薄膜トランジスタの製造方法
【目的】 ゲート電極とソースまたはドレイン電極の重なりによる浮遊容量を減らし得るセルフアラインによるLCD用TFTの製造において、ソースとドレイン電極の抵抗を十分小さくできるTFT製造方法を提供する。
【構成】 基板11の表面にゲート電極12を形成し、該電極上に第1の絶縁層SiNx層21、第1の半導体層a−Si層22、さらに第2の絶縁層SiNx層23を順次形成する。次に第2絶縁層表面にレジストを塗布し、ゲート電極をマスクとして基板裏面からレジストを感光させ、不要部分をエッチング除去してゲート電極上にレジストのマスクを形成する。このマスク上から第2絶縁層23をエッチングしゲート電極12上に残置してマスク層31とし、第1半導体層22上にそれよりキャリア濃度の高い第2の半導体層n+a−Si層41、金属層のW層42を、第2の絶縁層から形成したマスク層上以外に選択的に成長させゲート電極に整合させる。
【構成】 基板11の表面にゲート電極12を形成し、該電極上に第1の絶縁層SiNx層21、第1の半導体層a−Si層22、さらに第2の絶縁層SiNx層23を順次形成する。次に第2絶縁層表面にレジストを塗布し、ゲート電極をマスクとして基板裏面からレジストを感光させ、不要部分をエッチング除去してゲート電極上にレジストのマスクを形成する。このマスク上から第2絶縁層23をエッチングしゲート電極12上に残置してマスク層31とし、第1半導体層22上にそれよりキャリア濃度の高い第2の半導体層n+a−Si層41、金属層のW層42を、第2の絶縁層から形成したマスク層上以外に選択的に成長させゲート電極に整合させる。
【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は薄膜トランジスタの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、非晶質シリコン(a−Si)膜を用いた薄膜トランジスタ(TFT)をスイッチング素子として構成されたアクティブマトリックス型液晶表示装置(LCD)が注目されている。安価なガラス基板を用いて低温成膜ができるa−Si膜を用いてTFTアレイを構成することにより、大面積、高精細、高画質かつ安価なパネルディスプレイ(フラット型テレビジョン)が実現できる可能性があるからである。
【0003】この種のディスプレイは、TFTにより駆動されるため、TFTのスイッチング能力が表示特性に大きく影響する。スイッチング能力を向上させるためには一つにはゲート電極とソースまたはドレイン電極の重なりによる寄生容量を減らすことが重要である。従来、この種の問題解決のために、ゲートとソース、ドレイン電極を自己整合(セルフアライン)させたトランジスタが提案されている。図21〜図24において従来のTFTの製造工程を示す。
【0004】まず図21において、ガラス基板211表面上にゲート電極212を形成する。次に絶縁層であるSiNx 層213、a−Si(アモルファスシリコン)層214、絶縁層であるSiNx 層215を順次成長し、その後レジスト層を塗布する。続いて基板裏面より露光して、ゲートと同じパターンにレジスト層216を形成する。
【0005】次に図22において、上記レジスト層216をマスクとし上記絶縁層であるSiNx 層215をエッチングしチャネル絶縁層であるSiNx 層222を形成する。さらに、レジスト層216を除去した後、上面(矢印の方向)よりイオン注入またはプラズマドープを行いn+ a−Si層221を形成する。
【0006】次に図23において、チャネル絶縁層であるSiNx 層222及びn+ a−Si層221表面を覆うようにCr層232を成長させ熱拡散によってシリサイドであるCrSix 層231を形成する。最後に図24R>4において、上記Cr層232を従来のPEPにより加工して電極241を形成する。
【0007】この様なTFTにおいては、ゲート電極212をマスクとし裏面露光によってパターンニングすることによりゲート電極212及びソースまたはドレイン電極(n+ a−Si層221及びCrSix 層231)の重なりによる寄生容量を減らすことが可能である。
【0008】しかしながら上記した従来のTFT製造方法では、ソース/ドレイン部の配線の一部に比較的低温での熱拡散によって形成したCrSix 231を用いているため低抵抗化に限界がありab間(図24)のシート抵抗を十分に抑えることができない。図19に上記の製造方法によるTFTのCr原子の拡散の様子を示す。縦軸はCr原子の濃度、横軸は拡散方向の深さである。LCDを製造するにおいて、耐熱性の低いガラス基板を用いることとa−Siの耐熱性が低いため、熱による温度上昇には限界があり、シリサイド反応は表面のみに限定される。従って図19のようにCr原子濃度は界面付近で急激に低くなり、十分にCr原子を拡散することはできない。このため、このシ−ト抵抗がTFTのオン時のチャネルのシ−ト抵抗より十分に小さくない場合にはシリ−ズ抵抗となり、TFTのオン電流を制限してしまう。従来のTFTではab間(図24)の配線部のシート抵抗(5×104 〜1×106 Ω/スクエアー程度)が高くなり移動度(モビリティー)が高くスイッチングスピードの早いa−SiTFT、特にスイッチングスピードの早いポリ−SiTFTではオン時のチャネルのシ−ト抵抗が十分に低いため配線部のシ−ト抵抗が高いとオン電流を制限するため十分に動作させることができない。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】近年TFTのモビリティーがますます高くなり性能向上が図られていく中で、上記したような従来の製造方法で得られるTFTではab間(図24)の抵抗率つまりソース及びドレイン電極のシート抵抗率が高いのでソースドレイン間に十分な電流を流すことができないという問題があった。
【0010】そこで、本発明は、ゲート電極とソースまたはドレイン電極の重なりによる寄生容量を減らすことができるセルフアラインによるLCD用TFTの製造方法において上記欠点を除去しソース電極、ドレイン電極の抵抗を十分に抑えることのできるLCD用TFTの製造方法を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するために、本発明の薄膜トランジスタの製造方法は、表裏2つの主面を有する基板の表面に、ゲート電極を形成する工程と、前記ゲート電極上に第1の絶縁層を形成する工程と、この第1の絶縁層上に第1の半導体層を形成する工程と、この第1の半導体層上に第2の絶縁層を形成する工程と、前記第2の絶縁層表面にレジストを塗布し、前記ゲート電極をマスクとして前記基板の裏面から光を照射して前記レジストを感光させ、不要部分をエッチング除去することにより前記ゲート電極上にレジストのマスクを形成する工程と、このレジストのマスク上から前記第2の絶縁層をエッチングすると共に前記ゲート電極上に残置してマスク層とする工程と、前記第1の半導体層上に前記半導体層よりも高いキャリア濃度の第2の半導体層を介して、或いは介さずに金属層、或いはシリサイド層の内の一つを前記第2の絶縁層から形成したマスク層上以外に選択的に形成させゲート電極に整合させる工程とを含むことを特徴とする。
【0012】
【作用】本発明においては、金属、或はシリサイドが絶縁層上には成長せず、半導体層上に選択成長する性質を利用し、予めゲート電極にセルフアラインしている半導体層上に金属、或はシリサイド層を選択成長させることによりドレイン及びソース電極である金属、或はシリサイドをゲート電極にセルフアラインさせる事ができる。この時、金属のシート抵抗は十分に低い(例えばWは1〜10Ω/スクエアー程度)のでモビリティーの大きいTFTにおいても十分に動作させることができ、シリサイド層は図20に示すように深さ方向に一様に分布するのでシート抵抗率を十分に抑えることができ(5〜1×103 Ω/スクエアー程度)モビリティーの大きいTFTにおいても十分に動作させることができる。金属として例えばWの選択成長は、WF6 とH2 またはWF6 とSiH4 等を用いれば良い。
【0013】また、本発明の変形例として、薄いシリサイドが光を通す性質を利用し、ゲート電極をマスクとして裏面より露光する事によってシリサイド層上にゲート電極にセルフアラインしたレジスト層を形成する。その後エッチングによりドレイン及びソース電極であるシリサイド層を形成しゲート電極にセルフアラインさせることも可能である。
【0014】
【実施例】以下に本発明を実施例によって説明する。図1R>1〜図8において本発明の第1の実施例を説明する。
【0015】まず図1において、ガラス基板11表面上にMo−Ta合金3000オングストローム(以下Aと記す。)をスパッタしエッチングによって形を整えゲート電極12を形成する。なおLCD用のTFTを製造する場合にはアドレス線及びCs線(図示せず。)も同時に形成する事ができる。
【0016】次に図2において、ガラス基板11及びゲート電極12上にプラズマCVD法により第1の絶縁層であるSiNx 層21を3000A、第1の半導体層であるa−Si層22を500A、第2の絶縁層であるSiNx 層23を2000A、順次積層する。
【0017】次に図3において、全面にレジストを塗布した後、ゲート電極12をマスクとして裏面から露光する事によりゲート電極と自己整合したレジストパターン(図示せず。)を形成し、さらに前記レジスト層をマスクとし第2の絶縁層であるSiNx 23をエッチングしてマスク層31を形成する。
