蛍光表示管、蛍光表示管の駆動回路、および蛍光表示管の駆動方法
【課題】従来に比べてさらに良好なる表示品位を得ることができる蛍光表示管に関する技術を提供する。
【解決手段】8重アノードマトリクス方式の蛍光表示管において、第1のグリッド電極G1と第2のグリッド電極G2とをオンとすることによって発光可能とされる8個のアノードセグメントの中で、アノードセグメントC、D、E、Fで形成される選択ピクセルと、アノードセグメントB、C、D、Eで形成される選択ピクセルと、アノードセグメントD、E、F、Gで形成される選択ピクセルの中の1の選択ピクセルを順次1フレームずつ表示信号に応じて発光させる。
【解決手段】8重アノードマトリクス方式の蛍光表示管において、第1のグリッド電極G1と第2のグリッド電極G2とをオンとすることによって発光可能とされる8個のアノードセグメントの中で、アノードセグメントC、D、E、Fで形成される選択ピクセルと、アノードセグメントB、C、D、Eで形成される選択ピクセルと、アノードセグメントD、E、F、Gで形成される選択ピクセルの中の1の選択ピクセルを順次1フレームずつ表示信号に応じて発光させる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、蛍光表示管、蛍光表示管の駆動回路、および蛍光表示管の駆動方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
蛍光表示管に関する技術として、多重マトリクス駆動方式に適した蛍光表示管(VFD)、および、このような蛍光表示管を駆動する多重マトリクス駆動方式、さらには、蛍光表示管の内部に駆動回路を内蔵するドライバ内蔵蛍光表示管(CIGVFD)が背景技術として知られている(特許文献1、特許文献2、非特許文献1)。背景技術の多重マトリクス駆動方式では、シングルマトリックス方式に比べてデューティファクタを向上させることができるとともに、表示品位(表示の品質)が、シングルマトリックス方式に比べてより良好なる表示を得ることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2000−306532号公報
【特許文献2】特開2003−228334号公報
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】岸野隆雄編著「蛍光表示管」産業図書株式会社、平成2年10月31日、p.170―183、および、p.226―248
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
背景技術に示す多重マトリクス駆動方式の技術によれば、シングルマトリックス方式に比べて表示品位がより良好なる表示を得ることができるものの、さらに良好なる表示品位に対する要望がある。本発明は、かかる課題を解決して、従来に比べてさらに良好なる表示品位を得ることができる技術を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の蛍光表示管は、2のK乗で表わされる8以上の正整数M毎に区分され、その区分の中の並びの位置が同位置にあるアノードセグメントを列方向に連結してM個のアノード引出線を有して形成されるアノードセグメント行と、前記アノードセグメント行と直交する行方向に延びグリッド引出線を有して形成されるグリッド電極と、を有し、複数個の前記アノードセグメント行と複数個の前記グリッド電極の列とをマトリック状に配置して、各々のグリッド電極と各々のアノードセグメント行の中のM/2個のアノードセグメントとを対向させて形成される、M重アノードマトリクス方式の蛍光表示管において、隣接する第1のグリッド電極と第2のグリッド電極とをオンとすることによって発光可能とされるM個のアノードセグメントの中で、前記第1のグリッド電極に最も近接した位置から順に配置され前記第2のグリッド電極に対向する(M/4)個のアノードセグメントと、前記第2のグリッド電極に最も近接した位置から順に配置され前記第1のグリッド電極に対向する(M/4)個のアノードセグメントと、が選択されて形成される選択ピクセルと、前記第1のグリッド電極に最も近接した位置から順に配置され前記第2のグリッド電極に対向する(M/4−J)個のアノードセグメントと、前記第2のグリッド電極に最も近接した位置から順に配置され前記第1のグリッド電極に対向する(M/4+J)個のアノードセグメントと、を有するように、Jの値を1から2(K-3)まで変化させて選択されて形成される1または複数の選択ピクセルと、前記第1のグリッド電極に最も近接した位置から順に配置され前記第2のグリッド電極に対向する(M/4+J)個のアノードセグメントと、前記第2のグリッド電極に最も近接した位置から順に配置され前記第1のグリッド電極に対向する(M/4−J)個のアノードセグメントと、を有するように、Jの値を1から2(K-3)まで変化させて選択されて形成される1または複数の選択ピクセルと、の中の1の選択ピクセルを順次1フレームずつ表示信号に応じて発光させる駆動回路を具備する。
【0007】
本発明の蛍光表示管の駆動回路は、2のK乗で表わされる8以上の正整数M毎に区分され、その区分の中の並びの位置が同位置にあるアノードセグメントを列方向に連結してM個のアノード引出線を有して形成されるアノードセグメント行と、前記アノードセグメント行と直交する行方向に延びグリッド引出線を有して形成されるグリッド電極と、を有し、複数個の前記アノードセグメント行と複数個の前記グリッド電極の列とをマトリック状に配置して、各々のグリッド電極と各々のアノードセグメント行の中のM/2個のアノードセグメントとを対向させて形成される、M重アノードマトリクス方式の蛍光表示管を駆動する蛍光表示管の駆動回路において、隣接する第1のグリッド電極と第2のグリッド電極とをオンとすることによって発光可能とされるM個のアノードセグメントの中で、前記第1のグリッド電極に最も近接した位置から順に配置され前記第2のグリッド電極に対向する(M/4)個のアノードセグメントと、前記第2のグリッド電極に最も近接した位置から順に配置され前記第1のグリッド電極に対向する(M/4)個のアノードセグメントと、が選択されて形成される選択ピクセルと、前記第1のグリッド電極に最も近接した位置から順に配置され前記第2のグリッド電極に対向する(M/4−J)個のアノードセグメントと、前記第2のグリッド電極に最も近接した位置から順に配置され前記第1のグリッド電極に対向する(M/4+J)個のアノードセグメントと、を有するように、Jの値を1から2(K-3)まで変化させて選択されて形成される1または複数の選択ピクセルと、前記第1のグリッド電極に最も近接した位置から順に配置され前記第2のグリッド電極に対向する(M/4+J)個のアノードセグメントと、前記第2のグリッド電極に最も近接した位置から順に配置され前記第1のグリッド電極に対向する(M/4−J)個のアノードセグメントと、を有するように、Jの値を1から2(K-3)まで変化させて選択されて形成される1または複数の選択ピクセルと、の中の1の選択ピクセルを順次1フレームずつ表示信号に応じて発光させる。
【0008】
本発明の蛍光表示管の駆動方法は、2のK乗で表わされる8以上の正整数M毎に区分され、その区分の中の並びの位置が同位置にあるアノードセグメントを列方向に連結してM個のアノード引出線を有して形成されるアノードセグメント行と、前記アノードセグメント行と直交する行方向に延びグリッド引出線を有して形成されるグリッド電極と、を有し、複数個の前記アノードセグメント行と複数個の前記グリッド電極の列とをマトリック状に配置して、各々のグリッド電極と各々のアノードセグメント行の中のM/2個のアノードセグメントとを対向させて形成される、M重アノードマトリクス方式の蛍光表示管を駆動する蛍光表示管の駆動方法において、隣接する第1のグリッド電極と第2のグリッド電極とをオンとすることによって発光可能とされるM個のアノードセグメントの中で、前記第1のグリッド電極に最も近接した位置から順に配置され前記第2のグリッド電極に対向する(M/4)個のアノードセグメントと、前記第2のグリッド電極に最も近接した位置から順に配置され前記第1のグリッド電極に対向する(M/4)個のアノードセグメントと、が選択されて形成される選択ピクセルと、前記第1のグリッド電極に最も近接した位置から順に配置され前記第2のグリッド電極に対向する(M/4−J)個のアノードセグメントと、前記第2のグリッド電極に最も近接した位置から順に配置され前記第1のグリッド電極に対向する(M/4+J)個のアノードセグメントと、を有するように、Jの値を1から2(K-3)まで変化させて選択されて形成される1または複数の選択ピクセルと、前記第1のグリッド電極に最も近接した位置から順に配置され前記第2のグリッド電極に対向する(M/4+J)個のアノードセグメントと、前記第2のグリッド電極に最も近接した位置から順に配置され前記第1のグリッド電極に対向する(M/4−J)個のアノードセグメントと、を有するように、Jの値を1から2(K-3)まで変化させて選択されて形成される1または複数の選択ピクセルと、の中の1の選択ピクセルを順次1フレームずつ表示信号に応じて発光させる。
【0009】
本発明の別の蛍光表示管は、8以上の偶数の正整数Q毎に区分され、その区分の中の並びの位置が同位置にあるアノードセグメントを列方向に連結してQ個のアノード引出線を有して形成されるアノードセグメント行と、前記アノードセグメント行と直交する行方向に延びグリッド引出線を有して形成されるグリッド電極と、を有し、複数個の前記アノードセグメント行と複数個の前記グリッド電極の列とをマトリック状に配置して、各々のグリッド電極と各々のアノードセグメント行の中のQ/2個のアノードセグメントとを対向させて形成される、Q重アノードマトリクス方式の蛍光表示管において、隣接する第1のグリッド電極と第2のグリッド電極とをオンとすることによって発光可能とされるQ個のアノードセグメントの中で、前記第1のグリッド電極に最も近接した位置から順に配置され前記第2のグリッド電極に対向する1個ないし(Q/2−1)個の範囲中のいずれかの個数であるR個のアノードセグメントと、前記第2のグリッド電極に最も近接した位置から順に配置され前記第1のグリッド電極に対向する(Q/2−R)個のアノードセグメントとの、合計してQ/2個のアノードセグメントが選択されて形成される複数の選択ピクセルの中の1の選択ピクセルを順次1フレームずつ表示信号に応じて発光させる駆動回路を具備する。
【0010】
本発明の別の蛍光表示管の駆動回路は、8以上の偶数の正整数Q毎に区分され、その区分の中の並びの位置が同位置にあるアノードセグメントを列方向に連結してQ個のアノード引出線を有して形成されるアノードセグメント行と、前記アノードセグメント行と直交する行方向に延びグリッド引出線を有して形成されるグリッド電極と、を有し、複数個の前記アノードセグメント行と複数個の前記グリッド電極の列とをマトリック状に配置して、各々のグリッド電極と各々のアノードセグメント行の中のQ/2個のアノードセグメントとを対向させて形成される、Q重アノードマトリクス方式の蛍光表示管において、隣接する第1のグリッド電極と第2のグリッド電極とをオンとすることによって発光可能とされるQ個のアノードセグメントの中で、前記第1のグリッド電極に最も近接した位置から順に配置され前記第2のグリッド電極に対向する1個ないし(Q/2−1)個の範囲中のいずれかの個数であるR個のアノードセグメントと、前記第2のグリッド電極に最も近接した位置から順に配置され前記第1のグリッド電極に対向する(Q/2−R)個のアノードセグメントとの、合計してQ/2個のアノードセグメントが選択されて形成される複数の選択ピクセルの中の1の選択ピクセルを順次1フレームずつ表示信号に応じて発光させる。
【0011】
本発明の別の蛍光表示管の駆動方法は、8以上の偶数の正整数Q毎に区分され、その区分の中の並びの位置が同位置にあるアノードセグメントを列方向に連結してQ個のアノード引出線を有して形成されるアノードセグメント行と、前記アノードセグメント行と直交する行方向に延びグリッド引出線を有して形成されるグリッド電極と、を有し、複数個の前記アノードセグメント行と複数個の前記グリッド電極の列とをマトリック状に配置して、各々のグリッド電極と各々のアノードセグメント行の中のQ/2個のアノードセグメントとを対向させて形成される、Q重アノードマトリクス方式の蛍光表示管を駆動する蛍光表示管の駆動方法において、隣接する第1のグリッド電極と第2のグリッド電極とをオンとすることによって発光可能とされるQ個のアノードセグメントの中で、前記第1のグリッド電極に最も近接した位置から順に配置され前記第2のグリッド電極に対向する1個ないし(Q/2−1)個の範囲中のいずれかの個数であるR個のアノードセグメントと、前記第2のグリッド電極に最も近接した位置から順に配置され前記第1のグリッド電極に対向する(Q/2−R)個のアノードセグメントとの、合計してQ/2個のアノードセグメントが選択されて形成される複数の選択ピクセルの中の1の選択ピクセルを順次1フレームずつ表示信号に応じて発光させる。
【発明の効果】
【0012】
本発明の蛍光表示管の技術によれば、2つのグリッド電極に対向する複数の選択ピクセルの中から1つの選択ピクセルを順次選択して、1フレームの間、表示信号に応じて発光させるので、選択ピクセルの両端に生じる暗線ムラの発生を低減して、表示品位を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】実施形態の8重アノードマトリクス方式の蛍光表示管(VFD)の表示面側から見た電極構造の概念図である。
【図2】アノードセグメントからの引出線の部分を示す図1の部分拡大図である。
【図3】実施形態の8重アノードマトリクス方式の蛍光表示管の表示面と直交する断面側から見た電極構造の概念図である。
【図4】図1に示す蛍光表示管の表示の態様を説明する図である。
【図5】アノードセグメントの輝度の差(表示ムラまたは暗線ムラ)の発生する部分である表示ムラ発生部を模式的に示す図である。
【図6】表示ムラが生じる原因を模式的に示す図である。
【図7】実施形態の駆動方法を模式的に示す図である。
【図8】実施形態の駆動方法を模式的に示す図である。
【図9】実施形態の蛍光表示管を駆動する実施形態の駆動回路のブロック図である。
【図10】第1のフレームにおけるタイミングチャートである。
【図11】第2のフレームにおけるタイミングチャートである。
【図12】第3のフレームにおけるタイミングチャートである。
【図13】16重アノードマトリクス方式における実施形態を示す概念図である。
【図14】蛍光表示管の内部に駆動回路を内蔵するドライバ内蔵蛍光表示管(CIGVFD)の斜視断面図である。
【図15】12重アノードマトリクス方式における実施形態を示す概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
発明を実施するための形態に係る技術は、2のK乗で表わされる8以上の正整数M毎に区分され、その区分の中の並びの位置が同位置にあるアノードセグメントを列方向に連結してM個のアノード引出線を有して形成されるアノードセグメント行と、アノードセグメント行と直交する行方向に延びグリッド引出線を有して形成されるグリッド電極と、を有し、複数個のアノードセグメント行と複数個のグリッド電極の列とをマトリック状に配置して、各々のグリッド電極と各々のアノードセグメント行の中のM/2個のアノードセグメントとを対向させて形成される、M重アノードマトリクス方式について、蛍光表示管、蛍光表示管の駆動回路、および蛍光表示管の駆動方法に関するものである。
【0015】
隣接する第1のグリッド電極と第2のグリッド電極とをオンとすることによって発光可能とされるM個のアノードセグメントの中で、第1のグリッド電極に最も近接した位置から順に配置され第2のグリッド電極に対向する(M/4)個のアノードセグメントと第2のグリッド電極に最も近接した位置から順に配置され第1のグリッド電極に対向する(M/4)個のアノードセグメントとが選択されて形成される選択ピクセルと、第1のグリッド電極に最も近接した位置から順に配置され第2のグリッド電極に対向する(M/4−J)個のアノードセグメントと、第2のグリッド電極に最も近接した位置から順に配置され第1のグリッド電極に対向する(M/4+J)個のアノードセグメントと、を有するように、Jの値を1から2(K-3)まで変化させて選択されて形成される1または複数の選択ピクセルと、第1のグリッド電極に最も近接した位置から順に配置され第2のグリッド電極に対向する(M/4+J)個のアノードセグメントと、第2のグリッド電極に最も近接した位置から順に配置され第1のグリッド電極に対向する(M/4−J)個のアノードセグメントと、を有するように、Jの値を1から2(K-3)まで変化させて選択されて形成される1または複数の選択ピクセルと、の中の1の選択ピクセルを順次1フレームずつ表示信号に応じて発光させることを特徴とする。
【0016】
実施形態の、8重アノードマトリクス方式の蛍光表示管、その蛍光表示管の駆動回路、およびその蛍光表示管の駆動方法について以下の図1〜図12、図14を参照して説明をする。
【0017】
図1は、実施形態の8重アノードマトリクス方式の蛍光表示管(VFD)の表示面側から見た電極構造の概念図である。図1の紙面の横列(横方向に並んだ列)を列と称し、図1の紙面の縦列(縦方向に並んだ列)を行と称する。グリッド電極G1は、1行目の「アノードセグメントA、アノードセグメントB、アノードセグメントC、アノードセグメントD」、2行目の「アノードセグメントA、アノードセグメントB、アノードセグメントC、アノードセグメントD」、・・・・m−1行目の「アノードセグメントA、アノードセグメントB、アノードセグメントC、アノードセグメントD」、m行目の「アノードセグメントA、アノードセグメントB、アノードセグメントC、アノードセグメントD」、と対向するように、図1の紙面横方向に延在して形成される。グリッド電極G2は、1行目の「アノードセグメントE、アノードセグメントF、アノードセグメントG、アノードセグメントH」、2行目の「アノードセグメントE、アノードセグメントF、アノードセグメントG、アノードセグメントH」、・・・・m−1行目の「アノードセグメントE、アノードセグメントF、アノードセグメントG、アノードセグメントH」、m行目の「アノードセグメントE、アノードセグメントF、アノードセグメントG、アノードセグメントH」、と対向するように、図1の紙面横方向に延在して形成される。同様にして、グリッド電極G3(図1には図示せず)・・・・グリッド電極Gn-1、グリッド電極Gnの各々が、図1の紙面横方向に延在して形成される。グリッド電極G1〜グリッド電極Gnの各々が、延在する方向を行方向と称し、グリッド電極G1〜グリッド電極Gnの各々が延在する行方向と直交する方向を列方向と称する。行方向に延在する各々のグリッド電極は、列方向に、グリッド電極G1、グリッド電極G2、・・・グリッド電極Gn-1、グリッド電極Gn、と順番に配列されている。
【0018】
図1の例では、m行のアノードセグメント行とn列のグリッド電極の列とをマトリック状に配置して、各々のグリッド電極と各々のアノードセグメント行の中の4個のアノードセグメントとを対向させて形成される。なお、1のアノードセグメント行は、4×n個のアノードセグメントを有して形成されている。
グリッド電極G1にグリッド引出線DG1が接続されている。同様に、グリッド電極G2にグリッド引出線DG2が接続されており、・・・グリッド電極Gn-1にグリッド引出線DGn-1が接続されており、グリッド電極Gnにグリッド引出線DGnが接続されている。このようにして、n個のグリッド電極の各々からn本のグリッド電極引出線が引出されている。
【0019】
複数列のグリッド電極の各々に対向して、アノードセグメントA(図1の四角内にAを付したアノードセグメント)〜アノードセグメントH(図1の四角内にHを付したアノードセグメント)の8個のアノードセグメントが、列方向に繰り返して順番に配置されている。
【0020】
グリッド電極の各々に対向して配置された、同じ行に位置する同じ符号を有するアノードセグメントは相互に接続されている。例えば、グリッド電極G1に対向する1行目のアノードセグメントA、グリッド電極G3に対向する1行目のアノードセグメントA(図1には図示せず)、・・・グリッド電極Gn-1に対向する1行目のアノードセグメントAは、相互に接続されている。同様にして、アノードセグメントB〜アノードセグメントHについても同じ符号のアノードセグメントが相互に接続されている。すなわち、アノードセグメントは、図1の紙面の縦方向に8個毎に区分され、その区分の中の並びの位置が同位置にあるアノードセグメントを連結して8個のアノード引出線を有して形成されるアノードセグメント行を形成している。
【0021】
このようにして、1行目からm行目の各行について、相互に接続された複数個のアノードセグメントAと、相互に接続された複数個のアノードセグメントBと、相互に接続された複数個のアノードセグメントCと、相互に接続された複数個のアノードセグメントDと、相互に接続された複数個のアノードセグメントEと、相互に接続された複数個のアノードセグメントFと、相互に接続された複数個のアノードセグメントGと、相互に接続された複数個のアノードセグメントHと、を有する蛍光表示管は、8重アノードマトリクス方式の蛍光表示管と称される。一般的には、一列に配置されたアノードセグメントをM(整数)毎に区分して、その区分の中の並びの位置が同位置にあるアノードセグメントを連結して駆動する蛍光表示管をM重アノードマトリクス方式の蛍光表示管と称する。
【0022】
図2は、アノードセグメントからの引出線の部分を示す図1の部分拡大図である。アノード引出線DA1は1行目のアノードセグメントの引出線である。アノード引出線DA2は2行目のアノードセグメントの引出線である。アノード引出線DAmはm行目のアノードセグメントの引出線である。アノード引出線DA1は、1行目の(1行目に配列される)アノードセグメントAからのアノード引出線DA1A、1行目のアノードセグメントBからのアノード引出線DA1B、1行目のアノードセグメントCからのアノード引出線DA1C、1行目のアノードセグメントDからのアノード引出線DA1D、1行目のアノードセグメントEからのアノード引出線DA1E、1行目のアノードセグメントFからのアノード引出線DA1F、1行目のアノードセグメントGからのアノード引出線DA1G、1行目のアノードセグメントHからのアノード引出線DA1Hを有している。同様に、アノード引出線DA2は、2行目の(2行目に配列される)アノードセグメントからのアノード引出線DA2A〜アノード引出線DA2Hを有し、アノード引出線DAmは、m行目の(m行目に配列される)アノードセグメントからのアノード引出線DAmA〜アノード引出線DAmHを有している。1行目からm行目までのすべてのアノードセグメントについてこのように接続して、8×m本のアノード引出線が引出されている。
【0023】
図3は、8重アノードマトリクス方式の蛍光表示管の表示面と直交する断面側から見た電極構造の概念図である。図3からアノードセグメントA〜アノードセグメントHとグリッド電極とカソードとの配置関係が見て取れる。グリッド電極は、金属メッシュ状の形態をしており、カソードで発生した電子がグリッド電極を透過するか否かを制御する。正の電圧をグリッド電極に印加して電子がグリッドを透過するようにするためにグリッド引出線に正の電圧を与える場合をオン(ON)と称し、正の電圧をグリッド電極に印加せず電子がグリッド電極を透過しないようするためにグリッド引出線に正の電圧を与えない場合をオフ(OFF)と称する。
【0024】
アノードセグメントA〜アノードセグメントHには蛍光体が塗布されており、電子の衝突によって発光をする。ここで、電子を透過させるに十分なカソードに対する正の電圧がグリッド電極に印加されている場合であって、かつ、このグリッド電極に対向するアノードセグメントに電子を加速させるに十分なカソードに対する正の電圧が印加されている場合にのみ、該当するアノードセグメントは発光する。つまり、蛍光表示管の表示面から見て、図1の紙面の横方向(行方向)に延在して形成されるグリッド電極の中で正の電圧が印加された(ONとされた)グリッド電極に対向するアノードセグメントは発光可能とされる。しかしながら、発光可能とされる8個のアノードセグメントの中で、実際に発光するアノードセグメントは、正の電圧が印加されたアノードセグメントのみである。
【0025】
図4は、図1に示す蛍光表示管の表示の態様を説明する図である。蛍光表示管の表示に際しては、隣接する2個のグリッド電極を同時に選択して、この2個のグリッド電極に正の電圧を印加する。例えば、図4(a)はグリッド電極G1とグリッド電極G2とに電子が透過できるような正の電圧を印加する場合を示す。図4(b)はグリッド電極G2とグリッド電極G3とに電子が透過できるような正の電圧を印加する場合を示す。図4(c)はグリッド電極G3とグリッド電極G4とに電子が透過できるような正の電圧を印加する場合を示す。
【0026】
実施形態における基本の発光の態様は、隣接する2つのグリッド電極に正の電圧を印加してこの2つのグリッド電極に対向する8つのアノードセグメントの中でも、隣接する他のグリッド電極に最も接近した位置から順に配置される2つのグリッド電極の各々に対向する2×2個(合計4個)のアノードセグメントの部分、すなわち、アノードセグメントとカソードとの空間の電界強度が最も均一となる部分、のみを発光させるようにしている。
