螺子及び部材取付構造
【課題】ビス又はボルトそれ自体に発光体を組み込み、照明専用器具によることなく照明を設置することができる螺子と、この螺子を用いた部材取付構造を提供する。
【解決手段】ボルト20は、棒状部21と、この棒状部21の基端に設けられた頭部22とを有しており、該棒状部21の外周面に雄ネジが設けられている。棒状部21の先端に凹穴26が設けられ、LED23が該凹穴26内に配置され、透明樹脂27によって埋設されている。頭部22内には、棒状部21と同軸状に2次コイル24が周設されており、該2次コイル24とLED23とはリード線25で接続されている。この2次コイル24に1次コイルを対峙させて電磁誘導によって2次コイル24に電力を伝搬させることによりLED23を点灯させることができる。
【解決手段】ボルト20は、棒状部21と、この棒状部21の基端に設けられた頭部22とを有しており、該棒状部21の外周面に雄ネジが設けられている。棒状部21の先端に凹穴26が設けられ、LED23が該凹穴26内に配置され、透明樹脂27によって埋設されている。頭部22内には、棒状部21と同軸状に2次コイル24が周設されており、該2次コイル24とLED23とはリード線25で接続されている。この2次コイル24に1次コイルを対峙させて電磁誘導によって2次コイル24に電力を伝搬させることによりLED23を点灯させることができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ボルト又はビスよりなる螺子と、この螺子によって部材を取り付けた部材取付構造とに関する。詳しくは、便座ボックスなどの便器上面部材を便器に取り付ける場合に好適な螺子及び部材取付構造に関する。
【背景技術】
【0002】
I.洋風便器に温水洗浄装置を設置する場合に、便鉢の後部上面に便座ボックスを設置することが多い。この便座ボックス内に温水を噴出するためのノズル及び温水供給機構が組み込まれると共に、さらに温風乾燥機構、脱臭機構などが組み込まれることもある。この便座ボックスに便座や、通常は更に便蓋が上下方向回動自在に取り付けられる。この便座ボックスの洋風便器への従来の取付構造(例えば特開2001−81832号)について第12図〜第14図を参照して説明する。
【0003】
便座ボックス1の底部プレート2に洋風便器4の前後方向に延在するスリット3が2条平行に設けられている。このスリット3にボルト5の頭部が差し込まれる。なお、スリット3は、後端側に拡幅部3aを備えており、ボルト5の頭部5aが該拡幅部3aを通って底部プレート2の上側に挿入され、ボルト5の螺子棒部5bが該スリット3を通って下方に延出される。
【0004】
洋風便器4の便鉢4aの後方部には、このボルト5の螺子棒部5bを通すためのボルト挿通孔4bが2個設けられている。平パッキン6を介してボルト5を該ボルト挿通孔4bに通し、半球パッキン8及びスリップワッシャ9を介してナット10を該ボルト5に装着する。便座ボックス1に装着された便座11の前端が第14図の如く洋風便器4の前端から5〜20mm程度突出するように便座ボックス1の前後位置を調整してから該ナット10を締め込み、便座ボックス1を洋風便器4に固定する。
【0005】
この便座ボックス1には、便蓋12も上下方向回動自在に取り付けられている。この便座ボックス1の内部に温水噴射ノズル等の機構が設置されている。
【0006】
この便器4はビス13によってトイレルームの床に固定されている。ビス13の頭部には化粧キャップ14が装着されている。なお、第13,14図ではビス13は便器4の後部に設けられているが、便器4の側面部4Sを床にビス留めすることも広く行われている。
【0007】
II.特開2001−65032号には、便器にLEDを設け、便器周囲の床面等を照明することが記載されている。
【0008】
III.特開2003−174978号の図6,8には、シャワーヘッドに超音波発生器及び2次コイルを設けると共に、シャワーフックに1次コイルを設け、これら1次コイル、2次コイル間の電磁誘導により超音波発生器駆動用の蓄電池に給電することが記載されている。
【特許文献1】特開2001−81832号
【特許文献2】特開2001−65032号
【特許文献3】特開2003−174978号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
上記特開2001−65032号では、LEDを有した照明器具を便器に取り付ける必要がある。
【0010】
