説明

薬物の皮膚送達のための組成物および方法

本発明は接着性処方物、薬物送達の方法、および薬物の皮膚送達用の固化層に向けられる。該処方物は薬物、溶媒賦形剤、および少なくとも1つの固化剤を含むことができる。該溶媒賦形剤は少なくとも1つの揮発性溶媒を含む揮発性溶媒系、および少なくとも1つの不揮発性溶媒を含む不揮発性溶媒系を有することができる。該処方物は、少なくとも2つの揮発性溶媒、少なくとも2つの不揮発性溶媒、または少なくとも2つの固化剤を含有するように処方することができる。該処方物は、該揮発性溶媒系の蒸発に先立っての皮膚表面への適用に適した粘度を有することができる。皮膚に適用する場合、該処方物は、該揮発性溶媒系の少なくとも一部が蒸発した後に固化層を形成することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(発明の分野)
本発明は、一般に、薬物の皮膚送達のために開発されたシステムに関する。さらに詳しくは、本発明は少なくとも2つの不揮発性溶媒を含む処方物に関し、ここに、該処方物は、全体として、皮膚表面への層としての適用に適した粘度を有し、それは皮膚上に持続薬物−送達接着性固化層を形成する。
【背景技術】
【0002】
(発明の背景)
伝統的な皮膚薬物送達システムは、一般に、2つの形態:半固体処方物および皮膚パッチ投与形態に分類することができる。半固体処方物は、軟膏、クリーム、フォーム、ペースト、ゲル、またはローションを含めた少数の異なる形態で利用可能であり、皮膚に局所適用される。(経皮パッチを含めた)皮膚パッチ投与形態もまた、マトリックスパッチ配置および液体貯蔵庫パッチ配置を含めた少数の異なる形態で利用可能である。マトリックスパッチにおいて、活性薬物が、裏打ちフイルムに被覆した接着剤中に混合される。薬物−レース接着剤層は、典型的には、皮膚に直接的に適用され、パッチを皮膚に付着させるための手段として、および薬物の送達を容易とするための貯蔵庫または賦形剤としての双方で働く。逆に、液体貯蔵庫パッチにおいて、薬物は、典型的には、薄い可撓性な容器であり得る薄いバッグによって保持された溶媒系に取り込まれる。薄いバッグは、皮膚に膜を付着させるための接着剤で被覆される透過性または半透性膜表面を含むことができる。膜は、しばしば、律速膜という(が、それは現実には全ての場合において送達プロセスで律速でなくてもよく)、要求送達用の皮膚へ、薄いバッグ内からの薬物の輸送を制御することができる。
【0003】
パッチおよび半固体処方物は薬物を皮膚へ、および皮膚を通って送達するのに広く用いられているが、それらは共にかなりの制限を有する。例えば、ほとんどの半固体処方物は、通常、揮発性であって、かくして、適用後まもなく蒸発する水およびエタノールのような溶媒を含有する。そのような溶媒の蒸発は皮膚薬物送達のかなりの減少、または停止さえ引き起こしかねず、これは多くの場合に望ましいものではなかろう。加えて、半固体処方物はしばしば皮膚へ「擦り入れられ」、これは、薬物処方物が現実に皮膚中へ送達されたことを必ずしも意味しない。その代わり、この句は、しばしば、薬物処方物の非常に薄い層を皮膚の表面に適用することを意味する。皮膚へ適用された伝統的半固体処方物のそのような薄い層は、長時間にわたって持続送達を達成するのに十分な量の活性な薬物を含有しないであろう。加えて、伝統的な半固体処方物は、しばしば、衣料のような物体との接触のため意図しない除去に付され、これは、持続送達を危うくしおよび/または望ましくなく衣料を汚しかねない。半固体処方物に存在する薬物もまた、局所半固体処方物での治療を受けている対象と接触するようになる個人に意図せず送達され得る。
【0004】
マトリックスパッチに関しては、適切に送達されるためには、薬物は、皮膚浸透に必要な駆動力に主として溶解した薬物のみが寄与するので、接着剤への十分な溶解性を有するべきである。あいにく、余りにも低い接着剤への溶解性は、持続期間にわたって適切な皮膚浸透駆動力を生じない。加えて、多くの成分、例えば、薬物を溶解するのを助ける、または皮膚浸透性を増加させるのに用いることができる液体溶媒および浸透促進剤は、効果的である十分な量にて多くの接着剤マトリックスシステムに取り込むことができないかも知れない。例えば、機能的なレベルにおいて、これらの物質のほとんどは接着剤の磨耗特性を悪く改変しかねない。それ自体、接着剤−ベースのマトリックスパッチ中の選択、および許容される量の接着剤、促進剤、賦形剤等は制限できる。説明すると、多くの薬物では、薬物をある液体溶媒系に溶解させる場合に最適な経皮フラックスを達成することができるが、典型的なマトリックスパッチにおける接着剤の薄い層は、しばしば、治療的に効果的であるのに十分な適切な薬物および/または接着剤を保持できない。さらに、凝集性および粘着性のような接着剤の特性もまた、液体溶媒または促進剤の存在によって有意に変化され得る。
【0005】
液体貯蔵庫パッチに関しては、例え薬物がパッチの薄いバッグによって運ばれた特定の液体または半固体溶媒系に適合したとしても、溶媒系が、依然として、透過性または半透性膜上に被覆された接着性層に適合しなければならず;さもなければ、薬物は接着性層によって悪影響されかねず、あるいは薬物/溶媒系は接着性層の粘着性を低下させ得る。これらの投与形態の考慮に加えて、貯蔵庫パッチはよりバルキーであって、通常、マトリックスパッチよりも製造するのに高価である。
【0006】
(経皮を含めた)皮膚パッチのもう1つの欠点は、それらが通常は伸ばすことができず、または可撓性でもないことである。というのは、(マトリックスパッチにおける)裏打ちフイルムおよび(貯蔵庫パッチにおける)薄い流体バッグは、典型的には、その双方が比較的伸びることができない材料であるポリエチレンまたはポリエステルから作成される。もしパッチを、関節のような身体の運動の間にかなり伸びる皮膚領域に適用すれば、パッチおよび皮膚の間の分離が起こり、それにより、薬物の送達を危うくする。加えて、皮膚表面に存在するパッチは身体の運動の間に皮膚の伸長を妨げかねず、かつ不快感を起こしかねない。これらのさらなる理由で、パッチは、身体運動の間の伸長、屈曲および伸びの影響を受ける皮膚領域のための理想的な投与形態ではない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
現在の送達系の多くの欠点に鑑みると、i)長時間にわたって持続薬物送達を提供することができ;ii)適用時間の持続の間に、衣料、他の物体、または人々との接触によって意図しない除去に弱くなく;iii)皮膚との不快なまたは貧弱な接触を引き起こすことなく伸長および拡張に従う皮膚領域へ適用することができ;および/またはiv)適用および使用後に容易に除去できるシステム、処方物、および/または方法を提供するのが望ましいであろう。
【課題を解決するための手段】
【0008】
(要旨)
フィルム−形成技術は化粧品および医薬製剤で用いられているが、典型的には、そのような系で用いられる溶媒は適用後まもなく蒸発し、かくして、持続−放出適用では最適ではない。これに従い、複数の不揮発性溶媒、複数の揮発性溶媒、および/または複数の固化剤の処方物での使用はしばしば持続薬物放出を最適化することができることが認識されている。
【0009】
これに従い、皮膚表面への適用に適した粘度を有し、かつ所望により剥離可能であり、あるいはそうでなければ使用後に容易に除去できる皮膚上の薬物−送達固化層を形成する接着性組成物または処方物の形態の皮膚送達処方物、システム、および/または方法を提供するのは有意であろう。それ自体、薬物の皮膚送達用の接着性処方物は薬物、溶媒賦形剤、および少なくとも1つの固化剤を含むことができる。溶媒賦形剤は、少なくとも1つの揮発性溶媒を含む揮発性溶媒系、および少なくとも1つの不揮発性溶媒を含む不揮発性溶媒系を含むことができる。不揮発性溶媒系の少なくとも2つの不揮発性溶媒は、不揮発性溶媒系が固化層から実質的に蒸発された後においてさえ、持続時間にわたって治療的に有効な速度での薬物の経皮送達を容易とすることができる。処方物は少なくとも1つの揮発性溶媒の蒸発に先立っての皮膚表面への適用に適した粘度を有することができ、さらに、皮膚表面へ適用した場合に、処方物が揮発性溶媒系の少なくとも一部が蒸発された後に固化層を形成できるように処方することができる。固化層からの持続薬物送達も起こり得る。該処方物は、それが少なくとも2つの揮発性溶媒、少なくとも2つの不揮発性溶媒、少なくとも2つの固化剤、またはその組合せを有するように処方される。
【0010】
代替実施形態において、薬物を皮膚送達する方法は、接着性処方物を対象の皮膚表面へ適用することを含む。該処方物は前記したいずれの処方物であっても良い。他の工程は、処方物を固化させて、揮発性溶媒系の少なくとも部分的な蒸発によって皮膚表面に固化層を形成させ、次いで、固化層からの薬物を持続時間にわたって治療的に有効な速度にて皮膚表面に皮膚送達することを含む。
【0011】
もう1つの実施形態において、薬物を送達するための固化層は、薬物、少なくとも1つの不揮発性溶媒を含む不揮発性溶媒系、ここに、該不揮発性溶媒系は持続時間にわたって治療上有効な速度にて薬物の送達を容易とすることができ、および少なくとも1つの固化剤を含むことができる。1つの実施形態において、固化層は、該層が適用された皮膚からのクラッキング、破壊、または分離なくして1つの方向に5%だけ伸長することができる。該処方物は、それが少なくとも2つの不揮発性溶媒、少なくとも2つの固化剤、またはその組合せを有するように処方される。
【0012】
本発明のさらなる特徴および利点は、例として、本発明の特徴を説明する以下の詳細な記載および図面から明らかとなるであろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
(好ましい実施形態の詳細な説明)
本発明の特定の実施形態を開示し、記載する前に、本発明は本明細書に開示された特定のプロセスおよび材料に限定されず、それ自体はある程度変形し得ることが理解されなければならない。また、本明細書で用いられる技術用語は、特定の実施形態を記載する目的だけで用いられ、限定的であることを意図しないことも理解されるべきであり、これは、本発明の範囲が添付の請求の範囲およびその均等物によってのみ定義されるからである。
【0014】
本発明を記載し、特許請求するにおいて、以下の技術用語が用いられる。
【0015】
単数形「ある」、および「該」は、文脈が明瞭に他のことを指令するのでなければ複数の指示対象を含む。かくして、例えば、「薬物」への言及は1以上のそのような組成物への言及を含む。
【0016】
「皮膚」は、ヒト皮膚(無傷、病気の、潰瘍性、破壊された)、指および足指爪表面、ならびに唇、性器および肛門粘膜、および鼻および口腔粘膜のような、通常は空気に少なくとも部分的に暴露される粘膜表面を含む。
【0017】
用語「薬物」とは、治療効果を達成するために適用される皮膚へ、皮膚の中に、または皮膚を通って適用される生物活性剤をいう。これは、伝統的に薬物として同定される組成物、ならびに例えば、ペルオキシド、保湿剤、エモリエント等のような、古典的意味では「薬物」であると常には考えられないが、ある疾患に対しては治療効果を提供することができる他の生物活性剤を含む。一般に「薬物」という場合、与えられた薬物の種々の形態があり、種々の形態は明示的に含まれることが理解される。これに従うと、種々の薬物形態は多形、塩、水和物、溶媒和物および共結晶を含む。いくつかの薬物では、薬物の1つの物理的形態は、それを皮膚へ、皮膚の中に、または皮膚を通ることをより可能とする良好な物理−化学特性を保持することができ、この特定の形態は皮膚送達で好都合な物理的形態と定義される。例えば、フラックス化可能な(flux−enabling)不揮発性溶媒からのジクロフェナクナトリウムの定常状態フラックスは、同一フラックス化可能な不揮発性溶媒からのジクロフェナク酸の定常状態フラックスよりもかなり高い。従って、不揮発性溶媒からの薬物の物理的形態のフラックスを見積もって、望ましい物理的形態/不揮発性溶媒組合せを選択するのが望ましい。
【0018】
句「皮膚薬物送達」または「薬物の皮膚送達」は経皮および局所薬物送達を共に含み、皮膚への、皮膚を通っての、または皮膚中への薬物の送達を含む。薬物の「経皮送達」は、皮膚直下の皮膚組織、皮膚下の領域的組織または器官、全身循環、および/または中枢神経系に標的化することができる。「局所送達」は、薬物の皮膚組織への送達、および起こり得るより深い組織への引き続いての吸収を含む。
【0019】
各々、「皮膚フラックス」または「経皮フラックス」の関係のような用語「フラックス」とは、単位時間当たり単位面積当たり皮膚へ、または皮膚を横切って浸透した薬物の量をいう。フラックスの典型的な単位は時間当たりの平方センチメートル当たりのマイクログラムである。フラックスを測定する1つの方法は、ヒトボランティアの既知皮膚面積上へ処方物を置き、どれくらい多くの薬物がある時間拘束内に皮膚へ、または皮膚を横切って浸透することができるかを測定することである。種々の方法(イン・ビボ方法)は、同様に、測定で用いることができよう。実施例1に記載された方法、または他の同様な方法(イン・ビトロ方法)を用いて、フラックスを測定することもできる。イン・ビトロ方法は死体から得られたヒト表皮膜、またはヒトボランティアを用いて皮膚を横切っての薬物フラックスを測定するよりはむしろ無毛マウスからの新たに分離された皮膚組織を用いるが、適切に設計され、かつ実行されたイン・ビトロテストからの結果を用いて、合理的な信頼性でもってイン・ビボテストの結果を見積もり、または予測することができるのは一般に当業者によって認められる。従って、本明細書中で言及する「フラックス」値は、イン・ビボまたはイン・ビトロ方法のいずれかによって測定されたそれを意味することができる。
【0020】
不揮発性溶媒系(またはそれを含む固化層)との関係での用語「フラックス化可能」とは、特定の薬物について治療的に有効なフラックスを提供することができるように選択され、または特別に処方された(1以上の不揮発性溶媒を含めた)不揮発性溶媒系をいう。局所的に、または領域的に送達される薬物では、フラックス化可能な不揮発性溶媒系は、単独で、いずれかの他の成分の助けなくして、不揮発性溶媒系が薬物で飽和した場合に、対象の皮膚を横切って、皮膚上に、または皮膚中に薬物の治療的に十分なレベルを送達することができる不揮発性溶媒系と定義される。全身的に標的化された薬物では、フラックス化可能な不揮発性溶媒系は、不揮発性溶媒系が薬物で飽和され、それが500cm以下の接触面積にて対象の皮膚と十分に接触した場合に、24時間にわたって治療的に有効な日用量を提供することができる不揮発性溶媒系である。好ましくは、不揮発性溶媒系についての接触面積は100cm以下である。この飽和した溶媒中薬物の状態を用いるテストを用いて、不揮発性溶媒系の最大フラックス−生成能力を測定することができる。フラックスを測定するためには、薬物溶媒混合物を臨床的に十分な量の時間の間、皮膚上に保持する必要がある。現実には、液体溶媒を長い間ヒトボランティアの皮膚上に維持するのは困難であろう。従って、溶媒系が「フラックス化可能」であるか否かを決定するための代替方法は、実施例1に記載された装置および方法を用いて無毛マウス皮膚またはヒト死体皮膚を横切るイン・ビトロ薬物浸透を測定することである。この方法、および同様な方法は、処方物の浸透性および使用可能性を見積もるのに当業者によって通常用いられる。別法として、不揮発性溶媒系がフラックス化可能であるか否かは、皮膚上の飽和した薬物にて不揮発性溶媒系を維持するための手段で生きたヒト対象の皮膚上でテストすることができ、そのような手段は製品について現実的ではないであろう。例えば、飽和薬物での不揮発性溶媒系は吸収性ファブリック材料に浸漬させることができ、次いで、これを皮膚上に適用し、保護膜で被覆する。そのような系は医薬製品として現実的ではないが、十分な薬物フラックスを提供する固有の能力を不揮発性溶媒系が有するか否か、あるいはそれがフラックス化可能であるか否かをテストするのに適している。
【0021】
また、一旦、処方物が固化層を形成したならば(水を含めた)揮発性溶媒が実質的に蒸発した後においてさえ、不揮発性溶媒のいくらかは固化層中に残りつつ、固化層は薬物について「フラックス化可能」でもあり得る。
【0022】
句「有効量」、「治療上有効量」、「治療上有効速度」などは、それは薬物に関するので、それに対して薬物が送達される疾患を治療するにおいていずれかの認識可能なレベルの治療結果を達成する薬物の十分な量または送達速度をいう。「治療結果の認識可能なレベル」は、製品の商業化を認可するためのいずれかの政府当局の効率標準に適合しても適合しなくても良いことは理解される。種々の生物学的因子は、その意図した仕事を実行する物質の能力に影響し得る。従って、「有効量」、「治療上有効量」、または「治療上有効速度」は、ある場合においては、そのような生物学的因子にある程度依存し得る。しかしながら、各薬物については、当業者の間では、ほとんどの対象において十分な用量またはフラックスの範囲について通常はコンセンサスがある。さらに、治療効果の達成は、該分野で公知の見積もりを用いて医師または他の資格を有する医療関係者によって測定され得るが、治療に対する個々の変形および応答は、治療効果の達成を主観的な判断とし得ることは認識される。治療上有効量または送達速度の決定は、医薬化学および医療の分野における通常の技量内のものである。
【0023】
「治療上有効なフラックス」は、患者集団のいくらかがある程度の利益を薬物フラックスから得ることができる点で、臨床的に有益である皮膚への、または皮膚を通っての十分な量の薬物を送達する選択された薬物の浸透フラックスと定義される。患者集団のほとんどは、ある程度の利益を得ることができ、あるいは利益は関連政府当局または医療専門家によって「有効である」とみなされるのにかなり十分であることを必ずしも意味しない。より具体的には、少なくとも部分的には、(皮膚表面から5cm内にある関節、ある種の筋肉、あるいは組織/器官のような)皮膚、または皮膚表面に近い領域的組織または器官を標的化する薬物では、「治療上有効なフラックス」とは、臨床的に合理的な量の時間内に十分な量の薬物を標的組織に送達することができる薬物フラックスをいう。全身循環を標的化する薬物では、「治療上有効なフラックス」とは、臨床的に合理的な皮膚接触面積を介して、十分な量の選択された薬物を送達して、臨床的に合理的な時間内に臨床的に有益な血漿中または血中薬物濃度を生じさせることができる薬物フラックスをいう。臨床的に合理的な皮膚接触面積は、ほとんどの対象が許容するであろう皮膚適用面積のサイズと定義される。典型的には、400cm以下の皮膚接触面積が合理的と考えられる。従って、4000mcgの薬物を10時間にわたって400cmの皮膚接触面積を介して全身循環に送達するためには、フラックスは少なくとも4000mcg/400cm/10時間である必要があり、これは1mcg/cm/hrと等しい。この定義によると、異なる薬物は異なる治療上有効なフラックスを有する。治療上有効なフラックスもまた、異なる対象において異なり得、および/または同一対象についてさえ異なる時間であり得る。しかしながら、各薬物については、通常、ほとんどの時点でほとんどの対象において十分な用量またはフラックスの範囲について該分野で共通するものがある。
【0024】
以下に、治療上有効な、または十分を超えるいくつかの薬物についてのフラックスの見積もりを示す。
【0025】
【表1】

(ロピバカインを例外として)表1中の治療上有効量のフラックス値は、実施例1に記載されたイン・ビトロ系における無毛マウスまたはヒト表皮膜を通じての市販製品の定常状態フラックス値を表す。これらの値は、見積もりであり、処方物の開発および最適化のための比較の基礎を提供することのみを意図する。選択された薬物についての治療上有効なフラックスは、異なる病気が、異なる段階の病気、および異なる個々の対象について治療されるのが非常に困難であり得る。リストしたフラックスは治療的に有効なものを超え得ることに注意すべきである。
【0026】
表2にリストした以下の例は、具体的に実験した薬物のいくつかについての不揮発性溶媒のフラックス化可能能力のスクリーニングを示す。実験は以下の実施例1に記載されたように行い、結果は引き続いての実施例2から9においてさらに議論する。
【0027】
【表2】

不揮発性溶媒からの表2中のイン・ビトロ定常状態フラックス値は、驚くべきフラックス化可能および非フラックス化可能溶媒を示す。この情報を用いて、処方物開発を導くことができる。
【0028】
フラックス化可能な不揮発性溶媒との関係で用語「可塑化」は、固化剤のための可塑剤として作用するフラックス化可能な不揮発性溶媒と定義される。「可塑剤」は、揮発性溶媒系が少なくとも実質的に蒸発した後に処方物のパーセンテージ伸長を増加させることができる剤である。可塑剤は、それをより可撓性および/または弾性とすることによって、固化した処方物の脆性を低下させる能力も有する。例えば、プロピレングリコールは、選択された固化剤としてのポリビニルアルコールにて薬物ケトプロフェンのための「フラックス化可能可塑化不揮発性溶媒」である。しかしながら、固化剤としてのGantrez S−97またはAvalure UR405でのケトプロフェンの処方物におけるプロピレングリコールは、同一可塑化効果を供しない。プロピレングリコールおよびGantrez S−97またはAvalure UR405の組合せは適合性が低く、局所適用についてあまり望ましくない処方物をもたらす。従って、与えられた不揮発性溶媒が「可塑化」であるか否かはいずれの固化剤が選択されるかに依存する。
【0029】
異なる薬物は、しばしば、特に良好な結果を提供する異なるマッチングフラックス化可能な不揮発性溶媒系を有する。その例は表3に示す。実験は以下の実施例1に記載したように行った。
【0030】
【表3】

