説明

蛍光体

本発明は、式(I) A2−0.5y−xEuSi8−y(I)、式中、Aは、Ca、Sr、Baから選択される1種または2種以上の元素を表し、xは、0.005〜1の範囲の値を表し、およびyは、0.01〜2の範囲の値を表す、で表される化合物、それらの混合物、それらの蛍光体および混合物の調製のための方法ならびにそれらの変換蛍光体としての使用に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規化合物、これを含む混合物、それらの蛍光体および混合物の調製のための方法ならびにそれらの変換蛍光体としてのまたは照明器具における使用に関する。
【背景技術】
【0002】
LEDは、照明として、およびまた液晶ディスプレイ(LCディスプレイ)における背面照明としての使用についての両方で、重要性が増している。これらの新規な光源は、より長期の寿命、潜在的なエネルギー節約、有害な内容物(CCFL中の水銀など)の不存在などの、従来の冷陰極蛍光管(CCFL)に対して多くの優れた点がある。
【0003】
従来、例えば、青色、緑色および赤色光を発するLEDの配置は、LC TV用途のための背面照明光源として用いられてきた。しかしながら、この複数チップの手法は、いくつかの不利を有している:3種の異なるチップ材料を組み合わせること、および光パラメータ、例えばカラーポイントなどの統一性および安定性を確保することが、極めて困難である。
【0004】
pcLED(蛍光体変換LED)は、ゆえに、背面照明としての使用のための光源として導入されてきた。これらは、通常、LEDチップの青色発光とともに、緑色の蛍光体および深赤色の蛍光体を有し、それらはカラーフィルターの透過スペクトル(スペクトルの青色、緑色および赤色領域における透過帯)によって調和される。理論的には、これらのタイプの構造は、通常のsRGBよりもはるかに大きな色空間を容易にする。適当な品質の利用可能性における障害のため、さらなる最適化された蛍光体および/または蛍光体混合物についての要求がいまだにある。
【0005】
特に、赤色蛍光体についての要求がある。LED TV背面照明を用いた高い色空間を達成するために、620nm〜660nmの範囲における発光極大を有する深赤色の蛍光体が必要である。当業者に知られる適当な材料系は、窒化ケイ素および窒化アルミノケイ素(alumosiliconitrides)である(Xie, Sci. Technol. Adv. Mater. 2007, 8, 588-600を参照):1−1−2窒化物、例えば、CaSiN:Eu2+など(Le Toquin, Cheetham, Chem. Phys. Lett. 2006, 423, 352.)、2−5−8窒化物、(Ca,Sr,Ba)Si:Eu2+など(Li et al., Chem. Mater. 2005, 15, 4492)、窒化アルミノケイ素、(Ca,Sr)AlSiN:Eu2+など(K. Uheda et al., Electrochem. Solid State Lett. 2006, 9, H22)。
【0006】
上述した窒化系蛍光体(nitridic phosphors)は、しばしば、調製するのが複雑であり、およびしたがって大量に入手できないか、非常に高い費用でのみ入手できる。特に、高い純度の必要は、産業において相当の労力にのみ合致することのできる挑戦を意味している。したがって、極めて低い濃度の炭素または酸素は、敏感に蛍光体の効率の低下をもたらす。さらに、できる限り水分に対する感度の低い入手可能な材料を有することが望ましい。
【発明の概要】
【0007】
したがって、本発明の目的は、赤色スペクトル領域において発光し、および製造条件下において経済的に許容できる費用で得られる、または既知の窒化系蛍光体と比較してより低い水分感度を有する材料を提供することを目的とする。
本出願の文脈において、赤色発光または赤色光は、その強度極大が610nm〜670nmの間の波長を有する光を意味し、緑色は対応して、その強度極大が508nm〜550nmの間の波長を有する光を意味し、黄色は、その強度極大が551nm〜585nmの間の波長を有する光を意味する。
【0008】
驚くべきことに、特定のオキシ窒化物が、2−5−8窒化物に匹敵する蛍光体特性を有すること、しかしながら酸素量および純粋な相純度に関して調製方法に対する要求が著しく低いこと、または水分に対してより低い感度を有することが見出された。
【0009】
本発明の第1態様は、したがって、式I
2−0.5y−xEuSi8−y (I)
式中、Aは、Ca、Sr、Baから選択される1種または2種以上の元素を表し、xは、0.005〜1の範囲の値を表し、およびyは、0.01〜3の範囲の値を表す、
で表される化合物に関する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】図1は、Stoe&Cie. GmbHからのStadiP 611 KL透過粉末X線回折計、Cu−Kα1放射線、ゲルマニウム[111]−集束一次線モノクロメータ、リニアPSD検出器で測定された例1AのX線粉末パターンである。
【図2a】図2aは、励起波長450nmにおけるEdinburgh Instruments FS920 spectrometerを用いて記録した、例1Aからの生成物の蛍光スペクトル(ピーク波長:635nm)である。蛍光測定の間、励起モノクロメータを励起波長に固定し、および試料の後に配置された検出器モノクロメータは、550〜850nmを1nmステップでスキャンし、検出器モノクロメータを通過する光強度を測定する。
【図2b】図2bは、例1Dからの生成物の蛍光スペクトルである。測定方法は、2aと類似する。
【図2c】図2cは、例1Eからの生成物の蛍光スペクトルである。測定方法は、2aと類似する。
【図3a】図3aは、Edinburgh Instruments FS920 spectrometerを用いて記録した、例1Aからの生成物の励起スペクトルである。励起測定の間、励起モノクロメータは、250nm〜610nmを1nmステップでスキャンし、一方で、試料からの蛍光を常に610nmの波長から検出する。
