説明

薬剤払出装置

【課題】簡単かつ安価な構成であるにも拘わらず、装置本体から薬剤トレイを取り外して薬剤の充填作業を容易に行う。
【解決手段】開閉扉11は、互いに隣接する一方の側縁部を回動可能に連結された第1平板18と第2平板19からなる。第1平板18は、他方の側縁部を扉収納部に侵入可能にガイドされる。第2平板19は、他方の側縁部の上方側に設けたスライドユニットを、棚本体28の上方部に設けたガイドレール12、13に沿ってスライド可能に支持され、棚本体28の前面から前方に向かって折り畳み可能である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、薬剤払出装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、薬剤払出装置として、例えば、次のような構成のものが公知である。
【0003】
特許文献1及び2には、薬品を整列させた状態で収容した複数のカセットをカセットホルダに取外可能に装着し、このカセットホルダを棚板に取外可能に装着できるようにした薬品収納装置が開示されている。この薬品収納装置では、カセットから薬品を取り出したり、カセットに薬品を返却したりする際、カセットの先頭に設けたセンサによって検出し、予め記憶させたデータから加減することにより、収容数を求めるようにしている。
【0004】
しかしながら、特許文献1及び2に記載された構成では、部品点数が多く、それらを組み立てる作業が必要となり、組立精度も要求される。また、薬品にはサイズの異なる種々のものがあり、それぞれについて専用のカセットが必要となる。しかも、カセットホルダもそれに合わせたものとする必要がある。このため、コストアップを招来するだけでなく、レイアウト上の自由度があまりない。さらに、薬品の数量をデータの管理により行っているので、初期設定でデータの入力作業が必要となる。そして、何等かのトラブルでデータが消失してしまえば、改めてデータの入力をし直す必要があり大変である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2001−258994号公報
【特許文献2】特開2001−198193号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、簡単かつ安価な構成であるにも拘わらず、装置本体から薬剤トレイを取り外して薬剤の充填作業を容易に行うことのできる薬剤払出装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、前記課題を解決するための手段として、
薬剤払出装置を、
前面に開閉扉を備え、側部に前記開閉板が折り畳まれた状態で収納可能な扉収納部を形成した棚本体と、
前記棚本体に引出可能に設けたトレイ支持台と、
前記トレイ支持台に取外可能に載置され、引出方向に沿って複数の薬剤を整列させた状態で収容可能な薬剤トレイと、
前記棚本体に設けられ、薬剤を収容した状態で、前記薬剤トレイを前記トレイ支持台と共に前記棚本体内に押し込んだ際、収容された薬剤を引出方向に付勢する付勢部材と、
を備え、
前記開閉扉は、互いに隣接する一方の側縁部を回動可能に連結された第1平板と第2平板からなり、前記第1平板は、他方の側縁部を前記扉収納部に侵入可能にガイドされ、前記第2平板は、他方の側縁部の上方側に設けたスライドユニットを、棚本体の上方部に設けたガイドレールに沿ってスライド可能に支持され、前記棚本体の前面から前方に向かって折り畳み可能としたものである。
【0008】
この構成により、薬剤トレイのみを取り外して複数種の薬剤の充填作業を同時に行うことができる。薬剤を収容した薬剤トレイは、棚本体から引き出したトレイ支持台に載置し、棚本体内に押し込むことによりセットすることができる。このセット状態で、薬剤トレイに収容された薬剤は、付勢部材によって付勢されて整列される。また、不使用時等には、開閉扉により棚本体を全閉にして勝手に薬剤が出し入れされることを防止することができる。したがって、劇薬や麻薬等の取扱いに注意を要する薬剤であっても安心して採用することができる。また、棚本体に収容する薬剤トレイを、全閉位置の開閉扉の背面近傍までレイアウトするようにしても、開閉扉の開閉時に邪魔になることがない。しかも、スライドユニットがガイドレールによってガイドされているので、開閉扉が勝手に全閉位置から開放されることも防止可能である。
【0009】
前記開閉扉は、折り畳み時に、第1平板と第2平板の境界部分に膨出して指の侵入を防止する弾性ガイド片からなる指詰め防止構造を備えるのが好ましい。
【0010】
この構成により、開閉扉の開閉時に、第1平板と第2平板の境界部分に指が挟まることがなく、安心して使用することができる。
【0011】
前記開閉扉は、スライドユニットに回転可能に支持された軸部と、前記第1平板に回動可能に設けられ、前記軸部に回転可能に連結された回動片とを備え、
前記開閉扉は、棚本体の前面を閉鎖する全閉位置に位置するとき、前記軸部が係止される係止受部を備えるのが好ましい。
【0012】
