説明

蛇昇塔防止シートのトライアングル工法

【課題】簡単な設置作業により、しかも、汎用性に富んだ表面特殊加工の長尺シートを用いて、蛇の送電鉄塔および電柱の登はんを防止し、蛇の送電線および変圧器への接触による地絡事故防止対策を施すことが可能な蛇昇塔防止シート、及び設置方法を提供する。
【解決手段】表面に半円球上の突起を有する蛇昇塔防止シート7を、アングルで構成された送電鉄塔では、塔柱1の長手方向の所定範囲内にあるアングルの短手方向(幅方向)の両端部および折曲部分の所定幅を覆うように蛇昇塔防止シート7を設置する。電柱では、電柱の母線上の直近上下間の昇降金具を結ぶ線分の左右へ略平行に、蛇昇塔防止シート7を設置し、場合によって、電柱の中心線に対して当該母線の反対母線上に所定幅の蛇昇塔防止シート7を設置することにより、蛇が塔柱または電柱に身体を支持できなくさせることによって、蛇の送電鉄塔または電柱への登はんを防止し、地絡事故対策を施す。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、蛇が、送電鉄塔を構成するアングル材、パイプ材および円柱状の塔柱(電柱)を登はんし、送電線および変圧器への接触による地絡、短絡から発生する送電事故を防止する部材および部材の取付工法に関する。
【背景技術】
【0002】
発電所で作られた電気は、変電所等を経て高電圧で送電線によって供給され、送電線を支持する送電鉄塔が各所に設置されている。送電鉄塔によって支持された送電線は、細分化され、以後は電柱によって支持され、所定地に送られている。図24に示すように、送電線35と送電鉄塔30は、碍子31を介在して接合されている。碍子31は、絶縁体であり、送電線35から送電鉄塔30への電気の流れを防止している。また、送電線35と送電鉄塔30間には、送電システムにかかる異常な高電圧から電気機器を守るためのアークホーンが設置されている。アークホーンの形態は、2本の棒状の導体で構成されている。アークホーン32ならびにアークホーン33は、碍子31と平行して伸び、2本のアークホーン間には空間が形成されている。送電線35と碍子31の連結部34から伸びるアークホーン32側は、通電している。そのために、蛇が、送電鉄塔30の頂上付近まで昇塔し、送電鉄塔30から送電線35へと伝っていく際に、送電システムに障害をもたらす。図25に示すように、蛇36が双方のアークホーンに同時に触れた場合、蛇36が伝導体となり、アークホーン32からアークホーン33へ電気が流れこみ、送電鉄塔30に伝わり、送電システムの電気の流れに異常をきたす。また、長年にわたり風、雨、雪等に晒される送電線35と碍子31の連結部34は、絶縁体部が劣化し送電部材が外気に触れる可能性を有する。外気に送電部材が表れた連結部34を蛇37が通過すると、蛇37は地絡することとなり、これによって電気の流れに異常をきたす。また、電柱には、高電圧を降圧する変圧器が電柱の頂上部に設置されており、蛇が電柱に登はんし、変圧器の漏電部分に接触して地絡することによっても電気の流れに異常をきたす。上記のような異常を送電システムが感知すると、変電所のしゃだん器がオフとなり停電を惹き起こすこととなる。蛇による送電事故は、他の事故原因と比較しても、発生する比率が高い事故原因の1つであり、従来から適当な対策・措置を講じる必要が指摘されていた。
【0003】
そこで、送電鉄塔および電柱への蛇の登はんを防止するための蛇の昇り防止具が考えられている(例えば、特許文献1)。特許文献1に記載の昇り防止具は、円柱状の空洞からなる部材の一方端部に末広状に形成させた構成である。この昇り防止具は、長手方向に2等分に分裂させ、その間に送電鉄塔のアングル材を挟み込むことで設置される。アングル材に設置された昇り防止具は、一方端部の末広状に広がった傘部が地面方向に配置されているため、地面からアングル材を昇塔する蛇は、傘部を乗り越えることができず、昇塔を防止することができる。
【0004】
また、電柱などの円柱構造材に係る蛇の登はん防止装置においては、網素材を末広状に円柱構造材に巻きつけ、蛇の登はんを防止する技術が開示されている(特許文献2)。上記特許文献2で開示された蛇登はん防止装置は、網素材を地面に向かい末広状に電柱に巻きつけ傘部を形成させている。これにより、電柱を登はんする蛇は、この傘部を乗り越えることができず、蛇の登はんを防止するものである。
【特許文献1】特開2001−309532号公報
【特許文献2】特開平8−308462号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1ならびに特許文献2に係る技術は、いずれも傘状の部材を鉄塔や電柱に取り付けるものである。傘状の部材は風の影響を受けやすく、強風によって傘状の部材が損傷を受けたり、外れてしまったりする可能性が高い。したがって、特許文献1ならびに特許文献2に係る技術では、長期信頼性の点において問題がある。
【0006】
本発明は、このような事情に鑑みなされたものであり、長期にわたって安定した蛇登はん防止効果を発揮でき、地絡防止対策を施すことを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記のような目的を達成するために、本発明は、以下に示すような特徴を有している。
第1の発明は、断面L字型の塔柱を有する送電鉄塔に対する蛇昇塔防止シートの貼付方法に係る蛇の送電鉄塔昇塔防止方法である。本発明に用いられる蛇昇塔防止シートは、表面に半球状の突起を有している。具体的な蛇昇塔防止シートの貼付方法は、送電鉄塔の塔柱の長手方向に関する所定範囲に、当該塔柱の幅方向の両端部、および、折曲部分の山側部に蛇昇塔防止シートを貼付することを特徴とする蛇昇塔防止シートの貼付方法である。
【0008】
第2の発明は、一般的に送電鉄塔は、地面に接続される複数の主塔柱と、当該複数の主塔柱間を接続する補助塔柱とを有している。そこで、本発明は、少なくとも主塔柱の所定範囲に、主塔柱の幅方向の両端部、および、折曲部分の山側部に蛇昇塔防止シートを貼付することを特徴とする蛇昇塔防止シートの貼付方法である。
【0009】
第3の発明は、地面に接続される複数の主塔柱と、折曲部分の山側が谷側に対して上になるように設置され、当該複数の主塔柱間を接続する補助塔柱とを有している送電鉄塔構造において、少なくとも補助塔柱の所定範囲に、補助塔柱の幅方向の両端部、および、折曲部分の山側部に蛇昇塔防止シートを貼付することを特徴とする蛇昇塔防止シートの貼付方法である。
【0010】
第4の発明は、折曲部分の山側が谷側に対して下になるように設置されている送電鉄塔構造において、補助塔柱の長手方向に関する所定範囲に、当該補助塔柱の幅方向の両端部および、折曲部分の谷側部に蛇昇塔防止シートを貼付することを特徴とする蛇昇塔防止シートの貼付方法である。
【0011】
