説明

薬液塗布装置

【課題】短時間で効率良く薬液の交換を行うことが可能となり、木材の防腐防蟻処理作業の作業性を向上させることができる薬液塗布装置の提供。
【解決手段】連続して供給される木材Mに薬液を塗布する薬液塗布部2と、木材Mの表面に付着した薬液以外の余分な薬液を回収する薬液回収部3と、この薬液回収部3から下方に落下排出された薬液を貯留する薬液貯留部4と、この薬液貯留部4に貯留された薬液を前記薬液塗布部2に再び循環供給させる循環装置5とを備えており、
前記薬液貯留部4は、種類の異なる薬液を貯留する複数の薬液タンク6、60を有しており、これら複数の薬液タンク6、60は、それぞれ前記薬液回収部3の直下に配置可能であるとともに前記循環装置5に接続可能であることを特徴とする薬液塗布装置1。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表面に多数の微小孔が形成された木材に防腐防蟻用の薬液を塗布するとともに、木材の種類ごとに適した薬液を塗布する薬液塗布装置に関する。
【背景技術】
【0002】
木材に対して、シロアリ、ヒラタキクイムシなどによる食害や、腐朽菌などによる腐れを防止するために、防腐防蟻処理を施すことが行われている。この防腐防蟻処理の一例として、予め木材の表面に、例えばのみ刃によって適当な間隔でのみ目を切り込んでおき、のみ目から薬液を木材内部に浸透させる方法があり、木材の表面にのみ目などの微小孔を切り込む加工がインサイジング加工と称されている。このインサイジング加工を利用して木材の内部への防腐防蟻用の薬液の浸透性を図った技術として、例えば特許文献1に記載された薬液塗布装置が知られている。
【0003】
この薬液塗布装置では、インサイジング加工された木材には、例えば、インサイジング加工された木材の表面全体に薬液を噴射塗布することで、微小孔から木材内部に薬液を浸透させるようにしている。
また、木材の表面に噴射塗布された薬液以外の余分な薬液を、一旦薬液貯留用のタンクに回収して再び循環供給させることによって、薬液の無駄を殆ど無くすようにしている。
【特許文献1】特開2000−225607号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記のような薬液は、防腐防蟻処理される木材の種類や用途によって、有効成分や濃度の異なる薬液と入れ替えるなどして、それぞれの木材に適した薬液を塗布するようにしている。
【0005】
ところが、有効成分や濃度の異なる薬液と入れ替えるには、薬液タンクに回収貯留された薬液を他の容器に移してから有効成分や濃度の異なる薬液を入れなければならず手間であった。さらに、このように薬液を入れ替える間は、防腐防蟻処理作業も長時間にわたって中断しなければならず、木材の防腐防蟻処理作業の作業性を向上させるような技術の開発が強く望まれていた。
【0006】
本発明の課題は、短時間で効率良く薬液の交換を行うことが可能となり、木材の防腐防蟻処理作業の作業性を向上させることができる薬液塗布装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に記載の発明は、例えば図1または図2に示すように、表面に多数の微小孔mが形成された木材Mに防腐防蟻用の薬液を塗布するとともに、木材Mごとに適した薬液を塗布する薬液塗布装置1において、
連続して供給される木材Mに薬液を塗布する薬液塗布部2と、
木材Mの表面に付着した薬液以外の余分な薬液を回収する薬液回収部3と、
この薬液回収部3から下方に落下排出された薬液を貯留する薬液貯留部4と、
この薬液貯留部4に貯留された薬液を前記薬液塗布部2に再び循環供給させる循環装置5とを備えており、
前記薬液貯留部4は、種類の異なる薬液を貯留する複数の薬液タンク6、60(7、70)を有しており、
これら複数の薬液タンク6、60(7、70)は、それぞれ前記薬液回収部3の直下に配置可能であるとともに前記循環装置5に接続可能であることを特徴とする。
【0008】
