説明

薄厚チャンバに含まれる薄膜状体液試料中の極めて低レベルの分析物を検出する方法

撮像システムを使用して極めて低レベルの標的分析物を検出及び定量化するための方法及び装置が提供される。特定のホルモン、例えばTSHなどの一部の分析物の場合、そのレベルはマイクロリットル当たり数万個の分子ほどの低さであり得る。こうした極めて低いレベルは、本発明を使用することにより計測して、分析物の個々の分子を計数することができる。本発明はまた、一次的な定量方法であり、従って標準化する必要がないという利点も有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、2008年4月9日に出願された米国仮特許出願第61/043,571号明細書の利益を主張する。
【0002】
本発明は、米国特許第6,929,953号明細書に開示されるような撮像システムを使用して、極めて低レベルの標的分析物を検出及び定量化するための方法及び装置に関する。特定のホルモン、例えばTSHなどの一部の分析物の場合、そのレベルはマイクロリットル当たり数万個の分子ほどの低さであり得る。こうした極めて低いレベルは、本発明を使用することにより計測して、分析物の個々の分子を計数することができる。本発明はまた、一次的な定量方法であり、従って標準化する必要がないという利点も有する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
本方法は、例えば、典型的には厚さが約2ミクロン(2μ)〜10ミクロン(10μ)の薄厚の平面状チャンバに含まれる薄膜状の生体体液試料として配置された所定の標的分析物を検出及び定量化するためのものである。標的分析物は、少なくとも2個のエピトープを有する。この方法は、所定の標的分析物の単一の分子を固定された基板に結合させることにより機能し、但し、アッセイには、2つ以上のエピトープに対する結合剤が用いられてもよい。基板は、それに結合している捕捉抗体又はリガンドを有する。抗体又はリガンドは標的分析物の1つ又は複数の第1のエピトープに特異的であり、分析物を固定化してその拡散を妨げる;すなわち、標的分析物を基板に結合させるように機能する。次に、標識プローブを使用することにより、結合した標的分析物が検出される。プローブは、その表面に結合した1つ又は複数の抗体又はリガンドを含み、その抗体又はリガンドは、標的分析物の1つ又は複数の第2のエピトープに特異的である。
【0004】
第1及び第2のタイプのエピトープは、空間的に、一方のエピトープの結合がもう一方のエピトープの結合を妨げることのないように標的分析物上に位置していなければならない。用語「抗体」及び「リガンド」は、標的エピトープに強力且つ特異的に結合することが可能な任意の物質を指すものとし、免疫グロブリン、アプタマー(aptimer)、及び同様の高結合親和性をもつ任意の生物学的結合剤を含むものとする。
【0005】
この方法は、少なくとも2つの到達可能なエピトープを有する任意の標的分析物の検出及び同定に好適である。かかる標的分析物の例は、TSH(甲状腺刺激ホルモン)である。以下に記述されるとおり、生体体液検体試料、好ましくは血漿又は血清がチャンバに導入され、このチャンバの表面積寸法は、試料の単位面積当たりの計数可能な標的分析物分子の数が最大となるように選択される。
【0006】
チャンバの底面又は上面はプラスチックシートで形成され、そこに抗α−TSH抗体が、計測が求められる標的分析物の最高量を捕捉するのに必要な量を超える量で結合している。捕捉抗体は、アッセイ中に抗体がその結合している表面から離れることのないよう、固定された基板に不可逆的に結合していなければならない。この範囲は、捕捉範囲と称される。
【0007】
血漿又は血清試料がチャンバに添加され、試料中の全てのTSH分子が捕捉抗体を含む固定された基板に結合し、それにより試料中に存在する全ての分子が固定化される。薄い(典型的には10ミクロン(10μ)未満の)チャンバ厚さであれば垂直方向の分子拡散が可能となり、それにより薄いチャンバの2つの層間における拡散が急速に生じ、分析物の全ての分子が捕捉抗体表面に接触することが可能となる。理想的には、血漿、又は他の検査対象の生体体液は、透明で、且つアッセイにおける分析物の結合又は信号の検出を妨げ得る細胞などの粒子を含まないものでなければならない。