第5の発明は、円柱形状の塔柱を有する送電鉄塔に対する蛇昇塔防止シートの貼付方法である。本発明に係る送電鉄塔は、地面に対して鉛直上向き方向よりも傾いて設置されている塔柱の長手方向に関する所定範囲に、当該塔柱の上方部分および側方部分に蛇昇塔防止シートを貼付することを特徴とする蛇昇塔防止シートの貼付方法である。
【0012】
第6の発明は、円柱形状の塔柱に対する蛇昇塔防止シートの貼付方法である。本発明に係る塔柱は、塔柱の母線上には複数の昇降金具が等間隔に取り付けられており、直近するいずれか2つの昇降金具を結ぶ線分の両側に、蛇昇塔防止シートを貼付することを特徴とする蛇昇塔防止シートの貼付方法である。
【0013】
第7の発明は、第6の発明により蛇昇塔防止シートを貼付すると共に、第6の発明の所定範囲内において、塔柱の中心軸に対して第6の発明で蛇昇塔防止シートを貼付した部分の裏面にも蛇昇塔防止シートを貼付することを特徴とする蛇昇塔防止シートの貼付方法である。
【0014】
第8の発明は、蛇昇塔防止シートの接着面には、複数に分割された離型紙が接着されており、複数の離型紙のうちの一部を剥離する工程と、剥離することによって露出した接着面を塔柱に接着する工程とを繰り返すことによって蛇昇塔防止シートを貼付することを特徴とする蛇昇塔防止シートの貼付方法である。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、従来の蛇の送電鉄塔および電柱の登はん防止技術のように、送電鉄塔および電柱から突出する器具等を使用しないため、送電鉄塔または電柱を登はんして作業を行うの作業員の作業効率を低下させることがない。また、本発明で使用する蛇昇塔防止シートは、表面部を特殊加工することにより、蛇の腹側の鱗(腹板)が滑るようになるが、人の手に対しては滑りは生じない。そのため、本発明の実施が原因となる作業員の転落事故が発生するという危険性もない。さらに、送電鉄塔および電柱から突出する器具等を使用しないため、従来のように、突出部が強風によって損傷したり、外れてしまったりする可能性がなく、長期にわたって安定した蛇登はん防止効果を発揮でき、地絡防止対策を施すことが可能となる。
【0016】
本発明は、蛇昇塔防止シートを蛇の登はん防止に必要な場所に効率良く設置するため、不必要部分に係る蛇昇塔防止シートのコストを削減し、さらに設置作業の軽減化を図ることができる。なぜならば、蛇昇塔防止シートを送電鉄塔構造材の周囲または電柱の円周の全面に亘り設置すると、非常に大きな面積の蛇昇塔防止シートが必要となりコストが高くなる。また、非常に大きな面積の蛇昇塔防止シートを送電鉄塔構造材または電柱全面に貼付する場合には、蛇昇塔防止シートの離型紙を剥離した時点から、蛇昇塔防止シートの接着面同士が接着しやすくなり、取扱いが非常に困難となる。そのうえ、蛇昇塔防止シートの貼付面積が広くなるにつれ、設置の際に蛇昇塔防止シートと送電鉄塔構造材または電柱との間に空気が混入しないように貼付することが難しくなる。空気が混入すると、気泡部を形成することとなり、蛇昇塔防止シートの効果を半減させてしまう。蛇は、この気泡部に腹側の鱗(腹板)を係合させることが可能となり、蛇昇塔防止シートを登はんしてしまう。さらに、気温の変化により、気泡部が膨張と収縮を繰り返すこととなり、蛇昇塔防止シートを劣化させ、破損する可能性をも有する。以上のような設置作業の困難性及び諸問題を本発明により解決することが可能となる。
【0017】
また、上記の効果に加え、本発明は、蛇昇塔防止シートを用いて蛇の送電鉄塔および電柱への登はんを防止するため、送電鉄塔または電柱の美観においても、蛇昇塔防止シート設置前の状態とは、外観上さほどの変化はない。そのため、送電鉄塔および電柱の美観を損ねることなく蛇の送電鉄塔への登はん防止が実現できるものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、図面を参照して、本発明の第1の実施形態に係る蛇昇塔防止シートのトライアングル工法について説明する。以下では、まず、図1から図5を参照して、蛇が送電鉄塔を昇塔する運動について説明した後、トライアングル工法の詳細について説明する。
【0019】
まず、蛇が昇塔する対象となる送電鉄塔(以下、単に鉄塔と呼ぶ)の一般的な構成について説明する。電柱の構成については、後述する。図1は、鉄塔の構成の一例を示す図である。鉄塔は、主塔柱1と補助塔柱2とを有している。主塔柱1は、下部架台3を介して地面に接続される。なお、図1では1組の下部架台3および主塔柱1のみを記載しているが、鉄塔は4組の下部架台および主塔柱を有する。鉄塔は、4本の主塔柱の上端部が互いに接合されることによって全体として四角推状の外形となっている。この四角錐の頂上部に送電線が接合される。また、主塔柱の結合力および主塔柱の強度を増すために、主塔柱を連結するように補助塔柱2が接続される。主塔柱1および補助塔柱2は、断面がL字型の鉄柱であり、具体的には、長方形鋼板を、長手方向に平行な中心線で約90度に折曲することによって得られる等辺山型鋼(いわゆるアングル)である。なお、補助塔柱2は、主塔柱1よりも小型となっている。以下では、アングル(主塔柱1または補助塔柱2)の短手方向(幅方向)の両端部を「エッジ部」と呼び、アングルの折曲部分を「折曲部」と呼ぶ。
【0020】
次に、上述のような鉄塔を蛇が昇塔する場合の昇塔運動について説明する。本出願の発明者による研究の結果、蛇は、アングルに身体を巻きつけながら昇塔するのではなく、鉄塔のアングルを蛇行しながら昇塔することが発見された。当該研究によると、蛇が鉄塔のアングルを昇塔する運動パターンは、図2から図5に示す4つのパターンであることが判明した。以下、図2から図5を参照して、鉄塔への蛇の昇塔運動の詳細について説明する。なお、電柱への登はん運動の詳細は後述する。
【0021】
図2は、第1の昇塔運動パターンを示す図である。鉄塔の主塔柱1への第1の昇塔運動パターンは、主塔柱1のエッジ部4を挟んで昇塔するパターンである。すなわち、図1に示すように、蛇は、エッジ部を身体で挟むことによって自分自身を主塔柱1に支持させ、落下しないようにしながら鉄塔を昇塔する。地表から鉄塔に昇塔し始める際、蛇は、地表から主塔柱1に沿って頭部を上方へ伸ばし、ある程度まで伸ばすと、エッジ部4付近において主塔柱1の両面から身体を押し付けることによってエッジ部4を挟む。このように挟み込まれた部分が、第1の支持箇所となる。なお、蛇は、エッジ部4を挟み込む際、自身の腹筋により主塔柱1を押圧する力だけでなく、腹側にある鱗(腹板)を主塔柱1の塗装表面の凹凸に引っ掛けることによって、身体を支持している。第1の支持箇所が形成されると、蛇は、第1の支持箇所よりも尾側の身体を上方に引き寄せ、尾側の身体をある程度引き寄せると、第1の支持箇所よりも下方のエッジ部を当該尾側の身体で挟む。このように挟み込まれた部分が、第2の支持箇所となる。蛇の身体は、上記第1および第2の支持箇所によって主塔柱1に固定される。以後、蛇は、第1の支持箇所を上方にずらす動作と、第2の支持箇所を上方に引き上げる動作とを繰り返し行うことによって、鉄塔を昇塔していく。
