説明

蛍光灯器具

【課題】電源スイッチのON・OFF操作によって一灯のみを点灯させて省電力を図ることのできるようにした蛍光灯器具を提供する。
【解決手段】二灯並列形の蛍光灯器具において、商用電源(11)を電源とする安定器(13)と、安定器の出力端に対して直列にかつ相互に並列に接続された2つの通電回路(14A,14B) と、2つの通電回路の途中に接続された蛍光灯(16A,16B) と、2つの通電回路の一方に設けられ、該一方の通電回路を接断するスイッチング手段(18)と、電源スイッチのON・OFF操作に応動し、電源スイッチのON・OFF操作後の所定の時間内に電源スイッチがON操作されたときにスイッチング手段を制御して通電回路を切断する制御回路(19)と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は蛍光灯器具に関し、特にインバータ方式の安定器を備えた二灯並列形蛍光灯器具において必要なときには電源スイッチのON・OFF操作によって二灯のうちの一灯のみを点灯させて確実に省電力を図ることのできるようにした器具に関する。
【背景技術】
【0002】
オフィス、店舗、工場等では天井に多数の二灯用蛍光灯器具を取付けて室内全体を照明することがよく行われている。この二灯用蛍光灯器具には並列式と直列式とがあるが、照明設備には性能及び価格の点で優れている直列式が普及し、屋外広告などの標識には蛍光灯の点滅制御を容易に行うことのできる並列式が多く採用されている(特許文献1、特許文献2)。
【0003】
最近、省エネルギーが叫ばれ、照明器具に関しても、昼間等のように二灯による明るい照明を必要としないときには一灯を消灯して省電力を図ることが行われているが、直列式の二灯用蛍光灯器具では一灯を外すと、残りの一灯も消灯してしまう。
【0004】
そこで、通常の蛍光灯に代え、対向する2つの接続端子の間に直流抵抗成分の小さい通電手段を接続したダミー管を用い、残った一灯を点灯させるようにした二灯直列形の蛍光灯器具が提案されている(特許文献3、特許文献4、特許文献5)。
【0005】
また、壁面に設けた電源スイッチのON・OFF操作の回数をカウントし、操作回数によって蛍光灯のバイメタル式のスターターの作動を許容し停止するようにした蛍光灯器具が提案されている(特許文献6)。
【0006】
【特許文献1】実開平06−58596号公報
【特許文献2】実開平06−58599号公報
【特許文献3】特開昭和53−45071号公報
【特許文献4】実開昭56−130296号公報
【特許文献5】特開2000−208238号公報
【特許文献6】特開2003−142279号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、特許文献3〜5記載の二灯直列式の蛍光灯器具ではダミー管を用いるようにしているので、夜間など、明るい照明を必要とするときにはダミー管を通常の蛍光灯に交換しなければならず、煩雑であった。
【0008】
他方、二灯並列形の蛍光灯器具では一方の蛍光灯を取り外しても残った蛍光灯はそのまま点灯するので、一方の蛍光灯をスイッチ操作などによって消灯させ点灯させることができると、昼間などには一灯を消灯して省電力を図ることができるとともに、夜間などには二灯を点灯させて明るい照明を確保することができる。
【0009】
本発明は、かかる点に鑑み、必要な時には電源スイッチの操作によって一灯のみを点灯させて確実に省電力を図ることのできるようにした二灯並列形の蛍光灯器具を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
そこで、本発明に係る蛍光灯器具は、二灯並列形の蛍光灯器具において、商用電源を電源とする安定器と、該安定器の出力端に対して直列にかつ相互に並列に接続され、電源スイッチのON操作によって安定器からの電流が通電される2つの通電回路と、該2つの通電回路に接続され、通電によって点灯する蛍光灯と、上記2つの通電回路の一方に設けられ、該一方の通電回路を接断するスイッチング手段と、上記電源スイッチのON・OFF操作に応動し、上記電源スイッチのON・OFF操作後の所定の時間内に上記電源スイッチがON操作されたときに上記スイッチング手段を制御して上記通電回路を切断する制御回路と、を備えたことを特徴とする。
【0011】
本発明の特徴の1つは二灯並列形の蛍光灯器具において一方の蛍光灯の通電回路にスイッチング手段を設け、電源スイッチのON・OFF操作に対応する制御回路によってスイッチング手段を開閉するようにした点にある。
【0012】
これにより、昼間など明るい照明を必要としない時などには一灯を消灯して残りの一灯のみを点灯させることができるので、省電力を図ることができ、全体として消費電力をカットして省エネルギーを図ることができる。また、夜間など明るい照明を必要とする場合には二灯を点灯させて必要な明るさの照明を行うことができる。
【0013】
省電力のために1本の蛍光灯のみを点灯させると、照明が暗くなる。そこで、蛍光灯の背後に反射板を設け、照度をアップさせるようにするのが好ましい。
【0014】
