説明

薬剤分包装置

【課題】払出情報を効率良く入力できる薬剤分包装置を提供することを課題とする。
【解決手段】
薬剤が収容されると共に識別手段4を備えた複数の薬剤容器20をそれぞれ装着すべく棚状に構成され、処方データに対応する薬剤を、前記薬剤容器20から供給する薬剤供給手段2と、前記薬剤容器20の識別手段4を読み取る読取手段7と、前記薬剤容器20の装着位置に対応した複数の欄110からなる画面を表示する画面表示手段11aと、を備え、薬剤容器20の装着位置と当該薬剤容器20の識別手段4との対応関係に基づいて、前記画面表示手段11aに表示した画面の各欄110に対応する薬品名を割り当てて表示し、該画面表示手段11aに画面を表示した状態で、薬品名が表示された欄110を操作することにより、前記画面とは別に入力画面を表示し、該入力画面での操作により、服用時点及び投薬量に関するデータを入力可能とするように構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、薬剤分包装置に関し、特に、薬剤容器の装着位置を固定化することにより、設定の手間やミスを軽減し得ると同時に、処方データに対応する薬剤が収容された薬剤容器が、前記固定化された位置に装着されていない場合には、間違いなく装着し得るための案内手段を提供し、さらには、固定化された薬剤容器の装着位置を使い勝手等に応じて適宜変更することが可能な薬剤分包装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、錠剤等の薬剤を収容した薬剤容器をそれぞれ薬剤供給手段に装着し、当該薬剤供給手段から処方に対応する薬剤を選択的に供給して1分包づつ自動的に包装する薬剤分包装置が種々提供されている。
【0003】
この種の薬剤分包装置のうち、代表的な薬剤分包装置においては、まず、処方に対応する薬剤が収容された薬剤容器を収納棚等から選択して取り出した後、当該選択した薬剤容器を薬剤供給手段に装着する。次に、薬剤供給手段の装着位置に設けられた操作パネルを使用して、処方に対応する分包データを入力し記憶させる。処方に対応する薬剤容器が複数必要である場合には、以上の動作を各薬剤容器毎に繰り返した後、操作パネルのスタートキーを押せば、前記記憶された分包データに応じた分包動作が開始される構成となっている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従って、従来の薬剤分包装置は、薬剤容器の装着位置が固定化されていないため、自由度が高い反面、薬剤容器を装着した位置の操作パネルによって、当該装着した薬剤容器に収容された薬剤の分包データを処方に応じてその都度入力しなければならず、設定に手間が掛かる上、入力ミス等の間違いが生じ易いという問題がある。
【0005】
また、薬剤容器の使用頻度(当該薬剤容器に収容された薬剤の使用頻度に相当する)を記憶する手段を特に設けていないため、使用頻度の多い薬剤容器(薬剤)については、薬剤の補給等の便宜を図るべく、手の届きやすい薬剤供給手段の下部に装着するといった工夫を凝らすことは、専ら調剤師等各個人の経験や勘に頼るしかなく、客観性に乏しいという問題もある。つまり、処方箋等を整理すれば、各薬剤の使用頻度を抽出することができるものの、極めて手間が掛かるため、前述のように、調剤師等の経験や勘に頼っているのが実情である。
【0006】
本発明は、斯かる従来技術の問題点を解決するべくなされたもので、薬剤容器の装着位置を固定化することにより、設定の手間やミスを軽減し得ると同時に、処方データに対応する薬剤が収容された薬剤容器が、前記固定化された位置に装着されていない場合には、間違いなく装着し得るための案内手段を提供し、さらには、固定化された薬剤容器の装着位置を、客観性の高い指標を元に、使い勝手等に応じて適宜変更することが可能な薬剤分包装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る薬剤分包装置は、薬剤が収容されると共に識別手段を備えた複数の薬剤容器をそれぞれ装着すべく棚状に構成され、処方データに対応する薬剤を、前記薬剤容器から供給する薬剤供給手段と、前記薬剤容器の識別手段を読み取る読取手段と、前記薬剤容器の装着位置に対応した複数の欄からなる画面を表示する画面表示手段と、を備え、薬剤容器の装着位置と当該薬剤容器の識別手段との対応関係に基づいて、前記画面表示手段に表示した画面の各欄に対応する薬品名を割り当てて表示し、該画面表示手段に画面を表示した状態で、薬品名が表示された欄を操作することにより、前記画面とは別に入力画面を表示し、該入力画面での操作により、服用時点及び投薬量に関するデータを入力可能とするように構成されていることを特徴とする。
