説明

薄型物品用容器

【課題】通常の箱形形状の容器にポスターやカレンダーを収納した場合、ポスターやカレンダーなどを傷つけることなく、安全かつ省スペースで収納可能な、薄型物品用容器を提供する。
【解決手段】フラップ蓋付の薄型物品用容器であって、開口部を閉止状態で略開口中央領域に設けられる1個以上のスリット0205b,0206bを備えた少なくとも1枚のフラップ0201b,0202bと、開口部を閉止状態で前記スリットに差し込む1個以上の舌片を備えた少なくとも1枚のフラップを有し、容器の蓋を塞ぐ際に、蓋の端部に設けられている蓋を閉止状態に保持するための舌片が、ポスターやカレンダーの縁にあたり、傷つける恐れがない。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本件発明は、輸送や収納時に円筒形の丸まった形状で運搬、収納されるポスター、カレンダー、図面などを収納するための容器に関する。
【背景技術】
【0002】
紙やプラスティックフィルムなどを素材とするポスターやカレンダーなど、薄型で大型の物品は、輸送の際、嵩張る点や、潰れて変形しやすいなど、デリケートな取扱いが必要な物品である。特に、ポスターは、角が折れたりするだけで商品価値が下がり、その取扱いには特段の注意が必要であった。このような問題を解決するために、特許文献1では、ポスターやカレンダーを運送するための円筒形の書類発送用具が提案されている。この書類発送用具では、円筒形の書類発送用具本体に、ポスターやカレンダーなどを丸めて収納し、両側を円筒形の本体よりも口径の大きいキャップにて塞いでいる。これにより、運送時にポスターやカレンダーが潰れて変形するなどの問題は解決された。
【特許文献1】特開2002−046786
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、特許文献1の書類発送用具では、本体が円筒形であり、書類発送用具を横に寝かせた状態で積層して運搬することが困難である。このため、運送時や収納時に嵩張り、より多くのスペースが必要となる。また、通常の箱形形状の容器にポスターやカレンダーを収納した場合、容器の蓋を塞ぐ際に、蓋の端部に設けられている蓋を閉止状態に保持するための舌片が、ポスターやカレンダーの縁にあたり、傷つける恐れがある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
そこで、本件発明では上記問題点に鑑み、ポスターなどを傷つけることなく、安全かつ省スペースで収納可能な、薄型物品用容器を提供する。
【0005】
すなわち、本件発明は、フラップ蓋付の薄型物品用容器に関するもので、開口閉止状態で略開口中央領域に設けられる1個以上のスリットを備えた少なくとも1枚のフラップと、開口閉止状態で前記スリットに差し込む1個以上の舌片を備えた少なくとも1枚のフラップを有する薄型物品用容器を提供する。
【0006】
また、本件発明は、前記スリットに差し込む舌片を備えたフラップが、スリットに対して舌片面を相接する状態にて摩擦係止を可能とする薄型物品用容器を提供する。
【発明の効果】
【0007】
本件発明により、ポスターやカレンダーなど、円筒形に丸めて収納する物品が、安全かつ省スペースで収納、運送することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、本件発明の実施形態について、添付図面を用いて説明する。なお、本件発明は、これら実施形態に何ら限定されるべきものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において、種々なる態様で実施し得る。
<実施形態1>
<実施形態1 概要>
【0009】
本実施形態は、容器に収納するポスターやカレンダーなどを出し入れする開口部分の略中央領域にスリットと、このスリットとの摩擦閉止を可能とする舌片が配置される薄型物品用容器である。また、舌片により摩擦閉止が可能であるため、開口部を封止する際にガムテープや紙テープなどを必要としない。
<実施形態1 構成>
【0010】
本実施形態の薄型物品用容器は、フラップ蓋付の容器であって、開口閉止状態すなわち開口部を閉止した状態で略開口中央領域に設けられるスリットを備えたフラップと、開口部を閉止した状態で前記スリットに略垂直に差し込むことで摩擦閉止を可能とする舌片を備えたフラップを有する。
【0011】
図1に本実施形態のフラップ蓋付容器の概念図を示した。本実施形態の容器は、開口部を閉止した状態で略開口中央領域に設けられるスリット(0101、0102)を備えたフラップ(0103、0104)と、スリットに対して略垂直に差し込む舌片(0105、0106)を備えたフラップ(0107、0108)を有する。図2には、本実施形態の容器の開口状態から閉止状態までの流れを示した。(a)は、容器の開口部が完全に開口した状態で、全てのフラップ(0201、0202、0203、0204))が略垂直に起立している。(b)は、スリットを備えたフラップ(0201、0202)2枚が、(a)の状態から、略90度折り曲げられた状態である。この状態で、2枚のフラップに設けられたスリット(0205、0206)が、互いに合わさり、見かけ上、一つの大きなスリットとなっている。(c)では、(b)にて2枚のフラップにより構成されたスリットに、図中左奥側のフラップ(0204)が、略90度折り曲げられて、フラップ端部に備えられた舌片(0207)が、略垂直に差し込まれている。(d)では、図中手前側のフラップ(0203)が略90度折り曲げられ、2枚のフラップ(0201、0202)により構成されたスリットに、フラップ端部に備えられた舌片(0208)が、略垂直に差し込まれている。(a)から(d)までの操作により、本実施形態の容器は、完全に閉止状態となる。
【0012】
