血流認証用端末器及び血流認証システム
【課題】血流認証を用いて個人認証を行う場合において、従来に比べてより鮮明な画像を安定して得ることができる血流認証用端末器及び血流認証システムを提供する。
【解決手段】被認証指を透過した光にて当該指の血管像を撮像する血流認証用端末器であって、被認証指190を載置する基台150と、基台に載置した被認証指に光を照射する光源で、指先の前方で基台に配置され、指先前方から指の甲に向けて指先から指元まで光を照射する光源110と、被認証指の腹側で直下で基台に設置され、指の甲に照射された光が指を透過して得られる血管像を撮像する撮像装置120と、を備えたことを特徴とする。
【解決手段】被認証指を透過した光にて当該指の血管像を撮像する血流認証用端末器であって、被認証指190を載置する基台150と、基台に載置した被認証指に光を照射する光源で、指先の前方で基台に配置され、指先前方から指の甲に向けて指先から指元まで光を照射する光源110と、被認証指の腹側で直下で基台に設置され、指の甲に照射された光が指を透過して得られる血管像を撮像する撮像装置120と、を備えたことを特徴とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、血管形状をパターン抽出して個人認証を行うための血流認証用端末器、及び該血流認証用端末器を備えた血流認証システムに関する。
【背景技術】
【0002】
検査対象の個体から取得した生体情報が、予め設定された生体情報に等しいか否かの判定に基づいて、検査対象の個体を他の個体から識別する技術、つまり生体認証と呼ばれる技術が存在する。上記生体情報としては、例えば、人の瞳の虹彩に基づくもの、人の指等の静脈パターンに基づくもの、指の指紋パターンに基づくものがある。
【0003】
このような生体認証の内、静脈パターンに基づくものは血流認証と呼ばれる。この血流認証は、静脈パターンがひとりひとり独立し同形状のものが存在しないとされ、かつ静脈が外見から判断し難いことから偽造が困難であり、高い認証精度を得ることができる点で優れる。このような血流認証を用いた認証システムでは、血管つまり静脈を撮像し、この撮像画像から静脈形状をパターン抽出して画像処理を施し、特徴点抽出および特徴点マッチングを用いて血流認証が実行される(例えば、特許文献1参照)。このような血流認証システムは、例えば入室管理等に既に適用されている。
【0004】
また、多量の情報を記憶したコンピュータ等の電子機器に対して複数者がアクセス可能である構成を採る場合には、各情報にアクセス可能な個人を認証することで、各情報のセキュリティーを高めることが強く要求されている。このような電子機器へのアクセスに関しても、血流認証システムは有益となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第4236214号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
一方、例えば指等の静脈パターンに基づく血流認証では、以下のような問題が発生する。即ち、人体の構成要素の特徴として、水分が70%以上を占めるため、指にLED光を照射した場合、指内でハレーションが発生し、得られる撮像画像全体は白っぽくなる。このため、特に血管が細い場合には、鮮明な血管画像が得られ難いという問題がある。
【0007】
また、従来の血流認証装置では、指の上方又は側方から光を照射し血管像を撮像する構成を採っている。よって、被認証指の周りには、光源や撮像素子等の、認証装置を構成する何らかの構成要素が配置されており、被験者の指の大きさや太さ等に起因して、物理的な理由から、指の検出自体が不可能な状況もあった。
【0008】
さらに、指による血流認証装置では、上述したように、血管画像の特徴点抽出及び特徴点マッチングを用いて血流認証が実行される。よって、同条件の画像を得る必要性から、認証用の指について、血管画像を登録するときの指の配置状態と、血流認証を行うときの指の配置状態とは、同じ配置状態にする必要がある。したがって、指による血流認証装置では、指を位置決めするためのガイド部材が設けられている。
【0009】
しかしながら、従来のガイド部材では、指の配置が不安定であり、安定した画像の取り込みが困難な場合があった。さらに、指に対する上方又は側方からのLED光の照射方向の関係から、撮像素子に照射光が入り込み易く、その結果、撮像画像が白っぽくなる場合もあった。いずれの場合も、鮮明な血管画像が得られないという問題が生じる。
【0010】
本発明は、上述の問題点を解決するためになされたもので、血流認証を用いて個人認証を行う場合において、従来に比べてより鮮明な画像を安定して得ることができる血流認証用端末器、及びこの血流認証用端末器を備えた血流認証システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するため、本発明は以下のように構成する。
即ち、本発明の第1態様における血流認証用端末器は、被認証指を透過した光にて当該指の血管像を撮像する血流認証用端末器であって、
上記被認証指を載置する基台と、
被認証指を透過する光を発する光源であり、上記基台の一端に位置し上記基台に載置した被認証指の指先の前方に設置され、指先前方から被認証指の甲に向けて指先から指元まで光を照射する光源と、
上記基台に載置した被認証指の腹側で該指の直下に対応して上記基台に設置され、上記光源から出射した照射光が被認証指を透過して得られるこの指の血管像を撮像する撮像装置と、を備えたことを特徴とする。
【0012】
また、上記基台は、指ガイド部を有し、該指ガイド部は、被認証指を載置し、載置した被認証指を指先から指元にかけて流線型状に湾曲させて当該指の腹を支持し、かつ指の腹から上記撮像装置への上記照射光の入射を遮断するように構成してもよい。
【0013】
また、上記指ガイド部の一端部で指ガイド部に載置される被認証指の指先に対応した位置に設置され、指先の当接により指先の位置決めを行うとともに指先の接触を検知する指先検知センサと、上記指ガイド部の他端部で指元部分に対応した位置に設置され指元部分の接触を検知する指元検知センサとをさらに備えてもよい。
【0014】
また、上記指先検知センサは、被認証指の指先が当接しかつ当該指の爪が当接しない高さを有し、上記光源は、上記指先検知センサから規定距離をあけて指先前方に設置され、この規定距離は、上記指先検知センサを超えて延在する爪の長さを超える距離に相当するように構成してもよい。
【0015】
また、上記基台は、被認証指の隣の指を載置して被認証指のローリングを抑える基台面を有し、上記光源は基台面より上方に配置され、上記撮像装置は基台面より下方に配置されるように構成してもよい。
【0016】
また、上記指ガイド部は、互いに対向して上記基台面に立設された一対の板材から構成され、各板材は、上記基台において一方向に沿って配置される被認証指に沿って延在し、互いに被認証指の腹を支持可能とする支持間隔にて対向して配置され、被認証指の腹に接して腹を支持し指先から指元に向かい上記基台面に対して登り傾斜となる支持縁を有するくさび形状にて構成することができる。
【0017】
また、各板材におけるそれぞれの支持縁の内側には、指腹を載置する面取り部を有し、該面取り部の面取り角度は、被認証指の指先から指元にかけて指外形に対応して変化するように構成してもよい。
【0018】
また、上記指先検知センサは、一対の上記板材における支持間隔内に設置され、被認証指の指先の形状に沿う湾曲面を設けた窪みを有してもよい。
【0019】
また、上記基台は、被認証指の隣の指を載置して被認証指のローリングを抑える基台面を有し、
上記指ガイド部は、上記基台面に立設された一対の板材から構成され、
上記指先検知センサは、上記板材間に挟まれて各板材に対して直角に配置され、
上記基台は、上記板材及び上記指先検知センサに隣接した領域に、上記板材及び上記指先検知センサと被認証指の指先との隙間から侵入する上記光源からの光が上記撮像装置へ入射するのを防止する遮光部をさらに備えることもできる。
【0020】
さらに、本発明の第2態様における血流認証システムは、上記第1態様の血流認証用端末器と、上記血流認証用端末器と接続される認証制御装置であって、上記血流認証用端末器に備わる光源及び撮像装置の動作制御、並びに撮像装置から供給される撮像画像を用いた血流認証により個人認証を行う認証制御装置と、を備えたことを特徴とする。
【0021】
また、上記認証制御装置はパーソナルコンピュータであり、このパーソナルコンピュータと上記血流認証用端末器とを電気的に接続するUSB(ユニバーサル・シリアル・バス)ケーブルをさらに備えてもよい。
【発明の効果】
【0022】
本発明の第1態様における血流認証用端末器、及び第2態様における血流認証システムによれば、被認証指の指先前方に光源を配置し、被認証指の指先から指元の甲へ光源から光を照射して血管像の撮像を行うように構成した。よって、被認証指の側方及び上方には、光源や撮像素子等の構成要素が存在せず、被認証指の側方及び上方はオープンスペースとなる。したがって、指の大きさや太さ等に関係なく、万人に対しての血流認証が可能である。
【0023】
また、本発明の第1態様における血流認証用端末器、及び第2態様における血流認証システムによれば、指先前方から、被認証指の指先から指元の甲へ光を照射し、被認証指の直下に配置した撮像装置にて血管像を撮像することから、従来に比べて、光源からの光の撮像装置への回り込みを少なくすることができる。したがって、撮像画像におけるハレーションの発生が従来に比べて抑制され、鮮明な血管画像を安定して得ることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の実施形態における血流認証用端末器の一構成例を示す概略断面図である。
【図2】図1に示す血流認証用端末器の指ガイド部付近の平面図である。
【図3】図2に示す指ガイド部のA−A部における断面の一部を示す図である。
【図4】図2に示す指ガイド部のB−B部における断面の一部を示す図である。
【図5】図1に示す血流認証用端末器の斜視図である。
【図6】図1に示す血流認証用端末器を備えた、本発明の実施形態における血流認証システムの構成を示すブロック図である。
【図7】図1に示す指ガイド部の一変形例を示す図である。
【図8】従来の血流認証装置にて撮像された血管画像を示す写真である。
【図9】図1に示す血流認証用端末器にて撮像された血管画像を示す写真である。
【図10】図6に示す血流認証システムにて実行される血流認証動作を示すフローチャートである。
【図11】図1に示す血流認証用端末器の変形例を示す概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
本発明の実施形態である血流認証用端末器、及び該血流認証用端末器を備えた血流認証システムについて、図を参照しながら以下に説明する。尚、各図において、同一又は同様の構成部分については同じ符号を付している。
【0026】
本実施形態の血流認証用端末器及び血流認証システムでは、被験者の被認証指における静脈パターンを撮像することによる血流認証が実行される。
