説明

薄肉深絞り成形品とその製造方法

【課題】ポリフェニレンスルフィド(PPS)を含む樹脂組成物からなる薄肉深絞り成形品とその製造方法を提供する。
【解決手段】溶融粘度が350〜1000Pa・sであるポリフェニレンスルフィド(PPS)を含む樹脂組成物からなるシートを得る工程、前工程で得られたシートに対して、昇温結晶化温度(Tcc)+50℃から融点(Tm)−10℃までの温度範囲で維持して予熱処理する工程、予熱処理したシートを昇温結晶化温度(Tcc)以上の温度から融点(Tm)−10℃までの温度範囲で維持した金型に入れた後、真空成形又は圧空成形する工程を有している薄肉深絞り成形品の製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリフェニレンスルフィド(PPS)を含む樹脂組成物からなる薄肉深絞り成形品とその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
PPSと無機充填剤等を含むPPS樹脂組成物は、成形物が優れた機械的性質、耐熱性、耐薬品性、電気特性を有するため、自動車、電気・電子部品、化学機器等の部品材料として汎用されている。
【0003】
PPS樹脂組成物は、通常、射出成形にて成形されている。射出成形では、PPSの結晶化を促進させるために昇温結晶化温度(Tcc)近くに熱した金型で成形・冷却を行うため、薄肉製品では、金型からインジェクトするときに変形を起こしてしまい、寸法精度のよい薄肉成形品を得ることができない。
【0004】
特許文献1には、押出成形によるPPSからなるチューブ状の薄肉成形品の連続成形方法が記載されている。しかし、チューブ状の薄肉成形品から薄肉深絞り成形品を製造する方法については記載されていない。
【0005】
特許文献2の請求項1には、結晶性ポリアリーレンサルファイド樹脂又はその組成物を溶融押出後急冷して実質上非晶性のシートを成形し、このシートを該樹脂の少なくともガラス転移温度(Tg ) 以上昇温結晶化温度(Tcc)以下の温度に予熱し、次いで昇温結晶化温度以上、融点(Tm )下10℃までの温度に設定した金型を用いて、真空成形又は圧縮成形することを特徴とする結晶性ポリアリーレンサルファイド樹脂薄肉成形品の製造法が記載されている。実施例では、底径6cm、上部径8cm、高さ5cmのカップ状成形品を熱成形したことが記載されている。
しかし、深絞り品に成形すると、シートが真空成形時の伸びに追随できず千切れてしまったり、穴が開いたりして成形品にならない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2007−38485号公報
【特許文献2】特開平5−269830号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、耐熱性や機械的性質等の良い薄肉深絞り成形品を提供することを課題とする。
また本発明は、前記薄肉深絞り成形品を高い寸法精度で得ることができる薄肉深絞り成形品の製造方法を提供することを他の課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、課題の解決手段として、
ポリフェニレンスルフィド(PPS)を含む樹脂組成物からなる、真空成形又は圧空成形された薄肉深絞り成形品であり、
前記PPSが、溶融粘度(測定条件:温度310℃,剪断速度1200s-1)が350〜1000Pa・sのものであり、
下記の(a)〜(d)を満たすものである薄肉深絞り成形品を提供する。
(a)前記成形品の開口部面積に対する底部面積の比が0.7以上の範囲
(b)前記成形品の開口部形状の長辺又は内径に対する成形品の深さの比(絞り比)が0.8以上の範囲
(c)前記成形品の平面部(角部を除く意味である)の異なる2つの高さにおける平均厚みt1及びt2の比(t1/t2)が0.8〜1.2の範囲
(d)PPSの結晶化度が23〜33%
【0009】
また本発明は、他の課題の解決手段として、
