説明

薬包帯巻取装置

【課題】薬包帯が破断しにくくなるよう薬包帯案内用ローラの形状を改良した薬包帯巻取装置を提供する。
【解決手段】薬包帯導入部25〜27aと巻取機構18との間に張力調整機構27b〜27cを導入したうえで、位置固定ローラ27a,27b,27dや遊動ローラ27cに大径ローラ27を採用する。大径ローラ27は、薬包帯12を掛けられる中間部分について軸長より直径の方が大きくなっており、その中間部分の外周面には凸部27gと凹部27hとが等ピッチで形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、一連の薬包体からなる長尺の薬包帯を巻取機構にて巻き取る薬包帯巻取装置に関する。
【背景技術】
【0002】
錠剤分包機や散薬分包機などの薬剤分包機により薬剤が分包紙に区分封入されて、その分包紙部分が薬包体になり、そのような薬包体が連なって薬包帯が出来上がる。
この薬包帯の連続性を有効利用して取り扱い易くすることにより後の監査等の作業に役立てる等のために、長尺の薬包帯を巻き取る薬包帯巻取装置が提供されている。
薬包帯巻取装置の巻取機構として、軸回転する一本の巻取軸にて薬包帯を巻き取って保持ケースに収容するものや(例えば特許文献1参照),着脱自在なリールに薬包帯を巻き付けるもの(例えば特許文献2参照),回転台の外周部の複数突起にて薬包帯を巻き取るもの(例えば特許文献3参照)が知られている。この巻取機構への薬包帯導入部には薬包帯移送経路の方向転換等に必要な案内部材が配設されており、そのような案内部材として軸回転自在な細長い円柱状のローラガイド等が用いられている。
【0003】
【特許文献1】特開平7−267225号公報
【特許文献2】特開平11−309198公報 (第1頁)
【特許文献3】特開2002−68119号公報(第1頁)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このような従来の薬包帯巻取装置では、巻取機構の巻取速度を薬剤分包機の分包速度に追従・適合させる等のことにより、薬包帯の巻取が行われている。
ところが、薬剤分包機の分包速度や始動速度を上げると、薬包帯巻取装置での速度整合・速度調整が難しくなるので、巻取機構において薬包帯に掛かる張力(テンション)の変動幅が広がり、薬包帯の張力の最大値が増大する。そして、その張力が一度でも限度を超えると、薬包帯が破断して巻き取れなくなるといった不所望な事態になる。
【0005】
このため、薬剤分包機の改良が進んで薬剤分包機の分包速度が向上してくると、薬包帯巻取装置にも、薬包帯の破断を防止するよう、薬包帯に掛かる最大張力の増加を抑える改良が必要となる。そして、その改良案の一つとして、薬剤分包機における分包紙供給機構のように張力調整機構(テンション調整機構)を付加することが考えられる。この場合、張力調整機構は、巻取機構に後置させられるのでなく前置させられるが、薬包帯を掛けたローラ等の案内部材を一定付勢力の下で遊動させることにより薬包帯の張力を安定させる役目を果たす。
【0006】
しかしながら、薬剤未収納の分包紙の供給と異なり、薬剤収納済み薬包帯の巻取では、薬包体が薬剤で膨らむがその膨らみ方が薬剤収納状態でまちまちなうえ、隣り合う薬包体同士の間には大抵ミシン目が切り込み形成されているため、既製の張力調整機構をそのまま組み込んだのでは、例え巻取機構における薬包帯の破断を回避できたとしても、巻き取り以前の段階まで破断を十分に回避できる訳ではない。具体的には、追加導入した張力調整機構における案内部材である位置固定ローラや遊動ローラのところで、薬包帯移送経路の方向転換が大きい等のため、薬包帯の破断が発生しやすい。
