説明

蛍光管処理システム

【課題】水銀ガス吸着剤を効率的に使用できるとともに、その量を低減でき、水銀ガス吸着剤の収容容器やファンの小型化を図ることが可能な安全性の高い蛍光管処理システムを提供すること。
【解決手段】作業台2近傍の作業環境の水銀ガス濃度を検出する第1の水銀ガス濃度計24と、吸排気ファン10の排気側の水銀ガス濃度を検出する第2の水銀ガス濃度計28と、水銀ガス吸着部8のガス入口側の水銀ガス濃度及びガス流量をそれぞれ検出する第3の水銀ガス濃度計26及び流量計30を設け、第1及び第2の水銀ガス濃度計24,28で検出した水銀ガス濃度が0.009mg/m以下の場合にシステム運転を許容するようにした。また、吸排気ファン10の起動後、第3の水銀ガス濃度計26で検出した水銀ガス濃度が0.5mg/m以下で、流量計30で検出したガス流量が2.8m/min以上の場合に、破損蛍光管収容容器4への破損蛍光管の投入を許容するようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、非発光型の薄型パネルを用いた薄型テレビにバックライトとして使用されている蛍光管を処理するためのシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
現在、特定の家電製品に含まれる金属、プラスチック、ガラス等のリサイクルを行うための家電リサイクル法の施行に伴い、エアコン、テレビ、冷蔵庫、洗濯機のリサイクル化が義務づけられており、これら家電製品の廃棄物を解体し、その素材を分別回収して再利用されている。
【0003】
なお、家電リサイクル法によれば、ブラウン管テレビのみならず、液晶パネルやPDP(プラズマディスプレイパネル)等の薄型パネルを搭載した薄型テレビもリサイクルの対象製品になっており、加えて、資源の有効利用という観点からリサイクル化が進んでいる。
【0004】
しかしながら、非発光型の薄型パネルを用いた薄型テレビにはバックライトの光源として、人体に有毒な水銀を含んだ蛍光管を使用しているものがあり、リサイクルに際し、蛍光管の破損による人体への悪影響を十分に考慮する必要がある。
【0005】
さらに詳述すると、蛍光管を備えた薄型テレビを解体する場合、スタンド、キャビネット、ワイヤハーネス、制御基板等をまず取り外した後、バックライトユニットと薄型パネルユニットとを分離し、バックライトユニットと薄型パネルユニットをそれぞれ解体している。
【0006】
また、バックライトユニットを解体して蛍光管をリサイクルする場合、バックライトユニットから光学部品を取り外した後、バックライトユニットから蛍光管を取り外し、取り外された蛍光管は、その両端部の口金を除去し、圧縮空気等によりガラス管の内部を清浄化した後、破砕され、破砕されたガラス片を酸洗いしてガラス片に付着した水銀を除去している。
【0007】
なお、蛍光管の処理は、廃棄蛍光管を多数集めて専門の処理工場に搬送し、処理工場で廃棄蛍光管を破砕し、炉内で焼却して発生した水銀ガスを冷却して水銀を回収しているが、最近では、処理工場までの搬送費や搬送中における廃棄蛍光管の破損等を考慮して、廃棄蛍光管を破砕後、処理工場に搬送することも行われている。
【0008】
しかしながら、蛍光管を破砕すると、水銀ガスが発生して水銀ガスを作業者が吸引したり、環境汚染につながるおそれがあることから、蛍光管破砕時に発生する水銀ガスを除去することにより作業環境を改善し公害問題を生じない処理装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0009】
この処理装置は、上部に蛍光管投入用のホッパー及びガラス破砕機を備えた蛍光管破砕片収納容器と、この収納容器で発生したガスを濾過するためのエアフィルタを備えた容器と、固形キレート剤充填層を備えた容器とを導管を介して直列に連結し、固形キレート剤充填層を通過したガスを排出するための吸引機をさらに備えた構成である。
【0010】
この処理装置では、蛍光管の破砕時に発生するガス中に含まれる水銀や蛍光塗料粉末をエアフィルタで濾過して比較的粒子径の大きな水銀粒子や蛍光塗料粉末をまず除去し、固形キレート剤充填層でガス中に残存する微粒子あるいはイオン状の水銀を除去している。固形キレート剤としては、水銀ガスを容易に吸着して水銀のメルカプチドあるいは錯化合物を形成するキレート樹脂あるいはこれらの基を有する有機化合物を活性炭、シリカゲル等の多孔性物質に担持させた吸着剤等が使用されている。
【0011】
また、蛍光管をドラム缶に挿入して破砕し、破砕された蛍光管から放出される水銀ガスを真空/フィルタアセンブリで発生した負圧によりドラム缶から押し出し、活性炭を含むフィルタアセンブリを通過させることにより水銀ガス濃度を低下させて大気中に放出するようにしたものも提案されている(例えば、特許文献2参照)。
【0012】
このものにあっては、フィルタアセンブリをHEPAフィルタと活性炭フィルタで構成している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】特開昭61−153188号公報
【特許文献2】特表2007−528785号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
しかしながら、水銀ガスを吸着するための活性炭、シリカゲル等には、当然のことながら寿命があり、活性炭の場合、開封後の寿命は約2年となっている。また、多量の活性炭をドラム缶等の円筒状容器に充填し、この容器に水銀ガスを通過させて水銀ガスを吸着する場合、容器の中心部に位置する活性炭ほど使用可能限度に達するのが早く、使用可能限度は容器を通過する水銀ガスの速度に依存する。
【0015】
図13(a)及び(b)は、同じ容量の円筒状容器に所定量の活性炭を充填し、容器を通過する水銀ガスの流速を変えた場合の活性炭の使用可能限度を示しており、破線は活性炭に水銀ガスが吸着される進行速度を示している。
【0016】
図13(a)に示されるように、水銀ガスの流速が早いと、容器の中心部に位置する活性炭ほど吸着速度が速く、容器中心部の下流端に位置する活性炭に水銀ガスが吸着されるようになると、吸着能力が徐々に低下することから、この時点で活性炭を交換する必要がある。したがって、容器の側壁近傍で下流側に位置する活性炭(図13(a)のハッチング部)はまだ使用できるにもかかわらず、交換されることになる。
【0017】
一方、図13(b)に示されるように、水銀ガスの流速が遅いと、活性炭の位置にかかわらず水銀ガスの吸着進行速度がほぼ均一であることから、活性炭のほぼすべてを使い切った時点で活性炭の交換を行うことができる。
【0018】
特許文献1に記載の蛍光管の処理装置あるいは特許文献2に記載の蛍光管廃棄システムでは、水銀ガスの流速については考慮されておらず、水銀ガスの流速が早いと、活性炭を効率的に使用できないばかりか、活性炭の交換頻度が増大するという問題がある。
【0019】