【0018】次に図4において、第1の半導体層であるa−Si層22上に必要に応じて第2の半導体層であるn+ a−Si層41を500A、さらに金属層であるW層42を1000A順次選択的に成長する。n+ a−Siの選択成長は、PH3 とSiH4 混合ガスとH2 の間欠放電を用いる。Wの選択成長は、WF6 とH2 またはWF6 とSiH4 等の熱CVDを用いれば良い。また、n+ a−Si層41はプラズマドープにより形成しても良い。次に図5において、a−Si層22、n+ a−Si層41、及びW層42を島状に形成する。
【0019】なお、LCDを製造する場合には、図6において、画素電極であるITO61を1000A形成しアドレス線(図示せず。)の一端部に電極コンタクト用の穴を形成し信号線(図示せず。)をパターニングした後にAl電極62によりTFTとITO61を接続し、Al電極63によりTFTと信号線を接続する。この時、信号線をAl電極により同時に形成しても良い。
【0020】この様に本発明によると、n+ a−Si、及びWを選択成長させることによってゲート電極にセルフアラインすることができる。従ってTFTの寄生容量を抑えることができ、さらにシート抵抗率の十分低い金属であるWをソース及びドレイン電極に用いているので例えばスイッチングスピードの早いTFTに十分対応できる。従って、寄生容量が十分低く、チャネル部のモビリティーが大きいようなスイッチングスピードの早いTFTを提供することができる。
【0021】なお、上記実施例ではWを選択成長させたがWの代わりにMo−Si等のシリサイドを選択成長させることができる。また、選択成長する金属はWに限らずMo、Al、V、シリサイド等何でも良い。また、W等の金属を選択成長を確実に行うために、予めH2 ガスやHプラズマ処理によりn+ a−Si表面を洗浄化しても良い。図7〜図11において本発明の第2の実施例を説明する。本実施例においてアクティブマトリックス型TFT液晶表示素子用TFTを作成する。
【0022】図7において、第1の実施例の図4、図5に示すn+ a−Si、Wを選択成長させ島状にa−Si層22、n+ a−Si層41、及びW層42をパターニングする工程の代わりに、予め信号線、ドレイン電極、及びソース電極を形成するようにa−Siをパターニングする。その後、n+ a−Si層41、及びW層101を選択成長することによってTFTと画素電極を別々に形成し金属電極で接続する方法よりも工程数が少なくなりコスト面で有利になる。
【0023】図9においてこの様子を説明する。図9は図7を上面からみた平面図である。91はアドレス線及びゲート電極、93はマスク層、94の斜線部分はアドレス線及びゲート電極91上にある第1の絶縁層(ゲート絶縁層)であるSiNx を表す。92に示す斜線部分は信号線、ドレイン電極、及びソース電極を表し、上からW/n+ a−Si/a−Siの積層膜で形成されている。この92で表される斜線部分のように予めa−Siをパターニングしこのa−Si上にn+ a−Si及びWを順次選択成長させるのである。次に図8において、画素電極であるITO61を1000Aドレイン電極の一部を覆うように形成する。
【0024】図10においてこの様子を説明する。図10R>0は図8を上面からみた平面図である。図のように画素電極であるITO61をドレイン電極の一部を覆うように形成する。
【0025】図11にこの様子を斜視図を用いて説明する。91はアドレス線及びゲート電極、92は信号線、ドレイン電極、及びソース電極を表し、膜の上からW/n+a−Si/a−Si(以下同様)の積層膜で形成されている。93はマスク層、61は画素電極であるITOである。第1の絶縁層であるゲート絶縁層は省いてある。
【0026】この様に、a−Si層上に上からW/n+ a−Siの選択成長を用いて信号線を形成することにより、従来a−Siの島の形成と信号線の形成の2回必要であったマスク工程を1回に減らすことが可能になりコストダウンを図れる。また、従来法では信号線金属とa−Siの島とのマスク合わせのマ−ジンが必要であるため不透明である信号線が実質的に太くなり開口率が下がる欠点があったが本発明では合わせマ−ジンが必要でないため実質的に細い信号線が実現できるから高い開口率が実現できる。
【0027】なお、本実施例ではa−Siを予め島と信号線のパターンに形成した後に、n+ a−Si、Wを選択デポジッションする方法を用いたが、代わりにマスク層上を除く基板上全面にn+ a−Si、Wの選択デポジッションさせ、その後に上からW/n+ a−Si/a−Siの信号線パターンを形成しても良い。
【0028】本発明はチャネル部のモビリティーが高くスイッチングスピードの早いTFTに対して特に有効であり、移動度の高い高品質のa−Si、n+ a−Si、特に移動度の高いポリ−Si、n+ ポリ−Siを形成してよりチャネル部のモビリティーが高くスイッチングスピードの早いTFTを形成する場合その効果を十分に発揮する。選択成長する金属はWに限らずMo、Al、V、シリサイド等何でも良い。図12〜図18において本発明の変形例を説明する。図12は、第1の実施例の図1、図2に示す工程と同様にして形成した素子の一部の断面図である。次に、図13において、第2の絶縁層であるSiNx 層23(図12)をエッチングしてエッチングストッパー131を形成する。
【0029】次に図14において、エッチングストッパー131及びa−Si層22上に第2の半導体層であるn+ a−Si層41を500A及びシリサイド層であるMo−Si層142を300A順次積層する。Mo−Si層142は、裏面露光する光が透過するように、Mo組成を少なくする。Mo組成は3〜33%が良く、膜厚は100〜1000Aが良い。
【0030】次に図15において、Mo−Si層142上にレジスト層を形成し、ネガレジストを用いて裏面露光により図15に示すようにマスク層151を形成する。このとき露光をオーバーにしエッチングストッパー131と上からMo−Si層142/n+ a−Si層41が1〜3μm程度オーバラップするようにする。なぜならTFTが正常に動作するためにはソース及びドレイン電極とチャネル部分が電気的に接続してなくてはならず1〜3μmオーバラップする事が有効だからである。
【0031】次に図16において、エッチングによりエッチングストッパー131上のn+a−Si層41及びMo−Si層142を除去しさらにマスク層151も除去する。次に図17において、a−Si層22、n+ a−Si層41、及びMo−Si層142を島状に形成する。
【0032】なおLCDを制作する場合には図18において、画素電極であるITO61を1000A形成しアドレス線(図示せず。)の一端部に電極コンタクト用の穴を形成及び信号線(図示せず。)をパターニングした後にAl電極62によりTFTとITO61を接続し、Al電極63によりTFTと信号線(図示せず。)を接続する。
【0033】この様に本変形例によっても、セルフアラインによってTFTの寄生容量は抑えることができ、さらにシート抵抗率の十分低いMo−Siをソース及びドレイン電極に用いているのでチャネル部のモビリティーが高くスイッチングスピードの早いTFTに十分対応できる。
【0034】なお、シリサイドとしてはMo−Siの他にTiSix ,VSix ,CrSix ,NiSix ,PdSix 等でも良く、メタル組成は3〜30%が好ましい。また、TaNX 等のチッ化物でも透光性があるため有効である。ゲ−ト絶縁膜はSiNx に限らずSiOx またはこれらの積層膜でも良い。次に、図25から図32R>2を用いて本発明の第3の実施例を示す。
【0035】本実施例では自己整合構造として、高融点金属であるWの選択デポを用いたTFT液晶表示装置を制作した。図25から図27はこのTFTの断面図であり、図28から図31はこのTFTを用いた液晶表示装置の平面図を表している。先ずガラス基板11上に図28R>8に示すようにゲート電極及びゲード線12、容量線281を形成する(第1のマスク工程)。
【0036】次にゲート電極12、容量電極281を覆うようにSiNx ゲート絶縁膜21、a−Si22、SiNx 31をプラズマCVDで堆積し、ポジレジストを塗布した後に裏面よりゲート電極12をマスクにしてSiNx 31上にレジストパターン256を形成しゲート電極12に整合してエッチングする。このとき希HF等によりSiNx 31をレジストのサイド部もエッチングするようにオーバーエッチする。次に、F系ガスのRIE(リアクティブイオンエッチング)によりa−Si22をレジスト256と同じ幅でエッチングする(図25R>5)。
【0037】次に、n+ a−Siの選択デポにより、SiNx ストッパ31よりはみ出したa−Si22部にn+ a−Si41を形成する。これはイオンドーピングによってn+ a−Si41領域を形成しても良い。次にWの選択CVDによりn+ a−Si41部のみにW42を堆積する。次に、ITO263を全面にスパッタし、図2929に示すようにITO263で信号線、画素を結合したパターンを形成する(第2のマスク工程)。図29中291の領域は上からSiNx /W/n+ a−Si/a−Si/SiNx /ゲート電極の積層構造となっており、292の領域は上からSiNx /SiNx /a−Si/SiNx /ゲート電極の積層構造となっている。
