説明

蛍光体及び蛍光表示管

【課題】 環境負荷物質であるCdを含まない信頼性の高い黄みの橙色〜緑色に発光する蛍光体を使用した蛍光表示管を提供する。
【解決手段】 ZnS:Cu,Al蛍光体、又は、ZnS:Au,Al蛍光体の中から選ばれた少なくとも一つの蛍光体、並びに、ZnS:Mn蛍光体の混合蛍光体。 特に、ZnS:Au,Al又はZnS:Cu,Alの何れかから選ばれた少なくとも一つの蛍光体とZnS:Mn蛍光体を5重量%:95重量%〜95重量%:05重量%の割合、即ち重量比で1:19〜19:1の割合で混合した混合蛍光体。並びに、前記混合蛍光体を含む蛍光体層を有することを蛍光表示管。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、1kV以下のアノード電圧で低電圧駆動する低速電子線用の、緑色〜黄色に発光する混合蛍光体。及び、前記緑色〜黄色に発光する混合蛍光体を含む蛍光体層を有する蛍光表示管に関する。
【背景技術】
【0002】
蛍光表示管には各発光色を得るために各種蛍光体が用いられている。前記緑色〜黄色に発光する蛍光体は蛍光表示管のバリエーションを増やす上で重要である。
従来、Zn1−xCdS:Au,Al蛍光体において、0<x≦0.7の範囲で可変することで、黄色〜赤色に変化させる事が出来るZnCdS:系蛍光体に関する技術が開示されている。(例えば、特許文献1)
特に、緑色〜黄色に発光する蛍光体としてZnCdS:Ag蛍光体やZnCdS:Au,Al蛍光体その他のZnCdS:系のCdを含む蛍光体が用いられている。
昨今環境対策が叫ばれる中でこの蛍光体の成分であるCdは環境負荷物質として削減が求められ、Cdを含まない蛍光体の開発が切望されている。しかしながら、単独で緑色〜黄色に発光する蛍光体Cdを含まない蛍光体は実用上種種の問題もある。
【0003】
Cdを含まないSrTiO蛍光体と、Cdを含まないZnGa:Mn蛍光体、ZnS:Cu蛍光体、ZnS:Cu,Au,Al蛍光体から選ばれた一つを、重量比で50重量%:5重量%の割合で混合して発光色を黄色〜橙色の暖色系に形成した地球環境に優しい蛍光体及びこの蛍光体を使用した蛍光表示管も開示されている。(例えば、特許文献2)
しかしながら、赤色(Red)発光のSrTiOを母体とする蛍光体、及び、黄みの緑色(Yellowish Green)発光のZnS:Cu,Al蛍光体、又は、黄緑色(Yellow Green)発光のZnS:Au,Al蛍光体を混合した混合蛍光体を電子線励起により発光駆動させたとき、前記混合蛍光体の発光色が大きく変化するという問題がある。
【0004】
【特許文献1】特開昭56−11984号公報
【特許文献2】特開2004−182813号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来の蛍光表示管で使用している暖色系に発光するZnCdS系蛍光体は、構成成分中にCd(カドミウム:以下同じ)元素を含有している。このCd元素は、健康に悪影響を及ぼす環境負荷物質であることが知られている。真空外囲器中で発光している状態では何ら問題は無いのであるが、前記蛍光表示管を破壊してゴミとした場合にはCd元素が微量ではあるが放散されるのである。近年、環境負荷物質に対しての意識が高まり、環境負荷物質を製品の材料から撤廃しようという動きがあり、ZnCdSを母体とする蛍光体も規制物質の対象になる可能性がある。
【0006】
前述の通り、Cd元素を含まない赤色発光のSrTiOを母体とする赤色発光蛍光体と、Cd元素を含まない黄みの緑色発光のZnS:Cu,Al蛍光体を混合したときは各蛍光体の色度値が大きく異なる為、低速電子線励起による駆動後の色度の変化が大きいという問題がある。(グラフ1参照)
【0007】
(グラフ1)