また、活性炭の量は、処理すべきガスの流速(流量)や処理すべき水銀の量に依存し、特許文献1に記載の蛍光管の処理装置あるいは特許文献2に記載の蛍光管廃棄システムでは、処理される蛍光管の最大量に見合った活性炭、活性炭収容容器、ファン等を用意する必要があり、コストアップを惹起するという問題もある。
【0020】
本発明は、従来技術の有するこのような問題点に鑑みてなされたものであり、活性炭等の水銀ガス吸着剤で処理すべきガスの水銀ガス濃度と流量を制御することにより、水銀ガス吸着剤を効率的に使用できるとともに、その量を低減でき、水銀ガス吸着剤の収容容器やファンの小型化を図ることが可能な安全性の高い蛍光管処理システムを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0021】
上記目的を達成するために、本発明のうちで請求項1に係る発明は、非発光型の薄型パネルを用いた薄型テレビにバックライトとして使用されている蛍光管を処理するためのシステムであって、バックライトユニットに設けられた蛍光管を取り外すための作業台と、破損した蛍光管を収容する破損蛍光管収容容器と、破損蛍光管の破片を吸い込む吸引機と、作業台に設けられた吸引フードと破損蛍光管収容容器と吸引機に接続され、水銀ガス吸着剤を収容した水銀ガス吸着部と、水銀ガス吸着部で処理されたガスを吸引して大気中に排出する吸排気ファンとを備え、作業台近傍の作業環境の水銀ガス濃度を検出する第1の水銀ガス濃度計と、吸排気ファンの排気側の水銀ガス濃度を検出する第2の水銀ガス濃度計と、水銀ガス吸着部のガス入口側の水銀ガス濃度及びガス流量をそれぞれ検出する第3の水銀ガス濃度計及び流量計を設け、第1及び第2の水銀ガス濃度計で検出した水銀ガス濃度が第1のガス濃度以下の場合にシステム運転を許容するとともに、吸排気ファンの起動後、第3の水銀ガス濃度計で検出した水銀ガス濃度が所定のガス濃度以下で、流量計で検出したガス流量が所定のガス流量以上の場合に、破損蛍光管収容容器への破損蛍光管の投入を許容するようにしている。
【0022】
また、請求項2に係る発明は、吸引フードと水銀ガス吸着部とを接続する配管に設けられた第1の電磁開閉弁と、破損蛍光管収容容器と水銀ガス吸着部とを接続する配管に設けられた第2の電磁開閉弁と、吸引機と水銀ガス吸着部とを接続する配管に設けられた第3の電磁開閉弁をさらに備え、システム運転時、第1乃至第3の電磁開閉弁を開制御する一方、システム停止時、第1乃至第3の電磁開閉弁を閉制御している。
【0023】
さらに、請求項3に係る発明は、システム停止時、第2及び第3の電磁開閉弁の閉制御から所定時間経過後、第1の電磁開閉弁を閉制御するとともに、吸排気ファンを停止している。
【0024】
また、請求項4に係る発明は、破損蛍光管収容容器と水銀ガス吸着部とを接続する配管に設けられた第1の流量調整弁と、吸引機と水銀ガス吸着部とを接続する配管に設けられた第2の流量調整弁をさらに備え、システム運転開始時、第1の流量調整弁を第1の開度まで開制御するとともに、第2の流量調整弁を第1の開度まで開制御し、第3の水銀ガス濃度計で検出した水銀ガス濃度が所定のガス濃度以下で、流量計で検出したガス流量が所定のガス流量以上の場合に、第1の流量調整弁を第1の開度より大きい第2の開度まで開制御するとともに、第2の流量調整弁を第1の開度より小さい第2の開度まで絞り制御するようにしている。
【0025】
また、請求項5に係る発明は、吸引機の起動時、第2の電磁開閉弁を閉制御し、第2の流量調整弁を全開位置まで開制御している。
【0026】
また、請求項6に係る発明は、吸引機の停止時、第2の電磁開閉弁を開制御し、第2の流量調整弁を第2の開度まで絞り制御している。
【0027】
また、請求項7に係る発明は、水銀ガス吸着部に接続された空気供給源をさらに備え、システム運転時、空気供給源からの空気を水銀ガス吸着部に送るようにしている。
【0028】
また、請求項8に係る発明は、第3の水銀ガス濃度計で検出した水銀ガス濃度が所定のガス濃度以下で、流量計で検出したガス流量が所定のガス流量以上の場合に、水銀ガス吸着部への空気供給源からの空気の供給を停止している。
【0029】
また、請求項9に係る発明は、破損蛍光管収容容器内の水銀ガス濃度を検出する第4の水銀ガス濃度計をさらに備え、第4の水銀ガス濃度計で検出した水銀ガス濃度に応じて第1の流量調整弁の開度を制御している。
【0030】
また、請求項10に係る発明は、吸排気ファンの排気側配管に設けられた第4の電磁開閉弁と、第4の電磁開閉弁の吸排気ファン側の配管から水銀ガス吸着部の入口側配管に繋がる戻り配管と、戻り配管に設けられた第5の電磁開閉弁をさらに備え、第2の水銀ガス濃度計で検出した水銀ガス濃度が第1のガス濃度より高い第2のガス濃度以下の場合に、第4の電磁開閉弁を開状態に維持するとともに、第5の電磁開閉弁を閉状態に維持し、第2の水銀ガス濃度計で検出した水銀ガス濃度が第2のガス濃度を超えると、第4の電磁開閉弁を閉制御するとともに、第5の電磁開閉弁を開制御している。
【0031】
また、請求項11に係る発明は、作業台近傍の作業環境の状態を示す表示部をさらに備え、表示部が複数の表示ランプを有し、第1及び第2の水銀ガス濃度計で検出した水銀ガス濃度が第1のガス濃度以下の場合に、作業可能を示す第1の表示ランプを点灯している。
【0032】
また、請求項12に係る発明は、第1及び第2の水銀ガス濃度計で検出した水銀ガス濃度のいずれかが第1のガス濃度を超え、第1のガス濃度より高い第2のガス濃度以下の場合に、注意を示す第2の表示ランプを点滅している。
【0033】
また、請求項13に係る発明は、第1及び第2の水銀ガス濃度計で検出した水銀ガス濃度のいずれかが第2のガス濃度を超えると、警告及び作業中止を示す第3の表示ランプを点滅している。
【0034】
また、請求項14に係る発明は、第1及び第2の水銀ガス濃度計で検出した水銀ガス濃度のいずれかが第2のガス濃度を超えると、警告音が鳴るようにしている。
【0035】
また、請求項15に係る発明は、流量計で検出したガス流量と比較される所定のガス流量を、吸排気ファンの容量に基づいて決定している。
【0036】
また、請求項16に係る発明は、水銀ガス吸着剤として活性炭を使用したものである。
【0037】
また、請求項17に係る発明は、作業台と破損蛍光管収容容器と吸引機を、開閉手段を有する作業ブースに収容したものである。
【0038】
また、請求項18に係る発明は、請求項1乃至8のいずれか1項に係る発明において、第1乃至第3の水銀ガス濃度計を一つの水銀ガス濃度計で構成し、この一つの水銀ガス濃度計を切替器を介して作業台の近傍と、水銀ガス吸着部の入口側配管と、吸排気ファンの排気側配管に接続している。
【0039】
また、請求項19に係る発明は、請求項9に係る発明において、第1乃至第4の水銀ガス濃度計を一つの水銀ガス濃度計で構成し、この一つの水銀ガス濃度計を切替器を介して作業台の近傍と、水銀ガス吸着部の入口側配管と、吸排気ファンの排気側配管と、破損蛍光管収容容器に接続している。
【発明の効果】
【0040】
