説明

薄膜発光素子、及びこれを備えた電気光学装置、並びに電子機器

【課題】 例えば、有機EL素子の放熱特性を高める。
【解決手段】 有機EL素子72が発光する際に生じる熱は、有機EL素子72の周囲に熱伝導によって放熱されることに加えて、輻射によって放熱される。有機EL層50で発生した熱が輻射層51によって赤外線に変換され、図中上側に出射される。したがって、輻射層51によれば、熱伝導だけで放熱することに加えて、輻射という手段を用いて有機EL層50で発生した熱を効率良く放熱することが可能である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば有機EL素子等の薄膜発光素子、及びこれを備えた、例えば有機EL表示装置等の電気光学装置、並びに該電気光学装置を備えた電子機器の技術分野に関する。
【背景技術】
【0002】
有機EL(Electro-luminescence)素子は、高温で動作させると寿命が著しく低下することが知られている。したがって、有機EL素子の寿命を高めるためには、有機EL素子が発光する際に生じる熱を素子外部に効率良く放熱することが重要になる。特に、有機EL素子は、有機EL素子から出射される光が遮られないように光透過性を有する基板上に形成される。このような基板としては、例えば、ガラス基板或いは防湿膜が形成されたプラスチック基板が挙げられるが、ガラス基板及びプラスチック基板の熱伝導率は低く、有機EL素子で生じた熱を十分に放熱することが困難である。このような問題点を解決するための技術が各種検討されており、例えば特許文献1は、素子から効率良く放熱するために、有機薄膜電界発光素子が発光することによって生じた熱を熱伝導率が高められた基板を介して放熱する技術を開示している。特許文献2は、電極上に熱伝導率の高い放熱層を形成することによって素子から効率良く放熱する技術を開示している。
【0003】
また、有機EL素子は水分によって劣化し易いことから、封止部によって封止されている場合が多い。封止部は、有機層を直接覆うように形成されるだけでなく、封止部及び素子間に一定の空隙を介在させるように形成される場合もある。このような空隙は、有機EL素子から封止部への熱伝導を妨げることが多い上、封止部が熱伝導率の低い材料で形成されている場合には、より一層素子から放熱することが困難になる。例えば、有機EL素子の封止部は熱伝導率が低いガラスによって形成されることが多く、封止部から十分放熱することができない場合が多い。このような問題点を解決するために、例えば、特許文献3によれば、電界発光素子のカソード電極を覆うように設けられたグリース層を介して放熱する技術が開示されている。また、素子内部への水分の浸入を低減する目的でシリコン窒化膜を含む無機膜及びプラスチックを含む有機膜を備えた封止部を素子上に直接形成した場合にも十分に放熱することが難しい。
【0004】
【特許文献1】特許2945195号公報
【特許文献2】特開2002−208478号公報
【特許文献3】特開平9−330788号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1乃至3に開示された技術は、熱伝導のみによって放熱していることから、素子の設計上熱伝導率が高い材料を選択することに制約が生じる場合がある上、材料自身の放熱特性にも限界がある。したがって、より効率良く有機EL素子から放熱することによって、熱に起因する有機EL素子の劣化を抑制する技術が求められている。
【0006】
よって、本発明は上記問題点等に鑑みてなされたものであり、発光時に生じる熱を効率良く放熱することができる薄膜発光素子、及びこれを備えた電気光学装置、並びに電子機器を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1の発明に係る薄膜発光素子は上記課題を解決するために、光を発光する発光面を有する発光層と、該発光層における前記発光面の裏面側に形成された輻射層とを備える。
【0008】
本発明に係る薄膜発光素子によれば、例えば、熱伝導率の低い基板上に薄膜発光素子が形成された場合、或いは熱伝導率が低い封止部によって素子が封止されている場合でも、輻射によって素子で発生する熱を放熱することができる。即ち、本発明に係る薄膜発光素子によれば、熱伝導に併せて、放熱可能な熱量に限界がある熱伝導とは異なる輻射という放熱手段或いは物理現象を用いて薄膜発光素子の放熱特性を高めることができる。輻射層は、発光面の裏面側に形成されていることから、発光面から発光する光が輻射層によって遮られることもない。ここで、本発明に係る「裏面側」とは、輻射層が発光面の裏面上に直接形成された場合の他、裏面上に他の一又は複数の膜を介して形成された場合や、更に発光層の裏面から空間を隔てて形成或いは配置された場合も含む。より具体的には、例えば、発光層上に形成された無機層或いは有機層上に形成された電極上に形成されている場合も含む。
【0009】
したがって、本発明に係る薄膜発光素子によれば、例えば、高温に曝されることによって有機層の特性劣化が生じ易い有機EL素子の動作時の劣化を抑制することができる。より具体的には、発光時に生じた熱を熱伝導のみによって素子外部に放熱する場合に比べて効率良く放熱することができ、薄膜発光素子の寿命を延ばすことが可能になる。
【0010】
本発明に係る薄膜発光素子の一の態様においては、前記発光層における前記裏面側に形成され、前記発光層に電力を供給する電極を更に備え、前記輻射層は、前記電極の表面に形成されていてもよい。
【0011】
この態様によれば、電極から輻射層に直接伝わる熱を輻射によって放熱することができる。したがって、電極及び輻射層の間に他の層が介在する場合に比べて素子の熱を輻射層に迅速に伝導させることができ、効率良く素子から放熱することが可能である。ここで、輻射層は、例えば電極表面の一部に形成されていてもよいが、電極表面全体に形成されているほうがより好ましい。輻射層が電極表面の全体に形成されているほうが、輻射層に伝導する熱量も大きくなり、輻射によって放熱される熱量も多くなるからである。
【0012】
この態様においては、前記輻射層の放射率は、前記電極の放射率に比べて高いことが望ましい。
【0013】
この態様によれば、電極から直接輻射する場合に比べてより多くの熱量を輻射によって放熱することができる。輻射層としては、例えば、電極に比べて放射率の高い色の層、或いは電極に比べて遠赤外線の放射率が高い材料を含む層を用いることができる。より具体的には、輻射層は、例えば黒色の塗布膜、或いは電極に比べて遠赤外線の放射率が高いセラミック粉をバインダに溶かした塗布材を電極に塗布してなる塗布膜であってもよい。
【0014】
本発明に係る薄膜発光素子の他の態様においては、前記輻射層は、前記電極の表面を酸化させることによって形成された酸化膜であってもよい。
【0015】
この態様によれば、例えば、有機EL素子の陰極がMg及びAgを含む金属膜である場合、陰極の表面が酸化されることによって形成された酸化膜の色は、酸化される前の陰極の表面に比べて黒色に近い色であり、酸化される前の陰極の表面に比べて放射率が高くなる。このような酸化膜は、表面が酸化される前の電極に比べて輻射によって放熱される熱量を増大させることができ、効率良く素子から放熱することができる。
【0016】
本発明に係る薄膜発光素子の他の態様においては、前記輻射層は、前記電極の表面に不均一に形成された金属膜が酸化された酸化膜であり、該酸化膜の放射率は、前記電極の放射率より高くする。