「フラックス化可能な不揮発性溶媒」、「フラックス化可能可塑化不揮発性溶媒」または「高フラックス化可能な不揮発性溶媒」は、単一の化学物質、または2以上の化学物質の混合物であり得る。例えば、表3中のクロベタゾールプロピオネートについての定常状態フラックス値は、プロピレングリコールまたはISA単独よりもかなり高いクロベタゾールフラックスを生じたプロピレングリコール:イソステアリン酸混合物について9:1である(表2参照)。従って、9:1プロピレングリコール:イソステアリン酸混合物は「高フラックス化可能な不揮発性溶媒」であるが、プロピレングリコールまたはイソステアリン酸単独はそうではない。
【0031】
用語「接着」または「接着性」とは、本明細書中において固化層に言及する場合、該層がほとんどの対照での意図した使用の間に皮膚から落ちないような固化層および皮膚との間の十分な接着を言う。かくして、「接着性」などは、固化層を記載するのに用いる場合、(揮発性溶媒の蒸発前に)固化層が、最初の処方物の層が元来適用される皮膚表面に対して接着性であることを意味する。1つの実施形態において、固化層が反対側で接着性であることを意味しない。加えて、固化層が所望の延長された時間、皮膚表面に接着できるか否かは、皮膚表面の状態に部分的に依存することに注意すべきである。例えば、過剰の発汗、または油性皮膚、または皮膚表面での油性物質は固化層を皮膚に対してあまり接着性でなくす。従って、本発明の接着性固化層は、皮膚表面でのいずれの状態下でも、各対象について、皮膚表面との好ましい接触を維持し、持続時間の間にわたって薬物を送達することができないであろう。標準は、それが、皮膚表面および外部環境の正常な条件下でほとんどの対象について特定の時間にわたって皮膚表面のほとんど、例えば、合計面積の70%との良好な接触を維持することである。
【0032】
用語「可撓性」、「弾性の」、「弾性」等は、本明細書中で用いるように、固化層が約5%まで、しばしば約10%まで、またはそれ以上まで、少なくとも1つの方向に伸ばされた場合、それが破壊しないように、固化層の十分な弾性をいう。例えば、皮膚に対して許容される弾性および接着を呈する固化層は、可撓性な皮膚ロケーション、例えば、肘、指、手首、首、下部背中、唇、膝等上のヒト皮膚に接着することができ、皮膚の伸びに際して皮膚上で実質的に無傷のままであろう。本発明の固化層は、いくつかの実施形態において、いずれの弾性も必ずしも有する必要がないことに注意されたい。
【0033】
用語「剥離可能」は、固化層を記載するのに用いる場合、多くの小さな破片または小片とは反対に、固化層が1つの大きな破片またはいくつかの大きな破片に皮膚表面からリフトできることを意味する。
【0034】
用語「持続された」とは、少なくとも30分の連続時間の間の皮膚薬物送達の治療上有効な速度に関し、いくつかの実施形態においては、少なくとも約2時間、4時間、8時間、12時間、24時間以上の時間に関する。
【0035】
用語「実質的に」の使用は、揮発性溶媒の蒸発をいう場合、最初の処方物に含まれた揮発性溶媒の大部分が蒸発してしまったことを意味する。同様に、固化層が水を含めた揮発性溶媒を「実質的に欠く」という場合、固化層は全体として固化層中に10wt%未満、好ましくは5wt%未満の揮発性溶媒を有する。
【0036】
「揮発性溶媒系」は、水、および水よりも揮発性である溶媒を含めた、単一の溶媒、または揮発性である溶媒の混合物であり得る。本発明で用いることができる揮発性溶媒の非限定的例は酢酸イソアミル、変性アルコール、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、水、プロパノール、C4−C6炭化水素、ブタン、イソブテン、ペンタン、ヘキサン、アセトン、クロロブタノール、酢酸エチル、フルロ−クロロ−炭化水素、ツルペンチン、メチルエチルケトン、メチルエーテル、ヒドロフルオロカーボン、エチルエーテル、1,1,1,2テトラフルオロエタン、1,1,1,2,3,3,3−ヘプタフルオロプロパン、1,1,1,3,3,3ヘキサフルオロプロパン、またはその組合せを含む。
【0037】
本発明における「不揮発性溶媒系」は、各々が水よりも揮発性が低い少なくとも2つの溶媒の混合物と定義される。同様に、不揮発性溶媒は水よりも揮発性が低い溶媒と定義される。不揮発性溶媒系は、pHまたはイオン−対合剤のような、室温で固体または液体である含有物を含有することもできる。揮発性溶媒系の蒸発の後、不揮発性溶媒系のほとんどは、治療効果を提供するための時間の間、十分なフラックスにて対象の皮膚に、皮膚中に、または皮膚を通って与えられた薬物を適切に皮膚送達するのに十分な時間の間、固化層に留まるべきである。
【0038】
不揮発性溶媒系が、固化層が弾性であって、可撓性であるように、固化層の可塑剤として働くこともできる。1つの実施形態において、不揮発性溶媒系は、不揮発性溶媒系単独のいずれかの単一の不揮発性溶媒よりも固化剤に対して良好な可塑効果を提供する。不揮発性溶媒系の一部として多数の不揮発性溶媒を含めるのも、種々の他の利点を提供することができる。いくつかの場合において、単一の不揮発性溶媒系、処方物における他の成分、例えば、揮発性溶媒系または固化剤との適切な適合性、および/または薬物の治療上有効なフラックスを生じさせる能力を持つ処方物を提供することができない。本発明の1つの態様において、不揮発性溶媒系は、不揮発性溶媒系単独のいずれかの単一の不揮発性溶媒よりも固化剤との良好な適合性を提供する。本発明のもう1つの態様において、不揮発性溶媒系は、不揮発性溶媒系単独のいずれかの単一の不揮発性溶媒よりも高いフラックスを提供する。本発明は、一緒になって、処方物成分の適合性を維持しつつ、治療上有効な薬物フラックスを提供することができる2以上の不揮発性溶媒の組合せを可能とする。
【0039】
用語「溶媒賦形剤」は、揮発性溶媒系および不揮発性溶媒系を共に含む組成物を記載する。揮発性溶媒系は迅速に接着性処方物から蒸発して、固化層を形成するように選択され、不揮発性溶媒系は、薬物の継続した送達を提供するように、揮発性溶媒系の蒸発後に固化層の一部が実質的に残るように処方され、または選択される。典型的には、薬物は全体として溶媒賦形剤または処方物に部分的にまたは完全に溶解させることができる。同様に、一旦、揮発性溶媒系が蒸発すれば、薬物は不揮発性溶媒系に部分的にまたは完全に可溶化させることもできる。揮発性溶媒系の蒸発後に薬物が不揮発性溶媒系に部分的にしか溶解しない処方物は、持続送達の継続をより長く維持する能力がある。というのは、溶介していない薬物は不揮発性溶媒系に溶解できるからであり、これは溶解した薬物が薬物送達の間に固化層から枯渇するからである。
【0040】
「接着性固化処方物」または「固化処方物」とは、揮発性溶媒の蒸発に先立っての皮膚表面への適用に適した粘度を有し、かつ揮発性溶媒の少なくとも一部の蒸発後に固化層となることができる組成物をいう。固化層は、一旦形成されれば、非常に持続可能である。1つの実施形態において、一旦皮膚表面に固化すれば、処方物はピールを形成することができる。該ピールは、適用された処方物のサイズに対して皮膚から大きな破片を剥離することによって除去することができる柔軟な凝集性固体であり得、しばしば、単一の破片として皮膚から剥離することができる。適用粘度は、典型的には、水−様液体よりも粘性であるが、柔軟な固体よりは粘性は低い。好ましい粘度の例は、ペースト、ゲル、軟膏等と同様なコンシステンシーを有する材料、例えば、流動するが、こぼれやすくない粘性液体を含む。かくして、組成物が皮膚表面への「適用に適した」粘度を有するという場合、これは、組成物が、皮膚に適用した後に組成物が皮膚から実質的に落ちないのに十分高い粘度を有するが、それが容易に皮膚上に伸ばすことができるような十分低い粘度も有する。この定義を満たす粘度範囲は約100cPから約3,000,000cP(センチポイズ)、より好ましくは約1,000cPから約1,000,000cPであり得る。
【0041】
本発明のいくつかの実施形態において、さらなる剤または物質を処方物に加えて、増強されたまたは増加した接着剤特徴を提供するのが望ましいであろう。さらなる接着剤または物質は、さらなる不揮発性溶媒またはさらなる固化剤であり得る。さらなる接着増強剤として用いることができる物質の非限定的例は、メチルビニルエーテルおよび無水マレイン酸(Gantrezポリマー)、ポリエチレングリコールおよびポリビニルピロリドンのコポリマー、ゼラチン、低分子量ポリイソブチレンゴム、アクリルサンアルキル/オクチルアクリルアミド(Dermacryl 79)、および種々の脂肪族樹脂のコポリマーおよび芳香族樹脂であり得る。
【0042】
用語「洗浄可能」、「洗浄する」または「洗浄より除去される」とは、本発明の接着性処方物に関して用いる場合、通常のまたは中程度の量の洗浄力を用いて洗浄溶媒の適用によって除去される接着性処方物の能力をいう。洗浄によって処方物を除去する必要な力は有意な皮膚刺激または磨耗を引き起こすべきでない。一般に、適当な洗浄溶媒の適用によって伴われる温和な洗浄力は、本明細書中に開示される接着性処方物を除去するのに十分である。本発明の処方物を洗浄することによって除去するのに用いることができる溶媒は多いが、好ましくは、本明細書中にリストした揮発性溶媒を含めた通常に認められた溶媒から選択される。好ましい溶媒はヒト皮膚を有意に刺激せず、一般には、平均的な対象に利用できる。洗浄溶媒の例は、限定されるものではないが、水、エタノール、メタノール、イソプロピルアルコール、アセトン、酢酸エチル、プロパノール、またはその組合せを含む。本発明の態様において、洗浄溶媒は水、エタノール、イソプロピルアルコールまたはその組合せよりなる群から選択される。界面活性剤もいくつかの実施形態において用いることができる。
【0043】
許容される時間の長さは、それが「乾燥時間」に関する場合には、標準的な皮膚および周囲条件下で、かつ標準テスト手法にて、皮膚への適用後に汚くない固化表面を処方物が形成するのに必要な時間をいう。用語「乾燥時間」は、この適用においては揮発性溶媒を完全に蒸発除去するのに必要な時間を意味しない。その代わり、それは、前記したように汚くない固化表面を形成するのに必要な時間を意味する。
【0044】
「標準的な皮膚」は、約30℃から約36℃の間の表面温度で乾燥した健康なヒト皮膚と定義される。標準的周囲条件は、20℃から25℃の温度範囲、および20%から80%の相対湿度範囲によって定義される。用語「標準的な皮膚」は、断じて、本発明の処方物を用いることができる皮膚のタイプまたは皮膚条件を限定しない。本発明の処方物を用いて、損傷していない(標準的な皮膚)、病気の皮膚、または損傷した皮膚を含めた全てのタイプの「皮膚」を治療することができる。異なる特徴を有する皮膚疾患を本発明の処方物を用いて治療することができるが、用語「標準的な皮膚」は、本発明の種々の実施形態の組成物をテストするための標準としてのみ用いられる。現実的には、標準的な皮膚でよく実行される(例えば、固化し、治療上有効なフラックスを提供する)処方物もまた、病気の、または損傷した皮膚に対してよく実行できる。
【0045】
「標準テスト手法」または「標準テスト条件」は以下の通りである:標準周囲条件における標準的な皮膚に対して、ほぼ0.1mm層の接着性固化処方物を適用し、乾燥時間を測定する。乾燥時間は、処方物が、約5および約10g/cmの間の圧力にて処方物表面へ5秒間プレスされた100%綿布の破片への接着によって質量を喪失しないように、汚くない表面を処方物が形成するのに必要な時間と定義される。
【0046】
「固化層」は、揮発性溶媒系の少なくとも一部が蒸発された後の、接着性固化処方物の固化した、または乾燥した層を記載する。固化層は皮膚に接着されたままであり、好ましくは、標準的な皮膚および周囲条件下で適用の実質的に全持続の間対象の皮膚との良好な接触を維持することができる。固化層は、好ましくは、(皮膚から除去された場合に多くの小さな破片または小片に破壊される弱い張力を持つ層とは反対に)1つの破片またはいくつかの大きな破片に適用の最後に皮膚からそれが剥離できるような、十分な張力を呈する。
【0047】
本明細書中で用いるように、複数の薬物、化合物、および/または溶媒を便宜のために共通リストに掲げることができる。しかしながら、これらのリストは、あたかもリストの各メンバーを別々のおよびユニークなメンバーとして個々に同定されるように解釈されるべきである。かくして、そのようなリストの個々のメンバーは、反対のことが示されなければ、通常の群においてのその表示にのみ基づいた同一リストのいずれかの他のメンバーの事実上の均等物と解釈されるべきである。
【0048】
濃度、量、および他の多数のデータは、本明細書中においては、範囲フォーマットで表現し、または示すことができる。そのような範囲フォーマットは便宜および簡潔性のためだけに用いられ、かくして、範囲の限定として明示的に引用された多数の値のみならず、あたかも各数字値およびサブ−範囲が明示的に引用されたごとく、その範囲内に含まれるすべての個々の数値またはサブ−範囲も含むものと理解されるべきである。説明として、「約0.01から2.0mm」の数字範囲は、約0.01mmから約2.0mmの明示的に引用された値を含むのみならず、示された範囲内の個々の値およびサブ−範囲も含む。かくして、この数字範囲には、0.5、0.7、および1.5のような示された値、および0.5から1.7、0.7から1.5、および1.0から1.5などのようなサブ−範囲が含まれる。この同一原理は、1つの数字範囲のみを引用する範囲に適用される。さらに、そのような解釈は、範囲の広さ、または記載される特徴に関わらず適用されるべきである。
【0049】
これらの定義を銘記し、本発明は、薬物、溶媒賦形剤、および固化剤を含むことができる薬物の皮膚送達用の粘着性処方物に向けられる。溶媒賦形剤は少なくとも1つの揮発性溶媒を含む揮発性溶媒系、および少なくとも2つの不揮発性溶媒を含む不揮発性溶媒系を含むことができる。不揮発性溶媒系の少なくとも2つの不揮発性溶媒は、不揮発性溶媒系が実質的に蒸発した後でさえ、持続期間にわたって治療上有効な速度にて薬物の経皮送達を容易とすることができる。該処方物は少なくとも1つの揮発性溶媒の蒸発に先立っての皮膚表面への適用に適した粘度を有することができ、さらに、皮膚表面に適用した場合に、該処方物が、揮発性溶媒系の少なくとも一部が蒸発した後に固化層を形成するように処方することができる。固化層からの持続薬物送達も起こり得る。
【0050】
代替実施形態において、薬物を皮膚送達する方法は、対象の皮膚表面へ接着性固化性処方物を適用することを含むことができる。該処方物は薬物、溶媒賦形剤、および固化剤を含むことができる。溶媒賦形剤は少なくとも1つの揮発性溶媒を含む揮発性溶媒系、および少なくとも2つの不揮発性溶媒を含む不揮発性溶媒系を含むことができ、ここに、不揮発性溶媒系は持続時間にわたって治療上有効な速度にて薬物の皮膚送達を容易とする。該処方物は、揮発性溶媒系の蒸発に先立っての皮膚表面への適用および接着に適した粘度を有することができる。他の工程は、揮発性溶媒系の少なくとも部分的な蒸発によって処方物を固化させて、皮膚表面へ固化層を形成し;次いで、持続期間にわたって治療上有効な速度にて固化層から薬物を皮膚表面へ皮膚送達することを含む。
【0051】
もう1つの実施形態において、薬物を送達するための固化層は薬物、少なくとも2つの不揮発性溶媒を含む不揮発性溶媒系、ここに、該不揮発性溶媒系は持続時間にわたって治療上有効な速度にて薬物の送達を容易とすることができ、および固化剤を含むことができる。固化層は、該層を適用する皮膚表面からのクラッキング、破壊、または分離なくして少なくとも1つの方向に5%だけ伸長可能である。
【0052】
もう1つの実施形態において、薬物の皮膚送達用の接着性処方物は薬物、溶媒賦形剤、および少なくとも2つの固化剤を含むことができる。溶媒賦形剤は少なくとも1つの揮発性溶媒を含む揮発性溶媒系、および少なくとも1つの不揮発性溶媒を含む不揮発性溶媒系を含むことができ、ここに、該不揮発性溶媒系は、揮発性溶媒のほとんどが蒸発した後でさえ薬物が治療上有効な量にて送達することができるように該薬物についてフラックス化可能であり得る。該処方物は、揮発性溶媒系の蒸発に先立っての皮膚表面への適用および接着に適した粘度を有することができ、皮膚適用後の揮発性溶媒系の少なくとも部分的な蒸発の後に固化層を形成することができる。薬物は揮発性溶媒系が実質的に蒸発された後に継続的に皮膚送達することができる。
【0053】
もう1つの実施形態において、薬物を皮膚送達する方法は、接着性固化性処方物を対象の皮膚表面に適用することを含むことができる。該処方物は、薬物、溶媒賦形剤、および少なくとも2つの固化剤を含むことができる。溶媒賦形剤は、少なくとも1つの揮発性溶媒を含む揮発性溶媒系、および少なくとも1つの不揮発性溶媒を含む不揮発性溶媒系を含むことができる。該処方物は、揮発性溶媒系の蒸発に先立っての皮膚表面への適用および接着に適した粘度を有することができる。他の工程は、揮発性溶媒の少なくとも部分的な蒸発によって処方物を固化させて、皮膚表面に固化層を形成させ;次いで、持続時間にわたって治療上有効な速度にて固化層からの薬物を皮膚表面に皮膚送達することを含む。
【0054】
もう1つの実施形態において、薬物を送達するための固化層は薬物、少なくとも1つの不揮発性溶媒を含む不揮発性溶媒系および少なくとも2つのポリマー固化剤を含むことができる。
【0055】
なおもう1つの実施形態において、薬物の皮膚送達用の処方物は薬物、溶媒賦形剤、および固化剤を含むことができる。溶媒賦形剤は少なくとも2つの揮発性溶媒を含む揮発性溶媒系、および少なくとも1つの不揮発性溶媒を含む不揮発性溶媒系を含むことができる。該処方物は、揮発性溶媒系の蒸発に先立っての皮膚表面への適用および接着に適した粘度を有し、ここに、該不揮発性溶媒系は、揮発性溶媒のほとんどが蒸発した後においてさえ治療上有効な量にて薬物が送達できるように該薬物につきフラックス化可能であり得る。皮膚表面に適用された処方物は、揮発性溶媒系の少なくとも部分的な蒸発後に固化層を形成することができ、さらに、皮膚表面へ適用した場合に、該処方物が、揮発性溶媒の少なくとも一部が蒸発した後に固化層を形成するが、実質的な固化後に薬物を継続して送達できるように処方することができる。加えて、揮発性溶媒系が少なくとも実質的に蒸発された後に、薬物を継続して送達することができる。
【0056】
もう1つの実施形態において、薬物を皮膚送達する方法は、対象の皮膚表面へ接着性の固化性処方物を適用することを含むことができる。接着性処方物は薬物、溶媒賦形剤、および固化剤を含むことができる。溶媒賦形剤は少なくとも2つの揮発性溶媒を含む揮発性溶媒系および少なくとも1つの不揮発性溶媒を含む不揮発性溶媒系を含むことができる。該処方物は、揮発性溶媒系の蒸発に先立っての皮膚表面への適用および接着に適した粘度を有することができる。他の工程は、揮発性溶媒系の少なくとも部分的な蒸発によって処方物を固化させて、皮膚表面に固化層を形成し;次いで、持続時間にわたって治療上有効な速度にて固化層からの薬物を皮膚表面へ皮膚送達することを含む。
【0057】
さらなる詳細において、該処方物は、pHまたはイオン−対合剤のような、室温で固体または液体である物質を含有することもできる。揮発性溶媒系の蒸発の後に、不揮発性溶媒系のほとんどは、十分なフラックスにて対象の皮膚へ、皮膚中へ、または皮膚を通って与えられた薬物を適切に皮膚送達するのに十分な時間の間、固化層に留まって、治療効果を提供するべきである。不揮発性溶媒系は、固化層が弾性および可撓性であるように、固化層の可塑剤として働くこともできる。
【0058】
かくして、これらの実施形態は、薬物送達のための、層として皮膚に容易に適用することができ、かつ迅速に(標準的な皮膚および周囲条件下で15秒から約4分)ないし中程度に迅速に(標準的な皮膚よび周囲条件下で約4から約15分)固化層に変化することができる、典型的には、(クリーム、ゲル、ペースト、軟膏、および他の粘性液体を含めた)半固体の初期形態である新規な処方物、方法、および固化層、例えば、剥離可能な凝集性かつ柔軟な固体層に関連する本発明を例示する。各形成された固化層は、固化層が形成された後に、活性薬物のほとんどが送達されるように、持続時間、例えば、数時間から数十時間にわたって、実質的に一定の速度にて、皮膚へ、皮膚中へ、皮膚を横切って薬物を送達することができる。
【0059】
皮膚薬物送達用の固化層−形成性処方物は単一の固化剤を用いることができるが、本明細書中における処方物における2つ以上の固化剤の使用は重要な利点を提供することができる。これは、処方物の固化に加えて、処方物における固化剤は、しばしば、成分の適合性、ならびに固化層のフレキシビリティおよび皮膚接着性にインパクトを与えるからである。時々、全てのこれらの必要性に取り組むには2つ以上の固化剤を必要とする。本発明は、2つ以上の固化剤を用いて、与えられた処方物内でいずれかの単一の固化剤単独が達成し得るよりも良好な処方物を生じる固化性処方物に関する。
【0060】
加えて、固化層は典型的には皮膚に接着するが、適用後比較的しばらくして形成され、対象が着用するか、または固化層が不慮に接触し得る衣料または他の物体に、実質的に移動しないか、あるいは汚さない固化した最小限の接着性の外側表面を有する。固化層は、それが高度に可撓性であって、伸長性であり、かくして、たとえ皮膚が膝、指、肘、または他の関節のような身体の運動の間に伸長したとしても、皮膚表面との良好な接触を維持することができるように処方することもできる。
【0061】