本発明は、ビス又はボルトそれ自体に発光体を組み込み、照明専用器具によることなく照明を設置することができる螺子と、この螺子を用いた部材取付構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
請求項1の螺子は、ボルト又はビスよりなる螺子において、発光体を備えたことを特徴とするものである。
【0012】
請求項2の螺子は、請求項1において、該発光体は該螺子の内部に配置されており、該発光体からの光を螺子の外面にまで導くように透明部が設けられていることを特徴とするものである。
【0013】
請求項3の螺子は、請求項1又は2において、発光体からの光を出射させる出射部が螺子の長手方向の端部に設けられていることを特徴とするものである。
【0014】
請求項4の螺子は、請求項1ないし3のいずれか1項において、電磁誘導作用によって電力を伝搬させると共にこの電力を該発光体に供給するように2次コイルが設けられていることを特徴とするものである。
【0015】
請求項5の螺子は、請求項4において、該螺子は外周面に雄ネジが設けられた棒状部と、該棒状部の一端に設けられた頭部とを有しており、前記2次コイルは、該頭部に該螺子と同軸的に周設されていることを特徴とするものである。
【0016】
請求項6の部材取付構造は、螺子によって部材を取り付けた部材取付構造において、該螺子は請求項1ないし4のいずれか1項に記載の螺子であることを特徴とするものである。
【0017】
請求項7の部材取付構造は、請求項6において、該部材は便器であり、前記螺子の頭部が便器の外部に露出しており、該螺子は、該頭部に光の出射部を備えていることを特徴とするものである。
【0018】
請求項8の部材取付構造は、請求項6において、該部材は便器上に設置された便器上面部材であり、前記螺子は、便器の上面のフランジ状部分を貫通し、該螺子の下端部が該便器外部に露出しており、該螺子は、該下端部に光の出射部を備えていることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0019】
本発明の螺子には発光体が設けられているので、照明専用器具を用いることなく照明を設置することができる。発光体が紫外線(UV)を発生するものであれば、紫外線殺菌を行うこともできる。
【0020】
発光体を螺子の内部に配置し、透明部を介して出射させるようにした場合には、発光体に人や物が当ったり、水が掛かったりして発光体が損壊することが防止される。
【0021】
光の出射部を螺子の長手方向の端部に配置した場合には、この端部が被取付部材から露出するように螺子留めすることにより、この端部を照明として機能させることができる。
【0022】
この螺子に2次コイルを設け、電磁誘導によって発光体に給電することが好ましい。これにより、螺子に対し電線を接続することが不要となる。
【0023】
この2次コイルは、螺子の頭部に設けられることが好ましい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下、図面を参照して実施の形態について説明する。
【0025】
第1図(a)は実施の形態に係る螺子としてのボルトの斜視図、第1図(b)は同(a)のB−B線断面図、第2図はこのボルトの使用例を示す断面図である。
【0026】
このボルト20は、棒状部21と、この棒状部21の基端に設けられた頭部22とを有しており、該棒状部21の外周面に雄ネジが設けられている。棒状部21の先端に凹穴26が設けられ、LED23が該凹穴26内に配置され、透明樹脂27によって埋設されている。
【0027】
頭部22内には、棒状部21と同軸状に2次コイル24が周設されており、該2次コイル24とLED23とはリード線25で接続されている。
【0028】
この2次コイル24に1次コイルを対峙させて電磁誘導によって2次コイル24に電力を伝搬させることによりLED23を点灯させることができる。
【0029】
このボルト20は、各種部材の取り付けに用いることができる。第12〜14図に示した便座ボックスの取付ボルト5の下端に発光体を設けた場合には、トイレルームの便器側方の床面を照明することができる。
【0030】
第2図はその一例を示すものであり、前記第12図〜第14図に示したボルト5の代わりに上記ボルト20を用いて便座ボックス1を便器4に取り付けた状態を示している。
【0031】