この構成により、簡単かつ安価な方法で、開閉扉が全閉位置から開放されることを防止することができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、薬剤トレイのみを取り外して薬剤の充填作業を行うことができるので、この充填作業を容易かつ迅速に行うことが可能となる。しかも、薬剤の充填が完了した薬剤トレイは、棚本体から引き出したトレイ支持台に載置し、棚本体内に押し込むだけでセットすることができる。その上、このセット状態では、付勢部材によって薬剤トレイ内の薬剤は前方に付勢されて整列されるので、薬剤の払出作業を、即座に、かつ、スムーズに開始することができる。また、不使用時等には、開閉扉により棚本体を全閉にして勝手に薬剤が出し入れされることを防止することができる。したがって、劇薬や麻薬等の取扱いに注意を要する薬剤であっても安心して採用することができる。また、棚本体に収容する薬剤トレイを、全閉位置の開閉扉の背面近傍までレイアウトするようにしても、開閉扉の開閉時に邪魔になることがない。しかも、スライドユニットがガイドレールによってガイドされているので、開閉扉が勝手に全閉位置から開放されることも防止可能である。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本実施形態に係る薬剤払出装置の一例を示す斜視図である。
【図2】図1の本体ユニットを示す斜視図である。
【図3】図1の薬剤収容ユニットを示す斜視図である。
【図4】図3から開閉扉を全開位置に移動させた状態を示す斜視図である。
【図5】図4の開閉扉の上方部分を示す部分斜視図である。
【図6】図4の開閉扉の上方部分及び上方側ガイドレールの一部を示す概略斜視図である。
【図7】図4の開閉扉の上方部分、上方側ガイドレール及びスライドレールの一部を示す斜視図である。
【図8】図4の開閉扉の開閉状態を示す概略平面図である。
【図9】図4の開閉扉の下方部分及びそのガイド構造を示す部分斜視図である。
【図10】(a)は開閉扉が全開引出位置に位置する状態を示す概略斜視図、(b)は収納位置に位置する状態を示す概略斜視図である。
【図11】図4に示すトレイ棚からトレイ支持台に載置した薬剤トレイを引き出した状態を示す斜視図である。
【図12】図11から薬剤トレイを取り外した状態を示す斜視図である。
【図13】(a)は図11の薬剤トレイを示す斜視図(薬剤ガイド部材は図示せず)、(b)はその薬剤トレイに薬剤を収容した状態で下方側から見た斜視図である。
【図14】(a)は図11から薬剤トレイを取り外した状態を示す斜視図、(b)はその薬剤ガイド部材及び付勢部材を示す斜視図である。
【図15】(a)は図13(a)の仕切プレートを示す斜視図、(b)は仕切プレートの一例を示す概略部分平面断面図、(c)は仕切プレートの他の例を示す図である。
【図16】本実施形態に係る薬剤払出装置のブロック図である。
【図17】本実施形態に係る薬剤払出装置による薬剤払出処理の内容を示すフローチャートである。
【図18】本実施形態に係る薬剤払出装置による薬剤払出処理の内容を示すフローチャートである。
【図19】本実施形態に係る薬剤払出装置による薬剤払出処理の内容を示すフローチャートである。
【図20】本実施形態に係る薬剤払出装置による薬剤払出処理の内容を示すフローチャートである。
【図21】本実施形態に係る薬剤払出装置による薬剤払出処理の内容を示すフローチャートである。
【図22】本実施形態に係る薬剤払出装置による薬剤払出処理の内容を示すフローチャートである。
【図23】図2の表示装置に表示されるメニュー画面を示す図である。
【図24】図2の表示装置に表示される患者選択画面を示す図である。
【図25】図2の表示装置に表示される患者選択画面(指示モード)を示す図である。
【図26】図2の表示装置に表示される払出業務画面(指示モード)を示す図である。
【図27】図2の表示装置に表示される払出業務画面(ベッド番号選択モード)を示す図である。
【図28】図2の表示装置に表示される返却業務画面を示す図である。
【図29】図2の表示装置に表示される廃棄破損業務画面を示す図である。
【図30】図2の表示装置に表示される廃棄破損明細入力画面を示す図である。
【図31】図2の表示装置に表示される充填リスト出力画面を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明に係る実施形態を添付図面に従って説明する。なお、以下の説明では、必要に応じて特定の方向や位置を示す用語(例えば、「上」、「下」、「側」、「端」含む用語)を用いるが、それらの用語の使用は図面を参照した発明の理解を容易にするためであって、それらの用語の意味によって本発明の技術的範囲が限定されるものではない。また、以下の説明は、本質的に例示に過ぎず、本発明、その適用物或いはその用途を制限することを意図するものではない。
【0016】
図1は、本実施形態に係る薬剤払出装置を示す。ここでは、薬剤払出装置は、本体ユニット1と、2つの薬剤収容ユニット2とを備えた構成となっている。
【0017】
本体ユニット1は、図2に示すように、最上段に表示装置3が設けられ、中段に処方情報印刷プリンタ4、ジャーナルプリンタ5、指紋認証装置6及びバーコードリーダ7が設けられ、下段に冷蔵庫8が設けられている。表示装置3には、後述するように、所定の表示が行われれば、各処理を実行することができるようになっている。処方情報印刷プリンタ4は、患者名やバーコードを印刷したシートを排出する。ジャーナルプリンタ5は患者情報や払出薬剤の情報等を印刷したラベルを排出する。指紋認証装置6は、薬剤払出装置の利用者が誰であるのかを特定するためのものである。但し、指紋認証装置6に代えて、静脈認証装置やIDやパスワードを入力するための入力装置等、個人認証が可能なものであれば、いずれでも採用可能である。バーコードリーダ7は、処方箋、処方情報印刷プリンタ4で印刷されたシート、ジャーナルプリンタ5で印刷されたラベル等のバーコードを読み取り、処方データ、薬剤等を特定するために利用する。冷蔵庫8には、冷蔵保存が必要とされる薬剤(例えば、ウテメリン注、アトニン、サンドスタチン等)が収容されている。
