説明

血液凝固FVIII類似体

本発明は、活性化前の血流において天然FVIIIの少なくとも約2倍の循環時間を有し、患者に注射してから1週間後に、注射後に到達する最初の活性ピーク値と比較して少なくとも約5%のFVIII活性を保持するFVIII類似体に関する。権利請求したFVIII類似体は、A2ドメインにおけるクリアランス部位の中もしくは空間的に近い場所、またはそれらの組み合わせに、少なくとも1のN-グリコシル化部位を導入することおよび/または少なくとも1のCys残基を導入することによる、FVIII分子における1以上のクリアランス部位の標的破壊を含んでなる。前記挿入されたシステイン残基は、FVIII類似体の分子量を増大させる化学的な基と接合することによりさらに修飾されてよい。

【発明の詳細な説明】
【発明の分野】
【0001】
本発明は、天然のFVIIIと比較して血流における循環時間が延長された、ある一定の血液凝固FVIII類似体および誘導体に関する。
【発明の背景】
【0002】
血友病Aは、凝固因子VIII(FVIII)活性の欠損または機能不全により引き起こされる遺伝的な出血疾患である。前記疾患は、血液から単離されるか、または組換えて産生された凝固因子FVIIIを静脈内に投与することにより治療される。
【0003】
FVIIIは、内因性の凝固経路の不可欠な成分である。活性化FVIII(FVIIIa)は、活性化FIX(FIXa)に対する補因子であり、因子X(FX)を活性化FX(FXa)に変換する。FXaは次に、プロトロンビンを凝血の形成において重要な因子であるトロンビンに変換する。それ故、FVIIIa/FIXa複合体の効果は、既に外因性の経路により惹起されたトロンビン形成を増幅することである。
【0004】
FVIIIは、大きな複合体の糖タンパク質であり、本来肝細胞により産生される。相同性により定義されるように、FVIIIは2351のアミノ酸からなり、シグナルペプチドを含み、いくつかの異なるドメインを含有する。3つのA-ドメイン、1つのBドメイン、および2つのC-ドメインがある。前記ドメインの順序は、NH2-A1-A2-B-A3-C1-C2-COOHとして表される。FVIIIはB-A3の境界で分離され、2つの鎖として血漿中を循環する。前記鎖は、2価の金属イオン結合により連結される。A1-A2-B鎖は重鎖(HC)と名付けられる一方、A3-C1-C2は軽鎖(LC)と名付けられる。Bドメインは、いくつかの異なる部位で切断され、血漿FVIIIにおいて大きな異種性を産生する。多量にグリコシル化されたBドメインの正確な機能は未知であり、前記ドメインはFVIII活性に対して不必要である。
【0005】
FVIIIは、ドメイン構築物A1-A2-B-A3-C1-C2を有する2332アミノ酸タンパク質として分泌される。その後のプロセシングにより、50 (A1)、43 (A2)、および73 kDa (A3-C1-C2)断片からなる活性へテロトリマーを産生する。3つのサブユニットを一緒に維持する相互作用の本質が完全には確立されていないが、現在では金属イオンがA1およびA3-C1-C2サブユニットを連結し、一方でA2は主にA1サブユニットと相互作用すると考えられている。
【0006】
FVIIIの循環半減期は、12〜14時間である。vWfとの複合体形成は循環における通常レベルのFVIIIの維持に対して重要であるが、クリアランスは、分子上のLRP(低密度リポタンパク質受容体関連タンパク質)認識部位およびHSPG(ヘパラン硫酸プロテオグリカン)結合部位に関連するいくつかの他の経路により媒介されるように見える。FVIIIは、少なくとも2つのLRP認識部位を含み、1つは残基484〜509を含んでなるA2ドメイン中にあり、もう1つはA3(残基1811〜1818)中にあり、他方では単一のHSPG部位がA2の残基558〜565に局在している。
【0007】
FVIIIのクリアランスにおけるこれらの認識部位の役割を支持する根拠は、マウスにおいてLRP依存性の分解に拮抗することによりFVIIIの循環半減期を3.5倍に延長したことが観察されたことである。HSPG促進性の分解の付加的な遮断は、さらに1.6倍の半減期の延長を引き起こす。
【0008】
血友病Aは、FVIII遺伝子における変異、転位、または欠失により引き起こされ、FVIIIタンパク質の欠失または機能的に欠陥のあるFVIIIタンパク質の分泌を引き起こす。臨床的な症状は、原発性の血友病に基づかない-正常に血液凝固の形成が起こる-が二次的なトロンビン形成の欠損により、凝血が不安定になる。
【0009】
現在の治療の推奨は、伝統的な応需型治療から予防への移行である。予防は患者に対して実質的に症状のない生活を可能にし、1週間に数回の投与を必要とする。
【0010】
WO 03/31464において、遅延性のFVIII誘導体を作ることが提案されている。ペプチド鎖から除去される部位においてPEGポリマーを糖鎖に独自に結合させることにより、グリコPEG化がタンパク質の生理活性を保存するのを助けながらその半減期を延長させる。
【0011】
WO 00/71714およびWO 02/060951は、延長された半減期を有する、A2ドメインにおけるある一定の変異FVIIIについて開示している。米国特許第6,759,216号は、A2ドメインの486位におけるLeuをAsnで置換することにより抗体認識エピトープとなることが既知の部位においてFVIIIがグリコシル化された、FVIII変異体について開示している。米国特許第5,859,204号は、低下した抗原性および低下した免疫応答性を有するヒト因子VIIIの変異体について開示している。
【発明の概要】
【0012】
1つの側面において、本発明は、活性化前の血流においてヒトFVIIIの少なくとも約2倍の循環時間を有するFVIII類似体に関する。
【0013】