スイッチング手段を電源スイッチのON・OFFに応動させる場合、電源スイッチの最初のON操作で二灯点灯、次のON操作で一灯点灯を行うようにしてもよいが、二灯点灯を行った後消灯し、次に電源スイッチをON操作した時には電源スイッチの操作が2番目のON操作となり、一灯点灯状態となってしまい、蛍光灯が傷んだ、いわゆる球切れになっているとの誤解を与えるおそれがある。
【0015】
そこで、二灯点灯を行い消灯した後、一定の時間内に次の電源スイッチをON操作した時にのみ電源スイッチの操作を2番目のON操作と判断するように構成すると、消灯後一定の時間が経過した後に電源スイッチをON操作すると二灯が点灯し、上述のような誤解を与えるおそれを解消できる。
【0016】
スイッチング手段及び制御回路は上述のような点灯制御を行うことができればよい。即ち、スイッチング手段にリレー接点を採用し、制御回路は、電源スイッチの最初のON操作時にはリレーコイルに通電せずにリレー接点を接続状態に保持し、電源スイッチのOFF後に充放電回路の放電時間が経過するまでの間に電源スイッチの次のON操作があったときにリレーコイルに通電してリレー接点を切断するように構成することができる。
【0017】
具体的には、制御回路は、電源スイッチのON・OFFに応動してON・OFFするスイッチ手段と、スイッチ手段のON時にクロック信号を発生するクロック発生回路と、クロック信号の入力によって出力信号を反転するD型フリップフロップ回路と、回路電圧が印加されて充電され、スイッチ手段のOFF後はその放電の間D型フリップフロップ回路を動作状態に保持する充放電回路と、D型フリップフロップ回路の出力信号に応じてリレーコイルをON・OFFさせるスイッチング回路と、から構成されることができる。
【0018】
安定器は継鉄型の変圧器を用いたものでもよいが、省電力を図る上で、商用電源を電源とする電源回路の直流電圧を入力として高周波電圧を出力するインバータ形安定器を用いるのが好ましい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、本発明を図面に示す具体例に基づいて詳細に説明する。図1ないし図3は本発明に係る蛍光灯器具の好ましい実施形態を示す。図において、電源回路10は電源スイッチ12を備え、商用電源11の交流電圧を入力とし直流電圧を出力するようになっている。電源回路10の出力電圧はインバータ形安定器13に入力され、所定の高周波電圧が出力されるようになっている。
【0020】
インバータ形安定器13の出力端には2つの通電回路14A、14Bが各々直列にかつ相互に並列に接続され、両通電回路14A、14Bにはチョークコイル15A、15B及び蛍光灯16A、16Bが接続されている。なお、このインバータ形安定器13の回路構成の1例を図2に示す。
【0021】
また、一方の通電回路14Aにはノーマルクロス型のリレー接点(スイッチング手段)18が接続され、リレー接点18は電源スイッチ12のON・OFFに応動する制御回路19によって開閉(接続・切断)されるようになっている。
【0022】
制御回路19は蛍光灯器具に内蔵され、例えば図3に示されるような回路構成を有している。
【0023】
制御回路19は基本的にはD型フリップフロップ回路(以下、フリップフロップ回路を単にFF回路という)によって構成されることができる。D型FF回路の動作の真理値表を表1に示す。
【0024】
【表1】

【0025】
即ち、制御回路19は、電源スイッチ12のON・OFFに応動してON・OFFするスイッチSW、スイッチSWのON時にクロック信号を発生するクロック発生回路30、クロック信号の入力によって出力信号を反転するD型FF回路IC2、回路電圧が印加されて充電され、スイッチSWのOFF後はその放電の間D型FF回路IC2を動作状態に保持する充放電回路31、及びD型FF回路の出力信号に応じてリレーコイルをON・OFFさせるスイッチング回路32から構成されている。
【0026】
1回目に電源スイッチ12がONされると、スイッチ(スイッチ手段)SWがONとなり、トランジスタQ1のベースにはツェナーダイオードD1とダイオードD2、D3の接続点から取り出された電圧が印加される。トランジスタQ1のベース電圧が動作電圧+−1.6Vとなるように、ツェナーダイオードD1とダイオードD2、D3の電圧比が設定される。また、コンデンサC1によって交流電圧を100Vから降下させ、ツェナーダイオードD1には5.6V以上の電圧が印加されるように設定されている。
【0027】
まず、電源スイッチ12が最初にONされると、スイッチSWがONとなり、トランジスタQ1のベースに電圧が印加されてトランジスタQ1がONとなり、トランジスタQ1のコレクタからのクロック信号がFF回路IC2のクロック端子CKに与えられる。
【0028】
このとき、FF回路IC2の反転端子−Qは“H”、データ端子Dは“H”であるので、クロック端子CKの信号が立ち下がるまでの間はFF回路IC2の出力端子Qは“L”でその状態を保持する。
【0029】
トランジスタQ1のコレクタからFF回路IC2のクロック端子CKに加えられるクロック信号は抵抗R3,コンデンサC4及び抵抗R4によって決まる時定数を変更することにより、特性や時間を自由に設定することができる。
【0030】
FF回路IC2の出力端子Qが“L”状態で保持されると、トランジスタQ2のベース電圧は0であり、トランジスタQ2は動作せず、リレーRYも動作せず、リレー接点18はONのままであり、蛍光灯16A、16Bは二灯とも点灯する。
