蛍光ランプ及び照明装置
【課題】ガラス管の形状、肉厚などについて製造工程中にガラス管に煩雑な処理を施すことなく、簡易な構成で、製造し易く、ガラス管閉塞端部の強度低下を改善できる蛍光ランプ及びその蛍光ランプを備える照明装置を提供することを目的とする。
【解決手段】本発明は、内面に蛍光体膜２ａが形成され、少なくとも一端側の閉塞端部が略同一高さになるように複数本並設され、閉塞端部に凹部８が形成されたガラス管２を有し、このガラス管２の隣接する端部同士を連結し、連通した放電路を形成する接合部３が設けられたバルブ４と、バルブのガラス管他端側に設けられた口金５と、閉塞端部の先端面と面一か又は少なくとも一部が突出するように凹部８内に設けられた保護部材７とを備える蛍光ランプ１である。
【解決手段】本発明は、内面に蛍光体膜２ａが形成され、少なくとも一端側の閉塞端部が略同一高さになるように複数本並設され、閉塞端部に凹部８が形成されたガラス管２を有し、このガラス管２の隣接する端部同士を連結し、連通した放電路を形成する接合部３が設けられたバルブ４と、バルブのガラス管他端側に設けられた口金５と、閉塞端部の先端面と面一か又は少なくとも一部が突出するように凹部８内に設けられた保護部材７とを備える蛍光ランプ１である。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【０００１】
この発明は、複数本並設したガラス管からなるバルブを有する蛍光ランプ及びその蛍光ランプを備える照明装置に関する。
【背景技術】
【０００２】
従来、電球形蛍光ランプやコンパクト形蛍光ランプのバルブは、複数本の並列したガラス管の端部近傍を接合し、一連の放電路を形成している。前記バルブの一端側のガラス管端部は閉塞され、他端側には口金が設けられるが、この閉塞は一般的には次のようにして行われる。
【０００３】
直状ガラス管の中間部をバーナー炎で加熱し、軟化溶融したときに管軸の相反する方向に移動させ封じ切って自己閉塞させ、この閉塞端部をさらにバーナー炎で加熱溶融して先端形状を整えている。この方法では、閉塞端部において、ガラス管の内面に形成した蛍光体がバーナーで加熱されることによりガラス内に入り込むため、ガラスのみを溶融した場合とは異なり溶融部分にガラス肉厚にばらつきを生じたり、ガラス中の異物によりクラックが生じるなどガラス管閉塞部に強度低下の現象が発生した。
【０００４】
このようなガラス管の強度低下への対応として、バルブの製造工程中において、ガラス管の一方の端部開口部から気体を吹き込み、その圧力でガラス管の端部端面を膨らませて凸曲面状をなすように加工する（特許文献１参照）、さらに肉溜まり部を形成して、凸曲面状の部分の肉厚を厚くかつ均一にする（特許文献２参照）、ガラス管端面に中央部が外方に突出した厚肉の凸部を有する閉塞端部を形成する（特許文献３参照）、など製造工程中に加工処理することが考えられている。さらに、近年、ガラス管の閉塞端部の保護として、閉塞端部にシリコーン系樹脂を塗布することが提案されている（特許文献４参照）。
【特許文献１】特開平１１−４００５７号公報
【特許文献２】特開２００１−１８５０３２号公報
【特許文献３】特開２００４−１４３２６号公報
【特許文献４】特開２００７−３５５５１号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【０００５】
しかしながら、ガラス管の閉塞端部を所定の凸部形状に成形加工することは、加熱温度や吹き込み気体の圧力を精度よく管理する必要があるので、製品歩留まりが低下しやすく、製造方法が煩雑なものであった。また、ガラス管閉塞端部にシリコーン系樹脂を塗布する場合は、その樹脂の流動性により、ガラス管閉塞端部からガラス管周面へ垂れ流れてしまう恐れが生じた。
【０００６】
この発明は、上記事情に鑑みなされたもので、ガラス管の形状、肉厚などについて製造工程中にガラス管に煩雑な処理を施すことなく、簡易な構成で、製造し易く、ガラス管閉塞端部の強度低下を改善できる蛍光ランプ及びその蛍光ランプを備える照明装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【０００７】