もう1つの側面において、本発明は、患者に注射してから1週間後に、注射後に到達する最初の活性ピーク値と比較して少なくとも約5%のFVIII活性を保持するFVIII類似体に関する。
【0014】
1つの実施形態において、本発明は、ヒト因子FVIIIのA1および/またはA2ドメインにおけるクリアランス部位の中または空間的に近い位置に、少なくとも1のN-グリコシル化部位を導入することおよび/または少なくとも1のCys残基を導入することによる、FVIII分子における1以上のクリアランス部位の標的破壊に関する。
【0015】
付加的な側面において、本発明は、クリアランス部位の中または空間的に近い位置に導入されたシステイン残基のその後の化学的な修飾に関する。それ故、ヒトFVIII分子のA1および/またはA2ドメインにおける1以上のアミノ酸残基は、他のアミノ酸残基で置換されてよい。挿入されたアミノ酸残基は、FVIII分子のクリアランスを妨げるかさ高い化学的な基の結合によりさらに誘導体化されてよい。
【0016】
1つの実施形態において、本発明は、天然FVIII分子の20〜29、268〜276、302〜313、321〜326、333〜395、430〜520、528〜554、559〜564、571〜593、および/または638〜643の位置において少なくとも1の天然アミノ酸残基のアミノ酸置換を含んでなる因子VIII類似体に関し、前記アミノ酸置換は、ヒト因子VIIIよりも低いLRP結合親和性を有し、且つ活性化されたヒト因子VIIIの活性と実質的に同じ因子VIII活性を有する因子VIII類似体を結果として生じる。
【0017】
1つの実施形態において、本発明は、天然FVIII分子の残基20〜29に1以上のアミノ酸置換を含んでなる因子VIII類似体に関する。
1つの実施形態において、本発明は、天然FVIII分子の残基268〜276に1以上のアミノ酸置換を含んでなる因子VIII類似体に関する。
【0018】
1つの実施形態において、本発明は、天然FVIII分子の残基302〜313に1以上のアミノ酸置換を含んでなる因子VIII類似体に関する。
1つの実施形態において、本発明は、天然FVIII分子の残基321〜326に1以上のアミノ酸置換を含んでなる因子VIII類似体に関する。
【0019】
1つの実施形態において、本発明は、天然FVIII分子の残基333〜395に1以上のアミノ酸置換を含んでなる因子VIII類似体に関する。
1つの実施形態において、本発明は、天然FVIII分子の残基420〜520に1以上のアミノ酸置換を含んでなる因子VIII類似体に関する。
【0020】
1つの実施形態において、本発明は、天然FVIII分子の残基528〜554に1以上のアミノ酸置換を含んでなる因子VIII類似体に関する。
1つの実施形態において、本発明は、天然FVIII分子の残基559〜564に1以上のアミノ酸置換を含んでなる因子VIII類似体に関する。
【0021】
1つの実施形態において、本発明は、天然FVIII分子の残基571〜593に1以上のアミノ酸置換を含んでなる因子VIII類似体に関する。
1つの実施形態において、本発明は、天然FVIIIの残基638〜643に1以上のアミノ酸置換を含んでなる因子VIII類似体に関する。
【0022】
もう1つの実施形態において、本発明は、天然FVIII分子の残基20〜29、268〜276、302〜313、321〜326、333〜395、430〜520、528〜554、559〜564、571〜593、および/または638〜643に1以上のアミノ酸置換を含んでなる因子VIII類似体に関し、前記アミノ酸置換は、1以上のN-グリカンコンセンサス部位および/または1以上のシステイン残基を結果として生じる。
【0023】
さらなる実施形態において、本発明は、挿入されたシステインアミノ酸残基置換が因子VIII類似体の分子量を増大させる化学的な基と接合される因子VIII類似体に関する。
【0024】
1つの実施形態において、本発明は、天然FVIII分子の残基20〜29に1以上のアミノ酸置換を含んでなる因子VIII類似体に関し、前記アミノ酸置換は、1以上のN-グリカンコンセンサス部位および/または1以上のシステイン残基を結果として生じる。
【0025】
1つの実施形態において、本発明は、天然FVIII分子の残基268〜276に1以上のアミノ酸置換を含んでなる因子VIII類似体に関し、前記アミノ酸置換は、1以上のN-グリカンコンセンサス部位および/または1以上のシステイン残基を結果として生じる。
【0026】
1つの実施形態において、本発明は、天然FVIII分子の残基302〜313に1以上のアミノ酸置換を含んでなる因子VIII類似体に関し、前記アミノ酸置換は、1以上のN-グリカンコンセンサス部位および/または1以上のシステイン残基を結果として生じる。
【0027】
1つの実施形態において、本発明は、天然FVIII分子の残基321〜326に1以上のアミノ酸置換を含んでなる因子VIII類似体に関し、前記アミノ酸置換は、1以上のN-グリカンコンセンサス部位および/または1以上のシステイン残基を結果として生じる。
【0028】
1つの実施形態において、本発明は、天然FVIII分子の残基333〜395に1以上のアミノ酸置換を含んでなる因子VIII類似体に関し、前記アミノ酸置換は、1以上のN-グリカンコンセンサス部位および/または1以上のシステイン残基を結果として生じる。
【0029】
1つの実施形態において、本発明は、天然FVIII分子の残基430〜520に1以上のアミノ酸置換を含んでなる因子VIII類似体に関し、前記アミノ酸置換は、1以上のN-グリカンコンセンサス部位および/または1以上のシステイン残基を結果として生じる。
【0030】
1つの実施形態において、本発明は、天然FVIII分子の残基528〜554に1以上のアミノ酸置換を含んでなる因子VIII類似体に関し、前記アミノ酸置換は、1以上のN-グリカンコンセンサス部位および/または1以上のシステイン残基を結果として生じる。
