説明

薬物送達装置のペンニードル取外し装置

薬物送達装置(111、211)に連結可能なペンニードル(113、213)を取外して処理する取外し装置(121、221)は、当該ペンニードルのニードル(115、215)の患者側端部(116、216)が本体で覆われるように、薬物送達装置のペンニードルを受け入れるキャビティ(141、241)を有する本体(123、223)を含んでいる。エジェクター(151、251)が、受け入れられたペンニードル(113、213)に係合しそして係合されたペンニードルを本体から選択的に放出するべく、本体(123、223)に移動自在に連結されている。ペンニードル(113、213)は、当該ペンニードル(113、213)が鋭利物容器内などで適切に処理されるまで、当該ペンニードルのニードル(115、215)を露出させずに当該取外し装置(121、221)内にしっかりと保持されており、それによって偶発性のニードル穿刺を実質的に防止する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この出願は米国特許商標庁に2009年12月4日に出願された米国仮特許出願第61/266,623号の35 U.S.C. § 119(e)の利益を主張し、その開示の全体は参照によりここに組み込まれているものとする。
【0002】
本発明は、概していえば、薬物送達装置からペンニードルを取外す装置に関する。より詳しくは、本発明は、薬物送達装置からペンニードルを取外し、そしてその適切な処分のために取外したペンニードルを放出する独立型の装置に関する。さらに詳しくは、本発明は、薬物送達装置からペンニードルを取外し、そしてその適切な処分のために取外したペンニードルを放出するペンキャップに関する。
【背景技術】
【0003】
インスリンおよび他の注射可能な薬物は、普通、薬剤送達ペンのような薬物送達装置でもって与えられ、そのために使い捨てのペンニードルが取付けられ、薬容器へのアクセスを促進し、そして容器からの当該ニードルを介しての患者への流体の脱出を許容している。
【0004】
図1および2に示された模範的な薬剤送達ペン100のような薬物送達装置は、典型的には、用量ノブ/ボタン24、外側スリーブ13、およびキャップ21を備えている。当該用量ノブ/ボタン24は、使用者が注射される薬物の用量をセットすることを許容する。薬物を注射するときに、外側スリーブ13が使用者によって把持される。キャップ21は、使用者によって薬剤送達ペン100をシャツのポケット、ハンドバッグ、又は他の適当な位置に確実に保持するため、および偶発性のニードル負傷からのカバー/保護物を提供するために採用されている。
【0005】
図2は、図1の薬物送達ペン100の分解図である。当該用量ノブ/ボタン24は二重の目的を有し、注射される薬物の用量をセットすること、および下側ハウジング17を通って薬物送達ペンに取り付けられている薬剤カートリッジ12から、リードスクリュー7およびストッパー15を介して、用量設定された薬物を注射することの両者のために用いられる。標準の薬物送達ペンにおいては、用量設定および送達の機構は全て外側スリーブ13内に見出される。これらの機構は、先行技術を知る当業者によって理解されているので、詳細には説明されない。薬剤カートリッジ12内でのプランジャーないしはストッパー15の末端方向への移動がハブ20のニードル11への薬物の押し込みを生じさせる。薬剤カートリッジ12はハブ20内に配置されている隔壁穿通ニードルカニューレ18によって刺し通される隔壁16によって封止されている。ハブ20は、カートリッジ12に取付けるような他の取付け手段が用いられ得るけれども、好ましくは、下側ハウジング17にねじ込まれる。ユーザー、またはペン型注射装置100を取扱う人を保護するために、ハブ20に取り付く外側カバー69がハブを覆っている。内側シールド59は、外側カバー69内で患者側ニードル11を覆っている。当該内側シールド59は、患者側ニードルを覆うべく締り嵌めまたはスナップ嵌合のような適切な手段によってハブ20に固定されてもよい。当該外側カバー69および内側シールド59は使用の前に取外される。キャップ21は、使用者が薬剤送達ペン100を安全に持ち運ぶことを許容するために外側スリーブ13に対してぴったりと嵌合している。
【0006】
薬剤カートリッジ12は、典型的には、一端部において隔壁16でもって、および他端部おいてストッパー15でもって封止されているガラス管である。隔壁16は、ハブ20内の隔壁穿通カニューレ18によって刺し通されるが薬剤カートリッジ12に関して移動しない。ストッパー15は、流体の密封性を維持しつつ薬剤カートリッジ12内を軸方向に変位可能である。
【0007】
