血液から化合物を取り出すための自動化システム
【課題】血液を成分に分離することに加え、分離された成分の処理を実行し得る自動化システムを提供する。
【解決手段】本発明において、血液から選択された化合物を取り出すための自動化システム(10)および方法が開示される。このシステムおよび方法は、再使用可能なハードウェア構成要素またはモジュール(12)に設置された、使い捨て流体回路(50)を利用する。このシステムは、ドナーまたは患者から血液を引き抜き、この血液を2つ以上の成分に分離し、そしてこの分離した成分をさらに溶媒と合わせ、これによってこの血液成分から化合物を取り出す。
【選択図】図2
【解決手段】本発明において、血液から選択された化合物を取り出すための自動化システム(10)および方法が開示される。このシステムおよび方法は、再使用可能なハードウェア構成要素またはモジュール(12)に設置された、使い捨て流体回路(50)を利用する。このシステムは、ドナーまたは患者から血液を引き抜き、この血液を2つ以上の成分に分離し、そしてこの分離した成分をさらに溶媒と合わせ、これによってこの血液成分から化合物を取り出す。
【選択図】図2
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に、血液、血液成分、およびプロセスに含まれる他の流体をプロセスするための、非常に用途が広い、自動化されたシステムに関する。より具体的には、本発明は、血液を2以上の血液成分に分離し得(「アフェレーシス」)、次いでこの分離された成分の1つ以上が関与するさらなる手順を実施し得る、自動システムに関する。
【背景技術】
【0002】
用語「アフェレーシス」とは、患者またはドナーから全血を取り出し、そしてこの血液を2以上の成分に分離することを意味する。分離された成分は、健常なドナーから収集され得、そして後に、この成分を必要とする患者に輸液され得る。アフェレーシスはまた、疾患したかまたは他の様式で所望でない成分を患者から除去することによって、疾病を処置するための治療適用において使用される。
【0003】
基本的なアフェレーシス手順において、血液は、ドナーの静脈に挿入された針を通して、ドナーから引き抜かれる。この針は、血液のための流路を提供するプラスチック管の一端に取り付けられる。この管の他端は、血液を収集するための容器で終結する。次いで、収集された血液は、遠心機のような分離器において、その成分に分離される。所望の血液成分(これは、手順に依存して、赤血球、血小板、血漿、白血球または幹細胞であり得る)が収集され得、そしてこの血液成分を必要とする患者への後の輸液のために、貯蔵され得る。
【0004】
より最近は、「自動」アフェレーシスシステムが、広範に使用されるようになっている。これらの自動システムは、使い捨ての予め滅菌された流体回路(すなわち、管状材料)を利用し、この回路を通って、血液が流れる。これらの流体回路は、再使用可能なハードウェアデバイスまたはモジュールに設置され、このデバイスまたはモジュールは、ポンプ、弁、センサなどを有する。これらの自動システムは、さらに、内部コンピュータおよび付随するソフトウェアプログラム(制御装置)を備え、これらが多くのプロセス機能を制御する。
【0005】
例えば、自動システムにおいて、血液は流体回路を通って流れ、弁およびポンプの作動は、システムによってモニタリングおよび調節され得る。自動システムは、患者またはドナーのデータ(例えば、身長、体重、性別、ヘマトクリット)に基づいて、特定の機能を開始させるか、終了させるか、または他の様式で制御するように、プログラムされ得る。同様に、自動システムは、センサの補助によって、特定の機能をモニタリングし得る。このセンサは、例えば、収集されたかまたは引き抜かれた成分の量を感知し得る。光学センサが、流体の清澄性または内容物を測定するために、あるいは特定の成分の存在または非存在を感知するために、使用される。
【0006】
自動アフェレーシスシステムは、いくつかの異なる製造業者から入手可能である。市販されているアフェレーシスシステムの例としては、Baxter Healthcare Corporation(Deerfield,Illinois)によって販売されるAutopheresis C(登録商標)Cell SeparatorおよびAmicus(登録商標)Cell Separatorが挙げられる。Autopheresis C(登録商標)は、チャンバおよび回転する膜を備える分離器を利用する。血液が、このチャンバに導入され、そしてこの膜が、この血液を(少なくとも)血漿および赤血球、または他の血漿除去血液に分離する。
【0007】
Amicus(登録商標)Cell Separatorは、遠心分離の原理を利用する。Amicus(登録商標)Separatorにおいて、全血が、二重チャンバまたは単一チャンバの容器に導入され、この容器は、回転可能な遠心機に設置される。全血が、第1のチャンバに導入され、ここで赤血球が、血小板リッチな血漿(PRP)から分離される。このPRPが、第2のチャンバに流入し、ここでこのPRPがさらに、血小板および血小板に乏しい血漿に分離される。Amicus(登録商標)のこの使い捨て流体回路は、内部に流路が規定されて予め形成されたカセットを利用し、このカセットが、Amicus(登録商標)デバイスに設置される。この流路を通る流れは、蠕動ポンプによって補助される。Amicus(登録商標)Separatorについてのより詳細な説明は、特許文献1に提供され、これは、本明細書中に参考として援用される。
【0008】
最近は、より持ち運びが可能な自動アフェレーシスシステムが、Baxter Healthcare Corporationによって開発された。1999年9月3日に出願された、発明の名称「Self−Contained Trasportable Blood Processing Device」の、米国特許出願番号09/390,489(これは、本明細書中に参考として援用される)に記載されるように、この持ち運び可能なアフェレーシスシステムもまた、遠心分離の原理に基づく。これは、再使用可能なハードウェアモジュールおよび使い捨て流体回路を備える。この流体回路は、予め形成された流路、弁操作ステーションおよびポンピングステーションを有する、カセットを備える。
【0009】
Gambro BCT,Haemonetics,Dideco and Freseniusのような、他の製造業者もまた、遠心原理または他の分離原理に基づく自動アフェレーシスシステムを提供する。
【0010】
より効率的な、経済的な、そして使用が容易なアフェレーシスシステムを開発および提供し続ける努力の間に、血液供給のアベイラビリティおよび安全性に関する懸念、ならびに特定の血液成分の役割および血液に関連する疾患に関する増加した理解が、さらなる血液関連手順の開発を導いた。これらのさらなる手順は、しばしば、より安全であるかまたはより生存可能な成分を提供するような、血液成分の処理を含む。これらのさらなる手順のいくつかは、所望でない化合物または他の物質を血液から根絶または除去することを包含し得る。これらのさらなる手順のいくつかは、別の溶液での成分の置換を包含し得る。いずれの場合においても、これらの手順は、しばしば、多くの手動の工程、いくつかの異なる部品の設備または複雑な流体回路を含む。従って、血液をその成分に分離することに加えて、この分離された成分が関与する1以上の他の手順および/またはその処理を実行し得る、自動システムに対する必要性が存在する。
【0011】
従って、単一部品の再使用可能なハードウェア、および装填が容易な、使用が容易な使い捨て部品を使用して、多くの管状材料の接続および複雑な管状材料の経路決定の必要性を排除する、さらなる手順を実施し得る自動システムを提供することが、望ましい。また、選択された分離および他の処理またはプロセスの工程を実施するために、決まった操作者の介入を必要としない、単一のシステムを提供することが望ましい。また、全ての所望の分離およびプロセス工程が、単一の一体化されたシステムにおいて実施され、そして別個のデバイスを使用する「オフライン」処理が必要とされないシステムを提供することが望ましい。また、複数の流体の分離、プロセスおよび/または処理の工程を、流体回路を通る流れの自動制御を介して実施し得るシステムを提供することが、好ましい。
【0012】
血液の自動分離およびプロセスが所望であり得る1つの適用は、手術前の自動献血において、ならびに血液置換物(blood substitute)および/または酸素キャリアのような交換用流体の投与においてである。このプロセスの手動バージョンは、特許文献2(本明細書中に参考として援用される)に記載されている。
【0013】
血液の自動分離およびプロセスが所望され得る別の適用は、患者に対する手術の間の赤血球の回収においてである。細胞回収において、損傷領域または体腔からの、回収されなければ損失される血液(すなわち、血管外の血液または「流血した」血液)が収集され、プロセス(または洗浄)され、そしてこの洗浄された血液が、ドナーに戻される。細胞回収のために使用されるシステムおよび装置の例は、特許文献3に記載され、これは、本明細書中に参考として援用される。
【0014】
血液を分離およびプロセスすることが所望であり得る別の適用は、所望でない物質を、血液または分離された血液成分(例えば、血漿)から除去する場合である。例えば、心臓血管疾患におけるコレステロールおよび低密度脂質(LDL)の役割が、十分に証明されている。患者の血漿からの脂質除去の方法が開発され、そして特許文献4、特許文献5、および特許文献6(これらは、本明細書中に参考として援用される)に開示されている。
【0015】
血液を分離およびプロセスすることが所望であり得るなお別の適用は、血球の処理においてである。特定の適用において、分離された赤血球を、酵素で処理して、例えば、A型、B型およびAB型の血球を、普遍的に受容可能なO型の血球に転換することが、所望であり得る。このような方法の例は、特許文献7および特許文献8(これらは、本明細書中に参考として援用される)に記載されている。
【0016】
【特許文献1】米国特許第5,868,696号明細書
【特許文献2】米国特許第5,865,784号明細書
【特許文献3】米国特許第5,976,388号明細書
【特許文献4】米国特許第4,895,558号明細書
【特許文献5】米国特許第5,744,038号明細書
【特許文献6】米国特許第5,911,698号明細書
【特許文献7】米国特許第6,175,420号明細書
【特許文献8】米国特許第5,671,135号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
以下に記載するように、さらなる処理および/またはプロセスのために、血液をその成分に分離することが望ましくあり得るさらなる適用が存在し得る。
【0018】
従って、全血を引き抜きそしてこの全血を2つ以上の成分に分離する能力を有することに加えて、少なくとも2つ以上のアプリケーションを実行するためにプログラムされ、適合可能であり、そしてその実行が可能である、単一のシステムを提供することが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0019】
(発明の要旨)
1つの局面において、本発明は、患者の血液から選択された化合物を取り出すための自動化システムに関する。ことの自動化システムは、患者から血液を引き抜くための手段を備える、滅菌された、予め組み立てられた、使い捨て流体回路を備える。この流体回路は、さらに、分離チャンバを備え、この分離チャンバは、血液から血液成分を分離するための第1副チャンバ、および血液成分および溶媒の組み合わせを第1の相および第2の相へと分離するための第2の副チャンバを備え、この第1の相は、化合物枯渇血液成分を実質的に含み、この第2の相は、この溶媒およびこの化合物を実質的に含む。
【0020】
この流体回路は、さらに、溶媒を含む容器およびこの溶媒を血液と合わせるための手段を備え、この溶媒は、選択された化合物をこの血液成分から抽出するように適合されている。溶媒除去手段、およびこの化合物枯渇血液成分を患者に戻すための手段が、提供される。
【0021】
この流体回路は、さらに、予め形成された流路セグメントを有する流れ制御カセットを備え、この流路セグメントは、この内部に形成されており、そしてこのセグメント間の連絡を制御するための弁ステーションによって分離されている。
【0022】
この自動化システムはまた、このチャンバを受容し、そして血液の残りの部分から血液成分を分離するための手段を備える、再使用可能なデバイスを備える。この再使用可能なモジュールはまた、予め形成された流路を通る流体の流れを制御するための弁ステーションと協働するための手段を備える。
【0023】
さらなる、より詳細な局面において、この流体回路は、化合物を含む血液成分を(血液から)分離するための第1の分離原理に基づく第1の分離手段、およびこの血液成分と溶媒との組み合わせを第1および第2の相へと分離するための第2の分離原理に基づく第2の分離手段を備え得る。
【0024】
より特定すれば、本願発明は以下の項目に関し得る。
(項目1) 患者の血液から選択された化合物を取り出すための自動化システムであって、以下:
(a)滅菌された、予め組み立てられた、使い捨て流体回路であって、以下:
(i)患者から血液を取り出すための手段、
(ii)血液から血液成分を分離するための第1副チャンバを備える、分離チャンバ、
(iii)化合物枯渇血液成分を提供するために、上記血液成分から選択された化合物を抽出するように適合された溶媒を含む、容器、
(iv)上記血液成分を上記溶媒と合わせるための手段、
(v)上記血液成分と上記溶媒との組み合わせを、第1の相および第2の相へと分離するための第2の副チャンバを有する上記分離チャンバであって、上記第1の相は、上記化合物枯渇血液成分を実質的に含み、上記第2の相は、上記溶媒および上記化合物を実質的に含む、上記分離チャンバ、
(vi)溶媒除去手段、
(vii)予め形成された流路セグメントを内部に有する流れ制御カセットであって、上記流路セグメントは、上記流路セグメント間の連絡を制御するための弁ステーションによって分離されている、流れ制御カセット、および
(viii)上記化合物枯渇血液成分を、上記患者に戻すための手段、
を備える、使い捨て流体回路;ならびに
(b)上記流体回路モジュールを協働可能に受容するよう適合された、再使用可能なモジュールであって、上記再使用可能モジュールは、以下:
上記チャンバに協働可能に付随する、上記血液の残りの部分からの上記血液成分の分離を実施するための手段、および
上記弁ステーションと協働するための手段であって、上記カセットの上記予め形成された流路を通る流体の流れを制御する、手段
を備える、再使用可能モジュール、
を備える、システム。
(項目2) 上記血液が、血漿を含む、項目1に記載のシステム。
(項目3) 上記分離を実施する手段が、回転可能な遠心機を含む、項目1に記載のシステム。
(項目4) 上記流れ制御カセットが、上記流路セグメントを通る流体をポンピングするためのポンプステーションをさらに備える、項目1に記載のシステム。
(項目5) 患者の血液から選択された化合物を取り出すための自動化システムであって、以下:
(a)滅菌された、予め組み立てられた、使い捨て流体回路であって、以下:
(i)患者から血液を取り出すための手段、
(ii)血液から、上記化合物を含む血液成分を分離するための第1の分離原理に基づく、第1の分離手段、
(iii)化合物枯渇血液成分を提供するために、上記血液成分から上記化合物を抽出するように適合された溶媒を含む、容器、
(iv)上記溶媒を上記血液成分と合わせるための手段、
(v)上記血液成分と上記溶媒との組み合わせを、第1の相および第2の相へと分離するための、第2の分離原理に基づく第2の分離手段であって、上記第1の相は、上記化合物枯渇血液成分を実質的に含み、上記第2の相は、上記溶媒および上記化合物を実質的に含む、第2の分離手段、
(vi)溶媒除去手段、
(vii)上記流体回路を通る流れを制御するための流れ制御カセットであって、上記カセットは、予め形成された流路セグメントを内部に有し、上記流路セグメントは、上記流路セグメント間の連絡を制御するための弁ステーションによって分離されている、流れ制御カセット、および
(viii)上記化合物枯渇血液成分を、上記患者に戻すための手段、
を備える、使い捨て流体回路;ならびに
(b)上記流体回路を協働可能に受容するよう適合された、再使用可能なモジュールであって、上記再使用可能モジュールは、以下:
上記弁ステーションと協働するための手段であって、上記カセットの上記予め形成された流路を通る流体の流れを制御する、手段
を備える、再使用可能モジュール、
を備える、システム。
(項目6) 上記再使用可能モジュールが、遠心分離器をさらに備える、項目5に記載のシステム。
(項目7) 上記第1の分離手段が膜を備え、そして上記第2の分離手段が、上記分離器と共同して使用するためのチャンバを備える、項目6に記載のシステム。
(項目8) 上記第1の分離手段が、上記分離器と共同して使用するためのチャンバを備える、項目6に記載のシステム。
(好ましい実施形態の説明)
ここで図面を参照すると、図1は、本発明を使用する、多目的の血液および流体プロセスシステム10を概略的に示す。
【0025】
図1に一般的に示されるように、自動システム10は、再使用可能なハードウェア構成要素またはモジュール12を備える。再使用可能なハードウェア構成要素12は、特に用途が広く、そして種々の使い捨て流体回路と共に使用され得る。従って、例えば、ハードウェア構成要素12は、赤血球収集、血漿収集、血小板収集、白血球収集、幹細胞収集、血液希釈、細胞回収、血漿からの脂質の除去、赤血球の転換、細胞の消耗、赤血球交換、白血球減少(leukoreduction)、他の治療的な血漿の処理、および見られるように、このような手順の組合せのための流体回路と共に使用され得る。
