説明

薬物送達デバイス

薬物の一つ又はそれ以上の用量を投与するための薬物送達デバイス(4)が供される。デバイス(4)はピストンロッド(5)を駆動するための駆動部材(1)、及び駆動部材(1)を作動するための用量部材(46)を含む。ピストンロッド(5)は、駆動部材(1)及びピストンロッド(5)の相対的な併進運動が可能で、そして相対的な回転運動が防がれるように、駆動部材(1)に連結される。駆動部材(1)は、用量部材(46)によって、互いに対して反対の、第一の回転方向(110)及び第二の回転方向(111)に縦軸の周りに駆動されるように構成される。更に、薬物送達デバイス(4)が供され、ここで駆動部材(1)は安定な状態及び不安定な状態を有し、そしてここで、不安定な状態において、駆動部材(1)は偏り手段(3)によって安定な状態に向かって偏らされる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、薬物の一つ又はそれ以上の用量を設定する及び投与するための、薬物送達デバイスに関する。薬物送達デバイスは、固定された用量デバイスであり得て、そしてペン型注射器として設計され得る。
【背景技術】
【0002】
欧州特許出願、特許文献1、特許文献2、特許文献3及び国際特許出願、特許文献4には、医薬品の多くの事前に設定された用量が投与され得る薬物送達デバイスが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】EP 1 923 083 A1号公報
【特許文献2】EP 1 923 084 A1号公報
【特許文献3】EP 1 923 085 A1号公報
【特許文献4】WO 2008/058665 A1号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、薬物送達デバイスにおいてピストン棒を駆動するための駆動部材、及び薬剤の用量の信頼できる設定及び投与を可能にする薬物送達デバイスを供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
駆動部材の構造的特性
本発明の第一の態様によると、薬物送達デバイスにおいてピストン棒を駆動するための駆動部材が開示される。
【0006】
本明細書において、用語「ピストン棒」は、薬物送達デバイスの部品に対して使用され、それは、薬物送達デバイスの投与端に向かう動きを行うことによって、薬剤がデバイスから投与されることを引き起こす。特に、ピストン棒は薬剤容器、例えばカートリッジ中の栓の上に作用し得て、薬剤が容器から投与されることを引き起こす。ピストン棒は、組み合わされた軸運動及び回転運動を行うように構成され得る。例として、それは単純な棒又は薬物送達デバイスの対応する部品と係合するねじを有するリードねじであり得る。ピストン棒は一体もの又は多数部品の構造のものであり得る。
【0007】
好ましくは、駆動部材はピストン棒と直接的な機械的相互作用をするように構成される。駆動部材は、駆動部材及びピストン棒の相対的な併進運動を可能にし、そして相対的な回転運動が防がれるように、ピストン棒を駆動部材に連結することを可能にする連結手段を含み得る。
【0008】
特に、駆動部材は、ピストン棒の雄スプライン又は雌スプラインと係合されるように構成された雄スプライン又は雌スプラインを含み得る。更なる実施態様において、駆動部材は主として円形の断面、及びピストン棒の合っている平らなセクションと係合するための、円形の断面とは異なる平らなセクションを有し得る。
【0009】
駆動部材は、特に、固定された用量の薬物送達デバイスに適し得る。本明細書において、用語「固定された用量」は、そのような薬物送達デバイスにおいて、使用者が用量の絶対サイズを変更する選択肢を有しないことを意味する。好ましくは、投与されるべき用量の絶対的サイズは薬物送達デバイスの駆動機構の設計によって、特に、駆動部材の設計によって事前に定められる。
【0010】
好ましくは、駆動部材は、それが、その後に投与されるべき薬物の複数の用量を可能にするように構成される。本明細書において、用量の絶対的サイズは一定であり得るか、又は駆動部材若しくは薬物送達デバイスの設計に依存して、用量毎に変わり得る。
【0011】
駆動部材は、プッシュプル薬物送達デバイスにおいて使用されるのに適し得て、ここでは、薬物送達デバイスの近位方向に用量部材を引くことによって、薬剤の用量が設定できて、そして遠位方向に用量部材を押すことによって薬剤を投与できる。この文脈において、用量を設定するとは、薬物送達デバイス及び、特に、薬物送達デバイスの駆動機構が、その後の用量投与操作に対して準備されることを意味する。好ましくは、薬剤の用量を設定しそして投与するために、使用者は用量部材に直接、近づくことができる。好ましくは、プッシュプルデバイスにおいて、用量部材は純粋に軸運動を行い、そして追加の回転運動は行わない。開示された駆動部材は代替として又は追加として他の薬物送達デバイス、例えば、用量部材が、用量の設定及び投与の両方のために押される、プッシュプッシュデバイスに適し得る。好ましくは、薬物送達デバイスはペン型デバイスのような注射デバイスである。
【0012】
更に、開示された駆動部材を用いて使用されるのに適する薬物送達デバイスは、使い捨てでき又は再使用できるデバイスであり得る。薬物送達デバイスは、薬剤を含有するカートリッジがデバイス中に搭載され得るように構成され得る。例として、カートリッジは、例えば、GLP−1又はヘパリンのような液体薬剤を含有し得る。再使用可能なデバイスにおいて、空のカートリッジは新しいカートリッジによって交換できる。
【0013】
駆動部材は、遠位方向及び近位方向を持つ縦軸を有する。遠位方向及び近位方向は縦軸と並び、そして互いに反対である。駆動部材は、縦軸に沿って伸びているスリーブの形を有し得る。スリーブは少なくとも部分的にピストン棒を囲むように構成され得る。
【0014】
好ましくは、駆動部材を含む薬物送達デバイスの組み込まれた状態において、遠位方向はデバイスの投与端を指している。近位方向は、遠位方向に対して反対の方向である。以下において、薬物送達デバイスにおいて使用され得る部品の「遠位端」及び「近位端」という用語は、部品の中心から各々遠位方向又は近位方向に動くときに到達される部品の端部を意味する。
【0015】
適切な薬物送達デバイスは、薬物送達デバイスの投与機構、例えば、駆動部材を少なくとも部分的に囲むハウジングを含み得る。好ましくは、ハウジングは、駆動部材の縦軸と並べられる縦軸を有する。ハウジングは、例えば、その遠位端で、薬剤を含有するカートリッジホルダを取り付けることができるように構成され得る。
【0016】
開示された駆動部材は、縦軸の周りの回転運動において作動部材によって駆動されるように構成され得る。特に、駆動部材は、用量設定操作中及び用量投与操作中の両方で、縦軸の周りの回転運動において作動部材によって駆動されるように構成され得る。
【0017】
一つの実施態様において、駆動部材は、薬物送達デバイスの組み込まれた状態において、純粋な回転運動に制約されるように構成され得る。更なる実施態様において、駆動部材は、薬物送達デバイスのハウジングに対して制限された併進運動を追加的に行うように構
成され得る。
【0018】
好ましくは、薬物送達デバイスの組み込まれた状態において、作動部材は直接、駆動部材上に作用し、そうすることによって、駆動部材の動きが生み出され、その結果、ピストン棒が動かされる。作動部材は使用者によって手動で操作されるように構成され得る。本明細書において、使用者は、直接、作動部材に働き掛け(act)得るか又は作動部材に連結される薬物送達デバイスの部品に働き掛け得る。
【0019】
駆動部材は、駆動負荷を作動部材から駆動部材に伝えるための接触面を有する軌道を含む。
【0020】
そのような軌道は駆動部材の外面で突き出ている端部であり得る。軌道は、駆動負荷を伝達するための接触面が供される限り、他の形も有し得る。
【0021】
好ましくは、軌道は、駆動部材の遠位方向に走行するセクション及び近位方向に走行するセクションの両方を含む。
【0022】
これは、軌道に対して一つの方向に軌道を追随するとき、軌道の特定のセクションで、軌道に沿った動きの方向が少なくとも部分的に、各々駆動部材の近位方向又は遠位方向内を指し示すことを意味する。本明細書において、遠位方向又は近位方向を指し示すとは、その方向が、少なくとも消えることが無い遠位部品又は近位部品を各々有することを意味する。好ましくは、軌道は遠位方向と近位方向の間を前後に走行し、それは、軌道に追随するとき、動きの方向が遠位方向から近位方向に数回変わることを意味する。好ましくは、軌道はぎざぎざの形を有し、そして縦軸を囲む。
【0023】
一つの実施態様において、軌道は第一の軸位置と第二の軸位置の間の位置に制約される。
【0024】
この文脈において、軸位置は、縦軸を直角に横切る平面によって定義される。このように、軸位置の間を前後に走行するとは軌道が、縦軸を直角に横切る第一の面都第二の面の間の位置に、軸方向に制約されることを意味する。
【0025】
更なる実施態様において、例えば、その後の用量のサイズが異なる薬物送達デバイスに対して駆動部材が設計されるとき、そこで軌道がその方向を遠位方向から近位方向に又はその逆に変える軸位置は、軌道に沿って変わり得る。例として、軌道は遠位方向における第一の軸位置から第二の軸位置に向かって、そして再び近位方向に向かって走行し得るが、第一の軸位置には再び達し得ない。
【0026】
好ましくは、軌道は、軌道上の特定の場所から出発して一つの方向に軌道を追随するとき、出発場所に再び達するように、それ自体閉じられる。この実施態様において、駆動部材は、原則として、任意の数の用量が投与できるように構成され得る。
【0027】
好ましい実施態様において、軌道は、少なくとも一つの用量設定セクション及び少なくとも一つの用量投与セクションを含み、ここで、薬物送達デバイスの組み込まれた形態において、作動部材は、用量を設定するために用量設定セクション上の、そして用量を投与するために用量投与セクション上の接触面上に作用する。
【0028】
用量設定セクションは駆動部材の遠位方向に、そして用量投与セクションは近位方向内に走行し得る。好ましくは、組み込まれた薬物送達デバイスにおいて、作動部材と駆動部材の間の接触領域は軌道に沿って動き、ここで、用量の設定のために、接触領域は用量投
与セクションに沿って近位方向に、そして用量投与セクションに沿って遠位方向走行する。
【0029】
一つの実施態様において、用量設定セクション及び用量投与セクションは、一つの方向に軌道を追随するとき、互いに直接、隣接する。軌道は幾つかの用量設定セクション及び用量投与セクションを含み得て、ここで、各用量設定セクションは用量投与セクションによって追随される。用量設定セクション又は用量投与セクションは各々同じ形を有し得て、縦軸の周りで或る角度だけて移動されるのみである。
【0030】
好ましい実施態様において、軌道は、軌道の接触面上への軸負荷によって駆動部材の回転が引き起こされるように、少なくとも部分的に構成される。
【0031】
この目的のために、用量投与セクションの少なくとも一つの部分は、縦軸に対して0度より大きく90度より小さい傾斜角の絶対サイズを有して傾けられ得る。そうすることによって、軸負荷は少なくとも部分的に、駆動部材の縦軸の周りのトルクにリダイレクションされる。従って、駆動部材は、駆動部材に対する軸運動に制約された作動部材が駆動部材の回転運動を引き起こし得るように構成され得る。好ましくは、本明細書において、接触面は、遠位方向に向けられた負荷が駆動部材上にかけられ得るように、駆動部材の近位方向に向けられる。またこの文脈において、「近位方向に向けられる」とは、この方向が、近位方向に向けられた少なくとも消えることが無い部品を有することを意味する。
【0032】
縦軸に対する軌道の傾斜角度は、速度比、そしてその後に薬物送達デバイスの機械的利点に影響を及ぼす。速度比は、ピストン棒の軸運動の量に比較した、用量投与操作において使用者によって操作される作動部材の軸運動の量によって定義できる。機械的利点は、栓の上に出力する力に対する使用者が入力する力の比として定義できる。速度比は、軌道の傾斜角が減少するときに増大する。この速度比の増大によってデバイスの機械的利点が増大することになる。一般に、機械的利点は、摩擦損失の効果のせいで、速度比よりも小さいであろう。
【0033】
用量投与セクションは、それらの傾斜角において異なる部分を含み得る。そうすることによって、用量投与操作の或る段階で、機械的利点は望まれるコースに調節できる。特に、そこで駆動部材が薬物送達デバイスの更なる部品上に作用する、用量投与操作の段階において、駆動部材を駆動するためにより大きな力が必要とされるであろう。本明細書において、使用者によってかけられる力は傾斜角の調節によって一定に保持することができる。
【0034】
一つの実施態様において、用量設定セクションは、縦軸に対して傾斜している少なくとも一つの部分を含む。好ましくは、本明細書において、接触面は、近位方向に向けられた負荷が駆動部材上にかけられるように、駆動部材の遠位方向に向けられる。
【0035】
好ましくは、設定操作中及び投与操作中の両方で、作動部材が駆動部材の回転を引き起こすように駆動部材が構成される場合、用量投与操作中の回転は第一の回転方向に向けられ、そして、用量設定操作中は、第一の回転方向とは反対の第二の回転方向に向けられる。