請求項1記載の薄肉深絞り成形品の製造方法であり、
溶融粘度が350〜1000Pa・sであるポリフェニレンスルフィド(PPS)を含む樹脂組成物からなるシートを得る工程、
前工程で得られたシートに対して、昇温結晶化温度(Tcc)+50℃から融点(Tm)−10℃までの温度範囲で維持して予熱処理する工程、
予熱処理したシートを昇温結晶化温度(Tcc)以上の温度から融点(Tm)−10℃までの温度範囲で維持した金型に入れた後、真空成形又は圧空成形する工程、
を有している、薄肉深絞り成形品の製造方法を提供する。
【発明の効果】
【0010】
本発明の薄肉深絞り成形品は、寸法精度が高く、1つの成形品における厚みのばらつきがなく、多数の成形品間における厚みのばらつきもない。
本発明の薄肉深絞り成形品は、PPSを含むものであることから、耐熱性、機械的性質、耐薬品性、電気特性が良いので、本発明の製造方法を適用することにより、前記性質を有する寸法精度の高い各種部品を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0011】
<薄肉深絞り成形品>
本発明で用いる樹脂組成物に含まれるPPSは、ホモポリマーでもよいし、コポリマーでもよい。ホモポリマーの場合は線状ポリマーが好ましい。
【0012】
コポリマーは、p−フェニレン基を含む構成単位と、他のアリーレン基(好ましくはm−フェニレン基)を含む構成単位のコポリマーを挙げることができるが、成形性、耐熱性、機械的特性の点から、p−フェニレン基を含む構成単位の比率が60モル%以上のものが好ましく、70モル%以上のものがより好ましい。コポリマーは、ランダム結合でも、ブロック結合でもよいが、ブロック結合のものの方が、耐熱性、機械的特性の点から好ましい。
【0013】
PPS(ホモポリマー又はコポリマー)は、溶融粘度(測定条件:温度310℃,剪断速度1200s-1)が350〜1000Pa・sであり、好ましくは450〜600Pa・sである。
【0014】
本発明で用いる樹脂組成物には、必要に応じて、本発明の課題を解決できる範囲の量及び種類の熱可塑性を配合することができる。
このような熱可塑性樹脂はPPSよりも融点が低いものが好ましく、ポリエチレン、ポリプロピレン又はこれらの変性重合体等のポリオレフィンを主体とするオレフィン系重合体又は共重合体;ナイロン6、ナイロン66、その他のポリアミド系重合体又は共重合体;ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等を主体とするポリエステル重合体又は共重合体;液晶性ポリエステル重合体;ポリスチレン、ポリアクリロニトリル、ABS等のスチレン系重合体;ポリアルキルアクリレート等のアクリル系重合体;ポリカーボネート、ポリフェニレンオキサイド、ポリアセタール等を挙げることができる。これらの熱可塑性樹脂は、2種以上を使用することができる。
【0015】
本発明で用いる樹脂組成物には、薄肉成形品に要求される性質等に応じて、粒状、繊維状又はフレーク状(板状)充填材から選ばれる1種又は2種以上を配合することができる。
【0016】
繊維状充填材としては、ガラス繊維、カーボン繊維、シリカ繊維、シリカ・アルミナ繊維、ジルコニウム繊維、窒化硼素繊維、窒化珪素繊維、硼素繊維、チタン酸カリウム繊維のほか、ステンレス、アルミニウム、チタン、銅、黄銅等の繊維を挙げることができ、これらの中でも、ガラス繊維、カーボン繊維が好ましい。
【0017】
繊維状充填材は、平均繊維長が1〜800μmのものが好ましく、より好ましくは5〜600μmのものである。前記範囲のものを用いると、薄肉成形品の寸法安定性が良くなり、外観も良くなる。平均繊維長さは、計数法(走査型電子顕微鏡で観察し、充填材の大きさを測定する方法)によって求める。
【0018】