【0027】
図4を参照して、以下に具体的な例を挙げて発光の態様を説明する。例えば、発光部を右から左に移動させる一例で説明をする。この移動の速度は、後述する1フレームの走査時間に比べて遅いのが一般的である。
【0028】
グリッド電極G1とグリッド電極G2とに正の電圧を印加して、アノードセグメントC、アノードセグメントD、アノードセグメントE、アノードセグメントFの各々に接続されたアノード引出線に対して該アノードセグメントが発光するような正の電圧を印加する(図4(a)を参照)。グリッド電極G2とグリッド電極G3とに正の電圧を印加して、アノードセグメントG、アノードセグメントH、アノードセグメントA、アノードセグメントBの各々に接続されたアノード引出線に対して該アノードセグメントが発光するような正の電圧を印加する(図4(b)を参照)。グリッド電極G3とグリッド電極G4とに正の電圧を印加して、アノードセグメントC、アノードセグメントD、アノードセグメントE、アノードセグメントFの各々に接続されたアノード引出線に対して該アノードセグメントが発光するような正の電圧を印加する(図4(c)を参照)。この結果として、図4において、ハッチングを施したアノードセグメントが、図4(a)、図4(b)、図4(c)に示すように順次発光し、発光する部分が移動するように視認されることになる。実施形態では、グリッド電極の走査の速度は速く、列方向の発光の移動の視認は困難である。図4(a)、図4(b)、図4(c)は、実施形態では、異なるフレームにおける表示態様を示すものである。
【0029】
以下の説明において、正の電圧をアノードセグメントに与えることをオン(ON)と称し、正の電圧をアノードセグメントに与えないことをオフ(OFF)と称する。
【0030】
上述したように、グリッド電極の制御においては、列方向に順次隣接する2個のグリッド電極がONとなるように選択され、例えば、右端に位置するグリッド電極G1およびグリッド電極G2が選択され、選択される電極の位置が順次、左側に移動し、最後は、グリッド電極Gn-1およびグリッド電極Gnが選択される。この一連の処理を1フレームの処理と称する。なお、上述した例では表示が移動する場合について説明をしたが、移動しない表示をする場合においても、2つのグリッド電極を順次選択する1フレームの処理は、アノードセグメントをどのように処理するかにはかかわりなく常時おこなわれる。
【0031】
上述したように、実施形態では、2つのグリッド電極をONとして、そのグリッドに対向するアノードセグメントの中の連続した特定のアノードセグメントだけを発光させる。一斉に発光するこの連続した領域をピクセルと称する。つまり、アノードセグメントの発光は、ピクセルを単位としておこなわれる。そして、2つのグリッド電極に対応するピクセルの種類が複数の種類ある場合にその複数種類から選択される1のピクセルを選択ピクセルと称する。
【0032】
実施形態の8重アノードマトリクス方式の蛍光表示管では、8つのアノードセグメントの中から、選択された4つのアノードセグメント(この4つのアノードセグメントは、図4に示すように密接した位置にある)が1ピクセルを形成し、どの位置にある4つのアノードセグメントを選択するかによってピクセルが異なる。この4つのアノードセグメントの位置の組み合わせが異なるピクセルの中で選択される1のピクセルが、上述した選択ピクセルである。詳細は後述するが、実施形態の多重アノードマトリクス方式の蛍光表示管では、表示信号(図9を参照)に応じて選択ピクセルを特定するとともに、表示信号が指定する表示内容に従い選択ピクセルのONとOFFとを制御し、表示信号に含まれる同期信号に応じて順次2つのグリッド電極をONとして1フレームの表示をおこなっている。
【0033】
図4を参照して、具体的に8重アノードマトリクス方式の蛍光表示管のピクセルについて説明をする。2つの隣接するグリッド電極を同時にONとして、対向する8つのアノードセグメントの中で、連続した4つのアノードセグメントで1ピクセルを構成する場合のピクセルとしては、以下の8種類の組み合わせが存在する。「アノードセグメントA、アノードセグメントB、アノードセグメントC、アノードセグメントD」からなるピクセル。「アノードセグメントB、アノードセグメントC、アノードセグメントD、アノードセグメントE」からなるピクセル。「アノードセグメントC、アノードセグメントD、アノードセグメントE、アノードセグメントF」からなるピクセル。「アノードセグメントD、アノードセグメントE、アノードセグメントF、アノードセグメントG」からなるピクセル。「アノードセグメントE、アノードセグメントF、アノードセグメントG、アノードセグメントH」からなるピクセル。「アノードセグメントF、アノードセグメントG、アノードセグメントH、アノードセグメントA」からなるピクセル。「アノードセグメントG、アノードセグメントH、アノードセグメントA、アノードセグメントB」からなるピクセル。「アノードセグメントH、アノードセグメントA、アノードセグメントB、アノードセグメントC」からなるピクセル。また、少なくとも1個のアノードセグメントが各々のグリッド電極に対向するようにした連続した4つのアノードセグメントで1ピクセルを構成する場合のピクセルとしては、「アノードセグメントA、アノードセグメントB、アノードセグメントC、アノードセグメントD」および「アノードセグメントE、アノードセグメントF、アノードセグメントG、アノードセグメントH」からなるピクセルが除かれ6種類の組み合わせが存在する。
【0034】
図4を参照して、具体的に8重アノードマトリクス方式の蛍光表示管の選択ピクセルの一例について説明をする。図4(a)では、アノードセグメントC、アノードセグメントD、アノードセグメントE、アノードセグメントFが選択ピクセルを構成している。図4(b)では、アノードセグメントG、アノードセグメントH、アノードセグメントA、アノードセグメントBが選択ピクセルを構成している。図4(C)では、アノードセグメントC、アノードセグメントD、アノードセグメントE、アノードセグメントFが選択ピクセルを構成している。図4に示す例では、同時に正の電圧を加えONとした隣接する2個のグリッド電極に対向する8つアノードセグメントの中で、他のグリッド電極により近い4個のアノードセグメントを選択ピクセルとして選び、この選択ピクセルを発光させることによって、表示の輝度を均一とするようにしている。
【0035】
アノードセグメントの制御に際しては、グリッド電極の選択に同期して行毎にその行に属するすべてのアノードセグメントに対して同時に制御がおこなわれる。アノードセグメントを発光させるか否かについては各行のアノード引出線をONとするかOFFとするかによって制御される。つまり、ONとされたアノード引出線に接続されるアノードセグメントが選択ピクセルを構成し、OFFとされたアノード引出線に接続されるアノードセグメントは選択ピクセルを構成しない。上述したように、選択ピクセルの制御は行単位で行われる。このような制御をするための駆動回路の詳細については後述する。
【0036】
図4に示す構成を参照して、選択ピクセルを構成するアノードセグメントをどのように選ぶのが好ましいかについて詳細に説明をする。まず、選択ピクセルに含まれる各アノードセグメント間における輝度の差について説明をする。例えば、グリッド電極G1とグリッド電極G2とをONとし、グリッド電極G3をOFFとする場合において、選択ピクセルにアノードセグメントGとアノードセグメントFを含ませて発光させた場合(図4には、この発光状態については図示せず)のアノードセグメントGの輝度は、アノードセグメントFの輝度よりも低くなる。また、グリッド電極G1とグリッド電極G2とをONとし、グリッド電極G3をOFFとする場合において、アノードセグメントHとアノードセグメントGとを選択ピクセルに含ませて発光させた場合(図4には、この発光状態については図示せず)のアノードセグメントHの輝度は、アノードセグメントGの輝度よりも低くなる。このような輝度の違いが生じる理由は、OFFとされたグリッド電極G3の影響が、グリッド電極G3により近い、アノードセグメントH、アノードセグメントG、アノードセグメントFの順でより強く及ぶからである。
【0037】
さらに、グリッド電極G1とグリッド電極G2とをONとし、グリッド電極G3をOFFとする場合において、アノードセグメントC、アノードセグメントD、アノードセグメントE、アノードセグメントFを選択ピクセルとして発光させた場合(図4(a)を参照)、アノードセグメントFの輝度は、アノードセグメントEの輝度よりも低くなるのみならず、アノードセグメントFの内部においても輝度の差が生じることを本願願書に記載の発明者らは観測した。同様に、アノードセグメントCの輝度は、アノードセグメントDの輝度よりも低くなるのみならず、アノードセグメントCの内部において輝度の差が生じることも同様に観測した。
【0038】
図5は、アノードセグメントCの内部における輝度の差(表示ムラまたは暗線ムラ)の発生する部分、アノードセグメントFの内部における輝度の差(表示ムラまたは暗線ムラ)の発生する部分である表示ムラ発生部を模式的に示す図である。このような表示ムラは、選択ピクセル(図4(a)では、アノードセグメントC、アノードセグメントD、アノードセグメントE、アノードセグメントFで構成される)の両端ラインで生じる。ここで、選択ピクセルの両端に隣接するアノードセグメントはOFFとされている。つまり、このような輝度の違いが生じる理由は、選択ピクセルの一方端に隣接するOFFとされたアノードセグメントGの影響がアノードセグメントFに及び、選択ピクセルの他方端に隣接するOFFとされたアノードセグメントBの影響がアノードセグメントCに及ぶからである。
【0039】
このような表示ムラが生じる結果として、行方向に暗線(輝度が一段階低下した発光部によって形成される線)が生じて表示品位が劣化してしまう。この行方向の暗線の長さは、表示される表示の内容(画像)に応じて異なるが、行方向に明暗の境目が長く伸びる表示においては、明暗の境目付近の明部分に望まない縦ライン状の長い暗線が視認できるようになってしまい、表示品位の劣化が顕著なものとなる。
【0040】
図6は、表示ムラが生じる原因を模式的に示す図である。電子は、ONとされたアノードセグメントによって加速される。等電位面がアノードセグメントの配置される面と平行であるならば電子はONとされたアノードセグメントに垂直に衝突し、アノードセグメントC、アノードセグメントD、アノードセグメントE、アノードセグメントFにおける発光輝度は同一輝度となる。しかしながら、アノードセグメントBとアノードセグメントGとがOFFとされるために選択ピクセルの両端ライン付近では、等電位面がアノードセグメントの配置される面と平行とはならない。選択ピクセルの両端ライン付近のアノードセグメントCとアノードセグメントFでは電子は選択ピクセルの内部方向に曲げられる(図6の角度αを参照)。この現象を電子ケラレと称する。
【0041】
電子ケラレによってアノードセグメントFのアノードセグメントGに近い端付近では、電子が、OFFとされたアノードセグメントGによって曲げられて、暗線ムラが生じてしまう。また、電子ケラレによってアノードセグメントCのアノードセグメントBに近い端付近では、電子が、OFFとされたアノードセグメントBによって曲げられて、暗線ムラが生じてしまう。
【0042】
図7、図8は、実施形態の駆動方法を模式的に示す図である。図7では、グリッド電極DG1が第1のグリッド電極、グリッド電極DG2が第2のグリッド電極としてONとされている。図8では、ONとされるグリッド電極の位置が移動して、グリッド電極DG2が第1のグリッド電極、グリッド電極DG3が第2のグリッド電極としてONとされている。実施形態では1フレーム毎に発光する選択ピクセルのグリッド電極に対する相対位置を異ならせて暗線ムラが生じるのを防止している。図7(a)、図8(a)は第1番目のフレームにおける表示の態様を示し、図7(b)、図8(b)は第2番目のフレームにおける表示の態様を示し、図7(c)、図8(c)は第3番目のフレームにおける表示の態様を示す。つまり、第1番目のフレームにおける表示の態様〜第3番目のフレームにおける表示の態様が、繰り返し表示され、3フレームで1セットとして蛍光表示管に表示される。ここで、1フレームとは、蛍光表示管の全面に渡る1表示をいう。
【0043】
グリッド電極DG1、グリッド電極DG2がONとされている場合について説明をする。図7(a)に示すように、第1番目のフレームについては、選択ピクセルは、アノードセグメントC、アノードセグメントD、アノードセグメントE、アノードセグメントFで構成される。そして、選択ピクセルを発光させる場合には、これらのアノードセグメントに正の電圧を印加してONとし、これらのピクセルを発光させない場合には、これらのアノードセグメントに正の電圧を印加しないようにしてOFFとする。このONとOFFの制御は外部からの表示信号(図9を参照)の内容に応じたものである。図7(b)に示すように、第2番目のフレームについては、選択ピクセルは、アノードセグメントB、アノードセグメントC、アノードセグメントD、アノードセグメントEで構成される。図7(c)に示すように、第3番目のフレームについては、選択ピクセルは、アノードセグメントD、アノードセグメントE、アノードセグメントF、アノードセグメントGで構成される。
【0044】
グリッド電極DG2、グリッド電極DG3がONとされている場合について説明をする。図8(a)に示すように、第1番目のフレームについては、選択ピクセルは、アノードセグメントG、アノードセグメントH、アノードセグメントA、アノードセグメントBで構成される。図8(b)に示すように、第2番目のフレームについては、選択ピクセルは、アノードセグメントF、アノードセグメントG、アノードセグメントH、アノードセグメントAで構成される。図8(c)に示すように、第3番目のフレームについては、選択ピクセルは、アノードセグメントH、アノードセグメントA、アノードセグメントB、アノードセグメントCで構成される。
【0045】
このようにして、フレーム毎に、発光するアノードセグメントの配置をずらすことによって暗線ムラの発生を防止することができる。なお、表示内容の変化する速度に比べて、1セット(3フレーム)の時間は短く、かつ、1セットの時間は、目に像が残る残像時間よりも短くされるので、1フレーム毎には行方向に1列になる暗線ムラが生じたとしても、1フレーム毎に暗線ムラの位置は異なるのであるから、残像によって1列になるように暗線ムラが視認されることはない。
【0046】
図9は、上述した実施形態の蛍光表示管を駆動する実施形態の駆動回路のブロック図である。駆動回路10は、外部インターフェイス11、ラム(RAM)12、カウンタ13、フレームカウンタ14、タイミングジェネレータ15を有して形成されている。駆動回路10の破線で囲んだ領域は、暗線ムラの発生を防止するための構成部である。暗線ムラの発生を防止するための構成部は、フレームカウンタ14、タイミングジェネレータ15の一部を有して構成されている。
【0047】
時系列信号である、外部からの表示信号は、外部インターフェイス11を介してラム12に入力される。ラム12は、外部からの表示信号に基づいて蛍光表示管に2次元の画像を表示するために、ラム12の各所定領域に、外部からの表示信号を記憶する。タイミングジェネレータ15は、マスタークロックとしてのクロック信号を分周して得られるタイミングジェネレータクロック信号を基準クロック信号として、ラム12の各所定領域に記憶された外部からの表示信号を読み出す。また、タイミングジェネレータ15に対しては、第1のフレーム、第2のフレーム、第3のフレームの各フレームの中のいずれかを繰返して選択するための信号がフレームカウンタ14から出力される。そして、タイミングジェネレータ15は、アノード引出線DA1〜アノード引出線DAmの各々に対して、合計m本のアノード信号を出力する。また、タイミングジェネレータ15は、グリッド引出線DG1〜グリッド引出線DGnの各々に対して、合計n本のグリッド信号を出力する。
【0048】
図10〜図12は、アノード引出線DA1に出力されるアノード信号、およびグリッド引出線DG1〜グリッド引出線DGnの各々に出力されるグリッド信号のタイミングチャートである。ここで、フレーム周期とは、蛍光表示管の全面に渡る1表示を更新する周期、すなわち、グリッド電極を繰り返して順次ONとするに際して、最初のグリッド電極をOFFからONとする時刻を始期として最後のグリッド電極をONからOFFとする時刻を終期として、始期と終期との間の時間をいうものである。また、1セグメント周期とは、アノードセグメントのONとOFFとを切り替える最小の単位周期をいうものである。1セグメント周期は、また、グリッド電極のONとOFFとを切り替える最小の単位周期でもあり、2セグメント周期の間、各グリッド電極はONとされている。
【0049】
図10は第1のフレームにおけるタイミングチャートである。図11は第2のフレームにおけるタイミングチャートである。図12は第3のフレームにおけるタイミングチャートである。図10〜図12では、グリッド引出線DG4〜グリッド引出線DGn-2については記載が省略され、アノード引出線DA2〜アノード引出線DAmについても記載が省略されている。
【0050】
図10に示すように、グリッド電極G1が第1のグリッド電極、グリッド電極G2が第2のグリッド電極としてONとなるようにグリッド電極引出線DG1、グリッド電極引出線DG2がONとされる場合には、第1のフレームにおいては、選択ピクセル(アノードセグメントC、アノードセグメントD、アノードセグメントE、アノードセグメントF)の各々が外部からの表示信号に応じて1セグメント周期を単位として同時に、ON(図10ではハイレベル)、または、OFF(図10ではローレベル)とされ、選択ピクセルに該当するアノードセグメント以外の他のアノードセグメントはOFFとされる。グリッド電極G2が第1のグリッド電極、グリッド電極G3が第2のグリッド電極としてONとなるようにグリッド電極引出線DG2、グリッド電極引出線DG3がONとされる場合には、第1のフレームにおいては、選択ピクセル(アノードセグメントG、アノードセグメントH、アノードセグメントA、アノードセグメントB)の各々が外部からの表示信号に応じて1セグメント周期を単位として同時に、ON、または、OFFとされ、選択ピクセルに該当するアノードセグメント以外の他のアノードセグメントはOFFとされる。
【0051】
図11に示すように、グリッド電極G1が第1のグリッド電極、グリッド電極G2が第2のグリッド電極としてONとなるようにグリッド電極引出線DG1、グリッド電極引出線DG2がONとされる場合には、第2のフレームにおいては、選択ピクセル(アノードセグメントB、アノードセグメントC、アノードセグメントD、アノードセグメントE)の各々が外部からの表示信号に応じて1セグメント周期を単位として同時に、ON(図11ではハイレベル)、または、OFF(図11ではローレベル)とされ、選択ピクセルに該当するアノードセグメント以外の他のアノードセグメントはOFFとされる。グリッド電極G2が第1のグリッド電極、グリッド電極G3が第2のグリッド電極としてONとなるようにグリッド電極引出線DG2、グリッド電極引出線DG3がONとされる場合には、選択ピクセル(アノードセグメントF、アノードセグメントG、アノードセグメントH、アノードセグメントA)の各々が外部からの表示信号に応じて1セグメント周期を単位として同時に、ON、または、OFFとされ、選択ピクセルに該当するアノードセグメント以外の他のアノードセグメントはOFFとされる。
【0052】
図12に示すように、グリッド電極G1が第1のグリッド電極、グリッド電極G2が第2のグリッド電極としてONとなるようにグリッド電極引出線DG1、グリッド電極引出線DG2がONとされる場合には、第3のフレームにおいては、選択ピクセル(アノードセグメントD、アノードセグメントE、アノードセグメントF、アノードセグメントG)の各々が外部からの表示信号に応じて1セグメント周期を単位として同時に、ON(図11ではハイレベル)、または、OFF(図11ではローレベル)とされ、選択ピクセルに該当するアノードセグメント以外の他のアノードセグメントはOFFとされる。グリッド電極G2が第1のグリッド電極、グリッド電極G3が第2のグリッド電極としてONとなるようにグリッド電極引出線DG2、グリッド電極引出線DG3がONとされる場合には、選択ピクセル(アノードセグメントH、アノードセグメントA、アノードセグメントB、アノードセグメントC)の各々が外部からの表示信号に応じて1セグメント周期を単位として同時に、ON、または、OFFとされ、選択ピクセルに該当するアノードセグメント以外の他のアノードセグメントはOFFとされる。ここで、グリッド電極G1からグリッド電極Gnまで隣接したグリッド電極を2つ同時にオンとして順次繰り返す時間(1フレームの時間)は、例えば、20msec(ミリ秒)程度である。このように駆動すれば、各フレームにおける輝度を平均した輝度が視認されることとなり、結果として暗線ムラは目立たなくなる。
【0053】
図10〜図12に示す以外に以下のような組み合わせが1フレームのピクセルとして選択可能である。以下の説明では、グリッド電極G1(奇数列)とグリッド電極G3(奇数列)とを奇数列の例として、グリッド電極G2(偶数列)を偶数列の例として説明をする。
【0054】
グリッド電極G1(奇数列)とグリッド電極G2(偶数列)とがONとなる場合に(アノードセグメントC、アノードセグメントD、アノードセグメントE、アノードセグメントF)を選択ピクセルとする場合(図10を参照)において、グリッド電極G2(偶数列)とグリッド電極G3(奇数列)とがONとなる場合には、(アノードセグメントF、アノードセグメントG、アノードセグメントH、アノードセグメントA)を選択ピクセルとする(図11を参照)か、または、(アノードセグメントH、アノードセグメントA、アノードセグメントB、アノードセグメントC)を選択ピクセルとする(図12を参照)こともできる。
【0055】
グリッド電極G1(奇数列)とグリッド電極G2(偶数列)とがONとなる場合に(アノードセグメントB、アノードセグメントC、アノードセグメントD、アノードセグメントE)を選択ピクセルとする場合(図11を参照)において、グリッド電極G2(偶数列)とグリッド電極G3(奇数列)とがONとなる場合には、(アノードセグメントG、アノードセグメントH、アノードセグメントA、アノードセグメントB)を選択ピクセルとする(図10を参照)か、または、(アノードセグメントH、アノードセグメントA、アノードセグメントB、アノードセグメントC)を選択ピクセルとする(図12を参照)こともできる。
【0056】
グリッド電極G1(奇数列)とグリッド電極G2(偶数列)とがONとなる場合に(アノードセグメントD、アノードセグメントE、アノードセグメントF、アノードセグメントG)を選択ピクセルとする場合(図12を参照)において、グリッド電極G2(偶数列)とグリッド電極G3(奇数列)とがONとなる場合には、(アノードセグメントG、アノードセグメントH、アノードセグメントA、アノードセグメントB)を選択ピクセルとする(図10を参照)か、または、(アノードセグメントF、アノードセグメントG、アノードセグメントH、アノードセグメントA)を選択ピクセルとする(図11を参照)こともできる。
【0057】
さらには、1フレーム毎に、選択ピクセルを上述するように選択するのみならず、1フレーム中に置いて、以下のように選択ピクセルを選択することもできる。グリッド電極G1(奇数列)とグリッド電極G2(偶数列)とがONとなる場合においては、(アノードセグメントC、アノードセグメントD、アノードセグメントE、アノードセグメントF)、(アノードセグメントB、アノードセグメントC、アノードセグメントD、アノードセグメントE)、(アノードセグメントD、アノードセグメントE、アノードセグメントF、アノードセグメントG)の中の任意の1の選択ピクセルを選択し、グリッド電極G2(偶数列)とグリッド電極G3(奇数列)とがONとなる場合においては、(アノードセグメントG、アノードセグメントH、アノードセグメントA、アノードセグメントB)、(アノードセグメントF、アノードセグメントG、アノードセグメントH、アノードセグメントA)、(アノードセグメントH、アノードセグメントA、アノードセグメントB、アノードセグメントC)の中の任意の1の選択ピクセルを選択するようにできる。
【0058】
上述した実施形態の8重アノードマトリックス方式の蛍光表示管を上述した駆動方法で駆動すれば、以下の効果を生じる。
【0059】
まず、1セグメント周期で、同時に4個のセグメントを点灯することによって、デューティファクタが、シングルマトリックス方式の場合の4倍となる。その結果としてシングルマトリックス方式の4倍の輝度を得ることができる。他の見方をすれば、同じセグメント数を有する場合には、シングルマトリックス方式と比べて同じ輝度を得るために必要とされるグリッド電極の電圧を低くできる。グリッド電極の電圧を低くできることによって、電源回路の電圧を低くすることができるので、蛍光表示管を用いたグラフィックディスプレイを使用できる環境が拡大する。また、グリッド電極を駆動する駆動素子に、耐圧の低いものを使用することができることとなり、駆動素子、ひいては、駆動装置のコストを低減することができる。