【0022】
図3は、第2の昇塔運動パターンを示す図である。鉄塔の主塔柱1への第2の昇塔運動パターンは、主塔柱1の折曲部5を挟んで昇塔するパターンである。すなわち、図3に示すように、蛇は、折曲部5を身体で挟むことによって自分自身を主塔柱1に支持させ、落下しないようにしながら鉄塔を昇塔する。第2の昇塔運動パターンは、第1の昇塔運動パターンと比べて、折曲部5を挟みながら昇塔する点で異なるが、2カ所以上で主塔柱を挟んで支持箇所を上方に移動させることによって昇塔する点については同様である。
【0023】
図4は、第3の昇塔運動パターンを示す図である。鉄塔の主塔柱1への第3の昇塔運動パターンは、主塔柱1の両エッジ部4および6を挟んで昇塔するパターンである。すなわち、図4に示すように蛇は、身体で主塔柱1の両端(エッジ部4および6)を挟み込むことによって自分自身を主塔柱1に支持させ、落下しないようにしながら鉄塔を昇塔する。第3の昇塔運動パターンは、第1の昇塔運動パターンと比べて、主塔柱1のエッジ部4および6を挟みながら昇塔する点で異なるが、2カ所以上で主塔柱を挟んで支持箇所を上方に移動させることによって昇塔する点については同様である。
【0024】
図5は、第4の昇塔運動パターンを示す図である。鉄塔の主塔柱1への第四の昇塔運動パターンは、主塔柱1の一方のエッジ部と折曲部5とを挟んで昇塔するパターンである。すなわち、図5に示すように、蛇は、身体で主塔柱1の一方のエッジ部4と折曲部5とを挟み込むことによって自分自身を主塔柱1に支持させ、落下しないようにしながら鉄塔を昇塔する。第4の昇塔運動パターンは、第1の昇塔運動パターンと比べて、主塔柱一方端のエッジ部4と折曲部5とを挟みながら昇塔する点で異なるが、2カ所以上で主塔柱を挟んで支持箇所を上方に移動させることによって昇塔する点については同様である。
【0025】
蛇は、上記の4つの昇塔運動パターンを組み合わせながら鉄塔を昇塔してゆく。
【0026】
また、蛇は腹部に鱗(腹板)を有しており、昇塔の際、主塔柱1の塗装面の微細な凹凸に腹板を引っかけている。つまり、蛇は、上記第1〜第4の昇塔運動パターンのいずれの場合においても、自身の腹筋により主塔柱1を押圧する力だけでなく、腹側にある鱗(腹板)を主塔柱の塗装表面に引っかけることによって、身体を支持している。なお、電柱を登はんする場合においても同様である。
【0027】
以上のように、研究の結果、図2〜図5に示した方法によって蛇は鉄塔を昇塔することがわかった。さらに、研究の結果、蛇の腹板は、直径が0.05〜1[mm]程度の微細な球形状のものには係合しないことがわかった。以上の研究結果から、図6に示すような蛇昇塔防止シート7によって蛇の昇塔を防止することができる。以下、蛇昇塔防止シートの詳細について説明する。
【0028】
図6は、蛇昇塔防止シートの断面図である。蛇昇塔防止シート7は、図6に示すように、複数の層が積層された構成であり、具体的には、離型紙8、感圧接着剤層9、合成樹脂ベースシート層10、ビーズ定着層11、表面薄膜層14を備えている。なお、蛇昇塔防止シート7は、細長の長方形の面を有するシート状の形状である。
【0029】
離型紙8は、シリコン、ワックス、フッ素樹脂などの離型剤で処理された紙或いはフィルム、若しくは、離型性を有するポリプロピレン、ポリエチレン等の合成樹脂フィルムの離型性シートが用いられる。
【0030】
感圧接着剤層9は、離型紙8の上面に形成される。感圧接着剤層9は、アクリル樹脂等の接着剤により構成され、例えばポリブチルアクリレート、ポリ2−エチルへキシルアクリレートなどを主成分とするものである。感圧接着剤層9の厚さは、例えば10〜50[μm]の範囲である。
【0031】
合成樹脂ベースシート層10は、感圧接着剤層9の上面に形成される。合成樹脂ベースシート層10は、可塑化塩化ビニール樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂等からなる。合成樹脂ベースシート層10の厚さは、例えば30〜100[μm]の範囲である。
【0032】
ビーズ定着層11は、合成樹脂ベースシート層10の上面に形成される。ビーズ定着層11は、ビーズ接着塗料12およびビーズ13により構成される。ビーズ13は、その一部がビーズ接着塗料12の上面から突出するようにビーズ接着塗料12に接着される。具体的には、ビーズ定着層11は、合成樹脂ベースシート層10にビーズ接着塗料12を塗布(印刷や噴霧器による吹き付けを含む)した後、ビーズ接着塗料12が乾燥しないうちに、ビーズ13を散布することによって形成される。これによって、ビーズ接着塗料12の上面にビーズ13による半球状の突起を設けることができる。ビーズ接着塗料12の材料は、合成樹脂ベースシート層10に対して接着性を有していれば特定されない。例示すると、塩化ビニール樹脂系塗料、アクリルウレタン樹脂系塗料、ポリエステル樹脂系塗料などを用いることができる。ビーズ接着塗料12に対するビーズ13の量は、10重量%以上が好ましく、ビーズ13が塗膜上に密に均一な散布状態に保たれる範囲であることが好ましい。ビーズ13は、好適には直径0.05〜1[mm]のガラスビーズ、またはビーズ接着塗料12中の溶剤に対して安定的なプラスティックビーズが用いられる。
【0033】
表面薄膜層14は、ビーズ定着層11の上面に形成される。具体的には、表面薄膜層14は、塩化ビニール樹脂系塗料、アクリルウレタン樹脂系塗料、またはポリエステル樹脂系塗料等の材料を、ビーズ定着層11の上に薄く塗装することにより形成される。上記材料の塗布量は、80〜150g/m2 の範囲であることが好ましく、厚く塗りすぎてビーズ13からなる突起が平坦となってしまわないようにする。これによって、蛇昇塔防止シート7は、その上面(表面薄膜層14)に半球状の突起が設けられた形状となる。
【0034】
以上のように構成される蛇昇塔防止シートを塔柱または電柱に貼り付けることによって、蛇が鉄塔または電柱への登はんを防止することができる。図7は、蛇の腹板15と蛇昇塔防止シート7との接触部分を模式的に示す図である。
【0035】
図7に示すように、蛇は、主塔柱または電柱を身体で挟み込むために腹板15を主塔柱または電柱に押しつける際に、腹板15の先端部を蛇昇塔防止シート7に係合させようとする。しかし、半球状の突起を有する蛇昇塔防止シート7の表面には腹板15の先端部はうまく係合しない。さらに、蛇昇塔防止シート7が半球状の突起を有することにより、蛇昇塔防止シート7と腹板との接触面積が小さくなるので、蛇昇塔防止シート7と腹板15との摩擦力も低下する。以上により、蛇は、蛇昇塔防止シート7が貼付された部分を挟み込んでも、自身の身体を支持することができないので、主塔柱または電柱を登はんすることができなくなる。
【0036】