粒状充填材としては、カーボンブラック、黒鉛、シリカ、石英粉末、ガラスビーズ、ガラス粉、珪酸カルシウム、珪酸アルミニウム、カオリン、タルク、クレー、珪藻土、ウォラストナイトのような珪酸塩、酸化鉄、酸化チタン、アルミナのような金属の酸化物、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウムのような金属の炭酸塩、硫酸カルシウム、硫酸バリウムのような金属の硫酸塩、その他、炭化珪素、窒化珪素、窒化硼素、各種金属粉末等を挙げることができる。
【0019】
粒状充填材は、平均粒径が1〜800μmのものが好ましく、より好ましくは5〜600μmのものである。前記範囲のものを用いると、薄肉成形品の寸法安定性が良くなり、外観も良くなる。平均粒径は、計数法(走査型電子顕微鏡で観察し、充填材の大きさを測定する方法)によって求める。
【0020】
フレーク状充填材としては、マイカ、ガラスフレーク、各種金属箔等を挙げることができる。
【0021】
フレーク状充填材は、平均最大長さが1〜800μmのものが好ましく、より好ましくは5〜600μmのものである。前記範囲のものを用いると、薄肉成形品の寸法安定性が良くなり、外観も良くなる。平均最大長さは、計数法(走査型電子顕微鏡で観察し、充填材の大きさを測定する方法)によって求める。
【0022】
これらの充填材は、必要に応じて、次亜燐酸又はその塩を表面に付着させたものを用いてもよく、収束剤を用いて収束したものを用いてもよく、表面処理剤(エポキシ系化合物、イソシアナート系化合物、シラン系化合物、チタネート系化合物)を用いて表面処理したものを用いてもよい。
【0023】
これらの充填材の配合量は、PPS100質量部に対して1〜200質量部が好ましく、5〜100質量部がより好ましく、10〜50質量部が更に好ましい。
【0024】
また、上記充填材とは別に、必要に応じて有機質充填材を補助的に配合することができる。有機質充填材としては、フッ素樹脂、芳香族ポリアミド等の高融点の繊維状又は粉粒状の重合体を用いることができる。
【0025】
また樹脂組成物には、薄肉深絞り成形品の用途に応じて、各種添加剤、例えば、顔料、紫外線吸収剤、酸化防止剤、熱安定剤、滑剤、難燃剤、離型剤、その他の公知の添加剤を配合することができる。
【0026】
本発明の薄肉深絞り成形品は、真空成形又は圧空成形されたものであり、下記の(a)〜(d)を満たすものである。
(a)前記成形品の開口部面積に対する底部面積(底部面積/開口部面積)が0.7以上であり、本発明では0.8〜1.0が好適である。
(b)前記成形品の開口部形状の長辺又は内径に対する成形品の深さの比(成形品の深さ/成形品の開口部形状の長辺又は内径)(絞り比)が0.8以上であり、本発明では0.8〜1.1が好適である。
(c)前記成形品の平面部(角部を除く意味である)の異なる2つの高さにおける平均厚みt1及びt2の比(t1/t2)が0.8〜1.2であり、好ましくは0.9〜1.1である。
なお、前記の異なる2つの高さは、全高さの33%の高さ位置と、67%の高さ位置とする。実施例では、底面から10mmと20mmの高さである。
(d)PPSの結晶化度が23〜33%である。
【0027】
<薄肉深絞り成形品の製造方法>
最初の工程で、溶融粘度が350〜1000Pa・s(好ましくは450〜600Pa・s)であるPPSを含む樹脂組成物からなるシートを得る。
【0028】
この工程は、公知の方法(例えば特許文献2の実施例に記載の方法)を適用してシートを得ることができる。得られたシートは、結晶化されていてもよいし、結晶化されていなくてもよい。
【0029】
次の工程において、成形機(真空成形機又は圧空成形機)により、前工程で得られたシートに対して、昇温結晶化温度(Tcc)+50℃から融点(Tm)−10℃までの温度範囲、好ましくは昇温結晶化温度(Tcc)+100℃から融点(Tm)−20℃までの温度範囲で維持して予熱処理する。予熱時間は、シートが上記温度範囲になるまでの時間である。
【0030】
予熱温度が前記下限値以上であると、寸法精度良く深絞り成形品を得ることができ、予熱温度が前記上限値以下であると、成形時のドローダウンが防止できる。
【0031】
