説明

蛍光タンパク質キナーゼ基質

本発明は金属キレータおよびフルオロフォアを含むキナーゼセンサーに関する。当該キレータはキノリン基を含み、当該フルオロフォアはキレータとコンジュゲートしている。本発明はまた、これらのキナーゼセンサーの使用方法、ならびに当該キナーゼセンサーを含むキットに関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
本特許出願は、2006年7月7日に出願の米国特許出願第60/819,432号、および2007年1月18日に出願の米国特許出願第11/624,686号の優先権を主張し、これらの開示内容を参照により本明細書に援用する。
【0002】
発明の分野
本発明は金属キレータ、アミノ酸、およびフルオロフォアを含むキナーゼセンサーに関する。当該キレータは、キノリン基を含み、当該フルオロフォアおよびアミノ酸の両方は、キノリンとコンジュゲートしていることを特徴とする。本発明はまた、キナーゼセンサーを含むキット、ならびにこれらのキナーゼセンサーを使用する方法に関する。
【背景技術】
【0003】
発明の背景
プロテインキナーゼは、ペプチドおよびタンパク質のセリン、トレオニン、チロシン、およびヒスチジン残基に、ATP由来のリン酸基を転移させる反応を触媒する重要な種類の酵素である。キナーゼの特異性は、キナーゼ認識モチーフ、すなわちリン酸化されるアミノ酸周辺のアミノ酸残基により制御される。このリン酸化反応は生物体中において遍在して見られ、多くの細胞内シグナル伝達経路における基本的な工程である。タンパク質のリン酸化は調節プロセスにおいては重要であるが、それは言い換えると、キナーゼ阻害剤が、潜在的に多くの疾患のための非常に有益な治療薬であることを意味する。
【0004】
酵素反応機構や生物学的システムなどの基本的な研究から、薬物のスクリーニングに至るまでの、キナーゼ活性のリアルタイム測定用の、高感度かつ適用範囲の広い測定方法が、生物科学の研究者から強く望まれている。従来行われている分析方法では、放射性物質(例えば32P)を利用するものであるが、それは高価であり、また危険性もあり、更にその処理において様々な課題を生じさせる。キナーゼに関する他の研究方法では、蛍光が使用される。一般に、現在用いられている蛍光定量方法は放射能の利用よりも安全ではあるが、シグナル対ノイズ比を識別する程の十分な明るさはない。更に、アッセイ環境中の蛍光バックグラウンドの存在は、正確な蛍光測定の妨げとなることもある。
【0005】
米国特許第6,906,104号(特許文献1)は、以下の構造:

を有する、キナーゼ検出用のスルホンアミド置換キノリン化合物を開示している。スルホンアミド置換キノリン化合物は安全かつ高感度であるにもかかわらず、輝度が低いという問題点が存在する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】米国特許第6,906,104号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
高い輝度および感度を示すと共に、キナーゼ活性の測定に正確かつ信頼性が高いシグナルを提供できる安全なキナーゼアッセイに対するニーズが存在する。例えば、理想的なフルオロフォアの使用により、十分なシグナル対ノイズで光を生じさせ、また当該光が、細胞可溶化物、生細胞および候補薬剤化合物およびライブラリから通常生じるバックグラウンド蛍光の波長から、赤色側にシフトした光であることを特徴とする、蛍光キナーゼアッセイに対するニーズが存在する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、改良型のキナーゼセンサーの提供に関する。本発明の一実施形態では、金属キレータ、1つまたは複数のアミノ酸、およびフルオロフォアを含むキナーゼセンサーの提供に関する。当該キレータはキノリン基を含み、フルオロフォアおよびアミノ酸の両方が当該キノリン基とコンジュゲートしている。
【0009】
更に他の具体的実施形態では、当該1つまたは複数のアミノ酸は、キナーゼ基質を含む。
【0010】
更に他の具体的実施形態では、当該キノリン基は、ヒドロキシ基、アミノ基、アミド基、スルホンアミド基またはチオール基により置換されている。
【0011】
更に他の具体的実施形態では、当該キノリン基は、マグネシウムをキレート化する。
【0012】
更に他の具体的実施形態では、当該フルオロフォアは、ダンシル、キサンテン、シアニン、ボラポリアザインダセン、ピレン、ナフタレン、クマリン、オキサジン、およびその誘導体からなる群から選択される。より詳細には、当該フルオロフォアは、クマリン、キサンテンまたはその誘導体である。
【0013】
更に他の具体的実施形態では、当該キナーゼ基質はペプチドである。より詳細には、当該ペプチドは、キナーゼ認識部位と、キナーゼによってリン酸化される、セリン、トレオニンまたはチロシンから選択される少なくとも1つのアミノ酸残基とを含む。
【0014】
本発明の他の実施形態は、以下の式を有するキナーゼセンサー、またはその互変異性体、立体異性体、もしくは塩の提供に関する:

式中、R1はH、アルキル、置換アルキル、アルコキシ、置換アルコキシ、アシル、アシルアミノ、アシルオキシ、アミノ、置換アミノ、アミノカルボニル、アミノチオカルボニル、アミノカルボニルアミノ、アミノチオカルボニルアミノ、アミノカルボニルオキシ、アミノスルホニル、アミノスルホニルオキシ、アミノスルホニルアミノ、アミジノ、カルボキシル、カルボキシルエステル、(カルボキシルエステル)アミノ、(カルボキシルエステル)オキシ、シアノ、ハロ、ヒドロキシ、ニトロ、SO3H、スルホニル、置換スルホニル、スルホニルオキシ、チオアシル、チオール、アルキルチオ、置換アルキルチオ、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、シクロアルキル、置換シクロアルキル、ヘテロシクリルまたは置換ヘテロシクリルであり、
R2はフルオロフォア、H、アルキル、置換アルキル、アルコキシ、置換アルコキシ、アシル、アシルアミノ、アシルオキシ、アミノ、置換アミノ、アミノカルボニル、アミノチオカルボニル、アミノカルボニルアミノ、アミノチオカルボニルアミノ、アミノカルボニルオキシ、アミノスルホニル、アミノスルホニルオキシ、アミノスルホニルアミノ、アミジノ、カルボキシル、カルボキシルエステル、(カルボキシルエステル)アミノ、(カルボキシルエステル)オキシ、シアノ、ハロ、ヒドロキシ、ニトロ、SO3H、スルホニル、置換スルホニル、スルホニルオキシ、チオアシル、チオール、アルキルチオ、置換アルキルチオ、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、シクロアルキル、置換シクロアルキル、ヘテロシクリルまたは置換ヘテロシクリルであり、
R3はフルオロフォア、H、アルキル、置換アルキル、アルコキシ、置換アルコキシ、アシル、アシルアミノ、アシルオキシ、アミノ、置換アミノ、アミノカルボニル、アミノチオカルボニル、アミノカルボニルアミノ、アミノチオカルボニルアミノ、アミノカルボニルオキシ、アミノスルホニル、アミノスルホニルオキシ、アミノスルホニルアミノ、アミジノ、カルボキシル、カルボキシルエステル、(カルボキシルエステル)アミノ、(カルボキシルエステル)オキシ、シアノ、ハロ、ヒドロキシ、ニトロ、SO3H、スルホニル、置換スルホニル、スルホニルオキシ、チオアシル、チオール、アルキルチオ、置換アルキルチオ、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、シクロアルキル、置換シクロアルキル、ヘテロシクリルまたは置換ヘテロシクリルであり、
R4はフルオロフォア、H、アルキル、置換アルキル、アルコキシ、置換アルコキシ、アシル、アシルアミノ、アシルオキシ、アミノ、置換アミノ、アミノカルボニル、アミノチオカルボニル、アミノカルボニルアミノ、アミノチオカルボニルアミノ、アミノカルボニルオキシ、アミノスルホニル、アミノスルホニルオキシ、アミノスルホニルアミノ、アミジノ、カルボキシル、カルボキシルエステル、(カルボキシルエステル)アミノ、(カルボキシルエステル)オキシ、シアノ、ハロ、ヒドロキシ、ニトロ、SO3H、スルホニル、置換スルホニル、スルホニルオキシ、チオアシル、チオール、アルキルチオ、置換アルキルチオ、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、シクロアルキル、置換シクロアルキル、ヘテロシクリルまたは置換ヘテロシクリルであり、
R5はフルオロフォア、H、アルキル、置換アルキル、アルコキシ、置換アルコキシ、アシル、アシルアミノ、アシルオキシ、アミノ、置換アミノ、アミノカルボニル、アミノチオカルボニル、アミノカルボニルアミノ、アミノチオカルボニルアミノ、アミノカルボニルオキシ、アミノスルホニル、アミノスルホニルオキシ、アミノスルホニルアミノ、アミジノ、カルボキシル、カルボキシルエステル、(カルボキシルエステル)アミノ、(カルボキシルエステル)オキシ、シアノ、ハロ、ヒドロキシ、ニトロ、SO3H、スルホニル、置換スルホニル、スルホニルオキシ、チオアシル、チオール、アルキルチオ、置換アルキルチオ、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、シクロアルキル、置換シクロアルキル、ヘテロシクリルまたは置換ヘテロシクリルであり、かつ
R6はフルオロフォア、H、アルキル、置換アルキル、アルコキシ、置換アルコキシ、アシル、アシルアミノ、アシルオキシ、アミノ、置換アミノ、アミノカルボニル、アミノチオカルボニル、アミノカルボニルアミノ、アミノチオカルボニルアミノ、アミノカルボニルオキシ、アミノスルホニル、アミノスルホニルオキシ、アミノスルホニルアミノ、アミジノ、カルボキシル、カルボキシルエステル、(カルボキシルエステル)アミノ、(カルボキシルエステル)オキシ、シアノ、ハロ、ヒドロキシ、ニトロ、SO3H、スルホニル、置換スルホニル、スルホニルオキシ、チオアシル、チオール、アルキルチオ、置換アルキルチオ、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、シクロアルキル、置換シクロアルキル、ヘテロシクリルまたは置換ヘテロシクリルであり、
R2、R3、R4、R5、およびR6の少なくとも1つはフルオロフォアであり、
R7はH、アルキル、置換アルキル、カルボニル、ペプチドまたは保護基であり、かつ
R8はH、アルキル、置換アルキル、カルボニル、ペプチドまたは保護基であり、
Lはリンカーであり、かつ
YはペプチドまたはHであり、
nは1から5である。
【0015】
更に他の具体的実施形態では、R4はフルオロフォアである。
【0016】
更に他の具体的実施形態では、当該フルオロフォアはダンシル、キサンテン、シアニン、ボラポリアザインダセン、ピレン、ナフタレン、クマリン、オキサジンまたはその誘導体である。
【0017】
更に他の具体的実施形態では、当該フルオロフォアはクマリン、キサンテンまたはその誘導体である。
【0018】
更に他の具体的実施形態では、フルオロフォアは以下である:

式中、R9およびR10は各々独立にハロゲン、-SO3H、置換スルホニルまたはHである。
【0019】
更に他の具体的実施形態では、Lは共有結合である。
【0020】
更に他の具体的実施形態では、YはHである。
【0021】
更に他の具体的実施形態では、R1はヒドロキシである。
【0022】
更に他の具体的実施形態では、R2、R3、R5、およびR6は全てHである。
【0023】
更に他の具体的実施形態では、R7はHまたはFMOCである。
【0024】
更に他の具体的実施形態では、R8はHである。
【0025】
更に他の具体的実施形態では、Yはペプチドである。より詳細には、当該ペプチドは、キナーゼ認識部位と、キナーゼによってリン酸化されるセリン、トレオニンまたはチロシンから選択される少なくとも1つのアミノ酸残基とを含む。
【0026】
更に他の具体的実施形態では、

で表される結合部位は、S型立体配置である。
【0027】
本発明の他の実施形態は、キナーゼセンサーの塩の提供に関する。詳細にはマグネシウムである。
【0028】
本発明の他の実施形態は、以下の式を有するキナーゼセンサー、またはその互変異性体、立体異性体、もしくは塩の提供に関する:

式中、R7はH、ペプチドまたは保護基であり、
R9はハロゲン、-SO3H、置換スルホニルまたはHであり、
R10はハロゲン、-SO3H、置換スルホニルまたはHであり、
Lはリンカーであり、かつ
YはペプチドまたはHであり、
nは1から5である。
【0029】
更に他の具体的実施形態では、Lは共有結合である。
【0030】
更に他の具体的実施形態では、YはHである。
【0031】
更に他の具体的実施形態では、R9およびR10は共にフッ素である。
【0032】
更に他の具体的実施形態では、R7はHである。
【0033】
本発明の他の実施形態は、以下の工程を含むキナーゼ活性の検出方法を提供する。
a)金属キレータ、1つまたは複数のアミノ酸、およびフルオロフォアを含むキナーゼセンサーの蛍光を測定する工程であって、当該キレータが、キノリン基を含み、当該フルオロフォアおよびアミノ酸の両方がキノリン基とコンジュゲートし、当該アミノ酸がキナーゼ認識部位とリン酸化部位を含む、工程と、
b)Mg2+、リン酸源、およびキナーゼと、キナーゼセンサーとを接触させ、キナーゼセンサーの蛍光を測定する工程と、
c)キナーゼセンサーの、非接触状態と接触状態との間の蛍光の差異を測定する工程。当該蛍光の差異はキナーゼ活性の存在を示す。
【0034】
更に他の具体的実施形態では、測定される蛍光は、蛍光の強度、励起もしくは放出波長、分布、蛍光の寿命、蛍光偏光またはそれらの組み合わせからなる群から選択される。
【0035】
本発明の他の実施形態は、以下の工程を含むキナーゼ活性の検出方法を提供する:
a)キナーゼ酵素を含むサンプルを準備する工程と、
b)当該サンプルを、金属キレータ、1つまたは複数のアミノ酸、およびフルオロフォアを含む非蛍光性のキナーゼセンサーと接触させる工程であって、当該キレータがキノリン基を含み、当該フルオロフォアおよびアミノ酸の両方がキノリン基とコンジュゲートし、当該アミノ酸がキナーゼ認識部位とリン酸化部位とを含む、工程と、
c)接触させた当該サンプルと当該キナーゼセンサーとを、キナーゼが反応するのに十分な時間インキュベートし、インキュベートサンプルを形成させる工程と、
d)当該インキュベートサンプルを適当な波長で照射し、照射サンプルを形成させる工程と、
e)当該照射サンプルを観察する工程であって、そのキナーゼ活性が、観察可能な蛍光シグナルの存在により検出される工程。
【0036】
本発明の他の実施形態は、金属キレータ、1つまたは複数のアミノ酸、およびフルオロフォアを含むキナーゼセンサーを含むキットの提供に関し、当該キレータはキノリン基を含み、当該フルオロフォアおよびアミノ酸の両方はキノリン基とコンジュゲートし、当該アミノ酸はキナーゼ認識部位とリン酸化部位とを含む。
【0037】
本発明の更なる実施形態を、以下の詳細な説明において提供する。
【発明を実施するための形態】
【0038】
発明の詳細な説明
序文
本発明は、長波長の、非常に吸収性の高いフルオロフォアを、キナーゼの基質となるペプチドに戦略的に付加し、それにより、基質ペプチドをリン酸化させたときの蛍光が変化および/または増加する。この蛍光の変化および/または増加は、フルオロフォア部分および新規に導入されたリン酸部分の両方と結合している金属イオンの介在によるものである。本発明はまた、様々に修飾することができ、それにより、多種多様なキナーゼ基質ペプチドを、標準的な固相ペプチド合成法によって容易に調製することができる。
【0039】
ゆえに本発明は、金属キレータ、1つまたは複数のアミノ酸、およびフルオロフォアを含むキナーゼセンサーの提供に関し、当該キレータはキノリン基を含み、当該フルオロフォアおよびアミノ酸の両方はキノリンとコンジュゲートしている。更に、キナーゼ基質は、アミノ酸部分を介してキノリン基とコンジュゲートしてもよい。
【0040】
定義
本発明を以下に詳細に説明するが、本発明は特定の組成物または工程段階に限定されず、適宜変更できることを注記しておく。本明細書および添付の特許請求の範囲において用いられる「ある(a)」、「ある(an)」、および「その(the)」という用語には、明記しない限り、対象となる事項が複数存在する場合も含まれる。例えば、「基質」というときは複数の基質が包含される場合もあり、「酵素」というときは複数の酵素が包含される場合もある。
【0041】
本明細書で用いられる全ての専門的用語および科学用語は、特に明記されない限り、本発明に関連する技術分野の当業者に理解されているのと同じ意味を有する。以下の用語は、本明細書に記載の発明においては、以下のように定義される。
【0042】
「アルキル」とは、1〜10の炭素原子数、好ましくは1〜6の炭素原子数の一価の飽和脂肪族ヒドロカルビル基のことを指す。この用語には、例えば直鎖状および分岐状のヒドロカルビル基(例えばメチル(CH3-)、エチル(CH3CH2-)、n-プロピル(CH3CH2CH2-)、イソプロピル((CH3)2CH-)、n-ブチル(CH3CH2CH2CH2-)、イソブチル((CH3)2CHCH2-)、sec-ブチル((CH3)(CH3CH2)CH-)、t-ブチル((CH3)3C-)、n-ペンチル(CH3CH2CH2CH2CH2-)、およびネオペンチル((CH3)3CCH2-))が包含される。
【0043】
「置換アルキル」とは、以下からなる群から選択される、1〜5個、好ましくは1〜3個、またはより好ましくは1〜2個の置換基を有するアルキル基のことを指す:アルコキシ、置換アルコキシ、アシル、アシルアミノ、アシルオキシ、アミノ、置換アミノ、アミノカルボニル、アミノチオカルボニル、アミノカルボニルアミノ、アミノチオカルボニルアミノ、アミノカルボニルオキシ、アミノスルホニル、アミノスルホニルオキシ、アミノスルホニルアミノ、アミジノ、アリール、置換アリール、アリールオキシ、置換アリールオキシ、アリールチオ、置換アリールチオ、カルボキシル、カルボキシルエステル、(カルボキシルエステル)アミノ、(カルボキシルエステル)オキシ、シアノ、シクロアルキル、置換シクロアルキル、シクロアルキルオキシ、置換シクロアルキルオキシ、シクロアルキルチオ、置換シクロアルキルチオ、シクロアルケニル、置換シクロアルケニル、シクロアルケニルオキシ、置換シクロアルケニルオキシ、シクロアルケニルチオ、置換シクロアルケニルチオ、グアニジノ、置換グアニジノ、ハロ、ヒドロキシ、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、ヘテロアリールオキシ、置換ヘテロアリールオキシ、ヘテロアリールチオ、置換ヘテロアリールチオ、ヘテロシクリル、置換ヘテロシクリル、ヘテロシクリルオキシ、置換ヘテロシクリルオキシ、ヘテロシクリルチオ、置換ヘテロシクリルチオ、ニトロ、SO3H、置換スルホニル、スルホニルオキシ、チオアシル、チオール、アルキルチオ、および置換アルキルチオ(前記置換基は本明細書で定義されるとおりである)。
【0044】
「アルコキシ」とは-O-アルキル基を指し、アルキルは本明細書で定義されるとおりである。アルコキシとしては、例えばメトキシ、エトキシ、n-プロポキシ、イソプロポキシ、n-ブトキシ、t-ブトキシ、sec-ブトキシ、およびn-ペントキシが挙げられる。
【0045】
「置換アルコキシ」とは-O-(置換アルキル)基を指し、置換アルキルは本明細書で定義されるとおりである。
【0046】
「アシル」とはH-C(O)-、アルキル-C(O)-、置換アルキル-C(O)-、アルケニル-C(O)-、置換アルケニル-C(O)-、アルキニル-C(O)-、置換アルキニル-C(O)-、シクロアルキル-C(O)-、置換シクロアルキル-C(O)-、シクロアルケニル-C(O)-、置換シクロアルケニル-C(O)-、アリール-C(O)-、置換アリール-C(O)-、ヘテロアリール-C(O)-、置換ヘテロアリール-C(O)-、ヘテロシクリル-C(O)-、および置換ヘテロシクリル-C(O)-を指し、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、シクロアルケニル、置換シクロアルケニル、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、ヘテロシクリル、および置換ヘテロシクリルは本明細書で定義されるとおりである。アシルには、「アセチル」基のCH3C(O)-が包含される。
【0047】
「アシルアミノ」基とは、-NRC(O)アルキル、-NRC(O)置換アルキル、-NRC(O)シクロアルキル、-NRC(O)置換シクロアルキル、-NRC(O)シクロアルケニル、-NRC(O)置換シクロアルケニル、-NRC(O)アルケニル、-NRC(O)置換アルケニル、-NRC(O)アルキニル、-NRC(O)置換アルキニル、-NRC(O)アリール、-NRC(O)置換アリール、-NRC(O)ヘテロアリール、-NRC(O)置換ヘテロアリール、-NRC(O)ヘテロシクリル、および-NRC(O)置換ヘテロシクリルのことを指し、式中、Rは水素またはアルキルであり、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、シクロアルケニル、置換シクロアルケニル、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、ヘテロシクリル、および置換ヘテロシクリルは、本明細書で定義されるとおりである。
【0048】
「アシルオキシ」基とは、アルキル-C(O)O-、置換アルキルC(O)O-、アルケニルC(O)O-、置換アルケニルC(O)O-、アルキニルC(O)O-、置換アルキニルC(O)O-、アリールC(O)O-、置換アリールC(O)O-、シクロアルキル-C(O)O-、置換シクロアルキル-C(O)O-、シクロアルケニル-C(O)O-、置換シクロアルケニル-C(O)O-、ヘテロアリール-C(O)O-、置換ヘテロアリール-C(O)O-、ヘテロシクリルC(O)O-、および置換ヘテロシクリルC(O)O-を指し、式中、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、シクロアルケニル、置換シクロアルケニル、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、ヘテロシクリル、および置換ヘテロシクリルは、本明細書で定義されるとおりである。
【0049】
「アミノ」とは-NH2基を指す。
【0050】
「置換アミノ」基とは-NR'R”のことを指し、式中、R'およびR”は水素、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、アリール、置換アリール、シクロアルキル、置換シクロアルキル、シクロアルケニル、置換シクロアルケニル、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、ヘテロシクリル、置換ヘテロシクリル、-SO2-アルキル、-SO2-置換アルキル、-SO2-アルケニル、-SO2-置換アルケニル、-SO2-シクロアルキル、-SO2-置換シクロアルキル、-SO2-シクロアルケニル、-SO2-置換シクロアルケニル、-SO2-アリール、-SO2-置換アリール、-SO2-ヘテロアリール、-SO2-置換ヘテロアリール、-SO2-ヘテロシクリル、および-SO2-置換ヘテロシクリルからなる群から各々独立に選択され、R'およびR”は任意に、それらと結合する窒素原子と共に、ヘテロシクリルもしくは置換ヘテロシクリル基を形成してもよく、但しR'およびR”は共に水素でなく、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、シクロアルケニル、置換シクロアルケニル、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、ヘテロシクリル、および置換ヘテロシクリルは、本明細書で定義されるとおりである。R'が水素でR”がアルキルであるとき、当該置換アミノ基は本明細書においてしばしばアルキルアミノと称される。R'およびR”がアルキルであるとき、当該置換アミノ基は本明細書においてしばしばジアルキルアミノと称される。一置換のアミノ基と称するときは、R'またはR”のいずれかが水素であるが、両方とも水素でないことを意味する。二置換のアミノ基と称するときは、R'とR”のいずれも水素でないことを意味する。
【0051】
「アミノカルボニル」は-C(O)NR10R11基のことを指し、R10およびR11は各々独立に、水素、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、アリール、置換アリール、シクロアルキル、置換シクロアルキル、シクロアルケニル、置換シクロアルケニル、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、ヘテロシクリル、および置換ヘテロシクリルからなる群から選択され、R10およびR11は任意に、それが結合する窒素原子と共に、ヘテロシクリルもしくは置換ヘテロシクリル基を形成してもよく、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、シクロアルケニル、置換シクロアルケニル、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、ヘテロシクリル、および置換ヘテロシクリルは、本明細書で定義されるとおりである。
【0052】
「アミノチオカルボニル」基とは、-C(S)NR10R11基のことを指し、R10およびR11は各々独立に、水素、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、アリール、置換アリール、シクロアルキル、置換シクロアルキル、シクロアルケニル、置換シクロアルケニル、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、ヘテロシクリル、および置換ヘテロシクリルからなる群から選択され、R10およびR11は任意に、それが結合する窒素原子と共に、ヘテロシクリルもしくは置換ヘテロシクリル基を形成してもよく、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、シクロアルケニル、置換シクロアルケニル、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、ヘテロシクリル、および置換ヘテロシクリルは、本明細書で定義されるとおりである。
【0053】
「アミノカルボニルアミノ」とは、-NRC(O)NR10R11基のことを指し、Rは水素またはアルキル基であり、R10およびR11は各々独立に、水素、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、アリール、置換アリール、シクロアルキル、置換シクロアルキル、シクロアルケニル、置換シクロアルケニル、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、ヘテロシクリル、および置換ヘテロシクリルからなる群から選択され、R10およびR11は任意に、それが結合する窒素原子と共に、ヘテロシクリルもしくは置換ヘテロシクリル基を形成してもよく、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、シクロアルケニル、置換シクロアルケニル、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、ヘテロシクリル、および置換ヘテロシクリルは、本明細書で定義されるとおりである。
【0054】
「アミノチオカルボニルアミノ」とは、-NRC(S)NR10R11基を指し、Rは水素またはアルキル基であり、R10およびR11は各々独立に、水素、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、アリール、置換アリール、シクロアルキル、置換シクロアルキル、シクロアルケニル、置換シクロアルケニル、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、ヘテロシクリル、および置換ヘテロシクリルからなる群から選択され、R10およびR11は任意に、それが結合する窒素原子と共に、ヘテロシクリルもしくは置換ヘテロシクリル基を形成してもよく、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、シクロアルケニル、置換シクロアルケニル、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、ヘテロシクリル、および置換ヘテロシクリルは、本明細書で定義されるとおりである。
【0055】
「アミノカルボニルオキシ」とは、-O-C(O)NR10R11基のことを指し、R10およびR11は各々独立に、水素、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、アリール、置換アリール、シクロアルキル、置換シクロアルキル、シクロアルケニル、置換シクロアルケニル、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、ヘテロシクリル、および置換ヘテロシクリルからなる群から選択され、R10およびR11は任意に、それが結合する窒素原子と共に、ヘテロシクリルもしくは置換ヘテロシクリル基を形成してもよく、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、シクロアルケニル、置換シクロアルケニル、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、ヘテロシクリル、および置換ヘテロシクリルは、本明細書で定義されるとおりである。
【0056】
「アミノスルホニル」とは、-SO2NR10R11基のことを指し、R10およびR11は各々独立に、水素、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、アリール、置換アリール、シクロアルキル、置換シクロアルキル、シクロアルケニル、置換シクロアルケニル、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、ヘテロシクリル、置換ヘテロシクリル基からなる群から選択され、R10およびR11は任意に、それが結合する窒素原子と共に、ヘテロシクリルもしくは置換ヘテロシクリル基を形成してもよく、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、シクロアルケニル、置換シクロアルケニル、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、ヘテロシクリル、および置換ヘテロシクリルは、本明細書で定義されるとおりである。
【0057】
「アミノスルホニルオキシ」とは、-O-SO2NR10R11基のことを指し、R10およびR11は各々独立に、水素、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、アリール、置換アリール、シクロアルキル、置換シクロアルキル、シクロアルケニル、置換シクロアルケニル、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、ヘテロシクリル、置換ヘテロシクリル基からなる群から選択され、R10およびR11は任意に、それが結合する窒素原子と共に、ヘテロシクリルもしくは置換ヘテロシクリル基を形成してもよく、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、シクロアルケニル、置換シクロアルケニル、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、ヘテロシクリル、および置換ヘテロシクリルは、本明細書で定義されるとおりである。
【0058】
「アミノスルホニルアミノ」とは、基-NR-SO2NR10R11を指し、Rは水素またはアルキル基であり、R10およびR11は各々独立に、水素、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、アリール、置換アリール、シクロアルキル、置換シクロアルキル、シクロアルケニル、置換シクロアルケニル、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、ヘテロシクリル、置換ヘテロシクリル基からなる群から選択され、R10およびR11は任意に、それが結合する窒素原子と共に、ヘテロシクリルもしくは置換ヘテロシクリル基を形成してもよく、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、シクロアルケニル、置換シクロアルケニル、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、ヘテロシクリル、および置換ヘテロシクリルは、本明細書で定義されるとおりである。
【0059】
「アミジノ」とは、-C(=NR12)R10R11基のことを指し、R10、R11、およびR12は各々独立に、水素、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、アリール、置換アリール、シクロアルキル、置換シクロアルキル、シクロアルケニル、置換シクロアルケニル、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、ヘテロシクリル、置換ヘテロシクリルからなる群から選択され、R10およびR11は任意に、それが結合する窒素原子と共に、ヘテロシクリルもしくは置換ヘテロシクリル基を形成してもよく、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、シクロアルケニル、置換シクロアルケニル、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、ヘテロシクリル、および置換ヘテロシクリルは、本明細書で定義されるとおりである。
【0060】
「アリール」または「Ar」とは、6〜14の炭素原子数の一価の芳香族炭素環基であって、単一の環(例えばフェニル)または複数の縮合環(例えばナフチルまたはアントリル)を有する基のことを意味する。当該縮合環は、芳香族であっても、または芳香族でなくてもよい(例えば2-ベンゾオキサゾリノン、2H-1,4-ベンゾキサジン-3(4H)-1-7-イルなど)が、但しその結合位置は芳香族炭素原子である。好ましいアリール基としては、フェニルおよびナフチル基が挙げられる。
【0061】
「置換アリール」とは、以下からなる群から選択される、1〜5個、好ましくは1〜3個、より好ましくは1〜2個の置換基で置換されるアリール基を指す:
アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、アルコキシ、置換アルコキシ、アシル、アシルアミノ、アシルオキシ、アミノ、置換アミノ、アミノカルボニル、アミノチオカルボニル、アミノカルボニルアミノ、アミノチオカルボニルアミノ、アミノカルボニルオキシ、アミノスルホニル、アミノスルホニルオキシ、アミノスルホニルアミノ、アミジノ、アリール、置換アリール、アリールオキシ、置換アリールオキシ、アリールチオ、置換アリールチオ、カルボキシル、カルボキシルエステル、(カルボキシルエステル)アミノ、(カルボキシルエステル)オキシ、シアノ、シクロアルキル、置換シクロアルキル、シクロアルキルオキシ、置換シクロアルキルオキシ、シクロアルキルチオ、置換シクロアルキルチオ、シクロアルケニル、置換シクロアルケニル、シクロアルケニルオキシ、置換シクロアルケニルオキシ、シクロアルケニルチオ、置換シクロアルケニルチオ、グアニジノ、置換グアニジノ、ハロ、ヒドロキシ、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、ヘテロアリールオキシ、置換ヘテロアリールオキシ、ヘテロアリールチオ、置換ヘテロアリールチオ、ヘテロシクリル、置換ヘテロシクリル、ヘテロシクリルオキシ、置換ヘテロシクリルオキシ、ヘテロシクリルチオ、置換ヘテロシクリルチオ、ニトロ、SO3H、置換スルホニル、スルホニルオキシ、チオアシル、チオール、アルキルチオ、および置換アルキルチオ(前記置換基は本明細書で定義されるとおりである)。
【0062】
「アリールオキシ」基という用語は、-O-アリールのことを指し、当該アリールは本明細書で定義されるとおりであり、例えばフェノキシおよびナフトキシなどが挙げられる。
【0063】
「置換アリールオキシ」基とは、-O-(置換アリール)のことを指し、当該置換アリールは本明細書で定義されるとおりである。
【0064】
「アリールチオ」基とは、-S-アリールのことを指し、当該アリールは本明細書で定義されるとおりである。
【0065】
「置換アリールチオ」基とは、-S-(置換アリール)のことを指し、当該置換アリールは本明細書で定義されるとおりである。
【0066】
「アルケニル」基とは、2〜6つの炭素原子数、好ましくは2〜4の炭素原子数であって、少なくとも1個の、好ましくは1〜2個のアルケニル不飽和部位を有する、アルケニル基のことを指す。そのような基としては、例えばビニル、アリル、およびブト-3-エン-1-イル基などが挙げられる。
【0067】
「置換アルケニル」基とは、以下からなる群から選択される、1〜3個の置換基、好ましくは1〜2の置換基を有するアルケニル基のことを指す:
アルコキシ、置換アルコキシ、アシル、アシルアミノ、アシルオキシ、アミノ、置換アミノ、アミノカルボニル、アミノチオカルボニル、アミノカルボニルアミノ、アミノチオカルボニルアミノ、アミノカルボニルオキシ、アミノスルホニル、アミノスルホニルオキシ、アミノスルホニルアミノ、アミジノ、アリール、置換アリール、アリールオキシ、置換アリールオキシ、アリールチオ、置換アリールチオ、カルボキシル、カルボキシルエステル、(カルボキシルエステル)アミノ、(カルボキシルエステル)オキシ、シアノ、シクロアルキル、置換シクロアルキル、シクロアルキルオキシ、置換シクロアルキルオキシ、シクロアルキルチオ、置換シクロアルキルチオ、シクロアルケニル、置換シクロアルケニル、シクロアルケニルオキシ、置換シクロアルケニルオキシ、シクロアルケニルチオ、置換シクロアルケニルチオ、グアニジノ、置換グアニジノ、ハロ、ヒドロキシ、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、ヘテロアリールオキシ、置換ヘテロアリールオキシ、ヘテロアリールチオ、置換ヘテロアリールチオ、ヘテロシクリル、置換ヘテロシクリル、ヘテロシクリルオキシ、置換ヘテロシクリルオキシ、ヘテロシクリルチオ、置換ヘテロシクリルチオ、ニトロ、SO3H、置換スルホニル、スルホニルオキシ、チオアシル、チオール、アルキルチオ、および置換アルキルチオ(前記置換基は、本明細書で定義されるとおりであるが、但しいかなるヒドロキシ置換基もビニル(不飽和)炭素原子に結合しない)。
【0068】
「アルキニル」基とは、2〜6個の炭素原子数、好ましくは2〜3個の炭素原子数であって、少なくとも1個、好ましくは1〜2個のアルキニル不飽和部位を有するアルキニル基のことを指す。
【0069】
「置換アルキニル」基とは、以下からなる群から選択される、1〜3つの置換基、好ましくは1〜2の置換基を有するアルキニル基のことを指す:
アルコキシ、置換アルコキシ、アシル、アシルアミノ、アシルオキシ、アミノ、置換アミノ、アミノカルボニル、アミノチオカルボニル、アミノカルボニルアミノ、アミノチオカルボニルアミノ、アミノカルボニルオキシ、アミノスルホニル、アミノスルホニルオキシ、アミノスルホニルアミノ、アミジノ、アリール、置換アリール、アリールオキシ、置換アリールオキシ、アリールチオ、置換アリールチオ、カルボキシル、カルボキシルエステル、(カルボキシルエステル)アミノ、(カルボキシルエステル)オキシ、シアノ、シクロアルキル、置換シクロアルキル、シクロアルキルオキシ、置換シクロアルキルオキシ、シクロアルキルチオ、置換シクロアルキルチオ、シクロアルケニル、置換シクロアルケニル、シクロアルケニルオキシ、置換シクロアルケニルオキシ、シクロアルケニルチオ、置換シクロアルケニルチオ、グアニジノ、置換グアニジノ、ハロ、ヒドロキシ、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、ヘテロアリールオキシ、置換ヘテロアリールオキシ、ヘテロアリールチオ、置換ヘテロアリールチオ、ヘテロシクリル、置換ヘテロシクリル、ヘテロシクリルオキシ、置換ヘテロシクリルオキシ、ヘテロシクリルチオ、置換ヘテロシクリルチオ、ニトロ、SO3H、置換スルホニル、スルホニルオキシ、チオアシル、チオール、アルキルチオ、および置換アルキルチオ(前記置換基は本明細書で定義されるとおりであるが、但しいかなるヒドロキシ置換基もアセチレン炭素原子に結合しない)。
【0070】
「カルボニル」基とは-C(=O)-のことを指し、二価の基-C(O)-と同等である。
【0071】
「カルボキシル」または「カルボキシ」基とは、-COOHまたはその塩のことを指す。
【0072】
「カルボキシルエステル」または「カルボキシエステル」基とは、-C(O)O-アルキル、-C(O)O-置換アルキル、-C(O)O-アルケニル、-C(O)O-置換アルケニル、-C(O)O-アルキニル、-C(O)O-置換アルキニル、-C(O)O-アリール、-C(O)O-置換アリール、-C(O)O-シクロアルキル、-C(O)O-置換シクロアルキル、-C(O)O-シクロアルケニル、-C(O)O-置換シクロアルケニル、-C(O)O-ヘテロアリール、-C(O)O-置換ヘテロアリール、-C(O)O-ヘテロシクリル、および-C(O)O-置換ヘテロシクリルのことを指し、上記アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、シクロアルケニル、置換シクロアルケニル、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、ヘテロシクリル、および置換ヘテロシクリルは、本明細書で定義されるとおりである。
【0073】
「(カルボキシルエステル)アミノ」基とは、-NRC(O)O-アルキル、置換-NRC(O)O-アルキル、-NRC(O)O-アルケニル、-NR-C(O)O-置換アルケニル、-NRC(O)O-アルキニル、-NR-C(O)O-置換アルキニル、-NRC(O)O-アリール、-NR-C(O)O-置換アリール、-NRC(O)O-シクロアルキル、-NR-C(O)O-置換シクロアルキル、-NRC(O)O-シクロアルケニル、-NRC(O)O-置換シクロアルケニル、-NRC(O)O-ヘテロアリール、-NR-C(O)O-置換ヘテロアリール、-NRC(O)O-ヘテロシクリル、および-NR-C(O)O-置換ヘテロシクリルのことを指し、式中、Rはアルキルまたは水素であり、上記アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、シクロアルケニル、置換シクロアルケニル、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、ヘテロシクリル、および置換ヘテロシクリルは、本明細書で定義されるとおりである。
【0074】
「(カルボキシルエステル)オキシ」基とは、-O-C(O)O-アルキル、置換-O-C(O)O-アルキル、-O-C(O)O-アルケニル、-O-C(O)O-置換アルケニル、-O-C(O)O-アルキニル、-O-C(O)O-置換アルキニル、-O-C(O)O-アリール、-O-C(O)O-置換アリール、-O-C(O)O-シクロアルキル、-O-C(O)O-置換シクロアルキル、-O-C(O)O-シクロアルケニル、-O-C(O)O-置換シクロアルケニル、-O-C(O)O-ヘテロアリール、-O-C(O)O-置換ヘテロアリール、-O-C(O)O-ヘテロシクリル、および-O-C(O)O-置換ヘテロシクリルのことを指し、上記アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、シクロアルケニル、置換シクロアルケニル、アリール、置換アリール、ヘテロアリールは、ヘテロアリール、置換ヘテロシクリル、および置換ヘテロシクリルは、本明細書で定義されるとおりである。
【0075】
「シアノ」基とは-CNを指す。
【0076】
「シクロアルキル」基とは、3〜10個の炭素原子数の、1つもしくは複数の環を有する環状アルキル基のことを指し、融合環、架橋環、およびスピロ環構造などが包含される。適切なシクロアルキル基の例としては、例えばアダマンチル、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、およびシクロオクチルなどが挙げられる。
【0077】
「シクロアルケニル」基とは、3〜10の炭素原子数の、1つもしくは複数の環を有し、環の中に少なくとも1個の>C=C<、好ましくは1〜2個の>C=C<を有する非芳香族の環状アルキル基のことを指す。
【0078】
「置換シクロアルキル」および「置換シクロアルケニル」基とは、以下からなる群から選択される、1〜5個、好ましくは1〜3個の置換基を有するシクロアルキルまたはシクロアルケニル基を指す:
オキソ、チオン、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、アルコキシ、置換アルコキシ、アシル、アシルアミノ、アシルオキシ、アミノ、置換アミノ、アミノカルボニル、アミノチオカルボニル、アミノカルボニルアミノ、アミノチオカルボニルアミノ、アミノカルボニルオキシ、アミノスルホニル、アミノスルホニルオキシ、アミノスルホニルアミノ、アミジノ、アリール、置換アリール、アリールオキシ、置換アリールオキシ、アリールチオ、置換アリールチオ、カルボキシル、カルボキシルエステル、(カルボキシルエステル)アミノ、(カルボキシルエステル)オキシ、シアノ、シクロアルキル、置換シクロアルキル、シクロアルキルオキシ、置換シクロアルキルオキシ、シクロアルキルチオ、置換シクロアルキルチオ、シクロアルケニル、置換シクロアルケニル、シクロアルケニルオキシ、置換シクロアルケニルオキシ、シクロアルケニルチオ、置換シクロアルケニルチオ、グアニジノ、置換グアニジノ、ハロ、ヒドロキシ、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、ヘテロアリールオキシ、置換ヘテロアリールオキシ、ヘテロアリールチオ、置換ヘテロアリールチオ、ヘテロシクリル、置換ヘテロシクリル、ヘテロシクリルオキシ、置換ヘテロシクリルオキシ、ヘテロシクリルチオ、置換ヘテロシクリルチオ、ニトロ、SO3H、置換スルホニル、スルホニルオキシ、チオアシル、チオール、アルキルチオ、および置換アルキルチオ(前記置換基は本明細書で定義されるとおりである)。
【0079】
「シクロアルキルオキシ」基とは、-O-シクロアルキルのことを指す。
【0080】
「置換シクロアルキルオキシ」基とは、-O-(置換シクロアルキル)のことを指す。
【0081】
「シクロアルキルチオ」基とは、-S-シクロアルキルのことを指す。
【0082】
「置換シクロアルキルチオ」基とは、-S-(置換シクロアルキル)のことを指す。
【0083】
「シクロアルケニルオキシ」基とは、-O-シクロアルケニルのことを指す。
【0084】
「置換シクロアルケニルオキシ」基とは、-O-(置換シクロアルケニル)のことを指す。
【0085】
「シクロアルケニルチオ」基とは、-S-シクロアルケニルのことを指す。
【0086】
「置換シクロアルケニルチオ」基とは、-S-(置換シクロアルケニル)のことを指す。
【0087】
「FMOC」または「Fmoc」とは、以下の一般式を有する化合物(またはその誘導体)を意味する。