このボルト20は、便器4のボルト挿通穴4bに挿通され、頭部22はスリット3の上側に配置されている。頭部22の上側に1次コイル28が設けられている。この1次コイル28は、便座ボックス1の底部プレート2を構成する樹脂材料中にインサートされている。1次コイル28は2次コイル24と同軸状に配置されている。その他の符号は前記第12〜14図の通りである。
【0032】
ボルト20の棒状部21の下端はナット10よりも下方に突出しているので、1次コイル28に交流を通電し、LED23を点灯させると、LED23からの光が透明樹脂27を通って便器4の後方付近を照らすようになる。
【0033】
なお、LED23として紫外線を発光するUVLEDを用いると、便器4の後方付近を紫外線で殺菌することができる。この紫外線が照射される部位に酸化チタン等の光触媒を保持させておくと、光触媒作用によって防汚作用を奏することができる。
【0034】
第2図では、1次コイル28は、便座ボックス1の底部プレート2を構成する、頭部22の上方の樹脂材料中にインサートされているが、頭部22の下方の樹脂材料中にインサートされてもよい。また、第3図のように、便座ボックス1の底部プレート2とは別体の1次コイルユニット29を配置し、該1次コイルユニット29に設けた1次コイル28によって2次コイル24に電磁誘導起電力を生じさせてもよい。また、パッキン6に1次コイルを設けてもよい。
【0035】
第2,3図では、本発明のボルトによって便座ボックスを便器に取り付けているが、便器を床等に固定するためのボルトやビスに本発明を適用してもよい。例えば、第12〜14図のビス13に本発明を適用してもよい。このビス13の頭部に発光体を設ける場合には、便器の後部側領域を照明することができる。この場合、化粧キャップ14は省略するか、又は透明とすればよい。なお、第12〜14図では、ビス13は便器4の後部に設けられているが、便器4の側面4S付近など他の部位に設けられてもよい。
【0036】
本発明の螺子は、第4図のボルト20Aのように六角形の頭部22Aを備えてもよい。この頭部22Aの上面近くに2次コイル24が配置されている。このボルト20Aのその他の構成はボルト20と同一である。
【0037】
このボルト20Aの使用例を第5図(a)に示す。このボルト22Aは、部材31,32のボルト挿通孔31a,32aに挿通され、ワッシャ33,34を介してナット35が締め込まれることにより、部材31,32同士が連結されている。
【0038】
頭部22Aに対し冠状の1次コイルユニット36が装着され、この1次コイルユニット36に設けられた1次コイル37が2次コイル24と近接対峙するようになっている。リード線37aを介して1次コイル37に交流を通電すると、2次コイル24に電磁誘導により電力が伝搬し、LED23が点灯する。
【0039】
第5図(a)では、2次コイル24は頭部22Aの上面側に配置されているが、第5図(b)のボルト20Bのように、頭部22Bの下面側(棒状部21側)に2次コイル24を配置してもよい。このボルト20Bのその他の構成はボルト20Aと同一である。
【0040】
第5図(b)では、ワッシャ33Aに1次コイル38を組み込み、リード線38aによって交流を通電し、2次コイル24に電磁誘導によって電力を伝搬させ、LED23を点灯させるようにしている。
【0041】
第6図(a),(b)は皿ボルトに適用した実施の形態を示す斜視図と断面図である。
【0042】
このボルト20Cの頭部22Cは皿状であり、十字形の溝40が設けられている。2次コイル24は頭部22Cの上面を周回している。ボルト20Cのその他の構成はボルト20と同一であり、同一符号は同一部分を示している。この実施の形態でも、2次コイル24に1次コイルを近接対峙させ、電磁誘導によってLED23に通電して点灯させることができる。
【0043】
第6図では頭部22Cの上面に2次コイル24を設けているが、第7図のボルト20Dのように皿状頭部22Dの棒状部21側のテーパ面に2次コイル24を設けてもよい。
【0044】
上記実施の形態では、いずれも棒状部の先端側にLED23を配置しているが、第8図のボルト20Eのように棒状部21の基端側にLED23を配置し、棒状部21内に導光用の透明部42を設けてもよい。この透明部42はLED23から棒状部21の先端面にまで延在している。透明部42は透明樹脂等よりなることが好ましい。なお、第8図(a)はボルト20Eの斜視図、第8図(b)は同(a)のB−B線断面図である。このボルト20Eのその他の構成はボルト20と同一である。
【0045】