【0060】
次に、隣接する2個のグリッド電極(第1のグリッド電極および第2のグリッド電極)をONとすることによって発光可能とされる4個のアノードセグメントの中で、第1のグリッド電極に最も近接した位置から順に配置され第2のグリッド電極に対向するX個(1個〜3個)のアノードセグメントと、第2のグリッド電極に最も近接した位置から順に配置され第1のグリッド電極に対向するY個(4個−X個)のアノードセグメントと、が選択されて形成される選択ピクセルを発光させる(図10を参照)ことによって、隣接するOFFとされたグリッド電極の電位が与える表示品質の劣化を少なくできる。
【0061】
さらに、選択ピクセルとして発光させる4個のアノードセグメントの位置を1フレーム毎に、第1のグリッド電極に最も近接した位置から順に配置され第2のグリッド電極に対向する2個のアノードセグメントと、第2のグリッド電極に最も近接した位置から順に配置され第1のグリッド電極に対向する2個のアノードセグメントと、が選択されて形成される選択ピクセルを発光させ(図10の第1のフレーム)、第1のグリッド電極に最も近接した位置から順に配置され第2のグリッド電極に対向する1個のアノードセグメントと、第2のグリッド電極に最も近接した位置から順に配置され第1のグリッド電極に対向する3個のアノードセグメントと、が選択されて形成される選択ピクセルを発光させ(図11の第2のフレームの状態)、第1のグリッド電極側に近接した位置に詰めて配置される第2のグリッド電極に対向する3個のアノードセグメントと、第2のグリッド電極側に近接した位置に詰めて配置される第1のグリッド電極に対向する1個のアノードセグメントと、の合計4個のアノードセグメントを選択ピクセルとして発光させ(図12の第3のフレームの状態)、この3フレームを1セットとして適宜な順番で繰り返すことによって、隣接するOFFとされたアノードセグメントの電位が与える表示品質の劣化、すなわち、表示ムラ、を目立たなくすることができる。
【0062】
上述した実施形態の変形例について以下に述べる。
【0063】
第1のフレームの状態、第2のフレームの状態、第3のフレームの状態と繰り返すのではなく、第1のフレームの状態〜第3のフレームの状態の3つの状態の中のいずれかを順次、選択して、3フレームを1セットとして繰り返すようにしても良い。具体的には、第3のフレームの状態、第2のフレームの状態、第1のフレームの状態と順次繰り返すことによっても、隣接するOFFとされたアノードセグメントの電位が与える表示品質の劣化、すなわち、表示ムラを少なくできる。
【0064】
図13は、16重アノードマトリクス方式における実施形態を示す概念図である。16重アノードマトリクス方式においても、上述した8重アノードマトリクス方式と同様の駆動方法を採用することができる。図13(a)は、グリッド電極G1が第1のグリッド電極、グリッド電極G2が第2のグリッド電極としてONとなる場合における、第1のフレームの状態を示し、図13(b)は、第2のフレームの状態を示し、図13(c)は、第3のフレームの状態を示し、図13(d)は、第4のフレームの状態を示し、図13(e)は、第5のフレームの状態を示す。16重アノードマトリクス方式においては、アノードセグメントA、アノードセグメントB、アノードセグメントC、アノードセグメントD、アノードセグメントE、アノードセグメントF、アノードセグメントG、アノードセグメントH、アノードセグメントI、アノードセグメントJ、アノードセグメントK、アノードセグメントL、アノードセグメントM、アノードセグメントN、アノードセグメントO、アノードセグメントP、の16個のアノードセグメントを1区分に有している。
【0065】
図13(a)に示すように、第1のフレームにおいては、選択ピクセルを構成する、アノードセグメントE、アノードセグメントF、アノードセグメントG、アノードセグメントH、アノードセグメントI、アノードセグメントJ、アノードセグメントK、アノードセグメントL、の各々が外部からの表示信号に応じて1セグメント周期を単位として同時に、ON、または、OFFとされ、他のアノードセグメントはOFFとされる。
【0066】
図13(b)に示すように、第2のフレームにおいては、選択ピクセルを構成する、アノードセグメントD、アノードセグメントE、アノードセグメントF、アノードセグメントG、アノードセグメントH、アノードセグメントI、アノードセグメントJ、アノードセグメントK、の各々が外部からの表示信号に応じて1セグメント周期を単位として同時に、ON、または、OFFとされ、他のアノードセグメントはOFFとされる。
【0067】
図13(c)に示すように、第3のフレームにおいては、選択ピクセルを構成する、アノードセグメントC、アノードセグメントD、アノードセグメントE、アノードセグメントF、アノードセグメントG、アノードセグメントH、アノードセグメントI、アノードセグメントJ、の各々が外部からの表示信号に応じて1セグメント周期を単位として同時に、ON、または、OFFとされ、他のアノードセグメントはOFFとされる。
【0068】
図13(d)に示すように、第4のフレームにおいては、選択ピクセルを構成する、アノードセグメントF、アノードセグメントG、アノードセグメントH、アノードセグメントI、アノードセグメントJ、アノードセグメントK、アノードセグメントL、アノードセグメントM、の各々が外部からの表示信号に応じて1セグメント周期を単位として同時に、ON、または、OFFとされ、他のアノードセグメントはOFFとされる。
【0069】
図13(e)に示すように、第5のフレームにおいては、選択ピクセルを構成する、アノードセグメントG、アノードセグメントH、アノードセグメントI、アノードセグメントJ、アノードセグメントK、アノードセグメントL、アノードセグメントM、アノードセグメントN、の各々が外部からの表示信号に応じて1セグメント周期を単位として同時に、ON、または、OFFとされ、他のアノードセグメントはOFFとされる。
【0070】
なお、グリッド電極G2が第1のグリッド電極、グリッド電極G3(グリッド電極G2に隣接する図13に図示しないグリッド電極)が第2のグリッド電極としてONとなる場合においては、以下のアノードセグメントが選択ピクセルを構成する。第1のフレームにおいては、アノードセグメントM、アノードセグメントN、アノードセグメントO、アノードセグメントP、アノードセグメントA、アノードセグメントB、アノードセグメントC、アノードセグメントDが選択ピクセルを構成する。第2のフレームにおいては、アノードセグメントL、アノードセグメントM、アノードセグメントN、アノードセグメントO、アノードセグメントP、アノードセグメントA、アノードセグメントB、アノードセグメントCが選択ピクセルを構成する。第3のフレームにおいては、アノードセグメントK、アノードセグメントL、アノードセグメントM、アノードセグメントN、アノードセグメントO、アノードセグメントP、アノードセグメントA、アノードセグメントBが選択ピクセルを構成する。第4のフレームにおいては、アノードセグメントN、アノードセグメントO、アノードセグメントP、アノードセグメントA、アノードセグメントB、アノードセグメントC、アノードセグメントD、アノードセグメントEが選択ピクセルを構成する。第5のフレームにおいては、アノードセグメントO、アノードセグメントP、アノードセグメントA、アノードセグメントB、アノードセグメントC、アノードセグメントD、アノードセグメントE、アノードセグメントFが選択ピクセルを構成する。
【0071】
つまり、第1のフレームの状態では、隣接する2個のグリッド電極(第1のグリッド電極および第2のグリッド電極)をONとすることによって発光可能とされる16個のアノードセグメントの中で、第1のグリッド電極に最も近接した位置から順に配置され第2のグリッド電極に対向する4個のアノードセグメントと、第2のグリッド電極側に近接した位置に詰めて配置される第1のグリッド電極に対向する4個のアノードセグメントと、の合計8個のアノードセグメントを選択ピクセルとして発光させる。
【0072】
第2のフレームの状態では、隣接する2個のグリッド電極(第1のグリッド電極および第2のグリッド電極)をONとすることによって発光可能とされる16個のアノードセグメントの中で、第1のグリッド電極に最も近接した位置から順に配置され第2のグリッド電極に対向する3個のアノードセグメントと、第2のグリッド電極側に近接した位置に詰めて配置される第1のグリッド電極に対向する5個のアノードセグメントと、の合計8個のアノードセグメントを選択ピクセルとして発光させる。
【0073】
第3のフレームの状態では、隣接する2個のグリッド電極(第1のグリッド電極および第2のグリッド電極)をONとすることによって発光可能とされる16個のアノードセグメントの中で、第1のグリッド電極に最も近接した位置から順に配置され第2のグリッド電極に対向する2個のアノードセグメントと、第2のグリッド電極側に近接した位置に詰めて配置される第1のグリッド電極に対向する6個のアノードセグメントと、の合計8個のアノードセグメントを選択ピクセルとして発光させる。
【0074】
第4のフレームの状態では、隣接する2個のグリッド電極(第1のグリッド電極および第2のグリッド電極)をONとすることによって発光可能とされる16個のアノードセグメントの中で、第1のグリッド電極に最も近接した位置から順に配置され第2のグリッド電極に対向する5個のアノードセグメントと、第2のグリッド電極側に近接した位置に詰めて配置される第1のグリッド電極に対向する3個のアノードセグメントと、の合計8個のアノードセグメントを選択ピクセルとして発光させる。
【0075】
第5のフレームの状態では、隣接する2個のグリッド電極(第1のグリッド電極および第2のグリッド電極)をONとすることによって発光可能とされる16個のアノードセグメントの中で、第1のグリッド電極に最も近接した位置から順に配置され第2のグリッド電極に対向する6個のアノードセグメントと、第2のグリッド電極側に近接した位置に詰めて配置される第1のグリッド電極に対向する2個のアノードセグメントと、の合計8個のアノードセグメントを選択ピクセルとして発光させる。
【0076】
要するに、Mが8以上の2のK乗で表わされる正整数であるM重アノードマトリクス方式の実施形態の蛍光表示管の技術について一般化すると以下のようになる。
【0077】
本実施形態のM重アノードマトリクス方式の蛍光表示管の機構部の構成は、2のK乗で表わされる8以上の正整数M毎に区分され、その区分の中の並びの位置が同位置にあるアノードセグメントを列方向に連結してM個のアノード引出線を有して形成されるアノードセグメント行と、アノードセグメント行と直交する行方向に延びグリッド引出線を有して形成されるグリッド電極と、を有し、複数個のアノードセグメント行と複数個のグリッド電極の列とをマトリック状に配置して、各々のグリッド電極と各々のアノードセグメント行の中のM/2個のアノードセグメントとを対向させて形成されるものである。
【0078】
ここで、駆動回路は、M重アノードマトリクス方式の蛍光表示管の外部、または、内部のいずれに配するものであっても良い。外部に配する場合には、図1に示す構成を有する蛍光表示管と図9に示す駆動回路10を多数の配線によって接続することとなる。一方、外部に配する場合には、少数の配線(リード)によってその目的を達することができる。
【0079】
図14は、蛍光表示管の内部に駆動回路を内蔵するドライバ内蔵蛍光表示管(CIGVFD)の斜視断面図である。ドライバ内蔵蛍光表示管30は、カソード31、グリッド電極32、アノードセグメント33、ベースプレート34、フィラメントリード35、ドライバチップ用リード36、駆動回路10を主要構成部として有している。
【0080】
カソード31は、タングステンの芯線(フィラメント)にBa、Sr、Caの酸化物がコーティングされている。フィラメントの両端に電圧を印加して電子(熱電子)を発生させる。グリッド電極32は、上述したグリッド電極G1〜グリッド電極Gnと同様のものである。アノードセグメント33は、上述したアノードセグメントA〜アノードセグメントHと同様のものである。ベースプレート34は、ガラス基板であり、ソーダライムガラスを使用しており、その内部は真空とされる。フィラメントリード35は、カソード31を形成するフィラメントに接続される。ドライバチップ用リード36は、表示信号(図9を参照)を入力するための端子、クロック信号(図9を参照)を入力するための端子を含んでいる。駆動回路10は、図9に示す駆動回路10をIC化したものである。
【0081】
ベースプレート34の上に、カソード31、グリッド電極32、アノードセグメント33、ベースプレート34、フィラメントリード35、ドライバチップ用リード36、駆動回路10の各部材が固着され、これらの各部材を相互に接続するパタンが形成されている。このようにして、ドライバ内蔵蛍光表示管30の機構部の内部に駆動回路10を組み込むことによって、ドライバ内蔵蛍光表示管30の駆動に必要な電極は、フィラメントリード35を含む電源用のリードとドライバチップ用リード36だけとでき、大幅に外部リードを減らすことができる。
【0082】
そして、M重アノードマトリクス方式の蛍光表示管の内部、または、外部のいずれかに配される駆動回路によって蛍光表示管は、以下のように制御される。
【0083】
隣接する第1のグリッド電極と第2のグリッド電極とをオンとすることによって発光可能とされるM個のアノードセグメントの中で、以下の(M/2)個のアノードセグメントによって構成される選択ピクセルの中の1の選択ピクセルを順次1フレームずつ表示信号に応じて発光させる。
【0084】
第1のグリッド電極に最も近接した位置から順に配置され第2のグリッド電極に対向する(M/4)個のアノードセグメントと第2のグリッド電極に最も近接した位置から順に配置され第1のグリッド電極に対向する(M/4)個のアノードセグメントによって形成される選択ピクセル。
【0085】
第1のグリッド電極に最も近接した位置から順に配置され第2のグリッド電極に対向する(M/4−J)個のアノードセグメントと、第2のグリッド電極に最も近接した位置から順に配置され第1のグリッド電極に対向する(M/4+J)個のアノードセグメントと、を有するように、Jの値を1から2(K-3)まで変化させて選択されて形成される2(K-3)個の選択ピクセル。
【0086】
第1のグリッド電極に最も近接した位置から順に配置され第2のグリッド電極に対向する(M/4+J)個のアノードセグメントと、第2のグリッド電極に最も近接した位置から順に配置され第1のグリッド電極に対向する(M/4−J)個のアノードセグメントと、を有するように、Jの値を1から2(K-3)まで変化させて選択されて形成される2(K-3)個の選択ピクセル。
【0087】
よって、選択ピクセルの総数は、1個+2(K-3)個+2(K-3)個となり、この複数個の中の1選択ピクセルが1フレーム毎に選択される。
【0088】
ここで、選択ピクセルに含まれるアノードセグメントの数について説明をする。上述した実施形態の、8重アノードマトリクス方式、16重アノードマトリクス方式、に関する技術では、隣接する2つのグリッド電極をONとして同時に発光するアノードセグメントの個数、すなわち、選択ピクセルを構成するアノードセグメントの個数は、8重アノードマトリクス方式では4個、16重アノードマトリクス方式では8個とした。実施形態のM重アノードマトリクス方式では、選択ピクセルを構成するアノードセグメントの個数をM/2個とする。同時に発光するアノードセグメントの個数をM/2個とする理由は、同時にONとされる2個のグリッド電極の各々の左右にあるOFFとされる2個のグリッド電極の影響を少なくする効果と、デューティファクタを向上させる効果とのバランス点として、M/2個を選ぶのである。なお、同時にONとされる2個のグリッド電極の各々の左右にあるOFFとされる2個のグリッド電極の影響を少なくする効果をより良好なものとすることを目的とするならば、選択ピクセルを構成するアノードセグメントの個数をより少なくするほうがより大きな効果が得られる。一方、選択ピクセルを構成するアノードセグメントの個数が少ないほどデューティファクタは低下する。
【0089】
上述した8重アノードマトリクス方式における実施形態について上述の一般式に当てはめる。8重アノードマトリクス方式ではM=8、K=3、2(K-3)=1、J=1である。
【0090】
隣接する第1のグリッド電極と第2のグリッド電極とをオンとすることによって発光可能とされる8個(M個)のアノードセグメントの中で、以下の4個(M/2個)のアノードセグメントによって構成される選択ピクセルの中の1の選択ピクセルを順次1フレームずつ表示信号に応じて発光させる。
【0091】
隣接する2個のグリッド電極(第1のグリッド電極および第2のグリッド電極)をONとすることによって発光可能とされる4個(M/2個)のアノードセグメントの中で、第1のグリッド電極に最も近接した位置から順に配置され第2のグリッド電極に対向する2個(M/4個)のアノードセグメントと、第2のグリッド電極に最も近接した位置から順に配置され第1のグリッド電極に対向する2個(M/4個)のアノードセグメントとが選択されて形成される選択ピクセル(図7(a)を参照)。
【0092】
第1のグリッド電極に最も近接した位置から順に配置され第2のグリッド電極に対向する1個((M/4−J)個)のアノードセグメントと、第2のグリッド電極に最も近接した位置から順に配置され第1のグリッド電極に対向する3個((M/4+J)個)のアノードセグメントとが選択されて形成される選択ピクセル(図7(b)を参照)。
【0093】
第1のグリッド電極に最も近接した位置から順に配置され第2のグリッド電極に対向する3個((M/4+J)個)のアノードセグメントと、第2のグリッド電極に最も近接した位置から順に配置され第1のグリッド電極に対向する1個((M/4−J)個)のアノードセグメントとが選択されて形成される選択ピクセル(図7(c)を参照)。
【0094】
上述した16重アノードマトリクス方式における実施形態について上述の一般式に当てはめる。16重アノードマトリクス方式ではM=16、K=4、2(K-3)=2、J=1、2である。
【0095】
隣接する第1のグリッド電極と第2のグリッド電極とをオンとすることによって発光可能とされる16個のアノードセグメントの中で、以下の8個のアノードセグメントによって構成される選択ピクセルの中の1の選択ピクセルを順次1フレームずつ表示信号に応じて発光させる。
【0096】
隣接する2個のグリッド電極(第1のグリッド電極および第2のグリッド電極)をONとすることによって発光可能とされる8個(M/2個)のアノードセグメントの中で、第1のグリッド電極に最も近接した位置から順に配置され第2のグリッド電極に対向する4個(M/4個)のアノードセグメントと、第2のグリッド電極に最も近接した位置から順に配置され第1のグリッド電極に対向する4個(M/4個)のアノードセグメントとが選択されて形成される選択ピクセル(図13(a)を参照)。
【0097】
J=1において、第1のグリッド電極に最も近接した位置から順に配置され第2のグリッド電極に対向する3個((M/4−J)個)のアノードセグメントと、第2のグリッド電極に最も近接した位置から順に配置され第1のグリッド電極に対向する5個((M/4+J)個)のアノードセグメントとが選択されて形成される選択ピクセル(図13(b)を参照)。
【0098】
J=2において、第1のグリッド電極に最も近接した位置から順に配置され第2のグリッド電極に対向する2個((M/4−J)個)のアノードセグメントと、第2のグリッド電極に最も近接した位置から順に配置され第1のグリッド電極に対向する6個((M/4+J)個)のアノードセグメントとが選択されて形成される選択ピクセル(図13(c)を参照)。
【0099】
J=1において、第1のグリッド電極に最も近接した位置から順に配置され第2のグリッド電極に対向する5個((M/4+J)個)のアノードセグメントと、第2のグリッド電極に最も近接した位置から順に配置され第1のグリッド電極に対向する3個((M/4−J)個)のアノードセグメントとが選択されて形成される選択ピクセル(図13(d)を参照)。
【0100】
J=2において、第1のグリッド電極に最も近接した位置から順に配置され第2のグリッド電極に対向する6個((M/4+J)個)のアノードセグメントと、第2のグリッド電極に最も近接した位置から順に配置され第1のグリッド電極に対向する2個((M/4−J)個)のアノードセグメントとが選択されて形成される選択ピクセル(図13(e)を参照)。
【0101】
また、暗線ムラの発生を防止する効果に着目すれば、この効果を達するための他の実施形態のM重アノードマトリクス方式としては、Mを2の冪乗の整数とすることなく、単に正整数Qとしても良い。選択ピクセルを構成するアノードセグメントの数は、Q個よりも小さい数であるR個であり、隣接する2つの電極の各々に少なくとも1個のアノードセグメントが対向するようにする。このような条件を満たす、異なるアノードセグメントの配置を有する複数の選択ピクセルの中の一つをフレーム毎に選択することによって暗線ムラの発生を防止する効果を得ることができる。
【0102】
発明を実施するための別の形態に係る技術は、8以上の偶数の正整数Q毎に区分され、その区分の中の並びの位置が同位置にあるアノードセグメントを列方向に連結してQ個のアノード引出線を有して形成されるアノードセグメント行と、アノードセグメント行と直交する行方向に延びグリッド引出線を有して形成されるグリッド電極と、を有し、複数個のアノードセグメント行と複数個のグリッド電極の列とをマトリック状に配置して、各々のグリッド電極と各々のアノードセグメント行の中のQ/2個のアノードセグメントとを対向させて形成される、Q重アノードマトリクス方式について、蛍光表示管、蛍光表示管の駆動回路、および蛍光表示管の駆動方法に関するものである。
【0103】
隣接する第1のグリッド電極と第2のグリッド電極とをオンとすることによって発光可能とされるQ個のアノードセグメントの中で、第1のグリッド電極に最も近接した位置から順に配置され第2のグリッド電極に対向する1個ないし(Q/2−1)個の範囲中のいずれかの個数であるR個のアノードセグメントと、第2のグリッド電極に最も近接した位置から順に配置され第1のグリッド電極に対向する(Q/2−R)個のアノードセグメントとの、合計してQ/2個のアノードセグメントが選択されて形成される複数の選択ピクセルの中の1の選択ピクセルを順次1フレームずつ表示信号に応じて発光させることを特徴とする。
【0104】
図15は、12重アノードマトリクス方式における実施形態を示す概念図である。
【0105】
図15(a)は、グリッド電極G1が第1のグリッド電極、グリッド電極G2が第2のグリッド電極としてONとなる場合における、第1のフレームの状態を示し、図15(b)は、第2のフレームの状態を示し、図15(c)は、第3のフレームの状態を示し、図15(d)は、第4のフレームの状態を示し、図15(e)は、第5のフレームの状態を示す。
【0106】
12重アノードマトリクス方式においては、アノードセグメントA、アノードセグメントB、アノードセグメントC、アノードセグメントD、アノードセグメントE、アノードセグメントF、アノードセグメントG、アノードセグメントH、アノードセグメントI、アノードセグメントJ、アノードセグメントK、アノードセグメントL、の12個のアノードセグメントを1区分に有している。
【0107】
図15(a)に示すように、第1のフレームにおいては、選択ピクセルを構成する、アノードセグメントD、アノードセグメントE、アノードセグメントF、アノードセグメントG、アノードセグメントH、アノードセグメントI、の各々が外部からの表示信号に応じて1セグメント周期を単位として同時に、ON、または、OFFとされ、他のアノードセグメントはOFFとされる。
【0108】
図15(b)に示すように、第2のフレームにおいては、選択ピクセルを構成する、アノードセグメントC、アノードセグメントD、アノードセグメントE、アノードセグメントF、アノードセグメントG、アノードセグメントH、の各々が外部からの表示信号に応じて1セグメント周期を単位として同時に、ON、または、OFFとされ、他のアノードセグメントはOFFとされる。
【0109】
図15(c)に示すように、第3のフレームにおいては、選択ピクセルを構成する、アノードセグメントB、アノードセグメントC、アノードセグメントD、アノードセグメントE、アノードセグメントF、アノードセグメントG、の各々が外部からの表示信号に応じて1セグメント周期を単位として同時に、ON、または、OFFとされ、他のアノードセグメントはOFFとされる。
【0110】
図15(d)に示すように、第4のフレームにおいては、選択ピクセルを構成する、アノードセグメントE、アノードセグメントF、アノードセグメントG、アノードセグメントH、アノードセグメントI、アノードセグメントJ、の各々が外部からの表示信号に応じて1セグメント周期を単位として同時に、ON、または、OFFとされ、他のアノードセグメントはOFFとされる。
【0111】
図15(e)に示すように、第5のフレームにおいては、選択ピクセルを構成する、アノードセグメントF、アノードセグメントG、アノードセグメントH、アノードセグメントI、アノードセグメントJ、アノードセグメントK、の各々が外部からの表示信号に応じて1セグメント周期を単位として同時に、ON、または、OFFとされ、他のアノードセグメントはOFFとされる。
