説明

蛍光画像の分析処理方法

【課題】腫瘍組織の境界を定量的、客観的、かつ再現性を有するように決定する方法を提供し、これによって、外科医の主観的な認知および経験を介在させないようにする。
【解決手段】蛍光画像10を分析および処理するための方法であって、照射された手術領域20において、腫瘍組織22から放射された蛍光が画像検出装置により検出され、そして画像処理システムへと転送される。最大強度が決定された後、画像処理システムは、最大強度に対して所定の比率を有する値として閾値を決定する。画像処理における基礎的な形態学的演算を利用することにより、閾値よりも上の強度を有する腫瘍組織22と、閾値よりも下の強度を有する正常組織21とを分離する境界強度ライン25が生成され、そしてスペクトル線画像の中に表示される。この場合、スペクトル線画像が蛍光画像10に重ねられていてもよい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、外科手術の際に用いられる医療用顕微鏡により蛍光画像を分析および処理するための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
腫瘍組織を特定の造影剤により肥沃化させ、次に紫外線を照射すると、腫瘍組織から蛍光が得られる。このような腫瘍組織の蛍光性が、医療分野において長い間利用されてきた。例えば、手術室において組織の一部を切除するのを支援するために利用されてきた。
【0003】
この方法は手術中の蛍光発光検出として知られているが、この方法において、天然の同化作用を有する物質(5−アミノレボリック酸、略して5−ALA)が、脳腫瘍の手術前に、神経グリア芽腫(gliobastoma)を有する患者に対して投与される。5−ALAは、人体において、血液中の色素であり、血液生成に欠くことのできないものであるヘモグロビン統合体の一部として形成される。5−ALAは、悪性の脳腫瘍組織において、プロトポルフィリンIX色素に変換されるという特性を有している。プロトポルフィリンIXは、脳腫瘍細胞、とりわけ腫瘍組織において増大する。プロトポルフィリンIXは、紫外光が照射されたとき、約635nmの波長において典型的な蛍光性を示す。プロトポルフィリンIX分子は、励起紫外光を吸収し、そして、吸収した紫外光よりもエネルギーが低く波長の長い蛍光性の光を放出する。これによって、腫瘍組織が赤色蛍光を有することになる。
【0004】
除去される組織は、しばしば、正常組織に浸透する広い細胞境界を有していることがあり、また、腫瘍細胞群が正常組織により囲まれていることもある。このため、正常組織への損傷が最小となるよう腫瘍細胞のみを除去することは困難である。外科医は、蛍光画像における赤色蛍光を観察するが、外科医は、どの程度の組織を除去するかを自主的に見極めなければならない。
【0005】
とりわけ脳外科手術の分野において、例えば、神経膠腫(gliomas)の切除において、外科医は、腫瘍組織を可能な限り徹底的に切除することを望んでおり、同時に、何らかの神経性障害が発生するのを防ぐため、正常組織を可能な限り小さく傷つける、または全く傷つけないことを望んでいる。客観的に腫瘍の境界を決定し、その境界に基づく最適な切除を行うことは、既知の方法によっては今のところ不可能である。
【0006】
外科手術のために用いられる既知の外科手術用顕微鏡は、外科医に対して、患者の体のうち関心のある領域の画像を拡大して提供する。また、既知の外科手術用顕微鏡は、その他の補助的な役割も果たしている。
【0007】
DE202005021111U1は(特許文献1)は、診断と治療とを組み合わせたシステムを開示する。ここで開示されているシステムは、少なくとも1つの光源と、画像検出装置と、画像処理システムと、投射システムとを備えている。画像情報は、画像検出装置により検出され、さらに画像処理システムにおいて処理される。画像処理により、外科医にとって利用しやすくされた追加情報がもたらされる。例えば追加情報が投射システムにより手術領域の中に投射される。画像は、ビーム巻き返し機により、例えば手術領域の中、または接眼鏡の中、または手術用顕微鏡のモニターに投影されてもよい。
【0008】
外科医は、実像の上に重ねられた生成画像の投射を通して、手術領域の実像を観察する。ここで、例えば正常組織は緑色で表され、また、異常組織はより高い強度で示される。この追加情報は、画像処理システムにおいてオフラインで生成される。