図6に示すように、本実施形態の血流認証システム300は、血流認証用端末器100と、血流認証用端末器100に接続される認証制御装置200とを備える。尚、両者間の接続は、有線、無線を問わない。本実施形態では、有線で電気的に接続されている。また、本実施形態では、血流認証システム300は、複数の作業者が使用可能あるいはアクセス可能なコンピュータに対して、当該コンピュータへのユーザ認証、及び当該コンピュータに格納されている各情報へアクセス可能な個人を認証するシステムを例に採る。ここで、血流認証用端末器100は、情報へアクセスしようとする被験者の被認証指に光を照射し、この指を透過した光にて当該指の血管像を撮像する血流認証用端末器であり、認証制御装置200は、血流認証用端末器100と接続され、取得した血管像の認証判断を行うとともに、血流認証用端末器100の動作制御を行う装置である。尚、上記コンピュータとしては、いわゆるパソコンや、サーバーのような大型コンピュータが相当する。
【0027】
まず、血流認証用端末器100について説明する。図1には、本実施形態の血流認証用端末器100の構成の概略が示されている。一方、図5には、血流認証用端末器100の一形態例を斜視図にて示している。このような血流認証用端末器100は、被認証指190を透過した光にて当該指の血管像を撮像する血流認証用端末器であり、基本的構成部分として、基台150と、光源110と、撮像装置120とを備える。また、本実施形態の血流認証用端末器100では、上記基本的構成部分に加えてさらに、指ガイド部130、及び指検知センサ140を備えている。
【0028】
まず血流認証用端末器100の概略形態を説明する。本実施形態の血流認証用端末器100は、一例として図5に示すように、パソコンに接続されるマウスに似た形状にてなるケーシングの基台150で構成され、基台150の上面には平坦な基台面151が形成されている。基台150の一方向に相当する長手方向158における一端部分で先端部分には、光源110を格納した光源格納部152が基台面151に突設されている。一方、基台面151の下方には、撮像装置120が基台150に格納されている。さらに、基台面151の中央部には、基台150の長手方向158に沿って指ガイド部130が設けられている。指ガイド部130の一端部には、指検知センサ140を構成する指先検知センサ141が、他端部には、指元検知センサ140を構成する指元検知センサ142が、それぞれ基台面151から突設して設置されている。尚、詳細後述するが、基台150及び光源格納部152において光源110が出射する光の光路には近赤外線透過フィルタを設置するが、それ以外の基台150、光源格納部152、指ガイド部130は、可視光及び近赤外光を遮光する材料にて作製されている。
上述の概略構成における各構成部分について、以下に詳しく説明する。
【0029】
指ガイド部130は、血流認証を行う一本の被認証指190を載置する部分であり、図1に示すように、載置した被認証指190が指先191から指元192にかけて流線形状に湾曲するように、被認証指190のほぼ全長に対応した長さにて延在し、被認証指190の腹194を支持するとともに、撮像装置120に対して被認証指190の位置決めを行う部分である。さらにまた、指ガイド部130は、被認証指190の腹194を支持することで、腹194から撮像装置120への光源110からの照射光の入射を遮断する。
【0030】
具体的には、指ガイド部130は、本実施形態では図1及び図2に示すように、互いに対向して基台面151に対して垂直方向に立設された一対の板材131から構成される。各板材131は、基台150の長手方向158に沿って、被認証指190のほぼ全長に対応した長さにて平行に延在し、かつ、図2〜図4に示すように、互いに被認証指190の腹194を支持可能とする支持間隔138にて対向して配置される。さらに、各板材131は、図1に示すように、基台面151とは反対側に位置し被認証指190の腹194に接して腹194を支持する支持縁132を有する。支持縁132は、被認証指190の指先191から指元192に向かって、基台面151に対して登り傾斜となる。よって、各板材131は、図1に示すように、長手方向158に沿ってくさび形状にてなる。尚、登り傾斜とは、円弧状であっても、直線状であっても良い。好ましくは、自然に指を少し曲げたときの形態に沿うように、支持縁132は、被認証指190の指先191から第2関節辺りまでの傾斜変化を大きく、第2関節近傍から指元192辺りまでの傾斜変化を小さくする。
【0031】
指ガイド部130を上述のような形状に設定することで、被認証指190に対する、詳細後述する光源110の配置関係、つまり指先前方からの光照射、との相乗効果により、指ガイド部130に載置された被認証指190の第2関節付近を中心として指先191から指元192までの被認証指190のほぼ全体に渡り、光源110からの光を照射することが可能となる。その結果、被認証指190全体の撮像が可能となり、従来、指の一部分のみを撮像していた場合に比べて、得られる血管(静脈)の情報量を飛躍的に増すことができる。したがって、当該血流認証用端末器100は、従来に比べてより高い精度で血管認証を可能とする。
【0032】
上記支持間隔138は、当該血流認証用端末器100を万人に適用可能とするため、出願人による計測結果等に基づき、本実施形態では、被認証指190の幅の約7〜約9割の範囲の適宜な間隔に設定している。つまり、支持間隔138内に被認証指190が入り込むことはない。このような支持間隔138にて各板材131を対向して配置したことで、図3及び図4に示すように、板材131、131の間上に被認証指190を載置することが可能となる。よって、例えば、被認証指190が各板材131間に挟まれてしまい、血流が停滞し血流認証ができなくなるという現象を防止することができる。さらに、撮像装置120に対する光源110からの光の回り込みが防止でき、従来に比べてより鮮明な画像を安定して得ることが可能となる。尚、本実施形態では、板材131、131の間の寸法は、一実施例として約16mm〜約20mm内の適宜な値に設定している。
【0033】
また、各板材131がくさび形状であり、被認証指190の指先191から指元192に向かって基台面151に対して登り傾斜となる支持縁132を有することで、被認証指190を真っ直ぐに伸ばしたり、逆に大きく屈曲させたり等、指に特別な力を入れることなく、被認証指190を自然な形で、両方の支持縁132に載せることができる。このことは、一般の健常者のみならず、特に、疾病に起因して指をのばすのが困難な人や、指に例えば震え等がある人等に対しても、容易に認証動作を可能にする点で好ましい。
【0034】
さらに、各板材131におけるそれぞれの支持縁132の内側には、図3及び図4に示すように、被認証指190の腹194に接触し載置する面取り部133を設けている。面取り部133の面取り角度は、被認証指190の指先191から指元192にかけて当該指の外形に対応して変化させている。ここで、面取り角度とは、基台面151に対する垂直方向の面と面取り部133の傾斜面とがなす角度θ(図3)である。本実施形態では、図4に示すように、指元192側では、面取り部133の傾斜角度は大きく、図3に示すように、指先191側では小さくしている。また、面取り角度は、指先191から指元192にかけて連続的に徐々に変化させている。特に指先191側では、指元192に比べて指幅が徐々に小さくなることから、面取り部133もこれに追従可能なように、面取り角度をより細かく変化させている。
【0035】
このような面取り部133を設けることで、板材131の支持縁132と被認証指190との接触面積を増すことができる。その結果、支持縁132と被認証指190との間に隙間が生じるのを抑制でき、以下に説明する光源110による指先前方からの光照射とも相まって、撮像装置120への照射光の侵入を効率的に防ぐことができ、より鮮明な血管画像を安定して得ることに寄与することができる。
【0036】
本実施形態では上述のように、指ガイド部130は一対の板材131にて構成しているが、この形態に限定するものではない。例えば図7に示すように、両方の板材131及び板材131間の空間を透光性の部材で充填した指ガイド部130−1でも良い。但し、このような指ガイド部130−1では、指の腹部を載置する部分は、近赤外光が透光可能な材料で作製され、一方、板材131に相当する部分は、可視光及び近赤外光ともに遮光性を有する。
【0037】
また、上述のように指ガイド部130には、一本の被認証指190が載置される。一方、本実施形態では、基台150は、図5に示すように、長手方向158に直交する基台150の幅方向159において指ガイド部130の両側にも基台面151を有する。このように、指ガイド部130の両側にも基台面151を形成することで、基台面151には、被認証指190に隣接する他の指が載置可能となる。被験者の手には、通常、被認証指190に隣接して他の指が存在することから、指ガイド部130の両側あるいは片側に基台面151をさらに設けることで、他の指は基台面151に支持される。よって、指ガイド部130に載置された被認証指190が当該指の軸周り方向に回転する、いわゆるローリングを抑制することができる。このように被認証指190のローリングが抑制されることで、撮像画像の一定化を図ることができ、より鮮明な血管画像を安定して得ることに寄与することができる。
【0038】
基台150において、基台面151には指ガイド部130等が設置されるが、基台面151の上方には、図5に示すように、何の構成物も設置していない。したがって、指ガイド部130へ被認証指190を載置するための被認証指190の進入経路は自由であり、この点においても、当該血流認証用端末器100は、被験者の指幅の大小に関係しない万人向けの仕様となっている。
【0039】
さらに基台150において、指ガイド部130を構成する一対の板材131の内側に対応して、図1に示すように、基台面151より掘り下げられた凹状の溝153が形成されている。溝153は、長手方向158に沿って、ほぼ板材131と同じ長さにて延在する。また、溝153の底部には、以下に説明する光源110からの近赤外光で被認証指190を透過した近赤外光を透過可能とする近赤外光透過フィルタ154が取り付けられ、溝153の底板を構成している。尚、近赤外光透過フィルタ154は、近赤外光以外の光を遮断する。
【0040】
また、溝153は、長手方向158における溝153の一端部に、図2及び図5に示すように遮光部155を有する。上記一端部は、指ガイド部130に載置された被認証指190の指先191側に対応する。遮光部155は、溝153の一端部壁面153aを、本実施形態では半円形状あるいは半楕円形状にて形成した部分であり、その結果、一端部壁面153aの形状に対応して、基台面151も円弧状に凹む。つまり、溝153の一端部壁面153aに対応する基台面部分には、指先191の丸みに対応した円弧状の領域が基台面151に形成される。この円弧状の領域が遮光部155に相当する。このような形状を有する遮光部155を設けることで、以下の効果を得ることができる。
【0041】
即ち、溝153の一端部壁面が単に平坦面で構成される場合、この平坦な一端部壁面は、幅方向159に沿って一対の板材131間に形成されることになる。よって、平坦な一端部壁面と、溝153の長手方向158に沿った各側壁との各角部は、互いに直角に交差する。よって、各角部の形状は、丸みを有する指先191の形状に一致せず、各角部には隙間が生じることになる。したがって、この隙間から光が侵入してしまう。