【0031】
1つの実施形態において、本発明は、天然FVIII分子の残基559〜564に1以上のアミノ酸置換を含んでなる因子VIII類似体に関し、前記アミノ酸置換は、1以上のN-グリカンコンセンサス部位および/または1以上のシステイン残基を結果として生じる。
【0032】
1つの実施形態において、本発明は、天然FVIII分子の残基571〜593に1以上のアミノ酸置換を含んでなる因子VIII類似体に関し、前記アミノ酸置換は、1以上のN-グリカンコンセンサス部位および/または1以上のシステイン残基を結果として生じる。
【0033】
1つの実施形態において、本発明は、天然FVIII分子の残基638〜643に1以上のアミノ酸置換を含んでなる因子VIII類似体に関し、前記アミノ酸置換は、1以上のN-グリカンコンセンサス部位および/または1以上のシステイン残基を結果として生じる。
【0034】
もう1つの実施形態において、少なくとも1の挿入されたシステインアミノ酸残基は、因子VIIIポリペプチドの分子量を増大させる化学的な基と接合される。
【0035】
1つの実施形態において、前記アミノ酸残基置換は、結果として1以上のN-グリカンコンセンサス部位を生じる。
もう1つの実施形態において、前記アミノ酸残基置換は、1以上の天然アミノ酸残基のシステイン残基との置換である。
【0036】
さらなる実施形態において、本発明は、天然FVIII分子の少なくとも1の下記の位置の天然アミノ酸がシステインアミノ酸残基で置換された因子VIII類似体に関する:
i) L24, D27, F276, F306, L307, Y323, W382, H384, Y385, E389, W393,R427, M429, A430, I442, E445, I448, E456, V457, A469, Y476, T481, D482, R484, K499, T514, E518, V537, N538, A544, G546, I548, N572, F576, V578, W585, L587, I639, S641, G643, S674; および/または
ii) Q334, K376, H378, T381, V383, E390, E391, D392, D394, D433, E434, R439, S446, L452, G458, K466, S470, R471, V483, L486, R489, D500, F501, E507, I508, K512, R541, N564, D580, R583, E589; および/または
iii) D20, L21, E23, A28, R29, L303, G304, Q305, K325, R336, K377, K380, K422, T432, T435, K437, T438, E440, A441, Q443, H444, Q468, Y487, S488, L491, G494, K496, H497, L498, L504, G506, V517, D560, Q561, R562, T588, Q592, R593。
【0037】
もう1つの実施形態において、本発明は、天然FVIII分子の下記から選択される位置の始めに少なくともN-グリコシル化部位が導入された因子VIII類似体に関する:
i) D27, F276, F306, L307, Y323, W382, H384, Y385, E389, W393, R427, M429, A430, I442, E445, I448, E456, V457, A469, T481, D482, K499, T514, E518, V537, N538, A544, G546, N572, F576, V578, W585, L587, I639, S641, G643, S674; および/または
ii) Q334, K376, T381, V383, E390, E391, D392, D394, D433, E434, R439, S446, L452, G458, K466, L486, R489, E507, I508, K512, R541, N564, D580, R583, E589; および/または
iii) D20, L21, A28, L303, G304, Q305, K325, R336, K380, K422, T432, T435, K437, T438, E440, A441, Q443, H444, Q468, Y487, S488, G494, K496, H497, L498, G506, V517, D560, Q561, R562, T588, Q592, R593。
【0038】
1つの実施形態において、FVIII類似体は、377;435;488;496、または504位の少なくとも1にCysを含んでなる。
もう1つの実施形態において、FVIII類似体は、433位もしくは486位、または両方にAsnを含んでなる。
【0039】
さらなる実施形態において、FVIII類似体は、435位にAsnを含んでなり、且つ437位にThrまたはSerを含んでなる。
さらなる実施形態において、FVIII類似体は、488位にAsnを含んでなり、且つ490位にThrまたはSerを含んでなる。
さらなる実施形態において、FVIII類似体は、496位にAsnを含んでなり、且つ498位にThrまたはSerを含んでなる。
【0040】
本発明による因子VIII類似体は、天然ヒトFVIII分子と比較して、3以内、2以内、または1のアミノ酸置換を含んでよい。
【0041】
FVIII分子は、完全長分子であるか、またはBドメインの一部もしくは全体を欠いていてよい。
【0042】
