説明

蛍光ランプ

【課題】飛来する虫の多くを退去させることのできる蛍光ランプを提供する。
【解決手段】蛍光ランプ1は、発光に伴い熱を発生する発光管6と、発光管6が内部に配置されるグローブ3とを有するものである。グローブ3は、透光性を有する部材により構成されており、グローブ3の外面には、虫忌避剤が含有された塗料が塗布されている。この虫忌避剤は、発光管6の熱によりグローブ3の温度が上昇することで、虫忌避性成分を空中に発散する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、蛍光ランプに関する。より詳しくは、防虫機能を備えた蛍光ランプに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、蛍光ランプに飛来した虫を、蛍光ランプから退去させるために、虫忌避剤が使用されている。例えば、特許文献1には、発光部が設けられた本体と、発光部を覆うグローブとの接合部に接触忌避性の虫忌避剤を塗布することで、グローブ内に虫が進入することを防止した蛍光ランプが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2000−164024号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1では、蛍光ランプから退去させることができる虫は、上述の本体とグローブとの接合部を徘徊することで、前脚などの部位に虫忌避剤が接触した虫のみである。このため、その他の虫が蛍光ランプの周囲に残存することで、不快感を感じさせ得る。
【0005】
本発明は、上述の事情の下になされたもので、その目的は、飛来する虫の多くを退去させることのできる蛍光ランプを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明に係る蛍光ランプは、発光に伴い熱を発生する発光部と、前記発光部が内部に配置される透光性部材とを有し、前記透光性部材の外面には、虫忌避剤が含有された塗料が塗布され、前記虫忌避剤は、前記発光部の熱により前記透光性部材の温度が上昇することで虫忌避性成分を空中に発散することを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、発光管を点灯させることで、虫忌避性成分が空中に発散される。これにより、発光管の点灯時には、蛍光ランプの周囲に虫忌避性成分が浮遊するようになるので、蛍光ランプに飛来した虫は、その多くが退去する。このため、蛍光ランプに飛来した虫により、不快感を生じることが防止される。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】蛍光ランプ1の正面図である。
【図2】蛍光ランプ1が分解された状態を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明に係る実施形態を図1および図2に基づいて説明する。なお、図中同一または相当部分には同一符号を付した。図1は、蛍光ランプ1の正面図である。図2は、蛍光ランプ1が分解された状態を示す正面図である。
【0010】
蛍光ランプ1は、口金4、カバー5、及び発光管6(発光部)を備えた本体2と、本体2のカバー5に取り付けられるグローブ3(透光性部材)とを有している。
【0011】
カバー5は、軸方向の両端が開口する筒状を呈し、その内部には、インバータ回路を含む点灯装置(図示せず)が配置されている。カバー5の一端5aにおける内周面には、グローブ3を取り付けるための雌螺子7が形成され、また雌螺子7よりも他端5b側には、発光管6を固定するための仕切板(図示せず)が接合されている。
【0012】
口金4は、軸方向の一端がカバー5の他端5bを被覆するように接着剤などによりカバー5に固定されている。
【0013】
発光管6は、二重螺旋状を呈するガラスバルブによって構成されている。発光管6における両端は、上述の仕切板の貫通孔に挿通されて、カバー5の内部に位置している。発光管6の両端には電極が形成され、該電極がカバー5内に収容された点灯装置のインバータ回路に電気的に接続されることで、発光管6は、1つの連続した放電路を構成している。放電路には水銀が封入され、また、放電路を構成する発光管6の内壁面には、紫外線を可視光線に変換する蛍光体層が形成されている。
【0014】
グローブ3は、透過性を有するガラスや合成樹脂などの材料により構成されたものであって、円筒部8と、円筒部8の一端から略球状に膨らむ球状部9とを備え、球状部9の内部には、円筒部8の内部に連なる空間が設けられている。
【0015】
円筒部8における他端8aは開口しており、その外周面には、カバー5の雌螺子7と螺合する雄螺子10が形成されている。この雌螺子7及び雄螺子10の形成により、グローブ3は、カバー5に対して着脱自在になっている。グローブ3をカバー5に取り付ける際には、発光管6を円筒部他端8aの開口から円筒部8・球状部9の内部に挿入させた状態で、雌螺子7と雄螺子10とを螺合させる。この結果、発光管6はグローブ3の内部に配置される。そして、雌螺子7と雄螺子10の螺合を解除することで、グローブ3はカバー5から取り外される。