【特許文献1】独国特許出願公開第202005021111号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
上に示された文献は、蛍光放射の励起に基づく腫瘍組織の光力学的な診断を示している。しかしながら、この文献は、画像処理システムにより取り除かれる腫瘍部分が分析され、または切開ラインが決定され表示されるかどうかについて開示していない。また、そのような分析または決定および表示がどのように行われるのかについても開示していない。従って、外科医が、切除を行う際の追加情報により支援されることはない。
【0010】
特許文献1が主に強調している点は、追加情報を手術領域の中に投影することであるが、しかし、特許文献1は、追加情報の分析、決定および算出がどのように行われるかについて言及していない。上記で示された特許によると、当業者は、正常組織がどのように腫瘍組織と区別されるかを理解できず、このため、蛍光の強度および/または投影された画像の評価、および取り除かれる組織の決定は、外科医自身に任されている。蛍光を視覚により認知し、そして判定することは、それぞれの外科医に大きく依存しており、従って、切除の範囲は場合によって大きく変わり得る。
【0011】
再発性の腫瘍が再発するまでの期間を長くするため、可能な限り多くの腫瘍細胞を取り除くことが当然に本質的なことである。
【0012】
色の認知は個々の外科医により異なり、また、蛍光画像の主観的な認知は手術室における環境および照明に依存する。従って、外科医に依存することなく腫瘍の境界を客観的に決定する方法は、今のところ開示されていない。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明は、腫瘍組織の境界を定量的、客観的、かつ再現性を有するように決定する方法を提供し、これによって、外科医の主観的な認知および経験を介在させないようにすることを課題とする。
【0014】
本発明の方法により、この課題が達成されるとともに、腫瘍組織の切除における関連する支援が提供される。これによって、腫瘍組織に隣接する正常組織の切除量を最小にすることができ、このことにより、副次的な神経性の障害が大いに防がれる。
【0015】
本発明の主題におけるその他の課題は、可能な限り事実上完全に腫瘍を取り除くことにより、人生の質を向上させ、患者の余命を増やすことである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
プロトポルフィリン蛍光を生成するために、腫瘍検出機能のための物質、例えば5−アミノレボリック酸が神経膠腫患者に口を通して投与され、次に、患者に手術の準備がなされ、麻酔をかけられる。これによって、手術が実施される手術領域20にアクセス可能となり、その後、腫瘍組織22の切除が外科手術用顕微鏡を用いて実施される。
【0017】
外科手術用顕微鏡の可能な配置の1つが図1aに図示されている。励起装置1からの、約400nmの波長範囲にある、すなわち可視できる青色波長範囲にある紫外線の放射により、手術領域20が照射されている。蛍光紫外線放射は、例えばフィルターを有するキセノン光源から、またはレーザーから生成される。5−アミノレボリック酸は、蛍光特性を有し、そして病理学的に作り変えられた細胞中で選択的に増大するプロトポルフィリンIXを合成する。
【0018】
図1bにおける蛍光スペクトルは、励起装置1からの波長約400nmの蛍光励起紫外線放射による励起ライン5に加えて、波長約600〜700nmの可視できるスペクトル範囲にある、放出された蛍光プロトポルフィリンIX放射による放出ライン6を示している。腫瘍組織22は、蛍光を発し、そして放出ライン6に従って、可視できるスペクトル範囲にある赤色光を放出する。ここで、放出された光の強度は、細胞内のプロトポルフィリンIXの濃度に依存する。
【0019】
画像検出装置2は、放出された光を、検出器に設けられた光学部品により集めてまとめる。この検出器により、手術領域20から伝えられた蛍光画像10という形でディジタル画像情報が生成される。画像検出装置2における実際の検出は、ディジタルCCDカメラまたは蛍光分光計により行われる。
【0020】