用いることができる種々の成分、例えば、薬物、揮発性溶媒系および不揮発性溶媒系の溶媒賦形剤、固化剤などを選択するにおいて、種々の考慮が起こり得る。例えば、揮発性溶媒系は、該分野で公知の医薬上または化粧上許容される溶媒から選択することができる。本発明の1つの実施形態において、揮発性溶媒系はエタノール、イソプロピルアルコール、水、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、ブタン、プロパン、イソブテン、1,1ジフルオロエタン、1,1,1,2テトラフルオロエタン、1,1,1,2,3,3,3−ヘプタフルオロプロパン、1,1,1,3,3,3ヘキサフルオロプロパン、酢酸エチル、アセトンまたはその組合せを含むことができる。本発明のもう1つの実施形態において、揮発性溶媒系は酢酸イソ−アミル、変性アルコール、メタノール、プロパノール、イソブテン、ペンタン、ヘキサン、クロロブタノール、ツルペンチン、シクロペンタシロキサン、シクロメチコン、メチルエチルケトン、またはその組合せを含むことができる。揮発性溶媒系は、前記した実施形態に記載された揮発性溶媒のいずれかの混合物または組合せを含むことができる。
【0062】
本発明の1つの実施形態において、揮発性溶媒系は20℃よりも高い沸点を持つ少なくとも1つの揮発性溶媒(液体揮発性溶媒)、および約20℃よりも低い沸点を持つ少なくとも1つの揮発性溶媒(ガス状揮発性溶媒)を含む。沸点とは、通常の気圧で測定された沸点をいう。液体および気体揮発性溶媒を共に含む本発明の処方物は、液体揮発性溶媒のみについてのものよりも有意に短い乾燥時間を有することができる。気体揮発性溶媒が揮発性溶媒系に含まれる場合、しばしば、気体揮発性溶媒の濃度は処方物の溶解度未満であることが当てはまる。これは、処方物を慣用的な圧力をかけない半個体製品用の容器に貯蔵することを可能とする。別法として、これらの溶媒はスプレイ−オン処方物のための噴射剤として用いることができる。本発明で用いてもよい気体揮発性溶媒の例は、限定されるものではないが、エーテル、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、プロパン、イソブテン、ジフルオロエタン、ブタン、1,1,1,2テトラフルオロエタン、1,1,1,2,3,3,3−ヘプタフルオロプロパン、および1,1,1,3,3,3ヘキサフルオロプロパン、およびその組合せを含む。
【0063】
加えて、これらの揮発性溶媒は、処方物の残りと適合するように選択されるべきである。処方物において適当な重量パーセンテージの揮発性溶媒を用いるのが望ましい。あまりにも多くの揮発性溶媒系は乾燥期間を延長させる。あまりにも少ない揮発性溶媒系は、処方物を皮膚の上でのばすのを困難としかねない。ほとんどの処方物について、揮発性溶媒の重量パーセンテージは約10 wt%から約85 wt%、より好ましくは約20 wt%から約50 wt%とできる。本発明の1つの態様において、揮発性溶媒系は処方物の少なくとも10 wt%を含む。もう1つの実施形態において、揮発性溶媒系は処方物の少なくとも約20 wt%を含む。
【0064】
揮発性溶媒系は、不揮発性溶媒系、固化剤、薬物、および存在し得るいずれかの他の賦形剤と適合するように選択することもできる。例えば、ポリビニルアルコール(PVA)はエタノールに可溶性でない。従って、PVAを溶解させないであろう揮発性溶媒を固化層に処方する必要がある。例えば、水はPVAを溶解させ、処方物において揮発性溶媒として利用することができ;しかしながら、そのような処方物における乾燥時間はある適用に対してはあまりにも長いかもしれない。従って第二の揮発性溶媒(例えば、エタノール)を処方物へ処方して、水含有量を低下させるが、PVAを溶液中に保つために十分な量の水を維持し、それにより、処方物についての乾燥時間を低下させることができる。
【0065】
揮発性溶媒系は、処方物について乾燥時間を低下させるように選択することができる。前記したPVAの例に戻り、PVAを溶解させるための水の使用の結果、そのような処方物における乾燥時間はある適用に対してはあまりにも長いかもしれないということになり得る。従って、第二の揮発性溶媒(例えば、エタノール)を処方物へ処方して、水含有量を低下させるが、PVAを溶液中に保つために十分な量の水を維持し、それにより、処方物についての乾燥時間を低下させることができる。
【0066】
揮発性溶媒は、処方物で利用される特定の薬物形態の溶解性を改善するように選択することができる。例えば、ロピバカインHClは不揮発性溶媒のイソステアリン酸、トリアセチン、およびSpan 20に可溶性でない。従って、水の処方物への添加はロピバカインHClを溶解させるのを助け、少量の塩基の添加は、残りの薬物結晶を溶解させる。処方物におけるロピバカインの完全な溶解は、薬物設定をもたらし得る比較的低い粘度を持つ処方物へ未溶解薬物粒子を懸濁させるのを回避しなければならないのに有利である。
【0067】
選択された薬物または選択された固化剤については、いくつかの揮発性溶媒は他の揮発性溶媒よりも良好な溶媒であって、より適合し得る。しかしながら、時々、薬物に対する最も適当な揮発性溶媒は固化剤に適合せず、またその逆も成立する。いくつかの他の状況において、薬物および固化剤についてのほとんどの適当な揮発性溶媒はゆっくりと蒸発して、その結果、適用に許容できない乾燥時間をもたらす。前記状況において、満足すべき妥協は、(しばしば、実験的に決定される)ある比率に従って2つ以上の揮発性溶媒を含有する特別に処方された揮発性溶媒系を用いることによって到達することができる。例えば、1つの溶媒は許容できる蒸発時間を提供することができ、もう1つの揮発性溶媒は改良された処方物適合性を提供する。
【0068】
本発明の1つの実施形態において、揮発性溶媒系の揮発性溶媒の1つは他のものよりも揮発性を低くすることができる。揮発性が低い溶媒は、溶媒系におけるより揮発性の溶媒と比較して固化剤との良好な適合性を有することができる。
【0069】
本発明のもう1つの態様において、固化処方物がその望ましい疲労、および薬物送達特性を維持できるように、揮発性溶媒系の気化を保持し、遅延させるのが有益であり得る。そのような保持は、揮発性溶媒保持性物質を処方物に含めることによって達成することができる。揮発性溶媒保持性物質は水、吸湿性物質、蜂蜜、グリセロール、プロピレングリコールなどを含むことができる。
【0070】
不揮発性溶媒系は固化剤、薬物、揮発性溶媒、および存在し得るいずれの他の成分に適合するように選択し、または処方することもできる。例えば、固化剤は、それが不揮発性溶媒系に分散可能、または溶解性となるように選択することができる。ほとんどの不揮発性溶媒系および溶媒賦形剤は、全体として、実験後に適切に処方されるであろう。例えば、ある種の薬物は分子量400を有するポリエチレングリコール(PEG)(PEG 400、不揮発性溶媒)を有するが、グリセロール(不揮発性溶媒)および水(揮発性溶媒)に対して貧弱な溶解性を有する。しかしながら、PEG 400はポリビニルアルコール(PVA)を効果的に溶解させることができず、かくして、固化剤であるPVAと単独で非常に適合するのではない。十分な量の活性薬物を溶解させ、同時に固化剤としてPVAを用いるためには、適当な比率で(PVAと適合する)PEG 400およびグリセロールを含む不揮発性溶媒を処方し、適合性の妥協を達成することができる。適合性のさらなる例として、不揮発性溶媒/固化剤の不適合性は、Span 20をPVAを含有する処方物に処方する場合に観察される。この組合せでは、Span 20は処方物から、および固化層の表面の油性層から分離できる。かくして、固化剤/不揮発性溶媒の選択は、活力のある処方物および適合する組合せを開発するのに望ましい。不揮発性溶媒系の不揮発性溶媒双方が固化剤と適合する必要はない。いくつかの実施形態において、不揮発性溶媒系の不揮発性溶媒の1つを存在させて、第二の不揮発性溶媒がフラックス化可能な不揮発性溶媒として作用できつつ、固化剤との適合性を提供することができる。
【0071】
さらなる詳細において、不揮発性溶媒系を形成するのに用いることができる少なくとも2つの不揮発性溶媒は、種々の医薬上許容される液体から選択することができる。本発明の1つの実施形態において、不揮発性溶媒系はグリセロール、プロピレングリコール、イソステアリン酸、オレイン酸、プロピレングリコール、トロラミン、トロメタミン、トリアセチン、ソルビタンモノラウレート、ソルビタンモノオレエート、ソルビタンモノパルミテート、ブタノール、またはその組合せを含むことができる。もう1つの実施形態において、不揮発性溶媒系は安息香酸、ブチルアルコール、セバチン酸ジブチル、ジグリセリド、ジプロピレングリコール、オイゲノール、ココヤシ油のような脂肪酸、魚油、ヤシ油、ブドウ種子油、ミリスチン酸イソプロピル、鉱油、オレイルアルコール、ビタミンE、トリグリセリド、ソルビタン脂肪酸界面活性剤、クエン酸トリエチル、またはその組合せを含むことができる。さらなる実施形態において、不揮発性溶媒系は1,2,6−ヘキサントリオール、アルキルトリオール、アルキルジオール、アセチルモノグリセリド、トコフェロール、アルキルジオキソラン、P−プロペニルアニソール、アニス油、アプリコット油、ジメチルイソソルビド、アルキルグルコシド、ベンジルアルコール、蜜蝋、安息香酸ベンジル、ブチレングリコール、カプリル酸/カプリン酸トリグリセリド、カラメル、桂皮油、ヒマシ油、シンナムアルデヒド、シンナモン油、チョウジ油、ココヤシ油、カカオバター、ココグリセリド、コリアンダー油、トウモロコシ油、コリアンダー油、トウモロコシシロップ、綿実油、クレゾール、シクロメチコン、ジアセチン、ジアセチル化モノグリセリド、ジエタノールアミン、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジグリセリド、エチレングリコール、ユーカリ油、脂肪、脂肪アルコール、矯味矯臭薬、液状糖ジンジャー抽出物、グリセリン、高フルクトーストウモロコシシロップ、水素化ヒマシ油、IPパルミテート、レモン油、ライム油、リモネン、ミルク、モノアセチン、モノグリセリド、ナツメグ油、オクチルドデカノール、オリーブアルコール、オレンジ油、ヤシ油、落花生油、PEG植物油、ペパーミント油、ペテロラタム、フェノール、松葉油、ポリプロピレングリコール、ゴマ油、スペアミント油、大豆油、植物油、植物ショートニング、酢酸ビニル、ワックス、2−(2−(オクタデシルオキシ)エトキシ)エタノール、安息香酸ベンジル、ブチル化ヒドロキシアニソール、キャンデリラワックス、カルナウバワックス、セテアレス−20、セチルアルコール、ポリグリセリル、ステアリン酸ジポリヒドロキシ、PEG−7水素化ヒマシ油、フタル酸ジエチル、セバチン酸ジエチル、ジメチコン、フタル酸ジメチル、PEG−ステアレート、PEG−オレエート、PEG−ラウレートのようなPEG−脂肪酸エステル、PEG−ジオレエート、PEG−ジステアレートのようなPEG−脂肪酸ジエステル、PEG−ヒマシ油、ベヘン酸グリセリル、PEGグリセリルラウレート、PEGグリセリルステアレート、PEGグリセリルオレエートのようなPEGグリセロール脂肪酸エステル、ヘキシレングリセロール、ラノリン、ラウリン酸ジエタノールアミド、乳酸ラウリル、硫酸ラウリル、メドロン酸、メタクリル酸、マルチステロール抽出物、ミリスチルアルコール、中性油、PEG−オクチルフェニルエーテル、PEG−セチルエーテル、PEG−ステアリルエーテルのようなPEG−アルキルエーテル、PEG−ソルビタンジイソステアレート、PEG−ソルビタンモノステアレートのようなPEG−ソルビタン脂肪酸エステル、プロピレングリコールステアレート、プロピレングリコール、カプリレート/カプレートのようなプロピレングリコール脂肪酸エステル、ピロリドンカルボン酸ナトリウム、ソルビトール、スクワレン、ステアル−o−ウェット(stear−o−wet)、トリグリセリド、アルキルアリールポリエーテルアルコール、ソルビタン−エーテルのポリオキシエチレン誘導体、飽和ポリグリコール化C8−C10グリセリド、N−メチルピロリドン、蜂蜜、ポリオキシエチル化グリセリド、ジメチルスルホキシド、アゾンおよび関連化合物、ジメチルホルムアミド、N−メチルホルムアミド、脂肪酸エステル、脂肪アルコールエーテル、アルキル−アミド(N,N−ジメチルアルキルアミド)、N−メチルピロリドン関連化合物、オレイン酸エチル、ポリグリセリン化脂肪酸、グリセロールモノオレエート、グリセリルモノミリステート、脂肪酸のグリセロールエステル、絹アミノ酸、PPG−3ベンジルエーテルミリステート、Di−PPG2ミレス10−アジペート、ハニークワット、ピログルタミン酸ナトリウム、アビシニカ(abyssinica)油、ジメチコン、マカダミアナッツ油、limnanthes alba種子油、セテアリルアルコール、PEG−50シェアバター、シェアバター、アロエベラジュース、フェニルトリメチコン、加水分解した小麦蛋白質、またはその組合せを含むことができる。なおさらなる実施形態において、不揮発性溶媒系は、先に議論した実施形態のいずれかに記載された不揮発性溶媒の組合せまたは混合物を含むことができる。
【0072】
これらのおよび他の考慮に加えて、不揮発性溶媒系、または不揮発性溶媒系における不揮発性溶媒の少なくとも1つは、固化層が形成された場合に、該層が可撓性であり、伸長可能であり、および/またはそうでなければ「皮膚フレンドリー」となるように、接着性処方物において可塑剤として働くこともできる。
【0073】
皮膚に対して刺激性であるある種の揮発性および/または不揮発性溶媒は、薬物の所望の溶解性および/または浸透性を達成するように用いるのが望ましいであろう。また、共に、皮膚刺激を妨げ、または低下させることができ、かつ処方物と適合する化合物を加えるのも望ましい。例えば、揮発性溶媒が皮膚を刺激しかねない処方物においては、皮膚刺激を低下させることができる不揮発性溶媒を用いるのが助けとなろう。皮膚刺激を妨げ、または低下させることができることが知られた溶媒の例は、限定されるものではないが、グリセリン、蜂蜜、およびプロピレングリコールを含む。
【0074】
不揮発性溶媒系における2つの不揮発性溶媒の特徴は、同時に、固化処方物を優れたものとするさらなる重要な特徴を供しつつ、治療上有効なフラックスを提供する不揮発性溶媒の能力を高める。本出願の他の領域で議論したように、不揮発性溶媒は可塑剤としての作用、接着性の改良、皮膚刺激の低下、相分離の疎外などのような有利な利点を提供することができる。いくつかの実施形態において、共通するフラックス化可能な不揮発性溶媒を共有しない2つの薬物を送達するのが望ましいであろう。そのような場合において、不揮発性溶媒系に存在する少なくとも2つの不揮発性溶媒の少なくとも1つは、薬物の1つのフラックスを促進するように作用することができ、他方、他の不揮発性溶媒は他の薬物のフラックスを促進する。そのような状況において、先に議論した他の有利な利点のいくつかを提供するさらなる不揮発性溶媒を含むのが望ましいか、または必要であろう。
【0075】
本発明の不揮発性溶媒系の2以上の不揮発性溶媒は、用いる不揮発性溶媒が、独立して、薬物についてフラックス化可能な不揮発性溶媒ではないが、一緒に処方した場合に、フラックス化可能な不揮発性溶媒となるようにすることができる。これらの最初は非可能化不揮発性溶媒が、一緒に処方した場合に、可能化不揮発性溶媒となる1つの可能な理由は、より高いフラックスを有する物理的形態へ薬物のイオン化状態を最適化することによるものであるか、あるいは不揮発性溶媒はいくつかの他の相乗的様式で作用する。不揮発性溶媒を混合する1つのさらなる利点は、処方物のpH、または処方物層下の皮膚組織を最適化して、刺激を最小化することができることである。適切な不揮発性溶媒系をもたらす不揮発性溶媒の適当な組合せの例は、限定されるものではないが、イソステアリン酸/トロラミン、イソステアリン酸/ジイソプロピルアミン、オレイン酸/トロラミン、およびプロピレングリコール/イソステアリン酸を含む。
【0076】
固化剤の選択は、接着性処方物に存在する他の成分を考慮して行うこともできる。固化剤は、薬物および(揮発性溶媒および不揮発性溶媒系を含めた)溶媒賦形剤に適合するように、ならびに、一旦それが形成されると固化層に対して所望の物理的特性を提供するように選択し、または処方することができる。薬物、溶媒賦形剤、および/または存在し得る他の成分に依存して、固化剤は種々の剤から選択することができる。1つの実施形態において、固化剤は20,000から70,000のMW範囲を持つポリビニルアルコール(Amresco)、80,000から160,000のMW範囲を持つポリビニルメチルエーテル/無水マレイン酸コポリマーのエステル(ISP Gantrez ES−425およびGantrez ES−225)、120,000から180,000のMW範囲を持つメタクリル酸ブチルおよびメタクリル酸メチルの中性コポリマー(Degussa Plastoid B)、100,000から200,000のMW範囲を持つメタクリル酸ジメチルアミノエチル−メタクリル酸ブチル−メタクリル酸メチルのコポリマー(Degussa Eudragit E100)、5,000よりも大きなMWまたはEudragit RLPO(Degussa)と同様なMWを持つアクリル酸エチル−メタクリル酸メチル−メタクリル酸トリメチルアンモニオエチルの塩化物のコポリマー、35,000程度のMWを持つZeinのような5,000よりも大きなMWを持つZein(プロラミン)(Freeman industries)、Instant Pure−Cote B793と同様なMWを有するα化デンプン(Grain Processing Corporation)、5,000よりも大きなMW、またはAqualon EC N7、N10、N14、N22、N50またはN100(Hercules)と同様なMWを持つエチルセルロース、MW 20,000から250,000を有する魚ゼラチン(Norland Products)、ゼラチン、5,000よりも大きなMWを持つ他の動物源、5,000よりも大きなMW、またはNational Starch、Chemical Dermacryl 79と同様なMWを持つアクリレート/オクチルアクリルアミドのコポリマー、またはその組合せを含むことができる。
【0077】
もう1つの実施形態において、固化剤はエチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、ポリエーテルアミド、トウモロコシデンプン、α化トウモロコシデンプン、ポリエーテルアミド、シェラック、ポリビニルピロリドン、ポリイソブチレンゴム、ポリ酢酸ビニル、フタレート、またはその組合せを含むことができる。さらなる実施形態において、固化剤はメタクリル酸アンモニア、カラギーナン、EastmanからのCAPNFのような水性酢酸フタル酸セルロース、カルボキシポリメチレン、酢酸セルロース(微結晶性)、セルロースポリマー、ジビニルベンゼンスチレン、エチレンビニルアセテート、シリコーン、グアガム、グアロジン、グルテン、カゼイン、カゼイン酸カルシウム、カゼイン酸アンモニウム、カゼイン酸ナトリウム、カゼイン酸カリウム、アクリル酸メチル、マイクロクリスタリンワックス、ポリ酢酸ビニル、PVPエチルセルロース、アクリレート、PEG/PVP、キサンタンガム、トリメチルシロキシシリケート、マレイン酸/無水物コポリマー、ポラクリン、ポロキサマー、ポリエチレンオキサイド、ポリガラクチン酸/ポリ−l−乳酸、ツルペン樹脂、ローカストビーンガム、アクリルコポリマー、ポリウレタン分散液、デキストリン、ポリビニルアルコール−ポリエチレングリコールのコポリマー、BASF’s Kollicoatポリマーのようなメタクリル酸−アクリル酸エチルのコポリマー、メタクリル酸およびポリ(メタクリル酸)のようなメタクリレート系ポリマー、またはその組み合わせを含むことができる。もう1つの実施形態において、固化剤は、先に議論した実施形態のいずれかで記載された固化剤の組合せを含むことができる。他のポリマーは、溶媒賦形剤の成分、薬物、および与えられた処方物の特異的機能の要件に依存して固化剤としてやはり適切であろう。他のポリマーは、溶媒賦形剤の成分、薬物、および与えられた処方物の特異的機能の要件に依存して、やはり固化剤として適当であろう。
【0078】
1つの実施形態において、不揮発性溶媒系および固化剤は相互に適合性であるべきである。適合性は、i)固化剤はフラックスのいくつかの低下を除いて不揮発性溶媒系の機能に実質的に否定的に影響しない;ii)固化剤は、実質的にいずれの不揮発性溶媒も層からにじみ出ないように固化層に不揮発性溶媒系を保持でき、および/またはiii)選択された不揮発性溶媒系および固化剤で形成された固化層は許容されるフレキシビリティ、剛性、張力、弾性、および接着性を有する;と定義することができる。固化剤に対する不揮発性溶媒系の重量比率は約0.1:1から約10:1とすることができる。もう1つの態様において、不揮発性溶媒系および固化剤の間の比率は約0.5:1から約2:1とすることができる。
【0079】
少なくとも2つの固化剤の使用は優れたピール特徴を提供することができる。望ましい特徴は増強された弾性、増強された皮膚接着、増強された張力などを含むことができる。いくつかの実施形態において、少なくとも2つの固化剤の組合せは、より均一で、また仮に層分離が存在する場合は層分離が最小な処方物を提供することができる。例えば、1つの実施形態において、ポリビニルアルコール(PVA)は、Gantrezと組合せて固化剤の1つとして用いることができる。その組み合わせにおいて、PVAは増強された弾性を提供するように機能し、他方、Gantrezは増強された皮膚接着を提供する。もう1つの実施形態において、固化剤としてのPVAと組合せてEudgragit E−100を利用する処方物を作成することができる。該処方物はより速い固化特徴を有し、増強された張力を持つ固化層をもたらす。
【0080】
皮膚に適用された処方物層の厚みは、与えられた処方物および望まれる薬物送達考慮にやはり適切とすべきである。もし層があまりにも薄いと、薬物の量は、望まれる長い時間にわたって持続送達を支持するのに十分ではないであろう。もし層があまりにも厚いと、固化層の乱雑でない外側表面を形成するのに余りにも長い時間が必要であろう。もし薬物が非常にすぐれ、かつ固化層が非常に高い張力を有するならば、0.01mmと薄い層は十分であろう。もし薬物がむしろ低い能力を有し、かつ固化層が低い張力を有するならば、2から3mmと厚い層が望ましいであろう。かくして、ほとんどの薬物および処方物については、適切な厚みは約0.01mmから約3mm、より典型的には、約0.05mmから約1mmであり得る。