本発明の1つの実施形態において、FVIII類似体は少なくとも30%の天然Bドメインを欠いている。もう1つの実施形態において、FVIII類似体は少なくとも50%の天然Bドメインを欠いており、さらなる実施形態において、FVIII類似体は約75〜約85%の天然Bドメインまたは約85〜約95%の天然Bドメインを欠いている。FVIII類似体は、Bドメインの全体を欠いていてもよい。
【0043】
1つの実施形態において、Bドメインにおける750位のセリン(S)残基から1636位のシステイン(C)残基のアミノ酸配列が欠失している。
もう1つの実施形態において、Bドメインにおける760位のスレオニン(T)残基から1639位のアスパラギン(N)残基のアミノ酸配列が欠失している。
【0044】
さらなる側面において、本発明は、本発明によるFVIII類似体を含んでなる医薬製剤に関する。
【0045】
さらなる側面において、本発明は、適切な量の本発明によるFVIII類似体を薬学的に許容可能なキャリアと共に含んでなる医薬製剤を、治療を必要とする患者に投与することにより血友病患者を治療するための方法に関する。
【0046】
さらなる実施形態において、FVIII製剤は少なくとも1週間に一度投与される。
さらなる実施形態において、FVIII製剤は一週間に一度だけ投与される。
【発明の詳細な説明】
【0047】
ヒト因子VIII遺伝子は、単離され、哺乳類の細胞中で発現され(Toole, J. J., et al., Nature 312:342-347および米国特許第4,757,006号)、アミノ酸配列はcDNAから推測される。米国特許第4,965,199号は、哺乳類の宿主細胞中で因子VIIIを産生し、ヒト因子VIIIを精製するための組換えDNA法について開示している。米国特許第4,868,112号は、Bドメインの一部または全部を欠失させるヒト因子VIIIの修飾について開示しており、米国特許第5,004,803号は、ヒト因子VIII Bドメインのヒト因子V Bドメインによる置換について開示している。
【0048】
ブタ因子VIIIのBおよびA2ドメインの一部のアミノ酸配列は、Toole, J. J., et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 83:5939-5942 (1986)により報告されている。ブタ因子VIIIの完全なA2ドメインをコードするcDNA配列および予測されるアミノ酸配列ならびにハイブリッドヒト/ブタ因子VIIIは、米国特許第5,364,771号に開示されている。WO 94/11503は、ブタ因子VIIIのA1およびA2ドメインのヌクレオチドおよび対応するアミノ酸配列、ならびに対応するヒトドメインに対して置換したブタA1および/またはA2ドメインを有するキメラ因子VIIIについて開示している。米国特許第5,859,204号は、ブタcDNAおよび推測されるアミノ酸配列について開示している。
【0049】
FVIIIを用いた本発明の血友病の治療は、通常、例えば抜歯または手術のような必要に基づいて注射される、約3週間の注射が含まれる。本発明の目的は、週に1回またはそれ以下のみ注射すればよい新しいFVIII類似体を開発することである。FVIIIは不活性な前形態(proform)として循環し、出血を停止させるときのみ活性形態FVIIIaに変換される。週に1回の投与に基づく予防的なFVIII治療を達成するための1つの方法は、患者の血流中におけるFVIIIの循環時間を延長させることである。この方法において、患者がいつでも正常な血液凝固状態であることを保証するために、活性化される用意ができているある一定レベルの不活性なFVIIIが常にある。
【0050】
本発明によるFVIII類似体は、1以上のN-グリコシル化部位を作る他のアミノ酸残基で1以上の天然アミノ酸残基を置換することおよび/またはこれらのドメインにおける1以上の天然アミノ酸残基をCys残基で置換することにより、A1および/またはA2ドメインにおいて修飾される。それ故、FVIII類似体は、分子中の天然アミノ酸残基の代わりに1以上のCys残基が挿入されることと合わせて、1以上のN-グリコシル化部位を作る1以上の置換を含んでもよい。
【0051】
ポリペプチド中に突然変異を導入する方法は、よく確立されており、さらに実施例において例示されている。
【0052】
挿入されたシステイン残基は、化学的な基の結合により修飾されてよい。挿入されたシステイン残基の修飾は、a)FVIIIポリペプチドの合成の間または後で、例えばグルタチオン(γ-グルタミルシステイニルグリシン)、γ-グルタミルシステイン、またはシステインを用いた混合性のジスルフィド結合形成、またはb)当業者に既知のチオール特異性の化学反応を用いた挿入されたシステイン残基のインビトロ修飾であってよい。
【0053】
システイン残基のSH基は、誘導体化のために適切な化学構造を示すため、特異的な化学反応は、因子VIII分子の他の部分に影響を与えないで行うことができる。それ故、この基において側鎖を結合させることができ、非誘導体化分子と比較して延長された半減期を有する因子VIII誘導体が得られる。そのような側鎖構造の例は、ポリエチレングリコール(PEGs)、脂肪酸、および炭水化物である。特異的な化学結合は、遊離のSH基の標識化に対して高い選択性を示す側鎖構造と結合した適切な反応性の部分により媒介される。システインに向けられた化学的な結合に対して一般的に使用される官能基には、マレイミド、ビニルスルホン、ヨードアセトアミド、およびオルトピリジルジスルフィドが含まれる。
【0054】
化学的な基とシステインアミノ酸残基との接合には、限定するものではないが、ポリエチレングリコール(PEG)、モノメトキシポリエチレングリコール、デキストラン、ポリ-(N-ビニルピロリドン)ポリエチレングリコール、プロピレングリコールホモポリマー、ポリプロピレンオキシド/エチレンオキシドコポリマー、ポリプロピレングリコール、ポリオキシエチル化ポリオール(例えばグリセロール)、およびポリビニルアルコール、コロミン酸または他の糖に基づくポリマー、アミノ酸のポリマー、およびビオチン誘導体の共有結合性の結合が含まれる。