【0018】
薬剤収容ユニット2は、図3及び図4に示すように、内部に、上下方向に配置される複数のトレイ棚9を設け、各トレイ棚9に薬剤Dを収容した薬剤トレイ10を載置したものである。
【0019】
薬剤収容ユニット2は、略直方体形状で、前面開口部が開閉扉11によって開閉可能となっている。薬剤収容ユニット2の前面開口部の上下縁部には、図5、図6及び図9に示すように、上方側ガイドレール12及び下方側ガイドレール13がそれぞれ設けられている。上方側ガイドレール12は、図6に示すように、前後方向に所定間隔で設けた一対のレール12a、12bで構成されている。下方側ガイドレール13は、前面側で立ち上がった起立壁を有する断面略L字形に形成されている。
【0020】
また、薬剤収容ユニット2の一方の側縁部には、図7及び図9に示すように、上下に、後方に向かって延びる収納レール14がそれぞれ配置されている。収納レール14は溝状で、後述するように、折り畳まれた状態の開閉扉11の上下端部をガイドする。収納レール14の後端側には、開閉扉11の侵入位置を規制するストッパー15が取り付けられている。ストッパー15はウレタン等の弾性材料からなり、開閉扉11に衝撃力を与えることなく停止させる。上方側収納レールの前方側下方には収納カバー16が設けられ、開閉扉11の上端部に設けたスライドユニット20をガイドする。また、上下の収納レール14の間には、3本の補助ガイドレール17がほぼ等間隔で配置されている。さらに、上下の収納レール14の近傍には、折り畳まれた状態の開閉扉11の両面をガイドするガイドローラ14aが設けられている。ガイドローラ14aは、開閉扉11が全閉位置に位置する際、第2平板19が収納位置側へと押し込まれたとしても、その侵入を阻止するように配置されている。そして、開閉扉11を折り畳むことにより、第2平板19を支持するスライド蝶番19aによって開閉扉11とは干渉しない位置に退避するように構成されている。
【0021】
開閉扉11は、図5に示すように、ヒンジ11aにより回動可能に連結した一対の平板(第1平板18及び第2平板19)で構成されている。第1平板18及び第2平板19の上方部には、後方に向かって突出する水平壁18a及び19aがそれぞれ形成されている。第1平板18の水平壁18aには、第2平板19の連結部分とは反対側に切欠部18bが形成されている。また、第1平板18の側縁上部にはスライドユニット20が設けられている。スライドユニット20は、回転可能な一対のローラ21を2組備えており、前記薬剤収容ユニット2の上方側ガイドレール12を、開閉扉11の全閉位置から全開位置まで転動する。スライドユニット20は、ローラ21が開閉扉11の全開位置まで転動した際、前記収納カバー16によって覆われる位置まで移動する。また、スライドユニット20から下方に向かって軸部22が突出している。この軸部22は、第1平板18の側縁部に上下方向に並設した複数の回動片23に支持されている。これにより、開閉扉11を全開位置から全閉位置へと移動させると、スライドユニット20のローラ21が上方側ガイドレール12を転動し、第1平板18の水平壁18aに形成した切欠部18bに軸部22が係止するようになっている。この状態では、開閉扉11は、スライドユニット20が上方側ガイドレール12によって、第1平板18の下端部が下方側ガイドレール13によってそれぞれ前方への移動を阻止され、軸部22が切欠部18bに係止しているので、安定した全閉状態を維持する。また、開閉扉11を全閉位置から全開位置へと回動させると(扉開放動作)、軸部22が回転移動して切欠部18bとの係止状態が解除される。このため、スライドユニット20の位置が扉開放動作で変更することがなく、ローラ21がガイドレール12上をスムーズに移動可能である。
【0022】
第1平板18の前面には、図3に示すように、把手24が設けられている。この把手24は、開閉扉11を全閉位置に位置させた状態の正面視で、上縁部及び左縁部にそれぞれ指を係止して開閉扉11を動作させるための開放把持部25及び引出把持部26をそれぞれ有する。開放把持部25は、開閉扉11を平坦とする全閉位置と、2つ折りに折り畳んだ全開引出位置との間で動作させる際に把持するのに適している。引出把持部26は、図10に示すように、折り畳んだ状態で、収納位置から全開引出位置に移動させる際に把持するのに適している。
【0023】
第1平板18と第2平板19の境界部分には、図8に示すように、指詰め防止構造が採用されている。すなわち、この指詰め防止構造では、第1平板18と第2平板19の隣接する側縁部に傾斜面18c及び19cがそれぞれ形成されている。そして、第1平板18と第2平板19の隙間には、弾性ガイド片27が配置されている。弾性ガイド片27は断面略C字形で、開閉扉11を折り畳む際に第1平板18と第2平板19の隣接する側縁部の間に形成される隙間へと徐々に膨出するように配置されている。したがって、開閉扉11を全開位置から全閉位置に移動させる際、第1平板18と第2平板19の隙間には弾性ガイド片27が膨出して指が挿入できない状態となる。