【0042】
これに対して遮光部155を設けることで、一端部壁面が単に平坦面である構成に比べて、指先191から溝153内へ侵入しようとする光、つまり回り込む光を遮光部155にて遮断することができる。詳しく説明すると、特に指先部分、具体的には、指の第1関節近傍から指先先端に至る部分は、毛細血管が多い箇所であり、血流情報量を多く得ることができる箇所である。よって、この指先部分において、より鮮明な血管画像を安定して得ることができることは、従来に比べてより高い精度で血管認証を可能とする。即ち、遮光部155を形成することは、従来に比べてより高い精度での血管認証に寄与することを可能にする。
【0043】
さらに、上述した指ガイド部130、基台150の特に基台面151、及び、遮光部155を含めて基台150が有する溝153は、近赤外光の反射を抑える、好ましくは防止する塗料にて塗装されている。勿論、塗装色は黒色である。尚、このような塗装に代えて、近赤外光の反射を抑制あるいは防止する表面処理又は表面加工を、指ガイド部130、基台150の特に基台面151、及び、遮光部155を含めて基台150が有する溝153に施しても良い。
【0044】
次に、光源110は、血流認証を行う被認証指190に対して、当該指を透過可能な所定波長の光を照射する光源であり、上記所定波長の光を発するLED111と、このLED111を実装した基板112とを有する。LED111が発する所定波長の光とは、本実施形態では橙色〜近赤外領域の光であり、波長として580nm〜1000nm、より好ましくは600nm〜860nmの波長を有する光である。このような光源110は、図1に示すように、長手方向158において指ガイド部130の一端の前方、つまり指ガイド部130に載置された被認証指190の指先191の前方で、かつ基台面151より上方に配置される。
【0045】
本実施形態では、光源110ここではLED111は、2つ使用され、指ガイド部130を構成する一対の板材131間の中央で板材131に沿って位置する中心軸に対して対称位置で、上記幅方向159に沿って基台面151から互いに同じ高さにて設置される。一実施例として、各LED111は、基台面151の上方、約17mmの位置に、約10mmの間をあけて、かつビーム中心が基台面151に対して平行ではなく僅かに基台面151側へ傾斜するように基板112を傾斜させて配置される。また、ビーム中心の向きは、長手方向158に沿った方向、つまり被認証指190の延在方向である。このように配置した光源110のLED111、111は、ビーム中心が、指ガイド部130に載置された被認証指190の第2関節及びその近傍に位置し、ビームが指先191から指元192までの被認証指190の甲193へ照射されるように、指先191の前方から光を照射する。
【0046】
また、図5及び図1に示すように、光の進行方向におけるLED111の前方には、光源格納部152の一側面を形成して近赤外光透過フィルタ113が設けられている。近赤外光透過フィルタ113は、近赤外光以外の光を遮断する。
【0047】
このように、指ガイド部130に載置した被認証指190の指先191の前方から、被認証指190の甲193に向けて、指先191から指元192まで光を照射可能なように光源110を配置することで、以下のような効果を得ることができる。即ち、血流認証を行うに当たり、これに使用する血管画像で特に問題となるのは、ハレーションの発生である。指の関節部分は、指表面に窪みが存在することから、ハレーションが発生し易い箇所であり、従来の認証装置のように、指の上方あるいは側方から光を照射する形態では、上記窪みを介する光の回り込みが避けられず、関節部分でのハレーションを防止するのが困難であった。よって、図8に示すように、ハレーション410が生じ、画像全体が白っぽくなり、血管認識が困難になる。
【0048】
これに対し本実施形態では、上述したように、指ガイド部130に載置した被認証指190の指先191の前方から、被認証指190の甲193に向けて、指先191から指元192まで光を照射するように構成した。これにより、関節部分においても光の回り込みを低減することができ、ハレーションの発生を抑えることができる。よって、従来に比べてより鮮明な血管画像を得ることができる。例えば、図9に示すように、ハレーションの低減により、従来に比べて血管認識が容易になっているのがわかる。尚、図8及び図9において、400の符号を付した部分が血管(静脈)の一部に相当する。
【0049】
さらに、指先191の前方からの照射、及び上述した指ガイド部130との相乗効果により、本実施形態では、指先191から指元192までを撮像することが可能である。これにより、得られる血管の情報が従来に比べて増し、認証精度の向上に寄与することができる。
【0050】
次に、指先検知センサ141は、上述のように、指ガイド部130の一端部にて基台面151から突出して配置される。即ち、指先検知センサ141は、指ガイド部130に載置された被認証指190の指先191に対応する位置に設置され、短冊状の金属板にてなり、指先191の先端と当接する。この当接により、指先検知センサ141は、指先191の位置決めを行うとともに、指先191が接触したことを電気的に検知する。具体的には、静電容量変化により、接触が検知される。
【0051】
このような指先検知センサ141は、図1及び図5に示すように、その上端部分に、指先先端の形状に沿うような湾曲面を有し、指先191の先端を受け入れる窪み141aを有する。このような窪み141aを設けることで、指先先端を指先検知センサ141にフィットさせることができ、指先先端と指先検知センサ141との間に隙間が形成されるのを防止することができる。これにより、光源110からの照射光が指先191から撮像装置120へ侵入するのを防止でき、より鮮明な血管画像を安定して得ることに寄与することができる。
【0052】
また、上述した、指ガイド部130を構成する板材131における面取り部133、基台150に形成した遮光部155、及び、指先検知センサ141に形成した窪み141aによって、迷光遮断部が構成される。即ち、この迷光遮断部により、指ガイド部130の板材131に支持される被認証指190の指先191と、板材131及び指先検知センサ141とによって形成される隙間を通して侵入する、光源110からの光が、撮像装置120へ入射するのを防止することができる。
【0053】
さらに、指先検知センサ141において、窪み141aを形成した指側側面141bは、図5に示すように、基台150に形成した溝153における一端部壁面153aの中央部分と、同一面又はほぼ同一面となるように、配置している。このような配置形態を採ることで、一端部壁面153aを有する遮光部155、及び指先検知センサ141の窪み141aの相乗効果により、光源110からの照射光が指先191から撮像装置120へ侵入するのを防止でき、より鮮明な血管画像を安定して得ることに寄与することができる。
【0054】
また、指先検知センサ141は、図1に示すように、被認証指190の指先191が当接しかつ被認証指190の爪が当接しない、基台面151からの高さ143を有する。指先検知センサ141の高さ143をこのように設定する理由は、爪を長く伸ばした被験者に対しても、指先191の検知、位置決め、及び指先191における遮光を確実に実行するためである。
【0055】
さらに、爪を長く伸ばした被験者にも対応可能とするため、光源110を格納した光源格納部152の一側面を形成する近赤外光透過フィルタ113に対して、長手方向158において規定距離156をあけて指先検知センサ141を配置している。この規定距離156により、爪を長く伸ばした被験者においても、爪が近赤外光透過フィルタ113に当接することを防止でき、指先191の検知、位置決め、及び指先191における遮光を確実に実行することができる。
【0056】
次に、指元検知センサ142は、上述のように、指ガイド部130の他端部にて基台面151から突出して配置される。即ち、指元検知センサ142は、指ガイド部130の他端部に載置された被認証指190の指元192に対応する位置に設置され、短冊状の金属板にてなり、指元192を載置する。この載置により、指元検知センサ142は、指元192が接触したことを電気的に検知する。具体的には、静電容量変化により、接触が検知される。また、指元検知センサ142において指元192が接触する上端面は、指元192の形状に合うように、図5に示すように円弧状に凹んで形成されている。凹状の円弧形状とすることで、指元検知センサ142における被認証指190の支持を確実に行うことができ、指検知動作を確実に行うことができる。
後述するが、指先検知センサ141及び指元検知センサ142の両方が被認証指190を検知することで、血流認証動作が開始可能となる。
【0057】
次に、撮像装置120は、図1に示すように、指ガイド部130の一対の板材131の間で、板材131に支持される被認証指190の腹側で被認証指190の直下の位置に、基台150に格納され、固定して設置される。また、撮像装置120は、光源110からの照射光ビームの中心の進行方向に対して、直角方向又は略直角方向に屈曲した透過光を撮像する位置に配置され、上記照射光が被認証指190及び近赤外光遮光フィルタ154を透過して得られる血管像を撮像する。
【0058】
このような撮像装置120は、撮像素子、レンズを含む光学系、撮像駆動用回路を備える。また、撮像装置120における光軸が、本実施形態では、被認証指190の第2関節を中心とした第2関節の近傍箇所に対応するように、撮像装置120は配置される。また、撮像装置120は、被認証指190の腹側の表皮から僅かに指内側に合焦している。尚、本実施形態では焦点位置は固定である。また、指内側に合焦させているのは、指表皮の指紋等を認識させないためである。さらにまた、撮像装置120は、指ガイド部130に載置した被認証指190の腹194から、本実施形態では一例として約20数mmの位置にレンズ表面を配置しているが、広角で低い歪みのレンズを有することで、指ガイド部130に支持された被認証指190の指先191からほぼ指元192までを撮像することができる。
【0059】
次に、以上のように構成された血流認証用端末器100を備えた血流認証システム300について説明する。
図6に示すように、また既に説明したように、血流認証システム300は、血流認証用端末器100と、血流認証用端末器100に接続される認証制御装置200とを備える。ここでは、認証制御装置200は、いわゆるパソコンに相当し、血流認証システム300は、当該パソコンにアクセス可能なユーザ認証、及び当該パソコンに格納されている各情報へアクセス可能な個人を認証するシステムを例に採る。血流認証用端末器100と認証制御装置200とは、USB(ユニバーサル・シリアル・バス)160にて接続されている。
【0060】
認証制御装置200は、血流認証用端末器100にて取得した血管像の認証判断を行うとともに、血流認証用端末器100に備わる光源110及び撮像装置120の動作制御を行う装置である。このような認証制御装置200は、実際にはパソコン内に備わるCPU等を有する演算処理部が相当するが、血流認証動作を実行する機能面から、認証部210、制御部220、及び記憶部230を有する。
【0061】