【図3b】図3bは、Edinburgh Instruments FS920 spectrometerを用いて記録した、例1Aからの生成物の反射スペクトルである。反射測定の間、試料を積分球中に固定し、そして、励起モノクロメータおよび検出器モノクロメータを同調して250nm〜800nmの波長にわたって1nmステップでスキャンし、検出器モノクロメータを通過する光強度を測定する。BaSO粉末(反射標準として)について同様の操作を行う。2つの得られたスペクトルを、その後互いに乗じて、試料の定量的反射スペクトルを与える。
【図4】図4は、Planckian曲線(1)および例1A(2)、例1B(3)、例1C(4)、例1D(5)および例1E(6)からの蛍光体のカラーポイントを有するCIE 1931カラーチャートである。
【図5】図5は、例2からのLEDの照明特性評価である。Instrument Systemsからの構成からなる配置:CAS140分光計およびISP250積分球を用いて生成される。測定のために、LEDを、Keithley(モデル2600)からの調節可能な電流源を用いて室温にて、20mAの電流強度に接触させる。輝度(変換されたLEDのルーメン/mW青色LEDチップの光強度にて)を、シリコーン中の蛍光体使用濃度(5、10、15および30重量%)の関数として、変換されたLEDのCIE x カラーポイントに対してプロットする。
【0011】
本明細書において、式Iで表される化合物は、純粋な物質または混合物の形態であることができる。本発明は、したがって、さらに少なくとも1種の上で定義した式Iで表される化合物および少なくとも1種のさらなるケイ素−および酸素−含有化合物を含む混合物に関する。
本発明によれば、少なくとも1種のさらなるケイ素−および酸素−含有化合物が式Iで表される化合物の調製の反応副生成物であり、これが式Iで表される化合物の用途に関連する光学特性に悪影響を及ぼさないことが好ましい。
【0012】
本発明は、したがって、さらに、ステップa)において、二元窒化物、ハロゲン化物および酸化物またはそれらの対応する反応性形態から選択される適当な出発材料が、混合され、ならびにステップb)において、混合物が還元的条件下で熱的に処理される、方法によって得られる式Iの化合物を含む混合物に関する。
【0013】
本発明は、さらに、式Iで表される化合物または混合物の調製の対応する方法、および変換蛍光体、特に発光ダイオードの青色または近紫外発光の部分的または完全な変換のための変換蛍光体としての、式Iで表される化合物または上述した混合物の本発明にかかる使用に関する。
【0014】
本発明にかかる式Iで表される化合物および本発明に係る上述した混合物は、ともにまた蛍光体として簡素化された方法で言及される。
式Iで表される化合物は、かかる混合物中に通常、30〜95重量%の範囲内、好ましくは50〜90重量%の範囲内、および特に好ましくは60〜88重量%の範囲内の重量の比率で存在する。
【0015】
本発明の好ましい態様において、少なくとも1種のケイ素−および酸素−含有化合物は、X線的にアモルファスであるかまたは高いケイ素および酸素量により区別されるガラス様相であり、しかしまた、金属、特にストロンチウムなどのアルカリ土類金属を含有してもよい。これらの相が完全または部分的に式Iで表される化合物の粒子を囲むことが、同じく好ましい。
【0016】
本発明に係る式Iで表される化合物中、好ましい態様におけるAはSrを表し、一方で好ましい態様におけるxは0.01〜0.8の範囲、好ましくは0.02〜0.7の範囲、特に好ましくは0.05〜0.6の範囲、および特に好ましくは0.1〜0.4の範囲の値を表し、ならびに好ましい態様におけるyは0.1〜2.5の範囲、好ましくは0.2〜2の範囲、および特に好ましくは0.22〜1.8の範囲の値を表す。
【0017】
本発明に係る混合物または化合物は、少量用いられ、すでに良好なLED品質を生じさせる。本明細書において、LED品質は、従来のパラメータ、例えば、演色評価数、相関色温度、ルーメン当量または絶対ルーメン、あるいはCIE xおよびCIE y座標におけるカラーポイントなどを介して記載される。
【0018】
演色評価数またはCRIは、当業者によく知られた無次元の照明量であり、人工光源の色再現忠実性を太陽光またはフィラメント光源のそれと比較する(後者の2つは100のCRIを有する)。
【0019】
CCTまたは相関色温度は、当業者によく知られた、単位ケルビンを伴う照明量である。数値が高いほど、人工放射源からのより冷たい白色が観察者に見える。CCTは、その色温度がCIEダイアグラム内でPlanckian曲線に従う黒体放射の概念に従う。
【0020】
ルーメン当量は、当業者によく知られた、単位ワットを伴う放射計のある放射電力における光度計の光源のルーメン中の光束の大きさを記載する単位lm/Wを伴う照明量である。ルーメン当量が高いほど、光源はより効率的である。
【0021】
ルーメンは、当業者によく知られた、放射線源から発された全体の可視放射線の量である、光源の光束を説明する測光照明量である。光束が大きいほど、観察者に光源が明るくみえる。
【0022】
CIE xおよびCIE yは、当業者によく知られた、CIE標準表色系(ここでは、標準観察者1931(standard observer 1931))における座標を表し、これにより、光源の色が説明される。
上述された全ての表示は、当業者によく知られた方法により、光源の発光スペクトルから算出される。
【0023】
加えて、本発明にかかる蛍光体は、約410nm〜530nm、好ましくは、430nm〜約500nmにひろがる広い範囲にわたって励起する。これらの蛍光体は、したがって、LEDまたは従来の放電ランプ(例えば、Hgに基づく)などのUV−または青色発光一次光源のために適当であるのみならず、451nmにおける青色In3+線を利用する光源などの光源のためにも適当である。
【0024】
本発明にかかる蛍光体のさらなる利点は、LEDパッケージに拡散プロセスを介して環境から入り、こうして蛍光体の表面に到達し得る水分および水蒸気に対する安定性、およびLEDパッケージ中の結合剤の硬化中に副生成物として、またはLEDパッケージ中に添加剤として生じ得る酸性媒質に対する安定性である。本発明において好ましい蛍光体は、従来から今日までの窒化系蛍光体よりも高い安定性を有している。