【0026】
本発明を組み込み得る、自動化された多目的の血液および流体プロセスシステムの1つの実施形態を、図2に示す。図2に示すように、自動システム10は、再使用可能なモジュール12、および再使用可能な構成要素12に付随して使用するための使い捨て流体回路50を備える。
【0027】
流体回路50は、管状材料および相互接続された容器(これらは代表的に、滅菌可能なプラスチック材料で作製される)のアレイを備える。流体回路50は、単回使用を意図される(すなわち、使い捨てであり、再使用可能ではない)。図2に示すように、流体回路50は、ドナーまたは患者の静脈に挿入するための、静脈穿刺針54を備える。この針54は、管状材料に取り付けられ、この管状材料は、このドナーまたは患者から引き抜かれる血液のための流路を提供する。針54はまた、いわゆる「単一針手順(single−needle procedure)」において、選択された成分をドナーまたは患者へと戻すために使用され得る。あるいは、回路50は、引抜きと戻しとに別個の針が使用される、当業者に公知の「二重針配置」を使用し得る。
【0028】
図2に示すように、流体回路50は、分離された成分の一時的および/または長期間の貯蔵のため、ならびに手順の間に使用される流体(例えば、抗凝固薬、生理食塩水、およびこの手順のために必要とされる他の任意の処理、または交換用流体)を保持するための、いくつかの容器を備える。容器56、57、58、60、62、64、および66もまた、代表的に、滅菌可能なプラスチック材料で作製される。
【0029】
流体回路50は、さらに、分離チャンバ68を備える。分離チャンバ68は、再使用可能なデバイス12の分離器への設置が意図される。図2に一般的に、そして図2Aにより詳細に示すように、1つの実施形態において、分離チャンバ68は、剛性の生体適合性のプラスチック材料(例えば、非可塑化の医療等級のアクリロニトリル−ブタジエン−スチレン(ABS))から射出成形によって予め形成され得る。
【0030】
図2Aにさらに示すように、分離チャンバ68は、中央ハブ120を有する基部388を備える。ハブ120は、内側および外側の環状壁122および124によって放射状に囲まれており、これらの壁は、周囲の血液分離チャネル126を形成する。あるいは、チャンバ68は、第1および第2の副チャンバを備え得る。チャネル126の底部は、成形された環状壁によって閉じられる。チャネル126の頂部は、別個に成形された平坦な蓋(図示せず)によって閉じられ、この蓋は、溶接または他の固定手段によって、チャンバ68の頂部に固定され得る。
【0031】
チャンバ68はまた、ハブ120から延びてチャネル126と連絡する通路142、144および146を備える。プロセスの間、血液が、基部388の下側において、通路146に、取付けられた多管腔管または臍(umbilicus)69(図2に示すように)を通して導入される。血液はチャネル126に入り、ここで、この血液は、より重い成分とより軽い成分とに分離される。より重い成分は、このチャネルの外側の周囲を占め、一方でより軽い成分は、チャネルの内側を占める。分離された成分は、通路142および144を通して引き抜かれる。チャンバ68を使用する血液の導入および分離は、米国特許出願番号09/390,489(先に参考として援用された)により詳細に記載されている。
【0032】
流体回路50は、さらに、カセット70を備え、このカセットは、多数の弁操作ステーションおよびポンプステーションと流体連絡し、そしてこれらに付随する、流路セグメントのネットワークを提供する。カセット70は、所定の血液プロセス手順のために必要とされる全てのポンピング機能および弁操作機能のために、中心合わせされた、プログラム可能な統合プラットフォームを提供する。カセット70のより詳細な図を、図4および5に提供する。カセット70は、以下に記載する再使用可能なモジュール12の、蠕動駆動式のポンプおよび弁ステーション30と相互作用する。
【0033】
図4および5に示すように、カセット70は、前側と後側との両方に形成された、内部空洞のアレイを有する。これらの内部空洞は、弁ステーションおよび流路を形成する。ポンプステーションPP1〜PP4は、カセット70の前側に空けられたウェルとして形成される。弁V1〜V23は、カセット70の前側に空けられたウェルとして、同様に形成される。液体流路F1〜F38が、液体路F15、F23、およびF24(これらは、カセット70の前側に空けられた細長チャネルとして形成される)を除いて、カセット70の後側に空けられた細長チャネルとして形成される。予め成形されたポートP1〜P13が、カセット70の2つの側縁部に沿って外向きに延びる。図3に示すように、カセット70は、以下に記載するポンプおよび弁ステーション30における使用のために、垂直に設置される。この配向において、ポートP8〜P13は下に向き、そしてポートP1〜P7は、1つの上に他のものが垂直に重なって、内側に向く。
【0034】
カセット70は、好ましくは、剛性の、医療等級のプラスチック材料で作製される。可撓性の隔膜が、カセット70の前側と後側との両方の上に重ねられる。これらの隔膜は、好ましくは、医療等級のプラスチックの可撓性のシートで作製される。これらの隔膜は、これらの周囲で、カセット70の前側および後側の周囲縁部に密着される。これらの隔膜の内側の領域もまた、カセット本体の内側の領域に密着され得る。
【0035】
ポンプおよび弁ステーションの作動は、負および正の空気圧を提供する空気圧源によって、制御される。図2に一般的に示されるように、そして米国特許出願番号09/390,489により詳細に記載されるように、制御装置11の制御下で、空気圧源は、異なる加圧レベルおよび減圧レベルを、ポンプおよび弁ステーションに選択的に分配する。これらの加圧および減圧のレベルは、血液およびプロセス流体の経路を決定するように、カセット70に系統的に付与される。カセット、ポンプおよび弁ステーション30、ならびにこのカセットを通しての血液およびプロセス流体の移送の詳細は、米国特許出願番号09/390,489(先に参照として援用された)に記載および説明されている。
【0036】
ここで、再使用可能なハードウェア構成要素またはモジュールを参照すると、再使用可能な構成要素12は、血液成分の分離を実施するための(少なくとも1つの)手段または「分離器」20を備える。1つの実施形態において、分離器20は、流体回路のチャンバ68に作動可能に付随している。より具体的な実施形態において、分離器20は、流体回路の分離チャンバ(上記)を受容し、そして全血または血液画分の2つ以上の成分への分離を実施するよう適合されている。好ましい実施形態において、分離器20は、回転可能な遠心機であり得る。しかし、分離器20が、遠心分離の原理を利用する分離器に限定されないことが、理解される。従って、分離器20は、異なる分離原理(例えば、米国特許第5,194,145号に記載されるようなスピン膜を受容するための、例えば磁性ドライブ)を使用し得る。別の実施形態において、分離器20はまた、その独自の一体的なチャンバまたは通路を備える、分離カラムであり得る。分離器20はまた、フィルタであり得る。好ましい実施形態において、分離器20が遠心機である場合には、この遠心機のスピン作用が、(分離チャンバ68内の)血液成分を密度によって分離する。例えば、この遠心機のスピン作用は、全血を、より高密度の赤血球成分と、より低密度の血漿成分とに分離し得る。
【0037】
再使用可能な構成要素12はまた、内部コンピュータまたは制御装置11を収容する。プログラム可能な制御装置は、いくつかの異なる血液および流体のプロセス手順を実施するための予めプログラムされた指示を含み、操作者が所望の特定の手順(単数または複数)をメニューから選択することを可能にする。この制御装置はまた、流体のポンプを選択的に作動させ、そして上記流体回路の弁を開閉する、予めプログラムされた指示を含む。この制御装置はまた、ドナー/患者の情報の格納、後のダウンロードまたはコンパイルのための情報および他のデータの処理または収集のための、格納能力を備え得る。
【0038】
図2にさらに示すように、再使用可能なデバイス12は、手順の状態を表示するためのフラットスクリーンディスプレイ24、および操作者がシステムとインターフェースすることを可能にするタッチパネルスクリーンのような、制御パネルを備える。データ出力能力もまた、所望であれば、他のコンピュータまたはネットワークとの通信のための、標準的なパラレルポートまたはシリアルポートあるいは他のネットワーク接続能力を備え得る。
【0039】
デバイス12はさらに、ポンプおよび弁ステーション30を備える。上に示したように、ポンプおよび弁ステーション30は、対応する構造のカセット70と嵌合するよう設計される。ポンプおよび弁ステーション30は、4つのポンプアクチュエータPA1〜PA4、および23個の弁アクチュエータVA1〜VA23を備える。ポンプおよび弁のアクチュエータは、カセット70のポンプステーションPP1〜PP4および弁ステーションV1〜V23の鏡像を形成するよう配向される。操作の間に、ポンプおよび弁ステーション30(ならびにより具体的には、ポンプおよび弁のアクチュエータ(PA(N)およびVA(N))は、正圧および負圧を、カセット70ならびに対応するポンプおよび弁ステーションに付与して、液体流をそこに規定される流路セグメントに通して指向する。ポンプおよび弁ステーション30へのアクセスは、ドナー34を介して得られる。
【0040】
再使用可能なデバイス12の上記部品の全て(例えば、分離器20、制御装置11、ポンプおよび弁ステーション30、ならびにディスプレイスクリーン24)は、持ち運び可能なハウジングまたはケース38の内部に設置される。ケース38は、卓上または他の平滑かつ平坦な表面上でのセットアップおよび操作に適切である。ケース38は、基部39および開閉する蝶番式の蓋40を備える。蓋40は、この蓋を解放可能にロックするための切欠き42を含む。蓋40はさらに、ケース38を収集部位、病院などに容易に運ぶために操作者が把持し得る、ハンドル44を備える。ケース38は、成形によって、そして好ましくは、軽量の耐久性のあるプラスチック材料で作製される。
【0041】
容器を把持位置で支持するために、蓋40は、生理食塩水、抗凝固剤または他の処理もしくはプロセス流体の容器を吊下するための、フック(図示せず)を備える。同様に、引込み可能なハンガー45が、1つ以上の収集容器(この中に、全血および/または分離された血液成分が(少なくとも一時的に)貯蔵される)を支持するために提供される。ハンガー45およびフックは、好ましくは、蓋40内の秤り47に設置されて、収集された全血または血液成分の量の自動測定を可能にする。
【0042】
傾いた容器支持表面48は、使い捨て回路50に付随する容器を支持するためのさらなる領域を、ケース内に提供する。支持表面48の1つ以上の領域は、所望であれば加熱されて、ドナーまたは患者への注入の前に、容器の溶液を加温し得る。
【0043】
上記のように、制御装置11は、マイクロプロセッサおよび予めプログラムされたソフトウェアを備える。操作者によるいくらかのインターフェースおよび関与が必要とされるが、自動システム10の多くの機能が、制御装置11によって自動的に制御される。
【0044】
例えば、図6に示すように、操作者が再使用可能なデバイス12への電源をオンにした後に、このシステムは自動的に、システムチェック手順を受けて、デバイス12の全ての電気的構成要素および機械的構成要素が適切に、そして予め設定されたパラメータの範囲内で機能することを確認する。システムチェックの間に、制御装置が問題を検出する場合には、このシステムは、介入する操作者を刺激する可聴警告を発生させ得る。このシステムがシステムチェックを首尾よく完了する場合には、このシステムは、操作者に、所望の手順を選択するように促し得る。
【0045】
図6に示すように、この自動システムは、操作者が種々の手順から選択することを可能にする。例えば、操作者は、赤血球収集(アフェレーシス)手順、血漿収集手順、血小板収集手順、白血球収集手順、幹細胞収集手順を選択し得る。
【0046】
さらに、操作者は、1つ以上の他のさらなる手順から選択し得る。従って、操作者は、全血を2つ以上の成分に分ける第1の手順を選択し得、そしてまた、このシステムに、この分離された成分が関与する別のさらなる処理または他のプロセス手順を実行するよう指示し得る。あるいは、操作者は、さらなる手順(これは既に、上記アフェレーシス手順の局面をさらなる「下流」血液プロセスおよび/または処理プロトコルに組み合わせている)の1つを直接選択し得る。
【0047】
図6に示すように、これらのさらなる手順は、血液希釈、血漿処理(例えば、脂質除去、細胞の転換、細胞の回収および他の手順(治療的な血漿処理、モノクローナル抗体、磁性ビーズ、常磁性ビーズ、および他のビーズを使用する血漿からの特定の化合物の除去が挙げられるが、これらに限定されない))のための手順を含む。分離された成分が関与するさらなる補助的な手順もまた実施され得る。
【0048】
いずれにしても、一旦、操作者が所望の手順を選択すると、制御装置11の制御下で、このシステムは、操作者に、適切な流体回路を装填することを促す。図1に戻って参照すると、再使用可能なデバイス12は、種々の使い捨て流体回路のいずれか1つを受容するよう適合されている。列挙された手順の各々は、それ自体の独自の使い捨て流体回路を必要とし得るか、またはより好ましくは、使い捨て流体回路は、2つ以上の手順に適切である。
【0049】
使い捨て流体回路の大部分は、多くの共通要素(例えば、静脈穿刺針、抗凝固剤容器、生理食塩水容器、赤血球、血漿または全血のための貯蔵容器、分離チャンバおよびカセット70)を有する。上記のように、各手順は、それ自体の独自の使い捨て流体回路を有し得る。しかし、普遍的な流体プロセス回路を使用し得ることが可能であり、そして必要とされる任意のさらなる流体(例えば、処理剤)の容器、さらなる分離器または他の構成要素が、使用時に容易に取り付けられ得る。これらのさらなる流体回路構成要素は、普遍的なセットに、滅菌された様式で、当業者に周知の様式で接続され得る。任意のさらなる管または流路が、カセットに存在するポート(例えば、P13)に取り付けられ得、そしてシステムが、さらなる手順を実行するようプログラムされ得る。
【0050】
カセットの用途の広さは、制御装置のプログラム可能なマイクロプロセッサに結合された弁の選択的な開閉を介して種々の様式で相互接続し得る、その流路セグメントともに、本発明の自動システムに非常に役立つ。このことは、このシステムが、異なる流体回路と共に使用されて、種々の異なる手順またはプロトコルを実施すること、およびこのシステムがアフェレーシスの局面を血液成分のさらなる下流処理またはプロセスと組み合わせることを可能にする。
【0051】
一旦、流体回路50が再使用可能なデバイス12に設置されると、このシステムは、制御装置11の制御下で、正しい使い捨て部品が装填されたことおよび/またはこの部品が正しく装填されたことを確認する。一旦、使い捨てプロセス回路の正しい装填が確認されると、このシステムは、選択されたプロトコルに基づいて、プライム手順を自動的に開始する。代表的に、このプライム手順は、流体回路を抗凝固剤および/または生理食塩水でプライムする工程を包含する。さらに、特定の処理または交換用流体が特定の手順において使用されることが意図される場合には、このシステムはまた、使い捨て流体回路を、このような流体でか、または患者もしくはドナーの血液でプライムし得る。
【0052】
このシステムは、操作者が所望の患者またはドナーのデータ(例えば、身長、体重、性別、ヘマトクリット、または手順の経過の間に制御装置が利用し得る他の任意のドナーもしくは患者の特徴)を入力することを可能にし得る。ドナーデータの入力は、プライムの前または後に起こり得る。例えば、システムは、上記ドナーデータを使用して、流速および/または特定の工程の持続時間を決定し得る。プライムおよび任意の必要なドナーデータの入力の後に、このシステムは、操作者に手順の開始を促す。
【0053】
図7は、代表的な流体回路を含む、本発明を具体化する自動システムを示す。図7に示すように、全血が、ドナー100から引き抜かれ、そしてライン(管状材料)74を通してカセット70に導入される。容器56からの抗凝固剤が、同様に、カセット70に入る。抗凝固剤は、カセット70のポートの1つ(例えば、P10)を通って入る。制御装置は、選択された弁を開いて、抗凝固剤が流体セグメントを通って流れることを可能にし、そして抗凝固剤ライン75とライン74との間の流れ連絡を確立して、抗凝固剤を、患者から引き抜かれている全血と混合する。
【0054】
抗凝固処理された全血は、容器58に導入され、この容器は、臨時の全血供給源として働く。上記のように、ハードウェア構成要素12は、重量計を備える。従って、容器58は、重量計から吊下され、その結果、必要量の全血が収集される場合に、この重量計に取り付けられたセンサが、制御装置を刺激し、そして引抜きサイクルが終了される。次いで、この制御装置は、容器58から分離器内への全血のポンピング(ポンプおよび弁ステーションを制御することによる)を開始する。
【0055】
この分離器は、全血を2つ以上の成分に分離する。(この分離器は、物理的にかまたは例えば、本明細書中に参考として援用される米国特許第5,194,195号に記載されるようにかのいずれかで、流体回路の分離器チャンバ68と協働可能に付随し得ることが理解される。)1つの実施形態において、全血の分離は、血漿成分および赤血球成分を生じる。この分離された血漿および赤血球の成分は、分離チャンバ68から引き抜かれ得、そして一時的な貯蔵のために、別体の容器60および62に収集され得る。
【0056】