記憶部230は、ハードディスク、半導体メモリ(DRAM又はSRAM)といった記憶装置である。記憶部230には、血流認証を実行するための認証動作用プログラム、画像構成を実現するための血流認証プログラム、認証時に用いられる予め登録された血管(静脈)画像、及び認証履歴といった情報が格納される。
【0062】
制御部220は、記憶部230に格納された認証動作用プログラムに基づいて、情報(信号)の演算処理、情報伝送といった各種の処理を実行する。制御部220の機能は、演算処理部によって認証動作用プログラムが順次実行されることによって具現化される。また、制御部220は、認証動作用プログラムの実行により、指先検知センサ141及び指元検知センサ142への被認証指190の接触有無の確認、LED111の発光及び消灯、撮像装置120に対する撮像動作及び撮像画像転送の各動作の制御を行う。
【0063】
認証部210は、記憶部230に格納された血流認証プログラムに基づいて取得画像と、予め登録された登録画像とに基づいて、血流認証を実行する。認証部230による具体的な血流認証方法は任意であり、例えば血管パターンの類似性を判別する各種方法を適用することができる。
【0064】
次に、血流認証システム300において実行される血流認証動作について、図10を参照して説明する。
まずステップS10では、被験者は、指ガイド部130を構成する一対の板材131の支持縁132に被認証指190を載置する。
【0065】
次のステップS11では、被認証指190の載置動作により、指先検知センサ141及び指元検知センサ142の両方にて被認証指190の接触を検知しているか否かが判断される。この判断は、認証制御装置200の制御部220にて行われ、指先検知センサ141及び指元検知センサ142のいずれか一方のみが被認証指190を検知している場合、指先検知センサ141及び指元検知センサ142の両方とも被認証指190を検知していない場合、さらに指先検知センサ141及び指元検知センサ142の両方で検知されているが静電容量値が基準値を満たさない場合には、血流認証動作を開始しない。一方、指先検知センサ141及び指元検知センサ142の両方にて被認証指190の接触を検知しており、かつ静電容量値が基準値を満たす場合には、次のステップS12に進む。
【0066】
ステップS12では、制御部220は、LED111を発光させ、被認証指190へ光を照射する。そして、規定時間経過によりLED111の照度が安定したところで、次のステップS13に進む。
【0067】
ステップS13では、制御部220は、撮像装置120を駆動し、被認証指190の撮像を行う。血流認証動作時では、撮像回数は1回である。撮像された画像は、撮像装置120から認証制御装置200へ供給される。また、撮像後、制御部220は、LED111を消灯する。
【0068】
次のステップS14では、認証制御装置200の認証部210は、ステップS13にて撮像した取得画像と、記憶部230から読み出した被験者の登録画像との血流認証を血流認証プログラムに従い実行し、両者が一致しているか否かを判断する。この血流認証は、本実施形態では従来と同様に、静脈形状をパターン抽出し画像処理を施して、特徴点抽出及び特徴点マッチングを用いて実行される。
【0069】
血流認証の結果、取得画像と登録画像とが一致した場合には、認証部210は、当該被験者を適合者と判断し、例えば当該パソコンの使用を許可したり、当該パソコン内の情報へのアクセスを可能とする。一方、取得画像と登録画像とが一致しない場合には、認証部210は、当該被験者を不適合者と判断し、当該パソコンへのアクセスを許可しない。
【0070】
ここで、上述の登録画像の撮像及び記憶について略説する。登録する被認証指190を決めた後、指ガイド部130にその登録用の被認証指190を載置する。例えば登録ボタンの押下により、撮像装置120にて被認証指190の撮像が2回行われる。2つの撮像画像が一致しているときのみ、この画像が登録画像として記憶部230に記憶される。尚、血流認証の際には、登録した被認証指190について、上述したように1回の撮像が行われ、血流認証が実行される。
【0071】
尚、上述の本実施形態における血流認証用端末器100では、被認証指190は、一本にて説明したが、基台150に複数の指ガイド部130及び撮像装置120を設けることで、複数本の被認証指190で血流認証を実行してもよい。このような構成を採ることで、より認証精度の向上を図ることが可能になる。
【0072】
また、本実施形態における血流認証用端末器100では、上述したように、基台150の基台面151を平坦面とし、指ガイド部130は、基台面151より突出する形態で構成した。しかしながら、このような形態に限定されず、例えば、図11に示すように、上述した支持縁132に一致するように基台面151の全体を湾曲させるとともに溝153を有する基台150−1を構成してもよい。このように構成することで、基台面151と指ガイド部130とを一体化でき、基台面151は、指ガイド部130の機能も兼有することができる。
【0073】
さらにまた、基台面151より突出する形態で指ガイド部130を構成するのでなく、平坦な基台面151に対して凹んだ溝内に指ガイド部130の支持縁132を形成してもよい。このように構成することで、上記溝は、指ガイド部130の機能を果たすことができる。
【0074】
また、本実施形態における血流認証用端末器100では、上述したように、基台150には溝153を形成したが、この形態に限定されない。即ち、本実施形態において溝153は、撮像装置120が被認証指190を撮像するために必要な距離を確保するために設けたものであり、この必要距離が確保されれば溝153は必要ではない。
また、血流認証用端末器100における各部の形状は、図示する形状に限定されるものではない。上述の説明及び請求項の記載を満足する範囲で当業者が想到可能な形状は、本発明に含まれる。
【0075】
また、上述のように本実施形態では、血流認証システム300は、コンピュータ及びコンピュータ内情報へのアクセス認証を例に採るが、その適用例は、これに限定されるものではない。例えば、入退室管理用として、血流認証用端末器100及び血流認証システム300を使用することも可能である。尚、この構成では、さらに例えば部屋番号入力装置等の追加構成が必要となる。
【産業上の利用可能性】
【0076】
本発明は、血管形状をパターン抽出して個人認証を行うための血流認証用端末器、及び該血流認証用端末器を備えた血流認証システムに適用可能である。
【符号の説明】
【0077】
100…血流認証用端末器、110…光源、120…撮像装置、130…指ガイド部、
131…板材、132…支持縁、133…面取り部、141…指先検知センサ、
141a…窪み、142…指元検知センサ、150…基台、151…基台面、
155…遮光部、190…被認証指、
200…認証制御装置、300…血流認証システム。
【技術分野】
【0001】
本発明は、血管形状をパターン抽出して個人認証を行うための血流認証用端末器、及び該血流認証用端末器を備えた血流認証システムに関する。
【背景技術】
【0002】
検査対象の個体から取得した生体情報が、予め設定された生体情報に等しいか否かの判定に基づいて、検査対象の個体を他の個体から識別する技術、つまり生体認証と呼ばれる技術が存在する。上記生体情報としては、例えば、人の瞳の虹彩に基づくもの、人の指等の静脈パターンに基づくもの、指の指紋パターンに基づくものがある。
【0003】
このような生体認証の内、静脈パターンに基づくものは血流認証と呼ばれる。この血流認証は、静脈パターンがひとりひとり独立し同形状のものが存在しないとされ、かつ静脈が外見から判断し難いことから偽造が困難であり、高い認証精度を得ることができる点で優れる。このような血流認証を用いた認証システムでは、血管つまり静脈を撮像し、この撮像画像から静脈形状をパターン抽出して画像処理を施し、特徴点抽出および特徴点マッチングを用いて血流認証が実行される(例えば、特許文献1参照)。このような血流認証システムは、例えば入室管理等に既に適用されている。
【0004】
また、多量の情報を記憶したコンピュータ等の電子機器に対して複数者がアクセス可能である構成を採る場合には、各情報にアクセス可能な個人を認証することで、各情報のセキュリティーを高めることが強く要求されている。このような電子機器へのアクセスに関しても、血流認証システムは有益となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第4236214号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
一方、例えば指等の静脈パターンに基づく血流認証では、以下のような問題が発生する。即ち、人体の構成要素の特徴として、水分が70%以上を占めるため、指にLED光を照射した場合、指内でハレーションが発生し、得られる撮像画像全体は白っぽくなる。このため、特に血管が細い場合には、鮮明な血管画像が得られ難いという問題がある。
【0007】
また、従来の血流認証装置では、指の上方又は側方から光を照射し血管像を撮像する構成を採っている。よって、被認証指の周りには、光源や撮像素子等の、認証装置を構成する何らかの構成要素が配置されており、被験者の指の大きさや太さ等に起因して、物理的な理由から、指の検出自体が不可能な状況もあった。
【0008】
さらに、指による血流認証装置では、上述したように、血管画像の特徴点抽出及び特徴点マッチングを用いて血流認証が実行される。よって、同条件の画像を得る必要性から、認証用の指について、血管画像を登録するときの指の配置状態と、血流認証を行うときの指の配置状態とは、同じ配置状態にする必要がある。したがって、指による血流認証装置では、指を位置決めするためのガイド部材が設けられている。
【0009】
しかしながら、従来のガイド部材では、指の配置が不安定であり、安定した画像の取り込みが困難な場合があった。さらに、指に対する上方又は側方からのLED光の照射方向の関係から、撮像素子に照射光が入り込み易く、その結果、撮像画像が白っぽくなる場合もあった。いずれの場合も、鮮明な血管画像が得られないという問題が生じる。
【0010】
本発明は、上述の問題点を解決するためになされたもので、血流認証を用いて個人認証を行う場合において、従来に比べてより鮮明な画像を安定して得ることができる血流認証用端末器、及びこの血流認証用端末器を備えた血流認証システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するため、本発明は以下のように構成する。
即ち、本発明の第1態様における血流認証用端末器は、被認証指を透過した光にて当該指の血管像を撮像する血流認証用端末器であって、
上記被認証指を載置する基台と、
被認証指を透過する光を発する光源であり、上記基台の一端に位置し上記基台に載置した被認証指の指先の前方に設置され、指先前方から被認証指の甲に向けて指先から指元まで光を照射する光源と、
上記基台に載置した被認証指の腹側で該指の直下に対応して上記基台に設置され、上記光源から出射した照射光が被認証指を透過して得られるこの指の血管像を撮像する撮像装置と、を備えたことを特徴とする。
【0012】
また、上記基台は、指ガイド部を有し、該指ガイド部は、被認証指を載置し、載置した被認証指を指先から指元にかけて流線型状に湾曲させて当該指の腹を支持し、かつ指の腹から上記撮像装置への上記照射光の入射を遮断するように構成してもよい。