以上のように、図6に示す蛇昇塔防止シート7を主塔柱または電柱に貼付すれば、蛇の登はんを防止できる。したがって、蛇昇塔防止シート7を塔柱全面または電柱の円周全面に亘って貼付することによって、蛇の昇塔を防止することも考えられる。しかし、蛇昇塔防止シート7を主塔柱または電柱の全面に亘り貼付すれば、非常に大きな面積の蛇昇塔防止シート7が必要となるので、コストが高くなる。また、蛇昇塔防止シート7を全面に貼付する場合には、貼付作業の作業量が多くなるだけでなく、蛇昇塔防止シート7と主塔柱または電柱との間に気泡が生じないように貼付することが難しくなり、貼付作業が困難になる。
【0037】
以上の問題から、本実施形態では、主塔柱の適切な部分または電柱の適切な部分にのみ蛇昇塔防止シート7を貼付する。これによって、蛇昇塔防止シート7を必要な場所に効率良く貼付することができるとともに、貼付作業を簡易化することができる。以下、詳細を説明する。なお、電柱への貼付方法については後述する。
【0038】
図8は、蛇昇塔防止シート7を貼付した主塔柱1を示す図である。また、図9は、蛇昇塔防止シート7を貼付した主塔柱1の断面図である。図8および図9に示されるように、本実施形態では、蛇昇塔防止シート7は、主塔柱1の各エッジ部4および6、ならびに、折曲部5に貼付される。なお、以下では、アングルのエッジ部4および6に貼付する蛇昇塔防止シートと、折曲部5に貼付する蛇昇塔防止シートとを区別して、前者をエッジ用蛇昇塔防止シート7aとし、後者を折曲部用蛇昇塔防止シート7bとすることがある。また、両者を特に区別しない場合は、単に蛇昇塔防止シート7と記載する。
【0039】
上述した図2から図5に示すように、蛇は、主塔柱1の各エッジ部4および6、ならびに、折曲部5を身体で挟んで昇塔していることが判明している。したがって、蛇の昇塔を防止するためには、主塔柱1の上記部分4〜6に蛇昇塔防止シート7を貼付すればよい。具体的には、各エッジ部4および6については、塔柱の幅方向に関してエッジ部を略中心として所定幅だけ蛇昇塔防止シート7を貼付する。つまり、エッジ部の両側の面に対して所定幅だけ蛇昇塔防止シート7を貼付する。一方、折曲部5については、蛇は折曲部の山側の面(以下、「山側折曲部」と呼ぶ。)を挟んで昇塔するので、当該山側の面に、折曲部の折り曲げ線を略中心として所定幅だけ蛇昇塔防止シート7を貼付する。
【0040】
以下では、鉄柱の上記3カ所の部分に蛇昇塔防止シート7を貼付する工法を、「トライアングル工法」と呼ぶ。このトライアングル工法により、蛇昇塔防止シートを効率的に用いて蛇の昇塔を防止することができる。すなわち、不要な部分に蛇昇塔防止シート7を貼付しないので、必要となる蛇昇塔防止シート7のコストを下げることができるとともに、貼付面積を減らすことができるので、貼付作業が容易になるとともに貼付作業を簡易化することができる。なお、本実施形態では、主塔柱にのみ蛇昇塔防止シートを貼付するが、後述する第2の実施形態のように、補助塔柱にも蛇昇塔防止シートを貼付するようにしてもよい。
【0041】
図8および図9において、蛇昇塔防止シート7の縦寸法(高さ方向の長さ)は、昇塔が想定される蛇の種類(大きさ)によって決められる。例えばアオダイショウが昇塔することを想定する場合には、上記縦寸法を1000[mm]程度とすれば、大半のアオダイショウは2箇所以上でその身体をアングルに支持させることができず、昇塔することができなくなることが実験的に分かった。なお、アオダイショウの全長は、1000〜2500[mm]程度であり、最大では3000[mm]にもなるが、平均的な全長は、1500〜1800[mm]である。したがって、昇塔が想定される蛇の全長の少なくとも半分以上の長さがあれば、昇塔を防止することができると考えられる。
【0042】
また、アングルに貼付される蛇昇塔防止シート7の横寸法(幅方向の長さ)は、昇塔が想定される蛇の種類(大きさ)によって決められる。例えばアオダイショウが昇塔することを想定する場合には、横寸法を50[mm]程度とすればよいことが実験的にわかった。つまり、エッジ部4および6に蛇昇塔防止シート7を貼付する場合には、主塔柱1の端部(エッジ部4または6)から主塔柱1の両側(両面)に25[mm]の範囲に蛇昇塔防止シート7を貼付すればよい。また、山側折曲部5に蛇昇塔防止シート7を貼付する場合には、主塔柱1の山側折曲部5から主塔柱1の横方向両側に25[mm]の範囲に蛇昇塔防止シート7を貼付すればよい。以上のように貼付することで、大半のアオダイショウは主塔柱1をその身体で挟み込むことができなくなることが分かった。なお、アオダイショウの胴囲直径の平均サイズが約50[mm]であることから上述の横寸法が算出されており、蛇昇塔防止シート7の横寸法は、昇塔が想定される蛇の胴囲直径以上であることが好ましいと考えられる。
【0043】
また、主塔柱1に貼付される蛇昇塔防止シート7は、下部架台3から蛇昇塔防止シート7の下端部までの距離が所定距離以上となる位置に貼付されることが好ましい。蛇が、下部架台3から頭部を伸ばし、蛇昇塔防止シート7が貼付された部分よりも上方で主塔柱1を身体で挟み込んで昇塔する可能性があるからである。したがって、上記所定距離は、昇塔が想定される蛇の種類(大きさ)によって決められる。例えば、上記と同様アオダイショウが昇塔することを想定した場合には、下部架台3から蛇昇塔防止シート7の下端部までの距離を1000[mm]以上とすることによって、昇塔を防止することができることが実験的にわかった。なお、主塔柱1の上記部分4〜6に貼付される3組の蛇昇塔防止シート7は、主塔柱1の長手方向に関して同じ範囲に貼付されることが好ましい。ほぼ同じ範囲に貼付することにより、図1から図4に示す蛇の昇塔運動パターンのいかなる組み合わせに対しても、アングルへの昇塔を防止できることとなる。
【0044】
なお、蛇昇塔防止シート7は、上記トライアングル工法によって鉄塔のすべての主塔柱に対して貼付されることが好ましい。また、1本の主塔柱にトライアングル工法を施す箇所は1カ所でなくてもよく、1本の主塔柱に対して複数箇所にトライアングル工法によって蛇昇塔防止シート7を貼付してもよい。例えば、地上からの昇塔を防止するために、鉄塔の下部架台3から所定距離程度の位置にトライアングル工法により蛇昇塔防止シート7を貼付するとともに、鉄塔に隣接する樹木または構造物からの昇塔を防止するために、隣接部(または隣接部よりも上方の位置)にトライアングル工法により蛇昇塔防止シート7を貼付するようにしてもよい。つまり、蛇が昇塔するルートが複数存在する場合には、全てのルートによる昇塔を防止するように蛇昇塔防止シート7を貼付することが好ましい。
【0045】
次に、トライアングル工法における蛇昇塔防止シートの貼付方法の詳細について説明する。本実施形態では、蛇昇塔防止シート7に仮止め機能を付加することによって、蛇昇塔防止シート7と主塔柱1との間の空気混入を防ぎ、さらに蛇昇塔防止シート7の貼付する際の位置決め作業の容易化および貼付作業の効率化を図る。以下、図10〜図13を参照して詳細を説明する。