赤色成分R、緑色成分G、そして青色成分Bの強度をそれぞれ個別に検出するCCDカメラにより放出放射検出が行われる。このため、放出ライン6に関して、波長600nmを超える範囲において最適な測定結果を得る上で、追加のフィルターは不要である。従って、CCDカメラを使用する上で、励起ライン5と放出ライン6との間の間隔が非常に大きいことは、有利なことである。なぜなら、放出ライン6は赤色成分Rの中にのみ位置しており、従って、検出が、青色成分Bの中にある青色励起ライン5により妨害されることがないからである。加えて、大抵のCCDセンサーの量子効率は赤色光の範囲において最大となる。このため、CCDカメラの最大感度は赤色範囲の中に存在する。
【0021】
画像検出装置2は、赤色成分R、緑色成分Gそして青色成分Bの様々な輝度の値を画素ごとに記録する。8ビットのセンサーが選択されている場合は、256の異なる値が記録される。16ビットのセンサーが選択されている場合は、65536の異なる輝度の値が記録され、そしてディジタル蛍光画像10として表示装置4に直接転送される。そして、ディジタル蛍光画像10が表示装置4に表示される。表示装置4は、例えば、単眼用または両眼用の接眼鏡、モニターなどである。外科医は、表示装置4を利用して、全体の処置を観察する。
【0022】
加えて、ディジタル蛍光画像10は、画像処理システム3へも転送される。画像処理システム3は、少なくとも1つの読み取り/書き込みメモリーと、コンピュータプログラムとを有している。このコンピュータプログラムにより、蛍光画像の分析および処理が実行され、生成されたスペクトル線画像11と生成された擬似色画像12とが出力され、そして蛍光画像10が生成された画像の上に重ねられる。
【0023】
蛍光は赤色スペクトル領域に位置しており、そして、プロトポルフィリンIXにより肥沃化された腫瘍組織22は、赤色の蛍光を発する。そして蛍光画像10の赤色成分Rが分析処理され、これによって、腫瘍組織22の範囲と境界とが定量的に決定される。画像処理システム3による第1の分析段階は、記録された蛍光画像10から赤色波長帯を抽出することである。
【0024】
蛍光画像10は、赤色スペクトル範囲において、光の強度が異なる様々な領域を有している。また、画像処理システム3または外科医は、蛍光画像10において最大強度26を有する範囲を任意に決定する。
【0025】
画像処理システム3は、蛍光画像10のすべての画素における赤色成分の強度を比較することにより、最大強度26を確定し、そして確定された最大強度26を強度の最大値として記憶することができる。最大強度26を手動で決定する場合、入力装置、例えばコンピュータのマウスが画像処理システム3に接続されており、そして外科医は、外科医の主観により、蛍光画像10のうち最も明るい画素領域をマウスにより選択する。最大強度26を自動的に決定することにより、実際に最も高い強度の値が最大強度26として再現性良く決定される。一方、外科医が手動で最大強度26を決定することにより、蛍光画像10において起こりうる画像エラーが、自動的な決定により最大強度26として判断されることを防ぐことができる。仮に外科医の側に色覚異常がある場合、色覚異常により最大強度26を手動で決定する際の問題が生じるのを防ぐため、最も明るい領域における最大強度6が決定される前に、蛍光画像10の赤色波長帯のうち関連のある領域が、既知の手段によりグレースケール画像に変換されることが好ましい。
【0026】
次の段階において、最大強度26に対して一定の比率を有する閾値強度が画像処理システム3により確定される。閾値は、検出された蛍光放射の強度のうち、正常組織21の強度と腫瘍組織22の強度との間にある強度を表している。実験により示されているように、最大強度26の30%の範囲にある閾値は、健康な正常組織21と腫瘍組織22との間の閾を比較的正確に表している。
【0027】
蛍光画像10において、前記閾値より上の強度を有する画素領域は腫瘍組織22を表している。一方、蛍光画像10において、一定の領域として可視できる、閾値より下の強度の光を放出する組織は、正常組織として分類される。所望の閾値が画像処理システム3の中に記憶されていてもよく、また、当該閾値は必要に応じて変更されてもよい。既に実施された外科手術における臨床実験および分析により得られた、腫瘍組織22の再発に関する知見から、最大強度26の33%というのが閾値としてとりわけ都合がよいことが確認されている。