【0017】
この態様によれば、電極の表面に均一に形成された金属膜を酸化させてなる酸化膜に比べて放射率を高めることができる。本発明に係る「不均一」とは、例えば金属膜の表面が一様に平坦でない場合を意味し、より具体的には、電極の表面に金属膜を薄く成膜することによって電極表面における金属膜が島状に形成される場合を意味する。このような金属膜を酸化することによって、平坦の表面形状を有する酸化膜に比べて放射率を高めることが可能になる。
【0018】
電極の表面に形成される金属膜としては、例えば、この金属膜が酸化された後の放射率が電極の放射率に比べて高くなる金属を選択すればよい。より具体的には、例えば電極がMg及びAgを含む金属膜である場合には、電極の表面に形成する金属膜の材料としてCr、Ni、或いはCuを選択すればよい。このような金属を酸化させることよって形成された酸化膜は、Mg及びAgを含む金属膜に比べて放射率が高く、輻射によってより効率良く素子から放熱することが可能である。
【0019】
本発明に係る薄膜発光素子の他の態様においては、前記輻射層における前記発光層と反対側に形成された封止部を更に備え、前記封止部は前記輻射層から出射された熱線を透過する材料を含んでいてもよい。
【0020】
この態様によれば、輻射層から出射された熱線は封止部から素子外部に透過することができる。ここで、本発明に係る「熱線」とは、輻射層から出射される電磁波を意味し、より具体的には、例えば、輻射層によって熱が変換された結果生じる近赤外線、赤外線及び遠赤外線の少なくとも一つを含むものを意味する。したがって、この態様によれば、封止部が熱伝導率は低い材料を含む場合であっても、輻射によって効率良く素子から放熱することが可能である。また、封止部は、素子内部に水分が浸入することを抑制することができることから、例えば、有機EL素子の水分による劣化を抑制することも可能である。
【0021】
この態様においては、前記封止部は、前記輻射層との間に空隙を介在させて形成されており、前記封止部の前記輻射層に臨む側には、前記熱線を透過し、且つ前記空隙内の水分を除去するための乾燥手段が配置されていてもよい。
【0022】
この態様によれば、例えば、有機EL素子が水分によって劣化することを抑制しつつ、素子の放熱特性を高めることができる。より具体的には、封止部を設けたとしても素子内部に水分が浸入することを完全になくすことは困難であることから、素子内部に浸入した水分を乾燥手段によって除去する。これにより、封止部を設けるだけでは困難であった水分による素子の劣化を低減することができる。また、乾燥手段は、熱線を透過することから放熱特性を低下させることもない。したがって、熱及び水分に起因する素子の劣化を低減することができ、例えば、有機EL素子の寿命を飛躍的に延ばすことが可能になる。
【0023】
本発明に係る一の態様においては、前記輻射層における前記発光層と反対側に形成された封止部を更に備え、前記封止部は金属から成り、さらに、前記封止部の前記輻射層に臨む側の面には、前記熱線を吸収するように熱吸収層が形成されていてもよい。
【0024】
この態様によれば、輻射層から出射される熱線を熱吸収層で吸収し、吸収された熱線を熱吸収層によって熱に変換した後、この熱を封止部を介して素子外部に放熱することができる。ここで、金属から成る封止部の熱伝導率は、例えば、プラスチックの如き合成樹脂で形成された封止部の熱伝導率に比べて高いことから、熱吸収層で吸収された熱を封止部を伝導させることによって効率良く素子外部に放熱することができる。また、本発明に係る「熱吸収層」とは、赤外線等の熱線を吸収して熱に変換する層を意味し、熱吸収層は、例えば、輻射層と同一の放射特性を有する材料を含んでいても良い。なぜならば、ある波長において放射率の高い材料は、その波長における吸収率も高いという性質があるためである。より具体的には、例えば、熱吸収層を輻射層と同一の材料によって形成しておくことにより、輻射層から出射された熱線をより効率良く吸収することができ、封止部を介して放熱される熱量を増大させることが可能である。
【0025】
本発明の第2の発明に係る薄膜発光素子は上記課題を解決するために、光を発光する発光面を有する発光層と、前記発光面の法線方向から見て前記発光面の周辺に形成された輻射層と、前記発光面の裏面側において、前記発光面の法線方向から見て前記発光面から前記輻射層に渡って形成されており、前記発光層に電力を供給する電極とを備えている。
【0026】
本発明に係る薄膜発光素子によれば、例えば、発光層で発生した熱を電極を介して輻射層に伝達することができ、輻射層を介して放熱することができる。ここで、電極は発光面の裏面側に形成されていることから、発光面から出射される光を遮ることがない上、発光層で生じた熱を輻射層に伝達することができる。輻射層は、例えば有機EL素子の発光層の周囲に形成された素子分離層であり、有機EL素子が元々備えている素子分離層に輻射材を含ませておけば、素子分離層を輻射層として機能させることができる。したがって、素子の設計を殆ど変更することなく輻射層を介して発光面側から熱線を出射することができ、高温に曝されることによって素子が劣化することを抑制することができる。尚、発光面側に出射される熱線は、例えば人の目に見えない赤外線等の電磁波であることから、素子の発光面から出射される光の見え方に影響を与えることはない。
【0027】
本発明によれば、薄膜発光素子が元々備える構成要素を輻射層として機能させることによって、素子構造を大きく変更することなく、素子の放熱特性を高めることが可能になる。
【0028】
本発明の第3の発明に係る薄膜発光素子は上記課題を解決するために、光出射領域から光を出射する発光面を有する発光層と、該発光層の前記発光面側に形成された透明電極と、前記発光面の法線方向から見て前記光出射領域を避けるように前記発光層の前記発光面側に形成された輻射層とを備える。
【0029】
本発明に係る薄膜発光素子によれば、上述の第1及び第2の発明に係る薄膜発光素子と同様に、輻射によって素子の放熱特性を高めることができる。特に、本発明に係る薄膜発光素子によれば、輻射層が発光層の発光面側に形成されている場合でも、発光面から出射される光を遮ることなく、発光面側から放熱することができる。より具体的には、例えば、輻射層で熱を熱線に変換した後、この熱線を発光面側から出射することができる。ここで、輻射層から出射される熱線は、例えば、可視光より波長の長い赤外線等であることから、薄膜発光素子から出射される光の見え方に影響を与えることはない。尚、本発明に係る「透明電極」とは、少なくとも発光面から出射される光を透過させることができる電極を意味する。
【0030】
この態様においては、前記輻射層は、前記透明電極の表面に形成されていてもよい。
【0031】
この態様によれば、透明電極を介して直接輻射層に熱が伝達されることになり、透明電極及び輻射層間に他の層が介在する場合に比べて輻射層により速やかに熱を伝導させることができ、輻射によって放熱される熱量を増大させることが可能である。
【0032】
本発明の第1、第2、及び第3の発明に係る薄膜発光素子の一の態様においては、前記発光層は有機EL層であってもよい。
【0033】
この態様によれば、高温で特性劣化し易い有機EL素子の特性劣化を低減でき、信頼性に優れた素子を構成することが可能になる。
【0034】
本発明に係る電気光学装置は上記課題を解決するために上述した本発明の薄膜発光素子を備える。
【0035】