【0038】次に、このITOパターンをマスクにして、F系のガスまたはウエットエッチャントを用いてITOパターンの下以外のa−Si22、n+ a−Si41、W42、SiNx 21をエッチングしTFTを島状に分離する。なお、ITOを形成する前にTFTの島を別のマスクを用いてエッチング形成する事によって、ITOの下の上からSiNX /a−Siを除去し蓄積容量部にa−Siを挟まないようにし一定容量とすることにより画質を向上させることもできる。また、TFTを島状には分離せずに用いても十分画質の良いTFT−LCDを実現することができる。
【0039】次に、TFTのSiNx ストッパー31上のITOを除去するためにネガレジストまたはイメージリバーサルレジストを塗布した後に裏面よりゲート電極をマスクにし、オーバー露光してレジスト151をストッパSiNx 31の上まで形成する(図26(図30のA1 −A2 断面に相当する))。この時ゲート電極12とITO263の交差部と容量線281とITO263交差部の部分301は露光できいないため、TFT上にマスク(第3のマスク工程)をし、表面より露光して図3030中の301の部分を露光する(図26、図30)。図30中斜線の部分がレジストである。このようにしてTFTのSiNx ストッパ31上のITOをエッチングする。
【0040】次にITOのみでも良いが更に信号線の配線抵抗を下げるためにW271をITO263上に選択デポし、その後SiNx でパシベーション膜272を全面に形成する(図27(図31のB1 −B2 断面(パッシベーション膜は図示せず)に相当する))。なお、W等の金属の選択デポを容易にするため予めITO上に裏面露光可能な程度に光を通すほど薄く(W100A程度)体積した後ITOをパターニングして裏面露光して次にWの選択デポをしても良い。こうすることによってWの選択デポを容易にすることが可能となる。
【0041】最後に、同一のマスクで画素部及び信号線のコンタクト部323のパシベーションSiNx 272とW271をエッチングし、ゲート電極12及び容量線281のコンタクト部321のSiNx ゲート絶縁膜21をエッチングする(図32)(第4のマスク工程)。ドライエッチングを用いると信号線のコンタクト部323のITOが表れた時点でITOはエッチングされないのでこのままマスクとなり信号線のコンタクト部323の下のSiNx ゲート絶縁膜21はエッチングされず残る。
【0042】このようにして、自己整合TFTを有するLCDを製作することにより、TFTのソース/ドレイン部の配線抵抗を充分に下げるこができる。また、従来ゲートと容量線の形成、SiNx ストッパーの形成、a−Siの島の形成、ITO画素の形成、ゲート線と容量線のコンタクトホールの形成、信号線の形成、この信号線上のSiNx パッシベーション膜の形成と7回かかっていたマスク工程が本実施例ではマスクが4枚(但し第3のマスク工程は他と比べて精度はそれほど必要としない)、レジスト工程が3回で済むため、コストダウンに有効であり、マスク合わせの数を減らす事ができ、またマスク合わせの難しい大型TFT−LCDの製造に有効である。また、ITOの成膜条件を選ぶ事により、n+ a−Siの上のW膜は無くても良い。次に図33において本発明の第4の実施例を説明する。
【0043】裏面露光を施してセルフアラインさせる第3の実施例で説明した構造のTFTの代わりに、ゲート電極12、ゲート絶縁膜21、a−Si22、SiNx ストッパー31を堆積した後に、全層を同一パターンでエッチングして、ゲート電極、ゲート線、及び容量線(図示せず)を形成する。この後に、SiNx ストッパ31をオーバエッチングし、次に上からa−Si22/ゲート絶縁膜21/ゲート電極12をRIEによってほぼ同一の幅にエッチングする。次にゲート252の側面を例えばホウ酸水溶液中でゲートに正電圧を印加して陽極酸化し絶縁膜331を形成する。次にSiNx ストッパー31のかぶさっていないa−Si22の部分にイオンドーピングによりn+ a−Siの領域41を形成し、この表面にW42を選択デポする。n+ a−Siの領域41は選択デポで形成しても良い。
【0044】この後の工程は第3の実施例と同じ様に形成すれば良い(参考図34)。本実施例のようなTFTを用いてLCDを作成すると裏面露光によるレジストの形成の工程を省くことができるためコスト削減に寄与する。また、本実施例においても第3の実施例と同様の効果を期待することができる。
【0045】次に、本発明の第5の実施例として金属の選択デポジションを用いた別の自己整合のTFTと液晶ディスプレイに適用したものについて図35から図37を用いて説明する。図35、図36は図37のC1 −C2 断面での工程順の断面図である。
【0046】まず初めに、ガラス基板11上にMo−Ta合金やAl等の金属によりゲート電極12(図35及び図37)、容量線281(図37)を形成する(第1のマスク工程)。この上にSiNx ゲート絶縁膜21(図35)を形成する。次に、ソース/ドレイン電極263(図35)、信号線371(図37)、画素電極372(図37)となる透明電極をITOにてパターニングし形成する(第2のマスク工程)。この時ネガレジストまたはリバーサルレジストを用いて、裏面よりゲート電極12をマスクにしてパターニングし、ゲート電極12とソース/ドレイン電極263を自己整合させる(図3535)。裏面露光において露光はオーバー目にしたほうがソース/ドレイン電極263とゲート電極12に微細なオーバーラップが形成できてTFTのオン特性を良好に保つことができる。各配線断面はテーパー形状にしたほうが好ましい。裏面露光の後、信号線371とゲート電極12及び容量線281との交差部、及び容量線281と画素電極372の交差部、引き出し配線は裏面露光工程の後に基板表面側よりマスクを用いて重ね露光することにより、レジストを残す(第3のマスク工程、但し他のマスク工程よりも精度が悪くても良い)。
【0047】次に、このITOのソース/ドレイン電極263とゲート電極12の上に配線抵抗低減及びソース/ドレイン電極263とa−Siとの良好なオーミックコンタクトを得るためにW等の高融点金属42(a)を選択デポする(図35)。Wの選択デポ前処理としては、ドライ、ウエットによるライトエッチ処理や、H2ガス、Hプラズマによる表面還元処理を行っても良い。W層は、ITOとn+ a−Siが直接接触して拡散することによる接触抵抗の増大を防ぐ役割もある。次に、更に低抵抗化のためにAl等の低抵抗金属351をW42(a)上に選択デポし、このW42(a)上にn+ a−Siとのオーミックコンタクト用にW等の高融点金属42(b)を積層する(図35)。なお、W、Al等の選択デポが少し不完全な場合ゲート絶縁膜上に薄くW、Alが形成されることがあるが、W、Alを軽くエッチングして絶縁膜上のW、Alのみを除去すれば良い。
【0048】次に、W等の金属の選択デポの後に、n+ a−Si層41をH2 とSiH4 プラズマの間欠プラズマCVD等により信号線371及びITOのソース/ドレイン電極263上に選択デポする(図35)。
【0049】次にプラズマCVD等によりa−Si22を基板全面に堆積する(図36)。a−Si22の堆積前に、F系のガスまたはHF系の溶液で基板を表面処理しても良い。次に、パシベーション用のSiNx 膜272、a−Si22を光から守るための光シールド用の金属等の不透明膜361を堆積する(図36)。
【0050】次に、TFT及び信号線371を含むパターン(図37の斜線部)によりITO上の上から光シールド/パシベーション膜/a−Si/n+ a−Si/Wをエッチングし画素電極372及び信号線371のコンタクト部371−1を表出させる(第4のマスク工程)。このまま同一パターンでゲート絶縁膜をエッチングしゲート電極12、容量線281のコンタクト部372を表出させる。この時前記表出したITO(図37の画素電極372にあたる)はマスクとして働く。エッチングはRIE等のドライエッチ又はウエットエッチを組み合わせて行う。
【0051】本実施例のような構造のTFTではソース/ドレイン電極263にW等の金属42(a)が積層されているため、n+ a−SiやITOでソース/ドレインの引出し部を形成したものに比べ配線抵抗はほとんど無視できるほど小さくでき、TFTの特性向上に有効である。また、第3の実施例と同様の効果も期待できる。次に、第3の実施例のTFTを大型液晶ディスプレイに適用した第6の実施例を図38から図42を用いて説明する。
【0052】基板が大型化すると熱膨張、応力等による変形が大きくなり、マスクとパターン間の整合が困難になるため、マスクパターンの数を減らすことや、パターンを自己整合化することが重要になる。このためには第1のゲートパターンにより後続の信号線、TFT、画素電極が自己整合的に形成されることが好ましい。まず図3838に示すようなゲート電極のパターン381をガラス基板上に形成する(第1のマスク工程)。図中382はゲート電極と容量線とを兼ねている。
【0053】次に全面にゲート絶縁膜SiNx 、ITO膜をこの順に堆積した後に、図39に示すようにガラス基板の裏面側にマスクパターン391を用い(第2のマスク工程)ネガ方式により裏面よりゲートパターン381、マスクパターン391をマスクにして露光する。
