説明

薄膜形成装置

【課題】 基板とターゲットの間隔が変化しても、磁場状態の変化を従来に比べて抑制することができるとともに、基板とターゲットの間隔を精度よく設定できる薄膜形成装置を提供することを目的とする。
【解決手段】 チャンバー11の外周にソレノイド保持部材19を上下方向に移動可能に設け、ソレノイド保持部材19に外部ソレノイド20を巻回する。支持体12の基部12bの外周に対向板21を設け、ソレノイド保持部材19の下面板19bと対向板21を連結部材22によって連結する。このようにすると、間隔Hを変化させるときに、外部ソレノイド20を支持体12と一体となって上下方向に移動させることができ、内部磁界発生部18と外部磁界発生部である外部ソレノイド20の位置関係を常に一定に保つことができる。また、間隔Hは、ターゲット13のみを上下方向に移動させることによって変化させられるため、間隔Hを精度よく設定することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、装置の外部からも磁場を印加するマグネトロン放電方式の薄膜形成装置に係り、特に、基板とターゲットの間隔が変化しても、磁場状態の変化を従来に比べて抑制することができる薄膜形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
図4は従来の薄膜形成装置の断面図である。なお、中心磁石,外側磁石,ヨーク,支持体にはハッチングは施していない。
【0003】
薄膜形成装置100では、まず、基板14が、搬送機構(図示せず)によって搬送され、保持部材15,15によって所定の位置に保持される。
【0004】
その後、図示しない駆動源によって支持体12を上方(図示Z1方向)または下方(図示Z2方向)に移動させ、所望の成膜速度となるように、基板14とターゲット13の間隔Hを変化させて、所定の間隔Hに設定する。
【0005】
支持体12の電極部12a内には、1つの中心磁石16aと複数の外側磁石16b、およびヨーク17からなる内部磁界発生部18が設けられており、中心磁石16aは、例えば上方をN極に、下方をS極に着磁されており、外側磁石16bは、上方をS極に、下方をN極に着磁されている。ターゲット13には、内部磁界発生部18から内部磁界g1が印加されている。
【0006】
図4に示すように、チャンバー11の外周には外部ソレノイド20が設けられている。外部ソレノイド20に電流Iを流すと、外部ソレノイド20によって外部磁界g2がチャンバー11内に一様に印加される。外部磁界g2はターゲット13にも印加されるため、ターゲット13には、内部磁界g1と外部磁界g2が合成された合成磁界g3が印加される。
【0007】
その後、チャンバー11内にはガス導入口(図示せず)からArガスが導入され、電極部12aに高周波電源(RF電源またはDCパルス電源)(図示せず)から電圧が印加され、チャンバー11内に電界Eが発生される。そして、電界Eと合成磁界g3の相互作用により、マグネトロン放電が発生し、ターゲット13がスパッタされ、ターゲット13と対向する位置に配置された基板14の下面に薄膜が形成される。
【0008】
下記の特許文献1には従来の磁性膜形成装置が開示されている。
図5は前記磁性膜形成装置の断面図である。なお、図5は特許文献1の図4と同じ図を用いている。
【0009】
図5に示す従来の磁性膜形成装置200では、まず、成膜室201内で基板202を所定の方向に向けて基板トレイ203により保持し、その状態で基板202の表面に磁場修正板204,204を介してヘルムホルツコイル205,205によって磁場を印加し、スパッタリングによって基板202の表面に磁性膜を形成する。
【0010】
次に、基板トレイ203が、図示されていない基板トレイ搬送系によって、ツメ機構206の位置まで搬送される。この位置でツメ機構206を回転させて基板保持金具207の先端とツメを重ねた状態で、ツメ機構206を上昇させる(図示Z1方向に移動させる。)。この状態でツメ機構206を90°回転させたのち、ツメ機構206を下降(図示Z2方向に移動)させて再度、基板保持金具207を基板トレイ203に戻す。この後、基板トレイ203を前記基板トレイ搬送系により元の成膜室201内に戻し、ヘルムホルツコイル205,205によって磁場を印加しながら成膜する。
【0011】
下記の特許文献2にはマグネトロンカソード電極を用いた従来のスパッタリング装置が開示されている。
【0012】
図6は前記マグネトロンカソード電極の正面断面図である。なお、図6は特許文献2の図1と同じ図を用いている。