模範的な薬剤送達ペンのペンニードル2の分解斜視図が図3に示されている。当該ペンニードル2は、カバー(外側シールド)69、内側シールド59、ニードルカニューレ11、およびハブ20を含んでいる。ニードルカニューレ11の基端部310は、ニードルカニューレ11の末(患者側)端部305の所定の長さが延出して残るまで、ハブ20の末(患者側)端部405の中心開口内に挿入されている。ニードルカニューレ11はハブ突出部420内のハブ20の末端部405にエポキシ樹脂すなわち接着剤によって固着されている。
【0008】
ユーザーを負傷から、およびニードルカニューレ11を損傷から護るために、当該内側シールド59がニードルカニューレ11の露出部分を覆っている。当該内側シールド59の開口基端部210がニードルカニューレ11の露出部分を覆って置かれている。カバー69の開口基端部110が当該内側シールド59、ニードルカニューレ11、およびハブ20を包囲している。
【0009】
カバー69の末端部105は、当該ペンニードル2の内部構成部品への汚染および損傷を防止し、且つ使用前にそれを取扱ういずれの人への負傷を防止すべく、閉じられている。ハブ20の基端部410は、典型的には、カバー69の端部110に貼着された衛生的な紙またはフォイルのカバーまたはラベル(不図示)によって覆われている。当該ペンニードルは、そこで、ユーザーへの出荷の用意ができている。ユーザーが当該ペンニードルを使用する用意ができたとき、衛生カバー(不図示)がカバー69から取外され、ハブ20が標準的なペン100(図1および2)の下側ハウジング17にねじ込まれ、そしてカバー69およびシールド59が引き動作によってハブ20/カニューレ11のサブアッセンブリから別々に取外される。当該内側シールド59の末端部205は、カバー69が取外された後にユーザーを偶発性のニードル穿刺から護るべく、ニードルカニューレ11の末端部305を覆うために閉じられている。その後、当該内側シールド59はニードルカニューレ11へのアクセスのために取外される。
【0010】
図1および2に示されたような薬剤送達ペン100でもっての注射の後に、ハブ20およびニードル11、すなわち、「鋭利物」を含んでいる使用済みのペンニードルが下側ハウジング17からねじり外され、鋭利物容器内などで適切に処理される。使用された鋭利物は、それらの使用の後にそれらを扱う可能性のある人々にとって危険である体液などで汚染されるかもしれない。鋭利物処理容器は配置された鋭利物を蓄え、そしてそこに配置された全ての対象物との意図しない接触を防止する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】米国特許第7,645,264号明細書
【特許文献2】米国特許出願公開第2007/0149924号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
上述のように、適切な処理のために薬剤送達ペン100から使用されたペンニードルを取外すことは、使用済みのニードル11が露出されるので、安全性リスクを提起する。
したがって、偶発性のニードル穿刺を実質的に低減ないしは排除する、薬剤送達ペンから使用されたペンニードルを取外す必要性が存する。
【0013】
既存の薬剤送達ペンは、2010年1月12日に発行されたMarsh et al.への特許文献1(U.S. Patent No. 7,645,264)および2007年6月28日に刊行されたR. Marshへの特許文献2(U.S. Patent 出願 Publication No. 2007/0149924)に開示され、両者の全内容は参照によりここに組み込まれているものとする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明の一形態によれば、取外し装置は、使用されたペンニードルをニードルを露出させずに薬物送達装置から取外す。
【0015】
本発明のもう1つの形態によれば、独立型の取外し装置は、使用されたペンニードルをニードルを露出させずに薬物送達装置から取外す。
【0016】
本発明のもう1つの形態によれば、取外し装置は、使用されたペンニードルをニードルを露出させずに薬物送達装置から取外すために薬物送達装置のキャップに配置されている。
【0017】
前述の目的は、薬物送達装置に連結可能なペンニードルを取外して処理する取外し装置を提供することにより基本的に達成される。当該取外し装置は、薬物送達装置のペンニードルを受け入れるためのキャビティを有している本体を含んでいる。当該ペンニードルのニードルの患者側端部は当該取外し装置の本体によって覆われる。受け入れられたペンニードルに係合しおよび係合されたペンニードルを本体から選択的に放出するためにエジェクターが本体に移動自在に連結されている。放出されたペンニードルは、当該ペンニードルのニードルを露出させることなく鋭利物容器内で適切に処理され、それによって偶発性のニードル穿刺を実質的に防止する。
