説明

薄肉射出成形品に好適な組成物

500μmから2.0mmの最小壁厚を有する射出成形品を製造するために好適な組成物は、(A)実質的にアイソタクチックなプロピレン配列を有する、2重量%から15重量%のプロピレン−エチレンコポリマーと、(B)2.5重量%から5.0重量%のエチレン由来ユニット、及び、25から130グラム/10分(g/10分)のメルトフローレートを有する、85重量%から98重量%のランダムポリプロピレンコポリマーと、(C)(ランダムポリプロピレンコポリマーの重量に基づいて)500重量ppmから2500重量ppmの核形成剤/清澄化剤添加剤とを含む。典型的には、組成物のメルトフローレートは20g/10分から125g/10分であり、プロピレン−エチレンコポリマーは少なくとも75重量%のプロピレンを含み、4g/10分から30g/10分のメルトフローレートを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、良好な光学、靭性及び引張降伏強さを示す、500μmから2.0ミリメートルの壁厚を有する薄肉射出成形品(thin-wall injection molded articles)の製造における使用のために好適な熱可塑性組成物に関する。加えて、本発明は、本発明の組成物を含有する(incorporating)薄肉射出成形品に関する。さらに、本発明は、本発明の発明組成物を含有する様々な射出成形品、例えば、枠箱(crates)、箱、ペール(pails)、家庭用品、家具、飲物用カップ、キャップ及び閉じ具(closures)などに関する。
【背景技術】
【0002】
ポリプロピレンが、その大きい多用途性及び比較的良好な耐熱性のために広く使用される。その剛性率及び低い密度はポリプロピレンを様々な用途にわたる多くの射出成形品のための優れた費用効果的な材料にしている。今日、ポリプロピレンホモポリマーにおける靭性(特に低温での靭性)の欠如は、イン・リアクター(in-reactor)ゴムを加えることによって克服される。得られる耐衝撃コポリマーは非常に良好な剛性/耐衝撃バランスをまさに有しており、機能的MFRから100g/10分を超えるまでのメルトフローレート(melt flow rate)(230℃、2.16kg)で利用可能である。剛性及び靭性の両方を必要とする様々な射出成形用途における満たされていない要求の1つが、良好な光学特性、例えば、低いヘイズ及び高い透明性などを提供し、かつ、応力白化に対してより小さい感受性を示すポリプロピレンである。様々な特性の組合せが、薄肉(500μmから2.0mm)射出成形品の製造における短いサイクル時間及び優れた経済性を可能にするために、高いメルトフローレートで利用可能でなければならない。
【0003】
歴史的に、透明な物品は、結晶化度を低下させた清澄化ランダムポリプロピレンコポリマーを用いて射出成形される。ホモポリマーと比較した場合のより低い剛性を物品の設計によって補うことができる。ポリプロピレンホモポリマーの場合のように、靭性、特に低温での靭性がないことにより、少なくとも1つのゴム成分の添加がほとんどの用途のために要求される;物品が低温で輸送される場合には特に、そのような添加が要求される。
【0004】
ランダムポリプロピレンコポリマーと、結晶化度が低いポリエチレン、例えば、メタロセンポリエチレン(メタロセンによるポリエチレン、metallocene polyethylene)とのブレンド配合物を含有する組成物は、耐衝撃性における著しい改善を達成するために、比較的高いレベルの衝撃改質剤を必要とする。このような高いレベルの衝撃改質剤の添加は射出成形装置においては困難であり、受け入れ難い費用増大をもたらす。
【0005】
イン・リアクターエチレン−プロピレンゴム及びランダムポリプロピレンコポリマーを含む様々な市販製造物が利用可能である。これらの製造物は、非改質ランダムコポリマーと比較してそれほど透明でなく、ある一定のレベルの耐衝撃性を提供し、メルトフローレートに制約がある。肉薄射出成形用途において、そのような製造物の使用は、ランダムポリプロピレンコポリマーと比較したとき、より長いサイクル時間のために、より多くの原料費用及び変換費用(conversion cost)を生じさせる。
【0006】
所望されるものは、剛性、優れた光学(例えば、低いヘイズ及び/又は高い透明性など)、及び、許容可能な靭性値が秀でたバランスを示し、一方で、競合できるサイクル時間によって、より低い原料費用及び変換費用もまた提供する物品に容易に射出成形することができる組成物である。加えて、そのような物品は、操作及び取り扱いのとき、応力白化に耐えることが望ましい。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の1つの目的は、剛性、靭性及び光学特性、例えば、高い透明性及び/又は低いヘイズなどの優れたバランスを示す射出成形品にすることができる組成物を提供することである。
【0008】
本発明の別の目的は、射出成形品が上記特性を示し、さらには、応力白化に対する良好な抵抗性を示すことである。
【0009】
本発明のさらなる目的は、清澄化ポリプロピレンとの適合性を有し、従って、射出成形装置において乾式混合することができ、また、長い混合時間の必要性をなくす、衝撃改質剤を含有する組成物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
第1の実施形態において、本発明は、500μmから2.0mmの間の最小壁厚を有する射出成形品を製造するために好適な組成物であり、この場合、この組成物は、
(A)実質的にアイソタクチックなプロピレン配列を有する、2重量%から15重量%(好ましくは4重量から10重量%、より好ましくは5重量%から9重量%)のプロピレン−エチレンコポリマー、ただし、前記プロピレン−エチレンコポリマーは、
(1)少なくとも75重量%のプロピレン由来ユニット及び11重量%から18重量%のエチレン由来ユニット
を含み、
(2)前記プロピレン−エチレンコポリマーは4グラム/10分から30グラム/10分(好ましくは5グラム/10分から26グラム/10分、より好ましくは6グラム/10分から20グラム/10分)のメルトフローレートを有する;及び
(B)2.5重量パーセントから5.0重量パーセントのエチレン由来ユニット(最も良い光学/剛性バランスのためには、好ましくは、ランダムポリプロピレンコポリマーは3.0重量パーセントから4.0重量パーセントのエチレン由来ユニットを有する)、25グラム/10分から130グラム/10分のメルトフローレート(射出成形品のより速い製造のためには、メルトフローレートは好ましくは30グラム/10分から60グラム/10分であり、より好ましくは40グラム/10分から50グラム/10分である)を有する、85重量%から98重量%のランダムポリプロピレンコポリマー;
(C)(ランダムポリプロピレンコポリマーの重量に基づいて)500重量ppmから2500重量ppmの核形成剤(nucleator)/清澄化剤添加剤(clarifier)
を含み、
ただし、組成物のメルトフローレートが20グラム/10分から125グラム/10分であり、かつ、射出成形品の厚さ1.6mmの断片(section)が、
(1)少なくとも7.5J/mm(好ましくは7.5J/mmから15J/mm)のISO6603による室温(23℃)ダート衝撃強さ;
(2)20MPaから30MPaの間のISO527による引張降伏強さ;
(3)少なくとも0.43J/mmから0.75J/mm(好ましくは0.45J/mmから0.75J/mm)のISO6603による0℃ダート衝撃強さ;及び
(3)ASTM1003による50%未満(好ましくは48重量%未満)のヘイズ値
を示す。
【0011】
清澄化(clarifies)及び核成形(nucleates)を同時に行う任意の添加剤(additive)を核形成剤/清澄化剤添加剤のために使用することができる。様々な核形成剤/清澄化剤添加剤、例えば、ADK NA−11及びADK NA−21などが、Asahi Denka Kokaiから市販されており、樹脂の剛性/靭性/透明性のバランスを改善するために本発明の結晶性ポリプロピレンに添加することができる。Milliken&Companyから入手可能なMillad3998、又は、RIKA International Ltd.から入手可能なGeniset MD LM−30のようなソルビトール化合物(ソルビトール系核形成剤/清澄化剤)が、本発明のために有用な核形成剤/清澄化剤添加剤の別の一例である。核形成剤/清澄化剤は、好ましくは、(ランダムポリプロピレンコポリマーの重量に基づいて)少なくとも500ppmで、かつ、2500ppm未満のレベルでランダムポリプロピレンコポリマーに存在する;より好ましくは、核形成剤/清澄化剤は、少なくとも800ppmで、かつ、2400ppm未満のレベルである;最も好ましくは、核形成剤/清澄化剤は、少なくとも1200ppmで、かつ、2200ppm未満のレベルである。いくつかの用途において、低いレベルのヘイズが特に重要である場合、核形成剤/清澄化剤は、利用されるランダムポリプロピレンコポリマーの重量に基づいて800ppmから2500ppmの間のレベルで、好ましくは1200ppmから2300ppmの間のレベルで、より好ましくは1700ppmから2200ppmの間のレベルで、ソルビトール系核形成剤/清澄化剤、例えば、Millad3988(1,2,3,4−ジ−meta,para−メチルベンジリデンソルビトール)、又は、Geniset MD LM−30(1,3,2,4−ジ(メチルベンジリデン)ソルビトール)などである。清澄化剤は核形成剤としてもまた働き、射出成形プロセスにおける短いサイクル時間を可能にする。
【0012】
好ましくは、核形成剤/清澄化剤添加剤はランダムポリプロピレンコポリマーにランダムポリプロピレンコポリマーのペレット化の期間中に添加される。
【0013】
プロピレン−エチレンコポリマーは3.5未満の分子量分布(Mw/Mn)を有する。本発明の1つの好ましい態様において、プロピレン−エチレンコポリマーはまた、プロピレン−エチレンコポリマーを詳述する節において下記で記載されるように、幅広い結晶化度分布を示す。本発明における代替の好ましい態様において、プロピレン−エチレンコポリマーは狭い結晶化度分布を示す。