ここで、(1)はSrTiOを母体とする蛍光体のCIE色度値(x,y)。
(2)は、ZnS:Cu,Al蛍光体のCIE色度値(x,y)。
(3)は、(1)(2)の混合蛍光体の初期のCIE色度値(x,y)。
(4)は、(3)を1000時間駆動した後のCIE色度値(x,y)。
【0008】
グラフ1に示す通り、SrTiOとZnS:Cu,Al蛍光体のCIE色度値(x,y)が相対的に離れていることから、赤色発光SrTiO蛍光体及び緑色発光ZnS:Cu,Al蛍光体の混合蛍光体を使用した蛍光表示管を長時間駆動するとき前記各蛍光体の発光のCIE色度座標値(x,y)が変化してしまい、前記蛍光体の混合蛍光体の発光色が変化してしまうという問題がある。
また、前記混合蛍光体のZnS:Cu,Al蛍光体に替えて、ZnS:Au,Al蛍光体の混合蛍光体を使用した蛍光表示管を長時間駆動するとき、赤色発光SrTiO蛍光体及び緑色発光ZnS:Au,Al蛍光体の混合蛍光体を使用した蛍光表示管を長時間駆動するとき前記各蛍光体の発光のCIE色度座標値(x,y)が変化してしまい、前記蛍光体の混合蛍光体の発光色が変化してしまうという同様の問題がある。
【0009】
そこで本出願は、蛍光体の発光特性の違いから生ずるCIE色度値(x,y)の変化の少ない、緑色から黄みの橙色の暖色系に任意に発光させることが可能なCd元素を含まない寿命特性の良い蛍光表示管を提供する事にある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記混合蛍光体のCIE色度値(x,y)がずれてしまうという問題は、赤色発光SrTiO蛍光体及び緑色発光ZnS:Cu,Al蛍光体の寿命特性の違いから発光特性が変化してしまい、赤色発光SrTiO蛍光体及び緑色発光ZnS:Cu,Al蛍光体の混合蛍光体のCIE色度値(x,y)が変化してしまうものと推慮した。
そこで、本願発明者は上記現象について鋭意検討した結果、CIE色度座標値(x,y)において、赤色と緑色の略中間の発光色を有するZnS:Mn黄色系発光蛍光体、と緑色系発光ZnS:Cu,Al又はZnS:Au,Alの何れから選ばれた少なくとも一つの蛍光体を選択して、特性によりから黄みの橙色〜緑色の任意に発光させることが可能な混合蛍光体を組成した。前記混合蛍光体を使用した蛍光表示管を、長時間駆動するとき前記蛍光体の発光のCIE色度座標値(x,y)の変化の少ない、混合蛍光体を提供出来る事を見出した。
更に、該蛍光体を使用した長時間駆動するとき前記蛍光体の発光のCIE色度座標値(x,y)の変化が少なく、且つ、寿命特性の良い、蛍光表示管を提供出来る事を見出した。
【0011】
本願発明は上記課題を解決する為になされたものであり、
請求項1の発明は、ZnS:Au,Al又はZnS:Cu,Alの何れから選ばれた少なくとも一つの蛍光体、並びに、ZnS:Mn蛍光体の混合蛍光体であることを特徴とする。
請求項2の発明は、ZnS:Au,Al又はZnS:Cu,Alの何れかから選ばれた少なくとも一つの蛍光体とZnS:Mn蛍光体を5重量%:95重量%〜95重量%:5重量%の割合、即ち重量比で1:19〜19:1の割合で混合した混合蛍光体であることを特徴とする。
請求項3の発明は、請求項1又は請求項2の混合蛍光体を含む蛍光体層を有することを特徴とする蛍光表示管あることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本願発明により、蛍光体の発光特性の違いから生ずるCIE色度値(x,y)の変化の少ない、緑色〜黄みの橙色の暖色系に任意に発光させることが可能な、CIE色度値(x,y)変化が少なく寿命特性の良いCd元素を含まない混合蛍光体を提供出来る。
更に、本願発明の蛍光体を使用した緑色〜黄みの橙色の暖色系に任意に発光させることが可能な蛍光表示管を提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
本発明の蛍光体は、Cdを含有していない黄色発光蛍光体と、Cdを含有していない緑色系発光蛍光体を混合し、且つ、その混合比率を変えることにより、緑色〜黄みの橙色に発光する混合蛍光体の中から目的の発光色を得る蛍光体を選択し、該蛍光体を使用した緑色〜黄色の発光蛍光表示管を提供しようとするものである。
【0014】
ここで緑色系発光蛍光体とは青緑(Blue Green)、青みの緑(Bluish Green)、緑(Green)、黄みの緑(Yellowish Green)、黄緑(Yellow Green)、に発光する蛍光体をさすものと定義する。更に暖色系の発光色とは、緑みの黄色(Greenish Yellow)、黄色(Yellow),黄みの橙色(Yellowish Orange)、橙色(Orange)赤みの橙色(Reddish Orange)をさすものと定義する。
【0015】
本願発明で使用する前記Cdを含有していない黄色蛍光体はZnS:Mn蛍光体である。
本願発明で使用する前記Cdを含有していない緑色系発光蛍光体はZnS:Cu,Al蛍光体、ZnS:Au,Al蛍光体である。
【0016】
(実施例1)(表1の資料番号1〜11)
図1に示す実施例について本発明を詳細に説明する。
偏平箱型の外囲器の一部である板ガラスから成るガラス基板1の上面にアルミニウム薄膜で配線導体2を配線パターン形状にフォトリソの手段で形成する。
前記配線導体2に導通する位置にスルーホール4を形成した絶縁層3を、フリットガラスを主原料とした絶縁ペーストを厚膜印刷法で積層して形成する。
次に前記スルーホール4中にAg,Al等の粒子を含有する導電ペーストを厚膜印刷法で充填した後黒鉛層からなるアノード導体5を厚膜印刷法で形成する。
更にアノード導体5上に蛍光体層6(発光色の異なる蛍光体a,b,cを使用した蛍光体を塗布して蛍光体層(6a,6b,6c)を形成することも可能である)を形成する。
この蛍光体層6に使用する蛍光体は、前記黄みの橙色に発光するZnS:Mn蛍光体と緑色系に発光するZnS:Au,Al蛍光体を表1に示す混合比で混合した(表1の、資料番号1〜11)。すなわち、黄みの橙色発光蛍光体:緑色発光蛍光体の混合比を5重量%:95重量%〜95重量%:5重量%の割合、即ち重量比で1:19〜19:1の混合比となるように混合することにより目的の混合蛍光体による発光色が得られる。
前記混合蛍光体に、導電材としてInを混合蛍光体に対して3重量%混合し、有機溶剤を含有するビークルを混合して蛍光体ペーストを作製し、この混合蛍光体ペーストをスクリーン印刷法で前記陽極導体5の表面に被着させて、蛍光体層6を形成し、アノード基板を形成させた。
【0017】
前記ガラス基板1のアノード電極上方にメッシュ状のグリッド7を前記グリッド用配線導体2と導通するように配設する。又、ガラス基板1の両端には金属板から成る不図示のカソード支持体が設けられている。このカソード支持体にはフィラメント状のカソード8を張架するための不図示のアンカー、サポートが固着されている。
更に、不図示のゲッターが真空容器内部に固定されている。前記ガラス基板1に側面板と前面板からなる箱型の全面容器9を覆いガラス接着剤で封着し、外囲器内を排気して真空状態に形成して蛍光表示管を作製した。
【0018】
蛍光表示管は、300℃〜400℃の高温で真空状態にした後、残留気体分子を吸着して気相から排除する作用を有する物質、例えばTi,Mo,Ba,Zr等の高融点金属材料をゲッター材料として採用して、閉じた空間に於いて1×10−3Pa以下の高真空を維持している。
【0019】
これらの蛍光表示管をカソード電圧:2V,グリッド電圧・アノード電圧:30V、デュウティファクター:1/14 の駆動条件で点灯した。その結果、表1の輝度欄に示すような初期輝度と、及び発光色が得られた。また、発光の色度を測定した結果、CIE色度座標値の欄に示すxyデ−ターが得られた。
【0020】
この結果、表1の資料番号1〜11までの蛍光表示管の輝度は何れも200cd/m以上であり、CIE色度座標値(x,y)は緑色(x=0.378、y=0.508)〜黄みの橙色(x=0.530、y=0.594)の中間色が得られることが解かる。
特に表1の資料番号6の蛍光表示管は、従来から使用されている(Zn0.9,Cd0.1)S:Au,Alと同じCIE色度座標値(x,y)であり、表1の資料番号9の蛍光表示管は(Zn0.8,Cd0.2)S:Au,Alと同じCIE色度座標値(x,y)であることから、Cdを含まない蛍光体として代替が可能であると供に、緑から黄色の中間色を発光することが容易に出来ることが解かる。
【0021】
(表1)

