説明

螺旋状保護具及び螺旋状保護具の取り付け方法

【課題】支柱と、前記支柱の支持部材に支持された架空のケーブルとの接触位置に取り付け方法を適正にする。
【解決手段】支柱1と、前記支柱1の支持部材3に支持された架空のケーブル7との接触位置に取り付ける螺旋状保護具11である。そして、前記螺旋状保護具11は、前記ケーブル7に取り付けるものであり、チューブ状の本体に、左回りの螺旋部13と右回りの螺旋部15が反転部17を介して、軸線Xにそって交互に連なる形状に係る分断部が形成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、螺旋状保護具及びその螺旋状保護具の取り付け方法に係り、特に架空のケーブル(例えば、光集合ドロップケーブルなどの光ファイバケーブル、電線、その他各種ケーブル等)を支持する支柱に対する保護部材として用いる螺旋状保護具、及び螺旋状保護具の取り付け方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ケーブル(例えば、光集合ドロップケーブルなどの光ファイバケーブル、電線、その他各種ケーブル等)を架空に支持する場合に、支柱等により架空に支持している。この際に、前記支柱と、前記ケーブルとが交差する位置にて、前記ケーブルの損傷を防ぐためにケーブルに保護チューブ等を巻き付けている。この保護チューブは、プラスチック製の帯をスパイラル状に巻いた保護用物品であり、通常、ボビン等に巻かれて収納されているものである。
【0003】
そして、この巻き付けの際(保護チューブをケーブルに巻き付ける際)に、前記ボビン等から前記スパイラル状の保護チューブ取り出しながら前記ケーブルに捻りながら巻き付けている。そして、巻き付ける部分を現場にて、目視で確認しながら決め、この決めた位置にて巻き付けた保護チューブを切断している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−168284号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、このような従来のスパイラル状の保護チューブには、以下のような問題があった。
【0006】
上述のスパイラル状の保護チューブをケーブル(例えば、光集合ドロップケーブルなどの光ファイバケーブル、電線、その他各種ケーブル等)の所定の箇所に巻き付けるには、通常、巻き付ける長さは現場で巻きながら目視にて決定している。このため、ボビンに巻き付いたままケーブルに巻き付けるためボビンをケーブルの軸線の周りに回転させてやらなければなららいという問題があった。
【0007】
一方、スパイラル状の保護チューブを、巻き付ける前に切断してしまうと、長さが足らなかったり、長すぎたりして、保護チューブを無駄にしてしまうという問題があった。
【0008】
さらに、スパイラル状の保護チューブを、ケーブルに巻き付ける作業は、ねじりながら巻き付けるためスパイラルチューブが長く撚り数が多い程、作業性が悪くなるという問題があった。
【0009】
特に架空という作業条件の悪い場所においてのケーブルへの螺旋状保護具の取り付け作業においての上記問題は、特に大きな問題であった。
【0010】
この発明の課題は、上記従来のものが持つ問題点を排除して、ケーブルへ容易に取り付け可能な保護用の螺旋状保護具及びその方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
請求項1に係る発明は、支柱と、前記支柱の支持部材に支持された架空のケーブルとの接触位置に取り付ける螺旋状保護具であって、前記螺旋状保護具は、前記ケーブルに取り付けるものであり、チューブ状の本体に、左回りの螺旋部と右回りの螺旋部が反転部を介して、軸線にそって交互に連なる形状に係る分断部が形成された螺旋状保護具である。
【0012】
請求項2に係る発明は、前記反転部は、前記左回り螺旋部から右回り螺旋部に続く間が突起状で、同一線上に揃う同じ向きのL/R反転部と、前記L/R反転部と向きが異なると共に前記右回り螺旋部から左回り螺旋部に続く間が突起状で、同一線上に揃う同じ向きのR/L反転部とで構成されている請求項1に記載の螺旋状保護具である。