【0024】
トレイ棚9は、図11に示すように、棚本体28と、その両側内面に設けたスライドレール29によって前方へと引出可能な枠体状のトレイ支持台30を備える。棚本体28には、幅方向に複数の付勢部材31が取外可能に配置されている。付勢部材31は、図14(b)に示すように、上方に開口する長尺なケーシング32に、長手方向に沿って往復移動可能に押圧部33を設けたものである。押圧部33は、ケーシング32の一方の側面部にガイドされながら、前方側端部に設けた定加重バネの付勢力を受けて前方側へと移動可能となっている。付勢部材31の前方部には、表示部としてLED34(Light Emitting Diode)が設けられ、後述するように、場面に応じて、適宜、異なる色彩で、点灯、点滅あるいは消灯する。
【0025】
このように、付勢部材31には、定加重バネ、LED等が一体化され、棚本体28に対して取外可能となっている。したがって、後述する薬剤トレイ10の仕切プレート37の取付位置に応じて自由に取付位置を変更することができる。すなわち、付勢部材31は、仕切プレート37との干渉を避けて配置されている。仕切プレート37の間隔が広いところ(幅寸法の大きい薬剤Dの場合)では、付勢部材31が複数配置されるので、たとえ重量が大きくても、薬剤の付勢状態を安定させて、先頭の薬剤を取り出しやすい位置に確実に配置することが可能となる。この場合、複数の薬剤ガイド部材38に対して、大きな1つのプッシャ部44を取り付けるようにしてもよい。なお、1つの薬剤収容空間に複数の付勢部材31が配置される場合、薬剤Dの数量を計数可能とするのは、そのうちの1つであればよい。
【0026】
トレイ支持台30は、図11に示すように、後端プレート35を備える。後端プレート35には複数の送風孔36が形成され、冷蔵庫8に使用する場合の冷気の流入のために利用される。
【0027】
トレイ棚9に収容された薬剤D(アンプル、薬瓶、あるいは、箱に収容されたもの等)の数は、定加重バネの帯状バネのドラムから引き出された部位の長さ(引出寸法)の違いによる電気抵抗の変化を検出することにより演算する。すなわち、図16に示すように、制御装置48の記憶部には予め電気抵抗の違いによる帯状バネの引出寸法と、収容される薬剤Dの幅寸法とに基づいて、収容される薬剤Dの個数を演算する。
【0028】
また、薬剤トレイ10が予め決められたトレイ支持台30に装着されるように、図示しない誤設置防止手段を設けるのが好ましい。誤設置防止手段としては、例えば、各薬剤トレイ10にそれぞれ異なる形状の装着用の突起を設け、各トレイ支持台30に前記各薬剤トレイ10の突起に対応する装着穴をそれぞれ設けた構成とすることができる。これにより、充填作業等で、トレイ支持台30から薬剤トレイ10を取り外して薬剤を充填した後、異なるトレイ支持台30に装着されるのを確実に防止することが可能となる。
【0029】
薬剤トレイ10は、図13に示すように、トレイ棚9から引き出されたトレイ支持台30に取外可能に載置される矩形枠体状のものである。薬剤トレイ10は、幅方向に複数の仕切プレート37によって仕切ることができるようになっている。仕切プレート37は、着脱可能で、その取付位置は自由に選択できるようになっている。また、各仕切プレート37の間には、図14に示すように、薬剤ガイド部材38が仕切プレート37と同様に取外可能に配置されている。各薬剤ガイド部材38は、前記付勢部材31に対応して設けられ、図示しないが、先端に設けた突起(又は溝部)が後述する抜け防止カバー37aに係合し、薬剤トレイ10から抜止されている。薬剤トレイ10は、テーブル等に載置した際、前方に向かって徐々に低くなるように、後端側の下面に突起39が設けられている。これにより、薬剤Dを自重によって前方側から整列させた状態とすることができる。また、後端側の薬剤Dは、薬剤ガイド部材38によって前方側へとガイドされ、倒れることがない。
【0030】
仕切プレート37は、厚さが約3mmに形成され、図15に示すように、一端側に係止部が係止される凹部40、他端側に係止孔に係止される凸部41がそれぞれ形成されている。これにより、仕切プレート37の取付方向を誤ることがないようになっている。仕切プレート37は、隣接するもの同士の間隔ができるだけ狭くできるように配置可能であるのが好ましい。例えば、凹凸の位置を両端部で交互に配置すれば、仕切プレート37の間隔をさらに小さく抑えることが可能となる。そして、隙間が生じるほど外径寸法の小さなアンプル等であれば、図15(b)に示すように、そのサイズに応じた厚みの大きな仕切プレート37を配置したり、あるいは、仕切プレート37の対向面(薬剤Dとの間)にスペーサ(図示せず)を配置したりすればよい。
【0031】
具体的に、厚さ約3mmの仕切プレート37を使用する場合、薬剤トレイ10の係止部と係止孔10aとを利用することになり、図15(c)に示すように、幅寸法が12mmの薬剤Dであれば、隣接する仕切プレート37間の間隔を15mmに設定せざるを得ない。このため、薬剤Dが蛇行して配置されることになり、計数結果に誤差が生じてしまう。そこで、図15(b)に示すように、仕切プレート37の厚さ寸法を大きくし、両端部の係止構造を凹凸状(両端部で凹部と凸部の位置が逆)とし、隣接する仕切プレート37の間隔を12mmとすることで、薬剤Dを一列に整列させることができ、薬剤Dの数量を正確に計数することが可能となる。