【0028】
最大強度26と閾値とが確定された後、二値化画像が生成される。すなわち、蛍光画像10のうちR波長帯の強度が閾値よりも下にある画素と、強度が当該閾値よりも上にある画素とが区別される。閾値よりも大きな強度を有する領域と、閾値よりも小さい強度を有する領域との間の境界線が、ディジタル画像処理における従来の方法により決定され、そして当該境界線が強調される。画像処理における基礎的な形態学的演算、例えば構造化エレメントの膨張および/または侵食により、例えば3×3の配列からなる形状を有する構造化エレメントにより、異なる画像領域間の境界線が決定される。実際には、膨張と侵食との組み合わせ、および複合的な利用が実用的であり、例えば、開放と閉鎖などであるが、これによって、端部が検出される。ディジタル画像処理において知られているこれらの方法を利用することにより、腫瘍組織22と正常組織21との間の境界線を含む画像情報、例えば、数画素分の幅にわたって拡がる境界強度ライン25が生成される。
【0029】
境界強度ライン25の幅は可変であり、とりわけ、形態学的演算子の構成要素である構造化エレメントにより決定される。構造化エレメントが画像処理システム3以外によって定められる場合、境界強度ライン25の幅を可変としてもよい。その他の演算子、高域通過、低域通過フィルターまたは勾配演算子を、境界強度ライン25を生成するために使用することもできる。
【0030】
境界強度ライン25は、それ自体で閉じられており、そして、画定された閾値よりも高い強度を有する画素からなる腫瘍組織領域27を囲んでいる。腫瘍組織領域27における閾値よりも高い強度を有する画素により、腫瘍組織22が特徴づけられる。閉じた境界強度ライン25の外側において、画素は閾値よりも下の強度を有しており、従って、これらの画素からなる領域における組織が、正常組織21として画定される。ここで、当該領域を正常組織領域23と呼ぶ。
【0031】
画像処理システム3は、境界強度ライン25からスペクトル線画像11を生成する。このスペクトル線画像11は、記録されている蛍光画像10の上に重ねられ、表示装置4により映し出される。例として、図3に、図5におけるスペクトル線画像11が重ねられた蛍光画像10が示されている。ここで図5は、閉じた境界強度ライン25により区切られたいくつかの領域を有し、図3においては、これらの領域がそれぞれ蛍光画像に重ねられている。このようにして生成されるスペクトル線画像11は、図5に示すように、蛍光画像10に重ねられることなくそれ自体で表示されていてもよく、または、外科医により分析され、手術における支援として選択されるよう、図6に示すような擬似色画像12として表示されていても良い。
【0032】
処理されることなくリアルタイムで表示装置4によりディジタル化された蛍光画像10が直接表示されてもよいが、画像処理システム3により生成されたスペクトル線画像11および擬似色画像12が蛍光画像10に重ねられて表示されてもよい。このようにして、外科医は、通常の表示装置4の中に、手術領域20に関して計算処理された追加情報を観察することができる。腫瘍組織22を実際に切除する間、このような観察が可能となる。
【0033】
後に手術を分析し、研究により閾値の決定を最適化するため、記録された蛍光画像10、生成されたスペクトル線画像11および擬似色画像12を蓄積するよう測定が行われる。これらの画像は、研究目的で、画像処理システム3により、ハードドライブまたはその他の読み取り専用メモリーに蓄積される。
【0034】
上述の方法によれば、既に示されている境界強度ライン25に加えて、追加の等高線24が表示されることが望ましい。
【0035】
蛍光画像10において、等高線24は、確定された閾値との強度差が所定の固定値となる領域を囲んでいる。例えば、閾値と最大強度26との間で、10%の強度差が選ばれる。等高線24が、図5のスペクトル線画像11の中に示されている。様々な等高線24を区別するため、等高線24は様々な形で表示装置4により表される。例えば、破線、または点線である。各等高線24は、その強度が閾値に対して一定の比率にある画素領域を囲んでいる。等高線24により、正常組織領域23、および/または、閾値より上の、かつ最大強度より下の強度を有する腫瘍組織領域27が囲まれていることが望ましい。
【0036】