【0018】
前述の目的はまた、薬物送達装置からニードルを露出させることなくペンニードルを取外す方法を提供することにより達成される。当該薬物送達装置の当該ペンニードルは取外し装置の本体のキャビティ内に挿入される。当該ペンニードルのニードルの患者側端部は当該取外し装置の本体によって覆われている。受け入れられたペンニードルは当該本体に移動自在に連結されているエジェクターに係合される。当該薬剤送達ペンは、係合されたペンニードルが当該本体によって保持されるように、当該取外し装置の本体から取外される。係合されたペンニードルはエジェクターでもって本体から選択的に放出される。当該放出されたペンニードルは、当該ペンニードルのニードルを露出させることなく鋭利物容器内で適切に処理され、それによって偶発性のニードル穿刺を実質的に防止する。
【0019】
本発明の目的、利点および際立った特徴は、添付の図面に関連して本発明の模範的な実施形態を開示する以下の詳細な説明から明らかになろう。
【図面の簡単な説明】
【0020】
本発明の上述の利益および種々の実施形態の他の利点が本発明の模範的な実施形態の以下の詳細な説明および添付の図面からより明らかになろう、ここで、
【0021】
【図1】組立てられた薬剤送達ペンの斜視図である。
【図2】図1の薬剤送達ペンの構成部品の分解斜視図である。
【図3】図1の薬剤送達ペンのペンニードルの分解斜視図である。
【図4】本発明の第1の模範的実施形態によるペンニードル取外し装置の斜視図である。
【図5】薬物送達装置のペンニードルを受取ろうとしている図4のペンニードル取外し装置の斜視図である。
【図6】薬物送達装置のペンニードルを受け入れる図4のペンニードル取外し装置の斜視図である。
【図7】薬物送達装置のペンニードルを受け入れる図4のペンニードル取外し装置の断面立面図である。
【図8】薬物送達装置を取外した後のペンニードルを保持している図4のペンニードル取外し装置の断面立面図である。
【図9】ペンニードルを放出している図4のペンニードル取外し装置の断面立面図である。
【図10】本発明の第2の模範的実施形態によるペンニードル取外し装置の立面図である。
【図11】図10のペンニードル取外し装置の断面立面図である。
【図12】ペンニードルが薬物送達装置に接続されている図10のペンニードル取外し装置の立面図である。
【図13】図12のペンニードル取外し装置の断面立面図である。
【図14】薬物送達装置からペンニードルを取外した後の図13のペンニードル取外し装置の拡大断面立面図である。
【図15】ペンニードルを放出しているペンニードル取外し装置の断面立面図である。
【図16】図10のエジェクターの斜視図である。
【図17】エジェクターおよび図10のキャップの拡大立面図である。
【0022】
図面の全体に亘り、同じ参照番号は同じ部品、構成要素、および構造を言及していると理解されよう。
【発明を実施するための形態】
【0023】
図4ないし9を参照するに、本発明の第1の模範的実施形態による、薬物送達装置111に接続可能なペンニードル113を取外して処理する取外し装置121は、薬物送達装置のペンニードルを受け入れるキャビティ141を有する本体123を含み、ペンニードルのニードル115の患者側端部116が当該本体によって覆われる。エジェクター151は、受け入れられたペンニードル113に係合しそして係合されたペンニードルを本体から選択的に放出するために、本体123に移動自在に連結されている。放出されたペンニードル113は、ペンニードルのニードル115を露出させることなく鋭利物容器内で適切に処理され、それによって偶発性のニードル穿刺を実質的に防止する。以下の説明および本発明の模範的な実施形態の詳細が、図1および2に示された薬剤送達ペンのような典型的な薬物送達装置に関して概して開示されるが、本発明は注射器や輸液装置のような他の注射装置に関連してまたは組み込まれて用いるためのペンニードルにも広く適用可能である。図1および2に示されるような典型的な薬剤送達ペン100の組立および操作(作動)は2010年1月12日に発行された特許文献1(U.S. Patent No. 7,465,264)に記載され、その全体は参照によりここに組み込まれている。
【0024】
上述のように、当該薬剤送達ペン111は、図5に示されるように、ペンニードル113のハブ120がねじ込まれて連結される下側ハウジング117を含んでいる。ペンニードル113はニードル115とハブ120とを含んでいる。ニードル115の基端部は、ニードル115の末(患者側)端部116の所定の長さが延出されて残るまで当該ハブ120の末(患者側)端部の中心開口内に挿入されている。ニードル115は当該ハブ120の末端部でハブ突出部118内にエポキシ樹脂すなわち接着剤で固着されている。図5に示されるように、複数の凹部188が当該ハブ120の外周面に形成されている。
