説明

蛍光灯

【課題】照度及び汚染防止に優れた蛍光灯を提供すること。
【解決手段】蛍光管と該蛍光管に取付けた電極11とを有する蛍光灯1において、該蛍光灯1の外周面の一部分には光反射用の光反射フィルム2を設け、上記外周面の他の部分には光透過性の汚染防止用の光触媒フィルム3を設けてなる。上記光反射フィルムは、基材フィルムと該基材フィルムの表面にスパッタリングにより形成した金属薄膜とからなる。上記光触媒フィルムは、透明基板と該透明基板の表面にスパッタリングにより形成した光触媒層とよりなることが好ましい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、照度及び汚染防止に優れた蛍光灯に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、蛍光灯の照明方向における照度を増加させる方法としては、蛍光灯の上記照明方向とは反対側の背面側に、光反射率の高い材料で作成した傘形の光反射具を設置することが行なわれている。
また、蛍光灯の照明方向と反対側の外周部分に、アルミニウム(Al)を真空蒸着法により付着させた光反射剤を設けた蛍光灯が提案されている(特許文献1)。
【0003】
しかしながら、かかる手段は、蛍光灯表面に直接にAlを真空蒸着させるため、大形の製造装置が必要であり、蛍光灯の製造コストが高くなる。
また、一方蛍光灯は、使用中にその表面に汚れが付着し、蛍光灯自体の照度は余り低下していないにも拘らず、蛍光灯から放出される光量、つまり照度が低下する。
かかる蛍光灯の汚染は、室内における壁から放出されるホルムアルデヒト、タバコのヤニ、その他の種々の汚染物等が蛍光灯の表面に付着することにより発生する。
【0004】
【特許文献1】特開2001−351422号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明はかかる従来の問題点に鑑み、照度及び汚染防止に優れた蛍光灯を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、蛍光管と該蛍光管に取付けた電極とを有する蛍光灯において、
該蛍光灯の外周面の一部分には、基材フィルムと該基材フィルムの表面にスパッタリングにより形成した金属薄膜とからなる光反射用の光反射フィルムを設け、
また、上記外周面の他の部分には光透過性で光触媒機能を有する汚染防止用の光触媒フィルムを設けてなることを特徴とする蛍光灯にある(請求項1)。
【0007】
次に、本発明の作用効果につき説明する。
本発明においては、蛍光灯の外周面の一部分に上記光反射フィルムを設けているので、蛍光灯から発せられる光を該光反射フィルムによって反射する。そのため、蛍光灯の照明における照度を増大させることができる。
また、上記光反射フィルムは、基材フィルムと該基材フィルムの表面にスパッタリングにより形成した金属薄膜とからなる。
そのため、基材フィルムと金属薄膜との密着性が良く、耐久性に優れた蛍光灯を提供できる。また、光反射フィルムは、製造された蛍光灯の外周面の一部分に貼付すれば良く、上記従来技術のように蛍光灯に直接蒸着するものではないので、コストも低い。また、生産性にも優れている。
【0008】
次に、光反射フィルムによって反射された光は、光触媒機能を有する上記光触媒フィルムを透過する。このとき、蛍光灯に付着していた汚染物質は光触媒フィルム中の光触媒と蛍光灯から発せられる紫外線とによって分解される。そのため、蛍光灯における光放出部分の汚染が少なく、長期に渡って効率の良い照明を行なうことができる。
また、上記光反射フィルム、光触媒フィルムは、現在使用中の蛍光灯にも貼付できるので、本発明の適用が容易である。
したがって、本発明によれば、照度及び汚染防止に優れた蛍光灯を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
上記光反射フィルムは、蛍光灯における外周面の一部分、例えば蛍光灯の長手方向に直交する方向の断面において、その30〜40%の範囲に貼付する。そして、残りの60〜70%の部分に光触媒フィルムを貼付する。
【0010】
上記の金属薄膜の厚みは、200〜600Åとすることが好ましい。
200Å未満では、光反射フィルムとしての光反射機能、耐久性が充分でない。一方、600Åを越えると、金属薄膜にクラックを生ずるおそれあがり、また厚み増加による光反射機能の効果が少ない。
【0011】
次に、上記基材フィルムは、ポリエチレンテレフタレート、ポリメチルメタアクリレート、ポリカーボネートのいずれか一種以上であり、上記金属薄膜はアルミニウム、銀、チタン、ステンレス鋼(SUS)、クロムのいずれか一種以上であることが好ましい(請求項2)。
この場合には、特に基材フィルムと金属薄膜との密着性が高く、耐久性、生産性優れている。
【0012】
次に、上記光触媒フィルムは、透明基板と該透明基板の表面にスパッタリングにより形成した光触媒層とよりなることが好ましい(請求項3)。
この場合には、透明基板と光触媒層との密着性を高くすることができ耐久性に優れた蛍光灯を提供することができる。また生産性にも優れている。
また、上記の光触媒層の厚みは20〜2000Åとすることが好ましい。20Å未満では光触媒機能、耐久性が充分でない。一方、2000Åを越えても、光触媒効果の増大は少ない。
【0013】
次に、上記透明基板は、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレン2,6ナフタレート(PEN)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)の中のいずれか一種以上であり、上記光触媒層は、TiO2、TiON、TiO2+SiO2の中のいずれか一種以上であることが好ましい(請求項4)。
この場合には、特に照度と光触媒層との密着性が高く、耐久性、生産性に優れている。
【実施例】
【0014】
(実施例1)
本発明の実施例にかかる蛍光灯につき、図1〜図4を用いて説明する。