本発明に係る電気光学装置によれば、上述した本発明の薄膜発光素子と同様に電気光学装置の寿命を延ばすことができ、長期間に亘って優れた表示性能を維持することができる電気光学装置を提供することができる。
【0036】
本発明に係る電子機器は上記課題を解決するために、上述した本発明の電気光学装置を備えている。
【0037】
本発明に係る電子機器によれば、上述した本発明に係る電気光学装置を具備してなるので、長期間に亘って高品位の表示が可能な、投射型表示装置、携帯電話、電子手帳、ワードプロセッサ、ビューファインダ型又はモニタ直視型のビデオテープレコーダ、ワークステーション、テレビ電話、POS端末、タッチパネル、更には電気光学装置を露光用ヘッドとして用いたプリンタ、コピー、ファクシミリ等の画像形成装置などの各種電子機器を実現できる。更に、本発明の第2または第3の発明によれば、電気光学装置の放熱が発光面に向かって行われるため、電子機器の放熱構造を簡略化することが可能になり、結果として電子機器を小型化することが可能になる。
【0038】
本発明のこのような作用及び他の利得は次に説明する実施形態から明らかにされる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0039】
以下、図面を参照しながら、本発明に係る薄膜発光素子、及びこれを備えた電気光学装置、並びに電子機器の実施形態について詳細に説明する。尚、本実施形態では、薄膜発光素子の一例である有機EL素子、及びこれを備えた有機EL表示装置を例に挙げて説明する。
【0040】
(第1実施形態)
<有機EL表示装置の構成>
図1は、本発明に係る「電気光学装置」の一例である有機EL表示装置10の全体構成を示すブロック図である。有機EL表示装置10は、駆動回路内蔵型のアクティブマトリクス駆動方式で駆動される表示装置であり、各画素部に有機EL素子を備えている。
【0041】
有機EL表示装置10における画像表示領域110には、縦横に配線されたデータ線114及び走査線112が設けられており、それらの交点に対応する各画素部70はマトリクス状に配列される。更に、画像表示領域110には各データ線114に対して配列された画素部70に対応する電源供給線117が設けられている。
【0042】
画像表示領域110の周辺に位置する周辺領域には、走査線駆動回路130及びデータ線駆動回路150が設けられている。走査線駆動回路130は複数の走査線112に走査信号を順次供給する。また、データ線駆動回路150は、画像表示領域110に配線されたデータ線114に画像信号を供給する。尚、走査線駆動回路130の動作とデータ線駆動回路150の動作とは、外部回路から供給される同期信号160によって相互に同期が図られる。また、電源供給線117には、外部回路から画素駆動用電源が供給される。図1中、一つの画素部70に着目すれば、画素部70には、有機EL素子72が設けられると共に、例えばTFTを用いて構成されるスイッチング用トランジスタ76及び駆動用トランジスタ74、並びに保持容量78が設けられている。スイッチング用トランジスタ76のゲート電極には走査線112が電気的に接続されており、スイッチング用トランジスタ76のソース電極にはデータ線114が電気的に接続され、スイッチング用トランジスタ76のドレイン電極には駆動用トランジスタ74のゲート電極が電気的に接続されている。また、駆動用トランジスタ74のドレイン電極には、電源供給線117が電気的に接続されており、駆動用トランジスタ74のソース電極には有機EL素子72の陽極が電気的に接続されている。尚、図1に例示した画素回路の構成の他にも、電流プログラム方式の画素回路、電圧プログラム方式の画素回路、電圧比較方式の画素回路、サブフレーム方式の画素回路等の各種方式の画素回路を採用することが可能である。
【0043】
図2は、有機EL表示装置10の概略構成を示す断面図である。
【0044】
図2において、有機EL表示装置10は、例えばガラス基板等の透明な基板1上に形成された有機EL素子72、駆動用トランジスタ74、及び封止部20を備えて構成される。尚、有機EL素子72は、図中下側に光を出射するボトムエミッション型の有機EL素子である。
【0045】
有機EL素子72は、発光層を含む有機EL層50、陰極49、陽極34及び輻射層51を備えて構成されている。また、有機EL素子72は、基板1上に順次形成されたゲート絶縁層2、層間絶縁膜41、保護層45、及び第1素子分離層46のうち第1素子分離層46に陽極34が埋め込まれるように形成されている。
【0046】
有機EL層50は、後述するように発光層を含む複数の有機層を備えており、これら有機層は、複数の有機EL層50を互いに隔てるための素子分離層として機能する第2素子分離層47に囲まれた空間に有機材料を塗布することによって形成される。有機EL層50は、例えば塗布法の一例であるインクジェット法によって各有機層を形成するインクを第2素子分離層47に囲まれた空間に順次塗布することによって形成される。陰極49は、基板1上に形成された各有機EL素子72で共通の電極とされ、有機EL層50の上面から各有機EL層50を互いに隔てる第2素子分離層47の上面に渡って断面上略全面に形成されている。
【0047】
輻射層51は、陰極49の全面に形成されている。したがって、輻射層51は、図中上側、即ち有機EL層50に対して発光面の裏面側(発光方向とは逆側)に形成されていることになる。駆動用トランジスタ74のソース電極42は陽極34に電気的に接続されており、電源供給線117からドレイン電極74dを介して供給される駆動電流を有機EL素子72に供給する。
【0048】
封止板20は、本発明に係る「封止部」の一例であり、水分が有機EL表示装置10の外部から有機EL素子72が備える有機EL層50に浸入することを抑制する機能を有している。封止板20は、基板1上に接着剤によって接着されており、有機EL表示装置10の外気が有機EL素子72に触れないように有機EL素子72を封止する。封止板20の輻射層51に臨む側の面において、封止板20の周縁部は中央部に対して凸状となっており、封止板20が第1素子分離層46に接着された状態で封止部20の中央部及び有機EL素子72の間に一定の空間が介在する。このような封止構造を本願発明者は“缶封止”と称しており、本明細書中における同様の封止構造を便宜上“缶封止”と称して説明する。封止板20は、本発明に係る「熱線」の夫々一例である赤外線、近赤外線、及び遠赤外線を透過する透明板であり、例えば、ガラス板、又は防湿処理を施したプラスチック板を用いることができる。特に、封止板20としてガラス基板を用いた場合には、基板1及び封止板20の熱膨張率が同等であることから、熱膨張率の違いに起因するこれら板間のひずみを低減することができ、装置全体の信頼性を高めることができる。
【0049】
<有機EL素子の構成>
次に、図3及び図4を参照して、有機EL素子72の詳細な構成について説明する。図3は、有機EL素子72を含む任意の画素部の平面図であり、図4は図3に示す画素部のA−A'断面図である。尚、図3及び図4においては、各層・各部材を図面上で認識可能な程度の大きさとするため、各層・各部材ごとに縮尺を異ならしめてある。
【0050】