【0055】
前記化学的な基は、典型的に、生体適合性であり、無毒であり、非免疫原性であり、且つ水溶性のポリマーである。好ましくは、前記化学的な基は、全ての割合で水溶性である。
【0056】
システイン残基に対してPEG基を結合させるための方法は、Roberts, M.J. et al, Advanced Drug Delivery Reviews 54 (2002) 459-476に記載されている。
【0057】
システイン残基に結合するために特に好ましい活性化PEGポリマーの特異的な例には、以下の直線的なPEGが含まれる:ビニルスルホン-mPEG (VS-mPEG)のようなビニルスルホン-PEG(VS-PEG); マレイミド-MPEG (MAL-mPEG)のようなマレイミド-PEG (MAL-PEG)、およびオルトピリジル-ジスルフィド- MPEG (OPSS-MPEG)のようなオルトピリジル-ジスルフィド-PEG(OPSS-PEG)が含まれる。典型的に、そのようなPEGまたはMPEGポリマーは、約5 kDa、約10 kD、約12 kDa、または約20 kDaのサイズである。
【0058】
システイン残基に対する化学的な基の接合(例えばPEG化)のために、FVIII類似体は、通常、PEG化の前にジチオスレイトール(DDT)のような還元剤で処理される。前記還元剤は続いて、脱塩のような通常の方法により除去される。システイン残基に対するPEG基の接合は、pH 6〜9の適切な緩衝液中、4℃〜25℃の温度で、16時間以内に行われる。
【0059】
適切な化学的な基の非限定的な例は、デンドリマー、ポリアルキレンオキシド(PAO)、ポリアルキレングリコール(PAG)、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリプロピレングリコール(PPG)、分枝状のPEGs、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリ-カルボキシレート、ポリ-ビニルピロリドン、ポリエチレン-co-マレイン酸無水物、ポリスチレン-co-マレイン酸無水物、デキストラン、カルボキシメチル-デキストラン;血清タンパク質結合リガンド、例えば、アルブミンに結合する化合物である脂肪酸、C5〜C24 脂肪酸、脂肪族二価酸(例えばC5〜C24)、グリカンが受容体(例えばアシアロ糖タンパク質受容体およびマンノース受容体)に結合するのを阻害する構造(例えばシアル酸誘導体もしくはその擬態)、カルボン酸またはアミンのような生理的な条件下で電荷の性質を変化させる部分を含有する小有機分子、またはより小さいアルキル置換基(例えばC1〜C5アルキル)のようなグリカン特異的な認識を妨げる中性置換基、1以上のカルボン酸、アミンスルホン酸、ホスホン酸、もしくはそれらの組み合わせを含有する低分子の有機的な電荷を持つラジカル(例えばC1〜C25);シクロデキストリンのような低分子の中性親水性分子(例えばC1〜C25)、または任意に分枝状であってよいポリエチレン鎖;平均分子量が2〜40 KDaであるポリエチレングリコール;約700〜約20.000 Daまたは約700〜約10.000 Da範囲の正確な分子量を有するデントリマーのようなよく定義された正確なポリマー;およびアルブミン、または抗体もしくは任意にFcドメインを含有する抗体の一部のような実質的に非免疫原性のポリペプチドである。
【0060】
A2ドメインLRP(484〜509)結合部位または空間的に近い部位におけるFVIII変異の例を表1に挙げる。本発明によるアミノ酸残基置換の非限定的な例は、表1に示す。
【表1】

【定義】
【0061】
「因子VIII」または「FVIII」は、ここで用いられる場合、内因性凝固経路の一員であり、且つ血液凝固に不可欠である血漿糖タンパク質を指す。
【0062】
「天然FVIII」は、配列番号1に示すような全長ヒトFVIII分子である。アミノ酸残基の位置の番号付けは、配列番号1に従い、最初のN-末端アミノ酸残基が1位である。特に示さない限り、ここで使用される場合、因子VIIIは、凝固において正常な役割を有する機能的なヒト因子VIIIタンパク質分子のいずれかを意味し、その断片、類似体、および誘導体が含まれる。発現FVIIIには、成熟したヒトFVIII、および特にBドメインにおいてヒトFVIIIから1以上のドメインまたは1以上のドメインの一部を欠いているFVIII類似体が含まれる。因子VIIIのサブユニットは、タンパク質の重鎖および軽鎖である。因子VIIIの重鎖3つのドメインA1、A2、およびBが含まれ、因子VIIIの軽鎖には、同様に3つのドメインA3、C1、およびC2が含まれる。因子VIIIは、配列A1-A2-B-A3-C1-C2-COO- Hを有する約300kDaの単鎖タンパク質として合成される。
【0063】
他に示さない限り、因子VIIIドメインには以下のアミノ酸残基が含まれる:残基Ala1から残基Arg372の領域であるA1;残基Ser373から残基Arg740の領域であるA2;残基Ser741から残基Arg1648の領域であるB;残基Ser1690から残基Ile2032の領域であるA3;残基Arg2033から残基Asn2172の領域であるC1;および残基Ser2173から残基Tyr2332の領域であるC2。A3-C1-C2配列には、残基Ser1690-Tyr2332が含まれる。残りの配列である残基Glu1649-Arg1689は、通常、因子VIII軽鎖活性化ペプチドとして示される。
【0064】
「Bドメイン欠失因子VIII」は、一部または全部の天然Bドメインを欠いている因子VIII分子である。Bドメイン欠失因子VIIIは、周知であり、米国特許第4,657,894号;米国特許第4,749,780号; 米国特許第5,661,008号; 米国特許第4,868,112号; 欧州特許第150,735号、および欧州特許第294,910号において開示されている。