請求項1に記載の発明によれば、短時間で効率良く薬液の交換を行うことが可能となり、木材Mの防腐防蟻処理作業の作業性を向上させることができる。
すなわち、前記薬液塗布部2にて連続して供給される木材Mに薬液を塗布し、前記薬液回収部3にて前記木材Mの表面に付着した薬液以外の余分な薬液を回収し、前記薬液回収部3から下方に落下排出された薬液を前記薬液貯留部4に貯留し、前記循環装置5によって貯留された薬液を前記薬液塗布部2に再び循環供給させることができるので、薬液の無駄使いを防ぐことができるとともに木材Mの表面に付着させる分だけの適量の薬液を容易、かつ確実に木材Mに塗布することができる。
しかも、種類の異なる薬液を貯留する複数の薬液タンク6、60(7、70)のうち、いずれかの薬液タンク6、7を前記薬液回収部3の直下に配置するとともに前記循環装置5に接続することによって、この薬液タンク6、7に貯留された薬液を前記薬液塗布部2に供給することができ、木材Mの表面に付着した薬液以外の余分な薬液を回収して再び循環供給することができる。そして、前記薬液回収部3の直下に配置した薬液タンク6、7に換えて、この薬液タンク6、7とは異なる種類の薬液を貯留する薬液タンク60、70を前記薬液回収部3の直下に配置するとともに前記循環装置5に接続することによって、異なる種類の薬液を前記薬液塗布部2に供給することができ、木材Mの表面に付着した薬液以外の余分な薬液を回収して再び循環供給することができるようになる。
これによって、前記薬液回収部3の直下に配置される薬液タンク6、7と、この薬液タンク6、7とは異なる種類の薬液を貯留する薬液タンク60、70とを配置交換し、前記循環装置5に接続するだけで、木材Mに塗布すべき薬液の交換を簡単に行うことができるようになっているので、短時間で効率良く薬液の交換を行うことが可能となり、木材Mの防腐防蟻処理作業の作業性を向上させることができる。
【0009】
請求項2に記載の発明は、例えば図1および図3に示すように、請求項1に記載の薬液塗布装置1において、
前記複数の薬液タンク6、60には、前記薬液を排出するための排出ホース6aと、
これら排出ホース6aの中途に設けられ、前記薬液の流路を開閉するコック部6bと、
前記複数の薬液タンク6、60の各排出ホース6aの先端が取り付けられるとともに、前記循環装置5に接続される継手部材6cと、
前記複数の薬液タンク6、60をスライドさせて配置交換するスライド部6dとが設けられていることを特徴とする。
【0010】
請求項2に記載の発明によれば、前記複数の薬液タンク6、60に貯留される薬液を前記排出ホース6aから排出できるとともに、前記コック部6bによって排出される薬液の流路を開閉できる。また、前記循環装置5に接続される継手部材6cに前記複数の薬液タンク6、60の各排出ホース6aの先端を取り付けて、前記コック部6bにより、使用する薬液タンク6の薬液の流路を開けるとともに、使用しない薬液タンク60の薬液の流路を閉めておくことによって、前記複数の薬液タンク6、60のうち、いずれか1つの薬液タンク6だけから薬液を供給させることが可能となる。さらに、これら複数の薬液タンク6、60はスライド部6dによってスライドさせるだけで簡単に配置交換することができるようになっており、このように薬液タンク6、60の配置交換を行うことによって、木材Mに塗布すべき薬液を短時間で効率良く交換することができるので、異なる種類の薬液を使用することが可能となり、木材Mの防腐防蟻処理作業の作業性を向上させることができる。
すなわち、異なる種類の薬液を使用したい場合、前記スライド部6dにより、元々配置されていた薬液タンク6と前記異なる種類の薬液が貯留された薬液タンク60とをスライドさせて配置交換させ、前記コック部6bにより、薬液を使用する方の薬液タンク60の薬液流路を開けるとともに、使用しない方の薬液タンク6の薬液流路を閉めておくことにより、異なる種類の薬液が前記排出ホース6aから排出されて供給されるようになっている。
【0011】
請求項3に記載の発明は、例えば図2に示すように、請求項1に記載の薬液塗布装置1において、