【0032】
このように、薬剤トレイ10内を仕切プレート37により仕切るようにしたので、アンプル等の外径寸法の小さな薬剤Dであっても、仕切プレート37をその側面に沿わせて配置することができ、薬剤Dが蛇行して配置される(薬剤D同士が列の幅方向に重なり合う)ことがないので、計数部31aによる適切な計数ができなくなるといった不具合の発生を回避できる。
【0033】
なお、仕切プレート37には、薬剤用の抜止ガイド片42を取付可能となっている。抜止ガイド片42は、仕切プレート37に沿って上方に延び、その後水平方向に屈曲した略L字形のものであり、水平部分で薬剤Dの上端面をガイド可能となっている。
【0034】
薬剤トレイ10の前端内面には、幅方向に複数の係止部(図示せず)が、後端内面には、図13(a)に示すように、係止孔10aがそれぞれ形成されている。これら係止部及び係止孔10aは、薬剤トレイ10に仕切プレート37を薬剤Dのサイズに合わせた任意の位置で装着するために利用する。また、薬剤トレイ10の前端及び後端には、仕切プレート37用の抜け防止カバー37aがそれぞれ設けられている。これにより、薬剤トレイ10をトレイ支持台30から取り外してテーブル等に載置したとしても、仕切プレート37が薬剤トレイ10から浮き上がって外れるといった不具合を発生させることがない。
【0035】
薬剤ガイド部材38は、図14(a)に示すように、ガイド軸43に沿ってプッシャ部44を往復移動可能に取り付けたものである。ガイド軸43の先端部には第1係止部45が形成され、後端部には第2係止部46が形成されている。第1係止部45及び第2係止部46は共に断面略C字形であるが、第1係止部45の先端部分が単なる凸状であるのに対し、第2係止部46の先端部分が幅方向に分岐している点で相違する。この形状の違いにより、薬剤トレイ10への取付方向を誤ることがないようになっている。また、プッシャ部44の底面には係止受部47が形成され、前記付勢部材31の押圧部33と係合又は接触して押圧されることにより、プッシャ部44は前方へと付勢されるように構成されている。
【0036】
薬剤トレイ10は、トレイ支持台30から取り外してテーブル等に載置した状態で、図13(b)に示すように、薬剤Dが収容される。薬剤トレイ10をトレイ支持台30に載置して棚本体28内へと移動させれば、付勢部材31の押圧部33が定加重バネの付勢力に抗して後方へと押し込まれる。そして、押圧部33と係合又は接触するプッシャ部44が、各薬剤Dを配置列の後方から最後端に位置する薬剤Dを前方に向かって押圧する。これにより、薬剤トレイ10に収容した薬剤は、前方側から隙間無く整列された状態となる。
【0037】
前記付勢部材31の計数部31aによる薬剤Dの計数処理は、図16に示すように、制御装置48で行われる。制御装置48では、ネットワークを介して入力された、あるいは、キーボード等で直接入力された処方データ、薬剤データ、あるいは、フリーモードに基づいて、後述するようにして、ラベルや薬品不足票を印刷させたり、付勢部材31のLED34の点灯状態を変化させたり、あるいは、表示装置3での表示状態を変更したりする。
【0038】
次に、前記構成を備えた薬剤払出装置の動作について、図17から図21のフローチャートに従って説明する。
【0039】
まず、薬剤払出装置の電源が投入されると(ステップS1)、表示装置3には起動画面を表示し、続いて図23に示すメニュー画面に切り替える(ステップS2)。そして、メニュー画面で各ボタンをタッチ操作することにより(ステップS3)、以下に説明する通り、薬剤Dの払出処理、薬剤Dの返却処理、薬剤Dの廃棄・破損処理、薬剤Dの充填処理、扉ロック処理、及び、割込処理を実行する。
【0040】
(薬剤払出処理)
薬剤払出処理では、処方単位で薬剤Dの払出を行う場合、薬剤単位で行う場合、及び、自由に払い出す場合のいずれかを実行できるようになっている。
【0041】
処方単位で払い出す場合、メニュー画面で、指示払出ボタンがタッチ操作されると、図24に示すように、個人認証を促す認証指示画面をポップアップ表示させる(ステップS4)。そこで、指紋認証装置6により人差し指の指紋が読み取られると、登録されているユーザであるか否かの確認を行う(ステップS5)。
【0042】
登録されているユーザであることが認証されれば、図25に示す患者選択画面に切り替える(ステップS6)。そして、該当する患者が選択(タッチ操作)されると(ステップS7)、図26に示す払出画面に切り替え(ステップS8)、薬剤Dの払出を開始可能とする(ステップS9)。但し、処方箋がある場合、そこに印刷されたバーコードをバーコードリーダ7で読み取ったり、キーボードにより処方箋番号を入力したりすることにより処方データを特定し、薬剤Dの払出処理を実行するようにしてもよい。
【0043】
薬剤Dの払出では、払出画面に薬剤名が一覧表示され、上方から順に、該当する薬剤が整列された列の付勢部材31に設けた表示部のLED34を緑色で点灯させる。これにより、薬剤師又は看護師がいずれの列から薬剤Dを払い出せばよいのかが一目で分かる。この場合、払い出し対象となる薬剤Dが複数ある場合、該当する列の全てのLED34を点灯させればよい。また、表示部をセグメント表示とし、払い出す薬剤Dの残量を表示させるようにしてもよい。