【0013】
図6に示すように、ターゲット301の下方(図示Z2方向)には前記マグネトロンカソード電極を構成する磁石ユニット302a〜302eが、磁石ベース303上に固定されて設けられている。各磁石ユニットの内側磁石304と外側磁石305の間に、軟磁性体でできたシャントバー306が配置されている。
【特許文献1】特開平6−264235号公報
【特許文献2】特開平10−102246号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
図4に示す従来の薄膜形成装置100では、例えば、薄膜の成膜速度あるいは膜厚の分布等を調整するために、基板14とターゲット13間の間隔Hを変更したい場合、支持体12を上下方向に移動できるようになっている。
【0015】
しかし、外部ソレノイド20はチャンバー11の外周に固設されているため、支持体12の移動により間隔Hを変更するたびに、内部磁界発生部18と外部磁界g2を発生する外部ソレノイド20の位置関係が変化し、内部磁界発生部18および外部ソレノイド20から印加されるチャンバー11内の磁場状態が変化する。その結果、基板14に、目的とする薄膜を適切に形成することができなくなるという問題が生じた。
【0016】
前記特許文献1に記載の発明では、ターゲット208がターゲット電極209を介して真空容器210に固定されているため、磁性膜の成膜速度などを調整するためには基板202の位置を上下方向に変化させなければならない。しかし、基板202は、前記基板トレイ搬送系によって成膜室201内から取り出されたり、成膜室201内に戻されたりする。このため、この前記基板トレイ搬送系による移動によって、基板202の保持位置にずれが生じやすい。そして、ずれた状態のままで基板202とターゲット208との間隔を変更すると、前記間隔にもずれが生じる。すなわち、前記間隔の設定精度が悪くなるという問題がある。
【0017】
前記特許文献2に記載の発明は、均一な膜厚分布を有する薄膜を基板上に形成するために、磁石ベース303を図示X1−X2方向に移動させることによって、カソード電極を構成する磁石ユニット302a〜302eの位置をカソード電極の内部で図示X1−X2方向に変化させ、さらに各磁石ユニットにシャントバー306を設けて、シャントバー306を磁石ベース303の図示X1−X2方向の往復運動に同期させて上下(図示Z1−Z2方向)に動かすものである。すなわち、外部に磁石ユニット302a〜302e以外の別個の外部磁界発生部が設けられて、磁石ユニット302a〜302eからの磁場に加えて前記外部磁界発生部からさらなる磁場が印加されてスパッタリングされるものではなく、その結果、磁石ユニット302a〜302eと前記外部磁界発生部との位置関係については全く考慮されていない。
【0018】
本発明は上記従来の課題を解決するものであり、基板とターゲットの間隔が変化しても、磁場状態の変化を従来に比べて抑制することができるとともに、基板とターゲットの間隔を精度よく設定できる薄膜形成装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0019】
本発明は、筐体と、前記筐体内にて相対向するターゲット及び基板と、前記ターゲットの、前記基板との対向面側と反対側に設けられた内部磁界発生部と、前記内部磁界発生部が組み込まれるとともに前記ターゲットを設置する設置面を有する支持体と、前記筐体の外周に設けられた外部磁界発生部とを有し、
前記ターゲットと前記基板との距離を変えることができるように前記支持体が移動可能とされているマグネトロン放電方式の薄膜形成装置であって、
前記外部磁界発生部は前記筐体の外周を前記支持体の移動方向と平行な方向に移動可能とされており、前記外部磁界発生部と前記支持体は一体となって移動することを特徴とする。
【0020】
本発明では、基板とターゲットとの間隔を変化させるときに、外部磁界発生部が支持体と一体となって支持体とともに上下方向に移動する。このため、内部磁界発生部と外部磁界発生部の位置関係を常に一定に保つことができ、ターゲットに印加される合成磁界を、従来に比べて一定に保つことができる。その結果、スッパタリングにおいて、合成磁界は、前記間隔が変化しても、従来に比べて変化しにくく、所定の磁場状態で基板に薄膜を形成することができる。
【0021】
上記においては、前記支持体と前記外部磁界発生部は、前記筐体の外側で連結されていることが好ましい。
【0022】