【0054】更に、図40のように信号線と成る部分とゲート線の交差部401、画素電極となる部分とゲート線の重なりにより形成された蓄積行容量部402、403の部分、及び信号線のコンタクト部404が穴が開くように形成したレジスト405(図中斜線の部分)をマスクとして表面より露光する(第3のマスク工程)。つまり、フォトリソを1回で済ますために、裏面露光の際に、信号線と画素電極との分離部分、信号線のコンタクト部のパターンを次の表面露光で行う部分は黒いマスクで露光を防いだ状態で裏面露光を行った。次に、裏面露光では露光されなかった信号線及び蓄積容量部となる部分を表面より露光する事によって図41に示すようなITO(斜線の部分)のパターニングを行った。裏面露光の際マスクとして形成したマスクパターン391は粗い合わせマージンで良いため合わせ精度は必要ない。第2のマスク工程と第3のマスク工程は同じレジストを露光するのであって実質的には同一のマスク工程である。また、信号線と画素間の分離及び信号線のコンタクト部の形成は別のレジストを用いても良い。次に、W、Al、W、n+ a−Siをこの順にITO上へ選択デポし、a−Si、パシベーション膜、金属膜を全面にデポする。
【0055】最後に、図42の421の部分にマスクをし信号線、TFT421を形成し、更にエッチングをしITOをマスクとしてゲート電極のコンタクト部423を露出させる。以上のプロセスでTFTアレイが形成できる。この時ゲート線と信号線との間の光抜けの防止、及び信号線とゲート線のショートを防ぐためにマスクパターン421は信号線よりわずかに太く形成するほうがよい。
【0056】この様にして形成された液晶表示装置はスイッチング速度が格段に上がり、更にマスク合わせの数が少ない上に合わせマージンが大きいために大面積でもパターン精度が良く高い品質のものが形成できる。また、画素電極をゲート線のパターンに自己整合させているので従来よりも格段に高い開口率を有する。本実施例においても第3の実施例と同様の効果を期待することができる。
【0057】また、パシベーション膜、光シールド膜等は必要に応じて省略してもよく、また別のマスク工程で製造してもよい。絶縁膜はSiNx に限らず、SiOx 又は他の絶縁膜でも良く、積層膜でも良い、堆積法はプラズマCVDに限らず他の成膜法を用いても良い。
【0058】また、配線抵抗を下げるためのW/Al/Wの積層膜を配線抵抗の問題の小さい場合はWのみを選択デポしても良い。また、電極としてはITO単層ではなく、基板側よりITO、Mo等の高融点金属、Al等の低抵抗金属を積層し、W等の選択デポを配線表面及び配線側面に行ってもよい。透明電極としてはITOの他にZnOx や他の材料を用いても良い。次に、第3の実施例のTFTを大型液晶ディスプレイに適用した第7の実施例を図43及び図44を用いて説明する。
【0059】本実施例と第6の実施例との違いは、容量線をゲート線の下に形成したところである。図43は液晶ディスプレイの平面図、図44は図43においてABの断面図である。先ず、ガラス基板11上にMo−Ta合金やAl等の金属により容量線パターン431を形成する。
【0060】次に、絶縁層としてSiOx 442をプラズマCVD等により堆積する。次にゲート電極及びゲート線のパターン381を経成する。次に、ITOを全面に堆積した後に第6の実施例と同じように裏面露光と表面露光を施して信号線421、画素電極263を形成する。本実施例の場合裏面露光で素子分離を行うためのガラス基板側からのマスクは必要なく容量線431がこのマスクの役目を施す。但し、表面露光で画素電極263と容量線431の交差部は露光しなければならない。図4343においては画素電極を省略している。
【0061】次に、W42(a)、Al351、W42(b)、n+ a−Si41をITO263上に選択デポし、a−Si22、パシベーション膜272、金属膜361を全面に堆積する。
【0062】最後にゲート線、画素/信号線分離部の中を通るパターンで島パターン421を形成する。このようなプロセスにより、TFTのみならず画素電極もゲート電極12及びゲートパターン381と完全に分離できるため自己整合できる。本実施例による液晶表示装置においても第3、第6の実施例と同様の効果が得られる。
【0063】第6及び第7の実施例の液晶表示装置では第3の実施例のTFTを用いたが第1、第2、或は第4の実施例によるTFT、変形例によるTFTを用いても同様の効果が得られる。
【0064】
【発明の効果】以上説明したように本発明によれば、TFTのスイッチングスピードに影響を及ぼす寄生容量をゲート電極とソース電極及びドレイン電極をセルフアラインすることにより低減することができかつソース極及びドレイン電極のシート抵抗を低くすることが可能でありソース電極ドレイン電極間に十分な電流を流すことができる。従ってチャネル部のモビリティーが高く寄生容量もないのでスイッチングスピードの早いTFTを提供する事ができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の第1の実施例であるTFTの製造工程を説明する断面図。
【図2】 本発明の第1の実施例であるTFTの製造工程を説明する断面図。
【図3】 本発明の第1の実施例であるTFTの製造工程を説明する断面図。
【図4】 本発明の第1の実施例であるTFTの製造工程を説明する断面図。
【図5】 本発明の第1の実施例であるTFTの製造工程を説明する断面図。
【図6】 本発明の第1の実施例である液晶表示装置のTFTの製造工程を説明する断面図。
【図7】 本発明の第2の実施例である液晶表示装置のTFTの製造工程を説明する断面図。
【図8】 本発明の第2の実施例である液晶表示装置のTFTの製造工程を説明する断面図。
【図9】 本発明の第2の実施例である液晶表示装置の製造工程を説明する平面図。
【図10】 本発明の第2の実施例である液晶表示装置の製造工程を説明する平面図。
【図11】 本発明の第2の実施例である液晶表示装置の製造工程を説明する斜視図。
【図12】 本発明の変形例であるTFTの製造工程を説明する断面図。
【図13】 本発明の変形例であるTFTの製造工程を説明する断面図。
【図14】 本発明の変形例であるTFTの製造工程を説明する断面図。
【図15】 本発明の変形例であるTFTの製造工程を説明する断面図。
【図16】 本発明の変形例であるTFTの製造工程を説明する断面図。
【図17】 本発明の変形例であるTFTの製造工程を説明する断面図。
【図18】 本発明の変形例である液晶表示装置のTFTの製造工程を説明する断面図。
【図19】 従来のTFTのソース及びドレイン電極にドープしたCr原子の深さ方向の拡散濃度を表すグラフ。
【図20】 本発明の変形例によるTFTのソース及びドレイン電極にドープしたCr原子の深さ方向の拡散濃度を表すグラフ。
【図21】 従来のTFTの製造工程を説明する断面図。
【図22】 従来のTFTの製造工程を説明する断面図。
【図23】 従来のTFTの製造工程を説明する断面図。
【図24】 従来のTFTの製造工程を説明する断面図。
【図25】 本発明の第3実施例である液晶表示装置の製造工程を説明する断面図。
【図26】 本発明の第3実施例である液晶表示装置の製造工程を説明する断面図。
【図27】 本発明の第3実施例である液晶表示装置の製造工程を説明する断面図。
【図28】 本発明の第3実施例である液晶表示装置の製造工程を説明する平面図。
【図29】 本発明の第3実施例である液晶表示装置の製造工程を説明する平面図。
【図30】 本発明の第3実施例である液晶表示装置の製造工程を説明する平面図。
【図31】 本発明の第3実施例である液晶表示装置の製造工程を説明する平面図。
【図32】 本発明の第3実施例である液晶表示装置の製造工程を説明する平面図。
【図33】 本発明の第4の実施例であるTFTの製造工程を説明する断面図。
【図34】 本発明の第4の実施例であるTFTの製造工程を説明する断面図。
【図35】 本発明の第5の実施例であるTFTの製造工程を説明する断面図。
【図36】 本発明の第5の実施例であるTFTの製造工程を説明する断面図。
【図37】 本発明の第5の実施例である液晶表示装置を説明する平面図。
【図38】 本発明の第6の実施例である液晶表示装置を説明する平面図。
【図39】 本発明の第6の実施例である液晶表示装置を説明する平面図。
【図40】 本発明の第6の実施例である液晶表示装置を説明する平面図。
【図41】 本発明の第6の実施例である液晶表示装置を説明する平面図。
【図42】 本発明の第6の実施例である液晶表示装置を説明する平面図。
【図43】 本発明の第7の実施例である液晶表示装置を説明する平面図。
【図44】 本発明の第7の実施例である液晶表示装置を説明する平面図。
【符号の説明】
11…ガラス基板
12…ゲート電極
21…絶縁層
22…a−Si層
23…絶縁層
31…マスク層
41…n+ a−Si層
42…W層
61…ITO
62…Al電極
63…Al電極
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は薄膜トランジスタの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、非晶質シリコン(a−Si)膜を用いた薄膜トランジスタ(TFT)をスイッチング素子として構成されたアクティブマトリックス型液晶表示装置(LCD)が注目されている。安価なガラス基板を用いて低温成膜ができるa−Si膜を用いてTFTアレイを構成することにより、大面積、高精細、高画質かつ安価なパネルディスプレイ(フラット型テレビジョン)が実現できる可能性があるからである。
【0003】この種のディスプレイは、TFTにより駆動されるため、TFTのスイッチング能力が表示特性に大きく影響する。スイッチング能力を向上させるためには一つにはゲート電極とソースまたはドレイン電極の重なりによる寄生容量を減らすことが重要である。従来、この種の問題解決のために、ゲートとソース、ドレイン電極を自己整合(セルフアライン)させたトランジスタが提案されている。図21〜図24において従来のTFTの製造工程を示す。