【0044】
薬剤師又は看護師の手作業により、該当する薬剤Dが薬剤トレイ10の先頭部分から取り出されると、付勢部材31により後方側の薬剤Dが前方へと押し出される。これにより、付勢部材31による薬剤Dの計数処理が実行され、薬剤Dが1つ取り出されたことが検出される。この場合、仕切プレート37によって薬剤Dは一列に整列された状態となっている。したがって、前述のような電気抵抗の変化からであっても正確に薬剤Dの残量を特定することができる。
【0045】
このようにして薬剤Dの払出が完了すれば(ステップS10)、処方情報印刷プリンタ4を駆動することにより、払い出した薬剤D(薬瓶等)に関する情報と患者情報等をラベルを印刷させる(ステップS11)。また、薬剤Dの残量が0となっているか否かによって、不足薬剤がないか否かを判断し(ステップS12)、不足薬剤があれば、薬局等のプリンタ(図示せず)にていずれの薬剤が不足しているのかを印刷させる(ステップS13)。これにより、いずれの薬剤Dを補充すればよいのかが分かる。この場合、該当する列のLED34を赤色で点灯させるようにすれば、一目でどの列に薬剤Dを補充すればよいのかが分かり便利である。
【0046】
その後、次の患者の処方データがあるか否か等に基づいて、薬剤払出処理を終了するか否かを判断する(ステップS14)。次の患者の処方データがあれば、前記ステップS6に戻って同様の処理を繰り返す。薬剤払出処理を終了する場合、前記メニュー画面に切り替えて待機状態となる。
【0047】
救急等で、処方データのない状態で薬剤Dを払い出す必要があれば、前記同様、指示払出ボタンをタッチ操作して個人認証を行い、患者選択画面で患者を選択して図26に示す払出業務画面に切り替え、払い出す薬剤Dを特定した後、薬剤Dの払出を開始すればよい。この場合、患者名が特定できていなければ、患者選択画面に代えて、図27に示すベッド番号選択画面を表示し、患者が収容されているベッド番号で患者を特定するようにしてもよい。
【0048】
また、処方データの準備ができていない場合、患者選択画面で患者を選択しても払出業務画面には切り替わらない(切り替わるデータがない)ので、そのままトレイ棚9から該当する薬剤Dを払い出すようにすればよい。この場合、付勢部材31の計数部31aで薬剤Dが払い出されたことを検出してデータを更新する。
【0049】
前記薬剤払出処理では、各列の付勢部材31に設けた計数部31aでの計数結果に基づいて、現在庫数の増減数を管理している。
【0050】
すなわち、図22のフローチャートに示すように、現在庫数が減少したか、あるいは、増加したかを判断する(ステップS61)。現在庫数が減少した場合、指示払出の対象外の列からの薬剤D(指示外)の払出であるか否かを判断する(ステップS62)。指示外の払出であるか否かは、処方箋で取り出し対象となっていない薬剤Dが収容されたいずれかの列の付勢部材31に設けた計数部31aで、薬剤Dが払い出されたことが検出されたか否かで判断する。指示外の払出であると判断されれば、表示装置3に警告表示する(ステップS63)。指示払出の対象となる列からの薬剤Dの払出であれば、その払出数が指定された払出数を超えていないか否か(払出数の超過)を判断する(ステップS64)。払出数が超過しているか否かは、該当する列の計数部31aでの計数結果に基づいて判断する。薬剤Dが処方データの払出数を超えて払い出された場合、払出数が超過したことを警告表示する(ステップS65)。指示外の払出ではなく、払出数も処方箋で指示された数量を超過していなければ、適切な払出が行われたと判断し、現在庫数を更新する(ステップS66)。
【0051】
現在庫数が増加した場合、返却が指示された列以外への返却(指示外返却)であるか否かを判断する(ステップS67)。この判断は、前記ステップS62で行ったのと同様に、薬剤Dを返却すべき列以外の付勢部材31に設けた計数部31aでの検出結果に基づいて行う。指示外返却であれば、表示装置3にその旨を警告表示する(ステップS68)。指示外返却でなければ、返却数が払い出された薬剤Dの数量を超過しているか否かを判断する(ステップS69)。この判断は、前記ステップS64で行ったのと同様に、薬剤Dを返却すべき列での計数部31aでの計数結果に基づいて行う。超過していると判断すれば、返却数が超過していることを、表示装置3に警告表示する(ステップS70)。返却先及び返却数が正しければ、適切な返却が行われたと判断し、現在庫数を更新する(ステップS66)。
【0052】
このように、各列の付勢部材31に設けた計数部31aで現在庫数の増減を検出し、その数量を計数するようにしているので、誤払出あるいは誤返却を確実に防止することができる。また、警告表示した場合、払出又は返却が適切にやり直されなければ、作業者のIDと共にその内容を記憶するようにすればよい。これにより、薬剤Dの払出及び返却の履歴を管理することができる。
【0053】
(薬剤返却処理)