本例の蛍光灯1は、図1〜図4に示すごとく、蛍光管10と該蛍光管10に取付けた電極11とを有する蛍光灯1において、該蛍光灯1の外周面の一部分には、基材フィルム21と該基材フィルム21の表面にスパッタリングにより形成した金属薄膜22とからなる光反射用の光反射フィルム2を設ける。
また、一方上記外周面において、上記光反射フィルムを設けていない他の部分には光透過性の汚染防止用の光触媒フィルム3を設けてなる。
【0015】
本例において、上記基材フィルム21はポリエチレンテレフタレート(PET)を用い、上記金属薄膜は銀を用いた。
次に、上記蛍光灯を製造するに当っては、図2〜図4に示すごとく、蛍光管10の光反射側である上部の外周面に上記光反射フィルム2を、一方光照射側の下部に光触媒フィルム3を、例えば水溶性両面接着テープなどの接着剤を用いて貼付する。
上記の光反射フィルム2は、蛍光灯の直径方向断面における上部40%に貼付した。そして、残りの下部の60%に光触媒フィルム3を貼付した。
【0016】
光反射フィルム2は、その金属薄膜22が蛍光管10に対面し基材フィルム21が外側に位置するように、一方光触媒フィルム3はその透明基板31が蛍光管10に対面し、光触媒層32が外側に位置するように貼付した(図3)。
【0017】
次に、上記基材フィルム21へのスパッタリングによる金属薄膜22の形成、透明基板31へのスパッタリングによる光触媒層32の形成は次のように行なった。
即ち、まず光反射フィルム2を作製するに当っては、上記基材フィルム21として厚み50μmのポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムを用い、その片面にウレタン樹脂よりなる厚み5μmのベースコートを形成し、更にその上にスパッタリングにより金属薄膜22としての、銀(Ag)よりなる厚み400Åの銀スパッタリング層を形成した。その後最表面にアクリル樹脂よりなる厚み3μmのトップコートを形成し、光反射フィルム2とした。
【0018】
上記スパッタリングによる金属薄膜22の形成に当っては、上記ベースコートを形成した基材フィルムを、チャンバー内圧力2×10-3Pa、基材フィルムの搬送速度3m/分、スパッタリング時間20秒、印加電圧400V、電流5Aとし、スパッタリングガスとしてAr(アルゴン)を用いた。
【0019】
次に、光触媒フィルム3を作成するに当っては、透明基板31として厚み75μmのPETフィルムを用い、その片面にスパッタリングにより光触媒層32としての厚み500ÅのTiO2層を形成した。
上記スパッタリングによる光触媒層の形成に当っては、上記透明基板31にプラズマ処理の表面処理を行ない、チャンバー内圧力0.3Pa、透明基板の搬送速度1m/分、スパッタリング時間60秒、印加電圧500V、電流5Aとし、スパッタリングガスとしてArを用いた。
【0020】
次に、上記のごとく作製した蛍光灯1について、照度テストを行なったところ、100ワットの蛍光灯1から1m離れたところの照度は1000ルックスと高かった。これに対して、上記光反射フィルムも光触媒フィルムも貼付していない場合の照度は800ルックスと低かった。
【0021】
また、蛍光灯1について、光触媒フィルムの表面に汚染物質としての希釈メチレンブルーを塗布し、0.5時間点灯を行なったところ、上記汚染物質は1時間の後、その殆どが消滅した。
これに対して、光触媒フィルムを設けることなく、蛍光灯1の表面に直接に、同様にして汚染物質を塗布し0.5時間点灯を行なったが、汚染物質の減少は認められなかった。
【0022】
(実施例2)
本例は、実施例1において、光反射フィルムの金属薄膜としてAlを、また光触媒層としてTiONを用い、他は実施例1と同様にして蛍光灯を作製した例である。
本例においても実施例1と同様の効果を得ることができた。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】実施例1にかかる蛍光灯の斜視図。
【図2】図1の蛍光灯の直径方向断面図。
【図3】実施例1における、蛍光管へ光反射フィルム及び光触媒フィルムを貼付する場合の説明図。
【図4】実施例1における、(A)光反射フィルムの斜視図、(B)光触媒フィルムの斜視図。
【符号の説明】
【0024】
1 蛍光灯
10 蛍光管
2 光反射フィルム
21 基材フィルム
22 金属薄膜
3 光触媒フィルム
31 透明基板
32 光触媒層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
蛍光管と該蛍光管に取付けた電極とを有する蛍光灯において、
該蛍光灯の外周面の一部分には、基材フィルムと該基材フィルムの表面にスパッタリングにより形成した金属薄膜とからなる光反射用の光反射フィルムを設け、
また、上記外周面の他の部分には光透過性で光触媒機能を有する汚染防止用の光触媒フィルムを設けてなることを特徴とする蛍光灯。
【請求項2】
請求項1において、上記基材フィルムは、ポリエチレンテレフタレート、ポリメチルメタアクリレート、ポリカーボネートのいずれか一種以上であり、上記金属薄膜はアルミニウム、銀、チタン、ステンレス鋼、クロムのいずれか一種以上であることを特徴とする蛍光灯。
【請求項3】
請求項1又は2において、上記光触媒フィルムは、透明基板と該透明基板の表面にスパッタリングにより形成した光触媒層とよりなることを特徴とする蛍光灯。
【請求項4】
請求項3において、上記透明基板は、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン2,6ナフタレート、ポリ塩化ビニル、ポリプロピレン、ポリエチレンの中のいずれか一種以上であり、上記光触媒層は、TiO2、TiON、TiO2+SiO2の中のいずれか一種以上であることを特徴とする蛍光灯。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2006−139946(P2006−139946A)
【公開日】平成18年6月1日(2006.6.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−326618(P2004−326618)
【出願日】平成16年11月10日(2004.11.10)
【出願人】(000242231)北川工業株式会社 (268)
【Fターム(参考)】