前記複数の薬液タンク7、70には、前記薬液を排出するための排出管7aと、
これら排出管7aの中途に設けられ、前記薬液の流路を開閉するコック部7bと、
前記排出管7aの先端に設けられ、前記循環装置5に接続される接続部7cとがそれぞれ設けられていることを特徴とする。
【0012】
請求項3に記載の発明によれば、前記複数の薬液タンク7、70に貯留される薬液を前記排出管7aから排出することができるとともに、前記コック部7bによって排出される薬液の流路を開閉できる。また、前記排出管7aの先端に設けられた接続部7cが前記循環装置5に接続されることにより、前記薬液タンク7、70に貯留された薬液を供給することができるようになっている。そして、異なる種類の薬液を使用する場合には、前記循環装置5に接続されている方の薬液タンク7のコック部7bによって薬液の流路を閉めてから、この薬液タンク7と前記循環装置5との接続状態を解除し、その後、使用したい薬液が貯留された薬液タンク70の接続部7cを前記循環装置5に接続して、前記コック部7bによって薬液の流路を開けるようにする。
これによって、簡単に薬液タンク7、70の配置を交換することができるので、短時間で効率良く薬液の交換を行うことが可能となり、木材Mの防腐防蟻処理作業の作業性を向上させることができる。
【0013】
請求項4に記載の発明は、例えば図1または図2に示すように、請求項1〜3のいずれか一項に記載の薬液塗布装置1において、
前記循環装置5は、前記薬液貯留部4側に延出して設けられる吸引ホース5aと、
前記薬液塗布部2側に延出して設けられる吐出ホース5bと、
これら吸引ホース5aと吐出ホース5bとの間に設けられ、前記薬液貯留部4に貯留された薬液を、前記吸引ホース5aを通じて吸引するとともに前記吐出ホース5bを通じて吐出する循環ポンプ5cとを備えていることを特徴とする。
【0014】
請求項4に記載の発明によれば、前記循環ポンプ5cによって、前記吸引ホース5aを通じて前記薬液貯留部4に貯留された薬液を吸引することができるとともに、前記吐出ホース5bを通じて前記薬液塗布部2に吐出することができるので、前記薬液貯留部4に貯留された薬液を確実に前記薬液塗布部2に供給することが可能となる。
【0015】
請求項5に記載の発明は、例えば図1または図2に示すように、請求項1〜4のいずれか一項に記載の薬液塗布装置1において、
前記薬液塗布部2は、前記木材Mの表面に薬液を塗布する複数の噴射ノズル2aを備えていることを特徴とする。
【0016】
請求項5に記載の発明によれば、前記木材Mの表面に薬液を塗布する際には、前記噴射ノズル2aから薬液が勢いよく噴射されるので、十分、かつ確実に木材Mの表面に薬液を塗布することができる。
【0017】
請求項6に記載の発明は、例えば図3または図4に示すように、請求項1〜5のいずれか一項に記載の薬液塗布装置1において、
前記木材Mの表面に付着した薬液以外の余分な薬液を、前記木材Mの表面を擦ることにより除去して前記薬液回収部3に供給する除去用ブラシ3bを備えていることを特徴とする。
【0018】
請求項6に記載の発明によれば、前記除去用ブラシ3bを備えていることから、薬液の無駄使いを防ぐことができるとともに適量の薬液を木材Mの表面に付着させておくことができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、前記薬液塗布部にて連続して供給される木材に薬液を塗布し、前記薬液回収部にて前記木材の表面に付着した薬液以外の余分な薬液を回収し、前記薬液回収部から下方に落下排出された薬液を前記薬液貯留部に貯留し、前記循環装置によって貯留された薬液を前記薬液塗布部に再び循環供給させることができるので、薬液の無駄使いを防ぐことができるとともに木材の表面に付着させる分だけの適量の薬液を容易、かつ確実に木材に塗布することができ、その上、前記薬液回収部の直下に配置される薬液タンクと、この薬液タンクとは異なる種類の薬液を貯留する薬液タンクとを配置交換し、前記循環装置に接続するだけで、木材に塗布すべき薬液の交換を簡単に行うことができるので、短時間で効率良く薬液の交換を行うことが可能となり、木材の防腐防蟻処理作業の作業性を向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、図面を参照して本発明に係る薬液塗布装置1の実施の形態について説明する。