【0088】
「グアニジノ」基とは、-NHC(=NH)NH2のことを指す。
【0089】
「置換グアニジノ」基とは-NR13C(=NR13)N(R132のことを指し、各R13は各々独立に、水素、アルキル、置換アルキル、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、ヘテロシクリル、置換ヘテロシクリルからなる群から選択され、2つのR13基は共通のグアニジノ窒素原子と結合し、任意に、それらが結合する窒素原子と共にヘテロシクリルもしくは置換ヘテロシクリル基を形成し、但し少なくとも1つのR13が水素でなく、前記置換基は本明細書で定義されるとおりである。
【0090】
「ハロ」または「ハロゲン」とは、フッ素、塩素、臭素、およびヨウ素を意味する。
【0091】
「ヒドロキシ」または「ヒドロキシル」基とは、-OHを意味する。
【0092】
「ヘテロアリール」とは、1〜10の炭素原子数であって、酸素、窒素、および硫黄からなる群から選択される1〜4個のヘテロ原子を環中に有する芳香族基のことを指す。そのようなヘテロアリール基は、単環を有してもよく(例えばピリジニルまたはフリル)または複数の縮合環を有してもよく(例えばインドリジニルまたはベンゾチエニル)、当該縮合環は芳香族性を有しても有さなくともよく、および/またはヘテロ原子を含んでもよいが、但しその結合部位は芳香族ヘテロアリール基の原子である。一実施形態では、ヘテロアリール環基の1つまたは複数の窒素原子および/または硫黄原子は、任意に酸化されてN-オキシド(N→O)、スルフィニルまたはスルホニル部分を形成してもよい。好ましいヘテロアリール基としては、ピリジニル、ピロリル、インドリル、チオフェニル、およびフラニルなどが挙げられる。
【0093】
「置換ヘテロアリール」基とは、置換アリールにおいて定義したのと同じ置換基群から選択される、1〜5個、好ましくは1〜3個、より好ましくは1〜2個の置換基で置換されたヘテロアリール基のことを指す。
【0094】
「ヘテロアリールオキシ」基とは、-O-ヘテロアリールのことを指す。
【0095】
「置換ヘテロアリールオキシ」基とは、-O-(置換ヘテロアリール)基のことを指す。
【0096】
「ヘテロアリールチオ」基とは、-S-ヘテロアリールのことを指す。
【0097】
「置換ヘテロアリールチオ」基とは、-S-(置換ヘテロアリール)のことを指す。
【0098】
「複素環」、「複素環」、「ヘテロシクロアルキル」または「ヘテロシクリル」基とは、単環または複数の縮合環(融合環、架橋環、およびスピロ環構造を含む)を有し、1〜10個の炭素原子と、窒素、硫黄または酸素からなる群から選択される1〜4個のヘテロ原子を有する、飽和もしくは不飽和基のことを指し、縮合環系中の1つまたは複数の環はシクロアルキル、アリールまたはヘテロアリールであってもよいが、但し、その結合部位は、非芳香性の環によるものである。一実施形態では、ヘテロシクリル基中の1つまたは複数の窒素および/または硫黄原子は任意に酸化され、N-オキシド、スルフィニル、スルホニル部分を形成してもよい。
【0099】
「置換複素環」、「置換ヘテロシクロアルキル」または「置換ヘテロシクリル」基とは、置換シクロアルキルにおいて定義したのと同じ、1〜5個、好ましくは1〜3個の置換基で置換されたヘテロシクリル基のことを指す。
【0100】
「ヘテロシクリルオキシ」基とは、-O-ヘテロシクリルのことを指す。
【0101】
「置換ヘテロシクリルオキシ」基とは、-O-(置換ヘテロシクリル)のことを指す。
【0102】
「ヘテロシクリルチオ」基とは、-S-ヘテロシクリルのことを指す。
【0103】
「置換ヘテロシクリルチオ」基とは、-S-(置換ヘテロシクリル)のことを指す。
【0104】
ヘテロシクリルおよびヘテロアリールの例としては、限定されないが、アゼチジン、ピロール、イミダゾール、ピラゾール、ピリジン、ピラジン、ピリミジン、ピリダジン、インドリジン、イソインドール、インドール、ジヒドロインドール、インダゾール、プリン、キノリジン、イソキノリン、キノリン、フタラジン、ナフチル・ピリジン、キノキサリン、キナゾリン、シンノリン、プテリジン、カルバゾール、カルボリン、フェナントリジン、アクリジン、フェナントロリン、イソチアゾール、フェナジン、イソオキサゾール、フェノキサジン、フェノチアジン、イミダゾリジン、イミダゾリン、ピペリジン、ピペラジン、インドリン、フタルイミド、1,2,3,4-テトラヒドロイソキノリン、4,5,6,7-テトラヒドロベンゾ[b]チオフェン、チアゾール、チアゾリジン、チオフェン、ベンゾ[b]チオフェン、モルホリニル、チオモルホリニル(チアモルホリニルとも呼ばれる)、1,1-ジオキソチオモルホリニル、ピペリジニル、ピロリジン、およびテトラヒドロフラニルなどが挙げられる。
【0105】
「ニトロ」基とは、-NO2のことを指す。
【0106】
「オキソ」基とは、原子(=O)または(-O-)のことを指す。
【0107】
「スピロシクリル」基とは、3〜10の炭素原子数の二価の飽和環基であって、以下の構造式で表されるように、スピロ結合(環中の一個の共通の原子により形成される結合)を有するシクロアルキルまたはヘテロシクリル環を有する基のことを指す。