【0013】
また、上記指ガイド部の一端部で指ガイド部に載置される被認証指の指先に対応した位置に設置され、指先の当接により指先の位置決めを行うとともに指先の接触を検知する指先検知センサと、上記指ガイド部の他端部で指元部分に対応した位置に設置され指元部分の接触を検知する指元検知センサとをさらに備えてもよい。
【0014】
また、上記指先検知センサは、被認証指の指先が当接しかつ当該指の爪が当接しない高さを有し、上記光源は、上記指先検知センサから規定距離をあけて指先前方に設置され、この規定距離は、上記指先検知センサを超えて延在する爪の長さを超える距離に相当するように構成してもよい。
【0015】
また、上記基台は、被認証指の隣の指を載置して被認証指のローリングを抑える基台面を有し、上記光源は基台面より上方に配置され、上記撮像装置は基台面より下方に配置されるように構成してもよい。
【0016】
また、上記指ガイド部は、互いに対向して上記基台面に立設された一対の板材から構成され、各板材は、上記基台において一方向に沿って配置される被認証指に沿って延在し、互いに被認証指の腹を支持可能とする支持間隔にて対向して配置され、被認証指の腹に接して腹を支持し指先から指元に向かい上記基台面に対して登り傾斜となる支持縁を有するくさび形状にて構成することができる。
【0017】
また、各板材におけるそれぞれの支持縁の内側には、指腹を載置する面取り部を有し、該面取り部の面取り角度は、被認証指の指先から指元にかけて指外形に対応して変化するように構成してもよい。
【0018】
また、上記指先検知センサは、一対の上記板材における支持間隔内に設置され、被認証指の指先の形状に沿う湾曲面を設けた窪みを有してもよい。
【0019】
また、上記基台は、被認証指の隣の指を載置して被認証指のローリングを抑える基台面を有し、
上記指ガイド部は、上記基台面に立設された一対の板材から構成され、
上記指先検知センサは、上記板材間に挟まれて各板材に対して直角に配置され、
上記基台は、上記板材及び上記指先検知センサに隣接した領域に、上記板材及び上記指先検知センサと被認証指の指先との隙間から侵入する上記光源からの光が上記撮像装置へ入射するのを防止する遮光部をさらに備えることもできる。
【0020】
さらに、本発明の第2態様における血流認証システムは、上記第1態様の血流認証用端末器と、上記血流認証用端末器と接続される認証制御装置であって、上記血流認証用端末器に備わる光源及び撮像装置の動作制御、並びに撮像装置から供給される撮像画像を用いた血流認証により個人認証を行う認証制御装置と、を備えたことを特徴とする。
【0021】
また、上記認証制御装置はパーソナルコンピュータであり、このパーソナルコンピュータと上記血流認証用端末器とを電気的に接続するUSB(ユニバーサル・シリアル・バス)ケーブルをさらに備えてもよい。
【発明の効果】
【0022】
本発明の第1態様における血流認証用端末器、及び第2態様における血流認証システムによれば、被認証指の指先前方に光源を配置し、被認証指の指先から指元の甲へ光源から光を照射して血管像の撮像を行うように構成した。よって、被認証指の側方及び上方には、光源や撮像素子等の構成要素が存在せず、被認証指の側方及び上方はオープンスペースとなる。したがって、指の大きさや太さ等に関係なく、万人に対しての血流認証が可能である。
【0023】
また、本発明の第1態様における血流認証用端末器、及び第2態様における血流認証システムによれば、指先前方から、被認証指の指先から指元の甲へ光を照射し、被認証指の直下に配置した撮像装置にて血管像を撮像することから、従来に比べて、光源からの光の撮像装置への回り込みを少なくすることができる。したがって、撮像画像におけるハレーションの発生が従来に比べて抑制され、鮮明な血管画像を安定して得ることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の実施形態における血流認証用端末器の一構成例を示す概略断面図である。
【図2】図1に示す血流認証用端末器の指ガイド部付近の平面図である。
【図3】図2に示す指ガイド部のA−A部における断面の一部を示す図である。
【図4】図2に示す指ガイド部のB−B部における断面の一部を示す図である。
【図5】図1に示す血流認証用端末器の斜視図である。
【図6】図1に示す血流認証用端末器を備えた、本発明の実施形態における血流認証システムの構成を示すブロック図である。
【図7】図1に示す指ガイド部の一変形例を示す図である。
【図8】従来の血流認証装置にて撮像された血管画像を示す写真である。
【図9】図1に示す血流認証用端末器にて撮像された血管画像を示す写真である。
【図10】図6に示す血流認証システムにて実行される血流認証動作を示すフローチャートである。
【図11】図1に示す血流認証用端末器の変形例を示す概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
本発明の実施形態である血流認証用端末器、及び該血流認証用端末器を備えた血流認証システムについて、図を参照しながら以下に説明する。尚、各図において、同一又は同様の構成部分については同じ符号を付している。
【0026】
本実施形態の血流認証用端末器及び血流認証システムでは、被験者の被認証指における静脈パターンを撮像することによる血流認証が実行される。
図6に示すように、本実施形態の血流認証システム300は、血流認証用端末器100と、血流認証用端末器100に接続される認証制御装置200とを備える。尚、両者間の接続は、有線、無線を問わない。本実施形態では、有線で電気的に接続されている。また、本実施形態では、血流認証システム300は、複数の作業者が使用可能あるいはアクセス可能なコンピュータに対して、当該コンピュータへのユーザ認証、及び当該コンピュータに格納されている各情報へアクセス可能な個人を認証するシステムを例に採る。ここで、血流認証用端末器100は、情報へアクセスしようとする被験者の被認証指に光を照射し、この指を透過した光にて当該指の血管像を撮像する血流認証用端末器であり、認証制御装置200は、血流認証用端末器100と接続され、取得した血管像の認証判断を行うとともに、血流認証用端末器100の動作制御を行う装置である。尚、上記コンピュータとしては、いわゆるパソコンや、サーバーのような大型コンピュータが相当する。
【0027】
まず、血流認証用端末器100について説明する。図1には、本実施形態の血流認証用端末器100の構成の概略が示されている。一方、図5には、血流認証用端末器100の一形態例を斜視図にて示している。このような血流認証用端末器100は、被認証指190を透過した光にて当該指の血管像を撮像する血流認証用端末器であり、基本的構成部分として、基台150と、光源110と、撮像装置120とを備える。また、本実施形態の血流認証用端末器100では、上記基本的構成部分に加えてさらに、指ガイド部130、及び指検知センサ140を備えている。
【0028】
まず血流認証用端末器100の概略形態を説明する。本実施形態の血流認証用端末器100は、一例として図5に示すように、パソコンに接続されるマウスに似た形状にてなるケーシングの基台150で構成され、基台150の上面には平坦な基台面151が形成されている。基台150の一方向に相当する長手方向158における一端部分で先端部分には、光源110を格納した光源格納部152が基台面151に突設されている。一方、基台面151の下方には、撮像装置120が基台150に格納されている。さらに、基台面151の中央部には、基台150の長手方向158に沿って指ガイド部130が設けられている。指ガイド部130の一端部には、指検知センサ140を構成する指先検知センサ141が、他端部には、指元検知センサ140を構成する指元検知センサ142が、それぞれ基台面151から突設して設置されている。尚、詳細後述するが、基台150及び光源格納部152において光源110が出射する光の光路には近赤外線透過フィルタを設置するが、それ以外の基台150、光源格納部152、指ガイド部130は、可視光及び近赤外光を遮光する材料にて作製されている。
上述の概略構成における各構成部分について、以下に詳しく説明する。
【0029】
指ガイド部130は、血流認証を行う一本の被認証指190を載置する部分であり、図1に示すように、載置した被認証指190が指先191から指元192にかけて流線形状に湾曲するように、被認証指190のほぼ全長に対応した長さにて延在し、被認証指190の腹194を支持するとともに、撮像装置120に対して被認証指190の位置決めを行う部分である。さらにまた、指ガイド部130は、被認証指190の腹194を支持することで、腹194から撮像装置120への光源110からの照射光の入射を遮断する。
【0030】
具体的には、指ガイド部130は、本実施形態では図1及び図2に示すように、互いに対向して基台面151に対して垂直方向に立設された一対の板材131から構成される。各板材131は、基台150の長手方向158に沿って、被認証指190のほぼ全長に対応した長さにて平行に延在し、かつ、図2〜図4に示すように、互いに被認証指190の腹194を支持可能とする支持間隔138にて対向して配置される。さらに、各板材131は、図1に示すように、基台面151とは反対側に位置し被認証指190の腹194に接して腹194を支持する支持縁132を有する。支持縁132は、被認証指190の指先191から指元192に向かって、基台面151に対して登り傾斜となる。よって、各板材131は、図1に示すように、長手方向158に沿ってくさび形状にてなる。尚、登り傾斜とは、円弧状であっても、直線状であっても良い。好ましくは、自然に指を少し曲げたときの形態に沿うように、支持縁132は、被認証指190の指先191から第2関節辺りまでの傾斜変化を大きく、第2関節近傍から指元192辺りまでの傾斜変化を小さくする。
【0031】
指ガイド部130を上述のような形状に設定することで、被認証指190に対する、詳細後述する光源110の配置関係、つまり指先前方からの光照射、との相乗効果により、指ガイド部130に載置された被認証指190の第2関節付近を中心として指先191から指元192までの被認証指190のほぼ全体に渡り、光源110からの光を照射することが可能となる。その結果、被認証指190全体の撮像が可能となり、従来、指の一部分のみを撮像していた場合に比べて、得られる血管(静脈)の情報量を飛躍的に増すことができる。したがって、当該血流認証用端末器100は、従来に比べてより高い精度で血管認証を可能とする。
【0032】
上記支持間隔138は、当該血流認証用端末器100を万人に適用可能とするため、出願人による計測結果等に基づき、本実施形態では、被認証指190の幅の約7〜約9割の範囲の適宜な間隔に設定している。つまり、支持間隔138内に被認証指190が入り込むことはない。このような支持間隔138にて各板材131を対向して配置したことで、図3及び図4に示すように、板材131、131の間上に被認証指190を載置することが可能となる。よって、例えば、被認証指190が各板材131間に挟まれてしまい、血流が停滞し血流認証ができなくなるという現象を防止することができる。さらに、撮像装置120に対する光源110からの光の回り込みが防止でき、従来に比べてより鮮明な画像を安定して得ることが可能となる。尚、本実施形態では、板材131、131の間の寸法は、一実施例として約16mm〜約20mm内の適宜な値に設定している。
