説明

薄膜蒸着エバポレーター

排気可能な内部堆積物のチャンバとの、使用のための材料供給源エバポレータであって、このチャンバ内で、蒸発された材料が、基材上に堆積する。このエバポレータは、付随ヒータを備えたコンテナを備え、このヒータは、コンテナ中に供給される蒸発可能な材料を加熱して、その蒸気を提供可能である。複数の排出口を有するマニホルドもまた、付随ヒータを有し、このヒータは、マニホルド中に提供された材料の蒸気を排出口を通して十分に蒸気の状態を維持するように、加熱可能であり、これらの排出開口部は、蒸気材料の較正した空間分布を提供するように選択されたパターンであり、このパターンは、固定位置の隣接する基材に対して層の形態での材料蒸気の堆積を生じる。従って、この層は、比較的均一な厚さを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(発明の背景)
本発明は、有機薄膜構造体に関し、そしてより具体的には、有機薄膜発光ダイオードのような薄膜構造体、およびそれを製造するためのシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
有機発光ダイオードは、電子的に作動されるフラットパネルエレクトロルミネッセンスディスプレイにおいて、ピクセルを形成するために使用されることで、かなり興味深い。背面から照射される活性マトリックス液晶ベースのフラットパネルディスプレイと比較すると、このような有機発光ダイオードベースのディスプレイは、より大きい視角、制御信号に対するより迅速な応答、およびより少ない電力消失を与える。
【0003】
このようなダイオードは、狭く間隔を空けた2つの電極から形成され、これらの電極のうちの少なくとも1つは、可視光に対して透明である。これらの2つの電極の間の狭い間隔に、1層、またはより多くの層の発光有機材料が提供され、その結果、これらの電極の間に電流が確立されると、このような層は、使用される特定の有機材料に依存する色の光を放出する。従って、有機材料層は、赤色光を提供するためのポリチオフェン(polythiopene)、緑色光を提供するためのポリフェニレンビニレン、または青色光を提供するためのポリフルオレンであるように選択され得る。透明な電極は、その上に有機薄膜発光ダイオードを製造するためのフラットパネル基板として働き得、そして代表的に、インジウムスズ酸化物が上に蒸着したガラスから形成され、アノードを形成する。残りの電極(カソード)は、マグネシウム−銀合金、またはリチウム−アルミニウム合金、またはカルシウムのような、金属系である。
【0004】
比較的大きい面積の有機発光ダイオードベースのフラットパネルディスプレイの大量生産において、比較的大きい面積にわたって高速で形成されるにもかかわらず、蒸着した材料特徴、および厚さが均一な薄膜を、ガラス基板上に提供するための、新たな製造方法が、必要とされる。このようなフィルムを形成するために使用される主要な技術の1つは、蒸発フィルム蒸着であり、ここで、蒸発されるべき目的の材料種が加熱されて、その材料種の蒸気を生成し、蒸着のための基板への所望の経路に沿って、分子のフラックスを形成する。このプロセスは、減圧システム中で行われる。この減圧システムは、代表的に、蒸着チャンバ、その内部の何らかの手段であって、この手段の上に、選択された材料が蒸着されるための基板パネルが設置される手段、このシステムを排気するためのポンプ、圧力ゲージ、および1つ以上の材料蒸発供給源を備える。基板表面上、またはこの基板もしくは別の以前の層を覆う以前の層の表面上への、均一な薄膜コーティングの製造は、しばしば、この基板表面にわたって、またはこの基板もしくは別の層の上に先に蒸着された層の表面にわたって、蒸着するフラックスが平均化されるように、この基板パネルを回転させ、これによって、フラックスの分配時間または空間的変動から生じるあらゆる蒸着の不均一性を減少させるかまたは排除する必要がある。
【0005】
利用可能であり、そして以前に使用されている、広範な種々の材料蒸発源が存在する。このようなエバポレーターの最も一般的な型は、その内部の材料供給源の熱による加熱を利用し、この加熱は、その材料(蒸発物質)の得られる蒸気を生成するように、蒸着について選択される。この材料は、最初、このエバポレーター内の容器(またはるつぼ)の内部に提供され、このるつぼは、近く近接した加熱要素によって囲まれている。熱遮蔽物の層が、これらの加熱要素の周りに提供され、そしてこれによって、このるつぼは、発生する熱の大部分を閉じ込め、これによって、この熱を、このるつぼ内に拡散され、このるつぼは、開口部を有し、この開口部を通って、蒸発物質が逃れ、その蒸発物質のフラックスを形成し得る。この開口部の外側の領域における蒸発物質の空間的変動は、目的の空間的位置と、るつぼの開口部の面に対して垂直なるつぼの開口部の中心線との間の角度に依存し、そしておよそ、この角度の余弦関数に従う。蒸着される蒸発物質のフラックスのこの近似の余弦分布に起因して、蒸着の均一性は、基板を、軸の周りで、多少このフラックスの経路に沿って、回転させることによって、改善され得る。比較的大きい面積の基板については、蒸着チャンバ内でのこの基板のこの回転は、サイズの増加に伴って次第に困難になり、そしてこのような回転を、排気された蒸着チャンバ内で提供するための手段は、このチャンバの設計および操作に、かなりの複雑さを加える。従って、内部での蒸着基板の回転を必要としない、材料エバポレーター供給源が、非常に望ましい。なぜなら、このような回避は、システム製造の複雑さおよび費用を減少させ、そして可動部品の数の減少が生じることに起因する、操作使用中のシステムの故障の間の平均時間が延長され、これによって、操作費用が減少する。しかし、基板パネルのサイズが増加し、これによって、得られるディスプレイの観察面積が増加するにつれて、蒸着される薄膜の均一性は、特に、この基板の回転なしでは、達成することがより困難になる。より良好な均一性は、エバポレーター内で複数のフラックス供給源を使用して達成され得るが、このような供給源の全てを同時に一貫して制御することは、達成することが困難であり、これによって、所望のフィルム均一性を達成することもまた、困難にする。
【0006】
材料蒸発供給源において使用される1つのバリエーションは、蒸気輸送セクションの追加であり、これは、弁機構によって、るつぼから分離され得る。このセクションでの蒸気の凝縮を防止するため、そしてまた、時々、蒸発物質の化学的性質または物理的性質を変化させるために、このようなセクションは、通常、独立して加熱される。このような材料蒸発供給源は、より用途が広い。なぜなら、この弁機構は、フラックスの微調節を可能にして、安定性を維持し、そして材料を保存するからである。しかし、体積チャンバ内の基板に達するフラックス分布は、類似の近似余弦分布に従う。
【0007】