【0108】
「スルホニル」基とは、二価の-S(O)2-のことを指す。
【0109】
「置換スルホニル」基とは、-SO2-アルキル、-SO2-置換アルキル、-SO2-アルケニル、-SO2-置換アルケニル、-SO2-シクロアルキル、-SO2-置換シクロアルキル、-SO2-シクロアルケニル、-SO2-置換シクロアルケニル、-SO2-アリール、-SO2-置換アリール、-SO2-ヘテロアリール、-SO2-置換ヘテロアリール、-SO2-ヘテロシクリル、-SO2-置換ヘテロシクリルのことを指し、上記アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、シクロアルケニル、置換シクロアルケニル、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、ヘテロシクリル、および置換ヘテロシクリルは、本明細書で定義されるとおりである。置換スルホニルとしては、例えばメチル-SO2-、フェニル-SO2-、および4-メチルフェニル-SO2-などの基が挙げられる。
【0110】
「スルホニルオキシ」基とは、-OSO2-アルキル、-OSO2-置換アルキル、-OSO2-アルケニル、-OSO2-置換アルケニル、-OSO2-シクロアルキル、-OSO2-置換シクロアルキル、-OSO2-シクロアルケニル、-OSO2-置換シクロアルケニル、-OSO2-アリール、-OSO2-置換アリール、-OSO2-ヘテロアリール、-OSO2-置換ヘテロアリール、-OSO2-ヘテロシクリル、-OSO2-置換ヘテロシクリルのことを指し、上記アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、シクロアルケニル、置換シクロアルケニル、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、ヘテロシクリル、および置換ヘテロシクリルは、本明細書で定義されるとおりである。
【0111】
「チオアシル」基とは、H-C(S)-、アルキルC(S)-、置換アルキル-C(S)-、アルケニル-C(S)-、置換アルケニル-C(S)-、アルキニル-C(S)-、置換アルキニル-C(S)-、シクロアルキル-C(S)-、置換シクロアルキル-C(S)-、シクロアルケニル-C(S)-、置換シクロアルケニル-C(S)-、アリール-C(S)-、置換アリール-C(S)-、ヘテロアリール-C(S)-、置換ヘテロアリール-C(S)-、ヘテロシクリル-C(S)-、および置換ヘテロシクリル-C(S)-のことを指し、式中、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、シクロアルケニル、置換シクロアルケニル、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、ヘテロシクリル、および置換ヘテロシクリルは、本明細書で定義されるとおりである。
【0112】
「チオール」基とは、-SHのことを指す。
【0113】
「チオカルボニル」基とは、二価の基-C(S)-のことを指し、-C(=S)-と同等である。
【0114】
「チオン」とは、原子(=S)のことを指す。
【0115】
「アルキルチオ」基とは、-S-アルキルのことを指し、当該アルキルは本明細書で定義されるとおりである。
【0116】
「置換アルキルチオ」基とは、-S-(置換アルキル)のことを指し、当該置換アルキルは本明細書で定義されるとおりである。
【0117】
ヒドロキシル基、アミン基、およびスルフヒドリル基において用いる用語「保護された」または「保護基」とは、当業者に公知の保護基を用いて、望ましくない反応からこれらの官能基を保護することを意味する。それらの保護基は例えば、Protective Groups in Organic Synthesis, Greene, T.W., Solon Wiley&Sons, New York, NY,(1st Edition, 1981)に記載されている方法を用いて付加または除去することができる。被保護ヒドロキシル基の例としては、シリルエーテル(限定されないが例えばt-ブチルジメチル-クロロシラン、トリメチルクロロシラン、トリイソプロピルクロロシラン、トリエチルクロロシラン試薬とヒドロキシル基との反応によって得られる)、メチルおよびエチル置換エーテル(限定されないが例えばメトキシメチルエーテル、メチルチオメチルエーテル、ベンジルオキシメチルエーテル、t-ブトキシメチルエーテル、2-メトキシエトキシメチルエーテル、テトラヒドロピラニルエーテル、1-エトキシエチルエーテル、アリルエーテル、ベンジルエーテル)、エステル(例えばベンゾイルギ酸エステル、ギ酸エステル、酢酸エステル、トリクロロ酢酸エステル、およびトリフルオロ酢酸エステル)などが挙げられる。被保護アミン基の例としては、ベンジルまたはジベンジルアミド(例えばホルムアミド、アセトアミド、トリフルオロアセトアミド、およびベンズアミドなど)、イミド(例えばフタルイミド、BOC(tBoc)、FMOC、およびジチオスクシンイミド)などが挙げられるが、これらに限定されない。幾つかの実施形態では、アミンの保護基はFMOC基である。被保護スルフヒドリル基の例としては、限定されないがチオエーテル(例えばS-ベンジルチオエーテルおよびS-4-ピコリルチオエーテル)、置換S-メチル誘導体(例えばヘミチオ、ジチオ、およびアミノチオアセタール)などが挙げられる。
【0118】
「立体異性体」とは、1つまたは複数の立体中心に関して対掌性の異なる化合物のことを指す。立体異性体には、鏡像異性体およびジアステレオマーが包含される。
【0119】
「互変異性体」とは、陽子の位置において異なる化合物(例えばエノール-ケトおよびイミン-エナミン互変異体)、または、環-NH-部分および環=N-部分の両方と結合する環中の原子を有する、ヘテロアリール基の互変異形態(例えばピラゾール、イミダゾール、ベンズイミダゾール、トリアゾール、およびテトラゾール)のことを指す。
【0120】
本明細書で使用される「親和性」という用語は、2つの分子(例えば金属キレート化合物および金属イオン)の結合相互作用の強さのことを意味する。
【0121】
本明細書で用いられる用語「検出可能な反応」とは、観察または測定により直接的または間接的に検出できるシグナルの発生または変化のことを指す。典型的には、当該検出可能な反応は、吸光度または蛍光の波長分布の変化、強度の変化、光散乱、蛍光寿命、蛍光偏光、またはこれらのパラメータ変化の組み合わせを生じさせる光学的反応である。あるいは、当該検出可能な反応はシグナルの発生であってもよく、その場合、色素が本来蛍光を発する性質を有し、金属イオンまたはリン酸化された標的分子への結合の際にシグナルの変化を生じさせないことを特徴とする。あるいは、当該検出可能な反応は、リン酸化された標的分子を含む本発明の三重複合体の形成により生じるシグナルの結果であってもよく、例えばサンプルのサブセット(例えば、ゲル中、ブロットまたはアレイ上、マイクロプレートのウェル中、微量の液体チャンバ内、または微小粒子上)において空間的に局在化している検出可能な標識としての発色、蛍光、放射線、または他の物理的性質などであってもよい。
【0122】
本明細書で使用される「酵素」という用語は、生物体によって産生されるタンパク質分子か、または天然のタンパク質分子の化学修飾により得られるタンパク質分子であって、反応においてそれ自体破壊されるかまたは変化することなく、他の物質の化学反応を触媒する分子のことを指す。他の物質の例としては、限定されないが、化学発光物質、発色物質、および蛍光物質またはタンパク質ベースの基質が挙げられる。
【0123】
「キナーゼセンサー」という用語は、キナーゼ活性またはその前駆体を検出および/もしくは測定できる化合物もしくは組成物のことを指す。
【0124】
本明細書で用いられる用語「フルオロフォア」とは、本来蛍光を発する性質を有するか、または生体内化合物もしくは金属イオンとの結合により蛍光変化を示す(すなわち蛍光発生的な)組成物のことを指す。当該フルオロフォアは、フルオロフォアの溶解度、分光特性または物理的性質を変化させる置換基を有してもよい。多くのフルオロフォアが当業者に公知であり、フルオレセイン、ローダミン、およびロドール(rhodol)を含むクマリン、シアニン、ベンゾフラン、キノリン、キナゾリノン、インドール、ベンズアゾール、ボラポリアザインダセン、およびキサンテン、ならびにRICHARD P.HAUGLAND, MOLECULAR PROBES HANDBOOK OF FLUORESCENT PROBES AND RESEARCH CHEMICALS(9th edition, CD-ROM, September 2002)に記載の他のフルオロフォアなどが挙げられるが、これらに限定されない。
【0125】
「リンカー」という用語は、単一の共有結合またはその他の共有結合を介して、2つの粒子を結合させることができる、C、N、O、S、およびPからなる群から選択される1〜30個の非水素原子からなる二価の部分のことを指し、共有結合によりフルオロフォア、キノリン基、およびアミノ酸を、本発明のキナーゼセンサーと結合させる役割を果たす。典型的なリンカー部分としては、-C(O)NH-、-C(O)O-、-NH-、-S-、-O-などが挙げられる。典型的なリンカーとしては、共有結合、アミノ酸、スクシンイミジル誘導体、メチンおよびアルケニル基、アルキルおよび置換アルキル基、エチレン、プロピレン、ポリエチレンおよびポリプロピレングリコール、エステル、エーテル、アミド、カルバメート、およびカルボニル含有部分(ジオン、スクアレート、アジピン酸など)、ならびにその他の基(例えばChemistry of Protein Conjugation and Cross-Linking by Susan Wongに記載)などが挙げられる。
【0126】
「切断可能リンカー」とは、反応または周囲条件による結果、分解されうる1つまたは複数の切断可能基を有するリンカーのことを指す。「切断可能基」という用語は、コンジュゲート中の、例えばリポーター分子、担体分子または固体支持体などの放出部分と、コンジュゲート中の残余部分との間の結合の切断によって、コンジュゲート中の当該残余部分からの当該放出部分の遊離を可能にする部分のことを指す。そのような切断は、化学反応的に行われてもよく、または酵素的に行われてもよい。酵素による切断可能な典型的な基としては、天然アミノ酸、または配列の末端に天然アミノ酸を有するペプチドなどが挙げられる。
【0127】
酵素による切断の可能な基に加えて、酵素以外の物質の作用により切断されうる1つまたは複数の部位を含有させることも、本発明の範囲内に含まれる。酵素以外の、切断を触媒する典型的な物質としては、限定されないが酸、塩基、光(例えばニトロベンジル誘導体、フェナシル基、ベンゾインエステルなどを使用する場合)および熱などが挙げられる。多くの切断可能な基が、従来技術において公知である。例えばJungら、Biochem.Biophys.Acta, 761:152-162(1983)、Joshiら、J.Biol.Chem., 265:14518-14525(1990)、Zarlingら、J.Immunol., 124:913-920(1980)、Bouizarら、Eur.J.Biochem., 155:141-147(1986)、Parkら、J.Biol.Chem., 261:205-210(1986)、Browningら、J.Immunol., 143:1859-1867(1989)を参照されたい。更に、多くの種類の切断可能な二官能性(ホモおよびヘテロ二官能性)のスペーサアームが市販されており、同様に使用可能である。
【0128】
典型的な切断可能基としてエステルが挙げられ、それは例えば水酸化ナトリウムなどの試薬により切断されうる切断可能基であり、切断された結果、カルボキシル末端を有するフラグメントと、ヒドロキシル基を含む反応生成物を生じさせる。
【0129】
本明細書で使用される「コンジュゲート」という用語は、例えば共有結合、疎水結合、イオン結合、ジスルフィド結合、水素結合、ファンデルワールス力、静電気的相互作用などによる、基同士の会合(結合)のことを指す。好ましくは、「コンジュゲート」とは直接的な、またはリンカー部分を介した共有結合のことを指す。
【0130】
本明細書で使用される「金属キレータ」または「金属キレート化部分」という用語は、金属イオンと結合してキレート環構造を形成する化学的部分のことを意味する。本発明においては、当該金属キレータは、当該金属キレータに対する親和性と同時に、セリン、トレオニン、またはチロシン残基上のリン酸基との親和性をも有する金属イオンに対する親和性を有する。当該金属キレータは、化合物のイオン結合親和性、溶解度、分光特性、または他の物理的性質を調整しうる置換基で任意に置換されてもよいが、但し当該金属キレータはスルホン化されないのが好ましい。
【0131】
本明細書で使用される「金属イオン」という用語は、キナーゼ基質に対する親和性と同時に、本発明の金属キレート化化合物上のリン酸化されたセリン、トレオニン、またはチロシンとの親和性をも有する、あらゆる金属イオンのことを意味する。また、それらを用いることにより、当該キナーゼセンサーの金属キレート化部分と、当該キナーゼセンサーと反応するリン酸化されたキナーゼ基質との三重複合体を形成することが可能となる。そのような金属イオンとしては、Ca2+、Zn2-、Mg2+、Ga3+、Tb3-、La3+、Pb2+、Hg2+、Cd2+、Cu2+、Ni2+、Co2+、Fe2+、Mn2+、Ba2+、およびSr2+などが挙げられるが、これらに限定されない。例えばCa2+、Mg2+、Fe2+、およびZn2+からなる群から選択される、生体内に存在する金属イオンが特に好適である。一つの例示的形態では、本発明の化合物を用いてMg2+と結合させる。
【0132】
本明細書で用いられる用語「ペプチド」とは、100未満のアミノ酸残基(典型的に20未満のアミノ酸残基)を有するポリペプチドのことを指す。当該用語は、天然に存在するアミノ酸ポリマーの他に、1つまたは複数のアミノ酸残基が、天然アミノ酸に対応する人工的なアナログから構成されているアミノ酸ポリマーをも包含する。
【0133】
本明細書で使用される「サンプル」という用語は、検出または定量に用いられる検体を含有しうる、あらゆる材料のことを意味する。当該検体としては、反応基(例えば、本発明の化合物と検体とのコンジュゲート形成に供される基)などが挙げられる。当該サンプル中にはまた、希釈液、バッファ、界面活性剤、ならびに、標的物質と共存する他の混入物質、夾雑物質などが含まれていてもよい。典型例としては、尿、血清、血漿、全血、唾液、涙液、脳脊髄液、乳頭からの分泌液などが挙げられる。その他、粘膜、体組織、細胞などの固体物質であってもよく、また、それらを例えばバッファ、抽出用液、溶媒などの液状物質中に懸濁もしくは溶解させたゲルまたはゾル状物質であってもよい。典型的には、当該サンプルは、生細胞、宿主細胞に内在するタンパク質、核酸ポリマー、ヌクレオチド、オリゴヌクレオチド、ペプチドを含む生体液、ならびに緩衝溶液である。当該サンプルは水溶液、生細胞の培養液、または、ポリアクリルアミドゲル、メンブレンもしくはマイクロアレイの表面に固定化した、固体もしくは半固体物質であってもよい。
【0134】
キナーゼ基質
本明細書では、本発明の理解を容易にするため、キナーゼ基質を最初に説明し、その後で当該キナーゼ基質を用いてキナーゼ活性を検出する様々な方法を説明し、その後実施例としての方法を説明する。
【0135】
本発明は、金属キレータ、1つまたは複数のアミノ酸、およびフルオロフォアを含むキナーゼセンサーの提供に関し、当該フルオロフォアおよび1つまたは複数のアミノ酸は、金属キレート化部分とコンジュゲートしている。米国特許第6,906,104号では、キナーゼセンサーとして機能するスルホンアミド置換キノリン化合物が記載されている。これらの化合物はアミノ酸およびキノリン部分を含み、キレータおよびフルオロフォアとして機能する。本発明の化合物は、フルオロフォア、金属キレータ(例えばキノリン部分)、およびアミノ酸を含む。これらの本発明の化合物は「蛍光発生的」と言われるが、その理由は、電子リッチなキノリン部分が、キノリン部分と金属イオンとの錯体形成により、PET効果によってフルオロフォアの蛍光をクエンチすると考えられるからである。すなわち、キノリンが電子リッチでなくなる(その電子密度が、それが配位している金属イオンへ移る)ことによりクエンチング効果が緩和され、蛍光発生的なキナーゼ基質となる。これは、キノリン部分がフルオロフォアであってクエンチング物質ではない、米国特許第6906104号に記載のキナーゼ基質とは対照的である。当該蛍光クエンチング効果は、当該キナーゼセンサーがリン酸化されて、金属イオンがリン酸基とキレート部分との間で結合を形成できるキナーゼ基質となったときに緩和される。すなわち、本発明の化合物は、キナーゼ酵素によるリン酸化、および金属イオンによる配位がなされるまでは、蛍光発生が少ないか、基本的に非蛍光性であるか、または蛍光発生的である。
【0136】
用語「金属キレータ」は本発明において、公知の意味と同様の意味で用いられる。すなわち、金属キレータは、金属イオンと二個以上の配位結合を形成できる化合物のことを意味する。また、用語「配位結合」も公知の意味と同様の意味で用いられ、金属イオンとキレータとの間の配位共有結合のことを指す。
【0137】
本発明の金属キレート化部分は、金属イオンと結合すると同時に、キナーゼ基質中のセリン、トレオニン、またはチロシン残基上の露出したリン酸基との親和性を示す部分であり、それにより、金属キレート化部分、金属イオン、ならびにリン酸化されたセリン、トレオニン、またはチロシン残基との三重複合体が形成される。リン酸基と結合できることが知られている金属イオンとしては、Ca2+、Zn2+、Mg2+、Ga3+、Tb3+、La3+、Pb2+、Hg2+、Cd2+、Cu2+、Ni2+、Co2+、Fe2+、Mn2+、Ba2+、およびSr2+などが挙げられる。すなわち、当該金属キレート化部分は(1)リン酸基との親和性を有する金属イオンと結合し、(2)当該リン酸基と金属イオンとの結合を妨害せず、ならびに、(3)安定三重複合体を維持するものでなければならない。これらの3つの基準を満たす金属キレート化部分としては、キノリンまたはその誘導体、フェナントロリンまたはその誘導体、BAPTA、IDA、DTPA、およびそれらの誘導体などが挙げられる。
【0138】
一実施形態では、本発明のキナーゼセンサーは以下の式で示されるか、またはその互変異性体、立体異性体、もしくは塩である:

式中、R1、R2、R3、R4、R5、およびR6は独立に、フルオロフォア、H、アルキル、置換アルキル、アルコキシ、置換アルコキシ、アシル、アシルアミノ、アシルオキシ、アミノ、置換アミノ、アミノカルボニル、アミノチオカルボニル、アミノカルボニルアミノ、アミノチオカルボニルアミノ、アミノカルボニルオキシ、アミノスルホニル、アミノスルホニルオキシ、アミノスルホニルアミノ、アミジノ、カルボキシル、カルボキシルエステル、(カルボキシルエステル)アミノ、(カルボキシルエステル)オキシ、シアノ、ハロ、ヒドロキシ、ニトロ、SO3H、スルホニル、置換スルホニル、スルホニルオキシ、チオアシル、チオール、アルキルチオ、置換アルキルチオ、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、シクロアルキル、置換シクロアルキル、ヘテロシクリル、または置換ヘテロシクリルであり、
但し少なくとも1つのR1、R2、R3、R4、R5、およびR6
R7およびR8は独立にH、アルキル、置換アルキル、カルボニル、ペプチド、またはFMOCであり、Lはリンカーであり、YはペプチドまたはHであり、nは1〜5である。
【0139】
本発明のフルオロフォアは、キレート部分とコンジュゲートしたときに、蛍光を発する性質を有するか、または実質的に蛍光を発する性質を有さない、公知のあらゆるフルオロフォアであってもよい。本発明のフルオロフォアは、280nm超の最大吸収を示し、キナーゼセンサー化合物の一部がそのユニークな分光特性を保持するときに、検出可能なシグナルを発することを特徴とする、いかなる化学部分であってもよい。
【0140】
本発明に使用可能であるフルオロフォアの例としては、限定されないが、ピレン、アントラセン、ナフタレン、アクリジン、スチルベン、インドールまたはベンズインドール、オキサゾールまたはベンゾキサゾール、チアゾールまたはベンゾチアゾール、4-アミノ-7-ニトロベンズ-2-オキサ-1,3-ジアゾール(NBD)、カルボシアニン(米国特許出願第09/557,275号、第09/968,401号、および第09/969,853号、ならびに米国特許第6,403,807号、第6,348,599号、第5,486,616号、第5,268,486号、第5,569,587号、第5,569,766号、第5,627,027号、および第6,048,982号に記載の全ての対応する化合物も含む)、カルボスチリル、ポルフィリン、サリチル酸塩、アントラニル酸塩、アズレン、ペリレン、ピリジン、キノリン、ボラポリアザインダセン(米国特許第4,774,339号、第5,187,288号、第5,248,782号、第5,274,113号、および第5,433,896号に記載の全ての対応する化合物も含む)、キサンテン(米国特許第6,162,931号、第6,130,101号、第6,229,055号、第6,339,392号、第5,451,343号、および米特許出願第09/922,333号に記載のあらゆる対応する化合物も含む)、オキサジンまたはベンゾキサジン、カルバジン(米国特許第4,810,636号に記載のあらゆる対応する化合物も含む)、フェナレノン、クマリン(米国特許第5,696,157号、第5,459,276号、第5,501,980号、および第5,830,912号に記載のあらゆる対応する化合物を含む)、ベンゾフラン(米国特許第4,603,209号および第4,849,362号に記載の対応するあらゆる化合物を含む)、ベンズフェナレノン(米国特許第4,812,409号に記載の対応するあらゆる化合物を含む)、ならびにそれらの誘導体が挙げられる。本発明では、オキサジンには、レゾルフィン(米国特許第5,242,805号に記載の対応するあらゆる化合物も含む)、アミノオキサジノン、ジアミノオキサジン、ならびにそれらのベンゾ置換アナログが包含される。
【0141】
具体的実施形態では、本発明のフルオロフォアは、アクリジン、アントラセン、ベンゾフラン、インドール、ダンシル、シアニン、ボラポリアザインダセン、ピレン、ナフタレン、クマリン、オキサジン、ボロンジピロメテン二フッ化物、およびキサンテン類(フルオレセイン、ローダミン、およびロドール)、ならびにその誘導体からなる群から選択される。その他の本発明で使用できるフルオロフォアとしては、Richard P.Haugland, Molecular Probes Handbook of Fluorescent Probes and Research Chemicals(9th Ed.)に列記されているものが挙げられる。より具体的な実施形態では、キサンテンはフルオレセインまたはローダミンである。フルオロフォアは、溶解性、スペクトルもしくは他の物理的性質を調整するために置換されてもよい。
【0142】
フルオロフォアがキサンテン類である場合、当該フルオロフォアは、限定されないがフルオレセイン、ロドール(米国特許第5,227,487号および第5,442,045号に記載の対応するあらゆる化合物も含む)、ロザミンまたはローダミン(米国特許第5,798,276号、第5,846,737号、第5,847,162号、第6,017,712号、第6,025,505号、第6,080,852号、第6,716,979号、第6,562,632号に記載の対応するあらゆる化合物も含む)であってもよい。本発明のフルオレセインとしては、ベイゾ-またはジベンゾフルオレセイン、セミナフトフルオレセインまたはナフトフルオレセインなどが挙げられる。同様に、本明細書で用いられるロドールには、セミナフトローダフルオール(seminaphthorhodafluors)(米国特許第4,945,171号に記載の対応するあらゆる化合物も含む)が包含される。フッ化キサンテンフルオロフォアは、非常に有用な蛍光特性を有すると以前に記載されており(国際公開第97/39064号および米国特許第6,162,931号)、例えば「オレゴングリーン」の商品名で販売されているものが例として挙げられる。
【0143】
特に、オレゴングリーン前駆体を採用することにより、ペプチドキナーゼ基質中に、非常に輝度の高い、非常に吸光性の高い、pH非感受性フルオレセイン誘導体を戦略的に配置することが可能となる。最初は、8-ヒドロキシキノリン部分によって、PETにより蛍光がクエンチされているが、適当なSer/Thr/Tyr残基(β-ターンジペプチドまたは他のペプチド配列によって色素から分離されている)のリン酸化の後、キレート化により誘導される蛍光増加(マグネシウム(II)イオンによって媒介される)が観察される。その蛍光(490nmの励起/520nmの放出)増加は、カルシウム測定用のFluo-4を使用した場合に観察されるのと同様の機構および規模である。本発明の優位性の鍵は、フルオロフォア-アミノ酸部分の適当な構造、およびフルオロフォア-アミノ酸部分の三次元幾何学的な配置であり、それにより、キレート部分およびリン酸部分が、介在する金属イオンによって相互に接近しうる。この幾何学的な最適化は、PKCαペプチド基質Ac-オレゴングリーン アラニン-Pro-Gly-Ser-Phe-Arg-Arg-Arg-NH2の半経験的分子モデリングエネルギー極小化によって視覚化される。フルオロフォア置換アミノ酸を、リン酸化されるセリンから2アミノ酸残基の間隔をおいて配置することにより、オレゴングリーン アラニン誘導体の金属キレート化部分を、ホスホセリン部分に配向させることが可能となる。ヒドロキシキノリン-フルオロフォア部分の構成は、金属イオンキレート化の非存在下で蛍光がクエンチされる構成であり、またヒドロキシキノリン-アミノ酸連結部分も最適な幾何学構成をとる。
【0144】
典型的には、フルオロフォアは1つまたは複数の芳香族環または芳香族複素環を含み、限定されないが、ハロゲン、ニトロ、スルホ、シアノ、アルキル、ペルフルオロアルキル、アルコキシ、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、アリールアルキル、アシル、アリールまたはヘテロアリール環、ベンゾ、または公知のクロモフォアまたはフルオロフォアに典型的に存在する他の置換基を含む、様々な1つまたは複数の置換基で任意に置換されてもよい。
【0145】
一つの例示的実施形態では、フルオロフォアは独立に、水素、ハロゲン、アミノ、置換アミノ、アルキル、置換アルキル、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、アルコキシ、スルホ、反応基および担体分子からなる群から選択される置換基によって置換されてもよい。他の実施形態では、本発明のキサンテンフルオロフォアは、キサンテンの中心環の炭素原子が、フェニル部分および置換フェニル部分などのキサンテンベースのフルオロフォアで典型的に見出される置換基によって置換された化合物および非置換の化合物の両方を含む。更に他の実施形態では、本発明のアミノ酸および組成物において使用するフルオロフォアは、ローダミン、フルオレセイン、ダンシル、ナフタレン、およびその誘導体である。キレート部分に結合させるフルオロフォアの選択により、本発明のアミノ酸および組成物の吸光性および蛍光放出特性、ならびに生細胞におけるその性質が左右される。
【0146】
選択されたスルホン化フルオロフォアもまた有利な特性を示し、例えばスルホン化ピレン、クマリン、カルボシアニン、およびキサンテン(米国特許第,513,2432、第5,696,157号、第5,268,486号、第6,130,101号に記載)などが挙げられる。スルホン化ピレンおよびクマリンは、典型的には約450nm(米国特許第5,132,432号および第5,696,157号)以下の波長で励起される。
【0147】
一実施形態では、当該ラベルは、フルオレセイン、クマリン、ローダミン、5-TMRIA(テトラメチルローダミン-5-ヨードアセトアミド)、(9-(2(または4)-(N-(2-マレイミジルエチル)-スルホンアミジル)-4(または2)-スルホフェニル)-2,3,6,7,12,13,16,17-オクタヒドロ-(1H,5H,11H,15H-キサンテノ(2,3,4-ij:5,6,7-i'j')ジキノリジン-18-イウム塩)(テキサスレッド(登録商標))、2-(5-(1-(6-(N-(2-マレイミジルエチル)-アミノ)-6-オキソヘキシル)-1,3-ジヒドロ-3,3-ジメチル-5-スルホ-2H-インドール-2-イリデン)-1,3-プロピルジエニル)-1-エチル-3,3-ジメチル-5-スルホ-3H-インドリウム塩(Cy(商標)3)、N,N'-ジメチル-N-(ヨードアセチル)-N'-(7-ニトロベンズ-2-オキサ-1,3-ジアゾル-4-イル)エチレンジアミン(IANBDアミド)、6-アクリロイル-2-ジメチルアミノナフタレン(アクリロダン)、ピレン、6-アミノ-2,3-ジヒドロ-2-(2-((ヨードアセチル)アミノ)エチル)-1,3-ジオキソ-1H-ベンズ(デ)イソキノリン-5,8-ジスルホン酸塩(ルシファーイエロー)、2-(5-(1-(6-(N-(2-マレイミジルエチル)-アミノ)-6-オキソヘキシル)-1,3-ジヒドロ-3,3-ジメチル-5-スルホ-2H-インドール-2-イリデン)-1,3-ペンタジエニル)-1-エチル-3,3-ジメチル-5-スルホ-3H-インドリウム塩(Cy(商標)5)、4-(5-(4-ジメチルアミノフェニル)オキサゾル-2-イル)フェニル-N-(2-ブロモアセトアミドエチル)スルホンアミド(Dapoxyl(登録商標)(2-ブロモアセトアミドエチル)スルホンアミド))、(N-(4,4-ジフルオロ-1,3,5,7-テトラメチル-4-ボラ-3a,4a-ジアザ-s-インダセン-2-イル)ヨードアセトアミド(BODIPY(登録商標)507/545 IA)、N-(4,4-ジフルオロ-5,7-ジフェニル-4-ボラ-3a,4a-ジアザ-s-インダセン-3-プロピオニル)-N'-ヨードアセチルエチレンジアミン(BODIPY 530/550 IA)、5-((((2-ヨードアセチル)アミノ)エチル)アミノ)ナフタレン-1-スルホン酸(1,5-IAEDANS)、およびカルボキシ-X-ローダミン、(5/6)-ヨードアセトアミド(XRIA 5,6)からなる群から選択されるフルオロフォアである。他のラベルの例としては、BODIPY-FL-ヒドラジドが挙げられる。
【0148】
本発明のアミノ酸および組成物は、キレータ要素を介して、金属イオンをキレート化できるものでなければならず、金属キレート化によりフルオロフォア要素の蛍光が調整できなければならない。本発明のアミノ酸および組成物中のフルオロフォアおよびキレータ要素は、各々別でなければならない。本発明では、これらの要素は互いに別々に存在し、またこれらの各要素は独立に、それぞれが有する本来の機能を発揮できる。例えば、本発明のフルオロフォアは、本発明のアミノ酸または組成物の一部を含まないときに蛍光を発する。同様に、当該組成物のキレータ要素は、本発明のアミノ酸または組成物の一部を含まないときに金属をキレート化できる。しかしながら、当該キレータを用いることにより、フルオロフォアの蛍光量子収量、または励起および/もしくは放出波長を調整することができる。
【0149】
スキーム1は、本発明のキナーゼセンサーを含む三重複合体を例示するものである。
スキーム1