【0025】
本発明にかかる蛍光体の調製のための本発明にかかる方法において、ステップa)において、二元窒化物、ハロゲン化物および酸化物またはそれらの対応する反応性形態から選択される適当な出発材料を混合し、ならびにステップb)において、混合物を還元的条件下で熱的に処理する。
【0026】
上述した熱的処理において、これを少なくとも部分的に還元条件下で行うことが好ましい。
ステップb)において、反応は、800℃より大きい温度で、好ましくは1200℃より大きい温度で、および特に好ましくは、1400℃〜1800℃の範囲で、通常行う。
【0027】
本明細書中、還元条件は、例えば、一酸化炭素、フォーミングガスもしくは水素などを用いてまたは少なくとも真空で、または酸素欠乏雰囲気、好ましくは窒素流中、好ましくはN/H流中および特に好ましくはN/H/NH流中、で構築される。
【0028】
純粋な形態で式Iで表される化合物を調製することを意図する場合、出発材料化学量論の正確な制御を介して、またはガラス様フラクションからの式Iで表される化合物の結晶の機械的な分離により、これを行うことができる。
分離は、当業者に知られた分離方法により例えば、異なる密度、粒子形状または粒経を介して、行うことができる。
【0029】
本発明は、さらに、少なくとも1種の本発明にかかる蛍光体を含む少なくとも1の一次光源を有する光源に関する。ここで一次光源の発光極大は、通常、410nm〜530nm、好ましくは、430nm〜約500nmである。440〜480nmの範囲が特に好ましく、ここで、一次放射線は、本発明の蛍光体によって、より長い波長の放射線に部分的にまたは完全に変換される。
【0030】
本発明にかかる光源の好ましい態様において、一次光源は、発光性窒化インジウムアルミニウムガリウム、特に式InGaAlN、式中0≦i、0≦j、0≦k、およびi+j+k=1である、で表されるものである。
この種の光源の可能な形態は、当業者に知られている。それらは、種々の構造の発光LEDチップであり得る。
【0031】
本発明にかかる光源のさらなる好ましい態様において、一次光源は、ZnO、TCO(透明な導電性酸化物)、ZnSeもしくはSiCに基づく発光配置、またはまた有機発光層(OLED)に基づく配置である。
本発明にかかる光源のさらなる好ましい態様において、光源は、エレクトロルミネセンスおよび/またはフォトルミネセンスを示す源である。光源はさらにまた、プラズマ源または放電源であり得る。
対応する本発明にかかる光源は、発光ダイオードまたはLEDとしても知られている。
【0032】
本発明にかかる蛍光体は、個別に、または当業者によく知られている以下の蛍光体との混合物として用いることができる。対応する蛍光体は、例えば:
【0033】
【化1】

【0034】
【化2】

【0035】
【化3】

【0036】
【化4】

である。
【0037】
本発明にかかる一態様において、光源が、本発明にかかる蛍光体に加えて緑色発光蛍光体を含むことが好ましい。対応する蛍光体は、当業者に知られており、当業者により上述したリストから選択されることができる。本発明において好ましい緑色発光蛍光体は第1にバリウム含有オルトケイ酸塩蛍光体、および第2にルテニウム含有ガーネット蛍光体である。
【0038】
特に好ましい態様において、今度は、本発明にかかる蛍光体が本質的に一次光源からの光により照射され、一方で緑色発光蛍光体が本質的に赤色発光蛍光体をすでに通過した光またはそこで散乱した光により照射されるように、蛍光体が、一次光源上に配置されることが好ましい。これは、本発明にかかる蛍光体を一次光源と緑色発光蛍光体との間に設置することにより達成されることができる。
【0039】
本発明の蛍光体は、用途に応じて、樹脂(例えばエポキシもしくはシリコーン樹脂)中に分散するか、または適当な大きさの比率の場合には、一次光源上に直接配置されるか、あるいはそこから離れて配置されることができる(後者の配置はまた、「遠隔蛍光技術」を含む)。遠隔蛍光技術の利点は、当業者に知られており、例えば以下の刊行物により公開されている:Japanese Journ. of Appl. Phys. Vol. 44, No. 21 (2005). L649-L651。
【0040】
さらなる態様において、蛍光体と一次光源との間の光結合を、光伝導配置によって達成するのが好ましい。したがって、一次光源が、中央の位置に設置され、光伝導性デバイス、例えば光ファイバーなどによって蛍光体に光学的に結合することが可能である。このようにして、単に、光スクリーンを形成するように配置され得る1種または種々の蛍光体と、一次光源に結合する光学導波路とからなる照明の要望に適合した照明を実現することができる。このようにして、強力な一次光源を、電気的設置に好ましい位置に位置させ、光学導波路に結合した蛍光体を含む照明を、さらなる電気的配線なしで、しかし代わりに単に光学導波路を取り付けることによって、任意の所望の位置に設置することができる。
【0041】
本発明は、さらに、それが少なくとも1の本発明にかかる光源を含むことを特徴とする、特にディスプレイデバイスの背面照明のための、照明ユニット、および、それが少なくとも1の本発明にかかる照明ユニットを有することを特徴とする、背面照明を有するディスプレイ、特に液晶ディスプレイデバイス(LCディスプレイ)に関する。
【0042】
本発明のさらなる局面は、1種または2種以上の上および下に記載する蛍光体を含む電気的または電気光学的デバイスに関する。さらなる局面は、上および下に記載する蛍光体の電気的または電気光学的デバイスにおける使用に関する。電気的または電気光学的デバイスは、また、例えば、有機電界効果トランジスタ(OFET)、薄膜トランジスタ(TFT)、有機太陽電池(O−SC)、有機レーザーダイオード(O−レーザー)、有機集積回路(O−IC)、RFID(無線自動識別)タグ、光検出器、センサー、論理回路、記憶素子、コンデンサ、電荷注入層、ショットキーダイオード(Schottky diode)、平坦化層、帯電防止フィルム、導電性基板もしくは導電性構造、光伝導体、電子写真用素子、または有機発光トランジスタ(OLET)であることができる。