請求項１に記載の蛍光ランプは、内面に蛍光体膜が形成され、少なくとも一端側の閉塞端部が略同一高さになるように複数本並設され、閉塞端部に凹部が形成されたガラス管を有し、このガラス管の隣接する端部同士を連結し、連通した放電路を形成する接合部が設けられたバルブと；バルブのガラス管他端側に設けられた口金と；閉塞端部の先端面と面一か又は少なくとも一部が突出するように凹部内に設けられた保護部材と;を具備していることを特徴とする。
【０００８】
請求項２に記載の蛍光ランプは、請求項１に記載の蛍光ランプにおいて、保護部材がシリコーン系樹脂であることを特徴とする。
【０００９】
請求項３に記載の蛍光ランプは、請求項１又は請求項２記載の蛍光ランプにおいて、前記凹部の深さ寸法が０．５ｍｍ〜２．０ｍｍであることを特徴とする。
【００１０】
請求項４に記載の蛍光ランプは、請求項１乃至請求項３のいずれか一に記載の蛍光ランプにおいて、前記保護部材の厚さ寸法が約０．５ｍｍ〜４．０ｍｍであり、凹部の深さ寸法よりも大きいことを特徴とする。
【００１１】
請求項５に記載の照明装置は、器具本体と；器具本体に配設される請求項１乃至請求項４のいずれか一記載の蛍光ランプと；蛍光ランプへ電力を供給する点灯装置と；を具備していることを特徴とする。
【００１２】
各発明において、特に指定しない限り用語の定義及び技術的意味は次による。複数本並設したガラス管は、２本、４本、６本など適宜選択でき、これらガラス管が一連の放電路を形成するようになっていればよい。ガラス管内面と蛍光体膜との間にアルミナなどの金属酸化物材料で成膜された保護膜や透明導電膜を形成することはこの発明の範囲を逸脱するものではない。保護部材は、透光性、弾力性、耐熱性及び低粘度の所定の流動性を有するシリコーンゴムなどのシリコーン系樹脂が望ましいが、この発明は、シリコーン系樹脂を用いることに限定されない。また、これら性質の全てを有することは不可欠ではない。透光性は必ずしも必要ではなく、さらに弾力性も必ずしも必要ではない。要は閉塞端部の強度低下を改善できる部材であればよく、耐熱性は点灯時におけるガラス管からの熱を受けても支障がない程度の耐性で足りる。また、流動性は、例えば、ガラス管の閉塞端部に形成された凹部に保護部材を塗布したとき、凹部内に拡散するように広がる程度の粘度を意味している。凹部は、バルブの内圧を高くして閉塞端部を膨張させて形成する必要がなく、例えば、閉塞端部を型によって内側へ押し込むように成形して加工することができるので、高度な加工精度を必要とせず、容易に加工することが可能である。
【発明の効果】
【００１３】
請求項１乃至請求項５の発明によれば、簡易な構成で、製造し易く、ガラス管閉塞端部の強度を向上でき、蛍光ランプの輸送時などの衝撃、振動によるランプの破損を低減できる蛍光ランプを提供することができる。加えて、器具本体への蛍光ランプの着脱に際し、破損を低減し、安全な照明装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【００１４】
この発明の蛍光ランプの実施形態を図１乃至図５を参照して説明する。図１はこの発明の蛍光ランプを示す正面図、図２は蛍光ランプのガラス管の閉塞端部を示す拡大図、図３及び図４は同ガラス管の閉塞端部を示す模式的断面図である。なお、これらの図中、同一又は相当部分には同一符号を付し、重複した説明の記載は省略する。
【００１５】
まず図１は、コンパクト形蛍光ランプ１を示し、長さが５６０ｍｍである。複数本、すなわち、２本の直状ガラス管２が一端側及び他端側の各端部がそれぞれ略同一高さとなるように並列に配置されている。ガラス管２は、ソーダライムガラスからなり、外径が２０ｍｍ、肉厚が１．０ｍｍ程度である。並列に配置された各ガラス管２は、その各端部側において隣同士が相互に接合部３によって接続されており、各ガラス管２は一連の放電路を形成するようになっている。接合部３は、一般的な公知の方法により形成される。ガラス管２の各々の他端側は気密に封着され、電極フィラメントコイルを保持したガラスステム（図示しない。）がそれぞれ封着されている。