より最近、別の材料蒸発供給源バージョンにおいて、気体分配マニホルドが、上記加熱される蒸気輸送セクションに追加された。このマニホルドは、基板(この上に、蒸着が起こる)の表面に直接曝露されるように配置され、その結果、蒸発物質がこの基板表面上に排出され、そして蒸着される。このマニホルドはまた、2つ以上の気相材料種が、蒸着のために排出される前に混合され得る手段として働き得る。ここでまた、弁手段が、排出される材料またはフラックスの量の制御を可能にするために使用される。しかし、ここでまた、マニホルドの開口部から放出されて蒸着チャンバ内の基板に達するフラックス分布は、類似の近似余弦分布に従う。従って、比較的均一な薄膜を、基板表面上、または基板上に以前に蒸着されたフィルムの表面に、フィルムの蒸着の間にこの基板を回転させる必要なく蒸着させ得る、材料蒸発供給源に対する要求が存在する。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0008】
(発明の簡単な要旨)
本発明は、排気可能な内部蒸着チャンバと供に使用するための、材料供給源エバポレーターを提供し、このチャンバ内で、蒸発した材料が、基板上に蒸着される。この材料供給源エバポレーターは、容器を備え、この容器は、排出ポートを有し、そして関連するヒータを有し、このヒータは、この容器内に提供される揮発性材料を加熱して、この排出ポートにおいて、この材料の蒸気を提供し得る。投入ポートおよび複数の排出開口部分を有するマニホルドはまた、付随するヒータを有し、このヒータは、このマニホルドの投入ポートを通してこのマニホルド内に提供される材料蒸気を加熱し得、排出開口部分を通って出るための充分な蒸気を維持する。これらの排出開口部分は、固定された位置で近接する基板上に層の形態での材料蒸気の蒸着を生じる、材料蒸気の空間的分布を提供するような、選択されたパターンである。従って、この層は、この基板にわたって達成される平均厚さの3%以内であるように十分に均一な厚さを有する。容器の排出ポートとマニホルドの投入ポートとの間に延びる、輸送配管が提供される。このマニホルドは、別個のサブマニホルドに細分され得、そしてこの輸送配管は、このマニホルドに入り、そして排出開口部分へと延びる、いくつかの配管部分へと分岐し得る。1つ以上の弁が、蒸発物質のフラックスの流れを制御するために、輸送配管内に位置決めされ得る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
(詳細な説明)
図1Aは、種々の薄膜構造体(例えば、とりわけ、有機発光ダイオード)を製造するための、本発明の材料蒸発供給源10の部分切取り側面図を示す。エバポレーター10は、るつぼ内の材料種から材料蒸気を発生させるための、別個に加熱されるるつぼ11を有し、このるつぼは、熱移動セクションまたは配管12によって接続され、蒸発物質のフラックスを、調節可能なニードル弁13を通して、均一に加熱される注入器マニホルド14へと運ぶ。マニホルド14は、加熱されたるつぼ11内で発生した蒸気のフラックスを、蒸着チャンバ(図1Aにおいて、供給源10の上方の水平線として示される)の排気可能な領域において、固定された位置の基板パネルの表面全体にわたって、実質的に均一に、空間的に分配する。この蒸着チャンバには、このマニホルドにおける一連の出口開口部分15(これらは、外部シャッタープレート16によって覆われ得る)によって、このフラックスが到達し得る。モータ17は、調節可能なニードル弁13のアクチュエータ棒を制御して、この弁の開口の程度を選択し、次に、注入器マニホルド14に流入する蒸発物の流れを制御する。熱シールド18(必要であれば、水冷される)が、供給源の放射による、蒸着チャンバ内の基板の望ましくない加熱を防止するために、提供される。なぜなら、いくらかの蒸着した材料は、温度感受性であり得るからである。
【0010】
るつぼ11は、エバポレーターエンクロージャー上のバックプレートを外すことによって、容易にアクセス可能であり、このエバポレーター内の、エバポレーター充填材料種の補充を簡便にし、そして異なるサイズのるつぼと交換することに適合する。フラックス経路に沿った構造体の全ての内側表面は、選択された温度範囲内で安定に維持され、このような表面上でのフラックス材料の凝縮を排除する。シャッタープレート16は、出口開口部分15の全てが、迅速に、かつ実質的に同時に開閉し得るように、操作される。マニホルド14の物理的寸法(特に、蒸着チャンバ内の基板に面する表面の広がり)は、任意の大きさの基板パネル上への適切な蒸着のために必要とされるための尺度にされ得る。
【0011】
るつぼ11内での蒸発のためのベースとして使用される、最初に提供される材料種のいくつかの種類(例えば、有機固体)の、乏しい熱伝導度に起因して、このような材料が、開いたるつぼ内で均一な温度に達することは、困難であり、これによって、輸送されるフラックスの量の変動を生じる。なぜなら、材料蒸発物質の蒸気圧は、その温度に指数関数的に依存するからである。エバポレーター10において、るつぼ11内への蒸発材料種の供給源の充填は、十分に閉じ込められた容器(るつぼとして働く)内に局在し、これによって、優れた熱平衡を、最初の蒸発材料充填の間にわたって提供する。このるつぼの大きい熱質量は、このるつぼにおける温度変化を最小にし、そして蒸発フラックスの量の値の浮動を最小にする。しかし、このような大きい熱質量はまた、るつぼ11の温度調節単独のみによる、迅速な蒸発フラックスの量の変化を達成することを困難にすることを意味する。従って、材料蒸発供給源10は、移動セクション12を通って流れるフラックスを制御するための、迅速作用弁を組み込む。このような配置は、調節可能なニードル弁13によって提供され、このニードル弁は、そのアクチュエータ棒が、モータ17およびこれらを接続する適切な機構によって、選択的に駆動されることによって、作動され、そして弁13とモータ17との両方は、速度センサベースのフィードバックループに備えられるために適切であり、これによって、作動フラックスの量の値の維持を、それについて選択された値で正確に制御する。各蒸着の終了時に、弁13は、完全に閉じられて、このフラックスをさらに通して流し得、これによって、材料の使用を節約する。有機発光ダイオードを製造する際に使用される高純度の有機材料は、高価であるので、材料蒸発供給源を使用する際の材料の問題は、重要なエバポレーター性能問題である。
【0012】
るつぼ11は、弁13がなお閉じた状態で、選択された一定の温度に維持され、その結果、次の蒸着が開始する準備ができた場合に、同じフラックス値が、弁の針を、同じ所定の位置に戻して、同じサイズの弁開口を提供することによって、再現され得る。モータ駆動式の弁機構を用いて、このフラックスの量は、迅速に調節され得、そして経時的なフラックスの量の、補助的に選択されるプロフィールが、モータ制御器にプログラムされ得る。この後者の配置は、1種より多くの成分またはフィルム材料ドーパント(あるいは両方)が蒸着される際に、薄膜フィルムの組成を調節する必要がある場合に、特に有用である。注入器マニホルド14の比較的大きい体積に起因して、このマニホルドから放出されるフラックスの量の変化は、対応する弁作動に対して時間の遅れを示す。フラックスの量を鋭く変化させ得ることを確実にするために、空気作動式シャッタープレート16が、注入器14の出口開口部分15に提供され、その結果、この開口部分からのフラックスの放出は、ほぼ即時に遮断され得る。
【0013】