本発明によれば、第1及び第2の水銀ガス濃度計で検出した水銀ガス濃度が第1のガス濃度以下の場合にシステム運転を許容するようにしたので、作業者の安全を確保することができるばかりでなく、環境汚染を防止することができる。また、吸排気ファンの起動後、第3の水銀ガス濃度計で検出した水銀ガス濃度が所定のガス濃度以下で、流量計で検出したガス流量が所定のガス流量以上の場合に、破損蛍光管収容容器への破損蛍光管の投入を許容するようにしたので、処理すべき蛍光管の最大量に見合った水銀ガス吸着剤の収容容器やファンを使用する必要がない。したがって、水銀ガス吸着剤の量を低減できるとともに効率的な使用が可能となり、水銀ガス吸着剤の収容容器やファンの小型化を達成することができる。
【0041】
また、第1乃至第3の電磁開閉弁をシステム運転時に開制御する一方、システム停止時に閉制御するようにしたので、作業台や破損蛍光管収容容器や吸引機に水銀ガスが逆流することがなく、作業者の安全性が向上する。
【0042】
さらに、システム停止時、第2及び第3の電磁開閉弁の閉制御から所定時間経過後、第1の電磁開閉弁を閉制御するとともに、吸排気ファンを停止するようにしたので、作業台近傍や配管中の水銀ガス濃度を極力低下することができ、安全性が向上する。
【0043】
また、システム運転開始時、第1の流量調整弁を第1の開度まで開制御するとともに、第2の流量調整弁を第1の開度まで開制御したので、水銀ガス吸着部の水銀ガス処理能力を上回る高濃度で多量の水銀ガスが水銀ガス吸着部に流入することがない。さらに、第3の水銀ガス濃度計で検出した水銀ガス濃度が所定のガス濃度以下で、流量計で検出したガス流量が所定のガス流量以上の場合に、第1の流量調整弁を第1の開度より大きい第2の開度まで開制御するとともに、第2の流量調整弁を第1の開度より小さい第2の開度まで絞り制御することにより、破損蛍光管収容容器内の水銀ガス濃度をさらに低い状態に維持することができる。
【0044】
また、吸引機の起動時、第2の電磁開閉弁を閉制御し、第2の流量調整弁を全開位置まで開制御する一方、吸引機の停止時、第2の電磁開閉弁を開制御し、第2の流量調整弁を第2の開度まで絞り制御するようにしたので、破損蛍光管の破片を効率的に処理することができるとともに、破片の処理が終了すると、システムを吸引機の起動前の状態に素早く復帰させることができる。
【0045】
また、システム運転時、空気供給源からの空気を水銀ガス吸着部に送るようにすると、作業台と破損蛍光管収容容器と吸引機から水銀ガス吸着部に送られる水銀ガスを空気で希釈することができ、より低濃度の水銀ガスを水銀ガス吸着部に送ることができる。
【0046】
さらに、第3の水銀ガス濃度計で検出した水銀ガス濃度が所定のガス濃度以下で、流量計で検出したガス流量が所定のガス流量以上の場合に、水銀ガス吸着部への空気の供給を停止するようにしたので、水銀ガス吸着部に送られるガス流量が減少し、水銀ガスを効率的に処理することができる。
【0047】
また、第4の水銀ガス濃度計で検出した水銀ガス濃度に応じて第1の流量調整弁の開度を制御すると、破損蛍光管収容容器から水銀ガス吸着部に送られるガス量を調整することができ、水銀ガス吸着部への高濃度の水銀ガスの流入を防止することができる。
【0048】
また、第2の水銀ガス濃度計で検出した水銀ガス濃度が第2のガス濃度を超えると、第4の電磁開閉弁を閉制御するとともに、第5の電磁開閉弁を開制御すると、環境基準値を超える水銀ガス濃度の排気ガスが大気放出されることがなく、安全性がさらに向上する。
【0049】
さらに、第1及び第2の水銀ガス濃度計で検出した水銀ガス濃度が第1のガス濃度以下の場合に、作業可能を示す第1の表示ランプを点灯させ、第1及び第2の水銀ガス濃度計で検出した水銀ガス濃度のいずれかが第1のガス濃度を超え、第1のガス濃度より高い第2のガス濃度以下の場合に、注意を示す第2の表示ランプを点滅させ、第1及び第2の水銀ガス濃度計で検出した水銀ガス濃度のいずれかが第2のガス濃度を超えると、警告及び作業中止を示す第3の表示ランプを点滅させるようにすると、作業環境やシステムの周囲環境の安全性を視覚的に認識することができる。
【0050】
また、第1及び第2の水銀ガス濃度計で検出した水銀ガス濃度のいずれかが第2のガス濃度を超えた場合に、警告音が鳴るようにすると、作業環境やシステムの周囲環境の悪化を聴覚的に認識することができる。
【0051】
また、作業台と破損蛍光管収容容器と吸引機を、開閉手段を有する作業ブースに収容すると、作業ブース外への水銀ガスの漏れを極力低減することができる。
【0052】
また、水銀ガス濃度計は高価なので、水銀ガス濃度計を一つだけ設け、水銀ガス濃度計を切替器を介して作業台の近傍と、水銀ガス吸着部の入口側配管と、吸排気ファンの排気側配管と、破損蛍光管収容容器に接続すると、コストダウンを図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】本発明の実施の形態1に係る蛍光管の処理システムのブロック図
【図2】図1の蛍光管の処理システムを操作するための操作盤の正面図
【図3】図1の蛍光管の処理システムの起動時のフローチャート
【図4】水銀ガス吸着部の入口側の水銀ガス濃度とガス流量の常時監視中における表示部の表示状況を示すフローチャート
【図5】水銀ガス吸着部の入口側の水銀ガス濃度とガス流量の常時監視中に吸引機を運転する場合の動作を示フローチャート
【図6】図1の蛍光管の処理システムの運転停止時のフローチャート
【図7】水銀ガス吸着剤として活性炭を使用した場合の水銀ガス吸着部を通過するガスの流速と水銀ガス吸着部から排出されるガスの水銀ガス濃度との関係を示すグラフ
【図8】本発明の実施の形態2に係る蛍光管の処理システムのブロック図
【図9】図8の蛍光管の処理システムの起動時のフローチャート
【図10】図8の蛍光管の処理システムの運転停止時のフローチャート
【図11】本発明の実施の形態3に係る蛍光管の処理システムのブロック図
【図12】本発明の実施の形態4に係る蛍光管の処理システムのブロック図
【図13】同じ容量の円筒状容器に所定量の活性炭を充填し、容器を通過する水銀ガスの流速を変えた場合の活性炭の使用可能限度を示す概略図
【発明を実施するための形態】
【0054】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
非発光型の薄型パネルを用いた薄型テレビを解体し、バックライトユニットに設けられた蛍光管をリサイクルするに際し、バックライトユニットから蛍光管は取り外され、取り外された蛍光管は専門の処理工場に搬送して処理される。しかしながら、蛍光管の取り外しは通常手作業で行われており、蛍光管が破損すると、漏れた水銀ガスを作業者が吸引したり、環境汚染につながるおそれがある。
【0055】
そこで、本発明は、破損した蛍光管から放出される水銀ガスを処理して、労働衛生法で規定された環境基準値(0.025mg/m)以下まで水銀ガス濃度が低下したガスを大気放出するために開発されたものである。
【0056】
実施の形態1.