【0043】
LEDにおける使用において本発明にかかる蛍光体の粒径は、50nm〜30μm、好ましくは1μm〜20μmである。
LEDにおける使用のために、蛍光体は、また、球状粒子、薄片および構造化された材料およびセラミックスなどの任意の所望の外形に変換されることができる。これらの形状は、本発明において用語「成形体」の下で要約される。成形体は、好ましくは「蛍光体本体」である。したがって、本発明はさらに、本発明にかかる蛍光体を含む成形体に関する。
【0044】
さらに好ましい態様において、蛍光成形体は、構造化(例えばピラミッド形の)表面をLEDチップの反対側に有する(DE 102006054330を参照、それは、その全範囲において本出願の文脈に参照の様式により組み込まれる)。これによって、可能な限り多くの光が、蛍光体から分離する(coupled out)ことを可能とする。蛍光体上の構造化された表面は、すでに構造化されている適当な材料でその後コーティングすることによって、または以降の段階において、(フォト)リソグラフィー法、エッチング法によって、またはエネルギーもしくは材料ビームを用いた書き込み法によって、または機械力の作用によって作製可能である。
【0045】
さらに好ましい態様において、本発明の蛍光成形体は、LEDチップの反対側に、SiO、TiO、Al、ZnO、ZrOおよび/またはYまたはこれらの材料の組み合わせを含むナノ粒子、あるいは蛍光体組成物を有する粒子を担持する粗面を有する。ここで粗面は、数100nmまでの粗さを有する。被覆された表面は、全反射を低減するかまたは防止することができ、光が本発明の蛍光体から分離することができるという利点を有する(DE 102006054330を参照。それは、その全範囲において本出願の文脈に参照の様式により組み込まれる)。
【0046】
本発明の蛍光成形体が、チップの外側を向く表面上に、一次放射線および/または蛍光体本体により発せられる放射線の分離を単純化させる整合された屈折率の層を有するのが、さらに好ましい。
【0047】
さらに好ましい態様において、蛍光体は、SiO、TiO、Al、ZnO、ZrOおよび/またはYまたはそれらの混合酸化物からなる連続表面コーティングを有する。この表面コーティングは、コーティング材料の屈折率の適当な傾斜づけを通じて、屈折率が環境に整合できるという利点を有する。この場合において、蛍光体の表面における光の散乱が低減され、より大きな割合の光が蛍光体中に浸透し、そこで吸収および変換されることができる。さらに、整合された屈折率を有する表面コーティングにより、内部の全反射が低減されるため、より多くの光が蛍光体から分離することが可能になる。
【0048】
さらに、蛍光体をカプセル封入しなければならない場合には、連続層は有利である。これは、蛍光体またはその一部の、隣接する環境において拡散する水または他の材料についての感度に対抗するために必要であり得る。閉じた殻を用いて封入するさらなる理由は、チップにおいて生じる熱からの実際の蛍光体の熱的分断である。この熱のため、蛍光体の蛍光収率が低減し、また蛍光の色に影響し得る。最後に、このタイプのコーティングは、蛍光体において生じる格子振動が環境中に伝播することを防止することによって蛍光体の効率が上昇することを可能にする。
【0049】
さらに、蛍光体が、SiO、TiO、Al、ZnO、ZrOおよび/またはYまたはそれらの混合酸化物から、あるいは蛍光体組成物からなる多孔性表面コーティングを有するのが、好ましい。これらの多孔性コーティングは、単一の層の屈折率をさらに低減させる可能性を提供する。このタイプの多孔性コーティングを、WO 03/027015に記載されている3種の慣用の方法によって製造することができ、それは、その全範囲で本願の文脈に参照の様式によって組み込まれる:ガラス(例えばソーダ石灰ガラス(US 4019884を参照))のエッチング、多孔質層の適用および多孔質層とエッチング操作との組み合わせ。
【0050】
さらに好ましい態様において、蛍光体は、好ましくはエポキシまたはシリコーン樹脂からなる、周囲環境への化学的結合を促進する官能基を担持する表面を有する。これらの官能基は、例えば、オキソ基を介して結合し、エポキシドおよび/またはシリコーンに基づく結合剤の構成成分への結合を形成することができる、エステルまたは他の誘導体であることができる。このタイプの表面は、蛍光体の結合剤中への均一な取り込みが促進されるという利点を有する。さらに、蛍光体/結合剤系の流動学的特性およびまたポットライフを、これによりある程度調整することができる。混合物の処理は、このように単純化される。
【0051】
LEDチップに適用される本発明の蛍光体層が、好ましくはシリコーンおよび蛍光体粒子の混合物からなり、かつ、シリコーンが表面張力を有するため、この蛍光体層は、微視的なレベルでは均一ではなく、または層の厚さは、完全に一定ではない。
【0052】
さらに好ましい態様としての薄片形態の蛍光体の調製を、対応する金属塩および/または希土類塩から慣用のプロセスにより行う。調製プロセスは、EP 763573およびDE 102006054330に詳細に記載されており、それらは、参照の様式によりその全範囲で本願の文脈に組み込まれる。これらの薄片形態の蛍光体は、例えば極めて大きいアスペクト比、原子的に平滑な表面および調整可能な厚さを有する例えば、雲母、SiO、Al、ZrO、ガラスまたはTiO薄片を含む、天然のまたは合成的に調製した高度に安定な担体または支持体を、蛍光体層で、水分散体または懸濁液中の沈殿反応によって被覆することによって、調製することができる。雲母、ZrO、SiO、Al、ガラスもしくはTiOまたはそれらの混合物に加えて、薄片はまた、蛍光体材料自体からなるか、または1種の材料から構築されてもよい。薄片自体が単に、蛍光体コーティングのための担体としての役割を果たす場合には、後者は、LEDの一次放射線に対して透明であるか、または一次放射線を吸収し、このエネルギーを蛍光体層に輸送する材料からならなければならない。薄片形態の蛍光体を、樹脂(例えばシリコーンまたはエポキシ樹脂)中に分散させ、この分散体を、LEDチップに適用する。
【0053】