【0008】
また、前記薬剤供給手段から供給される薬剤を包装する分包手段と、前記薬剤容器の装着位置と当該薬剤容器の識別手段との対応関係が設定登録される登録手段と、前記登録手段に設定登録した装着位置と識別手段とに基づいて、前記画面表示手段に表示した画面の各欄に対応する薬品名を割り当てて表示する制御手段と、を更に備え、前記制御手段は、前記画面表示手段に画面を表示した状態で、薬品名が表示された欄を操作することにより、前記画面とは別に入力画面を表示させ、該入力画面での操作により、服用時点及び投薬量に関するデータを入力可能とすることが好ましい。
【0009】
更に、前記画面表示手段に表示した画面の各欄には、薬品名を表示する領域のほかに、前記入力画面での操作によって入力された服用時点及び投薬量を表示するマス目を表示可能とし、前記制御手段は、前記マス目に、前記入力画面での操作により入力されたデータを表示させることが好ましい。
【0010】
また更に、前記薬剤容器の識別手段と装着位置との対応関係が設定されていない場合、前記画面表示手段は、前記画面とは別に、他の薬品を選択可能に表示させることが好ましい。
【0011】
また、前記薬剤供給手段は、予め薬剤容器に収容される薬剤の種類に応じて装着位置が設定されており、該設定された装着位置のいずれかの装着位置に、前記予め設定された薬剤以外の薬剤が収容された薬剤容器が装着された場合、前記画面表示手段に装着エラー表示させることが好ましい。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】図1は、本発明に係る薬剤分包装置の一実施形態を示す概略外観図である。
【図2】図2は、図1に示す薬剤分包装置のシステム構成図である。
【図3】図3は、図1に示すタッチパネルに表示される画面の一例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、添付図面を参照しつつ、本発明の一実施形態について説明する。図1は、本発明に係る薬剤分包装置の一実施形態を示す概略外観図であり、図2は、図1に示す薬剤分包装置のシステム構成図である。図1又は図2に示すように、本実施形態に係る薬剤分包装置1は、薬剤が収容された薬剤容器20が所定位置に装着され、処方データに対応する量だけ薬剤を供給する薬剤供給手段2と、薬剤供給手段2から供給される薬剤を1分包づつ包装する分包手段3と、薬剤容器20に設けられた識別手段4と、薬剤容器20の装着位置に設けられた表示手段5と、薬剤容器20の装着位置と当該薬剤容器20の識別手段4との対応関係が設定登録された登録手段6と、薬剤供給手段2に装着された薬剤容器20の識別手段4を読み取る読取手段7と、処方データに対応する識別手段4が設けられた薬剤容器20の装着位置を登録手段6から読み出し、当該読み出した装着位置に装着された薬剤容器20の識別手段4を読取手段7に読み取らせる制御手段8と、薬剤容器の使用頻度を更新記憶する記憶手段9と、薬剤容器20が予備的に収納され、薬剤容器20の収納位置に表示手段が設けられた収納棚10を備えている。なお、登録手段6は、処方データを登録する機能をも奏しており、処方データ等を入力するためのタッチパネル11aやキーボード11bからなる入力手段11が制御手段8を介して接続されている。
【0014】
薬剤容器20は、公知の物と同様に、すり鉢状の底部を備えたカセット式の錠剤収容ケ−スと、該収容ケースの底部に回転自在に取り付けられ、外周部に複数の錠剤ポケットを有するロータと、前記収容ケースのカバーとから形成されており、棚状の薬剤供給手段2に対して前後に抜き差しすることにより脱着可能に装着されている。また、薬剤容器20には、内部に収容された錠剤を識別するための公知のマグネット形式の識別手段4が設けられており、薬剤供給手段2の各装着位置に設けられた公知の磁気センサからなる読取手段7によって読み取り可能とされている。