【0036】
軌道は、用量投与セクション又は用量設定セクションの全ての部分が縦軸に対して傾斜されるのではないように構成され得る。特に、用量設定セクション又は用量投与セクションは縦軸に平行である部分を有し得る。
【0037】
一つの実施態様において、駆動部材は、付勢手段の部品から駆動部材に負荷を伝えるた
めの接触面を有するバイアストラックを含む。そうすることによって、駆動部材は縦軸の周りの回転に向かって偏らせられる。特に、付勢手段は、そうすることによって、駆動部材上にトルクを作用する。
【0038】
バイアストラックは駆動部材の遠位端に置かれ得る。例として、バイアストラックは駆動部材の前面に置かれ得る。バイアストラックは、駆動部材の周囲の線を追随し得て、そしてそれ自体閉じられ得る。
【0039】
一つの実施態様において、接触面上の付勢手段の部品によって作用される負荷は、トルク内に、又は付勢手段及びバイアストラックの部品の相互作用による、組み合わされた軸負荷及びトルク内にリダイレクションされた軸負荷であり得る。薬物送達デバイスが組み込まれた状態において、付勢手段の部品は、用量設定中及び用量投与中にハウジングに固定され得て、一方、駆動部材はハウジングに対して回転運動を行う。
【0040】
付勢手段は、ばねを更に含み得て、そこでばねに張力をかけることによって、付勢手段の部品と駆動部材の間に負荷が生み出される。ばねは駆動部材上に置かれ得る。
【0041】
バイアストラックは、縦軸の方に傾いている少なくとも一つの第一のリダイレクションセクションを含み得る。好ましくは、第一のセクション及び縦軸の傾斜角の絶対サイズは0度より大きく90度より小さい。
【0042】
バイアストラックは、少なくとも一つの第二のリダイレクションセクションを追加的に含み得る。一つの実施態様において、第二のリダイレクションセクションは、第一のリダイレクションセクションに対して言わば反対向きに(in a sense opposite to)、縦軸の方に傾いている。
【0043】
バイアストラックの傾斜によって、駆動部材上の軸負荷がトルクにリダイレクションされることが可能になり、ここでトルクの方向は傾斜状態によって定められる。
【0044】
好ましい実施態様において、第一のリダイレクションセクション及び第二のリダイレクションセクションは、互いに隣接し、そうすることによって軌道中に凹部を形成する。凹部は、その側面としての第一のセクション及び第二のセクション、及び第一のセクション及び第二のセクションの間の中心点を有する三角形の凹部であり得る。
【0045】
駆動部材を含む薬物送達デバイスの構造的特性
本開示の更なる態様によると、用量投与操作において薬物の用量を投与するように構成され、また同様に用量設定操作においてその後の用量投与操作のためにデバイスを準備するように構成される、薬物送達デバイスが供される。薬物送達デバイスは上述の通りピストン棒を駆動するための駆動部材を有する。
【0046】
適切な薬物送達デバイスは、単一用量のデバイス又は複数用量のデバイスであり得て、そして使い捨て又は再使用し得る。好ましくは、薬物送達デバイスは固定された用量のデバイスである。
【0047】
薬物送達デバイスは、駆動部材を駆動するために必要な力を使用者が供するように、用量部材を通して使用者によって手動で操作され得る。好ましくは、用量部材は使用者によって直接近づき得る。
例として、用量部材は、用量を設定するためにハウジングから引っ張り出され得る、そして用量を投与するためにハウジングに向かって押される、薬物送達デバイスの近位端での用量ボタンを含み得る。
【0048】
用量部材は、駆動部材を駆動するための作動部材として働き得る。本明細書において、作動部材は用量部材に固定され得るか又は用量部材の統合部分でもあり得る。異なる実施態様において、作動部材は、用量設定操作中及び用量投与操作中に、用量部材の動きが作動部材に伝えられるように、用量部材に連結され得る。
【0049】
異なる実施態様において、薬物送達デバイスは、駆動部材を駆動するための力が、薬物送達デバイスの機構によって部分的に又は完全に供されるように構成され得る。本明細書において、使用者は用量投与操作又は用量設定操作をトリガーするのみでよい。
【0050】
一つの実施態様において、デバイスは、用量設定操作及び用量投与操作の一つ又は両方の終了時点で、縦軸の周りの回転に向けて、駆動部材を偏らせるように構成された付勢手段を含む。好ましくは、用量設定操作又は用量投入操作の終了時点で、偏りがトルクに追随して駆動部材よって開放され、そうすることによって小さな回転が行われる。
【0051】
用量部材は、用量設定操作中又は用量投入操作中の各々で生み出され得る。特に、上述の駆動部材での付勢手段の部品及びバイアストラックの接触面の機械的相互作用によってトルクが生み出され得る。異なる実施態様において、用量設定操作中又は用量投入操作中に駆動部材の回転運動によって張力をかけられたねじりばねによってトルクが生み出され得る。
【0052】
更に、薬物送達デバイスは、縦軸の周りの回転運動において駆動部材を駆動するための作動部材を含む。
【0053】
作動部材は軌道の接触面上に作用し、そのことによって駆動負荷が駆動部材上に伝えられる。例として、作動部材は駆動部材上に作用するためのラグ(lug)を有し得る。ラグは、接触面の方向に依存して、遠位方向に又は近位方向に負荷が駆動部材上にかけられ得るように曲面形を有し得る。好ましくは、そこで負荷が作動部材から駆動部材に伝えられる、作動部材及び駆動部材の接触領域は、用量設定中及び用量投与中に軌道に沿って走行する。
【0054】
好ましい実施態様において、用量設定操作の終了時点で、付勢手段によって作用されたトルクのせいで、その後の用量投与操作が可能になるように、作動部材に対する位置に向かう駆動部材の回転が生み出される。
【0055】
例として、軌道の用量設定セクションはピークに向かって近位方向に走行し得る。ピークで、軌道はその方向を近位方向から遠位方向に変える。ピークの後、用量投与セクションが遠位方向内に走行し始める。用量設定操作において、駆動部材と作動部材の間の接触領域は、ピークに達するまで、用量設定セクションに沿って動く。接触領域がピークを通過することを可能ならしめるため、そしてそのことによって用量投与セクション上の作動部材の接触を可能ならしめるため、駆動部材は作動部材に対する小さな回転を行い得る。
【0056】
これは、用量部材が駆動部材の縦軸に沿った軸運動に制約されるときに、特に有用である。例として、用量部材は、用量を設定するため引っ張られ、そして設定された用量を投与するために押されるように構成され得る。異なる実施態様において、用量部材は、用量を設定するため及び投与するための両方のために押されるように構成され得る。
【0057】
好ましくは、薬物送達デバイスは、薬物送達デバイスの用量投与操作において駆動部材によって駆動されるように構成されたピストン棒を含む。好ましくは、ピストン棒と駆動部材の間の相対的回転運動は防がれ、そして相対的併進運動が可能になる。
【0058】
本明細書において、駆動部材は、上述の通り、ピストン棒を連結するために適する連結手段を含み得る。特に、ピストン棒及び駆動部材はスプライン係合によって連結され得る。
【0059】
一つの実施態様において、用量設定操作の終了時点で、付勢手段によって作用された偏りの結果、ピストン棒が近位方向に動かされるように駆動部材の回転が生じる。そうすることによって、薬物送達デバイスの近位方向に向かって、カートリッジ中の栓の弛緩が可能となり得る。これは、カートリッジから外への薬剤のしたたりを減じることを助け得る。
【0060】
好ましくは、本明細書において、偏りが第一の回転方向とは反対の第二の回転方向へと指向される。
【0061】
一つの実施態様において、薬物送達デバイスは、薬物送達デバイスのハウジングに固定されるねじ山付き部品(threaded component)を含む。ねじ山付き部品はピストン棒とねじで係合される。
【0062】
特に、ねじ山付き部品はスリーブの形を有し得て、そしてハウジングの内面に置かれ得る。その内面で、ねじ山付き部品は、ピストン棒の外面上のねじと係合するねじを含み得る。
【0063】
ピストン棒が、それが駆動部材の回転運動に追随するように、ピストン棒に連結される故、そのねじによる係合は、薬物送達デバイスのハウジングに対する、組み合わされた併進運動及び回転運動に繋がる。駆動部材の回転の方向に依存して、ピストン棒は薬物送達デバイスの遠位方向又は近位方向のどちらかへ動きを行う。遠位方向への動きの最中に、ピストン棒はカートリッジ中の栓の上に作用し得て、そのことによって薬剤が投与される。近位方向への動きは、栓の弛緩を可能にするために引き起こされ得る。
【0064】
一つの実施態様において、薬物送達デバイスは、薬物の残留する用量の数及び薬物の投与された用量の数の少なくとも一つを表示するための用量カウンターを含む。
【0065】
そうすることによって、使用者には、薬剤容器、例えば、カートリッジ中に残された用量の数、そしてひいては残された薬物投与操作の数が知らされ得る。
【0066】
例として、用量カウンターは、その外面上にマーキングを保持するスリーブの形を有し得る。マーキングは用量カウンターの螺旋周囲上に配置され得る。各マーキングは残存用量の数を示し得る。薬剤容器の現在の充填状態に対応するマーキングは、薬物送達デバイスのハウジングの開口部であり得る表示窓を通して見ることができる。更なる実施態様において、薬物送達デバイスの設計に依存して、マーキングは用量部材の開口部を通して見ることができる。
【0067】
用量カウンターは、ハウジングと、又はハウジングに固定された部品とねじで係合され得る。
【0068】
一つの実施態様において、用量カウンターは駆動部材によって駆動される。本明細書において、駆動部材及び用量カウンターは、駆動部材及び用量カウンターの相対的併進運動が許され、そして相対的回転運動が防がれるように、互いに連結され得る。例として、駆動部材及び用量カウンターはスプライン係合を有し得る。用量カウンターの駆動部材への回転連結、及びハウジングとのねじ係合によって、駆動部材の回転運動が、ハウジングに
対する用量カウンターの組み合わされた併進運動及び回転運動を引き起こす。
【0069】
好ましくは、この実施態様において、駆動部材はピストン棒とスプライン係合状態にある。この場合、駆動部材の回転運動の量は、ピストン棒の回転運動の量に等しい。これによって、表示された用量の数がピストン棒の位置に正確に対応するように、駆動部材の動きを利用することによって、用量カウンターの十分に正確な調整が可能になる。
【0070】
更なる実施態様において、用量カウンターはピストン棒によって駆動される。また本明細書において、用量カウンターは、ピストン棒及び用量カウンターの相対的な併進運動が可能であり、そして相対的な回転運動が防がれるように、ピストン棒に連結され得る。また本明細書において、用量カウンターの駆動部材への回転連結、及びハウジングとのねじ係合によって、駆動部材の回転運動が、ハウジングに対する用量カウンターの組み合わされた併進運動及び回転運動を引き起こす。
【0071】
薬物送達デバイスの機能的特性
本開示の更なる態様において、薬物の一つ又はそれ以上の用量を投与するための薬物送達デバイスが供される。本デバイスは、駆動部材を作動するための、薬物送達デバイス及び用量部材の投与作用において、ピストン棒を駆動するための駆動部材を含む。ピストン棒は、駆動部材及びピストン棒の相対的な併進運動が可能になり、そして相対的な回転運動が防がれるように、駆動部材に連結される。駆動部材は、縦軸の周りの第一の回転方向及び第二の回転方向に、用量部材によって駆動されるように構成され、ここで、第一の回転方向及び第二の回転方向は互いに反対向きである。
【0072】
駆動部材は、薬物送達デバイスの縦軸に対して安定状態及び不安定状態を有し得て、ここで不安定状態において、駆動部材は付勢手段によって安定状態に向かって付勢される。好ましくは、不安定状態において、駆動部材は縦軸の周りの回転に向かって偏向され、そして安定状態において、駆動部材は縦軸の周りの如何なる回転に向かっても偏向がない。特に、不安定状態において、付勢手段は駆動部材上にトルクを作用し得る。安定状態において、付勢手段は駆動部材上にトルクを作用し得ず、そうすることによって駆動部材はトルクから解放され得る。
【0073】
本開示の更なる態様において、薬物の一つ又はそれ以上の用量を投与するための薬物送達デバイスは、薬物送達デバイスの投与操作においてピストン棒を駆動するための駆動部材を含む。更に、薬物送達デバイスは、駆動部材を作動するための用量部材を含む。駆動部材は、縦軸に対して安定状態及び不安定状態を有する。不安定状態において、駆動部材は付勢手段によって安定状態に向かって付勢される。好ましくは、不安定状態において、駆動部材は縦軸の周りの回転に向かって偏向され、そして安定状態において、駆動部材は縦軸の周りの如何なる回転に向かっても偏りがない。
【0074】
以下において、上述の開示の態様に従う薬物送達デバイスの実施態様に等しく適用できる薬物送達デバイスの更なる特性が述べられる。
【0075】
更に、薬物送達デバイスはこの開示において述べられる如何なる特長又は特長の組合せをも含み得る。特に、駆動部材は上述のような駆動部材の構造的特性を有し得る。しかしながら、薬物送達デバイスはそのような駆動部材に制約されない。