薄片形態の蛍光体を、工業的大規模において、50nm〜約20μm、好ましくは150nm〜5μmの厚さで調製することができる。ここでの直径は、50nm〜20μmである。
これらは一般的に、1:1〜400:1、特に3:1〜100:1のアスペクト比(粒子の厚さに対する直径の比)を有する。
薄片の大きさ(長さ×幅)は、配置に依存する。薄片はまた、特にそれらが特に小さい寸法を有する場合には、変換層内の散乱の中心として適する。
【0054】
LEDチップに面する本発明の薄片形態の蛍光体の表面に、LEDチップによって発せられた一次放射線に関する反射防止作用を有するコーティングを設けることができる。この結果、一次放射線の後方散乱が低減され、後者が本発明の蛍光体本体中へより良好に結合することができる。
【0055】
この目的に適するのは、例えば、以下の厚さd:d=[LEDチップの一次放射線の波長/(4×蛍光体セラミックスの屈折率)]を有しなければならない、屈折率を整合させたコーティングである。例えばGerthsen, Physik [Physics], Springer Verlag, 第18版、1995を参照。これらのコーティングはまた、フォトニック結晶からなっていてもよく、それはまた、特定の機能を達成するために薄片形態の蛍光体の表面を構造化することを含む。
【0056】
セラミックス体の形態の本発明の成形体は、DE102006037730(Merck)(その全範囲で本願の文脈に参照の様式により組み込まれる)に記載されるプロセスと同様に製造される。このプロセスにおいて、蛍光体は、対応する出発物質およびドーパントを混合することによる湿式化学法により調製され、その後アイソスタティック圧縮(isostatic pressing)に供され、均一で、薄く、非孔質の薄片の形態で直接チップの表面に適用される。したがって、蛍光体の励起および発光の位置依存の変化はなく、これは、提供されたLEDが一定の色の均一な光円錐を発して、高い光出力を有することを意味する。セラミックス蛍光体本体を、工業的大規模で、例えば数100nm〜約500μmの厚さの薄片として製造することができる。薄片の大きさ(長さ×幅)は、配置に依存する。チップに直接適用する場合、薄片の寸法は、適当なチップ配置(例えばフリップチップ配置)のチップ表面の約10%〜30%の特定の余分な寸法を有するチップの大きさ(約100μm*100μm〜数mm)に従って、または相応に選択すべきである。蛍光体薄片を完成したLED上に設置する場合には、発せられた光円錐のすべては、薄片を通過する。
【0057】
セラミックス蛍光体本体の側面を、軽金属または貴金属、好ましくはアルミニウムまたは銀で被覆することができる。金属被覆は、光が蛍光体本体から横方向に出ないという効果を有する。横方向に出る光は、LEDから分離する光束を低減させることができる。セラミックス蛍光体本体の金属被覆を、棒または薄片を得るアイソスタティック圧縮後のプロセス段階で行ない、ここで、棒または薄片を、任意に金属被覆の前に必要な大きさに切断することができる。このために、側面を、例えば硝酸銀およびグルコースを含む溶液で湿潤させ、その後高温のアンモニア雰囲気に曝露する。このプロセスにおいて、例えば、銀被覆が側面に形成する。
【0058】
代替的には、無電解金属化処理が適当である。例えば、Hollemann-Wiberg, Lehrbuch der Anorganischen Chemie [Textbook of Inorganic Chemistry], Walter de Gruyter VerlagまたはUllmanns Enzyklopaedie der chemischen Technologie [Ullmann's Encyclopaedia of Chemical Technology]を参照。
セラミックス蛍光体本体を、必要に応じて、LEDチップのベースボードに、水ガラス溶液を用いて固定することができる。
【0059】
さらなる態様において、セラミックス蛍光体本体は、LEDチップの反対側に構造化された(例えばピラミッド形の)表面を有する。これによって、可能な限り多くの光が蛍光体本体から分離するのが可能になる。蛍光体本体上の構造化された表面は、構造化された圧力板を有する圧縮型を用いてアイソスタティック圧縮を行い、したがって構造を表面中にエンボス加工することにより作成される。構造化された表面は、最も薄い可能な蛍光体本体または薄片を製造することが目的である場合に所望される。プレス条件は、当業者に知られている(J. Kriegsmann, Technische keramische Werkstoffe [Industrial Ceramic Materials], 第4章、Deutscher Wirtschaftsdienst, 1998を参照)。用いるプレス温度がプレスされるべき物質の融点の2/3〜5/6であるのが、重要である。
【0060】
以下の例は、本発明を例示することを意図する。しかし、それらを、いかなる方法においても限定的であると見なすべきではない。組成物において用いることができるすべての化合物または構成成分は、知られており、商業的に入手できるか、または既知の方法によって合成することができる。例において示す温度を、常に℃である。さらに、記載において、およびまた例において、組成物中の構成成分の添加量は常に、合計100%まで加えられることは、言うまでもない。示した百分率データは、常に示した関連性において考慮されるべきである。しかし、それらは通常、常に、示した部分的量または合計量の重量に関する。
【0061】

例1:異なる組成の混合物(Ca,Sr,Ba)2−0.5y−xSi8−y:Eu(II)*SiOの調製
例1A:Sr1.6Si7.60.4:Eu(II)0.2*2.1SiO
4.2203g(14.51mmol)のSr、0.3074g(1.85mmol)のEuN、0.1163g(0.92mmol)のSrFおよび1.3911g(23.15mmol)のSiOをグローブボックス中の瑪瑙乳鉢中で十分に混合する。混合物を、コランダムるつぼ中に移送し、これをモリブデンホイルで覆い、オーブンに移送する。そこで、混合物を1600℃の温度にて、N/H/NH流中で8時間か焼する。ついで物質を除去し、1モルHCl溶液で3時間洗浄し、吸引を用いてろ過し、水で洗浄し、そして乾燥する。