そこで、薬包帯案内用ローラの形状を工夫することにより、薬包帯の破断しにくい薬包帯巻取装置を実現することが、技術的な課題となる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の薬包帯巻取装置は(解決手段1)、このような課題を解決するために創案されたものであり、薬包帯を巻き取る巻取機構と、この巻取機構に前置される薬包帯案内用ローラとして位置固定ローラと遊動ローラとが設けられておりそのうち前記位置固定ローラには軸位置の固定された軸回転自在なローラが採用されており前記遊動ローラには軸位置の移動の許容された軸回転自在なローラが採用されており且つ前記遊動ローラを一定の付勢力の下で遊動させることにより前記薬包帯の張力を安定させる張力調整機構とを備えている、というものである。なお、本願において、「前置され」は「巻取時の薬包帯の移送経路に臨んで上流側に配置され」の意味である。
【0008】
また、本発明の薬包帯巻取装置は(解決手段2)、上記解決手段1の薬包帯巻取装置であって、前記位置固定ローラおよび前記遊動ローラの何れか一方または双方に、前記薬包帯を掛けられる中間部分について(薬包帯の掛からない端部までそうであっても良いが少なくとも中間部分は)軸長より直径の方が大きくなっている大径ローラが、採用されている、というものである。
【0009】
さらに、本発明の薬包帯巻取装置は(解決手段3)、上記解決手段2の薬包帯巻取装置であって、前記大径ローラにおける前記中間部分の外周面に(薬包帯の掛からない端部の外周面までそうであっても良いが少なくとも中間部分の外周面には)、周方向に見て等ピッチで径の増減する凹凸が、形成されている、というものである。
なお、凹凸のピッチは、薬包帯の各薬包体の長さに適合しているのが望ましく、一致していることが必須ではないが、なるべく近いのが好ましい。
【0010】
また、本発明の薬包帯巻取装置は(解決手段4)、上記解決手段3の薬包帯巻取装置であって、前記薬包帯を薬剤分包機の薬包帯送出口から前記張力調整機構へ導く薬包帯導入部が、前記張力調整機構に前置されている、というものである。
なお、本願において、「前置され」は「巻取時の薬包帯の移送経路に臨んで上流側に配置され」の意味である。
【0011】
また、本発明の薬包帯巻取装置は(解決手段5)、上記解決手段4の薬包帯巻取装置であって、前記薬包帯導入部に薬包帯案内用ローラとして設けられている軸位置の固定された軸回転自在な位置固定ローラにも、前記大径ローラが採用されている、というものである。
【発明の効果】
【0012】
このような本発明の薬包帯巻取装置にあっては(解決手段1)、張力調整機構が導入されているので、薬包帯に掛かる最大張力の増加が抑えられる。
したがって、この発明によれば、張力調整機構での張力安定化によって、薬包帯の破断しにくい薬包帯巻取装置を実現することができる。
【0013】
また、本発明の薬包帯巻取装置にあっては(解決手段2)、張力調整機構における薬包帯案内用ローラに、特定構造の大径ローラが採用されている。この大径ローラは、軸回転自在なローラである点では従来と同じであるが、薬包帯を掛けられる中間部分について、太さが異なっている。すなわち、太さに関しては、軸長より直径の方が大きくなっている。
そして、このような薬包帯案内用ローラの大径化によって、薬包帯の曲げ歪みが緩和されるとともに、外周面への等ピッチ凹凸形成が可能となっている。
したがって、この発明によれば、張力調整機構での張力安定化に加えて、薬包帯案内用ローラの大径化によって、薬包帯の破断しにくい薬包帯巻取装置を実現することができる。
【0014】
さらに、本発明の薬包帯巻取装置にあっては(解決手段3)、張力調整機構における薬包帯案内用ローラとしての大径ローラの中間部分について太さばかりか外周面形状まで従来と異なっている。すなわち、中間部分の外周面形状に関して、周方向に見て等ピッチで径の増減する凹凸が形成されている。
このように、薬包帯案内用ローラの大径化によって薬包帯の曲げ歪みが緩和されるとともに外周面への等ピッチ凹凸形成が可能となったことに加えて、軸回転自在なローラの外周面に好適なピッチの凹凸がつけられたことにより、薬包体の膨らんだ部分がローラ外周面の凹みに収まって、その膨らみの影響も緩和されることとなるので、分包速度等が上がっても、薬包帯の破断はなかなか発生しなくなる。
したがって、この発明によれば、張力調整機構での張力安定化に加えて、薬包帯案内用ローラの大径化・凹凸化によって、薬包帯の破断しにくい薬包帯巻取装置を実現することができる。
【0015】