【0112】
なお、グリッド電極G2が第1のグリッド電極、グリッド電極G3(グリッド電極G2に隣接する図15に図示しないグリッド電極)が第2のグリッド電極としてONとなる場合においては、以下のアノードセグメントが選択ピクセルを構成する。
【0113】
第1のフレームにおいては、アノードセグメントJ、アノードセグメントK、アノードセグメントL、アノードセグメントA、アノードセグメントB、アノードセグメントCが選択ピクセルを構成する。第2のフレームにおいては、アノードセグメントI、アノードセグメントJ、アノードセグメントK、アノードセグメントL、アノードセグメントA、アノードセグメントBが選択ピクセルを構成する。第3のフレームにおいては、アノードセグメントH、アノードセグメントI、アノードセグメントJ、アノードセグメントK、アノードセグメントL、アノードセグメントAが選択ピクセルを構成する。
【0114】
第4のフレームにおいては、アノードセグメントK、アノードセグメントL、アノードセグメントA、アノードセグメントB、アノードセグメントC、アノードセグメントDが選択ピクセルを構成する。第5のフレームにおいては、アノードセグメントL、アノードセグメントA、アノードセグメントB、アノードセグメントC、アノードセグメントD、アノードセグメントEが選択ピクセルを構成する。
【0115】
つまり、第1のフレームの状態では、隣接する2個のグリッド電極(第1のグリッド電極および第2のグリッド電極)をONとすることによって発光可能とされる12個のアノードセグメントの中で、第1のグリッド電極に最も近接した位置から順に配置され第2のグリッド電極に対向する3個のアノードセグメントと、第2のグリッド電極側に近接した位置に詰めて配置される第1のグリッド電極に対向する3個のアノードセグメントと、の合計6個のアノードセグメントからなる選択ピクセルを外部からの表示信号に応じて1セグメント周期を単位として同時に、ON、または、OFFとする。
【0116】
第2のフレームの状態では、隣接する2個のグリッド電極(第1のグリッド電極および第2のグリッド電極)をONとすることによって発光可能とされる12個のアノードセグメントの中で、第1のグリッド電極に最も近接した位置から順に配置され第2のグリッド電極に対向する2個のアノードセグメントと、第2のグリッド電極側に近接した位置に詰めて配置される第1のグリッド電極に対向する4個のアノードセグメントと、の合計6個のアノードセグメントからなる選択ピクセルを外部からの表示信号に応じて1セグメント周期を単位として同時に、ON、または、OFFとする。
【0117】
第3のフレームの状態では、隣接する2個のグリッド電極(第1のグリッド電極および第2のグリッド電極)をONとすることによって発光可能とされる12個のアノードセグメントの中で、第1のグリッド電極に最も近接した位置から順に配置され第2のグリッド電極に対向する1個のアノードセグメントと、第2のグリッド電極側に近接した位置に詰めて配置される第1のグリッド電極に対向する5個のアノードセグメントと、の合計6個のアノードセグメントからなる選択ピクセルを外部からの表示信号に応じて1セグメント周期を単位として同時に、ON、または、OFFとする。
【0118】
第4のフレームの状態では、隣接する2個のグリッド電極(第1のグリッド電極および第2のグリッド電極)をONとすることによって発光可能とされる12個のアノードセグメントの中で、第1のグリッド電極に最も近接した位置から順に配置され第2のグリッド電極に対向する4個のアノードセグメントと、第2のグリッド電極側に近接した位置に詰めて配置される第1のグリッド電極に対向する2個のアノードセグメントと、の合計6個のアノードセグメントからなる選択ピクセルを外部からの表示信号に応じて1セグメント周期を単位として同時に、ON、または、OFFとする。
【0119】
第5のフレームの状態では、隣接する2個のグリッド電極(第1のグリッド電極および第2のグリッド電極)をONとすることによって発光可能とされる12個のアノードセグメントの中で、第1のグリッド電極に最も近接した位置から順に配置され第2のグリッド電極に対向する5個のアノードセグメントと、第2のグリッド電極側に近接した位置に詰めて配置される第1のグリッド電極に対向する1個のアノードセグメントと、の合計6個のアノードセグメントからなる選択ピクセルを外部からの表示信号に応じて1セグメント周期を単位として同時に、ON、または、OFFとする。
【0120】
本実施形態の、8重アノードマトリクス方式、16重アノードマトリクス方式に加えて、12重アノードマトリクス方式も含むQ重マトリックス方式は、以下のように一般化できる。8以上の偶数の正整数Q毎に区分され、その区分の中の並びの位置が同位置にあるアノードセグメントを列方向に連結してQ個のアノード引出線を有して形成されるアノードセグメント行と、アノードセグメント行と直交する行方向に延びグリッド引出線を有して形成されるグリッド電極と、を有し、複数個のアノードセグメント行と複数個のグリッド電極の列とをマトリック状に配置して、各々のグリッド電極と各々のアノードセグメント行の中のQ/2個のアノードセグメントとを対向させて形成される、Q重アノードマトリクス方式の蛍光表示管において、隣接する第1のグリッド電極と第2のグリッド電極とをオンとすることによって発光可能とされるQ個のアノードセグメントの中で、第1のグリッド電極に最も近接した位置から順に配置され第2のグリッド電極に対向する1個ないし(Q/2−1)個の範囲中のいずれかの個数であるR個のアノードセグメントと、第2のグリッド電極に最も近接した位置から順に配置され第1のグリッド電極に対向する(Q/2−R)個のアノードセグメントとの、合計してQ/2個のアノードセグメントが選択されて形成される複数の選択ピクセルの中の1の選択ピクセルを順次1フレームずつ表示信号に応じて発光させる。
【0121】
本実施形態の、8重アノードマトリクス方式では、Q=8であり、各々のグリッド電極と4(Q/2)個のアノードセグメントとを対向させて配置し、第1のグリッド電極に最も近接した位置から順に配置され第2のグリッド電極に対向する1個ないし(Q/2−1)個の範囲中のいずれかの個数(1、2、3)であるR個のアノードセグメントと、第2のグリッド電極に最も近接した位置から順に配置され第1のグリッド電極に対向する(3、2、1)(Q/2−R)個のアノードセグメントとの、合計して4(Q/2)個のアノードセグメントが選択されて形成される、3種類の選択ピクセルの中の1の選択ピクセルを順次1フレームずつ表示信号に応じて発光させる。
【0122】
ここで、第1の選択ピクセルは、第2のグリッド電極に対向する2個のアノードセグメントと第1のグリッド電極に対向する2個のアノードセグメントとの組み合わせとなる。また、第2の選択ピクセルは、第2のグリッド電極に対向する1個のアノードセグメントと第1のグリッド電極に対向する3個のアノードセグメントとの組み合わせとなる。第3の選択ピクセルは、第2のグリッド電極に対向する3個のアノードセグメントと第1のグリッド電極に対向する1個のアノードセグメントとの組み合わせとなる。
【0123】
本実施形態の、上述した12重アノードマトリクス方式では、Q=12であり、各々のグリッド電極と6(Q/2)個のアノードセグメントとを対向させて配置し、第1のグリッド電極に最も近接した位置から順に配置され第2のグリッド電極に対向する1個ないし(Q/2−1)個の範囲中のいずれかの個数(1、2、3、4、5)であるR個のアノードセグメントと、第2のグリッド電極に最も近接した位置から順に配置され第1のグリッド電極に対向する(5、4、3、2、1)(Q/2−R)個のアノードセグメントとの、合計して6(Q/2)個のアノードセグメントが選択されて形成される、5種類の選択ピクセルの中の1の選択ピクセルを順次1フレームずつ表示信号に応じて発光させる。
【0124】
本実施形態の、16重アノードマトリクス方式では、Q=16であり、各々のグリッド電極と8(Q/2)個のアノードセグメントとを対向させて配置し、第1のグリッド電極に最も近接した位置から順に配置され第2のグリッド電極に対向する1個ないし(Q/2−1)個の範囲中のいずれかの個数(1、2、3、4、5、6、7)であるR個のアノードセグメントと、第2のグリッド電極に最も近接した位置から順に配置され第1のグリッド電極に対向する(7、6、5、4、3、2、1)(Q/2−R)個のアノードセグメントとの、合計して8(Q/2)個のアノードセグメントが選択されて形成される、7種類の選択ピクセルの中の1の選択ピクセルを順次1フレームずつ表示信号に応じて発光させる。
【0125】
ここで、第1の選択ピクセルは、第2のグリッド電極に対向する4個のアノードセグメントと第1のグリッド電極に対向する4個のアノードセグメントとの組み合わせとなる。また、第2の選択ピクセルは、第2のグリッド電極に対向する3個のアノードセグメントと第1のグリッド電極に対向する5個のアノードセグメントとの組み合わせとなる。第3の選択ピクセルは、第2のグリッド電極に対向する2個のアノードセグメントと第1のグリッド電極に対向する6個のアノードセグメントとの組み合わせとなる。第4の選択ピクセルは、第2のグリッド電極に対向する1個のアノードセグメントと第1のグリッド電極に対向する7個のアノードセグメントとの組み合わせとなる。第5の選択ピクセルは、第2のグリッド電極に対向する5個のアノードセグメントと第1のグリッド電極に対向する3個のアノードセグメントとの組み合わせとなる。第6の選択ピクセルは、第2のグリッド電極に対向する6個のアノードセグメントと第1のグリッド電極に対向する2個のアノードセグメントとの組み合わせとなる。第7の選択ピクセルは、第2のグリッド電極に対向する7個のアノードセグメントと第1のグリッド電極に対向する1個のアノードセグメントとの組み合わせとなる。
【0126】
本実施形態の16重アノードマトリクス方式では選択ピクセルの数は7種類となり、上述した選択ピクセルの数が5種類の実施形態の16重アノードマトリクス方式よりも、選択ピクセルの数を増やして、暗線ムラの発生を防止する効果をより高くすることができる。なお、Q=16とする、16重アノードマトリクス方式では隣接する一方のグリッド電極に対向する、1個ないし(Q/2−1)個の範囲中においてRの個数を選ぶようにしても良い。2個ないし(Q/2−2)個の中のいずれかの個数であるR個のアノードセグメントと、第2のグリッド電極に最も近接した位置から順に配置され第1のグリッド電極に対向する(Q/2−R)個のアノードセグメントとの、合計して(Q/2)個のアノードセグメントが選択されて選択ピクセルが形成されるようにすれば、上述した選択ピクセルの数が5種類の実施形態の16重アノードマトリクス方式と同じ構成となる。一般的には、Q重アノードマトリクス方式において、Q=2Kで表わせる場合には、隣接する一方のグリッド電極に対向する、2(k-3)個ないし(Q/2−2(k-3))個の中のいずれかの個数であるR個のアノードセグメントと、第2のグリッド電極に最も近接した位置から順に配置され第1のグリッド電極に対向する(Q/2−R)個のアノードセグメントとの、合計して(Q/2)個のアノードセグメントが選択されて選択ピクセルが形成されるようにすれば、先に述べた実施形態と同様の構成となる。
【0127】
本実施形態においても、図14に示すようにして、蛍光表示管の内部に駆動回路を内蔵するドライバ内蔵蛍光表示管(CIGVFD)を構成するようにしても良い。
【0128】
上述した実施形態を組み合わせて新たな実施形態とすることもできる。例えば、実施形態の技術においては、8重マトリック方式では、選択ピクセルの数は3種類、16重マトリックス方式では、5種類の選択ピクセルがある。ここで、すべての選択ピクセルを、順次1フレームずつ表示信号に応じて発光させるのみならず、8重マトリックス方式では3種類の範囲以内の任意の数の選択ピクセルを選んで、16重マトリックス方式では5種類の範囲以内の任意の数の選択ピクセルを選んで、順次1フレームずつ表示信号に応じて発光させることもできる。別の実施形態の技術においては、8重マトリック方式では、選択ピクセルの数は3種類、12重マトリックス方式では、5種類、16重マトリックス方式では、7種類の選択ピクセルがある。ここで、すべての選択ピクセルを、順次1フレームずつ表示信号に応じて発光させるのみならず、8重マトリックス方式では3種類の範囲以内の任意の数の選択ピクセルを選んで、12重マトリックス方式では5種類の範囲以内の任意の数の選択ピクセルを選んで、16重マトリックス方式では7種類の範囲以内の任意の数の選択ピクセルを選んで、順次1フレームずつ表示信号に応じて発光させることもできる。また、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではないことは言うまでもない。
【符号の説明】
【0129】
10 駆動回路、 11 外部インターフェイス、 12 ラム、 13 カウンタ、 14 フレームカウンタ、 15 タイミングジェネレータ、 30 ドライバ内蔵蛍光表示管、 31 カソード、 32 グリッド電極、 33 アノードセグメント、 34 ベースプレート、 35 フィラメントリード、 36 ドライバチップ用リード、 A、B、C、D、E、F、G、H、I、J、K、L、M、N、O、P アノードセグメント、 DA1、DA1A、DA1B、DA1C、DA1D、DA1E、DA1F、DA1G、DA1H、DA2、DA2A、DA2H、DAm、DAmA、DAmH、DG1、DG2、DG4、DGn グリッド引出線、 G1、G2、G3、G4、Gn グリッド電極
【技術分野】
【0001】
本発明は、蛍光表示管、蛍光表示管の駆動回路、および蛍光表示管の駆動方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
蛍光表示管に関する技術として、多重マトリクス駆動方式に適した蛍光表示管(VFD)、および、このような蛍光表示管を駆動する多重マトリクス駆動方式、さらには、蛍光表示管の内部に駆動回路を内蔵するドライバ内蔵蛍光表示管(CIGVFD)が背景技術として知られている(特許文献1、特許文献2、非特許文献1)。背景技術の多重マトリクス駆動方式では、シングルマトリックス方式に比べてデューティファクタを向上させることができるとともに、表示品位(表示の品質)が、シングルマトリックス方式に比べてより良好なる表示を得ることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2000−306532号公報
【特許文献2】特開2003−228334号公報
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】岸野隆雄編著「蛍光表示管」産業図書株式会社、平成2年10月31日、p.170―183、および、p.226―248
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
背景技術に示す多重マトリクス駆動方式の技術によれば、シングルマトリックス方式に比べて表示品位がより良好なる表示を得ることができるものの、さらに良好なる表示品位に対する要望がある。本発明は、かかる課題を解決して、従来に比べてさらに良好なる表示品位を得ることができる技術を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の蛍光表示管は、2のK乗で表わされる8以上の正整数M毎に区分され、その区分の中の並びの位置が同位置にあるアノードセグメントを列方向に連結してM個のアノード引出線を有して形成されるアノードセグメント行と、前記アノードセグメント行と直交する行方向に延びグリッド引出線を有して形成されるグリッド電極と、を有し、複数個の前記アノードセグメント行と複数個の前記グリッド電極の列とをマトリック状に配置して、各々のグリッド電極と各々のアノードセグメント行の中のM/2個のアノードセグメントとを対向させて形成される、M重アノードマトリクス方式の蛍光表示管において、隣接する第1のグリッド電極と第2のグリッド電極とをオンとすることによって発光可能とされるM個のアノードセグメントの中で、前記第1のグリッド電極に最も近接した位置から順に配置され前記第2のグリッド電極に対向する(M/4)個のアノードセグメントと、前記第2のグリッド電極に最も近接した位置から順に配置され前記第1のグリッド電極に対向する(M/4)個のアノードセグメントと、が選択されて形成される選択ピクセルと、前記第1のグリッド電極に最も近接した位置から順に配置され前記第2のグリッド電極に対向する(M/4−J)個のアノードセグメントと、前記第2のグリッド電極に最も近接した位置から順に配置され前記第1のグリッド電極に対向する(M/4+J)個のアノードセグメントと、を有するように、Jの値を1から2(K-3)まで変化させて選択されて形成される1または複数の選択ピクセルと、前記第1のグリッド電極に最も近接した位置から順に配置され前記第2のグリッド電極に対向する(M/4+J)個のアノードセグメントと、前記第2のグリッド電極に最も近接した位置から順に配置され前記第1のグリッド電極に対向する(M/4−J)個のアノードセグメントと、を有するように、Jの値を1から2(K-3)まで変化させて選択されて形成される1または複数の選択ピクセルと、の中の1の選択ピクセルを順次1フレームずつ表示信号に応じて発光させる駆動回路を具備する。
【0007】
本発明の蛍光表示管の駆動回路は、2のK乗で表わされる8以上の正整数M毎に区分され、その区分の中の並びの位置が同位置にあるアノードセグメントを列方向に連結してM個のアノード引出線を有して形成されるアノードセグメント行と、前記アノードセグメント行と直交する行方向に延びグリッド引出線を有して形成されるグリッド電極と、を有し、複数個の前記アノードセグメント行と複数個の前記グリッド電極の列とをマトリック状に配置して、各々のグリッド電極と各々のアノードセグメント行の中のM/2個のアノードセグメントとを対向させて形成される、M重アノードマトリクス方式の蛍光表示管を駆動する蛍光表示管の駆動回路において、隣接する第1のグリッド電極と第2のグリッド電極とをオンとすることによって発光可能とされるM個のアノードセグメントの中で、前記第1のグリッド電極に最も近接した位置から順に配置され前記第2のグリッド電極に対向する(M/4)個のアノードセグメントと、前記第2のグリッド電極に最も近接した位置から順に配置され前記第1のグリッド電極に対向する(M/4)個のアノードセグメントと、が選択されて形成される選択ピクセルと、前記第1のグリッド電極に最も近接した位置から順に配置され前記第2のグリッド電極に対向する(M/4−J)個のアノードセグメントと、前記第2のグリッド電極に最も近接した位置から順に配置され前記第1のグリッド電極に対向する(M/4+J)個のアノードセグメントと、を有するように、Jの値を1から2(K-3)まで変化させて選択されて形成される1または複数の選択ピクセルと、前記第1のグリッド電極に最も近接した位置から順に配置され前記第2のグリッド電極に対向する(M/4+J)個のアノードセグメントと、前記第2のグリッド電極に最も近接した位置から順に配置され前記第1のグリッド電極に対向する(M/4−J)個のアノードセグメントと、を有するように、Jの値を1から2(K-3)まで変化させて選択されて形成される1または複数の選択ピクセルと、の中の1の選択ピクセルを順次1フレームずつ表示信号に応じて発光させる。
【0008】
本発明の蛍光表示管の駆動方法は、2のK乗で表わされる8以上の正整数M毎に区分され、その区分の中の並びの位置が同位置にあるアノードセグメントを列方向に連結してM個のアノード引出線を有して形成されるアノードセグメント行と、前記アノードセグメント行と直交する行方向に延びグリッド引出線を有して形成されるグリッド電極と、を有し、複数個の前記アノードセグメント行と複数個の前記グリッド電極の列とをマトリック状に配置して、各々のグリッド電極と各々のアノードセグメント行の中のM/2個のアノードセグメントとを対向させて形成される、M重アノードマトリクス方式の蛍光表示管を駆動する蛍光表示管の駆動方法において、隣接する第1のグリッド電極と第2のグリッド電極とをオンとすることによって発光可能とされるM個のアノードセグメントの中で、前記第1のグリッド電極に最も近接した位置から順に配置され前記第2のグリッド電極に対向する(M/4)個のアノードセグメントと、前記第2のグリッド電極に最も近接した位置から順に配置され前記第1のグリッド電極に対向する(M/4)個のアノードセグメントと、が選択されて形成される選択ピクセルと、前記第1のグリッド電極に最も近接した位置から順に配置され前記第2のグリッド電極に対向する(M/4−J)個のアノードセグメントと、前記第2のグリッド電極に最も近接した位置から順に配置され前記第1のグリッド電極に対向する(M/4+J)個のアノードセグメントと、を有するように、Jの値を1から2(K-3)まで変化させて選択されて形成される1または複数の選択ピクセルと、前記第1のグリッド電極に最も近接した位置から順に配置され前記第2のグリッド電極に対向する(M/4+J)個のアノードセグメントと、前記第2のグリッド電極に最も近接した位置から順に配置され前記第1のグリッド電極に対向する(M/4−J)個のアノードセグメントと、を有するように、Jの値を1から2(K-3)まで変化させて選択されて形成される1または複数の選択ピクセルと、の中の1の選択ピクセルを順次1フレームずつ表示信号に応じて発光させる。
【0009】
本発明の別の蛍光表示管は、8以上の偶数の正整数Q毎に区分され、その区分の中の並びの位置が同位置にあるアノードセグメントを列方向に連結してQ個のアノード引出線を有して形成されるアノードセグメント行と、前記アノードセグメント行と直交する行方向に延びグリッド引出線を有して形成されるグリッド電極と、を有し、複数個の前記アノードセグメント行と複数個の前記グリッド電極の列とをマトリック状に配置して、各々のグリッド電極と各々のアノードセグメント行の中のQ/2個のアノードセグメントとを対向させて形成される、Q重アノードマトリクス方式の蛍光表示管において、隣接する第1のグリッド電極と第2のグリッド電極とをオンとすることによって発光可能とされるQ個のアノードセグメントの中で、前記第1のグリッド電極に最も近接した位置から順に配置され前記第2のグリッド電極に対向する1個ないし(Q/2−1)個の範囲中のいずれかの個数であるR個のアノードセグメントと、前記第2のグリッド電極に最も近接した位置から順に配置され前記第1のグリッド電極に対向する(Q/2−R)個のアノードセグメントとの、合計してQ/2個のアノードセグメントが選択されて形成される複数の選択ピクセルの中の1の選択ピクセルを順次1フレームずつ表示信号に応じて発光させる駆動回路を具備する。
【0010】
本発明の別の蛍光表示管の駆動回路は、8以上の偶数の正整数Q毎に区分され、その区分の中の並びの位置が同位置にあるアノードセグメントを列方向に連結してQ個のアノード引出線を有して形成されるアノードセグメント行と、前記アノードセグメント行と直交する行方向に延びグリッド引出線を有して形成されるグリッド電極と、を有し、複数個の前記アノードセグメント行と複数個の前記グリッド電極の列とをマトリック状に配置して、各々のグリッド電極と各々のアノードセグメント行の中のQ/2個のアノードセグメントとを対向させて形成される、Q重アノードマトリクス方式の蛍光表示管において、隣接する第1のグリッド電極と第2のグリッド電極とをオンとすることによって発光可能とされるQ個のアノードセグメントの中で、前記第1のグリッド電極に最も近接した位置から順に配置され前記第2のグリッド電極に対向する1個ないし(Q/2−1)個の範囲中のいずれかの個数であるR個のアノードセグメントと、前記第2のグリッド電極に最も近接した位置から順に配置され前記第1のグリッド電極に対向する(Q/2−R)個のアノードセグメントとの、合計してQ/2個のアノードセグメントが選択されて形成される複数の選択ピクセルの中の1の選択ピクセルを順次1フレームずつ表示信号に応じて発光させる。
【0011】
本発明の別の蛍光表示管の駆動方法は、8以上の偶数の正整数Q毎に区分され、その区分の中の並びの位置が同位置にあるアノードセグメントを列方向に連結してQ個のアノード引出線を有して形成されるアノードセグメント行と、前記アノードセグメント行と直交する行方向に延びグリッド引出線を有して形成されるグリッド電極と、を有し、複数個の前記アノードセグメント行と複数個の前記グリッド電極の列とをマトリック状に配置して、各々のグリッド電極と各々のアノードセグメント行の中のQ/2個のアノードセグメントとを対向させて形成される、Q重アノードマトリクス方式の蛍光表示管を駆動する蛍光表示管の駆動方法において、隣接する第1のグリッド電極と第2のグリッド電極とをオンとすることによって発光可能とされるQ個のアノードセグメントの中で、前記第1のグリッド電極に最も近接した位置から順に配置され前記第2のグリッド電極に対向する1個ないし(Q/2−1)個の範囲中のいずれかの個数であるR個のアノードセグメントと、前記第2のグリッド電極に最も近接した位置から順に配置され前記第1のグリッド電極に対向する(Q/2−R)個のアノードセグメントとの、合計してQ/2個のアノードセグメントが選択されて形成される複数の選択ピクセルの中の1の選択ピクセルを順次1フレームずつ表示信号に応じて発光させる。