次の工程において、前工程で予熱処理したシートを昇温結晶化温度(Tcc)以上の温度から融点(Tm)−10℃までの温度範囲で維持した金型に入れた後、真空成形又は圧空成形する。前記温度範囲は、昇温結晶化温度(Tcc)+5℃以上から融点(Tm)−20℃までの温度範囲が好ましい。
【0032】
金型温度が前記下限値以上であると、寸法精度良く深絞り成形品を得ることができ、金型温度が前記上限値以下であると、PPSが所定範囲の結晶化度に結晶化され、成形品の耐熱性や機械的性質等を高めることができる。
【0033】
なお、本工程において、前工程で予熱処理したシートを昇温結晶化温度(Tcc)未満の温度に維持した金型で成形した後、再度、昇温結晶化温度(Tcc)以上に加熱して結晶化する方法を適用することもできる。
【実施例】
【0034】
(1)溶融粘度
温度310℃,剪断速度1200s-1において、東洋精機製のキャピログラフを用いて測定した。
【0035】
(2)温度測定
JIS K−7121に準じた。PPSのガラス転移温度(Tg)、昇温結晶化温度(Tcc)、融点(Tm)は、示差走査熱量測定計(DSC)を用い、20℃/分の速度で昇温したときの熱量曲線の変曲点又は発熱ピークから求めた。
【0036】
(3)シート成形性
押出機によるシート成形性を下記の基準で評価した。
○:成形時、樹脂圧力が適正 (5Mpa以下)
△:成形時、樹脂圧力がやや高い (7Mpa以下)
×:成形時、樹脂圧力が高い (15Mpa以上)
【0037】
(4)シート外観
成形後のシート外観を肉眼で観察し、下記の基準で評価した。
○:フローマークが目立たない。外観良好。
△:フローマークは見えるが、大きな凹凸がない。
×:フローマークが目立つ。外観悪い。
【0038】
(5)成形性
金型形状どおりにシートが伸びる場合を良好とした。
【0039】
(6)寸法精度
底面から10mmの深さ位置で円周上に均等間隔をおいて4点の厚みを計測し、平均厚み(t1)を求めた。
同様に底面から20mmの深さ位置で円周上に均等間隔をおいて4点の厚みを計測し、平均厚み(t2)を求めた。t1/t2を算出して、その比が1.0に近いほど、寸法精度が良いことを意味する。
なお、成形品の寸法は、マイクロメータ、ノギス、Rゲージを用いて測定した。
【0040】
(7)結晶化度
比重法により算出した。
【0041】
実施例1〜5、比較例1〜4
(シートの成形工程)
池貝社製のVS40-25押出機(スクリュー径40mm)にコートハンガーダイ(Tダイ:リップ300mm幅)を取り付けたものを用い、表1に示すPPS(ポリプラスチックス(株)製)を溶融押出した。
押出後、外径200mmの冷却ロール(ロール温度150℃)にて冷却して、厚み0.6mmのシートを得た。
【0042】
(予熱工程)
真空成形機(浅野研究所製 真空圧空成機 FK−0431−10)内にて、シート(250mm×250mm)が表1に示す温度になるまで予熱した。
【0043】
(成形工程)
真空成形用の金型として、有底円筒状の金型(雌型)(内径30mm×深さ30mm,底面はR3mmの丸みを有する;底の8箇所に真空吸引孔を有している)を用いた。
予熱されたシートを金型上に移動させ、凸部を有する円筒状プラグ(内径26mm,底面はR3mmの丸みを有する)で所定温度に維持された金型内に押し込み、金型内で吸引してコップ状の薄肉深絞り成形品(開口部内径30mm、底部内径30mm、深さ30mm)を得た。なお、成形圧力は200kPa、プラグ温度は150℃、成形後の冷却時間は15〜60秒であった。
【0044】
比較例5
(シートの成形工程及び予熱工程)
実施例1〜5と同様に溶融押出し、厚み0.6mmのシートを得た。その後、実施例1〜5と同様に予熱した。
【0045】
(成形工程)
真空成形用の金型として、有底円筒状の金型(雌型)(内径30mm×深さ15mm,底面はR3mmの丸みを有する;底の8箇所に真空吸引孔を有している)を用いた。(比較例として深絞りではない金型を使用した。)