【0015】
また、薬剤供給手段2の薬剤容器20の各装着位置には、LEDからなる表示手段5が設置されており、後述するように、処方データに対応する薬剤の収容された薬剤容器20が本来の適正な装着位置に装着されていない場合に、点滅表示され、操作者の注意を喚起すると共に、適正な装着位置の案内手段としての機能を奏する。収納棚10の各収納位置にもLEDからなる同様の表示手段が設置されており、後述するように、処方データに対応する薬剤容器20が収納された位置のLEDが点滅表示され、操作者の注意を喚起し、案内手段としての機能を奏する。
【0016】
さらに、登録手段6及び記憶手段9は、それぞれハードディスク等、書換可能な記憶媒体から形成されておリ、ROMに記憶された所定のプログラムを実行するCPUを備えた制御手段8によってデータの読み書きが行われる。また、制御手段8は、薬剤供給手段2及び分包手段3の駆動制御や、読取手段7の読み取り制御、表示手段5の点滅表示制御等を行う機能をも奏するものである。
【0017】
以下、斯かる構成を有する薬剤分包装置1の動作について説明する。
【0018】
図3は、入力手段11としてのタッチパネル11aに表示される画面の一例を示す。図3は、処方データ(服用情報)の詳細を入力し、分包予約するための画面であり、前画面である通常設定画面(図示せず)で入力した患者ID、患者名、1日の服用回数、投与日数、用法等が、それぞれ所定の欄に表示される。また、薬品名欄110には、薬剤供給手段2の各装着位置の番号(図3の例では、「1」〜「31」)が表示され、該番号の下方には、登録されている薬品名が表示される。つまり、タッチパネル11aを使用した所定の操作により、登録手段6に予め設定登録された、薬剤容器20の装着位置と、当該薬剤容器20の識別手段4(薬品名に対応する)との関係が画面に表示されていることになる。さらに、前記薬品名の下方には、各服用時点(図3の例では、「朝」、「昼」及び「夕」)の投薬量を意味する6つのマス目が表示される(図3に示す装着位置番号「1」の例では、「朝」、「昼」及び「夕」にそれぞれ1錠づつ)。斯かる投薬量は、分包に使用する薬品名欄110をタッチすることにより表示されるテンキー入力画面(図示せず)を使用して入力される。各薬品名欄110について同様の操作をした後、「決定キー」をタッチすれば、前画面である通常設定画面に戻るように構成されている。
【0019】
なお、処方データに対応する識別手段4が設けられた薬剤容器20の装着位置が登録手段6に登録されていない場合には、図3に示す画面の「外部カセット呼び出しキー」をタッチすれば良い。これにより、薬剤供給手段2に装着されていない予備カセット(薬剤容器)20の一覧(図示せず)が表示されるため、該当する薬品(識別手段)を選択すればよい。斯かる選択により、制御手段8は、記憶手段9に記憶された薬剤容器20の使用頻度に基づき、使用頻度の最も低い薬剤容器20(但し、現在分包予約中の薬剤容器20は除く)の装着位置を登録手段6から読み出し、当該読み出した装着位置と前記処方データに対応する識別手段4とを対応づけ、新たな対応関係として登録手段6に登録するように動作する。これにより、タッチパネル11aの画面も新たな対応関係に応じて更新される。なお、薬剤容器20の使用頻度は、1回の分包につき1づつ自動的に加算して更新記憶されるものであるが、タッチパネル11aの操作により、任意に変更することも可能とされている。
【0020】
また、処方データに対応する薬剤容器20の装着位置が処方データ入力時に登録手段6に登録されているか否かに関わらず、記憶手段9に更新記憶された薬剤容器20の使用頻度に基づき、薬剤供給手段2に装着される全ての薬剤容器20について、その装着位置をソートする機能を制御手段8に具備させ、タッチパネル11aで操作できるようにしても良い。つまり、タッチパネル11aの所定のキーをタッチすることにより、制御手段8が、使用頻度の高い薬剤容器20については手の届きやすい薬剤供給手段2の下部に装着位置を設定し直し、逆に使用頻度の低い薬剤容器20については上部に装着位置を設定し直すが如く、使用頻度に基づき薬剤容器20の装着位置を自動的にソートし、各薬剤容器20のソート後の装着位置と識別手段4との対応関係を登録手段6に更新登録できるようにすれば、より一層使い勝手の良い薬剤分包装置1が提供される。