【0013】
請求項3に係る発明は、支柱と、前記支柱の支持部材に支持された架空のケーブルとの接触位置に螺旋状保護具を取り付ける取り付け方法であって、チューブ状の本体に、左回り螺旋部と右回り螺旋部とが、反転部を介して、交互に連なる形状に係る分断部が形成された螺旋状保護具の取り付けに際し、前記ケーブルを所定の位置を、任意の反転部へ差し込み、そのまま差し込み方向へ螺旋に沿って回転させながら前記ケーブルを内部へ取り込んでいき、隣り合う次の反転部に達したら、その次の反転部へ前記ケーブルを差し込み、そのまま差し込み方向へ螺旋に沿って回転させながら隣り合う次の反転部に達するまで前記ケーブルを内部へ取り込む回転動作を順次繰返す螺旋状保護具の取り付け方法である。
【0014】
請求項4に係る発明は、前記螺旋状保護具は、ボビンに巻かれているものであり、前記ケーブルの所定の位置を、任意の反転部へ差し込み、そのまま差し込み方向へ螺旋に沿って回転させながら前記ケーブルを内部へ取り込んでいき、隣り合う次の反転部に達したら、その次の反転部へ前記ケーブルを差し込み、そのまま差し込み方向へ螺旋に沿って回転させながら隣り合う次の反転部に達するまで前記ケーブルを内部へ取り込む回転動作を順次繰返し、前記螺旋状保護具が所定の長さに達した場合に前記螺旋状保護具を切断する請求項3に記載の螺旋状保護具の取り付け方法である。
【発明の効果】
【0015】
この発明の螺旋状保護具によれば、チューブ状の本体に、左回り螺旋部と右回り螺旋部とが反転部を介して、軸線に沿って交互に連なった形状に係る分断部を形成したので、従来のように一方の端から順々にケーブル(例えば、光集合ドロップケーブルなどの光ファイバケーブル、電線、その他各種ケーブル等)に巻き付ける必要はなく、どの反転部からでもよく、任意の反転部へケーブルを差し込み、そのまま差し込み方向へ螺旋に沿って回転させることでケーブルを内部へ取り込むことが容易となる。
【0016】
また、ボビンをケーブルに対して回転させることなく、ケーブルに沿わせて保護具を左右にねじりながら、保護具の内部にケーブルを取り込むことができる。
【0017】
このように、特に架空という作業条件の悪い場所においてのケーブルへの螺旋状保護具の取り付け作業を容易にすることができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】架空のケーブルが支柱を介して配線されている状態を説明する説明図である。
【図2】螺旋状保護具を説明する斜視図である。
【図3】螺旋状保護具の側面を示す側面図である。
【図4】螺旋状保護具をケーブルに巻き付ける方法を説明する説明図である。
【図5】螺旋状保護具をケーブルに巻き付ける方法を説明する説明図である。
【図6】螺旋状保護具をケーブルに巻き付ける方法を説明する説明図である。
【図7】螺旋状保護具が一本のケーブルに巻き付いた状態を説明する説明図である。
【図8】螺旋状保護具が複数のケーブルに巻き付いた状態を説明する説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
この発明を実施するための形態を、図面を参照して説明する。
【0020】
図1を参照し、架空のケーブル7(例えば、光集合ドロップケーブルなどの光ファイバケーブル、電線、その他各種ケーブル等)が配線されている状態を説明する。
【0021】
地面に立設された、複数の支柱(例えば、電柱等)1には、支持部材3が備えれれている。これらの複数の支柱1の支持部材3には支持線5が配設されている。そして、前記支柱1、前記支持部材3、前記支持線5及び螺旋状支持具9を介し、架空のケーブル7が配線されている。
【0022】
一方、螺旋状保護具11が、前記支柱1と前記支柱1の支持部材3に支持された架空のケーブル7との接触位置に取り付けられている(ケーブル7側に取り付けられるものである)。なお、この螺旋状保護具11の長さは接触位置を中心に両側に風力等によるケーブル7の移動を考慮し十分の長さを持たせることが望ましい。
【0023】
螺旋状保護具11の素材としては、剛性を備えた合成樹脂、合成ゴム等で形成することができる。
【0024】
図2は、螺旋状保護具11を説明する斜視図である。図3は、螺旋状保護具11の側面を示す側面図である。