【0076】
用量部材は使用者によって操作され得る。特に、用量部材は使用者が近づける用量ボタンを含み得る。用量部材は、薬剤の用量の設定及び投与のために、デバイスの縦軸に沿った軸運動に制約され得る。特に、用量部材は、用量を設定するために薬物送達デバイスの近位方向に引っ張られるように、そして用量を投与するために薬物送達デバイスの遠位方
向に押されるように構成され得る。
【0077】
好ましくは、薬物送達デバイスは、第一の回転方向及び第二の回転方向への駆動部材の動きによってピストン棒の軸運動がもたらされるように設計される。本明細書において、駆動部材の第一の回転方向への回転によってピストン棒の遠位運動がもたらされ得る。第二の回転方向への動きによって近位方向へのピストン棒の動きがもたらされ得る。
【0078】
好ましくは、用量設定操作又は用量投与操作の事前に定義された段階で不安定状態及び安定状態が存在する。本明細書において、用量設定操作又は用量投与操作は、駆動部材及びハウジングの事前に定義された相対的な角度位置で不安定状態及び安定状態が存在するように、駆動部材及びハウジングの相対的な角度位置に関連付けられ得る。
【0079】
好ましくは、用量設定操作中及び用量投与操作中の一つ又は両方の際に、不安定状態が生み出される。好ましくは、用量設定操作又は用量投入操作の終了時点で、偏りによって駆動部材の小さな回転が生み出される。そうすることによって、用量投与操作の後、ピストン棒の二番取りが達成され得る。用量設定操作の後、小さな回転によって、駆動部材及び用量部材の小さな相対的回転がもたらされ得て、その後の用量投与操作が可能になる。
【0080】
安定状態及び不安定状態は、付勢手段の部品及び駆動部材上のバイアストラックの相互作用によって生み出され得る。
【0081】
付勢手段はばねを含み得る。特に、ばねは、駆動部材上にトルクを作用させるねじりばねであり得る。異なる実施態様において、ばねは圧縮バネであり得る。そのような圧縮バネは、付勢手段の更なる部品と駆動部材の間に軸負荷をかけ得る。
【0082】
一つの実施態様において、付勢手段は、軸方向の負荷を縦軸の周りの回転方向の負荷にリダイレクションするためのリダイレクション手段を含む。
【0083】
そのようなリダイレクション手段は、駆動部材上のバイアストラックの傾斜したセクションによって供され得る。特に、リダイレクション手段は、縦軸に対して傾斜した接触面を含み得て、ここで、傾斜角の絶対サイズは縦軸に対して0度より大きく90度より小さい。
【0084】
付勢手段は、用量設定操作の終了時点で、駆動部材を縦軸に対して第一の回転方向に向けて偏向させるように構成され得る。
【0085】
好ましくは、用量設定操作の終了時点で、付勢手段によって作用されるそのようなトルクによって駆動部材の回転が生み出される。
【0086】
追加的に又は代替として、付勢手段は、用量投与操作の終了時点で、駆動部材を縦軸に対して第二の回転方向に向けて偏向させるように構成され得る。
【0087】
好ましくは、用量投与操作の終了時点で、付勢手段によって作用されるそのようなトルクによって駆動部材の回転が生み出される。好ましくは、ピストン棒は、駆動部材の回転によってハウジングに対してピストン棒の併進運動が生み出されるように、駆動部材及びハウジングに連結される。本明細書において、連結によって、組み合わされた回転運動及び併進運動も生み出される。好ましくは、用量投与操作の終了時点で、駆動部材の回転によってハウジングの近位方向へのピストン棒の動きが生み出される。そうすることによって、近位方向におけるカートリッジ中の栓の弛緩が可能になり得る。
【0088】
好ましくは、第一の回転方向及び第二の回転方向の両方に駆動部材を偏向させるように付勢手段が構成される場合、第一の回転方向及び第二の回転方向は互いに反対向きである。
【0089】
好ましくは、安定状態からの駆動部材の小さな偏りの際に、安定な状態に向かって戻る偏りが生み出される。
【0090】
例として、安定な状態は、バイアストラックで、凹部の中心での付勢手段の部品の係合によって成就され得る。駆動部材のバイアストラックの上に作用するそのような部品はリングの形を有し得て、そこで、リングの中心軸は駆動部材の縦軸及び薬物送達デバイスの縦軸と一直線になる。その部品は、バイアストラックと接触する一つ又はそれ以上のバイアス突起物を含み得る。好ましくは、凹部の両側面は、側面の何れかに向かう凹部の中心からの、部品の小さな相対的な偏りの際に、凹部の中心に向かって後退力が生じるように、駆動部材の縦軸に対して傾いている。好ましくは、後退力は、部品の突起物が凹部の中心に再度置かれるまでの、駆動部材の回転に繋がる。
【0091】
安定な状態を供することによって、ハウジングに対する駆動部材のはっきりとした(well-defined)小さい回転が達成され得る。特に、ハウジングに対する駆動部材の行き過ぎた走行が防がれ得る。
【0092】
更に、駆動部材は、中立状態からの小さなゆがみの際に、駆動部材が安定状態に向かって偏よった、そして如何なる回転状態に向かっても偏らないものであるように構成された中立状態を含み得る。
【0093】
駆動部材のそのような中立状態は、駆動部材上のバイアストラック、及び駆動部材の縦軸に直角であるバイアストラックの一部上の付勢手段の部品の相互作用によって成就され得る。この場合、駆動部材と付勢手段の部品の間の軸負荷によって駆動部材上のトルクがもたらされることはない。駆動部材は、用量設定操作及び用量投与操作のある操作段階において中立状態にあり得る。
【0094】
一つの実施態様において、駆動部材の回転が用量部材によって妨害されない場合、駆動部材は、不安定な状態において、付勢手段によって作用されたトルクによって、駆動部材の安定な状態に向かう回転が生み出されるように構成される。
【0095】
特に、用量設定操作中又は用量投与操作中に、付勢手段によって生み出された偏りは、駆動部材上の軌道の接触面上に用量部材によって作用される対向力によってバランスを取り得る。例として、用量部材が使用者によって操作される場合、使用者は用量投与操作の後に用量部材を開放し得る。そうすることによって、偏りによって生じる駆動部材の回転が可能であるように、駆動部材上で用量部材によって作用された対向力が取り除かれる。本明細書において、駆動部材の回転によって、薬物送達デバイスの近位方向への用量部材の動きが生み出され得る。
【0096】
追加として又は代替として、用量設定操作の終了時点で、駆動部材は、対向力が取り除かれ、そして用量部材及びハウジングに対する駆動部材の相対的回転が可能になるように、駆動部材上の軌道の接触面との接触から脱し得る。この場合、駆動部材の小さな回転を可能にするため、用量設定操作の終了時点で用量部材を開放することは必要でなくなり得る。
【0097】
再設定可能な薬物送達デバイスの機能的特性
更に、薬物の一つ又はそれ以上の用量を投与するための再設定できる薬物送達デバイス
が開示される。薬物送達デバイスはハウジングに対する出発位置を有し、そして出発位置に再設定され得るピストン棒を含む。更に、薬物送達デバイスは、薬物送達デバイスの遠位方向への薬物送達デバイスの投与操作においてピストン棒を駆動するための駆動部材を含む。更に、薬物送達デバイスは駆動部材を作動するための用量部材を含む。薬物送達デバイスは、薬物送達デバイスの再設定中に、用量部材がハウジングに対して引っ張り出された位置にあるように構成され得る。この文脈において、特定事項「再設定中」は、再設定操作中の少なくとも一つの時点で、用量部材が引っ張り出された位置にあることを意味する。
【0098】
特に、薬物送達デバイスは再設定状態を有し得て、ここで、再設定状態においてデバイスの再設定、特に、ピストン棒の再設定が可能になる。好ましくは、用量部材はデバイスの再設定状態中に、ハウジングに対して引っ張り出された位置にある。更に、薬物送達デバイスは投与状態を有し得て、ここで投与状態において用量設定及び用量投与が可能になる。薬物送達デバイスは投与状態から再設定状態に切り替えられるように構成され得る。
【0099】
用量部材は使用者によって操作され得る。好ましくは、使用者は用量部材に直接、近づき得る。用量部材を作動させることによって、薬剤の用量設定又は用量投与が開始され得る。特に、用量部材は使用者が近づき得る用量ボタンを含み得る。好ましくは、用量ボタンは、用量ボタンの動きによって用量部材の動きが生み出されるように、用量部材に固定されるか又は用量部材の統合部分である。用量ボタンは薬物送達デバイスの近位端に置かれ得る。引っ張り出された位置において、用量ボタン及びそれに伴う用量部材はハウジングに対して最近位置にあり得る。押し込まれた位置において、用量ボタン及びそれに伴う用量部材もハウジングに対して最遠位置にあり得る。用量を設定しそして投与するために、用量部材は、押し込まれた位置と引っ張り出された位置の間の縦軸に沿った軸運動に制約され得る。
【0100】
再設定可能な薬物送達デバイスは、この開示において述べられる如何なる特長又は特長の組み合わせをも含み得る。特に、駆動部材は上述のような駆動部材の構造的特性を有し得る。しかしながら、薬物送達デバイスはそのような駆動部材に制約されない。
【0101】
好ましい実施態様において、ピストン棒は、ピストン棒をその出発位置に再設定するために、駆動部材の自由回転を可能にする必要があるように、駆動部材に連結される。特に、ピストン棒は、ピストン棒と駆動部材の間の併進運動が可能であり、一方、回転運動が防がれるように、駆動部材に連結され得る。更に、ピストン棒はハウジングとのねじ係合を有し得る。このようにして、再設定中に、ピストン棒は、ハウジングに対して、組み合わされた回転運動及び併進運動を行い得る。
【0102】
好ましくは、薬物送達デバイスは、薬剤容器、例えば、カートリッジが交換されることを可能にする、再使用できるデバイスである。好ましくは、本デバイスはデバイスの再設定がカートリッジの如何なる充填状態においても可能になるように構成される。特に、カートリッジが完全に空になってないときにも、再設定が可能になる。
【0103】
特に、薬物送達デバイスは、そこに薬剤カートリッジを含むカートリッジホルダが取り外し可能に取り付けられ得る主ハウジングを含み得る。薬物送達デバイスが組み込まれた状態において、カートリッジホルダはハウジングに取り付けられ、そして組み込まれていない状態において、カートリッジホルダはハウジングからに取り外される。
【0104】
好ましくは、薬物送達デバイスは、カートリッジホルダをハウジングから取り外した後、ピストン棒が出発位置に動き得るように構成される。
【0105】
本明細書において、カートリッジホルダをハウジングから取り外すことによって、ピストン棒を再設定するための負荷がピストン棒上にかけられるように、ピストン棒に近づき得る。追加として又は代替として、カートリッジホルダを取り外すことによって、駆動機構の部分又は薬物送達デバイスの他の部分は連結を解除され得て、そうすることにより、ピストン棒の近位方向への動きが可能になる。
【0106】
そうすることによって、薬物送達デバイスは再設定状態において投与状態から切り替えられ得る。
【0107】
薬物送達デバイスは、組み込まれていない状態において、ピストン棒上に、薬物送達デバイスの近位方向に軸負荷をかけることによって、ピストン棒が出発位置に向かって動かされ得るように構成され得る。
【0108】
軸負荷は、使用者によって、例えば、手動でピストン棒を後方に押すことによって供され得る。本明細書において、使用者は、ピストン棒の遠位端上に又はピストン棒の遠位端でベアリング上に負荷をかけ得る。更なる実施態様において、軸負荷は、カートリッジホルダを薬物送達デバイスのハウジングに取り付けるとき、カートリッジ又はカートリッジホルダの一部によって軸負荷がかけられ得る。再設定中に、ピストン棒が組み合わされた併進運動及び回転運動を行う場合、ピストン棒はまた、ピストン棒を回転することによって出発位置に動かし得る。
【0109】
一つの実施態様において、薬物送達デバイスは、組み込まれていない状態において、遠位方向が上方を指すように薬物送達デバイスを向けるによって、ピストン棒が出発位置に向かって動くように構成される。
【0110】
この場合、薬物送達デバイスの駆動機構の摩擦は、その自重を通してピストン棒の動きを可能にするように、十分小さくなければならない。本明細書において、薬物送達デバイスの上方への向きに際して、用量部材もそれ自体で引っ張り出された位置に向かって動き得る。
【0111】
一つの実施態様において、薬物送達デバイスは、ピストン棒を再設定する前に、用量部材が既に引っ張り出された位置にあるように構成され得る。
【0112】
この場合、薬物送達デバイスの投与機構は、最後の利用できる用量が投与された後、その後の用量設定操作が可能になるように構成され得る。特に、用量設定のために、用量部材は薬物送達デバイスのハウジングから引っ張り出し得て、そうして引っ張り出された位置内に動かし得る。投与機構は、用量部材のその後の動き、ひいては、本明細書で、特に、例えば、更なる用量を投与するために、用量部材をハウジングに向かって押し戻すように構成され得る。この目的のために、ピストン棒はハウジングに固定された部品と係合されるねじを含み得る。その近位端で、ねじは停止面を有し得て、最後の利用可能な用量が投与された後、部品に対する、遠位方向に向かうピストン棒の更なる動きが防がれる。そうすることによって、遠位方向への用量部材の更なる動きも阻止され得る。
