説明

薬液注入による裏込砂の改良層の強度および層厚の決定方法およびこれに用いる実験装置

【課題】施工現場に適した改良層を形成して裏込砂の吸出し防止を可能とする薬液注入による裏込砂の改良層の強度および層厚の決定方法およびこれに用いる実験装置を提供する。
【解決手段】施工現場から改良対象の裏込砂5を採取して注入する薬液の濃度を変えて所定拘束圧力下で改良層サンプルSを製造し、この改良層サンプルSを用いて薬液濃度と強度qとの関係データを取得するとともに、改良層サンプルSを薬液濃度毎に層厚hを変えて所定条件下で破壊するまで変動水圧Pを与えて、層厚hと破壊するまでの回数Nまたは時間tとの関係データを取得して、この取得した両関係データに基づいて施工現場で要求される条件を満たす改良層6の強度qおよび層厚H(=h)を選択する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、薬液注入による裏込砂の改良層の強度および層厚の決定方法およびこれに用いる実験装置に関し、さらに詳しくは、施工現場に適した改良層を形成して裏込砂の吸出し防止を可能とする薬液注入による裏込砂の改良層の強度および層厚の決定方法およびこれに用いる実験装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ケーソン等の海上構造体の裏込砂の吸出しを防止する工法として、薬液を注入して裏込砂を改良(硬化)させることによって吸出しを防ぐ工法がある。この薬液注入工法については、薬液によって改良された裏込砂のサンプルを製造して、このサンプルを用いた実験によって、吸出しが発生しない強度を把握して、この把握した強度を得ることができる濃度の薬液を注入する工法が提案されている(特許文献1参照)。
【0003】
この提案では、注入する薬液濃度を変えることによって、裏込砂の強度のみを変えて、吸出しが発生しない最適な強度を検出するようにしている。即ち、改良する裏込砂の層厚を所与として、所定層厚の下における強度を検出している。また、24時間という一定時間に渡ってサンプルに変動水圧を与える実験によって、吸出しの有無という結果のみを検証するようにしている。
【0004】
したがって、この提案では所定層厚の裏込砂の改良層において、ある所定期間において吸出しを防止する改良裏込砂を形成することしかできないという問題があった。そのため、層厚や吸出しを防止できる期間を変える場合等には適用できず、応用性に欠けるものであり、施工現場に最適な改良層を形成することができなかった。
【特許文献1】特開2002−322639号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、施工現場に適した改良層を形成して裏込砂の吸出し防止を可能とする薬液注入による裏込砂の改良層の強度および層厚の決定方法およびこれに用いる実験装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため本発明の薬液注入による裏込砂の改良層の強度および層厚の決定方法は、ケーソン等の構造体の裏込砂の吸出しを防止する薬液注入による裏込砂の改良層の強度および層厚の決定方法であって、施工現場から改良対象の裏込砂を採取して注入する薬液の濃度を変えて所定拘束圧力下で改良層サンプルを製造する工程と、前記薬液濃度を変えた改良層サンプルを用いて薬液濃度と強度との関係データを取得する工程と、前記改良層サンプルを薬液濃度毎に層厚を変えて所定条件下で破壊するまで変動水圧を与えて、層厚と破壊するまでの回数または時間との関係データを取得する工程と、前記取得した両関係データに基づいて前記施工現場で要求される条件を満たす改良層の強度および層厚を選択する工程とを有することを特徴とするものである。
【0007】
また、本発明の実験装置は、ケーソン等の構造体の裏込砂の吸出しを防止する薬液注入による裏込砂の改良層の強度および層厚の決定に用いる実験装置であって、変動水圧装置と、該変動水圧装置と水流通管を介して連結された流量測定装置とを備え、前記変動水圧装置は、裏込砂に薬液を注入して製造した改良層サンプルと水を収容する密閉容器と、該密閉容器内に上方から変動圧力を負荷する変動圧力ユニットと、該変動圧力を計測する変動圧力計測装置とを有し、前記水流通管は前記密閉容器の下方に接続され、前記変動圧力で生じる変動水圧によって改良層サンプルを透過する水を前記流量測定装置に流出入させるとともに、その水圧を計測する管路圧力計測装置を有し、前記流量測定装置は、前記水流通管から流出入する流量を測定するとともに、前記水流通管を介して前記密閉容器内を所定圧力に加圧可能な加圧ユニットを有することを特徴とするものである。