【発明の効果】
【0012】
本発明の蛍光表示管の技術によれば、2つのグリッド電極に対向する複数の選択ピクセルの中から1つの選択ピクセルを順次選択して、1フレームの間、表示信号に応じて発光させるので、選択ピクセルの両端に生じる暗線ムラの発生を低減して、表示品位を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】実施形態の8重アノードマトリクス方式の蛍光表示管(VFD)の表示面側から見た電極構造の概念図である。
【図2】アノードセグメントからの引出線の部分を示す図1の部分拡大図である。
【図3】実施形態の8重アノードマトリクス方式の蛍光表示管の表示面と直交する断面側から見た電極構造の概念図である。
【図4】図1に示す蛍光表示管の表示の態様を説明する図である。
【図5】アノードセグメントの輝度の差(表示ムラまたは暗線ムラ)の発生する部分である表示ムラ発生部を模式的に示す図である。
【図6】表示ムラが生じる原因を模式的に示す図である。
【図7】実施形態の駆動方法を模式的に示す図である。
【図8】実施形態の駆動方法を模式的に示す図である。
【図9】実施形態の蛍光表示管を駆動する実施形態の駆動回路のブロック図である。
【図10】第1のフレームにおけるタイミングチャートである。
【図11】第2のフレームにおけるタイミングチャートである。
【図12】第3のフレームにおけるタイミングチャートである。
【図13】16重アノードマトリクス方式における実施形態を示す概念図である。
【図14】蛍光表示管の内部に駆動回路を内蔵するドライバ内蔵蛍光表示管(CIGVFD)の斜視断面図である。
【図15】12重アノードマトリクス方式における実施形態を示す概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
発明を実施するための形態に係る技術は、2のK乗で表わされる8以上の正整数M毎に区分され、その区分の中の並びの位置が同位置にあるアノードセグメントを列方向に連結してM個のアノード引出線を有して形成されるアノードセグメント行と、アノードセグメント行と直交する行方向に延びグリッド引出線を有して形成されるグリッド電極と、を有し、複数個のアノードセグメント行と複数個のグリッド電極の列とをマトリック状に配置して、各々のグリッド電極と各々のアノードセグメント行の中のM/2個のアノードセグメントとを対向させて形成される、M重アノードマトリクス方式について、蛍光表示管、蛍光表示管の駆動回路、および蛍光表示管の駆動方法に関するものである。
【0015】
隣接する第1のグリッド電極と第2のグリッド電極とをオンとすることによって発光可能とされるM個のアノードセグメントの中で、第1のグリッド電極に最も近接した位置から順に配置され第2のグリッド電極に対向する(M/4)個のアノードセグメントと第2のグリッド電極に最も近接した位置から順に配置され第1のグリッド電極に対向する(M/4)個のアノードセグメントとが選択されて形成される選択ピクセルと、第1のグリッド電極に最も近接した位置から順に配置され第2のグリッド電極に対向する(M/4−J)個のアノードセグメントと、第2のグリッド電極に最も近接した位置から順に配置され第1のグリッド電極に対向する(M/4+J)個のアノードセグメントと、を有するように、Jの値を1から2(K-3)まで変化させて選択されて形成される1または複数の選択ピクセルと、第1のグリッド電極に最も近接した位置から順に配置され第2のグリッド電極に対向する(M/4+J)個のアノードセグメントと、第2のグリッド電極に最も近接した位置から順に配置され第1のグリッド電極に対向する(M/4−J)個のアノードセグメントと、を有するように、Jの値を1から2(K-3)まで変化させて選択されて形成される1または複数の選択ピクセルと、の中の1の選択ピクセルを順次1フレームずつ表示信号に応じて発光させることを特徴とする。
【0016】
実施形態の、8重アノードマトリクス方式の蛍光表示管、その蛍光表示管の駆動回路、およびその蛍光表示管の駆動方法について以下の図1〜図12、図14を参照して説明をする。
【0017】
図1は、実施形態の8重アノードマトリクス方式の蛍光表示管(VFD)の表示面側から見た電極構造の概念図である。図1の紙面の横列(横方向に並んだ列)を列と称し、図1の紙面の縦列(縦方向に並んだ列)を行と称する。グリッド電極G1は、1行目の「アノードセグメントA、アノードセグメントB、アノードセグメントC、アノードセグメントD」、2行目の「アノードセグメントA、アノードセグメントB、アノードセグメントC、アノードセグメントD」、・・・・m−1行目の「アノードセグメントA、アノードセグメントB、アノードセグメントC、アノードセグメントD」、m行目の「アノードセグメントA、アノードセグメントB、アノードセグメントC、アノードセグメントD」、と対向するように、図1の紙面横方向に延在して形成される。グリッド電極G2は、1行目の「アノードセグメントE、アノードセグメントF、アノードセグメントG、アノードセグメントH」、2行目の「アノードセグメントE、アノードセグメントF、アノードセグメントG、アノードセグメントH」、・・・・m−1行目の「アノードセグメントE、アノードセグメントF、アノードセグメントG、アノードセグメントH」、m行目の「アノードセグメントE、アノードセグメントF、アノードセグメントG、アノードセグメントH」、と対向するように、図1の紙面横方向に延在して形成される。同様にして、グリッド電極G3(図1には図示せず)・・・・グリッド電極Gn-1、グリッド電極Gnの各々が、図1の紙面横方向に延在して形成される。グリッド電極G1〜グリッド電極Gnの各々が、延在する方向を行方向と称し、グリッド電極G1〜グリッド電極Gnの各々が延在する行方向と直交する方向を列方向と称する。行方向に延在する各々のグリッド電極は、列方向に、グリッド電極G1、グリッド電極G2、・・・グリッド電極Gn-1、グリッド電極Gn、と順番に配列されている。
【0018】
図1の例では、m行のアノードセグメント行とn列のグリッド電極の列とをマトリック状に配置して、各々のグリッド電極と各々のアノードセグメント行の中の4個のアノードセグメントとを対向させて形成される。なお、1のアノードセグメント行は、4×n個のアノードセグメントを有して形成されている。
グリッド電極G1にグリッド引出線DG1が接続されている。同様に、グリッド電極G2にグリッド引出線DG2が接続されており、・・・グリッド電極Gn-1にグリッド引出線DGn-1が接続されており、グリッド電極Gnにグリッド引出線DGnが接続されている。このようにして、n個のグリッド電極の各々からn本のグリッド電極引出線が引出されている。
【0019】
複数列のグリッド電極の各々に対向して、アノードセグメントA(図1の四角内にAを付したアノードセグメント)〜アノードセグメントH(図1の四角内にHを付したアノードセグメント)の8個のアノードセグメントが、列方向に繰り返して順番に配置されている。
【0020】
グリッド電極の各々に対向して配置された、同じ行に位置する同じ符号を有するアノードセグメントは相互に接続されている。例えば、グリッド電極G1に対向する1行目のアノードセグメントA、グリッド電極G3に対向する1行目のアノードセグメントA(図1には図示せず)、・・・グリッド電極Gn-1に対向する1行目のアノードセグメントAは、相互に接続されている。同様にして、アノードセグメントB〜アノードセグメントHについても同じ符号のアノードセグメントが相互に接続されている。すなわち、アノードセグメントは、図1の紙面の縦方向に8個毎に区分され、その区分の中の並びの位置が同位置にあるアノードセグメントを連結して8個のアノード引出線を有して形成されるアノードセグメント行を形成している。
【0021】
このようにして、1行目からm行目の各行について、相互に接続された複数個のアノードセグメントAと、相互に接続された複数個のアノードセグメントBと、相互に接続された複数個のアノードセグメントCと、相互に接続された複数個のアノードセグメントDと、相互に接続された複数個のアノードセグメントEと、相互に接続された複数個のアノードセグメントFと、相互に接続された複数個のアノードセグメントGと、相互に接続された複数個のアノードセグメントHと、を有する蛍光表示管は、8重アノードマトリクス方式の蛍光表示管と称される。一般的には、一列に配置されたアノードセグメントをM(整数)毎に区分して、その区分の中の並びの位置が同位置にあるアノードセグメントを連結して駆動する蛍光表示管をM重アノードマトリクス方式の蛍光表示管と称する。
【0022】
図2は、アノードセグメントからの引出線の部分を示す図1の部分拡大図である。アノード引出線DA1は1行目のアノードセグメントの引出線である。アノード引出線DA2は2行目のアノードセグメントの引出線である。アノード引出線DAmはm行目のアノードセグメントの引出線である。アノード引出線DA1は、1行目の(1行目に配列される)アノードセグメントAからのアノード引出線DA1A、1行目のアノードセグメントBからのアノード引出線DA1B、1行目のアノードセグメントCからのアノード引出線DA1C、1行目のアノードセグメントDからのアノード引出線DA1D、1行目のアノードセグメントEからのアノード引出線DA1E、1行目のアノードセグメントFからのアノード引出線DA1F、1行目のアノードセグメントGからのアノード引出線DA1G、1行目のアノードセグメントHからのアノード引出線DA1Hを有している。同様に、アノード引出線DA2は、2行目の(2行目に配列される)アノードセグメントからのアノード引出線DA2A〜アノード引出線DA2Hを有し、アノード引出線DAmは、m行目の(m行目に配列される)アノードセグメントからのアノード引出線DAmA〜アノード引出線DAmHを有している。1行目からm行目までのすべてのアノードセグメントについてこのように接続して、8×m本のアノード引出線が引出されている。
【0023】
図3は、8重アノードマトリクス方式の蛍光表示管の表示面と直交する断面側から見た電極構造の概念図である。図3からアノードセグメントA〜アノードセグメントHとグリッド電極とカソードとの配置関係が見て取れる。グリッド電極は、金属メッシュ状の形態をしており、カソードで発生した電子がグリッド電極を透過するか否かを制御する。正の電圧をグリッド電極に印加して電子がグリッドを透過するようにするためにグリッド引出線に正の電圧を与える場合をオン(ON)と称し、正の電圧をグリッド電極に印加せず電子がグリッド電極を透過しないようするためにグリッド引出線に正の電圧を与えない場合をオフ(OFF)と称する。
【0024】
アノードセグメントA〜アノードセグメントHには蛍光体が塗布されており、電子の衝突によって発光をする。ここで、電子を透過させるに十分なカソードに対する正の電圧がグリッド電極に印加されている場合であって、かつ、このグリッド電極に対向するアノードセグメントに電子を加速させるに十分なカソードに対する正の電圧が印加されている場合にのみ、該当するアノードセグメントは発光する。つまり、蛍光表示管の表示面から見て、図1の紙面の横方向(行方向)に延在して形成されるグリッド電極の中で正の電圧が印加された(ONとされた)グリッド電極に対向するアノードセグメントは発光可能とされる。しかしながら、発光可能とされる8個のアノードセグメントの中で、実際に発光するアノードセグメントは、正の電圧が印加されたアノードセグメントのみである。
【0025】
図4は、図1に示す蛍光表示管の表示の態様を説明する図である。蛍光表示管の表示に際しては、隣接する2個のグリッド電極を同時に選択して、この2個のグリッド電極に正の電圧を印加する。例えば、図4(a)はグリッド電極G1とグリッド電極G2とに電子が透過できるような正の電圧を印加する場合を示す。図4(b)はグリッド電極G2とグリッド電極G3とに電子が透過できるような正の電圧を印加する場合を示す。図4(c)はグリッド電極G3とグリッド電極G4とに電子が透過できるような正の電圧を印加する場合を示す。
【0026】
実施形態における基本の発光の態様は、隣接する2つのグリッド電極に正の電圧を印加してこの2つのグリッド電極に対向する8つのアノードセグメントの中でも、隣接する他のグリッド電極に最も接近した位置から順に配置される2つのグリッド電極の各々に対向する2×2個(合計4個)のアノードセグメントの部分、すなわち、アノードセグメントとカソードとの空間の電界強度が最も均一となる部分、のみを発光させるようにしている。
【0027】
図4を参照して、以下に具体的な例を挙げて発光の態様を説明する。例えば、発光部を右から左に移動させる一例で説明をする。この移動の速度は、後述する1フレームの走査時間に比べて遅いのが一般的である。
【0028】
グリッド電極G1とグリッド電極G2とに正の電圧を印加して、アノードセグメントC、アノードセグメントD、アノードセグメントE、アノードセグメントFの各々に接続されたアノード引出線に対して該アノードセグメントが発光するような正の電圧を印加する(図4(a)を参照)。グリッド電極G2とグリッド電極G3とに正の電圧を印加して、アノードセグメントG、アノードセグメントH、アノードセグメントA、アノードセグメントBの各々に接続されたアノード引出線に対して該アノードセグメントが発光するような正の電圧を印加する(図4(b)を参照)。グリッド電極G3とグリッド電極G4とに正の電圧を印加して、アノードセグメントC、アノードセグメントD、アノードセグメントE、アノードセグメントFの各々に接続されたアノード引出線に対して該アノードセグメントが発光するような正の電圧を印加する(図4(c)を参照)。この結果として、図4において、ハッチングを施したアノードセグメントが、図4(a)、図4(b)、図4(c)に示すように順次発光し、発光する部分が移動するように視認されることになる。実施形態では、グリッド電極の走査の速度は速く、列方向の発光の移動の視認は困難である。図4(a)、図4(b)、図4(c)は、実施形態では、異なるフレームにおける表示態様を示すものである。
【0029】
以下の説明において、正の電圧をアノードセグメントに与えることをオン(ON)と称し、正の電圧をアノードセグメントに与えないことをオフ(OFF)と称する。
【0030】
上述したように、グリッド電極の制御においては、列方向に順次隣接する2個のグリッド電極がONとなるように選択され、例えば、右端に位置するグリッド電極G1およびグリッド電極G2が選択され、選択される電極の位置が順次、左側に移動し、最後は、グリッド電極Gn-1およびグリッド電極Gnが選択される。この一連の処理を1フレームの処理と称する。なお、上述した例では表示が移動する場合について説明をしたが、移動しない表示をする場合においても、2つのグリッド電極を順次選択する1フレームの処理は、アノードセグメントをどのように処理するかにはかかわりなく常時おこなわれる。
【0031】
上述したように、実施形態では、2つのグリッド電極をONとして、そのグリッドに対向するアノードセグメントの中の連続した特定のアノードセグメントだけを発光させる。一斉に発光するこの連続した領域をピクセルと称する。つまり、アノードセグメントの発光は、ピクセルを単位としておこなわれる。そして、2つのグリッド電極に対応するピクセルの種類が複数の種類ある場合にその複数種類から選択される1のピクセルを選択ピクセルと称する。
【0032】
実施形態の8重アノードマトリクス方式の蛍光表示管では、8つのアノードセグメントの中から、選択された4つのアノードセグメント(この4つのアノードセグメントは、図4に示すように密接した位置にある)が1ピクセルを形成し、どの位置にある4つのアノードセグメントを選択するかによってピクセルが異なる。この4つのアノードセグメントの位置の組み合わせが異なるピクセルの中で選択される1のピクセルが、上述した選択ピクセルである。詳細は後述するが、実施形態の多重アノードマトリクス方式の蛍光表示管では、表示信号(図9を参照)に応じて選択ピクセルを特定するとともに、表示信号が指定する表示内容に従い選択ピクセルのONとOFFとを制御し、表示信号に含まれる同期信号に応じて順次2つのグリッド電極をONとして1フレームの表示をおこなっている。
【0033】
図4を参照して、具体的に8重アノードマトリクス方式の蛍光表示管のピクセルについて説明をする。2つの隣接するグリッド電極を同時にONとして、対向する8つのアノードセグメントの中で、連続した4つのアノードセグメントで1ピクセルを構成する場合のピクセルとしては、以下の8種類の組み合わせが存在する。「アノードセグメントA、アノードセグメントB、アノードセグメントC、アノードセグメントD」からなるピクセル。「アノードセグメントB、アノードセグメントC、アノードセグメントD、アノードセグメントE」からなるピクセル。「アノードセグメントC、アノードセグメントD、アノードセグメントE、アノードセグメントF」からなるピクセル。「アノードセグメントD、アノードセグメントE、アノードセグメントF、アノードセグメントG」からなるピクセル。「アノードセグメントE、アノードセグメントF、アノードセグメントG、アノードセグメントH」からなるピクセル。「アノードセグメントF、アノードセグメントG、アノードセグメントH、アノードセグメントA」からなるピクセル。「アノードセグメントG、アノードセグメントH、アノードセグメントA、アノードセグメントB」からなるピクセル。「アノードセグメントH、アノードセグメントA、アノードセグメントB、アノードセグメントC」からなるピクセル。また、少なくとも1個のアノードセグメントが各々のグリッド電極に対向するようにした連続した4つのアノードセグメントで1ピクセルを構成する場合のピクセルとしては、「アノードセグメントA、アノードセグメントB、アノードセグメントC、アノードセグメントD」および「アノードセグメントE、アノードセグメントF、アノードセグメントG、アノードセグメントH」からなるピクセルが除かれ6種類の組み合わせが存在する。
【0034】
図4を参照して、具体的に8重アノードマトリクス方式の蛍光表示管の選択ピクセルの一例について説明をする。図4(a)では、アノードセグメントC、アノードセグメントD、アノードセグメントE、アノードセグメントFが選択ピクセルを構成している。図4(b)では、アノードセグメントG、アノードセグメントH、アノードセグメントA、アノードセグメントBが選択ピクセルを構成している。図4(C)では、アノードセグメントC、アノードセグメントD、アノードセグメントE、アノードセグメントFが選択ピクセルを構成している。図4に示す例では、同時に正の電圧を加えONとした隣接する2個のグリッド電極に対向する8つアノードセグメントの中で、他のグリッド電極により近い4個のアノードセグメントを選択ピクセルとして選び、この選択ピクセルを発光させることによって、表示の輝度を均一とするようにしている。
【0035】
アノードセグメントの制御に際しては、グリッド電極の選択に同期して行毎にその行に属するすべてのアノードセグメントに対して同時に制御がおこなわれる。アノードセグメントを発光させるか否かについては各行のアノード引出線をONとするかOFFとするかによって制御される。つまり、ONとされたアノード引出線に接続されるアノードセグメントが選択ピクセルを構成し、OFFとされたアノード引出線に接続されるアノードセグメントは選択ピクセルを構成しない。上述したように、選択ピクセルの制御は行単位で行われる。このような制御をするための駆動回路の詳細については後述する。
【0036】
図4に示す構成を参照して、選択ピクセルを構成するアノードセグメントをどのように選ぶのが好ましいかについて詳細に説明をする。まず、選択ピクセルに含まれる各アノードセグメント間における輝度の差について説明をする。例えば、グリッド電極G1とグリッド電極G2とをONとし、グリッド電極G3をOFFとする場合において、選択ピクセルにアノードセグメントGとアノードセグメントFを含ませて発光させた場合(図4には、この発光状態については図示せず)のアノードセグメントGの輝度は、アノードセグメントFの輝度よりも低くなる。また、グリッド電極G1とグリッド電極G2とをONとし、グリッド電極G3をOFFとする場合において、アノードセグメントHとアノードセグメントGとを選択ピクセルに含ませて発光させた場合(図4には、この発光状態については図示せず)のアノードセグメントHの輝度は、アノードセグメントGの輝度よりも低くなる。このような輝度の違いが生じる理由は、OFFとされたグリッド電極G3の影響が、グリッド電極G3により近い、アノードセグメントH、アノードセグメントG、アノードセグメントFの順でより強く及ぶからである。
【0037】
さらに、グリッド電極G1とグリッド電極G2とをONとし、グリッド電極G3をOFFとする場合において、アノードセグメントC、アノードセグメントD、アノードセグメントE、アノードセグメントFを選択ピクセルとして発光させた場合(図4(a)を参照)、アノードセグメントFの輝度は、アノードセグメントEの輝度よりも低くなるのみならず、アノードセグメントFの内部においても輝度の差が生じることを本願願書に記載の発明者らは観測した。同様に、アノードセグメントCの輝度は、アノードセグメントDの輝度よりも低くなるのみならず、アノードセグメントCの内部において輝度の差が生じることも同様に観測した。
【0038】
図5は、アノードセグメントCの内部における輝度の差(表示ムラまたは暗線ムラ)の発生する部分、アノードセグメントFの内部における輝度の差(表示ムラまたは暗線ムラ)の発生する部分である表示ムラ発生部を模式的に示す図である。このような表示ムラは、選択ピクセル(図4(a)では、アノードセグメントC、アノードセグメントD、アノードセグメントE、アノードセグメントFで構成される)の両端ラインで生じる。ここで、選択ピクセルの両端に隣接するアノードセグメントはOFFとされている。つまり、このような輝度の違いが生じる理由は、選択ピクセルの一方端に隣接するOFFとされたアノードセグメントGの影響がアノードセグメントFに及び、選択ピクセルの他方端に隣接するOFFとされたアノードセグメントBの影響がアノードセグメントCに及ぶからである。
【0039】
このような表示ムラが生じる結果として、行方向に暗線(輝度が一段階低下した発光部によって形成される線)が生じて表示品位が劣化してしまう。この行方向の暗線の長さは、表示される表示の内容(画像)に応じて異なるが、行方向に明暗の境目が長く伸びる表示においては、明暗の境目付近の明部分に望まない縦ライン状の長い暗線が視認できるようになってしまい、表示品位の劣化が顕著なものとなる。
【0040】
図6は、表示ムラが生じる原因を模式的に示す図である。電子は、ONとされたアノードセグメントによって加速される。等電位面がアノードセグメントの配置される面と平行であるならば電子はONとされたアノードセグメントに垂直に衝突し、アノードセグメントC、アノードセグメントD、アノードセグメントE、アノードセグメントFにおける発光輝度は同一輝度となる。しかしながら、アノードセグメントBとアノードセグメントGとがOFFとされるために選択ピクセルの両端ライン付近では、等電位面がアノードセグメントの配置される面と平行とはならない。選択ピクセルの両端ライン付近のアノードセグメントCとアノードセグメントFでは電子は選択ピクセルの内部方向に曲げられる(図6の角度αを参照)。この現象を電子ケラレと称する。
【0041】
電子ケラレによってアノードセグメントFのアノードセグメントGに近い端付近では、電子が、OFFとされたアノードセグメントGによって曲げられて、暗線ムラが生じてしまう。また、電子ケラレによってアノードセグメントCのアノードセグメントBに近い端付近では、電子が、OFFとされたアノードセグメントBによって曲げられて、暗線ムラが生じてしまう。
【0042】
図7、図8は、実施形態の駆動方法を模式的に示す図である。図7では、グリッド電極DG1が第1のグリッド電極、グリッド電極DG2が第2のグリッド電極としてONとされている。図8では、ONとされるグリッド電極の位置が移動して、グリッド電極DG2が第1のグリッド電極、グリッド電極DG3が第2のグリッド電極としてONとされている。実施形態では1フレーム毎に発光する選択ピクセルのグリッド電極に対する相対位置を異ならせて暗線ムラが生じるのを防止している。図7(a)、図8(a)は第1番目のフレームにおける表示の態様を示し、図7(b)、図8(b)は第2番目のフレームにおける表示の態様を示し、図7(c)、図8(c)は第3番目のフレームにおける表示の態様を示す。つまり、第1番目のフレームにおける表示の態様〜第3番目のフレームにおける表示の態様が、繰り返し表示され、3フレームで1セットとして蛍光表示管に表示される。ここで、1フレームとは、蛍光表示管の全面に渡る1表示をいう。
【0043】