【0046】
図10は、主塔柱1のエッジ部4および6に貼付する蛇昇塔防止シートの裏面(離型紙の面)を示す図であり、図11は、アングル主塔柱1の山側折曲部5に貼付する蛇昇塔防止シートの裏面を示す図である。
【0047】
図10に示すように、エッジ用蛇昇塔防止シート7aの離型紙は、長手方向に3分割されている。ここでは、中央の離型紙を中央部とし、その両側の離型紙を両端部とする。中央部の離型紙17の横寸法は、アングル鋼板の厚みと等しくなるように決められ、図10では例えば10[mm]である。両端部の離型紙16および18の横寸法は同じであり、図10では例えば20[mm]である。上述したように、エッジ用蛇昇塔防止シート7a全体の横寸法は、昇塔が想定される蛇の種類(大きさ)によって決められる。
【0048】
図11に示すように、折曲部用蛇昇塔防止シート7bの離型紙は、長手方向に2等分に分割されている。つまり、離型紙19と離型紙20の横寸法は同じであり、図11では、それぞれ25[mm]である。エッジ用蛇昇塔防止シート7aと同様、折曲部用蛇昇塔防止シート7b全体の横寸法は、昇塔が想定される蛇の種類(大きさ)によって決められる。
【0049】
なお、エッジ用蛇昇塔防止シート7aおよび折曲部用蛇昇塔防止シート7bの縦寸法は、共に1000[mm]である。なお、図10および図11には、詳細寸法が提示されているが、これに限られるものではない。上述したように、アングル鋼板の大きさおよび昇塔が想定される蛇の大きさによって適宜調整されるものである。
【0050】
図12は、エッジ用蛇昇塔防止シート7aの貼付方法を示す図である。図12に示すように、エッジ用蛇昇塔防止シート7aの貼付方法の第1工程では、中央部の離型紙17をエッジ用蛇昇塔防止シート7aから剥離し、剥離することによって露出した接着面(感圧接着剤層9)を主塔柱1のエッジ部6の厚み面に貼付する。第1の工程によって、主塔柱1に対するエッジ用蛇昇塔防止シート7aの位置決め(仮止め)が完了する。第2工程では、離型紙16または離型紙18のいずれかをエッジ用蛇昇塔防止7aシートから剥離する。そして、離型紙を剥離することによって露出した接着面を主塔柱1の表面に沿って貼付する。第3工程では、離型紙16または離型紙18の他方をエッジ用蛇昇塔防止シート7aから剥離する。そして、離型紙を剥離することによって露出した接着面を主塔柱の表面に沿って貼付する。以上により、エッジ用蛇昇塔防止シート7aの貼付が完了する。
【0051】
図13は、折曲部用蛇昇塔防止シート7bの貼付方法を示す図である。図13に示すように、折曲部用蛇昇塔防止シート7bの貼付方法の第1工程では、離型紙19または離型紙20のいずれかを折曲部用蛇昇塔防止シート7bから剥離する。そして、離型紙を剥離することによって露出した接着面を主塔柱1の表面に貼付する。このとき、折曲部用蛇昇塔防止シート7bの長手方向に伸びる中心線が、主塔柱1の山側の折り曲げ線上に位置するように折曲部用蛇昇塔防止シート7bを貼付する。この第1工程によって、主塔柱1に対する折曲部用蛇昇塔防止シート7bの位置決めが完了する。第2工程では、他方の離型紙を剥離し、剥離することによって露出した接着面を主塔柱1の表面部に沿って貼付する。以上により、折曲部用蛇昇塔防止シート7bの貼付が完了する。
【0052】
図14は、第2の実施形態におけるトライアングル工法を説明するための図である。第2の実施形態では、図14に示すように、鉄塔の主塔柱1および補助塔柱2の両方に蛇昇塔防止シートを貼付する。なお、第2の実施形態では、補助塔柱2の山側折曲部22が上向きとなるように(上方から見て山折りとなるように)主塔柱1に接続されている鉄塔を想定する。
【0053】
第2の実施形態において各塔柱1および2に貼付される蛇昇塔防止シート7は、第1の実施形態と同じものが使用される。また、山側折曲部22が上向きとなるように補助塔柱2が主塔柱1に接続されている場合には、蛇が補助塔柱2を昇塔する場合の運動パターンは、主塔柱1を昇塔する場合と同様である。したがって、補助塔柱2に関しても主塔柱1と同様、上述のトライアングル工法によって蛇昇塔防止シートが貼付される。つまり、補助塔柱2のエッジ部21および23ならびに山側折曲部22の3カ所に蛇昇塔防止シートが貼付される。なお、第2の実施形態において、蛇昇塔防止シート7の貼付方法は、第1の実施形態と同じである。
【0054】
また、蛇昇塔防止シートの横寸法および縦寸法は、第1の実施形態と同様、昇塔が想定される蛇の種類(大きさ)によって決められる。ここで、主塔柱1に対して貼付する蛇昇塔防止シートと補助塔柱2に対して貼付する蛇昇塔防止シートとを同じサイズにする場合、補助塔柱2は主塔柱1よりもサイズが小さいので、蛇昇塔防止シートが貼付されていない部分の面積は、補助塔柱2の方が主塔柱1よりも小さくなる。そのため、上記の場合には、蛇にとっては補助塔柱2の方が主塔柱1よりも昇塔が困難になる。
【0055】
また、補助塔柱2に貼付される場合、蛇昇塔防止シートは、主塔柱1と補助塔柱2との接続部(補助塔柱2の端部)から蛇昇塔防止シート7の下端部までの距離が所定距離以上となる位置に貼付されることが好ましい。蛇が、上記連結部から頭部を伸ばし、補助塔柱2に貼付された蛇昇塔防止シート7よりも上方で補助塔柱2を身体で挟み込んで昇塔する可能性があるからである。上記所定距離は、第1の実施形態と同様、昇塔が想定される蛇の種類(大きさ)によって決められる。例えばアオダイショウの場合であれば、連結部から蛇昇塔防止シート7の下端部までの距離を1000[mm]以上とすることによって、蛇の昇塔を防止できる。
【0056】
また、鉄塔の全ての補助塔柱に蛇昇塔防止シートを貼付しなくてもなく、必要な箇所にのみ蛇昇塔防止シートを貼付してもよい。蛇昇塔防止シートは、蛇の昇塔ルートとなる補助塔柱に貼付されればよい。例えば、図14に示すように、主塔柱1に対して蛇昇塔防止シートが貼付されている場所と下部架台3との間で補助塔柱2が接続されている場合、この補助塔柱2には蛇昇塔防止シートを貼付することが効果的である。また、例えば、主塔柱1に貼付された蛇昇塔防止シートよりも上方の場所で補助塔柱2が接続されている場合であっても、当該補助塔柱2に蛇昇塔防止シートを貼付することも有効である。なぜなら、総体的に蛇は、傾斜が急な主塔柱1のみを伝って鉄塔を昇塔することは難しく、本能的に、傾斜が緩やかな補助塔柱2を昇塔しようとするからである。主塔柱1に貼付された蛇昇塔防止シートよりも上方の場所で接続される補助塔柱2に蛇昇塔防止シートを貼付しておけば、万一、主塔柱1に貼付された蛇昇塔防止シートを蛇が超越したとしても、補助塔柱2において蛇の昇塔を防止することができる。
【0057】
なお、上記第2の実施形態では、主塔柱1および補助塔柱2の両方に蛇昇塔防止シートを貼付するようにしたが、補助塔柱2のみに蛇昇塔防止シートを貼付してもよい。この場合でも、蛇の昇塔を防止することが可能である。