【0065】
「FVIII半減期」は、血液循環中の因子VIIIの半減期を意味し、マウスまたはヒトのような動物において測定され、当業者に既知の標準方法による薬物動態学により決定される。ヒト因子VIIIは、約12〜14時間の半減期を有する。
【0066】
「FVIIIクリアランス部位」は、タンパク質の分解の原因である生理的な機構により認識されるFVIII分子上の領域として定義される。上述したLRPおよびHSPG認識部位が含まれる。
【0067】
「崩壊したクリアランス部位」は、上述した修飾の結果として、同種の受容体または相互作用の相手に対する結合性の低下を示すFVIII分子上のクリアランス部位として定義される。
【0068】
「FVIII活性」は、凝固カスケードにおいて機能する能力として定義され、活性化された血小板上においてFIXaとの相互作用を介してFXaの形成を引き起こし、血餅の形成を支持する。前記活性は、例えばManucci and Tripodi, "Factor VIII clotting activity" .E.C.A.T. assay procedures, London: Kluwer Academic Publishers, 1999に記載されているような血餅分析; Hemker et al., "The thrombogram: monitoring thrombin generation in platelet-rich plasma.", Thrombosis and haemostasis, vol. 83:589-591に記載されているような内因性のトロンビンポテンシャル分析;および当業者に既知の他の技術によりインビトロで評価される。
【0069】
「活性化されたヒト因子VIIIの活性と実質的に同じである因子VIIIの活性」という用語は、ヒトFVIIIの少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも100%であるFVIIIの活性を意味する。FVIII活性は、特に、ヒトFVIIIの約50〜約75%、約75〜約85%、約85〜約95%、および100%より大きい。
【0070】
「持効性(延長性)FVIII」は、天然ヒトFVIIIと比較して、投与後に患者において循環する時間が延長されたFVIII化合物を意味する。
【0071】
「N-グリコシル化部位」は、配列N-Xaa-S/Tを有し、ここでのXaaはプロリンを除くアミノ酸残基のいずれかであり、Nはアスパラギンであり、S/Tはセリンまたはスレオニンであり、好ましくはスレオニンである。
【0072】
「挿入されたアミノ酸残基」という用語は、天然アミノ酸残基を、天然FVIII分子のその位置には通常見られない他のアミノ酸残基で置換すること、および天然ヒトFVIII分子にアミノ酸残基を付加することの両方が含まれるものである。アミノ酸残基の付加は、2つの既存のアミノ酸残基の間または天然FVIII分子のNまたはC末端にあってよい。
【0073】
「LRP結合親和性」という用語は、ここで使用される場合、ヒトLRPに対するFVIIIポリペプチドの結合強度を意味する。FVIIIポリペプチドの親和性は、ビアコア(Biacore)技術(例7を参照)のような当該分野において周知の方法により測定される解離定数Kdにより評価される。LRP結合親和性は、好ましくは、例えば、ヒト因子VIIIの少なくとも1/2、少なくとも1/3、少なくとも1/4、少なくとも1/5、少なくとも1/6、少なくとも1/7、少なくとも1/8、少なくとも1/9、少なくとも1/10に減少する。
【0074】
「PEG化FVIII」という用語は、FVIII分子に接合したPEG分子を有するFVIIIを意味する。「システイン-PEG化FVIII」という用語は、FVIII分子に導入されたシステインのスルフヒドリル基に接合したPEG分子を有するFVIIIを意味する。「グリコPEG化FVIII」という用語は、FVIII分子上のグリカン構造に接合したPEG分子を有するFVIIIを意味する。
【0075】
使用されるアミノ酸置換に対する用語は以下の通りである。最初の文字は、ヒトFVIIIのある位置に本来存在するアミノ酸残基を表す。次の数字は、ヒトFVIIIにおける位置を示す。第2の文字は、天然アミノ酸に対して置換する異なるアミノ酸を意味する。例はK377Cであり、ヒトFVIIIの377位におけるリジンがシステインにより置換されたものである。
【0076】
本明細書において、アミノ酸の3文字または1文字表示は、表2に示すようにその通常の手法が使用される。さらに、ペプチドのアミノ酸配列の左端および右端は、他に示さない限り、それぞれN末端およびC末端である。
【表2】

【0077】
FVIII類似体は、組換え核酸技術により製造されてよい。一般的に、クローン化ヒト核酸配列は、望ましいFVIII類似体をコードするために修飾され、その後発現ベクターに挿入され、次に宿主細胞が形質転換またはトランスフェクションされる。より高等な真核細胞、特に培養された哺乳類の細胞は、宿主細胞として好ましい。ヒトFVIIIに対する完全なヌクレオチドおよびアミノ酸配列は既知であり、組換えヒトFVIIIのクローニングおよび発現について記載されている米国特許第4,965,199号を参照されたい。
【0078】