【0004】まず図21において、ガラス基板211表面上にゲート電極212を形成する。次に絶縁層であるSiNx 層213、a−Si(アモルファスシリコン)層214、絶縁層であるSiNx 層215を順次成長し、その後レジスト層を塗布する。続いて基板裏面より露光して、ゲートと同じパターンにレジスト層216を形成する。
【0005】次に図22において、上記レジスト層216をマスクとし上記絶縁層であるSiNx 層215をエッチングしチャネル絶縁層であるSiNx 層222を形成する。さらに、レジスト層216を除去した後、上面(矢印の方向)よりイオン注入またはプラズマドープを行いn+ a−Si層221を形成する。
【0006】次に図23において、チャネル絶縁層であるSiNx 層222及びn+ a−Si層221表面を覆うようにCr層232を成長させ熱拡散によってシリサイドであるCrSix 層231を形成する。最後に図24R>4において、上記Cr層232を従来のPEPにより加工して電極241を形成する。
【0007】この様なTFTにおいては、ゲート電極212をマスクとし裏面露光によってパターンニングすることによりゲート電極212及びソースまたはドレイン電極(n+ a−Si層221及びCrSix 層231)の重なりによる寄生容量を減らすことが可能である。
【0008】しかしながら上記した従来のTFT製造方法では、ソース/ドレイン部の配線の一部に比較的低温での熱拡散によって形成したCrSix 231を用いているため低抵抗化に限界がありab間(図24)のシート抵抗を十分に抑えることができない。図19に上記の製造方法によるTFTのCr原子の拡散の様子を示す。縦軸はCr原子の濃度、横軸は拡散方向の深さである。LCDを製造するにおいて、耐熱性の低いガラス基板を用いることとa−Siの耐熱性が低いため、熱による温度上昇には限界があり、シリサイド反応は表面のみに限定される。従って図19のようにCr原子濃度は界面付近で急激に低くなり、十分にCr原子を拡散することはできない。このため、このシ−ト抵抗がTFTのオン時のチャネルのシ−ト抵抗より十分に小さくない場合にはシリ−ズ抵抗となり、TFTのオン電流を制限してしまう。従来のTFTではab間(図24)の配線部のシート抵抗(5×104 〜1×106 Ω/スクエアー程度)が高くなり移動度(モビリティー)が高くスイッチングスピードの早いa−SiTFT、特にスイッチングスピードの早いポリ−SiTFTではオン時のチャネルのシ−ト抵抗が十分に低いため配線部のシ−ト抵抗が高いとオン電流を制限するため十分に動作させることができない。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】近年TFTのモビリティーがますます高くなり性能向上が図られていく中で、上記したような従来の製造方法で得られるTFTではab間(図24)の抵抗率つまりソース及びドレイン電極のシート抵抗率が高いのでソースドレイン間に十分な電流を流すことができないという問題があった。
【0010】そこで、本発明は、ゲート電極とソースまたはドレイン電極の重なりによる寄生容量を減らすことができるセルフアラインによるLCD用TFTの製造方法において上記欠点を除去しソース電極、ドレイン電極の抵抗を十分に抑えることのできるLCD用TFTの製造方法を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するために、本発明の薄膜トランジスタの製造方法は、表裏2つの主面を有する基板の表面に、ゲート電極を形成する工程と、前記ゲート電極上に第1の絶縁層を形成する工程と、この第1の絶縁層上に第1の半導体層を形成する工程と、この第1の半導体層上に第2の絶縁層を形成する工程と、前記第2の絶縁層表面にレジストを塗布し、前記ゲート電極をマスクとして前記基板の裏面から光を照射して前記レジストを感光させ、不要部分をエッチング除去することにより前記ゲート電極上にレジストのマスクを形成する工程と、このレジストのマスク上から前記第2の絶縁層をエッチングすると共に前記ゲート電極上に残置してマスク層とする工程と、前記第1の半導体層上に前記半導体層よりも高いキャリア濃度の第2の半導体層を介して、或いは介さずに金属層、或いはシリサイド層の内の一つを前記第2の絶縁層から形成したマスク層上以外に選択的に形成させゲート電極に整合させる工程とを含むことを特徴とする。
【0012】
【作用】本発明においては、金属、或はシリサイドが絶縁層上には成長せず、半導体層上に選択成長する性質を利用し、予めゲート電極にセルフアラインしている半導体層上に金属、或はシリサイド層を選択成長させることによりドレイン及びソース電極である金属、或はシリサイドをゲート電極にセルフアラインさせる事ができる。この時、金属のシート抵抗は十分に低い(例えばWは1〜10Ω/スクエアー程度)のでモビリティーの大きいTFTにおいても十分に動作させることができ、シリサイド層は図20に示すように深さ方向に一様に分布するのでシート抵抗率を十分に抑えることができ(5〜1×103 Ω/スクエアー程度)モビリティーの大きいTFTにおいても十分に動作させることができる。金属として例えばWの選択成長は、WF6 とH2 またはWF6 とSiH4 等を用いれば良い。
【0013】また、本発明の変形例として、薄いシリサイドが光を通す性質を利用し、ゲート電極をマスクとして裏面より露光する事によってシリサイド層上にゲート電極にセルフアラインしたレジスト層を形成する。その後エッチングによりドレイン及びソース電極であるシリサイド層を形成しゲート電極にセルフアラインさせることも可能である。
【0014】
【実施例】以下に本発明を実施例によって説明する。図1R>1〜図8において本発明の第1の実施例を説明する。
【0015】まず図1において、ガラス基板11表面上にMo−Ta合金3000オングストローム(以下Aと記す。)をスパッタしエッチングによって形を整えゲート電極12を形成する。なおLCD用のTFTを製造する場合にはアドレス線及びCs線(図示せず。)も同時に形成する事ができる。
【0016】次に図2において、ガラス基板11及びゲート電極12上にプラズマCVD法により第1の絶縁層であるSiNx 層21を3000A、第1の半導体層であるa−Si層22を500A、第2の絶縁層であるSiNx 層23を2000A、順次積層する。
【0017】次に図3において、全面にレジストを塗布した後、ゲート電極12をマスクとして裏面から露光する事によりゲート電極と自己整合したレジストパターン(図示せず。)を形成し、さらに前記レジスト層をマスクとし第2の絶縁層であるSiNx 23をエッチングしてマスク層31を形成する。
【0018】次に図4において、第1の半導体層であるa−Si層22上に必要に応じて第2の半導体層であるn+ a−Si層41を500A、さらに金属層であるW層42を1000A順次選択的に成長する。n+ a−Siの選択成長は、PH3 とSiH4 混合ガスとH2 の間欠放電を用いる。Wの選択成長は、WF6 とH2 またはWF6 とSiH4 等の熱CVDを用いれば良い。また、n+ a−Si層41はプラズマドープにより形成しても良い。次に図5において、a−Si層22、n+ a−Si層41、及びW層42を島状に形成する。
【0019】なお、LCDを製造する場合には、図6において、画素電極であるITO61を1000A形成しアドレス線(図示せず。)の一端部に電極コンタクト用の穴を形成し信号線(図示せず。)をパターニングした後にAl電極62によりTFTとITO61を接続し、Al電極63によりTFTと信号線を接続する。この時、信号線をAl電極により同時に形成しても良い。
【0020】この様に本発明によると、n+ a−Si、及びWを選択成長させることによってゲート電極にセルフアラインすることができる。従ってTFTの寄生容量を抑えることができ、さらにシート抵抗率の十分低い金属であるWをソース及びドレイン電極に用いているので例えばスイッチングスピードの早いTFTに十分対応できる。従って、寄生容量が十分低く、チャネル部のモビリティーが大きいようなスイッチングスピードの早いTFTを提供することができる。
【0021】なお、上記実施例ではWを選択成長させたがWの代わりにMo−Si等のシリサイドを選択成長させることができる。また、選択成長する金属はWに限らずMo、Al、V、シリサイド等何でも良い。また、W等の金属を選択成長を確実に行うために、予めH2 ガスやHプラズマ処理によりn+ a−Si表面を洗浄化しても良い。図7〜図11において本発明の第2の実施例を説明する。本実施例においてアクティブマトリックス型TFT液晶表示素子用TFTを作成する。
【0022】図7において、第1の実施例の図4、図5に示すn+ a−Si、Wを選択成長させ島状にa−Si層22、n+ a−Si層41、及びW層42をパターニングする工程の代わりに、予め信号線、ドレイン電極、及びソース電極を形成するようにa−Siをパターニングする。その後、n+ a−Si層41、及びW層101を選択成長することによってTFTと画素電極を別々に形成し金属電極で接続する方法よりも工程数が少なくなりコスト面で有利になる。