図1は本発明の実施の形態1に係る蛍光管の処理システムS1を示しており、この処理システムS1には、作業者が所定の作業を行うための作業台2と、破損蛍光管を収容する破損蛍光管収容容器4と、作業台2の上に散乱した破損蛍光管の破片を吸い込む吸引機(例えば、掃除機)6と、水銀ガスを吸着する水銀ガス吸着部8と、水銀ガス吸着部8で処理された水銀ガス濃度の低いガスを吸引して大気中に排出する吸排気ファン10とを備えている。
【0057】
また、作業台2と破損蛍光管収容容器4と吸引機6は、開閉手段(例えば、カーテン、ドア等)を有する作業ブース11に収容されており、作業台2に設けられた吸引フード2aは水銀ガス吸着部8に電磁開閉弁12と逆止弁14を介して接続され、破損蛍光管収容容器4は水銀ガス吸着部8に電磁開閉弁16と流量調整弁18を介して接続され、吸引機6は水銀ガス吸着部8に電磁開閉弁20と流量調整弁22を介して接続されている。さらに、吸排気ファン10は、水銀ガス吸着部8から排出されるガスを大気に逃がす配管に設けられている。
【0058】
なお、作業台2の吸引フード2aから水銀ガス吸着部8に至る配管に流量調整弁を設けていないのは、作業台2では常に同じ量のガスを吸い込むように設定することで、作業者の十分な安全性を確保している。
【0059】
また、作業台2の近傍と、水銀ガス吸着部8の入口側配管と、吸排気ファン10の排気側配管には、水銀ガスの濃度を検出する水銀ガス濃度計24,26,28がそれぞれ設けられ、水銀ガス吸着部8の入口側配管には、水銀ガス吸着部8に流入するガスの流量を検出する流量計30が設けられている。
【0060】
水銀ガス濃度計24,26,28により検出された水銀ガス濃度や、流量計30により検出されたガス流量は、制御部32のセンサ入力部34に入力され、入力されたデータに基づいて演算部36で所定の演算を行い、演算結果はバルブ制御部38と表示制御部40とファン制御部42に入力される。
【0061】
バルブ制御部38は、演算部36から出力された演算結果に基づいて、電磁開閉弁12,16,20と流量調整弁18,22を制御し、表示制御部40は、演算部36から出力された演算結果に基づいて、作業ブース11に設けられた作業環境の状態を示す表示部44を制御し、ファン制御部42は、演算部36から出力された演算結果に基づいて、吸排気ファン10を制御する。
【0062】
さらに詳述すると、薄型テレビから解体されたバックライトユニットから蛍光管を取り外すに際し、作業ブース11に入室した作業者は、バックライトユニットを作業台2にまず載置し、バックライトユニットに設けられた複数の蛍光管をバックライトユニットから取り外す。また、バックライトユニットには、蛍光管以外にも、蛍光管を保持する樹脂製ホルダ、緩衝材、リード線等が設けられていることから、これらの部材を仕分けすることによりリサイクルが行われる。
【0063】
また、取り外された蛍光管は、専門の処理工場に搬送して処理され、リサイクルされるが、取り外しの作業中、蛍光管が破損することもあり、蛍光管が破損すると、人体に有毒な水銀ガスが放出されることから、破損蛍光管は破損蛍光管収容容器4に収容される。なお、作業台2の上に散乱した破損蛍光管の破片は必要に応じ吸引機6により吸引される。
【0064】
作業台2近傍の作業環境には、破損蛍光管から漏れた水銀ガスが存在するが、この水銀ガスは空気とともに吸引フード2aから電磁開閉弁12と逆止弁14を介して水銀ガス吸着部8に送られる。電磁開閉弁12は、システム運転時に開制御されるとともに、システム停止時に閉制御され、システム停止時に作業台2への水銀ガスの逆流を防止しているのに対し、逆止弁14はシステムの運転、停止にかかわらず作業台2への水銀ガスの逆流を防止するために設けられており、作業者の安全を配慮した二重の安全設計である。
【0065】
また、破損蛍光管収容容器4内に放出された水銀ガスは、空気とともに電磁開閉弁16と流量調整弁18を介して水銀ガス吸着部8に送られる。電磁開閉弁16は、システム運転時に開制御されるとともに、システム停止時に閉制御され、システム停止時に破損蛍光管収容容器4への水銀ガスの逆流を防止しているのに対し、流量調整弁18は破損蛍光管収容容器4から水銀ガス吸着部8に送られる水銀ガスの流量を調整している。
【0066】
さらに、吸引機6で吸引された水銀ガスは、空気とともに電磁開閉弁20と流量調整弁22を介して水銀ガス吸着部8に送られる。電磁開閉弁20は、システム運転時に開制御されるとともに、システム停止時に閉制御され、システム停止時に吸引機6への水銀ガスの逆流を防止しているのに対し、流量調整弁22は吸引機6から水銀ガス吸着部8に送られる水銀ガスの流量を調整している。
【0067】
水銀ガス吸着部8は、吸着剤収容容器と、この吸着剤収容容器に充填された水銀ガス吸着剤とで構成されており、水銀ガス吸着剤としては、例えば活性炭等の多孔質材料が使用される。
【0068】
また、水銀ガス濃度計24は、作業者の安全性を考慮して作業台2近傍の水銀ガス濃度を検出し、水銀ガス濃度計26は、水銀ガス吸着部8の入口側の水銀ガス濃度を検出し、水銀ガス濃度計28は、水銀ガス吸着部8を通過した排出ガスの水銀ガス濃度を検出している。これらの水銀ガス濃度計24,26,28と流量計30は、システムの運転、停止にかかわらず常時ON状態に維持されており、水銀ガス濃度計24,26,28により検出された水銀ガスの濃度と、流量計30により検出されたガス流量に基づいて、制御部32は後述する制御を行う。
【0069】
また、表示部44は常時ON状態に維持されており、表示部44には、「作業可能」を示す緑ランプと、作業者に「注意」を促す黄ランプと、「警告」及び「作業中止」を示す赤ランプが設けられており、作業台2の水銀ガス濃度と大気放出されるガスの水銀ガス濃度に基づいて、いずれかのランプが点灯あるいは点滅する。表示部44にはさらに、破損蛍光管収容容器4への破損蛍光管の投入を許容する「破損蛍光管投入可」を示す表示器が設けられており、この表示器は、水銀ガス吸着部8の入口側の水銀ガス濃度とガス流量に基づいて、「破損蛍光管投入可」の表示を行う。これらの表示も制御部32により後述するように行われる。
【0070】
なお、制御部32による制御は、図2に示される操作盤46を操作することにより開始あるいは停止され、操作盤46には、吸排気ファン運転スイッチ48と、吸引機運転スイッチ50と、主電源入ボタン52と、主電源切ボタン54と、オフタイマボタン56と、リセットボタン58とが設けられている。
【0071】
吸排気ファン運転スイッチ48は、システム運転の開始時あるいは停止時に吸排気ファン10を運転あるいは停止するために使用され、吸引機運転スイッチ50は、必要に応じて吸引機6を運転あるいは停止するために使用される。また、主電源入ボタン52は、吸排気ファン10、吸引機6、電磁開閉弁12,16,20、流量調整弁18,22以外のシステム全体の機器の電源投入ボタンで、通常は常時ONとなっており、主電源切ボタン54を押下することで、システム全体の機器の電源はOFFになる。
【0072】
また、本発明に係る蛍光管の処理システムS1は常時運転するのが好ましいが、バックライトユニットからの蛍光管の取り外し作業時にのみ運転するようにしてもよい。このため、作業終了後も吸排気ファン10の延長運転を行って、作業終了後の着衣やツール等に残留する水銀ガスを吸引するためにオフタイマボタン56が設けられており、オフタイマ機能を無効にするためにリセットボタン58が設けられている。