アミノ酸配列の変化は、種々の技術により達成されてよい。核酸配列の修飾は、部位特異的な突然変異誘発によりなされてよい。部位特異的な突然変異誘発に対する技術は、当該分野において周知であり、例えばZoller and Smith (DNA 3:479-488, 1984) または "Splicing by extension overlap", Horton et al., Gene 77, 1989, pp. 61-68に記載されている。それ故、FVIIIの核酸およびアミノ酸配列を用いて、一般的に変化を導入することができる。同様に、特異的なプライマーを用いたポリメラーゼ連鎖反応を使用してDNA構築物を調製する方法は当業者に周知である(cf. PCR Protocols, 1990, Academic Press, San Diego, California, USA)。
【0079】
本発明のFVIII類似体をコードする核酸構築物は、ゲノムまたはcDNA起源であってよく、例えばゲノムまたはcDNAのライブラリを準備することおよび標準技術に従った合成オリゴヌクレオチドプローブを用いたハイブリダイゼーションにより、FVIIIの全部または一部をコードするDNA配列をスクリーニングすることにより得られる(Sambrook et al., Molecular Cloning: A Laboratory Manual, 2nd. Ed. Cold Spring Harbor Labora-tory, Cold Spring Harbor, New York, 1989を参照されたい)。
【0080】
FVIIIポリペプチド類似体をコードする核酸構築物は、例えばBeaucage and Caruthers, Tetrahedron Letters 22 (1981), 1859 - 1869に記載されているホスホアミド法またはMatthes et al., EMBO Journal 3 (1984), 801 - 805に記載されている方法のような確立された標準法により、合成的に調製されてもよい。ホスホアミド法によると、オリゴヌクレオチドは、例えば自動DNA合成装置において合成され、精製され、アニールされ、ライゲートされ、適切なベクター中でクローン化される。ヒトFVIIIポリペプチドをコードするDNA配列は、例えば米国特許第4,683,202号、Saiki et al., Science 239 (1988), 487 - 491、または上述したSambrook et al.,に記載されているように、特異的なプライマーを用いたポリメラーゼ連鎖反応により調製されてもよい。
【0081】
さらに、前記核酸構築物は、合成、ゲノム、またはcDNAに由来する断片、核酸構築物全体の種々の部分に対応する断片を標準技術に従ってライゲートすることにより調製された、混合された合成およびゲノム由来、混合された合成およびcDNA由来、混合されたゲノムおよびcDNA由来であってよい。
【0082】
FVIIIポリペプチドをコードするDNA配列は、通常、都合よく組換えDNA手法の対象となり得るいずれのベクターであってもよい組換えベクターに導入され、ベクターの選択は、それが導入される宿主細胞に多くの場合依存する。それ故、前記ベクターは、自己複製ベクター、すなわち、染色体外の独立体として存在しており、その複製が染色体の複製から独立しているベクターであってよく、例えばプラスミドである。あるいは、前記ベクターは、宿主細胞に導入された場合、宿主細胞ゲノムに組み込まれ、組み込まれた染色体とともに複製されてもよい。
【0083】
前記ベクターは、好ましくは発現ベクターであり、FVIII類似体をコードするDNA配列は、DNAの転写に必要な付加的なセグメントと動作可能に結合する。一般的に、前記発現ベクターは、プラスミドもしくはウイルスDNAに由来するか、または両方の要素を含んでよい。「動作可能に結合した」という用語は、例えば、転写はプロモーターにおいて開始され、ポリペプチドをコードするDNA配列を介して行われるというような、意図された目的と機能が一致するようにセグメントが配列されることを指す。
【0084】
FVIII類似体の発現において使用される発現ベクターは、クローン化遺伝子またはcDNAの転写を指示することができるプロモーターを含んでなる。前記プロモーターは、選択された宿主細胞中で転写活性を示すいずれのDNA配列であってよく、宿主細胞に対して相同性または異種性のタンパク質をコードする遺伝子に由来してよい。
【0085】
哺乳動物細胞においてFVIII類似体をコードするDNAの転写を指示する適切なプロモーターの例は、SV40プロモーター(Subramani et al., Mol. Cell Biol. 1 (1981), 854-864)、MT-1 (メタロチオネイン遺伝子)プロモーター(Palmiter et al., Science 222 (1983), 809 - 814)、CMVプロモーター(Boshart et al., Cell 41:521-530, 1985)、またはアデノウイルス2型主要後期プロモーター(Kaufman and Sharp, Mol. Cell. Biol, 2:1304-1319, 1982)である。
【0086】
FVIII類似体をコードするDNA配列は、必要な場合、ヒト成長ホルモンターミネーター(Palmiter et al., Science 222, 1983, pp. 809-814)またはTPI1 (Alber and Kawasaki, J. Mol. Appl. Gen. 1, 1982, pp. 419-434)もしくはADH3 (McKnight et al., The EMBO J. 4, 1985, pp. 2093-2099)ターミネーターのような適切なターミネーターと動作可能に結合してもよい。発現ベクターは、プロモーターから下流でありFVIII配列自体の挿入部位からは上流に位置する一組のRNAスプライス部位を含んでもよい。好ましいRNAスプライス部位は、アデノウイルスおよび/または免疫グロブリン遺伝子から得られてよい。発現ベクター中には、前記挿入部位の下流に位置するポリアデニル化シグナルも含まれてよい。特に好ましいポリアデニル化シグナルには、SV40に由来する早期または遅発型のポリアデニル化シグナル (Kaufman and Sharp, ibid.)、アデノウイルス5 Elb領域、ヒト成長ホルモン遺伝子ターミネーターに由来するポリアデニル化シグナル(DeNoto et al. Nuc. Acids Res. 9:3719-3730, 1981)、またはヒトFVIII遺伝子に由来するポリアデニル化シグナルが含まれる。発現ベクターには、プロモーターおよびRNAスプライス部位の間に位置するアデノウイルス2 三分節系リーダー配列のような非翻訳ウイルスリーダー配列;およびSV40エンハンサーのようなエンハンサー配列も含まれる。