【0025】
図4に示されるように、当該ペンニードル取外し装置121は本体123を含んでいる。本体123は、図7に示されるように、外側壁131、内方へテーパ付きの壁133および内側壁135を含んでいる。当該外側壁131は自由端部125から上側縁部132まで上方へ延在している。当該外側壁131の自由端部125はベースを形成し、それによって取外し装置121が表面上に平らに着座するのを許容してペンニードル113を薬物送達装置111から取外すのを容易にしている。内方へテーパ付きの壁133は上側縁部132から内側縁部134まで内方に傾斜している。内側壁135は内側縁部134からベースに向って延在している。内側壁135は、好ましくは、第1の直径を有している第1の部分136および第2の直径を有している第2の部分を有している。内側壁135の第1の部分136は内側縁部134から延在している。当該内側壁の第1の部分136の内側表面には、図4および5に示されるように、リブ181が形成されてもよい。第1の部分136の端部には内方に延在する肩部139が形成され、そして第2の部分138が当該肩部139からベースに向って延在している。第1の直径は第2の直径よりも大きい。当該内側壁135の一端部にはエジェクター151を受け入れるべく第1の開口137が形成されている。好ましくは、取外し装置121の本体123は一品ものとして一体的に形成される。取外し装置121は陥凹形態を形成すべく内方へテーパ付きの壁を有して示されているけれども、取外し装置は凸状又は平坦状に構成されてもよい。好ましくは、取外し装置121はプラスティックから作られる。
【0026】
キャビティ141が本体123に形成され、内方へテーパ付きの壁133と内側壁135とによって画成されている。当該キャビティ141は、図7に示されるように、ペンニードル113を収容できる。内側壁135の第1の部分136は、図6および7に示されるように、ペンニードルのハブ120を収容できる。好ましくは、内側壁135の第1の部分136とペンニードルのハブ120との間に締り嵌めが形成される。当該肩部139は、ペンニードルハブ120の表面に係合することによって薬物送達装置111の挿入を制限する止めである。ハブ突出部118は内側壁135の第2の部分138内に受け入れられる。
【0027】
当該エジェクター151はフランジ153とそれから延びている壁155を有している。足部157が壁155の自由端部から外方に延びている。当該エジェクター151は、図5ないし9に示されるように、開口137を通って延在する。足部157はエジェクターが肩部139を通過して引抜かれるのを防止し、そしてフランジ153はエジェクターが第1の開口137を通って押し出されるのを防止している。第2の開口129が外側壁131の自由端部125に形成され、当該エジェクター151へのアクセスをもたらしている。フランジ153は、ユーザーによるエジェクターの選択的な操作を容易にしている。
【0028】
ペンニードルが注射を行うために用いられた後などに、薬物送達装置111からペンニードル113を取外すためには、当該薬物送達装置が取外し装置121のキャビティ141内にペンニードルハブ120のベース表面122が、図7に示されるように、取外し装置の肩部139に隣接するまで挿入される。取外し装置121のベースは薬物送達装置111の挿入を促進すべくテーブル上に置かれてもよく、それによってユーザーが取外し装置を保持することを必要としないことにより、偶発性のニードル穿刺をさらに防止することができる。ハブ突出部118およびニードル115は当該エジェクター151の壁155内に配置される。ペンニードルハブ120と取外し装置121の内側壁135の第2の部分136との間に締り嵌めが創成されており、それによって図8に示されるような薬物送達装置111の下側ハウジング117が回されそしてペンニードル113からねじ外されている際に、取外し装置内にペンニードル113をしっかりと保持している。ペンニードル113のハブ120と取外し装置121の内側壁135の第2の部分136との間の摩擦が、薬物送達装置111が取外し装置121からねじ外されるときのペンニードルの動きを妨げる。好ましくは、第2の部分136の直径はペンニードルハブ120の直径よりも、両者間に締り嵌めを創生すべく小さい。ペンニードル113は、ペンニードルが鋭利物容器内などで適切に処理され得るまでユーザーがペンニードル113がその中に配置された状態で取外し装置121を持ち運ぶことができるように、ニードル115の患者側端部116がエジェクター151の壁155内に遮蔽された状態で取外し装置121内にしっかりと保持されている。
【0029】