【００１６】
上記ガラス管２、接合部３、ガラスステムなどによりバルブ４が構成される。ガラス管２の他端側は、口金５に接着剤によって覆われるように接合され、口金５からは、電極フィラメントコイルに電気的に接続されたピン端子６が突出されている。口金５は、全体形状がほぼ長円形柱状であり、ＪＩＳ規格で定められたＧＹ１０ｑ形口金である。一方、口金５とは反対側のガラス管２の一端側は、上述したように従来の方法により閉塞されるが、この閉塞端部には、保護部材７としてシリコーンゴムなどのシリコーン系樹脂が塗布されている。
【００１７】
次に、図２乃至図４を参照して説明する。なお、図３及び図４は共にガラス管２の閉塞端部を示すが、図３は保護部材７を設ける前の状態を示し、図４は保護部材７を設けた後の状態を示している。図２において、ガラス管２の閉塞端部には、保護部材７がドーム状に盛り上がって設けられている。図３においては、ガラス管２の閉塞端部に形成された凹部８が示されている。この凹部８は、成形型等の冶具を用いて外部からガラス管２の閉塞端部を押圧して形成するが、バルブ４の製造工程中において、ガラス管２内を減圧して形成してもよく、その形成方法は任意である。凹部８は、断面ほぼ弧状に形成され、凹部８の最大深さＡは、０．５ｍｍ〜２．０ｍｍになるように形成されている。凹部８の深さは、後述するシリコーン系樹脂の必要量に応じて適宜選定すればよい。凹部８の中央部の肉厚は、０．２ｍｍ〜０．８ｍｍであり、ガラス管２の直菅部の肉厚の２０％〜８０％となっている。
【００１８】
このように凹部８を形成した後、バルブ４を立設した状態で、凹部８にシリコーン系樹脂を収容するように必要量塗布、注入する。ここで、シリコーン系樹脂は、流動性ある粘度２５Ｐａ・ｓのものを使用している。シリコーン系樹脂を塗布、注入すると、樹脂は凹部８内を拡散するように均一に広がるが、凹部８の当該樹脂の保留作用により、ガラス管２周面へ垂れ流れることはない。シリコーン系樹脂の塗布、注入後は、硬化するまで所定時間放置する。硬化後は、図４に示すように、保護部材７としてのシリコーン系樹脂は、ガラス管２の閉塞端部から一部が突出するようにドーム状に盛り上がった形態をなしている。シリコーン系樹脂は、凹部８に収容されるものの、その表面張力でガラス管２の閉塞端部を覆うような状態となっている。この状態でのシリコーン系樹脂の厚さＢは、０．５ｍｍ〜４．０ｍｍであり、厚さＢの半分以上は、凹部８に収容される部分で占めている。また、シリコーン系樹脂は、透光性、弾力性及び耐熱性を有している。
【００１９】
なお、ガラス管２の内面には３波長発光形の希土類蛍光体や連続波長発光形のハロリン酸塩蛍光体などを塗布した所定の蛍光体膜２ａが形成されているとともに内部に放電媒体として水銀及びアルゴン、クリプトン、キセノンなどの希ガスが単独又は混合して所定量封入してある。
【００２０】
次に、本実施形態の蛍光ランプ１の強度試験行ったところ、図５に示す強度測定結果を得た。試験方法は、バルブ４を形成するガラス管２部分を閉塞端部が上方の垂直状態で固定支持し、閉塞端部の中央部に向けて、重さ３．５ｇの鉄球を高さを変えて落下させ、その破壊強度を調べた。
【００２１】
図中、縦軸は鉄球の落下高さ（ｃｍ）を示し、横軸はシリコーン系樹脂の厚み（ｍｍ）を示している。すなわち、シリコーン系樹脂の厚みに従うガラス管２の閉塞端部の破壊強度を示している。この測定結果によれば、従来のガラス管（シリコーン系樹脂を設けていないもの）では落下高さ約５ｃｍで破壊するのに対し、この発明のガラス管ではシリコーン系樹脂の厚み約２．０ｍｍで落下高さ約２０ｃｍ、シリコーン系樹脂の厚み約４．０ｍｍで落下高さ約２２ｃｍで破壊する結果となった。以上の測定結果を考察し、シリコーン系樹脂の厚みは、０．５ｍｍ〜４．０ｍｍが望ましいとの知見を得た。
【００２２】