図1Aに示されるように、材料体積供給源10は、蒸着チャンバ内の、基板が位置決めされてその上に蒸着される薄膜の層を受ける、内部の排気可能な領域への容易な設置のための、自己収容型ユニットである。このユニットの作動は、その配向とは無関係であり、これによって、図1Aに示されるような上向き、または下向き、または横向きでの、供給源10の位置決めの融通性を可能にする。
【0014】
材料蒸着供給源10において使用される構成要素のモジュール性質に起因して、この供給源の部品は、蒸着チャンバの外側に提供され得、これによって、このチャンバの減圧が維持される領域で、供給源10によって占められる空間を減少させる。この空間は、そうでなければ、その構造を収容するために必要とされる。この可能性は、小型かつ効率的な蒸着チャンバ設計をもたらし得、薄膜デバイスの製造をより経済的にする。従って、るつぼ11は、輸送セクション12および弁13を通してマニホルド14に接続される限り、減圧蒸着チャンバに対して内側または外側のいずれにも配置され得る。このような外部でのるつぼの配置は、別の材料供給源エバポレーター10’として、図1Bに側面図で示されており(供給源10’の上方の水平線が、再度、固定された位置の基板パネルを表す)、ここで、加熱された輸送セクション12およびマニホルド14の一部分は、この図において減圧として表される、蒸着チャンバの排気可能な領域内にある。供給源10’の外側部分(この蒸着チャンバが同様に開かれ、この図において大気として表されることを必要とせずに、大気に対して選択的に開放可能であり得る、蒸着チャンバの外側に位置する)は、るつぼ11および加熱された輸送セクション12の外側部分を収容する区画を有する。蒸着チャンバの外側のこれらの部分は、図において左に延びる、3つの最も短い構造的延長部として示される、3つの水ライン接続部を介して、人員の安全のために水冷される。図1Bの左の延びる、残っているより長い延長部分は、電気コネクタである。この部分的に外部の材料供給源エバポレーターの配置が、以下により十分に説明される。
【0015】
るつぼ11内に位置する蒸発物質材料種の充填物の加熱の均一性と、比較的迅速な温度変化との両方を改善する際に、このるつぼの中の材料充填物(代表的はに、粉末または固体の塊の形態)は、高い熱伝導性のシートまたは箔(これもまた、このるつぼ内に提供され得る)との良好な熱接触を有するように、分配される。充填物材料の熱均一性を増加させるためのいくつかの例は、図2Aおよび2Bの斜視図に示される、るつぼ代替物に示される。代替的なるつぼ11’は、その最も単純な形態において、図2Aに示される螺旋コイル11”を有するか、またはおそらく、複数のコイルを有し、これらのコイルは、高い熱伝導性の金属から作製され、そしてるつぼ11’が蒸発性材料種で満たされる前に、るつぼ11’の中に位置決めされる。さらなる代替において、別の代替的なるつぼ11’’’は、その代わりに、図2Bに示されるような金属板11ivまたは金属メッシュによって区分けされて、蒸発可能な材料種の全てが等しく加熱されることを促進し得る。穿孔が、これらのプレートに作製され得、その結果、るつぼ内の材料の気化から生じる蒸気の流れが、妨害されない。熱分解性窒化ホウ素(PBN)または高い熱伝導率を有する他の材料もまた、この目的で、これらのプレートにおいて、金属の代わりに使用され得る。
【0016】
注入器マニホルド14の出口開口部分15の位置のパターンは、蒸着チャンバ内の基板パネルの実質的に均一なコーティングを提供するように、配列される。このパタンを決定する際に、フラックス分布のシミュレーションが、代表的には、最初に実施され、そのいくつかの結果が、図3のグラフにおいて、開口部分の数の3つの変動および位置のパターンについて、示されている。ここで、プロット1、2および3は、各角部に1つの穴を有する4つ穴パターン(プロット2);同じ開口面積のさらなる穴を中心に有する、5つ穴パターン(プロット3);および5つ穴パターンであるが、より小さい直径の中心穴を有する(プロット1)に対応する。厚さの変動のかなりの平滑化が、出口開口部分の数、位置およびサイズを適切に選択することによって、実現され得る。
【0017】
このようなフラックス分配シミュレーションは、マニホルドの出口開口部のパターンの適切な選択に対する指針を提供する。基本的なアプローチは、シミュレーションおよび厚さ較正の補助によって構築された、複数のセットのパターンを使用することである。主要な穴のパターンは、主要なフラックスを提供し、このパターンは、依然として、比較的大きい蒸着の不均一性をもたらし得る。この主要なパターンの穴のセットは、図4Aに示されるように、マニホルド14の頂部プレートの角部の4つの穴によって表される。蒸着した層の厚さの分布は、多数の技術によって測定され得、これらの技術としては、鉄筆型の深さプロファイリング、電子顕微鏡画像化、原子間力顕微鏡検査法、光干渉分析法(光の強度の振動周期が、層の厚さと光の波長との関数である、透過測定または反射測定)が挙げられる。
【0018】
最初の試行蒸着において蒸着される層の厚さ測定の後に、別のマニホルド14’における第二のセットの出口穴のパターンが、フラックスの分布のより精密な調節を提供するために使用され得る。図4Bにおいて、これは、より小さい開口領域を有する中心部の単一の穴によって、現される。必要であれば、シミュレーションおよび厚さの均一性の測定によって決定されるように、図4Cにおけるさらなる穴によって示される、なお別のマニホルド14”におけるさらなる第三の出口穴のパターンのセットが、なおさらに精密な調節を行うために提供され得る。本明細書に記載される、これらの複数の穴のパターンのセットは、説明のみのために与えられ、そして他の同様に精密な穴またはより精密な穴の、フラックス放出穴のパターンが、記載されたようなフラックスのシミュレーションおよび体系的な較正を使用して、見出され得る。気化した材料のフラックスの分布は、多数の変数(例えば、蒸発物質の分子量、蒸発速度、フラックス経路において加熱される表面での滞留時間、および出口穴15に隣接するマニホルドのすぐ内側の蒸発圧力)の関数として変動し得る。従って、上で概説された体系的な手順は、シミュレーションによって提供される指針と共に使用される場合、蒸着チャンバ内に提供される基板上の蒸着コーティングの、次第に精密化される均一性を可能にする。基板上の全ての蒸着物は、マニホルド14に提供される、選択されたセットにおける全ての穴からのフラックスの寄与の総合計である。このような蒸着の結果は、選択された均一性を達成するためになされ得、そしてこの均一性は、このような蒸着が起こる基板の面積全体にわたって、この基板上に蒸着した材料の平均厚さの±3%以内であり得る。この蒸着は、この基板の回転なしで、マニホルドにおける穴15の十分に複雑な配置を使用して、フラックスの空間的分布の必要な精密さをもたらし、所望の蒸着材料の分布を生じることによって起こる。これらの結果は、排出開口部分の穴が通って延びる、表面上の領域を有するように、マニホルドを、すなわち、対応するマニホルドを通しての蒸着が起こる、基板表面の範囲とほぼ一致するような大きさにされることによって、さらに補助される。
【0019】