代わりに、取外し装置121の内側壁135の第2の部分136に形成されたリブ181がペンニードルハブ120に形成されている凹部188に係合する。したがって、ペンニードル113を取外し装置内にしっかりと保持して薬物送達装置111が取外し装置121からねじり外され得るように、リブ181はペンニードルハブ120の回転を防止している。
【0030】
ペンニードル113が取外し装置121から放出されるべきときには、ユーザーは、図9に示されるように、薬物送達装置の挿入方向と実質的に反対の方向にエジェクターフランジ153を内方に押圧する。当該エジェクター151はニードル115の長手方向軸線に実質的に平行な方向に移動される。内側壁135の第2の部分138はペンニードル113の放出の際にエジェクター壁155の運動を案内する。足部157はハブ120のベース表面122に係合し、それによってペンニードル113が適切に処理され得るように、当該ハブ120と内側壁135の第2の部分136との間の締り嵌めを克服する。
【0031】
図10ないし17に示された本発明の第2の模範的実施形態において、当該取外し装置はキャップ221を備えている。上述のように、薬剤送達ペン221は、図13に示されるように、当該ペンニードル213のハブ220がねじられて連結される下側ハウジング217を含んでいる。当該ペンニードル213はニードル215およびハブ220を含んでいる。ニードル215の基端部は、ニードル215の末(患者側)端部216の所定の長さが延在して残るまで、ハブ220の末(患者側)端部の中心開口に挿入される。ニードル215はハブ220の末端部でハブ突出部218内にエポキシすなわち接着剤によって固定されている。
【0032】
当該ペンニードル取外し装置ないしはキャップ221は、図10ないし17に示されるように、その両端部に配置されている第1および第2の開口222および224を有する本体223を含んでいる。薬物送達装置211は第2の開口を介して挿入され、そしてエジェクター251は第1の開口222を介して挿入される。ユーザーによる当該薬物送達装置211の持ち運びを容易にするためにキャップ221の本体223に可撓性のクリップ226が連結されている。内方に延在している保持リング229が、図11および13ないし15に示されるように、本体223の内側表面228に配置されている。当該保持リング229は、好ましくは、キャップ本体223の全内周面に亘り延在している。キャップ221内のキャビティ241はキャップの本体223によって画成されている。
【0033】
当該エジェクター251はベース253を有し、図11ないし15に示されるように、ベース253から壁255が外方に延在している。タブ257が壁255からベース253に隣接して外方に延在している。好ましくは、壁255の全周に亘り延在している当該タブ257は、当該エジェクター251のキャップ221内への移動を制限すべく、図10および11に示されるように、キャップ221の端部227に係合している。
【0034】
当該エジェクター251は、図16および17に示されるように、エジェクターの壁255の一端部256に隣接して配置されている複数の可撓性フィンガー271を有してもよい。タブ273が、可撓性フィンガー271の各々から外方に延在している。各タブ273は、キャップ221の内側表面228に形成されている凹部275の端部276に当接する平坦表面274を有している。当該可撓性フィンガー271は当該エジェクター251のキャップ221内への挿入を許容すべく内方に曲がる。可撓性フィンガータブ271の平坦表面274がキャップ本体223内の凹部275の端部276に係合することは、キャップ221からの当該エジェクター251の完全な引抜きを防止する。
【0035】
当該エジェクター251は第1および第2の位置の間で移動可能である。第1の位置においては、図10、11および15に示されるように、当該エジェクター251はエジェクタータブ257がキャップ221の端部227に当接するようにキャップ本体223内に押し込まれている。図11に示されるように、キャップ壁255は保持リング229と下側ハウジング217のねじ付き部分との間に受け入れられている。当該エジェクター251の端部256はまた保持リング229に当接している。エジェクターが当該第1の位置にあるときは、ペンニードルが薬物送達装置211に連結されていないということのユーザーに対する指示である。
【0036】
第2の位置においては、図12ないし14に示されるように、当該エジェクター251がキャップ本体223から部分的に引き出されている。第2の位置にある当該エジェクター251は、ペンニードル213が薬物送達装置211に連結されているということのユーザーに対する指示である。当該ペンニードル213の挿入は、ハブ220のベース212が当該エジェクター251をキャップ221の外へ部分的に押し出すことを生じさせる。キャップ251の外へのエジェクター221の移動は、可撓性フィンガータブ273の平坦表面274がキャップ本体223内の凹部275の端部276に係合することによって制限されている。