【0021】
以上のようにして、処方データの入力(分包予約)が完了する。
【0022】
次に、制御手段8は、上記のようにして入力した処方データに対応する識別手段4と、読取手段7に読み取らせた識別手段4とが一致しない場合、つまり、登録手段6に登録された対応関係と異なる位置に薬剤容器20が装着されているか、或いは、何処にも装着されていない場合、装着エラーであるとして、登録手段6から読み出した装着位置に設けられた表示手段5を点滅させる。また、前記タッチパネル11a上の該当する薬品名欄110も装着エラーを示す表示色で表示されるように構成されている。従って、斯かる点滅表示等を案内手段として、処方データに対応する薬剤容器20を適正な装着位置、つまり登録手段6に登録された装着位置に間違いなく装着し直す、或いは、装着することができる。なお、適正な装着位置に薬剤容器20が装着された場合には、前記点滅表示は消灯するように構成されている。
【0023】
さらに、制御手段8は、上記のようにして入力した処方データに対応する識別手段4と、読取手段7に読み取らせた識別手段4とが一致しない場合であって、且つ、前記処方データに対応する識別手段4が設けられた薬剤容器20が収納棚10に収納されている場合、当該収納位置に設けられた表示手段を点滅表示させるように構成されている。従って、斯かる点滅表示を案内手段として、適正な薬剤容器20を間違いなく収納棚10から取り出すことが可能である。なお、収納棚10から薬剤容器20を取り出し、適正な装着位置に装着された場合には、前記点滅表示は消灯するように構成されている。
【0024】
なお、上記のような装着エラーが複数位置で同時に発生した場合には、制御手段8は、薬剤供給手段2の全ての表示手段5を点灯させた後、1箇所のみを点滅させるように構成されている(収納棚10に収納されている場合には、収納棚10の表示手段も点滅させる)。次に、点滅している位置について適正な装着がなされた場合、当該点滅表示を消灯し、次の表示手段2の点灯を点滅に切り替えるように構成されている。以上のようにして、全ての表示手段2が消灯するまで操作を繰り返すことにより、適正な装着位置に間違いなく装着し直す、或いは、装着することが可能になる。
【0025】
以上のようにして、適正な装着位置に薬剤容器10が装着された後(この場合、処方データに対応する識別手段4と、読取手段7に読み取らせた識別手段4とが一致することになる)、制御手段8の「スタート」キー(図示せず)を押すことにより、制御手段8は、薬剤供給手段2及び分包手段3を駆動させ、これにより分包が開始される。
【0026】
なお、本実施形態では、便宜上、制御手段8が全ての制御を行う構成であるとして説明したが、本発明は無論これに限るものではない。例えば、登録手段6への装着位置と識別手段との対応関係の読み書き制御等や、記憶手段9への薬剤容器20の使用頻度更新記憶制御等は第1の制御手段が行い、薬剤供給手段2及び分包手段3の駆動制御や、読取手段7の読み取り制御、表示手段5の点灯表示制御等は第2の制御手段が行なうこととして、前述したように処方データに対応する識別手段4と、読取手段7に読み取らせた識別手段4との一致・不一致判定を行うべく、両制御手段間で所定のデータ通信を行う構成としても良い。また、本実施形態では、記憶手段9と登録手段6とを別の構成として説明したが、これに限らず、登録手段6に記憶手段9の機能を具備させて、登録手段6に薬剤容器20の使用頻度を更新記憶するように構成しても良い。
【0027】