それらの微調整を達成するときにおいて、もとの穴部15の大きさまたは向きの変化によって、結果生じたフラックス分布がさらに修正され得る。シンプルな手段は、可動カバー15’を用いることであり、そのカバーは、元の穴部15の一部またはすべてを覆うように作動され得、それによって、開口領域の大きさおよびその幾何形状が変わる。このことは、図4Dに示されており、その図では、可動カバー15’は、プロセス中において作動されると、関連付けられた穴部15の各々の可変領域を覆うようにされ得る。可動カバー15’の作動は、便利な電気的手段または機械的手段(例えば、ギア、ベローズまたはケーブル)によって達成され得、そのうちのいずれも、空気手段もしくは電気的手段によって、または別の適切な手段(例えば磁気結合手段)によって作動され得る。可動カバー15’の動作は、直線的な態様でまたは回転式の態様で生じさせられ得る。
【0020】
マニホルドの開口部に対する穴部の開口部の幾何は、それから出るフラックスを優先的に適切な空間に向けるように選択され得る。図4Eは、穴部15を示し、そこでは、出射孔の上面が平坦であるか、または穴部の対称軸に直交する。あるいは、図4Fは、異なった穴部15’’を示し、ここで、この穴部は、直線であるように示されている管によってマニホルドの表面から外向きに延びているが、曲げることが可能であり、出射孔の上面は穴部または管の対称軸に対して傾けられているすなわち斜めである。開口部は一平面に制限される必要はないが、曲がった境界へとそれを介して延びる幾何表面を有し得る。出射孔の加熱された内部表面は、それを介するフラックスを所望の方向に向ける機能を果たす。それらの開口部は、回転可能な移動を可能にする配置であり得、また、ある種の電気的、機械的、または磁気的作動手段にリンクされ得、その態様は、開口部の構造が、そのような手段を用いることによって回転させられ得るか、または選択的に角度をつけて配置され得るというものである。傾いた開口部を単純に回転させることによって、必要な場合には蒸着プロセス中においてさえ、出てくる蒸気の方向が変更され得、処理の間における連続回転によって、必要に応じて、フラックスの空間におけるさらなる平均化が提供される。別の類似の方法がフラックス分布を調節するために構想され得る。試験蒸着の後において結果として生じるフィルムのコーティングの厚みの分布をマッピングすることによって、較正がなされる。次いで、そのような穴部の全セットは、別々に、またはリアルタイムにそれ相応に調節され得る。
【0021】
蒸着された薄膜材料の所望の特性は、蒸着中に第2の材料を取り込むことによって高められ得るので、合成物を形成するために、または第1の材料にドーパントとして(微量)存在させるためには、材料蒸発源10を用いて複数の異なった材料を蒸発させる手段が必要である。一配置は、マニホルド14の出射孔15の前で各源からのフラックスが混合するように、1つ以上の源るつぼ11が同一のマニホルド14に接続されるか、または接続され得るという形態である。これは、異なった源からの材料種が異なった温度許容度を有する局面、または不要な蒸気の化学反応が起こり得る局面では、実用的ではなくあり得る。これらの局面は、幅のある加熱された輸送セクション12’を提供することによって打開され、この輸送セクションは、図5に示されるような適切な位置に配置された対応する出口穴15へとマニホルド14を介して延びる。加熱された輸送セクション12の別の部分は、マニホルド14の内部へと別の材料のフラックスを搬送するように提供され得、それから、同一のものが、図5に示されていない別の出口穴15から出ることができる。
【0022】
複数の異なった種類の蒸発物の原料物質が、この態様で蒸着チャンバ内において混合され基板上に蒸着され得る。図6Aは、この態様で2つの材料が結合される様子を示す。明確にするために、各材料源るつぼ11からの輸送セクション12および12’は1つのみしか図示していないが、このようにして任意の数の輸送セクションが提供され得る。凝縮を避ける必要がある場合において、これらの伸長部分は、独立に加熱され得、そして、適切な熱分離を用いて、各々が、独立な熱制御を有して別々に維持され得る。もしくは、マニホルド14を別個の部分に分割することによって、図6Bに示されるような区分わけされたマニホルド14ivが形成され、各部分は、別個かつ独立に加熱され、各々は熱的に分離されている。それによって、そのような部分の各々は、サブマニホルドの機能を果たし、1つ以上の蒸発材料は、真空蒸着チャンバへと出る途中で、そのサブマニホルドへと運ばれ得る。例えば、1つの蒸発材料のフラックスが、AおよびCと記号を付されたマニホルド部分に配向され得、第2の蒸発材料のフラックスが、マニホルド部分BおよびDに配向され得る。次いで、所望の出口穴15の位置において、区分わけされたマニホルド14ivから同時または連続的に、この蒸気が出現し、これらの2つの材料を組み込む均一な層が形成される。これらの材料の所望の空間分布を得るために必要と決定されたとおりに、各部分にさらなる孔が提供され得る。
【0023】
蒸着チャンバ内の有用な真空空間をさらに活用しようとすると、また、対応するるつぼ内の蒸発材料種の量の充填を容易にしようとすると、るつぼ(単数または複数)11を上記の真空蒸着チャンバの外部に配置させるという要求が生じる。適切に配置されたるつぼは、やはり、加熱された輸送セクション(単数または複数)12を介して注入マニホルド14へと接続されている必要がある。それによって、るつぼのヒータおよび関連した部分の整備または修正が容易になる。その整備または修正は、蒸着チャンバを開けることなしに、従って内部の真空を破ることなしに達成され得る。るつぼ11が大気圧にさらされることになるときにおいて、真空を破ることが避けられるべき場合において蒸着チャンバの真空レベルが適切に維持されるように構造上の配置が適合される必要がある。これは、適切に構成されている場合における上述した弁(換言すると、ニードル弁13)のメカニズムを用いることによって、シンプルに達成され得る。固定された弁座の逆方向に移動されるときにおいて真空シールを提供するニードル弁は、ニードルアクチュエータ上の接合面をともに必要とし、弁座は、滑らかなフィニッシュであり、表面の輪郭と良くマッチした状態で面している。弁のシーリング特性を高めることは、弁本体の座にガスケットまたはOリング手段を、ニードルアクチュエータがその座と接触をとるように移動される場所に追加することによって、達成され得る。
【0024】
さらに、さらなるシーリングの性能を提供することの基礎として、2つの弁が、るつぼ11からマニホルド14へのフラックスの経路に沿って直列に配置され得る。そのような弁の一方は、弁13と関連して上述したように、フラックスまたは蒸気の流れを調節し制御するために用いられ、もう一方の弁は、蒸着チャンバからの蒸気の漏れを防ぐように閉められたときにおいて、耐久性のある完全なシールを提供するために用いられる。その2つの弁の構造は、同じであり得るが、各々が材料源蒸発システムにおいて用いられときに必要とされる別個の機能上の性能に従ってかなり異なり得る。例えば、フラックスを制御する弁では、弁のニードルおよびそれの整合弁座は、より線形かつ精密な流れの制御をもたらすように成形され得る。シーリング弁では、蒸着および弁のシーリングの特性を改善するために弁が完全に閉められたときにおいて、大きな力に耐えられるような構造に作成される。