【0058】
図15は、第3の実施形態におけるトライアングル工法を説明するための図である。第3の実施形態では、図15に示すように、鉄塔の主塔柱1および補助塔柱2の両方に蛇昇塔防止シートを貼付する。なお、第3の実施形態が第2の実施形態と異なる点は、山側折曲部22が下向きとなるように(上方から見て谷折りとなるように)補助塔柱2が主塔柱1に接続されている点である。鉄塔に降った雨水を排水するために補助塔柱2に雨受け(雨とい)機能を持たせることを目的として、図15に示すような構成が採用されることがある。
【0059】
図16は、第3の実施形態において蛇が補助塔柱2を昇塔する様子を示す図である。なお、図16は、上から鉄塔の一部を見た図である。第3の実施形態においては、図16に示すように、蛇は、断面L字型のアングルである補助塔柱2の各面のうちで、上方向を向く内側の面上を昇塔する可能性がある。すなわち、蛇は、補助塔柱2のエッジ部21を挟むとともに、補助塔柱2の折曲部の谷側の面(以下、「谷側折曲部」と呼ぶ。)24に身体を押しつけて、身体を支持する。
【0060】
そこで、第3の実施形態では、トライアングル工法として、図17に示すように蛇昇塔防止シート7を貼付する。図17は、第3の実施形態におけるトライアングル工法によって蛇昇塔防止シートを貼付した補助塔柱2の断面図である。図17に示すように、補助塔柱2のエッジ部21および23の2カ所にエッジ用蛇昇塔防止シート7aを貼付するとともに、谷側折曲部24に裏面用蛇昇塔防止シート7cを貼付する。なお、第3の実施形態では、蛇が山側折曲部を使って昇塔することはあり得ないので、山側折曲部に蛇昇塔防止シートを貼付する必要はない。また、第3の実施形態において、蛇昇塔防止シート7の貼付位置および寸法は、第2の実施形態と同じである。
【0061】
また、裏面用蛇昇塔防止シート7cは、折曲部用蛇昇塔防止シート7bと同様の方法で補助塔柱2に貼付することができる。すなわち、裏面用蛇昇塔防止シート7cの離型紙は、図11と同様、長手方向に2等分に分割されている。貼付する際の第1工程では、2つに分割されている離型紙のいずれか一方を裏面用蛇昇塔防止シート7cから剥離する。そして、離型紙を剥離することによって露出した接着面を補助塔柱2の谷側折曲部24に貼付する。このとき、裏面用蛇昇塔防止シート7cの長手方向に伸びる中心線が、折曲部の谷側の面の折り曲げ線に位置するように裏面用蛇昇塔防止シート7cを貼付する。この第1工程によって、補助塔柱2に対する裏面用蛇昇塔防止シート7cの位置決めが完了する。第2工程では、他方の離型紙を剥離し、剥離することによって露出した接着面を補助塔柱の他方裏面に沿って貼付する。以上により、裏面用蛇昇塔防止シート7cの貼付が完了する。
【0062】
図18は、第4の実施形態におけるトライアングル工法を説明するための図である。第4の実施形態では、図18に示すように、鉄塔の主塔柱25および補助塔柱26は円柱形状である。第4の実施形態では、円柱形状の塔柱で構成される鉄塔に対してトライアングル工法を適用する。
【0063】
蛇は、円柱状の塔柱であっても、塔柱の中心軸が重力方向に対してある程度傾いていれば、昇塔することが可能である。具体的には、蛇は、断面が円形の塔柱の上側部分を身体で挟んで昇塔することがわかった。
【0064】
したがって、円柱状の塔柱への蛇の昇塔を防止するためには、図19に示すように蛇昇塔防止シート7を貼付すればよい。図19は、第4の実施形態におけるトライアングル工法によって蛇昇塔防止シート7を貼付した主塔柱25の断面図である。図19に示すように、円柱状の主塔柱25に対してトライアングル工法が適用される場合、蛇昇塔防止シート7は、主塔柱25の上方部分27および側方部分28および29の3カ所に貼付される。上方部分27は、具体的には、主塔柱25の中心軸と重力方向とを含む面S1が主塔柱25の側面に交わる部分のうち、上側の部分である。また、側方部分28および29は、中心軸を含みかつ上記面S1に垂直な面S2が主塔柱25の側面に交わる2カ所部分である。蛇昇塔防止シート7は、少なくとも上方部分27および側方部分28および29を含む3カ所に貼付される。これによって、蛇は、主塔柱25を挟み込むことができず、主塔柱25に身体を支持することができなくなるので、蛇の昇塔を防止することができる。
【0065】
なお、蛇は主塔柱25の上側部分を使って昇塔する。したがって、側方部分28および29に貼付される蛇昇塔防止シート7は、図19に示すように、側方部分28および29ではなく、側方部分28および29からやや上側にずれた位置を中心とするように貼付されることが好ましい。
【0066】
なお、図19では、主塔柱25に蛇昇塔防止シート7を貼付する場合を示したが、補助塔柱26に蛇昇塔防止シート7を貼付する場合も同様である。また、上述した第1および第2の実施形態と同様、想定される蛇の昇塔ルートに合わせて、主塔柱25および補助塔柱26のいずれか一方にのみ蛇昇塔防止シートを貼付するようにしてもよい。
【0067】
また、断面L字型の塔柱のエッジ部および折曲部に代えて、断面円形の塔柱の上方部分および側方部分に蛇昇塔防止シートを貼付する点以外の点(蛇昇塔防止シート7の寸法、蛇昇塔防止シート7を貼付する高さ方向に関する位置等)は、第1から第3の実施形態と同じである。
【0068】
第5の実施形態は、電柱における蛇昇塔防止シートの設置方法である。
【0069】
図20を参照しながら、第5の実施形態における蛇が登はんする対象となる電柱の構成について説明する。電柱30は、一般的に直径約300[mm]の円柱形状の構造体で、地面に対して略垂直に設置されている。電柱30の頂上付近には、碍子を介在させて送電線が接続されている。電気工事等の作業員は、送電線の修理や点検等のために電柱30を登はんする必要がある。そのため、電柱30には、母線33上に複数の昇降金具31が等間隔で取り付けられ、電柱中心軸に対して当該母線33の反対側の母線上34にも複数の昇降金具32が等間隔で取り付けられている。昇降金具31及び32は、棒状であり、電柱30から垂直に突出している。母線上33の昇降金具31は、約900[mm]間隔で設置され、反対側の昇降金具32も同様の間隔で設置されている。一方の母線33の昇降金具31と他方の母線34の昇降金具32とは、段違いに配置されている。一方の母線33の昇降金具31と他方の母線34の昇降金具32との高さ方向に関する間隔は、約450[mm]である。昇降金具は、電柱30に設けられた篏挿穴に篏挿させることによって電柱30に固定され、脱着可能となっている。
【0070】