この時点で、選択された手順またはプロトコル(図6を参照のこと)に基づいて、分離された成分の一方または両方のさらなるプロセスが、このシステムによって開始され得る。従って、例えば、このさらなる手順が分離された成分の処理を包含する場合には、流体回路50は、処理流体容器64を備え得る。別の実施形態において、このさらなる手順が交換用流体の投与(例えば、引き抜かれた成分の生物学的機能を提供するため)を必要とする場合には、容器64は、交換用流体を含み得る。
【0057】
いずれにしても、分離された成分のさらなるプロセスまたは処理は、分離チャンバ68、容器60または62のいずれか、あるいは必要であれば、第2の別個の分離器(図7に破線で示され、そして「分離器2」と記されている)において起こり得る。この第2の分離器は、分離器1と同じ分離原理を利用し得る。従って、1つの実施形態において、両方の分離器1および2は、遠心機であり得る。別の実施形態において、これらの分離器の一方は遠心機であり得、一方で他方の分離器は、米国特許第5,194,145号に記載される型の、回転部材および分離膜の組合せとの駆動機構であり得る。別の実施形態において、これらの分離器の一方は、遠心機または回転膜のための駆動機構であり得、そして他方の分離器は、フィルタ媒体または分離カラムであり得る。
【0058】
分離器1において分離された血液成分は、さらなる処理および/またはプロセスのために、分離器2に直接導入され得る。あるいは、血液成分は、カセット70に導入され得、ここから、この成分は、分離器2に指向および/またはポンピングされ得る。同様に、分離器2を出る際に、分離された(そして/または処理された)成分は、ドナーに灌流により直接(破線87によって示されるように)戻され得るか、またはカセット70および戻りライン84を通して戻され得る。
【0059】
図7は、血液の引き抜きおよび血液成分の戻しのために、単一の静脈アクセス点(すなわち、単一の針)を示すが、図7(または他の図8〜12のいずれか1つ)に示す流体回路はまた、上記のいわゆる「二重針」配置を利用し得ることが、理解される。
【0060】
一旦、処理が完了すると、所望の成分(赤血球または血漿)が、ライン84を介して、ドナーまたは患者に戻され得る。以下に記載するように、手順に依存して、上記一般的な分離およびプロセスの手順に対するバリエーションが存在し得る。
【0061】
本発明を具体化するシステムのより具体的な例を、図8に示す。図8は、手術前の血液の自動引抜き、血漿および赤血球への分離、引き続いて血漿および1つ以上の交換用流体の戻し(すなわち、「血液希釈」)のための、自動システムおよび手順を示す。
【0062】
図8に示す型のシステムは、外科手順の直前の、患者からの自己由来の血液の収集において、特に有用である。血漿成分が戻され、そしてある量の交換用流体(例えば、生理食塩水)、および収集された赤血球と同じ生物学的機能(すなわち、酸素移送)を提供し得る血液置換物で補充される。
【0063】
図8に示すように、全血は、外科手順の直前に患者から引き抜かれる。この全血は、一般的に上に記載した様式で、ライン74を通して引き抜かれ、そしてカセット70に導入される。
【0064】
全血は、抗凝固剤と混合され、そしてこの抗凝固処理された全血が、容器58に導入され得るか、または分離器にすぐに導入され得る。一旦、分離器の内側に、より具体的には、この分離器に付随する分離チャンバ68の内側に入ると、全血は、赤血球成分および血漿成分に分離される。赤血球成分はこの分離器から分離され(カセット70におけるポンプステーションのポンピングによって)、そして容器60に収集され、ここで、この赤血球は、手術の間または後に(必要であれば)必要とされるまで、貯蔵される。赤血球の長時間の貯蔵が必要とされる場合には、収集された赤血球は、Baxter Healthcare Corporation,Deerfield Illinoisから入手可能なAdsol(登録商標)またはErythro−Solのような赤血球保存溶液と混合され得る。保存薬(例えば、容器57(図2)に貯蔵される)の添加もまた、制御装置11によって制御され得る。
【0065】
分離された血漿は、容器62に導入され得、ここから、この血漿は、手術の間に計量されて患者に戻され得るか、あるいは、患者にすぐに戻され得る。別の代替において、血漿(血小板を含む)は、手術の後か、または赤血球が戻される時点の頃に患者に戻され得る。
【0066】
赤血球の損失した容量を補償するために、生理食塩水のような容量交換用流体もまた、患者に投与され得る。さらに、赤血球はヘモグロビンを含有するので、血液中で酸素を運ぶ化合物、血液置換物、または赤血球と同じ酸素移送機能を果たし得る酸素を運ぶ他の合成された化合物もまた、患者に投与され得る。このような血液置換物および/または酸素を運ぶ化合物は、公知であり、そしてAlliance Pharmaceutical Corporation,San
Diego,Californiaから入手可能であり、そして米国特許第5,865,784号に記載されている。当業者に公知の他の血液置換物もまた、使用され得る。
【0067】
血液置換物は、生理食塩水と混合され得るか、または生理食塩水の投与の前もしくは後のいずれかに別に投与され得る。さらに、他の容量交換用流体もまた、生理食塩水(これは、結晶性溶液である)の代わりに、容量交換用流体として使用され得る。この流体には、デキストランおよびアルブミンのような、コロイド溶液が含まれる。
【0068】
本発明によれば、システム10は、必要な流体(すなわち、生理食塩水および血液置換物)の量および流速を、自動的に決定し得る。1つの実施形態において、制御装置は、選択された量の生理食塩水または他の流体および既知の生物学的機能を有する交換用流体(例えば、血液置換物)を、ハードウェア構成要素12における重量計47によって測定される収集された赤血球の量に基づいて投与するように、予めプログラムされ得る。あるいは、このシステムは、投与されるべき交換用流体の量(および流速)を、引き抜かれた全血の量に基づいて決定し得る。なお別の代替において、このシステムは、投与されるべき交換用流体および血液置換物の量を、手順の開始時に入力されたドナーデータに基づいて、決定し得る。いずれにしても、本発明の自動システムは、血液希釈が手動では達成され得ないという利点を提供する。
【0069】
例えば、全血を赤血球および血漿に分離し、そしてこの血漿を患者に戻すことによって、血液の体外容量が、全血が引き抜かれる手動システムと比較して減少される。このことは、「手動」血液希釈においては得られないいくつかの利点を生じる。
【0070】
手動血液希釈手順においては、血液の引抜きおよび支持流体(3倍の生理食塩水またはアルブミン)の投与によって、血液のヘモグロビン濃度が、約12mg/dlから9mg/dlへと減少する。このことは、合計で約1Lの容量の全血が除去されたことに相当する。この損失した容量の代わりとなるためには、1Lのアルブミンまたは3Lの生理食塩水が投与されなければならない。3倍の容量の生理食塩水は、生理食塩水が血管の空間内に留まる制限された能力に起因して、必要である。より大きな分子であるアルブミンは、血管の空間に留まり得、そして生理食塩水ほど速くは排出されない。
【0071】
本発明によれば、血漿成分は患者に戻されるので、除去される流体の容量は、赤血球の容量が約400ml(平均の40%のヘマトクリットに基づく)であるように制限される。40%のヘマトクリットを有する全血が1L除去される場合に、除去される赤血球の総容量は400mlであり、残りの600mlは血漿からなる。自動システムおよび手順を使用して、等量の赤血球を除去するためには、このシステムによってプロセスされた血漿のすべてを患者に戻しながら、400mlのみの濃縮された赤血球の除去を必要とする。これは、除去された容量を60%減少させる。この代わりとなるために、400mlのみのアルブミンまたは1,200mlの生理食塩水が必要である。これは、代表的な手動血液希釈手順より実質的に少ない。
【0072】
投与される生理食塩水の容量を減少させることによって、生理食塩水によって引き起こされる任意の潜在的な流体合併症が低減され得る。生理食塩水は、腎機能不全を患う患者において、流体の過剰充填および組織の水腫を引き起こし得る。多量の生理食塩水の注入および付随する組織流体の増加は、外科手順の後の流体除去を補助するための利尿薬の投与の必要性を必要とし得る。
【0073】
本発明の自動システムの別の利点は、このシステムが麻酔科医によってプログラムされ得ること、および手順が自動的に達成され得ることである。このシステムは、適切な量の抗凝固剤を血液に添加して、血液貯蔵容器中での凝固を防止し得、そして赤血球添加溶液が、必要に応じて使用され得る。
【0074】
クエン酸塩の抗凝固剤は、アフェレーシス手順の間に、患者においていくらかのクエン酸塩反応を引き起こし得る。クエン酸塩反応は、通常、カルシウム含有溶液の注入によって制御される。本発明の自動システムを使用して、収集された血液生成物が患者に輸液によって戻される場合に、最小量の抗凝固剤が、収集された血液に存在し、これは、輸液の場合に、クエン酸塩の輸液に起因して引き起こされる合併症が、手動の方法と比較してより少ないはずである。
【0075】
除去される流体の容量を減少させることによって、血液が投与されるまでの時間が延長され得る。より重要なことには、この自動システムおよび手順は、自己由来でない血液の必要性を、低下または排除し得る。自己由来でない血液に対する必要性を排除または低下させることによって、患者は、自己由来でない相同性の血液への曝露が制限され得る。このことは、貯蔵された血液(貯蔵の間のサイトカインの生成)の輸液に起因する輸液後免疫抑制または炎症応答の可能性を低下させ得る。
【0076】
本発明の自動システムは、血漿(および血小板)が患者に戻されることを可能にする。血漿(および血小板)を戻すことによって、患者は、通常の止血をより容易に維持し得る。(標準的な手動血液希釈手順において、激しい希釈は、寒冷沈降した凝固タンパク質(寒冷沈降物)または新鮮な凍結血漿(FFP)の注入を必要とし得る、止血の問題を引き起こし得る。このことはまた、手動の手順の間に起こる。なぜなら、全血が除去されるからであり、これは、血小板および血漿ならびにRBCを除去する)。
【0077】
図9は、本発明の自動システムの別の適用を示す。具体的には、図9は、所望でない成分の血漿からの除去を生じる手順を示す。より具体的には、図9に示す流体回路および流れシステムは、患者の血漿からの脂質の除去のために使用され得る。
【0078】
図9に示すように、全血は、静脈穿刺を介して患者100から引き抜かれ、そしてライン74を通してカセット70内へと流され、そして先に記載したように、抗凝固剤と混合される。抗凝固処理された全血は、選択された重量が達成されるまで、容器58に収集され得る。一旦、所望の量の全血が収集されると、制御装置11の制御下で、このシステムは、この全血を分離器(これは、分離チャンバ68を備えるか、またはこのチャンバに他の様式で協働可能に付随している)に導入し、ここで、この全血は、赤血球および血漿に分離される。次いで、この分離された赤血球は、患者にすぐに戻され得るか、または後に戻されるために、容器60に一時的に貯蔵され得る。
【0079】
次いで、分離された血漿は、さらに処理されて、脂質(または他の任意の所望でない化合物)を除去され得る。1つの実施形態において、血漿は、容器64に収容される溶媒と混合され得る。この溶媒は、血漿から脂質を抽出し得る。このような溶媒は、米国特許第4,895,558号、同第5,744,558号、および同第5,911,698号に記載されており、これらの米国特許は、本明細書中に参考として援用される。溶媒の例は、DIPE(ジイソプロピルエーテル)である。もちろん、血漿から脂質を抽出し得、そして当業者に公知である他の溶媒もまた、同様に使用され得る。
【0080】
血漿および溶媒は、例えば、容器62または内側の分離器68において、混合され得る。分離器の外側で混合される場合には、血漿および溶媒は、分離器に再導入されて、血漿を脂質含有溶媒からさらに分離し得る。好ましい実施形態において、この分離器は、図2〜3および/または図13〜16に示すような型の遠心分離器である。遠心分離作用は、2相の溶液(溶媒および抽出された脂質を含む上の有機相、ならびに下の脂質除去された血漿相)への分離を生じる。次いで、制御装置の制御下で、この脂質含有溶媒は、別の廃液容器にポンピングされ得る。脂質除去された血漿は、患者に戻され得る。
【0081】
血漿から脂質を除去する際に有用であり得る溶媒のいくつかは、(特定の濃度において)患者に対して有害であり得るので、血漿からあらゆる残留溶媒をパージするかまたは他の様式で除去する工程を包含するさらなるプロセス工程が、好ましくあり得る。従って、有機相の除去後、この血漿は、容器69からのさらなる洗浄溶液で処理され得る。洗浄溶液中での処理は、別のチャンバ内で行われ得、その後、この血漿が患者に戻される。
【0082】
あるいは、図9に示すように、システム10は、クレンジングおよび/または洗浄工程のための、第2の分離器(分離器2)を備え得る。上記のように、分離器2は、分離器1と同じ分離原理(例えば、遠心分離)を使用し得るか、またはより好ましくは、異なる分離原理を使用し得る。1つの実施形態において、分離器2は、溶媒に対する親和性を有する被覆ビーズを充填されたカラムであり得る。従って、血漿は、分離器1から除去され得、そしてカラム分離器2に(直接的にかまたはカセット70を介してかのいずれかで)導入されて、あらゆる残留溶媒を除去され得る。次いで、分離器2を通過した血漿は、患者に戻すために適切であり得る。別の代替において、分離器2は、フィルタ媒体であり得る。このシステムは、光学検出器83を備え得、この検出器は、戻される血漿中の脂質を検出し得る。このような検出器は、米国特許第5,958,250号(本明細書中に参考として援用される)に記載されている。
【0083】
本発明の自動システムのなお別の実施形態において、血漿からの所望でない化合物の除去は、溶媒に基づくシステムに頼ることなく達成され得る。実際に、分離器において分離された血漿は、血漿から脂質を除去するための別の物質で処理され得るか、またはこの物質と接触され得る。例えば、1つの実施形態において、全血から分離された血液成分は、除去されるべき化合物に対する特異的な親和性を有する粒子またはビーズでさらに処理され得る。図10に示すように、容器64は、このビーズまたは粒子を含み得る。好ましい実施形態において、これらのビーズは、軽量の、単純な、中空(または中実)の、球状構造であり得る。これらのビーズは、親和性物質(例えば、モノクローナル抗体)でコーティングされ得る。これらのビーズは、脂質、鎌状赤血球、免疫グロブリン、第VIII因子または他のタンパク質に対して、特異的な親和性を有し得る。これらのビーズは、好ましくは、血漿の密度より低い密度を有する。あるいは、これらのビーズは、米国特許第5,916,743号および同第5,641,622号(これらは、本明細書中に参考として援用される)に記載される型のものであり得る。
【0084】
いずれにしても、図10に示すように、全血は、ライン74を通してドナー(または患者)から引き抜かれ、そして先に記載したように、抗凝固剤と混合される。抗凝固処理された全血は、収集され、そして容器58において一時的に貯蔵される。予め決定された量の全血が収集された場合に、制御装置の制御下で、全血は、分離器に導入され、ここで、細胞成分および血漿成分に分離される。この細胞成分は、この分離器から除去され、そして例えば、容器60に収集される。この血漿成分は、容器60内でか、またはビーズと除去されるべき化合物との間のより大きな接触を確実にするために、分離器内で、ビーズと混合され得る。制御装置は、ビーズを、容器62または分離器のいずれかにポンピングする。次いで、結合した粒子は、容器62に収集され、そして血漿がドナーに戻される。あるいは、別の実施形態において、血漿は、脂質に対して特異的な親和性を有するモノクローナル抗体が表面に付着したフィルタまたは他の型の媒体を通過し得る。このフィルタ媒体は、平坦なシートまたは上記の型の充填されたカラムであり得る。さらに、分離媒体(例えば、分離器80)は、血漿から、脂質および他の化合物(例えば、IgG、IgM、第VIII因子などのような)を、(親和性分離によって)抽出または除去するために使用され得る。
【0085】
本発明の自動システムの別の適用は、赤血球、白血球または血小板のような、血球の処理においてである。1つの特定の実施形態において、この自動システムは、酵素を使用して赤血球を処理し、例えば、A型、B型、またはAB型の赤血球を、O型の赤血球に転換するために、使用され得る。従って、図10に示すように、全血は、患者100から引き抜かれ、上記の様式で抗凝固処理され、そして分離器68において分離されて、赤血球成分および血漿成分を提供する。この血漿成分は、容器60に収集され得るか、またはドナーにすぐに戻され得る。この赤血球成分は、容器60に一時的に収集され得る。制御装置11の制御下で、この赤血球成分は、赤血球転換に適した特定の酵素を含む溶液(容器64に貯蔵される)と混合され得る。このような酵素の例は、米国特許第6,175,420号および同第5,671,135号(これらは、本明細書中に参考として援用される)に含まれる。次いで、処理された赤血球成分は、容器62に収集され、そして貯蔵され得る。さらに、O型の血球が長期間(例えば、42日間まで)貯蔵されるべきである場合には、上記の型の保存溶液が、この赤血球に添加され得る。別の処理型の適用において、赤血球、血小板または血漿さえもが、これらの成分に存在する病原体を根絶または不活化するために、処理され得る。
【0086】