【0014】
第2の実施形態において、組成物はさらに、3.5未満の分子量分布(Mw/Mn)、0.885g/mlから0.915g/mlの密度、及び、65ジュール/グラムから125ジュール/グラムの融解熱を有する実質的に線状である(substantially linear)ポリエチレン及び均一に枝分かれした線状ポリエチレンから選択される均質なエチレン−α−オレフィンインターポリマーをさらに含み、ただし、プロピレン−エチレンコポリマー(A)の、均質なエチレン−α−オレフィンインターポリマーに対する重量比は97:3から80:20である。存在するならば、均質なエチレン−α−オレフィンインターポリマーは、射出成形装置の押出し機に導入される前にプロピレン−エチレンコポリマーと予備混合される。より好ましくは、均質なエチレン−α−オレフィンインターポリマーは、プロピレン−エチレンコポリマーの製造期間中において、最も好ましくはプロピレン−エチレンコポリマーのペレット化の前にプロピレン−エチレンコポリマーと混合される。
【0015】
第3の実施形態において、本発明は、第1の実施形態及び/又は第2の実施形態の組成物を含有する500μmから2.0mmの最小壁厚を有する薄肉射出成形品(thin-wall injection molded articles)である。薄肉射出成形品の例には、本発明の組成物を含有する食品用容器、枠箱、箱、ペール、家庭用品、家具、飲物用カップ、キャップ及び閉じ具などが含まれる。
【0016】
好ましくは、本発明の薄肉射出成形品は低い応力白化挙動を示す。応力白化挙動は下記のように求められる。応力白化のレベルが、ダートによる衝撃を受けたサンプルが、衝撃領域において示される応力白化のレベルに応じてグループ分けすることにより目視により定性的に評価される。「低」は、応力白化を衝撃表面においてほとんど示さないサンプルに与えられ、「中」は、ある程度の白さを衝撃表面において示すサンプルに与えられ、「高」は、衝撃表面において白くなるサンプルに与えられた評価である。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】図1は、実施例で使用されたプロピレン−エチレンコポリマーと類似するプロピレン−エチレンコポリマー(これは、触媒Aに類似する、活性化された、非メタロセンの、金属を中心に有するヘテロアリール配位子触媒を用いて作製された)の13C NMRスペクトルを示す。
【図2】図2は、図1と同じプロピレン−エチレンコポリマーの13C NMRスペクトルを示す。しかしながら、このスペクトルは、約14.6ppm及び15.7ppmにおけるレジオ(regio)エラーピークをより明確に示すために、図1と比較して拡大されたY軸スケールにより示される。
【図3】図3は、メタロセン触媒を使用して調製されたプロピレン−エチレンコポリマーの13C NMRスペクトルを示す。この図は、15ppm付近の領域におけるレジオエラーピークが、メタロセン触媒を用いて作製されたプロピレン−エチレンコポリマーについては存在しないことを明らかにする。
【図4】図4は、2つのプロピレン−エチレンコポリマーについてのDSC軌跡を示す。
【図5】図5は、プロピレン−エチレンコポリマーについての赤外スペクトルの一例を示す。
【図6】図6は、総面積と、赤外スペクトル、例えば図5において2940cm−1よりも大きい振動数での吸光度から得られる部分面積とを使用してプロピレン重量分率を計算するために使用された較正を示す。
【図7】図7は、図4のプロピレン−エチレンコポリマー(P−E2)についてのGPC−FTIRによる組成分布を示す。
【図8】図8は、(前述されたNMR法によって計算されるように)13.7重量パーセントのエチレン由来ユニットを有する、メタロセンによるプロピレン−エチレンコポリマーについてのGPC−FTIRによる組成分布を示す。
【発明を実施するための形態】
【0018】
組成物のためのランダムポリプロピレンコポリマー:
本発明の組成物において使用されるポリプロピレンはランダムポリプロピレンコポリマーである。このランダムポリプロピレンコポリマーは、少なくとも94重量%がプロピレン由来ユニットであり、5重量%以下がエチレン由来ユニットである。
【0019】
そのようなランダムポリプロピレンコポリマーは2.0重量%から5.0重量%のエチレン由来ユニットを含み、好ましくは、3.0重量%から4.0重量%のエチレン由来ユニットを含む。エチレン含有量は、食品接触の準拠要件を満たすために5.0重量%以下である。そのようなランダムポリプロピレンコポリマーは、チーグラー・ナッタ触媒及びメタロセン触媒を含む、一般に入手可能な触媒を用いて作製することができる。好ましくは、そのようなランダムポリプロピレンコポリマーは、チーグラー・ナッタ型の触媒系を使用して製造される。
【0020】
本発明に有用であるランダムポリプロピレンコポリマーは25g/10分から130g/10分のメルトフローレートを有し、好ましくは30g/10分から60g/10分のメルトフローレートを有し、より好ましくは40g/10分から50g/10分のメルトフローレートを有する。
【0021】
好ましくは十分な核形成剤/清澄化剤添加剤が、ランダムポリプロピレンコポリマーの重量に基づいて500ppmから2500ppmの核形成剤/清澄化剤添加剤を提供するために、好ましくは、ランダムポリプロピレンコポリマーの重量に基づいて800ppmから2400ppmの核形成剤/清澄化剤添加剤を提供するために、より好ましくは、ランダムポリプロピレンコポリマーの重量に基づいて1200ppmから2300ppmの核形成剤/清澄化剤添加剤を提供するためにランダムポリプロピレンコポリマーに添加される。
【0022】
プロピレン−エチレンコポリマー:
本発明のプロピレン−エチレンコポリマーは、実質的にアイソタクチックなプロピレン配列を有するとして特徴づけられる。「実質的にアイソタクチックなプロピレン配列」及び類似する用語は、配列が、約0.85よりも大きい、好ましくは約0.90よりも大きい、より好ましくは約0.92よりも大きい、最も好ましくは約0.93よりも大きい、13C NMRによって測定されるアイソタクチックトリアッド(mm)を有することを意味する。アイソタクチックトリアッド(isotactic triads)は当分野では周知であり、例えば、米国特許第5,504,172号及び国際特許出願公開WO00/01745に記載され、これらは、13C NMRスペクトルによって求められるコポリマー分子鎖におけるトリアッドユニットに関して、アイソタクチック配列を示す。NMRスペクトルが、下記に記載されるように求められる。
【0023】
プロピレン−エチレンコポリマーは少なくとも75重量%のプロピレン由来ユニット(これはときには「プロピレン含有量」として示される)を含む。プロピレン−エチレンコポリマーは11重量%から18重量%のエチレン由来ユニット(これはときには「エチレン含有量」として示される)を含み、好ましくは12重量%から17重量%のエチレン由来ユニットを含み、より好ましくは13重量%から16重量%のエチレン由来ユニットを含む。
【0024】
プロピレン−エチレンコポリマーは典型的には2.5ジュール/グラムから36ジュール/グラムの融解熱を示し、好ましくは7.5ジュール/グラムから31ジュール/グラムの融解熱を示し、より好ましくは12ジュール/グラムから26ジュール/グラムの融解熱を示し、最も好ましくは12ジュール/グラムから20ジュール/グラムの融解熱を示す。
【0025】
本発明のプロピレン−エチレンコポリマーは、プロピレン及びエチレンに由来するユニットに加えて、他のα−オレフィンに由来するユニットを含有することができる。
【0026】
13C NMR分光法は、ポリマーへのコモノマー取り込みを測定し、また、プロピレン系コポリマー、例えば、現行のプロピレン−エチレンコポリマーなどにおけるアイソタクチックトリアッドのレベルを測定する、当分野では公知である数多くの技術の1つである。この技術の一例が、Randall(Jouranl of Macromolecular Science, Reviews in Macromolecular Chemistry and Physics, C29 (2 & 3), 201-317 (1989))において、コモノマー含有量をエチレン/α−オレフィンコポリマーについて求めるために記載されている。オレフィンインターポリマーのコモノマー含有量を求めるための基本的手法では、13C NMRスペクトルを、サンプルにおける異なる炭素に対応するピークの強度がサンプルにおける寄与する核の総数に正比例する条件のもとで得ることを含む。この比例性を保証するための様々な方法が当分野では公知であり、パルス後の緩和のための十分な時間を許容すること、ゲート付デカップリング技術(gated-decoupling techniques)の使用、及び、緩和剤などを含む。ピーク又はピーク群の相対的強度が実際にはコンピューターによるその積分から得られる。スペクトルを得て、ピークを積分した後、コモノマーに関連するそれらのピークが帰属される。この帰属を、公知のスペクトル又は文献を参照することによって、あるいは、モデル化合物の合成及び分析によって、あるいは、同位体標識されたコモノマーの使用によって行うことができる。モル%コモノマーを、例えば、Randallに記載されるように、インターポリマーにおけるコモノマーのすべてのモル数に対応する積分に対する、コモノマーのモル数に対応する積分の比率によって求めることができる。
【0027】
データが、Varian UNITY Plus 400MHz NMR分光計(これは100.4MHzの13C共鳴周波数に対応する)を使用して集められる。取得パラメーターが、緩和剤の存在下における定量的13Cデータ取得を保証するために選択される。データが、130℃に加熱されたプローブヘッドとともに、ゲート付Hデッカプリング、データファイルあたり4000の過渡シグナル、7秒のパルス繰り返し遅延、24,200Hzのスペクトル幅、及び、32Kデータポイントのファイルサイズを使用して取得される。サンプルは、クロムアセチルアセトナート(緩和剤)が0.025Mであるテトラクロロエタン−d2/オルトジクロロベンゼンの50/50混合物のおよそ3mLを10mmのNMRチューブにおいて0.4gのサンプルに加えることによって調製される。チューブのヘッドスペースは、純窒素による置換によって酸素が除去される。チューブ及びその内容物を、ヒートガンによって断続的に還流しながら150℃に加熱することによって、サンプルが溶解され、均質化される。