【0033】
また、各板材131がくさび形状であり、被認証指190の指先191から指元192に向かって基台面151に対して登り傾斜となる支持縁132を有することで、被認証指190を真っ直ぐに伸ばしたり、逆に大きく屈曲させたり等、指に特別な力を入れることなく、被認証指190を自然な形で、両方の支持縁132に載せることができる。このことは、一般の健常者のみならず、特に、疾病に起因して指をのばすのが困難な人や、指に例えば震え等がある人等に対しても、容易に認証動作を可能にする点で好ましい。
【0034】
さらに、各板材131におけるそれぞれの支持縁132の内側には、図3及び図4に示すように、被認証指190の腹194に接触し載置する面取り部133を設けている。面取り部133の面取り角度は、被認証指190の指先191から指元192にかけて当該指の外形に対応して変化させている。ここで、面取り角度とは、基台面151に対する垂直方向の面と面取り部133の傾斜面とがなす角度θ(図3)である。本実施形態では、図4に示すように、指元192側では、面取り部133の傾斜角度は大きく、図3に示すように、指先191側では小さくしている。また、面取り角度は、指先191から指元192にかけて連続的に徐々に変化させている。特に指先191側では、指元192に比べて指幅が徐々に小さくなることから、面取り部133もこれに追従可能なように、面取り角度をより細かく変化させている。
【0035】
このような面取り部133を設けることで、板材131の支持縁132と被認証指190との接触面積を増すことができる。その結果、支持縁132と被認証指190との間に隙間が生じるのを抑制でき、以下に説明する光源110による指先前方からの光照射とも相まって、撮像装置120への照射光の侵入を効率的に防ぐことができ、より鮮明な血管画像を安定して得ることに寄与することができる。
【0036】
本実施形態では上述のように、指ガイド部130は一対の板材131にて構成しているが、この形態に限定するものではない。例えば図7に示すように、両方の板材131及び板材131間の空間を透光性の部材で充填した指ガイド部130−1でも良い。但し、このような指ガイド部130−1では、指の腹部を載置する部分は、近赤外光が透光可能な材料で作製され、一方、板材131に相当する部分は、可視光及び近赤外光ともに遮光性を有する。
【0037】
また、上述のように指ガイド部130には、一本の被認証指190が載置される。一方、本実施形態では、基台150は、図5に示すように、長手方向158に直交する基台150の幅方向159において指ガイド部130の両側にも基台面151を有する。このように、指ガイド部130の両側にも基台面151を形成することで、基台面151には、被認証指190に隣接する他の指が載置可能となる。被験者の手には、通常、被認証指190に隣接して他の指が存在することから、指ガイド部130の両側あるいは片側に基台面151をさらに設けることで、他の指は基台面151に支持される。よって、指ガイド部130に載置された被認証指190が当該指の軸周り方向に回転する、いわゆるローリングを抑制することができる。このように被認証指190のローリングが抑制されることで、撮像画像の一定化を図ることができ、より鮮明な血管画像を安定して得ることに寄与することができる。
【0038】
基台150において、基台面151には指ガイド部130等が設置されるが、基台面151の上方には、図5に示すように、何の構成物も設置していない。したがって、指ガイド部130へ被認証指190を載置するための被認証指190の進入経路は自由であり、この点においても、当該血流認証用端末器100は、被験者の指幅の大小に関係しない万人向けの仕様となっている。
【0039】
さらに基台150において、指ガイド部130を構成する一対の板材131の内側に対応して、図1に示すように、基台面151より掘り下げられた凹状の溝153が形成されている。溝153は、長手方向158に沿って、ほぼ板材131と同じ長さにて延在する。また、溝153の底部には、以下に説明する光源110からの近赤外光で被認証指190を透過した近赤外光を透過可能とする近赤外光透過フィルタ154が取り付けられ、溝153の底板を構成している。尚、近赤外光透過フィルタ154は、近赤外光以外の光を遮断する。
【0040】
また、溝153は、長手方向158における溝153の一端部に、図2及び図5に示すように遮光部155を有する。上記一端部は、指ガイド部130に載置された被認証指190の指先191側に対応する。遮光部155は、溝153の一端部壁面153aを、本実施形態では半円形状あるいは半楕円形状にて形成した部分であり、その結果、一端部壁面153aの形状に対応して、基台面151も円弧状に凹む。つまり、溝153の一端部壁面153aに対応する基台面部分には、指先191の丸みに対応した円弧状の領域が基台面151に形成される。この円弧状の領域が遮光部155に相当する。このような形状を有する遮光部155を設けることで、以下の効果を得ることができる。
【0041】
即ち、溝153の一端部壁面が単に平坦面で構成される場合、この平坦な一端部壁面は、幅方向159に沿って一対の板材131間に形成されることになる。よって、平坦な一端部壁面と、溝153の長手方向158に沿った各側壁との各角部は、互いに直角に交差する。よって、各角部の形状は、丸みを有する指先191の形状に一致せず、各角部には隙間が生じることになる。したがって、この隙間から光が侵入してしまう。
【0042】
これに対して遮光部155を設けることで、一端部壁面が単に平坦面である構成に比べて、指先191から溝153内へ侵入しようとする光、つまり回り込む光を遮光部155にて遮断することができる。詳しく説明すると、特に指先部分、具体的には、指の第1関節近傍から指先先端に至る部分は、毛細血管が多い箇所であり、血流情報量を多く得ることができる箇所である。よって、この指先部分において、より鮮明な血管画像を安定して得ることができることは、従来に比べてより高い精度で血管認証を可能とする。即ち、遮光部155を形成することは、従来に比べてより高い精度での血管認証に寄与することを可能にする。
【0043】
さらに、上述した指ガイド部130、基台150の特に基台面151、及び、遮光部155を含めて基台150が有する溝153は、近赤外光の反射を抑える、好ましくは防止する塗料にて塗装されている。勿論、塗装色は黒色である。尚、このような塗装に代えて、近赤外光の反射を抑制あるいは防止する表面処理又は表面加工を、指ガイド部130、基台150の特に基台面151、及び、遮光部155を含めて基台150が有する溝153に施しても良い。
【0044】
次に、光源110は、血流認証を行う被認証指190に対して、当該指を透過可能な所定波長の光を照射する光源であり、上記所定波長の光を発するLED111と、このLED111を実装した基板112とを有する。LED111が発する所定波長の光とは、本実施形態では橙色〜近赤外領域の光であり、波長として580nm〜1000nm、より好ましくは600nm〜860nmの波長を有する光である。このような光源110は、図1に示すように、長手方向158において指ガイド部130の一端の前方、つまり指ガイド部130に載置された被認証指190の指先191の前方で、かつ基台面151より上方に配置される。
【0045】
本実施形態では、光源110ここではLED111は、2つ使用され、指ガイド部130を構成する一対の板材131間の中央で板材131に沿って位置する中心軸に対して対称位置で、上記幅方向159に沿って基台面151から互いに同じ高さにて設置される。一実施例として、各LED111は、基台面151の上方、約17mmの位置に、約10mmの間をあけて、かつビーム中心が基台面151に対して平行ではなく僅かに基台面151側へ傾斜するように基板112を傾斜させて配置される。また、ビーム中心の向きは、長手方向158に沿った方向、つまり被認証指190の延在方向である。このように配置した光源110のLED111、111は、ビーム中心が、指ガイド部130に載置された被認証指190の第2関節及びその近傍に位置し、ビームが指先191から指元192までの被認証指190の甲193へ照射されるように、指先191の前方から光を照射する。
【0046】
また、図5及び図1に示すように、光の進行方向におけるLED111の前方には、光源格納部152の一側面を形成して近赤外光透過フィルタ113が設けられている。近赤外光透過フィルタ113は、近赤外光以外の光を遮断する。
【0047】
このように、指ガイド部130に載置した被認証指190の指先191の前方から、被認証指190の甲193に向けて、指先191から指元192まで光を照射可能なように光源110を配置することで、以下のような効果を得ることができる。即ち、血流認証を行うに当たり、これに使用する血管画像で特に問題となるのは、ハレーションの発生である。指の関節部分は、指表面に窪みが存在することから、ハレーションが発生し易い箇所であり、従来の認証装置のように、指の上方あるいは側方から光を照射する形態では、上記窪みを介する光の回り込みが避けられず、関節部分でのハレーションを防止するのが困難であった。よって、図8に示すように、ハレーション410が生じ、画像全体が白っぽくなり、血管認識が困難になる。
【0048】
これに対し本実施形態では、上述したように、指ガイド部130に載置した被認証指190の指先191の前方から、被認証指190の甲193に向けて、指先191から指元192まで光を照射するように構成した。これにより、関節部分においても光の回り込みを低減することができ、ハレーションの発生を抑えることができる。よって、従来に比べてより鮮明な血管画像を得ることができる。例えば、図9に示すように、ハレーションの低減により、従来に比べて血管認識が容易になっているのがわかる。尚、図8及び図9において、400の符号を付した部分が血管(静脈)の一部に相当する。
【0049】
さらに、指先191の前方からの照射、及び上述した指ガイド部130との相乗効果により、本実施形態では、指先191から指元192までを撮像することが可能である。これにより、得られる血管の情報が従来に比べて増し、認証精度の向上に寄与することができる。
【0050】
次に、指先検知センサ141は、上述のように、指ガイド部130の一端部にて基台面151から突出して配置される。即ち、指先検知センサ141は、指ガイド部130に載置された被認証指190の指先191に対応する位置に設置され、短冊状の金属板にてなり、指先191の先端と当接する。この当接により、指先検知センサ141は、指先191の位置決めを行うとともに、指先191が接触したことを電気的に検知する。具体的には、静電容量変化により、接触が検知される。
【0051】
このような指先検知センサ141は、図1及び図5に示すように、その上端部分に、指先先端の形状に沿うような湾曲面を有し、指先191の先端を受け入れる窪み141aを有する。このような窪み141aを設けることで、指先先端を指先検知センサ141にフィットさせることができ、指先先端と指先検知センサ141との間に隙間が形成されるのを防止することができる。これにより、光源110からの照射光が指先191から撮像装置120へ侵入するのを防止でき、より鮮明な血管画像を安定して得ることに寄与することができる。