【0021】
[第1の実施の形態]
本実施の形態の薬液塗布装置1は、図1に示すように、表面に多数の微小孔mが形成された木材Mに防腐防蟻用の薬液を塗布するとともに、木材Mごとに適した薬液を塗布するものであり、
連続して供給される木材Mに薬液を塗布する薬液塗布部2と、
木材Mの表面に付着した薬液以外の余分な薬液を回収する薬液回収部3と、
この薬液回収部3から下方に落下排出された薬液を貯留する薬液貯留部4と、
この薬液貯留部4に貯留された薬液を前記薬液塗布部2に再び循環供給させる循環装置5とを備えており、
前記薬液貯留部4は、種類の異なる薬液を貯留する複数の薬液タンク6、60を有しており、
これら複数の薬液タンク6、60は、それぞれ前記薬液回収部3の直下に配置可能であるとともに前記循環装置5に接続可能である。
【0022】
前記木材Mは、図1に示すように、インサイジング加工により表面に多数の微小孔mが形成されている。
ここで、インサイジング加工とは、図示はしないが、周方向に所定間隔で多数の刃が形成されてなるインサイジング刃物を回転させつつ、前記刃物によって木材Mの表面を切り込むことであり、このような作業を行うインサイジング装置によって、木材Mの表面に多数の微小孔mを形成できるようになっている。そして、木材Mの表面に薬液を塗布することにより、前記多数の微小孔mから木材Mの内部に薬液が浸透するようになっている。
なお、図示はしないが、前記インサイジング装置は、前記薬液塗布装置1の前工程として設けられており、さらには、前記インサイジング装置および薬液塗布装置1は、前記木材Mを連続して搬送供給する搬送手段9の中途にそれぞれ設置されている。
また、前記搬送手段9は、図3(b)に示すように、本実施の形態においてはローラーコンベアが用いられているが、前記木材Mを連続して搬送供給することができれば、これに限られるものではない。
【0023】
前記薬液は、シロアリ、ヒラタキクイムシなどによる食害や腐朽菌などによる腐れを防止するために、前記木材Mに対して塗布するものである。また、その有効成分や濃度を変えることによって、薬剤としての性能や木材Mに対する浸透度が異なり、用いられる木材Mの用途によって適宜変更して用いる。
【0024】
前記薬液塗布部2は、図1に示すように、前記木材Mの表面に薬液を塗布する複数の噴射ノズル2aを備えている。また、図3(a)、(b)に示すように、該薬液塗布部2を囲むようにして薬液の飛び散りを防ぐ壁部2bが設けられており、図示はしないが、前記壁部2bの下部中央には、前記木材Mを通過させるための搬送口が設けられ、木材Mが通過できるようになっている。
なお、前記噴射ノズル2aは、前記木材Mの前後面および上下左右面に対して薬液を噴射できるように、噴射角度を調節したり、木材Mに薬液を効果的に塗布するに適した数の噴射ノズル2aを設けたりすることが望ましい。
【0025】
前記薬液回収部3は、図1に示すように、前記薬液塗布部2の下方に位置するとともに、この薬液回収部3の上方には、図3(b)に示すように、前記木材Mの表面に付着した薬液以外の余分な薬液を、前記木材Mの表面を擦ることにより除去して、前記薬液回収部3に供給する除去用ブラシ3bが備えられている。そして、前記薬液回収部3は、前記薬液塗布部2から排出される余分な薬液と、除去用ブラシ3bによって除去される余分な薬液とを回収し、このように回収した薬液を落下排出させる排出口3aが、該薬液回収部3の最下部に設けられている。
また、前記除去用ブラシ3bは、木材Mの上下左右面を擦ることができるように、ブラシの先端がそれぞれ上下左右を向くようにして設けられており、このように木材Mの上下左右面を擦ることができれば、薬液の無駄遣いを防ぐことができるとともに適量の薬液を木材Mの表面に付着させておくことができる。