【0025】
フラックスの経路に直列に配置された上記の2つの弁を用いることによって、蒸着物のフラックスまたは蒸気の流れが、より安定し調節され得る。従って、制御弁の位置は、蒸着プロセスが終了したときにおいて、ある必要フラックスに対して固定され得る。その時点において、シーリング弁は、蒸気の漏れを防ぐために閉められ得る。制御弁の位置は変更されていないので、次の蒸着プロセスがはじまるときにおいて、シーリング弁が開かれるとすぐに、同じフラックス値が達成され得る。フラックス値を再現することは、製造環境において特に望ましい。
【0026】
上記の材料源エバポレーターのシーリング特性をさらに高めるために、ポンプ手段が、その2つの弁の間の加熱された輸送セクション12にインプリメントされ得る。両弁が閉められているときにおいて、蒸着チャンバで生じる真空と、2つの弁間の輸送セクションで生じる真空との差は、最小限に維持され得る。材料源エバポレーターの残部をメンテナンスのために、材料を充填するために、または別の理由のために除去する場合でさえ、そのような「作動ポンピング」によって、さらに蒸着チャンバの真空の完全性が確保される。その逆も、蒸着チャンバが大気へとベントされる必要がある場合において、材料源エバポレーターが適切な真空に維持され得、それによって、そこに含まれる原料物質の量が汚染されないという点において、真である。
【0027】
シーリング弁のために別のニードル弁のメカニズムを用いることの代わりには、「ゲート」弁を用いることがあり、その弁では、ブレード手段が管の断面の開空間をスライドするようにさせられる。ブレード手段が管の開口部を完全に覆ったときにおいて(閉位置)、それは、管の断面の開口部の周りで平坦なフランジの表面上のガスケットに対して押し付けられるようにされ得る。ゲート弁の主な機能は、2つの側の圧力レベルが大きく異なっている場合でさえ、2つの側を真空の意味で完全に分離することである。従って、ゲート弁は、チャンバの材料源エバポレーター側が後に大気圧にベントされる場合でさえ、所望の真空レベルに蒸着チャンバを維持するに必要な分離シールを提供し得る。必要であれば、その2つの弁の間に上述の差動ポンピング手段が取り付けられ得る。
【0028】
図7に、そのような2つの直列な弁の構成をした材料源エバポレーター10’’を模式的に示し、それは、図1Bの10’に制御(ニードル)弁13とマニホルド14との間の加熱された輸送セクション12にゲート弁13’が配置されたものを表したものである。内部の流れを制御する弁ゲートを完全に開状態に、一部開状態に、または完全に閉状態にするように設定(通常は手動により設定)されることが望まれる場合に、ゲート弁13’は、その弁を介したフラックス経路に対する所定の流路断面積の設定条件に達するように作動され得る。
【0029】
加熱された輸送セクション12の第1の固定部分12’’は、弁13に接続され、別の可動部分12’’’をゲート13’に対してシール可能に収容し得、可動部分12’’’がゲート13’から引っ込めたとき(実行される場合には通常は手動によって行われる)において、それを一部内部に移動させ得る。従って、蒸着チャンバおよび材料源エバポレーターにおいてともに真空が達成されている一方で、可動部分12’’’は、ゲート弁が閉められる前まで、邪魔にならないような位置になるように引っ込められ得る。ゲート13’は、可動部分12’’’に傷付けることなしに閉められ得、そこの真空は、ある目的で(例えば、修復または再充填)その弁のエバポレーター側から破られ得、その一方、蒸着チャンバの真空は保たれる。
【0030】
その後、蒸着チャンバの真空を有意には乱すことなしにゲート弁13’を開けることを可能にしながらエバポレーター内の真空が再び達成され得る。ゲート弁13’が開けられた後において、可動部分12’’’は、加熱された輸送セクション12の別の固定部分12ivに延ばされる。この後に延ばされた位置では、可動部分12’’’と固定部分12ivとがシールされた配置で互いにしっかりと接続され、それによって、それらの部分の間に漏れを生じさせずに、各々を介した蒸気のフラックスの通過が可能になる。
【0031】
蒸着チャンバにおける薄膜デバイスの製造に非常に有用である材料供給源エバポレータに提供され得るさらなる性能は、エバポレータの使用により生じる一定の減少の後に、るつぼ11中に先に置かれた投入種である材料の蒸発器への再投入を許容することであり、すべてが蒸着チャンバ内に以前に作られた減圧状態を妨害したり壊したりせずになされる。図8Aは、材料供給源エバポレータ10’’’を示し、このエバポレータ10’’’は図1Bの供給源10’の変形形態であり、そこでは蒸着チャンバも同様に開けられることを必要とせずに、外気に対して別々に開放可能である配置でるつぼ11を有することが示され、この配置は、薄膜蒸着が固定位置の基板上で選択的に行われ得る蒸着チャンバの排気可能領域の外側にある。変形エバポレータ10’’’は、材料投入運搬システム20有し、これはコンパートメントハウジングるつぼ11に取り付けられる。このような他の材料投入運搬システムは、この供給源が弁メカニズムを持とうと持たずとも、任意数の蒸発供給源の異なる種類の材料投入種と同種のるつぼを含む任意の1つまたは他のすべてのコンパートメントに取り付けられ得る。
【0032】
るつぼ11は、コンパートメント21の内側に配置され、材料投入運搬システム20は、図8A中に描かれる円内に位置する直線状の分離弁22によりこのコンパートメントに取り付けられ、この弁22は、蒸着プロセスが変形エバポレータ10’’’を使用して蒸着チャンバ内で行われること、および材料投入運搬システム20が変形エバポレータ10’’’から取り外されることの両方を可能にするようにコンパートメント21をシールし得る。直線状の分離弁22は、材料投入送達管23に対して十分な内部クリアランスを有し、それは図8Bにおいて部分断面図中に示され、図8A中の描かれた円の範囲内にある材料投入システム20の一部から取り出され、拡大されたものである。材料投入システム20は、材料投入管前進メカニズム24をさらに有し、これは移送チューブセクション25を通って作用して弁22を通して部分的にコンパートメント21へ送達管23を進める。材料投入チューブ26は、移送チューブセクション25に接続され、真空ポンプポート27を有し、材料投入システム20中で、独立して減圧が作られ、維持されそして壊されるように材料投入チューブ26から伸びる。
【0033】