境界強度ライン25に囲まれた腫瘍組織領域27の中に位置し、等高線24により囲まれている領域により、腫瘍組織領域27において強く蛍光を発するいくつかの領域が描かれている。境界強度ライン25により囲まれている腫瘍組織領域27の外側において、正常組織領域23もまた、等高線24により区分けされて表示されることが望ましい。このような等高線24の例が図5に示されている。
【0037】
これらの追加の等高線24はまた、図6における擬似色画像(または色分けされた画像)12の中にも示されている。これによって、蛍光画像10において、等高線24で囲まれた腫瘍組織領域27により、様々な色により色づけされた蛍光領域の様々な強度が図示される。境界強度ライン25、等高線24、および異なる蛍光を有する領域の色づけは、すべて画像処理システム3により実行される。外科医は任意に、スペクトル線画像11または擬似色画像12が重ねられた蛍光画像10を表示させることができ、または、蛍光画像10をマスクした上でスペクトル線画像11または擬似色画像12を表示させることもできる。
【0038】
腫瘍組織22の範囲の決定における個々のエラーを削減するため、定量的、定量的、かつ再現性よく腫瘍組織22の境界を決定するよう、ここに記述された方法が発展してきた。閾値の決定は、外科医によって実施されてもよく、もしくは、画像処理システム3により確定されてもよい。
【0039】
手術の間、蛍光画像10は絶え間なく記録され、そして、はじめに決定された最大強度26に基づいて様々な領域が分析される。これによって、閾値、境界強度ライン25および等高線24が定期的に計算されて表示される。また、境界強度ライン25により画定される腫瘍組織領域27は、手術の過程において縮小する。そして腫瘍組織22を完全に切除することにより、腫瘍組織22が減少する。閾値より上の強度を有する放射がもはや検出されなくなると、腫瘍組織として分類されたすべての組織が取り除かれたことになり、そして手術が終えられる。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1a】図1aは、外科手術用顕微鏡として用いられる蛍光顕微鏡の概略を示す図。
【図1b】図1bは、蛍光スペクトルを示す図。この場合、放射強度は波長の関数としてプロットされており、また、蛍光励起も示されている。
【図2】図2は、照射され、そして光を反射する手術領域の蛍光画像を示す図。
【図3】図3は、図2の照射された手術領域の蛍光画像に臨界の境界強度ラインを重ねて示す図。
【図4】図4は、図3に対応する蛍光画像を示す図。ここで、境界強度以外の強度を有する領域が追加の等高線により描かれている。
【図5】図5は、境界強度ライン(黒色)の単純な等高線図、および画像処理システムにより生成された追加の等高線を示す図。
【図6】図6は、異なる色からなる様々な等高線および領域を有する手術領域の擬似色画像を示す図。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外科手術の際に用いられる医療用顕微鏡により蛍光画像を分析および処理するための分析処理方法において、
励起装置(1)からの紫外線放射により手術領域(20)が照射される工程と、
画像検出装置(2)がディジタル蛍光画像(10)を記録し、記録されたディジタル蛍光画像(10)を画像処理システム(3)へ転送する工程と、
赤色波長帯(R)が蛍光画像(10)から抽出される工程と、
最大強度(26)が確定される工程と、
最大強度(26)に対して一定の比率を有する値として閾値が決定される工程と、
確定された閾値よりも上の強度を有する画素からなる腫瘍組織領域(27)を囲む境界強度ライン(25)が決定される工程と、
腫瘍組織領域(27)の境界強度ライン(25)を含むスペクトル線画像(11)が計算される工程と、
表示装置(4)においてスペクトル線画像(11)が蛍光画像(10)に重ねられる工程と、を備え、
境界強度ライン(25)により囲まれていない領域が正常組織領域(23)として定義されることを特徴とする蛍光画像の分析処理方法。
【請求項2】
閾値は、少なくとも最大強度(26)の30%に達することを特徴とする請求項1に記載の蛍光画像の分析処理方法。
【請求項3】
閾値は、最大強度(26)の33%に達することを特徴とする請求項2に記載の蛍光画像の分析処理方法。
【請求項4】