本発明では、例えば、支持体の基部の外周に例えば円板状の対向板が設けられ、外部磁界発生部を保持する保持部材と対向板が連結部材によって連結されている。
【0023】
このようにすると、単純な連結構造により、外部磁界発生部と支持体とを一体で上下方向に移動させることができる。
【0024】
また、本発明では、前記基板は、前記筐体内に固設された保持部材に保持されることが好ましい。
【0025】
上記においては、例えば前記筐体には所定の位置に前記基板を挿入/排出する基板用開口部が設けられ、前記基板は、搬送機構により前記基板用開口部から挿入されて、前記保持部材に保持される。
【0026】
このようにすると、基板とターゲットとの間隔を変化させるときには、基板は、保持部材によって保持された状態のままである。すなわち、前記間隔は、基板を上下方向に移動させることなく、支持体のみを上下方向に移動させることによって、つまり、ターゲットのみを上下方向に移動させることによって変化させられる。このため、搬送機構によって移動させられる基板の保持位置にはずれが生じず、基板の保持位置を一定に保つことができ、ターゲットは上下方向には移動させずに基板および保持部材側を上下方向に移動させる機構と比べて、前記間隔を精度よく設定することができる。
【発明の効果】
【0027】
本発明の薄膜形成装置では、基板とターゲットの間隔が変化しても、磁場状態の変化を従来に比べて抑制することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
図1は本発明の薄膜形成装置の断面図、図2は電極部内の磁石の配置状態を示した平面図、図3はターゲットの平面図である。なお、図1では、中心磁石,外側磁石,ヨーク,支持体にはハッチングは施していない。
【0029】
本発明の薄膜形成装置10は、いわゆるマグネトロン放電方式の薄膜形成装置であり、ターゲット13を利用してスパッタリングにより基板14の下面(図示Z2側の面)14aに薄膜を形成するために用いられる装置である。
【0030】
薄膜形成装置10は、図1に示すように、チャンバー(筐体)11と支持体12を有している。
【0031】
支持体12の上面は、ターゲット13を取り付けることができる設置面となっている。支持体12は、平面形状が円形状の電極部12aと、電極部12aに比べて半径が小さい、平面形状が円形状の基部12bとを有して構成される。電極部12aはチャンバー11内に位置している。チャンバー11の下面には開口部11aが形成され、開口部11aから基部12bが下方に向けて突出して設けられている。支持体12は、チャンバー11に対して上下方向(図示Z1−Z2方向)に移動可能になっている。
【0032】
チャンバー11内には、ターゲット13と上方で対向する位置に、基板14を左右(図示X1−X2方向)の両側方から支持する、断面が略L字状の保持部材15,15が設けられている。
【0033】
各保持部材15は、チャンバー11の天井面11bに固定される、所定の長さを有する支持部15aと、基板14を載置する載置部15bからなる。
【0034】
チャンバー11の、保持部材15,15の載置部15b,15bの周辺には基板14をチャンバー11内に挿入する、および基板14をチャンバー11内から排出するための基板用開口部11cが設けられている。
【0035】
支持体12の電極部12a内には、1つの中心磁石16aと複数の外側磁石16b、およびヨーク17からなる内部磁界発生部18が設けられている。外側磁石16bは、図2に示すように、中心磁石16aを中心とした同心円状に設けられている。中心磁石16aは、例えば上方をN極に、下方をS極に着磁されており、外側磁石16bは、上方をS極に、下方をN極に着磁されている。すなわち、中心磁石16aの極性と外側磁石16bの極性は逆になっている。そして、中心磁石16aと外側磁石16bが下方においてヨーク17によって接続されており、磁気的にとじられている(閉磁路を形成している)。よって、中心磁石16aと1つの外側磁石16b、およびヨーク17により、図1の矢印で示すような、磁力線の経路が、中心磁石16aのN極→外側磁石16bのS極→外側磁石16bのN極→中心磁石16aのS極といった経路となる磁気回路Gが形成される。よって、内部磁界発生部18では複数の磁気回路Gが形成されている。
【0036】