本発明の自動システムの別の適用は、外科手順の間の血液の回収であり得る。例えば、図11に示すように、全血は、手術中の患者100の体腔から収集され得る。この実施形態において、流体回路は、静脈穿刺針ではなく、吸引デバイス120を備える。吸引デバイス120は、例えば、米国特許第5,976,388号(これは、本明細書中に参考として援用される)に示される型のものであり得る。吸引デバイス120によって取り出された血液は、分離器に導入され、ここで、この血液は、赤血球成分および上清に分離される。次いで、この赤血球生成物が、患者に戻され得る。
【0087】
図12を簡単に参照すると、分離された血漿を処理するための代替の自動システムが示されている。このシステムは、第1の分離器および第2の分離器を備える。図12Aに示すように、第2の分離器は、上記化合物を血漿から除去するために使用され得る分離カラム80である。このような分離のために使用され得るカラムは、米国特許第5,733,254号および同第5,782,792号(これらは、本明細書中に参考として援用される)に一般的に開示されている。
【0088】
図12に示すように、全血からの血漿の分離は、一般的に上に記載されるように、すなわち、分離器において進行する。この分離された血漿は、カラム80に導入され得る。血漿は、ライン81を介してカラム80に直接導入され得るか、またはカセット70のポンプおよび弁によって(制御装置の指示のもとで)カラム80に運ばれ得ることが、注目されるべきである。同様に、カラム80を通過した血漿は、カセット70を介して戻され得るか、ドナーに直接戻すためにライン74に直接導入され得るか、または容器62に導入されて、ここから(カセット70を介して)ドナーにポンピングによって戻され得る。容器60内の赤血球は、血漿のプロセスの間に、ドナーに戻され得る。
【0089】
カラム80は、流体回路50の一部として提供され得る。1つの実施形態において、再使用可能な構成要素12は、図12Aに一般的に示すように、カラム80を保持するためのクリップ13および15を備え得る。
【0090】
図13〜16は、本発明の自動システムおよび手順において使用され得る、別の再使用可能なハードウェアデバイスおよび流体回路の、代替の実施形態を示す。図13〜16に示される実施形態は、遠心機アセンブリ200、およびこの遠心機アセンブリに付随して使用するための流体プロセス回路50を備える。この遠心機アセンブリは、長期間の使用が可能な再使用可能なハードウェアデバイスを備える。使い捨ての流体回路(上記の流体回路のような)は、単回使用の使い捨て物品であることが意図される。
【0091】
上記の使い捨て流体回路と同様に、図13〜16に示す流体回路は、図16に示すプロセスチャンバを備え、これは、再使用可能なデバイスの分離器に装填されて、血液成分を遠心分離によって分離し得る。この分離器は、全血を、赤血球成分、血漿成分、白血球成分、幹細胞成分または血小板成分に分離し得る。この使い捨て流体回路はまた、可撓性管状材料のアレイを備えて、液体を、プロセスチャンバ(以下により詳細に記載される)へおよびプロセスチャンバから運ぶ。
【0092】
流体回路50は、一般的に上記の型の、1つ以上のカセット222A、BおよびCを備える。図14〜15に示すカセットは、相互接続可能な流れセグメントおよび弁操作ステーションを備える。他の実施形態に関連して上に記載したカセット70とは対照的に、この実施形態のカセットは、内部ポンピングステーションを備えない。その代わりに、この実施形態のカセットは、外部管状材料ループ223を備え、これは、蠕動ポンプ回転子250と係合し、この回転子は、この管状材料および流体回路を通る流体の移動を生じさせる。自動システムのこの実施形態の詳細は、米国特許第5,868,696号(これは、本明細書中に参考として援用される)に記載されている。
【0093】
図16に示すように、図13〜16の実施形態において、流体回路50は、「2段階」分離チャンバ68を備える。従って、第1の副チャンバ226は、第1の分離工程を実施するために使用され得、そして第2の副チャンバ224は、第2の分離工程を実施するために使用され得る。例えば、血漿または赤血球のような血液成分が処理剤または上記のもので処理されるべきである場合、血漿は、第1の「副チャンバ」226において赤血球から分離され得、そして処理が、第2の「副チャンバ」224において実施され得る。処理剤は、第2の副チャンバに直接導入され得るか、または他の位置(例えば、容器の1つ)で成分と混合され得る。
【0094】
第2の副チャンバはまた、所望でない溶媒、化合物、処理剤を、分離した成分から除去するために使用され得る。大部分の他の局面において、上記血液および流体プロセス手順は、図13〜16に記載され、そして示される自動システムに適用可能である。もちろん、チャンバ68は、単一のチャンバのみを有し得る。
【0095】
より具体的には、図14に示す使い捨て回路50は、単一針の血小板収集に適合される。回路50は、分離チャンバ34および収集チャンバ36を有するプロセスチャンバ68を備える。プロセスチャンバ68のポートは、多管腔臍240と連絡しており、これが次に、ドナー針14および容器220a〜gと(直接的にかまたはカセット222A〜Cを介してのいずれかで)連絡している。
【0096】
代表的なアフェレーシス手順において、プロセス回路50は、容器220aから引き抜かれる生理食塩水によって、最初にプライムされる。引抜きサイクルの間に、ドナーの血液は、容器220eからの抗凝固剤と混合される。一部が受容容器220bに貯蔵され、そして残りのものが、臍240を通して分離チャンバ68に運ばれ、ここで、赤血球および血小板リッチ血漿に分離される。この赤血球は、臍240を通して赤血球貯蔵容器220dに運ばれる。この血小板リッチ血漿は、臍240を通してカセット222Cに運ばれ、次いで、臍240を逆に通して収集チャンバ68へと戻され、ここで、この血小板は、引き続くプロセスのために、高g(hi−g)壁に沈降される。血小板に乏しい血漿は、臍240を通して血漿受容容器220cに運ばれる。戻しサイクルの間に、容器220cからの血漿および容器220dからの赤血球がドナーに戻され、一方で容器220bに受容された白血球は、プロセスされる。供与が完了した後に、プロセスチャンバ68は、遠心機から取り外され、血小板が再懸濁され、そして十分な血漿と共に血小板貯蔵容器220fおよび220gに運ばれて、5日間までの十分な貯蔵を提供する。
【0097】
本発明によれば、多くの異なるさらなる手順が、図13〜16に示すシステムを用いて、使い捨て回路50の相互接続部を再配置し、そして異なる容器220a〜gおよびプロセスチャンバ68を提供することによって、実施され得る。1つのこのような再配置は、単核細胞の収集を提供し、そしてこれは、米国特許第5,980,760号(これは、本明細書中に参考として援用される)に記載されている。使い捨て回路50の機能および特徴を再配置するための融通性は、大部分において、カセット222A〜Cの用途の広さによって提供される。いくつかのこのような異なる手順を、以下に記載する。
【0098】
例えば、図13〜16のシステムが血液希釈のために使用される場合には、いくらかの赤血球は、引き続く輸液のために貯蔵され、交換溶液が提供され、そして補充用の酸素キャリアもまた供給され得る。米国特許第5,980,760号の単核細胞手順においてと同様に、単一の分離チャンバのみが必要である。従って、このシステムは、単一のチャンバを供給され得るか、または二重チャンバの実施形態が使用され得るが、副チャンバ226のみを利用する。
【0099】
この回路は、再度、容器220aから引き抜かれた生理食塩水でプライムされる。引抜きサイクルの間に、血液が再度、容器220eからの抗凝固剤と混合され、一部が容器220bに貯蔵され、そして残りが分離チャンバ68に供給される。分離されたパックされた赤血球は、再度、容器220dに貯蔵され、分離された血漿は、容器220cに貯蔵される。戻しの間に、容器220bからの分離された血液は、分離チャンバ68に運ばれ、分離された赤血球が収集され、一方で同時に分離された血漿が、容器220c中の先に分離された血漿と共に、生理食塩水容器220aからの交換溶液とともに、患者に戻される。容器220fおよび220gの補充用の酸素キャリアもまた、戻しサイクルの間に、収集された赤血球の量に基づいて予め決定された量で、患者に投与され得る。さらなる管状材料部分が、生理食塩水容器220aとカセット222Aの未使用ポートとの間に提供されて、戻しサイクルの間に、生理食塩水投与の計量された制御を容易にし得る。
【0100】
細胞回収手順の間に、患者の血管外(「流血した」)血液が、手術場から引き抜かれ、洗浄され、そして患者に戻される。使い捨て回路50は、再度、細胞回収を達成するために、再配置され得る。再配置された回路50は、再度、容器220aからの生理食塩水でプライムされる。針14は、吸引棒(図示しない、公知の構成のもの)によって交換され、そして血管外または流血した血液は、容器220eからの抗凝固剤と混合され、そして十分な量が得られるまで、血液受容器220bに貯蔵される。プロセスの際に、貯蔵された血液は、容器220aからの生理食塩水と混合され、分離チャンバ68に運ばれ、そして今や洗浄された、パックされた赤血球、ならびに血漿および洗浄生理食塩水を含む上清流体に分離される。このパックされた赤血球は、必要なまで容器220dに貯蔵され、一方で上清流体は、廃液容器220cに収集される。
【0101】
投与セットが、容器220dに貯蔵されたパックされた細胞を、公知の重力の手段によって患者に戻すために提供され得るか、または別の戻りライン(図示せず)が、洗浄された赤血球が患者に直接ポンピングされ得るように、提供され得る。あるいは、血管外または流血した血液が、独立型の減圧キャニスター(図示しないが、公知の構成のもの)に引き込まれ得、そしてプロセスが所望である場合に、針14を通して引き抜かれ得る。上記の血液希釈適用と同様に、さらなる管状材料セグメントが、生理食塩水容器220aとカセット222Aとの間に供給されて、洗浄プロセスの間に、生理食塩水の計量された制御を提供し得る。
【0102】
脂質除去の間に、脂質は、患者の血液から除去される。回路50は、再度、このような除去を生じるために再配置され得る。この回路は、再度、容器220aからの生理食塩水でプライムされ得る。引抜きサイクルの間、血液は再度、容器220eからの抗凝固剤と混合され、一部が容器220bに貯蔵され、そして残りが、分離チャンバ68に供給される。分離されたパックされた赤血球が、再度、容器220dに貯蔵される。分離された血漿が、容器220fおよび220gに保持された溶媒と混合され、そして二次的な分離ステージ224に運ばれ、一方で脂質が減少した血漿が生成され、そして血漿容器220cに運ばれる。溶媒で凝集された脂質が、二次的な分離チャンバ221において分離され得るか、あるいはさらなる管腔が臍240に提供され得、その結果、脂質が連続的に、カセット222Cの未使用ポートに接続された廃液容器(図示せず)にポンピングされ得る。あるいは、親和性に基づく物質が、溶媒の代わりに使用されて、上記のような脂質の除去に影響を与え得る。
【0103】
先に議論したように、A型、B型、またはAB型の抗原を有する赤血球は、特定の酵素的処理によって、O型赤血球に転換され得る。使い捨て回路50は、再度、このような処理を行うために再配置され得る。この回路は、再度、容器220aから引き抜かれる生理食塩水でプライムされ得るか、または必要であれば、血液でプライムされ得る。引抜きサイクルの間、血液は再度、容器220eからの抗凝固剤と混合され、一部は容器220bに貯蔵され、そして残りは分離チャンバ68に供給される。分離されたパックされた赤血球が、再度、容器220dに貯蔵され、そして分離された血漿が、容器220cに貯蔵される。血漿が、戻りサイクルの間に戻される。次いで、赤血球が、後のプロセス工程において、酵素的変換を受ける。パックされた赤血球が、容器220dから容器220bへと移動され、そして容器220fおよび220gからの酵素と混合される。次いで、処理された赤血球が、容器220aからの生理食塩水と混合され、そして分離チャンバ68へと運ばれる。洗浄され、そして処理された赤血球が、再度、容器220dに貯蔵され、一方で分離された上清が、引き続く処分のために、現在は未使用の血漿容器220cに運ばれる。赤血球を容器220dから容器220bへと移動させ、容器220aからの生理食塩水と混合させ、分離チャンバ68において洗浄されたパックされた細胞および上清溶液に分離するプロセスは、所望なだけ多くの回数繰り返され得る。
【0104】
あるいは、通常の血小板収集手順が、使い捨て回路50を使用して、収集された血小板を容器220fおよび220gに上記のように貯蔵して、実施され得る。同時に生じる赤血球生成物が、容器220dに収集され、そして貯蔵され得る。酵素を保持する新たな容器が提供され、そしてカセット222Cの未使用ポートに接続され、その結果、収集された赤血球は、上で議論したように、O型に転換され得る。上記の血液希釈適用と同様に、さらなる管状材料セグメントが、生理食塩水容器220aとカセット222Aとの間に提供されて、洗浄プロセスの間、生理食塩水の計量された制御を提供し得る。
【0105】
上で議論した多くの手順は、図13の単一針の使い捨て回路50に基づいたが、2針の回路もまた、所望の手順を同様に達成するように改変され得ることが、当業者によって理解されるべきである。
【0106】
本発明の種々の特徴は、添付の特許請求の範囲に記載される。
【図面の簡単な説明】
【0107】
【図1】図1は、本発明の再使用可能なハードウェア構成要素またはモジュール、およびこれと共に使用するための利用可能な使い捨て流体回路のいくつかを示す図である。
【図2】図2は、本発明と共に使用され得る自動システムの斜視図であり、再使用可能な構成要素および使い捨て流体回路を備える。
【図2A】図2Aは、本発明の自動システムにおいて使用され得る、図2の流体回路の分離チャンバの拡大斜視図である。
【図3】図3は、再使用可能なデバイスに設置された使い捨て流体回路を備える、本発明と共に使用され得る自動システムの斜視図である。
【図4】図4は、図2の流体回路のカセットの前側の平面図である。
【図5】図5は、図4に示すカセットの後側の平面図である。
【図6】図6は、本発明の自動システムの操作において実行される工程を示す流れ図である。
【図7】図7は、本発明を使用するシステムおよび手順のための流体回路を示す。
【図8】図8は、本発明を使用する自動血液希釈のシステムおよび手順のための流体回路を示す。
【図9】図9は、本発明を使用する自動血漿処理のシステムおよび手順のための流体回路を示す。
【図10】図10は、本発明を使用する自動細胞処理のシステムおよび手順のための流体回路を示す。
【図11】図11は、本発明の細胞回収手順を使用する、自動細胞回収のシステムおよび手順のための流体回路を示す。
【図12】図12は、本発明を使用する代替の自動血漿処理のシステムおよび手順のための流体回路を示す。
【図12A】図12Aは、使い捨て流体回路が、再使用可能な構成要素に設置された分離カラムを備える、本発明と共に使用され得る自動システムの斜視図である。
【図13】図13は、本発明と共に使用され得る代替の自動システムの、再使用可能な構成要素の斜視図である。
【図14】図14は、図13の再使用可能なデバイスと共に使用するための流体回路の斜視図である。
【図15】図15は、再使用可能な構成要素に設置された、図14に示す流体回路の斜視図である。
【図16】図16は、図14の流体回路の分離チャンバの拡大斜視図である。
【符号の説明】
【0108】
56、58、60、62、66 容器
64 処理流体容器
70 カセット
74、75 ライン
84 戻りライン
100 ドナー
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に、血液、血液成分、およびプロセスに含まれる他の流体をプロセスするための、非常に用途が広い、自動化されたシステムに関する。より具体的には、本発明は、血液を2以上の血液成分に分離し得(「アフェレーシス」)、次いでこの分離された成分の1つ以上が関与するさらなる手順を実施し得る、自動システムに関する。
【背景技術】
【0002】
用語「アフェレーシス」とは、患者またはドナーから全血を取り出し、そしてこの血液を2以上の成分に分離することを意味する。分離された成分は、健常なドナーから収集され得、そして後に、この成分を必要とする患者に輸液され得る。アフェレーシスはまた、疾患したかまたは他の様式で所望でない成分を患者から除去することによって、疾病を処置するための治療適用において使用される。
【0003】
基本的なアフェレーシス手順において、血液は、ドナーの静脈に挿入された針を通して、ドナーから引き抜かれる。この針は、血液のための流路を提供するプラスチック管の一端に取り付けられる。この管の他端は、血液を収集するための容器で終結する。次いで、収集された血液は、遠心機のような分離器において、その成分に分離される。所望の血液成分(これは、手順に依存して、赤血球、血小板、血漿、白血球または幹細胞であり得る)が収集され得、そしてこの血液成分を必要とする患者への後の輸液のために、貯蔵され得る。
【0004】
より最近は、「自動」アフェレーシスシステムが、広範に使用されるようになっている。これらの自動システムは、使い捨ての予め滅菌された流体回路(すなわち、管状材料)を利用し、この回路を通って、血液が流れる。これらの流体回路は、再使用可能なハードウェアデバイスまたはモジュールに設置され、このデバイスまたはモジュールは、ポンプ、弁、センサなどを有する。これらの自動システムは、さらに、内部コンピュータおよび付随するソフトウェアプログラム(制御装置)を備え、これらが多くのプロセス機能を制御する。
【0005】
