説明

蛇口カバー

【課題】 蛇口周りにかかる水滴を遮ることにより、洗面台や流し台の清掃作業を容易にする。
【解決手段】 蛇口に取り付けられる蛇口カバー11は、天壁板30とこれの両側辺に連なる一対の側壁板31,32とを備える取付部35と、天壁板30の後端辺に傾動自在に連なって設けられる水受板34とを有している。蛇口の上方から取付部35を被せることにより、蛇口を操作する使用者の手の下方に水受板34が配置され、使用者の手から滴り落ちる水滴を水受板34によって遮ることができ、フラップ片36,37により水滴を蛇口から離れる方向に案内することができる。これにより、複雑な形状を備える蛇口周りに水滴を付着させることがなく、洗面台や流し台の清掃作業が極めて容易となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、洗面台や流し台等の蛇口に取り付けられ、蛇口周りの汚れを防止する蛇口カバーに関する。
【背景技術】
【0002】
洗面台や流し台において水仕事を行うと、洗面ボウルや洗い槽から水滴が飛び散ってしまうため、周囲に飛散した水滴を拭き取る必要があった。そこで、洗面ボウル脇のカウンターに板材を直立させることにより、この板材によって飛散する水滴を遮断するようにした水はね防止具が提案されている(たとえば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開平11−225898号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、従来の水はね防止具にあっては、洗面台や流し台から外部に水滴を飛散させないことに主眼を置いたものが多く、蛇口周りに飛散する水滴を考慮したものではなかった。特に、蛇口を開閉する際に使用者の手から落ちる水滴が考慮されることはなく、水滴が蛇口周りに付着してしまうことが多く見受けられていた。このように、蛇口周りに水滴が付着した場合には、その複雑な形状から水滴を拭き取ることが困難であり、清掃作業に手間がかかることになっていた。また、水滴が付着したまま放置すると、蛇口に水垢が付着してしまうため、清掃作業が一層困難となる。
【0004】
本発明の目的は、蛇口周りにかかる水滴を遮ることにより、洗面台や流し台の清掃作業を容易にすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の蛇口カバーは、蛇口本体から分岐する吐水管に取り付けられる蛇口カバーであって、天壁板とこれの両側辺に連なる一対の側壁板とを備え、前記吐水管に被せられる取付部と、前記天壁板の一端辺に傾動自在に連なって設けられ、幅方向に広がる水受板とを有し、蛇口を開閉する際に使用者の手から落ちる水滴を前記水受板によって遮ることを特徴とする。
【0006】
本発明の蛇口カバーは、前記天壁板、前記側壁板、および前記水受板は平板状に展開自在であることを特徴とする。
【0007】
本発明の蛇口カバーは、前記天壁板の他端辺に連なる端壁板を設け、前記端壁板の両端を前記側壁板に形成されるスリットに挿し込むことにより、前記取付部は立体的に形成されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、水受板を備える蛇口カバーを蛇口に取り付けることにより、使用者の手から落ちる水滴を水受板によって遮ることができ、蛇口周りに対する水滴の付着を防止することができる。これにより、複雑な形状を備えることが多い蛇口周りの清掃作業が極めて容易になるとともに、洗面台などを清潔に保つことが容易となる。
【0009】
また、平板状に形成される天壁板、側壁板および水受板を組み立てることにより、立体的な蛇口カバーを形成するようにしたので、蛇口カバーの製造コストを引き下げることが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。図1は洗面台に取り付けて使用される汚れ防止具10の使用状態を示す斜視図であり、図2は汚れ防止具10を構成する本発明の一実施の形態である蛇口カバー11を展開した状態で示す平面図である。また、図3は蛇口カバー11を組み立てた状態で示す斜視図であり、図4は汚れ防止具10を構成する水はね防止カバー12を示す斜視図である。
【0011】