このるつぼ蒸着材料の再投入プロセスにおいて、第1に、適当量のエバポレータ材料投入種が投入種チューブ26を通して大気圧で送達導管23の内部に置かれる。次いで、材料投入運搬システム20がシールされ、ポンプポート27を通して真空排気される。この蒸発材料が、その形状で送達導管23の内部に配置されるシールされた容器の内部に提供される場合、このシールが鋭い刃物またはピンのような機械的手段により破壊され、この容器から材料を開放し得る。このような配置は、その材料が、再投入プロセスにわたって空気または混入物にさらされることを回避可能にする。導管前進メカニズム24は、送達導管23に接続され、投入運搬システム20の外圧側から操作される機械的な配置もしくは磁気的な配置、またはそれらの組合せを通して、送達導管23は、移送チューブセクション25および分離弁22の一部を通してその中に材料投入を伴って前進し、それによって上記るつぼ11の点に到達するように、部分的にコンパートメント21の内側に存在して、この点で、導管23はるつぼ11とそれらの間の通路が実結して係合し、その結果その間の通路は終了し、前進メカニズム24の別の部分(例えば、送達管23におけるスクリューメカニズム(示されず))により送達導管23中の材料投入がるつぼ11に送り込まれ得、代表的には投入運搬システム20の大気圧側から手動で操作され得る。回転運動の線形運動への変換を提供して、材料粉末または材料の塊を導管の端からるつぼに押し出す。次いで、送達導管23は前進メカニズム24を使用して材料種投入を受容した初期位置まで取り戻され、弁22が閉じられて、この蒸着チャンバにおけるコーティングプロセスが、るつぼ11中に補充された材料種投入により再開可能となる。
【0034】
安定的で制御可能な流速を維持するために、材料蒸発供給源10中の蒸発物の流動が続く経路に沿ってある1以上の位置で流速検知デバイスが組み込まれ、その位置においてこのような流動の一部がこのセンサによってサンプリングされ得る。このようなセンサの一例は、水晶結晶モニターであり、これは、企業(例えば、www.inficon)で製造される速度をモニタリングするために一般的に使用されるセンサであり、これはモニターに蒸着された材料の関数として信号中において周波数遷移を生成する。次いで、このセンサの出力は、弁位置または供給源るつぼ温度あるいはその両方を調節することによって流動量を制御するためのフィードバック制御ループ中で使用され得る。代替的には、他のセンサ(例えば、光伝送、圧力センサおよび干渉法技術)が、光学要素をこの供給源構造に組み入れることにより材料供給源エバポレータ10に組み込まれる。
【0035】
このようなセンサの適切な配置は、一般的にインジェクターマニホルド14の吹き出し口の外側の領域内にあり、その結果蒸発物流動の一部がこのセンサを横切る。このセンサは、蒸着チャンバに作られた真空中で起動され得、その結果、最適な蒸発物の流計測を提供し得る。しかし、センサの別の望ましい位置は、その流動の大部分をサンプリングし、蒸発物は低い流速で検出されるのをより一層可能にするために、流動経路におけるさらに上流である。
【0036】
いくつかの異なる蒸発物流動の1つを制御することは、ある特定の種類の蒸発材料流動に対して、対応するセンサを敏感にすることを必要とする。このことは、その蒸発物流動に対応する加熱された移送セクション12において小さな吹き出し孔を形成することにより達成され得、その結果、その流動のほんの一部がその孔を通して抜け出し得、その近くに置かれたセンサにより計測され得る。このセンサはシールドされ得、他の種類の蒸発物から相対的に離れて配置され得る。
【0037】
図9Aは、対応する単一の蒸発物の流動へのアクセスをセンサに提供することを示し、この単一の蒸発物流動は、様々な部分の加熱された移送セクション12中で生じ、この移送セクション12は、ちょうど図6Aにおいて示される配置のように、単一種類の材料蒸発物流動を運搬するように割り当てられる。センサ30は、その材料用のるつぼ供給源11近くの加熱された移送セクション12における開口部12に配置される。同様のセンサ30は、材料用の加熱された移送セクション12の端においてマニホルド14の吹き出し開口15の近くに配置される。このような近接により、このセンサは、たいていはセクションとしての特定の一部分で生じる蒸発物流動材料を検出する。同様の構成が図9Aにおいて隣接する加熱された移送セクション12部のために考案され得、これは各センサが材料特異的であるような別のセンサを使用して別の材料蒸発物流動に割り当てられ、その結果、その材料蒸発物流動の計測は以前に記載されたセンサにより計測された材料蒸発物流動によって、それほど妨げられない。
【0038】
類似の配置は、図6Bにおいて示されるような部分的なインジェクターマニホルドを提供され得、類似の部分的なインジェクターマニホルド14ivは図9Bに示される。類似のセンサ30が、別々のマニホルドセクション中において対応するセクション吹き出し口の孔15の近くに配置され、その結果、まさに対応する一種類の材料蒸発物流動に対して高い感度を有する。図9Aおよび図9Bの配置は、小さい材料蒸発物流動値の計測に特に有用であり、さらに典型的には、低い流動値のドーパントに有用である。
【0039】
材料エバポレータ供給源10の様々なセクションの異なる温度の必要条件にしたがって、様々な流動経路構造に沿って使用される各加熱要素は、通常は選択温度でそれを維持する場合には、独立して電源を供給され、独立して制御される。これには、別個の温度コントローラを有する多くの電源を必要とし、このコントローラは、典型的には、対応するPID(proportional−integral−derivative)フィードバックループおいて実施される。しかし、すべての加熱器に対する単一電源は、高度PIDコントローラを用いて使用される有効電力スプリッタ(active power splitter)により電力分配して提供され得る。このような配置は、費用のかからないソリッドステートスイッチ(例えばパワーMOSFET(Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor))と組合せて、さらに費用効率のよい、より高い電力の電源に利用し、より低コストの実施およびより効率的な電力管理を提供する。
【0040】
このような制御システムは、図10Aにおいて模式的に図示され、ここでこのPIDコントローラは、他の場合には複数の電源のうちの対応する電源により提供される定電力と負荷iへの平均電力が等しくなるように、各スイッチi(i=1,2,...n)を開閉する。各「オン」時刻(つまり、スイッチSのデューティーサイクルt)は、図10Bに示されるように繰り返しサイクルにおける全リフレッシュ時間Tの関数を表す。電子的スイッチング時間と比較すると、個々の加熱要素の低い熱応答、および提供される出力電流のさらなる電子バッファリングは、加熱要素数を上げ、放射された電子ノイズに対する電磁妨害の法規(electromagnetic interference regulation)に従う効率的な方法を作り出す。
【0041】
ソリッドステートスイッチのデジタル制御の使用による有効電流スイッチングは、安価なデジタル信号プロセッサの使用を可能にし、各加熱器の電源制御を達成する。これにより、他の場合にはアナログ回路制御を使用してかかるであろうコストと比較して全体のコストが減る。さらに、それは、高度な温度制御適用のファジー論理アルゴリズムの実施を可能にする。さらに言えば、複数の加熱器回路の有効電流スイッチングは、緩衝力の内在的な特徴を有する。蒸着供給源における加熱器が結合システムを示すので、それは特に、この場合には有利な点であり、ここで、一つのセクションの温度は他の全てのセクションに影響を与える。