第8図では透明部42を棒状部21の軸芯部分に設けているが、第9図のボルト20Fは全体を透明な樹脂にて構成したものであり、LED23は棒状部21の頭部22近傍に設けられている。棒状部21の外周面のうち少なくとも雄ネジ部分Sについては反射層が設けられている。
【0046】
このボルト20Fにおいては、2次コイル24からの電磁誘導起電力によってLED23が点灯した場合、その光は棒状部21の外周面で全反射して棒状部21の先端に到達し、そこから外部に放射される。なお、雄ネジ部分Sに反射層を設けているので、雄ネジ部分Sから光が外部に漏れることはない。
【0047】
第10図(a)は頭部から光を出射させるようにした実施の形態に係るボルト20Gの斜視図、同(b)は同(a)のB−B線断面図である。このボルト20Gの頭部22Gの上面から凹穴44が設けられ、この凹穴44内にLED23が配置され、凹穴44内に透明樹脂等よりなる透明部45が設けられている。
【0048】
2次コイル24は頭部22Gの棒状部21側に周設されている。このボルト20Gは、前記第5図(b)のように使用することができる。
【0049】
このボルト20Gにあっては、LED23が点灯すると、頭部22Gから上方に光が出射する。
【0050】
第11図は、皿ビスに適用した実施の形態を示している。ビス20Hは全体が透明樹脂よりなる。皿形の頭部22Hの棒(錐)状部21H側のテーパ面に沿って1次コイル24が設けられている。LED23は十字溝40の下側に埋設されている。
【0051】
このビス20Hにあっても、LED23が点灯すると、頭部22Hから上方に光が出射する。
【0052】
上記実施の形態はいずれも本発明の一例であり、本発明は図示以外の形態をもとりうる。
【0053】
上記実施の形態では、いずれもLEDをボルトやビスの内部に埋設状に設けており、耐久性に優れるが、LEDは外気に触れるように設けられてもよい。例えば、第1図において透明樹脂27が省略されてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】(a)図は実施の形態に係る螺子としてのボルトの斜視図、(b)図は(a)図のB−B線断面図である。
【図2】図1のボルトの使用例を示す断面図である。
【図3】図1のボルトの別の使用例を示す断面図である。
【図4】実施の形態に係る螺子としてのボルトの斜視図である。
【図5】図4のボルトの使用例を示す断面図である。
【図6】実施の形態に係る螺子としてのボルトの構成図である。
【図7】実施の形態に係る螺子としてのボルトの構成図である。
【図8】実施の形態に係る螺子としてのボルトの構成図である。
【図9】実施の形態に係る螺子としてのボルトの構成図である。
【図10】実施の形態に係る螺子としてのボルトの構成図である。
【図11】実施の形態に係る螺子としてのビスの構成図である。
【図12】便座ボックスの取付状態を示す分解斜視図である。
【図13】便座ボックスの底面の斜視図である。
【図14】便座ボックス付き洋風便器の斜視図である。
【符号の説明】
【0055】
1 便座ボックス
5 ボルト
20,20A〜20G ボルト
20H ビス
22,22A〜22H 頭部
23 LED
24 2次コイル
28,37,38 1次コイル
【技術分野】
【0001】
本発明は、ボルト又はビスよりなる螺子と、この螺子によって部材を取り付けた部材取付構造とに関する。詳しくは、便座ボックスなどの便器上面部材を便器に取り付ける場合に好適な螺子及び部材取付構造に関する。
【背景技術】
【0002】
I.洋風便器に温水洗浄装置を設置する場合に、便鉢の後部上面に便座ボックスを設置することが多い。この便座ボックス内に温水を噴出するためのノズル及び温水供給機構が組み込まれると共に、さらに温風乾燥機構、脱臭機構などが組み込まれることもある。この便座ボックスに便座や、通常は更に便蓋が上下方向回動自在に取り付けられる。この便座ボックスの洋風便器への従来の取付構造(例えば特開2001−81832号)について第12図〜第14図を参照して説明する。
【0003】
便座ボックス1の底部プレート2に洋風便器4の前後方向に延在するスリット3が2条平行に設けられている。このスリット3にボルト5の頭部が差し込まれる。なお、スリット3は、後端側に拡幅部3aを備えており、ボルト5の頭部5aが該拡幅部3aを通って底部プレート2の上側に挿入され、ボルト5の螺子棒部5bが該スリット3を通って下方に延出される。
【0004】