【0062】
元素分析は、物質が、SrSiよりも低いSr/Si比を有し、有意な量の酸素を含むことを示す。物質を粉末X線回折計(図1)で測定し、結晶構造をSrSi結晶構造型から出発するリートベルト法(Rietveld refinement)を用いて決定した。X線粉末パターンをStoe&Cie. GmbHからのStadiP 611 KL透過粉末X線回折計を用いて記録した。X線管は、Cu−Kα1放射線を発し、ゲルマニウム[111]−集束一次線モノクロメーターおよびリニアPSD検出器を使用した。
【0063】
リートベルト法は、Finger、CoxおよびJephcoat法(L.W. Finger, D.E. Cox and A. P. Jephcoat, J. Appl. Cryst., 27, 1994, 892-900)による非対称の補正(「日傘効果(umbrella effect)」)を含む、Thompson、CoxおよびHastings擬Voigt (P. Thompson, D.E. Cox and J.B. Hastings, J. Appl. Cryst.,20, 1987, 79-83)反射プロファイルを用いたGSASプログラム(A.C. Larson and R.B. Von Dreele, General Structure Analysis System (GSAS), Los Alamos National Laboratory Report LAUR, 2004, 86-748)を使用して、行った。このために、まず、格子定数、ゼロ点、バックグラウンド(非晶フラクションを含む)および反射プロファイルをモデル−フリーLeBail法(LeBail refinement)において調整し、そしてバックグラウンドおよび反射プロファイルのパラメータは、その後のリートベルト法において一定に保った。構造モデルのために、元素分析から得られたユーロピウム含量を対応してストロンチウム原子位置に比例して設定し、そこで保持した。すべての原子の位置および関連する等方性偏移パラメータを自由に精密化した。ユーロピウム占有因子をストロンチウムの位置の占有因子と結合し、自由に精密化した。ストロンチウムおよびユーロピウム占有因子の合計を再現性よく100%未満の値に精密化した。
【0064】
測定されたパターンのSr/Eu位置の完全な占有率で計算されたパターンからの違いは、試料中の優越方位(いわゆる組織効果)などの他の効果によって説明できない。優越方位は試料の目立った形態の場合にのみ生じるが、しかし電子顕微鏡の走査の結果は、なんらこの兆候を与えない。試料物質は、数ミクロンの領域の不規則な形態の粒子からなる。加えて、物質を、測定前に乳鉢中で粉砕した。4次球面調和モデルを用いた優越方位の精密化試験は、事実上なんら優越方位を与えなかった。この理由から、Sr欠陥の測定の間、精密化はなされなかった。原子位置の精密化は、わずかな動きのみをもたらし、したがって、構造モデルは、化学的および物理的に許容可能であり続ける。これと、計算されたパターンと測定されたパターンとの合致は、構造モデル、すなわち、個々の原子位置の対応する占有が決定された結晶構造、の正確さを証明する。
【0065】
物質の非晶フラクションはX線パターンのバックグラウンドで減算され、したがって測定になんら役割を果たしていない。この程度まで、リートベル分析は、選択的に結晶相の元素組成および結晶構造を与える。パターン中の面積比からの非晶含量の推定は、元素分析の結果と相関する。
終局生成物は、図2で示される蛍光スペクトル、図3aで示される励起スペクトル、図3bで示される反射スペクトルを示す。
【0066】
例1B:Sr1.5Si7.60.4:Eu(II)0.3*2.3SiOの合成
4.0257g(13.84mmol)のSr、0.5301g(3.19mmol)のEuN、0.1146g(0.91mmol)のSrFおよび1.3707g(22.81mmol)のSiOをグローブボックス中の瑪瑙乳鉢中で十分に混合する。混合物を、コランダムるつぼ中に移送し、これをモリブデンホイルで覆い、オーブンに移送する。そこで、混合物を1600℃の温度にて、N/H/NH流中で8時間か焼する。ついで物質を除去し、1モルHCl溶液で3時間洗浄し、吸引を用いてろ過し、水で洗浄し、そして乾燥する。
例1Aで記載したように構造決定を行い、示された組成を与えた。
【0067】
例1C:Sr1.4Si7.60.4:Eu0.4*2.8SiOの合成
3.8366g(13.19mmol)のSr、0.7463g(4.50mmol)のEuN、0.1130g(0.90mmol)のSrFおよび1.3509g(22.48mmol)のSiOをグローブボックス中の瑪瑙乳鉢中で十分に混合する。混合物を、コランダムるつぼ中に移送し、これをモリブデンホイルで覆い、オーブンに移送する。そこで、混合物を1600℃の温度にて、N/H/NH流中で8時間か焼する。ついで物質を除去し、1モルHCl溶液で3時間洗浄し、吸引を用いてろ過し、水で洗浄し、そして乾燥する。
例1Aで記載したように構造決定を行い、示された組成を与えた。
【0068】
例1D:Ba1.76Si7.60.4:Eu0.04の合成
6.453g(14.66mmol)のBa、0.166g(1mmol)のEuN、5.666g(39.583mmol)のSiおよび0.376g(6.25mmol)のSiOをグローブボックス中の瑪瑙乳鉢中で十分に混合する。混合物を、コランダムるつぼ中に移送し、これをモリブデンホイルで覆い、オーブンに移送する。そこで、混合物を1600℃の温度にて、N/H/NH流中で8時間か焼する。ついで物質を除去し、1モルHCl溶液で3時間洗浄し、吸引を用いてろ過し、水で洗浄し、そして乾燥する。
例1Aで記載したように構造決定を行い、示された組成を与えた。
【0069】
例1E:Ca0.35Sr1.41Si7.60.4:Eu0.04の合成
3.42g(11.76mmol)のSr、0.43g(2.92mmol)のCa、0.166g(1mmol)のEuN、5.666g(39.583mmol)のSiおよび0.376g(6.25mmol)のSiOをグローブボックス中の瑪瑙乳鉢中で十分に混合する。混合物を、コランダムるつぼ中に移送し、これをモリブデンホイルで覆い、オーブンに移送する。そこで、混合物を1600℃の温度にて、N/H/NH流中で8時間か焼する。ついで物質を除去し、1モルHCl溶液で3時間洗浄し、吸引を用いてろ過し、水で洗浄し、そして乾燥する。