グリッド電極DG1、グリッド電極DG2がONとされている場合について説明をする。図7(a)に示すように、第1番目のフレームについては、選択ピクセルは、アノードセグメントC、アノードセグメントD、アノードセグメントE、アノードセグメントFで構成される。そして、選択ピクセルを発光させる場合には、これらのアノードセグメントに正の電圧を印加してONとし、これらのピクセルを発光させない場合には、これらのアノードセグメントに正の電圧を印加しないようにしてOFFとする。このONとOFFの制御は外部からの表示信号(図9を参照)の内容に応じたものである。図7(b)に示すように、第2番目のフレームについては、選択ピクセルは、アノードセグメントB、アノードセグメントC、アノードセグメントD、アノードセグメントEで構成される。図7(c)に示すように、第3番目のフレームについては、選択ピクセルは、アノードセグメントD、アノードセグメントE、アノードセグメントF、アノードセグメントGで構成される。
【0044】
グリッド電極DG2、グリッド電極DG3がONとされている場合について説明をする。図8(a)に示すように、第1番目のフレームについては、選択ピクセルは、アノードセグメントG、アノードセグメントH、アノードセグメントA、アノードセグメントBで構成される。図8(b)に示すように、第2番目のフレームについては、選択ピクセルは、アノードセグメントF、アノードセグメントG、アノードセグメントH、アノードセグメントAで構成される。図8(c)に示すように、第3番目のフレームについては、選択ピクセルは、アノードセグメントH、アノードセグメントA、アノードセグメントB、アノードセグメントCで構成される。
【0045】
このようにして、フレーム毎に、発光するアノードセグメントの配置をずらすことによって暗線ムラの発生を防止することができる。なお、表示内容の変化する速度に比べて、1セット(3フレーム)の時間は短く、かつ、1セットの時間は、目に像が残る残像時間よりも短くされるので、1フレーム毎には行方向に1列になる暗線ムラが生じたとしても、1フレーム毎に暗線ムラの位置は異なるのであるから、残像によって1列になるように暗線ムラが視認されることはない。
【0046】
図9は、上述した実施形態の蛍光表示管を駆動する実施形態の駆動回路のブロック図である。駆動回路10は、外部インターフェイス11、ラム(RAM)12、カウンタ13、フレームカウンタ14、タイミングジェネレータ15を有して形成されている。駆動回路10の破線で囲んだ領域は、暗線ムラの発生を防止するための構成部である。暗線ムラの発生を防止するための構成部は、フレームカウンタ14、タイミングジェネレータ15の一部を有して構成されている。
【0047】
時系列信号である、外部からの表示信号は、外部インターフェイス11を介してラム12に入力される。ラム12は、外部からの表示信号に基づいて蛍光表示管に2次元の画像を表示するために、ラム12の各所定領域に、外部からの表示信号を記憶する。タイミングジェネレータ15は、マスタークロックとしてのクロック信号を分周して得られるタイミングジェネレータクロック信号を基準クロック信号として、ラム12の各所定領域に記憶された外部からの表示信号を読み出す。また、タイミングジェネレータ15に対しては、第1のフレーム、第2のフレーム、第3のフレームの各フレームの中のいずれかを繰返して選択するための信号がフレームカウンタ14から出力される。そして、タイミングジェネレータ15は、アノード引出線DA1〜アノード引出線DAmの各々に対して、合計m本のアノード信号を出力する。また、タイミングジェネレータ15は、グリッド引出線DG1〜グリッド引出線DGnの各々に対して、合計n本のグリッド信号を出力する。
【0048】
図10〜図12は、アノード引出線DA1に出力されるアノード信号、およびグリッド引出線DG1〜グリッド引出線DGnの各々に出力されるグリッド信号のタイミングチャートである。ここで、フレーム周期とは、蛍光表示管の全面に渡る1表示を更新する周期、すなわち、グリッド電極を繰り返して順次ONとするに際して、最初のグリッド電極をOFFからONとする時刻を始期として最後のグリッド電極をONからOFFとする時刻を終期として、始期と終期との間の時間をいうものである。また、1セグメント周期とは、アノードセグメントのONとOFFとを切り替える最小の単位周期をいうものである。1セグメント周期は、また、グリッド電極のONとOFFとを切り替える最小の単位周期でもあり、2セグメント周期の間、各グリッド電極はONとされている。
【0049】
図10は第1のフレームにおけるタイミングチャートである。図11は第2のフレームにおけるタイミングチャートである。図12は第3のフレームにおけるタイミングチャートである。図10〜図12では、グリッド引出線DG4〜グリッド引出線DGn-2については記載が省略され、アノード引出線DA2〜アノード引出線DAmについても記載が省略されている。
【0050】
図10に示すように、グリッド電極G1が第1のグリッド電極、グリッド電極G2が第2のグリッド電極としてONとなるようにグリッド電極引出線DG1、グリッド電極引出線DG2がONとされる場合には、第1のフレームにおいては、選択ピクセル(アノードセグメントC、アノードセグメントD、アノードセグメントE、アノードセグメントF)の各々が外部からの表示信号に応じて1セグメント周期を単位として同時に、ON(図10ではハイレベル)、または、OFF(図10ではローレベル)とされ、選択ピクセルに該当するアノードセグメント以外の他のアノードセグメントはOFFとされる。グリッド電極G2が第1のグリッド電極、グリッド電極G3が第2のグリッド電極としてONとなるようにグリッド電極引出線DG2、グリッド電極引出線DG3がONとされる場合には、第1のフレームにおいては、選択ピクセル(アノードセグメントG、アノードセグメントH、アノードセグメントA、アノードセグメントB)の各々が外部からの表示信号に応じて1セグメント周期を単位として同時に、ON、または、OFFとされ、選択ピクセルに該当するアノードセグメント以外の他のアノードセグメントはOFFとされる。
【0051】
図11に示すように、グリッド電極G1が第1のグリッド電極、グリッド電極G2が第2のグリッド電極としてONとなるようにグリッド電極引出線DG1、グリッド電極引出線DG2がONとされる場合には、第2のフレームにおいては、選択ピクセル(アノードセグメントB、アノードセグメントC、アノードセグメントD、アノードセグメントE)の各々が外部からの表示信号に応じて1セグメント周期を単位として同時に、ON(図11ではハイレベル)、または、OFF(図11ではローレベル)とされ、選択ピクセルに該当するアノードセグメント以外の他のアノードセグメントはOFFとされる。グリッド電極G2が第1のグリッド電極、グリッド電極G3が第2のグリッド電極としてONとなるようにグリッド電極引出線DG2、グリッド電極引出線DG3がONとされる場合には、選択ピクセル(アノードセグメントF、アノードセグメントG、アノードセグメントH、アノードセグメントA)の各々が外部からの表示信号に応じて1セグメント周期を単位として同時に、ON、または、OFFとされ、選択ピクセルに該当するアノードセグメント以外の他のアノードセグメントはOFFとされる。
【0052】
図12に示すように、グリッド電極G1が第1のグリッド電極、グリッド電極G2が第2のグリッド電極としてONとなるようにグリッド電極引出線DG1、グリッド電極引出線DG2がONとされる場合には、第3のフレームにおいては、選択ピクセル(アノードセグメントD、アノードセグメントE、アノードセグメントF、アノードセグメントG)の各々が外部からの表示信号に応じて1セグメント周期を単位として同時に、ON(図11ではハイレベル)、または、OFF(図11ではローレベル)とされ、選択ピクセルに該当するアノードセグメント以外の他のアノードセグメントはOFFとされる。グリッド電極G2が第1のグリッド電極、グリッド電極G3が第2のグリッド電極としてONとなるようにグリッド電極引出線DG2、グリッド電極引出線DG3がONとされる場合には、選択ピクセル(アノードセグメントH、アノードセグメントA、アノードセグメントB、アノードセグメントC)の各々が外部からの表示信号に応じて1セグメント周期を単位として同時に、ON、または、OFFとされ、選択ピクセルに該当するアノードセグメント以外の他のアノードセグメントはOFFとされる。ここで、グリッド電極G1からグリッド電極Gnまで隣接したグリッド電極を2つ同時にオンとして順次繰り返す時間(1フレームの時間)は、例えば、20msec(ミリ秒)程度である。このように駆動すれば、各フレームにおける輝度を平均した輝度が視認されることとなり、結果として暗線ムラは目立たなくなる。
【0053】
図10〜図12に示す以外に以下のような組み合わせが1フレームのピクセルとして選択可能である。以下の説明では、グリッド電極G1(奇数列)とグリッド電極G3(奇数列)とを奇数列の例として、グリッド電極G2(偶数列)を偶数列の例として説明をする。
【0054】
グリッド電極G1(奇数列)とグリッド電極G2(偶数列)とがONとなる場合に(アノードセグメントC、アノードセグメントD、アノードセグメントE、アノードセグメントF)を選択ピクセルとする場合(図10を参照)において、グリッド電極G2(偶数列)とグリッド電極G3(奇数列)とがONとなる場合には、(アノードセグメントF、アノードセグメントG、アノードセグメントH、アノードセグメントA)を選択ピクセルとする(図11を参照)か、または、(アノードセグメントH、アノードセグメントA、アノードセグメントB、アノードセグメントC)を選択ピクセルとする(図12を参照)こともできる。
【0055】
グリッド電極G1(奇数列)とグリッド電極G2(偶数列)とがONとなる場合に(アノードセグメントB、アノードセグメントC、アノードセグメントD、アノードセグメントE)を選択ピクセルとする場合(図11を参照)において、グリッド電極G2(偶数列)とグリッド電極G3(奇数列)とがONとなる場合には、(アノードセグメントG、アノードセグメントH、アノードセグメントA、アノードセグメントB)を選択ピクセルとする(図10を参照)か、または、(アノードセグメントH、アノードセグメントA、アノードセグメントB、アノードセグメントC)を選択ピクセルとする(図12を参照)こともできる。
【0056】
グリッド電極G1(奇数列)とグリッド電極G2(偶数列)とがONとなる場合に(アノードセグメントD、アノードセグメントE、アノードセグメントF、アノードセグメントG)を選択ピクセルとする場合(図12を参照)において、グリッド電極G2(偶数列)とグリッド電極G3(奇数列)とがONとなる場合には、(アノードセグメントG、アノードセグメントH、アノードセグメントA、アノードセグメントB)を選択ピクセルとする(図10を参照)か、または、(アノードセグメントF、アノードセグメントG、アノードセグメントH、アノードセグメントA)を選択ピクセルとする(図11を参照)こともできる。
【0057】
さらには、1フレーム毎に、選択ピクセルを上述するように選択するのみならず、1フレーム中に置いて、以下のように選択ピクセルを選択することもできる。グリッド電極G1(奇数列)とグリッド電極G2(偶数列)とがONとなる場合においては、(アノードセグメントC、アノードセグメントD、アノードセグメントE、アノードセグメントF)、(アノードセグメントB、アノードセグメントC、アノードセグメントD、アノードセグメントE)、(アノードセグメントD、アノードセグメントE、アノードセグメントF、アノードセグメントG)の中の任意の1の選択ピクセルを選択し、グリッド電極G2(偶数列)とグリッド電極G3(奇数列)とがONとなる場合においては、(アノードセグメントG、アノードセグメントH、アノードセグメントA、アノードセグメントB)、(アノードセグメントF、アノードセグメントG、アノードセグメントH、アノードセグメントA)、(アノードセグメントH、アノードセグメントA、アノードセグメントB、アノードセグメントC)の中の任意の1の選択ピクセルを選択するようにできる。
【0058】
上述した実施形態の8重アノードマトリックス方式の蛍光表示管を上述した駆動方法で駆動すれば、以下の効果を生じる。
【0059】
まず、1セグメント周期で、同時に4個のセグメントを点灯することによって、デューティファクタが、シングルマトリックス方式の場合の4倍となる。その結果としてシングルマトリックス方式の4倍の輝度を得ることができる。他の見方をすれば、同じセグメント数を有する場合には、シングルマトリックス方式と比べて同じ輝度を得るために必要とされるグリッド電極の電圧を低くできる。グリッド電極の電圧を低くできることによって、電源回路の電圧を低くすることができるので、蛍光表示管を用いたグラフィックディスプレイを使用できる環境が拡大する。また、グリッド電極を駆動する駆動素子に、耐圧の低いものを使用することができることとなり、駆動素子、ひいては、駆動装置のコストを低減することができる。
【0060】
次に、隣接する2個のグリッド電極(第1のグリッド電極および第2のグリッド電極)をONとすることによって発光可能とされる4個のアノードセグメントの中で、第1のグリッド電極に最も近接した位置から順に配置され第2のグリッド電極に対向するX個(1個〜3個)のアノードセグメントと、第2のグリッド電極に最も近接した位置から順に配置され第1のグリッド電極に対向するY個(4個−X個)のアノードセグメントと、が選択されて形成される選択ピクセルを発光させる(図10を参照)ことによって、隣接するOFFとされたグリッド電極の電位が与える表示品質の劣化を少なくできる。
【0061】
さらに、選択ピクセルとして発光させる4個のアノードセグメントの位置を1フレーム毎に、第1のグリッド電極に最も近接した位置から順に配置され第2のグリッド電極に対向する2個のアノードセグメントと、第2のグリッド電極に最も近接した位置から順に配置され第1のグリッド電極に対向する2個のアノードセグメントと、が選択されて形成される選択ピクセルを発光させ(図10の第1のフレーム)、第1のグリッド電極に最も近接した位置から順に配置され第2のグリッド電極に対向する1個のアノードセグメントと、第2のグリッド電極に最も近接した位置から順に配置され第1のグリッド電極に対向する3個のアノードセグメントと、が選択されて形成される選択ピクセルを発光させ(図11の第2のフレームの状態)、第1のグリッド電極側に近接した位置に詰めて配置される第2のグリッド電極に対向する3個のアノードセグメントと、第2のグリッド電極側に近接した位置に詰めて配置される第1のグリッド電極に対向する1個のアノードセグメントと、の合計4個のアノードセグメントを選択ピクセルとして発光させ(図12の第3のフレームの状態)、この3フレームを1セットとして適宜な順番で繰り返すことによって、隣接するOFFとされたアノードセグメントの電位が与える表示品質の劣化、すなわち、表示ムラ、を目立たなくすることができる。
【0062】
上述した実施形態の変形例について以下に述べる。
【0063】
第1のフレームの状態、第2のフレームの状態、第3のフレームの状態と繰り返すのではなく、第1のフレームの状態〜第3のフレームの状態の3つの状態の中のいずれかを順次、選択して、3フレームを1セットとして繰り返すようにしても良い。具体的には、第3のフレームの状態、第2のフレームの状態、第1のフレームの状態と順次繰り返すことによっても、隣接するOFFとされたアノードセグメントの電位が与える表示品質の劣化、すなわち、表示ムラを少なくできる。
【0064】
図13は、16重アノードマトリクス方式における実施形態を示す概念図である。16重アノードマトリクス方式においても、上述した8重アノードマトリクス方式と同様の駆動方法を採用することができる。図13(a)は、グリッド電極G1が第1のグリッド電極、グリッド電極G2が第2のグリッド電極としてONとなる場合における、第1のフレームの状態を示し、図13(b)は、第2のフレームの状態を示し、図13(c)は、第3のフレームの状態を示し、図13(d)は、第4のフレームの状態を示し、図13(e)は、第5のフレームの状態を示す。16重アノードマトリクス方式においては、アノードセグメントA、アノードセグメントB、アノードセグメントC、アノードセグメントD、アノードセグメントE、アノードセグメントF、アノードセグメントG、アノードセグメントH、アノードセグメントI、アノードセグメントJ、アノードセグメントK、アノードセグメントL、アノードセグメントM、アノードセグメントN、アノードセグメントO、アノードセグメントP、の16個のアノードセグメントを1区分に有している。
【0065】
図13(a)に示すように、第1のフレームにおいては、選択ピクセルを構成する、アノードセグメントE、アノードセグメントF、アノードセグメントG、アノードセグメントH、アノードセグメントI、アノードセグメントJ、アノードセグメントK、アノードセグメントL、の各々が外部からの表示信号に応じて1セグメント周期を単位として同時に、ON、または、OFFとされ、他のアノードセグメントはOFFとされる。
【0066】
図13(b)に示すように、第2のフレームにおいては、選択ピクセルを構成する、アノードセグメントD、アノードセグメントE、アノードセグメントF、アノードセグメントG、アノードセグメントH、アノードセグメントI、アノードセグメントJ、アノードセグメントK、の各々が外部からの表示信号に応じて1セグメント周期を単位として同時に、ON、または、OFFとされ、他のアノードセグメントはOFFとされる。
【0067】
図13(c)に示すように、第3のフレームにおいては、選択ピクセルを構成する、アノードセグメントC、アノードセグメントD、アノードセグメントE、アノードセグメントF、アノードセグメントG、アノードセグメントH、アノードセグメントI、アノードセグメントJ、の各々が外部からの表示信号に応じて1セグメント周期を単位として同時に、ON、または、OFFとされ、他のアノードセグメントはOFFとされる。
【0068】
図13(d)に示すように、第4のフレームにおいては、選択ピクセルを構成する、アノードセグメントF、アノードセグメントG、アノードセグメントH、アノードセグメントI、アノードセグメントJ、アノードセグメントK、アノードセグメントL、アノードセグメントM、の各々が外部からの表示信号に応じて1セグメント周期を単位として同時に、ON、または、OFFとされ、他のアノードセグメントはOFFとされる。
【0069】
図13(e)に示すように、第5のフレームにおいては、選択ピクセルを構成する、アノードセグメントG、アノードセグメントH、アノードセグメントI、アノードセグメントJ、アノードセグメントK、アノードセグメントL、アノードセグメントM、アノードセグメントN、の各々が外部からの表示信号に応じて1セグメント周期を単位として同時に、ON、または、OFFとされ、他のアノードセグメントはOFFとされる。
【0070】
なお、グリッド電極G2が第1のグリッド電極、グリッド電極G3(グリッド電極G2に隣接する図13に図示しないグリッド電極)が第2のグリッド電極としてONとなる場合においては、以下のアノードセグメントが選択ピクセルを構成する。第1のフレームにおいては、アノードセグメントM、アノードセグメントN、アノードセグメントO、アノードセグメントP、アノードセグメントA、アノードセグメントB、アノードセグメントC、アノードセグメントDが選択ピクセルを構成する。第2のフレームにおいては、アノードセグメントL、アノードセグメントM、アノードセグメントN、アノードセグメントO、アノードセグメントP、アノードセグメントA、アノードセグメントB、アノードセグメントCが選択ピクセルを構成する。第3のフレームにおいては、アノードセグメントK、アノードセグメントL、アノードセグメントM、アノードセグメントN、アノードセグメントO、アノードセグメントP、アノードセグメントA、アノードセグメントBが選択ピクセルを構成する。第4のフレームにおいては、アノードセグメントN、アノードセグメントO、アノードセグメントP、アノードセグメントA、アノードセグメントB、アノードセグメントC、アノードセグメントD、アノードセグメントEが選択ピクセルを構成する。第5のフレームにおいては、アノードセグメントO、アノードセグメントP、アノードセグメントA、アノードセグメントB、アノードセグメントC、アノードセグメントD、アノードセグメントE、アノードセグメントFが選択ピクセルを構成する。
【0071】
つまり、第1のフレームの状態では、隣接する2個のグリッド電極(第1のグリッド電極および第2のグリッド電極)をONとすることによって発光可能とされる16個のアノードセグメントの中で、第1のグリッド電極に最も近接した位置から順に配置され第2のグリッド電極に対向する4個のアノードセグメントと、第2のグリッド電極側に近接した位置に詰めて配置される第1のグリッド電極に対向する4個のアノードセグメントと、の合計8個のアノードセグメントを選択ピクセルとして発光させる。
【0072】
第2のフレームの状態では、隣接する2個のグリッド電極(第1のグリッド電極および第2のグリッド電極)をONとすることによって発光可能とされる16個のアノードセグメントの中で、第1のグリッド電極に最も近接した位置から順に配置され第2のグリッド電極に対向する3個のアノードセグメントと、第2のグリッド電極側に近接した位置に詰めて配置される第1のグリッド電極に対向する5個のアノードセグメントと、の合計8個のアノードセグメントを選択ピクセルとして発光させる。
【0073】
第3のフレームの状態では、隣接する2個のグリッド電極(第1のグリッド電極および第2のグリッド電極)をONとすることによって発光可能とされる16個のアノードセグメントの中で、第1のグリッド電極に最も近接した位置から順に配置され第2のグリッド電極に対向する2個のアノードセグメントと、第2のグリッド電極側に近接した位置に詰めて配置される第1のグリッド電極に対向する6個のアノードセグメントと、の合計8個のアノードセグメントを選択ピクセルとして発光させる。
【0074】
第4のフレームの状態では、隣接する2個のグリッド電極(第1のグリッド電極および第2のグリッド電極)をONとすることによって発光可能とされる16個のアノードセグメントの中で、第1のグリッド電極に最も近接した位置から順に配置され第2のグリッド電極に対向する5個のアノードセグメントと、第2のグリッド電極側に近接した位置に詰めて配置される第1のグリッド電極に対向する3個のアノードセグメントと、の合計8個のアノードセグメントを選択ピクセルとして発光させる。
【0075】
第5のフレームの状態では、隣接する2個のグリッド電極(第1のグリッド電極および第2のグリッド電極)をONとすることによって発光可能とされる16個のアノードセグメントの中で、第1のグリッド電極に最も近接した位置から順に配置され第2のグリッド電極に対向する6個のアノードセグメントと、第2のグリッド電極側に近接した位置に詰めて配置される第1のグリッド電極に対向する2個のアノードセグメントと、の合計8個のアノードセグメントを選択ピクセルとして発光させる。
【0076】
要するに、Mが8以上の2のK乗で表わされる正整数であるM重アノードマトリクス方式の実施形態の蛍光表示管の技術について一般化すると以下のようになる。
【0077】
本実施形態のM重アノードマトリクス方式の蛍光表示管の機構部の構成は、2のK乗で表わされる8以上の正整数M毎に区分され、その区分の中の並びの位置が同位置にあるアノードセグメントを列方向に連結してM個のアノード引出線を有して形成されるアノードセグメント行と、アノードセグメント行と直交する行方向に延びグリッド引出線を有して形成されるグリッド電極と、を有し、複数個のアノードセグメント行と複数個のグリッド電極の列とをマトリック状に配置して、各々のグリッド電極と各々のアノードセグメント行の中のM/2個のアノードセグメントとを対向させて形成されるものである。
【0078】
ここで、駆動回路は、M重アノードマトリクス方式の蛍光表示管の外部、または、内部のいずれに配するものであっても良い。外部に配する場合には、図1に示す構成を有する蛍光表示管と図9に示す駆動回路10を多数の配線によって接続することとなる。一方、外部に配する場合には、少数の配線(リード)によってその目的を達することができる。
【0079】
図14は、蛍光表示管の内部に駆動回路を内蔵するドライバ内蔵蛍光表示管(CIGVFD)の斜視断面図である。ドライバ内蔵蛍光表示管30は、カソード31、グリッド電極32、アノードセグメント33、ベースプレート34、フィラメントリード35、ドライバチップ用リード36、駆動回路10を主要構成部として有している。
【0080】
カソード31は、タングステンの芯線(フィラメント)にBa、Sr、Caの酸化物がコーティングされている。フィラメントの両端に電圧を印加して電子(熱電子)を発生させる。グリッド電極32は、上述したグリッド電極G1〜グリッド電極Gnと同様のものである。アノードセグメント33は、上述したアノードセグメントA〜アノードセグメントHと同様のものである。ベースプレート34は、ガラス基板であり、ソーダライムガラスを使用しており、その内部は真空とされる。フィラメントリード35は、カソード31を形成するフィラメントに接続される。ドライバチップ用リード36は、表示信号(図9を参照)を入力するための端子、クロック信号(図9を参照)を入力するための端子を含んでいる。駆動回路10は、図9に示す駆動回路10をIC化したものである。
【0081】