【0022】
(比較例)(赤色発光のSrTiO:Prと、緑色発光のZnS:Au,Al蛍光体を、30重量%:70重量%の割合で混合した混合蛍光体を使用した蛍光表示管)
実施例1の混合蛍光体に替え、赤色に発光するSrTiO:Prと、緑色発光のZnS:Au,Al蛍光体を、30重量%:70重量%の割合で混合した混合蛍光体を使用した以外は実施例1と同様である。
【0023】
黄みの橙色発光のZnS:Mn蛍光体と、緑色発光のZnS:Au,Al蛍光体を、50重量%:50重量%の割合で混合した混合蛍光体(表1の資料番号6の蛍光表示管)を、実施例と同様の駆動条件で、1000時間駆動させたときの輝度残存率とCIE色度値(x,y)の変化量、及び、輝度残存率を表2に示す。
同時に、比較例の混合蛍光体を使用した蛍光表示管を、実施例と同様の駆動条件で、1000時間駆動させたときの輝度残存率CIE色度座標値(x,y)の変化量、及び、輝度残存率を表2に示す。
更に、表1の資料番号6の蛍光表示管と比較例の蛍光表示管を、実施例と同様の駆動条件で、前記蛍光表示管を1000時間駆動させたときのCIE色度座標値(x)の変化をグラフ2に、CIE色度座標値(y)の変化の量をグラフ3に示す。
【0024】
(表2)