【0008】
同時に、又は短時間の初期インキュベーション期間後、抗β−TSH抗体などの、分析物の第2のエピトープに特異的な抗体と結合する蛍光ナノ粒子が、これもまた計数対象の分子の最大数を結合するのに必要な分量を超える分量で試料に添加される。ナノ粒子は、好ましくは直径が10〜100ナノメートル(10〜100nm)で、ユウロピウム蛍光材料、又は量子ドットと称されるもの、若しくは他の蛍光ナノ粒子(Sigma Aldrich、米国St.Louis,MOが供給業者である)などの、任意の検出可能なナノ粒子からなる。これらの蛍光ナノ粒子は、十分に小さく、且つその表面結合抗体が固定化された分析物に付着しない限りコロイド懸濁液の状態のままであるような密度でなければならない。
【0009】
TSH分析物の第2のエピトープに対する抗体/リガンドを含む単一の蛍光ナノ粒子が、基板に結合している各TSH分子に付着する。固定化された分析物と付着することによる固定化がなされていない蛍光ナノ粒子は、常にコロイド懸濁液の状態のままであり、ブラウン運動に起因して動く。結合したナノ粒子を結合していないナノ粒子と識別するため、結合していない信号を発生するナノ粒子によるバックグラウンドの光を生じる固定されていない発光ナノ粒子の発光と比較して、固定された発光ナノ粒子による信号を計測可能な程度に上昇させるのに十分な長さのある期間にわたりインキュベートした後、検査チャンバを適切な蛍光照明下に結合した粒子の焦点面で撮像する。この露光時間は、計測機器により適応的に決定され得るが、その範囲に結合したナノ粒子がないこともあり得るため、その上限は制限される。基板に固定されているため一箇所に留まるナノ粒子は、その全ての光子がわずか数画素に収まり、一方、ブラウン運動に起因して「躍動」して動き回るナノ粒子は、その輝度がより広い範囲に分散し、従って固定された粒子の検出が可能となる。捕捉抗体のないチャンバの表面積は、対照範囲として機能し得る。
【0010】
この手法を用いると、撮像範囲におけるナノ粒子の濃度は十分に低く、従って完全に重なり合うことがなく、固定された粒子を識別するセンサの能力を低下させないはずである。従って、個々の識別可能な固定された蛍光粒子の数は、捕捉範囲内の捕捉抗体の上側又は下側にあるチャンバの容積に含まれる標的分析物の分子の数に等しい。対照範囲の上側にある流体の容積は、固定化された捕捉抗体又はリガンドの上側にある容積と比較して比較的少量であるため、チャンバ又は狭小な通路の総容積を計算する目的上は無視することができる。狭小な通路は、対照範囲を捕捉範囲と分離する拡散隔壁として機能するもので、捕捉範囲に関する正確なチャンバ容積を求めるために用いられ得る。或いは、捕捉範囲を対照範囲と分離する実際の不透過性の隔壁を用いてもよい。含有試料において計測され得る分子の最大数は、チャンバの捕捉範囲と画素の拡大率とにより定義される。標的分析物の濃度は、検出された分子の数を、チャンバにおける捕捉範囲の上側の試料含有量で除算したものである。チャンバの容積は、チャンバの既知の高さと試料の面積とにより定義され、試料の面積は、試料面積内の画素数と、面積/画素拡大倍率とにより定義され得る。従って、チャンバ高さ及び拡大率が既知の場合、試料容積の大きさもまた、分析を実施する機器により決定され得る。結合した分子は、捕捉された標識ナノ粒子からの信号の同時発生が回避されるように、互いに十分な距離を置いて結合している必要がある。例えば、ナノ粒子に含まれる信号の蛍光を3〜10画素の範囲にわたって検出することができ、且つナノ粒子の所望の画像間隔が、その距離の少なくとも2倍、すなわち約15画素分離れていて、拡大率が0.5μm/画素の画像サイズをもたらす場合、1平方cmの試料面積であれば、チャンバ当たり最大約1〜200万個の分子の検出に十分な解像度を含み得る。チャンバで検出される分子の大きさの下限は、理論上、当然ながら計数統計により制限されるものである。当業者は、チャンバが薄いほど、標識された標的分析物リガンドの結合物と遊離物との区別がし易くなり、しかしチャンバに含まれる試料の容積は小さくなることを理解するであろう。チャンバの面積が大きくなるほど、ダイナミックレンジが高まり、しかし分析用のチャンバの画像を取得するのに、より長い時間が必要となる。