【0023】図9においてこの様子を説明する。図9は図7を上面からみた平面図である。91はアドレス線及びゲート電極、93はマスク層、94の斜線部分はアドレス線及びゲート電極91上にある第1の絶縁層(ゲート絶縁層)であるSiNx を表す。92に示す斜線部分は信号線、ドレイン電極、及びソース電極を表し、上からW/n+ a−Si/a−Siの積層膜で形成されている。この92で表される斜線部分のように予めa−Siをパターニングしこのa−Si上にn+ a−Si及びWを順次選択成長させるのである。次に図8において、画素電極であるITO61を1000Aドレイン電極の一部を覆うように形成する。
【0024】図10においてこの様子を説明する。図10R>0は図8を上面からみた平面図である。図のように画素電極であるITO61をドレイン電極の一部を覆うように形成する。
【0025】図11にこの様子を斜視図を用いて説明する。91はアドレス線及びゲート電極、92は信号線、ドレイン電極、及びソース電極を表し、膜の上からW/n+a−Si/a−Si(以下同様)の積層膜で形成されている。93はマスク層、61は画素電極であるITOである。第1の絶縁層であるゲート絶縁層は省いてある。
【0026】この様に、a−Si層上に上からW/n+ a−Siの選択成長を用いて信号線を形成することにより、従来a−Siの島の形成と信号線の形成の2回必要であったマスク工程を1回に減らすことが可能になりコストダウンを図れる。また、従来法では信号線金属とa−Siの島とのマスク合わせのマ−ジンが必要であるため不透明である信号線が実質的に太くなり開口率が下がる欠点があったが本発明では合わせマ−ジンが必要でないため実質的に細い信号線が実現できるから高い開口率が実現できる。
【0027】なお、本実施例ではa−Siを予め島と信号線のパターンに形成した後に、n+ a−Si、Wを選択デポジッションする方法を用いたが、代わりにマスク層上を除く基板上全面にn+ a−Si、Wの選択デポジッションさせ、その後に上からW/n+ a−Si/a−Siの信号線パターンを形成しても良い。
【0028】本発明はチャネル部のモビリティーが高くスイッチングスピードの早いTFTに対して特に有効であり、移動度の高い高品質のa−Si、n+ a−Si、特に移動度の高いポリ−Si、n+ ポリ−Siを形成してよりチャネル部のモビリティーが高くスイッチングスピードの早いTFTを形成する場合その効果を十分に発揮する。選択成長する金属はWに限らずMo、Al、V、シリサイド等何でも良い。図12〜図18において本発明の変形例を説明する。図12は、第1の実施例の図1、図2に示す工程と同様にして形成した素子の一部の断面図である。次に、図13において、第2の絶縁層であるSiNx 層23(図12)をエッチングしてエッチングストッパー131を形成する。
【0029】次に図14において、エッチングストッパー131及びa−Si層22上に第2の半導体層であるn+ a−Si層41を500A及びシリサイド層であるMo−Si層142を300A順次積層する。Mo−Si層142は、裏面露光する光が透過するように、Mo組成を少なくする。Mo組成は3〜33%が良く、膜厚は100〜1000Aが良い。
【0030】次に図15において、Mo−Si層142上にレジスト層を形成し、ネガレジストを用いて裏面露光により図15に示すようにマスク層151を形成する。このとき露光をオーバーにしエッチングストッパー131と上からMo−Si層142/n+ a−Si層41が1〜3μm程度オーバラップするようにする。なぜならTFTが正常に動作するためにはソース及びドレイン電極とチャネル部分が電気的に接続してなくてはならず1〜3μmオーバラップする事が有効だからである。
【0031】次に図16において、エッチングによりエッチングストッパー131上のn+a−Si層41及びMo−Si層142を除去しさらにマスク層151も除去する。次に図17において、a−Si層22、n+ a−Si層41、及びMo−Si層142を島状に形成する。
【0032】なおLCDを制作する場合には図18において、画素電極であるITO61を1000A形成しアドレス線(図示せず。)の一端部に電極コンタクト用の穴を形成及び信号線(図示せず。)をパターニングした後にAl電極62によりTFTとITO61を接続し、Al電極63によりTFTと信号線(図示せず。)を接続する。
【0033】この様に本変形例によっても、セルフアラインによってTFTの寄生容量は抑えることができ、さらにシート抵抗率の十分低いMo−Siをソース及びドレイン電極に用いているのでチャネル部のモビリティーが高くスイッチングスピードの早いTFTに十分対応できる。
【0034】なお、シリサイドとしてはMo−Siの他にTiSix ,VSix ,CrSix ,NiSix ,PdSix 等でも良く、メタル組成は3〜30%が好ましい。また、TaNX 等のチッ化物でも透光性があるため有効である。ゲ−ト絶縁膜はSiNx に限らずSiOx またはこれらの積層膜でも良い。次に、図25から図32R>2を用いて本発明の第3の実施例を示す。
【0035】本実施例では自己整合構造として、高融点金属であるWの選択デポを用いたTFT液晶表示装置を制作した。図25から図27はこのTFTの断面図であり、図28から図31はこのTFTを用いた液晶表示装置の平面図を表している。先ずガラス基板11上に図28R>8に示すようにゲート電極及びゲード線12、容量線281を形成する(第1のマスク工程)。
【0036】次にゲート電極12、容量電極281を覆うようにSiNx ゲート絶縁膜21、a−Si22、SiNx 31をプラズマCVDで堆積し、ポジレジストを塗布した後に裏面よりゲート電極12をマスクにしてSiNx 31上にレジストパターン256を形成しゲート電極12に整合してエッチングする。このとき希HF等によりSiNx 31をレジストのサイド部もエッチングするようにオーバーエッチする。次に、F系ガスのRIE(リアクティブイオンエッチング)によりa−Si22をレジスト256と同じ幅でエッチングする(図25R>5)。
【0037】次に、n+ a−Siの選択デポにより、SiNx ストッパ31よりはみ出したa−Si22部にn+ a−Si41を形成する。これはイオンドーピングによってn+ a−Si41領域を形成しても良い。次にWの選択CVDによりn+ a−Si41部のみにW42を堆積する。次に、ITO263を全面にスパッタし、図2929に示すようにITO263で信号線、画素を結合したパターンを形成する(第2のマスク工程)。図29中291の領域は上からSiNx /W/n+ a−Si/a−Si/SiNx /ゲート電極の積層構造となっており、292の領域は上からSiNx /SiNx /a−Si/SiNx /ゲート電極の積層構造となっている。
【0038】次に、このITOパターンをマスクにして、F系のガスまたはウエットエッチャントを用いてITOパターンの下以外のa−Si22、n+ a−Si41、W42、SiNx 21をエッチングしTFTを島状に分離する。なお、ITOを形成する前にTFTの島を別のマスクを用いてエッチング形成する事によって、ITOの下の上からSiNX /a−Siを除去し蓄積容量部にa−Siを挟まないようにし一定容量とすることにより画質を向上させることもできる。また、TFTを島状には分離せずに用いても十分画質の良いTFT−LCDを実現することができる。
【0039】次に、TFTのSiNx ストッパー31上のITOを除去するためにネガレジストまたはイメージリバーサルレジストを塗布した後に裏面よりゲート電極をマスクにし、オーバー露光してレジスト151をストッパSiNx 31の上まで形成する(図26(図30のA1 −A2 断面に相当する))。この時ゲート電極12とITO263の交差部と容量線281とITO263交差部の部分301は露光できいないため、TFT上にマスク(第3のマスク工程)をし、表面より露光して図3030中の301の部分を露光する(図26、図30)。図30中斜線の部分がレジストである。このようにしてTFTのSiNx ストッパ31上のITOをエッチングする。
【0040】次にITOのみでも良いが更に信号線の配線抵抗を下げるためにW271をITO263上に選択デポし、その後SiNx でパシベーション膜272を全面に形成する(図27(図31のB1 −B2 断面(パッシベーション膜は図示せず)に相当する))。なお、W等の金属の選択デポを容易にするため予めITO上に裏面露光可能な程度に光を通すほど薄く(W100A程度)体積した後ITOをパターニングして裏面露光して次にWの選択デポをしても良い。こうすることによってWの選択デポを容易にすることが可能となる。
【0041】最後に、同一のマスクで画素部及び信号線のコンタクト部323のパシベーションSiNx 272とW271をエッチングし、ゲート電極12及び容量線281のコンタクト部321のSiNx ゲート絶縁膜21をエッチングする(図32)(第4のマスク工程)。ドライエッチングを用いると信号線のコンタクト部323のITOが表れた時点でITOはエッチングされないのでこのままマスクとなり信号線のコンタクト部323の下のSiNx ゲート絶縁膜21はエッチングされず残る。
【0042】このようにして、自己整合TFTを有するLCDを製作することにより、TFTのソース/ドレイン部の配線抵抗を充分に下げるこができる。また、従来ゲートと容量線の形成、SiNx ストッパーの形成、a−Siの島の形成、ITO画素の形成、ゲート線と容量線のコンタクトホールの形成、信号線の形成、この信号線上のSiNx パッシベーション膜の形成と7回かかっていたマスク工程が本実施例ではマスクが4枚(但し第3のマスク工程は他と比べて精度はそれほど必要としない)、レジスト工程が3回で済むため、コストダウンに有効であり、マスク合わせの数を減らす事ができ、またマスク合わせの難しい大型TFT−LCDの製造に有効である。また、ITOの成膜条件を選ぶ事により、n+ a−Siの上のW膜は無くても良い。次に図33において本発明の第4の実施例を説明する。