尚、薬剤分包装置は、処方データに対応する薬剤を選択的に供給して分包する薬剤分包装置であって、薬剤が収容された薬剤容器が所定位置に装着され、処方データに対応する量だけ薬剤を供給する薬剤供給手段と、該薬剤供給手段から供給される薬剤を1分包づつ包装する分包手段と、前記薬剤容器に設けられた識別手段と、前記薬剤供給手段における薬剤容器の装着位置に設けられた表示手段と、前記薬剤容器の装着位置と当該薬剤容器の識別手段との対応関係が設定登録された登録手段と、前記薬剤供給手段に装着された薬剤容器の識別手段を読み取る読取手段と、処方データに対応する識別手段が設けられた薬剤容器の装着位置を前記登録手段から読み出し、当該読み出した装着位置に装着された薬剤容器の識別手段を前記読取手段に読み取らせる制御手段と、薬剤容器の使用頻度を更新記憶する記憶手段とを備え、前記制御手段は、前記処方データに対応する識別手段と前記処方データに対応する識別手段と、前記読取手段に読み取らせた識別手段とが一致した場合、前記薬剤供給手段及び前記分包手段を駆動させ、前記処方データに対応する識別手段と、前記読取手段に読み取らせた識別手段とが一致しない場合、前記登録手段から読み出した装着位置に設けられた表示手段を、他の装着位置に設けられた表示手段と識別可能に表示させるように構成することもできる。
【0028】
斯かる構成によれば、薬剤容器の装着位置と当該薬剤容器の識別手段との対応関係が登録手段に設定登録され、制御手段によって、処方データに対応する識別手段が設けられた薬剤容器の装着位置を前記登録手段から読み出し、当該読み出した装着位置に装着された薬剤容器の識別手段を読取手段に読み取らせ、前記処方データに対応する識別手段と、前記読取手段に読み取らせた識別手段とが一致した場合、薬剤供給手段及び分包手段を駆動させるように構成されている。つまり、薬剤容器の装着位置は、登録手段に設定登録された薬剤容器の装着位置と当該薬剤容器の識別手段との対応関係に基づき固定化されていることになる。従って、処方データが与えられた場合には、これに対応する固定位置に装着された薬剤容器を使用すれば良いため、設定の手間やミスを軽減することが可能になる。
【0029】
また、このような構成の薬剤分包装置にあっては、前記処方データに対応する識別手段と、前記読取手段に読み取らせた識別手段とが一致しない場合、制御手段が、前記登録手段から読み出した装着位置に設けられた表示手段を、他の装着位置に設けられた表示手段と識別可能に表示させるように構成されている。つまり、処方データに対応する薬剤の収容された薬剤容器が本来の適正な装着位置に装着されていない場合には、適正な装着位置に設けられた表示手段が他と識別可能に表示される。従って、斯かる表示を案内手段として、処方データに対応する薬剤容器を適正な装着位置に間違いなく装着することができる。なお、前記表示手段は、例えば、LED等の発光デバイスから構成することができ、適正な装着位置に設けられた表示手段のみを点灯や点滅させることにより、他の表示手段との識別が可能である。
【0030】
さらに、このような構成の薬剤分包装置にあっては、薬剤容器の使用頻度を更新記憶する記憶手段が備えられている。従って、記憶手段に記憶された客観性のある使用頻度に基づき、例えば、使用頻度の高い薬剤容器については手の届きやすい薬剤供給手段の下部に装着し、逆に使用頻度の低い薬剤容器については上部に装着するが如く、使い勝手等に応じて、薬剤容器の装着位置と当該薬剤容器の識別手段との対応関係を設定登録し直すことができるという利点を有する。
【0031】
好ましくは、前記制御手段は、処方データに対応する識別手段が設けられた薬剤容器の装着位置が前記登録手段に登録されていない場合、前記記憶手段に記憶された薬剤容器の使用頻度に基づき、使用頻度の最も低い薬剤容器の装着位置を前記登録手段から読み出し、当該読み出した装着位置と前記処方データに対応する識別手段とを対応づけ、新たな対応関係として前記登録手段に登録するように構成される。
【0032】
斯かる構成によれば、処方データに対応する識別手段が設けられた薬剤容器の装着位置が登録手段に未だ登録されていない場合、使用頻度の最も少ない薬剤容器の装着位置と前記処方データに対応する識別手段とを対応づけて登録することになる。つまり、処方データに対応する薬剤容器が未登録の場合、薬剤供給手段の何れかの位置に当該薬剤容器を装着することが必要になるが、かかる構成の薬剤分包装置によれば、使用頻度の最も低い薬剤容器の装着位置が新たに割り振られることになるため、使用頻度の高い薬剤容器の装着位置を割り振る場合に比べ、使用上の不都合が軽減されるという利点が得られる。
【0033】