【0031】
D型FF回路IC2ではデータ入力Dのデータはクロック信号の立ち下がり時にFF回路IC2に読み込まれ、次のクロック信号の立ち上がりで出力端子Qに出力される。FF回路IC2セット端子(PR)、リセット端子CLはそれぞれの入力信号を“H”とすることにより、FF回路IC2のセット・リセットをクロック信号の入力とは独立に行うことができるので、リセット端子CLはグラウンドGNDに接続している。
【0032】
また、スイッチSWがONされると、コンデンサC2、C3が充電され、スイッチSWがOFFされた後、コンデンサC2、C3が放電し、その放電が所定の電圧以下になるまではFF回路IC2は作動状態を保持される。放電時間はコンデンサC2、C3と抵抗R1、R2によって決定される。
【0033】
そこで、コンデンサC2、C3の放電が完了するまでの間に電源スイッチが再びONされると、トランジスタQ1のコレクタからのクロック信号がFF回路IC2のクロック端子CKに与えられ、FF回路IC2の出力端子Qは“H”、反転端子−Qは“L”となってその状態を保持する。
【0034】
すると、今度はトランジスタQ2のベース電圧が動作電圧になり、トランジスタQ2が動作し、リレーRYが通電され、リレー接点18がOFFとなるので、蛍光灯16Aは点灯せず、蛍光灯16Bのみが点灯する。リレーRYの電源はIC1から供給される5Vを使用している。
【0035】
他方、電源スイッチがOFFになり、スイッチSWがOFFとなってコンデンサC2、C3が所定の電圧以下になるまで放電すると、D型FF回路IC2が初期化され、リレーRYは動作しない状態となるので、リレー接点18はノーマルクロスの状態に戻り、蛍光灯16A、16Bの二灯が点灯できる状態に戻る。
【0036】
以上のように、電源スイッチ12のON・OFFを繰り返すことにより、D型FF回路IC2もフリップフロップされ、リレーRYを制御し保持することができるので、二灯点灯と一灯点灯を切替え制御することができる。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】本発明に係る蛍光灯器具の好ましい実施形態における回路構成の1例を示す図である。
【図2】上記実施形態における安定器の回路構成の1例を示す図である。
【図3】上記実施形態における制御回路の1例を示す図である。
【符号の説明】
【0038】
10 電源回路 11 商用電源
12 電源スイッチ
13 インバータ形安定器
14A、14B 通電回路
16A、16B 蛍光灯
18 リレー接点(スイッチング手段)
19 制御回路
SW スイッチ(スイッチ手段)
30 クロック発生回路
31 充放電回路
32 スイッチング回路
IC2 D型フリップフロップ回路 RY リレー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
二灯並列形の蛍光灯器具において、
商用電源を電源とする安定器と、
該安定器の出力端に対して直列にかつ相互に並列に接続され、電源スイッチのON操作によって安定器からの電流が通電される2つの通電回路と、
該2つの通電回路に接続され、通電によって点灯する蛍光灯と、
上記2つの通電回路の一方に設けられ、該一方の通電回路を接断するスイッチング手段と、
上記電源スイッチのON・OFF操作に応動し、上記電源スイッチのON・OFF操作後の所定の時間内に上記電源スイッチがON操作されたときに上記スイッチング手段を制御して上記通電回路を切断する制御回路と、
を備えたことを特徴とする蛍光灯器具。
【請求項2】
上記スイッチング手段がリレー接点であり、
上記制御回路は、電源スイッチの最初のON操作時にはリレーコイルに通電せずにリレー接点を接続状態に保持し、上記電源スイッチのOFF後に充放電回路の放電時間が経過するまでの間に電源スイッチの次のON操作があったときにリレーコイルに通電してリレー接点を切断するようになっている請求項1記載の蛍光灯器具。
【請求項3】
上記制御回路は、
電源スイッチのON・OFFに応動してON・OFFするスイッチ手段と、
上記スイッチ手段のON時にクロック信号を発生するクロック発生回路と、
クロック信号の入力によって出力信号を反転するD型フリップフロップ回路と、
回路電圧が印加されて充電され、上記スイッチ手段のOFF後はその放電の間上記D型フリップフロップ回路を動作状態に保持する充放電回路と、
上記D型フリップフロップ回路の出力信号に応じてリレーコイルをON・OFFさせるスイッチング回路と、から構成されている請求項2記載の蛍光灯器具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2008−10396(P2008−10396A)
【公開日】平成20年1月17日(2008.1.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−108357(P2007−108357)
【出願日】平成19年4月17日(2007.4.17)
【出願人】(592212342)
【出願人】(598164131)
【出願人】(598164120)
【Fターム(参考)】