予熱されたシートを金型上に移動させ、凸部を有する円筒状プラグ(内径26mm,底面はR3mmの丸みを有する)で所定温度に維持された金型内に押し込み、金型内で吸引してコップ状の薄肉深絞り成形品(開口部内径30mm、底部内径30mm、深さ15mm)を得た。なお、成形圧力は200kPa、プラグ温度は150℃、成形後の冷却時間は60秒であった。
【0046】
比較例6
(シートの成形工程及び予熱工程)
実施例1〜5と同様に溶融押出し、厚み0.6mmのシートを得た。その後、実施例1〜5と同様に予熱した。
【0047】
真空成形用の金型として、有底円筒状の金型(雌型)(開口部内径30mm、底部内径21mm×深さ30mm,底面はR3mmの丸みを有する;底の8箇所に真空吸引孔を有している)を用いた。(比較例として深絞りではない金型を使用した。)
予熱されたシートを金型上に移動させ、凸部を有する円錐台状プラグ(内径26mmから17mm,底面はR3mmの丸みを有する)で所定温度に維持された金型内に押し込み、金型内で吸引してコップ状の薄肉深絞り成形品(開口部内径30mm、底部内径21mm、深さ30mm)を得た。なお、成形圧力は200kPa、プラグ温度は150℃、成形後の冷却時間は60秒であった。
【表1】

実施例1〜5から明らかなとおり、本発明の薄肉深絞り成形品は、寸法精度が高く、厚みのばらつきもなかった。
比較例4〜6から明らかなとおり、シートの予熱温度が低いと、本発明の要件(a)、(b)を満たさない、深絞りではない薄肉成形品は成形できたが(比較例5、6)、本発明の要件(a)、(b)を満たす深絞り成形品は成形できなかった(比較例4)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリフェニレンスルフィド(PPS)を含む樹脂組成物からなる、真空成形又は圧空成形された薄肉深絞り成形品であり、
前記PPSが、溶融粘度(測定条件:温度310℃,剪断速度1200s-1)が350〜1000Pa・sのものであり、
下記の(a)〜(d)を満たすものである薄肉深絞り成形品。
(a)前記成形品の開口部面積に対する底部面積の比が0.7以上の範囲
(b)前記成形品の開口部形状の長辺又は内径に対する成形品の深さの比(絞り比)が0.8以上の範囲
(c)前記成形品の平面部(角部を除く意味である)の異なる2つの高さにおける平均厚みt1及びt2の比(t1/t2)が0.8〜1.2の範囲
(d)PPSの結晶化度が23〜33%
【請求項2】
前記PPSが、溶融粘度(測定条件:温度310℃,剪断速度1200s-1)が450〜600Pa・sのものである、請求項1記載の薄肉深絞り成形品。
【請求項3】
請求項1記載の薄肉深絞り成形品の製造方法であり、
溶融粘度が350〜1000Pa・sであるポリフェニレンスルフィド(PPS)を含む樹脂組成物からなるシートを得る工程、
前工程で得られたシートに対して、昇温結晶化温度(Tcc)+50℃から融点(Tm)−10℃までの温度範囲で維持して予熱処理する工程、
予熱処理したシートを昇温結晶化温度(Tcc)以上の温度から融点(Tm)−10℃までの温度範囲で維持した金型に入れた後、真空成形又は圧空成形する工程、
を有している薄肉深絞り成形品の製造方法。
【請求項4】
前記シートを得る工程で用いるPPSが、溶融粘度が450〜600Pa・sのものであり、
前記真空成形又は圧空成形する工程における金型温度が、昇温結晶化温度(Tcc)+5℃以上から融点(Tm)−20℃までの温度範囲である、請求項3記載の薄肉深絞り成形品の製造方法。

【公開番号】特開2012−30472(P2012−30472A)
【公開日】平成24年2月16日(2012.2.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−171725(P2010−171725)
【出願日】平成22年7月30日(2010.7.30)
【出願人】(000207562)大日本プラスチックス株式会社 (23)
【出願人】(501073426)ダイセルパックシステムズ株式会社 (20)
【Fターム(参考)】