基板1上には、駆動用トランジスタ74の半導体層3が形成されている。尚、本実施形態では説明を省略するが、駆動用トランジスタ74と同様にスイッチング用トランジスタ76も基板1上に形成されている。半導体層3は、例えば低温ポリシリコン技術を用いて形成された多結晶シリコン層或いはアモルファスシリコン層である。半導体層3上には、半導体層3を埋め込んで、スイッチング用トランジスタ76及び駆動用トランジスタ74のゲート絶縁層2が形成されている。更には、ゲート絶縁層2上に、駆動用トランジスタ74のゲート電極3a及び走査線112が形成されている。走査線112の一部は、スイッチング用トランジスタ76のゲート電極として形成されている。ゲート電極3a及び走査線112は、Al(アルミニウム)、W(タングステン)、Ta(タンタル)、Mo(モリブデン)、Ti(チタン)、銅(Cu)、クロム(Cr)等のうち少なくとも一つを含む金属材料を用いて形成されている。
【0051】
走査線112や駆動用トランジスタ74のゲート電極3aを埋め込んで、ゲート絶縁層2上には層間絶縁層41が形成されている。層間絶縁層41及びゲート絶縁層2は例えばシリコン酸化膜から構成されている。層間絶縁層41上には、例えばアルミニウム(Al)又はITO(Indium Tin Oxide)を含む導電材料から夫々構成される、データ線114及び電源供給線117、更には駆動用トランジスタ74のソース電極42が形成されている。層間絶縁層41には、層間絶縁層41の表面から層間絶縁層41及びゲート絶縁層2を貫通して、駆動用トランジスタ74の半導体層3に至るコンタクトホール501及び502が形成されている。電源供給線117及びドレイン電極42を構成する導電膜は、コンタクトホール501及び502の各々の内壁に沿って半導体層3の表面に至るように連続的に形成されている。保持容量78の下部容量電極は、走査線112と同一の層に、例えば同様の材料を用いて形成され、電源供給線117の一部が保持容量78の上部容量電極として形成されている。層間絶縁層41は誘電体膜として形成されており、層間絶縁層41の一部分が下部容量電極及び上部容量電極の間に挟持される。層間絶縁層41上には、電源供給線117及びドレイン電極42を埋め込んで、保護層45として例えばシリコン窒化膜(SiNx)ないしシリコン酸化膜(SiOx)が形成されている。保護層45上には、例えばシリコン酸化膜よりなる第1素子分離層46が形成され、更に第1素子分離層46上に第2素子分離層47が形成されている。第1素子分離層46及び第2素子分離層47によって、画素部における有機EL層50の形成領域が規定されている。
【0052】
有機EL層50の形成領域の保護層45上に陽極34が形成されている。陽極34は、透明性導電材料としてITOを用いて、有機EL層50の形成領域から延びてソース電極42と電気的に接続されるように形成されている。
【0053】
有機EL層50の形成領域において、陽極34上には有機EL層50が形成されている。有機EL層50は、発光層50a、正孔注入層又は正孔輸送層(以下適宜、正孔注入/輸送層と称する)50b、及び電子注入層又は電子輸送層(以下適宜、電子注入/輸送層と称する)50cを含む。有機EL層50において、例えば、基板1上に、正孔注入/輸送層50b、発光層50a、電子注入/輸送層50cは、この順に順次積層されている。尚、有機EL層50は、発光層50aのみを含むようにしてもよいし、発光層50aに加えて、正孔注入/輸送層50b及び電子注入/輸送層50cのいずれかを含むようにしてもよい。
【0054】
陰極49は、例えばアルミニウム(Al)を含む金属材料を用いて形成されるか、又はカルシウム(Ca)、フッ化リチウム(LiF)、フッ化ストロンチウム(SrF2)、マグネシウム(Mg)、銀(Ag)等のうち少なくとも一つを含む金属材料を用いて形成された導電膜の積層膜として形成されている。
【0055】
有機EL表示装置10の駆動時、走査線112を介して走査信号が供給されることにより、スイッチング用トランジスタ76がオン状態になる。スイッチング用トランジスタ76がオン状態となると、データ線114より画像信号が保持容量78に書き込まれる。この保持容量78に書き込まれた画像信号の電圧に応じて、駆動用トランジスタ74の電気的な導通状態が決まる。保持容量78に書き込まれた画像信号に応じた電流が、駆動用トランジスタ74のチャネルを介して電源供給線117より有機EL素子72に供給されると、供給された電流に応じて有機EL層50における発光層50aが発光する。本実施形態では、有機EL素子72は、図4中の下側である基板1側から光を表示光として出射するボトムエミッション型として構成されている。
【0056】
有機EL素子72が発光する際に生じる熱は、有機EL素子72の周囲に熱伝導によって放熱されることに加えて、輻射によって放熱される。より具体的には、有機EL層50で発生した熱が陰極49を介して輻射層51に熱伝導し、輻射層51によって赤外線に変換される。輻射層51から図中上側に出射された赤外線は封止板20を透過し、素子外部に出射される。したがって、輻射層51によれば、熱伝導だけで放熱することに加えて、輻射という手段を用いて有機EL層50で発生した熱を効率良く放熱することが可能である。尚、赤外線に限定されず、輻射層51は温度に応じて近赤外線或いは遠赤外線を出射することもできる。輻射層51は、近赤外線及び遠赤外線についても陰極49より高い放射率を有している。
【0057】
輻射層51は、陰極49の表面に直接形成されていてもよいし、陰極49上に形成された他の層上に形成されていてもよい。本実施形態では、陰極49の表面に輻射層51が形成されていることから、他の層上に輻射層51を形成する場合に比べて輻射層51に効率良く熱伝導させることができ、その分輻射によって放熱される熱量を増やすことができる。
【0058】
輻射層51は、陰極49の表面に黒色の塗布材を塗布することによって形成される黒色の塗装膜であり、陰極49の放射率に比べて高い放射率を有している。輻射層51によれば、陰極49の表面に輻射層51を一層形成するだけであり、有機EL素子72の素子構造を大きく変更することなく、素子から効率良く放熱することができる。ここで、黒色とは、輻射層51が、陰極49より放射率が高い色を意味する。
【0059】
輻射層51は、例えば、カーボンブラック、酸化珪素、酸化アルミニウムを含有する粉体にバインダを配合した液状体を陰極49の表面に塗布したもの、或いは陰極49の表面にバインダを塗布した後、塗布されたバインダの表面に上述したカーボンブラック、又は上述の各種粉体を吹き付けたものであってもよい。
【0060】
輻射層51は、遠赤外線の放射率が高いセラミック粉体をバインダに配合して塗布したもの、或いは陰極49の表面にバインダを塗布した後、このバインダ上にセラミック粉体を吹き付けたものであってもよい。このようなセラミック粉体を構成する材料は、遠赤外線の放射率が高い遠赤外線放射体材料の夫々一例である、ジルコニア(ZrO)、アルミナ(Al)、チタニア(TiO)、ジルコン(ZrO・SiO)及珪石(SiO)焼結体のうち少なくとも一つを含んでいてもよい。また、輻射層51は、赤外線の放射率が高い高効率赤外線放射体の夫々一例である二酸化マンガン(MnO)、酸化クロム(Cr)、酸化鉄(Fe)、酸化コバルト(CoO)、酸化銅(CuO)等の遷移元素の酸化物のうち少なくとも一つを含んでいてもよい。
【0061】
輻射層51は、陰極49の表面を酸化させることによって形成される酸化膜であってもよい。例えば、陰極49がAl(アルミニウム)で形成されている場合、或いはMg(マグネシウム))及びAg(銀)を含む金属膜である場合には、酸化された陰極49の表面は、酸化される前に比べて黒くくすんだ色に変色し、酸化される前に比べて放射率が高くなるからである。