【0008】
尚、本発明において裏込砂とは裏込めされる土壌を意味し、裏込土も含むものである。
【発明の効果】
【0009】
本発明の薬液注入による裏込砂の改良層の強度および層厚の決定方法によれば、施工現場から改良対象の裏込砂を採取して注入する薬液の濃度を変えて所定拘束圧力下で改良層サンプルを製造する工程によって、実際に改良層が形成される施工現場と同じ条件でサンプルを製造して、現実をより再現して精度のよいデータを取得することができる。
【0010】
また、薬液濃度を変えた改良層サンプルを用いて薬液濃度と強度との関係データを取得する工程では、薬液濃度と改良層の強度との相関関係を把握することができる。改良層サンプルを薬液濃度毎に層厚を変えて所定条件下で破壊するまで変動水圧を与えて、層厚と破壊するまでの回数または時間との関係データを取得する工程では、実際に施工現場で改良層に作用する条件に近似した実験によって、薬液濃度毎の改良層の層厚と強度との相関関係を把握することができる。
【0011】
そして、この取得した両関係データに基づいて施工現場で要求される条件を満たす改良層の強度および層厚を選択する工程によって、条件満たす改良層の強度および層厚の組合せの中から最適な組合せを選択することができる。
【0012】
以上の工程によって選択決定された改良層の強度となる濃度の薬液を注入して、決定した層厚の改良層を形成すると、施工現場の要求条件を満たして、裏込砂の吸出しを防止することが可能となる。
【0013】
本発明の実験装置によれば、変動水圧装置と、この変動水圧装置と水流通管を介して連結された流量測定装置とを備え、変動水圧装置は、裏込砂に薬液を注入して製造した改良層サンプルと水を収容する密閉容器と、この密閉容器内に上方から変動圧力を負荷する変動圧力ユニットと、変動圧力を計測する変動圧力計測装置とを有し、水流通管は密閉容器の下方に接続され、変動圧力で生じる変動水圧によって改良層サンプルを透過する水を流量測定装置に流出入させるとともに、その水圧を計測する管路圧力計測装置を有し、流量測定装置は、水流通管から流出入する流量を測定するとともに、水流通管を介して密閉容器内を所定圧力に加圧可能な加圧ユニットを有するので、上記した、改良層サンプルを薬液濃度毎に層厚を変えて所定条件下で破壊するまで変動水圧を与えて、層厚と破壊するまでの回数または時間との関係データを取得する工程に用いることができる。
【0014】
即ち、実際に施工現場で改良層に作用する条件に近似した変動水圧実験を実施することができ、変動圧力計測装置、管路圧力計測装置および流量測定装置による測定データに基づいて、薬液濃度毎の改良層の層厚と強度との相関関係を把握することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明の薬液注入による裏込砂の改良層の強度および層厚の決定方法およびこれに用いる実験装置を図に示した実施形態に基づいて説明する。
【0016】
図9に裏込砂5に薬液を注入する施工現場の一例を断面図で例示する。この施工現場には、基礎捨石2の上にケーソン1が設置されており、ケーソン1の背面には裏込石3が敷設されている。裏込石3を被覆する防砂シート4の上に裏込砂5が埋め戻しされ、上面は舗装面7となっている。
【0017】
ここで、防砂シート4が破損すると、ケーソン1の前面の海水Wの波動によって、裏込砂5が海側に吸出される、いわゆる、吸出しが現象が発生する。そこで、裏込砂5に薬液を注入して硬化させた改良層6を形成して、吸出しを防止する。そのためには、施工現場の要求条件を満たした最適な強度および層厚Hの改良層6を形成する必要がある。薬液としては、例えば、活性シリカ、超微粒子シリカ等の特殊シリカから成る恒久グラウト、水ガラス系シリカゾル系の耐久グラウト等を用いる。
【0018】
そこで、図1に示す手順で改良層6の強度および層厚Hを決定する。まず、施工現場から改良対象の裏込砂5を採取して注入する薬液の濃度を数通りに変えて所定拘束圧力下で改良層サンプルSを製造する(第1工程)。所定拘束圧力とは、改良層6が形成される位置で受ける圧力を想定した圧力であり、例えば、改良層6を形成する位置での代表深さ地点Dでの圧力とする。