図1に示すように、汚れ防止具10が取り付けられる洗面台13には、凹状の洗面ボウル14とこの周囲を取り囲むカウンター15とが設けられている。カウンター15の背後には上方に延びるバックガード16が取り付けられ、このバックガード16には化粧鏡17が設けられており、バックガード16と洗面ボウル14との間のカウンター15には蛇口18が設けられている。
【0012】
蛇口18はカウンター15から上方に延びる蛇口本体20を備えており、蛇口本体20の上端には水栓レバー21が設けられ、蛇口本体20からほぼ水平方向に吐水管22が分岐するようになっている。吐水管22の先端には吐水口23が開口されており、水栓レバー21を操作することによって吐水口23から水道水が吐出されるようになっている。また、洗面ボウル14の底面には排水口24が形成されており、洗面ボウル14内に流された水道水は排水口24より外部に排出される。さらに、洗面ボウル14の内壁板には洗面ボウル14内の上限水位を定めるオーバーフロー口25が形成されており、水道水が上限水位に達した場合にはオーバーフロー口25から排水されることになる。
【0013】
続いて、蛇口18の吐水管22に取り付けられ、蛇口周りの汚れを防止する蛇口カバー11について説明する。図2に示すように、蛇口カバー11は、略台形状に形成される天壁板30、この天壁板30の両側辺に連なる一対の側壁板31,32、そして天壁板30の前端辺(他端辺)に連なる端壁板33を備えており、それぞれの側壁板31,32には、保持片31a,32aが形成されるとともにスリット31b,32bが形成されている。また、天壁板30の後端辺(一端辺)には幅方向に広がる水受板34が連なって設けられ、水受板34の幅方向中央には円弧状の切欠部34aが形成されている。
【0014】
このような蛇口カバー11には、図2に破線で示すように、複数の折り曲げ線が形成されており、これらの折り曲げ線に沿って側壁板31,32や水受板34などを折り曲げることにより、図3に示す立体的な蛇口カバー11が組み立てられることになる。組み立てる際の手順としては、側壁板31,32が天壁板30に対してほぼ直角に折り曲げられ、端壁板33が天壁板30に対してほぼ直角に折り曲げられる。続いて、端壁板33の両端に形成される係合片33aが、側壁板31,32のスリット31b,32bに挿し込まれることにより、天壁板30、側壁板31,32および端壁板33によって取付部35が立体的に形成されることになる。そして、水受板34を天壁板30に対して所定の角度で立ち上げることによって、図3に示す蛇口カバー11が組み立てられることになる。なお、図2に示す平板状の蛇口カバー11は、PET(ポリエチレンテレフタレート)製の樹脂シートを裁断することにより形成されているが、防水コーティングを施した紙など他のシート材料を用いて蛇口カバー11を形成しても良い。
【0015】
次いで、前述の蛇口カバー11と共に吐水管22に取り付けられ、蛇口周りの汚れを防止する水はね防止カバー12について説明する。図4に示すように、水はね防止カバー12は、ほぼ平板状の基板部40と、これの両側から前方に湾曲する湾曲板部41とを備えている。このように凹状に形成される水はね防止カバー12は、PET樹脂を材料に用いて一体成形されている。また、基板部40のほぼ中央部には、吐水管22が挿通される取付孔42が開口されているが、基板部40に取付孔42を区画する複数のミシン目等を形成することにより、ミシン目に沿って取付孔42を任意の大きさに開口させるようにしても良い。なお、取付孔42の形状としては矩形に限られることはなく、円形など他の形状であっても良いことは言うまでもない。
【0016】
続いて、蛇口18に対する蛇口カバー11と水はね防止カバー12との取付手順について説明する。ここで、図5は汚れ防止具10の装着状態を側方から示す部分断面図であり、図6は汚れ防止具10の装着状態を上方から示す平面図である。まず、図5に示すように、蛇口カバー11を取り付ける際には、吐水管22の上方から蛇口カバー11を被せた後に、取付部35の保持片31a,32aを内側に折り曲げることにより、吐水管22を抱え込むようにして蛇口カバー11が取り付けられる。そして、蛇口カバー11の水受板34は、水栓レバー21を操作する手の下方に位置するように、水栓レバー21に接触するように配置されている。なお、蛇口18との干渉を避ける切欠部34aを水受板34に形成するようにしたので、蛇口18に規制されることなく蛇口カバー11を奥に配置することが可能となっている。