【0073】
上記構成の本発明に係る蛍光管の処理システムS1の制御について、図3乃至図6のフローチャートを参照しながら以下説明する。
【0074】
システム停止時には、吸引機6と吸排気ファン10は停止しており、すべての電磁開閉弁12,16,20とすべての流量調整弁18,22は閉状態に維持されており、水銀ガス吸着部8から作業台2、破損蛍光管収容容器4、吸引機6への水銀ガスの流出を防止している。また、作業台2から水銀ガス吸着部8に至る配管には、電磁開閉弁12に加えて、作業台2への水銀ガスの流出を防止する逆止弁14が設けられており、作業者の安全性を十分確保している。なお、すべての水銀ガス濃度計24,26,28と、流量計30と、表示部44はONとなっており、所定箇所の水銀ガスの濃度及びガス流量は常時監視されている。
【0075】
システム起動時には、図3のフローチャートに示されるように、ステップS1において表示部44に設けられた作業可能ランプ(緑ランプ)の点灯をまず確認する。緑ランプが点灯せず、黄ランプあるいは赤ランプが点滅している場合、作業台2の水銀ガス濃度あるいは大気放出されるガスの水銀ガス濃度が高いことになるので、システムを起動することなく、所定の処理を行う。
【0076】
すなわち、作業台2の水銀ガス濃度が高い場合、作業者は専用マスク等の装備を付けて、周辺の換気等の十分な処置を施し、水銀ガス濃度が下がるまで離れた場所で待機し、場合によっては吸排気ファン10の運転を行って作業ブース11に存在する水銀ガスを水銀ガス吸着部8に吸引させる。一方、大気放出されるガスの水銀ガス濃度が高い場合には、システム異常の可能性もあるので、安易に運転を行うことなく、システムを十分にチェックして異常の有無を確認し、異常がある場合には、その原因を解消する処置を施す。
【0077】
ステップS1において緑ランプの点灯を確認し、ステップS2において吸排気ファン運転スイッチ48をONにすると、ステップS3において吸排気ファン10が起動するとともに電磁開閉弁12,16,20はすべて開制御される。ステップS4において、流量調整弁18は第1の開度まで開制御され、流量制御弁22は第1の開度まで開制御される。
【0078】
なお、流量調整弁18の第1の開度は、例えば約30%であり、流量制御弁22の第1の開度も、例えば約30%であるが、これらの開度は、流量制御弁22のサイズに依存しており、流量制御弁22のサイズに応じて適宜設定される。他の流量調整弁についても同様である。
【0079】
次のステップS5において、水銀ガス濃度計26で検出された水銀ガス吸着部8の入口側の水銀ガス濃度が環境基準値より高い所定のガス濃度(例えば、0.5mg/m)と比較されるとともに、流量計30で検出された水銀ガス吸着部8の入口側のガス流量が所定のガス流量と比較され、検出された水銀ガス濃度が所定のガス濃度以下で、検出されたガス流量が所定のガス流量以上の場合には、ステップS6に移行する一方、検出された水銀ガス濃度が所定のガス濃度を超えるか、検出されたガス流量が所定のガス流量未満の場合には、ステップS5に戻る。
【0080】
なお、流量計30で検出された水銀ガス吸着部8の入口側のガス流量と比較される所定のガス流量は、吸排気ファン10の容量に基づいて決定され、吸排気ファン10の容量が3m/minの場合、所定のガス流量は、例えば2.8m/minに設定される。
【0081】
ステップS6においては、流量調整弁18は第1の開度より大きい第2の開度(例えば、約80%)まで開制御され、流量制御弁22は第1の開度より小さい第2の開度(例えば、約20%)まで絞り制御され、ステップS7に移行する。
【0082】
すなわち、システム起動時、水銀ガス吸着部8の水銀ガス処理能力を上回る高濃度で多量の水銀ガスが水銀ガス吸着部8に流入しないように、流量調整弁18,22を所定の開度で所定時間(ステップS4からステップS6までの時間)ガス流量を制御している。また、所定時間経過後、流量調整弁18の開度を大きくすることにより、破損蛍光管収容容器4内の水銀ガス濃度をさらに低い状態に維持している。
【0083】
ステップS7においては、水銀ガス濃度計26で検出された水銀ガス濃度が前記所定のガス濃度と比較されるとともに、流量計30で検出されたガス流量が前記所定のガス流量と再び比較され、検出された水銀ガス濃度が所定のガス濃度以下で、検出されたガス流量が所定のガス流量以上の場合には、ステップS8に移行する一方、検出された水銀ガス濃度が所定のガス濃度を超えるか、検出されたガス流量が所定のガス流量未満の場合には、ステップS7に戻る。
【0084】
ステップS8においては、表示部44に「破損蛍光管投入可」の表示がなされ、次のステップS9において、ステップS5あるいはステップS7と同様に、水銀ガス濃度計26で検出された水銀ガス濃度が前記所定のガス濃度と比較されるとともに、流量計30で検出されたガス流量が前記所定のガス流量と比較される。検出された水銀ガス濃度が所定のガス濃度以下で、検出されたガス流量が所定のガス流量以上の場合には、ステップS9に戻ることで、水銀ガス吸着部8の入口側の水銀ガス濃度とガス流量を常時監視する一方、検出された水銀ガス濃度が所定のガス濃度を超えるか、検出されたガス流量が所定のガス流量未満の場合には、ステップS4に戻る。
【0085】
図4は、水銀ガス吸着部8の入口側の水銀ガス濃度とガス流量の常時監視中における表示部44の表示状況を示している。
【0086】
まずステップS11において、水銀ガス濃度計24で検出された作業台2の水銀ガス濃度と、水銀ガス濃度計28で検出された排気側ガス濃度が、環境基準値よりかなり小さい第1のガス濃度(例えば、0.009mg/m)と比較され、水銀ガス濃度と排気側ガス濃度がいずれも第1のガス濃度以下の場合には、ステップS12において、「作業可能」を示す緑ランプが点灯する。
【0087】
一方、ステップS11において、水銀ガス濃度と排気側ガス濃度のいずれかが第1のガス濃度を超えていると、ステップS13において、水銀ガス濃度と排気側ガス濃度が、第1のガス濃度より高く環境基準値より低い第2のガス濃度(例えば、0.024mg/m)と比較される。水銀ガス濃度と排気側ガス濃度がいずれも第2のガス濃度以下の場合には、ステップS14において黄ランプが点滅して作業者に「注意」を促す一方、水銀ガス濃度と排気側ガス濃度のいずれかが第2のガス濃度を超えていると、ステップS15において黄ランプと赤ランプが点滅するとともに、警告音が鳴り、作業者に「警告」と「作業中止」を告知する。同時に、電磁開閉弁16,20と流量調整弁18,22は閉制御される。
【0088】
なお、作業者に「警告」と「作業中止」を告知すると同時に、システムを自動停止するようにしてもよい。
【0089】
また、図5は、水銀ガス吸着部8の入口側の水銀ガス濃度とガス流量の常時監視中に吸引機運転スイッチ50をONにした場合の動作を示している。
【0090】
作業台2の上に散乱した破損蛍光管の破片等を処理したい場合には、破片等を吸引機6の吸引部に集めた後、ステップS21において、吸引機運転スイッチ50をONにすると、ステップS22において、吸引機6が起動し、電磁開閉弁16が閉制御されるとともに、流量調整弁22が全開位置まで開制御される。したがって、破損蛍光管収容容器4からの吸引が遮断された状態で、吸引機6による破片等の吸引が効率的に行われる。