また、本発明の薬包帯巻取装置にあっては(解決手段4,5)、張力調整機構の薬包帯案内用ローラだけでなく薬包帯導入部の薬包帯案内用ローラにも特定構造の大径ローラが採用されているので、巻取機構や張力調整機構はもちろん薬包帯導入部でも薬包帯の破断しにくい薬包帯巻取装置を実現することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
本発明の薬包帯巻取装置の一実施形態について、その具体的な構成を、図面を引用して説明する。図1は、(a)が薬剤分包機10に薬包帯巻取装置20を連結したところの正面図、(b)が薬包帯巻取装置20の平面図、(c)が薬包帯巻取装置20の正面図、(d)及び(e)が薬包帯巻取装置20の右側面図、(f)が薬包帯案内用の大径ローラ27の斜視図、(g)がそのAA断面図である。なお、それらの図示に際しては、簡明化等のため、ボルト等の締結具や,ヒンジ等の連結具,タイミングベルト等の伝動部材,モータドライバ等の電気回路,コントローラ等の電子回路などは図示を割愛し、発明の説明に必要なものや関連するものを中心に図示した。
【0017】
この薬包帯巻取装置20は、薬剤分包機10に連結されて(図1(a)参照)その薬包帯送出口11から送り出された薬包帯12を巻き取るものであり、そのために(図1(b)〜(e)参照)、薬包帯12を着脱可能なリール30に巻き取る巻取機構28と、巻取機構28に前置された張力調整機構27b〜27cと、張力調整機構27b〜27cに前置された薬包帯導入部25〜27aと、巻取機構28と張力調整機構27b〜27cを内部に格納し薬包帯導入部25〜27aを外付けした筐体21とを具えている。
【0018】
筐体21は、例えばステンレススチール製のフレームにステンレススチールの板金を張った箱体であり、下面にはロック付きキャスターが付設されて手押し移動も固定も自在なものとなっており、天板部分には透明なアクリル板等を嵌め込んだ開閉蓋22が設けられている。開閉蓋22には把手23が付いていて、把手23を引き上げると開閉蓋22が開くようになっている。筐体21には、電源部や制御回路を纏めた電装部29が内蔵されている他、角度θだけ傾けてベース板24も装備されている。この角度θは、薬包帯12が薬包帯送出口11から薬剤分包機10の外へ送り出されるときの傾斜角度と同じになっている。
【0019】
ベース板24は、例えばステンレススチール製の平板からなり、大部分は筐体21の内部に納まっているが、一部はベース板24の外に出ている。ベース板24のうち筐体21内装部分には張力調整機構27b〜27cや巻取機構28が装着され、ベース板24のうち筐体21外装部分には薬包帯導入部25〜27aが装着されている。
薬包帯導入部25〜27aと張力調整機構27b〜27cと巻取機構28は、いずれも巻取時の薬包帯の移送経路に臨んで設けられ、その順で上流から下流に位置している。この移送経路が薬包帯導入部25〜27aと張力調整機構27b〜27cとの間で筐体21を内外へ貫くところには、薬包帯12を挿通可能な薬包帯取込口が形成されている。
【0020】
薬包帯導入部25〜27aは、薬剤分包機10の薬包帯送出口11から送り出された薬包帯12を張力調整機構27b〜27cへ導くために、薬包帯巻取装置20を薬剤分包機10に連結するとき例えば嵌合等にて薬剤分包機10の薬包帯送出口11に位置を合わせながら係合させられる取付部25と、薬包帯案内用ローラとして二個の小径ローラ26と一個の位置固定ローラ27aとを具えている。そのうち小径ローラ26には従来の案内部材と同じく軸回転自在な細長い円柱状のローラが採用されているが、位置固定ローラ27aには後述する大径ローラ27が採用されており、小径ローラ26と位置固定ローラ27aとの間に薬包帯12を入れてから薬包帯12を位置固定ローラ27aに掛けるようになっている。
【0021】
張力調整機構27b〜27cは、薬包帯案内用ローラとして薬包帯移送経路の上流から下流へ順に配置された固定ローラ27bと遊動ローラ27cと位置固定ローラ27dとを具えており、そのうち遊動ローラ27cを一定の付勢力の下で遊動させることにより薬包帯12の張力を安定させるために、図示しない付勢機構も具えている。位置固定ローラ27b,27dは例えば筐体21の右端部に配置され、遊動ローラ27cは、筐体21内で左右へ移動可能に支持され、上記付勢機構によって常時ほぼ一定の付勢力で位置固定ローラ27b,27dから離れる向きに例えば左方に付勢されている。