【0028】
データ収集後、化学シフトが21.90ppmにおけるmmmmペンタッドに対して内部参照される。
【0029】
プロピレン−エチレンコポリマーについては、下記の手順が、ポリマーにおけるモルパーセントエチレンを計算するために使用される。積分領域が下記のように決定される。
【表1】


領域DはD=P×(G×Q)/2として計算される。領域E=R+Q+(G×Q)/2。

【表2】

【0030】
C2の値が上記の2つの方法(トリアッド総和及び代数的)の平均として計算されるが、通常、これら2つは異ならない。プロピレン−エチレンコポリマーにおけるエチレン由来ユニットの重量パーセントが当業者によってモルパーセントエチレンについての値から計算され得る。
【0031】
本発明の1つの好ましい態様において、本発明において利用されるプロピレン−エチレンコポリマーは、米国特許出願第10/139,786号(2002年5月5日出願、これはそのような触媒に関するその教示のためにその全体において参考として本明細書中に組み込まれる)に記載されるような、非メタロセンの、金属を中心に有するヘテロアリール配位子触媒を使用して作製されるプロピレン−エチレンコポリマーを含む。そのような触媒について、用語「ヘテロアリール」には、置換されたヘテロアリールが含まれる。そのような非メタロセンの、金属を中心に有するヘテロアリール配位子触媒の一例が、実施例において記載される触媒Aである。そのような非メタロセンの、金属を中心に有するヘテロアリール配位子触媒を用いて作製されるプロピレン−エチレンコポリマーは、特有のレジオエラーを示す。レジオエラーは、約14.6ppm及び約15.7ppmにおいて対応する13C NMRピークによって特定され、この場合、これらのピークは、成長途中のポリマー鎖の中へのプロピレンユニットの立体選択的な2,1−挿入エラーの結果であると考えられる。この特に好ましい態様において、これらのピークはほぼ等しい強度である。
【0032】
いくつかの13C NMRスペクトルの比較により、本発明の特に好ましい態様において好ましく利用されるプロピレン−エチレンコポリマーの特有のレジオエラーがさらに例示される。図1及び図2は、実施例で利用されるプロピレン−エチレンコポリマーと類似するプロピレン−エチレンコポリマーのスペクトルである。それぞれのポリマーのスペクトルでは、大きな程度のアイソタクチシティー(0.94よりも大きい、13C NMRによって測定されるアイソタクチックトリアッド(mm))、及び、これらのプロピレン−エチレン系コポリマーの特有のレジオエラーが報告される。図3の13C NMRスペクトルは、メタロセン触媒を使用して調製されたプロピレン−エチレンコポリマーの13C NMRスペクトルである。このスペクトルでは、レジオエラー(15ppm付近)が報告されない。
【0033】
トリアッドレベル(mm)でのアイソタクチシティーが、mmトリアッド(22.70ppmから21.28ppm)、mrトリアッド(21.28ppmから20.67ppm)及びrrトリアッド(20.67ppmから19.74ppm)の積分から求められる。mmアイソタクチシティーは、mmトリアッドの強度を、mmトリアッド、mrトリアッド及びrrトリアッドの和によって除算することによって求められる。プロピレン−エチレンコポリマーについては、mr領域が、37.5ppmから39ppmの積分を引くことによって補正される。mmトリアッド、mrトリアッド及びrrトリアッドの各領域においてピークをもたらす、他のモノマーとのコポリマーについては、ピークが特定されると、これらの領域についての積分が、妨害するピークの強度を、標準的NMR技術を使用して引くことによって同様に補正される。このことを、例えば、様々なレベルのモノマー取り込み(incorporation)を有する一連のポリマーの分析によって、又は、文献による帰属によって、又は、同位体標識化することによって、又は、当分野では公知である他の手段によって達成することができる。
【0034】
広い結晶化度分布
本発明の別の特に好ましい態様において、プロピレン−エチレンコポリマーは広い結晶化度分布を示す。本発明者らは、広い結晶化度分布を有するプロピレン−エチレンコポリマーの使用により、より良好な靭性(すなわち、靭性のより大きい値)を有する組成物がもたらされると考えている。
【0035】
融解熱が20ジュール/グラムよりも大きいプロピレン−エチレンコポリマーについては、結晶化度分布が、好ましくは、下記において記載されるようなTREF/ATREF分析から求められる。
【0036】
結晶化可能配列長さ分布(crystallizable sequence length distribution)の決定を昇温溶出分画化(TREF、temperature-rising elution fractionation)によって調製規模(preparative scale)で達成することができる。個々の画分の相対量を、より連続する分布を推定するための基礎として使用することができる。L. Wildら(Journal of Polymer Science: Polymer Physics Ed., 20, 441 (1982))は、分布の連続表示を溶出温度の関数として示すために、サンプルサイズのスケールを小さくし、質量検出器を加えた。このスケールダウン、すなわち、分析的昇温溶出分画化(ATREF、analytical temperature-rising elution fractination)では、分画物の実際の単離には関心がないが、分画物の重量分布をより正確に求めることに関心がある。
【0037】
TREFは最初、エチレン及び高級α−オレフィンのコポリマーに適用されたが、TREFはまた、プロピレンと、エチレン(又は高級α−オレフィン)とのコポリマーを分析するためにも使用することができる。プロピレンのコポリマーの分析では、より高い温度が純粋なアイソタクチックポリプロピレンの溶解及び結晶化のために要求されるが、目的とする共重合生成物のほとんどが、エチレンのコポリマーについて観測されるのと類似する温度で溶出する。下記の表は、プロピレンのコポリマーの分析のために使用された条件の概要である。記載される場合を除き、TREFのための条件は、Wildら(上掲)の条件、及び、Hazlitt(Journal of Applied Polymer Science: Appl. Polym. Symp., 45, 25 (1990))の条件と一致している。
【表3】

【0038】
TREFから得られるデータは、溶出温度の関数としての重量分率の正規化されたプロットとして表される。分離機構はエチレンのコポリマーの分離機構と類似しており、従って、結晶可能な成分(エチレン)のモル含有量が、溶出温度を決定する主要因である。プロピレンのコポリマーの場合、溶出温度を主として決定するのが、アイソタクチックプロピレンユニットのモル含有量である。
【0039】
プロピレン−エチレンコポリマーの結晶化度分布を記述するために使用され得る1つの統計学的因子が歪度(skewness)であり、これは、特定のポリマーについてのTREF曲線の非対称性を反映する統計量である。式1は、この非対称性の尺度としての歪度指数Sixを数学的に表す。
式1
【数1】

【0040】
値TMaxは、TREF曲線において50℃から90℃の間で溶出する最大重量画分の温度として定義される。T及びwはそれぞれ、TREF分布における任意のi番目の画分の溶出温度及び重量分率である。分布は、30℃を超える温度で溶出する曲線の総面積に関して正規化されている(wの和は100%に等しい)。従って、この指数は、結晶化したポリマーの形状のみを反映し、あらゆる非結晶化ポリマー(30℃以下において依然として溶解しているポリマー)は、式1に示される計算から除外されている。本発明の特に好ましい態様において、プロピレン−エチレンコポリマーについての歪度指数は(−1.2)よりも大きく、好ましくは−1.0よりも大きく、より好ましくは−0.8よりも大きく、さらにより好ましくは−0.7よりも大きく、また、いくつかの場合には−0.60よりも大きい。そのような歪度指数は、プロピレン−エチレンコポリマーが広い結晶化度分布を有することを示している。
【0041】
歪度指標に加えて、TREF曲線の幅の別の尺度(従って、コポリマーの結晶化度分布の幅の尺度)は、最終溶出四分位のメジアン溶出温度(TM4)である。このメジアン溶出温度は、最後に溶出するか、又は、最も高い温度で溶出するTREF分布の25%重量分画物のメジアン溶出温度である(30℃以下において依然として溶解しているポリマーは、歪度指数について上記で議論されるように計算から除外される)。上位側温度四分位範囲(TM4−TMax)により、最終溶出四分位のメジアン溶出温度と、ピーク温度TMaxとの差が定義される。本発明のこの特に好ましい態様において、プロピレン−α−オレフィンコポリマーは、4.0℃より大きい上位側温度四分位範囲(Upper Temperature Quartile Range)によって、好ましくは少なくとも4.5℃より大きい上位側温度四分位範囲によって、より好ましくは少なくとも5℃より大きい上位側温度四分位範囲によって、さらにより好ましくは少なくとも6℃より大きい上位側温度四分位範囲によって、最も好ましくは少なくとも7℃の上位側温度四分位範囲によって、また、いくつかの場合には、少なくとも8℃の上位側温度四分位範囲によって、また、少なくとも9℃もの上位側温度四分位範囲によって部分的に示される広い結晶化度分布を有する。一般には、上位側温度四分位範囲についての値が大きいほど、コポリマーの結晶化度分布が広くなる。
【0042】
さらに、この特に好ましい態様において、プロピレン−エチレンコポリマーは、TREFによって調べられたとき、通常的でない予想外の結果を示す。分布は、大きい溶出温度範囲を包含し、その一方で、同時に、顕著な狭いピークを与える傾向がある。加えて、広範囲のエチレン取り込みにわたって、ピーク温度TMaxがほぼ60℃から65℃である。従来のプロピレン−エチレンコポリマーにおいて、類似するレベルのエチレン取り込みについて、このピークは、エチレン取り込みの低下とともに、より高い溶出温度に移動する。