【0043】裏面露光を施してセルフアラインさせる第3の実施例で説明した構造のTFTの代わりに、ゲート電極12、ゲート絶縁膜21、a−Si22、SiNx ストッパー31を堆積した後に、全層を同一パターンでエッチングして、ゲート電極、ゲート線、及び容量線(図示せず)を形成する。この後に、SiNx ストッパ31をオーバエッチングし、次に上からa−Si22/ゲート絶縁膜21/ゲート電極12をRIEによってほぼ同一の幅にエッチングする。次にゲート252の側面を例えばホウ酸水溶液中でゲートに正電圧を印加して陽極酸化し絶縁膜331を形成する。次にSiNx ストッパー31のかぶさっていないa−Si22の部分にイオンドーピングによりn+ a−Siの領域41を形成し、この表面にW42を選択デポする。n+ a−Siの領域41は選択デポで形成しても良い。
【0044】この後の工程は第3の実施例と同じ様に形成すれば良い(参考図34)。本実施例のようなTFTを用いてLCDを作成すると裏面露光によるレジストの形成の工程を省くことができるためコスト削減に寄与する。また、本実施例においても第3の実施例と同様の効果を期待することができる。
【0045】次に、本発明の第5の実施例として金属の選択デポジションを用いた別の自己整合のTFTと液晶ディスプレイに適用したものについて図35から図37を用いて説明する。図35、図36は図37のC1 −C2 断面での工程順の断面図である。
【0046】まず初めに、ガラス基板11上にMo−Ta合金やAl等の金属によりゲート電極12(図35及び図37)、容量線281(図37)を形成する(第1のマスク工程)。この上にSiNx ゲート絶縁膜21(図35)を形成する。次に、ソース/ドレイン電極263(図35)、信号線371(図37)、画素電極372(図37)となる透明電極をITOにてパターニングし形成する(第2のマスク工程)。この時ネガレジストまたはリバーサルレジストを用いて、裏面よりゲート電極12をマスクにしてパターニングし、ゲート電極12とソース/ドレイン電極263を自己整合させる(図3535)。裏面露光において露光はオーバー目にしたほうがソース/ドレイン電極263とゲート電極12に微細なオーバーラップが形成できてTFTのオン特性を良好に保つことができる。各配線断面はテーパー形状にしたほうが好ましい。裏面露光の後、信号線371とゲート電極12及び容量線281との交差部、及び容量線281と画素電極372の交差部、引き出し配線は裏面露光工程の後に基板表面側よりマスクを用いて重ね露光することにより、レジストを残す(第3のマスク工程、但し他のマスク工程よりも精度が悪くても良い)。
【0047】次に、このITOのソース/ドレイン電極263とゲート電極12の上に配線抵抗低減及びソース/ドレイン電極263とa−Siとの良好なオーミックコンタクトを得るためにW等の高融点金属42(a)を選択デポする(図35)。Wの選択デポ前処理としては、ドライ、ウエットによるライトエッチ処理や、H2ガス、Hプラズマによる表面還元処理を行っても良い。W層は、ITOとn+ a−Siが直接接触して拡散することによる接触抵抗の増大を防ぐ役割もある。次に、更に低抵抗化のためにAl等の低抵抗金属351をW42(a)上に選択デポし、このW42(a)上にn+ a−Siとのオーミックコンタクト用にW等の高融点金属42(b)を積層する(図35)。なお、W、Al等の選択デポが少し不完全な場合ゲート絶縁膜上に薄くW、Alが形成されることがあるが、W、Alを軽くエッチングして絶縁膜上のW、Alのみを除去すれば良い。
【0048】次に、W等の金属の選択デポの後に、n+ a−Si層41をH2 とSiH4 プラズマの間欠プラズマCVD等により信号線371及びITOのソース/ドレイン電極263上に選択デポする(図35)。
【0049】次にプラズマCVD等によりa−Si22を基板全面に堆積する(図36)。a−Si22の堆積前に、F系のガスまたはHF系の溶液で基板を表面処理しても良い。次に、パシベーション用のSiNx 膜272、a−Si22を光から守るための光シールド用の金属等の不透明膜361を堆積する(図36)。
【0050】次に、TFT及び信号線371を含むパターン(図37の斜線部)によりITO上の上から光シールド/パシベーション膜/a−Si/n+ a−Si/Wをエッチングし画素電極372及び信号線371のコンタクト部371−1を表出させる(第4のマスク工程)。このまま同一パターンでゲート絶縁膜をエッチングしゲート電極12、容量線281のコンタクト部372を表出させる。この時前記表出したITO(図37の画素電極372にあたる)はマスクとして働く。エッチングはRIE等のドライエッチ又はウエットエッチを組み合わせて行う。
【0051】本実施例のような構造のTFTではソース/ドレイン電極263にW等の金属42(a)が積層されているため、n+ a−SiやITOでソース/ドレインの引出し部を形成したものに比べ配線抵抗はほとんど無視できるほど小さくでき、TFTの特性向上に有効である。また、第3の実施例と同様の効果も期待できる。次に、第3の実施例のTFTを大型液晶ディスプレイに適用した第6の実施例を図38から図42を用いて説明する。
【0052】基板が大型化すると熱膨張、応力等による変形が大きくなり、マスクとパターン間の整合が困難になるため、マスクパターンの数を減らすことや、パターンを自己整合化することが重要になる。このためには第1のゲートパターンにより後続の信号線、TFT、画素電極が自己整合的に形成されることが好ましい。まず図3838に示すようなゲート電極のパターン381をガラス基板上に形成する(第1のマスク工程)。図中382はゲート電極と容量線とを兼ねている。
【0053】次に全面にゲート絶縁膜SiNx 、ITO膜をこの順に堆積した後に、図39に示すようにガラス基板の裏面側にマスクパターン391を用い(第2のマスク工程)ネガ方式により裏面よりゲートパターン381、マスクパターン391をマスクにして露光する。
【0054】更に、図40のように信号線と成る部分とゲート線の交差部401、画素電極となる部分とゲート線の重なりにより形成された蓄積行容量部402、403の部分、及び信号線のコンタクト部404が穴が開くように形成したレジスト405(図中斜線の部分)をマスクとして表面より露光する(第3のマスク工程)。つまり、フォトリソを1回で済ますために、裏面露光の際に、信号線と画素電極との分離部分、信号線のコンタクト部のパターンを次の表面露光で行う部分は黒いマスクで露光を防いだ状態で裏面露光を行った。次に、裏面露光では露光されなかった信号線及び蓄積容量部となる部分を表面より露光する事によって図41に示すようなITO(斜線の部分)のパターニングを行った。裏面露光の際マスクとして形成したマスクパターン391は粗い合わせマージンで良いため合わせ精度は必要ない。第2のマスク工程と第3のマスク工程は同じレジストを露光するのであって実質的には同一のマスク工程である。また、信号線と画素間の分離及び信号線のコンタクト部の形成は別のレジストを用いても良い。次に、W、Al、W、n+ a−Siをこの順にITO上へ選択デポし、a−Si、パシベーション膜、金属膜を全面にデポする。
【0055】最後に、図42の421の部分にマスクをし信号線、TFT421を形成し、更にエッチングをしITOをマスクとしてゲート電極のコンタクト部423を露出させる。以上のプロセスでTFTアレイが形成できる。この時ゲート線と信号線との間の光抜けの防止、及び信号線とゲート線のショートを防ぐためにマスクパターン421は信号線よりわずかに太く形成するほうがよい。
【0056】この様にして形成された液晶表示装置はスイッチング速度が格段に上がり、更にマスク合わせの数が少ない上に合わせマージンが大きいために大面積でもパターン精度が良く高い品質のものが形成できる。また、画素電極をゲート線のパターンに自己整合させているので従来よりも格段に高い開口率を有する。本実施例においても第3の実施例と同様の効果を期待することができる。
【0057】また、パシベーション膜、光シールド膜等は必要に応じて省略してもよく、また別のマスク工程で製造してもよい。絶縁膜はSiNx に限らず、SiOx 又は他の絶縁膜でも良く、積層膜でも良い、堆積法はプラズマCVDに限らず他の成膜法を用いても良い。
【0058】また、配線抵抗を下げるためのW/Al/Wの積層膜を配線抵抗の問題の小さい場合はWのみを選択デポしても良い。また、電極としてはITO単層ではなく、基板側よりITO、Mo等の高融点金属、Al等の低抵抗金属を積層し、W等の選択デポを配線表面及び配線側面に行ってもよい。透明電極としてはITOの他にZnOx や他の材料を用いても良い。次に、第3の実施例のTFTを大型液晶ディスプレイに適用した第7の実施例を図43及び図44を用いて説明する。
【0059】本実施例と第6の実施例との違いは、容量線をゲート線の下に形成したところである。図43は液晶ディスプレイの平面図、図44は図43においてABの断面図である。先ず、ガラス基板11上にMo−Ta合金やAl等の金属により容量線パターン431を形成する。