チャンバー11の外周には、真ん中にチャンバー11が通る貫通孔を有する、例えば円板状の上面板19aと下面板19bと、高さ方向(図示Z1−Z2方向)に所定の高さを有するリング状の側面板19cと、を有してなるソレノイド保持部材19が設けられている。上面板19a、下面板19b及び側面板19cは一体に形成されている。また、ソレノイド保持部材19は、上下方向(図示Z1−Z2方向)に移動可能に設けられている。図1に示すように、上面板19aと下面板19b間には、外部磁界発生部となる外部ソレノイド20が設けられている。外部ソレノイド20は例えばコイルであり、側面板19cを巻回面として、上面板19aと下面板19bとの間に前記コイルが巻回形成されている。
【0037】
支持体12の基部12bの外周には例えば円板状であって、ソレノイド保持部材19の下面板19bあるいは上面板19aと高さ方向(図示Z1−Z2方向)にて対向する位置まで延出された対向板21が設けられており、下面板19bと対向板21とが、連結部材22によって連結されている。なお、連結部材22は、下面板19bとだけではなく、下面板19bおよび上面板19aの双方に連結されていてもよいし、上面板19aにのみ連結されていてもよい。また、対向板21は円形状に限らず、例えば基部12bから四方へ略矩形状で形成された複数の対向板が設けられ、前記対向板と下面板19bとがそれぞれ連結部材22によって連結されていてもよい。
【0038】
次に、本発明の薄膜形成装置10の動作について説明する。
まず、基板14が、搬送機構(図示せず)によってチャンバー11の基板用開口部11cまで搬送され、基板用開口部11cからチャンバー11内に挿入され、保持部材15,15によって所定の位置に保持される。前記搬送機構は、例えば図示しないロボットアームと、このロボットアームを駆動させる駆動装置などを有している。前記ロボットアームの先端には基板14を保持する把持部が設けられており、基板14は、前記把持部で保持されて前記ロボットアームによって基板用開口部11cからチャンバー11内に挿入され、保持部材15,15によって所定の位置に保持される。
【0039】
その後、図示しない駆動源によって支持体12を上方または下方に移動させ、所望の成膜速度あるいは膜厚分布となるように、基板14とターゲット13の間隔Hを変化させて、所定の間隔Hに設定する。その後、外部ソレノイド20に図1に示す方向に電流Iを流す。すると、外部ソレノイド20によって、図1に矢印で示す外部磁界g2が発生し、この外部磁界g2は、内部磁界発生部18から発生した内部磁界g1に影響を及ぼし、ターゲット13付近に発生する磁場の磁界がg3になる。局所的にみると、例えば、中心磁石16aのN極からターゲット13に向かって発生される局所内部磁界g11と外部磁界g2の磁界方向が同じであるとき、この部分では、局所内部磁界g11が外部磁界g2によって強められ、このようにして強められた合成磁界がターゲット13に印加されている。一方、外側磁石16bのS極に入る局所内部磁界g12と外部磁界g2は磁界方向が反対であるため、この部分では、局所内部磁界g12が外部磁界g2によって抑えられ、このようにして抑えられた合成磁界がターゲット13に印加されている。そして、上記のような合成磁界g3によって、ターゲット13の表面(図示Z1方向の面)には、図3に斜線で示すようなエロージョン領域Rが形成される。なお、図3ではエロージョン領域Rを概念的に示しており、実際の形成領域および形成範囲等は図3とは異なっている。
【0040】
その後、チャンバー11内にはガス導入口(図示せず)からArガスが導入され、電極部12aに高周波電源(RF電源またはDCパルス電源)(図示せず)から電圧が印加され、チャンバー11内に電界Eが発生される。そして、電界Eと合成磁界g3の相互作用により、マグネトロン放電が発生し、ターゲット13がスパッタされ、ターゲット13と対向する位置に配置された基板14の下面に薄膜が形成される。
【0041】
このようにして、ターゲット13に内部磁界g1だけでなく外部磁界g2も印加することによってターゲット13に形成されるエロージョン領域Rを調整することができる。その結果、より適切な条件でスパッタリングを行うことができ、膜厚がより均一な薄膜を形成することができる。
【0042】
本発明では、ターゲット13と基板14との間の間隔Hを変化させるときに、外部ソレノイド20が支持体12と一体となって支持体12とともに上下方向に移動する。このため、内部磁界発生部18と外部磁界発生部である外部ソレノイド20の位置関係を常に一定に保つことができ、ターゲット13に印加される合成磁界g3を、従来に比べて一定に保つことができる。その結果、スッパタリングにおいて、合成磁界g3は、間隔Hが変化しても、従来に比べて変化しにくく、所定の磁場状態で基板14に薄膜を形成することができる。