一旦払い出した薬剤Dを薬剤トレイ10に返却する場合、前記ステップS3で、返却ボタンがタッチ操作されたと判断すると、図19に示すように、前記同様、個人認証画面を表示させ(ステップS21)、個人認証を経た後(ステップS22)、患者選択画面に切り替える(ステップS23)。そして、返却しようとする薬剤Dが記載された処方箋のバーコードがバーコードリーダ7で読み取られたり、患者(払出処方)選択画面で、該当する患者(処方)が特定(タッチ操作)されたりすることにより(ステップS24)、図28に示す返却業務画面に切り替える(ステップS25)。返却業務画面で、返却しようとする薬剤Dが特定されれば、返却処理を実行する(ステップS26)。ここでは、返却すべき列のLED34を点滅させる。これにより、作業者は薬剤Dの返却位置を一目で把握することができるので、返却作業を効率良く行うことが可能となる。そして、該当する列に薬剤Dが返却されると、その数量が計数されるので、データを更新する。その後、返却処理が完了すれば(ステップS27)、ジャーナルプリンタ5で返却リストを印刷させた後(ステップS28)、メニュー画面に復帰する。
【0054】
このように、前記薬剤返却処理では、処方箋や患者の特定等によって返却しようとする薬剤Dが、どの患者の処方に基づくものであるのかを特定した上で、該当する列に返却できるようにしている。したがって、薬剤Dを、確実に元の場所に返却することができる。
【0055】
(薬剤廃棄・破損処理)
アンプルが損傷したりして廃棄する必要が生じた場合、前記ステップS3で、廃棄破損ボタンがタッチ操作されたと判断すると、図20に示すように、前記同様、個人認証画面を表示させ(ステップS31)、個人認証を経た後(ステップS32)、患者(払出処方)選択画面に切り替える(ステップS33)。そして、処方箋等のバーコードがバーコードリーダ7で読み取られたり、該当する患者(処方)が選択されたりすれば(ステップS34)、図29に示すように、その患者の処方に関する廃棄破損業務画面に切り替える(ステップS35)。廃棄破損業務画面で、廃棄しようとする薬剤D、あるいは、破損した薬剤Dが選択されれば、図30に示す廃棄破損明細入力画面に切り替え(ステップS36)、廃棄破損数、廃棄破損理由等の入力を促す。これらの入力が完了すれば、その内容を記憶し(ステップS37)、再び個人認証を行う(ステップS38)。ここで、代替薬剤があるか否かを判断し(ステップS39―1)、あれば払出処理を実行した後(ステップS39−2)、なければ、そのまま薬剤Dの廃棄破損によるデータの更新を行う(ステップS39−3)。
【0056】
ところで、前記薬剤廃棄・破損処理では、代替薬剤Dの払出が必要であれば、該当する薬剤Dを払い出すことができるようになっている。この場合、廃棄又は破損された薬剤Dについて、該当する列のLED34を点灯し、払出場所を示すようにすればよい。そして、LED34は、廃棄又は破損された数量分だけ薬剤Dが払い出された時点で消灯するようにすればよい。これにより、迅速かつ確実に、廃棄又は破損した薬剤Dのみを払い出すことができる。
【0057】
(薬剤充填処理)
薬剤Dが払い出されて補充する必要が生じた場合、すなわち、前記ステップS3で、充填ボタンがタッチ操作されたと判断すると、図21に示すように、前記同様、個人認証画面を表示させ(ステップS41)、個人認証を経た後(ステップS42)、図31に示す充填リスト画面に切り替える(ステップS43)。充填リスト画面には、各列の付勢部材31に設けた計数部31aでの計数結果に基づいて、充填が必要と判断した薬剤Dを表示装置3に一覧表示させる(ステップS44)。また、一覧表示の対象となった薬剤Dについて、そのリストをジャーナルプリンタ5によって印刷させる(ステップS45)。リストを印刷された用紙には、薬剤名のほか、各薬剤Dに対応してバーコードが印刷されている。そして、このバーコードがバーコードリーダ7で読み取られれば、表示装置3の表示内容を充填業務画面に切り替える。(ステップS46)。ここで、充填しようとする薬剤Dに貼着されたラベルのバーコードを読み取り、その薬剤Dが充填するのに適切なものであるのか否かを確認した後(ステップS47)、該当する薬剤Dであれば、充填作業を行う。このとき、実際の充填時のミスを防止するため、充填対象の薬剤Dの列のLED34を点灯し、充填場所を示すようにすればよい。
【0058】
このように、充填する薬剤についても確認作業を行っているので、異なる薬剤Dが誤って充填されるといったミスを防止することができる。また、充填先を誤った場合、本来充填すべき列とは異なる列で薬剤Dの収容数が多くなったことが計数される。この場合、表示装置3にその旨すなわちエラーを表示するようにするのが好ましい。さらに、充填先は正しくても、充填数が超過することも想定される。その場合にも、同様に、薬剤Dの計数結果に基づいてエラー表示すればよい。
【0059】
なお、前記ステップS42で個人認証を行った後、充填リスト画面を表示させ、充填リストを印刷させるようにしたが、これらの処理を省略し、バーコードリーダ7で、充填しようとする薬剤Dに添付された用紙からバーコードを読み取り、直ちに充填業務画面に切り替えることにより、適宜、薬剤トレイ10の各列に薬剤Dを充填するようにしてもよい。この場合、バーコードを読み取ることにより、該当する列のLED34を点滅させるようにすればよい。これにより、充填場所を間違えることがない。
【0060】
(扉ロック処理)
前記各処理では、特に触れなかったが、個人認証が完了するまでは、開閉扉11を全閉のロック状態としておくようにしてもよい。例えば、取り扱う薬剤Dが劇薬や麻薬等のように、簡単に取り出されるのが好ましくない場合に必要となる。ここでは、個人認証の完了後、開閉扉11のロック状態を解除するようにしている。