更に好ましくは、前記薬剤容器が収納され、該薬剤容器の収納位置に表示手段が設けられた収納棚を更に備え、前記制御手段は、前記処方データに対応する識別手段と、前記読取手段に読み取らせた識別手段とが一致しない場合であって、且つ、前記処方データに対応する識別手段が設けられた薬剤容器が前記収納棚に収納されている場合、当該収納位置に設けられた表示手段を、他の収納位置に設けられた表示手段と識別可能に表示させるように構成される。
【0034】
斯かる構成によれば、処方データに対応する識別手段が設けられた薬剤容器が収納棚に収納されている場合、当該収納位置に設けられた表示手段が他と識別可能に表示されるため、斯かる表示手段を案内手段として、適正な薬剤容器を間違いなく選択し、収納棚から取り出すことが可能である。
【符号の説明】
【0035】
1…薬剤分包装置、2…薬剤供給手段、3…分包手段、4…識別手段、5…表示手段、6…登録手段、7…読取手段、8…制御手段、9…記憶手段、10…収納棚、11…入力手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
薬剤が収容されると共に識別手段を備えた複数の薬剤容器をそれぞれ装着すべく棚状に構成され、処方データに対応する薬剤を、前記薬剤容器から供給する薬剤供給手段と、
前記薬剤容器の識別手段を読み取る読取手段と、
前記薬剤容器の装着位置に対応した複数の欄からなる画面を表示する画面表示手段と、
を備え、
薬剤容器の装着位置と当該薬剤容器の識別手段との対応関係に基づいて、前記画面表示手段に表示した画面の各欄に対応する薬品名を割り当てて表示し、該画面表示手段に画面を表示した状態で、薬品名が表示された欄を操作することにより、前記画面とは別に入力画面を表示し、該入力画面での操作により、服用時点及び投薬量に関するデータを入力可能とするように構成されていることを特徴とする薬剤分包装置。
【請求項2】
前記薬剤供給手段から供給される薬剤を包装する分包手段と、
前記薬剤容器の装着位置と当該薬剤容器の識別手段との対応関係が設定登録される登録手段と、
前記登録手段に設定登録した装着位置と識別手段とに基づいて、前記画面表示手段に表示した画面の各欄に対応する薬品名を割り当てて表示する制御手段と、
を更に備え、
前記制御手段は、前記画面表示手段に画面を表示した状態で、薬品名が表示された欄を操作することにより、前記画面とは別に入力画面を表示させ、該入力画面での操作により、服用時点及び投薬量に関するデータを入力可能とすることを特徴とする請求項1に記載の薬剤分包装置。
【請求項3】
前記画面表示手段に表示した画面の各欄には、薬品名を表示する領域のほかに、前記入力画面での操作によって入力された服用時点及び投薬量を表示するマス目を表示可能とし、
前記制御手段は、前記マス目に、前記入力画面での操作により入力されたデータを表示させることを特徴とする請求項2に記載の薬剤分包装置。
【請求項4】
前記薬剤容器の識別手段と装着位置との対応関係が設定されていない場合、前記画面表示手段は、前記画面とは別に、他の薬品を選択可能に表示させることを特徴とする請求項1乃至3の何れかに記載の薬剤分包装置。
【請求項5】
前記薬剤供給手段は、予め薬剤容器に収容される薬剤の種類に応じて装着位置が設定されており、該設定された装着位置のいずれかの装着位置に、前記予め設定された薬剤以外の薬剤が収容された薬剤容器が装着された場合、前記画面表示手段に装着エラー表示させることを特徴とする請求項1乃至3の何れかに記載の薬剤分包装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate


【公開番号】特開2010−155119(P2010−155119A)
【公開日】平成22年7月15日(2010.7.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−88029(P2010−88029)
【出願日】平成22年4月6日(2010.4.6)
【分割の表示】特願2001−23898(P2001−23898)の分割
【原出願日】平成13年1月31日(2001.1.31)
【出願人】(593129342)高園産業株式会社 (232)
【Fターム(参考)】