以上のように本実施形態によれば、簡易な構成で、製造し易く、ガラス管２閉塞端部の強度低下を改善できる。また、ガラス管２の閉塞端部に形成された凹部８に、保護部材７としてのシリコーン系樹脂を収容するように塗布、注入するので、ガラス管２周面へ垂れ流れることはない。したがって、シリコーン系樹脂がガラス管２周面に付着して光の照射を妨げるようなことを防止でき、さらに、必要量のシリコーン系樹脂を塗布できるので所定の強度を確保し易い。さらにまた、シリコーン系樹脂は、所定の流動性を有しているので、凹部８内を拡散するように均一に広がり、塗布、注入むらを少なくすることが可能となる。凹部８の深さは、シリコーン系樹脂の必要量、すなわち、必要強度に応じて選択することが可能である。保護部材７は、透光性、弾力性及び耐熱性を有するため、ランプの配光分布に不具合が生じること少なく、ガラス管２の閉塞端部が衝撃を受けても、それを緩和することができ、かつランプからの熱を受けても劣化等の問題が生じ難い効果を奏する。加えて、シリコーン系樹脂の厚さの半分以上は、凹部８に収容される部分で占めているので、シリコーン系樹脂がガラス管２閉塞端部から突出する部分が少なく、外観上も良好である。凹部８には、保護部材７が設けられているため、凹部８に直接衝撃が加わることがない。このため、凹部８自体の機械的強度は過度に高くする必要はなく、ガラス管２の直管部分の肉厚の２０％〜１００％、好ましくは４０％〜８０％であれば十分である。
【００２３】
次に、図６を参照してこの発明の蛍光ランプの他の実施形態について説明する。なお、上述の実施形態と同一又は相当部分には同一符号を付し、その重複した説明は省略する。上述の実施形態と異なるのは、保護部材７としてのシリコーン系樹脂をガラス管２の閉塞端部に形成された凹部８に、閉塞端部と面一となるように塗布、注入したものである。すなわち、シリコーン系樹脂がガラス管２閉塞端部から突出しないように設けたものである。
【００２４】
本実施形態によれば、上述の実施形態の効果に加え、さらに外観上等において有利となる効果が期待できる。
【００２５】
次に、この発明の照明装置の実施形態について説明する。図示は省略するが、上記実施形態の蛍光ランプ１は、装置本体に配設し、照明装置として構成できる。装置本体には蛍光ランプ１に電力を供給する点灯装置が収容されている。この照明装置は、屋内又は屋外で使用される照明装置に適用可能である。よって、このような照明装置によれば、蛍光ランプ１の着脱の必要性が生じるが、その着脱において蛍光ランプ１の破損を防止することが可能となる。また、上記実施形態の蛍光ランプ１の効果を奏する照明装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【００２６】
【図１】この発明の蛍光ランプの実施形態を示す正面図である。
【図２】同ガラス管の閉塞端部を示す拡大図である。
【図３】同ガラス管の閉塞端部を示す模式的断面図である。
【図４】同ガラス管の閉塞端部を示す模式的断面図である。
【図５】ガラス管の閉塞端部の強度を示すグラフである。
【図６】他の実施形態のガラス管の閉塞端部を示す模式的断面図である。
【符号の説明】
【００２７】
１・・・蛍光ランプ、 ２・・・ガラス管、 ２ａ・・・蛍光体膜、 ３・・・接合部、 ４・・・バルブ、 ５・・・口金、
７・・・保護部材、 ８・・・凹部
【技術分野】
【０００１】
この発明は、複数本並設したガラス管からなるバルブを有する蛍光ランプ及びその蛍光ランプを備える照明装置に関する。
【背景技術】
【０００２】
従来、電球形蛍光ランプやコンパクト形蛍光ランプのバルブは、複数本の並列したガラス管の端部近傍を接合し、一連の放電路を形成している。前記バルブの一端側のガラス管端部は閉塞され、他端側には口金が設けられるが、この閉塞は一般的には次のようにして行われる。
【０００３】
直状ガラス管の中間部をバーナー炎で加熱し、軟化溶融したときに管軸の相反する方向に移動させ封じ切って自己閉塞させ、この閉塞端部をさらにバーナー炎で加熱溶融して先端形状を整えている。この方法では、閉塞端部において、ガラス管の内面に形成した蛍光体がバーナーで加熱されることによりガラス内に入り込むため、ガラスのみを溶融した場合とは異なり溶融部分にガラス肉厚にばらつきを生じたり、ガラス中の異物によりクラックが生じるなどガラス管閉塞部に強度低下の現象が発生した。