【0011】
10ミクロン(l0μ)の高さで、2マイクロリットルを捕捉範囲に保持する2cm2のチャンバであれば、この容積中に数個の分子の存在を検出することができる。これは、試料の原液における約10アトモル濃度の感度に相当する。必要であれば、10マイクロリットル〜1,000マイクロリットルの試料を薄いチャンバを通じてゆっくりと流し、それにより当該容積中のほとんど又は全ての分子を捕捉することによって試料の容積を増加させることで、装置及び方法の感度を線形的に上昇させることができる。流量は、約1〜7マイクロリットル毎秒の範囲であり得る。このアッセイは先述のとおり行われ得るが、分析チャンバは、試料保持リザーバと廃液リザーバとの間に置かれてもよく、流れが完了するまで検出ナノ粒子の追加は行われず、結果はチャンバを通じて流れた容積ごとに報告され得る。試料容積の増加は試料によって押し上げられ得るが、収集チャンバに吸収性材料を使用すると、流れを自動化することができる。試料は、捕捉範囲及び対照範囲の双方を流れ得る。
【0012】
従って、本発明の目的は、分析チャンバに入れられた血漿又は血清中の単一分子標的分析物の量を定量するための方法を提供することである。
【0013】
本発明の目的は、少なくとも1つの透明な表面を有する平面状の薄膜状試料チャンバの表面に標的分析物分子を捕捉し、捕捉された分子を、測光法で計測し得るように光学的に強調させることが関わる、記載される特徴の方法を提供することである。
【0014】
本発明のこの、及び他の目的、特徴、及び利点は、添付の図面に示されるとおりのその詳細な説明に照らし合わせることでさらに明らかとなるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】標的分析物、この場合TSHについての血漿又は血清試料のアッセイに使用される薄膜状試料検査チャンバの一部分の概略的な平面図である。
【図2】図1と同様の図であり、但し、血漿又は血清試料と蛍光分析物が存在する複数のレポーターとを充填した後の検査チャンバを示す。
【図3】図2と同様の図であり、但し、検査チャンバが標的分析物の存在に関して撮像されたときの検査チャンバの電子画像を示す。
【図4】より大きい容積の試料供給源範囲と、複合的な薄膜状検査チャンバ範囲と、より大きい容積の試料受入れ範囲とを含む薄膜状試料検査チャンバアセンブリの代替的実施形態の概略的な平面図である。
【図5】図4と同様の概略的な平面図であり、但し、試料が薄膜状の検査チャンバ範囲を動いているところを示す。
【図6】図5と同様の概略的な平面図であり、但し、薄膜状の検査チャンバ範囲を、試料がそこを通った後に撮像したところを示す。
【発明を実施するための形態】
【0016】
ここで図1を参照すると、概して符号2により標示される薄膜状の検査試料採集チャンバの一部分が示される。この場合にアッセイされる検査試料は血漿又は血清であり、TSH(甲状腺特異的ホルモン(Thyroid Specific Hormone))の存在についてアッセイされる。チャンバ2は表面又は壁4を有し、そこに複数のリガンド6が固着している。この場合、リガンド6は、アッセイ対象のTSH分子の第1の表面エピトープに特異的である。
【0017】
図2は、アッセイ対象の血漿と蛍光レポーター粒子8との混合物を充填した後のチャンバ2を示す。粒子8は、標的分析物の第2のエピトープに特異的なリガンドを含み、そのため粒子の一部は、検査チャンバ2に入れられる前に標的分析物分子と結合する。標的分析物分子12と結合した蛍光レポーター粒子は、符号10により標示される。結合せず遊離している蛍光レポーター粒子は、図2では符号8により標示される。標的分析物、この場合TSHは、図2では符号12により標示される。図2は、捕捉された分析物12のいくつかと、数多くの結合せず遊離している蛍光レポーター粒子8とを示す。非結合粒子8は、試料4中において、矢印14により概略的に示されるとおり動く傾向がある。これは、図3に概略的に示されるとおり試料採集チャンバ2が撮像されたときに、図3で符号10’により示されるとおり、捕捉されたレポーター粒子(標的分析物上にある)からの蛍光信号が試料中で比較的明るく、且つ図3で符号8’により示されるとおり、遊離しているレポーター粒子からの蛍光信号が比較的暗く、又は不鮮明となる場合である。