ベースプレート34の上に、カソード31、グリッド電極32、アノードセグメント33、ベースプレート34、フィラメントリード35、ドライバチップ用リード36、駆動回路10の各部材が固着され、これらの各部材を相互に接続するパタンが形成されている。このようにして、ドライバ内蔵蛍光表示管30の機構部の内部に駆動回路10を組み込むことによって、ドライバ内蔵蛍光表示管30の駆動に必要な電極は、フィラメントリード35を含む電源用のリードとドライバチップ用リード36だけとでき、大幅に外部リードを減らすことができる。
【0082】
そして、M重アノードマトリクス方式の蛍光表示管の内部、または、外部のいずれかに配される駆動回路によって蛍光表示管は、以下のように制御される。
【0083】
隣接する第1のグリッド電極と第2のグリッド電極とをオンとすることによって発光可能とされるM個のアノードセグメントの中で、以下の(M/2)個のアノードセグメントによって構成される選択ピクセルの中の1の選択ピクセルを順次1フレームずつ表示信号に応じて発光させる。
【0084】
第1のグリッド電極に最も近接した位置から順に配置され第2のグリッド電極に対向する(M/4)個のアノードセグメントと第2のグリッド電極に最も近接した位置から順に配置され第1のグリッド電極に対向する(M/4)個のアノードセグメントによって形成される選択ピクセル。
【0085】
第1のグリッド電極に最も近接した位置から順に配置され第2のグリッド電極に対向する(M/4−J)個のアノードセグメントと、第2のグリッド電極に最も近接した位置から順に配置され第1のグリッド電極に対向する(M/4+J)個のアノードセグメントと、を有するように、Jの値を1から2(K-3)まで変化させて選択されて形成される2(K-3)個の選択ピクセル。
【0086】
第1のグリッド電極に最も近接した位置から順に配置され第2のグリッド電極に対向する(M/4+J)個のアノードセグメントと、第2のグリッド電極に最も近接した位置から順に配置され第1のグリッド電極に対向する(M/4−J)個のアノードセグメントと、を有するように、Jの値を1から2(K-3)まで変化させて選択されて形成される2(K-3)個の選択ピクセル。
【0087】
よって、選択ピクセルの総数は、1個+2(K-3)個+2(K-3)個となり、この複数個の中の1選択ピクセルが1フレーム毎に選択される。
【0088】
ここで、選択ピクセルに含まれるアノードセグメントの数について説明をする。上述した実施形態の、8重アノードマトリクス方式、16重アノードマトリクス方式、に関する技術では、隣接する2つのグリッド電極をONとして同時に発光するアノードセグメントの個数、すなわち、選択ピクセルを構成するアノードセグメントの個数は、8重アノードマトリクス方式では4個、16重アノードマトリクス方式では8個とした。実施形態のM重アノードマトリクス方式では、選択ピクセルを構成するアノードセグメントの個数をM/2個とする。同時に発光するアノードセグメントの個数をM/2個とする理由は、同時にONとされる2個のグリッド電極の各々の左右にあるOFFとされる2個のグリッド電極の影響を少なくする効果と、デューティファクタを向上させる効果とのバランス点として、M/2個を選ぶのである。なお、同時にONとされる2個のグリッド電極の各々の左右にあるOFFとされる2個のグリッド電極の影響を少なくする効果をより良好なものとすることを目的とするならば、選択ピクセルを構成するアノードセグメントの個数をより少なくするほうがより大きな効果が得られる。一方、選択ピクセルを構成するアノードセグメントの個数が少ないほどデューティファクタは低下する。
【0089】
上述した8重アノードマトリクス方式における実施形態について上述の一般式に当てはめる。8重アノードマトリクス方式ではM=8、K=3、2(K-3)=1、J=1である。
【0090】
隣接する第1のグリッド電極と第2のグリッド電極とをオンとすることによって発光可能とされる8個(M個)のアノードセグメントの中で、以下の4個(M/2個)のアノードセグメントによって構成される選択ピクセルの中の1の選択ピクセルを順次1フレームずつ表示信号に応じて発光させる。
【0091】
隣接する2個のグリッド電極(第1のグリッド電極および第2のグリッド電極)をONとすることによって発光可能とされる4個(M/2個)のアノードセグメントの中で、第1のグリッド電極に最も近接した位置から順に配置され第2のグリッド電極に対向する2個(M/4個)のアノードセグメントと、第2のグリッド電極に最も近接した位置から順に配置され第1のグリッド電極に対向する2個(M/4個)のアノードセグメントとが選択されて形成される選択ピクセル(図7(a)を参照)。
【0092】
第1のグリッド電極に最も近接した位置から順に配置され第2のグリッド電極に対向する1個((M/4−J)個)のアノードセグメントと、第2のグリッド電極に最も近接した位置から順に配置され第1のグリッド電極に対向する3個((M/4+J)個)のアノードセグメントとが選択されて形成される選択ピクセル(図7(b)を参照)。
【0093】
第1のグリッド電極に最も近接した位置から順に配置され第2のグリッド電極に対向する3個((M/4+J)個)のアノードセグメントと、第2のグリッド電極に最も近接した位置から順に配置され第1のグリッド電極に対向する1個((M/4−J)個)のアノードセグメントとが選択されて形成される選択ピクセル(図7(c)を参照)。
【0094】
上述した16重アノードマトリクス方式における実施形態について上述の一般式に当てはめる。16重アノードマトリクス方式ではM=16、K=4、2(K-3)=2、J=1、2である。
【0095】
隣接する第1のグリッド電極と第2のグリッド電極とをオンとすることによって発光可能とされる16個のアノードセグメントの中で、以下の8個のアノードセグメントによって構成される選択ピクセルの中の1の選択ピクセルを順次1フレームずつ表示信号に応じて発光させる。
【0096】
隣接する2個のグリッド電極(第1のグリッド電極および第2のグリッド電極)をONとすることによって発光可能とされる8個(M/2個)のアノードセグメントの中で、第1のグリッド電極に最も近接した位置から順に配置され第2のグリッド電極に対向する4個(M/4個)のアノードセグメントと、第2のグリッド電極に最も近接した位置から順に配置され第1のグリッド電極に対向する4個(M/4個)のアノードセグメントとが選択されて形成される選択ピクセル(図13(a)を参照)。
【0097】
J=1において、第1のグリッド電極に最も近接した位置から順に配置され第2のグリッド電極に対向する3個((M/4−J)個)のアノードセグメントと、第2のグリッド電極に最も近接した位置から順に配置され第1のグリッド電極に対向する5個((M/4+J)個)のアノードセグメントとが選択されて形成される選択ピクセル(図13(b)を参照)。
【0098】
J=2において、第1のグリッド電極に最も近接した位置から順に配置され第2のグリッド電極に対向する2個((M/4−J)個)のアノードセグメントと、第2のグリッド電極に最も近接した位置から順に配置され第1のグリッド電極に対向する6個((M/4+J)個)のアノードセグメントとが選択されて形成される選択ピクセル(図13(c)を参照)。
【0099】
J=1において、第1のグリッド電極に最も近接した位置から順に配置され第2のグリッド電極に対向する5個((M/4+J)個)のアノードセグメントと、第2のグリッド電極に最も近接した位置から順に配置され第1のグリッド電極に対向する3個((M/4−J)個)のアノードセグメントとが選択されて形成される選択ピクセル(図13(d)を参照)。
【0100】
J=2において、第1のグリッド電極に最も近接した位置から順に配置され第2のグリッド電極に対向する6個((M/4+J)個)のアノードセグメントと、第2のグリッド電極に最も近接した位置から順に配置され第1のグリッド電極に対向する2個((M/4−J)個)のアノードセグメントとが選択されて形成される選択ピクセル(図13(e)を参照)。
【0101】
また、暗線ムラの発生を防止する効果に着目すれば、この効果を達するための他の実施形態のM重アノードマトリクス方式としては、Mを2の冪乗の整数とすることなく、単に正整数Qとしても良い。選択ピクセルを構成するアノードセグメントの数は、Q個よりも小さい数であるR個であり、隣接する2つの電極の各々に少なくとも1個のアノードセグメントが対向するようにする。このような条件を満たす、異なるアノードセグメントの配置を有する複数の選択ピクセルの中の一つをフレーム毎に選択することによって暗線ムラの発生を防止する効果を得ることができる。
【0102】
発明を実施するための別の形態に係る技術は、8以上の偶数の正整数Q毎に区分され、その区分の中の並びの位置が同位置にあるアノードセグメントを列方向に連結してQ個のアノード引出線を有して形成されるアノードセグメント行と、アノードセグメント行と直交する行方向に延びグリッド引出線を有して形成されるグリッド電極と、を有し、複数個のアノードセグメント行と複数個のグリッド電極の列とをマトリック状に配置して、各々のグリッド電極と各々のアノードセグメント行の中のQ/2個のアノードセグメントとを対向させて形成される、Q重アノードマトリクス方式について、蛍光表示管、蛍光表示管の駆動回路、および蛍光表示管の駆動方法に関するものである。
【0103】
隣接する第1のグリッド電極と第2のグリッド電極とをオンとすることによって発光可能とされるQ個のアノードセグメントの中で、第1のグリッド電極に最も近接した位置から順に配置され第2のグリッド電極に対向する1個ないし(Q/2−1)個の範囲中のいずれかの個数であるR個のアノードセグメントと、第2のグリッド電極に最も近接した位置から順に配置され第1のグリッド電極に対向する(Q/2−R)個のアノードセグメントとの、合計してQ/2個のアノードセグメントが選択されて形成される複数の選択ピクセルの中の1の選択ピクセルを順次1フレームずつ表示信号に応じて発光させることを特徴とする。
【0104】
図15は、12重アノードマトリクス方式における実施形態を示す概念図である。
【0105】
図15(a)は、グリッド電極G1が第1のグリッド電極、グリッド電極G2が第2のグリッド電極としてONとなる場合における、第1のフレームの状態を示し、図15(b)は、第2のフレームの状態を示し、図15(c)は、第3のフレームの状態を示し、図15(d)は、第4のフレームの状態を示し、図15(e)は、第5のフレームの状態を示す。
【0106】
12重アノードマトリクス方式においては、アノードセグメントA、アノードセグメントB、アノードセグメントC、アノードセグメントD、アノードセグメントE、アノードセグメントF、アノードセグメントG、アノードセグメントH、アノードセグメントI、アノードセグメントJ、アノードセグメントK、アノードセグメントL、の12個のアノードセグメントを1区分に有している。
【0107】
図15(a)に示すように、第1のフレームにおいては、選択ピクセルを構成する、アノードセグメントD、アノードセグメントE、アノードセグメントF、アノードセグメントG、アノードセグメントH、アノードセグメントI、の各々が外部からの表示信号に応じて1セグメント周期を単位として同時に、ON、または、OFFとされ、他のアノードセグメントはOFFとされる。
【0108】
図15(b)に示すように、第2のフレームにおいては、選択ピクセルを構成する、アノードセグメントC、アノードセグメントD、アノードセグメントE、アノードセグメントF、アノードセグメントG、アノードセグメントH、の各々が外部からの表示信号に応じて1セグメント周期を単位として同時に、ON、または、OFFとされ、他のアノードセグメントはOFFとされる。
【0109】
図15(c)に示すように、第3のフレームにおいては、選択ピクセルを構成する、アノードセグメントB、アノードセグメントC、アノードセグメントD、アノードセグメントE、アノードセグメントF、アノードセグメントG、の各々が外部からの表示信号に応じて1セグメント周期を単位として同時に、ON、または、OFFとされ、他のアノードセグメントはOFFとされる。
【0110】
図15(d)に示すように、第4のフレームにおいては、選択ピクセルを構成する、アノードセグメントE、アノードセグメントF、アノードセグメントG、アノードセグメントH、アノードセグメントI、アノードセグメントJ、の各々が外部からの表示信号に応じて1セグメント周期を単位として同時に、ON、または、OFFとされ、他のアノードセグメントはOFFとされる。
【0111】
図15(e)に示すように、第5のフレームにおいては、選択ピクセルを構成する、アノードセグメントF、アノードセグメントG、アノードセグメントH、アノードセグメントI、アノードセグメントJ、アノードセグメントK、の各々が外部からの表示信号に応じて1セグメント周期を単位として同時に、ON、または、OFFとされ、他のアノードセグメントはOFFとされる。
【0112】
なお、グリッド電極G2が第1のグリッド電極、グリッド電極G3(グリッド電極G2に隣接する図15に図示しないグリッド電極)が第2のグリッド電極としてONとなる場合においては、以下のアノードセグメントが選択ピクセルを構成する。
【0113】
第1のフレームにおいては、アノードセグメントJ、アノードセグメントK、アノードセグメントL、アノードセグメントA、アノードセグメントB、アノードセグメントCが選択ピクセルを構成する。第2のフレームにおいては、アノードセグメントI、アノードセグメントJ、アノードセグメントK、アノードセグメントL、アノードセグメントA、アノードセグメントBが選択ピクセルを構成する。第3のフレームにおいては、アノードセグメントH、アノードセグメントI、アノードセグメントJ、アノードセグメントK、アノードセグメントL、アノードセグメントAが選択ピクセルを構成する。
【0114】
第4のフレームにおいては、アノードセグメントK、アノードセグメントL、アノードセグメントA、アノードセグメントB、アノードセグメントC、アノードセグメントDが選択ピクセルを構成する。第5のフレームにおいては、アノードセグメントL、アノードセグメントA、アノードセグメントB、アノードセグメントC、アノードセグメントD、アノードセグメントEが選択ピクセルを構成する。
【0115】
つまり、第1のフレームの状態では、隣接する2個のグリッド電極(第1のグリッド電極および第2のグリッド電極)をONとすることによって発光可能とされる12個のアノードセグメントの中で、第1のグリッド電極に最も近接した位置から順に配置され第2のグリッド電極に対向する3個のアノードセグメントと、第2のグリッド電極側に近接した位置に詰めて配置される第1のグリッド電極に対向する3個のアノードセグメントと、の合計6個のアノードセグメントからなる選択ピクセルを外部からの表示信号に応じて1セグメント周期を単位として同時に、ON、または、OFFとする。
【0116】
第2のフレームの状態では、隣接する2個のグリッド電極(第1のグリッド電極および第2のグリッド電極)をONとすることによって発光可能とされる12個のアノードセグメントの中で、第1のグリッド電極に最も近接した位置から順に配置され第2のグリッド電極に対向する2個のアノードセグメントと、第2のグリッド電極側に近接した位置に詰めて配置される第1のグリッド電極に対向する4個のアノードセグメントと、の合計6個のアノードセグメントからなる選択ピクセルを外部からの表示信号に応じて1セグメント周期を単位として同時に、ON、または、OFFとする。
【0117】
第3のフレームの状態では、隣接する2個のグリッド電極(第1のグリッド電極および第2のグリッド電極)をONとすることによって発光可能とされる12個のアノードセグメントの中で、第1のグリッド電極に最も近接した位置から順に配置され第2のグリッド電極に対向する1個のアノードセグメントと、第2のグリッド電極側に近接した位置に詰めて配置される第1のグリッド電極に対向する5個のアノードセグメントと、の合計6個のアノードセグメントからなる選択ピクセルを外部からの表示信号に応じて1セグメント周期を単位として同時に、ON、または、OFFとする。
【0118】
第4のフレームの状態では、隣接する2個のグリッド電極(第1のグリッド電極および第2のグリッド電極)をONとすることによって発光可能とされる12個のアノードセグメントの中で、第1のグリッド電極に最も近接した位置から順に配置され第2のグリッド電極に対向する4個のアノードセグメントと、第2のグリッド電極側に近接した位置に詰めて配置される第1のグリッド電極に対向する2個のアノードセグメントと、の合計6個のアノードセグメントからなる選択ピクセルを外部からの表示信号に応じて1セグメント周期を単位として同時に、ON、または、OFFとする。
【0119】
第5のフレームの状態では、隣接する2個のグリッド電極(第1のグリッド電極および第2のグリッド電極)をONとすることによって発光可能とされる12個のアノードセグメントの中で、第1のグリッド電極に最も近接した位置から順に配置され第2のグリッド電極に対向する5個のアノードセグメントと、第2のグリッド電極側に近接した位置に詰めて配置される第1のグリッド電極に対向する1個のアノードセグメントと、の合計6個のアノードセグメントからなる選択ピクセルを外部からの表示信号に応じて1セグメント周期を単位として同時に、ON、または、OFFとする。
【0120】
本実施形態の、8重アノードマトリクス方式、16重アノードマトリクス方式に加えて、12重アノードマトリクス方式も含むQ重マトリックス方式は、以下のように一般化できる。8以上の偶数の正整数Q毎に区分され、その区分の中の並びの位置が同位置にあるアノードセグメントを列方向に連結してQ個のアノード引出線を有して形成されるアノードセグメント行と、アノードセグメント行と直交する行方向に延びグリッド引出線を有して形成されるグリッド電極と、を有し、複数個のアノードセグメント行と複数個のグリッド電極の列とをマトリック状に配置して、各々のグリッド電極と各々のアノードセグメント行の中のQ/2個のアノードセグメントとを対向させて形成される、Q重アノードマトリクス方式の蛍光表示管において、隣接する第1のグリッド電極と第2のグリッド電極とをオンとすることによって発光可能とされるQ個のアノードセグメントの中で、第1のグリッド電極に最も近接した位置から順に配置され第2のグリッド電極に対向する1個ないし(Q/2−1)個の範囲中のいずれかの個数であるR個のアノードセグメントと、第2のグリッド電極に最も近接した位置から順に配置され第1のグリッド電極に対向する(Q/2−R)個のアノードセグメントとの、合計してQ/2個のアノードセグメントが選択されて形成される複数の選択ピクセルの中の1の選択ピクセルを順次1フレームずつ表示信号に応じて発光させる。
【0121】
本実施形態の、8重アノードマトリクス方式では、Q=8であり、各々のグリッド電極と4(Q/2)個のアノードセグメントとを対向させて配置し、第1のグリッド電極に最も近接した位置から順に配置され第2のグリッド電極に対向する1個ないし(Q/2−1)個の範囲中のいずれかの個数(1、2、3)であるR個のアノードセグメントと、第2のグリッド電極に最も近接した位置から順に配置され第1のグリッド電極に対向する(3、2、1)(Q/2−R)個のアノードセグメントとの、合計して4(Q/2)個のアノードセグメントが選択されて形成される、3種類の選択ピクセルの中の1の選択ピクセルを順次1フレームずつ表示信号に応じて発光させる。
【0122】
ここで、第1の選択ピクセルは、第2のグリッド電極に対向する2個のアノードセグメントと第1のグリッド電極に対向する2個のアノードセグメントとの組み合わせとなる。また、第2の選択ピクセルは、第2のグリッド電極に対向する1個のアノードセグメントと第1のグリッド電極に対向する3個のアノードセグメントとの組み合わせとなる。第3の選択ピクセルは、第2のグリッド電極に対向する3個のアノードセグメントと第1のグリッド電極に対向する1個のアノードセグメントとの組み合わせとなる。
【0123】
本実施形態の、上述した12重アノードマトリクス方式では、Q=12であり、各々のグリッド電極と6(Q/2)個のアノードセグメントとを対向させて配置し、第1のグリッド電極に最も近接した位置から順に配置され第2のグリッド電極に対向する1個ないし(Q/2−1)個の範囲中のいずれかの個数(1、2、3、4、5)であるR個のアノードセグメントと、第2のグリッド電極に最も近接した位置から順に配置され第1のグリッド電極に対向する(5、4、3、2、1)(Q/2−R)個のアノードセグメントとの、合計して6(Q/2)個のアノードセグメントが選択されて形成される、5種類の選択ピクセルの中の1の選択ピクセルを順次1フレームずつ表示信号に応じて発光させる。
【0124】
本実施形態の、16重アノードマトリクス方式では、Q=16であり、各々のグリッド電極と8(Q/2)個のアノードセグメントとを対向させて配置し、第1のグリッド電極に最も近接した位置から順に配置され第2のグリッド電極に対向する1個ないし(Q/2−1)個の範囲中のいずれかの個数(1、2、3、4、5、6、7)であるR個のアノードセグメントと、第2のグリッド電極に最も近接した位置から順に配置され第1のグリッド電極に対向する(7、6、5、4、3、2、1)(Q/2−R)個のアノードセグメントとの、合計して8(Q/2)個のアノードセグメントが選択されて形成される、7種類の選択ピクセルの中の1の選択ピクセルを順次1フレームずつ表示信号に応じて発光させる。
【0125】
ここで、第1の選択ピクセルは、第2のグリッド電極に対向する4個のアノードセグメントと第1のグリッド電極に対向する4個のアノードセグメントとの組み合わせとなる。また、第2の選択ピクセルは、第2のグリッド電極に対向する3個のアノードセグメントと第1のグリッド電極に対向する5個のアノードセグメントとの組み合わせとなる。第3の選択ピクセルは、第2のグリッド電極に対向する2個のアノードセグメントと第1のグリッド電極に対向する6個のアノードセグメントとの組み合わせとなる。第4の選択ピクセルは、第2のグリッド電極に対向する1個のアノードセグメントと第1のグリッド電極に対向する7個のアノードセグメントとの組み合わせとなる。第5の選択ピクセルは、第2のグリッド電極に対向する5個のアノードセグメントと第1のグリッド電極に対向する3個のアノードセグメントとの組み合わせとなる。第6の選択ピクセルは、第2のグリッド電極に対向する6個のアノードセグメントと第1のグリッド電極に対向する2個のアノードセグメントとの組み合わせとなる。第7の選択ピクセルは、第2のグリッド電極に対向する7個のアノードセグメントと第1のグリッド電極に対向する1個のアノードセグメントとの組み合わせとなる。
【0126】
本実施形態の16重アノードマトリクス方式では選択ピクセルの数は7種類となり、上述した選択ピクセルの数が5種類の実施形態の16重アノードマトリクス方式よりも、選択ピクセルの数を増やして、暗線ムラの発生を防止する効果をより高くすることができる。なお、Q=16とする、16重アノードマトリクス方式では隣接する一方のグリッド電極に対向する、1個ないし(Q/2−1)個の範囲中においてRの個数を選ぶようにしても良い。2個ないし(Q/2−2)個の中のいずれかの個数であるR個のアノードセグメントと、第2のグリッド電極に最も近接した位置から順に配置され第1のグリッド電極に対向する(Q/2−R)個のアノードセグメントとの、合計して(Q/2)個のアノードセグメントが選択されて選択ピクセルが形成されるようにすれば、上述した選択ピクセルの数が5種類の実施形態の16重アノードマトリクス方式と同じ構成となる。一般的には、Q重アノードマトリクス方式において、Q=2Kで表わせる場合には、隣接する一方のグリッド電極に対向する、2(k-3)個ないし(Q/2−2(k-3))個の中のいずれかの個数であるR個のアノードセグメントと、第2のグリッド電極に最も近接した位置から順に配置され第1のグリッド電極に対向する(Q/2−R)個のアノードセグメントとの、合計して(Q/2)個のアノードセグメントが選択されて選択ピクセルが形成されるようにすれば、先に述べた実施形態と同様の構成となる。
【0127】
本実施形態においても、図14に示すようにして、蛍光表示管の内部に駆動回路を内蔵するドライバ内蔵蛍光表示管(CIGVFD)を構成するようにしても良い。
【0128】
上述した実施形態を組み合わせて新たな実施形態とすることもできる。例えば、実施形態の技術においては、8重マトリック方式では、選択ピクセルの数は3種類、16重マトリックス方式では、5種類の選択ピクセルがある。ここで、すべての選択ピクセルを、順次1フレームずつ表示信号に応じて発光させるのみならず、8重マトリックス方式では3種類の範囲以内の任意の数の選択ピクセルを選んで、16重マトリックス方式では5種類の範囲以内の任意の数の選択ピクセルを選んで、順次1フレームずつ表示信号に応じて発光させることもできる。別の実施形態の技術においては、8重マトリック方式では、選択ピクセルの数は3種類、12重マトリックス方式では、5種類、16重マトリックス方式では、7種類の選択ピクセルがある。ここで、すべての選択ピクセルを、順次1フレームずつ表示信号に応じて発光させるのみならず、8重マトリックス方式では3種類の範囲以内の任意の数の選択ピクセルを選んで、12重マトリックス方式では5種類の範囲以内の任意の数の選択ピクセルを選んで、16重マトリックス方式では7種類の範囲以内の任意の数の選択ピクセルを選んで、順次1フレームずつ表示信号に応じて発光させることもできる。また、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではないことは言うまでもない。