【0081】
固化層のフレキシビリティおよび伸長性はいくつかの適用において望ましくあり得る。本発明の1つの態様において、固化層は凝集性であり、可撓性であり、かつ連続的である。そのような可撓性かつ凝集性の性質は、処方物の使用の容易性を大いに高めることができる。例えば、ある種の非−ステロイド抗−炎症剤(NSAID)は、関節および筋肉への経皮送達のために直接的に関節および筋肉上に適用することができる。しかしながら、関節およびある筋肉群上の皮膚領域は、しばしば、身体の運動の間に伸びる。そのような運動は非−伸長性パッチが良好な皮膚接触を維持するのを妨げる。ローション、軟膏、クリーム、ゲル、フォーム、ペーストなどもまた、前記引用の理由で用いるのに適していないであろう。それ自体、関節および/または筋肉へのNSAIDの経皮送達において、本発明の固化性処方物はユニークな利点および利益を提供することができる。いくつかの適用においては良好な伸長性は望ましくあり得ることを指摘すべきである。本発明の固化性処方物は、常に伸長性である必要はない。というのは、本発明のある適用はこの特性から必ずしも利益を受けないからである。例えば、もし処方物がアクネを治療するために小さな顔面積に一晩適用するならば、たとえ固化層が伸長可能でなくとも、対象は最小の不快感および処方物−皮膚分離を経験するであろう。というのは、顔の皮膚は、通常、睡眠サイクルの間に非常に伸びるのではないからである。
【0082】
本発明の実施形態により調製された処方物のさらなる特徴は乾燥時間に関する。もし処方物があまりにも速く乾燥されれば、ユーザーは、処方物が固化する前に処方物を皮膚表面で薄い層に広げるのに十分な時間を有さず、貧弱な皮膚接触に導きかねない。もし処方物があまりにも遅く乾燥されれば、対象は、固化していない処方物を除去するであろう通常の活動(例えば、服を着用する)を回復する前に長時間待たなければならない。かくして、乾燥時間は約15秒よりも長いが、約15分よりは短く、好ましくは約0.5分から約5分であるのが望ましい。
【0083】
本発明の固化層の他の利点は、材料自体によって形成することができる物理的バリアの存在を含む。例えば、クロニジンのような局所麻酔剤および他の剤は、糖尿病性神経障害疼痛のような神経障害に関連する疼痛を治療するのに局所送達することができる。そのような対象の多くは彼らの皮膚領域が軽くタッチされたにすぎない場合でさえ、多大な疼痛を感じるので、固化層の物理的バリアは、対象その他との不慮の接触によって引き起こされる疼痛を妨げ、または最小化することができる。
【0084】
これらのおよび他の利点は、以下のように、利点の以下の非限定的リストにまとめることができる。本発明の固化層は、半固体投与形態として適用するのが容易な初期形態で調製することができる。加えて、揮発性溶媒系の蒸発に際して、得られた固化層は比較的厚く、伝統的なクリーム、ゲル、ローション、軟膏、ペーストなどの典型的な層よりもかなり多くの活性薬物を含有することができ、さらに、意図しない除去に付されない。さらに、固化層は接着性かつ所望により剥離可能なままであるので、固化層の容易な除去は、通常、溶媒または界面活性剤の助けなくして起こり得る。いくつかの実施形態において、皮膚への接着、および材料の弾性は、関節および筋肉上のような、かなり伸長可能な皮膚領域において、固化層が皮膚から分離しないようなものである。例えば、1つの実施形態において、固化層は、固化層が適用される皮膚表面からのクラッキング、破壊、および/または分離なくして、少なくとも1つの方向に5%または10%以上伸長できる。なおさらに、固化層は、薬物を有利に送達し、クラッキングまたは破壊なくして感受性皮膚領域を保護するように処方することができる。一般に、本発明の処方物を用いて作成された固化層は、適用サイズに対して単一の破片として、またはほんの数個の大きな破片として皮膚表面から剥離可能な柔軟かつ凝集性の固体であり得る。他の実施形態において、固化層は水、アルコール、界面活性剤、またはその混合物のような溶媒の使用によって除去できる。
【0085】
さらなる注記として、本発明の固化層が不揮発性溶媒系の実質的量を維持できるのは該固化層のユニークな特徴であり、これは薬物を皮膚表面に送達するのに最適化される。この特徴は現存の製品よりもユニークな利点を提供することができる。例えば、いくつかの半固体処方物においては、皮膚表面への適用に際して、揮発性溶媒は迅速に蒸発し、処方物層は固化して硬いラッカー−様層となる。薬物分子は硬いラッカー層に固定化され、皮膚表面への送達では実質的に利用できない。その結果、薬物の送達は長時間にわたって持続できないと考えられる。このタイプの処方物とは対照的に、本発明の処方物を用いて形成された固化層は、皮膚表面と接触した不揮発性溶媒系に薬物分子をかなり移動可能に維持し、かくして、持続された送達を確実とする。
【0086】
本発明のシステム、処方物および方法から利益を受けることができる適用の特定の例は以下の通りである。1つの実施形態において、ブピバカイン、リドカイン、またはロピバカインを含む固化層を、糖尿病およびヘルペス後神経痛を治療するのに処方することができる。別法として、ジブカニン、およびクロニジンのようなアルファ−2アゴニストを同一の病気を治療するのに固化性処方物に処方することができる。もう1つの実施形態において、レチノイン酸およびベンゾイルペルオキシドは、アクネを治療するために固化層中で合わせることができ、あるいは別法として、1wt%クリンダマイシンおよび5wt%ベンゾイルペルオキシドはアクネを治療するために固化層中で合わせることができる。もう1つの実施形態において、レチノール固化性処方物(OTC)は皴を治療するのに調製することができ、あるいはリドカイン固化性処方物は背中の疼痛を治療するのに調製することができる。もう1つの実施形態において、酸化亜鉛固化性処方物(OTC)はおむつかぶれを治療するのに調製することができ、あるいは抗ヒスタミン固化層は、ツタウルシのようなアレルギー性かぶれを治療するのに調製することができる。
【0087】
さらなる適用はある皮膚疾患、例えば、皮膚炎、乾癬、湿疹、皮膚癌、単純疱疹のようなウイルス感染、性器ヘルペス、帯状疱疹など、特に、経皮パッチが現実的ではないかもしれない関節または筋肉上で起こるものを治療するための薬物送達を含む。例えば、イミキモドを含有する固化性処方物は皮膚癌、尋常性イボおよび性器イボ、および光線角化症を治療するのに処方することができる。アシクロビール、ペンシクロビール、ファムシクロビール、バラシクロビール、ステロイド、ベヘニルアルコールのような抗ウイルス薬物を含有する固化性処方物は、顔および性器領域で単純疱疹のようなヘルペスウイルス乾癬を治療するのに処方することができる。非−ステロイド抗−炎症薬物(NSAID)、カプサイシン、アルファ−2アゴニスト、および/または神経成長因子を含有する固化性処方物は、柔軟組織の負傷、種々の原因の関節および背中疼痛のような筋肉−骨格疼痛を治療するのに処方することができる。前記で議論したように、これらの皮膚領域上のパッチは、典型的には、持続時間にわたって、特に、身体的に活性な対象について、良好な接触を有さず、不快感を引き起こしかねない。同様に、クリーム、ローション、軟膏等のような伝統的な半固体処方物は、溶媒の蒸発および/または処方物の意図しない除去のため薬物の送達を早く停止させ得る。本発明の固化接着性処方物は、送達系のこれらのタイプの双方の欠点に取り組む。
【0088】
さらなる実施形態は少なくとも1つのアルファ−2アゴニスト薬物、少なくとも1つの三環抗鬱剤、および/または神経障害疼痛を治療するのに局所投与される少なくとも1つの局所麻酔薬物を含有する処方物を含む。薬物は処方物から徐々に放出されて、持続時間にわたって疼痛軽減を提供する。処方物は2から5分後に凝集性の柔軟な固体となり、適用の長さの間に皮膚表面に接着されたままとなる。それは、皮膚表面に残存する処方物を残すことなく乾燥後のいずれの時点においても容易に除去される。
【0089】
もう1つの実施形態は、神経障害疼痛を治療するのに局所適用されるカプサイシンを含有する処方物を含む。カプサイシンは持続時間にわたってこの疼痛を治療するのに処方物から徐々に放出される。該処方物は2から5分後に凝集性の柔軟な固体となることができ、その適用の長さの間に皮膚表面に接着されたままである。皮膚表面に残存する処方物を残すことなく乾燥後のいずれの時点においても容易に除去される。
【0090】
もう1つの実施形態は、ストレッチマーク、皺、脂肪質過形成、脂漏性角化症を治療するためのタゾラックを含有する固化性処方物を含む。もう1つの実施形態において、グリセロールを含有する固化性処方物は、指先端の亀裂のための保護バリアを提供するようにすることができる。
【0091】
なおもう1つの実施形態は、背中疼痛、筋肉の緊張、筋膜痛の兆候を治療するのに局所適用される、リドカインおよびロピバカインなどのような局所麻酔剤クラス、ケトプロフェン、ピロキシカム、ジクロフェナク、インドメタシン等のようなNSAIDクラス、またはその組合せから選択される薬物を含有する処方物を含むことができる。局所麻酔剤および/またはNSAIDは処方物から徐々に放出されて、持続時間にわたって疼痛軽減を提供する。処方物は約2から5分後に凝集性の柔軟な固体となることができ、その適用の長さの間、皮膚表面に接着されたままである。それは、皮膚表面に残存処方物を残すことなく乾燥後のいずれの時点においても容易に除去される。
【0092】
同様な実施形態は、薬物カプサイシンおよび疼痛軽減を提供するのに皮膚へ局所適用される、局所麻酔薬物を含有する処方物を含むことができる。もう1つの実施形態は、局所麻酔剤およびNSAIDの組合せを含有する処方物を含むことができる。前記実施形態の双方において、薬物は処方物から徐々に放出されて、持続時間にわたって疼痛軽減を提供する。処方物は2から4分後に凝集性の柔軟な固体となることができ、その適用の長さの間、皮膚表面に接着されたままである。それは残存処方物を皮膚表面に残すことなく乾燥後のいずれの時点においても容易に除去される。
【0093】
もう1つの実施形態において、関節および筋肉に関連する病気の原因または徴候を治療する薬物の送達のための固化性処方物は、本発明のシステム、処方物、および方法からやはり利益を受けることができる。適用可能であろうそのような病気は、限定されるものではないが、変形性関節症(OA)、慢性関節リウマチ(RA)、種々の他の原因の関節および骨格疼痛、筋膜疼痛、筋肉疼痛、およびスポーツの負傷を含む。そのような適用で用いることができる薬物または薬物クラスは限定されるものではないが、ケトプロフェンおよびジクロフェナクのような非−ステロイド抗−炎症薬物(NSAID)、COX−2選択性NSAIDおよび剤、COX−3選択性NSAIDおよび剤、リドカイン、ブピバカイン、ロピバカインおよびテトラカインのような局所麻酔剤、デキサメタゾンのようなステロイドを含む。
【0094】
アクネおよび他の皮膚疾患の治療用の薬物の送達もまた、特に、低い皮膚浸透性を有する薬物を送達する場合に、本発明の原理から利益を受けることができる。現在、アクネを治療するための局所レチノイド、ペルオキシド、および抗性物質は伝統的な半固体ゲルまたはクリームとして最も適用される。しかしながら、前記した欠点のため、何時間にも渡る持続送達はできないようである。例えば、クリンダマイシン、ベンゾイルペルオキシド、およびエリスロマイシンは、十分な量が毛包に送達される場合のみ効果的であろう。しかしながら、ポピュラーなアクネ医療ベンザクリンゲルのような伝統的な半固体処方物は、典型的には、適用から数分後以内にその溶媒(ベンザクリンの場合には水)の大部分を失う。数分のこの短い時間は、薬物の持続送達を実質的に危うくするようである。本発明の処方物は、典型的には、この制限を有しない。
【0095】
もう1つの実施形態において、神経障害疼痛を治療するための薬物の送達は本発明の方法、システム、および処方物からやはり利益を受けることができる。LidodermTMのような局所麻酔剤を含有するパッチは、ヘルペス後神経痛によって引き起こされる疼痛および糖尿病誘導神経障害疼痛のような神経障害疼痛を治療するのに広く用いられる。先に議論したパッチの制限のため、本発明に従って調製された固化層はいくつかのユニークな利点を供し、ならびにパッチの使用に対して潜在的に安価な代替法を提供する。そのような適用のために送達される可能な薬物は、限定されるものではないが、リドカイン、プリロカイン、テトラカイン、ブピビカイン、エチドカインのような局所麻酔剤;およびカプサイシン、およびクロニジンのようなアルファ−2アゴニスト、ケタミンのような解離性麻酔剤、アミトリプチリンのような三環抗鬱剤を含めた他の薬物を含む。
【0096】
先に部分的に記載したように、本発明の固化性処方物は筋肉骨格疼痛、神経障害疼痛、脱毛症、皮膚炎および乾癬を含めた皮膚病、ならびに回復(化粧的皮膚処理)、およびウイルス、細菌および真菌感染を含めた種々の疾患および病気を治療するのに処方することができる。それ自体、処方物は広い範囲の数およびタイプの薬物および活性剤を送達することができる。
【0097】
1つの実施形態において、固化性処方物はアシクロビール、エコナゾール、ミコナゾール、テルビナフィン、リドカイン、ブピバカイン、ロピバカイン、およびテトラカイン、アミトリプチリン、ケタンセリン、ベタメタゾンジプロピオネート、トリアムシノロンアセトニド、クリンダマイシン、ベンゾイルペルオキシド、トレチノイン、イソトレチノイン、クロベタゾールプロピオネート、ハロベタゾールプロピオネート、ケトプロフェン、ピロキシカム、ジクロフェナク、インドメタシン、イミキモド、サルチル酸、安息香酸またはその組合せを含むように処方することができる。
【0098】
1つの実施形態において、該処方物はアモロルフィン、ブテナフィン、ナフチフィン、テルビナフィン、フルコナゾール、イトラコナゾール、ケトコナゾール、ポサコナゾール、ラブコナゾール、ボリコナゾール、クロトリマゾール、ブトクナゾール、エコナゾール、ミコナゾール、オキシコナゾール、スルコナゾール、テルコナゾール、チオコナゾール、カスポフンギン、ミカフンギン、アニドルラフィンギン、アンフォテリシンB、AmB、ニスタチン、ピマリシン、グリセオフルビン、シクロピロックスオラミン、ハロプロジン、トルナフテート、およびウンデシレネート、またはその組合せのような抗真菌薬物を含むことができる。
【0099】
もう1つの実施形態において、該処方物はアシクロビール、ペンシクロビール、ファムシクロビール、バラシクロビール、ベヘニルアルコール、トリフルリジン、イドクスウリジン、シドフォビール、ガンシクロビール、ポドフィロックス、ポドフィロトキシン、リバビリン、アバカビール、ドラビルジン、ジダノシン、エファビレンツ、ラミブジン、ネビラピン、スタブジン、ザルシタビン、ジドブジン、アムプレナビール、インジナビール、ネルフィナビール、リトナビール、サキナビール、アマンタジン、インターフェロン、オセルタミビール、リバビリン、リマンタジン、ザナミビール、またはその組合せのような抗真菌薬物を含むことができる。
【0100】
該処方物が抗菌剤治療を提供することを意図する場合、それは、エリスロマイシン、クリンダマイシン、テトラサイクリン、バシトラシン、ネオマイシン、ムピロシン、ポリミキシンB、シプロフラキシンのようなキロロン、またはその組合せのような抗菌薬物を含むように処方物できる。
【0101】
該処方物が疼痛、特に神経障害疼痛を軽減することを意図する場合、該処方物はリドカイン、ブピバカイン、ロピバカイン、およびテトラカインのような局所麻酔剤;クロニジンのようなアルファ−2アゴニストを含むことができる。該処方物が炎症に関連する疼痛を治療することを意図する場合、それは、ケトプロフェン、ピロキシカム、ジクロフェナク、インドメタシン、COX阻害剤、一般的なCOX阻害剤、COX−2選択的阻害剤、COX−3選択的阻害剤またはその組合せのような非−ステロイド抗−炎症薬物を含むように処方することができる。
【0102】
もう1つの実施形態において、処方物は、クリンダマイシンおよびベンゾイルペルオキシドのような抗−アクネ薬物、レチノール、タザロテンおよびイソトレチノインのようなビタミンA誘導体、サイクロスポリン、アントラリン、ビタミンD3、コレカルシフェロール、カルチトリオール、カルチポトリオール、タカルシトール、カルシポトリエン、またはその組合せのような活性剤を含めることによって皮膚障害または傷を治療するのに処方することができる。
【0103】
なおもう1つの実施形態において、イボおよび他の皮膚疾患を治療するための医薬の送達もまた長時間の持続薬物送達の利益を受けるであろう。抗−イボ化合物の例は、限定されるものではないが;イミキモド、レシキモド、ケラチン溶解剤:サレチル酸、アルファヒドロキシ酸、硫黄、レスコルシノール、尿素、ベンゾイルペルオキシド、アラントイン、トレチノイン、トリクロロ酢酸、乳酸、安息香酸、またはその組合せを含む。
【0104】
さらなる実施形態は、限定されるものではないが、プロゲステロン、ノルエチンドロン、ノルエチンドロン酢酸塩、デソゲストレル、ドロスピレノン、エチノジオール二酢酸塩、ノルエルゲストロミン、ノルゲスチメート、レボノルゲストレル、dl−ノルゲストレル、シプロテロン酢酸塩、ジドロゲステロン、メドロキシプロゲステロン酢酸塩、クロルマジノン酢酸塩、メゲストロール、プロメゲストン、ノルエチステロン、リメステノール、ゲストデン(gestoden)、チボレンよりなるプロゲスタゲン、テストステロン、メチルテストステロン、オキサンドロロン、アンドロステンジオン、ジヒドロテストステロンよりなるアンドロゲン、エストラジオール、エチニルエストラジオール、エスチオール、エストロン、抱合卵胞ホルモン、エステル化エストロゲン、エストロピペートよりなるエストロゲン、またはその組合せを含めた性ステロイドの送達のための固化性処方物の使用を含む。
【0105】
非−性ステロイドもまた本発明の処方物を用いて送達することができる。そのようなステロイドの例は、限定されるものではないが、ベタメタゾンジプロピオネート、ハロベタゾールプロピオネート、ジフロラゾン二酢酸、トリアムシノロンアセトニド、デスオキシメタゾン、フルオシノニド、ハルシノニド、モメタゾンフロエート、ベタメタゾンバレレート、フルオシノニド、フルチカゾンプロピオネート、トリアムシノロンアセトニド、フルオシノロンアセトニド、フランドレノリド、デソニド、ヒドロコルチゾンブチレート、ヒドロコルチゾンバレレート、アルクロメタゾンジプロピオネート、フルメタゾンピバレート、ヒドロコルチゾン、ヒドロコルチゾン酢酸またはその組合せを含む。
【0106】
さらなる実施形態は、喫煙者およびニコチン中毒個人の中のニコチン依存症を治療するためのニコチンの制御された送達を含む。本発明の処方物は、治療量のニコチンを経皮送達するコスト的に有利な方法であろう。
【0107】
もう1つの実施形態は、処方物を用いて、ジフェンヒドラミンおよびトリペレナミンのような抗−ヒスタミン剤を送達することを含む。これらの剤は痒みを引き起こすヒスタミンをブロックすることによって痒みを低下させ、また局所鎮痛剤を提供することによって軽減を提供するであろう。
【0108】
本発明の固化性処方物を用いて送達することができる他の薬物は、限定されるものではないが、アミトリプチリンのような三環抗鬱剤;カルバマゼピンおよびアルプラゾラムのような抗痙攣剤;ケタミンのようなN−メチル−D−アスパルテート(NMDA)アンタゴニスト;ケタンセリンのような5−HT2A受容体アンタゴニスト;タクロリムスおよびピクロリムスのような免疫変調剤を含む。
【0109】
本発明の処方物および方法を用いて送達することができる他の薬物は保湿剤、エモリエント、および他の皮膚ケア化合物を含む。
【実施例】
【0110】
以下の実施例は、現在最良に知られた本発明の実施形態を説明する。しかしながら、以下のものは本発明の原理の適用の例にすぎず、またはそれを説明するものであることは理解されるべきである。多数の改良および代替組成物、方法およびシステムは、本発明の精神および範囲を逸脱することなく当業者によって考案され得る。添付の請求の範囲は、そのような改良および配置を網羅することを意図する。従って、本発明を特別なものを用いて記載してきたが、以下の実施例は、現在本発明の最も現実的かつ好ましい実施形態とみなされるものに関連したさらに詳細を提供する。
【0111】
実施例1
無毛マウス皮膚(HMS)またはヒト表皮膜(HEM)を、本明細書中に記載されたイン・ビトロフラックス実験のためのモデル膜として用いる。無毛マウスの腹部から取り出した新たに分離された表皮をFranz拡散セルのドナーおよびレシーバーチャンバーの間に注意深く設置する。レシーバーチャンバーはpH7.4リン酸緩衝化生理食塩水(PBS)を満たす。実験は、テスト処方物を皮膚試料の角質層(SC)上に置くことによって開始される。Franzセルを37℃に維持された加熱ブロックに入れ、HMS温度を35℃に維持する。所定の時間間隔にて、800μLアリコットを捨て、新鮮なPBS溶液で置き換える。皮膚フラックス(μg/cm/h)は、浸透の累積量−vs−時間のプロットの定常状態勾配から決定する。ヒト死体皮膚は同様にイン・ビトロフラックス実験のためのモデル膜として用いることができることに注意すべきである。皮膚の設置、およびサンプリング技術はHMS実験について前記したのと同一のものを用いた。
【0112】
実施例2
ヒト死体皮膚を膜として用いて、クロベタゾールプロピオネートのための不揮発性溶媒を選択する。イン・ビトロ方法は実施例1に記載される。種々の不揮発性溶媒中のクロベタゾールの約200mcLの0.1%(w/w)溶液をFranzセルのドナー区画に加える。LC分析後に得られた結果を表4に示す。
【0113】
【表4】