【0025】
螺旋状保護具11は、支柱1と、架空のケーブル7との接触する前記ケーブル7の所定箇所に取り付けするものである。
【0026】
螺旋状保護具11のチューブ状(換言すればパイプ状)の本体には、左回りの螺旋部13と右回りの螺旋部15が反転部17を介して、軸線Xにそって交互に連なる形状に係る分断部が形成される。また、前記分断部は、チューブ本体の長手方向の一方の端から他方の端まで形成されている。
【0027】
前記分断部は、チューブ本体を、カッター等により切断して形成するものである。換言すれば、分断部はチューブ本体が切断された切断形状であり、通常は分断面間の隙間は僅かか、又は無いが、チューブを引き延ばした場合には空間領域が形成される。なお、左回りの螺旋部13、右回りの螺旋部15、反転部17のそれぞれは分断部であることは当然である。なお、前記分断部の分断面間は通常の状態で所定の間隔が空いた状態に形成してもよい。作業性が向上するためである。
【0028】
そして、前記反転部17は、前記左回り螺旋部13から右回り螺旋部15に続く間(符号17bで示した間)が突起状(例えば円弧形状)で、同一線上に揃う同じ向きのL/R反転部と、前記L/R反転部と向きが異なると共に右回り螺旋部(図示省略)から左回り螺旋部13に続く間(符号17aで示した間)が突起状(例えば円弧形状)で、同一線上に揃う同じ向きのR/L反転部17とで構成されている。
【0029】
また、前記反転部17は、軸線X(矢印AR1方向)から見た側面において前記左回り螺旋部13及び右回り螺旋部15によって形成される同一円周上に位置している。前記左回り螺旋部13と右回り螺旋部15は、等しい螺旋巻数となっている。
【0030】
前記左回り螺旋部13と右回り螺旋部15は、各螺旋の線条間が少なくとも前記反転部17を残して密着に近づけることにより巻き数を増加させることができる。すなわち、D1=0、D2=0に近づけるに従い巻き数を増加させることができる。通常、前記左回り螺旋部13と右回り螺旋部15は、各螺旋の分断部間が前記反転部17と共に開いている。
【0031】
また、前記左回り螺旋部13と右回り螺旋部15は、1.6〜1.7の螺旋巻数となっていることが好ましい。すなわち、螺旋状保護具11への保護力とケーブル7への取り付け作業の作業性のバランスに優れるためである。
【0032】
一方、図3に示すように、D3の寸法を変えることによりケーブル7への密着性を変化させることができるとともに、D4の寸法(チューブの厚さ)を変化させることにより保護力を変化させることができる。
【0033】
図4、図5及び図6は、螺旋状保護具11をケーブル7の矢印AR3方向に沿って順次巻き付ける(装着する)方法を示す。
【0034】
すなわち、支柱1と、前記支柱1の支持部材3に支持された架空のケーブル7との接触位置に螺旋状保護具11を取り付ける取り付け方法である。
【0035】
チューブ状の本体に、左回り螺旋部13と右回り螺旋部15とが、反転部17を介して、交互に連なる形状に係る分断部が形成された螺旋状保護具11の取り付けに際し、ケーブル7の所定の位置を、螺旋状保護具11の任意の反転部17へ差し込み、そのまま差し込み方向へ螺旋に沿って回転させながら前記ケーブル7を内部へ取り込んでいき、隣り合う次の反転部17に達したら、その次の反転部17へ前記ケーブル7を差し込み、そのまま差し込み方向へ螺旋に沿って回転させながら隣り合う次の反転部17に達するまで前記ケーブル7を内部へ取り込む回転動作とを順次繰返す。
【0036】
より詳細には、前記螺旋状保護具11wは、ボビン19に巻かれているものであり、ボビン19を矢印AR2方向に回転(ボビンの中心軸対しての回転)させる一方、ケーブル7の所定の位置を、螺旋状保護具11wの任意の反転部17へ差し込み、そのまま差し込み方向へ螺旋に沿って回転させながらケーブル7を内部へ取り込んでいき、隣り合う次の反転部17に達したら、その次の反転部17へ前記ケーブル7を差し込み、そのまま差し込み方向へ螺旋に沿って回転させながら隣り合う次の反転部17に達するまで前記ケーブル7を内部へ取り込む回転動作を順次繰返し、前記螺旋状保護具11wが所定の長さに達した場合(矢印AR4と矢印AR5で示した位置間の支柱1との接触部分より十分に長い長さ)に螺旋状保護具11wを切断し(矢印AR6で示した位置付近で切断)、切断後の螺旋状保護具11を得る。