例えば、自動システムにおいて、血液は流体回路を通って流れ、弁およびポンプの作動は、システムによってモニタリングおよび調節され得る。自動システムは、患者またはドナーのデータ(例えば、身長、体重、性別、ヘマトクリット)に基づいて、特定の機能を開始させるか、終了させるか、または他の様式で制御するように、プログラムされ得る。同様に、自動システムは、センサの補助によって、特定の機能をモニタリングし得る。このセンサは、例えば、収集されたかまたは引き抜かれた成分の量を感知し得る。光学センサが、流体の清澄性または内容物を測定するために、あるいは特定の成分の存在または非存在を感知するために、使用される。
【0006】
自動アフェレーシスシステムは、いくつかの異なる製造業者から入手可能である。市販されているアフェレーシスシステムの例としては、Baxter Healthcare Corporation(Deerfield,Illinois)によって販売されるAutopheresis C(登録商標)Cell SeparatorおよびAmicus(登録商標)Cell Separatorが挙げられる。Autopheresis C(登録商標)は、チャンバおよび回転する膜を備える分離器を利用する。血液が、このチャンバに導入され、そしてこの膜が、この血液を(少なくとも)血漿および赤血球、または他の血漿除去血液に分離する。
【0007】
Amicus(登録商標)Cell Separatorは、遠心分離の原理を利用する。Amicus(登録商標)Separatorにおいて、全血が、二重チャンバまたは単一チャンバの容器に導入され、この容器は、回転可能な遠心機に設置される。全血が、第1のチャンバに導入され、ここで赤血球が、血小板リッチな血漿(PRP)から分離される。このPRPが、第2のチャンバに流入し、ここでこのPRPがさらに、血小板および血小板に乏しい血漿に分離される。Amicus(登録商標)のこの使い捨て流体回路は、内部に流路が規定されて予め形成されたカセットを利用し、このカセットが、Amicus(登録商標)デバイスに設置される。この流路を通る流れは、蠕動ポンプによって補助される。Amicus(登録商標)Separatorについてのより詳細な説明は、特許文献1に提供され、これは、本明細書中に参考として援用される。
【0008】
最近は、より持ち運びが可能な自動アフェレーシスシステムが、Baxter Healthcare Corporationによって開発された。1999年9月3日に出願された、発明の名称「Self−Contained Trasportable Blood Processing Device」の、米国特許出願番号09/390,489(これは、本明細書中に参考として援用される)に記載されるように、この持ち運び可能なアフェレーシスシステムもまた、遠心分離の原理に基づく。これは、再使用可能なハードウェアモジュールおよび使い捨て流体回路を備える。この流体回路は、予め形成された流路、弁操作ステーションおよびポンピングステーションを有する、カセットを備える。
【0009】
Gambro BCT,Haemonetics,Dideco and Freseniusのような、他の製造業者もまた、遠心原理または他の分離原理に基づく自動アフェレーシスシステムを提供する。
【0010】
より効率的な、経済的な、そして使用が容易なアフェレーシスシステムを開発および提供し続ける努力の間に、血液供給のアベイラビリティおよび安全性に関する懸念、ならびに特定の血液成分の役割および血液に関連する疾患に関する増加した理解が、さらなる血液関連手順の開発を導いた。これらのさらなる手順は、しばしば、より安全であるかまたはより生存可能な成分を提供するような、血液成分の処理を含む。これらのさらなる手順のいくつかは、所望でない化合物または他の物質を血液から根絶または除去することを包含し得る。これらのさらなる手順のいくつかは、別の溶液での成分の置換を包含し得る。いずれの場合においても、これらの手順は、しばしば、多くの手動の工程、いくつかの異なる部品の設備または複雑な流体回路を含む。従って、血液をその成分に分離することに加えて、この分離された成分が関与する1以上の他の手順および/またはその処理を実行し得る、自動システムに対する必要性が存在する。
【0011】
従って、単一部品の再使用可能なハードウェア、および装填が容易な、使用が容易な使い捨て部品を使用して、多くの管状材料の接続および複雑な管状材料の経路決定の必要性を排除する、さらなる手順を実施し得る自動システムを提供することが、望ましい。また、選択された分離および他の処理またはプロセスの工程を実施するために、決まった操作者の介入を必要としない、単一のシステムを提供することが望ましい。また、全ての所望の分離およびプロセス工程が、単一の一体化されたシステムにおいて実施され、そして別個のデバイスを使用する「オフライン」処理が必要とされないシステムを提供することが望ましい。また、複数の流体の分離、プロセスおよび/または処理の工程を、流体回路を通る流れの自動制御を介して実施し得るシステムを提供することが、好ましい。
【0012】
血液の自動分離およびプロセスが所望であり得る1つの適用は、手術前の自動献血において、ならびに血液置換物(blood substitute)および/または酸素キャリアのような交換用流体の投与においてである。このプロセスの手動バージョンは、特許文献2(本明細書中に参考として援用される)に記載されている。
【0013】
血液の自動分離およびプロセスが所望され得る別の適用は、患者に対する手術の間の赤血球の回収においてである。細胞回収において、損傷領域または体腔からの、回収されなければ損失される血液(すなわち、血管外の血液または「流血した」血液)が収集され、プロセス(または洗浄)され、そしてこの洗浄された血液が、ドナーに戻される。細胞回収のために使用されるシステムおよび装置の例は、特許文献3に記載され、これは、本明細書中に参考として援用される。
【0014】
血液を分離およびプロセスすることが所望であり得る別の適用は、所望でない物質を、血液または分離された血液成分(例えば、血漿)から除去する場合である。例えば、心臓血管疾患におけるコレステロールおよび低密度脂質(LDL)の役割が、十分に証明されている。患者の血漿からの脂質除去の方法が開発され、そして特許文献4、特許文献5、および特許文献6(これらは、本明細書中に参考として援用される)に開示されている。
【0015】
血液を分離およびプロセスすることが所望であり得るなお別の適用は、血球の処理においてである。特定の適用において、分離された赤血球を、酵素で処理して、例えば、A型、B型およびAB型の血球を、普遍的に受容可能なO型の血球に転換することが、所望であり得る。このような方法の例は、特許文献7および特許文献8(これらは、本明細書中に参考として援用される)に記載されている。
【0016】
【特許文献1】米国特許第5,868,696号明細書
【特許文献2】米国特許第5,865,784号明細書
【特許文献3】米国特許第5,976,388号明細書
【特許文献4】米国特許第4,895,558号明細書
【特許文献5】米国特許第5,744,038号明細書
【特許文献6】米国特許第5,911,698号明細書
【特許文献7】米国特許第6,175,420号明細書
【特許文献8】米国特許第5,671,135号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
以下に記載するように、さらなる処理および/またはプロセスのために、血液をその成分に分離することが望ましくあり得るさらなる適用が存在し得る。
【0018】
従って、全血を引き抜きそしてこの全血を2つ以上の成分に分離する能力を有することに加えて、少なくとも2つ以上のアプリケーションを実行するためにプログラムされ、適合可能であり、そしてその実行が可能である、単一のシステムを提供することが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0019】
(発明の要旨)
1つの局面において、本発明は、患者の血液から選択された化合物を取り出すための自動化システムに関する。ことの自動化システムは、患者から血液を引き抜くための手段を備える、滅菌された、予め組み立てられた、使い捨て流体回路を備える。この流体回路は、さらに、分離チャンバを備え、この分離チャンバは、血液から血液成分を分離するための第1副チャンバ、および血液成分および溶媒の組み合わせを第1の相および第2の相へと分離するための第2の副チャンバを備え、この第1の相は、化合物枯渇血液成分を実質的に含み、この第2の相は、この溶媒およびこの化合物を実質的に含む。
【0020】
この流体回路は、さらに、溶媒を含む容器およびこの溶媒を血液と合わせるための手段を備え、この溶媒は、選択された化合物をこの血液成分から抽出するように適合されている。溶媒除去手段、およびこの化合物枯渇血液成分を患者に戻すための手段が、提供される。
【0021】
この流体回路は、さらに、予め形成された流路セグメントを有する流れ制御カセットを備え、この流路セグメントは、この内部に形成されており、そしてこのセグメント間の連絡を制御するための弁ステーションによって分離されている。
【0022】
この自動化システムはまた、このチャンバを受容し、そして血液の残りの部分から血液成分を分離するための手段を備える、再使用可能なデバイスを備える。この再使用可能なモジュールはまた、予め形成された流路を通る流体の流れを制御するための弁ステーションと協働するための手段を備える。
【0023】
さらなる、より詳細な局面において、この流体回路は、化合物を含む血液成分を(血液から)分離するための第1の分離原理に基づく第1の分離手段、およびこの血液成分と溶媒との組み合わせを第1および第2の相へと分離するための第2の分離原理に基づく第2の分離手段を備え得る。
【0024】
より特定すれば、本願発明は以下の項目に関し得る。
(項目1) 患者の血液から選択された化合物を取り出すための自動化システムであって、以下:
(a)滅菌された、予め組み立てられた、使い捨て流体回路であって、以下:
(i)患者から血液を取り出すための手段、
(ii)血液から血液成分を分離するための第1副チャンバを備える、分離チャンバ、
(iii)化合物枯渇血液成分を提供するために、上記血液成分から選択された化合物を抽出するように適合された溶媒を含む、容器、
(iv)上記血液成分を上記溶媒と合わせるための手段、
(v)上記血液成分と上記溶媒との組み合わせを、第1の相および第2の相へと分離するための第2の副チャンバを有する上記分離チャンバであって、上記第1の相は、上記化合物枯渇血液成分を実質的に含み、上記第2の相は、上記溶媒および上記化合物を実質的に含む、上記分離チャンバ、
(vi)溶媒除去手段、
(vii)予め形成された流路セグメントを内部に有する流れ制御カセットであって、上記流路セグメントは、上記流路セグメント間の連絡を制御するための弁ステーションによって分離されている、流れ制御カセット、および
(viii)上記化合物枯渇血液成分を、上記患者に戻すための手段、
を備える、使い捨て流体回路;ならびに
(b)上記流体回路モジュールを協働可能に受容するよう適合された、再使用可能なモジュールであって、上記再使用可能モジュールは、以下:
上記チャンバに協働可能に付随する、上記血液の残りの部分からの上記血液成分の分離を実施するための手段、および
上記弁ステーションと協働するための手段であって、上記カセットの上記予め形成された流路を通る流体の流れを制御する、手段
を備える、再使用可能モジュール、
を備える、システム。
(項目2) 上記血液が、血漿を含む、項目1に記載のシステム。
(項目3) 上記分離を実施する手段が、回転可能な遠心機を含む、項目1に記載のシステム。
(項目4) 上記流れ制御カセットが、上記流路セグメントを通る流体をポンピングするためのポンプステーションをさらに備える、項目1に記載のシステム。
(項目5) 患者の血液から選択された化合物を取り出すための自動化システムであって、以下:
(a)滅菌された、予め組み立てられた、使い捨て流体回路であって、以下:
(i)患者から血液を取り出すための手段、
(ii)血液から、上記化合物を含む血液成分を分離するための第1の分離原理に基づく、第1の分離手段、
(iii)化合物枯渇血液成分を提供するために、上記血液成分から上記化合物を抽出するように適合された溶媒を含む、容器、
(iv)上記溶媒を上記血液成分と合わせるための手段、
(v)上記血液成分と上記溶媒との組み合わせを、第1の相および第2の相へと分離するための、第2の分離原理に基づく第2の分離手段であって、上記第1の相は、上記化合物枯渇血液成分を実質的に含み、上記第2の相は、上記溶媒および上記化合物を実質的に含む、第2の分離手段、
(vi)溶媒除去手段、
(vii)上記流体回路を通る流れを制御するための流れ制御カセットであって、上記カセットは、予め形成された流路セグメントを内部に有し、上記流路セグメントは、上記流路セグメント間の連絡を制御するための弁ステーションによって分離されている、流れ制御カセット、および
(viii)上記化合物枯渇血液成分を、上記患者に戻すための手段、
を備える、使い捨て流体回路;ならびに
(b)上記流体回路を協働可能に受容するよう適合された、再使用可能なモジュールであって、上記再使用可能モジュールは、以下:
上記弁ステーションと協働するための手段であって、上記カセットの上記予め形成された流路を通る流体の流れを制御する、手段
を備える、再使用可能モジュール、
を備える、システム。
(項目6) 上記再使用可能モジュールが、遠心分離器をさらに備える、項目5に記載のシステム。
(項目7) 上記第1の分離手段が膜を備え、そして上記第2の分離手段が、上記分離器と共同して使用するためのチャンバを備える、項目6に記載のシステム。
(項目8) 上記第1の分離手段が、上記分離器と共同して使用するためのチャンバを備える、項目6に記載のシステム。
(好ましい実施形態の説明)
ここで図面を参照すると、図1は、本発明を使用する、多目的の血液および流体プロセスシステム10を概略的に示す。
【0025】
図1に一般的に示されるように、自動システム10は、再使用可能なハードウェア構成要素またはモジュール12を備える。再使用可能なハードウェア構成要素12は、特に用途が広く、そして種々の使い捨て流体回路と共に使用され得る。従って、例えば、ハードウェア構成要素12は、赤血球収集、血漿収集、血小板収集、白血球収集、幹細胞収集、血液希釈、細胞回収、血漿からの脂質の除去、赤血球の転換、細胞の消耗、赤血球交換、白血球減少(leukoreduction)、他の治療的な血漿の処理、および見られるように、このような手順の組合せのための流体回路と共に使用され得る。
【0026】
本発明を組み込み得る、自動化された多目的の血液および流体プロセスシステムの1つの実施形態を、図2に示す。図2に示すように、自動システム10は、再使用可能なモジュール12、および再使用可能な構成要素12に付随して使用するための使い捨て流体回路50を備える。
【0027】
流体回路50は、管状材料および相互接続された容器(これらは代表的に、滅菌可能なプラスチック材料で作製される)のアレイを備える。流体回路50は、単回使用を意図される(すなわち、使い捨てであり、再使用可能ではない)。図2に示すように、流体回路50は、ドナーまたは患者の静脈に挿入するための、静脈穿刺針54を備える。この針54は、管状材料に取り付けられ、この管状材料は、このドナーまたは患者から引き抜かれる血液のための流路を提供する。針54はまた、いわゆる「単一針手順(single−needle procedure)」において、選択された成分をドナーまたは患者へと戻すために使用され得る。あるいは、回路50は、引抜きと戻しとに別個の針が使用される、当業者に公知の「二重針配置」を使用し得る。
【0028】
図2に示すように、流体回路50は、分離された成分の一時的および/または長期間の貯蔵のため、ならびに手順の間に使用される流体(例えば、抗凝固薬、生理食塩水、およびこの手順のために必要とされる他の任意の処理、または交換用流体)を保持するための、いくつかの容器を備える。容器56、57、58、60、62、64、および66もまた、代表的に、滅菌可能なプラスチック材料で作製される。
【0029】
流体回路50は、さらに、分離チャンバ68を備える。分離チャンバ68は、再使用可能なデバイス12の分離器への設置が意図される。図2に一般的に、そして図2Aにより詳細に示すように、1つの実施形態において、分離チャンバ68は、剛性の生体適合性のプラスチック材料(例えば、非可塑化の医療等級のアクリロニトリル−ブタジエン−スチレン(ABS))から射出成形によって予め形成され得る。
【0030】
図2Aにさらに示すように、分離チャンバ68は、中央ハブ120を有する基部388を備える。ハブ120は、内側および外側の環状壁122および124によって放射状に囲まれており、これらの壁は、周囲の血液分離チャネル126を形成する。あるいは、チャンバ68は、第1および第2の副チャンバを備え得る。チャネル126の底部は、成形された環状壁によって閉じられる。チャネル126の頂部は、別個に成形された平坦な蓋(図示せず)によって閉じられ、この蓋は、溶接または他の固定手段によって、チャンバ68の頂部に固定され得る。
【0031】
チャンバ68はまた、ハブ120から延びてチャネル126と連絡する通路142、144および146を備える。プロセスの間、血液が、基部388の下側において、通路146に、取付けられた多管腔管または臍(umbilicus)69(図2に示すように)を通して導入される。血液はチャネル126に入り、ここで、この血液は、より重い成分とより軽い成分とに分離される。より重い成分は、このチャネルの外側の周囲を占め、一方でより軽い成分は、チャネルの内側を占める。分離された成分は、通路142および144を通して引き抜かれる。チャンバ68を使用する血液の導入および分離は、米国特許出願番号09/390,489(先に参考として援用された)により詳細に記載されている。