例1Aで記載したように構造決定を行い、示された組成を与えた。
【0070】
図4は、CIE 1931カラーチャート中における例1A(2)、例1B(3)、例1C(4)、例1D(5)および例1E(6)からの蛍光体のカラーポイントを、理想黒体放射のPlanckian曲線(1)とともに、示す。
【0071】
例1F:Sr1.6Si7.60.4:Eu(II)0.2*2.1SiOの単離
結晶のガラス様フラクションを、例1Aからの試料から顕微鏡下で分離した。結晶フラクションは化合物Sr1.6Si7.60.4:Eu(II)0.2*2.1SiOである。
【0072】
例2:蛍光体のLEDへの適用
Dow Corning OE 6550シリコーン樹脂中で、種々の濃度の蛍光体を、シリコーンの5mlの成分Aおよび5mlの成分Bを、スピードミキサを用いた均一化によって2種の分散体AおよびBが結合した後に下記のシリコーン/蛍光体混合比を与える等量の蛍光体と混合することにより、調製する。
5重量%の蛍光体、
10重量%の蛍光体、
15重量%の蛍光体および
30重量%の蛍光体。
【0073】
これらの混合物を各々Essemtecディスペンサに移送し、Mimaki Electronicsからの空のLED−3528パッケージに導入する。シリコーンが150℃、1時間硬化した後、LEDをInstrument Systemsからの構成からなる配置:CAS140分光計およびISP250積分球を用いて照明項目について特性評価を行う。測定のために、LEDを、Keithleyからの調節可能な電流源を用いて室温にて、20mAの電流強度に接触させる。図5は、シリコーン中の蛍光体使用濃度(5、10、15および30重量%)の関数としての、変換されたLEDのCIE x カラーポイントに対してプロットした輝度(変換されたLEDのルーメン/mW青色LEDチップの光強度にて)を示す。
【0074】
ルーメン当量は、当業者によく知られた、単位ワットを伴う放射計のある放射電力における光度計の光源のルーメン中の光束の大きさを記載する単位lm/Wを伴う照明量である。ルーメン当量が高いほど、光源はより効率的である。
【0075】
ルーメンは、当業者によく知られた、放射線源から発された全体の可視放射線の量である、光源の光束を説明する測光照明量である。光束が大きいほど、観察者に光源が明るくみえる。
【0076】
CIE xおよびCIE yは、当業者によく知られた、CIE標準表色系(ここでは、標準観察者1931)における座標を表し、これにより、光源の色が説明される。
上述された全ての表示は、当業者によく知られた方法により、光源の発光スペクトルから算出される。
【0077】
例3:蛍光体Lu2.97Al12:Ce0.03(「LuAG」)の調製
387gの炭酸水素アンモニウムを4.3リットルの脱イオン水に1時間にわたって溶解させる。148gの塩化アルミニウム6水和物、135gの塩化ルテニウム6水和物および0.86gの塩化セリウム8水和物を2.7lの脱イオン水に溶解させ、炭酸水素塩溶液に0.75時間にわたって滴下する。炭酸水素塩溶液をpH8に調整する。生成した沈殿物を吸引を伴ってろ過し、および洗浄し、そして乾燥させ、およびオーブンに移送する。沈殿物を、空気中にて1000℃で2時間、前か焼し、および次いで1700℃で6時間、還元的か焼に供する。化合物の発光スペクトルを図1に示す。
【0078】
例4:蛍光体混合物の調製
10gのLu2.97Al12:Ce0.03(「LuAG」)を1gの例1Aからの蛍光体と密に混合する。
【0079】
例5:発光ダイオード(「LuAG−例1A」)の製造
例4からの蛍光体混合物を2成分シリコーン(Dow CorningからのOE 6550)とタンブルミキサー中で、等量の蛍光体混合物がシリコーンの2成分中に分散するように混合する:シリコーン中の蛍光体混合物の合計濃度は8重量%である。
【0080】
5mlの各2蛍光体含有シリコーン成分を均一に互いに混合し、ディスペンサに移送する。100μm2 GaNチップを含有するOSA optoelectronics,Berlinからの空のLEDパッケージを、ディスペンサを用いて充填する。その後シリコーンを固化するために、、LEDを加熱チャンバに150℃、1時間配置する。
【0081】
例6:赤色発光蛍光体が本質的に一次光源からの光により照射され、一方で緑色発光蛍光体が本質的に赤色発光蛍光体をすでに通過した光またはそこで散乱した光により照射されるように、蛍光体が一次光源上に配置された、発光ダイオードの製造
例1AまたはLuAGからの蛍光体を2成分シリコーン(Dow CorningからのOE 6550)とタンブルミキサー中で、等量の蛍光体混合物がシリコーンの2成分中に分散するように混合する:シリコーン中の緑色蛍光体の濃度は、8重量%のLuAG(プレミックスA)または1重量%の例1Aにかかる蛍光体(プレミックスB)である。
【0082】
5mlのプレミックスの各2蛍光体含有シリコーン成分を均一に互いに混合し、ディスペンサに移送する。100μm2 GaNチップを含有するOSA optoelectronics,Berlinからの空のLEDパッケージを、ディスペンサを用いて充填する。プレミックスBをまず導入する。その後シリコーンを固化するために、LEDを加熱チャンバに150℃、1時間配置する。プレミックスAを続いて導入し、そして、シリコーンを再度加熱チャンバ内で固化する。
【0083】
例2、4、5および6はまた、同様に例1B〜1Eにかかる蛍光体または他の本発明にかかる蛍光体を用いて行うことができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式I
2−0.5y−xEuSi8−y (I)
式中、
Aは、Ca、Sr、Baから選択される1種または2種以上の元素を表し、
xは、0.005〜1の範囲の値を表し、および
yは、0.01〜3の範囲の値を表す、
で表される化合物。
【請求項2】