【0037】
なお、上述では、ボビンに巻いた例を示したが、予め螺旋状保護具11を定尺(例えば、1m−1.2m等)に切断したものを使用しても良い。この際の定尺の長さは、試験等により決められることが望ましい。
【0038】
図7は、螺旋状保護具11が一本のケーブル7に巻き付いた状態を示す。このように、1本のケーブル7に螺旋状保護具11を容易に巻き付けることができるとともに、前記ケーブル7を、前記支柱1との接触による損傷から保護することができる。
【0039】
図8は、螺旋状保護具11が複数のケーブル7に巻き付いた状態を示す。このように、複数のケーブル7に螺旋状保護具11を容易に巻き付けることができるとともに、前記ケーブル7を、前記支柱1との接触による損傷から保護することができる。さらに、複数のケーブル7を一束にまとめることができる。
【0040】
なお、各反転部17の形状は、正面(第1図紙面方向)から見たように、向きが異なる滑らかな円弧状の反転部が交互に連なった形状をなすことが望ましいが、必ずしも円弧状には限定されない。つまり、加工成形の容易性、あるいは作業容易性を鑑みて滑らかな円弧状以外に、円弧状に近似できる多角形(例えば三角形)などの適宜形状をなすことは本発明の範囲内である。
【0041】
この発明は前述の発明の実施の形態に限定されることなく、適宜な変更を行うことにより、その他の態様で実施し得るものである。
【符号の説明】
【0042】
1 支柱
3 支持部材
5 支持線
7 ケーブル
9 螺旋状支持具
11 螺旋状保護具
13 左回り螺旋部
15 右回り螺旋部
17 反転部
19 ボビン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
支柱と、前記支柱の支持部材に支持された架空のケーブルとの接触位置に取り付ける螺旋状保護具であって、
前記螺旋状保護具は、前記ケーブルに取り付けるものであり、チューブ状の本体に、左回りの螺旋部と右回りの螺旋部が反転部を介して、軸線にそって交互に連なる形状に係る分断部が形成されたことを特徴とする螺旋状保護具。
【請求項2】
前記反転部は、前記左回り螺旋部から右回り螺旋部に続く間が突起状で、同一線上に揃う同じ向きのL/R反転部と、前記L/R反転部と向きが異なると共に前記右回り螺旋部から左回り螺旋部に続く間が突起状で、同一線上に揃う同じ向きのR/L反転部とで構成されていることを特徴とする請求項1に記載の螺旋状保護具。
【請求項3】
支柱と、前記支柱の支持部材に支持された架空のケーブルとの接触位置に螺旋状保護具を取り付ける取り付け方法であって、
チューブ状の本体に、左回り螺旋部と右回り螺旋部とが、反転部を介して、交互に連なる形状に係る分断部が形成された螺旋状保護具の取り付けに際し、前記ケーブルを所定の位置を、任意の反転部へ差し込み、そのまま差し込み方向へ螺旋に沿って回転させながら前記ケーブルを内部へ取り込んでいき、隣り合う次の反転部に達したら、その次の反転部へ前記ケーブルを差し込み、そのまま差し込み方向へ螺旋に沿って回転させながら隣り合う次の反転部に達するまで前記ケーブルを内部へ取り込む回転動作を順次繰返すことを特徴とする螺旋状保護具の取り付け方法。
【請求項4】
前記螺旋状保護具は、ボビンに巻かれているものであり、前記ケーブルの所定の位置を、任意の反転部へ差し込み、そのまま差し込み方向へ螺旋に沿って回転させながら前記ケーブルを内部へ取り込んでいき、隣り合う次の反転部に達したら、その次の反転部へ前記ケーブルを差し込み、そのまま差し込み方向へ螺旋に沿って回転させながら隣り合う次の反転部に達するまで前記ケーブルを内部へ取り込む回転動作を順次繰返し、前記螺旋状保護具が所定の長さに達した場合に前記螺旋状保護具を切断することを特徴とする請求項3に記載の螺旋状保護具の取り付け方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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