洋風便器4の便鉢4aの後方部には、このボルト5の螺子棒部5bを通すためのボルト挿通孔4bが2個設けられている。平パッキン6を介してボルト5を該ボルト挿通孔4bに通し、半球パッキン8及びスリップワッシャ9を介してナット10を該ボルト5に装着する。便座ボックス1に装着された便座11の前端が第14図の如く洋風便器4の前端から5〜20mm程度突出するように便座ボックス1の前後位置を調整してから該ナット10を締め込み、便座ボックス1を洋風便器4に固定する。
【0005】
この便座ボックス1には、便蓋12も上下方向回動自在に取り付けられている。この便座ボックス1の内部に温水噴射ノズル等の機構が設置されている。
【0006】
この便器4はビス13によってトイレルームの床に固定されている。ビス13の頭部には化粧キャップ14が装着されている。なお、第13,14図ではビス13は便器4の後部に設けられているが、便器4の側面部4Sを床にビス留めすることも広く行われている。
【0007】
II.特開2001−65032号には、便器にLEDを設け、便器周囲の床面等を照明することが記載されている。
【0008】
III.特開2003−174978号の図6,8には、シャワーヘッドに超音波発生器及び2次コイルを設けると共に、シャワーフックに1次コイルを設け、これら1次コイル、2次コイル間の電磁誘導により超音波発生器駆動用の蓄電池に給電することが記載されている。
【特許文献1】特開2001−81832号
【特許文献2】特開2001−65032号
【特許文献3】特開2003−174978号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
上記特開2001−65032号では、LEDを有した照明器具を便器に取り付ける必要がある。
【0010】
本発明は、ビス又はボルトそれ自体に発光体を組み込み、照明専用器具によることなく照明を設置することができる螺子と、この螺子を用いた部材取付構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
請求項1の螺子は、ボルト又はビスよりなる螺子において、発光体を備えたことを特徴とするものである。
【0012】
請求項2の螺子は、請求項1において、該発光体は該螺子の内部に配置されており、該発光体からの光を螺子の外面にまで導くように透明部が設けられていることを特徴とするものである。
【0013】
請求項3の螺子は、請求項1又は2において、発光体からの光を出射させる出射部が螺子の長手方向の端部に設けられていることを特徴とするものである。
【0014】
請求項4の螺子は、請求項1ないし3のいずれか1項において、電磁誘導作用によって電力を伝搬させると共にこの電力を該発光体に供給するように2次コイルが設けられていることを特徴とするものである。
【0015】
請求項5の螺子は、請求項4において、該螺子は外周面に雄ネジが設けられた棒状部と、該棒状部の一端に設けられた頭部とを有しており、前記2次コイルは、該頭部に該螺子と同軸的に周設されていることを特徴とするものである。
【0016】
請求項6の部材取付構造は、螺子によって部材を取り付けた部材取付構造において、該螺子は請求項1ないし4のいずれか1項に記載の螺子であることを特徴とするものである。
【0017】
請求項7の部材取付構造は、請求項6において、該部材は便器であり、前記螺子の頭部が便器の外部に露出しており、該螺子は、該頭部に光の出射部を備えていることを特徴とするものである。
【0018】
請求項8の部材取付構造は、請求項6において、該部材は便器上に設置された便器上面部材であり、前記螺子は、便器の上面のフランジ状部分を貫通し、該螺子の下端部が該便器外部に露出しており、該螺子は、該下端部に光の出射部を備えていることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0019】
本発明の螺子には発光体が設けられているので、照明専用器具を用いることなく照明を設置することができる。発光体が紫外線(UV)を発生するものであれば、紫外線殺菌を行うこともできる。
【0020】
発光体を螺子の内部に配置し、透明部を介して出射させるようにした場合には、発光体に人や物が当ったり、水が掛かったりして発光体が損壊することが防止される。
【0021】
光の出射部を螺子の長手方向の端部に配置した場合には、この端部が被取付部材から露出するように螺子留めすることにより、この端部を照明として機能させることができる。
【0022】
この螺子に2次コイルを設け、電磁誘導によって発光体に給電することが好ましい。これにより、螺子に対し電線を接続することが不要となる。
【0023】