【0091】
吸引機6は、その内部に破片等を収容するための専用パック(例えば、約1.6リットル)が設けられ、吸引機6の排気側には、水銀ガス吸着部8に接続された配管の吸引部が設けられており、この吸引部により吸引機6からの排気中に含まれる水銀ガスが捕集される。一方、専用パックに収集された破片は、専用パックごと取り出されてポリ袋等により密封され、廃棄処理される。
【0092】
破片等の掃除終了後、ステップS23において吸引機運転スイッチ50をOFFにすると、ステップS24において、吸引機6が停止し、電磁開閉弁16が開制御されるとともに、流量調整弁18が所定の開度(例えば、約80%)まで開制御され、全開位置にある流量制御弁22が所定の開度(例えば、約20%)まで絞り制御される。
【0093】
すなわち、破片等の掃除が終了すると、システムは、図3のステップS9の常時監視状態に素早く復帰する。
【0094】
なお、水銀ガス濃度計26で検出された水銀ガス吸着部8の入口側の水銀ガス濃度が所定値以上の場合は、吸引機6は、その運転が停止するように制御される。所定値は、例えば0.5mg/mに設定され、このように設定することで、水銀ガス吸着部8から排出されるガスの水銀ガス濃度を上述した第1のガス濃度以下に抑えることができる。
【0095】
図6は、作業終了時のフローチャートを示しており、ステップS31において、吸排気ファン運転スイッチ48をOFFにすると、ステップS32において「破損蛍光管投入可」を示す表示器が消灯し、ステップS33において、電磁開閉弁16,20と流量調整弁18,22が閉制御された後、ステップS34に移行する。
【0096】
ステップS34においては、吸排気ファン運転スイッチ48のOFFから所定時間(例えば、約10秒)経過後、吸排気ファン10が停止し、電磁開閉弁12が閉制御されて、システムの運転が終了する。
【0097】
このように、吸排気ファン運転スイッチ48のOFFから所定時間経過後に吸排気ファン10を停止させ、電磁開閉弁12を閉制御するようにしたのは、作業終了後に作業台近傍や配管中の水銀ガス濃度を極力低下させて安全性を向上させるためである。
【0098】
本発明に係る蛍光管の処理システムS1は、水銀ガス吸着部8や吸排気ファン10の容量を、作業台2と破損蛍光管収容容器4と吸引機6から放出される水銀ガスの最大量に見合った容量ではなく、当該容量より小さい容量に設定するとともに、水銀ガス吸着部8や吸排気ファン10の容量を考慮して、水銀ガス吸着部8に流入するガスの水銀ガス濃度と流量を制御している。また、このような制御を行うことにより、作業台2と破損蛍光管収容容器4と吸引機6から放出される水銀ガスの最大量に見合った水銀ガス吸着剤を用意する必要はなく、従来に比べ、水銀ガス吸着剤の量を少なくでき、吸着剤収容容器の容量や吸排気ファン10の容量を小さくすることができる。
【0099】
図7は、水銀ガス吸着剤として活性炭を使用した場合の水銀ガス吸着部8を通過するガスの流速と水銀ガス吸着部8から排出されるガスの水銀ガス濃度との関係を示しており、特に水銀ガス吸着部8に流入するガスの水銀ガス濃度が8mg/mの場合を示している。
【0100】
図7に示されるように、水銀ガス吸着部8を通過するガスの流速が速い(ガス量が多い)ほど、排気ガスの水銀ガス濃度は高くなっており、水銀ガス吸着部8に流入するガスの流量と水銀ガス濃度を制御することで、活性炭の量を低減できることを示している。図7のグラフによれば、水銀ガス吸着部8に流入するガスの水銀ガス濃度が8mg/mの場合、水銀ガス吸着部8から排出されるガスの水銀ガス濃度を環境基準値(0.025mg/m)以下に抑えるためには、水銀ガス吸着部8を通過するガスの流速を約8m/min以下に設定する必要がある。
【0101】
本発明に係る蛍光管の処理システムS1は、図7に示されるような水銀ガス吸着部8内のガス流速(流量)と排気ガスの水銀ガス濃度との関係を考慮して、システムのコンパクト化を達成している。
【0102】
実施の形態2.
図8は本発明の実施の形態2に係る蛍光管の処理システムS2を示しており、この処理システムS2は、上述した実施の形態1に係る蛍光管の処理システムS1の構成に、水銀ガスを希釈するための空気を供給する空気供給源60を水銀ガス吸着部8に接続したものである。また、水銀ガス吸着部8と空気供給源60とを接続する配管には、電磁開閉弁62と流量調整弁64が設けられている。
【0103】
電磁開閉弁62は、システム運転時に開制御されるとともに、水銀ガス吸着部8の入口側の水銀ガス濃度が所定のガス濃度(例えば、0.5mg/m)以下で、ガス流量が所定のガス流量(例えば、2.8m/min)以上の場合に閉制御され、システム停止時に空気供給源60への水銀ガスの逆流を防止するとともに不要時における水銀ガス吸着部8への空気の流入を防止しているのに対し、流量調整弁64は空気による水銀ガスの希釈度を調整している。
【0104】
図9は、図8に示される蛍光管の処理システムS2のシステム起動時の制御を示すフローチャートであり、図3のフローチャートとは、ステップS44(ステップS4に相当)とステップS46(ステップS6に相当)において相違している。
【0105】
すなわち、ステップS44において、流量調整弁18が第1の開度まで開制御され、流量制御弁22も第1の開度まで開制御されると同時に、電磁開閉弁62が開制御され、流量調整弁64が所定の開度(例えば、約40%)まで開制御される。
【0106】
また、ステップS46においては、流量調整弁18が第1の開度より大きい第2の開度まで開制御され、流量制御弁22が第1の開度より小さい第2の開度まで絞り制御されると同時に、電磁開閉弁62が閉制御される。
【0107】
このように、システム起動時に、電磁開閉弁62と流量調整弁64を開制御して水銀ガス吸着部8に空気を供給することにより、作業台2と破損蛍光管収容容器4と吸引機6から水銀ガス吸着部8に送られる水銀ガスを空気で希釈することができ、より低濃度の水銀ガスが水銀ガス吸着部8に吸引される。加えて、ステップS45において、検出された水銀ガス濃度が所定のガス濃度以下で、検出されたガス流量が所定のガス流量以上の場合には、ステップS46において、水銀ガス吸着部8への空気供給を遮断することにより、水銀ガス吸着部8に送られるガス流量が減少することになり、水銀ガスを効率的に処理することができる。
【0108】
また、図10は、図8に示される蛍光管の処理システムS2の作業終了時の制御を示すフローチャートであり、図6のフローチャートとはステップS53(ステップS33に相当)とステップS54(ステップS34に相当)において相違している。
【0109】
すなわち、ステップS53において、電磁開閉弁16,20と流量調整弁18,22が閉制御されると同時に、電磁開閉弁62が開制御されることで、水銀ガス吸着部8に接続された配管の内部のガスを空気で素早く置換することができ(エアパージ)、安全性が向上する。
【0110】
また、ステップS54においては、吸排気ファン10の停止と電磁開閉弁12の閉制御と同時に、電磁開閉弁62は閉制御される。
【0111】
実施の形態3.