【0032】
流体回路50は、さらに、カセット70を備え、このカセットは、多数の弁操作ステーションおよびポンプステーションと流体連絡し、そしてこれらに付随する、流路セグメントのネットワークを提供する。カセット70は、所定の血液プロセス手順のために必要とされる全てのポンピング機能および弁操作機能のために、中心合わせされた、プログラム可能な統合プラットフォームを提供する。カセット70のより詳細な図を、図4および5に提供する。カセット70は、以下に記載する再使用可能なモジュール12の、蠕動駆動式のポンプおよび弁ステーション30と相互作用する。
【0033】
図4および5に示すように、カセット70は、前側と後側との両方に形成された、内部空洞のアレイを有する。これらの内部空洞は、弁ステーションおよび流路を形成する。ポンプステーションPP1〜PP4は、カセット70の前側に空けられたウェルとして形成される。弁V1〜V23は、カセット70の前側に空けられたウェルとして、同様に形成される。液体流路F1〜F38が、液体路F15、F23、およびF24(これらは、カセット70の前側に空けられた細長チャネルとして形成される)を除いて、カセット70の後側に空けられた細長チャネルとして形成される。予め成形されたポートP1〜P13が、カセット70の2つの側縁部に沿って外向きに延びる。図3に示すように、カセット70は、以下に記載するポンプおよび弁ステーション30における使用のために、垂直に設置される。この配向において、ポートP8〜P13は下に向き、そしてポートP1〜P7は、1つの上に他のものが垂直に重なって、内側に向く。
【0034】
カセット70は、好ましくは、剛性の、医療等級のプラスチック材料で作製される。可撓性の隔膜が、カセット70の前側と後側との両方の上に重ねられる。これらの隔膜は、好ましくは、医療等級のプラスチックの可撓性のシートで作製される。これらの隔膜は、これらの周囲で、カセット70の前側および後側の周囲縁部に密着される。これらの隔膜の内側の領域もまた、カセット本体の内側の領域に密着され得る。
【0035】
ポンプおよび弁ステーションの作動は、負および正の空気圧を提供する空気圧源によって、制御される。図2に一般的に示されるように、そして米国特許出願番号09/390,489により詳細に記載されるように、制御装置11の制御下で、空気圧源は、異なる加圧レベルおよび減圧レベルを、ポンプおよび弁ステーションに選択的に分配する。これらの加圧および減圧のレベルは、血液およびプロセス流体の経路を決定するように、カセット70に系統的に付与される。カセット、ポンプおよび弁ステーション30、ならびにこのカセットを通しての血液およびプロセス流体の移送の詳細は、米国特許出願番号09/390,489(先に参照として援用された)に記載および説明されている。
【0036】
ここで、再使用可能なハードウェア構成要素またはモジュールを参照すると、再使用可能な構成要素12は、血液成分の分離を実施するための(少なくとも1つの)手段または「分離器」20を備える。1つの実施形態において、分離器20は、流体回路のチャンバ68に作動可能に付随している。より具体的な実施形態において、分離器20は、流体回路の分離チャンバ(上記)を受容し、そして全血または血液画分の2つ以上の成分への分離を実施するよう適合されている。好ましい実施形態において、分離器20は、回転可能な遠心機であり得る。しかし、分離器20が、遠心分離の原理を利用する分離器に限定されないことが、理解される。従って、分離器20は、異なる分離原理(例えば、米国特許第5,194,145号に記載されるようなスピン膜を受容するための、例えば磁性ドライブ)を使用し得る。別の実施形態において、分離器20はまた、その独自の一体的なチャンバまたは通路を備える、分離カラムであり得る。分離器20はまた、フィルタであり得る。好ましい実施形態において、分離器20が遠心機である場合には、この遠心機のスピン作用が、(分離チャンバ68内の)血液成分を密度によって分離する。例えば、この遠心機のスピン作用は、全血を、より高密度の赤血球成分と、より低密度の血漿成分とに分離し得る。
【0037】
再使用可能な構成要素12はまた、内部コンピュータまたは制御装置11を収容する。プログラム可能な制御装置は、いくつかの異なる血液および流体のプロセス手順を実施するための予めプログラムされた指示を含み、操作者が所望の特定の手順(単数または複数)をメニューから選択することを可能にする。この制御装置はまた、流体のポンプを選択的に作動させ、そして上記流体回路の弁を開閉する、予めプログラムされた指示を含む。この制御装置はまた、ドナー/患者の情報の格納、後のダウンロードまたはコンパイルのための情報および他のデータの処理または収集のための、格納能力を備え得る。
【0038】
図2にさらに示すように、再使用可能なデバイス12は、手順の状態を表示するためのフラットスクリーンディスプレイ24、および操作者がシステムとインターフェースすることを可能にするタッチパネルスクリーンのような、制御パネルを備える。データ出力能力もまた、所望であれば、他のコンピュータまたはネットワークとの通信のための、標準的なパラレルポートまたはシリアルポートあるいは他のネットワーク接続能力を備え得る。
【0039】
デバイス12はさらに、ポンプおよび弁ステーション30を備える。上に示したように、ポンプおよび弁ステーション30は、対応する構造のカセット70と嵌合するよう設計される。ポンプおよび弁ステーション30は、4つのポンプアクチュエータPA1〜PA4、および23個の弁アクチュエータVA1〜VA23を備える。ポンプおよび弁のアクチュエータは、カセット70のポンプステーションPP1〜PP4および弁ステーションV1〜V23の鏡像を形成するよう配向される。操作の間に、ポンプおよび弁ステーション30(ならびにより具体的には、ポンプおよび弁のアクチュエータ(PA(N)およびVA(N))は、正圧および負圧を、カセット70ならびに対応するポンプおよび弁ステーションに付与して、液体流をそこに規定される流路セグメントに通して指向する。ポンプおよび弁ステーション30へのアクセスは、ドナー34を介して得られる。
【0040】
再使用可能なデバイス12の上記部品の全て(例えば、分離器20、制御装置11、ポンプおよび弁ステーション30、ならびにディスプレイスクリーン24)は、持ち運び可能なハウジングまたはケース38の内部に設置される。ケース38は、卓上または他の平滑かつ平坦な表面上でのセットアップおよび操作に適切である。ケース38は、基部39および開閉する蝶番式の蓋40を備える。蓋40は、この蓋を解放可能にロックするための切欠き42を含む。蓋40はさらに、ケース38を収集部位、病院などに容易に運ぶために操作者が把持し得る、ハンドル44を備える。ケース38は、成形によって、そして好ましくは、軽量の耐久性のあるプラスチック材料で作製される。
【0041】
容器を把持位置で支持するために、蓋40は、生理食塩水、抗凝固剤または他の処理もしくはプロセス流体の容器を吊下するための、フック(図示せず)を備える。同様に、引込み可能なハンガー45が、1つ以上の収集容器(この中に、全血および/または分離された血液成分が(少なくとも一時的に)貯蔵される)を支持するために提供される。ハンガー45およびフックは、好ましくは、蓋40内の秤り47に設置されて、収集された全血または血液成分の量の自動測定を可能にする。
【0042】
傾いた容器支持表面48は、使い捨て回路50に付随する容器を支持するためのさらなる領域を、ケース内に提供する。支持表面48の1つ以上の領域は、所望であれば加熱されて、ドナーまたは患者への注入の前に、容器の溶液を加温し得る。
【0043】
上記のように、制御装置11は、マイクロプロセッサおよび予めプログラムされたソフトウェアを備える。操作者によるいくらかのインターフェースおよび関与が必要とされるが、自動システム10の多くの機能が、制御装置11によって自動的に制御される。
【0044】
例えば、図6に示すように、操作者が再使用可能なデバイス12への電源をオンにした後に、このシステムは自動的に、システムチェック手順を受けて、デバイス12の全ての電気的構成要素および機械的構成要素が適切に、そして予め設定されたパラメータの範囲内で機能することを確認する。システムチェックの間に、制御装置が問題を検出する場合には、このシステムは、介入する操作者を刺激する可聴警告を発生させ得る。このシステムがシステムチェックを首尾よく完了する場合には、このシステムは、操作者に、所望の手順を選択するように促し得る。
【0045】
図6に示すように、この自動システムは、操作者が種々の手順から選択することを可能にする。例えば、操作者は、赤血球収集(アフェレーシス)手順、血漿収集手順、血小板収集手順、白血球収集手順、幹細胞収集手順を選択し得る。
【0046】
さらに、操作者は、1つ以上の他のさらなる手順から選択し得る。従って、操作者は、全血を2つ以上の成分に分ける第1の手順を選択し得、そしてまた、このシステムに、この分離された成分が関与する別のさらなる処理または他のプロセス手順を実行するよう指示し得る。あるいは、操作者は、さらなる手順(これは既に、上記アフェレーシス手順の局面をさらなる「下流」血液プロセスおよび/または処理プロトコルに組み合わせている)の1つを直接選択し得る。
【0047】
図6に示すように、これらのさらなる手順は、血液希釈、血漿処理(例えば、脂質除去、細胞の転換、細胞の回収および他の手順(治療的な血漿処理、モノクローナル抗体、磁性ビーズ、常磁性ビーズ、および他のビーズを使用する血漿からの特定の化合物の除去が挙げられるが、これらに限定されない))のための手順を含む。分離された成分が関与するさらなる補助的な手順もまた実施され得る。
【0048】
いずれにしても、一旦、操作者が所望の手順を選択すると、制御装置11の制御下で、このシステムは、操作者に、適切な流体回路を装填することを促す。図1に戻って参照すると、再使用可能なデバイス12は、種々の使い捨て流体回路のいずれか1つを受容するよう適合されている。列挙された手順の各々は、それ自体の独自の使い捨て流体回路を必要とし得るか、またはより好ましくは、使い捨て流体回路は、2つ以上の手順に適切である。
【0049】
使い捨て流体回路の大部分は、多くの共通要素(例えば、静脈穿刺針、抗凝固剤容器、生理食塩水容器、赤血球、血漿または全血のための貯蔵容器、分離チャンバおよびカセット70)を有する。上記のように、各手順は、それ自体の独自の使い捨て流体回路を有し得る。しかし、普遍的な流体プロセス回路を使用し得ることが可能であり、そして必要とされる任意のさらなる流体(例えば、処理剤)の容器、さらなる分離器または他の構成要素が、使用時に容易に取り付けられ得る。これらのさらなる流体回路構成要素は、普遍的なセットに、滅菌された様式で、当業者に周知の様式で接続され得る。任意のさらなる管または流路が、カセットに存在するポート(例えば、P13)に取り付けられ得、そしてシステムが、さらなる手順を実行するようプログラムされ得る。
【0050】
カセットの用途の広さは、制御装置のプログラム可能なマイクロプロセッサに結合された弁の選択的な開閉を介して種々の様式で相互接続し得る、その流路セグメントともに、本発明の自動システムに非常に役立つ。このことは、このシステムが、異なる流体回路と共に使用されて、種々の異なる手順またはプロトコルを実施すること、およびこのシステムがアフェレーシスの局面を血液成分のさらなる下流処理またはプロセスと組み合わせることを可能にする。
【0051】
一旦、流体回路50が再使用可能なデバイス12に設置されると、このシステムは、制御装置11の制御下で、正しい使い捨て部品が装填されたことおよび/またはこの部品が正しく装填されたことを確認する。一旦、使い捨てプロセス回路の正しい装填が確認されると、このシステムは、選択されたプロトコルに基づいて、プライム手順を自動的に開始する。代表的に、このプライム手順は、流体回路を抗凝固剤および/または生理食塩水でプライムする工程を包含する。さらに、特定の処理または交換用流体が特定の手順において使用されることが意図される場合には、このシステムはまた、使い捨て流体回路を、このような流体でか、または患者もしくはドナーの血液でプライムし得る。
【0052】
このシステムは、操作者が所望の患者またはドナーのデータ(例えば、身長、体重、性別、ヘマトクリット、または手順の経過の間に制御装置が利用し得る他の任意のドナーもしくは患者の特徴)を入力することを可能にし得る。ドナーデータの入力は、プライムの前または後に起こり得る。例えば、システムは、上記ドナーデータを使用して、流速および/または特定の工程の持続時間を決定し得る。プライムおよび任意の必要なドナーデータの入力の後に、このシステムは、操作者に手順の開始を促す。
【0053】
図7は、代表的な流体回路を含む、本発明を具体化する自動システムを示す。図7に示すように、全血が、ドナー100から引き抜かれ、そしてライン(管状材料)74を通してカセット70に導入される。容器56からの抗凝固剤が、同様に、カセット70に入る。抗凝固剤は、カセット70のポートの1つ(例えば、P10)を通って入る。制御装置は、選択された弁を開いて、抗凝固剤が流体セグメントを通って流れることを可能にし、そして抗凝固剤ライン75とライン74との間の流れ連絡を確立して、抗凝固剤を、患者から引き抜かれている全血と混合する。
【0054】
抗凝固処理された全血は、容器58に導入され、この容器は、臨時の全血供給源として働く。上記のように、ハードウェア構成要素12は、重量計を備える。従って、容器58は、重量計から吊下され、その結果、必要量の全血が収集される場合に、この重量計に取り付けられたセンサが、制御装置を刺激し、そして引抜きサイクルが終了される。次いで、この制御装置は、容器58から分離器内への全血のポンピング(ポンプおよび弁ステーションを制御することによる)を開始する。
【0055】
この分離器は、全血を2つ以上の成分に分離する。(この分離器は、物理的にかまたは例えば、本明細書中に参考として援用される米国特許第5,194,195号に記載されるようにかのいずれかで、流体回路の分離器チャンバ68と協働可能に付随し得ることが理解される。)1つの実施形態において、全血の分離は、血漿成分および赤血球成分を生じる。この分離された血漿および赤血球の成分は、分離チャンバ68から引き抜かれ得、そして一時的な貯蔵のために、別体の容器60および62に収集され得る。
【0056】
この時点で、選択された手順またはプロトコル(図6を参照のこと)に基づいて、分離された成分の一方または両方のさらなるプロセスが、このシステムによって開始され得る。従って、例えば、このさらなる手順が分離された成分の処理を包含する場合には、流体回路50は、処理流体容器64を備え得る。別の実施形態において、このさらなる手順が交換用流体の投与(例えば、引き抜かれた成分の生物学的機能を提供するため)を必要とする場合には、容器64は、交換用流体を含み得る。
【0057】
いずれにしても、分離された成分のさらなるプロセスまたは処理は、分離チャンバ68、容器60または62のいずれか、あるいは必要であれば、第2の別個の分離器(図7に破線で示され、そして「分離器2」と記されている)において起こり得る。この第2の分離器は、分離器1と同じ分離原理を利用し得る。従って、1つの実施形態において、両方の分離器1および2は、遠心機であり得る。別の実施形態において、これらの分離器の一方は遠心機であり得、一方で他方の分離器は、米国特許第5,194,145号に記載される型の、回転部材および分離膜の組合せとの駆動機構であり得る。別の実施形態において、これらの分離器の一方は、遠心機または回転膜のための駆動機構であり得、そして他方の分離器は、フィルタ媒体または分離カラムであり得る。
【0058】
分離器1において分離された血液成分は、さらなる処理および/またはプロセスのために、分離器2に直接導入され得る。あるいは、血液成分は、カセット70に導入され得、ここから、この成分は、分離器2に指向および/またはポンピングされ得る。同様に、分離器2を出る際に、分離された(そして/または処理された)成分は、ドナーに灌流により直接(破線87によって示されるように)戻され得るか、またはカセット70および戻りライン84を通して戻され得る。
【0059】
図7は、血液の引き抜きおよび血液成分の戻しのために、単一の静脈アクセス点(すなわち、単一の針)を示すが、図7(または他の図8〜12のいずれか1つ)に示す流体回路はまた、上記のいわゆる「二重針」配置を利用し得ることが、理解される。
【0060】
一旦、処理が完了すると、所望の成分(赤血球または血漿)が、ライン84を介して、ドナーまたは患者に戻され得る。以下に記載するように、手順に依存して、上記一般的な分離およびプロセスの手順に対するバリエーションが存在し得る。
【0061】
本発明を具体化するシステムのより具体的な例を、図8に示す。図8は、手術前の血液の自動引抜き、血漿および赤血球への分離、引き続いて血漿および1つ以上の交換用流体の戻し(すなわち、「血液希釈」)のための、自動システムおよび手順を示す。
【0062】
図8に示す型のシステムは、外科手順の直前の、患者からの自己由来の血液の収集において、特に有用である。血漿成分が戻され、そしてある量の交換用流体(例えば、生理食塩水)、および収集された赤血球と同じ生物学的機能(すなわち、酸素移送)を提供し得る血液置換物で補充される。
【0063】
図8に示すように、全血は、外科手順の直前に患者から引き抜かれる。この全血は、一般的に上に記載した様式で、ライン74を通して引き抜かれ、そしてカセット70に導入される。
【0064】