【0043】
従来のメタロセン触媒については、ピーク最大についてのTREF溶出温度TMaxに対するプロピレンのモル分率Xの近似関係が下記の式によって与えられる。
Log(X) = −289/(273+Tmax)+0.74
この特に好ましい態様におけるプロピレン−エチレンコポリマーについて、プロピレンのモル分率の自然対数LnPは、この式で示されるように、従来のメタロセンの場合よりも大きい、
LnP > −289/(273+Tmax)+0.75
20ジュール/グラム未満の融解熱を示すプロピレン−α−オレフィンコポリマーについては、広い結晶化度分布が好ましくは、高結晶性画分(HCF、high crystallinity distribution)を、DSCを使用して求めることによるか、又は、相対的組成ドリフト(RCD、relative composition drift)を、GPC−FTIRを使用して求めることによるかのどちらかで示される。これらの分析は下記のように行われる。
高結晶性画分HCFは、128℃を超える、プロピレン−α−オレフィンコポリマーについてのDSC融解曲線における部分面積として定義される。この部分面積は、最初に融解熱を得て、その後、128℃で垂直線を下ろし、(融解熱のために使用されたのと同じベースラインに対する)128℃を超える部分面積を得ることによって得られる。本発明の特に好ましい態様において利用されるプロピレン−エチレンコポリマーは20ジュール/グラム未満の融解熱を有し、約0.1J/gよりも大きいHCF画分、及び、約11重量%を超えるエチレン含有量を有し、より好ましくは、HCFが0.2J/gよりも大きく、最も好ましくは、HCFが約0.5J/gよりも大きく、約11重量%を超えるエチレン含有量もまた有する。
【0044】
図4は、12グラム/10分のメルトフローレート、15重量パーセントのエチレン由来ユニットの含有量、約9.6J/gの融解熱及び2.46のMWDを有することを除いて、実施例のP/E−1のプロピレン−エチレンコポリマーと類似するプロピレン−エチレンコポリマー(P−E2)、および、約13.7重量パーセントのエチレン由来ユニット及びおよそ150g/10分のメルトフローレートを有するメタロセン触媒によるプロピレン−エチレンコポリマーについてのDSCによる広い結晶化度分布及び狭い結晶化度分布の比較を示す。図はまた、融解熱を表す面積に対する高結晶性画分(HCF)の部分面積を示す。
【0045】
上記で記載されたDSC法に対する代替法又は補助法として、結晶化度がより低いコポリマーについての結晶化度分布の相対的幅を、GPC−FTIR方法論を使用して明らかにすることができる(例えば、R.P. Markovich, L.G. Hazlitt, L. Smith, ACS Symposium Series: Chromatography of polymers, v. 521, pp. 270-276, 199; R.P. Markovich, L.G. Hazlitt, L. Smith, Polymeric Materials Science and Engineering, 65, 98-100, 1991; P.J. DesLauriers, D.C. Rohlfing, E.T. Hsieh, 「Quantifying Short Chain Branching in Ethylene 1-olefin Copolymers using Size Exclusion Chromatography and Fourier Transform Infrared Spectroscopy (SEC-FTIR)」, Polymer, 43 (2002), 159-170など)。これらの方法は、最初はエチレン系コポリマーのために意図されたが、コポリマー組成をポリマーの分子量の関数として与えるために、プロピレンに基づく系に対して容易に適合化することができる。(エチレン取り込みに関する)広い組成分布を示すプロピレン−エチレンコポリマーは、下記のGPC−FTIR法で記載されるように測定されたとき、上記のDSC法において高いHCF値によって示されるような広い結晶化度分布を示すこともまた見出されている。この理由により、本発明の目的のためには、組成分布及び結晶化度分布は、低い全体的結晶化度コポリマー(すなわち、20ジュール/グラム未満の融解熱)についてHCF値の大きさによって示されるような結晶化度分布の相対的幅が、GPC−FTIRによって測定される(下記で記載されることになる)RCDの大きさによって示されるようなより広い組成分布に対応するという点で、一致していると見なされるにちがいない。
【0046】
GPC−FTIR分析についての様々な仕様及びパラメーターが表D及び表Eに示される。溶解コポリマー画分が、GPCカラムから(分子量が低下する順で)、適切に設計されたフロースルーセル(部品#0820−2000、Polymer Laboratories Inc.、Amherst、M.A.)を通過して溶出する間に、連続的にスペクトル(Sequential spectra)がGPC−FTIRシステムから得られる。それぞれのFTIRスペクトルにおける2750cm−1から3050cm−1の吸光度領域が、図5に示されるように積分され、スペクトル番号又は溶出体積の関数として記録され、GPCクロマトグラムにおけるそれぞれのスペクトル番号又は溶出体積における質量(又は濃度)の非常に良好な近似として使用される。この積分面積はスペクトルの総吸光度として示され、それ以外のスペクトルのすべてについてそれ以外の総面積積分のすべての和によって除算されることによってさらに正規化される。従って、この正規化された総面積は、(特定の溶出体積における)所与のスペクトルによって表されるポリマー全体の重量分率に等しい。従って、溶出ポリマーの重量分率は、それぞれのスペクトルの正規化された総面積から導かれる図7から図8のそれぞれにおいてガウス型形状の曲線である。連続的なスペクトルのそれぞれの組におけるプロピレン/エチレン組成(又は、それぞれの連続溶出体積におけるプロピレン/エチレン組成)が、検量線(例えば、図6でのような検量線)を使用して、図5に示されるように2940cm−1よりも大きいところで存在するスペクトルにおける吸光度の部分面積を使用して推定される。較正が、数個のコポリマーについての平均化された溶出スペクトルを積分することによって準備され、コポリマーの組成は、本明細書中に見出される方法を使用してNMRによって予め決定された。従って、組成(エチレン重量分率)をそれぞれのスペクトルについて求めることができ、また、スペクトル番号又は溶出体積の関数としてプロットすることができる。これらの分布が図7から図8に示される。
【0047】
最後に、任意の特定のGPC−FTIR組成分布の幅(及び、上記で記載される定義によって、相対的結晶化度分布)を、総和されたとき、95%(重量比)の溶出ポリマーを与える、最も大きい総吸光度(すなわち、最大ポリマー濃度)を有するスペクトルのみを使用して、また、最も低い総吸光度(又は、図7及び図8に示されるようなGPC曲線における「すそ(wings)」)を有するスペクトルを無視して、(画分の)最大エチレン含有量及び最小エチレン含有量を比較することによって推定することができる。これは、低いシグナル対ノイズから生じる様々な問題を回避するために必要である。最大値及び最小値が、組成が計算されるスペクトルの95%(重量比)の間で、3つの計算された最大エチレン値及び最低エチレン値のメジアン値としてそれぞれ選ばれる。平均化されたポリマー全体の計算されたエチレン組成によって除される最大エチレン組成と、最小エチレン組成との差が、相対的組成ドリフト又はRCDとして定義され、百分率として表される。最も大きいエチレン含有量を有する溶出している化学種が、最も低いエチレン含有量を有する化学種よりも大きい分子量(すなわち、早い溶質体積)で現れるならば、RCD値は正であり、そうでない場合には、RCD値は負である。本発明の特に好ましい態様において利用されるプロピレン−エチレンコポリマーは、約15%を超えるRCDによって、より好ましくは30%を超えるRCDによって、最も好ましくは45%を超えるRCDによって定義されるような広い結晶化度分布を示す。さらに、最も好ましい態様において、これらのプロピレン−エチレンコポリマーによって示されるRCDの値は正である。この特に好ましい態様において、プロピレン−α−オレフィンコポリマーは広い結晶化度分布を示し、また同様に、平均して、より少ない量のエチレンを含有するポリマー鎖と比較して、より大きいエチレン含有量及びより大きい分子量を有するポリマー鎖を有する。
【0048】
分子量は、それぞれのポリマーについて、報告された重量平均分子量Mw、及び、報告された数平均分子量Mnから計算される。これらは、本明細書のどこかで記載される分析から得られる。それぞれの連続的なスペクトル番号(又は溶出体積)を、下記の連立方程式を解くことによって分子量に変換することができる。
【数2】

【0049】
これらの式において、Sは、N+1個(0≦S≦N)の連続的なFTIRスペクトルのそれぞれについてのスペクトル番号(これは溶出体積と類似する)であり、Mはスペクトル番号Sにおける分子量であり、wはスペクトルSについての正規化された総面積であり、m及びbは、分子量をそれぞれのスペクトルSにおいて計算するために必要な係数である。これらの式は、例えば、下記の関数をa及びbについて最小化することによって、様々なツールを使用して、例えば、SOLVER(Microsoft Corp.、Redmond、WA)などを使用して容易に解くことができる。
【数3】


【表4】


【表5】

【0050】
図5はプロピレン−エチレンコポリマーについての赤外スペクトルの一例を示す。このスペクトルはGPC−FTIRシステムから得られ、炭素−水素の伸長領域(stretching regions)を示す。2940cm−1よりも大きい振動数での吸光度が2750cm−1から3050cm−1の総吸光度の画分(fraction)関数として計算され、プロピレンの重量分率を計算するために使用される。
【0051】