【0062】
輻射層51は、酸化された表面が陰極49の表面の放射率より高くなる金属を陰極49の表面に成膜した後、この金属膜を酸化させることによって形成される酸化膜であってもよい。このような金属膜としては、例えば、Cr、Ni、或いはCuが挙げられ、輻射層51の放射率を高めるためには、これら金属膜は陰極49の表面に不均一に形成されていることが好ましい。例えば、輻射層51とされる金属膜が、陰極49の表面において島状に形成されていてもよい。島状の金属膜を形成するためには、例えばスパッタ法等の成膜方法により陰極49の表面に金属膜を極薄く形成すればよい。このような金属膜を酸化させることによって形成された酸化膜の表面は粗面であり、酸化されない金属膜に比べて放射率が高められている。したがって、不均一に形成された金属膜を酸化して得られる酸化膜を輻射層51とすることにより、一様で平坦表面を有する金属膜を輻射層にする場合に比べて効率良く放熱することが可能である。
【0063】
表1は、放射率を比較した一覧表であり、黒体輻射による放射率を1とした場合における各物質の放射率を示した表である。尚、表中のn.r.は、放射率が低すぎるため測定できなかったことを示す。
【0064】
【表1】

【0065】
表1によれば、金属の酸化膜、又は不均一な酸化膜が輻射層51に適していることが見て取れる。例えば、アルミニウムの酸化面は、非酸化面に比べて数十から数百倍放射率が高くなる。アルミニウムの粗面、即ち不均一な表面は、均一な面である研磨面に比べて数十倍或いはそれ以上に放射率が高くなっている。また、銅(Cu)の放射率もアルミニウムと同様の傾向を示している。したがって、輻射層51として金属の酸化膜、更にはこの酸化膜を不均一に形成することにより、輻射層51の放射率を更に高めることが可能であることは明らかである。
【0066】
以上、説明したように本実施形態に係る有機EL素子によれば、熱伝導による放熱に加えて、輻射によっても放熱することが可能であり、有機EL素子の動作時の温度を下げることができる。これにより、有機EL素子が熱によって劣化することを抑制し、素子の寿命を延ばすことが可能になり、有機EL素子を備えた有機EL表示装置を支障なく動作させることができる期間、即ち寿命を延ばすことも可能である。
【0067】
続いて、本発明に係る有機EL素子の他の態様について夫々説明する。尚、各態様において、第1実施形態と同一部分については同一符号を付して説明する。
【0068】
(第2実施形態)
図5は、本実施形態に係る有機EL素子80の構成を示す断面図である。尚、図5において、図2から図4に示した第1実施形態と同様の構成要素には同様の参照符合を付し、それらの説明は適宜省略する。
【0069】
図5において、有機EL素子80は、有機EL層50、ガスバリア膜12、陰極49、陽極34、輻射層51、及び本発明に係る「封止部」の一例である封止膜13を備えて構成されており、図中下側に光を出射するボトムエミッション型の有機EL素子である。
【0070】
ガスバリア膜12は、可撓性を有するプラスチック基板11上に形成されており、素子外部から素子内部に浸入する水分及び酸素を低減する。ガスバリア膜12は、例えば、プラスチック基板11上に形成されたシリコン酸窒化膜(SiOxNy)である。
【0071】
陽極34は、ガスバリア膜12上に形成された透明電極であり、例えばITOによって形成されている。したがって、陽極34は、有機EL層50に含まれる発光層から出射された光を遮ることがない。
【0072】
輻射層51は、有機EL層50上に形成された陰極49上に形成されており、有機EL層50で発生した熱を赤外線に変換し、この赤外線を発光面の裏面側である図中上側に出射する。輻射層51は、第1実施形態の輻射層51と同様に陰極49の表面全体に形成されており、陰極49を介して効率良く熱を受け取り、赤外線に変換する。
【0073】
封止膜13は、例えば、シリコン窒化膜及び樹脂膜を輻射層51の上側に積層することによって形成された多層膜であり、素子内部に浸入する水分及び酸素を低減する。尚、輻射層51は、図中上側、即ち有機EL層50からみて封止膜13が形成された側に赤外線を出射することから、封止膜13は近赤外線、赤外線、及び遠赤外線を透過する材料を含んで構成されている。
【0074】
尚、プラスチック基板11は、有機EL素子80で発生した熱を熱伝導によって放熱するための十分な熱伝導率を有していないことから、輻射層51を介して有機EL素子80で発生した熱を放熱することにより、有機EL素子80の温度上昇を抑制することができ、素子の寿命を延ばすことが可能である。
【0075】
(第3実施形態)
図6は、本実施形態に係る有機EL素子81の構成を示す断面図である。有機EL素子81は、有機EL層50に対して陽極34側に輻射層51が形成されている点で第1及び第2実施形態に係る有機EL素子と構成が異なる。尚、図6において、図2から図4に示した第1実施形態と同様の構成要素には同様の参照符合を付し、それらの説明は適宜省略する。
【0076】
図6において、有機EL素子81は、有機EL層50、輻射層51、陰極49、及び陽極34を備えており、有機EL層50で発生した光を図中上側に出射するトップエミッション型の有機EL素子である。また、有機EL素子81は、基板1上に順次ゲート絶縁層2、層間絶縁層41、及び保護層45が形成されており、有機EL素子81に駆動電流を供給する駆動用トランジスタ74は、ゲート絶縁層2、層間絶縁層41、及び保護層45中に埋め込まれたボトムゲート型の薄膜トランジスタである。尚、基板1、ゲート絶縁層2、層間絶縁層41、及び保護層45は近赤外線、赤外線、遠赤外線を透過する材料を含んで構成されている。
【0077】
陽極34は、有機EL層50に対して図中下側に形成されており、絶縁膜中に埋め込まれた駆動用トランジスタ74のソース電極42と電気的に接続されている。ソース電極42及びドレイン電極は、保護層45を半導体層3まで貫通するように形成されたコンタクトホールの内壁に沿って導電材料を充填して形成されている。
【0078】
輻射層51は、陽極34の下面に形成されており、有機EL層50から陽極34を介して伝導した熱を赤外線に変換し、発光面の裏面側である図中下側に出射する。輻射層51は、例えば、コンタクトホールを形成する際に保護膜45上に形成されるブラックレジストを用いることができる。より具体的には、コンタクトホールを形成した後にブラックレジストを除去することなくそのまま残し、その上に陽極34を形成すれば、輻射層51とすることができる。輻射層51はブラックレジストに限定されるもではなく、第1及び第2実施形態の輻射層51と同様の材料を用いて陽極34の下面に形成されていてもよい。但し、導電性を有する材料で輻射層51を形成する場合には、有機EL素子を他の素子と電気的に隔絶するために所定のパターニングが施される。尚、有機EL層50の上側には、有機EL層50の発光面から出射される光を透過する透明材料を含んで構成される陰極49、バッファ層82、ガラス保護板20aが形成されており、有機EL層50の発光面から図中上側に光が出射される。
【0079】
有機EL素子81によれば、例えば、輻射層51を形成するためのブラックレジストをそのまま輻射層51として用いることができ、輻射層51を形成するための工程を追加することなく、放熱性に優れた有機EL素子を提供することが可能になる。
【0080】
(第4実施形態)