【0019】
モールド等の耐圧容器に裏込砂5を詰めた後、各濃度の薬液を浸透させて、この拘束圧力下で、例えば、28日間養生して改良層サンプルSを製造する。この改良層サンプルSは、実際に改良層6が形成される施工現場の拘束圧力に近い圧力条件下で製造されるので、この改良層サンプルSを実験に用いると、現実をより再現して精度のよいデータが取得可能となる。
【0020】
改良層サンプルSを製造するには、例えば、特許第3502079号公報に記載されている供試体の製造方法を用いることができる。改良層サンプルSは、強度試験と変動水圧試験に使用するので、薬液濃度毎に数本以上製造しておく。
【0021】
つぎに、薬液濃度を変えた改良層サンプルSを用いて薬液濃度と強度との関係データを取得する(第2工程)。具体的には、改良層サンプルSの一軸圧縮強度試験を実施して、強度qと薬液濃度との関係をプロットすると、図5に例示するような強度qと薬液濃度との比例関係データを取得することができる。これによって、注入する薬液濃度によって、施工現場で形成される改良層6の強度qを把握、推定することが可能となる。
【0022】
つぎに、改良層サンプルSを薬液濃度毎に層厚hを変えて所定条件下で破壊するまで変動水圧Pを与える変動水圧実験を実施して、層厚hと破壊するまでの回数Nまたは時間tとの関係データを取得する(第3工程)。
【0023】
この変動水圧実験を概念的に示すと図3のようになり、上部に変動圧力ユニットとなる導管11を、下部に水流通管12を接続した密閉容器8に改良層サンプルSを収容して実施する。密閉容器8の底部には水の流通性を確保するためにガラスビーズGが敷設されている。
【0024】
改良層サンプルSには、上部の導管11の水Wおよび下部の水流通管12の水Wによって所定圧力が負荷される。この所定圧力は、改良層6が形成される位置で受ける圧力に相当する圧力であり、例えば、既述した代表深さ地点Dでの圧力とする。
【0025】
この状態で、上部の導管11の水Wを上下動させる変動圧力Pを与える。この変動圧力Pは、施工現場で発生する波の波動データを予め取得しておき、このデータに基づいて、例えば、図4に示すような最頻出の波と同じ圧力振幅および周波数に設定する。尚、変動圧力Pは代表深さ地点Dでの圧力に最頻出の波による上下動によって変化した値となる。
【0026】
この変動圧力Pによって、導管11の水Wが改良層サンプルSを透過して水流通管12を流出入し、水Wの繰返し透過によって徐々に改良層サンプルSが破壊され、その破壊までの繰返し回数Nまたは時間tを測定する。
【0027】
即ち、裏込砂5の吸出しを発生させる施工現場に近似した状態を再現して、改良層サンプルSの耐久性について精度のよいデータを取得することができる。
【0028】
変動水圧実験装置は全体概要を図2に示すように、変動水圧装置8と流量計測装置13と両装置8、13を連結する水流通管12とを備えている。変動水圧装置8は、底部にガラスビーズGを敷設した密閉容器9と、変動圧力ユニットとを有し、この変動圧力ユニットは導管11、電空変換器20aおよび圧縮空気発生装置17で構成されて制御装置18で制御される。密閉容器9は、例えば、外径100mm、高さ100mm程度のものを使用する。圧縮空気発生装置17は、コンプレッサやレギュレータ等から構成される。
【0029】
流量計測装置13は、密閉容器14内部に設置され、計測ユニット19に接続された微小荷重計15と、これに吊設された水収容タンク16と、加圧ユニットとを有し、この加圧ユニットは密閉容器14、電空変換器20b、圧力計21bおよび圧縮空気発生装置17で構成されて制御装置18で制御される。
【0030】
水流通管12は、一端を変動水圧装置8の密閉容器9の底部に連結し、他端を流量計測装置13の水収容タンク16に配置し、管路水圧計測装置を構成する計測ユニット19に接続された圧力計21cを有している。
【0031】
変動水圧実験は、変動水圧装置8の密閉容器9に改良層サンプルSを金網10で上下を挟んだ状態にして、水Wおよび空気Aとともに収容して実施する。流量測定装置13の圧縮空気発生装置17および電空変換器20aで密閉容器14内部を所定圧力に調整することによって、水流通管12を介して密閉容器9内部が所定圧力に維持される。この所定圧力とは、既述したように改良層6が形成される位置で受ける相当圧力であり、この所定圧力は計測ユニット19に接続された圧力計21bで計測される。