図3には、図2の(d)の状態の透視図(図3(a))と断面図(b)を示した。図3では、容器の内容物として、円筒形に丸めたポスター(0301)を例示している。また図4には、従来から用いられているフラップ(0401)に舌片(0402)を備えた容器の透視図(図4(a))と断面図(b)を示した。円筒形に丸めたポスターやカレンダー(0403)などは、丸められた状態から、元の平面の状態に戻ろうとする力が生じ、容器の内側面に必ず内接する。このため、ポスターやカレンダーなどの内容物の大きさが、容器の大きさに近い場合、図4に示した従来から用いられている容器では、開口部を閉止した状態でフラップの舌片の先端が、ポスターやカレンダーなどの内容物と接触(0404)し、内容物を傷つけてしまう。一方、図3に示した本実施形態の容器では、フラップ(0302、0303)に備えられた舌片(0304、0305)が、略開口中央領域に設けられるスリット(0306、0307)に略垂直に差し込まれるため、容器内側面から離れた位置に舌片が差し込まれることとなる。これによって、本実施形態の容器では、ポスター(0301)と、フラップに備えられた舌片は接触することが無く、舌片がポスターを傷つける恐れがない。
【0013】
また、図4に示した従来から用いられている容器では、内容物であるポスターやカレンダーに比べ、容器の大きさを大きくすることで、舌片が内容物に接触するのを回避可能であるが、輸送時の振動により、内容物が容器内を移動し、舌片と接触する可能性がある。本実施形態の容器であれば、内容物の大きさが容器にほぼ等しい場合でも、舌片と接触する恐れはない。従って、本実施形態の容器は、内部に収納するポスターやカレンダーなどの大きさに合わせて、様々なサイズのものを用意すれば、容器材料の使用量を削減することも可能となる。
<実施形態1 効果>
【0014】
本実施形態の容器は、開口部を閉止した状態で、フラップ先端に備えられた舌片が、略開口中央領域に設けられたスリットに略垂直に差し込まれる。このため、舌片は、容器内部の略中央領域に位置するため、内容物である円筒形に丸められたポスターやカレンダーなどと接触せず、傷つける恐れが無くなる。
<実施形態2>
<実施形態2 概要>
【0015】
本実施形態の容器は、図4に示したような従来の容器とは異なり、1対の舌片を備えるフラップの、舌片同士を接することで摩擦係止可能に構成されている。このため、従来の容器に比べ、摩擦係止力が高く、確実に閉止状態に保持することが可能となる。また、確実に閉止状態を保持することが可能である一方で、開口部を閉止した状態の時に舌片のスリットへの差し込みを容易に行うことが可能となっている。
<実施形態2 構成>
【0016】
本実施形態の容器のスリットに差し込まれる舌片を備えるフラップは、スリットに対して舌片面を相接する状態にて摩擦係止可能である。
【0017】
図5の(a)に本実施形態の容器の斜視概念図を、(b)には、(a)で示した面の断面図を示した。(b)の断面図において、図中左右からスリット(0501、0502)に差し込まれるフラップ(0503、0504)に備えられた舌片(0505、0506)は、閉止状態において、相接している。フラップに備えられた舌片は、元の状態は、フラップと略同じ平面を構成していた。この舌片をフラップ面に対して略90度折り曲げ、スリットに対して略垂直に差し込ませている。このため、舌片には、元の形状に戻ろうとする力、すなわちフラップと同じ角度に戻ろうとする力が働き、図中矢印の方向へ力が加わる。このように、舌片同士が、互いに矢印の方向へ力を加えるため、舌片同士の相接している面で摩擦力が増加し、摩擦係止される。
<実施形態2 効果>
【0018】
本実施形態の容器により、フラップを容易に閉止状態にすることが可能となり、かつ、確実に閉止状態に保持することが可能となる。
<具体例>
【0019】
図6に本実施形態の容器の斜視図を示した。図7には本実施形態の容器の写真を示した。図7(a)は容器全体の写真であり、(b)は開口部付近の拡大写真である。図6に示した容器は、B2サイズ(515mm×728mm)用である。このB2サイズ用容器は、厚さ略1.5mmのダンボールにより構成され、縦が略47mm、横が略46mmである。高さは略525mmとなっている。また、フラップの長さは、略23mmである。フラップに備えられた舌片は幅略22mmで、フラップから略10mm突出している。また、フラップに備えられたスリットは、幅が略3mm、長さ略11mmとなっている。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】実施形態1の薄型物品用容器の概念図
【図2】実施形態1の薄型物品用容器のフラップ付近の拡大概念図
【図3】実施形態1の薄型物品用容器のフラップ付近の拡大概念図と断面図
【図4】従来の薄型物品用容器のフラップ付近の拡大概念図と断面図
【図5】実施形態2の薄型物品用容器のフラップ付近の拡大概念図と断面図
【図6】本件発明の具体例
【図7】本件発明の写真
【符号の説明】
【0021】
0101、0102、0205、0206、0306、0307、0501、0502、 スリット
0103、0104、0201、0202 スリットを備えたフラップ
0105、0106、0207、0208、0304、0305、0402、0505、0506 舌片
0107、0108、0203、0204、0302、0303、0401、0503、0504 舌片を備えたフラップ
0301、0403 内容物
0404 接触

【特許請求の範囲】
【請求項1】
フラップ蓋付の薄型物品用容器であって、
開口閉止状態で略開口中央領域に設けられる1個以上のスリットを備えた少なくとも1枚のフラップと、
開口閉止状態で前記スリットに差し込む1個以上の舌片を備えた少なくとも1枚のフラップを有する薄型物品用容器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2008−239238(P2008−239238A)
【公開日】平成20年10月9日(2008.10.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−86667(P2007−86667)
【出願日】平成19年3月29日(2007.3.29)
【出願人】(502297313)
【Fターム(参考)】