【0022】
これらのローラ27b,27c,27dにも総て後述の大径ローラ27が採用されており、薬包帯導入部25〜27aの位置固定ローラ27aに掛けた薬包帯12を、位置固定ローラ27bに掛け、それから遊動ローラ27cに掛け、それから位置固定ローラ27dに掛け、それから巻取機構28のリール30に掛けるようになっている。
巻取機構28は(図1(d),(e)参照)、開閉蓋22を開けてリール30を着脱することができるようになっており、装着されたリール30を軸回転可能に支持するリール支持機構と、その回転駆動源となる電動モータとを具えている。
【0023】
大径ローラ27は(図1(f),(g)参照)、例えばプラスチック成型等にて作られるが、軸位置の固定された位置固定ローラ27a,27b,27dも、軸位置の移動の許容された遊動ローラ27cも、小径ローラ26や従来のローラと同じく軸回転自在なローラであるが、小径ローラ26や従来のローラと異なり、薬包帯12を掛けられる中間部分も含めて軸長よりも直径の方が大きくなっており、さらに該中間部分の外周面には周方向に見て等ピッチで径の増減する凹凸が形成されている。
【0024】
詳述すると、大径ローラ27は、太くされたうえ、軸回転自在な支持や軽量化のため軸心に中空27eが貫通形成され、上端部27fが薬包帯12の上昇し過ぎを防ぐため円板状に形成され、下端部27iが薬包帯12の下降防止のため鍔のような拡径円板状に形成されている。また、上端部27fと下端部27iとの間に位置する中間部分は、外周面が波状に形成されており、その外周面を一周する間に、上端部27fと同径の凸部27gと、それより径の小さい凹部27hとが、交互に発現するようになっている。
【0025】
典型的な数値例を挙げると、図示した大径ローラ27の場合、四個の凸部27gが直交四方に配され、隣り合う凸部27gの間に凹部27hが配されている。そして、薬包帯12の幅が60mmで薬包帯12の各薬包体の長さが70mmであるとすると、それに形状を適合させるために、中間部分の高さは60mm超の62〜65mm程度にされ、中間部分の直径は90mm程度にされて、凸部27gのピッチがほぼ70mmになっている。凸部27gと凹部27hとで半径の差は数mm〜十数mm程度で、膨らんだ薬包体が無理なく凹部27hに納まるようになっている。
【0026】
巻取機構28の巻取動作は、電装部29の制御回路によって自動制御され、遊動ローラ27cの位置やリール30の巻取量に応じて変化する。具体的には、遊動ローラ27cが中間位置より位置固定ローラ27b,27d寄りの場合はリール30が薬包帯12を巻き取る向きに巻取機構28の回転駆動が行われ、遊動ローラ27cが中間位置より薬包帯導入部25〜27a寄りの場合は巻取機構28の回転駆動が止められる。また、図示しないセンサで検出したリール30の巻取量が少ないときには巻取機構28の回転速度が速めにされ、巻取量が多くなると巻取機構28の回転速度が遅めにされるようになっている。
【0027】
この実施形態の薬包帯巻取装置20について、その使用態様及び動作を、図面を引用して説明する。図2は、連結前の薬剤分包機10と薬包帯巻取装置20を示し、(a)が正面図、(b)が平面図、(c)は両装置が重ならないよう位置をずらして図示した右側面図である。また、図3は、連結時の薬剤分包機10と薬包帯巻取装置20を示し、(a)が正面図、(b)が平面図、(c)が右側面図である。さらに、図4は、大径ローラ27の作用を示し、(a)が薬包帯12の外観図、(b)が大径ローラ27に薬包帯12を掛けたところの斜視図、(c)がその横断面図である。また、図5は薬剤監査装置50等の正面図である。
【0028】