【0032】
そして、導管11を通じて圧縮空気発生装置17および電空変換器20aによって、密閉容器9内に空気Aを流出入させることによって、水Wに既述したような施工現場で発生する波に則した変動水圧P1を与える。この変動水圧P1は、圧力計21aで計測される。変動水圧P1を与える方法は、これに限定されず他の方法を用いてもよい。
【0033】
変動水圧P1によって、密閉容器9内の水Wが改良層サンプルSを透過して、水流通管12を通じて流量測定装置13の水収容タンク16に流出入し、その水Wの流量は、微小荷重計15で計測され、水流通管12における水圧P2は圧力計21cで計測される。改良層サンプルSの上下に設置された金網10は、改良層サンプルSが脆い場合等に保護するためのものであり、設置を省略することもできる。
【0034】
流量測定装置13で測定した流量を経時的に示すと、図6のように圧力変動による上下変位をしながら、流出流量Qが急増してくる。図6の縦軸の流出流量Qは、マイナス(下方)になる程、水流通管12を通じて流量測定装置13の収容タンク16から密閉容器9内へ水Wが流出していることを意味している。即ち、改良層サンプルSが破壊して流出流量Qが増加していることを示している。このように、流量データに基づいて、例えば、流出流量Qが急増した時点B1を、改良層サンプルSが破壊したと判定する。
【0035】
また、圧力計21aで測定した変動水圧P1と圧力計21cで測定した水流通管12の改良層サンプルS下面の水圧P2のデータを経時的に示すと、図7のように圧力変動による上下変位をしながら、水圧P2が増加し始め、水圧P1とP2とが一致するようになる。これは、改良層サンプルSが破壊して圧力が均一化したことを示している。図7では水圧P2のデータ(実線)を明確にするため水圧P1のデータ(点線)を中途で省略して示している。
【0036】
改良層サンプルS下面の水圧P2が増加した時点B2は、流量Qが急増する時点B1と一致することが確認されているので、例えば、流出流量Qが急増した時点B1が明確でない場合は、改良層サンプルS下面の水圧P2が急増した時点B2を改良層サンプルSが破壊したと判定することもできる。尚、図6、7では横軸を時間tとしているが、変動水圧P1を与えた回数(繰返し回数N)としてもよい。
【0037】
第2工程と第3工程を実施する順番は、どちらが先でもよく、同時に実施して実験時間を短縮することが好ましい。
【0038】
そして、先に取得した薬液濃度と強度との関係データ、層厚hと破壊回数Nまたは破壊時間tとの関係データに基づいて、施工現場で要求される条件を満たす改良層6の強度および層厚hを選択する(第4工程)。具体的には、取得データを強度q(即ち、薬液濃度)毎に、層厚hと破壊までの繰返し回数Nとの関係をプロットすると、図8に例示するような二次曲線の関係データを取得することができる。
【0039】
破壊までの繰返し回数Nに、周波数(変動水圧の変動周波数)を乗じると破壊するまでの時間tとなるので、図8において、横軸を破壊するまでの時間tとしてデータをプロットすれば、同様に二次曲線の関係データを取得することができる
例えば、データを回帰分析すると、次の(1)、(2)式を得ることができる。
h=A+BlogN+C(logN)・・・(1)
h=A+Blogt+C(logt)・・・(2)
ここに、h:改良層サンプルの層厚
A、B、C:係数
N:破壊までの繰返し回数
t:破壊までの繰返し時間
【0040】
これによって、強度q(即ち、薬液濃度)毎の層厚hと耐久性(破壊するまでの繰返し回数Nや時間t)の相関関係を把握することができ、強度qおよび層厚hによって耐久性を推定することが可能となる。このプロットデータから、施工現場の要求条件を満たす最適な層厚H(=h)と強度qとの組合せを選択する。例えば、耐久年数の要求条件がある場合は、その耐久年数に対応する繰返し回数Nをクリアする層厚Hおよび強度qの組合せを選択する。条件を満たす組合せが複数ある場合は、コスト算出して最も低コストになる組合せや層厚Hに規制がある場合は、その層厚Hとなる組合せを選択する。
【0041】
以上の工程によって、改良層6の層厚Hと強度qとの組合せを決定した後は、決定した強度qとなる濃度の薬液を注入して決定した層厚Hの改良層6を形成する。これによって、施工現場の要求条件を満たした最適な改良層6が形成され、裏込砂5の吸出しを防止することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】本発明の薬液注入による裏込砂の改良層の強度および層厚の決定方法を例示するフロー図である。