【0113】
更なる実施態様において、再設定できる薬物送達デバイスは、ピストン棒の再設定中に、用量部材が引っ張り出された位置に向かって動かされるように構成され得る。
【0114】
本明細書において、ピストン棒は、ピストン棒及び駆動部材の相対的な回転運動が防がれ、そして相対的な併進運動が可能であるように、駆動部材に連結され得る。例として、ピストン棒は駆動部材とのスプライン係合を有し得る。このように、薬物送達デバイスの近位方向に向かうピストン棒の動きによって、駆動部材の回転が生じる。駆動部材は、駆
動部材の回転によって用量部材の軸運動が生み出されるように、用量部材に連結され得る。例として、駆動部材は、デバイスの設定操作及び投与操作のために、用量部材から駆動部材上に負荷を伝えるための傾斜した接触面を有し得る。駆動部材の回転によって、用量部材が近位方向に押されるように接触面が用量部材上に作用し得る。
【0115】
好ましい実施態様において、薬物送達デバイスは、ピストン棒の再設定の後、用量部材がその引っ張り出された位置にあるように構成される。これは、薬物送達デバイスがプライミング操作の準備ができていることを示し得る。
【0116】
この文脈において、用語「プライミング」は、再設定操作のおかげで、互いに向かって駆動機構の部分の相対的な移動が補償されることを意味し得る。特に、デバイスを再設定した後、そして新しい薬剤容器が挿入された後、デバイスをプライミングするために、投与機構は、投与機構の異なる部分の間の間隙が取り除かれるように、作動され得る。これらの間隙を除去することによって、薬物送達デバイスが再設定された後、第一の用量の正確な設定及び投与が可能になる。
【0117】
好ましくは、用量部材が引っ張り出された位置にあるとき、用量部材をハウジングに向かって押すことによってプライミングが成就され得る。そうすることによって、駆動機構は用量投与操作に類似したプライミング操作を行い得る。本明細書において、駆動機構の異なる部分の間の間隙のサイズに依存して、小さな用量が薬物送達デバイスから投与され得る。プライミングの後、薬物送達デバイスは使用準備が完了となる。
【0118】
その組み込まれた状態において、薬物送達デバイスは、ハウジング又はハウジングに連結された部品、及び互いに向かう駆動部材上に負荷をかける弾性手段を含み得る。
【0119】
特に、本部品は駆動部材上に偏りを作用させる付勢手段の一部であり得る。例として、駆動部材は、付勢手段の部品によって接触されたバイアストラックを有し得る。付勢手段の部品及び駆動部材は、ばねの形態の弾性手段によって互いに向かって押され得る。そうすることによって、駆動機構の摩擦が増大され、従って駆動部材をハウジングに対して動かすためにより大きな力が必要とされる。これによって、薬物送達デバイスが上方に向けられるとき、組み込まれた状態において、ピストン棒の後方への動きが防がれ得る。
【0120】
好ましくは、薬物送達デバイスは、カートリッジホルダの取り外しの際に負荷が開放されるように構成される。
【0121】
例として、その組み込まれた状態において、カートリッジホルダは、弾性手段に張力がかけられ、そしてそれらの部分が一緒に押し付けられるように、薬物送達デバイス及び弾性手段の部分上に負荷をかけ得る。例として、カートリッジホルダは駆動部材に向かって付勢手段の部品を押し得て、そのことによって、駆動部材及び付勢手段の部品上に対向力を作用するばねを圧縮する。
【0122】
カートリッジが薬物送達デバイスのハウジングから取り外されるとき、負荷は取り除かれ得て、そうすることによって、ばねが弛緩され得る。これによって、薬物送達デバイスの部分の連結解除が可能になる。特に、付勢手段の部品は駆動部材から連結を解除され得て、そうすることにより、駆動部材の回転が助けられる。そうすることによって、ピストン棒の再設定も助けられ得る。カートリッジホルダの取り外し後の摩擦量に依存して、ピストン棒はその出発位置に向かって押され得るか又は薬物送達デバイスが上方に向けられているとき、出発位置に向かってそれ自身で動き得る。
【0123】
再設定できる薬物送達デバイスの一つの実施態様において、用量部材は、用量部材がハ
ウジングに対して押し込まれた位置に留められるとき、用量部材がハウジングに対する駆動部材の自由な向きを妨害するように、駆動部材に連結され得る。
【0124】
例として、用量部材は、押し込まれた位置において、ハウジングに対する駆動部材の制限された回転が許され、一方、ピストン棒の再設定を可能にする、出発位置に向かう自由な回転が防がれるように、駆動部材に連結され得る。本明細書において、特に、駆動部材及びハウジングの相対的角度位置で、駆動部材及びハウジングに対する相対的回転が防がれ得る。例として、駆動部材は、用量設定操作及び用量投与操作において、負荷を用量部材から駆動部材に向けて伝えるための軌道を含み得る。軌道が薬物送達デバイスの縦軸の遠位方向又は近位方向に少なくとも部分的に走行し、そして用量部材と接触する場合、用量部材に対する駆動部材の回転によって、軌道の接触面と用量部材の隣接が生み出され得て、駆動部材の自由回転が防がれる。用量部材がハウジングに対する軸運動に制約される場合、これは用量部材がその押し込まれた位置中に留まる限り、ハウジングに対する駆動部材の自由回転も防がれることを意味する。本明細書において、用量部材は、接触面へのその接触が失われる、それが引っ張り出された位置において動かされるまで、自由回転を阻止し得る。
【0125】
更に、薬物送達デバイスは、薬物送達デバイスの組み込まれた状態において、駆動部材及びハウジングの相対的な回転運動が一つの回転方向において可能であり、そしてハウジング及び駆動部材の或る相対的角度位置で、第二の回転方向への回転運動が防がれるように、駆動部材をハウジングに連結している一方向性エレメントを含み得る。
【0126】
例として、そのような一方向性エレメントは、用量投与操作又は用量設定操作の或る段階で、聞くことができる又は触れることができるフィードバックを使用者に供するためのフィードバックエレメントであり得る。特に、フィードバックエレメントは、用量設定操作又は用量投与操作が完了したことを示し得る。
【0127】
好ましくは、組み込まれた状態において、弾性手段は、一方向性エレメント及び互いに向かってハウジングに固定された部品の上に負荷をかける。
【0128】
そうすることによって、駆動部材とハウジングの間の一方向性連結は、組み込まれた状態において、駆動部材及びハウジングの自由な相対的回転運動が防がれ得るように、供され得る。好ましくは、カートリッジホルダをハウジングから取り外すことによって、一方向性エレメントとハウジングに固定された部品の間の負荷が取り除かれるように、弾性手段が弛緩することが可能とされ得る。そうすることによって、ハウジングは駆動部材から連結解除され、ハウジングに対する駆動部材の自由回転及びその出発位置へのピストン棒の再設定を可能にする。
【0129】
本明細書で使用する用語「薬剤」は、少なくとも1つの薬学的に活性な化合物を含む医薬製剤を意味し、
ここで一実施態様において、薬学的に活性な化合物は、最大で1500Daまでの分子量を有し、及び/又は、ペプチド、蛋白質、多糖類、ワクチン、DNA、RNA、抗体、酵素、抗体、ホルモン、若しくはオリゴヌクレオチド、又は上記の薬学的に活性な化合物の混合物であり、
ここで更なる実施態様において、薬学的に活性な化合物は、糖尿病、又は糖尿病性網膜症などの糖尿病関連の合併症、深部静脈又は肺血栓塞栓症などの血栓塞栓症、急性冠症候群(ACS)、狭心症、心筋梗塞、癌、黄斑変性症、炎症、枯草熱、アテローム性動脈硬化症、及び/又は、関節リウマチの治療、及び/又は、予防に有用であり、
ここで更なる実施態様において、薬学的に活性な化合物は、糖尿病、又は糖尿病性網膜症などの糖尿病に関連する合併症の治療、及び/又は、予防のための、少なくとも1つの
ペプチドを含み、
ここで更なる実施態様において、薬学的に活性な化合物は、少なくとも1つのヒトインスリン、又はヒトインスリン類似体若しくは誘導体、グルカゴン様ペプチド(GLP−1)、又はその類似体若しくは誘導体、又はエキセンジン3又はエキセンジン4、若しくはエキセンジン3又はエキセンジン4の類似体若しくは誘導体を含む。
【0130】
インスリン類似体は、例えば、Gly(A21)、Arg(B31)、Arg(B32)ヒトインスリン;Lys(B3)、Glu(B29)ヒトインスリン;Lys(B28)、Pro(B29)ヒトインスリン;Asp(B28)ヒトインスリン;ヒトインスリンであり、ここで、B28位におけるプロリンは、Asp、Lys、Leu、Val又はAlaで代替され、そして、B28位において、Lysは、Proで代替されてもよく;Ala(B26)ヒトインスリン;Des(B28−B30)ヒトインスリン;Des(B27)ヒトインスリン、及びDes(B30)ヒトインスリンである。
【0131】
インスリン誘導体は、例えば、B29−N−ミリストイル−des(B30)ヒトインスリン;B29−N−パルミトイル−des(B30)ヒトインスリン;B29−N−ミリストイルヒトインスリン;B29−N−パルミトイル ヒトインスリン;B28−N−ミリストイルLysB28ProB29ヒトインスリン;B28−N−パルミトイル−LysB28ProB29ヒトインスリン;B30−N−ミリストイル−ThrB29LysB30ヒトインスリン; B30−N−パルミトイル−ThrB29LysB30ヒトインスリン;B29−N−(N−パルミトイル−γ−グルタミル)−des(B30)ヒトインスリン;B29−N−(N−リトコリル−γ−グルタミル)−des(B30)ヒトインスリン;B29−N−(ω−カルボキシヘプタデカノイル)−des(B30)ヒトインスリン、及びB29−N−(ω−カルボキシヘプタデカノイル) ヒトインスリンである。
【0132】
エキセンジン−4は、例えば、エキセンジン−4(1−39)、H−His−Gly−Glu−Gly−Thr−Phe−Thr−Ser−Asp−Leu−Ser−Lys−Gln−Met−Glu−Glu−Glu−Ala−Val−Arg−Leu−Phe−Ile−Glu−Trp−Leu−Lys−Asn−Gly−Gly−Pro−Ser−Ser−Gly−Ala−Pro−Pro−Pro−Ser−NH2配列のペプチドを意味する。
【0133】
エキセンジン−4誘導体は、例えば、以下の化合物リスト:
H−(Lys)4−desPro36,desPro37エキセンジン−4(1−39)−NH2
H−(Lys)5−desPro36,desPro37エキセンジン−4(1−39)−NH2
desPro36[Asp28]エキセンジン−4(1−39);
desPro36[IsoAsp28]エキセンジン−4(1−39);
desPro36[Met(O)14,Asp28]エキセンジン−4(1−39);
desPro36[Met(O)14,IsoAsp28]エキセンジン−4(1−39);
desPro36[Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39);
desPro36[Trp(O2)25,IsoAsp28]エキセンジン−4(1−39);
desPro36[Met(O)14Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39);
desPro36[Met(O)14Trp(O2)25,IsoAsp28]エキセ
ンジン−4(1−39);又は
desPro36[Asp28]エキセンジン−4(1−39);
desPro36[IsoAsp28]エキセンジン−4(1−39);
desPro36[Met(O)14,Asp28]エキセンジン−4(1−39);
desPro36[Met(O)14,IsoAsp28]エキセンジン−(1−39);
desPro36[Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39);
desPro36[Trp(O2)25,IsoAsp28]エキセンジン−4(1−39);
desPro36[Met(O)14,Trp(O2)25,Asp28] エキセンジン−4(1−39);
desPro36[Met(O)14,Trp(O2)25,IsoAsp28]エキセンジン−4(1−39);
ここで、基−Lys6−NH2は、エキセンジン−4誘導体のC−末端と連結してもよく;
又は以下の配列のエキセンジン−4誘導体:
H−(Lys)6−desPro36[Asp28]エキセンジン−4(1−39)−Lys6−NH2
desAsp28,Pro36,Pro37,Pro38エキセンジン−4(1−39)−NH2
H−(Lys)6−desPro36,Pro38[Asp28]エキセンジン−4(1−39)−NH2
H−Asn−(Glu)5desPro36,Pro37,Pro38[Asp28]エキセンジン−4(1−39)−NH2
desPro36,Pro37,Pro38[Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2
H−(Lys)6−desPro36,Pro37,Pro38[Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2