【０００４】
このようなガラス管の強度低下への対応として、バルブの製造工程中において、ガラス管の一方の端部開口部から気体を吹き込み、その圧力でガラス管の端部端面を膨らませて凸曲面状をなすように加工する（特許文献１参照）、さらに肉溜まり部を形成して、凸曲面状の部分の肉厚を厚くかつ均一にする（特許文献２参照）、ガラス管端面に中央部が外方に突出した厚肉の凸部を有する閉塞端部を形成する（特許文献３参照）、など製造工程中に加工処理することが考えられている。さらに、近年、ガラス管の閉塞端部の保護として、閉塞端部にシリコーン系樹脂を塗布することが提案されている（特許文献４参照）。
【特許文献１】特開平１１−４００５７号公報
【特許文献２】特開２００１−１８５０３２号公報
【特許文献３】特開２００４−１４３２６号公報
【特許文献４】特開２００７−３５５５１号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【０００５】
しかしながら、ガラス管の閉塞端部を所定の凸部形状に成形加工することは、加熱温度や吹き込み気体の圧力を精度よく管理する必要があるので、製品歩留まりが低下しやすく、製造方法が煩雑なものであった。また、ガラス管閉塞端部にシリコーン系樹脂を塗布する場合は、その樹脂の流動性により、ガラス管閉塞端部からガラス管周面へ垂れ流れてしまう恐れが生じた。
【０００６】
この発明は、上記事情に鑑みなされたもので、ガラス管の形状、肉厚などについて製造工程中にガラス管に煩雑な処理を施すことなく、簡易な構成で、製造し易く、ガラス管閉塞端部の強度低下を改善できる蛍光ランプ及びその蛍光ランプを備える照明装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【０００７】
請求項１に記載の蛍光ランプは、内面に蛍光体膜が形成され、少なくとも一端側の閉塞端部が略同一高さになるように複数本並設され、閉塞端部に凹部が形成されたガラス管を有し、このガラス管の隣接する端部同士を連結し、連通した放電路を形成する接合部が設けられたバルブと；バルブのガラス管他端側に設けられた口金と；閉塞端部の先端面と面一か又は少なくとも一部が突出するように凹部内に設けられた保護部材と;を具備していることを特徴とする。
【０００８】
請求項２に記載の蛍光ランプは、請求項１に記載の蛍光ランプにおいて、保護部材がシリコーン系樹脂であることを特徴とする。
【０００９】
請求項３に記載の蛍光ランプは、請求項１又は請求項２記載の蛍光ランプにおいて、前記凹部の深さ寸法が０．５ｍｍ〜２．０ｍｍであることを特徴とする。
【００１０】
請求項４に記載の蛍光ランプは、請求項１乃至請求項３のいずれか一に記載の蛍光ランプにおいて、前記保護部材の厚さ寸法が約０．５ｍｍ〜４．０ｍｍであり、凹部の深さ寸法よりも大きいことを特徴とする。
【００１１】
請求項５に記載の照明装置は、器具本体と；器具本体に配設される請求項１乃至請求項４のいずれか一記載の蛍光ランプと；蛍光ランプへ電力を供給する点灯装置と；を具備していることを特徴とする。
【００１２】
各発明において、特に指定しない限り用語の定義及び技術的意味は次による。複数本並設したガラス管は、２本、４本、６本など適宜選択でき、これらガラス管が一連の放電路を形成するようになっていればよい。ガラス管内面と蛍光体膜との間にアルミナなどの金属酸化物材料で成膜された保護膜や透明導電膜を形成することはこの発明の範囲を逸脱するものではない。保護部材は、透光性、弾力性、耐熱性及び低粘度の所定の流動性を有するシリコーンゴムなどのシリコーン系樹脂が望ましいが、この発明は、シリコーン系樹脂を用いることに限定されない。また、これら性質の全てを有することは不可欠ではない。透光性は必ずしも必要ではなく、さらに弾力性も必ずしも必要ではない。要は閉塞端部の強度低下を改善できる部材であればよく、耐熱性は点灯時におけるガラス管からの熱を受けても支障がない程度の耐性で足りる。また、流動性は、例えば、ガラス管の閉塞端部に形成された凹部に保護部材を塗布したとき、凹部内に拡散するように広がる程度の粘度を意味している。凹部は、バルブの内圧を高くして閉塞端部を膨張させて形成する必要がなく、例えば、閉塞端部を型によって内側へ押し込むように成形して加工することができるので、高度な加工精度を必要とせず、容易に加工することが可能である。