全ての実験した正味の不揮発性溶媒は30時間の時間にわたって40 ng/cm/hr未満の平均フラックスを有する。プロピレングリコールおよびグリセロールはクロベタゾールプロピオネートについて最低の浸透を有する。9:1の重量比率のプロピレングリコールおよびイソステアリン酸の混合物は、単独の溶媒、またはテストしたいずれかの他の溶媒と共の溶媒のいずれかよりも有意に高いフラックスを有する。平均フラックスは、最良の非−混合溶媒である軽質鉱油でのそれよりも20倍高い。よって、クロベタゾールプロピオネートについては、プロピレングリコール/イソステアリン酸の組合せは不揮発性溶媒系についての良好な候補である。
【0114】
実施例3から8
不揮発性溶媒および種々の固化剤としてのプロピレングリコールおよびイソステアリン酸と共に0.05%(w/w)クロベタゾールプロピオネートを含有する接着性処方物を調製する。処方物は表5に示した成分から調製する。
【0115】
【表5】

先に示した組成物の各々を、以下のように、表6に示したようにクロベタゾールプロピオネートのフラックスについて実験する:
【0116】
【表6】

表6からわかるように、固化剤としてポリビニルアルコールを含有する実施例3に記載された処方物はクロベタゾールプロピオネートの高いフラックスを有する。ポリビニルアルコールは伸長可能なフィルムを形成することが知られており、この処方物は許容される疲労特性を有するようである。得られたフィルムの靭性は、必要であれば、適当な可塑剤を加えることによって修飾することができる。適当な量の粘着剤を加えることによって、あるいはDermacryl 79のような適当な量のもう1つの固化剤を加えることによって、粘着性を修飾することもできる。
【0117】
実施例8に記載された処方物に関しては、より高いパーセンテージエタノールをポリマーを溶解させるために必要とする。しかしながら、実施例8で用いる固化剤は、実験した固化剤のうちでクロベタゾールプロピオネートの最高のフラックスを提供する。この処方物の疲労特性は、適切なレベルの、限定されるものではないが、可塑剤、粘着剤、不揮発性溶媒および固化剤を含めた他の成分を加えることによって修飾することができる。
【0118】
実施例9
種々の不揮発性溶媒系におけるアシクロビールの処方物を評価する。過剰のアシクロビールを存在させる。HMSを通ってのテスト処方物からのアシクロビールの浸透は、以下の表7に示す。
【0119】
【表7】

前記不揮発性溶媒からのアシクロビールの定常状態フラックスは、無毛マウスの皮膚の角質層側(ドナー)上に200mcLを置くことによって得られる。イン・ビトロ実験は実施例1に記載したように行う。驚くべき結果は、ポリエチレングリコール400、Span80、オレイン酸エチル、またはオレイン酸エチル+トロラミンが、アシクロビールについてフラックス化可能溶媒ではないことを示した(例えば、定常状態フラックス値は、表2に示した市販の製品におけるアシクロビールの定常状態フラックスよりも有意に低く、ここに、フラックスは約3mcg/cm/hであった)。しかしながら、イソステアリン酸およびトロラミンまたはオレイン酸および増大させる量のトロラミンの組合せは、アシクロビールについてフラックス化可能溶媒である。分かるように、最高フラックスは、不揮発性溶媒系としてオレイン酸を含む30%トロラミンを用いて達成された。
【0120】
実施例10から13
プロトタイプの固化性処方物は以下のように調製される。いくつかのアシクロビール固化性処方物は、以下のように、表8に従って本発明の実施形態により調製される。
【0121】
【表8】

実施例10から13において、表6中の組成物を以下のように調製する。Eudragit RL−POおよびエタノールをガラスジャー中で合わせ、RL−POが溶解するまで撹拌しつつ加熱する。イソステアリン酸およびトロラミンをRL−PO/エタノール混合物に加え、混合物を激しく撹拌する。一旦均一な混合物が得られれば、アシクロビールを混合物に加え、処方物を激しく混合する。
【0122】
実施例14から15
プロトタイプの処方物を以下のように調製する。いくつかのアシクロビール固化性処方物を、以下のように、表9に従って、本発明の実施形態により調製する。
【0123】
【表9】

表8に示された実施例14および15の組成物は以下の通りに調製する。Eudragit RL−POおよびエタノールをガラスジャー中で合わせ、RL−POが溶解するまで撹拌しつつ加熱する。イソステアリン酸およびジイソプロパノールアミンまたはNeutrol TE Polyol(BASF)をRL−PO/エタノール混合物に加え、混合物を激しく撹拌する。一旦均一な混合物が得られれば、アシクロビールを混合物に加え、処方物を激しく混合する。
【0124】
実施例16から17
プロトタイプの固化性処方物は以下のように調製される。いくつかのアシクロビール固化性処方物は、以下の通り、表10に従って本発明の実施形態により調製される。
【0125】
【表10】

実施例16から17において、表10中の組成物が以下のように調製される。エチルセルロースECN7またはエチルセルロースECN100およびエタノールをガラスジャー中で合わせ、固体セルロースが溶解するまで撹拌しつつ加熱する。イソステアリン酸およびトロラミンをセルロース/エタノール混合物に加え、混合物を激しく撹拌する。一旦均一な混合物が得られれば、アシクロビールを混合物に加え、処方物を激しく混合する。
【0126】
実施例18
実施例10から17の処方物を、実施例1に記載された無毛マウス皮膚(HMS)イン・ビトロモデルでテストする。表11は、先に概説した実験プロセスを用いて得られたデータを示す。
【0127】
【表11】

前記で示した本発明の処方物は、一般には、有効成分の有意な浸透を供し、さらに、実施例10から12および17の処方物は、市販の製品Zovirax Creamよりも浸透性がかなり大きいことが判明する。実施例10、11についての経時的なHMS角質層を通って浸透するアシクロビール、およびZovirax Creamの量を図2に示す。示された各値は、少なくとも3つの実験の平均±SDを示す。
【0128】
実施例10から13は、アシクロビールフラックス増強に対するイソステアリン酸(ISA)に対するトロラミンの比率のインパクトを示す。最適なISA:トロラミン比率は1:1から2:1であり、4:1よりも大きな比率はアシクロビール皮膚フラックスの有意な減少を示す。処方物におけるトロラミンの代わりのジイソプロパノールアミンおよびNeutrolの添加(実施例14および15)は、アシクロビールフラックス値の有意な減少を示す。これは、より高い皮膚フラックスを促進する処方物内の環境を作り出す、トロラミンおよびISAの間の特異的化学相互作用によるものであろう。実施例16および17は、異なる固化剤を利用して、アシクロビールフラックスに対する固化剤のインパクトを見積もる。驚くべきことに、実施例16はアシクロビール皮膚フラックスの有意な減少を示すが、固化剤の分子量だけ実施例16と異なる実施例17は、実施例10における同様なISA:トロラミン比率と比較してアシクロビール皮膚フラックスに対してインパクトを示さない。
【0129】
図2から分かるように、実施例10および11は8時間までのアシクロビールの持続送達を示し、対象が皮膚に付着された固化処方物を取り去りたい限り、アシクロビールの送達は報告されたフラックス値において継続するであろうことは、薬物負荷および不揮発性溶媒の継続した存在に基づいて推定するのが合理的であろう。
【0130】
実施例19から21
プロトタイプの固化性処方物は以下のように調製される。いくつかの固化性処方物は、以下のように、表12に従って本発明の実施形態により調製される。
【0131】
【表12−1】

【0132】
【表12−2】

実施例19から21の固化性処方物は以下の方法で調製される:
−固化剤を揮発性溶媒に溶解させる(例えば、ポリビニルアルコールを水に溶解させ、Eudragitポリマーをエタノールに溶解させる)。
−不揮発性溶媒を固化剤/揮発性溶媒混合物と混合する。
−得られた溶液を数分間激しく良く混合する。
−次いで、薬物を加え、固化性処方物を再度数分間混合する。
【0133】
前記した全ての例において、フラックス化可能な不揮発性溶媒/固化剤/揮発性溶媒の組合せは、適当な乾燥時間を呈する均一な単一相システムによって証明されるように適合するものであり、伸長可能な固化層および薬物についての定常状態フラックスを供した(以下の実施例22参照)。
【0134】
実施例22
実施例の処方物を、実施例1に記載された無毛マウス皮膚(HMS)またはHEMイン・ビトロモデルでテストした。表13は、前記で概説した実験プロセスを用いて得られたデータを示す。
【0135】
【表13−1】

【0136】
【表13−2】

アシクロビール、ロピバカイン、およびテストステロンは、フラックス化可能な不揮発性溶媒を固化性処方物に配合した場合、驚くべきことにより高い定常状態フラックス値を有する。より高いフラックス値は、より高い値をもたらす固化処方物中の薬物の化学的環境(例えば、増大する溶解性)にインパクトを与える揮発性溶媒または固化剤の寄与の結果であろうと推定される。逆に、ケトプロフェンおよびジクロフェナクは、可能化不揮発性溶媒を固化性処方物に配合した場合、より低い定常状態フラックス値を有する。これは、より低いフラックス値をもたらす、化学的環境(例えば、溶解性の減少、薬物および固化性処方物の間の物理的相互作用)に対して反対のインパクトを有する揮発性溶媒系または固化剤の結果であろう。固化剤をフラックス化可能な不揮発性溶媒フラックス値と比較すると、イミキモドについての定常状態フラックス値は不変化である。
【0137】
実施例23
以下の組成:10.4%ポリビニルアルコール、10.4%ポリエチレングリコール400、10.4%ポリビニルピロリドンK−90、10.4%グリセロール、27.1%水、および31.3%エタノールを持つ処方物を、肘関節および指関節において、ヒト皮膚表面に適用し、その結果、薄く、透明で、可撓性な、伸長性固化層が得られた。揮発性溶媒(エタノールおよび水)の数分の蒸発の後、剥離可能な固化層が形成された。ポリエチレングリコールおよびグリセロールの不揮発性溶媒は、処方物において可塑剤として作用する。伸長性固化層は皮膚への良好な接着を有し、曲げた場合に、関節上の皮膚から分離せず、皮膚から容易に剥離することができた。
【0138】
実施例24から26
(ロピバカイン塩基をロピバカインHClで置き換える)実施例27における処方物と同様な3つの処方物を、新たに分離した無毛マウス皮膚の角質層側に適用する。イン・ビトロフラックスは、実施例1に概説したように各処方物について決定される。処方物組成物は以下の表14に示される。
【0139】
【表14】

全ての3つの処方物は固化剤、揮発性溶媒、およびフラックス化可能な不揮発性溶媒の正確な同一の組成を有する。唯一の差は、いずれのフラックス化可能な不揮発性溶媒を用いるかであり、ロピバカインHClについては、Span 20、ポリエチレングリコール400、およびTween 40はフラックス化可能な不揮発性溶媒としての資格があると結論するのが合理的である。
【0140】
実施例30におけるトロメタミンおよびSpan 20の添加は、不揮発性溶媒を含有しない処方物よりもかなり脆くない可撓性な凝集性固体を生じた。
【0141】
実施例27から31
イミキモドの皮膚送達用の固化処方物を調製し、これは賦形剤混合物中に特定量のイミキモドを含んで、本発明の実施形態に従った接着性処方物を形成する。固化性処方物は以下の成分を含有した:
【0142】
【表15】

これらの処方物は実施例1に記載したようにHMS皮膚に適用し、イミキモドフラックスを測定する。実施例27から31における処方物で行ったイン・ビトロフラックス実験からの結果のまとめを表16にリストする。
【0143】
【表16】

実施例27および28に記載された処方物に関しては、水を揮発性溶媒として用い、ISA、トロラミン混合物を不揮発性溶媒系として用いる。実験を通じて、ISAおよびSpan 20は薬物に対する適当な溶解性を提供するが、しかしながら、これらの不揮発性溶媒は疎水性であって、固化剤PVAを溶解させるのに用いられる揮発性溶媒系と適合しない。乳化剤Pemulen TR−2を用いて、不揮発性溶媒を水相に乳化した。さらに、この実施形態において、ISAおよびトロラミンは、水(揮発性溶媒)が蒸発した後に、剥離性処方物において可塑剤として作用する。処方物27および28の定常状態フラックスは、全処方物のフラックス化可能生成パワーを指令するにおいて、処方物に添加された不揮発性溶媒の量の重要性を示す。処方物実施例29から31は、非水性揮発性溶媒系(イソプロパノール)において適合性である異なる固化剤を利用する。不揮発性溶媒系ISA/トリアセチンまたはISA/Span 20/トロラミン/トリアセチンの組合せの選択は、イン・ビトロフラックスにおいて変化を示さなかった。イン・ビトロフラックスの増加は、処方物に存在するイミキモドの量に影響されることが示される。4%を超えるイミキモドレベルにおいて、薬物は固化性処方物で飽和している。増加した薬物添加の関数としてのイン・ビトロフラックスの増加(実施例30および31)は、一旦揮発性溶媒が蒸発すれば、固化処方物における薬物の増加した溶解性によるものであろう。
【0144】
実施例29は、他の処方物の例に対する匹敵するイミキモドフラックス、および不揮発性溶媒系の値、およびトロラミンの除去によって引き起こされる固化剤適合性を示す。なぜならば、この不揮発性溶媒はPlastoid Bポリマーの関数に否定的に影響したからである。
【0145】
実施例32から35
イミキモドの皮膚送達のための固化性処方物を調製し、これは、特定量のイミキモドを賦形剤混合物中に含んで、本発明の実施形態に従う接着性処方物を形成する。固化性処方物は以下の成分を含有した:
【0146】
【表17】

これらの処方物は実施例1に記載したようにHMS皮膚に適用し、イミキモドフラックスを測定する。実施例32から35における処方物で行ったイン・ビトロフラックス実験からの結果のまとめを表18にリストする。
【0147】
【表18】

実施例32から35のイン・ビトロフラックスは、Aldara対照と比較して有意に増加した。改良されたイン・ビトロフラックスの値についての理由は、サリチル酸の負荷に帰属するであろう。実施例32から35におけるイミキモドの改良されたイン・ビトロフラックスは、イミキモドおよびサリチル酸の間のイオン対相互作用によるものと考えられる。イオン対メカニズムが考えられ、そこでは、対イオン(サリチル酸)の親油性が角質層を横切るイミキモドのフラックスを改良する。なぜならば、それはイミキモド処方物においてあまり「心地よい」ものではなくするからである。実施例32から34の比較は、ポリマーおよび/または揮発性溶媒の選択がイミキモドのフラックスにインパクトを与えるであろうことを示す。実施例32は、PVAおよび水を含有し、これらのエレメントの一方または双方は、イオン対が形成され、その結果、イミキモドフラックス−対−Aldara対照の無視できる増加をもたらすことができる不都合な媒体に寄与し得る。
【0148】
実施例36
経皮水喪失(TEWL)を低下させる固化処方物の能力を示すために、以下の実験を行った。
【0149】
プラセボPVA処方物を手の頂部に適用し、固化層に直ぐに隣接する部位につき、および固化層の頂部につき、TEWLを測定した。固化層によって被覆された部位のTEWL測定は未処理皮膚部位よりも33%低かった。
【0150】
実施例5に記載された処方物と同様なプラセボPlastoidB処方物を手の頂部に適用し、固化層に直ぐに隣接する部位につき、および固化層の頂部につき、TEWLを測定した。固化層によって被覆された部位のTEWL測定は未処理皮膚部位よりも30%低かった。
【0151】
実施例37から38
ロピバカインの皮膚送達のための固化性処方物を調製し、これは、賦形剤混合物中に特定量のロピバカインを含んで、本発明の実施形態に従って接着性処方物を形成する。固化処方物は以下の成分を含有した。
【0152】
【表19−1】

【0153】
【表19−2】

これらの処方物は実施例1に記載したようにHMS皮膚に適用され、ロピバカインフラックスを測定する。実施例37および38における処方物で行ったイン・ビトロフラックス実験からの結果のまとめを表20にリストする。
【0154】
【表20】