【符号の説明】
【0129】
10 駆動回路、 11 外部インターフェイス、 12 ラム、 13 カウンタ、 14 フレームカウンタ、 15 タイミングジェネレータ、 30 ドライバ内蔵蛍光表示管、 31 カソード、 32 グリッド電極、 33 アノードセグメント、 34 ベースプレート、 35 フィラメントリード、 36 ドライバチップ用リード、 A、B、C、D、E、F、G、H、I、J、K、L、M、N、O、P アノードセグメント、 DA1、DA1A、DA1B、DA1C、DA1D、DA1E、DA1F、DA1G、DA1H、DA2、DA2A、DA2H、DAm、DAmA、DAmH、DG1、DG2、DG4、DGn グリッド引出線、 G1、G2、G3、G4、Gn グリッド電極
【特許請求の範囲】
【請求項1】
8以上の偶数の正整数Q毎に区分され、その区分の中の並びの位置が同位置にあるアノードセグメントを列方向に連結してQ個のアノード引出線を有して形成されるアノードセグメント行と、前記アノードセグメント行と直交する行方向に延びグリッド引出線を有して形成されるグリッド電極と、を有し、
複数個の前記アノードセグメント行と複数個の前記グリッド電極の列とをマトリック状に配置して、各々のグリッド電極と各々のアノードセグメント行の中のQ/2個のアノードセグメントとを対向させて形成される、Q重アノードマトリクス方式の蛍光表示管において、
隣接する第1のグリッド電極と第2のグリッド電極とをオンとすることによって発光可能とされるQ個のアノードセグメントの中で、
前記第1のグリッド電極に最も近接した位置から順に配置され前記第2のグリッド電極に対向する1個ないし(Q/2−1)個の範囲中のいずれかの個数であるR個のアノードセグメントと、前記第2のグリッド電極に最も近接した位置から順に配置され前記第1のグリッド電極に対向する(Q/2−R)個のアノードセグメントとの、合計してQ/2個のアノードセグメントが選択されて形成される複数の選択ピクセルの中の1の選択ピクセルを順次1フレームずつ表示信号に応じて発光させる駆動回路を具備する、
蛍光表示管。
【請求項2】
前記駆動回路は、該蛍光表示管の内部に配置されることを特徴とする、請求項1に記載の蛍光表示管。
【請求項3】
8以上の偶数の正整数Q毎に区分され、その区分の中の並びの位置が同位置にあるアノードセグメントを列方向に連結してQ個のアノード引出線を有して形成されるアノードセグメント行と、前記アノードセグメント行と直交する行方向に延びグリッド引出線を有して形成されるグリッド電極と、を有し、
複数個の前記アノードセグメント行と複数個の前記グリッド電極の列とをマトリック状に配置して、各々のグリッド電極と各々のアノードセグメント行の中のQ/2個のアノードセグメントとを対向させて形成される、Q重アノードマトリクス方式の蛍光表示管の駆動回路において、
隣接する第1のグリッド電極と第2のグリッド電極とをオンとすることによって発光可能とされるQ個のアノードセグメントの中で、
前記第1のグリッド電極に最も近接した位置から順に配置され前記第2のグリッド電極に対向する1個ないし(Q/2−1)個の範囲中のいずれかの個数であるR個のアノードセグメントと、前記第2のグリッド電極に最も近接した位置から順に配置され前記第1のグリッド電極に対向する(Q/2−R)個のアノードセグメントとの、合計してQ/2個のアノードセグメントが選択されて形成される複数の選択ピクセルの中の1の選択ピクセルを順次1フレームずつ表示信号に応じて発光させる、
蛍光表示管の駆動回路。
【請求項4】
8以上の偶数の正整数Q毎に区分され、その区分の中の並びの位置が同位置にあるアノードセグメントを列方向に連結してQ個のアノード引出線を有して形成されるアノードセグメント行と、前記アノードセグメント行と直交する行方向に延びグリッド引出線を有して形成されるグリッド電極と、を有し、
複数個の前記アノードセグメント行と複数個の前記グリッド電極の列とをマトリック状に配置して、各々のグリッド電極と各々のアノードセグメント行の中のQ/2個のアノードセグメントとを対向させて形成される、Q重アノードマトリクス方式の蛍光表示管を駆動する蛍光表示管の駆動方法において、
隣接する第1のグリッド電極と第2のグリッド電極とをオンとすることによって発光可能とされるQ個のアノードセグメントの中で、
前記第1のグリッド電極に最も近接した位置から順に配置され前記第2のグリッド電極に対向する1個ないし(Q/2−1)個の範囲中のいずれかの個数であるR個のアノードセグメントと、前記第2のグリッド電極に最も近接した位置から順に配置され前記第1のグリッド電極に対向する(Q/2−R)個のアノードセグメントとの、合計してQ/2個のアノードセグメントが選択されて形成される複数の選択ピクセルの中の1の選択ピクセルを順次1フレームずつ表示信号に応じて発光させる、
蛍光表示管の駆動方法。
【請求項5】
2のK乗で表わされる8以上の正整数M毎に区分され、その区分の中の並びの位置が同位置にあるアノードセグメントを列方向に連結してM個のアノード引出線を有して形成されるアノードセグメント行と、前記アノードセグメント行と直交する行方向に延びグリッド引出線を有して形成されるグリッド電極と、を有し、
複数個の前記アノードセグメント行と複数個の前記グリッド電極の列とをマトリック状に配置して、各々のグリッド電極と各々のアノードセグメント行の中のM/2個のアノードセグメントとを対向させて形成される、M重アノードマトリクス方式の蛍光表示管において、
隣接する第1のグリッド電極と第2のグリッド電極とをオンとすることによって発光可能とされるM個のアノードセグメントの中で、
前記第1のグリッド電極に最も近接した位置から順に配置され前記第2のグリッド電極に対向する(M/4)個のアノードセグメントと、前記第2のグリッド電極に最も近接した位置から順に配置され前記第1のグリッド電極に対向する(M/4)個のアノードセグメントと、が選択されて形成される選択ピクセルと、
前記第1のグリッド電極に最も近接した位置から順に配置され前記第2のグリッド電極に対向する(M/4−J)個のアノードセグメントと、前記第2のグリッド電極に最も近接した位置から順に配置され前記第1のグリッド電極に対向する(M/4+J)個のアノードセグメントと、を有するように、Jの値を1から2(K-3)まで変化させて選択されて形成される1または複数の選択ピクセルと、
前記第1のグリッド電極に最も近接した位置から順に配置され前記第2のグリッド電極に対向する(M/4+J)個のアノードセグメントと、前記第2のグリッド電極に最も近接した位置から順に配置され前記第1のグリッド電極に対向する(M/4−J)個のアノードセグメントと、を有するように、Jの値を1から2(K-3)まで変化させて選択されて形成される1または複数の選択ピクセルと、
の中の1の選択ピクセルを順次1フレームずつ表示信号に応じて発光させる駆動回路を具備する、
蛍光表示管。
【請求項6】
前記Mは8であり、前記Jは1であり、
各々のグリッド電極と各々のアノードセグメント行の中の4個のアノードセグメントとを対向させて形成される、8重アノードマトリクス方式の蛍光表示管において、
隣接する第1のグリッド電極と第2のグリッド電極とをオンとすることによって発光可能とされる8個のアノードセグメントの中で、
前記第1のグリッド電極に最も近接した位置から順に配置され前記第2のグリッド電極に対向する2個のアノードセグメントと、前記第2のグリッド電極に最も近接した位置から順に配置され前記第1のグリッド電極に対向する2個のアノードセグメントと、が選択されて形成される選択ピクセルと、
前記第1のグリッド電極に最も近接した位置から順に配置され前記第2のグリッド電極に対向する1個のアノードセグメントと、前記第2のグリッド電極に最も近接した位置から順に配置され前記第1のグリッド電極に対向する3個のアノードセグメントと、が選択されて形成される選択ピクセルと、
前記第1のグリッド電極に最も近接した位置から順に配置され前記第2のグリッド電極に対向する3個のアノードセグメントと、前記第2のグリッド電極に最も近接した位置から順に配置され前記第1のグリッド電極に対向する1個のアノードセグメントと、が選択されて形成される選択ピクセルと、
の中の1の選択ピクセルを順次1フレームずつ表示信号に応じて発光させる駆動回路を具備する、請求項5に記載の蛍光表示管。
【請求項7】
前記駆動回路は、該蛍光表示管の内部に配置されることを特徴とする、請求項5または請求項6に記載の蛍光表示管。
【請求項8】
2のK乗で表わされる8以上の正整数M毎に区分され、その区分の中の並びの位置が同位置にあるアノードセグメントを列方向に連結してM個のアノード引出線を有して形成されるアノードセグメント行と、前記アノードセグメント行と直交する行方向に延びグリッド引出線を有して形成されるグリッド電極と、を有し、
複数個の前記アノードセグメント行と複数個の前記グリッド電極の列とをマトリック状に配置して、各々のグリッド電極と各々のアノードセグメント行の中のM/2個のアノードセグメントとを対向させて形成される、M重アノードマトリクス方式の蛍光表示管を駆動する蛍光表示管の駆動回路において、
隣接する第1のグリッド電極と第2のグリッド電極とをオンとすることによって発光可能とされるM個のアノードセグメントの中で、
前記第1のグリッド電極に最も近接した位置から順に配置され前記第2のグリッド電極に対向する(M/4)個のアノードセグメントと、前記第2のグリッド電極に最も近接した位置から順に配置され前記第1のグリッド電極に対向する(M/4)個のアノードセグメントと、が選択されて形成される選択ピクセルと、
前記第1のグリッド電極に最も近接した位置から順に配置され前記第2のグリッド電極に対向する(M/4−J)個のアノードセグメントと、前記第2のグリッド電極に最も近接した位置から順に配置され前記第1のグリッド電極に対向する(M/4+J)個のアノードセグメントと、を有するように、Jの値を1から2(K-3)まで変化させて選択されて形成される1または複数の選択ピクセルと、
前記第1のグリッド電極に最も近接した位置から順に配置され前記第2のグリッド電極に対向する(M/4+J)個のアノードセグメントと、前記第2のグリッド電極に最も近接した位置から順に配置され前記第1のグリッド電極に対向する(M/4−J)個のアノードセグメントと、を有するように、Jの値を1から2(K-3)まで変化させて選択されて形成される1または複数の選択ピクセルと、
の中の1の選択ピクセルを順次1フレームずつ表示信号に応じて発光させる、
蛍光表示管の駆動回路。
【請求項9】
2のK乗で表わされる8以上の正整数M毎に区分され、その区分の中の並びの位置が同位置にあるアノードセグメントを列方向に連結してM個のアノード引出線を有して形成されるアノードセグメント行と、前記アノードセグメント行と直交する行方向に延びグリッド引出線を有して形成されるグリッド電極と、を有し、
複数個の前記アノードセグメント行と複数個の前記グリッド電極の列とをマトリック状に配置して、各々のグリッド電極と各々のアノードセグメント行の中のM/2個のアノードセグメントとを対向させて形成される、M重アノードマトリクス方式の蛍光表示管を駆動する蛍光表示管の駆動方法において、
隣接する第1のグリッド電極と第2のグリッド電極とをオンとすることによって発光可能とされるM個のアノードセグメントの中で、
前記第1のグリッド電極に最も近接した位置から順に配置され前記第2のグリッド電極に対向する(M/4)個のアノードセグメントと、前記第2のグリッド電極に最も近接した位置から順に配置され前記第1のグリッド電極に対向する(M/4)個のアノードセグメントと、が選択されて形成される選択ピクセルと、
前記第1のグリッド電極に最も近接した位置から順に配置され前記第2のグリッド電極に対向する(M/4−J)個のアノードセグメントと、前記第2のグリッド電極に最も近接した位置から順に配置され前記第1のグリッド電極に対向する(M/4+J)個のアノードセグメントと、を有するように、Jの値を1から2(K-3)まで変化させて選択されて形成される1または複数の選択ピクセルと、
前記第1のグリッド電極に最も近接した位置から順に配置され前記第2のグリッド電極に対向する(M/4+J)個のアノードセグメントと、前記第2のグリッド電極に最も近接した位置から順に配置され前記第1のグリッド電極に対向する(M/4−J)個のアノードセグメントと、を有するように、Jの値を1から2(K-3)まで変化させて選択されて形成される1または複数の選択ピクセルと、
の中の1の選択ピクセルを順次1フレームずつ表示信号に応じて発光させる、
蛍光表示管の駆動方法。
【請求項1】
8以上の偶数の正整数Q毎に区分され、その区分の中の並びの位置が同位置にあるアノードセグメントを列方向に連結してQ個のアノード引出線を有して形成されるアノードセグメント行と、前記アノードセグメント行と直交する行方向に延びグリッド引出線を有して形成されるグリッド電極と、を有し、
複数個の前記アノードセグメント行と複数個の前記グリッド電極の列とをマトリック状に配置して、各々のグリッド電極と各々のアノードセグメント行の中のQ/2個のアノードセグメントとを対向させて形成される、Q重アノードマトリクス方式の蛍光表示管において、
隣接する第1のグリッド電極と第2のグリッド電極とをオンとすることによって発光可能とされるQ個のアノードセグメントの中で、
前記第1のグリッド電極に最も近接した位置から順に配置され前記第2のグリッド電極に対向する1個ないし(Q/2−1)個の範囲中のいずれかの個数であるR個のアノードセグメントと、前記第2のグリッド電極に最も近接した位置から順に配置され前記第1のグリッド電極に対向する(Q/2−R)個のアノードセグメントとの、合計してQ/2個のアノードセグメントが選択されて形成される複数の選択ピクセルの中の1の選択ピクセルを順次1フレームずつ表示信号に応じて発光させる駆動回路を具備する、
蛍光表示管。
【請求項2】
前記駆動回路は、該蛍光表示管の内部に配置されることを特徴とする、請求項1に記載の蛍光表示管。
【請求項3】
8以上の偶数の正整数Q毎に区分され、その区分の中の並びの位置が同位置にあるアノードセグメントを列方向に連結してQ個のアノード引出線を有して形成されるアノードセグメント行と、前記アノードセグメント行と直交する行方向に延びグリッド引出線を有して形成されるグリッド電極と、を有し、
複数個の前記アノードセグメント行と複数個の前記グリッド電極の列とをマトリック状に配置して、各々のグリッド電極と各々のアノードセグメント行の中のQ/2個のアノードセグメントとを対向させて形成される、Q重アノードマトリクス方式の蛍光表示管の駆動回路において、
隣接する第1のグリッド電極と第2のグリッド電極とをオンとすることによって発光可能とされるQ個のアノードセグメントの中で、
前記第1のグリッド電極に最も近接した位置から順に配置され前記第2のグリッド電極に対向する1個ないし(Q/2−1)個の範囲中のいずれかの個数であるR個のアノードセグメントと、前記第2のグリッド電極に最も近接した位置から順に配置され前記第1のグリッド電極に対向する(Q/2−R)個のアノードセグメントとの、合計してQ/2個のアノードセグメントが選択されて形成される複数の選択ピクセルの中の1の選択ピクセルを順次1フレームずつ表示信号に応じて発光させる、
蛍光表示管の駆動回路。
【請求項4】
8以上の偶数の正整数Q毎に区分され、その区分の中の並びの位置が同位置にあるアノードセグメントを列方向に連結してQ個のアノード引出線を有して形成されるアノードセグメント行と、前記アノードセグメント行と直交する行方向に延びグリッド引出線を有して形成されるグリッド電極と、を有し、
複数個の前記アノードセグメント行と複数個の前記グリッド電極の列とをマトリック状に配置して、各々のグリッド電極と各々のアノードセグメント行の中のQ/2個のアノードセグメントとを対向させて形成される、Q重アノードマトリクス方式の蛍光表示管を駆動する蛍光表示管の駆動方法において、
隣接する第1のグリッド電極と第2のグリッド電極とをオンとすることによって発光可能とされるQ個のアノードセグメントの中で、
前記第1のグリッド電極に最も近接した位置から順に配置され前記第2のグリッド電極に対向する1個ないし(Q/2−1)個の範囲中のいずれかの個数であるR個のアノードセグメントと、前記第2のグリッド電極に最も近接した位置から順に配置され前記第1のグリッド電極に対向する(Q/2−R)個のアノードセグメントとの、合計してQ/2個のアノードセグメントが選択されて形成される複数の選択ピクセルの中の1の選択ピクセルを順次1フレームずつ表示信号に応じて発光させる、
蛍光表示管の駆動方法。
【請求項5】
2のK乗で表わされる8以上の正整数M毎に区分され、その区分の中の並びの位置が同位置にあるアノードセグメントを列方向に連結してM個のアノード引出線を有して形成されるアノードセグメント行と、前記アノードセグメント行と直交する行方向に延びグリッド引出線を有して形成されるグリッド電極と、を有し、
複数個の前記アノードセグメント行と複数個の前記グリッド電極の列とをマトリック状に配置して、各々のグリッド電極と各々のアノードセグメント行の中のM/2個のアノードセグメントとを対向させて形成される、M重アノードマトリクス方式の蛍光表示管において、
隣接する第1のグリッド電極と第2のグリッド電極とをオンとすることによって発光可能とされるM個のアノードセグメントの中で、
前記第1のグリッド電極に最も近接した位置から順に配置され前記第2のグリッド電極に対向する(M/4)個のアノードセグメントと、前記第2のグリッド電極に最も近接した位置から順に配置され前記第1のグリッド電極に対向する(M/4)個のアノードセグメントと、が選択されて形成される選択ピクセルと、
前記第1のグリッド電極に最も近接した位置から順に配置され前記第2のグリッド電極に対向する(M/4−J)個のアノードセグメントと、前記第2のグリッド電極に最も近接した位置から順に配置され前記第1のグリッド電極に対向する(M/4+J)個のアノードセグメントと、を有するように、Jの値を1から2(K-3)まで変化させて選択されて形成される1または複数の選択ピクセルと、
前記第1のグリッド電極に最も近接した位置から順に配置され前記第2のグリッド電極に対向する(M/4+J)個のアノードセグメントと、前記第2のグリッド電極に最も近接した位置から順に配置され前記第1のグリッド電極に対向する(M/4−J)個のアノードセグメントと、を有するように、Jの値を1から2(K-3)まで変化させて選択されて形成される1または複数の選択ピクセルと、
の中の1の選択ピクセルを順次1フレームずつ表示信号に応じて発光させる駆動回路を具備する、
蛍光表示管。
【請求項6】
前記Mは8であり、前記Jは1であり、
各々のグリッド電極と各々のアノードセグメント行の中の4個のアノードセグメントとを対向させて形成される、8重アノードマトリクス方式の蛍光表示管において、
隣接する第1のグリッド電極と第2のグリッド電極とをオンとすることによって発光可能とされる8個のアノードセグメントの中で、
前記第1のグリッド電極に最も近接した位置から順に配置され前記第2のグリッド電極に対向する2個のアノードセグメントと、前記第2のグリッド電極に最も近接した位置から順に配置され前記第1のグリッド電極に対向する2個のアノードセグメントと、が選択されて形成される選択ピクセルと、
前記第1のグリッド電極に最も近接した位置から順に配置され前記第2のグリッド電極に対向する1個のアノードセグメントと、前記第2のグリッド電極に最も近接した位置から順に配置され前記第1のグリッド電極に対向する3個のアノードセグメントと、が選択されて形成される選択ピクセルと、
前記第1のグリッド電極に最も近接した位置から順に配置され前記第2のグリッド電極に対向する3個のアノードセグメントと、前記第2のグリッド電極に最も近接した位置から順に配置され前記第1のグリッド電極に対向する1個のアノードセグメントと、が選択されて形成される選択ピクセルと、
の中の1の選択ピクセルを順次1フレームずつ表示信号に応じて発光させる駆動回路を具備する、請求項5に記載の蛍光表示管。
【請求項7】
前記駆動回路は、該蛍光表示管の内部に配置されることを特徴とする、請求項5または請求項6に記載の蛍光表示管。
【請求項8】
2のK乗で表わされる8以上の正整数M毎に区分され、その区分の中の並びの位置が同位置にあるアノードセグメントを列方向に連結してM個のアノード引出線を有して形成されるアノードセグメント行と、前記アノードセグメント行と直交する行方向に延びグリッド引出線を有して形成されるグリッド電極と、を有し、
複数個の前記アノードセグメント行と複数個の前記グリッド電極の列とをマトリック状に配置して、各々のグリッド電極と各々のアノードセグメント行の中のM/2個のアノードセグメントとを対向させて形成される、M重アノードマトリクス方式の蛍光表示管を駆動する蛍光表示管の駆動回路において、
隣接する第1のグリッド電極と第2のグリッド電極とをオンとすることによって発光可能とされるM個のアノードセグメントの中で、
前記第1のグリッド電極に最も近接した位置から順に配置され前記第2のグリッド電極に対向する(M/4)個のアノードセグメントと、前記第2のグリッド電極に最も近接した位置から順に配置され前記第1のグリッド電極に対向する(M/4)個のアノードセグメントと、が選択されて形成される選択ピクセルと、
前記第1のグリッド電極に最も近接した位置から順に配置され前記第2のグリッド電極に対向する(M/4−J)個のアノードセグメントと、前記第2のグリッド電極に最も近接した位置から順に配置され前記第1のグリッド電極に対向する(M/4+J)個のアノードセグメントと、を有するように、Jの値を1から2(K-3)まで変化させて選択されて形成される1または複数の選択ピクセルと、
前記第1のグリッド電極に最も近接した位置から順に配置され前記第2のグリッド電極に対向する(M/4+J)個のアノードセグメントと、前記第2のグリッド電極に最も近接した位置から順に配置され前記第1のグリッド電極に対向する(M/4−J)個のアノードセグメントと、を有するように、Jの値を1から2(K-3)まで変化させて選択されて形成される1または複数の選択ピクセルと、
の中の1の選択ピクセルを順次1フレームずつ表示信号に応じて発光させる、
蛍光表示管の駆動回路。
【請求項9】
2のK乗で表わされる8以上の正整数M毎に区分され、その区分の中の並びの位置が同位置にあるアノードセグメントを列方向に連結してM個のアノード引出線を有して形成されるアノードセグメント行と、前記アノードセグメント行と直交する行方向に延びグリッド引出線を有して形成されるグリッド電極と、を有し、
複数個の前記アノードセグメント行と複数個の前記グリッド電極の列とをマトリック状に配置して、各々のグリッド電極と各々のアノードセグメント行の中のM/2個のアノードセグメントとを対向させて形成される、M重アノードマトリクス方式の蛍光表示管を駆動する蛍光表示管の駆動方法において、
隣接する第1のグリッド電極と第2のグリッド電極とをオンとすることによって発光可能とされるM個のアノードセグメントの中で、
前記第1のグリッド電極に最も近接した位置から順に配置され前記第2のグリッド電極に対向する(M/4)個のアノードセグメントと、前記第2のグリッド電極に最も近接した位置から順に配置され前記第1のグリッド電極に対向する(M/4)個のアノードセグメントと、が選択されて形成される選択ピクセルと、
前記第1のグリッド電極に最も近接した位置から順に配置され前記第2のグリッド電極に対向する(M/4−J)個のアノードセグメントと、前記第2のグリッド電極に最も近接した位置から順に配置され前記第1のグリッド電極に対向する(M/4+J)個のアノードセグメントと、を有するように、Jの値を1から2(K-3)まで変化させて選択されて形成される1または複数の選択ピクセルと、
前記第1のグリッド電極に最も近接した位置から順に配置され前記第2のグリッド電極に対向する(M/4+J)個のアノードセグメントと、前記第2のグリッド電極に最も近接した位置から順に配置され前記第1のグリッド電極に対向する(M/4−J)個のアノードセグメントと、を有するように、Jの値を1から2(K-3)まで変化させて選択されて形成される1または複数の選択ピクセルと、
の中の1の選択ピクセルを順次1フレームずつ表示信号に応じて発光させる、
蛍光表示管の駆動方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公開番号】特開2012−208245(P2012−208245A)
【公開日】平成24年10月25日(2012.10.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−72871(P2011−72871)
【出願日】平成23年3月29日(2011.3.29)
【出願人】(000201814)双葉電子工業株式会社 (201)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年10月25日(2012.10.25)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年3月29日(2011.3.29)
【出願人】(000201814)双葉電子工業株式会社 (201)
【Fターム(参考)】
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