【0043】
また本発明では、支持体12の基部12bの外周に例えば円板状の対向板21が設けられ、ソレノイド保持部材19と対向板21が連結部材22によって連結されている。このため、単純な連結構造により、外部ソレノイド20と支持体12とを一体で上下方向に移動させることができる。
【0044】
さらに、本発明では、基板14が、前記搬送機構によってチャンバー11の基板用開口部11cからチャンバー11内に挿入されて保持部材15,15によって保持され、あるいはチャンバー11内から排出される。そして、ターゲット13と基板14との間の間隔Hを変化させるときには、基板14は、チャンバー11の天井面11bに固定されて設けられた保持部材15,15によって保持された状態のままである。すなわち、間隔Hは、基板14を上下方向に移動させることなく、支持体12のみを上下方向に移動させることによって、つまり、ターゲット13のみを上下方向に移動させることによって変化させられる。このため、前記搬送機構によって移動させられる基板14の保持位置にはずれが生じず、基板14の保持位置を一定に保つことができ、ターゲット13は上下方向には移動させずに基板14および保持部材15,15側を上下方向に移動させる機構と比べて、間隔Hを精度よく設定することができる。
【0045】
なお、本発明では、中心磁石16aの極性と外側磁石16bの極性が逆になっていればよく、上記の場合と着磁方向が逆、すなわち、中心磁石16aでは、その上方がS極に、下方がN極に着磁されており、外側磁石16bでは、その上方がN極に、下方がS極に着磁されていてもよい。また、外部ソレノイド20に流す電流Iの方向も上記と逆向きであってもよい。ただし、中心磁石16aと外側磁石16bの着磁方向によって内部磁界g1の発生方向が変化し、電流Iを流す方向によって外部磁界g2の発生方向が変化するため、中心磁石16aと外側磁石16bの着磁方向、および電流Iを流す方向の組み合わせによってターゲット13に印加される合成磁界g3のうち、内部磁界g1が外部磁界g2によって強められた磁界が印加される場所と、内部磁界g1が外部磁界g2によって抑えられた磁界が印加される場所は変化する。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】本発明の薄膜形成装置の断面図、
【図2】電極部内の磁石の配置状態を示した平面図、
【図3】ターゲットの平面図、
【図4】従来の薄膜形成装置の断面図、
【図5】従来の磁性膜形成装置の断面図、
【図6】従来のスパッタリング装置のマグネトロンカソード電極の正面断面図
【符号の説明】
【0047】
10 薄膜形成装置
11 チャンバー
11c 基板用開口部
12 支持体
12a 電極部
12b 基部
13 ターゲット
14 基板
15 保持部材
16a 中心磁石
16b 外側磁石
17 ヨーク
18 内部磁界発生部
19 ソレノイド保持部材
20 外部ソレノイド
21 対向板
22 連結部材
g1 内部磁界
g2 外部磁界
g3 合成磁界
H 間隔

【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体と、前記筐体内にて相対向するターゲット及び基板と、前記ターゲットの、前記基板との対向面側と反対側に設けられた内部磁界発生部と、前記内部磁界発生部が組み込まれるとともに前記ターゲットを設置する設置面を有する支持体と、前記筐体の外周に設けられた外部磁界発生部とを有し、
前記ターゲットと前記基板との距離を変えることができるように前記支持体が移動可能とされているマグネトロン放電方式の薄膜形成装置であって、
前記外部磁界発生部は前記筐体の外周を前記支持体の移動方向と平行な方向に移動可能とされており、前記外部磁界発生部と前記支持体は一体となって移動することを特徴とする薄膜形成装置。
【請求項2】
前記支持体と前記外部磁界発生部は、前記筐体の外側で連結されている請求項1記載の薄膜形成装置。
【請求項3】
前記基板は、前記筐体内に固設された保持部材に保持される請求項1または2記載の薄膜形成装置。
【請求項4】
前記筐体には所定の位置に前記基板を挿入/排出する基板用開口部が設けられ、前記基板は、搬送機構により前記基板用開口部から挿入されて、前記保持部材に保持される請求項3記載の薄膜形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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