【0060】次に、絶縁層としてSiOx 442をプラズマCVD等により堆積する。次にゲート電極及びゲート線のパターン381を経成する。次に、ITOを全面に堆積した後に第6の実施例と同じように裏面露光と表面露光を施して信号線421、画素電極263を形成する。本実施例の場合裏面露光で素子分離を行うためのガラス基板側からのマスクは必要なく容量線431がこのマスクの役目を施す。但し、表面露光で画素電極263と容量線431の交差部は露光しなければならない。図4343においては画素電極を省略している。
【0061】次に、W42(a)、Al351、W42(b)、n+ a−Si41をITO263上に選択デポし、a−Si22、パシベーション膜272、金属膜361を全面に堆積する。
【0062】最後にゲート線、画素/信号線分離部の中を通るパターンで島パターン421を形成する。このようなプロセスにより、TFTのみならず画素電極もゲート電極12及びゲートパターン381と完全に分離できるため自己整合できる。本実施例による液晶表示装置においても第3、第6の実施例と同様の効果が得られる。
【0063】第6及び第7の実施例の液晶表示装置では第3の実施例のTFTを用いたが第1、第2、或は第4の実施例によるTFT、変形例によるTFTを用いても同様の効果が得られる。
【0064】
【発明の効果】以上説明したように本発明によれば、TFTのスイッチングスピードに影響を及ぼす寄生容量をゲート電極とソース電極及びドレイン電極をセルフアラインすることにより低減することができかつソース極及びドレイン電極のシート抵抗を低くすることが可能でありソース電極ドレイン電極間に十分な電流を流すことができる。従ってチャネル部のモビリティーが高く寄生容量もないのでスイッチングスピードの早いTFTを提供する事ができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の第1の実施例であるTFTの製造工程を説明する断面図。
【図2】 本発明の第1の実施例であるTFTの製造工程を説明する断面図。
【図3】 本発明の第1の実施例であるTFTの製造工程を説明する断面図。
【図4】 本発明の第1の実施例であるTFTの製造工程を説明する断面図。
【図5】 本発明の第1の実施例であるTFTの製造工程を説明する断面図。
【図6】 本発明の第1の実施例である液晶表示装置のTFTの製造工程を説明する断面図。
【図7】 本発明の第2の実施例である液晶表示装置のTFTの製造工程を説明する断面図。
【図8】 本発明の第2の実施例である液晶表示装置のTFTの製造工程を説明する断面図。
【図9】 本発明の第2の実施例である液晶表示装置の製造工程を説明する平面図。
【図10】 本発明の第2の実施例である液晶表示装置の製造工程を説明する平面図。
【図11】 本発明の第2の実施例である液晶表示装置の製造工程を説明する斜視図。
【図12】 本発明の変形例であるTFTの製造工程を説明する断面図。
【図13】 本発明の変形例であるTFTの製造工程を説明する断面図。
【図14】 本発明の変形例であるTFTの製造工程を説明する断面図。
【図15】 本発明の変形例であるTFTの製造工程を説明する断面図。
【図16】 本発明の変形例であるTFTの製造工程を説明する断面図。
【図17】 本発明の変形例であるTFTの製造工程を説明する断面図。
【図18】 本発明の変形例である液晶表示装置のTFTの製造工程を説明する断面図。
【図19】 従来のTFTのソース及びドレイン電極にドープしたCr原子の深さ方向の拡散濃度を表すグラフ。
【図20】 本発明の変形例によるTFTのソース及びドレイン電極にドープしたCr原子の深さ方向の拡散濃度を表すグラフ。
【図21】 従来のTFTの製造工程を説明する断面図。
【図22】 従来のTFTの製造工程を説明する断面図。
【図23】 従来のTFTの製造工程を説明する断面図。
【図24】 従来のTFTの製造工程を説明する断面図。
【図25】 本発明の第3実施例である液晶表示装置の製造工程を説明する断面図。
【図26】 本発明の第3実施例である液晶表示装置の製造工程を説明する断面図。
【図27】 本発明の第3実施例である液晶表示装置の製造工程を説明する断面図。
【図28】 本発明の第3実施例である液晶表示装置の製造工程を説明する平面図。
【図29】 本発明の第3実施例である液晶表示装置の製造工程を説明する平面図。
【図30】 本発明の第3実施例である液晶表示装置の製造工程を説明する平面図。
【図31】 本発明の第3実施例である液晶表示装置の製造工程を説明する平面図。
【図32】 本発明の第3実施例である液晶表示装置の製造工程を説明する平面図。
【図33】 本発明の第4の実施例であるTFTの製造工程を説明する断面図。
【図34】 本発明の第4の実施例であるTFTの製造工程を説明する断面図。
【図35】 本発明の第5の実施例であるTFTの製造工程を説明する断面図。
【図36】 本発明の第5の実施例であるTFTの製造工程を説明する断面図。
【図37】 本発明の第5の実施例である液晶表示装置を説明する平面図。
【図38】 本発明の第6の実施例である液晶表示装置を説明する平面図。
【図39】 本発明の第6の実施例である液晶表示装置を説明する平面図。
【図40】 本発明の第6の実施例である液晶表示装置を説明する平面図。
【図41】 本発明の第6の実施例である液晶表示装置を説明する平面図。
【図42】 本発明の第6の実施例である液晶表示装置を説明する平面図。
【図43】 本発明の第7の実施例である液晶表示装置を説明する平面図。
【図44】 本発明の第7の実施例である液晶表示装置を説明する平面図。
【符号の説明】
11…ガラス基板
12…ゲート電極
21…絶縁層
22…a−Si層
23…絶縁層
31…マスク層
41…n+ a−Si層
42…W層
61…ITO
62…Al電極
63…Al電極
【特許請求の範囲】
【請求項1】 表裏2つの主面を有する基板の表面に、ゲート電極を形成する工程と、前記ゲート電極上に第1の絶縁層を形成する工程と、この第1の絶縁層上に第1の半導体層を形成する工程と、この第1の半導体層上に第2の絶縁層を形成する工程と、前記第2の絶縁層表面にレジストを塗布し、前記ゲート電極をマスクとして前記基板の裏面から光を照射して前記レジストを感光させ、不要部分をエッチング除去することにより前記ゲート電極上にレジストのマスクを形成する工程と、このレジストのマスク上から前記第2の絶縁層をエッチングすると共に前記ゲート電極上に残置してマスク層とする工程と、前記第1の半導体層上に前記半導体層よりも高いキャリア濃度の第2の半導体層を介して、或いは介さずに、金属層、或はシリサイド層の内の一つを前記第2の絶縁層から形成したマスク層上以外に選択的に形成させゲート電極に整合させる工程とを含むことを特徴とする薄膜トランジスタの製造方法。
【請求項1】 表裏2つの主面を有する基板の表面に、ゲート電極を形成する工程と、前記ゲート電極上に第1の絶縁層を形成する工程と、この第1の絶縁層上に第1の半導体層を形成する工程と、この第1の半導体層上に第2の絶縁層を形成する工程と、前記第2の絶縁層表面にレジストを塗布し、前記ゲート電極をマスクとして前記基板の裏面から光を照射して前記レジストを感光させ、不要部分をエッチング除去することにより前記ゲート電極上にレジストのマスクを形成する工程と、このレジストのマスク上から前記第2の絶縁層をエッチングすると共に前記ゲート電極上に残置してマスク層とする工程と、前記第1の半導体層上に前記半導体層よりも高いキャリア濃度の第2の半導体層を介して、或いは介さずに、金属層、或はシリサイド層の内の一つを前記第2の絶縁層から形成したマスク層上以外に選択的に形成させゲート電極に整合させる工程とを含むことを特徴とする薄膜トランジスタの製造方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図15】
【図12】
【図13】
【図14】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図25】
【図24】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
【図36】
【図33】
【図34】
【図35】
【図37】
【図38】
【図39】
【図40】
【図41】
【図42】
【図43】
【図44】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図15】
【図12】
【図13】
【図14】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図25】
【図24】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
【図36】
【図33】
【図34】
【図35】
【図37】
【図38】
【図39】
【図40】
【図41】
【図42】
【図43】
【図44】
【公開番号】特開平6−204247
【公開日】平成6年(1994)7月22日
【国際特許分類】
【出願番号】特願平4−261423
【出願日】平成4年(1992)9月30日
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【公開日】平成6年(1994)7月22日
【国際特許分類】
【出願日】平成4年(1992)9月30日
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
[ Back to top ]