この2次コイルは、螺子の頭部に設けられることが好ましい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下、図面を参照して実施の形態について説明する。
【0025】
第1図(a)は実施の形態に係る螺子としてのボルトの斜視図、第1図(b)は同(a)のB−B線断面図、第2図はこのボルトの使用例を示す断面図である。
【0026】
このボルト20は、棒状部21と、この棒状部21の基端に設けられた頭部22とを有しており、該棒状部21の外周面に雄ネジが設けられている。棒状部21の先端に凹穴26が設けられ、LED23が該凹穴26内に配置され、透明樹脂27によって埋設されている。
【0027】
頭部22内には、棒状部21と同軸状に2次コイル24が周設されており、該2次コイル24とLED23とはリード線25で接続されている。
【0028】
この2次コイル24に1次コイルを対峙させて電磁誘導によって2次コイル24に電力を伝搬させることによりLED23を点灯させることができる。
【0029】
このボルト20は、各種部材の取り付けに用いることができる。第12〜14図に示した便座ボックスの取付ボルト5の下端に発光体を設けた場合には、トイレルームの便器側方の床面を照明することができる。
【0030】
第2図はその一例を示すものであり、前記第12図〜第14図に示したボルト5の代わりに上記ボルト20を用いて便座ボックス1を便器4に取り付けた状態を示している。
【0031】
このボルト20は、便器4のボルト挿通穴4bに挿通され、頭部22はスリット3の上側に配置されている。頭部22の上側に1次コイル28が設けられている。この1次コイル28は、便座ボックス1の底部プレート2を構成する樹脂材料中にインサートされている。1次コイル28は2次コイル24と同軸状に配置されている。その他の符号は前記第12〜14図の通りである。
【0032】
ボルト20の棒状部21の下端はナット10よりも下方に突出しているので、1次コイル28に交流を通電し、LED23を点灯させると、LED23からの光が透明樹脂27を通って便器4の後方付近を照らすようになる。
【0033】
なお、LED23として紫外線を発光するUVLEDを用いると、便器4の後方付近を紫外線で殺菌することができる。この紫外線が照射される部位に酸化チタン等の光触媒を保持させておくと、光触媒作用によって防汚作用を奏することができる。
【0034】
第2図では、1次コイル28は、便座ボックス1の底部プレート2を構成する、頭部22の上方の樹脂材料中にインサートされているが、頭部22の下方の樹脂材料中にインサートされてもよい。また、第3図のように、便座ボックス1の底部プレート2とは別体の1次コイルユニット29を配置し、該1次コイルユニット29に設けた1次コイル28によって2次コイル24に電磁誘導起電力を生じさせてもよい。また、パッキン6に1次コイルを設けてもよい。
【0035】
第2,3図では、本発明のボルトによって便座ボックスを便器に取り付けているが、便器を床等に固定するためのボルトやビスに本発明を適用してもよい。例えば、第12〜14図のビス13に本発明を適用してもよい。このビス13の頭部に発光体を設ける場合には、便器の後部側領域を照明することができる。この場合、化粧キャップ14は省略するか、又は透明とすればよい。なお、第12〜14図では、ビス13は便器4の後部に設けられているが、便器4の側面4S付近など他の部位に設けられてもよい。
【0036】
本発明の螺子は、第4図のボルト20Aのように六角形の頭部22Aを備えてもよい。この頭部22Aの上面近くに2次コイル24が配置されている。このボルト20Aのその他の構成はボルト20と同一である。
【0037】
このボルト20Aの使用例を第5図(a)に示す。このボルト22Aは、部材31,32のボルト挿通孔31a,32aに挿通され、ワッシャ33,34を介してナット35が締め込まれることにより、部材31,32同士が連結されている。
【0038】
頭部22Aに対し冠状の1次コイルユニット36が装着され、この1次コイルユニット36に設けられた1次コイル37が2次コイル24と近接対峙するようになっている。リード線37aを介して1次コイル37に交流を通電すると、2次コイル24に電磁誘導により電力が伝搬し、LED23が点灯する。
【0039】
第5図(a)では、2次コイル24は頭部22Aの上面側に配置されているが、第5図(b)のボルト20Bのように、頭部22Bの下面側(棒状部21側)に2次コイル24を配置してもよい。このボルト20Bのその他の構成はボルト20Aと同一である。