【0018】
このように、試料4中の捕捉された標的分析物の数は、試料4を撮像することにより容易に決定することができる。試料採集チャンバ2の容積は制御されるため、チャンバ2内の試料4の容積は既知であり、標的分析物のカウント数は標的分析物/試料容積単位で計測することができる。
【0019】
ここで図4〜6を参照すると、より大きい容積のアッセイ対象試料を採集することのできる本発明の機器の実施形態が示される。この実施形態は、より多いアッセイ対象の血漿又は血清試料が入る試料リザーバ16を含む。リザーバ16は、例えば試料を1mlまで保持することができる。リザーバ16は可撓性の上表面を有し、これを押圧することにより試料を圧迫し、アセンブリの試料検査チャンバ構成要素2を通じて圧送することができる。検査チャンバ2は、捕捉リガンド6を含まない対照範囲20と試料採集範囲2’とを含む。この対照範囲は一定の尺度では示されず、捕捉範囲よりはるかに小さいか、又は必要であれば、分析物捕捉リガンド6を含む捕捉範囲との拡散隔壁に接続されてもよい。リザーバ16が圧迫されると、試料は矢印Aの方向に、試料採集範囲2’と対照範囲20とを同時に通って動く。範囲2’及び20を通過した後、試料は、必要に応じて試料吸収剤を含み得る受入れリザーバ18に溜まる。
【0020】
図6は、試料チャンバ2’において、試料がそこを通った後に検出され得る画像を示す。この画像は、捕捉レポーター粒子の明るい像10を示し、及び遊離している、すなわち捕捉されていないレポーター粒子からのより暗く不鮮明な蛍光信号8を示し得る。試料検査の妥当性が立証される場合には、対照範囲20は不鮮明な蛍光信号8のみを含む。リザーバ16及び18を含めることで、より多量の試料をアッセイすることが可能となり、従ってより妥当な検査結果を提供することができる。図4〜6の破線11は、試料採集範囲2’と対照範囲20との間の不透過性の隔壁を示し、これは2つの範囲間で試料が交わることを防止するものである。
【0021】
本発明は、その構造に関して本発明の記載の範囲内で多くの変更が可能である。そうした変更としては、高さが2μm〜10μmの、1mm2〜400mm2の範囲のアッセイチャンバの面積が挙げられる。局部的に結合する抗体は、好ましくは均一なパターンに置かれ、隣接する対照範囲は、所望の分析物に対して親和性のない抗体を有するか、又は抗体を全く有しない。対照範囲は、標識された分析物に対応しないより高い強度の点がないことを確認したり、又はそうした点の非特異的な検出を制御したりするために望ましい。捕捉抗体に曝露した試料量のより正確な容積決定を達成するため、試料の対照範囲から捕捉範囲への拡散は制限することが好ましい。また、必要であれば、標準曲線用として実施することも可能であり、この場合、複数の濃度の既知の分析物が分析チャンバに入れられ、同様の条件下に分析される。捕捉範囲において撮像された面積当たりの検出可能な個別信号領域の数から、対照範囲において撮像された面積当たりの検出可能な個別信号を差し引いたものが、分析物の既知の濃度に対してプロットされ、それにより標準曲線が得られる。その結果を用いることで、標準曲線と同じ条件下で分析される未知の試料中の分析物の濃度が計算され得る。
【0022】
局部的な蛍光粒子を生じる効果を有することから、RCAT(ローリングサークル増幅技術)などのプローブ信号増幅をナノ粒子の代わりに用いることもできる。
【0023】
本発明の構想から逸脱することなく、本発明の開示される実施形態の多くの変更及び変形が行われ得るため、添付の特許請求の範囲により要求される場合を除き、本発明を制限することは意図されない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
薄膜状試料チャンバ内の標的分析物を定量化するための生体体液試料のイムノアッセイの実施方法であって、