【0025】
(グラフ2)


(グラフ3)

【0026】
表2、グラフ2、グラフ3から、ZnS:MnとZnS:Au,Alの混合比率を重量比で50重量%:50重量%の割合で混合した混合蛍光体(表1の、資料番号6)を使用した蛍光表示管を1000時間駆動させたときのCIE色度座標値(x,y)の変化量は絶対値で最大0.005であり、測定誤差の範囲で実質上問題の無い範囲であることを示している。
一方、比較例のSrTiO:PrとZnS:Au,Alを30重量%:70重量%の割合で混合した混合蛍光体を使用した蛍光表示管を1000時間駆動させたときのCIE色度座標値(x,y)の変化量は、72時間後において(x=−0.0384、y=0.0287)変化しており、1000時間後において(x=−0.0922、y=0.0690)変化している。前記変化は実用上目視で判別できる程度の色度の変化が発生している事が解かる。
また、輝度残存率においても、比較としてSrTiO:PrとZnS:Au,Alを重量比30重量%:70重量%の割合で混合した混合蛍光体を使用した蛍光表示管を1000時間駆動させたときの輝度が71%に低減しているが、本願発明のZnS:MnとZnS:Au,Alの混合比率を重量比で50重量%:50重量%の割合で混合した混合蛍光体(表1の、資料番号6)を使用した蛍光表示管を1000時間駆動させたときの輝度が83%にしか低減していない事が解かる。
【0027】
(実施例2)(表2の資料番号12〜22)
実施例1のZnS:Au,Alに替え、ZnS:Cu,Alにした以外は実施例1とおなじである。
すなわち、黄みのZnS:Cu,Al蛍光体:ZnS:Mn蛍光体の混合比を重量比で5重量%:95重量%〜95重量%:5重量%、即ち重量比で1:19〜19:1の混合比となるように混合することにより目的の混合蛍光体による発光色が得られる。
前記混合蛍光体に、導電材としてInを前記混合蛍光体に対して3重量%混合し、有機溶剤を含有するビークルを混合して蛍光体ペーストを作製し、この混合蛍光体ペーストをスクリーン印刷法で前記陽極導体5の表面に被着させて、蛍光体層6を形成し、アノード基板を形成した。
【0028】
この結果、表3の資料番号12〜22までの蛍光表示管の輝度は何れも200cd/m以上であり、CIE色度座標値(x,y)は緑色(x=0.297、y=0.608)〜黄みの橙色(x=0.525、y=0.465)の中間色が得られることを示している。
特に表3の資料番号15の蛍光表示管は、従来から使用されている(Zn0.9,Cd0.1)S:Au,Alと同じ色度であることから、Cdを含まない蛍光体として代替が可能であると供に、緑から黄色の中間色を発光することが容易に出来ることを示している。
【0029】
(表3)