実施例37および38に記載された処方物に関しては、エタノールは揮発性溶媒として用いられ、ISA、グリセロール、トロラミン、およびPG混合物は不揮発性溶媒系として用いられる。実験を通じて、一緒に用いられるISAおよびプロピレングリコールは、Eudgragit RL−100固化剤と適合しつつ、薬物に対する適当な溶解性を提供すると判断される。さらに、この実施形態においては、ISA、PGおよびグリセロールは、エタノール(揮発性溶媒)が蒸発した後に、剥離可能処方物において可塑剤として働く。処方物実施例37および38からのロピバカインの定常状態フラックスは、全処方物のフラックス−生成パワーを指令するにおいて不揮発性溶媒の重要性を示す。
【0155】
実施例39
リドカインの皮膚送達用の処方物が調製され、これは賦形剤混合物中に飽和量のリドカインを含んで、本発明の実施形態に従って接着性処方物を形成する。固化性処方物は表26に示した成分から調製される。
【0156】
【表21】

【0157】
【表22】

本実施例におけるリドカイン処方物の接着性処方物は、前記実施例における処方物と同様な物理的特性を有する。無毛マウス皮膚を横切っての経皮フラックスは許容され、定常状態送達は8時間にわたって維持される。
実施例40から43
アミトリプチリン、およびアミトリプチリンおよびケタミンの組み合わせの皮膚送達用の処方物を調製し、これは、賦形剤を含んで、本発明の実施形態に従って接着性処方物を形成する。固化性処方物は表23に示した成分から調製される。
【0158】
【表23−1】

【0159】
【表23−2】

前記リストの成分を、以下の手法に従って合わせる。薬物、水、およびトリイソプロパノールアミンをガラスジャー中で合わせ、薬物が溶解するまで混合する。次いで、イソステアリン酸、トリアセチン、Span 20、およびイソプロパノールを処方物に加え、よく混合する。ポリマーPlastoid Bを最後に加え、Plastoid Bが完全に溶解するまで約60℃まで加熱する。一旦、ポリマー溶液を室温まで冷却すれば、処方物を2から3分間激しく撹拌する。
【0160】
表10中の処方物を実施例1に従ってHMSに適用し、アミトリプチリンおよび/またはケタミンのフラックスを測定した。結果を表24にまとめる。
【0161】
【表24】

アミトリプチリンおよびアミトリプチリン/ケタミンの接着性処方物における不揮発性溶媒系は、トリアセチンを可塑性溶媒として用いた場合に、最良の適合性を呈することが判明した。例えば、プロピレングリコールを前記した実施例でトリアセチンの代わりに用いた場合、処方物は約12時間以内に貯蔵容器中で柔軟な固体に変化した。プロピレングリコールをトロラミンで置き換えた結果、皮膚表面で伸ばすことができるのに十分低い粘度を持つ透明で流動可能な処方物が得られた。
【0162】
実施例44から47
ロピバカインの皮膚送達用の処方物を調製し、これは賦形剤混合物を含んで、本発明の実施形態による接着性処方物を形成する。固化性処方物は表25に示した成分から調製する。
【0163】
【表25】

前記リストの成分を、以下の手法に従って合わせる。ロピバカインHCl、水、およびトリイソプロパノールアミンをガラスジャー中で合わせ、薬物が溶解するまで混合する。次いで、イソステアリン酸、トリアセチン、Span 20、およびイソプロパノールを処方物に加え、よく混合する。ポリマーPlastoid Bを最後に加え、Plastoid Bが完全に溶解するまで約60℃まで加熱する。一旦、ポリマー溶液を室温まで冷却すれば、処方物を2から3分間激しく撹拌する。
【0164】
表25中の処方物を実施例1に従ってHMSに適用し、ロピバカインのフラックスを測定した。結果を表26にまとめる。
【0165】
【表26】

実施例44から47の各々におけるフラックスは、処方物におけるトリアセチン、イソステアリン酸、Span 20組合せの重要性を示す。実施例45から47において、処方物は、各々、Span 20、トリアセチン、およびイソステアリン酸無くして作成した。ロピバカインのイン・ビトロフラックスはインパクトが与えられた。フラックス化可能な不揮発性溶媒系の相乗的な組合せは、ロピバカインの最大イン・ビトロフラックスを得るのに重要である。
【0166】
実施例48
この処方物は以下の成分を示された重量部で有する。
【0167】
【表27】

本処方物においては、ポリビニルアルコール(AmrescoからのUSPグレード)は固化剤であり、エチルセルロースおよびDermacryl 79は補助的固化剤である。イソステアリン酸およびグリセロールは不揮発性溶媒系を組成し、他方、エタノールおよび水は揮発性溶媒系を組成する。ロピバカインは薬物である。
【0168】
処方物を作成するための手法:
1.ロピバカインをISAと混合する。
2.エチルセルロースおよびDermacryl 79をエタノールに溶解させる。
3.PVAを約60から70 Cの温度で水に溶解させる。
4.前記混合物の全てを1つの容器中で一緒に合わせ、グリセロールを加え、全混合物をよく混合する。
【0169】
得られた処方物は粘性流体である。約0.1mmの厚みの層を皮膚に適用した場合、非粘着性の表面が2分以内に形成される。
【0170】
実施例49から50
抗−真菌固化性処方物を調製し、固化層のフレキシビリティおよび粘度の定性的評価を行う。処方物の成分は以下の表28に示される。
【0171】
【表28】

実施例49における固化性処方物は、爪または皮膚表面上の適用で望ましいであろうよりも低い粘度を有する。この処方物で固化層を形成するための時間は望まれる乾燥時間よりも長い。実施例50における処方物は固化剤(Eudgragit RL−PO)の量の増加、およびエタノールの量の減少を有し、これは、粘度および乾燥時間を改良する。実施例50は適用に適した粘度、および改良された乾燥時間を有する。
【0172】
実施例51
表29に従って、以下の通りに、固化性処方物を調製した。
【0173】
【表29】

表29の成分を以下のように合わせた:
−固化剤を揮発性溶媒に溶解させる(すなわち、ポリビニルアルコールを水に溶解させる)。
−フラックス化可能な不揮発性溶媒を固化剤/揮発性溶媒混合物と混合する。
−得られた溶液を激しく数分間十分に混合する。
−次いで、薬物を加え、固化性処方物を数分間再度混合する。
【0174】
実施例52
実施例51で調製した処方物を、以下の表30に記載したように、皮膚フラックスについてテストした。
【0175】
【表30】

現在市販されている製品であるAndroGelを無毛マウス皮膚に直接適用し、フラックス決定は実施例1に概説したように作成する。定常状態フラックスデータは図1に示す。表3に報告する定常状態フラックス値は2から6時間の間の直線領域を用いて決定する。図1から分かるように、AndroGelからのテストステロンのイン・ビトロフラックスは6時間を超えて実質的に減少する。これは、部分的には、送達用の主要賦形剤として作用し得る揮発性溶媒の蒸発によるものであろう。実施例51における処方物は、少なくとも9時間の間、定常状態量のテストステロンを送達するであろう。
【0176】
実施例53
(関節および筋肉の炎症または疼痛を治療するための皮膚を解する送達で適当な)ケトプロフェンの経皮送達用の伸長可能な接着性処方物を調製し、これは、賦形剤混合物中に飽和量のケトプロフェン(賦形剤混合物に溶解することができるよりも多いケトプロフェン)を含んで、接着性処方物を形成し、そのいくつかは本発明の実施形態に従って調製される。粘性であって透明な流体である賦形剤混合物は、表31に示された成分を用いて調製される。
【0177】
【表31】

実施例53の組成物は、以下のように、表32に示したようにケトプロフェンのフラックスについて実験した:
【0178】
【表32】

実施例53に記載された処方物に関しては、エタノールおよび水は揮発性溶媒系を組成し、他方、グリセロールおよびPEG 400の1:1混合物は不揮発性溶媒系を組成した。実験を通じて、PEG 400はケトプロフェンについてグリセロールよりもわずかに良好な溶媒であり、他方、グリセロールはPEG 400よりもPVAに対してより適合していると決定される。かくして、グリセロールおよびPEG 400の不揮発性溶媒系を一緒に用いて、PVAと合理的に適合しつつ、薬物に対する不揮発性溶媒系を提供する。実施例53での処方物に関する更なる詳細において、PVAおよびPVPは固化剤として作用する。さらに、この実験においては、グリセロールおよびPEG 400もまた、揮発性溶媒の蒸発の後に形成された接着性剥離可能処方物において可塑剤として働く。グリセロールおよびPEG 400の存在がなければ、PVAおよびPVP単独によって形成されたフイルムは剛性かつ非―伸長性であろう
実施例54
(ケトプロフェンを含まない)実施例53の組成物の処方物と同様な処方物を肘関節および指関節においてヒト皮膚表面に適用し、その結果、薄く、透明で、可撓性な伸長可能固化層が得られる。揮発性溶媒(エタノールおよび水)の数分間の蒸発の後、固化層が形成される。伸長可能固化層は皮膚への良好な接着を有し、曲げた場合に関節上の皮膚から分離せず、容易に皮膚から剥離除去することができる。
【0179】
実施例55
(関節および筋肉上の皮膚を介しての送達に適した)ケトプロフェンの経皮送達用の伸長可能な接着性処方物を調製し、これは賦形剤混合物中に飽和量のケトプロフェン(賦形剤混合物に溶解することができるよりも多くのケトプロフェン)を含んで、接着性処方物を形成し、そのいくつかは本発明の実施形態に従って調製される。粘性であって透明な流体である賦形剤混合物は、表33に示された成分を用いて調製される。
【0180】
【表33】

処方物AおよびBは以下のような方法で調製される:
―PVA(固化剤)を水に溶解させる。
―フラックスに適切な不揮発性溶媒(グリセロール、PG)を固化剤/揮発性溶媒の混合物と一緒に混合する。
―次いで、エタノール、およびGantrez ES 425を混合物に加える。
―得られた溶液を激しく数分間混合する。
【0181】
処方物Cにおける水溶液中のPVAの調製は、示したパーセンテージにおけるPVAのこの分子量では可能でなかった。処方物Cは、PVAについての正しいポリマー分子量は望まれる処方物特性を得るのに重要であることを示す。
【0182】
処方物AおよびBをヒトボランティアの皮膚上に置く。揮発性溶媒が蒸発するのに十分な長さの数時間の後に、固化層はボランティアによって取り除かれ、剥離特性を評価した。全ての場合において、ボランティアは、処方物例Aは1または2の破片にて除去できなかったが、多数の小さな破片で除去されたと報告した。処方物Bは1または2の破片にて除去された。処方物Aの脆い性質はより低い分子量のPVA試料(Celvol)に帰される。低い分子量のPVAは、ポリマー鎖の低下したサイズのため、より高い分子量のPVA材料(Amresco)と同一の凝集性強度を保有せず、個々のPVAポリマー鎖の間の架橋および物理的相互作用の程度の低下に導く。低下したPVA鎖相互作用は、固化層が除去に際して付される機械的力に耐えることができない、弱められた固化層に導く。
【0183】
実施例56から57
(関節および筋肉上の皮膚を介しての送達に適した)ケトプロフェンの経皮送達用の伸長可能な接着性処方物を評価し、これは、いくつか本発明の実施形態に従って調製される接着性処方物を形成するであろうプラセボ賦形剤混合物を含む。粘性であって透明な流体である賦形剤混合物は、表34に示された成分を用いて調製される。
【0184】
【表34】

実施例56および57における固化性処方物は以下の方法で調製される:
−PVA(固化剤)を水に溶解させる。
−フラックスに適した不揮発性溶媒(グリセロール,PG)を固化剤/揮発性溶媒混合物と一緒に混合する。
−次いで、エタノール、およびGantrez S97を混合物に加える。
−得られた溶液を激しく数分間混合する。
【0185】
前記処方物を実験ボランティアの前腕に適用し、綿の破片を適用部位に置き、次いで、5グラムの重量を綿上に適用することによって乾燥時間を評価した。綿および重量は5秒後に除去した。この処方物は適用からほぼ3から4分後に開始し、その後10から60秒間隔で、綿が皮膚から固化層をリフトさせ、または残渣を残すことなく除去されるまで適用した。観察を行った時間は、固化性処方物についての乾燥時間と定義される。実験の結果を以下の表35にまとめる。
【0186】
【表35】

処方物中の水の量は、処方物が乾燥する時間に有意に影響しなかった。しかしながら、実験の間に、処方物は試料チューブから排出するのが困難だったと認められた。実施例56および57における処方物が作成されてからほぼ4週間後に、試料チューブを回収し、処方物を分注する容易性について評価した。処方物はチューブから排出するのが不可能であったと認められた。静電相互作用、疎水性相互作用、水素結合、またはファンデルワールス相互作用を通じてのGantrez S−97およびPVAの間のポリマー間複合体化が観察された増粘の理由であると仮定される。さらに、この相互作用の程度は、2つのポリマーの化学量論的比率に依存し得る。
【0187】
実施例58から61
(関節および筋肉上の皮膚を介しての送達に適した)ケトプロフェンの経皮送達用の伸長可能な接着性処方物を評価し、これは、そのいくつかが本発明の実施形態に従って調製される接着性処方物を形成するであろう賦形剤混合物を含む。粘性であって透明な流体である賦形剤混合物を、表36に示した成分を用いて調製する。
【0188】
【表36】

実施例58から61における固化性処方物を以下の方法で調製する:
−PVA(固化剤)を水に溶解させる。
−フラックスに適当な不揮発性溶媒(グリセロール,PG)を固化剤/揮発性溶媒混合物と一緒に混合する。
−次いで、エタノール、およびGantrez ES 425を混合物に加える。
−得られた溶液を激しく数分間混合する。
−混合の後、ケトプロフェンを加え、最終混合物を再度激しく数分間混合する。
【0189】
前記した処方物をラミネートパッケージングチューブに入れ、テストのために引き出すまで、25 C/60% RHおよび40 C/75% RH条件で貯蔵した。物理的テストを各処方物で行った。実施例57から59は最も長く実験し、得られた粘度の増加は実施例60の粘度を調べる希望を必要とした。表37は各処方物で生じたデータをまとめる。
【0190】
【表37−1】

【0191】
【表37−2】

実施例58および59は4つの処方物の最低水含有量を有し、貯蔵の4週間内に、高い粘度値を達成した。実施例58および59の間の唯一の差は処方物におけるエタノールの量である。エタノールレベルの低下は、PVAおよびエタノールの間の不適合性のため処方物の物理的増粘を低下させ得ると仮定された。粘度のデータは、より高いエタノール処方物(実施例58)がより低い初期粘度を有したが、4週間の貯蔵にわたって、実施例58および59双方の粘度は、活力のある処方物では余りにも高い粘度値に達した。処方物増粘についてのもう1つの仮説は、水に溶解させた場合に、PVAが高い濃度で適合しないことである。より高い水含有量を持つさらなる処方物を調製して、最適な水の量が処方物が経時的に増粘することを妨げ得るか判断した。16週間後の実施例60の粘度は、実施例58および59の初期粘度値の粘度値に到達しなかった。
【0192】
前記した処方物のプラセボバージョンは実験ボランティアに適用し、綿の破片を適用部位に置き、次いで、5グラムの重量を綿に適用することによって乾燥時間を評価した。綿および重量は5秒後に除去した。この手法は適用からほぼ3から4分後、およびその後は綿が固化層をリフトし、または残渣を残すことなく除去されるまで10から60秒間隔で開始した。実験の結果を以下の表38にまとめる。
【0193】
【表38】

第二の揮発性溶媒としてのエタノールの存在は、乾燥するための該時間を有意に低下させるようである。示さないデータにおいて、揮発性溶媒として水のみを含有し、PVAに対する水の比率が2:1である局所麻酔剤処方物は>15分の乾燥時間を有する。水を含有する処方物における更なる揮発性溶媒の比率および存在の最適化は、乾燥時間を有意に低下させる。更なる揮発性溶媒、この場合、エタノールは水と水素結合し、皮膚から蒸発する際に、水はエタノールと共に逃げ、それにより、固化層を形成すると仮定される。
【0194】
実施例62から63
(関節および筋肉の炎症または疼痛を治療するための皮膚を介しての送達に適した)ケトプロフェンの経皮送達用の伸長可能な接着性処方物を調製し、これは、賦形剤混合物中にケトプロフェンを含んで、接着性処方物を形成し、そのいくつかは本発明の実施形態に従って調製される。固化性処方物は表39に示した成分から調製される。
【0195】
【表39】

【0196】
【表40】

実施例64から66
接着性ポリマーとしてGantrez ES 425を含有するプラセボ処方物はボランティアによって疲労実験のために調製された。処方物を表41において例として示す。全ての処方物は固化剤としてポリビニルアルコールを有して、固化性処方物に張力を提供する。処方物におけるプロピレングリコールの量は19.6%(w/w)から8.7%(w/w)まで減少し、グリセロールの量は同一量だけ増加して、合計不揮発性比率を一定に保った。不揮発性比率を一定に保つのは重要である。というのは、それは乾燥時間および送達の持続を決定するからである。プラセボ処方物を手のひらで疲労させ、揮発性溶媒の蒸発後に形成された固化層のパーセンテージ接着性を5から6時間後に観察した。
【0197】
【表41】

3人のボランティアについての疲労実験結果は、実施例64に記載した固化層の70から80%が5から6時間の持続の後に手のひらに留まった。しかしながら、実施例66に示される固化層の90%を超えて、ボランティアの手のひらに留まった。これらの実験は、グリセロールがポリビニルアルコールポリマーについての良好な可塑剤であることを示す。それは、不揮発性溶媒の比率が手皮膚炎の治療用の処方物を選択するにおいて臨界的であることも示す。
【0198】
実施例67から68
0.05%(w/w)のクロベタゾールプロピオネート、および固化性ポリマーとしてのポリビニルアルコールを含む0.15%(w/w)クロベタゾールプロピオネートを含有する接着性処方物をイン−ビトロフラックスの評価のために調製する。プロピレングリコールおよびオレイン酸は、クロベタゾールプロピオネート送達の促進のために選択された不揮発性溶媒である。実施例66に示されたように、グリセロールはその可塑特性のために不揮発性溶媒として加える。2つの処方物で用いた成分の比率を表42に示す。
【0199】
【表42】

前記で示した組成物の双方を、3人のドナーからの死体皮膚上でのクロベタゾールプロピオネートのフラックスについて調べた。浸透性結果は表43に示す通りである。市販のクロベタゾール軟膏(0.05% w/w)を対照処方物として用いた。
【0200】
【表43】

表43から分かるように、固化剤としてのポリビニルアルコール、および0.05%クロベタゾールプロピオネートを含有する実施例67に記載した処方物は、対照処方物と比較した場合に、クロベタゾールプロピオネートの46%フラックスを有した。クロベタゾールプロピオネート濃度薬物濃度を0.15%(w/w)まで増加させると、定常状態フラックスを増加させ、フラックス値は対照処方物の94%であった。固化性処方物での適用のより長い持続は、累積送達のイン−ビボ結果を増加させ、その結果、皮膚炎の効果的な治療がもたらされる。
【0201】
実施例69
固化剤としてのゼラチンと共に0.05%(w/w)クロベタゾールプロピオネートを含有する接着性処方物をイン−ビトロフラックス評価のために調製する。プロピレングリコール、イソステアリン酸およびオレイン酸を不揮発性溶媒として用いて、クロベタゾールの送達を容易とする。タルクを充填剤として加えて、処方物の乾燥時間を低下させる。処方物で用いた成分の比率を表44に示す。
【0202】
【表44】

先の実施例に示したポリビニル系処方物とは異なり、実施例44に示された魚ゼラチン系処方物は水で洗浄可能な処方物であり、手の皮膚炎を罹った対象によって容易に除去され得る。実施例69に記載した処方物での3人のドナーからのヒト死体皮膚を通っての定常状態フラックスを市販のクロベタゾール軟膏と比較する。浸透性結果を表45に示す。
【0203】
【表45】

表45から分かるように、実施例69に記載された処方物は、市販の軟膏と比較した場合、62%のより高い定常状態フラックスを有する。より高い定常状態フラックスの結果、治療が困難な皮膚炎および乾癬症例における炎症を低下させると予測される。
【0204】
実施例70
固化性ポリマーとしてのゼラチンと共に0.05%(w/w)クロベタゾールプロピオネートを含有する接着性処方物はイン−ビトロフラックス評価のために調製される。プロピレングリコール、およびイソステアリン酸を不揮発性溶媒として用いて、クロベタゾールの送達を容易とする。ヒュームド・シリカを充填剤として加えて、処方物の乾燥時間を低下させる。処方物で用いる成分の比率を表46に示す。
【0205】
【表46】

表70に示された魚ゼラチン系処方物は水で洗浄可能な処方物であり、手の皮膚炎を罹った対象によって容易に除去され得る。実施例70に記載された処方物での4人のドナーからのヒト死体皮膚を横切っての定常状態フラックスを市販のクロベタゾール軟膏と比較する。浸透性結果を表47に示す。
【0206】
【表47】

表47から分かるように、平均して、実施例70に記載された処方物は、市販の軟膏での定常状態フラックスと比較した場合、少なくとも同様な、または良好な定常状態フラックスを有する。実施例69で用いたタルクとは異なり、ヒュームド・シリカは低い密度を有し、処方物から分離する低い能力を有すると予測される。
【0207】
実施例71から73
ロピバカインHClの皮膚送達のための固化性処方物を調製し、これは、本発明の実施形態に従う賦形剤混合物を含む。処方物は表48に示された成分から調製される。
【0208】
【表48】