【0037】
ペンニードル213が取り付けられた状態の薬物送達装置211がキャップ221のキャビティ241内に挿入されたとき、ハブ220のベース表面212はエジェクター壁255の端部256に係合し、そしてエジェクターを第1の位置(図11)から第2の位置(図12)へと移動させる。当該薬物送達装置211は、図13および14に示されるように、ハブの壁214の外周面と保持リング229との間に締り嵌めが創成され、それによって当該薬物送達装置のさらなる挿入を妨げるまで、キャップ221内にさらに挿入される。当該薬物送達装置211はその後、当該ペンニードルが図14に示されるように確実にキャップ221内に保持されるべく、回転されて当該ペンニードル213からねじり外されてもよい。保持リング229と当該ペンニードルハブ220との間の摩擦は、当該ペンニードルが回転しそして当該薬物送達装置211と共に取外されることを防止している。ニードル215の患者側端部216は当該エジェクター251で覆われ、それによって偶発性のニードル穿刺を防止している。ユーザーは、当該ペンニードル213がしっかりとキャップ221内に保持された状態で当該ペンニードルが鋭利物容器内などで適切に処理され得るまで、当該キャップ221を持ち運ぶことができる。
【0038】
代わりに、当該保持リング229は、ペンニードルハブ220の凹部188(図5)に係合する、キャップ221の内側周表面の複数のリブとして形成されてもよい。当該薬物送達装置211が回転されるとき、保持リングリブ229が当該ペンニードルハブ220の凹部に係合し、それによって当該ペンニードル213が当該薬物送達装置と共に回転することを防止する。したがって、当該ペンニードル213はキャップ221内に確実に保持される。
【0039】
当該ペンニードル213がキャップ221から放出されるべきときには、ユーザーは、図15に示されるように、当該薬物送達装置211の挿入方向と実質的に反対の方向の内方に当該エジェクター251のベース253を押圧する。当該エジェクター251は、ニードル215の長手方向軸線に実質的に平行する方向に移動される。エジェクター壁255の端部256がハブ120のベース表面212に係合し、それによって当該ペンニードル213が適切に処理され得るようにキャップ221の保持リング229との間の締り嵌めに打ち勝つ。エジェクタータブ257はキャップ221の端部227に当接し、それによって当該エジェクター251のキャップ内への挿入を制限している。
【0040】
ベース253と壁255とにより画成されているエジェクターキャビティ261は、ハブ突出部218上に配置された内側シールド59(図2)を収容することができる。注射をするためには、ユーザーはキャップ221を当該薬物送達装置211から取り外し、それによって当該ペンニードル215へのアクセスをもたらす。キャップを引くことは、ペンニードルが薬物送達装置211に連結されたまま残るように、ペンニードルハブ220と保持リング229との間の締り嵌めに打ち勝つことである。代わりに、保持リングリブ229は当該ペンニードルハブ220の壁には係合しておらず、その結果、薬物送達装置はペンニードル213が当該薬物送達装置に連結された状態でキャップ221から外方に引かれ得る。その後、内側シールド59がペンニードルハブ220から取外されて注射がなされ得る。使用されたペンニードルはその後、当該エジェクター251が図12に示されるような第2の位置に移動し、それによってペンニードルの存在を指示するべく、上述のようにキャップ221内に再挿入される。当該使用されたペンニードルは上述のように適切に処理され得る。
【0041】
前述の実施形態および利点は単に例示であり、本発明の範囲を限定するべく解釈されるべきではない。本発明の模範的実施形態の説明は実例を解説するべく意図されており、本発明の範囲を制限するものではない。種々の改良、代替および変更は当業者にとって明らかであり、これらは添付の請求の範囲およびその均等物で定義される本発明の範囲内に入ることが意図されている。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
薬物送達装置に連結可能なペンニードルを取外して処理する取外し装置であって、
本体であって、当該ペンニードルのニードルの患者側端部が前記本体によって覆われるように薬物送達装置の当該ペンニードルを受け入れるキャビティを有する本体、および
受け入れられたペンニードルに係合し、かつ係合されたペンニードルを前記本体から選択的に放出する、前記本体に移動自在に連結されたエジェクター、