添加した標的分析物の全てを結合するのに十分な、標的分析物に特異的な複数の捕捉抗体又はリガンドを提供するステップであって、前記標的分析物が、薄膜状試料アッセイチャンバ又は分析チャンバ内の固定化された構造の表面に固定され、前記捕捉抗体又はリガンドが、前記生体体液試料中に存在する標的分析物分子上の1つ又は複数の第1のエピトープに特異的である、ステップと、
前記試料アッセイチャンバに、前記生体体液試料と、前記生体体液試料中に存在する標的分析物分子上の1つ又は複数の第2のエピトープに選択的に結合する抗体とカップリングされた蛍光ナノ粒子との混合物を充填するステップと、
前記試料アッセイチャンバ内の前記静止状態の試料を撮像し、前記固定された捕捉抗体により捕捉された標的分析物分子であって、固定化された状態にある、固定化された標的分析物上の第2のエピトープに結合する抗体とカップリングされた蛍光ナノ粒子を撮像することにより検出可能となる標的分析物分子を計数するステップと、
を含む、方法。
【請求項2】
前記ナノ粒子が量子ドットである、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記試料中の捕捉された標的分析物分子と結合することにより固定化された蛍光ナノ粒子が、前記試料中でブラウン運動現象に起因して遊離ナノ粒子が動く結果として、前記試料中の遊離ナノ粒子と測光法で識別することができる、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記蛍光ナノ粒子が、前記試料中の捕捉された標的分析物分子と結合することにより固定化された量子ドットであって、前記試料中のブラウン運動現象の結果として生じる遊離ナノ粒子の動きにより、前記試料中の遊離ナノ粒子と測光法で識別することのできる量子ドットである、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
標識された検出抗体の結合しているものと遊離しているものとの区別が、画像又は走査の分析を利用する電子的手段により実施される、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
アッセイ材料が無希釈である、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記捕捉部において撮像された面積当たりの検出可能な個別信号領域の数が、前記対照範囲において撮像された面積当たりの撮像された検出可能な個別信号より大きく、面積当たりの差に前記捕捉範囲の面積を乗じたものが、捕捉された標的分析物分子の数に等しい、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記捕捉範囲において撮像された面積当たりの検出可能な個別信号領域の数が、前記対照範囲において撮像された面積当たりの検出可能な個別信号より大きく、前記捕捉範囲において捕捉された標的分析物分子の数に比例する、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記捕捉範囲において撮像された面積当たりの検出可能な個別信号の数が、前記対照範囲において撮像された面積当たりの撮像された検出可能な個別信号より大きいことが、試料中の標的分析物の存在を示す、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記チャンバが、捕捉抗体もリガンドも含まない対照範囲を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記ナノ粒子が、約200ナノメートル未満の直径である、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記ナノ粒子が、約10〜約100ナノメートルの範囲の直径である、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
加えられる試料容積が、前記分析チャンバの容積より大きい、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
薄膜状試料チャンバ内の標的分析物を定量化するための生体体液試料のイムノアッセイの実施方法であって、
