に記載の包埋ブロックの切削方法であって、
前記切削屑を吸引する際に、前記吸引ノズルの前記開口部の縁端の一部を前記カッターまたは前記ホルダに当接させることを特徴とする包埋ブロックの切削方法。
【請求項11】
請求項9または請求項10に記載の包埋ブロックの切削方法において、
前記切削屑を吸引するとともに、前記カッターの前記刃先近傍に吹出しノズルを配置して、該吹出しノズルから前記カッターの前記刃先に向かって圧縮空気を送出させることを特徴とする包埋ブロックの切削方法。
【請求項12】
請求項11に記載の包埋ブロックの切削方法において、
前記カッターによって前記包埋ブロックを切削する際の切削時間、及び、該切削時間の前後のそれぞれ一定時間の間、前記吸引ノズルから前記切削屑の吸引を行うとともに、前記切削時間経過後吸引を行っている内の一定時間の間、前記吹出しノズルから圧縮空気の送出を行うことを特徴とする包埋ブロックの切削方法。
【請求項13】
請求項9から請求項12に記載の包埋ブロックの切削方法によって前記包埋ブロックを切削して所望の切断面を形成した後に、所定の厚さで前記包埋ブロックを再度切削して薄切片を作製することを特徴とする薄切片の作製方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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