図7は、本実施形態に係る有機EL素子の構成を示す断面図である。尚、図7において、図2から図4に示した第1実施形態と同様の構成要素には同様の参照符合を付し、それらの説明は適宜省略する。
【0081】
図7において、有機EL素子83は、本発明に係る「輻射層」の一例である平坦化層84を備えている点で第3実施形態に係る有機EL素子と異なる構成を有している。
【0082】
平坦化層84は、ガラス基板1上に形成された駆動用トランジスタ74の上側を覆うように形成されており、その上面は平坦な面とされる。平坦化層84によれば、駆動用トランジスタ74のソース電極42及びドレイン電極の形状に起因する凹凸が平坦化層84の上面に現れない。したがって、平坦化層84の上側に形成される有機EL素子83を平坦面に形成することが可能である。
【0083】
平坦化層84は、陽極34の放射率に比べて高い放射率を有する材料を含んで構成されている。平坦化層84は、例えば、黒色顔料或いは黒色染料が配合された感光性アクリル樹脂で形成することができる。ここで、黒色顔料及び黒色染料は、陽極34より放射率が高い材料である。したがって、陽極34から熱伝導によって平坦化層84に伝導した熱が黒色顔料或いは黒色染料によって赤外線等に変換され、発光面の裏面側である図中下側に出射されることになる。平坦化層84は、陽極34に比べて放射率が高い材料を含んでいればよく、例えば、第1実施形態で輻射層51を形成する材料の一例とされたセラミック粉体等を含んでいてもよく、平坦化層84の絶縁性を損なわない程度にカーボンブラックを含んでいてもよい。平坦化層84は、平坦化層84中に埋め込まれている金属配線を備えていてもよい。例えば、本実施形態において、平坦化層84に埋め込まれたソース電極42及びドレイン電極の夫々接続された金属配線の表面を絶縁処理しておくことにより、これら金属配線及び平坦化層84間を確実に電気的に絶縁することも可能である。
【0084】
尚、陰極49は、例えば、Mg及びAgを極薄く堆積してなる金属膜であり、有機EL層50から出射される光を透過する透明電極として機能する。ここで、有機EL層50の上面に直接ITOの如き透明電極が形成されていないのは、有機EL層50の最上面に形成される電子注入層にITO膜を直接形成した場合、電子注入層及びITO間のエネルギー障壁の存在によって十分な電子注入効率が得られないからである。しかしながら、ITO及び電子注入層間に、例えばLi(リチウム)がドープされた有機層をバッファ層として介在させることによって、ITOによって陰極を構成することは可能である。
【0085】
本実施形態に係る有機EL素子83によれば、有機EL素子が元々備える構成要素の一つである平坦化層を輻射層として機能させることにより、別途新たに輻射層を形成するための工程を追加することなく、放熱性に優れた有機EL素子を形成することが可能である。
【0086】
(第5実施形態)
図8及び図9を参照しながら、本実施形態に係る有機EL素子85及びこれを備えた有機EL表示装置100について説明する。図8は、本実施形態に係る有機EL表示装置100の構成を示す断面図であり、図9は、本実施形態に係る有機EL素子85の構成を示す断面図である。尚、図8及び図9において、図2から図4に示した第1実施形態と同様の構成要素には同様の参照符合を付し、それらの説明は適宜省略する。
【0087】
図8において、有機EL表示装置100は、基板1上に形成された有機EL素子85、及び有機EL素子を封止する封止板20bを備えて構成されている。尚、封止板20bは、缶封止によって有機EL素子を封止するように配置されている。本実施形態に係る有機EL表示装置100は、封止板20bが金属で形成されており、且つ封止板20bの内側、即ち有機EL素子85に臨む面に熱吸収層52が形成されている点で第1実施形態に係る有機EL表示装置10の構成と異なる。尚、熱吸収層52は、封止板20bの有機EL素子85に臨む面の略全面に形成されており、有機EL表示装置100は、熱吸収層52を備えている点を除けば、第1実施形態に係る有機EL表示装置と同様の構成を有する。
【0088】
図9において、有機EL素子85は、陰極49の表面に形成された輻射層51及び熱吸収層52を備えている。尚、熱吸収層52は、陰極49に対して空隙を隔てて封止板20bの内側に形成されているが、有機EL素子85の構成要素の一部に含まれる。
【0089】
輻射層51は、有機EL層50で発生した熱を熱伝導によって陰極49を介して受け取り赤外線に変換する。輻射層51は、この赤外線を発光面の裏面側である図中上側に出射する。即ち、輻射層51は、熱吸収層52に向かって赤外線を出射する。輻射層51から熱吸収層52に向かって出射された赤外線は熱吸収層52に到達し、熱吸収層52に吸収される。熱吸収層52は、吸収した赤外線を熱に変換し、赤外線から変換された熱は封止板20bに熱伝導する。封止板20bは金属で形成されていることから、ガラス板等の熱伝導率が低い材料で形成された封止板に比べて、熱は封止板20b中の速やかに伝導し、効率良く外部に放熱されることになる。
【0090】
熱吸収層52を形成する材料は、輻射層51を形成する材料と同種の材料であることが好ましい。ある波長における放射率の高い材料は、その波長における吸収率も同様に高いことが一般的に知られている。従って、電磁波を放射する放射体と、電磁波を吸収する吸収体とが同種の材料で形成されている場合は、異種材料でそれぞれ形成されている場合に比べて効率よく電磁波を吸収できる。したがって、熱吸収層52は、輻射層51に含まれる材料と同種の材料を含んで構成されていることがより好ましい。しかし、熱吸収層52は、封止板20bと比較して輻射層51から放射される電磁波をより多く吸収できる材料であれば、輻射層51と異なる材料を使っても良い。例えば、熱吸収層52は、金属で構成された封止板20bの内側を黒色に塗装しただけのものであっても、本発明の効果を得ることが出来る。
【0091】
本実施形態に係る有機EL素子85及び有機EL表示装置100によれば、有機EL素子及び封止板の間に空隙が存在する場合であっても、輻射及び熱伝導率が高い金属で形成された封止板20bによる熱伝導を組み合わせることによって効率良く放熱することが可能である。これにより、発光時における素子の温度上昇を抑制することができ、素子の寿命を延ばすことが可能になる。
【0092】
次に、第6実施形態乃至第8実施形態を参照しながら有機EL素子の発光面側に赤外線を放射することによって放熱することができる有機EL素子の各態様について説明する。
【0093】
(第6実施形態)
図10は、本実施形態に係る有機EL素子86の構成を示す断面図である。尚、図10において、図2から図4に示した第1実施形態と同様の構成要素には同様の参照符合を付し、それらの説明は適宜省略する。
【0094】
図10において、有機EL素子86は、有機EL層50の周囲に形成された第2素子分離層47aを介して発光面である図中下側に赤外線を出射する点において第1実施形態に係る有機EL素子と異なる。第2素子分離層47aは、本発明に係る「輻射層」の一例であり、基板1上に複数配列された有機EL素子86を互いに分離する素子分離層として機能すると共に、有機EL層50の熱を赤外線に変換し、この赤外線を図中下側である発光面側に出射することによって有機EL素子86から放熱する。有機EL層50の上面から第2素子分離層47aに渡って陰極49が形成されており、有機EL層50で発生した熱が有機EL層50の側面側から第2素子分離層47aに伝導すると共に、陰極49を介して第2素子分離層47aに伝導する。陰極49は、金属で形成されていることから熱伝導性に優れており、有機EL層50から第2素子分離層47aへの熱伝導が速やかに行われることになる。特に、第2素子分離層47aは有機EL層50のサイズに比べて大きいことから、第2素子分離層47aの熱容量は有機EL層のそれに比べて遥かにに大きい。更に、陰極49は、有機EL層50の上面及び第2素子分離層47aの上面を含む面の広い領域に形成されることから、有機EL層で発生した熱の殆どが第2素子分離層47aに速やかに伝導することになる。したがって、第2素子分離層47aは、有機EL層50で発生した熱の殆どを吸収した上で、この吸収した熱を効率良く赤外線に変換して放熱することができる。