AがSrを表すことを特徴とする、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
xが、0.01〜0.8の範囲、好ましくは0.02〜0.7の範囲、および特に好ましくは0.05〜0.6の範囲の値を表すことを特徴とする、請求項1または2に記載の化合物。
【請求項4】
yが、0.1〜2.5の範囲、好ましくは0.2〜2の範囲、および特に好ましくは0.22〜1.8の範囲の値を表すことを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項5】
化合物が、ケイ素−および酸素−含有化合物との混合物の形態であることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項6】
式I
2−0.5y−xEuSi8−y (I)
式中、
Aは、Ca、Sr、Baから選択される1種または2種以上の元素を表し、および
xは、0.005〜1の範囲の値を表し、および
yは、0.01〜3の範囲の値を表す、
で表される少なくとも1種の化合物ならびに
少なくとも1種のさらなるケイ素−および酸素−含有化合物を含む、混合物。
【請求項7】
式Iで表される化合物が、30〜95重量%の範囲内、好ましくは50〜90重量%の範囲内、および特に好ましくは60〜88重量%の範囲内の重量あたりの比率で混合物中に存在することを特徴とする、請求項6に記載の混合物。
【請求項8】
ステップa)において、二元窒化物、ハロゲン化物および酸化物またはそれらの対応する反応性形態から選択される適当な出発材料が、混合され、ならびにステップb)において、混合物が還元的条件下で熱的に処理されるプロセスにより、混合物が得られ得ることを特徴とする、請求項6または7に記載の混合物。
【請求項9】
ステップa)において、二元窒化物、ハロゲン化物および酸化物またはそれらの対応する反応性形態から選択される適当な出発材料が、混合され、ならびにステップb)において、混合物が還元的条件下で熱的に処理されることを特徴とする、請求項1〜5のいずれか一項に記載の化合物または請求項6〜8のいずれか一項に記載の混合物の調製方法。
【請求項10】
ステップb)において、反応が、800℃より大きい温度で、好ましくは1200℃より大きい温度で、および特に好ましくは、1400℃〜1800℃の範囲で、行われることを特徴とする、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
ステップb)が、窒素流中、好ましくはN/H流中および特に好ましくはN/H/NH流中で行われることを特徴とする、請求項9または10に記載の方法。
【請求項12】
光源が少なくとも1種の請求項1〜5のいずれか一項に記載の蛍光体または請求項6〜8のいずれか一項に記載の混合物を含むことを特徴とする、少なくとも1の一次光源を有する光源。
【請求項13】
一次光源が、発光性窒化インジウムアルミニウムガリウム、特に式InGaAlN、式中0≦i、0≦j、0≦k、およびi+j+k=1である、で表されるものであることを特徴とする、請求項12に記載の光源。
【請求項14】
光源が緑色発光蛍光体を含むことを特徴とする、請求項12または13に記載の光源。
【請求項15】
式Iで表される蛍光体が本質的に一次光源からの光により照射され、一方で緑色発光蛍光体が本質的に赤色発光蛍光体をすでに通過した光またはそこで散乱した光により照射されるように、蛍光体が、一次光源上に配置されることを特徴とする、請求項12〜14のいずれか一項に記載の光源。
【請求項16】
式Iで表される蛍光体が、一次光源と緑色発光蛍光体との間に設置されることを特徴とする、請求項15に記載の光源。
【請求項17】
少なくとも1種の請求項12〜16のいずれか一項に記載の光源を含むことを特徴とする、照明ユニット、特にディスプレイデバイスの背面照明のための照明ユニット。
【請求項18】
少なくとも1種の請求項17に記載の照明ユニットを含むことを特徴とする、背面照明を有するディスプレイデバイス、特に液晶ディスプレイデバイス(LCディスプレイ)。
【請求項19】
変換蛍光体、特に発光ダイオードの青色または近紫外発光の部分的または完全な変換のための変換蛍光体としての、少なくとも1種の請求項1〜5のいずれか一項に記載の蛍光体または請求項6〜8のいずれか一項に記載の混合物の使用。

【図1】
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【図2a】
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【図2b】
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【図2c】
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【図3a】
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【図3b】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2013−518154(P2013−518154A)
【公表日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−550328(P2012−550328)
【出願日】平成22年12月28日(2010.12.28)
【国際出願番号】PCT/EP2010/007954
【国際公開番号】WO2011/091839
【国際公開日】平成23年8月4日(2011.8.4)
【出願人】(591032596)メルク パテント ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング (1,043)
【氏名又は名称原語表記】Merck Patent Gesellschaft mit beschraenkter Haftung
【住所又は居所原語表記】Frankfurter Str. 250,D−64293 Darmstadt,Federal Republic of Germany
【Fターム(参考)】