【0026】
一方、前記薬液塗布部2と薬液回収部3、除去用ブラシ3bとは、図3(a)、(b)に示すように、薬液の飛び散りを防ぐための防沫室8内部に設けられている。さらに、この防沫室8の長さ方向両面の下部中央には、前記木材Mを通過させるための搬送口が設けられ、木材Mが通過できるようになっている。
【0027】
前記薬液貯留部4は、図1または図3(a)に示すように、前記薬液回収部3の下方に位置し、種類の異なる薬液を貯留するための複数の薬液タンク6、60を有している。
また、前記複数の薬液タンク6、60には、図1または図3(b)に示すように、前記薬液を排出するための排出ホース6aと、これら排出ホース6aの中途に設けられ、前記薬液の流路を開閉するコック部6bと、前記複数の薬液タンク6、60の各排出ホース6aの先端が取り付けられるとともに、前記循環装置5に接続される継手部材6cと、前記複数の薬液タンク6、60をスライドさせて配置交換するスライド部6dとが設けられている。
なお、前記複数の薬液タンク6、60は、本実施の形態では2つのタンクによって表されているが、3つ以上の薬液タンクを用いても良いことは言うまでもない。
また、前記スライド部6dは、本実施の形態では、図3(b)に示すように、レール状に形成され、そのレール上に前記複数の薬液タンク6、60が設けられているようになっている。
【0028】
前記循環装置5は、図1に示すように、前記薬液貯留部4側に延出して設けられる吸引ホース5aと、前記薬液塗布部2側に延出して設けられる吐出ホース5bと、これら吸引ホース5aと吐出ホース5bとの間に設けられ、前記薬液貯留部4に貯留された薬液を、前記吸引ホース5aを通じて吸引するとともに前記吐出ホース5bを通じて吐出する循環ポンプ5cとを備えている。
また、前記吸引ホース5aと前記継手部材6cとが接続されているとともに、前記吐出ホース5bと前記複数の噴射ノズル2aとが、継手部5dを介して接続されている。これにより、前記循環ポンプ5cによって、前記薬液貯留部4に貯留された薬液を吸引することができるとともに、吸引した薬液を前記複数の噴射ノズル2aから噴射することができる。
【0029】
以上のような構成の薬液塗布装置1によって、前記木材Mに防腐防蟻用の薬液を塗布するには、まず、図1または図3(a)、(b)に示すように、インサイジング加工されるとともに前記搬送手段9により搬送される木材Mを、前記薬液塗布部2に供給しながら、前記複数の噴射ノズル2aから噴射される薬液を前記木材Mに塗布する。
この時、前記噴射ノズル2aから噴射された薬液のうち、前記木材Mの表面に付着しなかった余分な薬液は前記薬液回収部3に供給する。
【0030】
さらに、前記薬液が塗布された木材Mを前記除去用ブラシ3bによってその表面を擦ることにより、前記木材Mの表面に付着した薬液以外の余分な薬液を除去して前記薬液回収部3に供給する。
【0031】
そして、前記薬液塗布部2および除去用ブラシ3bから供給された余分な薬液は、前記薬液回収部3の最下部に設けられた排出口3aから落下排出する。また、前記薬液回収部3から下方に落下排出された余分な薬液は、前記薬液回収部3の直下に配置された薬液タンク6に貯留される。
【0032】
なお、前記薬液塗布部2にて薬液を塗布され、前記除去用ブラシ3bにより余分な薬液を除去された木材Mは、図示はしないが、前記搬送手段9によりさらに搬送されて、所定の場所にて自然乾燥されるか、もしくは乾燥装置等によって乾燥作業が行われるようになっている。
【0033】
次に、前記薬液タンク6に貯留された余分な薬液を再び循環供給するには、まず、図1に示すように、前記薬液回収部3の直下に配置された薬液タンク6のコック部6bを開いた状態にしておき、薬液流路の開放をしておく。
【0034】
そして、前記継手部材6cを介して接続された前記排出ホース6aと吸引ホース5aとを通じて、前記循環ポンプ5cにより前記薬液タンク6に貯留された薬液を吸引する。さらに、前記循環ポンプ5cにより前記吐出ホース5bを通じて、前記吸引された薬液を前記複数の噴射ノズル2aに供給する。