図11は、本発明の実施の形態3に係る蛍光管の処理システムS3を示しており、この処理システムS3は、上述した実施の形態1に係る蛍光管の処理システムS1の構成に、破損蛍光管収容容器4内の水銀ガス濃度を検出する水銀ガス濃度計66を追加したものである。
【0112】
図11に示される蛍光管の処理システムS3においては、破損蛍光管収容容器4内の水銀ガス濃度を水銀ガス濃度計66で検出することにより、水銀ガス吸着部8の吸引ガス濃度を事前に予測することができる。したがって、水銀ガス濃度計66で検出した水銀ガス濃度に応じて流量調整弁18の開度を適宜制御することで、破損蛍光管収容容器4から水銀ガス吸着部8に送られるガス量を調整することができ、水銀ガス吸着部8への高濃度の水銀ガスの流入を防止することができる。
【0113】
また、上述した実施の形態2に係る蛍光管の処理システムS2に水銀ガス濃度計66を設けると、水銀ガス濃度計66で検出した水銀ガス濃度が高い場合に、電磁開閉弁62を開制御するとともに、流量調整弁64の開度を制御することにより、破損蛍光管収容容器4から放出される水銀ガスを空気で希釈することができ、水銀ガス吸着部8に流入する水銀ガスの濃度を短時間で低下させることができる。
【0114】
実施の形態4.
図12は本発明の実施の形態4に係る蛍光管の処理システムS4を示しており、この処理システムS3は、上述した実施の形態1に係る蛍光管の処理システムS1の構成に、吸排気ファン10の排気側配管に電磁開閉弁68を設けるとともに、電磁開閉弁68の手前(吸排気ファン10側)から水銀ガス吸着部8の入口側配管に繋がる戻り配管(リターンライン)70を設け、戻り配管70に電磁開閉弁72を設けたものである。
【0115】
図12に示される蛍光管の処理システムS4においては、水銀ガス濃度計28で検出された水銀ガス濃度が、所定のガス濃度(例えば、上述した第2のガス濃度)以下の場合には、電磁開閉弁68は開状態に維持されるとともに、電磁開閉弁72は閉状態に維持されている。一方、水銀ガス濃度計28で検出された水銀ガス濃度が所定のガス濃度を超えると、電磁開閉弁68が閉制御され、電磁開閉弁72が開制御されることで、吸排気ファン10からの排気ガスが大気放出されることなく、水銀ガス吸着部8に戻ることになる。
【0116】
したがって、環境基準値を超える水銀ガス濃度の排気ガスが大気放出されることがなく、安全性がさらに向上する。
【0117】
この構成は、実施の形態2のみならず、実施の形態3あるいは4にも適用するのが好ましい。
【0118】
なお、上述した実施の形態において、作業台2の近傍と、水銀ガス吸着部8の入口側配管と、吸排気ファン10の排気側配管と、破損蛍光管収容容器4に、水銀ガスの濃度を検出する水銀ガス濃度計24,26,28,66をそれぞれ設けたが、水銀ガス濃度計を一つ設け、この水銀ガス濃度計を切替器を介して作業台2の近傍と、水銀ガス吸着部8の入口側配管と、吸排気ファン10の排気側配管と、破損蛍光管収容容器4に接続し、ガスの流路を所定の設定時間(各流路のガスが十分に切り替わる時間)毎に自動的に切り替えるようにしてもよい。
【0119】
また、上述した実施の形態は、破損蛍光管を処理する場合を例に取り説明したが、本発明は破損蛍光管の処理ばかりでなく、バックライトユニット等から取り外された蛍光管を処理するシステムとして使用することもできる。この場合、蛍光管は破砕された後、破損蛍光管収容容器4に投入されることになる。
【実施例1】
【0120】
吸引機6、水銀ガス吸着部8、吸排気ファン10の容量を次のように設定して、作業台2の水銀ガス濃度と排気側ガス濃度を測定したところ、いずれも0.009mg/m以下となり、作業可能ランプ(緑)が点灯することを確認できた。
・吸引機6:1.4m/min(100%)
・水銀ガス吸着部8:0.080mの活性炭を収容
・吸排気ファン10:3m/min
【0121】
なお、0.001mの活性炭で約2gの水銀を吸着できるので、水銀ガス吸着部8の水銀吸着容量は約160gとなり、1本の蛍光管に5mgの水銀が使用されているとすると、約32,000本の蛍光管を処理することができる。
【0122】
これらの吸引機6、水銀ガス吸着部8、吸排気ファン10を使用して、流量制御弁18の開度を80%に、流量制御弁22の開度を20%に設定した場合のガス流量は次の通りであった。
・作業台2からの吸引ガス流量:2m/min
・破損蛍光管収容容器4からの吸引ガス流量:0.7m/min
・吸引機6からの吸引ガス流量:0.28m/min
【0123】
また、水銀ガス吸着部8の入口側の水銀ガス濃度が0.5mg/m以下で、ガス流量が2.8m/min以上の場合に、流量調整弁18の開度を80%に、流量制御弁22の開度を20%に設定すると、表示部44に「破損蛍光管投入可」が表示された。
【0124】
さらに、空気供給源60から供給される空気の量を調整する流量調整弁64の開度を40%に設定した場合の空気流量は次の通りであり、
・空気供給源60からの空気流量:0.3m/min
同様に、作業可能ランプ(緑)が点灯することを確認でき、表示部44に「破損蛍光管投入可」が表示された。
【産業上の利用可能性】
【0125】
本発明に係る蛍光管処理システムは、水銀ガス吸着剤を効率的に使用できるとともに、水銀ガス吸着剤の収容容器やファンの小型化を図ることができ、安全性が高いので、薄型テレビのバックライトユニットに設けられた蛍光管ばかりでなく、あらゆる種類の蛍光管の処理システムとして有用である。
【符号の説明】
【0126】
S1,S2,S3,S4 蛍光管処理システム、 2 作業台、 2a 吸引フード、
4 破損蛍光管収容容器、 6 吸引機、 8 水銀ガス吸着部、
10 吸排気ファン、 11 作業ブース、 12 電磁開閉弁、 14 逆止弁、
16 電磁開閉弁、 18 流量調整弁、 20 電磁開閉弁、 22 流量調整弁、
24,26,28 水銀ガス濃度計、 30 流量計、 32 制御部、
34 センサ入力部、 36 演算部、 38 バルブ制御部、 40 表示制御部、
42 ファン制御部、 44 表示部、 46 操作盤、
48 吸排気ファン運転スイッチ、 50 吸引機運転スイッチ、
52 主電源入ボタン、 54 主電源切ボタン、 56 オフタイマボタン、
58 リセットボタン、 60 空気供給源、 62 電磁開閉弁、
64 流量調整弁、 66 水銀ガス濃度計、 68 電磁開閉弁、 70 戻り配管、
72 電磁開閉弁。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
非発光型の薄型パネルを用いた薄型テレビにバックライトとして使用されている蛍光管を処理するためのシステムであって、
バックライトユニットに設けられた蛍光管を取り外すための作業台と、破損した蛍光管を収容する破損蛍光管収容容器と、破損蛍光管の破片を吸い込む吸引機と、前記作業台に設けられた吸引フードと前記破損蛍光管収容容器と前記吸引機に接続され、水銀ガス吸着剤を収容した水銀ガス吸着部と、該水銀ガス吸着部で処理されたガスを吸引して大気中に排出する吸排気ファンとを備え、