【0095】
第2素子分離層47aは、その内部に輻射材を含んで構成されている。より具体的には、第2素子分離層47aは、例えば、第1実施形態における輻射層51を形成する材料として挙げた遠赤外線の放射率が高いセラミック粉体、カーボンブラック、黒色染料或いは黒色顔料等を第2素子分離層47aを構成する樹脂中に分散させた後、第1素子分離層46上に塗布することによって形成されている。第2素子分離層47a中に分散された上述のカーボンブラック等が熱を赤外線に変換し、この赤外線を素子外部に出射することによって放熱する。また、赤外線は人間の目によって感知されないことから、発光面側に出射されても有機EL層50の発光面から出射される光に影響を与えることがない。
【0096】
このように、本実施形態に係る有機EL素子によれば、素子の構成要素の一つである第2素子分離層47aを介して放熱することができることから、有機EL素子の構造を大きく変更することなく、素子の放熱特性を高めることかが可能であり、有機EL素子の寿命を延ばすことができる。
【0097】
(第7実施形態)
図11は、本実施形態に係る有機EL素子87の構成を示す断面図である。尚、図11において、図2から図4に示した第1実施形態と同様の構成要素には同様の参照符合を付し、それらの説明は適宜省略する。
【0098】
図11において、有機EL素子87は、基板1上に順次形成された陽極34、有機EL層50、陰極49、輻射層51aを備えて構成される。
【0099】
陰極49は、有機EL層50の最上層である電子注入層50bとのエネルギー障壁を考慮して十分な電子注入効率を確保できる材料を含んで構成されており、例えば、アルカリ金属を含む金属薄膜である。陰極49は、極薄い金属薄膜であることから、有機EL層50に含まれる発光層50aから図中上側に出射された光を透過させることが可能である。
【0100】
輻射層51aは、有機EL層50上に形成された陰極49の光出射領域Sの周囲に形成されており、有機EL層50で発生した熱を赤外線に変換し、この赤外線を図中上側に放熱する。輻射層51は、有機EL素子の光出射領域Sの周囲に形成されていることから光出射領域Sから出射される光を遮ることがない。尚、陰極49として、例えばMg及びAgを堆積してなる薄膜電極を用いる場合には、陰極49と輻射層51aとの反応を抑制するために輻射層51aはマスク蒸着或いはインクジェット法の如き塗布法を用いて形成される。また、輻射層51aとして、有機EL素子50のコントラストを高めるために発光面側に形成される遮光膜を用いてよい。このような遮光膜は、基板1上に複数配列された有機EL素子の光出射領域を避けるように形成されることから、輻射層として用いるには好都合である。
【0101】
本実施形態に係る有機EL素子によれば、発光側に赤外線を出射する場合でも、光出射領域から出射される光を輻射層51aによって遮ることなく、上記各実施形態に係る有機EL素子と同様に有機EL素子の放熱特性を高めることができ、素子の寿命を延ばすことが可能である。
(第8実施形態)
図12は、本実施形態に係る有機EL素子88の構成を示す断面図である。尚、図12において、図2から図4に示した第1実施形態と同様の構成要素には同様の参照符合を付し、それらの説明は適宜省略する。
【0102】
図12において、有機EL素子88は、有機EL素子88の光出射領域Sを避けるように形成される輻射層51aが有機EL層50を封止するガラス保護板20cの下面に形成されている点において第7実施形態の有機EL素子87と異なる構成を有する。
【0103】
有機EL素子88は、基板1上に順次形成された陽極34、有機EL層50、陰極49、バッファ層82、輻射層51a、及びガラス保護板20cを備えて構成される。
【0104】
輻射層51aは、有機EL層50からバッファ層82を介して伝導する熱を赤外線に変換し、この赤外線を図中上側に出射することにより放熱する。輻射層51aは、有機EL素子88の光出射領域Sを避けるように形成されていることから、光出射領域Sから出射される光を遮ることなく放熱特性を高めることが可能である。輻射層51aを形成する材料としては、第1実施形態で挙げた輻射層51を形成する材料の各例を用いることができ、これら材料をガラス保護板20cの下面に成膜することによって形成される。また、輻射層51aは、ガラス保護板20cの下面に形成された金属膜を酸化させてなる酸化膜でもよい。このような酸化膜としては、第1実施形態で挙げた酸化膜を用いることが可能である。
【0105】
本実施形態に係る有機EL素子88によれば、第7実施形態に係る有機EL素子と同様に放熱性に優れた有機EL素子を提供することが可能である。
【0106】
(第9実施形態)
次に、輻射層から放射される赤外線等を遮らない乾燥剤を備えた有機EL素子の態様について説明する。図13及び図14は、本実施形態に係る有機EL素子の夫々一例を示す断面図である。尚、図13及び図14において、図2から図4に示した第1実施形態と同様の構成要素には同様の参照符合を付し、それらの説明は適宜省略する。
【0107】
図13において、有機EL素子89は、有機EL素子89を缶封止する封止板20の内側に配置された乾燥剤90を備えている点において、第1実施形態に係る有機EL素子と異なる構成を備える。
【0108】
乾燥剤90は、封止板20で封止された有機EL素子89内部の水分を除去するために設けられている。したがって、乾燥剤90によれば、有機EL層50が水分によって劣化することを抑制することが可能であり、有機EL素子72の寿命を延ばすことができる。乾燥剤は、有機EL素子89の図中上側に出射される赤外線、即ち陰極49表面に形成された輻射層51から出射される赤外線を透過する材料で形成されており、有機EL層50で発生した熱が赤外線に変換されることによって放熱されることを妨げることがない。特に、乾燥剤は、封止板2の内側の略全面に配置されていることから、有機EL素子89及び有機EL素子と封止板との間に介在する空隙に含まれる水分を十分に除去することができる。
【0109】
次に、本実施形態に係る有機EL素子の他の例について説明する。
【0110】
図14において、有機EL素子91は、封止板20の内側表面の一部の領域に配置された乾燥剤90aを備えている。したがって、乾燥剤90aが赤外線等を透過しない材料で形成されている場合であっても、有機EL層50から出射される光を遮ることがなく、有機EL素子91内部の水分を除去することが可能である。
【0111】
このように本実施形態に係る有機EL素子89及び91によれば、水分による有機EL層50の劣化を抑制しつつ、有機EL層50で発生した熱を外部に放熱することが可能である。したがって、水分及び熱による素子の劣化を抑制することにより上述した各実施形態に係る有機EL素子に比べて格段に素子の寿命を延ばすことが可能である。