薬包帯巻取装置20と薬剤分包機10は、別体であり、適宜選択した相手と連結・分離しうるものなので、連動させようとする両者が未だ分離されている場合(図2参照)、薬剤師等の作業者は、薬剤分包機10に準備動作を行わせる。そして、薬剤分包機10が薬包帯12の先頭の空送り部分を薬包帯送出口11から外へ送り出して分包準備を終えたら、作業者は、薬包帯巻取装置20のキャスターのロックを解き、薬包帯巻取装置20を手押し等にて移動させて、薬包帯巻取装置20の後部を薬剤分包機10に横付けし、それから薬包帯巻取装置20を後退させ、取付部25が薬包帯送出口11に係合したら、キャスターをロックして薬包帯巻取装置20を固定する(図3参照)。
【0029】
これで、薬包帯巻取装置20が薬剤分包機10に連結されるので、薬包帯巻取装置20の巻取機構28に空のリール30を装着し(図1(d),(e)参照)、薬剤分包機10を操作して薬包帯12を更に空送りさせ、その薬包帯12を小径ローラ26と位置固定ローラ27aとの間に入れてから薬包帯12を位置固定ローラ27aに掛け、さらに遊動ローラ27cに掛け、それから位置固定ローラ27dに掛け、最後に薬包帯12の先頭をリール30に掛けて繋ぎ止める。こうして薬剤分包機10と薬包帯巻取装置20とが連動・協動可能な状態になるので、作業者は薬剤分包機10及び薬包帯巻取装置20の動作状態を自動運転に切り替える。
【0030】
そうすると、薬剤14を区分封入した薬包体13を連ねた薬包帯12(図4(a)参照)が順に薬剤分包機10から送り出され、その薬包帯12が先頭から次々とリール30に巻き取られる。薬包帯12の先頭や後尾の部分は適当に空送りされるが、そこには、分包内容を後で特定できるよう、例えばバーコードや二次元コードからなる識別コード15が薬剤分包機10によって印刷されている。このような薬包帯12が薬剤分包機10の薬包帯送出口11から出て薬包帯巻取装置20の巻取機構28のリール30へ移送されるとき、その薬包帯移送経路に配設された張力調整機構27b〜27cによって薬包帯12の張力はほぼ一定に保たれる。
【0031】
また、その薬包帯移送経路において薬包帯12は大径ローラ27の位置固定ローラ27aや,位置固定ローラ27b,遊動ローラ27c,位置固定ローラ27dに巻き付くようにして方向を変えるが(図4(b),(c)参照)、大径ローラ27の外周面には等ピッチで凹凸が形成されており而もそのような大径ローラ27が軸回転自在に支持されているので、薬包帯12の各薬包体13は、膨らんでいるところほど自然に、大径ローラ27の中間部分の外周面の凹部27hに収まる。しかも、薬包帯12において隣り合う薬包体13,13の間の部分は、ミシン目が切り込み形成されるところであるがヒートシールされて概ね平坦になっているので、凸部27gに被さって曲げられるが、その曲げは緩やかであり而も一カ所当たり合計で90゜にすぎない。
【0032】
そのため、薬包帯12は、全体的な張力が張力調整機構27b〜27cによって安定化されるとともに、薬包体13の膨らみ具合による局所的な張力変動も大径ローラ27によって緩和されるので、めったに破断することなく、リール30に巻き取られる。
こうして、薬包帯の自動巻取が高速でも不都合なく遂行される。そして、薬包帯12が、例えば(図5参照)、手作業でリール30ごと薬包帯巻取装置20から取り外されて、やはり手作業で薬包帯供給装置40に移し替えられ、そこから薬剤監査装置50に自動供給され、監査後は薬包帯収容箱60に自動収容される。
【0033】
あるいは、図示は割愛したが、薬包帯12を巻き取ったリール30を装着したまま薬包帯巻取装置20が薬剤分包機10から手作業で分離され、薬包帯巻取装置20が手押しで移動させられ、薬包帯巻取装置20が薬剤監査装置50等の薬包帯12供給先に到着するとともに巻取機構28が逆回転するよう制御回路のモード設定等が切り替えられると、薬包帯巻取装置20が薬包帯供給装置として動作する。薬包帯巻取装置20は、上述した張力調整機構27b〜27cや大径ローラ27を具備しているので、薬包帯供給装置として動作したときも、薬包帯12に優しい。
【0034】
[その他]
なお、上記の実施形態では、薬包帯導入部25〜27aが張力調整機構27b〜27cや巻取機構28と同じくベース板24に搭載されていたが、薬包帯導入部25〜27a及びベース板24のうち筐体21の外に出て薬包帯導入部25〜27aを搭載している部分は、薬包帯巻取装置20及びベース板24から分離して別体とし、薬剤分包機10の薬包帯送出口11に着脱可能なものとしても良い。