【発明の効果】
【００１３】
請求項１乃至請求項５の発明によれば、簡易な構成で、製造し易く、ガラス管閉塞端部の強度を向上でき、蛍光ランプの輸送時などの衝撃、振動によるランプの破損を低減できる蛍光ランプを提供することができる。加えて、器具本体への蛍光ランプの着脱に際し、破損を低減し、安全な照明装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【００１４】
この発明の蛍光ランプの実施形態を図１乃至図５を参照して説明する。図１はこの発明の蛍光ランプを示す正面図、図２は蛍光ランプのガラス管の閉塞端部を示す拡大図、図３及び図４は同ガラス管の閉塞端部を示す模式的断面図である。なお、これらの図中、同一又は相当部分には同一符号を付し、重複した説明の記載は省略する。
【００１５】
まず図１は、コンパクト形蛍光ランプ１を示し、長さが５６０ｍｍである。複数本、すなわち、２本の直状ガラス管２が一端側及び他端側の各端部がそれぞれ略同一高さとなるように並列に配置されている。ガラス管２は、ソーダライムガラスからなり、外径が２０ｍｍ、肉厚が１．０ｍｍ程度である。並列に配置された各ガラス管２は、その各端部側において隣同士が相互に接合部３によって接続されており、各ガラス管２は一連の放電路を形成するようになっている。接合部３は、一般的な公知の方法により形成される。ガラス管２の各々の他端側は気密に封着され、電極フィラメントコイルを保持したガラスステム（図示しない。）がそれぞれ封着されている。
【００１６】
上記ガラス管２、接合部３、ガラスステムなどによりバルブ４が構成される。ガラス管２の他端側は、口金５に接着剤によって覆われるように接合され、口金５からは、電極フィラメントコイルに電気的に接続されたピン端子６が突出されている。口金５は、全体形状がほぼ長円形柱状であり、ＪＩＳ規格で定められたＧＹ１０ｑ形口金である。一方、口金５とは反対側のガラス管２の一端側は、上述したように従来の方法により閉塞されるが、この閉塞端部には、保護部材７としてシリコーンゴムなどのシリコーン系樹脂が塗布されている。
【００１７】
次に、図２乃至図４を参照して説明する。なお、図３及び図４は共にガラス管２の閉塞端部を示すが、図３は保護部材７を設ける前の状態を示し、図４は保護部材７を設けた後の状態を示している。図２において、ガラス管２の閉塞端部には、保護部材７がドーム状に盛り上がって設けられている。図３においては、ガラス管２の閉塞端部に形成された凹部８が示されている。この凹部８は、成形型等の冶具を用いて外部からガラス管２の閉塞端部を押圧して形成するが、バルブ４の製造工程中において、ガラス管２内を減圧して形成してもよく、その形成方法は任意である。凹部８は、断面ほぼ弧状に形成され、凹部８の最大深さＡは、０．５ｍｍ〜２．０ｍｍになるように形成されている。凹部８の深さは、後述するシリコーン系樹脂の必要量に応じて適宜選定すればよい。凹部８の中央部の肉厚は、０．２ｍｍ〜０．８ｍｍであり、ガラス管２の直菅部の肉厚の２０％〜８０％となっている。
【００１８】
このように凹部８を形成した後、バルブ４を立設した状態で、凹部８にシリコーン系樹脂を収容するように必要量塗布、注入する。ここで、シリコーン系樹脂は、流動性ある粘度２５Ｐａ・ｓのものを使用している。シリコーン系樹脂を塗布、注入すると、樹脂は凹部８内を拡散するように均一に広がるが、凹部８の当該樹脂の保留作用により、ガラス管２周面へ垂れ流れることはない。シリコーン系樹脂の塗布、注入後は、硬化するまで所定時間放置する。硬化後は、図４に示すように、保護部材７としてのシリコーン系樹脂は、ガラス管２の閉塞端部から一部が突出するようにドーム状に盛り上がった形態をなしている。シリコーン系樹脂は、凹部８に収容されるものの、その表面張力でガラス管２の閉塞端部を覆うような状態となっている。この状態でのシリコーン系樹脂の厚さＢは、０．５ｍｍ〜４．０ｍｍであり、厚さＢの半分以上は、凹部８に収容される部分で占めている。また、シリコーン系樹脂は、透光性、弾力性及び耐熱性を有している。