前記生体体液試料と、前記生体体液試料中に存在する標的分析物分子上の1つ又は複数の第2のエピトープに選択的に結合する抗体とカップリングされた蛍光ナノ粒子との混合液の供給源を提供するステップであって、前記供給源が、前記薄膜状試料チャンバの試料容量より大きい試料容量を有する、ステップと、
前記混合液の供給源中の標的分析物の全てと結合するのに十分な、標的分析物に特異的な複数の捕捉抗体又はリガンドを提供するステップであって、前記抗体又はリガンドが、薄膜試料アッセイチャンバ又は分析チャンバ内の固定化された構造の表面に固定され、前記捕捉抗体又はリガンドが、前記生体体液試料中に存在する標的分析物分子上の1つ又は複数の第1のエピトープに特異的である、ステップと、
前記混合液を、その前記供給源から前記試料アッセイチャンバを通じて試料受入れリザーバに送るステップであって、前記標的分析物が前記試料中に存在する場合、それにより前記標的分析物が前記試料チャンバ内で前記捕捉抗体又はリガンドと結合する、ステップと、
前記試料アッセイチャンバを撮像し、前記固定された捕捉抗体又はリガンドにより捕捉された標的分析物分子であって、固定化された状態にある、固定化された標的分析物上の前記第1のエピトープに結合する抗体とカップリングされた蛍光ナノ粒子を撮像することにより検出可能となる標的分析物分子を計数するステップと、
を含む、方法。
【請求項15】
前記ナノ粒子が量子ドットである、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記試料中の捕捉された標的分析物分子と結合することにより固定化された蛍光ナノ粒子が、前記試料中でブラウン運動現象に起因して遊離ナノ粒子が動く結果として、前記試料中の遊離ナノ粒子と測光法で識別することができる、請求項14に記載の方法。
【請求項17】
前記蛍光ナノ粒子が、前記試料中の捕捉された標的分析物分子と結合することにより固定化された量子ドットであって、前記試料中のブラウン運動現象の結果として生じる遊離ナノ粒子の動きにより、前記試料中の遊離ナノ粒子と測光法で識別することのできる量子ドットである、請求項14に記載の方法。
【請求項18】
標識された検出抗体の結合しているものと遊離しているものとの区別が、画像又は走査の分析を利用する電子的手段により実施される、請求項14に記載の方法。
【請求項19】
前記ナノ粒子が、約200ナノメートル未満の範囲の直径である、請求項14に記載の方法。
【請求項20】
前記ナノ粒子が、約10〜約100ナノメートルの範囲の直径である、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記捕捉範囲において撮像された面積当たりの検出可能な個別信号の数が、前記試料中の分析物の濃度を決定するための前記アッセイチャンバのキャリブレーション用に実施した標準曲線と比較して、前記対照範囲において撮像された面積当たりの検出可能な個別信号より大きい、請求項1に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図4】
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【図5】
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【図3】
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【図6】
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【公表番号】特表2011−518324(P2011−518324A)
【公表日】平成23年6月23日(2011.6.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−504067(P2011−504067)
【出願日】平成21年4月2日(2009.4.2)
【国際出願番号】PCT/US2009/039283
【国際公開番号】WO2009/126505
【国際公開日】平成21年10月15日(2009.10.15)
【出願人】(501354521)アボット ポイント オブ ケア インコーポレイテッド (21)
【Fターム(参考)】