を備えることを特徴とする取外し装置。
【請求項2】
前記キャビティは、受け入れられたペンニードルとの締り嵌めを創成すべく当該ペンニードルのハブの直径よりも小さな直径を有していることを特徴とする請求項1に記載の取外し装置。
【請求項3】
前記エジェクターの一端部は、前記エジェクターの運動が当該ペンニードルを前記キャビティの外に移動させるように当該ペンニードルの当該ハブに係合することを特徴とする請求項2に記載の取外し装置。
【請求項4】
受け入れられたペンニードルの当該ニードルは、前記エジェクター内に配置されることを特徴とする請求項1に記載の取外し装置。
【請求項5】
前記本体は、薬物送達装置とは別体に形成されていることを特徴とする請求項1に記載の取外し装置。
【請求項6】
前記本体は、前記取外し装置が平らな表面上に着座するのを許容するベースを有していることを特徴とする請求項1に記載の取外し装置。
【請求項7】
当該ペンニードルは、当該薬物送達装置が前記本体からねじり外されたとき前記本体内に保持されることを特徴とする請求項1に記載の取外し装置。
【請求項8】
前記エジェクターは、前記本体内に押圧されて当該ペンニードルをそれから放出することを特徴とする請求項1に記載の取外し装置。
【請求項9】
前記本体は、当該薬物送達装置に取外し自在に連結可能なキャップを備えることを特徴とする請求項1に記載の取外し装置。
【請求項10】
複数の内方に延在するリブが、当該ペンニードルのハブに形成された凹部に係合すべく前記本体に形成されていることを特徴とする請求項1に記載の取外し装置。
【請求項11】
前記エジェクターは、前記キャップが当該ペンニードルが連結されている当該薬物送達装置に連結されているとき、引き込み位置にあることを特徴とする請求項9に記載の取外し装置。
【請求項12】
前記キャップは、当該ペンニードルが前記キャップ内に保持されている状態で当該薬物送達装置から取外し自在であるを特徴とする請求項11に記載の取外し装置。
【請求項13】
前記エジェクターは、前記本体内に押圧されて当該ペンニードルをそれから放出することを特徴とする請求項12に記載の取外し装置。
【請求項14】
前記エジェクターは、前記キャップが当該ペンニードルが連結されていない当該薬物送達装置に連結されているとき、挿入された位置にあることを特徴とする請求項10に記載の取外し装置。
【請求項15】
前記エジェクターは、当該ペンニードルのニードルの長手方向軸線に実質的に平行する方向に移動することを特徴とする請求項1に記載のペンニードル。
【請求項16】
前記エジェクターから外方に延在するタブが、前記エジェクターの前記キャップへの運動を制限することを特徴とする請求項10に記載のペンニードル。
【請求項17】
薬物送達装置からペンニードルを取外す方法であって、
薬物送達装置のペンニードルを、当該ペンニードルのニードルの患者側端部が本体によって覆われるように、取外し装置の当該本体のキャビティ内に挿入し、
受け入れられたペンニードルを当該本体に移動自在に連結されているエジェクターに係合させ、
係合されたペンニードルが当該本体によって保持されるように、当該取外し装置の本体から薬剤送達ペンを取外し、そして
当該エジェクターでもって当該本体から係合されたペンニードルを放出する、
ステップを備えることを特徴とする方法。
【請求項18】
当該取外し装置は、当該薬物送達装置のためのキャップを備えていることを特徴とする請求項17に記載の方法。
【請求項19】
当該取外し装置は、当該薬物送達装置とは別体に形成されていることを特徴とする請求項17に記載の方法。
【請求項20】
当該ペンニードルを挿入する前に当該取外し装置を平らな表面上に位置決めするステップをさらに備えていることを特徴とする請求項17に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公表番号】特表2013−512727(P2013−512727A)
【公表日】平成25年4月18日(2013.4.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−541994(P2012−541994)
【出願日】平成22年12月3日(2010.12.3)
【国際出願番号】PCT/US2010/003086
【国際公開番号】WO2011/068543
【国際公開日】平成23年6月9日(2011.6.9)
【出願人】(595117091)ベクトン・ディキンソン・アンド・カンパニー (539)
【氏名又は名称原語表記】BECTON, DICKINSON AND COMPANY
【住所又は居所原語表記】1 BECTON DRIVE, FRANKLIN LAKES, NEW JERSEY 07417−1880, UNITED STATES OF AMERICA
【Fターム(参考)】