【0030】
次に、ZnS:MnとZnS:Cu,Al蛍光体を、70重量%:30重量%の割合で混合した混合蛍光体(表2の資料番号15)を使用した蛍光表示管を1000時間駆動させたときの輝度残存率とCIE色度座標値(x,y)の変化量、及び、輝度残存率を表4に示す。
前述の、比較例のSrTiO:Pr蛍光体とZnS:Cu,Al蛍光体を、30重量%:70重量%の割合で混合した混合蛍光体を使用した蛍光表示管を1000時間駆動させたときの輝度残存率とCIE色度座標値(x,y)の変化量、及び、輝度残存率を表4に示す。
【0031】
(表4)

【0032】
表4から、ZnS:MnとZnS:Cu,Alを、70重量%:30重量%の割合で混合した混合蛍光体(表4の、資料番号16)を使用した蛍光表示管を1000時間駆動させたときの輝度残存率とCIE色度座標値(x,y)の変化量は、絶対値で最大0.0164であり、測定誤差の範囲である考えられ実質上色度の変化はないことを示している。一方、比較としてSrTiO:PrとZnS:Cu,Alを、30重量%:70重量%の割合で混合した混合蛍光体を使用した蛍光表示管を1000時間駆動させたときの輝度残存率とCIE色度座標値(x,y)の変化量は、72時間後において(x=−0.0384、y=0.0287)も変化しており、1000時間後において(x=−0.0922、y=0.0690)も変化してしまい。実用上目視で判別できる程度の色度座標値(x、y)の変化が発生している事が解かる。
また、輝度残存率においても、比較としてSrTiO:PrとZnS:Au,Alを、重量比30重量%:70重量%の割合で混合した混合蛍光体を使用した蛍光表示管を1000時間駆動させたときの輝度が71%に低減しているが、本願発明のZnS:MnとZnS:Au,Alを、50重量%:50重量%の割合で混合した混合蛍光体(表1の、資料番号6)を使用した蛍光表示管を1000時間駆動させたときの輝度が87%にしか低減していない事を示している。
【0033】
以上の様に、ZnS:Mnと、ZnS:Au,Al又はZnS:MnとZnS:Cu,Alの混合蛍光体は、従来のSrTiO:PrとZnS:Au,Alの混合蛍光体と比較して輝度の残存率も高く、また発光色の色度座標値(x、y)の変化も少ないことが解かる。
【産業上の利用可能性】
【0034】
本願発明により、1kV以下のアノード電圧で低電圧駆動する低速電子線用の、輝度の残存率も高く、また発光色の色度座標値(x、y)の変化も少ない緑色〜黄色に発光する混合蛍光体。及び、前記緑色〜黄色に発光する輝度の残存率も高く、また発光色の色度座標値(x、y)の変化も少ない混合蛍光体を含む蛍光体層を有する蛍光表示管にを提供できるという産業上の利用可能性がある。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】蛍光表示管を示す図
【符号の説明】
【0036】
1・・・ガラス基板
2・・・配線パターン
3・・・絶縁層
4・・・スルーホール
5・・・陽極導体
6a・・・蛍光体層
6b・・・蛍光体層
6c・・・蛍光体層
7・・・グリッド
8・・・カソード
9・・・箱型容器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ZnS:Au,Al又はZnS:Cu,Alの何れかから選ばれた少なくとも一つの蛍光体、並びに、ZnS:Mn蛍光体の混合蛍光体。
【請求項2】
ZnS:Au,Al又はZnS:Cu,Alの何れかから選ばれた少なくとも一つの蛍光体とZnS:Mn蛍光体を重量比で1:19〜19:1の割合で混合した混合蛍光体。
【請求項3】
請求項1又は請求項2の混合蛍光体を含む蛍光体層を有することを特徴とする蛍光表示管。

【図1】
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【公開番号】特開2006−306905(P2006−306905A)
【公開日】平成18年11月9日(2006.11.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−127502(P2005−127502)
【出願日】平成17年4月26日(2005.4.26)
【出願人】(000201814)双葉電子工業株式会社 (201)
【Fターム(参考)】