【0040】
第5図(b)では、ワッシャ33Aに1次コイル38を組み込み、リード線38aによって交流を通電し、2次コイル24に電磁誘導によって電力を伝搬させ、LED23を点灯させるようにしている。
【0041】
第6図(a),(b)は皿ボルトに適用した実施の形態を示す斜視図と断面図である。
【0042】
このボルト20Cの頭部22Cは皿状であり、十字形の溝40が設けられている。2次コイル24は頭部22Cの上面を周回している。ボルト20Cのその他の構成はボルト20と同一であり、同一符号は同一部分を示している。この実施の形態でも、2次コイル24に1次コイルを近接対峙させ、電磁誘導によってLED23に通電して点灯させることができる。
【0043】
第6図では頭部22Cの上面に2次コイル24を設けているが、第7図のボルト20Dのように皿状頭部22Dの棒状部21側のテーパ面に2次コイル24を設けてもよい。
【0044】
上記実施の形態では、いずれも棒状部の先端側にLED23を配置しているが、第8図のボルト20Eのように棒状部21の基端側にLED23を配置し、棒状部21内に導光用の透明部42を設けてもよい。この透明部42はLED23から棒状部21の先端面にまで延在している。透明部42は透明樹脂等よりなることが好ましい。なお、第8図(a)はボルト20Eの斜視図、第8図(b)は同(a)のB−B線断面図である。このボルト20Eのその他の構成はボルト20と同一である。
【0045】
第8図では透明部42を棒状部21の軸芯部分に設けているが、第9図のボルト20Fは全体を透明な樹脂にて構成したものであり、LED23は棒状部21の頭部22近傍に設けられている。棒状部21の外周面のうち少なくとも雄ネジ部分Sについては反射層が設けられている。
【0046】
このボルト20Fにおいては、2次コイル24からの電磁誘導起電力によってLED23が点灯した場合、その光は棒状部21の外周面で全反射して棒状部21の先端に到達し、そこから外部に放射される。なお、雄ネジ部分Sに反射層を設けているので、雄ネジ部分Sから光が外部に漏れることはない。
【0047】
第10図(a)は頭部から光を出射させるようにした実施の形態に係るボルト20Gの斜視図、同(b)は同(a)のB−B線断面図である。このボルト20Gの頭部22Gの上面から凹穴44が設けられ、この凹穴44内にLED23が配置され、凹穴44内に透明樹脂等よりなる透明部45が設けられている。
【0048】
2次コイル24は頭部22Gの棒状部21側に周設されている。このボルト20Gは、前記第5図(b)のように使用することができる。
【0049】
このボルト20Gにあっては、LED23が点灯すると、頭部22Gから上方に光が出射する。
【0050】
第11図は、皿ビスに適用した実施の形態を示している。ビス20Hは全体が透明樹脂よりなる。皿形の頭部22Hの棒(錐)状部21H側のテーパ面に沿って1次コイル24が設けられている。LED23は十字溝40の下側に埋設されている。
【0051】
このビス20Hにあっても、LED23が点灯すると、頭部22Hから上方に光が出射する。
【0052】
上記実施の形態はいずれも本発明の一例であり、本発明は図示以外の形態をもとりうる。
【0053】
上記実施の形態では、いずれもLEDをボルトやビスの内部に埋設状に設けており、耐久性に優れるが、LEDは外気に触れるように設けられてもよい。例えば、第1図において透明樹脂27が省略されてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】(a)図は実施の形態に係る螺子としてのボルトの斜視図、(b)図は(a)図のB−B線断面図である。
【図2】図1のボルトの使用例を示す断面図である。
【図3】図1のボルトの別の使用例を示す断面図である。
【図4】実施の形態に係る螺子としてのボルトの斜視図である。
【図5】図4のボルトの使用例を示す断面図である。
【図6】実施の形態に係る螺子としてのボルトの構成図である。
【図7】実施の形態に係る螺子としてのボルトの構成図である。
【図8】実施の形態に係る螺子としてのボルトの構成図である。
【図9】実施の形態に係る螺子としてのボルトの構成図である。
【図10】実施の形態に係る螺子としてのボルトの構成図である。
【図11】実施の形態に係る螺子としてのビスの構成図である。
【図12】便座ボックスの取付状態を示す分解斜視図である。
【図13】便座ボックスの底面の斜視図である。