全血は、抗凝固剤と混合され、そしてこの抗凝固処理された全血が、容器58に導入され得るか、または分離器にすぐに導入され得る。一旦、分離器の内側に、より具体的には、この分離器に付随する分離チャンバ68の内側に入ると、全血は、赤血球成分および血漿成分に分離される。赤血球成分はこの分離器から分離され(カセット70におけるポンプステーションのポンピングによって)、そして容器60に収集され、ここで、この赤血球は、手術の間または後に(必要であれば)必要とされるまで、貯蔵される。赤血球の長時間の貯蔵が必要とされる場合には、収集された赤血球は、Baxter Healthcare Corporation,Deerfield Illinoisから入手可能なAdsol(登録商標)またはErythro−Solのような赤血球保存溶液と混合され得る。保存薬(例えば、容器57(図2)に貯蔵される)の添加もまた、制御装置11によって制御され得る。
【0065】
分離された血漿は、容器62に導入され得、ここから、この血漿は、手術の間に計量されて患者に戻され得るか、あるいは、患者にすぐに戻され得る。別の代替において、血漿(血小板を含む)は、手術の後か、または赤血球が戻される時点の頃に患者に戻され得る。
【0066】
赤血球の損失した容量を補償するために、生理食塩水のような容量交換用流体もまた、患者に投与され得る。さらに、赤血球はヘモグロビンを含有するので、血液中で酸素を運ぶ化合物、血液置換物、または赤血球と同じ酸素移送機能を果たし得る酸素を運ぶ他の合成された化合物もまた、患者に投与され得る。このような血液置換物および/または酸素を運ぶ化合物は、公知であり、そしてAlliance Pharmaceutical Corporation,San
Diego,Californiaから入手可能であり、そして米国特許第5,865,784号に記載されている。当業者に公知の他の血液置換物もまた、使用され得る。
【0067】
血液置換物は、生理食塩水と混合され得るか、または生理食塩水の投与の前もしくは後のいずれかに別に投与され得る。さらに、他の容量交換用流体もまた、生理食塩水(これは、結晶性溶液である)の代わりに、容量交換用流体として使用され得る。この流体には、デキストランおよびアルブミンのような、コロイド溶液が含まれる。
【0068】
本発明によれば、システム10は、必要な流体(すなわち、生理食塩水および血液置換物)の量および流速を、自動的に決定し得る。1つの実施形態において、制御装置は、選択された量の生理食塩水または他の流体および既知の生物学的機能を有する交換用流体(例えば、血液置換物)を、ハードウェア構成要素12における重量計47によって測定される収集された赤血球の量に基づいて投与するように、予めプログラムされ得る。あるいは、このシステムは、投与されるべき交換用流体の量(および流速)を、引き抜かれた全血の量に基づいて決定し得る。なお別の代替において、このシステムは、投与されるべき交換用流体および血液置換物の量を、手順の開始時に入力されたドナーデータに基づいて、決定し得る。いずれにしても、本発明の自動システムは、血液希釈が手動では達成され得ないという利点を提供する。
【0069】
例えば、全血を赤血球および血漿に分離し、そしてこの血漿を患者に戻すことによって、血液の体外容量が、全血が引き抜かれる手動システムと比較して減少される。このことは、「手動」血液希釈においては得られないいくつかの利点を生じる。
【0070】
手動血液希釈手順においては、血液の引抜きおよび支持流体(3倍の生理食塩水またはアルブミン)の投与によって、血液のヘモグロビン濃度が、約12mg/dlから9mg/dlへと減少する。このことは、合計で約1Lの容量の全血が除去されたことに相当する。この損失した容量の代わりとなるためには、1Lのアルブミンまたは3Lの生理食塩水が投与されなければならない。3倍の容量の生理食塩水は、生理食塩水が血管の空間内に留まる制限された能力に起因して、必要である。より大きな分子であるアルブミンは、血管の空間に留まり得、そして生理食塩水ほど速くは排出されない。
【0071】
本発明によれば、血漿成分は患者に戻されるので、除去される流体の容量は、赤血球の容量が約400ml(平均の40%のヘマトクリットに基づく)であるように制限される。40%のヘマトクリットを有する全血が1L除去される場合に、除去される赤血球の総容量は400mlであり、残りの600mlは血漿からなる。自動システムおよび手順を使用して、等量の赤血球を除去するためには、このシステムによってプロセスされた血漿のすべてを患者に戻しながら、400mlのみの濃縮された赤血球の除去を必要とする。これは、除去された容量を60%減少させる。この代わりとなるために、400mlのみのアルブミンまたは1,200mlの生理食塩水が必要である。これは、代表的な手動血液希釈手順より実質的に少ない。
【0072】
投与される生理食塩水の容量を減少させることによって、生理食塩水によって引き起こされる任意の潜在的な流体合併症が低減され得る。生理食塩水は、腎機能不全を患う患者において、流体の過剰充填および組織の水腫を引き起こし得る。多量の生理食塩水の注入および付随する組織流体の増加は、外科手順の後の流体除去を補助するための利尿薬の投与の必要性を必要とし得る。
【0073】
本発明の自動システムの別の利点は、このシステムが麻酔科医によってプログラムされ得ること、および手順が自動的に達成され得ることである。このシステムは、適切な量の抗凝固剤を血液に添加して、血液貯蔵容器中での凝固を防止し得、そして赤血球添加溶液が、必要に応じて使用され得る。
【0074】
クエン酸塩の抗凝固剤は、アフェレーシス手順の間に、患者においていくらかのクエン酸塩反応を引き起こし得る。クエン酸塩反応は、通常、カルシウム含有溶液の注入によって制御される。本発明の自動システムを使用して、収集された血液生成物が患者に輸液によって戻される場合に、最小量の抗凝固剤が、収集された血液に存在し、これは、輸液の場合に、クエン酸塩の輸液に起因して引き起こされる合併症が、手動の方法と比較してより少ないはずである。
【0075】
除去される流体の容量を減少させることによって、血液が投与されるまでの時間が延長され得る。より重要なことには、この自動システムおよび手順は、自己由来でない血液の必要性を、低下または排除し得る。自己由来でない血液に対する必要性を排除または低下させることによって、患者は、自己由来でない相同性の血液への曝露が制限され得る。このことは、貯蔵された血液(貯蔵の間のサイトカインの生成)の輸液に起因する輸液後免疫抑制または炎症応答の可能性を低下させ得る。
【0076】
本発明の自動システムは、血漿(および血小板)が患者に戻されることを可能にする。血漿(および血小板)を戻すことによって、患者は、通常の止血をより容易に維持し得る。(標準的な手動血液希釈手順において、激しい希釈は、寒冷沈降した凝固タンパク質(寒冷沈降物)または新鮮な凍結血漿(FFP)の注入を必要とし得る、止血の問題を引き起こし得る。このことはまた、手動の手順の間に起こる。なぜなら、全血が除去されるからであり、これは、血小板および血漿ならびにRBCを除去する)。
【0077】
図9は、本発明の自動システムの別の適用を示す。具体的には、図9は、所望でない成分の血漿からの除去を生じる手順を示す。より具体的には、図9に示す流体回路および流れシステムは、患者の血漿からの脂質の除去のために使用され得る。
【0078】
図9に示すように、全血は、静脈穿刺を介して患者100から引き抜かれ、そしてライン74を通してカセット70内へと流され、そして先に記載したように、抗凝固剤と混合される。抗凝固処理された全血は、選択された重量が達成されるまで、容器58に収集され得る。一旦、所望の量の全血が収集されると、制御装置11の制御下で、このシステムは、この全血を分離器(これは、分離チャンバ68を備えるか、またはこのチャンバに他の様式で協働可能に付随している)に導入し、ここで、この全血は、赤血球および血漿に分離される。次いで、この分離された赤血球は、患者にすぐに戻され得るか、または後に戻されるために、容器60に一時的に貯蔵され得る。
【0079】
次いで、分離された血漿は、さらに処理されて、脂質(または他の任意の所望でない化合物)を除去され得る。1つの実施形態において、血漿は、容器64に収容される溶媒と混合され得る。この溶媒は、血漿から脂質を抽出し得る。このような溶媒は、米国特許第4,895,558号、同第5,744,558号、および同第5,911,698号に記載されており、これらの米国特許は、本明細書中に参考として援用される。溶媒の例は、DIPE(ジイソプロピルエーテル)である。もちろん、血漿から脂質を抽出し得、そして当業者に公知である他の溶媒もまた、同様に使用され得る。
【0080】
血漿および溶媒は、例えば、容器62または内側の分離器68において、混合され得る。分離器の外側で混合される場合には、血漿および溶媒は、分離器に再導入されて、血漿を脂質含有溶媒からさらに分離し得る。好ましい実施形態において、この分離器は、図2〜3および/または図13〜16に示すような型の遠心分離器である。遠心分離作用は、2相の溶液(溶媒および抽出された脂質を含む上の有機相、ならびに下の脂質除去された血漿相)への分離を生じる。次いで、制御装置の制御下で、この脂質含有溶媒は、別の廃液容器にポンピングされ得る。脂質除去された血漿は、患者に戻され得る。
【0081】
血漿から脂質を除去する際に有用であり得る溶媒のいくつかは、(特定の濃度において)患者に対して有害であり得るので、血漿からあらゆる残留溶媒をパージするかまたは他の様式で除去する工程を包含するさらなるプロセス工程が、好ましくあり得る。従って、有機相の除去後、この血漿は、容器69からのさらなる洗浄溶液で処理され得る。洗浄溶液中での処理は、別のチャンバ内で行われ得、その後、この血漿が患者に戻される。
【0082】
あるいは、図9に示すように、システム10は、クレンジングおよび/または洗浄工程のための、第2の分離器(分離器2)を備え得る。上記のように、分離器2は、分離器1と同じ分離原理(例えば、遠心分離)を使用し得るか、またはより好ましくは、異なる分離原理を使用し得る。1つの実施形態において、分離器2は、溶媒に対する親和性を有する被覆ビーズを充填されたカラムであり得る。従って、血漿は、分離器1から除去され得、そしてカラム分離器2に(直接的にかまたはカセット70を介してかのいずれかで)導入されて、あらゆる残留溶媒を除去され得る。次いで、分離器2を通過した血漿は、患者に戻すために適切であり得る。別の代替において、分離器2は、フィルタ媒体であり得る。このシステムは、光学検出器83を備え得、この検出器は、戻される血漿中の脂質を検出し得る。このような検出器は、米国特許第5,958,250号(本明細書中に参考として援用される)に記載されている。
【0083】
本発明の自動システムのなお別の実施形態において、血漿からの所望でない化合物の除去は、溶媒に基づくシステムに頼ることなく達成され得る。実際に、分離器において分離された血漿は、血漿から脂質を除去するための別の物質で処理され得るか、またはこの物質と接触され得る。例えば、1つの実施形態において、全血から分離された血液成分は、除去されるべき化合物に対する特異的な親和性を有する粒子またはビーズでさらに処理され得る。図10に示すように、容器64は、このビーズまたは粒子を含み得る。好ましい実施形態において、これらのビーズは、軽量の、単純な、中空(または中実)の、球状構造であり得る。これらのビーズは、親和性物質(例えば、モノクローナル抗体)でコーティングされ得る。これらのビーズは、脂質、鎌状赤血球、免疫グロブリン、第VIII因子または他のタンパク質に対して、特異的な親和性を有し得る。これらのビーズは、好ましくは、血漿の密度より低い密度を有する。あるいは、これらのビーズは、米国特許第5,916,743号および同第5,641,622号(これらは、本明細書中に参考として援用される)に記載される型のものであり得る。
【0084】
いずれにしても、図10に示すように、全血は、ライン74を通してドナー(または患者)から引き抜かれ、そして先に記載したように、抗凝固剤と混合される。抗凝固処理された全血は、収集され、そして容器58において一時的に貯蔵される。予め決定された量の全血が収集された場合に、制御装置の制御下で、全血は、分離器に導入され、ここで、細胞成分および血漿成分に分離される。この細胞成分は、この分離器から除去され、そして例えば、容器60に収集される。この血漿成分は、容器60内でか、またはビーズと除去されるべき化合物との間のより大きな接触を確実にするために、分離器内で、ビーズと混合され得る。制御装置は、ビーズを、容器62または分離器のいずれかにポンピングする。次いで、結合した粒子は、容器62に収集され、そして血漿がドナーに戻される。あるいは、別の実施形態において、血漿は、脂質に対して特異的な親和性を有するモノクローナル抗体が表面に付着したフィルタまたは他の型の媒体を通過し得る。このフィルタ媒体は、平坦なシートまたは上記の型の充填されたカラムであり得る。さらに、分離媒体(例えば、分離器80)は、血漿から、脂質および他の化合物(例えば、IgG、IgM、第VIII因子などのような)を、(親和性分離によって)抽出または除去するために使用され得る。
【0085】
本発明の自動システムの別の適用は、赤血球、白血球または血小板のような、血球の処理においてである。1つの特定の実施形態において、この自動システムは、酵素を使用して赤血球を処理し、例えば、A型、B型、またはAB型の赤血球を、O型の赤血球に転換するために、使用され得る。従って、図10に示すように、全血は、患者100から引き抜かれ、上記の様式で抗凝固処理され、そして分離器68において分離されて、赤血球成分および血漿成分を提供する。この血漿成分は、容器60に収集され得るか、またはドナーにすぐに戻され得る。この赤血球成分は、容器60に一時的に収集され得る。制御装置11の制御下で、この赤血球成分は、赤血球転換に適した特定の酵素を含む溶液(容器64に貯蔵される)と混合され得る。このような酵素の例は、米国特許第6,175,420号および同第5,671,135号(これらは、本明細書中に参考として援用される)に含まれる。次いで、処理された赤血球成分は、容器62に収集され、そして貯蔵され得る。さらに、O型の血球が長期間(例えば、42日間まで)貯蔵されるべきである場合には、上記の型の保存溶液が、この赤血球に添加され得る。別の処理型の適用において、赤血球、血小板または血漿さえもが、これらの成分に存在する病原体を根絶または不活化するために、処理され得る。
【0086】
本発明の自動システムの別の適用は、外科手順の間の血液の回収であり得る。例えば、図11に示すように、全血は、手術中の患者100の体腔から収集され得る。この実施形態において、流体回路は、静脈穿刺針ではなく、吸引デバイス120を備える。吸引デバイス120は、例えば、米国特許第5,976,388号(これは、本明細書中に参考として援用される)に示される型のものであり得る。吸引デバイス120によって取り出された血液は、分離器に導入され、ここで、この血液は、赤血球成分および上清に分離される。次いで、この赤血球生成物が、患者に戻され得る。
【0087】
図12を簡単に参照すると、分離された血漿を処理するための代替の自動システムが示されている。このシステムは、第1の分離器および第2の分離器を備える。図12Aに示すように、第2の分離器は、上記化合物を血漿から除去するために使用され得る分離カラム80である。このような分離のために使用され得るカラムは、米国特許第5,733,254号および同第5,782,792号(これらは、本明細書中に参考として援用される)に一般的に開示されている。
【0088】
図12に示すように、全血からの血漿の分離は、一般的に上に記載されるように、すなわち、分離器において進行する。この分離された血漿は、カラム80に導入され得る。血漿は、ライン81を介してカラム80に直接導入され得るか、またはカセット70のポンプおよび弁によって(制御装置の指示のもとで)カラム80に運ばれ得ることが、注目されるべきである。同様に、カラム80を通過した血漿は、カセット70を介して戻され得るか、ドナーに直接戻すためにライン74に直接導入され得るか、または容器62に導入されて、ここから(カセット70を介して)ドナーにポンピングによって戻され得る。容器60内の赤血球は、血漿のプロセスの間に、ドナーに戻され得る。
【0089】
カラム80は、流体回路50の一部として提供され得る。1つの実施形態において、再使用可能な構成要素12は、図12Aに一般的に示すように、カラム80を保持するためのクリップ13および15を備え得る。
【0090】
図13〜16は、本発明の自動システムおよび手順において使用され得る、別の再使用可能なハードウェアデバイスおよび流体回路の、代替の実施形態を示す。図13〜16に示される実施形態は、遠心機アセンブリ200、およびこの遠心機アセンブリに付随して使用するための流体プロセス回路50を備える。この遠心機アセンブリは、長期間の使用が可能な再使用可能なハードウェアデバイスを備える。使い捨ての流体回路(上記の流体回路のような)は、単回使用の使い捨て物品であることが意図される。
【0091】
上記の使い捨て流体回路と同様に、図13〜16に示す流体回路は、図16に示すプロセスチャンバを備え、これは、再使用可能なデバイスの分離器に装填されて、血液成分を遠心分離によって分離し得る。この分離器は、全血を、赤血球成分、血漿成分、白血球成分、幹細胞成分または血小板成分に分離し得る。この使い捨て流体回路はまた、可撓性管状材料のアレイを備えて、液体を、プロセスチャンバ(以下により詳細に記載される)へおよびプロセスチャンバから運ぶ。
【0092】