【００１９】
なお、ガラス管２の内面には３波長発光形の希土類蛍光体や連続波長発光形のハロリン酸塩蛍光体などを塗布した所定の蛍光体膜２ａが形成されているとともに内部に放電媒体として水銀及びアルゴン、クリプトン、キセノンなどの希ガスが単独又は混合して所定量封入してある。
【００２０】
次に、本実施形態の蛍光ランプ１の強度試験行ったところ、図５に示す強度測定結果を得た。試験方法は、バルブ４を形成するガラス管２部分を閉塞端部が上方の垂直状態で固定支持し、閉塞端部の中央部に向けて、重さ３．５ｇの鉄球を高さを変えて落下させ、その破壊強度を調べた。
【００２１】
図中、縦軸は鉄球の落下高さ（ｃｍ）を示し、横軸はシリコーン系樹脂の厚み（ｍｍ）を示している。すなわち、シリコーン系樹脂の厚みに従うガラス管２の閉塞端部の破壊強度を示している。この測定結果によれば、従来のガラス管（シリコーン系樹脂を設けていないもの）では落下高さ約５ｃｍで破壊するのに対し、この発明のガラス管ではシリコーン系樹脂の厚み約２．０ｍｍで落下高さ約２０ｃｍ、シリコーン系樹脂の厚み約４．０ｍｍで落下高さ約２２ｃｍで破壊する結果となった。以上の測定結果を考察し、シリコーン系樹脂の厚みは、０．５ｍｍ〜４．０ｍｍが望ましいとの知見を得た。
【００２２】
以上のように本実施形態によれば、簡易な構成で、製造し易く、ガラス管２閉塞端部の強度低下を改善できる。また、ガラス管２の閉塞端部に形成された凹部８に、保護部材７としてのシリコーン系樹脂を収容するように塗布、注入するので、ガラス管２周面へ垂れ流れることはない。したがって、シリコーン系樹脂がガラス管２周面に付着して光の照射を妨げるようなことを防止でき、さらに、必要量のシリコーン系樹脂を塗布できるので所定の強度を確保し易い。さらにまた、シリコーン系樹脂は、所定の流動性を有しているので、凹部８内を拡散するように均一に広がり、塗布、注入むらを少なくすることが可能となる。凹部８の深さは、シリコーン系樹脂の必要量、すなわち、必要強度に応じて選択することが可能である。保護部材７は、透光性、弾力性及び耐熱性を有するため、ランプの配光分布に不具合が生じること少なく、ガラス管２の閉塞端部が衝撃を受けても、それを緩和することができ、かつランプからの熱を受けても劣化等の問題が生じ難い効果を奏する。加えて、シリコーン系樹脂の厚さの半分以上は、凹部８に収容される部分で占めているので、シリコーン系樹脂がガラス管２閉塞端部から突出する部分が少なく、外観上も良好である。凹部８には、保護部材７が設けられているため、凹部８に直接衝撃が加わることがない。このため、凹部８自体の機械的強度は過度に高くする必要はなく、ガラス管２の直管部分の肉厚の２０％〜１００％、好ましくは４０％〜８０％であれば十分である。
【００２３】
次に、図６を参照してこの発明の蛍光ランプの他の実施形態について説明する。なお、上述の実施形態と同一又は相当部分には同一符号を付し、その重複した説明は省略する。上述の実施形態と異なるのは、保護部材７としてのシリコーン系樹脂をガラス管２の閉塞端部に形成された凹部８に、閉塞端部と面一となるように塗布、注入したものである。すなわち、シリコーン系樹脂がガラス管２閉塞端部から突出しないように設けたものである。
【００２４】
本実施形態によれば、上述の実施形態の効果に加え、さらに外観上等において有利となる効果が期待できる。
【００２５】
次に、この発明の照明装置の実施形態について説明する。図示は省略するが、上記実施形態の蛍光ランプ１は、装置本体に配設し、照明装置として構成できる。装置本体には蛍光ランプ１に電力を供給する点灯装置が収容されている。この照明装置は、屋内又は屋外で使用される照明装置に適用可能である。よって、このような照明装置によれば、蛍光ランプ１の着脱の必要性が生じるが、その着脱において蛍光ランプ１の破損を防止することが可能となる。また、上記実施形態の蛍光ランプ１の効果を奏する照明装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【００２６】