【0150】
当該三重複合体はキナーゼセンサーの放出および/または励起スペクトルを変化させ、それにより、ペプチドのリン酸化を検出および/または定量できる。
【0151】
本発明のキナーゼセンサーは、1つまたは複数のアミノ酸を含む。一実施形態では、当該アミノ酸は少なくとも1つのキナーゼ認識モチーフを含むペプチドを形成し、当該キナーゼ認識モチーフは、少なくとも1つのリン酸化可能なアミノ酸残基を含む。
【0152】
本発明では、あらゆるキナーゼ認識モチーフも使用できる。非リン酸化ペプチドのマグネシウムに対する親和性は酸性条件下で増加する傾向があるため、酸性残基を有する認識配列の場合、相当する配列よりもリン酸化による蛍光増加の規模が小さくなる傾向がある。本発明のキナーゼ認識モチーフ中のリン酸化部位としては、限定されないが、ヒドロキシル基を有するアミノ酸が挙げられる。例えば、天然のヒドロキシル基含有アミノ酸残基(例えばセリン、トレオニン、およびチロシン)、ならびに非天然のヒドロキシル基含有アミノ酸残基などが挙げられるが、これらに限定されない。
【0153】
金属との結合性を有するアミノ酸を使用して、リン酸化をモニターできる、認識モチーフの例としては、AGC(cAMP依存性プロテインキナーゼ[PKA]/タンパク質キナーゼG/タンパク質キナーゼC[PKC])、CAMK(カルモデュリン依存性プロテインキナーゼ)、CDK/MAPK/GSK3/CLK(CMGC)、チロシンキナーゼ(TK)、チロシンキナーゼ様(TKL)、STE、およびカゼインキナーゼ1(CK1)のグループのプロテインキナーゼ(それらのファミリーおよびサブファミリーを含む)により認識されるモチーフが挙げられるが、これらに限定されない。Manning, G., ら、Science, 298:1912(2005)(本明細書に援用する)を参照のこと。キナーゼ認識モチーフを含むペプチドの具体例としては、少なくとも、本明細書の表I、およびPinna, L.およびDonella-Deana, A., Biochimica et Biophysica Acta, 1222:415-431(1994)(本明細書に援用する)の表Iに記載のモチーフが挙げられるが、これらに限定されない。
【0154】
【表1】