【図14】便座ボックス付き洋風便器の斜視図である。
【符号の説明】
【0055】
1 便座ボックス
5 ボルト
20,20A〜20G ボルト
20H ビス
22,22A〜22H 頭部
23 LED
24 2次コイル
28,37,38 1次コイル
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ボルト又はビスよりなる螺子において、発光体を備えたことを特徴とする螺子。
【請求項2】
請求項1において、該発光体は該螺子の内部に配置されており、該発光体からの光を螺子の外面にまで導くように透明部が設けられていることを特徴とする螺子。
【請求項3】
請求項1又は2において、発光体からの光を出射させる出射部が螺子の長手方向の端部に設けられていることを特徴とする螺子。
【請求項4】
請求項1ないし3のいずれか1項において、電磁誘導作用によって電力を伝搬させると共にこの電力を該発光体に供給するように2次コイルが設けられていることを特徴とする螺子。
【請求項5】
請求項4において、該螺子は外周面に雄ネジが設けられた棒状部と、該棒状部の一端に設けられた頭部とを有しており、
前記2次コイルは、該頭部に該螺子と同軸的に周設されていることを特徴とする螺子。
【請求項6】
螺子によって部材を取り付けた部材取付構造において、
該螺子は請求項1ないし4のいずれか1項に記載の螺子であることを特徴とする部材取付構造。
【請求項7】
請求項6において、該部材は便器であり、前記螺子の頭部が便器の外部に露出しており、該螺子は、該頭部に光の出射部を備えていることを特徴とする部材取付構造。
【請求項8】
請求項6において、該部材は便器上に設置された便器上面部材であり、
前記螺子は、便器の上面のフランジ状部分を貫通し、該螺子の下端部が該便器外部に露出しており、該螺子は、該下端部に光の出射部を備えていることを特徴とする部材取付構造。
【請求項1】
ボルト又はビスよりなる螺子において、発光体を備えたことを特徴とする螺子。
【請求項2】
請求項1において、該発光体は該螺子の内部に配置されており、該発光体からの光を螺子の外面にまで導くように透明部が設けられていることを特徴とする螺子。
【請求項3】
請求項1又は2において、発光体からの光を出射させる出射部が螺子の長手方向の端部に設けられていることを特徴とする螺子。
【請求項4】
請求項1ないし3のいずれか1項において、電磁誘導作用によって電力を伝搬させると共にこの電力を該発光体に供給するように2次コイルが設けられていることを特徴とする螺子。
【請求項5】
請求項4において、該螺子は外周面に雄ネジが設けられた棒状部と、該棒状部の一端に設けられた頭部とを有しており、
前記2次コイルは、該頭部に該螺子と同軸的に周設されていることを特徴とする螺子。
【請求項6】
螺子によって部材を取り付けた部材取付構造において、
該螺子は請求項1ないし4のいずれか1項に記載の螺子であることを特徴とする部材取付構造。
【請求項7】
請求項6において、該部材は便器であり、前記螺子の頭部が便器の外部に露出しており、該螺子は、該頭部に光の出射部を備えていることを特徴とする部材取付構造。
【請求項8】
請求項6において、該部材は便器上に設置された便器上面部材であり、
前記螺子は、便器の上面のフランジ状部分を貫通し、該螺子の下端部が該便器外部に露出しており、該螺子は、該下端部に光の出射部を備えていることを特徴とする部材取付構造。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2007−16856(P2007−16856A)
【公開日】平成19年1月25日(2007.1.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−197757(P2005−197757)
【出願日】平成17年7月6日(2005.7.6)
【出願人】(000000479)株式会社INAX (1,429)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年1月25日(2007.1.25)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年7月6日(2005.7.6)
【出願人】(000000479)株式会社INAX (1,429)
【Fターム(参考)】
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