【0042】
本発明は好ましい実施形態を参照して記載されたが、当業者は、本発明の精神および範囲から逸脱することなく、形式および詳細において変更がなされ得ることを理解する。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1A】図1Aは、本発明を実施するエバポレーターの部分切取り側面図を示す。
【図1B】図1Bは、本発明を実施するエバポレーターの側面図を示す。
【図2A】図2Aは、図1の実施形態において使用可能な構成要素の斜視図を示す。
【図2B】図2Bは、図1の実施形態において使用可能な構成要素の斜視図を示す。
【図3】図3は、図1の実施形態において使用可能な様々な構成要素から得られ得る結果を示すプロットを有するグラフを示す。
【図4A】図4Aは、図1の実施形態において使用可能な様々な構成要素の上面図を示す。
【図4B】図4Bは、図1の実施形態において使用可能な様々な構成要素の上面図を示す。
【図5】図5は、図1の実施形態において使用可能な構成要素の斜視図を示す。
【図6A】図6Aは、図1の実施形態において使用可能な構成要素の斜視図を示す。
【図6B】図6Bは、図1の実施形態において使用可能な構成要素の斜視図を示す。
【図7】図7は、図1Bの実施形態におけるエバポレーターの概略側面図を示す。
【図8A】図8Aは、本発明を実施するエバポレーターの側面図を示す。
【図8B】図8Bは、本発明を実施するエバポレーターの部分断面図を示す。
【図9A】図9Aは、図1〜8の実施形態において使用可能な構成要素の斜視図を示す。
【図9B】図9Bは、図1〜8の実施形態において使用可能な構成要素の斜視図を示す。
【図10A】図10Aは、図1〜8の実施形態において使用可能なシステムのための、システムの概略図を示す。
【図10B】図10Bは、図1〜8の実施形態において使用可能なシステムのための、システム操作の局面を示すグラフを示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
蒸発される材料が基材上に堆積される、排気可能な内部堆積チャンバとの使用のための、材料供給源エバポレータであって、該エバポレータは、以下:
コンテナであって、排出ポートを備え、そして該コンテナ中に供給される蒸発可能な材料を加熱して該材料の蒸気を該排出ポートに供給し得る付随ヒータを備える、コンテナ;
マニホルドであって、投入ポートおよび複数の排出口を備え、付随ヒータを備え、該付随ヒータは、該マニホルドの該投入ポートを通って該マニホルド内に供給される該材料の蒸気を加熱して該排出口を通って出るために、十分に蒸気の状態を維持し得、該排出口は、該マニホルド中で、固定位置で隣接する該基材上に該材料の蒸気の層状の堆積物を生じる、該材料の蒸気の空間分布を提供するように選択されたパターンで存在し、その結果、該層は、該基材にわたって達成された該層の平均厚さの3%以内の十分に均一な厚さを有する、マニホルド;ならびに
該コンテナの排出ポートと該マニホルドの投入ポートとの間に延びる輸送配管
を備える、エバポレータ。
【請求項2】
請求項1に記載の装置であって、少なくとも1つの前記排出口が、平滑な幾何学的表面に対する垂直部分を有し、該排出口により提供され、開口部周囲の境界に接続される、穴開口部にわたって延びるとみなされる表面を有し、該垂直部分が、ある角度において該排出口が位置する該マニホルドの壁まで延びる、装置。
【請求項3】
請求項1に記載の装置であって、前記排出口の少なくとも1つは、該排出口によって提供される穴開口部の少なくとも一部を選択的に覆うように移動し得る該排出口部に配置された移動可能なカバーを有する、装置。
【請求項4】
請求項1に記載の装置であって、投入部および排出部を有し、該装置の該投入部と該排出部との間の蒸気流動の速度を選択的に制限するように調節可能である流動制御弁をさらに備え、前記コンテナ排出ポートと該マニホルド投入ポートの間を延びる前記輸送配管が、該流動調節弁を前記コンテナ排出ポートと前記マニホルド投入ポートとの間の蒸気流動の速度を調節するために該輸送配管内に配置させる、装置。
【請求項5】
請求項1に記載の装置であって、前記コンテナが、該コンテナ内に堆積した前記任意の蒸発可能な材料に加えて、該蒸発可能な材料よりもかなり高い温度でのみ蒸発可能な高熱伝導性材料を含有する、装置。
【請求項6】
請求項1に記載の装置であって、前記コンテナが、第1のコンテナであり、そして第2のコンテナをさらに備え、該第2のコンテナは、排出ポートを有し、そして該コンテナ内に提供される、蒸発可能な材料を加熱して該排出ポートにおいて該蒸発可能な材料の蒸気を提供可能な付随ヒータを備え、前記輸送配管が、該第1のコンテナの排出ポートおよび第2のコンテナの排出ポートと前記マニホルドの投入ポートとの間に延びる、装置。
【請求項7】
請求項1に記載の装置であって、前記コンテナが、第1のコンテナであり、前記マニホルドの投入ポートが、第1の投入ポートであり、該マニホルドが、第2の投入ポートを有し、その結果、前記付随ヒータが、該マニホルドの該第2の投入ポートを通して該マニホルド中に供給される前記材料の蒸気を加熱して、前記排出口を通るために、十分な蒸気状態を維持し、そしてさらに、排出ポートを有する第2のコンテナを備え、該第2のコンテナは、該コンテナ内に供給された蒸発可能な材料を加熱し、該排出ポートにて該コンテナの蒸気を提供し得る付随ヒータを有し、前記輸送配管が、該第1のコンテナおよび第2のコンテナの排出ポートと該マニホルドの第1の投入ポートおよび第2の投入ポートとの間にそれぞれ延びる、装置。
【請求項8】
請求項1に記載の装置であって、前記輸送配管が、その中に小さな開口部を有し、そして、該小さな開口部の外側に隣接して配置される蒸発物質材料センサをさらに備える、装置。
【請求項9】
請求項1に記載の装置であって、前記マニホルドの対応する前記排出口により提供される、穴開口部の外側に隣接して配置される蒸発物質材料センサをさらに備える、装置。
【請求項10】
請求項1に記載の装置であって、前記マニホルドおよび前記輸送配管の少なくとも1つに配置される温度センサをさらに備える、装置。
【請求項11】
蒸発される材料が基材上に堆積される、排気可能な内部堆積チャンバとの使用のための、材料供給源エバポレータであって、該エバポレータは、以下:
複数のコンテナであって、各々が排出ポートを備え、そして該コンテナ中に供給される蒸発可能な材料を加熱して該蒸発可能な材料の蒸気を該コンテナの該排出ポートに供給し得る該コンテナに連結した付随ヒータを備える、コンテナ;
少なくともある程度で互いに断熱された複数のサブマニホルドを備えたマニホルドであって、該サブマニホルドの各々が、投入ポートおよび複数の排出口、付随ヒータを備え、該付随ヒータは、該サブマニホルドの該投入ポートを通って該サブマニホルド内に供給される該材料の蒸気を加熱して、該サブマニホルド内の該排出口を通って出るために十分に蒸気の状態を維持し得る、付随ヒータ、を有するマニホルド;ならびに
該複数のコンテナの1つの該排出ポートと該複数のサブマニホルドの対応する1つの該投入ポートとの間に各々延びる複数の輸送配管