【0052】
また、上述した、指ガイド部130を構成する板材131における面取り部133、基台150に形成した遮光部155、及び、指先検知センサ141に形成した窪み141aによって、迷光遮断部が構成される。即ち、この迷光遮断部により、指ガイド部130の板材131に支持される被認証指190の指先191と、板材131及び指先検知センサ141とによって形成される隙間を通して侵入する、光源110からの光が、撮像装置120へ入射するのを防止することができる。
【0053】
さらに、指先検知センサ141において、窪み141aを形成した指側側面141bは、図5に示すように、基台150に形成した溝153における一端部壁面153aの中央部分と、同一面又はほぼ同一面となるように、配置している。このような配置形態を採ることで、一端部壁面153aを有する遮光部155、及び指先検知センサ141の窪み141aの相乗効果により、光源110からの照射光が指先191から撮像装置120へ侵入するのを防止でき、より鮮明な血管画像を安定して得ることに寄与することができる。
【0054】
また、指先検知センサ141は、図1に示すように、被認証指190の指先191が当接しかつ被認証指190の爪が当接しない、基台面151からの高さ143を有する。指先検知センサ141の高さ143をこのように設定する理由は、爪を長く伸ばした被験者に対しても、指先191の検知、位置決め、及び指先191における遮光を確実に実行するためである。
【0055】
さらに、爪を長く伸ばした被験者にも対応可能とするため、光源110を格納した光源格納部152の一側面を形成する近赤外光透過フィルタ113に対して、長手方向158において規定距離156をあけて指先検知センサ141を配置している。この規定距離156により、爪を長く伸ばした被験者においても、爪が近赤外光透過フィルタ113に当接することを防止でき、指先191の検知、位置決め、及び指先191における遮光を確実に実行することができる。
【0056】
次に、指元検知センサ142は、上述のように、指ガイド部130の他端部にて基台面151から突出して配置される。即ち、指元検知センサ142は、指ガイド部130の他端部に載置された被認証指190の指元192に対応する位置に設置され、短冊状の金属板にてなり、指元192を載置する。この載置により、指元検知センサ142は、指元192が接触したことを電気的に検知する。具体的には、静電容量変化により、接触が検知される。また、指元検知センサ142において指元192が接触する上端面は、指元192の形状に合うように、図5に示すように円弧状に凹んで形成されている。凹状の円弧形状とすることで、指元検知センサ142における被認証指190の支持を確実に行うことができ、指検知動作を確実に行うことができる。
後述するが、指先検知センサ141及び指元検知センサ142の両方が被認証指190を検知することで、血流認証動作が開始可能となる。
【0057】
次に、撮像装置120は、図1に示すように、指ガイド部130の一対の板材131の間で、板材131に支持される被認証指190の腹側で被認証指190の直下の位置に、基台150に格納され、固定して設置される。また、撮像装置120は、光源110からの照射光ビームの中心の進行方向に対して、直角方向又は略直角方向に屈曲した透過光を撮像する位置に配置され、上記照射光が被認証指190及び近赤外光遮光フィルタ154を透過して得られる血管像を撮像する。
【0058】
このような撮像装置120は、撮像素子、レンズを含む光学系、撮像駆動用回路を備える。また、撮像装置120における光軸が、本実施形態では、被認証指190の第2関節を中心とした第2関節の近傍箇所に対応するように、撮像装置120は配置される。また、撮像装置120は、被認証指190の腹側の表皮から僅かに指内側に合焦している。尚、本実施形態では焦点位置は固定である。また、指内側に合焦させているのは、指表皮の指紋等を認識させないためである。さらにまた、撮像装置120は、指ガイド部130に載置した被認証指190の腹194から、本実施形態では一例として約20数mmの位置にレンズ表面を配置しているが、広角で低い歪みのレンズを有することで、指ガイド部130に支持された被認証指190の指先191からほぼ指元192までを撮像することができる。
【0059】
次に、以上のように構成された血流認証用端末器100を備えた血流認証システム300について説明する。
図6に示すように、また既に説明したように、血流認証システム300は、血流認証用端末器100と、血流認証用端末器100に接続される認証制御装置200とを備える。ここでは、認証制御装置200は、いわゆるパソコンに相当し、血流認証システム300は、当該パソコンにアクセス可能なユーザ認証、及び当該パソコンに格納されている各情報へアクセス可能な個人を認証するシステムを例に採る。血流認証用端末器100と認証制御装置200とは、USB(ユニバーサル・シリアル・バス)160にて接続されている。
【0060】
認証制御装置200は、血流認証用端末器100にて取得した血管像の認証判断を行うとともに、血流認証用端末器100に備わる光源110及び撮像装置120の動作制御を行う装置である。このような認証制御装置200は、実際にはパソコン内に備わるCPU等を有する演算処理部が相当するが、血流認証動作を実行する機能面から、認証部210、制御部220、及び記憶部230を有する。
【0061】
記憶部230は、ハードディスク、半導体メモリ(DRAM又はSRAM)といった記憶装置である。記憶部230には、血流認証を実行するための認証動作用プログラム、画像構成を実現するための血流認証プログラム、認証時に用いられる予め登録された血管(静脈)画像、及び認証履歴といった情報が格納される。
【0062】
制御部220は、記憶部230に格納された認証動作用プログラムに基づいて、情報(信号)の演算処理、情報伝送といった各種の処理を実行する。制御部220の機能は、演算処理部によって認証動作用プログラムが順次実行されることによって具現化される。また、制御部220は、認証動作用プログラムの実行により、指先検知センサ141及び指元検知センサ142への被認証指190の接触有無の確認、LED111の発光及び消灯、撮像装置120に対する撮像動作及び撮像画像転送の各動作の制御を行う。
【0063】
認証部210は、記憶部230に格納された血流認証プログラムに基づいて取得画像と、予め登録された登録画像とに基づいて、血流認証を実行する。認証部230による具体的な血流認証方法は任意であり、例えば血管パターンの類似性を判別する各種方法を適用することができる。
【0064】
次に、血流認証システム300において実行される血流認証動作について、図10を参照して説明する。
まずステップS10では、被験者は、指ガイド部130を構成する一対の板材131の支持縁132に被認証指190を載置する。
【0065】
次のステップS11では、被認証指190の載置動作により、指先検知センサ141及び指元検知センサ142の両方にて被認証指190の接触を検知しているか否かが判断される。この判断は、認証制御装置200の制御部220にて行われ、指先検知センサ141及び指元検知センサ142のいずれか一方のみが被認証指190を検知している場合、指先検知センサ141及び指元検知センサ142の両方とも被認証指190を検知していない場合、さらに指先検知センサ141及び指元検知センサ142の両方で検知されているが静電容量値が基準値を満たさない場合には、血流認証動作を開始しない。一方、指先検知センサ141及び指元検知センサ142の両方にて被認証指190の接触を検知しており、かつ静電容量値が基準値を満たす場合には、次のステップS12に進む。
【0066】
ステップS12では、制御部220は、LED111を発光させ、被認証指190へ光を照射する。そして、規定時間経過によりLED111の照度が安定したところで、次のステップS13に進む。
【0067】
ステップS13では、制御部220は、撮像装置120を駆動し、被認証指190の撮像を行う。血流認証動作時では、撮像回数は1回である。撮像された画像は、撮像装置120から認証制御装置200へ供給される。また、撮像後、制御部220は、LED111を消灯する。
【0068】
次のステップS14では、認証制御装置200の認証部210は、ステップS13にて撮像した取得画像と、記憶部230から読み出した被験者の登録画像との血流認証を血流認証プログラムに従い実行し、両者が一致しているか否かを判断する。この血流認証は、本実施形態では従来と同様に、静脈形状をパターン抽出し画像処理を施して、特徴点抽出及び特徴点マッチングを用いて実行される。
【0069】
血流認証の結果、取得画像と登録画像とが一致した場合には、認証部210は、当該被験者を適合者と判断し、例えば当該パソコンの使用を許可したり、当該パソコン内の情報へのアクセスを可能とする。一方、取得画像と登録画像とが一致しない場合には、認証部210は、当該被験者を不適合者と判断し、当該パソコンへのアクセスを許可しない。
【0070】
ここで、上述の登録画像の撮像及び記憶について略説する。登録する被認証指190を決めた後、指ガイド部130にその登録用の被認証指190を載置する。例えば登録ボタンの押下により、撮像装置120にて被認証指190の撮像が2回行われる。2つの撮像画像が一致しているときのみ、この画像が登録画像として記憶部230に記憶される。尚、血流認証の際には、登録した被認証指190について、上述したように1回の撮像が行われ、血流認証が実行される。
【0071】
尚、上述の本実施形態における血流認証用端末器100では、被認証指190は、一本にて説明したが、基台150に複数の指ガイド部130及び撮像装置120を設けることで、複数本の被認証指190で血流認証を実行してもよい。このような構成を採ることで、より認証精度の向上を図ることが可能になる。
【0072】
また、本実施形態における血流認証用端末器100では、上述したように、基台150の基台面151を平坦面とし、指ガイド部130は、基台面151より突出する形態で構成した。しかしながら、このような形態に限定されず、例えば、図11に示すように、上述した支持縁132に一致するように基台面151の全体を湾曲させるとともに溝153を有する基台150−1を構成してもよい。このように構成することで、基台面151と指ガイド部130とを一体化でき、基台面151は、指ガイド部130の機能も兼有することができる。
【0073】
さらにまた、基台面151より突出する形態で指ガイド部130を構成するのでなく、平坦な基台面151に対して凹んだ溝内に指ガイド部130の支持縁132を形成してもよい。このように構成することで、上記溝は、指ガイド部130の機能を果たすことができる。
【0074】
また、本実施形態における血流認証用端末器100では、上述したように、基台150には溝153を形成したが、この形態に限定されない。即ち、本実施形態において溝153は、撮像装置120が被認証指190を撮像するために必要な距離を確保するために設けたものであり、この必要距離が確保されれば溝153は必要ではない。
また、血流認証用端末器100における各部の形状は、図示する形状に限定されるものではない。上述の説明及び請求項の記載を満足する範囲で当業者が想到可能な形状は、本発明に含まれる。
【0075】