【0112】
(電子機器)
次に、上述した有機EL素子を含む有機EL表示装置を備えた各種電子機器について説明する。
【0113】
<A:モバイル型コンピュータ>
図15を参照しながらモバイル型のコンピュータに上述した有機EL装置の一例である有機EL表示装置を適用した例について説明する。図15は、コンピュータ1200の構成を示す斜視図である。
【0114】
図15において、コンピュータ1200は、キーボード1202を備えた本体部1204と、図示しない有機EL表示装置を用いて構成された表示部1005を有する表示ユニット1206とを備えている。表示部1005は、素子内の温度上昇に起因する発光層等の特性劣化が低減されており、装置全体の信頼性も高められている。また、上述した有機EL素子を含んだ表示部1005は、熱伝導のみで放熱を行う従来の表示部に対して放熱構造を簡略化できるから、表示ユニット1206を小型に構成できる。よって装置全体の小型化につながり、装置の携帯性が改善される。なお、表示ユニット1206の小型化の効果は、輻射層により輻射された赤外線を表示面と同一方向に放出する第6実施形態ないし第8実施形態に記載の有機EL素子を利用した場合に特に大きい。また、表示部1005が備える複数の有機ELディスプレイ基板に赤、緑、青の光の三原色の光を発光する有機EL素子を形成しておくことによって、該表示部1005はフルカラー表示で画像表示を行うことができる。
【0115】
<B:携帯型電話機>
更に、上述した有機EL表示装置を携帯型電話機に適用した例について、図16を参照して説明する。図16は、携帯型電話機1300の構成を示す斜視図である。
【0116】
図16において、携帯型電話機1300は、複数の操作ボタン1302と共に、本発明の一実施形態である有機EL表示装置を有する表示部1305を備えるものである。
【0117】
表示部1305は、上述の表示部1005と同様に発光層等の特性劣化が低減されていることから、高品質の画像を表示することができると共に信頼性が高められている。これにより、携帯型電話機1300の耐久性も高められている。また、表示部1305が備える複数の有機EL素子が夫々赤、緑、青の光の三原色の光を発光することによって、該表示部1305はフルカラー表示で画像表示を行うこともできる。
【0118】
尚、本発明は、上述した実施例に限られるものではなく、請求の範囲及び明細書全体から読み取れる発明の要旨或いは思想に反しない範囲で適宜変更可能であり、そのような変更を伴う有機EL装置の製造装置及び方法、並びに電気光学装置及び電子機器もまた本発明の技術的範囲に含まれるものである。
【図面の簡単な説明】
【0119】
【図1】本発明の第1実施形態に係る有機EL表示装置の構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の第1実施形態に係る有機EL表示装置の構成を示す断面図である。
【図3】本発明の第1実施形態に係る有機EL表示装置の画素部の構成を示す平面図である。
【図4】図3のA−A´線断面図である。
【図5】本発明の第2実施形態に係る有機EL素子の構成を示す断面図である。
【図6】本発明の第3実施形態に係る有機EL素子の構成を示す断面図である。
【図7】本発明の第4実施形態に係る有機EL素子の構成を示す断面図である。
【図8】本発明の第5実施形態に係る有機EL表示装置の構成を示す断面図である。
【図9】本発明の第5実施形態に係る有機EL素子の構成を示す断面図である。
【図10】本発明の第6実施形態に係る有機EL素子の構成を示す断面図である。
【図11】本発明の第7実施形態に係る有機EL素子の構成を示す断面図である。
【図12】本発明の第8実施形態に係る有機EL素子の構成を示す断面図である。
【図13】本発明の第9実施形態に係る有機EL素子の一例の構成を示す断面図である。
【図14】本発明の第9実施形態に係る有機EL素子の他の例の構成を示す断面図である。
【図15】本発明に係る電子機器の一例の斜視図である。
【図16】本発明に係る電子機器の他の例の斜視図である。
【符号の説明】
【0120】
34 陽極、49 陰極、50 有機EL層、51,51a 輻射層、52 熱吸収層、72,80,81,83,85,86,87,88,89,91 有機EL素子、10,100 有機EL表示装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光を発光する発光面を有する発光層と、
該発光層における前記発光面の裏面側に形成された輻射層と
を備えたことを特徴とする薄膜発光素子。
【請求項2】
前記発光層における前記裏面側に形成され、前記発光層に電力を供給する電極を更に備え、
前記輻射層は、前記電極の表面に形成されていること
を特徴とする請求項1に記載の薄膜発光素子。
【請求項3】
前記輻射層の放射率は、前記電極の放射率に比べて高いこと
を特徴とする請求項2に記載の薄膜発光素子。
【請求項4】
前記輻射層は、前記電極の表面を酸化させることによって形成された酸化膜であること
を特徴とする請求項2に記載の薄膜発光素子。
【請求項5】
前記輻射層は、前記電極の表面に不均一に形成された金属膜が酸化された酸化膜であり、該酸化膜の放射率は、前記電極の放射率より高いこと
を特徴とする請求項2に記載の薄膜発光素子。
【請求項6】
前記輻射層における前記発光層と反対側に形成された封止部を更に備え、
前記封止部は前記輻射層から出射された熱線を透過する材料を含むこと
を特徴とする請求項1から5の何れか一項記載の薄膜発光素子。
【請求項7】
前記封止部は、前記輻射層との間に空隙を介在させて形成されており、前記封止部の前記輻射層に臨む側には、前記熱線を透過し、且つ前記空隙内の水分を除去するための乾燥手段が配置されていること
を特徴とする請求項6に記載の薄膜発光素子。
【請求項8】
前記輻射層における前記発光層と反対側に形成された封止部を更に備え、
前記封止部は金属から成り、
さらに、前記封止部の前記輻射層に臨む側の面には、前記熱線を吸収するように熱吸収層が形成されていること
を特徴とする請求項1から5の何れか一項に記載の薄膜発光素子。
【請求項9】
光を発光する発光面を有する発光層と、
前記発光面の法線方向から見て前記発光面の周辺に形成された輻射層と、
前記発光面の裏面側において、前記発光面の法線方向から見て前記発光面から前記輻射層に渡って形成されており、前記発光層に電力を供給する電極と
を備えたことを特徴とする薄膜発光素子。
【請求項10】
光出射領域から光を出射する発光面を有する発光層と、
該発光層の前記発光面側に形成された透明電極と、
前記発光面の法線方向から見て前記光出射領域を避けるように前記発光層の前記発光面側に形成された輻射層と
を備えたことを特徴とする薄膜発光素子。
【請求項11】
前記輻射層は、前記透明電極の表面に形成されていること
を特徴とする請求項10に記載の薄膜発光素子。
【請求項12】
前記発光層は有機EL層であること
を特徴とする請求項1から11の何れか一項に記載の薄膜発光素子。
【請求項13】
請求項1から12の何れか一項に記載の薄膜発光素子を備えたことを特徴とする電気光学装置。
【請求項14】
請求項13に記載の電気光学パネルを具備してなることを特徴とする電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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