次に、蛇が電柱を登はんする場合の運動について説明する。本出願発明者による研究の結果、蛇は、鉄塔と同様に電柱においても、身体を巻きつけながら登はんするのではなく、昇降金具に身体を固定させながら蛇行して登はんすることが発見された。当該研究によると、蛇が電柱を登はんする運動パターンは、図20から図21に示す2つのパターンであることが判明した。以下、図20から図21を参照して、電柱への蛇の登はん運動の詳細について説明する。
【0071】
図20は、電柱30への第1の登はん運動パターンを示す図である。第1の登はん運動パターンでは、地面から昇降金具31に辿り着いた蛇は、昇降金具31に身体を引っ掛け、身体を固定させ、斜め上方の昇降金具32へ頭部を伸ばす。次の昇降金具32に頭部が到達すれば、その昇降金具32に頭部側の身体を引っ掛け固定し、下方側の身体を引き上げる。以後、当運動を繰り返すことにより、蛇は電柱を登はんしていく。
【0072】
図21は、電柱30への第2の登はん運動パターンを示す図である。電柱30への第2の登はん運動は、いずれか一方の母線上の昇降金具を伝って登はんするパターンである。地面から昇降金具31に辿り着いた蛇は、昇降金具31に身体を引っ掛け、身体を固定させて、真上方向の昇降金具31に頭部を伸ばす。真上方向の昇降金具31までの距離は、約900[mm]あるため、平均サイズの蛇の身体半分程度は、電柱30に固定されていない状態となる。そのため、蛇は、直線的に頭部を伸ばして真上方向の昇降金具31に到達させることができない。したがって、蛇は、蛇行しながら腹板を電柱表面の微細な凹凸部に引っ掛け、折れ曲がっている身体を徐々に伸ばしてゆく。頭部が、次の昇降金具31に到達すれば、昇降金具31に身体を引っ掛け、身体を固定させて、下方側の身体を引き上げる。以後、当該運動を繰り返すことにより、蛇は電柱を登はんしていく。
【0073】
蛇は、上記の2つの登はん運動パターンを組み合わせながら電柱を登はんしてゆく。
【0074】
以上のように、蛇の電柱への登はん運動パターンが特定できたことから、電柱の適切な部分にのみ蛇昇塔防止シート7を貼付することによって、蛇の登はんを防止でき、そのうえ、貼付作業の簡易化および効率化が実現できる。以下、その詳細を説明する。
【0075】
電柱30への蛇の登はんを防止するためには、まず、蛇昇塔防止シート7を貼付する所定範囲内において、いずれか一方の母線上の昇降金具を少なくとも1本外す。昇降金具を外した所定範囲においては、第1の登はん運動パターンによる蛇の登はんを防止することができる。
【0076】
さらに、図22に示すように、直近する2つの昇降金具31を結ぶ線分Lの両側に、蛇昇塔防止シート7をそれぞれ貼付する。なお、直近する2つの昇降金具は、昇降金具が外された母線とは異なる母線上に取り付けられた昇降金具である。また、当該2つの昇降金具のうちの一方は、昇降金具が外された位置の斜め上方に取り付けられた昇降金具であり、他方は当該位置の斜め下方に取り付けられた昇降金具である。
【0077】
蛇昇塔防止シート7の貼付位置は、昇塔防止シート7が線分Lの方向に関して線分L以上の長さを有するように昇塔防止シート7が貼付されることが好ましい。つまり、電柱30の長手方向に関して、昇塔防止シート7は、上記2つの昇降金具31を含む範囲に貼付される。例えば、2つの昇降金具31の設置間隔が900[mm]であるとすれば、長さが900[mm]以上である蛇昇塔防止シートを用いればよい。すなわち、蛇昇塔防止シート7の縦寸法は、直近する昇降金具の設置間隔に応じて適時変更される。また、図22では、昇塔防止シート7は昇降金具31に接するように貼付されているが、昇塔防止シート7と昇降金具31とは必ずしも接していなくてもよい。なお、図22では、線分L上には蛇昇塔防止シート7が貼付されないこととなるが、蛇は直線的に頭部を伸ばさないので貼付しなくても構わない。
【0078】
また、蛇昇塔防止シート7の横寸法は、長い(幅が広い)方が好ましいが、アオダイショウが昇塔することを想定する場合には、上記第1〜第4の実施形態と同様、50[mm]程度でよい。なお、上述した第2の登はん運動パターンを考慮すれば、蛇昇塔防止シート7の横寸法は、電柱の周の1/4の長さよりも長くする必要はない。
【0079】
また、上記第1の実施形態と同様、地面から蛇昇塔防止シート7の下端部までの距離は、登はんが予想される蛇の体長によって決められる所定距離以上となることが好ましい。また、第5の実施形態においては、人の背丈程度の高さに蛇昇塔防止シート7を貼付した場合には、人の所有物(例えば、傘等)や車などが蛇昇塔防止シート7と接触することによって蛇昇塔防止シート7が剥離したり破損したりするおそれがある。したがって、蛇昇塔防止シート7の下端が地上から2000[mm]以上の高さとなる位置に貼付することがより好ましい。
【0080】
なお、蛇昇塔防止シート7の離型紙は、上記第1〜第4の実施形態と同様、一部が剥離できるように分割されていることが好ましい。
【0081】
なお、第5の実施形態において1本の電柱に対して複数箇所に蛇昇塔防止シート7を貼付してもよい。例えば、地上からの登はんを防止するために、地上から数メートルの位置に蛇昇塔防止シート7を貼付するとともに、電柱に隣接する樹木または構造物からの登はんを防止するために、樹木等が隣接する位置(または当該部分よりも上方の位置)に蛇昇塔防止シート7を貼付するようにしてもよい。つまり、蛇が登はんするルートが複数存在する場合には、全てのルートによる登はんを防止するように蛇昇塔防止シート7を貼付することが好ましい。
【0082】
以上に説明した第5の実施形態によれば、上記第1および第2の登はん運動パターンによる蛇の登はんを防止することができる。
【0083】
図23は、第6の実施形態におけるトライアングル工法を説明するための図である。第6の実施形態では、第5の実施形態において説明した2カ所の位置に加え、第5の実施形態において昇降金具32が外された位置に蛇昇塔防止シート7を貼付する。なお、第5の実施形態により蛇昇塔防止シート7が貼付されていても、蛇が電柱の側面を身体で挟み込んで登はんする場合には、登はんを完全には防止できないおそれがある。そこで、第6の実施形態では、昇降金具が外された方の母線上にも蛇昇塔防止シー7dを貼付することによって、蛇が電柱の側面を挟めなくして登はんをより確実に防止する。
【0084】
図23に示すように、第6の実施形態では、昇降金具が外された方の母線34上に母線34から両側に等しい幅で蛇昇塔防止シート7dが貼付される。なお、蛇昇塔防止シート7dは、第5の実施形態と同様に貼付される蛇昇塔防止シート7と同じ高さ、および、同じ長さとなるように貼付される。
【0085】
また、蛇昇塔防止シート7dの横寸法は、長い(幅が広い)方が好ましいが、アオダイショウが昇塔することを想定する場合には、上記第1〜第5の実施形態と同様、50[mm]程度でよい。なお、上述した第2の登はん運動パターンを考慮すれば、蛇昇塔防止シート7dの横寸法は、電柱の周の1/2の長さよりも長くする必要はない。
【0086】
なお、第6の実施形態におけるトライアングル工法の電柱への貼付箇所及び貼付箇所数は、第5の実施形態と同様である。