図6は、赤外スペクトル、例えば図5における2940cm−1よりも大きい振動数での吸光度から得られる総面積及び部分面積を使用してプロピレン重量分率を計算するために使用された較正を示す。
【0052】
図7は図4のプロピレン−エチレンコポリマー(P−E2)についてのGPC−FTIRによる組成分布を示す。示される重要なデータは、それぞれのスペクトル(溶出体積)における全体の正規化された吸光度、それぞれのスペクトル(溶出体積)についてのエチレン重量分率、及び、組成分布についての相対的組成ドリフト(「RCD」)である。組成は、低いシグナル対ノイズによって引き起こされる様々なエラーを回避するために、ポリマーの最大濃度を表すスペクトルの95%(重量比)についてのみ計算される。
【0053】
図8は、(前述されたNMR法によって計算されたとき)13.7重量パーセントのエチレン由来ユニットを有する、メタロセンによるプロピレン−エチレンコポリマー(metallocene propylene ethylene copolymer)についてのGPC−FTIRによる組成分布を示す。示される重要なデータは、それぞれのスペクトル(溶出体積)における全体の正規化された吸光度、それぞれのスペクトル(溶出体積)についてのエチレン重量分率、及び、組成分布についての相対的組成ドリフト(「RCD」)である。組成は、低いシグナル対ノイズによって引き起こされる様々なエラーを回避するために、ポリマーの最大濃度を表すスペクトルの95%(重量比)についてのみ計算される。
【0054】
分子量及び分子量分布
プロピレン系コポリマーは、重量平均分子量を数平均分子量によって除算したもの(Mw/Mn)として定義される分子量分布(MWD)が3.5以下である。
【0055】
ポリマーの分子量分布は、4本の直列の混合床(mixed bed)カラム(Polymer Laboratories(20ミクロンの粒子サイズ))を備えるPolymer Laboratories PL−GPC−220高温クロマトグラフィー装置でのゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)を使用して求められる。オーブン温度が160℃であり、オートサンプラーの高温域が160℃であり、恒温域が145℃である。溶媒が、200ppmの2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノールを含有する1,2,4−トリクロロベンゼンである。流速が1.0ミリリットル/分であり、注入サイズが100マイクロリットルである。サンプルの約0.2重量%の溶液が、サンプルを、穏やかに混合しながら160℃で2.5時間、200ppmの2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノールを含有する窒素パージされた1,2,4−トリクロロベンゼンに溶解することによって注入のために調製される。
【0056】
分子量の決定が、狭い分子量分布の10個のポリスチレン標準物(Polymer Laboratoriesから得られるポリスチレン標準物、580g/モルから7,500,000g/モルの範囲あるEasiCal PS1)をそれらの溶出体積と関連付けることによって推定される。プロピレン−エチレンコポリマー等価分子量が、下記のマーク・ホーウィンクの式において、(Th.G. Scholte, N.L.J. Meijerink, H.M. Schoffeleers, and A.M.G. Brands, J. Appl. Polym. Sci., 29, 3763-3782 (1984)によって記載されるような)ポリプロピレンについての適切なマーク・ホーウィンク係数、及び、(E.P. Otocka, R.J. Roe, N.Y. Hellman, P.M. Muglia, Macromolecules, 4, 507 (1971)によって記載されるような)ポリスチレンについての適切なマーク・ホーウィンク係数を使用することによって求められる。
{N}=KM
式中、Kpp=1.90E−04、app=0.725、及び、Kps=1.26E−04、aps=0.702。
【0057】
示差走査熱量測定法
示差走査熱量測定法(DSC)は、半結晶性ポリマーの融解及び結晶化を調べるために使用され得る汎用技術である。DSC測定の一般的原理、及び、半結晶性ポリマーを研究することへのDSCの様々な応用が、標準的なテキスト(例えば、E.A. Turi, ed., Thermal Characterization of Polymeric Materials, Academic Press, 1981)に記載される。本発明の特に好ましい態様において、様々なプロピレン−エチレンコポリマーが本発明において利用され、それらは、(128℃以上で、好ましくは140℃を超えて)本質的には同じままであるTme、及び、コポリマーにおける不飽和コモノマーの量が増大するに従って低下するTmaxを有するDSC曲線によって特徴づけられる。Tmeは、融解が終わる温度を意味し、Tmaxはピーク融解温度を意味し、これらはともに、DSC分析から最後の加熱工程から得られるデータを使用して当業者によって求められるものである。
【0058】
示差走査熱量測定法(DSC)分析が、TA Instruments,Inc.から入手できるモデルQ1000DSCを使用して求められる。DSCの較正が下記のように行われる。最初に、ベースラインが、アルミニウム製のDSCパン(DSC pan)に何らサンプルを入れることなく、DSCを−90℃から290℃まで操作することによって得られる。その後、7ミリグラムの新鮮なインジウムサンプルが、サンプルを180℃に加熱すること、サンプルを10℃/分の冷却速度で140℃に冷却し、その後、サンプルを140℃において等温で1分間保ち、サンプルを140℃から180℃に10℃/分の加熱速度で加熱することによって分析される。インジウムサンプルの融解熱及び融解の開始が求められ、融解の開始については156.6℃から0.5℃以内であること、及び、融解熱については28.71J/gから0.5J/g以内であることが確認される。その後、脱イオン水が、新鮮なサンプルの小さい液滴をDSCパンにおいて25℃から−30℃に10℃/分の冷却速度で冷却することによって分析される。サンプルが−30℃において等温で2分間保たれ、その後、30℃に10℃/分の加熱速度で加熱される。融解の開始が求められ、0℃から0.5℃以内であることが確認される。
【0059】
プロピレン系コポリマーが190℃の温度で薄いフィルムに圧縮される。約5mgから8mgのサンプルが計り取られ、DSCパンに置かれる。蓋が、密閉雰囲気を保証するためにパンにクランプ締めされる。サンプルパンがDSCセルに置かれ、その後、融解温度よりも約30℃高い温度に約100℃/分の大きい速度で加熱される。サンプルがこの温度で約3分間保たれる。その後、サンプルは10℃/分の速度で−40℃に冷却され、その温度において等温で3分間保たれる。その結果として、サンプルは、完全に融解するまで10℃/分の速度で加熱される。
【0060】
DSCからの出力データは、時間(秒)、温度(℃)及び熱流量(ワット)からなる。融解吸熱の分析におけるその後の工程は下記の通りである。最初に、熱流量が、比熱流量(単位:W/g)を得るためにサンプル量(sample mass)によって除算される。次いで、ベースラインが構築され、ベースラインを引いた熱流量を得るために比熱流量から引かれる。本明細書に示される分析については、直線のベースラインが使用される。ベースラインについての低温側温度限界がガラス転移の高温側の点として選ばれる。ベースラインについての高温側温度限界が、融解吸熱が完了するよりも約5℃から10℃高い温度として選ばれる。直線のベースラインは理論的には正確でないが、分析のより大きな容易さ及び一致性を与え、また、生じる誤差は、融解比熱が約15ジュール/グラムから20ジュール/グラム以上であるサンプルについては比較的わずかである。直線のベースラインをより理論的に正しいベースラインの代わりに用いることにより、下記で示される結果又は結論のどれも実質的な影響を受けないが、結果の詳細な細部は、計器によるベースラインの異なる規定により変化することが予想される。
【0061】
得られるエンタルピー曲線が、ピーク融解温度(これは、ベースラインを引いた熱流量が最大である温度である(この場合、慣習的に、サンプル内への熱流量が正である))、開始結晶化温度及びピーク結晶化温度、融解熱及び結晶化熱Tme、ならびに、目的とする何らかの他のDSC分析について分析される。融解熱を名目的な重量%結晶化度に変換するために使用される係数は、165J/g=100重量%結晶化度である。この変換係数により、プロピレン系コポリマーの全体的結晶化度(単位:重量%結晶化度)が、165J/gによって除算された融解熱の100%倍として計算される。
【0062】
メルトフローレート(MFR)の測定が、ASTM D−1238、230℃/2.16キログラム(kg)重量の条件に従って行われる。メルトインデックスの場合と同様に、メルトフローレートはポリマーの分子量に反比例する。従って、分子量が大きいほど、メルトフローレートは低くなるが、この関係は直線的ではない。
【0063】
必要に応じて使用される均質なエチレン−α−オレフィンインターポリマー:
ブレンド配合物において使用される均質なエチレン−α−オレフィンインターポリマーは、好ましくは、エチレン及びC4−C20のα−オレフィンコモノマーに由来するユニットのインターポリマーである。好ましいα−オレフィンコモノマーはC4−C12のα−オレフィンであり、より好ましくはC4−C8のα−オレフィンコモノマー及び4−メチル−1−ペンテンであり、さらにより好ましくは、C4α−オレフィン、C6α−オレフィン及びC8α−オレフィンであり、最も好ましくは1−オクテンである。均質なエチレン−α−オレフィンインターポリマーは91モルパーセントから97モルパーセントのエチレン由来ユニットを含み、残りがα−オレフィンを含む。均質なエチレン−α−オレフィンインターポリマーは、実質的に線状であるポリエチレン及び均一な枝分かれ線状ポリエチレンから選択される(ともに、下記においてより詳細に記載される通りである)。均質なエチレン−α−オレフィンインターポリマーは、当業者には公知である製造プロセス、例えば、気相ポリマー製造プロセス、溶液ポリマー製造プロセス又はスラリーポリマー製造プロセスなどを使用して作製することができる。本発明において有用である均質なエチレン−α−オレフィンインターポリマーの例には、The Dow Chemical Companyから「AFFINITY」及び「ENGAGE」の商標で入手可能なエチレン/1−オクテンの実質的に線状であるポリエチレン、ExxonMobil Chemical及びDEXPlastomers(DSM/ExxonMobil Chemical)から「EXACT」及び「EXCEED」の商標で入手可能な均一な枝分かれ線状ポリエチレン、ならびに、Innovene(BP Groupの子会社)から「INNOVEX」の商標で入手可能なエチレン−α−オレフィンインターポリマー、Basellから「LUPOLEX」及び「LUFLEXEN」の商標で入手可能なエチレン−α−オレフィンコポリマー、ならびに、Mitsui Chemicalsから「TAFMER」の商標で入手可能なエチレン−α−オレフィンコポリマーがある。
【0064】
ポリエチレンは、エチレンモノマーに由来する70モルパーセントを超える−CHCH−反復ユニットを含む任意のポリマーである。インターポリマーには、エチレン及びC4−C20オレフィンのコポリマー、ターポリマー、テトラポリマー及び高次ポリマーが含まれる。
【0065】
「実質的に線状であるポリエチレン(substantially linear polyethylene)」は、米国特許第5,272,236号及び同第5,278,272号に記載されるようなポリエチレンである。
【0066】
「均一に枝分かれした線状ポリエチレン」は、米国特許第5,008,204号に記載されるような装置及び手法を使用して国際特許出願公開WO1993004486(A1)に従って計算されたとき、50%を超えるCDBIを有するポリエチレンであり、例えば、Exxon Chemical Companyから「EXCEED」及び「EXACT」の商標で入手可能なポリエチレンなどである。
【0067】
均質なエチレン−α−オレフィンインターポリマーのメルトインデックス(「MI」)は0.1g/10分から1500g/10分であり、より好ましくは0.3g/10分から20g/10分であり、さらにより好ましくは0.5g/10分から15g/10分であり、最も好ましくは1g/10分から10g/10分である。メルトインデックス(「MI」)の測定は、ASTM D−1238、190℃/2.16キログラム(kg)重量の条件(これは以前には「条件E」として知られていた)に従って行われ、MI又はIとしてもまた知られている。メルトインデックスはポリマーの分子量に反比例する。
【0068】
均質なエチレン−α−オレフィンインターポリマーの密度は0.885g/mLから0.915g/mLであり、好ましくは0.890g/mLから0.910g/mLであり、より好ましくは0.895g/mLから0.905g/mLであり、最も好ましくは0.897g/mLから0.903g/mLである(これは、ASTM D4703−00に従って190℃で圧縮成形され、手順Bを使用して冷却されたサンプルに対して測定される)。
【0069】
均質なエチレン−α−オレフィンインターポリマーは65ジュール/グラムから125ジュール/グラムの融解熱を示し、好ましくは75ジュール/グラムから115ジュール/グラムの融解熱を示し、より好ましくは80ジュール/グラムから105ジュール/グラムの融解熱を示し、最も好ましくは89ジュール/グラムから101ジュール/グラムの融解熱を示す。
【0070】
均質なエチレン−α−オレフィンインターポリマーは64℃から94℃のピーク結晶化温度を示し、好ましくは69℃から90℃のピーク結晶化温度を示し、より好ましくは75℃から83℃のピーク結晶化温度を示し、最も好ましくは76℃から82℃のピーク結晶化温度を示す。均質なエチレン−α−オレフィンインターポリマーは78℃から110℃のピーク融解温度を示し、好ましくは84℃から105℃のピーク融解温度を示し、より好ましくは90℃から101℃のピーク融解温度を示し、最も好ましくは92℃から99℃のピーク融解温度を示す。
【0071】
均質なエチレン−α−オレフィンインターポリマーは、前述された条件を使用する圧縮成形サンプルについて、約27MPaから131MPa、好ましくは約35MPaから101MPa、より好ましくは約45MPaから78MPa、最も好ましくは約51MPaから70MPaの曲げ弾性率(2%セカント(secant)、ASTM D790による)を示す。
【0072】
好ましくは、均質なエチレン−α−オレフィンインターポリマーは、1.496から1.516、より好ましくは1.503から1.509、最も好ましくは1.505から1.507の、ASTM D542−00によって測定される屈折率を有する。理論によって限定されることを望まないが、エチレン−α−オレフィンインターポリマーの屈折率をこれらの範囲に限定することが、ランダムポリプロピレンコポリマーを含む本発明の組成物に取り込まれるとき、光学特性を改善するために特に有益であると考えられる。
【0073】
均質なエチレン−α−オレフィンインターポリマーは、プロピレン−エチレンコポリマーと、組成物に存在する均質なエチレン−α−オレフィンインターポリマーとの重量に基づいて少なくとも3重量パーセント、より好ましくは少なくとも5重量パーセントのレベルで、かつ、プロピレン−エチレンコポリマー全体と、組成物に存在する均質なエチレン−α−オレフィンインターポリマーとの重量に基づいて25重量パーセント未満、好ましくは18重量パーセント未満のレベルで存在する。
【0074】
利用される均質なエチレン−α−オレフィンインターポリマーの最大量は、ランダムポリプロピレンコポリマー、プロピレン−エチレンコポリマー及び均質なエチレン−α−オレフィンインターポリマーの中での相溶性のための必要性によって制限される。加えて、多すぎる均質なエチレン−α−オレフィンインターポリマーは、増大した応力白化(stress whitening)を引き起こし得る。
【0075】
射出成形品(2.0MM未満):
本発明の組成物から作製される物品は広範囲の用途のために使用することができる。本発明の組成物から作製される物品は、食料品あるいは他の液体物品又は固体物品を貯蔵するための堅い容器のために特に有用である。本発明の射出成形品は、剛性(ISO527によって測定されたとき、20MPaから30MPaの引張り降伏強さ)、靭性(23℃で測定される少なくとも7.5J/mmのダート衝撃強さ、及び、0℃で測定される少なくとも0.43J/mmのダート衝撃強さ、これらはISO6603に従って測定される)、及び、光学特性(ASTM1003に従って測定される、射出成形品の厚さ1.6mmの断片に対して測定される50%未満のヘイズ値)の優れたバランスを示す。加えて、本発明の組成物から作製される薄肉射出成形品は好ましくは、ISO6603に従ったダート衝撃試験におけるダート衝撃から生じる白化作用によって評価されるとき、優れた応力白化抵抗性挙動を示す。
【実施例】
【0076】
実施例において開示されるポリマーは下記のものである。
P−E1は、(1)85重量パーセントのプロピレン−エチレンコポリマー(これは、少なくとも93%のトリアッドタクチシティー、およそ15重量パーセントのエチレン含有量、0.857g/ccの密度、9.6ジュール/グラムの融解熱、8グラム/10分のメルトフローレート、2.5の分子量分布(Mw/Mn)を有し、また、広い結晶化度分布を有し、下記で記載される重合手法と類似する重合方法を使用して、触媒Aを使用して作製される)、及び、(2)15重量パーセントの実質的に線状であるポリエチレン(E/O−1)(これは、81重量パーセントのエチレン含有量、19重量パーセントのオクテン含有量、0.900g/ccの密度、6グラム/10分のメルトインデックス、8のI10/I2、約2.3の分子量分布(Mw/Mn)を有し、また、95ジュール/グラムの融解熱を示す、The Dow Chemical CompanyからAFFINITY PL1280の規格名称で入手可能な、エチレン−1−オクテンの実質的に線状であるポリエチレンである)のブレンドである。そのブレンドは8グラム/10分のフローレートを有する。
【0077】
RCP−1は、The Dow Chemical CompanyからR798−42RNの名称で入手可能な核形成ランダムポリプロピレンコポリマーである(これは、チーグラー・ナッタ触媒を用いて作製される)。この樹脂は42g/10分のメルトフローレートを有し、2000ppmのGeniset MD LM−30(ソルビトール系核形成剤/清澄化剤添加剤)を含有する。この樹脂は96.3重量パーセントのプロピレン由来ユニット及び3.7重量パーセントのエチレン由来ユニットを含有した。
【0078】
E/O−2は、69重量パーセントのエチレン含有量、31重量パーセントのオクテン含有量、0.885g/ccの密度、30グラム/10分のメルトインデックス、7.2のI10/I2及び約2.2の分子量分布(Mw/Mn)を有する、The Dow Chemical CompanyからAFFINITY EG8185の規格名称で入手可能な、エチレン−1−オクテンの実質的に線状であるポリエチレンである。
【0079】
触媒A
触媒Aの合成
ハフニウム,[N−[2,6−ビス(1−メチルエチル)フェニル]−α−[2−(1−メチルエチル)フェニル]−6−(1−ナフタンレニル−κ−C)−2−ピリジンメタンアミナト(2−)−κN,κN]ジメチル−
【化1】


a)2−ホルミル−6−ブロモピリジン。この化合物は文献の手法(Tetrahedron Lett., (2001) 42, 4841)に従って合成される。
【0080】
b)6−ブロモ−2−(2,6−ジイソプロピルフェニル)イミノピリジン)。乾燥した500mLの3つ口丸底フラスコに、2−ホルミル−6−ブロモピリジン(72.1g、383mmol)及び2,6−ジイソプロピルアニリン(72.5g、383mmol)を、0.3nmの細孔サイズ(pore size)のモレキュラーシーブ(6g)及び80mgのp−TsOHを含有する500mLの無水トルエンに溶解した溶液を入れる。反応器は、冷却器、頭上の機械式攪拌機、及び、熱電対ウエル(thermocouple well)を備える。混合物をN下で12時間、70℃に加熱する。ろ過し、揮発物を減圧下で除いた後、褐色のオイルが単離される。収量は109gであった(81.9パーセント)。