【0155】
更なる実施形態では、本発明のアミノ酸は、少なくとも1つの更なるスペーサーアミノ酸によって、キナーゼ認識モチーフ中のリン酸化可能なアミノ酸から分離されている。より多くの具体的実施形態では、本発明の蛍光キレートアミノ酸は、2、3、4、5、6、7、8、9、10個、またはそれ以上のアミノ酸によって、キナーゼ認識モチーフ中のリン酸化可能なアミノ酸から分離されている。更に具体的な実施形態では、本発明の蛍光キレートアミノ酸は、2アミノ酸残基のスペーサーによって、キナーゼ認識モチーフ中のリン酸化可能なアミノ酸から分離されている。
【0156】
一般的には、当該スペーサー残基を用いることにより、蛍光キレートアミノ酸を分離して、キナーゼ認識モチーフ中に含まれるリン酸化可能なアミノ酸残基に向けることができる。当該スペーサーアミノ酸は、いかなるアミノ酸(天然および非天然)であってもよい。一実施形態では、当該スペーサーアミノ酸は、プロリン、グリシン、アラニン、バリン、フェニルアラニン、プロリン(praline)、メチオニン、イソロイシン、およびロイシンからなる群から選択される。他の実施形態では、スペーサーアミノ酸はプロリンであり、少なくとも1つの更なるアミノ酸はプロリン、グリシン、アラニン、バリン、フェニルアラニン、プロリン(praline)、メチオニン、イソロイシン、およびロイシンからなる群から選択される。より具体的な実施形態では、スペーサーアミノ酸はプロリンおよびグリシンである。
【0157】
蛍光キレータアミノ酸を分離させ、リン酸化可能なアミノ酸残基に向けさせるために使用できるスペーサーアミノ酸の他の例としては、βターン配列が挙げられる。当該βターン配列は公知技術で、本発明に使用可能である。
【0158】
一実施形態では、本発明のペプチドは、1つまたは複数の蛍光キレータアミノ酸、キナーゼ認識モチーフおよび少なくとも1つの細胞透過性ペプチド配列を含む。細胞透過性ペプチド(CPP)とは、膜障害を引き起こすことなく真核細胞に導入されうる大まかに分類されたペプチドの一クラスのことを指す。CPPは公知であり、HIV-1 Tat、アンテナペディア、およびHCV-1 VP22などのタンパク質の細胞膜透過を可能にする「タンパク質導入領域」を含む。CPPの更なる例としては、TP10ペプチドおよびpVEC、ならびに更なるCPP(Green, M. and Lowenstein, P.M., Cell, 55:1179-1188(1988)(本明細書に援用する))などが挙げられるが、これらに限定されない。
【0159】
本発明はまた、サンプル中のキナーゼ活性のレベルを測定する方法に関する。具体的には、当該方法は本発明のペプチドの蛍光を測定することを含み、当該ペプチドは蛍光アミノ酸キレータおよびリン酸化部位を有するキナーゼ認識モチーフを含み、それによる測定値がベースライン測定値となる。ベースラインを確立した後、更にペプチドをMg2+、リン酸源、およびキナーゼと接触させる。接触させた後、ペプチドの蛍光を測定する。更に、非接触状態と接触状態での、ペプチドの蛍光の相違(存在する場合)を測定する。蛍光の相違は、キナーゼ活性の存在および/または量の指標となりうる。
【0160】
本明細書で用いられる用語「サンプル」とは、上記の金属イオンを含有するいかなる材料であってもよい。典型的には、当該サンプルは細胞、内因性の宿主細胞タンパク質を含有する生体液、食品または環境中サンプル(例えば水サンプル)である。アッセイされる生体サンプルの例としては、血液、血漿、血清、尿、唾液、乳汁、精漿、滑液、間質液、脳脊髄液、リンパ液、胆汁、および羊水、細胞培養培地、組織ホモジネート、細胞可溶化物、および化学物質溶液などが挙げられるが、これらに限定されない。本発明の方法は、アッセイされるサンプルのタイプによって限定されるものではない。当該サンプルは水溶液、生細胞培養液であってもよく、またはポリアクリルアミドゲル、メンブレンブロットまたはマイクロアレイ上などの固体もしくは半固体の表面に固定させてもよい。
【0161】
当該サンプルは、それらの本来の環境から単離されても、またはされなくともよい。すなわち、アッセイされるサンプルの一部分は、必ずしも単離される必要はないが、その他のサンプルから単離されてもよく、または当該サンプルを含みうる患者から単離されてもよい。当然ながら、当該サンプルはその本来の環境から単離されるのが好ましい。更に、当該サンプルを、アッセイに供する前に処理してもよい。例えば、当該サンプルを希釈もしくは濃縮してもよく、当該サンプルを精製し、および/または少なくとも1つの化合物(例えば内部標準)をサンプルに添加してもよい。本発明の方法の前に、またはそれと組み合わせて、当該サンプルを物理的に処理してもよく(例えば遠心分離、サイズ排除クロマトグラフィ、サイズ透過クロマトグラフィ、フィルタ処理(限外濾過など)、アフィニティ分離)、または化学的に処理してもよい(例えば酸、塩基またはバッファの添加、加熱)。当該処理としてはまた、アッセイの前にサンプルを凍結および/または保存すること、細胞周囲に存在する培地から細胞分泌物を抽出すること、または細胞および/または組織を物理的に破壊して目的の検体を活性を維持したまま抽出することが含まれる。
【0162】
当該蛍光測定は、蛍光のいかなる性質を測定するものであってもよく、例えば蛍光の強度、励起もしくは放出波長、蛍光分布、蛍光生涯、蛍光偏光またはそれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。好ましくは、標的イオンの結合により検出可能となる光学的な変化は蛍光強度の変化であり、金属イオンの非存在下での同じ化合物と比較して、約120%超、好ましくは5倍超、より好ましくは10倍超である。別の態様では、標的金属イオンとの結合により検出可能となる光学的変化は、最大励起もしくは放出波長のいずれか、またはそれらの両方の変動であり、その変動は約20nm超、好ましくは約50nm超である。
【0163】
容易に金属イオンと結合できる化合物は、有利な特性を有し、かつ使用が単純であるため、それらは選択された標的イオンの錯体化、検出、定量またはモニタリング用のキットの調製において特に有用である。当該キットは、上記のいずれかの本発明の実施形態における1つまたは複数の化合物または組成物(任意にストック溶液であってもよい)、標的イオンを錯体化するかまたは検出するための当該化合物の取り扱い説明書、ならびに任意に更なる成分を含む。1つの態様では、本発明の化合物を、例えばチップ、ウェル、マイクロプレート、または他の固体マトリックス表面に固定化し、目的のサンプルをその表面に流す。したがって、検出可能な光学反応はマトリックス表面自体において検出される。
【0164】
サンプル中の標的金属イオンを結合させるための本発明のキットは、本発明の化合物とその取り扱い説明書とを含む。当該キットは、金属イオンの校正スタンダード、イオノフォア、蛍光スタンダード、緩衝水溶液、および有機溶媒からなる群から選択される1つまたは複数の構成要素を更に含んでもよい。
【0165】
限定されないが、当該更なるキット構成要素は、標的イオンの校正スタンダード、イオノフォア、蛍光スタンダード、緩衝水溶液、および有機溶媒から選択できる。当該更なるキット成分は、純粋な組成物として、または1つまたは複数の更なるキット構成成分を混合させた水溶液として、調製してもよい。キット成分のいずれかまたは全ては、更に任意にバッファを含んでもよい。
【0166】
以下に実施例を示すが、それらは特許請求の範囲に記載の本発明の範囲を限定するものではない。
【実施例】
【0167】
実施例1:蛍光アミノ酸キレータの調製

8-ヒドロキシキノリン-5-カルバルデヒド(A、Oakwood Products社製)のエチレングリコール中の溶液に、p-TsOHを添加し、5-(1,3-ジオキソラン-2-イル)キノリン-8-オル(B)を形成させた。精製の後、5-(1,3-ジオキソラン-2-イル)キノリン-8-オルをMeIおよびNaHのTHF中の溶液に添加し、Cを得た。THF中のCの溶液を、0℃で、マグネシウム粉末およびL-N-Boc-2-ブロモメチルグリシンアリルエステル(Advanced Technology&Industrial社、香港)から形成されるグリニャール試薬1当量中に添加し、アリル(S)-ビニル2-(tert-ブトキシカルボニルアミノ)-3-(5-ホルミル-8-メトキシキノリン-2-イル)プロパン酸(D)が形成されるまで、反応混合物をTLCによってモニターした。反応混合物を酢酸水溶液でクエンチし、フラッシュクロマトグラフィで精製した。O-メチルおよびN-t-BOC保護基を、Dおよび加温した48%のHBr/HOAcで処理し、同時に除去した。フリーの脂肪族アミノ基をカルバミン酸フッ化エンオキシメチレンカルボニル基として保護し、更に室温で、2当量のメタンスルホン酸中の4-フルオロレゾルシノールとベンズアルデヒド部分とを縮合させた。得られるpro-フルオロフォアGを析出によって水から分離し、濾過し、更にメタン/クロロホルム中のp-クロラニルを用いて、脱水素的に酸化させた。得られる色素Hを、溶出剤としてメタノール/クロロホルムを用い、フラッシュクロマトグラフィを使用して精製し、酢酸エチルおよびジクロロメタン中の2-エチルヘキサン酸ナトリウムおよび触媒Pd(PPh34を使用してアリルエステル脱保護してペプチド合成に供し、化合物Iを得た。
【0168】
実施例2:蛍光アミノ酸キレータの調製

実施例1と同様に、8-メトキシキノリンを、その被保護2-アミノ酸誘導体Aに変換させた。環を臭素化し、8-位置に臭素置換基を設け(Bを得)、それを無水THF中のマグネシウム粉末と反応させ、対応するグリニャール試薬に変換した。トリメチルホウ酸でクエンチし、フェニルボロナートCを得た。ジクロロメタン中の三臭化ホウ素で処理してフェノールメトキシ基および全ての残留ボロナートメチルエステルを除去し、アリールボロン酸Dを得た。炭酸水素ナトリウム中の、パラジウム(0)により触媒される、Dと公知の3-ブロモ-4-メチル-7-ジエチルアミノクマリン Eとのスズキカップリング、更にパラジウム(0)により触媒される脱アリル化(実施例1と同様)を行い、化合物Fを得た。
【0169】
実施例3:蛍光マグネシウムキレータの調製

亜硝酸イソアミルを用いて、L-N-FMOC-メタ-ヒドロキシチロシンメチルエステルをニトロソ化し、鍵となるニトロソ中間体Aを得た。Aを鹸化し、N-保護アミノ酸Bを得、それを硫酸中の1,3,5-トリヒドロキシベンゼンと縮合させ、アミノ酸Cを得た。
【0170】
実施例4:蛍光アミノ酸キレータを含有するペプチドの合成
標準的なFmocアミノ酸保護方法を使用して、Fmoc-PAL-PEG-PS樹脂(0.22mmol当量)上でペプチドを合成した。樹脂へのFmoc-保護アミノ酸の結合を、1-ベンゾトリアゾリルオキシトリス(ピロリジノ)ホスホニウムヘキサフルオロホスフェート(PyBOP)、ならびに、1-ヒドロキシベンゾトリアゾール(HOBt)およびジイソプロピルエチルアミン(DIEA)またはO-(7-アザベンゾトリアゾル-1-イル)-1,1,3,3-テトラメチルウランヘキサフルオロホスフェート(HATU)およびDIEAを用いて行い、活性エステルを生成させた。当該樹脂を、合成前に、ジクロロメタン(5分)、更にDMF(5分)で膨張させた。蛍光キレータ、ホスホセリン、ホスホトレオニン、およびホスホチロシン以外の全てのアミノ酸を、以下の代表的な手順で添加した:Fmoc基の除去(DMF中の20%のピペリジン溶液(3回、5分))、洗浄(DMF、5回、1分)、カップリング(アミノ酸/PyBOP/DIEA、6:6:6、DMF中0.05M、45分)、リンス(DMF、2回・1分、DCM、2回・1分)。蛍光キレータ残基のカップリングのために、各々2当量によるダブルカップリングを行った(Fmoc-Fluor-アミノ酸-OH/PyBOP/DIEA、2:2:2、DMF中0.15M、2回、120分)。ホスホアミノ酸残基をカップリングするため、HATUを用いた(Fmoc-Xaa(PO(OBzl)OH)-OH/HATU/DIEA、3:3:3、30分、DMF中0.05M)。最終的な残基の付加後、ペプチドをアセチル基でキャッピングし(ピリジン/無水酢酸、20:20、DMF中0.15M、30分)、最後の脱ブロックサイクル(20%のピペリジン、DMF中、3回、5分)を実施し、蛍光キレータに形成される全てのアリールエステルを切断した。樹脂を高真空下で一晩乾燥させ、更にトリフルオロ酢酸/トリイソプロピルシラン/水(95:2.5:2.5、非リン酸化ペプチドの場合は40ml/mgの樹脂、およびリン酸化ペプチドの場合は140ml/mgの樹脂)で2.5時間切断した。得られる溶液を窒素流中で濃縮し、ペプチドを、冷却したジエチルエーテル:ヘキサン=1:1溶液を添加して析出させた。ペレットを、冷却したエーテル:ヘキサン=1:1溶液で完全に粉砕し(15mgの樹脂の場合3×1.5mL)、水に再度溶解させ、濾過し、一晩凍結乾燥した。ペプチドを、調製的な逆相HPLC(C18)で精製し、正しい質量(ES-MS)を有する分析HPLC(C18)による単一ピークを含有するフラクションのみを分析試験に用いた。ペプチドのストック溶液を4℃で保存した。
【0171】
実施例5:本発明のペプチドを用いたアッセイ
PKC:
分析の日、プロテインキナーゼCα(ヒト、組み換え型、Calbiochem社製)の1μlアリコートを、12.5MM MgCl2および0.38mMのCaCl2を含有する20mMのHEPES(pH7.4)溶液20μlで希釈し、氷上で保存した。典型的な反応液は、12.5mM MgCl2および0.38mM CaCl2を含有する20mM HEPES(pH7.4)溶液84μl、5mM ジチオスレイトールを含有する20mM HEPES(pH7.4)の溶液19μl、10μg/mL ホスファチジルセリンおよび2μg/mL ジアシルグリセロールを含有する20mM HEPES(pH7.4)溶液5μl、超高純度(18MΩ)水1μl中に溶解させた、100mMのATP溶液、ならびに酵素のワーキングストック液(1μl)を含む。基質ストック溶液を適当量添加し、反応を開始させた。
【0172】
PKA:
分析の日、cAMP依存性プロテインキナーゼ(触媒サブユニット、マウス、組み換え型、Calbiochem社製)の1μlアリコートを、10mM MgCl2および0.3mg/ml BSAを含有する50mMのTRIS(pH7.5)溶液80μlで希釈し、氷上で維持した。典型的な反応液は、12.5mM MgCl2を含有する20mMのHEPES(pH7.4)の溶液90μl、5mM ジチオスレイトールを含有する20mMのHEPES(pH7.4)の溶液20μl、超高純度(18MΩ)水1μl中に溶解させた、100mMのATP溶液、ならびに適当量の基質ストック溶液を含む。酵素のワーキングストック(1μl)を添加し、反応を開始させた。
【0173】
蛍光試験:
蛍光試験をJobin Yvon社製のFluoromax3で実施した。5nmの放出および励起スリット幅を採用した。ペプチドの蛍光アミノ酸の吸収極大にマッチする励起波長を用いた。フルオロフォア放出最大波長で放出をモニターすることにより、酵素アッセイを実施した。コントロールとして、各ストックの希釈系列を調製し、相対的な蛍光単位(RFU)を記録することにより、リンペプチドおよび非リンペプチドの標準曲線を作成することができる。
【0174】
参考文献:
Shults, M.D.およびImperiali, B.(2003) Versatile fluorescence probes of protein kinase activity.J.Am.Chem.Soc.125(47):14248-14249。
Shults, M.D.ら(2005) A multiplexed homogeneous fluorescence-based assay for protein kinase activity in cell lysates.Nat.Methods 2:277-283。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属キレータ、1つまたは複数のアミノ酸、およびフルオロフォアを含むキナーゼセンサーであって、前記キレータがキノリン基を含み、前記フルオロフォアおよびアミノ酸の両方が前記キノリン基とコンジュゲートしている、前記キナーゼセンサー。
【請求項2】
前記1つまたは複数のアミノ酸がキナーゼ基質を含む、請求項1記載のキナーゼセンサー。
【請求項3】
前記キノリン基が、ヒドロキシ基、アミノ基、アミド基、スルホンアミド基、またはチオール基により置換されている、請求項1記載のキナーゼセンサー。
【請求項4】
前記キノリン基がマグネシウムをキレート化する、請求項1記載のキナーゼセンサー。
【請求項5】
前記フルオロフォアが、ダンシル、キサンテン、シアニン、ボラポリアザインダセン、ピレン、ナフタレン、クマリン、オキサジン、およびその誘導体からなる群から選択される、請求項1記載のキナーゼセンサー。
【請求項6】
前記フルオロフォアが、クマリン、キサンテン、またはその誘導体である、請求項5記載のキナーゼセンサー。
【請求項7】
前記キナーゼ基質がペプチドである、請求項1記載のキナーゼセンサー。
【請求項8】
前記ペプチドが、キナーゼ認識部位と、キナーゼによりリン酸化されるセリン、トレオニン、またはチロシンから選択される少なくとも1つのアミノ酸残基とを含む、請求項7記載のキナーゼセンサー。
【請求項9】
以下の式を有するキナーゼセンサー、またはその互変異性体、立体異性体、もしくは塩:

式中、R1はH、アルキル、置換アルキル、アルコキシ、置換アルコキシ、アシル、アシルアミノ、アシルオキシ、アミノ、置換アミノ、アミノカルボニル、アミノチオカルボニル、アミノカルボニルアミノ、アミノチオカルボニルアミノ、アミノカルボニルオキシ、アミノスルホニル、アミノスルホニルオキシ、アミノスルホニルアミノ、アミジノ、カルボキシル、カルボキシルエステル、(カルボキシルエステル)アミノ、(カルボキシルエステル)オキシ、シアノ、ハロ、ヒドロキシ、ニトロ、SO3H、スルホニル、置換スルホニル、スルホニルオキシ、チオアシル、チオール、アルキルチオ、置換アルキルチオ、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、シクロアルキル、置換シクロアルキル、ヘテロシクリル、または置換ヘテロシクリルであり、
R2はフルオロフォア、H、アルキル、置換アルキル、アルコキシ、置換アルコキシ、アシル、アシルアミノ、アシルオキシ、アミノ、置換アミノ、アミノカルボニル、アミノチオカルボニル、アミノカルボニルアミノ、アミノチオカルボニルアミノ、アミノカルボニルオキシ、アミノスルホニル、アミノスルホニルオキシ、アミノスルホニルアミノ、アミジノ、カルボキシル、カルボキシルエステル、(カルボキシルエステル)アミノ、(カルボキシルエステル)オキシ、シアノ、ハロ、ヒドロキシ、ニトロ、SO3H、スルホニル、置換スルホニル、スルホニルオキシ、チオアシル、チオール、アルキルチオ、置換アルキルチオ、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、シクロアルキル、置換シクロアルキル、ヘテロシクリル、または置換ヘテロシクリルであり、
R3はフルオロフォア、H、アルキル、置換アルキル、アルコキシ、置換アルコキシ、アシル、アシルアミノ、アシルオキシ、アミノ、置換アミノ、アミノカルボニル、アミノチオカルボニル、アミノカルボニルアミノ、アミノチオカルボニルアミノ、アミノカルボニルオキシ、アミノスルホニル、アミノスルホニルオキシ、アミノスルホニルアミノ、アミジノ、カルボキシル、カルボキシルエステル、(カルボキシルエステル)アミノ、(カルボキシルエステル)オキシ、シアノ、ハロ、ヒドロキシ、ニトロ、SO3H、スルホニル、置換スルホニル、スルホニルオキシ、チオアシル、チオール、アルキルチオ、置換アルキルチオ、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、シクロアルキル、置換シクロアルキル、ヘテロシクリル、または置換ヘテロシクリルであり、
R4はフルオロフォア、H、アルキル、置換アルキル、アルコキシ、置換アルコキシ、アシル、アシルアミノ、アシルオキシ、アミノ、置換アミノ、アミノカルボニル、アミノチオカルボニル、アミノカルボニルアミノ、アミノチオカルボニルアミノ、アミノカルボニルオキシ、アミノスルホニル、アミノスルホニルオキシ、アミノスルホニルアミノ、アミジノ、カルボキシル、カルボキシルエステル、(カルボキシルエステル)アミノ、(カルボキシルエステル)オキシ、シアノ、ハロ、ヒドロキシ、ニトロ、SO3H、スルホニル、置換スルホニル、スルホニルオキシ、チオアシル、チオール、アルキルチオ、置換アルキルチオ、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、シクロアルキル、置換シクロアルキル、ヘテロシクリル、または置換ヘテロシクリルであり、
R5はフルオロフォア、H、アルキル、置換アルキル、アルコキシ、置換アルコキシ、アシル、アシルアミノ、アシルオキシ、アミノ、置換アミノ、アミノカルボニル、アミノチオカルボニル、アミノカルボニルアミノ、アミノチオカルボニルアミノ、アミノカルボニルオキシ、アミノスルホニル、アミノスルホニルオキシ、アミノスルホニルアミノ、アミジノ、カルボキシル、カルボキシルエステル、(カルボキシルエステル)アミノ、(カルボキシルエステル)オキシ、シアノ、ハロ、ヒドロキシ、ニトロ、SO3H、スルホニル、置換スルホニル、スルホニルオキシ、チオアシル、チオール、アルキルチオ、置換アルキルチオ、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、シクロアルキル、置換シクロアルキル、ヘテロシクリル、または置換ヘテロシクリルであり、かつ
R6はフルオロフォア、H、アルキル、置換アルキル、アルコキシ、置換アルコキシ、アシル、アシルアミノ、アシルオキシ、アミノ、置換アミノ、アミノカルボニル、アミノチオカルボニル、アミノカルボニルアミノ、アミノチオカルボニルアミノ、アミノカルボニルオキシ、アミノスルホニル、アミノスルホニルオキシ、アミノスルホニルアミノ、アミジノ、カルボキシル、カルボキシルエステル、(カルボキシルエステル)アミノ、(カルボキシルエステル)オキシ、シアノ、ハロ、ヒドロキシ、ニトロ、SO3H、スルホニル、置換スルホニル、スルホニルオキシ、チオアシル、チオール、アルキルチオ、置換アルキルチオ、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、シクロアルキル、置換シクロアルキル、ヘテロシクリル、または置換ヘテロシクリルであり、
R2、R3、R4、R5、およびR6の少なくとも1つはフルオロフォアであり、
R7はH、アルキル、置換アルキル、カルボニル、ペプチド、または保護基であり、かつ
R8はH、アルキル、置換アルキル、カルボニル、ペプチド、または保護基であり、
Lはリンカーであり、かつ
YはペプチドまたはHであり、
nは1から5である。
【請求項10】
R4がフルオロフォアである、請求項9記載のキナーゼセンサー。
【請求項11】
前記フルオロフォアが、ダンシル、キサンテン、シアニン、ボラポリアザインダセン、ピレン、ナフタレン、クマリン、オキサジン、またはその誘導体である、請求項9記載のキナーゼセンサー。
【請求項12】
前記フルオロフォアが、クマリン、キサンテン、またはその誘導体である、請求項9記載のキナーゼセンサー。
【請求項13】
前記フルオロフォアが以下の式である、請求項9記載のキナーゼセンサー:

式中、R9およびR10は各々独立にハロゲン、-SO3H、置換スルホニル、またはHである。
【請求項14】
Lが共有結合である、請求項9記載のキナーゼセンサー。
【請求項15】
YがHである、請求項9記載のキナーゼセンサー。
【請求項16】
R1がヒドロキシである、請求項9記載のキナーゼセンサー。
【請求項17】
R2、R3、R5、およびR6が全てHである、請求項9記載のキナーゼセンサー。
【請求項18】
R7がHまたはFMOCである、請求項9記載のキナーゼセンサー。
【請求項19】
R8がHである、請求項9記載のキナーゼセンサー。
【請求項20】
Yがペプチドである、請求項9記載のキナーゼセンサー。
【請求項21】
前記ペプチドが、キナーゼ認識部位と、キナーゼによりリン酸化されるセリン、トレオニン、またはチロシンから選択される少なくとも1つのアミノ酸残基とを含む、請求項9記載のキナーゼセンサー。
【請求項22】

の結合で示される位置が、S型立体配置である、請求項9記載のキナーゼセンサー。
【請求項23】
マグネシウムである、請求項9記載のキナーゼセンサーの塩。
【請求項24】
以下の式を有するキナーゼセンサー、またはその互変異性体、立体異性体、もしくは塩:

式中、R7はHまたは保護基であり、
R9はハロゲン、-SO3H、置換スルホニル、またはHであり、
R10はハロゲン、-SO3H、置換スルホニル、またはHであり、
Lはリンカーであり、かつ
YはペプチドまたはHである。
【請求項25】
Lが共有結合である、請求項24記載のキナーゼセンサー。
【請求項26】
YがHである、請求項24記載のキナーゼセンサー。
【請求項27】
R9およびR10の両方がフッ素である、請求項24記載のキナーゼセンサー。
【請求項28】
R7がHである、請求項24記載のキナーゼセンサー。
【請求項29】
d)金属キレータ、1つまたは複数のアミノ酸、およびフルオロフォアを含むキナーゼセンサーの蛍光を測定する工程であって、前記キレータがキノリン基を含み、前記フルオロフォアおよびアミノ酸の両方がキノリン基とコンジュゲートし、前記アミノ酸がキナーゼ認識部位とリン酸化部位を含む、工程と、
e)Mg2+、リン酸源、およびキナーゼと、前記キナーゼセンサーとを接触させ、前記キナーゼセンサーの蛍光を測定する工程と、
f)前記キナーゼセンサーの、非接触状態と接触状態との間の蛍光の差異を測定する工程と
を含むキナーゼ活性の検出方法であって、蛍光の差異がキナーゼ活性の存在を示す、方法。
【請求項30】
測定される前記蛍光が、蛍光の強度、励起もしくは放出波長、分布、蛍光の寿命、蛍光偏光、またはそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項29記載の方法。
【請求項31】
a)キナーゼ酵素を含むサンプルを準備する工程と、
b)前記サンプルを、金属キレータ、1つまたは複数のアミノ酸、およびフルオロフォアを含む非蛍光性のキナーゼセンサーと接触させる工程であって、前記キレータがキノリン基を含み、前記フルオロフォアおよびアミノ酸の両方がキノリン基とコンジュゲートし、前記アミノ酸がキナーゼ認識部位とリン酸化部位とを含む、工程と、
c)接触させた前記サンプルと前記キナーゼセンサーとを、キナーゼが反応するのに十分な時間インキュベートし、インキュベートサンプルを形成させる工程と、
d)前記インキュベートサンプルを適当な波長で照射し、照射サンプルを形成させる工程と、
e)前記照射サンプルを観察する工程であって、前記キナーゼ活性が、観察可能な蛍光シグナルの存在により検出される工程と
を含む、キナーゼ活性の検出方法。
【請求項32】
金属キレータ、1つまたは複数のアミノ酸、およびフルオロフォアを含むキナーゼセンサーを含むキットであって、前記キレータがキノリン基を含み、前記フルオロフォアおよびアミノ酸の両方がキノリン基とコンジュゲートし、前記アミノ酸がキナーゼ認識部位とリン酸化部位とを含む、キット。

【公表番号】特表2009−542229(P2009−542229A)
【公表日】平成21年12月3日(2009.12.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−518653(P2009−518653)
【出願日】平成19年7月6日(2007.7.6)
【国際出願番号】PCT/US2007/073000
【国際公開番号】WO2008/016762
【国際公開日】平成20年2月7日(2008.2.7)
【出願人】(502221282)ライフ テクノロジーズ コーポレーション (113)
【Fターム(参考)】