また、上述のように本実施形態では、血流認証システム300は、コンピュータ及びコンピュータ内情報へのアクセス認証を例に採るが、その適用例は、これに限定されるものではない。例えば、入退室管理用として、血流認証用端末器100及び血流認証システム300を使用することも可能である。尚、この構成では、さらに例えば部屋番号入力装置等の追加構成が必要となる。
【産業上の利用可能性】
【0076】
本発明は、血管形状をパターン抽出して個人認証を行うための血流認証用端末器、及び該血流認証用端末器を備えた血流認証システムに適用可能である。
【符号の説明】
【0077】
100…血流認証用端末器、110…光源、120…撮像装置、130…指ガイド部、
131…板材、132…支持縁、133…面取り部、141…指先検知センサ、
141a…窪み、142…指元検知センサ、150…基台、151…基台面、
155…遮光部、190…被認証指、
200…認証制御装置、300…血流認証システム。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被認証指(190)を透過した光にて当該指の血管像を撮像する血流認証用端末器であって、
上記被認証指を載置する基台(150)と、
被認証指を透過する光を発する光源であり、上記基台の一端に位置し上記基台に載置した被認証指の指先の前方に設置され、指先前方から被認証指の甲に向けて指先から指元まで光を照射する光源(110)と、
上記基台に載置した被認証指の腹側で該指の直下に対応して上記基台に設置され、上記光源から出射した照射光が被認証指を透過して得られるこの指の血管像を撮像する撮像装置(120)と、
を備えたことを特徴とする血流認証用端末器。
【請求項2】
上記基台は、指ガイド部(130)を有し、該指ガイド部は、被認証指を載置し、載置した被認証指を指先から指元にかけて流線型状に湾曲させて当該指の腹を支持し、かつ指の腹から上記撮像装置への上記照射光の入射を遮断する、請求項1記載の血流認証用端末器。
【請求項3】
上記指ガイド部の一端部で指ガイド部に載置される被認証指の指先に対応した位置に設置され、指先の当接により指先の位置決めを行うとともに指先の接触を検知する指先検知センサ(141)と、上記指ガイド部の他端部で指元部分に対応した位置に設置され指元部分の接触を検知する指元検知センサ(142)とをさらに備えた、請求項2記載の血流認証用端末器。
【請求項4】
上記指先検知センサは、被認証指の指先が当接しかつ当該指の爪が当接しない高さ(143)を有し、上記光源は、上記指先検知センサから規定距離(156)をあけて指先前方に設置され、この規定距離は、上記指先検知センサを超えて延在する爪の長さを超える距離に相当する、請求項3記載の血流認証用端末器。
【請求項5】
上記基台は、被認証指の隣の指を載置して被認証指のローリングを抑える基台面(151)を有し、上記光源は基台面より上方に配置され、上記撮像装置は基台面より下方に配置される、請求項1から4のいずれかに記載の血流認証用端末器。
【請求項6】
上記基台は、被認証指を載置し当該指を指先から指元にかけて流線型状に湾曲させて当該指の腹を支持し、かつ指の腹から上記撮像装置への上記照射光の入射を遮断する指ガイド部(130)を有し、この指ガイド部は、互いに対向して上記基台面に立設された一対の板材(131)から構成され、各板材は、上記基台において一方向に沿って配置される被認証指に沿って延在し、互いに被認証指の腹を支持可能とする支持間隔(138)にて対向して配置され、被認証指の腹に接して腹を支持し指先から指元に向かい上記基台面に対して登り傾斜となる支持縁(132)を有するくさび形状にてなる、請求項5記載の血流認証用端末器。
【請求項7】
各板材におけるそれぞれの支持縁の内側には、指腹を載置する面取り部(133)を有し、該面取り部の面取り角度は、被認証指の指先から指元にかけて指外形に対応して変化する、請求項6記載の血流認証用端末器。
【請求項8】
上記指ガイド部に載置される被認証指の指先の位置に設置され、指先の当接により指先の位置決めを行うとともに指先の接触を検知する指先検知センサ(141)をさらに備え、この指先検知センサは、一対の上記板材における支持間隔内に設置され、被認証指の指先の形状に沿う湾曲面を設けた窪み(141a)を有する、請求項6又は7記載の血流認証用端末器。
【請求項9】
上記基台は、被認証指の隣の指を載置して被認証指のローリングを抑える基台面(151)を有し、
上記指ガイド部は、上記基台面に立設された一対の板材(131)から構成され、
上記指先検知センサは、上記板材間に挟まれて各板材に対して直角に配置され、
上記基台は、上記板材及び上記指先検知センサに隣接した領域に、上記板材及び上記指先検知センサと被認証指の指先との隙間から侵入する上記光源からの光が上記撮像装置へ入射するのを防止する遮光部(155)をさらに備えた、請求項3から8のいずれかに記載の血流認証用端末器。
【請求項10】
請求項1から9のいずれかに記載の血流認証用端末器(100)と、
上記血流認証用端末器と接続される認証制御装置であって、上記血流認証用端末器に備わる光源及び撮像装置の動作制御、並びに撮像装置から供給される撮像画像を用いた血流認証により個人認証を行う認証制御装置(200)と、
を備えたことを特徴とする血流認証システム。
【請求項11】
上記認証制御装置はパーソナルコンピュータであり、このパーソナルコンピュータと上記血流認証用端末器とを電気的に接続するUSB(ユニバーサル・シリアル・バス)ケーブル(160)をさらに備える、請求項10記載の血流認証システム。
【請求項1】
被認証指(190)を透過した光にて当該指の血管像を撮像する血流認証用端末器であって、
上記被認証指を載置する基台(150)と、
被認証指を透過する光を発する光源であり、上記基台の一端に位置し上記基台に載置した被認証指の指先の前方に設置され、指先前方から被認証指の甲に向けて指先から指元まで光を照射する光源(110)と、
上記基台に載置した被認証指の腹側で該指の直下に対応して上記基台に設置され、上記光源から出射した照射光が被認証指を透過して得られるこの指の血管像を撮像する撮像装置(120)と、
を備えたことを特徴とする血流認証用端末器。
【請求項2】
上記基台は、指ガイド部(130)を有し、該指ガイド部は、被認証指を載置し、載置した被認証指を指先から指元にかけて流線型状に湾曲させて当該指の腹を支持し、かつ指の腹から上記撮像装置への上記照射光の入射を遮断する、請求項1記載の血流認証用端末器。
【請求項3】
上記指ガイド部の一端部で指ガイド部に載置される被認証指の指先に対応した位置に設置され、指先の当接により指先の位置決めを行うとともに指先の接触を検知する指先検知センサ(141)と、上記指ガイド部の他端部で指元部分に対応した位置に設置され指元部分の接触を検知する指元検知センサ(142)とをさらに備えた、請求項2記載の血流認証用端末器。
【請求項4】
上記指先検知センサは、被認証指の指先が当接しかつ当該指の爪が当接しない高さ(143)を有し、上記光源は、上記指先検知センサから規定距離(156)をあけて指先前方に設置され、この規定距離は、上記指先検知センサを超えて延在する爪の長さを超える距離に相当する、請求項3記載の血流認証用端末器。
【請求項5】
上記基台は、被認証指の隣の指を載置して被認証指のローリングを抑える基台面(151)を有し、上記光源は基台面より上方に配置され、上記撮像装置は基台面より下方に配置される、請求項1から4のいずれかに記載の血流認証用端末器。
【請求項6】
上記基台は、被認証指を載置し当該指を指先から指元にかけて流線型状に湾曲させて当該指の腹を支持し、かつ指の腹から上記撮像装置への上記照射光の入射を遮断する指ガイド部(130)を有し、この指ガイド部は、互いに対向して上記基台面に立設された一対の板材(131)から構成され、各板材は、上記基台において一方向に沿って配置される被認証指に沿って延在し、互いに被認証指の腹を支持可能とする支持間隔(138)にて対向して配置され、被認証指の腹に接して腹を支持し指先から指元に向かい上記基台面に対して登り傾斜となる支持縁(132)を有するくさび形状にてなる、請求項5記載の血流認証用端末器。
【請求項7】
各板材におけるそれぞれの支持縁の内側には、指腹を載置する面取り部(133)を有し、該面取り部の面取り角度は、被認証指の指先から指元にかけて指外形に対応して変化する、請求項6記載の血流認証用端末器。
【請求項8】
上記指ガイド部に載置される被認証指の指先の位置に設置され、指先の当接により指先の位置決めを行うとともに指先の接触を検知する指先検知センサ(141)をさらに備え、この指先検知センサは、一対の上記板材における支持間隔内に設置され、被認証指の指先の形状に沿う湾曲面を設けた窪み(141a)を有する、請求項6又は7記載の血流認証用端末器。
【請求項9】
上記基台は、被認証指の隣の指を載置して被認証指のローリングを抑える基台面(151)を有し、
上記指ガイド部は、上記基台面に立設された一対の板材(131)から構成され、
上記指先検知センサは、上記板材間に挟まれて各板材に対して直角に配置され、
上記基台は、上記板材及び上記指先検知センサに隣接した領域に、上記板材及び上記指先検知センサと被認証指の指先との隙間から侵入する上記光源からの光が上記撮像装置へ入射するのを防止する遮光部(155)をさらに備えた、請求項3から8のいずれかに記載の血流認証用端末器。
【請求項10】
請求項1から9のいずれかに記載の血流認証用端末器(100)と、
上記血流認証用端末器と接続される認証制御装置であって、上記血流認証用端末器に備わる光源及び撮像装置の動作制御、並びに撮像装置から供給される撮像画像を用いた血流認証により個人認証を行う認証制御装置(200)と、
を備えたことを特徴とする血流認証システム。
【請求項11】
上記認証制御装置はパーソナルコンピュータであり、このパーソナルコンピュータと上記血流認証用端末器とを電気的に接続するUSB(ユニバーサル・シリアル・バス)ケーブル(160)をさらに備える、請求項10記載の血流認証システム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図10】
【図11】
【図8】
【図9】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図10】
【図11】
【図8】
【図9】
【公開番号】特開2012−84061(P2012−84061A)
【公開日】平成24年4月26日(2012.4.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−231620(P2010−231620)
【出願日】平成22年10月14日(2010.10.14)
【出願人】(501078085)バイオニクス株式会社 (1)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年4月26日(2012.4.26)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年10月14日(2010.10.14)
【出願人】(501078085)バイオニクス株式会社 (1)
【Fターム(参考)】
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