【図2】本発明の変動水圧実験装置の全体概要を例示する説明図である。
【図3】改良層サンプルに変動水圧を与える方法を概念的に示す説明図である。
【図4】改良層サンプルに与える変動水圧を例示するグラフ図である。
【図5】薬液濃度と一軸圧縮強度との関係を示すグラフ図である。
【図6】変動水圧によって改良層サンプルを透過する水の流量の経時変動を示すグラフ図である。
【図7】変動水圧によって水流通管を流出入する水の水圧の経時変動を示すグラフ図である。
【図8】改良層サンプルの層厚と耐久性との関係を示すグラフ図である。
【図9】裏込砂に薬液を注入する施工現場の一例を示す断面図である。
【符号の説明】
【0043】
1 ケーソン
2 基礎捨石
3 裏込石
4 防砂シート
5 裏込砂
6 裏込砂の改良層
7 舗装面
8 変動水圧装置
9 密閉容器
10 金網
11 導管
12 水流通管
13 流量測定装置
14 密閉容器
15 微小荷重計
16 水収容タンク
17 圧縮空気発生装置
18 制御装置
19 計測ユニット
20a〜20b 電空変換器
21a〜21c 圧力計
A 空気 G ガラスビーズ S 改良層サンプル W 水

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケーソン等の構造体の裏込砂の吸出しを防止する薬液注入による裏込砂の改良層の強度および層厚の決定方法であって、施工現場から改良対象の裏込砂を採取して注入する薬液の濃度を変えて所定拘束圧力下で改良層サンプルを製造する工程と、前記薬液濃度を変えた改良層サンプルを用いて薬液濃度と強度との関係データを取得する工程と、前記改良層サンプルを薬液濃度毎に層厚を変えて所定条件下で破壊するまで変動水圧を与えて、層厚と破壊するまでの回数または時間との関係データを取得する工程と、前記取得した両関係データに基づいて前記施工現場で要求される条件を満たす改良層の強度および層厚を選択する工程とを有する薬液注入による裏込砂の改良層の強度および層厚の決定方法。
【請求項2】
前記層厚と破壊するまでの回数または時間との関係データを取得する工程において、前記変動水圧によって前記改良層サンプルを透過する水の流量を測定し、該測定した流量データに基づいて、前記破壊するまでの回数または時間を判定する請求項1に記載の薬液注入による裏込砂の改良層の強度および層厚の決定方法。
【請求項3】
前記層厚と破壊するまでの回数または時間との関係データを取得する工程において、前記変動水圧によって前記改良層サンプルを透過する水の圧力を測定し、該測定した水の圧力データに基づいて、前記破壊するまでの回数または時間を判定する請求項1に記載の薬液注入による裏込砂の改良層の強度および層厚の決定方法。
【請求項4】
ケーソン等の構造体の裏込砂の吸出しを防止する薬液注入による裏込砂の改良層の強度および層厚の決定に用いる実験装置であって、変動水圧装置と、該変動水圧装置と水流通管を介して連結された流量測定装置とを備え、前記変動水圧装置は、裏込砂に薬液を注入して製造した改良層サンプルと水を収容する密閉容器と、該密閉容器内に上方から変動圧力を負荷する変動圧力ユニットと、該変動圧力を計測する変動圧力計測装置とを有し、前記水流通管は前記密閉容器の下方に接続され、前記変動圧力で生じる変動水圧によって改良層サンプルを透過する水を前記流量測定装置に流出入させるとともに、その水圧を計測する管路水圧計測装置を有し、前記流量測定装置は、前記水流通管から流出入する流量を測定するとともに、前記水流通管を介して前記密閉容器内を所定圧力に加圧可能な加圧ユニットを有する実験装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2007−39951(P2007−39951A)
【公開日】平成19年2月15日(2007.2.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−224618(P2005−224618)
【出願日】平成17年8月2日(2005.8.2)
【出願人】(504132272)国立大学法人京都大学 (1,269)
【出願人】(000219406)東亜建設工業株式会社 (177)
【Fターム(参考)】