最大強度(26)は、画像処理システム(3)により自動的に確定されることを特徴とする請求項1に記載の蛍光画像の分析処理方法。
【請求項5】
蛍光画像(10)における最も明るい画素が、画像処理装置(3)に接続された入力装置を介して外科医により手動で選択され、これによって、最大強度(26)が手動で確定されることを特徴とする請求項1に記載の蛍光画像の分析処理方法。
【請求項6】
蛍光画像(10)の赤色波長帯(R)は、画像処理システム(3)により境界強度ライン(25)が決定されるよりも前に、二値化画像に変換されることを特徴とする請求項1に記載の蛍光画像の分析処理方法。
【請求項7】
境界強度ライン(25)は、画像処理における基礎的な形態学的演算、例えば腫瘍組織(22)と正常組織(21)との間の境界を表す構造化エレメントの膨張および/または侵食により決定されることを特徴とする請求項6に記載の蛍光画像の分析処理方法。
【請求項8】
膨張および/または侵食する構造化エレメントは、3×3の配列からなる形状を有することを特徴とする請求項7に記載の蛍光画像の分析処理方法。
【請求項9】
境界強度ライン(25)は、その幅が可変であることを特徴とする請求項8に記載の蛍光画像の分析処理方法。
【請求項10】
境界強度ライン(25)は、高域通過および/または低域通過フィルターにより、または勾配演算子を使用することにより生成されることを特徴とする請求項6に記載の蛍光画像の分析処理方法。
【請求項11】
画像処理システム(3)は、蛍光画像(10)の赤色波長帯(R)に基づき、閉じた等高線(24)を生成し、
等高線(24)は、確定された閾値から所定の固定距離分だけ離れ、そして、閾値より上、および閾値より下で様々な強度を有する領域の間の境界を表すことを特徴とする請求項1に記載の蛍光画像の分析処理方法。
【請求項12】
表示装置(4)により擬似色画像画像(12)が表示され、
擬似色画像(12)は、正常組織領域(23)と腫瘍組織領域(27)とを異なる色により表すことを特徴とする請求項1に記載の蛍光画像の分析処理方法。
【請求項13】
スペクトル線画像(11)および/または擬似色画像(12)は、蛍光画像(10)の上に、活性的および非活性的に重ねられることを特徴とする請求項12に記載の蛍光画像の分析処理方法。
【請求項14】
少なくとも請求項1乃至13のいずれかによる外科手術の際に用いられる医療用顕微鏡により蛍光画像を処理するためのコンピュータプログラムにおいて、
コンピュータプログラムは、所定の方法を実行するためのプログラム部品を有し、
当該コンピュータプログラムは、
a)蛍光画像の赤色波長帯(R)を抽出するステップと、
b)最大強度(26)を決定するステップと、
c)最大強度(26)に対して一定の比率を有する値として、強度の所定の閾値を決定するステップと、
d)画像処理における基礎的な形態学的演算、例えば構造化エレメントの膨張および/または侵食により境界強度ライン(25)を生成するステップと、
e)生成された境界強度ライン(25)に基づいてスペクトル線画像(11)を生成するステップと、
f)スペクトル線画像(11)を蛍光画像(10)の上に重ね、そして記録するステップと、を実行することを特徴とするコンピュータプログラム。

【図1a】
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【図1b】
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【図5】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図6】
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【公開番号】特開2009−148568(P2009−148568A)
【公開日】平成21年7月9日(2009.7.9)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2008−324308(P2008−324308)
【出願日】平成20年12月19日(2008.12.19)
【出願人】(508374151)カントーンスシュピタール、アーラウ、アクチエンゲゼルシャフト (1)
【氏名又は名称原語表記】KANTONSSPITAL AARAU AG
【Fターム(参考)】