【0035】
以上により、前記薬液塗布装置1による薬液の循環供給がなされるので、薬液の無駄使いを防ぐことができるとともに木材Mの表面に付着させる分だけの適量の薬液を容易、かつ確実に木材Mに塗布することができる。
【0036】
次に、前記薬液塗布装置1によって循環供給されている薬液に換えて、異なる種類の薬液を用いて木材Mごとに適した薬液を塗布するには、まず、図5(a)に示すように、前記薬液回収部3の直下に配置されているとともに使用している方の薬液タンク6の薬液流路と、使用したい方の薬液タンク60の薬液流路ともに前記コック部6bを閉めて閉塞状態とする。この時、前記循環ポンプ5cにより供給されている薬液が前記木材Mに塗布されるとともに余分な薬液が回収され終わるまで、前記循環ポンプ5cの供給を止めないようにする。
【0037】
そして、図5(b)に示すように、余分な薬液の回収が終わってから、図3(b)および図5(c)に示すように、今まで使用していた方の薬液タンク6と、使用したい方の薬液タンク60とを前記スライド部6dによりスライドさせて配置交換し、前記使用したい方の薬液タンク60が前記薬液回収部3の直下に配置される。
【0038】
その後、図5(d)に示すように、前記使用したい方の薬液タンク60の薬液流路を、前記コック部6bを開けて開放状態とし、この薬液タンク60に貯留された種類の異なる薬液を、前記循環ポンプ5cにより再び循環供給することによって、異なる種類の薬液を木材Mに塗布することができ、それぞれの木材Mごとに適した薬液を塗布することができる。
【0039】
以上のことから、本実施の形態の薬液塗布装置1によれば、前記薬液塗布部2にて連続して供給される木材Mに薬液を塗布し、前記薬液回収部3にて前記木材Mの表面に付着した薬液以外の余分な薬液を回収し、前記薬液回収部3から下方に落下排出された薬液を前記薬液貯留部4に貯留し、前記循環装置5によって貯留された薬液を前記薬液塗布部2に再び循環供給させることができるので、薬液の無駄使いを防ぐことができるとともに木材Mの表面に付着させる分だけの適量の薬液を容易、かつ確実に木材Mに塗布することができ、その上、前記薬液回収部3の直下に配置される薬液6と、この薬液タンク6とは異なる種類の薬液を貯留する薬液タンク60とを配置交換し、前記循環装置5に接続するだけで、木材Mに塗布すべき薬液の交換を簡単に行うことができるので、短時間で効率良く薬液の交換を行うことが可能となり、木材Mの防腐防蟻処理作業の作業性を向上させることができる。
【0040】
[第2の実施の形態]
以下、図面を参照して本発明に係る薬液塗布装置1における第2の実施の形態を説明する。なお、説明の便宜上、本実施の形態の薬液塗布装置1については上述した第1の実施の形態における薬液塗布装置1との異なる構成部分を主体として説明する。
【0041】
本実施の形態では、図2に示すように、前記薬液回収部3の直下に位置する薬液貯留部4の構成が異なる。
すなわち、前記薬液貯留部4は、種類の異なる薬液を貯留する複数の薬液タンク7、70を有しており、これら複数の薬液タンク7、70には、前記薬液を排出するための排出管7aと、
これら排出管7aの中途に設けられ、前記薬液の流路を開閉するコック部7bと、
前記排出管7aの先端に設けられ、前記循環装置5に接続される接続部7cとがそれぞれ設けられている。
【0042】
また、前記接続部7cと接続する前記循環装置5の吸引ホース5aの先端には、前記接続部7cと嵌まり合うことで確実に接続できる接続受部5eが設けられている。
【0043】
なお、前記複数の薬液タンク7、70は、本実施の形態では2つのタンクによって表されているが、3つ以上の薬液タンクを用いても良いことは言うまでもない。
【0044】
以上のような薬液貯留部4の構成を鑑みて、前記木材Mに防腐防蟻用の薬液を塗布するには、まず、図2または図4(a)、(b)に示すように、インサイジング加工されるとともに前記搬送手段9により搬送される木材Mを、前記薬液塗布部2に供給しながら、前記複数の噴射ノズル2aから噴射される薬液を前記木材Mに塗布する。