また、上記の実施形態では、ベース板24が角度θだけ手前上がりに傾斜していたが、これは薬剤分包機10の薬包帯送出角度に適合させたものなので、薬包帯12が薬剤分包機10から水平に送り出される場合は、薬包帯巻取装置20のベース板24も水平にするのが良く、薬包帯12が薬剤分包機10から手前下がりに傾斜して送り出される場合は、薬包帯巻取装置20のベース板24も手前下がりに傾けるのが良い。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】本発明の一実施形態について、薬包帯巻取装置の構造を示し、(a)が薬剤分包機に連結したところの正面図、(b)が薬包帯巻取装置の平面図、(c)が薬包帯巻取装置の正面図、(d)及び(e)が薬包帯巻取装置の右側面図、(f)が薬包帯案内用大径ローラの斜視図、(g)がそのAA断面図である。
【図2】連結前の薬剤分包機と薬包帯巻取装置を示し、(a)が正面図、(b)が平面図、(c)が位置をずらした右側面図である。
【図3】連結時の薬剤分包機と薬包帯巻取装置を示し、(a)が正面図、(b)が平面図、(c)が右側面図である。
【図4】大径ローラの作用を示し、(a)が薬包帯の外観図、(b)が大径ローラに薬包帯を掛けたところの斜視図、(c)がその横断面図である。
【図5】薬剤監査装置等の正面図である。
【符号の説明】
【0036】
10…薬剤分包機、11…薬包帯送出口、
12…薬包帯、13…薬包体、14…薬剤、15…識別コード、
20…薬包帯巻取装置、21…筐体、22…開閉蓋、23…把手、
24…ベース板、25…取付部、26…小径ローラ(薬包帯導入部)、
27…大径ローラ、27a…位置固定ローラ(薬包帯導入部)、
27b…位置固定ローラ(張力調整機構)、27c…遊動ローラ(張力調整機構)、
27d…位置固定ローラ(張力調整機構)、27e…軸心中空、27f…上端部、
27g…凸部、27h…凹部、27i…下端部、28…巻取機構、29…電装部、
30…リール、40…薬包帯供給装置、50…薬剤監査装置、60…薬包帯収容箱

【特許請求の範囲】
【請求項1】
薬包帯を巻き取る巻取機構と、この巻取機構に前置される薬包帯案内用ローラとして位置固定ローラと遊動ローラとが設けられておりそのうち前記位置固定ローラには軸位置の固定された軸回転自在なローラが採用されており前記遊動ローラには軸位置の移動の許容された軸回転自在なローラが採用されており且つ前記遊動ローラを一定の付勢力の下で遊動させることにより前記薬包帯の張力を安定させる張力調整機構とを備えた薬包帯巻取装置。
【請求項2】
前記位置固定ローラおよび前記遊動ローラの何れか一方または双方に、前記薬包帯を掛けられる中間部分について軸長より直径の方が大きくなっている大径ローラが採用されていることを特徴とする請求項1記載の薬包帯巻取装置。
【請求項3】
前記大径ローラにおける前記中間部分の外周面に、周方向に見て等ピッチで径の増減する凹凸が形成されていることを特徴とする請求項2記載の薬包帯巻取装置。
【請求項4】
前記薬包帯を薬剤分包機の薬包帯送出口から前記張力調整機構へ導く薬包帯導入部が、前記張力調整機構に前置されていることを特徴とする請求項3記載の薬包帯巻取装置。
【請求項5】
前記薬包帯導入部に薬包帯案内用ローラとして設けられている軸位置の固定された軸回転自在な位置固定ローラにも、前記大径ローラが採用されていることを特徴とする請求項4記載の薬包帯巻取装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2007−84073(P2007−84073A)
【公開日】平成19年4月5日(2007.4.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−271351(P2005−271351)
【出願日】平成17年9月20日(2005.9.20)
【出願人】(000151472)株式会社トーショー (156)
【Fターム(参考)】