H−Asn−(Glu)5−desPro36,Pro37,Pro38 [Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2
H−(Lys)6−desPro36[Trp(O2)25,Asp28] エキセンジン−4(1−39)−Lys6−NH2
H−desAsp28 Pro36,Pro37,Pro38[Trp(O2)25]エキセンジン−4(1−39)−NH2
H−(Lys)6−desPro36,Pro37,Pro38[Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−NH2
H−Asn−(Glu)5−desPro36,Pro37,Pro38 [Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−NH2
desPro36,Pro37,Pro38[Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2
H−(Lys)6−des Pro36,Pro37,Pro38[Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2
H−Asn−(Glu)5−desPro36,Pro37,Pro38 [Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2
H−(Lys)6−desPro36[Met(O)14,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−Lys6−NH2
desMet(O)14,Asp28,Pro36,Pro37,Pro38 エキセンジン−4(1−39)−NH2
H−(Lys)6−desPro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,
Asp28]エキセンジン−4(1−39)−NH2
H−Asn−(Glu)5−desPro36,Pro37,Pro38 [Met(O)14,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−NH2
desPro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2
H−(Lys)6−desPro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2
H−Asn−(Glu)5,desPro36,Pro37,Pro38 [Met(O)14,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2
H−Lys6−desPro36[Met(O)14,Trp(O2)25, Asp28]エキセンジン−4(1−39)−Lys6−NH2
H−desAsp28,Pro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Trp(O2)25]エキセンジン−4(1−39)−NH2
H−(Lys)6−des Pro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−NH2
H−Asn−(Glu)5−desPro36,Pro37,Pro38 [Met(O)14,Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−NH2
desPro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2
H−(Lys)6−desPro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(S1−39)−(Lys)6−NH2
H−Asn−(Glu)5−desPro36,Pro37,Pro38 [Met(O)14,Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2
又は前述のいずれかのエキセンジン−4誘導体の薬学的に許容可能な塩若しくは溶媒和物;
から選択される。
【0134】
ホルモンは、例えば、ゴナドトロピン(ホリトロピン、ルトロピン、コリオンゴナドトロピン、メノトロピン)、ソマトロピン (ソマトロピン)、デスモプレッシン、テルリプレッシン、ゴナドレリン、トリプトレリン、ロイプロレリン、ブセレリン、ナファレリン、ゴセレリンなどのRote Liste、2008年版、50章に表示されている脳下垂体ホルモン又は視床下部ホルモン又は規制活性ペプチド及びそれらの拮抗剤である。
【0135】
多糖類としては、例えば、ヒアルロン酸、ヘパリン、低分子量ヘパリン、又は超低分子量ヘパリン、若しくはその誘導体などのグルコアミノグリカン、又はスルホン化された、例えば、上記多糖類のポリスルホン化形体、及び/又は、薬学的に許容可能なその塩がある。ポリスルホン化低分子量ヘパリンの薬学的に許容可能な塩の例としては、エノキサパリンナトリウム塩がある。
【0136】
薬学的に許容可能な塩は、例えば、酸付加塩及び塩基塩がある。酸付加塩としては、例えば、HCl又はHBr塩がある。塩基塩は、例えば、アルカリ又はアルカリ土類金属、例えば、Na+、又は、K+、又は、Ca2+から選択されるカチオン、又は、アンモニウムイオンN+(R1)(R2)(R3)(R4)を有する塩であり、ここで、R1〜R4は互いに独立に、水素;場合により置換されるC1−C6アルキル基;場合により置換されるC2C6アルケニル基;場合により置換されるC6−C10アリール基、又は場合により置換されるC6−C10ヘテロアリール基である。薬学的に許容される塩の更なる例は、‘Remington's Pharmaceutical Sciences' 17版、Alfonso R.Gennaro(編集),Mark Publishing Company,Easton, Pa., U.S.A., 1985 及び Encyclopedia of Pharmaceutical
Technologyに記載されている。
【0137】
薬学的に許容可能な溶媒和物としては、例えば、水和物がある。
【図面の簡単な説明】
【0138】
その他の特徴は、添付図面と関連して考慮したとき、以下の詳細な記述から明らかになるであろう。
【0139】
【図1】軌道を有する駆動部材の実施態様の斜視図である。
【図2】ランプリングの実施態様の斜視図である。
【図3】一方向性エレメントの実施態様の斜視図である。
【図4A】薬物送達デバイスの第一の実施態様の斜視断面図である。
【図4B】図4Aの薬物送達デバイスの第一の実施態様の破断図(cut-away view)である。
【図5A】用量設定操作中の図4Aの薬物送達デバイスの斜視破断図である。
【図5B】用量設定操作中の図4Aの薬物送達デバイスの投与機構の斜視図である。
【図5C】用量設定操作後の図4Aの薬物送達デバイスの斜視破断図である。
【図5D】用量設定操作後の図4Aの薬物送達デバイスの投与機構の斜視図である。
【図5E】用量投与操作の終了時点での二番取り前の、図4Aの薬物送達デバイスの付勢手段の斜視図である。
【図5F】用量投与操作の終了時点での二番取り(backing-off)後の、図4Aの薬物送達デバイスの付勢手段の斜視図である。
【図6A】最後の用量が投与された後の図4Aの薬物送達デバイスの斜視破断図である。
【図6B】最後の用量が投与された後の図4Aの薬物送達デバイスの投与機構の阻止の拡大図である。
【図7A】再設定中の図4Aの薬物送達デバイスの斜視破断図である。
【図7B】再設定後の図4Aの薬物送達デバイスの斜視破断図である。
【図8A】新しいカートリッジが挿入された後の図4Aの薬物送達デバイスの斜視破断図である。
【図8B】プライミング操作中の図4Aの薬物送達デバイスの斜視破断図である。
【図8C】プライミング操作後、二番取り後の投与機構の斜視破断図である。
【図9A】薬物送達デバイスの第二の実施態様の斜視断面図である。
【図9B】図9Aの薬物送達デバイスの第二の実施態様の斜視破断図である。
【0140】
図1は、薬物送達デバイスにおけるピストン棒の駆動のための駆動部材1を示す。ピストン棒は、薬剤を含有するカートリッジ内部の栓の上に作用し得る。例として、薬剤はGLP−1又はヘパリンのような液体薬剤であり得る。好ましくは、駆動部材1はピストン棒に直接、係合され、そしてカートリッジの遠位方向に向けてピストン棒を駆動し、そうすることにより、薬剤はカートリッジから押し出される。
【0141】
描かれた駆動部材1は、縦軸100に沿って伸びているスリーブの形を有する。その外面105上で、駆動部材1は、作動部材から駆動部材1に駆動負荷を伝えるための接触面120を持つ軌道12を有する。好ましくは、駆動部材1は、作動部材によって回転的に駆動されるように構成され、ここで作動部材は縦軸100に沿った軸運動に制約される(constrained)。例として、作動部材は、薬剤の用量の設定及び投与のために使用者によって操作され得る用量部材に固定され得る。特に、作動部材は用量部材の統合部分であり得る。更なる実施態様において、作動部材は、用量部材の動きが作動部材に伝えられるように、用量部材に連結され得る。
【0142】
駆動部材1は、固定された用量の薬物送達デバイスに特に適している。そのようなデバイスにおいて、投与されるべき用量の絶対サイズは、薬物送達デバイスの駆動機構の設計によって事前に定められる。特に、使用者は用量を変える選択肢を有しない。この文脈において、用量を設定するとは、薬物送達デバイスがその後の用量投与操作のために準備されることを意味する。
【0143】
駆動部材1は、プッシュプル薬物送達デバイスに適し得て、ここで、薬物送達デバイスの近位方向に用量部材を引くことによって、薬剤の用量が設定され得て、そして、遠位方向に用量部材を押すことによって、薬剤が投与され得る。しかしながら、駆動部材1は、例えば、プッシュプッシュデバイスなどの他の機構にも適し得て、ここで、用量部材は用量設定のために押され、そして用量投与のために押される。
【0144】
描かれた駆動部材1は、ピストン棒が回転的に駆動部材1に回転的に固定されるように、そして駆動部材1の縦軸100に沿って、少なくとも部分的に自由に動くよう、ピストン棒と係合するように構成される。示された実施態様において、駆動部材1は、少なくとも部分的にピストン棒を囲むように構成される。この目的のために、その内面106で、駆動部材1は、ピストン棒の雌スプラインに係合できる一つ又はそれ以上の雄スプライン16を含む。雄スプライン16は駆動部材1の長さに沿って伸びる。
【0145】
更なる実施態様において、雄スプライン16の代わりに、駆動部材はピストン棒の雄スプラインと係合している雌スプラインを含み得る。また、駆動部材は、その表面106で縦軸100に沿って伸びている、そして内面106の主として円形の内部断面セクションとは異なる平らなセクションを含み得る。適するピストン棒は、駆動部材の平らなセクションと係合できる合致している平らなセクションを有し、そうすることによってピストン棒を回転的に駆動部材にロックし、そして相対的な併進運動を可能にする。
【0146】
駆動部材1は、駆動部材1の動きが、軌道12の接触面120上に負荷をかける作動部材によって作動され得るように構成される。軌道12は駆動部材1の外面105を取り囲む。軌道12に対して一つの方向に軌道12を追随するとき、軌道12に沿った動きの方向は、近位方向104から遠位方向103へと変わる。本明細書において、軌道12は、第一の軸位置107と第二の軸位置108の間に制約され、そうすることによって、これらの位置107、108の間で揺動(oscillate)する。
【0147】
異なる実施態様において、例えば、その後の用量のサイズが異なる薬物送達デバイスのために駆動部材が設計されるときに、軌道(track)は、第一の軸位置から第二の軸位置に向かって、そして次に、近位方向に向かって走行し得るが、第一の軸位置には再び達することはない。
【0148】
軌道12は、各々が用量投与セクション125によって追随される用量設定セクション122を含む。駆動部材1は、全部で4つの用量投与セクション125及び4つの用量設定セクション122を含む。異なる実施態様において、駆動部材は4つほどの用量設定セクション122及び用量投与セクション125を含み得る。軌道12は、四番目の用量投与セクション125が直接、第一番目の用量設定セクション122に追随されるように、それ自体閉じられる。そうすることにより、駆動部材1は、原則として、設定されそして投与されるべき特定の用量数に限定されない。
【0149】
駆動部材1は、用量設定中に、作動部材が用量設定セクション122と接触し、そして用量投与中に、作動部材が用量投与セクション125と接触ように構成される。そうすることにより、作動部材と駆動部材の間の接触領域は一つの方向に軌道12を追随する。
【0150】
軌道12は、用量設定中に、及び、用量投与定中に、作動部材によって作用される軸負荷が駆動部材1上の回転負荷にリダイレクションされるように設計される。
【0151】
この目的のために、用量投与セクション125の少なくとも一部の接触面120は、駆動部材1の縦軸100に対して、0度より大きく90度より小さい角度で傾いている。そうすることにより、接触面120の一部と接触している作動部材が、遠位方向103に押されるとき、駆動部材は、第一の回転方向110に縦軸104の周りで回転させられ、一方、作動部材と駆動部材1の間の接触領域は、遠位方向103に用量投与セクション125に沿って動く。