を備える、エバポレータ。
【請求項12】
蒸発される材料が基材上に堆積される、排気可能な内部堆積チャンバとの使用のための、材料供給源エバポレータであって、該エバポレータは、以下:
複数のコンテナであって、各々が、排出ポートを備え、そして該コンテナ中に供給される蒸発可能な材料を加熱してその蒸気を該コンテナの該排出ポートに供給し得る該コンテナに連結した付随ヒータを備える、コンテナ;
マニホルドであって、複数の投入ポートおよび複数の排出口を備え、該マニホルドを加熱可能な付随ヒータを有する、マニホルド;ならびに
複数の輸送配管であって、各々が、該複数のコンテナの対応する1つの該排出ポートと、該マニホルドの該複数の排出口の対応する1つとの間で、該投入ポートを通って該マニホルド内の該複数の排出口のうちの対応する1つへと延び、該ヒータが、複数の輸送配管の対応する1つに供給される該コンテナの該排出ポートからの該材料の蒸気が、該マニホルドに対応する該排出口の対応する該1つに通るために十分な蒸気状態に維持するように、該マニホルドを加熱するために該マニホルドに付随する、輸送配管
を備える、エバポレータ。
【請求項13】
蒸発される材料が基材上に堆積される、排気可能な内部堆積チャンバとの使用のための、材料供給源エバポレータであって、該エバポレータは、以下:
該堆積チャンバの外部であるが、該堆積チャンバに接続され、シール可能な排気可能な区画に配置されるコンテナであって、該コンテナは、排出ポートを備え、そして、該コンテナ内に供給される蒸発可能材料を加熱して該材料の蒸気を該排出ポートに供給可能な付随ヒータを有する、コンテナ;
該堆積チャンバの該排気可能な内部内に位置する領域内に配置可能なマニホルドであって、該マニホルドは、投入ポートおよび複数の排出口を有し、そして該マニホルドの該投入ポートを通って該マニホルド内に供給される該材料の蒸気を加熱し、該排出口を通って出るために蒸気状態を十分に維持し得る付随ヒータを有する、マニホルド;
該コンテナの排出ポートと該マニホルドの投入ポートの間に延びる輸送配管;ならびに
該区画の外部にあるが、該区画に接続され、シール可能な材料注入ポートを備えた排出可能な供給器であって、該供給器は、るつぼに係合可能な該材料輸送器を有し、該供給器は、該材料注入ポートを通して該輸送器内に挿入される選択された材料を有し得、該るつぼに係合している該材料輸送器が、該輸送器内の任意の該選択された材料を該るつぼに輸送作動するように可能である、供給器
を備える、エバポレータ。
【請求項14】
蒸発される材料が基材上に堆積される、排気可能な内部堆積チャンバとの使用のための、材料供給源エバポレータであって、該エバポレータは、以下:
コンテナであって、該コンテナは、排出ポートを備え、そして、該コンテナ内に供給される蒸発可能材料を加熱して該材料の蒸気を該排出ポートに供給可能な付随ヒータを有する、コンテナ;
マニホルドであって、投入ポートおよび複数の排出口を有し、そして該マニホルドの該投入ポートを通って該マニホルド内に供給される該材料の蒸気を加熱し、該排出口を通って出るために蒸気状態を十分に維持し得る付随ヒータを有する、マニホルド;
1対の流れ制御弁であって、該制御弁の各々は、投入部および排出部を有し、該調節弁の該投入部と該排出部との間の蒸気流動の速度を選択的に制限するために調節可能である、制御弁;ならびに
該コンテナ排出ポートと該マニホルド投入ポートとの間に延びる輸送配管であって、該1対の流れ調節弁が、該マニホルド投入ポートとの間の蒸気流れの速度を制御するために、該コンテナ排出ポートと該配管内に配置される、輸送配管
を備える、エバポレータ。

【図1A】
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【図1B】
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【図2A】
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【図2B】
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【図3】
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【図4A】
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【図4B】
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【図4C】
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【図4D】
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【図4E】
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【図4F】
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【図5】
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【図6A】
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【図6B】
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【図7】
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【図8A】
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【図8B】
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【図9A】
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【図9B】
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【図10A】
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【図10B】
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【公表番号】特表2007−500794(P2007−500794A)
【公表日】平成19年1月18日(2007.1.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−533178(P2006−533178)
【出願日】平成16年5月17日(2004.5.17)
【国際出願番号】PCT/US2004/015530
【国際公開番号】WO2004/105095
【国際公開日】平成16年12月2日(2004.12.2)
【出願人】(505424952)エスブイティー アソーシエイツ インコーポレイテッド (1)
【Fターム(参考)】