【産業上の利用可能性】
【0087】
本発明は、送電鉄塔および電柱への蛇の登はんを防止すること等を目的として、送電鉄塔および電柱に対する蛇昇塔防止シートを貼付するために利用することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0088】
【図1】送電鉄塔の一般的な構成を表わす正面図
【図2】蛇がアングルの一方のエッジ部を支点にして鉄塔への昇塔運動を表わす斜視図
【図3】蛇がアングルの折曲部を支点にして鉄塔への昇塔運動を表わす斜視図
【図4】蛇がアングルの一方エッジ部と他方エッジ部を身体で挟み鉄塔への昇塔運動を表わす斜視図
【図5】蛇がアングルの折曲部と一方エッジ部を身体で挟み鉄塔への昇塔運動を表わす斜視図
【図6】蛇昇塔防止シート側部断面図
【図7】蛇の腹板が蛇昇塔防止シートには契合しない様子を表わす側面図
【図8】主塔柱への蛇昇塔防止シートの貼付位置を表わす正面図
【図9】主塔柱および山側が谷側に対して上になる補助塔柱への蛇昇塔防止シートの貼付位置を表わす断面図
【図10】エッジ用蛇昇塔防止シート裏面の離型紙を表わす平面図
【図11】折曲部用蛇昇塔防止シート裏面の離型紙を表わす平面図
【図12】エッジ用蛇昇塔防止シートの貼付方法の実施を表わす斜視図
【図13】折曲部用蛇昇塔防止シートの主塔柱および山側が谷側に対して上になる補助塔柱への貼付方法の実施を表わす斜視図
【図14】主塔柱および山側が谷側に対して上になる補助塔柱への蛇昇塔防止シートの貼付位置を表わす正面図
【図15】主塔柱および山側が谷側に対して下になる補助塔柱への蛇昇塔防止シートの貼付位置を表わす正面図
【図16】蛇が山側が谷側に対して下になる補助塔柱を伝って鉄塔を昇塔する様子を表わす上面図
【図17】山側が谷側に対して下になる補助塔柱への蛇昇塔防止シートの貼付位置を表わす断面図
【図18】円柱形状の塔柱で構成された鉄塔の補助塔柱への蛇昇塔防止シートの貼付位置を表わす斜視図
【図19】円柱形状の塔柱への蛇昇塔防止シートの貼付位置を表わす断面図
【図20】蛇が電柱の第1母線並びに第2母線に設置されている昇降金具を交互に伝わりながら電柱への登はん運動を表わす正面図
【図21】蛇が電柱の第1母線上の昇降金具を伝わりながら電柱への登はん運動を表わす正面図
【図22】電柱の第1母線上の直上下の昇降金具間の両端に貼付される蛇昇塔防止シートの貼付位置を示す電柱正面図
【図23】電柱の蛇昇塔防止シートの貼付位置を示す電柱断面図
【図24】送電鉄塔の構造を表わす概略正面図
【図25】蛇による送電システムの短絡を表わす概略正面図
【符号の説明】
【0089】
1 主塔柱
2 補助塔柱
3 下部架台
4 主塔柱右エッジ
5 主塔柱山側折曲部
6 主塔柱左エッジ
7 蛇昇塔防止シート
7a エッジ用蛇昇塔防止シート
7b 折曲部用蛇昇塔防止シート
7c 裏面用蛇昇塔防止シート
7d 他方の母線用蛇昇塔防止シート
16 エッジ用蛇昇塔防止シート左側離型紙
17 エッジ用蛇昇塔防止シート中央部離型紙
18 エッジ用蛇昇塔防止シート右側離型紙
19 折曲部用蛇昇塔防止シート左側離型紙
20 折曲部用蛇昇塔防止シート右側離型紙
21 補助塔柱右エッジ部
22 補助塔柱折曲部
23 補助塔柱左エッジ部
24 補助塔柱谷側折曲部
25 円柱形状主塔柱
26 円柱形状補助塔柱
27 上方部分
28 左側方部分
29 右側方部分
30 電柱
31 一方の母線上の昇降金具
32 他方の母線上の昇降金具
33 一方の母線
34 他方の母線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
断面L字型の塔柱を有する送電鉄塔に対する蛇昇塔防止シートの貼付方法であって、
前記蛇昇塔防止シートは、表面に半球状の突起を有しており、
前記塔柱の長手方向に関する所定範囲において、当該塔柱の幅方向の両端部、および、折曲部分の山側部に蛇昇塔防止シートを貼付することを特徴とする、蛇昇塔防止シートの貼付方法。
【請求項2】
前記送電鉄塔は、地面に接続される複数の主塔柱と、当該複数の主塔柱を接続する補助塔柱とを有し、
少なくとも前記主塔柱の前記所定範囲に前記蛇昇塔防止シートを貼付することを特徴とする、請求項1に記載の貼付方法。
【請求項3】
前記送電鉄塔は、地面に接続される複数の主塔柱と、折曲部分の山側が谷側に対して上になるように設置され、当該複数の主塔柱を接続する補助塔柱とを有し、
少なくとも前記補助塔柱の前記所定範囲に前記蛇昇塔防止シートを貼付することを特徴とする、請求項2に記載の貼付方法。
【請求項4】
断面L字型の塔柱を有する送電鉄塔に対する蛇昇塔防止シートの貼付方法であって、
前記蛇昇塔防止シートは、表面に半球状の突起を有しており、
折曲部分の山側が谷側に対して下になるように設置される塔柱の長手方向に関する所定範囲において、当該塔柱の幅方向の両端部、および、折曲部分の谷側部に蛇昇塔防止シートを貼付することを特徴とする、蛇昇塔防止シートの貼付方法。
【請求項5】
円柱形状の塔柱を有する送電鉄塔に対する蛇昇塔防止シートの貼付方法であって、
前記蛇昇塔防止シートは、表面に半球状の突起を有しており、
地面に対して鉛直上向き方向よりも傾いて設置される塔柱の長手方向に関する所定範囲において、当該塔柱の上方部分および側方部分に蛇昇塔防止シートを貼付することを特徴とする、蛇昇塔防止シートの貼付方法。
【請求項6】
円柱形状の塔柱に対する蛇昇塔防止シートの貼付方法であって、
前記蛇昇塔防止シートは、表面に半球状の突起を有しており、
前記塔柱の1本の母線上には複数の昇降金具が取り付けられており、
直近するいずれか2つの昇降金具を結ぶ線分の両側に前記蛇昇塔防止シートを貼付することを特徴とする、蛇昇塔防止シートの貼付方法。
【請求項7】
前記所定範囲において、塔柱の中心軸に対して前記線分の反対側の側面にさらに蛇昇塔防止シートを貼付することを特徴とする、請求項6に記載の蛇昇塔防止シートの貼付方法。
【請求項8】
前記蛇昇塔防止シートの接着面には、複数に分割された離型紙が接着されており、
前記複数の離型紙のうちの一部を剥離する工程と、剥離することによって露出した接着面を前記塔柱に接着する工程とを繰り返すことによって前記蛇昇塔防止シートを貼付する、請求項1から請求項7のいずれかに記載の貼付方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【公開番号】特開2008−154461(P2008−154461A)
【公開日】平成20年7月10日(2008.7.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−343602(P2006−343602)
【出願日】平成18年12月20日(2006.12.20)
【出願人】(502225442)株式会社クキ.イーアンドティー (7)
【Fターム(参考)】