【0152】
縦軸に対する接触面120の傾斜角は、薬物送達デバイスの機械的利点に影響を及ぼす。特に、傾斜角が大きいほど、機械的利点がより小さい結果となるであろう。用量投与セクション125は、各々が、0度より大きく90度より小さい傾斜角の絶対値を有する二つの傾斜した部分125a、125bを含む。第一の部分125aは第二の部分125bよりも小さな傾斜角を有する。このことは、用量投与操作の終了時点で、駆動部材1が薬物送達デバイスの更なる部品と相互作用し、そのことによって、駆動部材を動かすために要求される効果的なトルクが増大する場合でさえ、一つの完全な押す操作内で実質的に一定である遠位方向103に向かって作動部材を押すために必要な力を達成するのを助け得る。
【0153】
用量を設定するために、接触面120の一部に接触する作動部材は近位方向104に向かって引かれ、ここで、作動部材と駆動部材1の間の接触領域は、用量設定セクション122に沿って第二の軸位置108に向かって近位方向104に動く。用量設定セクション122は、0度より大きく90度より小さい傾斜角の絶対値を有する駆動部材1の縦軸100に傾斜している部分122bを含み、ここで接触面120は遠位方向103に向いている。本明細書で、近位方向104への作動部材の軸運動によって、第一の回転方向110とは反対の第二の回転方向111に向かう動きが生み出される。好ましくは、適する作動部材は、接触面120を用量投与セクション125上及び用量設定セクション122上の両方に接触させることを可能にする曲面形を有する。
【0154】
更に、用量設定セクション122は縦軸100に対して平行である第一の部分122aを含む。更なる実施態様において、駆動部材はそのような第一の部分122aを持たないか、又は軌道12の追加の部分を含み得る。
【0155】
好ましくは、作動部材が近位方向104に完全に引っ張り出されたとき、駆動部材1は第一の回転方向110に向けた小さな回転運動を行う。この場合、続いて遠位方向103に向かって作動部材を押すとき、作動部材は、隣接する用量投与セクション125上の駆動部材1と接触する。
【0156】
その遠位端101で、駆動部材1は、駆動部材1上のバイアス負荷を縦軸100の周りの小さな回転に向かって伝えるための接触面140を持つバイアストラック14を含む。バイアストラック14はフランジ13の遠位部分に置かれる。フランジ13は、薬物送達デバイスのハウジングに対する駆動部材1の軸位置を画成する又は制約するのに役立ち得る。
【0157】
バイアストラック14は、第一のリダイレクションセクション142及び第二のリダイレクションセクション143を含み、ここで両方のセクション142、143は、駆動部材1の縦軸100に向かって、0度より大きく90度より小さい傾斜角の絶対値を有して傾斜している。リダイレクションセクション142、143の両方共、軸負荷を縦軸100の周りの回転負荷にリダイレクションする。
【0158】
第一のリダイレクションセクション142は、付勢手段の更なる部品との相互作用を通して、用量設定操作の完了時点で、偏りが第一の回転方向110に向けて作用されるように構成される。そうすることによって、作動部材が−−近位方向104に完全に引かれるとき、そして駆動部材1上の軌道12との接触を解除されるとき、第一の回転方向110への駆動部材1の小さな回転が引き起こされ得る。
【0159】
第二のリダイレクションセクション143は、用量投与セクション125の端部で、第二の回転方向111内に偏りが作用されるように構成される。この偏りは、作動部材が開放されるとき、駆動部材1の第二の回転方向111に向かう小さな逆回転に繋がり得る。そうすることによって、投与機構の、そして特に、ピストン棒の二番取りが達成され得る。こうして、カートリッジ内部の栓は薬物送達デバイスの近位方向104に向かって自由に緩められ、そうすることによって、用量投与後のカートリッジから外への薬剤のしたたりを減じ得る。
【0160】
第一のリダイレクションセクション142及び第二のリダイレクションセクション143は、互いに隣接して配置され、そうすることによって、バイアストラック14において凹部144を形成する。幾つかのそのような凹部144は、縦軸100と直角に走行している中立セクション145によってスペースを開けられたバイアストラック14に沿って供される。バイアストラック14の更なる実施態様において、凹部144は互いに直接、隣接している。
【0161】
更に、その外面105で、駆動部材1は、薬物送達デバイスの定義された操作状態、例えば、用量投与操作又は用量設定操作の後でフィードバックを使用者に供しているエレメントと機械的相互作用をするように構成されたラグ17を含む。そのようなエレメントは、図3において示された通りのフィードバックエレメントの形を有し得る。
【0162】
図2は、図1において示された通りバイアストラック14で駆動部材1と接触するように構成されるランプリング34を示す。ランプリング34は、薬物送達デバイスの操作の特定の段階で第一の回転方向110及び第二の回転方向111に向かって駆動部材1上に偏りを作用させる付勢手段の部品である。
【0163】
ランプリング34は、薬物送達デバイスが組み込まれた状態で、駆動部材1の縦軸100と並ばされるように構成された中心軸を持つリングの形を有する。その近位端341で、ランプリング34は負荷を駆動部材1のバイアストラック14の接触面140上に伝えるように構成されたバイアスラグ343を含む。駆動部材1が縦軸100の周りを回転するとき、バイアスラグ343と駆動部材1の間の接触領域はバイアストラック14の接触面140に沿って走行する。バイアスラグ343は、薬物送達デバイスの或る操作状態で、駆動部材1のバイアストラック14の第一のリダイレクションセクション142に接触するように構成された第一の傾斜した面345、及び第二のリダイレクションセクション143に接触するように構成された第二の傾斜した面346を含む。第一のリダイレクションセクション345と第二のリダイレクションセクション346の間で、バイアスラグ343は、その中立セクション145及び凹部144の中心141でバイアストラック14と接触するように構成されたピーク344を含む。
【0164】
ランプリング34は、ハウジングに対する制限された軸運動が可能で、そして回転運動が防がれるように、ランプリング34を薬物送達デバイスのハウジングに連結するように構成された連結手段348を含む。更なる実施態様において、連結手段348は、ハウジングに対するランプリング34の軸運動及び回転運動の両方が防がれるように構成され得る。好ましくは、相対的な軸運動が防がれる場合、駆動部材は、ハウジングと駆動部材の
間の限られた軸運動が可能であるように構成される。
【0165】
更に、その遠位端342で、ランプリング34は、カートリッジを収容しているカートリッジホルダの一部と係合するように構成された係合手段347を含む。係合手段347は、組立中に、カートリッジホルダがランプリング34を押して駆動部材1と接触させるように構成され得る。好ましくは、薬物送達デバイスは、駆動部材1及びランプリング34の一つの上に、駆動部材1及びランプリング34の他の一つに向けて軸偏りを作用するばねを含む。好ましくは、本明細書で、ばねは、薬物送達デバイスの近位方向104にカートリッジホルダを押すことによって張力をかけられる。
【0166】
バイアスラグ343が、ランプリング34上のバイアストラック14の第一のリダイレクションセクション142又は第二のリダイレクションセクション143と接触するとき、軸方向に向かう負荷は、回転方向への負荷にリダイレクションされる。特に、第一のリダイレクションセクション142で、バイアスラグ343が駆動部材1上の軌道12に接触するとき、第一の回転方向110に向かう駆動部材1の偏りが生み出される。第二のリダイレクションセクション143で、バイアスラグ343が駆動部材1上の軌道12に接触するとき、第二の回転方向111に向かう偏りが生み出される。凹部144の中心141で及び中立セクション145で、駆動部材1は、回転方向に向けて偏りがない。
【0167】
更に、その近位端341で、ランプリング34は、薬物送達デバイスの規定された操作段階で、例えば、用量設定操作又は用量投与操作の後で、フィードバックを使用者に供するための接触手段のために構成されたフィードバックラグ349を含む。そのような手段は、図3において示された通りのフィードバックエレメントの形を有し得る。
【0168】
図3は、用量投与操作の完了時点で、可聴でありそして触知できるフィードバックを使用者に供するためのフィードバックエレメント61を示す。フィードバックエレメント61は、薬物送達デバイスが組み込まれた状態で、その中心軸が駆動部材1の縦軸100と並ぶように構成されたリングの形を有する。
【0169】
その内面で、フィードバックエレメント61は、駆動部材1の外面105でラグ17を収容するように構成されたスロット62を含む。そうすることによって、フィードバックエレメント61は、限定された相対的回転運動のみ可能であるように、駆動部材1に連結される。
【0170】
更に、その遠位端66で、フィードバックエレメント61は、ランプリング34でのフィードバックラグ349との機械的相互作用のために構成されたランプ接触面64を含む。ランプ接触面64は、ランプリング34に対するフィードバックエレメント61の第一の回転方向110に、フィードバックエレメント61及びランプリング34の相対的な動きが制約されないように、形づけられる。特に、ランプ接触面64のランプ65に亘るフィードバックラグ349の相対的動きが可能とされ、そうすることによって、触れることができそして聞くことができるフィードバックが生み出される。第一の回転方向110に対して反対の第二の回転方向111に、フィードバックエレメント61及びランプリング34の相対的な動きが制約される。本明細書において、ランプ65は、フィードバックエレメント61の相対的な逆回転を防ぐ。このように、フィードバックエレメント61は一方向性エレメント6であり得て、ある回転方向の、薬物送達デバイスのハウジングに対する駆動部材1の自由な回転運動を防ぐ。
【0171】
図4A及び4Bは、薬物の用量を投与しそして設定するための薬物送達デバイス4の第一の実施態様を示す。薬物送達デバイス4は固定された用量のデバイスであり、つまり、使用者は投与されるべき用量のサイズを選択できない。薬物送達デバイス4は、交換可能
なカートリッジ442を有する、複数の用量のデバイスであり、ここで幾つかのその後の用量がカートリッジ442から投与され得て、そしてここで空のカートリッジ442が交換され得る。
【0172】
薬物送達デバイス4は、そこに液体薬剤を含有するカートリッジ442を含むカートリッジホルダ44が取り付けられる主ハウジング42を含む。例として、薬剤はGLP−1又はヘパリンを含み得る。カートリッジホルダ44は薬物送達デバイス4の主ハウジング42に固定されたねじ山付きスリーブ422上にねじ込まれる。組み込まれた状態で、カートリッジ442はカートリッジバイアスばね443によってカートリッジホルダ44の遠位端441に向かって押しつけられる。カートリッジホルダ44が主ハウジング42から取り外されるとき、カートリッジバイアスばね443は開放され、そして空のカートリッジ442はカートリッジホルダ44から取り外され得る。その後、新しいカートリッジ442が挿入され得て、そしてカートリッジホルダ44は主ハウジング42に再度取り付けられ得る。
【0173】
異なる実施態様において、カートリッジホルダ44は、カートリッジを交換するために、新しいカートリッジホルダ44が主ハウジング42に取り付けられるように、空のカートリッジ442が配列されるように構成され得る。
【0174】
カートリッジ442は、薬物送達デバイス4の遠位端401で(本明細書では示されていない)針ユニットを通して薬剤を投与するために遠位方向103に動かされる栓444を含む。特に、栓444は、遠位方向103にピストン棒5と共に動くベアリング445と接触状態にある。ピストン棒5は、図1において示される通り、駆動部材1によって駆動される。駆動部材1の縦軸100、遠位方向103及び近位方向104はハウジング42の縦軸400、遠位方向404及び近位方向404に並ぶ。
【0175】
その近位端402で、薬物送達デバイス4は、薬剤の用量を設定しそして投与するための用量部材46を含む。用量部材46は、用量部材46及びハウジング42の相対的な回転運動が防がれるように、そして相対的な軸運動が可能なように、ハウジング42に固定される本体シャーシ423と連結される。更に、その近位端462で、用量部材46は、ハウジング42の開口部424を通して突き出る用量ボタン464を含み、やはりハウジング42と用量部材46の間の相対的な回転運動を防ぐ。
【0176】
薬剤の用量を設定するために、用量ボタン464は、主ハウジング42から引っ張り出される。そうすることによって、駆動機構はその後の用量投与のために準備がなされる。遠位方向103に向かって用量ボタン464を押す際に、用量が投与され得る。異なる実施態様において、デバイスは、用量の設定及び投与の両方のために、用量ボタン464の押す動きが要求されるように構成され得る。
【0177】