この時、前記噴射ノズル2aから噴射された薬液のうち、前記木材Mの表面に付着しなかった余分な薬液は前記薬液回収部3に供給する。
【0045】
さらに、前記薬液が塗布された木材Mを前記除去用ブラシ3bによってその表面を擦ることにより、前記木材Mの表面に付着した薬液以外の余分な薬液を除去して前記薬液回収部3に供給する。
【0046】
そして、前記薬液塗布部2および除去用ブラシ3bから供給された余分な薬液は、前記薬液回収部3の最下部に設けられた排出口3aから落下排出する。また、前記薬液回収部3から下方に落下排出された余分な薬液は、前記薬液回収部3の直下に配置された薬液タンク7に貯留される。
【0047】
次に、前記薬液タンク7に貯留された余分な薬液を再び循環供給するには、まず、図2に示すように、前記薬液回収部3の直下に配置された薬液タンク7のコック部7bを開いた状態にしておき、薬液流路の開放をしておく。
【0048】
そして、前記接続部7cを介して接続された前記排出管7aと吸引ホース5aとを通じて、前記循環ポンプ5cにより前記薬液タンク7に貯留された薬液を吸引する。さらに、前記循環ポンプ5cにより前記吐出ホース5bを通じて、前記吸引された薬液を前記複数の噴射ノズル2aに供給する。
【0049】
以上により、前記薬液塗布装置1による薬液の循環供給がなされるので、薬液の無駄使いを防ぐことができるとともに木材Mの表面に付着させる分だけの適量の薬液を容易、かつ確実に木材Mに塗布することができる。
【0050】
次に、前記薬液塗布装置1によって循環供給されている薬液に換えて、異なる種類の薬液を用いて木材Mごとに適した薬液を塗布するには、まず、図6(a)に示すように、前記薬液回収部3の直下に配置されているとともに使用している方の薬液タンク7の薬液流路を閉めて閉塞状態とする。この時、前記循環ポンプ5cにより供給されている薬液が前記木材Mに塗布されるとともに余分な薬液が回収され終わるまで、前記循環ポンプ5cの供給を止めないようにする。
また、使用したい方の薬液タンク70は、図2に示すように、すぐに配置の交換が行えるように近くに置いておくと、より短時間で薬液タンク7、70の交換が行えるので望ましい。
【0051】
そして、図6(b)に示すように、余分な薬液の回収が終わってから、図6(c)に示すように、今まで使用していた方の薬液タンク7と前記循環装置5との接続状態を解除する。
【0052】
その後、図6(d)に示すように、使用したい方の薬液タンク70を前記循環装置5に接続して配置交換を完了して前記薬液回収部3の直下に配置する。そして、新たに配置された薬液タンク70の薬液流路を、前記コック部7bを開けて開放状態とし、この薬液タンク70に貯留された種類の異なる薬液を、前記循環ポンプ5cにより再び循環供給することによって、異なる種類の薬液を木材Mに塗布することができ、それぞれの木材Mごとに適した薬液を塗布することができる。
【0053】
以上のことから、本実施の形態の薬液塗布装置1によれば、前記薬液塗布部2にて連続して供給される木材Mに薬液を塗布し、前記薬液回収部3にて前記木材Mの表面に付着した薬液以外の余分な薬液を回収し、前記薬液回収部3から下方に落下排出された薬液を前記薬液貯留部4に貯留し、前記循環装置5によって貯留された薬液を前記薬液塗布部2に再び循環供給させることができるので、薬液の無駄使いを防ぐことができるとともに木材Mの表面に付着させる分だけの適量の薬液を容易、かつ確実に木材Mに塗布することができ、その上、前記薬液回収部3の直下に配置される薬液タンク7と、この薬液タンク7とは異なる種類の薬液を貯留する薬液タンク70とを配置交換し、前記循環装置5に接続するだけで、木材Mに塗布すべき薬液の交換を簡単に行うことができるので、短時間で効率良く薬液の交換を行うことが可能となり、木材Mの防腐防蟻処理作業の作業性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】本発明に係る薬液塗布装置の一例を示す概略図。