【0081】
GC/MS 346(M)、331、289、189、173、159、147、131、116、103、91、78。
【0082】
c)6−(1−ナフチル)−2−[(2,6−ジイソプロピルフェニル)イミノ]ピリジン。ナフチルボロン酸(54.5g、316mmol)及びNaCO(83.9g、792mmol)を200mLの脱気した1:1のHO/EtOHに溶解する。この溶液を6−ブロモ−2−(2,6−ジイソプロピルフェニル)イミノピリジン(109g、316mmol)のトルエン溶液に加える。ドライボックスの中で、1g(0.86mmol)のテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)を50mLの脱気したトルエンに溶解する。この溶液をドライボックスから取り出し、Nパージされた反応器に入れる。二相溶液を激しく撹拌し、70℃に4時間から12時間加熱する。室温に冷却した後、有機相を分離し、水層をトルエンにより洗浄し(75mLで3回)、一緒にした有機抽出液をHOにより洗浄し(200mLで3回)、MgSOで乾燥する。揮発物を減圧下で除いた後、得られた明黄色のオイルをメタノールからの再結晶によって精製して、黄色の固体を得る。収量:109g(87.2パーセント);mp 142から144℃。
【0083】
H NMR(CDCl)δ1.3(d、12H)、3.14(m、2H)、7.26(m、3H)、7.5−7.6(m、5H)、7.75−7.8(m、3H)、8.02(m、1H)、8.48(m、2H)。
【0084】
13C NMR(CDCl)δ23.96、28.5、119.93、123.50、124.93、125.88、125.94、126.49、127.04、127.24、128.18、128.94、129.7、131.58、134.5、137.56、137.63、138.34、148.93、154.83、159.66、163.86。
【0085】
GC/MS 396(M)、380、351、337、220、207、189、147。
【0086】
d)2−イソプロピルフェニルリチウム。不活性雰囲気のグローブボックスの中で、n−ブチルリチウム(52.5mmol、ヘキサン(hexanes)中の2.5M溶液21mL)を2−イソプロピルブロモベンゼン(9.8g、49.2mmol)のエーテル溶液(50mL)に35分間から45分間にわたって滴下ロートによって加える。添加が完了した後、混合物を周囲温度で4時間撹拌する。その後、エーテル溶媒を減圧下で一晩かけて除く。翌日、ヘキサンを、残留する白色固体に加え、混合物をろ過し、さらなるヘキサンにより洗浄し、その後、真空乾燥する。2−イソプロピルフェニルリチウム(4.98g、39.52mmol)が明白色の粉末として集められる。二番晶の生成物(0.22g)が、最初のヘキサンろ液をもう一回ろ過することから後で得られる。
【0087】
H NMR(d−THF)δ1.17(d、J=6.8Hz、6H)、2.91(七重線、J=6.8、1H)、6.62−6.69(多重線、2H)、6.77(d、J=7.3Hz、1H)、7.69(多重線、1H)。
【0088】
13C NMR(d−THF)δ25.99、41.41、120.19、122.73、122.94、142.86、160.73、189.97。
【0089】
e)2−ピリジンメタンアミン,N−[2,6−ビス(1−メチルエチル)フェニル]α−[2−(1−メチルエチル)フェニル]−6−(1−ナフタンレニル)。上記イミン、すなわち、工程c)の6−(1−ナフチル)−2−[(2,6−ジイソプロピルフェニル)イミノ]ピリジン(2.20g、5.6mmol)を、窒素雰囲気下、60mLから70mLの乾燥エーテル中のスラリーとして磁石により撹拌する。2−イソプロピルフェニルリチウムのエーテル溶液(25mLの乾燥エーテル中の1.21g、9.67mmol)を、シリンジを使用してゆっくり4分間から5分間かけて加える。添加が完了した後、少量のサンプルを取り出し、1NのNHClにより反応停止させ、有機層を高圧液体クロマトグラフィー(HPLC)によって分析して、出発物質の完全な消費について確認する。反応液の残りを、1NのNHCl(10mL)を慎重にゆっくり加えることによって反応停止させる。混合物をさらなるエーテルにより希釈し、有機層をブラインにより2回洗浄し、乾燥し(NaSO)、ろ過し、溶媒を減圧下で除く。粘稠な赤色オイルとして得られた粗生成物(2.92g;理論収量=2.87g)を、さらに精製することなく使用する。
【0090】
H NMR(CDCl)δ0.96(d、J=6.6Hz、3H)、1.006(d、J=6.8Hz、3H)、1.012(d、J=6.8Hz、6H)、1.064(d、J=6.8Hz、6H)、3.21−3.34(多重線、3H)、4.87(br、s、N)、5.72(s、1H)、6.98(d、J=7.6Hz、1H)、7.00−7.20(多重線、7H)、7.23−7.29(多重線、4H)、7.51(d、J=7.1Hz、1H)、7.60−7.65(多重線、2H)、7.75(多重線、1H)、8.18(多重線、1H)。
【0091】
13C NMR(CDCl)δ23.80、24.21、24.24、24.36、28.10、28.81、67.08、120.20、122.92、123.96、124.42、125.35、125.81、126.01、126.28、126.52、126.58、126.65、127.80、128.52、128.62、129.25、131.82、134.52、136.81、138.82、140.94、143.37、143.41、146.66、159.05、162.97。
【0092】
f)ハフニウム,[N−[2,6−ビス(1−メチルエチル)フェニル]−α−[2−(1−メチルエチル)フェニル]−6−(1−ナフタンレニル−κ−C)−2−ピリジンメタンアミナト(2−)−κN,κN]ジメチル−
ガラス製ジャーに、30mLのトルエンに溶解された工程e)からの8.89mmolの配位子を入れる。この溶液に、8.98mmolのn−BuLi(ヘキサン(hexanes)中の2.5M溶液)をシリンジによって加える。この溶液を1時間撹拌し、その後、8.89mmolの固体HfClを加える。ジャーに空冷還流冷却器を取り付け、混合物を還流下で1時間加熱する。冷却後、31.1mmolのMeMgBr(3.5当量、ジエチルエーテル中の3.0M溶液)をシリンジによって加え、得られた混合物を周囲温度で一晩撹拌する。溶媒(トルエン、ヘキサン(hexanes)及びジエチルエーテル)を、ドライボックスにつながれた真空系を使用して反応混合物から除く。トルエン(30mL)を残渣に加え、混合物をろ過し、残渣(マグネシウム塩)をさらなるトルエン(30mL)により洗浄する。一緒にされたトルエン溶液から溶媒を真空によって除き、ヘキサンを加え、その後、真空によって除く。ヘキサンを再び加え、得られたスラリーをろ過し、生成物をペンタンにより洗浄して、所望の生成物を黄色の粉末として得る。
【0093】
H NMR(C)δ8.58(d、J=7.8Hz、1H)、8.25(d、J=8.4Hz、1H)、7.82(d、J=7.5Hz、1H)、7.72(d、J=6.9Hz、1H)、7.50(d、J=8.1Hz、1H)、7.36−7.27(多重線、3H)、7.19−6.99(多重線、7H)、6.82(t、J=8.1Hz、1H)、6.57(s、1H)、6.55(d、J=7.8Hz、1H)、3.83(七重線、J=6.9Hz、1H)、3.37(七重線、J=6.9Hz、1H)、2.89(七重線、J=6.9Hz、1H)、1.38(d、J=6.6Hz、3H)、1.37(d、J=6.9Hz、3H)、1.17(d、J=6.9Hz、3H)、1.15(d、J=7.2Hz、3H)、0.96(s、3H)、0.70(s、3H)、0.69(d、J=5.4Hz、3H)、0.39(d、J=6.9Hz、3H)。
【0094】
一般的な連続ループ溶液プロピレン−エチレン共重合法
実施例で使用されるプロピレン−エチレンコポリマーが、下記に記載される重合法に類似する重合方法を使用して作製される。触媒Aが、実施例のプロピレン−エチレンコポリマーのすべてを製造するために使用される。
【0095】
重合プロセスは発熱性である。重合したプロピレンの1ポンドあたり約900BTUが放出され、また、重合したエチレンンの1ポンドあたり約1,500BTUが放出される。最も重要なプロセス設計検討事項は、反応熱をいかにして除くかである。プロピレン−エチレンコポリマーが、3”のループパイプ及び2つの熱交換器から構成され、その総体積が31.4ガロンである低圧の溶液重合ループリアクターにおいて製造される。溶媒及びモノマー(プロピレン)が液体としてリアクターに注入される。コモノマー(エチレン)ガスが液体溶媒に完全に溶解される。供給物はリアクターへの注入の前に5℃に冷却される。リアクターは、18wt%に等しいポリマー濃度で稼動する。溶液の断熱温度上昇が重合反応からの熱除去の一部を占める。リアクター内の熱交換器が、残りの反応熱を除くために利用され、これにより、105℃でのリアクターの温度制御が可能になる。
【0096】
使用された溶媒は、Isopar Eと呼ばれる、Exxonから購入された高純度のイソパラフィン画分である。新鮮なプロピレンが、再循環流れ(溶媒、プロピレン、エチレン及び水素を含有する)と混合する前の精製のためにSelexsorb COSの積層床(bed)を通過する。再循環流れと混合した後、一緒になった流れは、内容物をリアクターにポンプ送液するための高圧(700psig)供給ポンプを使用する前のさらなる精製のために、75wt%のMolecular Sieve 13X及び25wt%のSelexsorb CDの積層床を通過する。新鮮なエチレンが、流れを750psigに圧縮する前の精製のためにSelexsorb COSの積層床を通過する。水素(分子量を低下させるために使用されるテロゲン(telogen))が、これら2つが液体供給物に混合/溶解される前に、圧縮されたエチレンと混合される。流れ全体が適切な供給物温度(5℃)に冷却される。リアクターは、525psig、及び、105℃に等しい制御温度で稼動する。リアクターにおけるプロピレン転化率が、触媒注入速度を制御することによって維持される。反応温度が、熱交換器の外殻側での水温を85℃で制御することによって維持される。リアクターにおける滞留時間は短く、10分である。リアクター通過あたりのプロピレン転化率は60wt%である。