流体回路50は、一般的に上記の型の、1つ以上のカセット222A、BおよびCを備える。図14〜15に示すカセットは、相互接続可能な流れセグメントおよび弁操作ステーションを備える。他の実施形態に関連して上に記載したカセット70とは対照的に、この実施形態のカセットは、内部ポンピングステーションを備えない。その代わりに、この実施形態のカセットは、外部管状材料ループ223を備え、これは、蠕動ポンプ回転子250と係合し、この回転子は、この管状材料および流体回路を通る流体の移動を生じさせる。自動システムのこの実施形態の詳細は、米国特許第5,868,696号(これは、本明細書中に参考として援用される)に記載されている。
【0093】
図16に示すように、図13〜16の実施形態において、流体回路50は、「2段階」分離チャンバ68を備える。従って、第1の副チャンバ226は、第1の分離工程を実施するために使用され得、そして第2の副チャンバ224は、第2の分離工程を実施するために使用され得る。例えば、血漿または赤血球のような血液成分が処理剤または上記のもので処理されるべきである場合、血漿は、第1の「副チャンバ」226において赤血球から分離され得、そして処理が、第2の「副チャンバ」224において実施され得る。処理剤は、第2の副チャンバに直接導入され得るか、または他の位置(例えば、容器の1つ)で成分と混合され得る。
【0094】
第2の副チャンバはまた、所望でない溶媒、化合物、処理剤を、分離した成分から除去するために使用され得る。大部分の他の局面において、上記血液および流体プロセス手順は、図13〜16に記載され、そして示される自動システムに適用可能である。もちろん、チャンバ68は、単一のチャンバのみを有し得る。
【0095】
より具体的には、図14に示す使い捨て回路50は、単一針の血小板収集に適合される。回路50は、分離チャンバ34および収集チャンバ36を有するプロセスチャンバ68を備える。プロセスチャンバ68のポートは、多管腔臍240と連絡しており、これが次に、ドナー針14および容器220a〜gと(直接的にかまたはカセット222A〜Cを介してのいずれかで)連絡している。
【0096】
代表的なアフェレーシス手順において、プロセス回路50は、容器220aから引き抜かれる生理食塩水によって、最初にプライムされる。引抜きサイクルの間に、ドナーの血液は、容器220eからの抗凝固剤と混合される。一部が受容容器220bに貯蔵され、そして残りのものが、臍240を通して分離チャンバ68に運ばれ、ここで、赤血球および血小板リッチ血漿に分離される。この赤血球は、臍240を通して赤血球貯蔵容器220dに運ばれる。この血小板リッチ血漿は、臍240を通してカセット222Cに運ばれ、次いで、臍240を逆に通して収集チャンバ68へと戻され、ここで、この血小板は、引き続くプロセスのために、高g(hi−g)壁に沈降される。血小板に乏しい血漿は、臍240を通して血漿受容容器220cに運ばれる。戻しサイクルの間に、容器220cからの血漿および容器220dからの赤血球がドナーに戻され、一方で容器220bに受容された白血球は、プロセスされる。供与が完了した後に、プロセスチャンバ68は、遠心機から取り外され、血小板が再懸濁され、そして十分な血漿と共に血小板貯蔵容器220fおよび220gに運ばれて、5日間までの十分な貯蔵を提供する。
【0097】
本発明によれば、多くの異なるさらなる手順が、図13〜16に示すシステムを用いて、使い捨て回路50の相互接続部を再配置し、そして異なる容器220a〜gおよびプロセスチャンバ68を提供することによって、実施され得る。1つのこのような再配置は、単核細胞の収集を提供し、そしてこれは、米国特許第5,980,760号(これは、本明細書中に参考として援用される)に記載されている。使い捨て回路50の機能および特徴を再配置するための融通性は、大部分において、カセット222A〜Cの用途の広さによって提供される。いくつかのこのような異なる手順を、以下に記載する。
【0098】
例えば、図13〜16のシステムが血液希釈のために使用される場合には、いくらかの赤血球は、引き続く輸液のために貯蔵され、交換溶液が提供され、そして補充用の酸素キャリアもまた供給され得る。米国特許第5,980,760号の単核細胞手順においてと同様に、単一の分離チャンバのみが必要である。従って、このシステムは、単一のチャンバを供給され得るか、または二重チャンバの実施形態が使用され得るが、副チャンバ226のみを利用する。
【0099】
この回路は、再度、容器220aから引き抜かれた生理食塩水でプライムされる。引抜きサイクルの間に、血液が再度、容器220eからの抗凝固剤と混合され、一部が容器220bに貯蔵され、そして残りが分離チャンバ68に供給される。分離されたパックされた赤血球は、再度、容器220dに貯蔵され、分離された血漿は、容器220cに貯蔵される。戻しの間に、容器220bからの分離された血液は、分離チャンバ68に運ばれ、分離された赤血球が収集され、一方で同時に分離された血漿が、容器220c中の先に分離された血漿と共に、生理食塩水容器220aからの交換溶液とともに、患者に戻される。容器220fおよび220gの補充用の酸素キャリアもまた、戻しサイクルの間に、収集された赤血球の量に基づいて予め決定された量で、患者に投与され得る。さらなる管状材料部分が、生理食塩水容器220aとカセット222Aの未使用ポートとの間に提供されて、戻しサイクルの間に、生理食塩水投与の計量された制御を容易にし得る。
【0100】
細胞回収手順の間に、患者の血管外(「流血した」)血液が、手術場から引き抜かれ、洗浄され、そして患者に戻される。使い捨て回路50は、再度、細胞回収を達成するために、再配置され得る。再配置された回路50は、再度、容器220aからの生理食塩水でプライムされる。針14は、吸引棒(図示しない、公知の構成のもの)によって交換され、そして血管外または流血した血液は、容器220eからの抗凝固剤と混合され、そして十分な量が得られるまで、血液受容器220bに貯蔵される。プロセスの際に、貯蔵された血液は、容器220aからの生理食塩水と混合され、分離チャンバ68に運ばれ、そして今や洗浄された、パックされた赤血球、ならびに血漿および洗浄生理食塩水を含む上清流体に分離される。このパックされた赤血球は、必要なまで容器220dに貯蔵され、一方で上清流体は、廃液容器220cに収集される。
【0101】
投与セットが、容器220dに貯蔵されたパックされた細胞を、公知の重力の手段によって患者に戻すために提供され得るか、または別の戻りライン(図示せず)が、洗浄された赤血球が患者に直接ポンピングされ得るように、提供され得る。あるいは、血管外または流血した血液が、独立型の減圧キャニスター(図示しないが、公知の構成のもの)に引き込まれ得、そしてプロセスが所望である場合に、針14を通して引き抜かれ得る。上記の血液希釈適用と同様に、さらなる管状材料セグメントが、生理食塩水容器220aとカセット222Aとの間に供給されて、洗浄プロセスの間に、生理食塩水の計量された制御を提供し得る。
【0102】
脂質除去の間に、脂質は、患者の血液から除去される。回路50は、再度、このような除去を生じるために再配置され得る。この回路は、再度、容器220aからの生理食塩水でプライムされ得る。引抜きサイクルの間、血液は再度、容器220eからの抗凝固剤と混合され、一部が容器220bに貯蔵され、そして残りが、分離チャンバ68に供給される。分離されたパックされた赤血球が、再度、容器220dに貯蔵される。分離された血漿が、容器220fおよび220gに保持された溶媒と混合され、そして二次的な分離ステージ224に運ばれ、一方で脂質が減少した血漿が生成され、そして血漿容器220cに運ばれる。溶媒で凝集された脂質が、二次的な分離チャンバ221において分離され得るか、あるいはさらなる管腔が臍240に提供され得、その結果、脂質が連続的に、カセット222Cの未使用ポートに接続された廃液容器(図示せず)にポンピングされ得る。あるいは、親和性に基づく物質が、溶媒の代わりに使用されて、上記のような脂質の除去に影響を与え得る。
【0103】
先に議論したように、A型、B型、またはAB型の抗原を有する赤血球は、特定の酵素的処理によって、O型赤血球に転換され得る。使い捨て回路50は、再度、このような処理を行うために再配置され得る。この回路は、再度、容器220aから引き抜かれる生理食塩水でプライムされ得るか、または必要であれば、血液でプライムされ得る。引抜きサイクルの間、血液は再度、容器220eからの抗凝固剤と混合され、一部は容器220bに貯蔵され、そして残りは分離チャンバ68に供給される。分離されたパックされた赤血球が、再度、容器220dに貯蔵され、そして分離された血漿が、容器220cに貯蔵される。血漿が、戻りサイクルの間に戻される。次いで、赤血球が、後のプロセス工程において、酵素的変換を受ける。パックされた赤血球が、容器220dから容器220bへと移動され、そして容器220fおよび220gからの酵素と混合される。次いで、処理された赤血球が、容器220aからの生理食塩水と混合され、そして分離チャンバ68へと運ばれる。洗浄され、そして処理された赤血球が、再度、容器220dに貯蔵され、一方で分離された上清が、引き続く処分のために、現在は未使用の血漿容器220cに運ばれる。赤血球を容器220dから容器220bへと移動させ、容器220aからの生理食塩水と混合させ、分離チャンバ68において洗浄されたパックされた細胞および上清溶液に分離するプロセスは、所望なだけ多くの回数繰り返され得る。
【0104】
あるいは、通常の血小板収集手順が、使い捨て回路50を使用して、収集された血小板を容器220fおよび220gに上記のように貯蔵して、実施され得る。同時に生じる赤血球生成物が、容器220dに収集され、そして貯蔵され得る。酵素を保持する新たな容器が提供され、そしてカセット222Cの未使用ポートに接続され、その結果、収集された赤血球は、上で議論したように、O型に転換され得る。上記の血液希釈適用と同様に、さらなる管状材料セグメントが、生理食塩水容器220aとカセット222Aとの間に提供されて、洗浄プロセスの間、生理食塩水の計量された制御を提供し得る。
【0105】
上で議論した多くの手順は、図13の単一針の使い捨て回路50に基づいたが、2針の回路もまた、所望の手順を同様に達成するように改変され得ることが、当業者によって理解されるべきである。
【0106】
本発明の種々の特徴は、添付の特許請求の範囲に記載される。
【図面の簡単な説明】
【0107】
【図1】図1は、本発明の再使用可能なハードウェア構成要素またはモジュール、およびこれと共に使用するための利用可能な使い捨て流体回路のいくつかを示す図である。
【図2】図2は、本発明と共に使用され得る自動システムの斜視図であり、再使用可能な構成要素および使い捨て流体回路を備える。
【図2A】図2Aは、本発明の自動システムにおいて使用され得る、図2の流体回路の分離チャンバの拡大斜視図である。
【図3】図3は、再使用可能なデバイスに設置された使い捨て流体回路を備える、本発明と共に使用され得る自動システムの斜視図である。
【図4】図4は、図2の流体回路のカセットの前側の平面図である。
【図5】図5は、図4に示すカセットの後側の平面図である。
【図6】図6は、本発明の自動システムの操作において実行される工程を示す流れ図である。
【図7】図7は、本発明を使用するシステムおよび手順のための流体回路を示す。
【図8】図8は、本発明を使用する自動血液希釈のシステムおよび手順のための流体回路を示す。
【図9】図9は、本発明を使用する自動血漿処理のシステムおよび手順のための流体回路を示す。
【図10】図10は、本発明を使用する自動細胞処理のシステムおよび手順のための流体回路を示す。
【図11】図11は、本発明の細胞回収手順を使用する、自動細胞回収のシステムおよび手順のための流体回路を示す。
【図12】図12は、本発明を使用する代替の自動血漿処理のシステムおよび手順のための流体回路を示す。
【図12A】図12Aは、使い捨て流体回路が、再使用可能な構成要素に設置された分離カラムを備える、本発明と共に使用され得る自動システムの斜視図である。
【図13】図13は、本発明と共に使用され得る代替の自動システムの、再使用可能な構成要素の斜視図である。
【図14】図14は、図13の再使用可能なデバイスと共に使用するための流体回路の斜視図である。
【図15】図15は、再使用可能な構成要素に設置された、図14に示す流体回路の斜視図である。
【図16】図16は、図14の流体回路の分離チャンバの拡大斜視図である。
【符号の説明】
【0108】
56、58、60、62、66 容器
64 処理流体容器
70 カセット
74、75 ライン
84 戻りライン
100 ドナー
【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者の血液から選択された化合物を取り出すための自動化システムであって、以下:
(a)滅菌された、予め組み立てられた、使い捨て流体回路であって、以下:
(i)患者から血液を取り出すための手段、
(ii)血液から血液成分を分離するための第1副チャンバを備える、分離チャンバ、
(iii)化合物枯渇血液成分を提供するために、該血液成分から選択された化合物を抽出するように適合された溶媒を含む、容器、
(iv)該血液成分を該溶媒と合わせるための手段、
(v)該血液成分と該溶媒との組み合わせを、第1の相および第2の相へと分離するための第2の副チャンバを有する該分離チャンバであって、該第1の相は、該化合物枯渇血液成分を実質的に含み、該第2の相は、該溶媒および該化合物を実質的に含む、該分離チャンバ、
(vi)溶媒除去手段、
(vii)予め形成された流路セグメントを内部に有する流れ制御カセットであって、該流路セグメントは、該流路セグメント間の連絡を制御するための弁ステーションによって分離されている、流れ制御カセット、および
(viii)該化合物枯渇血液成分を、該患者に戻すための手段、
を備える、使い捨て流体回路;ならびに
(b)該流体回路モジュールを協働可能に受容するよう適合された、再使用可能なモジュールであって、該再使用可能モジュールは、以下:
該チャンバに協働可能に付随する、該血液の残りの部分からの該血液成分の分離を実施するための手段、および
該弁ステーションと協働するための手段であって、該カセットの該予め形成された流路を通る流体の流れを制御する、手段
を備える、再使用可能モジュール、
を備える、システム。
【請求項1】
患者の血液から選択された化合物を取り出すための自動化システムであって、以下:
(a)滅菌された、予め組み立てられた、使い捨て流体回路であって、以下:
(i)患者から血液を取り出すための手段、
(ii)血液から血液成分を分離するための第1副チャンバを備える、分離チャンバ、
(iii)化合物枯渇血液成分を提供するために、該血液成分から選択された化合物を抽出するように適合された溶媒を含む、容器、
(iv)該血液成分を該溶媒と合わせるための手段、
(v)該血液成分と該溶媒との組み合わせを、第1の相および第2の相へと分離するための第2の副チャンバを有する該分離チャンバであって、該第1の相は、該化合物枯渇血液成分を実質的に含み、該第2の相は、該溶媒および該化合物を実質的に含む、該分離チャンバ、
(vi)溶媒除去手段、
(vii)予め形成された流路セグメントを内部に有する流れ制御カセットであって、該流路セグメントは、該流路セグメント間の連絡を制御するための弁ステーションによって分離されている、流れ制御カセット、および
(viii)該化合物枯渇血液成分を、該患者に戻すための手段、
を備える、使い捨て流体回路;ならびに
(b)該流体回路モジュールを協働可能に受容するよう適合された、再使用可能なモジュールであって、該再使用可能モジュールは、以下:
該チャンバに協働可能に付随する、該血液の残りの部分からの該血液成分の分離を実施するための手段、および
該弁ステーションと協働するための手段であって、該カセットの該予め形成された流路を通る流体の流れを制御する、手段
を備える、再使用可能モジュール、
を備える、システム。
【図1】
【図2】
【図2A】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図12A】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図2】
【図2A】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図12A】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【公開番号】特開2007−301391(P2007−301391A)
【公開日】平成19年11月22日(2007.11.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−190240(P2007−190240)
【出願日】平成19年7月20日(2007.7.20)
【分割の表示】特願2002−569232(P2002−569232)の分割
【原出願日】平成14年2月13日(2002.2.13)
【出願人】(591013229)バクスター・インターナショナル・インコーポレイテッド (448)
【氏名又は名称原語表記】BAXTER INTERNATIONAL INCORP0RATED
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年11月22日(2007.11.22)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年7月20日(2007.7.20)
【分割の表示】特願2002−569232(P2002−569232)の分割
【原出願日】平成14年2月13日(2002.2.13)
【出願人】(591013229)バクスター・インターナショナル・インコーポレイテッド (448)
【氏名又は名称原語表記】BAXTER INTERNATIONAL INCORP0RATED
【Fターム(参考)】
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