【図2】本発明に係る薬液塗布装置の他の例を示す概略図。
【図3】図1の薬液塗布装置を示し、(a)は平面図、(b)は正面図である。
【図4】図2の薬液塗布装置を示し、(a)は平面図、(b)は正面図である。
【図5】図1における薬液タンクの配置交換例を示した概略図である。
【図6】図2における薬液タンクの配置交換例を示した概略図である。
【符号の説明】
【0055】
1 薬液塗布装置
2 薬液塗布部
3 薬液回収部
4 薬液貯留部
5 循環装置
6 薬液タンク
7 薬液タンク
M 木材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面に多数の微小孔が形成された木材に防腐防蟻用の薬液を塗布するとともに、木材ごとに適した薬液を塗布する薬液塗布装置において、
連続して供給される木材に薬液を塗布する薬液塗布部と、
木材の表面に付着した薬液以外の余分な薬液を回収する薬液回収部と、
この薬液回収部から下方に落下排出された薬液を貯留する薬液貯留部と、
この薬液貯留部に貯留された薬液を前記薬液塗布部に再び循環供給させる循環装置とを備えており、
前記薬液貯留部は、種類の異なる薬液を貯留する複数の薬液タンクを有しており、
これら複数の薬液タンクは、それぞれ前記薬液回収部の直下に配置可能であるとともに前記循環装置に接続可能であることを特徴とする薬液塗布装置。
【請求項2】
請求項1に記載の薬液塗布装置において、
前記複数の薬液タンクには、前記薬液を排出するための排出ホースと、
これら排出ホースの中途に設けられ、前記薬液の流路を開閉するコック部と、
前記複数の薬液タンクの各排出ホースの先端が取り付けられるとともに、前記循環装置に接続される継手部材と、
前記複数の薬液タンクをスライドさせて配置交換するスライド部とが設けられていることを特徴とする薬液塗布装置。
【請求項3】
請求項1に記載の薬液塗布装置において、
前記複数の薬液タンクには、前記薬液を排出するための排出管と、
これら排出管の中途に設けられ、前記薬液の流路を開閉するコック部と、
前記排出管の先端に設けられ、前記循環装置に接続される接続部とがそれぞれ設けられていることを特徴とする薬液塗布装置。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか一項に記載の薬液塗布装置において、
前記循環装置は、前記薬液貯留部側に延出して設けられる吸引ホースと、
前記薬液塗布部側に延出して設けられる吐出ホースと、
これら吸引ホースと吐出ホースとの間に設けられ、前記薬液貯留部に貯留された薬液を、前記吸引ホースを通じて吸引するとともに前記吐出ホースを通じて吐出する循環ポンプとを備えていることを特徴とする薬液塗布装置。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか一項に記載の薬液塗布装置において、
前記薬液塗布部は、前記木材の表面に薬液を塗布する複数の噴射ノズルを備えていることを特徴とする薬液塗布装置。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか一項に記載の薬液塗布装置において、
前記木材の表面に付着した薬液以外の余分な薬液を、前記木材の表面を擦ることにより除去して前記薬液回収部に供給する除去用ブラシを備えていることを特徴とする薬液塗布装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2006−205454(P2006−205454A)
【公開日】平成18年8月10日(2006.8.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−18426(P2005−18426)
【出願日】平成17年1月26日(2005.1.26)
【出願人】(000114086)ミサワホーム株式会社 (288)
【Fターム(参考)】