【0097】
リアクターから出るとき、水及び添加物がポリマー溶液に注入される。水により、触媒が加水分解され、これにより、重合反応が停止させられる。添加物は、酸化防止剤、すなわち、500ppmのIrganox(商標)1010及び1000ppmのIrgafos(商標)168からなり、これらはポリマーと一緒のままであり、最終使用者の施設でのその後の製造の前の貯蔵時におけるポリマーの分解を防止するための安定剤として作用する。リアクターから出た溶液は、2段階の揮発物除去のための準備においてリアクター温度から230℃に過熱される。溶媒及び未反応モノマーが揮発物除去プロセスの期間中に除かれる。溶融したポリマーが、水中でのペレット切断のために金型にポンプ送液される。揮発物除去装置の上部から出る溶媒及び未反応モノマーはコアレッサー(coalescer)に送られる。コアレッサーにより、揮発物除去期間中に蒸気に混入(entrained)したポリマーが除かれる。コアレッサーから出て行く清浄な蒸気の流れは一連の熱交換器によって一部が凝縮する。二相混合物が分離ドラムに入る。凝縮した溶媒及びモノマーが精製され(これが、上で記載された再循環流れ(recycle stream)である)、反応プロセスにおいて再使用される。分離ドラムから出て行く蒸気(これは主としてプロピレン及びエチレンを含有する)はブロックフレア(block flare)に送られて、燃やされる。
【0098】
ポリマーの配合:
組成物を、当業者には公知である方法によって、例えば、(a)成分ペレットを乾式混合すること、(b)成分ペレットを、射出成形押出し機に取り付けられたブレンダーシステム(容積式又は重量式)により直接に供給することなどによって簡便かつ安価な様式で作製することができる。
【0099】
清澄化ランダムポリプロピレンコポリマー(これがマトリックスの大部分を構成する)と、プロピレン−エチレンコポリマー(これがマトリックス内に分散される)との間での良好な相溶性のために、乾式混合、及び、単軸スクリュー射出成形押し出し機又は二軸スクリュー射出成形押し出し機への供給により、成分が十分に混合される。同様に、本発明の組成物は、当業者には公知であるイン・リアクタープロセスによって作製することができ、この場合、このプロセスによって、個々のポリマー成分が個々のリアクター及び/又は重合工程において連続又は並行して作製され、成分が「イン・リアクターブレンド」として一緒にされる。
【0100】
組成物は、当業者には公知である方法に従って、2mmまでの厚さの物品に射出成形される。このような薄肉射出成形品は一般に、少なくとも500ミクロン(μm)である。
【0101】
下記の実施例では、1.6mmの壁厚及び平坦な底を有する丸形形状の11リットルのペールが利用された。成分が、成分を装置に供給する前に乾式混合された。実施例のペールを射出成形するために使用された装置は、Netstal SynErgy 420(押出し機のスクリューサイズ、70mm)である。押出し機は、融解温度が220℃であるような温度プロファイルにより運転された。
【0102】
ペールに対するその後の試験では、ペールが応力白化に対する優れた抵抗性を示すことが示される。
【0103】
引張り特性及び光学特性が、ペールの壁の中間部から流れ方向で切断された試料に対して測定された。ダート衝撃特性及び応力白化抵抗性が、ペールの底部から切断された試料に対して測定された。
実施例1〜4:
【表6】

【0104】
実施例1〜実施例4の組成物が、下記の表2に示される特性について試験される。
【表7】

【0105】
表2におけるデータは、本発明の組成物のすべてが、光学特性、靭性及び剛性の優れたバランスをもたらすことを明らかにする。実施例4は、さらなる均質なエチレン−α−オレフィンインターポリマーが、好ましいレベルを上回るレベルで利用されるとき、応力白化抵抗性が低下し、より大きいレベルの応力白化をもたらし得ることを示す。多くの最終使用用途のためには、低い応力白化レベルが許容可能であるが、中程度の応力白化レベルは許容されない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
500μmから2.0mmの間の壁厚を有する射出成形品を製造するために好適な組成物であって、
(A)実質的にアイソタクチックなプロピレン配列を有する、2重量%から15重量%のプロピレン−エチレンコポリマー、ただし、前記プロピレン−エチレンコポリマーは、
(1)少なくとも75重量%のプロピレン由来ユニット及び約11重量%から18重量%のエチレン由来ユニット
を含み、
(2)前記プロピレン−エチレンコポリマーは4グラム/10分から30グラム/10分のメルトフローレートを有する;
(B)2.0重量パーセントから5.0重量パーセントのエチレン含有量、25グラム/10分から130グラム/10分のメルトフローレートを有する、85重量%から約98重量%のランダムポリプロピレンコポリマー(ただし、ブレンド配合物のメルトフローレートは20グラム/10分から125グラム/10分である);及び
(C)ランダムポリプロピレンコポリマー(B)の重量に基づいて500重量ppmから2500重量ppmの核形成剤/清澄化剤添加剤
のブレンド配合物を含み、
ただし、前記組成物のメルトフローレートが20グラム/10分から125グラム/10分であり、かつ、射出成形品の厚さ1.6mmの断片が、
(1)少なくとも7.5J/mmのISO6603による室温(23℃)ダート衝撃強さ;
(2)20MPaから30MPaの間のISO527による引張降伏強さ;
(3)少なくとも0.43J/mmから0.75J/mmの、ISO6603による0ダート衝撃強さ;及び
(4)ASTM1003による50%未満のヘイズ値
を示す、組成物。
【請求項2】
前記厚さ1.6mmの断片が低い応力白化を示す、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記プロピレン−エチレンコポリマーが3.5未満の分子量分布(Mw/Mn)を有する、請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
前記核形成剤/清澄化剤添加剤がソルビトール系の核形成剤/清澄化剤である、請求項1に記載の組成物。
【請求項5】
前記核形成剤/清澄化剤が、Geniset MD−LM−30(1,3,2,4−ジ(メチルベンジリデン)ソルビトール)及びMillad3988(1,2,3,4−ジ−meta,para−メチルベンジリデンソルビトール)からなる群より選択される、請求項4に記載の組成物。
【請求項6】
前記核形成剤/清澄化剤が組成物におけるランダムポリプロピレンコポリマーの重量に基づいて800ppmから2500ppmの間のレベルで存在する、請求項4に記載の組成物。
【請求項7】
前記核形成剤/清澄化剤が組成物におけるランダムポリプロピレンコポリマーの重量に基づいて1700ppmから2200ppmの間のレベルで存在する、請求項4に記載の組成物。
【請求項8】
前記プロピレン−エチレンコポリマーが5g/10分から26g/10分のメルトフローレートを有する、請求項1に記載の組成物。
【請求項9】
前記ランダムポリプロピレンコポリマーが3重量パーセントから4重量パーセントのエチレン由来ユニットを含有する、請求項1に記載の組成物。
【請求項10】
前記ランダムポリプロピレンコポリマーが30グラム/10分から60グラム/10分のメルトフローレートを有する、請求項1に記載の組成物。
【請求項11】
前記ランダムポリプロピレンコポリマーが40グラム/10分から50グラム/10分のメルトフローレートを有する、請求項9に記載の組成物。
【請求項12】
4重量パーセントから10重量パーセントの前記プロピレン−エチレンコポリマーを含有する、請求項1に記載の組成物。
【請求項13】
射出成形サンプルの厚さ1.5mmの断片が、
(1)7.5J/mmから15J/mmの室温(23℃)ダート衝撃;
(2)0.45J/mmから0.75J/mmの0℃ダート衝撃;及び
(3)ASTM1003による48%未満のヘイズ値
を示す、請求項1から12のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項14】
均質なエチレン−α−オレフィンインターポリマーをさらに含む、請求項1から13のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項15】
前記均質なエチレン−α−オレフィンインターポリマーが、前記プロピレン−エチレンコポリマー及び前記均質なエチレン−α−オレフィンインターポリマーの重量に基づいて3重量パーセントから25重量パーセントの間で存在する、請求項14に記載の組成物。
【請求項16】
請求項1から15のいずれか一項に記載される組成物を含有する、500μmから2.0mmの間の最小壁厚を有する薄肉射出成形品。
【請求項17】
枠箱、箱、ペール、家庭用品、家具、飲物用カップ、キャップ及び閉じ具を含む、請求項16に記載の射出成形品。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公表番号】特表2010−515810(P2010−515810A)
【公表日】平成22年5月13日(2010.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−545657(P2009−545657)
【出願日】平成20年1月9日(2008.1.9)
【国際出願番号】PCT/US2008/050612
【国際公開番号】WO2008/088995
【国際公開日】平成20年7月24日(2008.7.24)
【出願人】(502141050)ダウ グローバル テクノロジーズ インコーポレイティド (1,383)
【Fターム(参考)】