前記リストの成分を以下の手法に従って合わせる。ロピバカインHCl、水、およびアミン塩基(トリエチルアミンまたはジイソプロパノールアミン)をガラスジャー中で合わせ、薬物が溶解するまで混合する。次いで、イソステアリン酸、トリアセチン、Span 20、およびセチルアルコール(実施例72および73)またはイソプロパノール(実施例71)を処方物に加え、よく混合する。ポリマーPlastoid Bを最後に加え、Plastoid Bが完全に溶解するまで約60℃まで加熱する。一旦ポリマー溶液が室温まで冷却されると、処方物を激しく2から3分間撹拌する。
【0209】
表48における処方物は実施例1に準じてHMSに適用し、ロピバカインのフラックスを測定した。結果を表49にまとめる。
【0210】
【表49】

実施例74
プロトタイプのピールを以下の通り、表50に従って調製する。
【0211】
【表50】

処方物は、ポリマーが溶解するまでPlastoid Bをイソプロピルアルコール中で混合することによって調製し、次いで、残りの成分を加え、均一な混合物が得られるまで混合物を激しく撹拌した。
【0212】
実施例74は、不揮発性溶媒および固化剤の適当な選択の必要性を示す。一緒に実施例74の処方物を混合した後、処方物は流動性溶液から2つの区別される層:柔軟な固体および液体層に変化した。この状態の処方物は皮膚表面で伸ばすことができない。トロラミンが処方物から搾り出される結果を招くトロラミンの親水性性質およびポリマーの疎水性性質のため、トロラミンおよびPlastoid Bポリマーの間の不適合性が示唆される。
【0213】
実施例75から77
プロトタイプのピール処方物は以下のように調製される。いくつかのピール処方物は、以下のように、表51に従って本発明の実施形態により調製される。
【0214】
【表51】

実施例75から77のピール処方物は以下の方法で調製される。
−固化剤を揮発性溶媒に溶解させる(例えば、ポリビニルアルコールを水に溶解させ、Eudragitポリマーをエタノールに溶解させる)。
−不揮発性溶媒を固化剤/揮発性溶媒混合物と混合する。
−得られた溶液を激しく十分に数分間混合する。
−次いで、薬物を加え、ピール処方物を再度数分間混合する。
【0215】
前記した全ての実施例において、フラックス化可能な不揮発性溶媒/固化剤/揮発性溶媒の組合せは、適当な乾燥時間を呈し、かつ薬物用の伸長可能なピールおよび定常状態フラックスを供した均質な単一相システムによって証明されるように適合性である(以下の実施例78参照)。
【0216】
実施例75から77におけるパーセンテージの水およびエタノールの揮発性溶媒系の使用は、乾燥時間と、処方物における他の成分(すなわち、これらの実施例においてはPVA)との適合性の間のバランスを達成する試みである。エタノールの添加は、揮発性溶媒の増大した蒸発速度をもたらすエタノール/水相互作用よって処方物についての乾燥時間を低下させると考えられ、十分な水を存在させて、処方物におけるPVAの適合性を確実とする。これは、2−メンバーの溶媒系を用いて、固化剤との適合性および乾燥時間との間の許容される妥協を首尾よく達成する例である。
【0217】
実施例78
実施例の処方物を実施例1に記載された無毛マウス皮膚(HMS)またはヒト表皮膜(HEM)イン・ビトロモデルでテストする。表52は、先に概説した実験プロセスを用いて得られたデータを示す。
【0218】
【表52】

表52での全ての場合、処方物におけるフラックス化可能な不揮発性溶媒の結果、実験した処方物の各々で治療的に有効なフラックスが得られた。
【0219】
実施例79
以下の組成:10.4%ポリビニルアルコール、10.4%ポリエチレングリコール400、10.4%ポリビニルピロリドンK−90、10.4%グリセロール、27.1%水、および31.3%エタノールを持つプラセボ処方物を、肘関節および指関節においてヒト皮膚表面に適用し、その結果、薄く、透明で、可撓性で伸長可能なフイルムを得た。揮発性溶媒(エタノールおよび水)の数分間の蒸発の後、剥離可能な固化層が形成された。伸長可能な固化層は皮膚への良好な接着を有し、曲げた場合に、関節上の皮膚から分離せず、皮膚から容易に分離除去することができた。
【0220】
実施例80から82
プロトタイプのピールを以下のように調製する。数個のアシクロビールピール処方物を、以下のように、表53に従って本発明の実施形態により調製する。
【0221】
【表53】

該処方物は、ポリマーが溶解するまでPlastoid Bをイソプロピルアルコール中に混合することによって調製し、次いで、残りの成分を加え、均一な混合物が得られるまで混合物を激しく撹拌する。
【0222】
実施例80および81は、トロラミン/ポリマーの不適合性を解決するためのさらなるポリマーの重要性を示す。エチルセルロース(N7およびN100)の処方物への添加は、Plastoid Bポリマーの量をトロラミンに適合するレベルまで低下させた。得られた処方物は増粘下容易に伸ばすことができる処方物を生じた。実施例82における処方物は沈殿を呈したが、N100エチルセルロースの添加による増粘は沈殿の状況を妨げるであろう。
【0223】
実施例83
実施例80から72の処方物を、実施例1に記載された無毛マウス皮膚(HMS)イン・ビトロモデルでテストする。表54は、前記で概説した実験プロセスを用いて得られたデータを示す。
【0224】
【表54】

マウスの種々のロットからのHMSを通ってのアシクロビールの定常状態フラックス変動が予測される。この理由で、対照(Zovirax Cream)を各実施例の処方物で行う。表53および54中の対照の行に対する比率を比較して、対照に対する実施例処方物の改良を見積もることができる。
【0225】
前記で示した本発明の処方物は、一般に、有効成分の有意な浸透を供し、さらに、実施例80から82の処方物は市販の製品Zovirax Creamよりも浸透性がかなり大きいことが判明する。
【0226】
実施例71から82はZovirax対照に対して(対照に対する比率に基づき)同様なイン・ビトロフラックス増加を示す。実施例81から83における処方物へのエチルセルロースの添加は、疎水性ポリマーの添加による閉塞を増加させ得る。
【0227】
実施例84
プロトタイプのピール処方物は以下のように調製される。いくつかのピール処方物は、以下のように、表55に従って本発明の実施形態により調製される。
【0228】
【表55】

実施例84のピール処方物は以下の方法で調製される:
−固化剤を揮発性溶媒に溶解させる(例えば、ポリビニルアルコールを水に、Eudragitポリマーをエタノールに溶解させる)。
−不揮発性溶媒を固化剤/揮発性溶媒混合物と混合する。
−得られた溶液を激しく数分間十分に混合する。
−次いで、薬物を加え、ピール処方物を再度数分間混合する。
【0229】
前記した実施例において、フラックス化可能な不揮発性溶媒/固化剤/揮発性溶媒の組合せは、適当な乾燥時間を呈し、各薬物についての伸長可能なピールおよび定常状態フラックスを供した均質な単一相系によって証明されるように適合性である(以下の実施例85参照)。
【0230】
実施例84における処方物へのEudragit E−100ポリマーの添加は、その揮発性溶媒の蒸発に先立っての皮膚表面への接着を増加させる。処方物中のPVAポリマーは、適用の意図した時間の間はそれを1つの破片にて皮膚表面に留まらせる高い引張強度を持つ固化層を提供する。これらの2つのポリマーの組合せは、フレキシビリティ、および皮膚に対する接着を持つ固化層を提供し、これは、皮膚(部位は関節を被覆する皮膚を含む)から分離せず、皮膚から容易に剥離させることができる。
【0231】
実施例85
実施例の処方物を、実施例1に記載された無毛マウス皮膚(HMS)またはHEMイン・ビトロモデルでテストする。表56は、前記で概説した実験プロセスを用いて得られたデータを示す。
【0232】
【表56】