前記作業台近傍の作業環境の水銀ガス濃度を検出する第1の水銀ガス濃度計と、前記吸排気ファンの排気側の水銀ガス濃度を検出する第2の水銀ガス濃度計と、前記水銀ガス吸着部のガス入口側の水銀ガス濃度及びガス流量をそれぞれ検出する第3の水銀ガス濃度計及び流量計を設け、前記第1及び第2の水銀ガス濃度計で検出した水銀ガス濃度が第1のガス濃度以下の場合にシステム運転を許容するとともに、前記吸排気ファンの起動後、前記第3の水銀ガス濃度計で検出した水銀ガス濃度が所定のガス濃度以下で、前記流量計で検出したガス流量が所定のガス流量以上の場合に、前記破損蛍光管収容容器への破損蛍光管の投入を許容するようにしたことを特徴とする蛍光管処理システム。
【請求項2】
前記吸引フードと前記水銀ガス吸着部とを接続する配管に設けられた第1の電磁開閉弁と、前記破損蛍光管収容容器と前記水銀ガス吸着部とを接続する配管に設けられた第2の電磁開閉弁と、前記吸引機と前記水銀ガス吸着部とを接続する配管に設けられた第3の電磁開閉弁をさらに備え、システム運転時、前記第1乃至第3の電磁開閉弁を開制御する一方、システム停止時、前記第1乃至第3の電磁開閉弁を閉制御することを特徴とする請求項1に記載の蛍光管処理システム。
【請求項3】
システム停止時、前記第2及び第3の電磁開閉弁の閉制御から所定時間経過後、前記第1の電磁開閉弁を閉制御するとともに、前記吸排気ファンを停止することを特徴とする請求項2に記載の蛍光管処理システム。
【請求項4】
前記破損蛍光管収容容器と前記水銀ガス吸着部とを接続する配管に設けられた第1の流量調整弁と、前記吸引機と前記水銀ガス吸着部とを接続する配管に設けられた第2の流量調整弁をさらに備え、システム運転開始時、前記第1の流量調整弁を第1の開度まで開制御するとともに、前記第2の流量調整弁を第1の開度まで開制御し、前記第3の水銀ガス濃度計で検出した水銀ガス濃度が前記所定のガス濃度以下で、前記流量計で検出したガス流量が前記所定のガス流量以上の場合に、前記第1の流量調整弁を前記第1の開度より大きい第2の開度まで開制御するとともに、前記第2の流量調整弁を前記第1の開度より小さい第2の開度まで絞り制御するようにしたことを特徴とする請求項2あるいは3に記載の蛍光管処理システム。
【請求項5】
前記吸引機の起動時、前記第2の電磁開閉弁を閉制御し、前記第2の流量調整弁を全開位置まで開制御することを特徴とする請求項4に記載の蛍光管処理システム。
【請求項6】
前記吸引機の停止時、前記第2の電磁開閉弁を開制御し、前記第2の流量調整弁を前記第2の開度まで絞り制御することを特徴とする請求項5に記載の蛍光管処理システム。
【請求項7】
前記水銀ガス吸着部に接続された空気供給源をさらに備え、システム運転時、前記空気供給源からの空気を前記水銀ガス吸着部に送るようにしたことを特徴とする請求項2乃至6のいずれか1項に記載の蛍光管処理システム。
【請求項8】
前記第3の水銀ガス濃度計で検出した水銀ガス濃度が前記所定のガス濃度以下で、前記流量計で検出したガス流量が前記所定のガス流量以上の場合に、前記水銀ガス吸着部への前記空気供給源からの空気の供給を停止することを特徴とする請求項7に記載の蛍光管処理システム。
【請求項9】
前記破損蛍光管収容容器内の水銀ガス濃度を検出する第4の水銀ガス濃度計をさらに備え、該第4の水銀ガス濃度計で検出した水銀ガス濃度に応じて前記第1の流量調整弁の開度を制御することを特徴とする請求項4乃至8のいずれか1項に記載の蛍光管処理システム。
【請求項10】
前記吸排気ファンの排気側配管に設けられた第4の電磁開閉弁と、該第4の電磁開閉弁の前記吸排気ファン側の配管から前記水銀ガス吸着部の入口側配管に繋がる戻り配管と、該戻り配管に設けられた第5の電磁開閉弁をさらに備え、前記第2の水銀ガス濃度計で検出した水銀ガス濃度が前記第1のガス濃度より高い第2のガス濃度以下の場合に、前記第4の電磁開閉弁を開状態に維持するとともに、前記第5の電磁開閉弁を閉状態に維持し、前記第2の水銀ガス濃度計で検出した水銀ガス濃度が前記第2のガス濃度を超えると、前記第4の電磁開閉弁を閉制御するとともに、前記第5の電磁開閉弁を開制御することを特徴とする請求項2乃至9のいずれか1項に記載の蛍光管処理システム。
【請求項11】
前記作業台近傍の作業環境の状態を示す表示部をさらに備え、該表示部が複数の表示ランプを有し、前記第1及び第2の水銀ガス濃度計で検出した水銀ガス濃度が前記第1のガス濃度以下の場合に、作業可能を示す第1の表示ランプを点灯することを特徴とする請求項1乃至10のいずれか1項に記載の蛍光管処理システム。
【請求項12】
前記第1及び第2の水銀ガス濃度計で検出した水銀ガス濃度のいずれかが前記第1のガス濃度を超え、前記第1のガス濃度より高い第2のガス濃度以下の場合に、注意を示す第2の表示ランプを点滅することを特徴とする請求項11に記載の蛍光管処理システム。
【請求項13】
前記第1及び第2の水銀ガス濃度計で検出した水銀ガス濃度のいずれかが前記第2のガス濃度を超えると、警告及び作業中止を示す第3の表示ランプを点滅することを特徴とする請求項12に記載の蛍光管処理システム。
【請求項14】
前記第1及び第2の水銀ガス濃度計で検出した水銀ガス濃度のいずれかが前記第2のガス濃度を超えると、警告音が鳴るようにしたことを特徴とする請求項12あるいは13に記載の蛍光管処理システム。
【請求項15】
前記流量計で検出したガス流量と比較される前記所定のガス流量は、前記吸排気ファンの容量に基づいて決定されることを特徴とする請求項1乃至14のいずれか1項に記載の蛍光管処理システム。
【請求項16】
前記水銀ガス吸着剤が活性炭であることを特徴とする請求項1乃至15のいずれか1項に記載の蛍光管処理システム。
【請求項17】
前記作業台と前記破損蛍光管収容容器と前記吸引機を、開閉手段を有する作業ブースに収容したことを特徴とする請求項1乃至16のいずれか1項に記載の蛍光管処理システム。
【請求項18】
前記第1乃至第3の水銀ガス濃度計を一つの水銀ガス濃度計で構成し、該一つの水銀ガス濃度計を切替器を介して前記作業台の近傍と、前記水銀ガス吸着部の入口側配管と、前記吸排気ファンの排気側配管に接続したことを特徴とする請求項1乃至8のいずれか1項に記載の蛍光管処理システム。
【請求項19】
前記第1乃至第4の水銀ガス濃度計を一つの水銀ガス濃度計で構成し、該一つの水銀ガス濃度計を切替器を介して前記作業台の近傍と、前記水銀ガス吸着部の入口側配管と、前記吸排気ファンの排気側配管と、前記破損蛍光管収容容器に接続したことを特徴とする請求項9に記載の蛍光管処理システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2011−161376(P2011−161376A)
【公開日】平成23年8月25日(2011.8.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−27156(P2010−27156)
【出願日】平成22年2月10日(2010.2.10)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】