【0016】
グローブ3の外面には透過性を有する塗料が塗布されており、塗料には、虫忌避剤としてのユーカリオイルまたはレモンセントティーツリーオイルが含有されている。
【0017】
以上の構成を有する蛍光ランプ1は、口金4が図示しない照明器具のソケットに嵌合されることによって照明器具に装着され、点灯装置のインバータ回路は、口金4を介して前記照明器具の点灯回路から電力が入力されるようになっている。
【0018】
そして、口金4が照明器具のソケットに嵌合された状態で、点灯装置のインバータ回路に電力が入力されると、インバータ回路は、発光管6の電極に電圧を印加する。そして、この電圧の印加がされると、発光管6の放電路内で放電が生じて、発光管6は点灯する。この点灯時に、発光管6が発する熱により、グローブ3の温度が上昇し、この結果、虫忌避剤に含まれる虫忌避性成分が空中に発散される。
【0019】
本実施の形態によれば、上述のように発光管6を点灯させることで、虫忌避性成分が空中に発散される。これにより、発光管6の点灯時には、蛍光ランプ1の周囲に虫忌避性成分が浮遊するようになるので、蛍光ランプ1に飛来した虫は、その多くが退去する。このため、蛍光ランプ1に飛来した虫により、不快感を生じることが防止される。
【0020】
また、長期の使用により塗料に含有される虫忌避剤が少なくなった場合には、グローブ3がカバー5に対して着脱自在であるので、蛍光ランプ1全体を交換することなく、グローブ3のみを交換することで、虫忌避剤による防虫効果を継続させることができる。このため、前記防虫効果の持続に要するコストを安価に抑えることができる。
【0021】
また、虫忌避剤として、ユーカリオイルまたはレモンセントティーツリーオイルなどの植物性オイルを使用していることで、虫忌避剤によって環境や人体に害が与えられることはない。
【0022】
本発明は、上記した実施形態のみに限定されるものではなく、特許請求の範囲内において、種々改変することができる。
【0023】
例えば、本実施形態では、カバー5からグローブ3を着脱自在とする手段として螺子を用いたが、例えば磁力による手段など、他の手段によって、グローブ3をカバー5に対して着脱自在としてもよい。
【0024】
また、蛍光ランプは、グローブ3に相当する透光性部材が直管形や環形を呈する管体によって構成されて、管体の両端に設けられる電極間に電圧が加えられることで管体内に封入されるガスが光や熱を発するものであってもよい。また、蛍光ランプは、発光部がジュール熱による輻射を利用するフィラメントによって構成されて、このフィラメントが透光性部材によって覆われるものであってもよい。このような蛍光ランプであっても、透光性部材の外面に上述の虫忌避剤を含む塗料が塗布されることで、発光部の点灯時には、透光性部材の温度上昇により虫忌避性成分が空中に発散するため、蛍光ランプに飛来した虫を退去させることができる。
【0025】
本発明の観点にかかる蛍光ランプは、好ましくは、前記発光部は、電圧の印加により光および熱を発する放電路を備えることを特徴とする。
【0026】
また好ましくは、前記発光部としての管体が取り付けられる本体を有し、
前記透光性部材は、前記本体に着脱自在に設けられ、前記本体に取り付けられた状態において前記管体を覆うことを特徴とする。
【0027】
また好ましくは、前記虫忌避剤は、ユーカリオイルまたはレモンセントティーツリーオイルであることを特徴とする。
【符号の説明】
【0028】
1 蛍光ランプ
2 本体
3 グローブ
4 口金
5 カバー
6 発光管
7 雌螺子
10 雄螺子

【特許請求の範囲】
【請求項1】
発光に伴い熱を発生する発光部と、
前記発光部が内部に配置される透光性部材とを有し、
前記透光性部材の外面には、虫忌避剤が含有された塗料が塗布され、
前記虫忌避剤は、前記発光部の熱により前記透光性部材の温度が上昇することで虫忌避性成分を空中に発散することを特徴とする蛍光ランプ。
【請求項2】
前記発光部は、電圧の印加により光および熱を発する放電路を備えることを特徴とする請求項1に記載の蛍光ランプ。
【請求項3】
前記発光部としての管体が取り付けられる本体を有し、
前記透光性部材は、前記本体に着脱自在に設けられ、前記本体に取り付けられた状態において前記管体を覆うことを特徴とする請求項2に記載の蛍光ランプ。
【請求項4】
前記虫忌避剤は、ユーカリオイルまたはレモンセントティーツリーオイルであることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の蛍光ランプ。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2010−165521(P2010−165521A)
【公開日】平成22年7月29日(2010.7.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−5957(P2009−5957)
【出願日】平成21年1月14日(2009.1.14)
【出願人】(300022353)NECライティング株式会社 (483)
【Fターム(参考)】