【図１】この発明の蛍光ランプの実施形態を示す正面図である。
【図２】同ガラス管の閉塞端部を示す拡大図である。
【図３】同ガラス管の閉塞端部を示す模式的断面図である。
【図４】同ガラス管の閉塞端部を示す模式的断面図である。
【図５】ガラス管の閉塞端部の強度を示すグラフである。
【図６】他の実施形態のガラス管の閉塞端部を示す模式的断面図である。
【符号の説明】
【００２７】
１・・・蛍光ランプ、 ２・・・ガラス管、 ２ａ・・・蛍光体膜、 ３・・・接合部、 ４・・・バルブ、 ５・・・口金、
７・・・保護部材、 ８・・・凹部
【特許請求の範囲】
【請求項１】
内面に蛍光体膜が形成され、少なくとも一端側の閉塞端部が略同一高さになるように複数本並設され、閉塞端部に凹部が形成されたガラス管を有し、このガラス管の隣接する端部同士を連結し、連通した放電路を形成する接合部が設けられたバルブと；
バルブのガラス管他端側に設けられた口金と；
閉塞端部の先端面と面一か又は少なくとも一部が突出するように凹部内に設けられた保護部材と;
を具備していることを特徴とする蛍光ランプ。
【請求項２】
保護部材がシリコーン系樹脂であることを特徴とする請求項１に記載の蛍光ランプ。
【請求項３】
前記凹部の深さ寸法が０．５ｍｍ〜２．０ｍｍであることを特徴とする請求項１又は請求項２記載の蛍光ランプ。
【請求項４】
前記保護部材の厚さ寸法が約０．５ｍｍ〜４．０ｍｍであり、凹部の深さ寸法よりも大きいことを特徴とする請求項１乃至請求項３のいずれか一に記載の蛍光ランプ。
【請求項５】
器具本体と；
器具本体に配設される請求項１乃至請求項４のいずれか一に記載の蛍光ランプと；
蛍光ランプへ電力を供給する点灯装置と；
を具備していることを特徴とする照明装置。
【請求項１】
内面に蛍光体膜が形成され、少なくとも一端側の閉塞端部が略同一高さになるように複数本並設され、閉塞端部に凹部が形成されたガラス管を有し、このガラス管の隣接する端部同士を連結し、連通した放電路を形成する接合部が設けられたバルブと；
バルブのガラス管他端側に設けられた口金と；
閉塞端部の先端面と面一か又は少なくとも一部が突出するように凹部内に設けられた保護部材と;
を具備していることを特徴とする蛍光ランプ。
【請求項２】
保護部材がシリコーン系樹脂であることを特徴とする請求項１に記載の蛍光ランプ。
【請求項３】
前記凹部の深さ寸法が０．５ｍｍ〜２．０ｍｍであることを特徴とする請求項１又は請求項２記載の蛍光ランプ。
【請求項４】
前記保護部材の厚さ寸法が約０．５ｍｍ〜４．０ｍｍであり、凹部の深さ寸法よりも大きいことを特徴とする請求項１乃至請求項３のいずれか一に記載の蛍光ランプ。
【請求項５】
器具本体と；
器具本体に配設される請求項１乃至請求項４のいずれか一に記載の蛍光ランプと；
蛍光ランプへ電力を供給する点灯装置と；
を具備していることを特徴とする照明装置。
【図１】
【図２】
【図３】
【図４】
【図５】
【図６】
【図２】
【図３】
【図４】
【図５】
【図６】
【公開番号】特開２００９−１４６７８９（Ｐ２００９−１４６７８９Ａ）
【公開日】平成２１年７月２日（２００９．７．２）
【国際特許分類】
【出願番号】特願２００７−３２３９５０（Ｐ２００７−３２３９５０）
【出願日】平成１９年１２月１４日（２００７．１２．１４）
【出願人】（０００００３７５７）東芝ライテック株式会社 (2,710)
【Ｆターム（参考）】
【公開日】平成２１年７月２日（２００９．７．２）
【国際特許分類】
【出願日】平成１９年１２月１４日（２００７．１２．１４）
【出願人】（０００００３７５７）東芝ライテック株式会社 (2,710)
【Ｆターム（参考）】
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