用量部材46は、駆動部材1上に負荷をかけるための作動部材として役立ち、駆動部材1の回転運動を引き起こす。この目的のために、その遠位端461で用量部材46は、駆動部材1上で軌道12の接触面120上に作用する曲面ラグ463を含む。
【0178】
駆動部材1は、駆動部材1及びピストン棒5の相対的な併進運動を可能にし、そして相対的な回転運動が防がれるように、ピストン棒5連結される。この目的のために、駆動部材1はピストン棒5の軸溝56中に誘導される雄スプライン16を含む。ピストン棒5の回転運動をピストン棒5の組み合わされた回転運動及び軸運動に変換するために、ピストン棒5はハウジング42に固定されたねじ山付きスリーブ426とねじで係合される。この目的のために、ピストン棒5は外部ねじ54を含む。
【0179】
薬物送達デバイス4は、用量設定操作の終了時点で、第一の回転方向110に向かって駆動部材1上に偏りを作用するための、そして用量投与操作の終了時点で、第二の回転方向111に向かって駆動部材1上に偏りを作用するための付勢手段を含む。特に、付勢手段は、駆動部材1上のバイアストラック14と相互作用する、図2において示される通りのばね32及びランプリング34を含む。ランプリング34はばね32によってバイアストラック14上に押しつけられ、そうすることによって負荷が駆動部材1上にかけられる。
【0180】
薬物送達デバイス4は、カートリッジ442中の残留用量の数を示す、その外面上でマーキング486を保持する用量カウンター48を更に含む。カートリッジ442の現在の充填状態を表しているマーキング483は用量ボタン464における開口部469を通して見ることができる。用量カウンター48は残りの用量部材46に固定されたボタン挿入物465の棒状部分468とねじで係合される。そうすることによって、ピストン棒5の回転運動が用量カウンター48の組み合わされた併進運動及び回転運動を引き起こす。
【0181】
図5Aは、図4Aの薬物送達デバイス4を示し、そして図5Bは、投与設定操作中のその投与機構を示す。
本明細書において、図5Aは、使用者によって用量部材46が近位方向104に引っ張り出される薬物送達デバイス4を示す。そうすることにより、図5Bにおいて見られ得るように、用量部材46の遠位端でのラグ463は、駆動部材1上の軌道12の用量設定セクション122上に作用する。用量設定セクション122の傾斜した第二の部分122b上に作用するとき、ラグ463は第二の回転方向111内に向いた駆動部材1上に負荷をかけ、ハウジング42に対して駆動部材1の小さな回転を引き起こす。この回転運動の際に、ランプリング34のバイアスラグ343は、バイアストラック14の第一のリダイレクションセクション142上の凹部144の中心141から上方に駆動される。駆動部材1とのそのスプライン係合及びねじ山付きスリーブ426とのそのねじ係合のせいで、本明細書で、ピストン棒5は近位方向104の小さな回転運動及び小さな軸運動を行う。
【0182】
用量設定操作の終了時点で、用量部材46のラグ463は、用量設定セクション122をクリアし、そのようにして駆動部材1の小さな回転運動を可能にする。
【0183】
特に、シャーシ423及び駆動部材1上のラグ17によって圧縮されたばね32は、駆動部材1をランプリング34のバイアスラグ343上に軸方向に押し付ける。この軸負荷は、バイアスラグ343と傾斜した第一のリダイレクションセクション142の相互作用によって回転負荷にリダイレクションされる。このように、用量設定操作の後、駆動部材1は、ハウジング42に対して小さな回転運動を行う。そうすることによって、ピストン棒5は、遠位方向に小さな回転運動及び小さな軸運動を行う。用量設定操作の終了時点での遠位方向へのピストン棒5の動きの量は、全体として、ピストン棒5の軸位置が完了した用量設定操作において一定に留まるように、用量設定定操作中の近位方向へのピストン棒5の動きの量を補償する。用量設定定操作の終了時点での駆動部材1の動きによってフィードバック、例えば、クリックが使用者に生み出され得て、デバイス4が設定されたことを示す。
【0184】
図5Cは、図4Aの薬物送達デバイス4を示し、そして図5Dは、用量設定操作後のその投与機構を示す。
【0185】
特に、図5C及び5Dは、駆動部材1が第一の回転方向110へと小さな回転運動を実施したときの、用量設定定操作後の薬物送達デバイス4を示す。ラグ461は、薬物送達デバイス4がその後の用量投与操作の準備ができるように、ここで用量投与セクション125に置かれる。
【0186】
図5Dにおいて見られ得るように、バイアスラグ343及びバイアストラック14の接触領域は、第一のリダイレクションセクション142でのその不安定位置から凹部144の中心141での安定位置に向かって動いている。本明細書で、駆動部材1の更なる動きは、バイアスラグ343と第二のリダイレクションセクション143との相互作用によって防がれ、反対の回転方向への偏りが生みだされる。
【0187】
この段階で、用量を投与するために、用量ボタン464は、薬物送達デバイス4のハウジング42に向かって押され得る。そうすることによって、用量部材46のラグ463と軌道12の間の接触領域は、遠位方向103に用量投与セクション125に沿って動く。用量を投与する際に、駆動部材1は、第一の回転方向110に向かって駆動される。そうすることによって、ピストン棒5も第一の回転方向110への動きに向かって駆動され、そして同時に遠位方向103への軸運動が行われる。
【0188】
図5Eは、用量投与操作の完了時点での、図4Aの薬物送達デバイスの付勢手段3を示す。
駆動部材1の回転運動によって引き起こされた用量投与操作中に、バイアスラグ434の間の接触領域はバイアストラック14の第二のリダイレクションセクション143の上方に動く。そうすることによって、第二の回転方向111内への駆動部材1の偏りが生み出される。用量投与操作の終了時点で、用量部材46が開放されるとき、駆動部材1は第二の回転方向111への小さな回転運動を自由に行う。そうすることによって、ピストン棒5も第二の回転方向111への動きに向かって駆動され、そして同時に近位方向104への軸運動が行われる。これによって近位方向104への栓444の二番取りが可能になり、そうすることによって、用量投与後の薬物送達デバイス4から外への薬物のしたたりが防がれ得る。
【0189】
図5Fは、用量投与操作の終了時点での二番取り後の、図4Aの薬物送達デバイス4の付勢手段3の斜視図である。
本明細書において、二番取り作用を引き起こすため、バイアスラグ343は、バイアストラック14の凹部144の中心141に向かって動いたことが分かる。このように、バイアスラグ343は、駆動部材1のバイアストラック14で安定な回転位置に到達している。従って、駆動部材1は、如何なる回転方向にも偏らない安定な状態に達している。
【0190】
図6Aは、最後の利用できる用量がカートリッジ442から投与された後の図4Aの薬物送達デバイス4を示す。本明細書において、用量ボタン464は、その後の用量を設定するために、薬物送達デバイス4の近位方向104に完全に押し出されている。このように、薬物送達デバイス4は、最後の用量が投与された後に用量設定操作が可能になるように構成される。しかしながら、この状態において、遠位方向103に用量ボタン464を押すことが、ねじ山付きスリーブ426及びピストン棒5の外部ねじ54の端部の機械的相互作用によって防がれる。特に、最後の用量が投与された後に、ねじ山付きスリーブ426は外部ねじ54の端部に達し、そしてピストン棒5の更なる動きの際に、停止面55と隣接する。本明細書において、機構の阻止強度はピストン棒5の外部ねじ55の端部での半径方向の突起の追加によって向上され得る。そうすることによって、外部ねじ54の端部に亘るねじ山付きスリーブ426の衝突(bump-over)が防がれ得る。
【0191】
ねじ山付きスリーブ426及び停止面55の機械的相互作用によって、ハウジング42に対するピストン棒5及び駆動部材1の更なる回転が阻止される。それに伴い、用量ボタン464もハウジング42に向かって押されることを阻止される。このように用量ボタン464はその押し出された位置において留まる。
【0192】
図7A及び7Bは、図4Aの薬物送達デバイス4の再設定を示す。本明細書で、図7Aは、再設定操作の前のデバイス4を示し、そして図7Bは、再設定操作の後のデバイス4を示す。
【0193】
この文脈において、「再設定」は、薬剤の幾つかの又は全ての用量が投与された後、ピストン棒5がハウジング42に対して出発位置に近位方向104に後方へと動かされることを意味する。そうすることによって、空のカートリッジ442が取り外された後、投与機構は出発状態に再設定され、そして新しいカートリッジが薬物送達デバイス4に搭載され得る。
【0194】
使用されたカートリッジ442を除くために、カートリッジホルダ44は薬物送達デバイス4の主ハウジング42から取り外される。そうすることによって、近位方向104へのピストン棒5の後方への動きを防ぐ又は妨害するエレメントは係合解除される。特に、ばね32は緩められ得て、そうすることによって、フィードバックエレメント61は駆動部材1から係合解除される。更に、ランプリング34は、駆動部材1の自由回転が可能になるように、駆動部材1からそしてフィードバックエレメント61から係合解除される。
【0195】
次いで、ベアリング445上に、そしてそれによって近位方向104にピストン棒5上に力がかけられることによって、ピストン棒5はねじ山付きスリーブ426とのそのねじ係合を通して追い付き(overhaul)そして回転するであろう。それに伴って、駆動部材1、フィードバックエレメント61及び用量カウンター48も各々の出発位置へと逆回転するであろう。図7Bにおいて見ることができるように、用量カウンター48が完全に逆回転したとき、開口部469を通して見ることができるマーキング483は薬物送達デバイス4が再設定されたことを示す。
【0196】
この実施態様において、投与機構の再設定には、ラグ463が駆動部材1の自由な逆回転を阻止しないように、用量部材46が引っ張り出された位置にあることが要求される。最後の利用出来る用量が投与された後に、使用者がハウジング42から用量ボタン464を引っ張った場合、用量部材46は、既に機構の再設定が可能な位置にある。もし用量ボタン464がハウジング42から引っ張り出されていないならば、又はハウジング42から完全に引っ張り出されていないならば、用量部材46は、駆動部材1の逆回転によって近位方向104に向かって押しだされ得る。本明細書において、ねじのピッチに依存して、用量部材はそれ自身の上に追い付き得ないし、その結果、使用者の入力が要求され得る。
【0197】
一旦、ピストン棒5が完全にその出発位置503内に押し戻されたら、新しいカートリッジ442を含むカートリッジホルダ44は、薬物送達デバイス4に再度取り付けられ得る。そうすることによって、ランプリング34は駆動部材1及びフィードバックエレメント61に再係合され、自動的にそれらの正しい位置に部品が並べられる。カートリッジバイアスばね443は張力をかけられ、そうすることによって、カートリッジホルダ44の遠位方向441に向かってカートリッジ442を押しつける。
【0198】
本明細書において、その出発位置503に向かってピストン棒5を直接、手動で押す代わりに、それはカートリッジ442及びカートリッジホルダ44によって押され得る。更に、薬物送達デバイス4は、カートリッジホルダ44が取り外された後、その遠位方向103が上方を示して薬物送達デバイス4が向けられる際に、ピストン棒5がその出発位置503に自ら戻るように構成され得る。そのようなその自重によるピストン棒5の再設定は、駆動機構のエレメントの間の十分に低い摩擦によって可能になり得る。
【0199】
図8Aは、カートリッジホルダ44がハウジング42に再度取り付けられたときの、再
設定操作後の図4Aの薬物送達デバイス4を示す。本明細書において、ピストン棒5、駆動部材1及び用量カウンター48はそれらの各々の出発位置にある。
用量部材46、従って用量ボタン464もそれらの引っ張り出された位置にあり、薬物送達デバイス4がプライミング操作に対する準備ができていることを示す。本明細書において、「プライミング」とはデバイスの再設定の後、そして新しいカートリッジが挿入された後、投与機構の異なる部分の間の間隙が取り除かれるように投与機構が作動されることを意味する。本明細書において、例えば、デバイスを再設定するために、近位方向104にピストン棒5を押した後に、栓444とベアリング445の間、ベアリング445とピストン5の間、ピストン5と駆動部材1の間、及び用量部材46と駆動部材1の間に空隙が生み出され得る。これらの空隙を除去することによって、薬物送達デバイス4がプライミングされた後、第一の用量の正確な設定及び投与が可能になる。
【0200】
図8Bは、プライミング操作後の図4Aの薬物送達デバイス4を示す。
本明細書において、用量部材46はハウジング42に向かって押されており、そのことによって、上述のように投与機構は用量投与運動を行っている。本明細書において、存在する空隙に依存して、少量の薬剤がカートリッジ442からが押し出されるであろう。
【0201】
図8Cは、投与機構が二番取り運動を行ったときの、プライミング操作後の薬物送達デバイス4を示す。本明細書において、駆動部材1は小さな逆回転運動を行っており、その結果、用量部材46によって近位方向104に小さな動きが行われることになる。この完全後退操作は、既に上述された通りの用量投与操作中の二番取りに対応する。