【0061】
(割込処理)
前記薬剤払出処理等の実行中に、手術や救急の患者があり、緊急に薬剤を払い出す必要が生じた場合、割込処理を実行することが可能となっている。すなわち、画面(例えば、払出業務画面)には、割込ボタンが表示されている。そこで、この割込ボタンがタッチ操作されると、割込処理を開始する。この場合、他の処理は全て実行不可能な状態とする。割込処理では、前記薬剤払出処理と同様の処理を行う。そして、該当する薬剤の払出作業が完了すれば、個人認証処理を行った後、割込処理を終了し、元の処理に復帰する。
【0062】
なお、本発明は、前記実施形態に記載された構成に限定されるものではなく、種々の変更が可能である。
【0063】
前記実施形態では、1つの本体ユニット1と、2つの薬剤収容ユニット2とを備えた構成としたが、薬剤収容ユニット2の数はこれに限定されるものではなく、1つあるいは3以上であってもよい。また、本体ユニット1にトレイ棚9を設けるようにすれば、薬剤収容ユニット2は不要とすることもできる。
【符号の説明】
【0064】
1…本体ユニット
2…薬剤収容ユニット
3…表示装置
4…処方情報印刷プリンタ
5…ジャーナルプリンタ
6…指紋認証装置
7…バーコードリーダ
8…冷蔵庫
9…トレイ棚
10…薬剤トレイ
10a…係止孔
11…開閉扉
11a…ヒンジ
12…上方側ガイドレール
12a、12b…レール
13…下方側ガイドレール
14…収納レール
14a…ガイドローラ
15…ストッパー
16…収納カバー
17…補助ガイドレール
18…第1平板
18a、18b…水平壁
18c…傾斜面
19…第2平板
19a、19b…水平壁
19c…傾斜面
20…スライドユニット
21…ローラ
22…軸部
23…回動片
24…把手
25…開放把持部
26…引出把持部
27…弾性ガイド片
28…棚本体
29…スライドレール
30…トレイ支持台
31…付勢部材
31a…計数部
32…ケーシング
33…押圧部
34…LED
35…後端プレート
36…送風孔
37…仕切プレート
37a…抜け防止カバー
38…薬剤ガイド部材
39…突起
40…凹部
41…凸部
42…抜止ガイド片
43…ガイド軸
44…プッシャ部
45…第1係止部
46…第2係止部
47…係止受部
48…制御装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
前面に開閉扉を備え、側部に前記開閉板が折り畳まれた状態で収納可能な扉収納部を形成した棚本体と、
前記棚本体に引出可能に設けたトレイ支持台と、
前記トレイ支持台に取外可能に載置され、引出方向に沿って複数の薬剤を整列させた状態で収容可能な薬剤トレイと、
前記棚本体に設けられ、薬剤を収容した状態で、前記薬剤トレイを前記トレイ支持台と共に前記棚本体内に押し込んだ際、収容された薬剤を引出方向に付勢する付勢部材と、
を備え、
前記開閉扉は、互いに隣接する一方の側縁部を回動可能に連結された第1平板と第2平板からなり、前記第1平板は、他方の側縁部を前記扉収納部に侵入可能にガイドされ、前記第2平板は、他方の側縁部の上方側に設けたスライドユニットを、棚本体の上方部に設けたガイドレールに沿ってスライド可能に支持され、前記棚本体の前面から前方に向かって折り畳み可能となっていることを特徴とする薬剤払出装置。
【請求項2】
前記開閉扉は、折り畳み時に、第1平板と第2平板の境界部分に膨出して指の侵入を防止する弾性ガイド片からなる指詰め防止構造を備えたことを特徴とする請求項1に記載の薬剤払出装置。
【請求項3】
前記開閉扉は、スライドユニットに回転可能に支持された軸部と、前記第1平板に回動可能に設けられ、前記軸部に回転可能に連結された回動片とを備え、
前記開閉扉は、棚本体の前面を閉鎖する全閉位置に位置するとき、前記軸部が係止される係止受部を備えたことを特徴とする請求項1又は2に記載の薬剤払出装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate

【図18】
image rotate

【図19】
image rotate

【図20】
image rotate

【図21】
image rotate

【図22】
image rotate

【図23】
image rotate

【図24】
image rotate

【図25】
image rotate

【図26】
image rotate

【図27】
image rotate

【図28】
image rotate

【図29】
image rotate

【図30】
image rotate

【図31】
image rotate


【公開番号】特開2011−136212(P2011−136212A)
【公開日】平成23年7月14日(2011.7.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−70841(P2011−70841)
【出願日】平成23年3月28日(2011.3.28)
【分割の表示】特願2011−513794(P2011−513794)の分割
【原出願日】平成22年10月21日(2010.10.21)
【出願人】(592246705)株式会社湯山製作所 (202)
【Fターム(参考)】