【0017】
また、蛇口カバー11の水受板34は取付部35に対して傾動自在に設けられるため、吐水管22の長さ寸法が異なる蛇口18に取り付ける場合であっても、蛇口カバー11を柔軟に対応させることが可能となる。つまり、図示する吐水管22より長い吐水管を備える蛇口にあっては、図示するよりも水受板34が水平側に傾いた状態となる一方、図示する吐水管22より短い長い吐水管を備える蛇口にあっては、図示するよりも水受板34が垂直側に傾いた状態で蛇口本体20に接触することになる。このように、様々な蛇口に蛇口カバー11を対応させることが可能となっている。
【0018】
続いて図5および図6に示すように、水はね防止カバー12を取り付ける際には、蛇口カバー11の取付部35を水はね防止カバー12の取付孔42に通しながら、水はね防止カバー12は洗面ボウル14の縁に接触するまで押し込まれる。
このとき、蛇口カバー11の側壁板31,32に形成される切り欠き31c,32cに、水はね防止カバー12が係合することにより、互いの位置関係が定まるようになっている。なお、図示する場合には、水はね防止カバー12の下端がオーバーフロー口25の下方に位置することになるが、図5に示すように、水はね防止カバー12は洗面ボウル14の内壁に対して若干傾斜するため、水はね防止カバー12と洗面ボウル14との間に隙間を生じさせ、オーバーフロー口25からの排水が阻害されることはない。また、水はね防止カバー12の背面に突起を形成することにより、洗面ボウル14との間に隙間を生じさせるようにしても良い。
【0019】
以下、蛇口周りに飛散する水滴の処理について説明する。水道水を供給または遮断するため蛇口18の水栓レバー21を操作する際には、使用者の濡れた手から蛇口周りに水滴が落下するおそれがある。しかしながら、水栓レバー21を操作する手の下方には、蛇口カバー11の水受板34が配置されるため、落下した水滴は水受板34に案内されながら、蛇口周りから離れるように流れることになる。ここで、水受板34の両端には折り曲げ線によって区画されたフラップ片36が形成され、側壁板31,32の後端には折り曲げ線によって区画されたフラップ片37が形成されるため、図3に示すように、これらのフラップ片36,37を折り曲げることにより、水受板34に遮られた水滴はフラップ片36によって中央に集められ、フラップ片37によって蛇口本体20から離れる方向に案内されることになる。なお、図示する場合には、水はね防止カバー12が設けられるため、フラップ片37に案内された水滴は、水はね防止カバー12の背面に沿って洗面ボウル14内に流れ落ちることになる。
【0020】
また、使用者の手から落下する水滴だけでなく、洗面ボウル14からの跳ね返り等によっても水滴が蛇口周りに向かうことになる。このように、蛇口18に向けて飛散する水滴は、水はね防止カバー12によって遮断され、遮断された水滴は水はね防止カバー12に沿って下方に案内される。水はね防止カバー12はその下端が洗面ボウル14内に入り込んだ状態となっているため、水はね防止カバー12の下方に流れる水滴はそのまま洗面ボウル14内に流れ込むことになる。このため、水はね防止カバー12に遮断される水滴を別途に処理する必要はなく、水はね防止カバー12に受け止められた水滴によってカウンター15を汚すこともない。なお、蛇口18からの水量が増大して水滴が激しく飛び散る場合であっても、水はね防止カバー12は凹状に形成されているため、水はね防止カバー12によって遮断される水滴は洗面ボウル14に向けて跳ね返ることになる。
【0021】
これまで説明したように、蛇口18に蛇口カバー11を装着することにより、使用者の手から落ちる水滴を、蛇口周りに付着させることなく洗面ボウル14側に案内することが可能となる。これにより、複雑な形状を備える蛇口周りに水滴を付着させることがなく、蛇口周りの清掃作業が極めて容易になるとともに、洗面台13を清潔に保つことが容易となる。また、図2および図3に示すように、平板状に形成される蛇口カバー11を組み立てることにより、立体的な蛇口カバー11を形成するようにしたので、蛇口カバー11の製造コストを引き下げることが可能となる。