可能化不揮発性溶媒をピール処方物に配合した場合、ジクロフェナクはより低い定常状態フラックス値を有する。これは、より低いフラックス値をもたらす化学的環境に対する反対のインパクト(例えば、溶解性の減少、薬物およびピール処方物の間の物理的相互作用)を有する揮発性溶媒系または固化剤の結果であり得る。イミキミモドについての定常状態フラックス値は、ピール処方物をフラックス化可能な不揮発性溶媒フラックス値と比較した場合に不変である。
【0233】
本発明をある好ましい実施形態を参照して記載してきたが、当業者であれば、本発明の精神を逸脱することなく種々の改良、変形、省略、および置換をなすことができるのを認識するであろう。従って、本発明は特許請求の範囲のみによって限定されることを意図する。
【図面の簡単な説明】
【0234】
【図1】図1は、本発明の実施形態による、固化された接着剤処方物および市販の製品(AndroGel)からの経時的にイン・ビトロで生物学的膜を横切って送達されたテストステロンの累積量のグラフ表示である。
【図2】図2は、市販の製品Zovirax Creamと比較した、本発明の実施形態による、2つの別々の処方物から経時的に経皮送達されたアシクロビールの累積量のグラフ表示である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
薬物の皮膚送達用の接着性固体処方物であって、
a)薬物;
b)
i)少なくとも1つの揮発性溶媒を含む揮発性溶媒系、および
ii)少なくとも1つの不揮発性溶媒を含む不揮発性溶媒系;
を含む溶媒賦形剤、ならびに
c)固化剤;
を含み、
該処方物は揮発性溶媒系の蒸発に先立っての皮膚表面への適用および接着に適した粘度を有し、該皮膚表面に適用された該処方物は揮発性溶媒系の少なくとも部分的な蒸発後に固化層を形成し、該薬物は、揮発性溶媒系が少なくとも実質的に蒸発した後に継続的に皮膚送達され、
但し、少なくとも2つの揮発性溶媒、2つの不揮発性溶媒、または2つの固化剤が存在する、処方物。
【請求項2】
前記不揮発性溶媒系が前記固化剤についての可塑剤として作用する請求項1に記載の処方物。
【請求項3】
前記処方物は、さらに、皮膚表面に適用された場合に該処方物の接着を増加させるように加えられるさらなる剤を含む請求項1に記載の処方物。
【請求項4】
前記さらなる剤が、メチルビニルエーテルおよび無水マレイン酸のコポリマー、ポリエチレングリコールおよびポリビニルピロリドンのコポリマー、ゼラチン、低分子量ポリイソブチレンゴム、アクリサンアルキル/オクチルアクリルアミドのコポリマー、脂肪族樹脂、芳香族樹脂、およびその組合せよりなる群から選択されるメンバーを含む請求項3に記載の処方物。
【請求項5】
前記揮発性溶媒系が水を含む請求項1に記載の処方物。
【請求項6】
前記溶媒賦形剤が実質的に水を含まない請求項1に記載の処方物。
【請求項7】
前記処方物が第一の揮発性溶媒および第二の揮発性溶媒を含み、ここに、該第一の揮発性溶媒は該第二の揮発性溶媒よりも揮発性であって、ここに、該第二の揮発性溶媒は該第一の揮発性溶媒よりも前記固化剤との良好な適合性を有する請求項1に記載の処方物。
【請求項8】
前記処方物が第一の揮発性溶媒および第二の揮発性溶媒を含み、該第一の揮発性溶媒は該第二の揮発性溶媒よりも揮発性であって、該第二の揮発性溶媒は該第一の揮発性溶媒よりも前記薬物について良好な溶解性を有する請求項1に記載の処方物。
【請求項9】
前記処方物が、前記揮発性溶媒の唯1つを除いて同一の成分を含有する処方物よりも前記薬物について良好な溶解性を有する請求項1に記載の処方物。
【請求項10】
前記処方物が少なくとも2つの揮発性溶媒を有し、かつ該揮発性溶媒の唯1つを除いて同一の成分を含有する処方物よりも前記固化剤について良好な溶解性を有する請求項1に記載の処方物。
【請求項11】
前記揮発性溶媒の少なくとも1つが20℃を超える沸点を有し、該揮発性溶媒の少なくとも1つが20℃未満の沸点を有する請求項1に記載の処方物。
【請求項12】
前記揮発性溶媒の少なくとも1つがヒドロフルオロカーボン、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、プロパン、イソブタン、ジフルオロエタン、ブタン、1,1,1,2テトラフルオロエタン、1,1,1,2,3,3,3−ヘプタフルオロプロパン、1,1,1,3,3,3ヘキサフルオロプロパン、およびその組合せよりなる群から選択される請求項1に記載の処方物。
【請求項13】
前記揮発性溶媒系が水よりも揮発性の少なくとも1つの溶媒を含み、かつエタノール、イソプロピルアルコール、水、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、ブタン、プロパン、イソブテン、1,1ジフルオロエタン、1,1,1,2テトラフルオロエタン、1,1,1,2,3,3,3−ヘプタフルオロプロパン、1,1,1,3,3,3ヘキサフルオロプロパン、酢酸エチル、アセトン、およびその組合せよりなる群から選択される少なくとも1つのメンバーを含む請求項1に記載の処方物。
【請求項14】
前記揮発性溶媒系が水よりも揮発性である少なくとも1つの溶媒を含み、かつ酢酸イソ−アミル、変性アルコール、メタノール、プロパノール、イソブテン、ペンタン、ヘキサン、クロロブタノール、ツルペンチン、シクロペンタシロキサン、シクロメチコン、メチルエチルケトン、およびその組合せよりなる群から選択される少なくとも1つのメンバーを含む請求項1に記載の処方物。
【請求項15】
前記不揮発性溶媒系がグリセロール、プロピレングリコール、イソステアリン酸、オレイン酸、プロピレングリコール、トロラミン、トロメタミン、トリアセチン、ソルビタンモノラウレート、ソルビタンモノオレエート、ソルビタンモノパルミテート、ブタノール、およびその組合せよりなる群から選択される少なくとも1つのメンバーを含む請求項1に記載の処方物。
【請求項16】
前記揮発性溶媒系がエタノール、イソプロピルアルコール、およびその組合せよりなる群から選択される少なくとも1つのメンバーを含む請求項1に記載の処方物。
【請求項17】
前記不揮発性溶媒系が安息香酸、ブチルアルコール、セバチン酸ジブチル、ジグリセリド、ジプロピレングリコール、オイゲノール、脂肪酸、ミリスチン酸イソプロピル、鉱油、オレイルアルコール、ビタミンE、トリグリセリド、ソルビタン脂肪酸界面活性剤、クエン酸トリエチル、およびその組合せよりなる群から選択される少なくとも1つのメンバーを含む請求項1に記載の処方物。
【請求項18】
前記不揮発性溶媒系が1,2,6−ヘキサントリオール、アルキルトリオール、アルキルジオール、アセチルモノグリセリド、トコフェロール、アルキルジオキソラン、P−プロペニルアニソール、アニス油、アプリコット油、ジメチルイソソルビド、アルキルグルコシド、ベンジルアルコール、蜜蝋、安息香酸ベンジル、ブチレングリコール、カプリル酸/カプリン酸トリグリセリド、カラメル、桂皮油、ヒマシ油、シンナムアルデヒド、シンナモン油、チョウジ油、ココヤシ油、カカオバター、ココグリセリド、コリアンダー油、トウモロコシ油、コリアンダー油、トウモロコシシロップ、綿実油、クレゾール、シクロメチコン、ジアセチン、ジアセチル化モノグリセリド、ジエタノールアミン、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジグリセリド、エチレングリコール、ユーカリ油、脂肪、脂肪アルコール、矯味矯臭薬、液状糖ジンジャー抽出物、グリセリン、高フルクトーストウモロコシシロップ、水素化ヒマシ油、IPパルミテート、レモン油、ライム油、リモネン、ミルク、モノアセチン、モノグリセリド、ナツメグ油、オクチルドデカノール、オリーブアルコール、オレンジ油、ヤシ油、落花生油、PEG植物油、ペパーミント油、ペテロラタム、フェノール、松葉油、ポリプロピレングリコール、ゴマ油、スペアミント油、大豆油、植物油、植物ショートニング、酢酸ビニル、ワックス、2−(2−(オクタデシルオキシ)エトキシ)エタノール、安息香酸ベンジル、ブチル化ヒドロキシアニソール、キャンデリラワックス、カルナウバワックス、セテアレス−20、セチルアルコール、ポリグリセリル、ステアリン酸ジポリヒドロキシ、PEG−7水素化ヒマシ油、フタル酸ジエチル、セバチン酸ジエチル、ジメチコン、フタル酸ジメチル、PEG−脂肪酸エステル、PEG−ステアレート、PEG−オレエート、PEG−ラウレート、PEG−脂肪酸ジエステル、PEG−ジオレエート、PEG−ジステアレート、PEG−ヒマシ油、ベヘン酸グリセリル、PEGグリセロール脂肪酸エステル、PEGグリセリルラウレート、PEGグリセリルステアレート、PEGグリセリルオレエート、ヘキシレングリセロール、ラノリン、ラウリン酸ジエタノールアミド、乳酸ラウリル、硫酸ラウリル、メドロン酸、メタクリル酸、マルチステロール抽出物、ミリスチルアルコール、中性油、PEG−オクチルフェニルエーテル、PEG−アルキルエーテル、PEG−セチルエーテル、PEG−ステアリルエーテル、PEG−ソルビタン脂肪酸エステル、PEG−ソルビタンジイソステアレート、PEG−ソルビタンモノステアレート、プロピレングリコール脂肪酸エステル、プロピレングリコールステアレート、プロピレングリコール、カプリレート/カプレート、ピロリドンカルボン酸ナトリウム、ソルビトール、スクワレン、ステア−o−ウェット(stear−o−wet)、トリグリセリド、アルキルアリールポリエーテルアルコール、ソルビタン−エーテルのポリオキシエチレン誘導体、飽和ポリグリコール化C8−C10グリセリド、N−メチルピロリドン、蜂蜜、ポリオキシエチル化グリセリド、ジメチルスルホキシド、アゾンおよび関連化合物、ジメチルホルムアミド、N−メチルホルムアミド、脂肪酸エステル、脂肪アルコールエーテル、アルキル−アミド(N,N−ジメチルアルキルアミド)、N−メチルピロリドン関連化合物、オレイン酸エチル、ポリグリセリン化脂肪酸、グリセロールモノオレエート、グリセリルモノミリステート、脂肪酸のグリセロールエステル、絹アミノ酸、PPG−3ベンジルエーテルミリステート、Di−PPG2ミレス10−アジペート、ハニークワット、ピログルタミン酸ナトリウム、アビシニカ(abyssinica)油、ジメチコン、マカダミアナッツ油、limnanthes alba種子油、セテアリルアルコール、PEG−50シェアバター、シェアバター、アロエベラジュース、フェニルトリメチコン、加水分解した小麦蛋白質、およびその組合せよりなる群から選択される少なくとも1つのメンバーを含む請求項1に記載の処方物。
【請求項19】
前記固化剤がポリビニルアルコール、ポリビニルメチルエーテル/無水マレイン酸コポリマーのエステル、メタクリル酸ブチルおよびメタクリル酸メチルの中性コポリマー、メタクリル酸ジメチルアミノエチル−メタクリル酸ブチル−メタクリル酸メチルコポリマー、アクリル酸エチル−メタクリル酸メチル−メタクリル酸トリメチルアンモニオエチル塩化物コポリマー、プロラミン(Zein)、α化デンプン、エチルセルロース、魚ゼラチン、ゼラチン、アクリレート/オクチルアクリルアミドコポリマー、およびその組合せよりなる群から選択される少なくとも1つのメンバーを含む請求項1に記載の処方物。
【請求項20】
前記固化剤がエチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、ポリエーテルアミド、トウモロコシデンプン、α化トウモロコシデンプン、ポリエーテルアミド、シェラック、ポリビニルピロリドン、ポリイソブチレンゴム、酢酸フタル酸ポリビニルおよびその組合せよりなる群から選択される少なくとも1つのメンバーを含む請求項1に記載の処方物。
【請求項21】
前記固化剤がアンモニアメタクリレート、カラギーナン、水性酢酸フタル酸セルロース、カルボキシポリメチレン、酢酸セルロース(微結晶性)、セルロースポリマー、ジビニルベンゼンスチレン、エチレンビニルアセテート、シリコーン、グアガム、グアロジン、グルテン、カゼイン、カゼイン酸カルシウム、カゼイン酸アンモニウム、カゼイン酸ナトリウム、カゼイン酸カリウム、アクリル酸メチル、マイクロクリスタリンワックス、ポリ酢酸ビニル、PVPエチルセルロース、アクリレート、PEG/PVP、キサンタンガム、トリメチルシロキシシリケート、マレイン酸/無水物コポリマー、ポラクリリン、ポロキサマー、ポリエチレンオキサイド、ポリガラクチン酸/ポリ−L−乳酸、ツルペン(turpene)樹脂、ローカストビーンガム、アクリルコポリマー、ポリウレタン分散液、デキストリン、ポリビニルアルコール−ポリエチレングリコールコポリマー、メタクリル酸−アクリル酸エチルコポリマー、メタクリル酸およびポリ(メタクリル酸)のようなメタクリレート系ポリマー、およびその組合せよりなる群から選択される少なくとも1つのメンバーを含む請求項1に記載の処方物。
【請求項22】
前記処方物が、一緒になって、前記固化剤単独のいずれかよりも前記固化層においてより高いフラックスを生じさせることができる少なくとも2つの固化剤を含む請求項1に記載の処方物。
【請求項23】
前記処方物が、一緒になって、前記少なくとも2つの固化剤単独のいずれかよりも大きな該処方物の増強された物理的安定性を提供する少なくとも2つの固化剤を含む請求項1に記載の処方物。
【請求項24】
前記処方物が、少なくとも2つの固化剤を含み、かつ該少なくとも2つの固化剤の少なくとも一方がアクリレート/オクチルアクリルアミドコポリマー、またはポリメチルビニルエーテル/無水マレイン酸コポリマーである請求項1に記載の処方物。
【請求項25】
前記薬物が多数の医薬上活性な剤を含む請求項1に記載の処方物。
【請求項26】
前記薬物がアシクロビール、エコナゾール、ミコナゾール、テルビナフィン、リドカイン、ブピバカイン、ロピバカイン、およびテトラカイン、アミトリプチリン、ケタンセリン、ベタメタゾンジプロピオネート、トリアムシノロンアセトニド、クリンダマイシン、ベンゾイルペルオキシド、トレチノイン、イソトレチノイン、クロベタゾールプロピオネート、ハロベタゾールプロピオネート、ケトプロフェン、ピロキシカム、ジクロフェナク、インドメタシン、イミキモド、サルチル酸、安息香酸、およびその組合せよりなる群から選択される少なくとも1つのメンバーを含む請求項1に記載の処方物。
【請求項27】
前記薬物がアモロルフィン、ブテナフィン、ナフチフィン、テルビナフィン、フルコナゾール、イトラコナゾール、ケトコナゾール、ポサコナゾール、ラブコナゾール、ボリコナゾール、クロトリマゾール、ブトコナゾール、エコナゾール、ミコナゾール、オキシコナゾール、スルコナゾール、テルコナゾール、チオコナゾール、カスポフンギン、ミカフンギン、アニルドゥラフンギン、アンフォテリシンB、AmB、ナイスタチン、ピマリシン、グリセオフルビン、シクロピロックスオラミン、ハロプロジン、トルナフテート、ウンデシレネート、ペンシクロビール、ファムシクロビール、バラシクロビール、ベヘニルアルコール、トリフルリジン、イドクスウリジン、シドフォビール、ガンシクロビール、ポドフィロックス、ポドフィロトキシン、リバビリン、アバカビール、デラビルジン、ディダノシン、エファビレンズ、ラミブジン、ネビラピン、スタブジン、ザルシタビン、ジドブジン、アムプレナビール、インジナビール、ネルフィナビール、リトナビール、サキナビール、アマンタジン、インターフェロン、オセルタミビール、リバビリン、リマンタジン、ザナミビール、エリスロマイシン、クリンダマイシン、テトラサイクリン、バシトラシン、ネオマイシン、ムプロシン、ポリミキシンB、キノロン、シプロフラキシン、ブピバカイン、アルファ−2アゴニスト、クロニジン、アミトリプチリン、カルバマゼピン、アルプラゾラム、ケタミン、ケタンセリン、ベタメタゾンジプロピオネート、ハロベタゾールプロピオネート、ジフロラソン二酢酸、トリアムシノロンアセトニド、デスオキシメタゾン、フルオシノニド、ハルシノニド、モメタゾンフロエート、ベタメタゾンバレレート、フルオシノニド、フルチカゾンプロピオネート、トリアムシノロンアセトニド、フルオシノロンアセトニド、フルランドレノリド、デソニド、ヒドロコルチゾンブチレート、ヒドロコルチゾンバレレート、アルクロメタゾンジプロピオネート、フルメタゾンピボレート、ヒドロコルチゾン、ヒドロコルチゾン酢酸塩、タクロリムス、ピクロリムス、タザロテン、イソトレチノイン、サイクロスポリン、アントラリン、ビタミンD3、コレカルシフェロール、カルシトリオール、カルシポトリオール、タカルシトール、カルシポトリエン、ピロキシカム、ジクロフェナク、インドメタシン、イミキモド、ロシキモド、サルチル酸、アルファヒドロキシ酸、硫黄、レスコルシノール、尿素、ベンゾイルペルオキシド、アラントイン、トレチノイン、トリクロロ酢酸、乳酸、安息香酸、プロゲステロン、ノルエチンドロン、ノルエチンドロン酢酸塩、デゾゲストレル、ドロスピレノン、エチノジオール二酢酸塩、ノルエルゲストロミン、ノルゲスチメート、レボノルゲストレル、dl−ノルゲストレル、シプロテロン酢酸塩、ジドロゲステロン、メドロキシプロゲステロン酢酸塩、クロルマジノン酢酸塩、メゲストロール、プロメゲストン、ノルエチステロン、リネステレノール、ゲストデン(gestoden)、チボレン(tibolene)、テストステロン、メチルテストステロン、オキサンドロロン、アンドロステンジオン、ジヒドロテストステロン、エストラジオール、エチニルエストラジオール、エスティオール、エストロン、抱合卵胞ホルモン、エステル化エストロゲン、エストロピペート、およびその組合せよりなる群から選択される少なくとも1つのメンバーを含む請求項1に記載の処方物。
【請求項28】
前記固化層が、ヒト関節の皮膚に適用した場合に、該固化層が関節の曲げに際して該皮膚上に実質的に無傷で留まるように、該皮膚に対して十分に可撓性かつ接着性である請求項1に記載の処方物。
【請求項29】
前記固化層が、身体上の曲がった皮膚表面または体重担持表面に適用した場合に、該固化層が該皮膚表面または体重担持表面の曲げまたは伸長に際して該皮膚上に実質的に無傷で留まるように該皮膚に対して十分可撓性かつ接着性である請求項1に記載の処方物。
【請求項30】
前記処方物が、前記固化層の形成後、少なくとも約2時間の間、治療上有効な速度で前記薬物を送達するように処方された請求項1に記載の処方物。
【請求項31】
前記処方物が、前記固化層の形成後、少なくとも約4時間の間、治療上有効な速度で前記薬物を送達するように処方された請求項1に記載の処方物。
【請求項32】
前記処方物が、前記固化層の形成後、少なくとも約8時間の間、治療上有効な速度で前記薬物を送達するように処方された請求項1に記載の処方物。
【請求項33】
前記処方物が、前記固化層の形成後、少なくとも約12時間の間、治療上有効な速度で前記薬物を送達するように処方された請求項1に記載の処方物。
【請求項34】
前記固化剤に対する前記不揮発性溶媒系の重量比率が約0.1:1から約10:1である請求項1に記載の処方物。
【請求項35】
前記固化剤に対する前記不揮発性溶媒系の重量比率が約0.5:1から約2:1である請求項1に記載の処方物。
【請求項36】
前記揮発性溶媒系または不揮発性溶媒系がヒト皮膚刺激を引き起こすことができ、かつ該不揮発性溶媒系の少なくとも2つの不揮発性溶媒の少なくとも1つが皮膚刺激を低下させる請求項1に記載の処方物。
【請求項37】
前記皮膚刺激を低下させることができる不揮発性溶媒がグリセリン、プロピレングリコール、蜂蜜、およびその組合せよりなる群から選択されるメンバーを含む請求項36に記載の処方物。
【請求項38】
前記固化層が、標準的な皮膚および周囲条件下で前記皮膚表面への適用から約15分以内に形成される請求項1に記載の処方物。
【請求項39】
前記固化層が、標準的な皮膚および周囲条件下で前記皮膚表面への適用から約5分以内に形成される請求項1に記載の処方物。
【請求項40】
前記処方物が、約100cPから約3,000,000cPの皮膚適用に先立っての初期粘度を有する請求項1に記載の処方物。
【請求項41】
前記処方物が、約1,000cPから約1,000,000cPの皮膚適用に先立っての初期粘度を有する請求項1に記載の処方物。
【請求項42】
前記揮発性溶媒系が揮発性溶媒保持物質を含む請求項1に記載の処方物。
【請求項43】
前記揮発性溶媒保持物質が水である請求項42に記載の処方物。
【請求項44】
前記揮発性溶媒保持物質が吸湿性である請求項42に記載の処方物。
【請求項45】
前記揮発性溶媒保持物質が蜂蜜、グリセロール、またはプロピレングリコールである請求項42に記載の処方物。
【請求項46】
前記揮発性溶媒系の重量パーセンテージが約10wt%から約85wt%である請求項1に記載の処方物。
【請求項47】
前記揮発性溶媒系の重量パーセンテージが約20wt%から約50wt%である請求項1に記載の処方物。
【請求項48】
前記少なくとも2つの不揮発性溶媒の少なくとも一方が、前記固化剤との適合性を改良するために含められる請求項1に記載の処方物。
【請求項49】
前記不揮発性溶媒系が、該不揮発性溶媒系単独におけるいずれの単一の不揮発性溶媒よりも高いフラックスを生じさせることができる請求項1に記載の処方物。
【請求項50】
前記不揮発性溶媒系が、該不揮発性溶媒系単独におけるいずれの単一の不揮発性溶媒よりも前記固化剤に対して良好な可塑効果を提供する請求項1に記載の処方物。
【請求項51】
前記固化層が凝集性であり、可撓性であって、連続的である請求項1に記載の処方物。
【請求項52】
前記固化層が、形成に際して、適用サイズに対して単一の破片として、またはほんの数個の大きな破片として皮膚表面から剥離可能な柔軟で凝集性の固体である請求項1に記載の処方物。
【請求項53】
前記不揮発性溶媒系が、不揮発性溶媒系単独におけるいずれの単一の不揮発性溶媒よりも固化剤との良好な適合性を有する請求項1に記載の処方物。
【請求項54】
前記固化層は前記薬物を経皮送達する請求項1に記載の処方物。
【請求項55】
前記固化剤がポリビニルアルコールを含み、前記不揮発性溶媒系が水およびアルコール溶媒を含み、ポリビニルアルコールに対する水の重量比が約4:1から約1:1であって、アルコール溶媒に対する水の重量比が約0.33:1から約6:1である請求項1に記載の処方物。
【請求項56】
薬物を皮膚送達する方法であって、
a)請求項1から53いずれかに記載の接着性処方物を適用する工程、
b)揮発性溶媒系の少なくとも部分的な蒸発によって該処方物を固化させて、皮膚表面に固化層を形成させる工程;ならびに
c)持続期間にわたって治療上有効な速度にて該固化層からの該薬物を該皮膚表面に皮膚送達する工程;
を含む、方法。
【請求項57】
前記適用する工程が、約0.01mmから約3mmの厚みにて前記接着性固化処方物を適用することを含む請求項56に記載の処方物。
【請求項58】
前記適用する工程が約0.05mmから約1mmの厚みにて前記接着性処方物を適用することを含む請求項56に記載の処方物。
【請求項59】
前記固化層が少なくとも約2時間の間、前記皮膚上に保たれる請求項56に記載の方法。
【請求項60】
前記固化層が少なくとも約4時間の間、前記皮膚上に保たれる請求項56に記載の方法。
【請求項61】
前記固化層が少なくとも約8時間の間、前記皮膚上に保たれる請求項56に記載の方法。
【請求項62】
前記固化層が少なくとも約12時間の間、前記皮膚上に保たれる請求項56に記載の方法。
【請求項63】
さらに、前記持続期間の後に前記皮膚から前記固化層を剥離して、該固化層を除去する工程を含む、請求項56に記載の方法。
【請求項64】
さらに、前記持続時間の後に溶媒を用いて前記皮膚から前記固化層を洗浄して、該固化層を除去する工程を含む請求項56に記載の方法。
【請求項65】
薬物を送達するための固化層であって、
a)薬物;
b)少なくとも1つの不揮発性溶媒を含む不揮発性溶媒系であって、該不揮発性溶媒系は持続時間にわたって治療上有効な速度にて該薬物の送達を促進することができる、不揮発性溶媒系;ならびに
c)固化剤であって、該固化剤は、該層が適用された皮膚表面からのクラッキング、破壊、または分離なくして1つの方向に5%だけ伸長可能である、固化剤;
を含み、
但し、該固化層は少なくとも2つの不揮発性溶媒または少なくとも固化剤を含む、薬物を送達するための固化層。
【請求項66】
前記不揮発性溶媒系における少なくとも1つの不揮発性溶媒が前記固化剤のための可塑剤として作用する、請求項65に記載の固化層。
【請求項67】
前記固化層は、規則的な皮膚伸びが起こる関節または筋肉群に隣接した皮膚表面で実質的に無傷のままであるのに十分に接着性かつ可撓性である請求項65に記載の固化層。
【請求項68】
前記固化剤に対する前記不揮発性溶媒系の重量比率が約0.1:1から約10:1である請求項65に記載の固化層。
【請求項69】
前記固化層は、標準的な皮膚および周囲条件下で前記皮膚表面への適用から15分以内に形成される請求項65に記載の固化層。
【請求項70】
前記固化層が約0.01mmから約3mmの厚みを有する請求項65に記載の固化層。
【請求項71】
前記不揮発性溶媒系が、1,2,6−ヘキサントリオール、アルキルトリオール、アルキルジオール、アセチルモノグリセリド、トコフェロール、アルキルジオキソラン、p−プロペニルアニソール、アニス油、アプリコット油、ジメチルイソソルビド、アルキルグルコシド、安息香酸、ベンジルアルコール、ブチルアルコール、蜜蝋、安息香酸ベンジル、ブチレングリコール、カプリル酸/カプリン酸トリグリセリド、カラメル、桂皮油、ヒマシ油、シンナムアルデヒド、シンナモン油、チョウジ油、ココヤシ油、カカオバター、ココグリセリド、コリアンダー油、トウモロコシ油、コリアンダー油、トウモロコシシロップ、綿実油、クレゾール、シクロメチコン、ジアセチン、ジアセチル化モノグリセリド、セバチン酸ジブチル、ジエタノールアミン、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジグリセリド、ジプロピレングリコール、エチレングリコール、ユーカリ油、オイゲノール、脂肪、脂肪酸(エステルグリセリド)、脂肪アルコール、液体糖、ジンジャー抽出物、グリセリン、高フルクトーストウモロコシシロップ、水素化ヒマシ油、IPM、IPパルミテート、イソステアリン酸、レモン油、ライム油、リモネン、ミルク、鉱油、モノアセチン、モノグリセリド、ナツメグ油、オレイン酸、オクチルドデカノール、オレイルアルコール、オリーブアルコール、オレンジ油、ヤシ油、ポリエチレングリコール(PEG)、落花生油、PEG植物油、ペパーミント油、ペテロラタン、フェノール、松葉油、ポリプロピレングリコール、プロピレングリコール、ゴマ油、スペアミント油、大豆油、トロラミン、トロメタミン、植物油、植物ショートニング、酢酸ビニル、ビタミンE、ワックス、2−(2−(オクタデシルオキシ)エトキシ)エタノール、安息香酸ベンジル、ブチル化ヒドロキシアニソール、キャンデリラワックス、カルナウバワックス、セテアレス−20、セチルアルコール、ポリグリセリル、ステアリン酸ジポリヒドロキシ、PEG−7水素化ヒマシ油、フタル酸ジエチル、セバチン酸ジエチル、ジメチコン、フタル酸ジメチル、PEGステアレート、PEGオレエート、PEGラウレートを含めたPEG脂肪酸エステル、PEGジオレエート、PEGジステアレートを含めたPEG脂肪酸ジエステル、PEGヒマシ油、グリセリルベヘネート、PEGグリセリルラウレート、PEGグリセリルステアレート、PEGグリセリルオレエートを含めたPEGグリセロール脂肪酸エステル、ヘキシレングリセロール、ラノリン、ラウリル酸ジエタノールアミド、乳酸ラウリル、硫酸ラウリル、メドロン酸、メタクリル酸、マルチステロール抽出物、ミリスチルアルコール、中性油、PEGオクチルフェニルエーテル、PEGセチルエーテル、PEGステアリルエーテルを含めたPEGアルキルエーテル、PEGソルビタンジイソステアレート、PEGソルビタンモノステアレートを含めたPEGソルビタン脂肪酸エステル、プロピレングリコールステアレート、プロピレングリコールカプリレート/カプレートを含めたプロピレングリコール脂肪酸エステル、ピロリドンカルボン酸ナトリウム、ソルビトール、スクワレン、ステア−O−ウェット(stear−o−wet)、トリアセチン、トリグリセリド、アルキルアリールポリエーテルアルコール、ソルビタン−エーテルのポリオキシエチレン誘導体、飽和ポリグリコール化C8−C10グリセリド、N−メチルピロリドン、蜂蜜、ポリオキシエチル化グリセリド、ジメチルスルホキシド、アゾンおよび関連化合物、ジメチルホルムアミド、N−メチルホルムアミド、脂肪アルコールエーテル、アルキル−アミド(N,N−ジメチルアルキルアミド)、N−メチルピロリドン関連化合物、ソルビタンモノオレエート、ソルビタントリオエレート、ソルビタンモノパルミテートを含めたソルビタン脂肪酸界面活性剤、オレイン酸エチル、ポリグリセリン化脂肪酸、グリセロールモノオレエート、グリセリルモノミリステート、脂肪酸のグリセロールエステル、およびその組合せよりなる群から選択される少なくとも2つの溶媒を含む請求項65に記載の固化層。
【請求項72】
前記固化剤がアンモニアメタクリレート、カラギーナン、セルロース、水性酢酸フタル酸セルロース、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、酢酸セルロース(微結晶性)、およびセルロースポリマーを含めたセルロース誘導体、カルボキシポリメチレン、キサンタンガム、ジビニルベンゼンスチレン、エチレンビニルアセテート、シリコーン、ポリイソブチレン、シェラック(FMC BioPolymer)、グアガム、グアロジン、ヒプロメロースフタレート、アクリル酸メチル、マイクロクリスタリンワックス、ポリビニルアルコール、ポリ酢酸ビニル、ポリ酢酸フタル酸ビニル、PVPエチルセルロース、ポリビニルピロリドン(PVP)、アクリレート、ポリエチレングリコール/ポリビニルピロリドンコポリマー、トリメチルシロキシシリケート、マレイン酸/無水物コポリマー、ポラクリリン、ポロキサマー、ポリエチレンオキサイド、ポリガラクチン酸/ポリ−l−乳酸、ツルペン樹脂、ローカストビーンガム、プロラミン(Zein)、アクリルコポリマー、ポリウレタン分散液、ゼラチン、デキストリン、デンプン、ポリビニルアルコール/ポリエチレングリコールコポリマー、メタクリル酸/アクリル酸エチルコポリマー、メタクリル酸、およびポリ(メタクリル酸)コポリマーおよびメタクリル酸メチルコポリマーを含めたメタクリレート系ポリマー、ポリビニルメチルエーテル/無水マレイン酸コポリマーのエステル、メタクリル酸/アクリル酸エチルコポリマー、メチルビニルエーテルおよび無水マレイン酸のコポリマー、メタクリル酸アミノアルキルコポリマー、メタクリル酸アンモニオアルキルコポリマー、およびその組合せよりなる群から選択される少なくとも1つのメンバーを含む請求項65に記載の固化層。
【請求項73】
前記固化層が、少なくとも約2時間の間、治療上有効な速度で前記薬物を送達するように処方された請求項65に記載の固化層。
【請求項74】
前記固化層が、2から12時間の間、治療上有効な速度で前記薬物を送達するように処方された請求項65に記載の固化層。
【請求項75】
前記処方物が、少なくとも約12時間の間、治療上有効な速度で前記薬物を送達するように処方された請求項65に記載の固化層。
【請求項76】
前記固化層が、適用サイズに対して単一の破片にて、または少数の大きな破片のみにて皮膚表面から剥離可能な柔軟な凝集性固体である請求項65に記載の固化層。
【請求項77】
前記固化層が、水、および水よりも揮発性が低いあらゆる溶媒を含めた揮発性溶媒を少なくとも実質的に欠く請求項65に記載の固化層。
【請求項78】
前記固化層が、10wt%以下の水、および水よりも揮発性である溶媒を含有する場合、該固化層は水、および水よりも揮発性の溶媒を実質的に欠く請求項65に記載の固化層。
【請求項79】
前記固化層が、5wt%以下の水、および水よりも揮発性である溶媒を含有する場合、該固化層は水、および水よりも揮発性の溶媒を実質的に欠く請求項65に記載の固化層。
【請求項80】
前記固化層が1つの表面において前記皮膚表面に接着性であって、反対の表面において非−接着性である請求項65に記載の固化層。
【請求項81】
前記固化層が前記薬物についてフラックス化可能である請求項65に記載の固化層。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2009−519956(P2009−519956A)
【公表日】平成21年5月21日(2009.5.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−545866(P2008−545866)
【出願日】平成18年12月14日(2006.12.14)
【国際出願番号】PCT/US2006/048059
【国際公開番号】WO2007/100376
【国際公開日】平成19年9月7日(2007.9.7)
【出願人】(508178157)ザーズ, インコーポレイテッド (5)
【Fターム(参考)】