【0202】
図9A及び9Bは、薬物送達デバイス4の第二の実施態様を示し、ここで部品の数が、図4A及び4Bに従う薬物送達デバイスと比べて削減されている。
薬物送達デバイス4は、そこにカートリッジ442を含むカートリッジホルダ44が取り付けら主ハウジング42を含む。カートリッジホルダ44は、主ハウジング42に固定されたねじ山付きスリーブ422上にねじ込まれる。その近位端402で、薬物送達デバイス4は、薬剤の用量を設定しそして投与するための用量部材46の部分である用量ボタン465を含む。その遠位端461で用量部材46は駆動部材1を作動するためのラグ463を含み、そうすることによってデバイス4の縦軸100の周りの駆動部材1の回転運動が生み出される。
【0203】
薬物送達デバイス4は、ばね32によって駆動部材1に向かって押されたランプリング34を含む。ばね32はランプリング34とバイアスリング446の間に置かれ、そしてカートリッジホルダ44の遠位端441に向けたカートリッジ442上に軸負荷をかける。このように、この実施態様において、ばね32は、カートリッジホルダ442上及びランプリング34上の両方に軸負荷をかけるために働く。この実施態様において、バイアス作用は、駆動部材1上の上下のバイアス面を軸方向に動いているランプリング34のせいである。従って、本明細書において、ランプリング34は軸方向に振動し、一方、駆動部材1は回転運動に制約される。それとは対照的、図4において示された実施態様において、駆動部材1は軸方向に振動し、そして回転運動を行い、一方、ランプリング34はハウジング42に固定される。
【0204】
描かれた薬物送達デバイス4は追加のフィードバックエレメントを含まない。本明細書において、フィードバック機能はランプリング34内に統合される。更に、ランプリング34及びばね32は駆動部材1の負荷経路から取り外され、そうすることによって投与機構の摩擦が低減される。
【0205】
また、この実施態様において、薬物送達デバイス4は、残っている用量の数を使用者に表示するための用量カウンター48を含む。用量カウンター48は用量部材46のボタン
挿入物465の棒状部分468とねじで係合されている。本明細書において、用量カウンター48は駆動部材1によって駆動される。それは駆動部材1を部分的に囲み、そして駆動部材1とスプライン係合される。この目的のために、その内面で、用量カウンター48は、用量カウンター48が駆動部材1に回転的に固定され、そして軸方向に自由に動くように、駆動部材1の合った平らなセクションと係合される軸の平らなセクションを含む。更に、カートリッジ442中に残された用量の数を示すマーキング486を保持する用量カウンター48の外面は、図4A及び4Bにおいて示された実施態様と比べて、増大されている。これは薬物送達デバイス4の部品数の低減及び用量カウンター48を駆動するための修正された機構によって可能になる。各マーキングは用量ボタン465中の(本明細書では見られない)窓を通して見ることができる。
【0206】
更に、デバイス4は、それを通して、操作の或る段階で用量ボタン465の可能な動きを示すマーキングを見ることができる(本明細書では見られない)開口部を含む。例として、プライミング操作が要求されるとき、見ることができるマーキングは、デバイス4の遠位方向403を指し示している矢印であり得る。
【符号の説明】
【0207】
1 駆動部材
100 縦軸
101 遠位端
102 近位端
103 遠位方向
104 近位方向
105 外面
106 内面
107 第一の軸位置
108 第二の軸位置
110 第一の回転方向
111 第二の回転方向
12 軌道
120 接触面
122 用量設定セクション
122a 第一の部分
122b 第二の部分
125 用量投与セクション
125a 第一の部分
125b 第二の部分
13 フランジ
14 バイアストラック
140 接触面
141 凹部の中心
142 第一のリダイレクションセクション
143 第二のリダイレクションセクション
144 凹部
145 中立セクション
16 雄スプライン
17 ラグ
3 付勢手段
32 ばね
34 ランプリング
341 近位端
342 遠位端
343 バイアスラグ
344 ピーク
345 第一の傾斜した面
346 第二の傾斜した面
347 ランプ手段
348 連結手段
349 フィードバックラグ
4 薬物送達デバイス
400 縦軸
401 遠位端
402 近位端
403 遠位方向
404 近位方向
42 ハウジング
422 カートリッジホルダを取り付けるためのねじ山付きスリーブ
423 シャーシ
424 開口部
426 ピストン棒との係合のためのねじ山付きスリーブ
44 カートリッジホルダ
441 遠位端
442 カートリッジ
443 カートリッジバイアスばね
444 栓
445 ベアリング
446 バイアスリング
46 用量部材
461 遠位端
462 近位端
463 ラグ
464 用量ボタン
465 ボタン挿入物
466 外部ねじ
468 棒状部分
469 開口部
48 用量カウンター
482 棒状部分
483、486 マーキング
5 ピストン棒
501 遠位端
502 近位端
503 出発位置
54 外部ねじ
55 停止面
56 軸溝
6 一方向性エレメント
61 フィードバックエレメント
62 スロット
64 ランプ接触面
65 ランプ
66 遠位端

【特許請求の範囲】
【請求項1】
縦軸(100)を有し、そして用量投与操作において薬物の用量を投与するように構成され、また用量設定操作において、その後の用量投与操作に対して準備されるように構成される、薬物の一つ又はそれ以上の用量を投与するための薬物送達デバイス(4)であって:
薬物送達デバイスの投与操作中にピストンロッド(5)を駆動するための駆動部材(1);及び
駆動部材(1)を作動するための用量部材;
を、含んでなり、ここで、
ピストンロッド(5)が、駆動部材(1)及びピストンロッド(5)の相対的な併進運動が可能で、そして相対的な回転運動が防がれるように、駆動部材(1)に連結され、そしてここで、
駆動部材(1)が、用量部材(46)によって、互いに対して反対の、第一の回転方向(110)及び第二の回転方向(111)に縦軸(100)の周りに駆動されるように構成される;
薬物送達デバイス。
【請求項2】
請求項1に記載の薬物送達デバイスであって、駆動部材(1)が縦軸(100)に対して安定な状態及び不安定な状態を有し、そしてここで、不安定な状態において、駆動部材(1)が偏り手段によって安定な状態に向かって付勢される、
薬物送達デバイス。
【請求項3】
縦軸(100)を有し、そして用量投与操作において薬物の用量を投与するように構成され、また用量設定操作において、その後の用量投与操作に対して準備されるように構成される、薬物の一つ又はそれ以上の用量を投与するための薬物送達デバイス(4)であって:
投与操作中にピストンロッド(5)を駆動するための駆動部材(1);及び
駆動部材(1)を作動するための用量部材(46);
を、含んでなり、ここで、
駆動部材(1)が縦軸(100)に対して安定な状態及び不安定な状態を有し、そしてここで、不安定な状態において、駆動部材(1)が偏り手段によって安定な状態に向かって付勢される、
薬物送達デバイス。
【請求項4】
請求項2又は3に記載の薬物送達デバイスであって、偏り手段がバネ(32)を含む、薬物送達デバイス。
【請求項5】
請求項2〜4の何れかに記載の薬物送達デバイスであって、偏り手段が、軸方向の負荷を縦軸(100)に対する回転方向への負荷に再指向するための再指向手段を含む、
薬物送達デバイス。
【請求項6】
請求項5に記載の薬物送達デバイスであって、再指向手段が縦軸(100)に対して傾けられる表面を含む、
薬物送達デバイス。
【請求項7】
請求項2〜6の何れかに記載の薬物送達デバイスであって、偏り手段が、用量設定操作の完了時点で、縦軸(100)に対して第一の回転方向(110)に向かって駆動部材(1)を偏らせるように構成される、
薬物送達デバイス。
【請求項8】
請求項2〜7の何れかに記載の薬物送達デバイスであって、偏り手段が、用量投与操作の完了時点で、縦軸(100)に対して第二の回転方向(111)に向かって駆動部材(1)を偏向させるように構成される、
薬物送達デバイス。
【請求項9】
請求項2〜8の何れかに記載の薬物送達デバイスであって、安定状態からの小さな変形の際に、駆動部材(1)が安定状態に向かって付勢される、
薬物送達デバイス。
【請求項10】
請求項2〜9の何れかに記載の薬物送達デバイスであって、中立状態からの小さな変形の際に、駆動部材(1)が安定状態に向かって付勢される、又は如何なる回転状態に向かっても偏らされないものであるように構成される駆動部材(1)の中立状態を含む、
薬物送達デバイス。
【請求項11】
請求項2〜10の何れかに記載の薬物送達デバイスであって、駆動部材(1)が、不安定な状態において、駆動部材(1)の回転が用量部材(46)によって妨害されない場合、偏り手段によってかけられたトルクによって安定な状態に向かって回転が引き起こされるように、構成される、
薬物送達デバイス。
【請求項12】
請求項3〜11の何れかに記載の薬物送達デバイスであって、
用量投与操作において、駆動部材(1)によって駆動されるように構成されるピストンロッド(5)を含んでなり、
ここで、ピストンロッド(5)と駆動部材(1)の相対的な回転運動が防がれ、そして、相対的な軸方向の動きが可能になるように構成されるピストンロッド(5)を含んでなる、
薬物送達デバイス。
【請求項13】
請求項1〜12の何れかに記載の薬物送達デバイスであって、用量部材(46)が縦軸(100)に沿った軸方向の動きに強いられる、
薬物送達デバイス。
【請求項14】
請求項13に記載の薬物送達デバイスであって、
用量部材(46)が、用量を設定するために引かれるように、そして用量を投与するために押されるように構成される、
薬物送達デバイス。
【請求項15】
請求項1〜14の何れかに記載の薬物送達デバイスであって、残りの用量の数又は投与された用量の数の少なくとも一つをディスプレイするための用量カウンター(48)を含む、
薬物送達デバイス。
【請求項16】
請求項15に記載の薬物送達デバイスであって、用量カウンター(48)が駆動部材(1)によって駆動される、
薬物送達デバイス。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4A】
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【図4B】
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【図5A】
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【図5B】
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【図5C】
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【図5D】
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【図5E】
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【図5F】
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【図6A−6B】
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【図7A】
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【図7B】
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【図8A】
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【図8B】
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【図8C】
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【図9A】
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【図9B】
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【公表番号】特表2013−506443(P2013−506443A)
【公表日】平成25年2月28日(2013.2.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−531372(P2012−531372)
【出願日】平成22年9月29日(2010.9.29)
【国際出願番号】PCT/EP2010/064392
【国際公開番号】WO2011/039203
【国際公開日】平成23年4月7日(2011.4.7)
【出願人】(397056695)サノフィ−アベンティス・ドイチュラント・ゲゼルシャフト・ミット・ベシュレンクテル・ハフツング (456)
【Fターム(参考)】