【0022】
以上、本発明者によってなされた発明を実施の形態に基づき具体的に説明したが、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることはいうまでもない。たとえば、図示する場合には、蛇口カバー11と水はね防止カバー12とを共に蛇口18に装着しているが、これに限られることはなく、蛇口カバー11を単体で蛇口18に装着するようにしても良い。
【0023】
また、図示する蛇口18にあっては水栓レバー21を備える蛇口18であるが、これに限られることはなく、水栓レバー21に代えて水栓コックを備えた蛇口に本発明の蛇口カバー11や水はね防止カバー12を装着するようにしても良い。なお、水栓コックをひねることによって開閉するタイプの蛇口にあっては、水栓レバー21を備える蛇口18よりも使用者の手が奥まで入り込むため、水受板34の切欠部34aを深く形成することにより、水受板34を奥まで入り込ませることが望ましい。
【0024】
さらに、蛇口カバー11や水はね防止カバー12の形状は、図示する形状に限られることはなく、蛇口18の形状や洗面ボウル14等の形状に応じて適宜変更しても良い。たとえば、蛇口カバー11の天壁板30は台形状に形成されているが、吐水管の形状に合わせて長方形状に形成しても良く、吐水管が円筒状である場合には幅方向に湾曲させても良い。また、水はね防止カバー12の基板部40は、ストレートタイプの洗面ボウル14に合わせるため、ほぼ平板状に形成されているが、この形状に限られることはなく、ラウンドタイプの洗面ボウルに合わせるように、基板部40を水平方向に湾曲させるようにしても良い。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】洗面台に取り付けて使用される汚れ防止具の使用状態を示す斜視図である。
【図2】汚れ防止具を構成する本発明の一実施の形態である蛇口カバーを展開した状態で示す平面図である。
【図3】図2の蛇口カバーを組み立てた状態で示す斜視図である。
【図4】汚れ防止具を構成する水はね防止カバーを示す斜視図である。
【図5】汚れ防止具の装着状態を側方から示す部分断面図である。
【図6】汚れ防止具の装着状態を上方から示す平面図である。
【符号の説明】
【0026】
10 汚れ防止具
11 蛇口カバー
12 水はね防止カバー
13 洗面台
14 洗面ボウル
15 カウンター
16 バックガード
17 化粧鏡
18 蛇口
20 蛇口本体
21 水栓レバー
22 吐水管
23 吐水口
24 排水口
25 オーバーフロー口
30 天壁板
31,32 側壁板
31a,32a 保持片
31b,32b スリット
33 端壁板
33a 係合片
34 水受板
34a 切欠部
35 取付部
36,37 フラップ片
40 基板部
41 湾曲板部
42 取付孔

【特許請求の範囲】
【請求項1】
蛇口本体から分岐する吐水管に取り付けられる蛇口カバーであって、
天壁板とこれの両側辺に連なる一対の側壁板とを備え、前記吐水管に被せられる取付部と、
前記天壁板の一端辺に傾動自在に連なって設けられ、幅方向に広がる水受板とを有し、
蛇口を開閉する際に使用者の手から落ちる水滴を前記水受板によって遮ることを特徴とする蛇口カバー。
【請求項2】
請求項1記載の蛇口カバーにおいて、前記天壁板、前記側壁板、および前記水受板は平板状に展開自在であることを特徴とする蛇口カバー。
【請求項3】
請求項2記載の蛇口カバーにおいて、前記天壁板の他端辺に連なる端壁板を設け、前記端壁板の両端を前記側壁板に形成されるスリットに挿し込むことにより、前記取付部は立体的に形成されることを特徴とする蛇口カバー。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2006−152753(P2006−152753A)
【公開日】平成18年6月15日(2006.6.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−348763(P2004−348763)
【出願日】平成16年12月1日(2004.12.1)
【出願人】(593187364)ト−タルプリント豊工業株式会社 (15)
【Fターム(参考)】