【0087】
本発明のFVIII類似体を宿主細胞の分泌経路に向けるために、分泌シグナル配列(リーダー配列、プレプロ配列、またはプレ配列としても既知である)は、組み換えベクター中に提供されてよい。前記分泌シグナル配列は、適切な読み取り枠において、FVIII類似体をコードするDNA配列に連結される。分泌シグナル配列は、一般に、ペプチドをコードするDNA配列の5’に位置する。前記分泌シグナル配列は、通常、タンパク質に付随するか、または他の分泌タンパク質をコードする遺伝子に由来してよい。
【0088】
FVIII類似体をコードするDNA配列、プロモーターおよび任意にターミネーター、および/または分泌シグナル配列をそれぞれライゲートするため、ならびにそれらを複製のために必要な情報を含む適切なベクター中へ挿入するための方法は、当業者に周知である(例えば、Sambrook et al., Molecular Cloning: A Laboratory Manual, Cold Spring Harbor, New York, 1989を参照されたい)。
【0089】
哺乳動物の細胞をトランスフェクトする方法および細胞に導入されたDNA配列を発現する方法は、例えば、Kaufman and Sharp, J. Mol. Biol. 159 (1982), 601 - 621; Southern and Berg, J. Mol. Appl. Genet. 1 (1982), 327 - 341; Loyter et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 79 (1982), 422 - 426; Wigler et al., Cell 14 (1978), 725; Corsaro and Pearson, Somatic Cell Genetics 7 (1981), 603, Graham and van der Eb, Virology 52 (1973), 456; および Neumann et al., EMBO J. 1 (1982), 841 - 845に記載されている。
【0090】
クローン化されたDNA配列は、例えば、リン酸カルシウムに媒介されるトランスフェクション(Wigler et al., Cell 14:725-732, 1978; Corsaro and Pearson, Somatic Cell Genetics 7:603-616, 1981; Graham and Van der Eb, Virology 52d:456-467, 1973)または電気穿孔法(Neumann et al., EMBO J. 1:841-845, 1982)により、培養された哺乳動物細胞中に導入される。外因性のDNAを発現する細胞を同定および選択するために、選択可能な表現型を示す遺伝子(選択可能なマーカー)が、一般的に、関心のある遺伝子またはcDNAと共に細胞に導入される。好ましい選択可能なマーカーには、ネオマイシン、ハイグロマイシン、およびメトトレキサートのような薬物に対する耐性を示す遺伝子が含まれる。前記選択可能なマーカーは、増幅可能な選択可能なマーカーであってよい。好ましい増幅可能な選択可能なマーカーは、ジヒドロ葉酸リダクターゼ(DHFR)配列である。選択可能なマーカーは、Thilly (Mammalian Cell Technology, Butterworth Publishers, Stoneham, MA, incorporated herein by reference)に概説されている。当業者は、容易に適切な選択可能なマーカーを選択することができるであろう。
【0091】
選択可能なマーカーは、問題とする遺伝子と同時に別々のプラスミドの細胞へ導入されてよく、または同じプラスミドへ導入されてもよい。このタイプの構築物は、当該分野において既知である(例えば、Levinson and Simonsen, 米国特許第 4,713,339号)。細胞に導入される混合物に、「キャリアDNA」として既知の付加的DNAを加えることは、有益である可能性がある。
【0092】
細胞がDNAを取り込んだ後、問題とする遺伝子の発現を開始するために、それらを適切な増殖培地において、典型的には1〜2日間増殖させる。ここで用いられる場合、「適切な増殖培地」という用語は、細胞の増殖およびFVIII類似体の発現に必要な栄養素および他の成分を含む培地を意味する。培地には、一般的に、炭素源、窒素源、必須アミノ酸、必須糖、ビタミン、塩、リン脂質、タンパク質、および成長因子が含まれる。薬剤選択は、選択可能なマーカーを安定に発現する細胞の培養のための選択に適用される。増幅可能である選択可能なマーカーをトランスフェクションした細胞に対して、薬剤濃度は、増加したコピー数のクローン化配列を選択するために増大してよく、その結果として、発現レベルが増加する。安定にトランスフェクションされた細胞のクローンは、その後、FVIII類似体の発現のためにスクリーニングされる。
【0093】
本発明において用いられる哺乳動物の細胞株の例は、COS-1 (ATCC CRL 1650)、ハムスター幼児腎臓(BHK)、および293 (ATCC CRL 1573; Graham et al., J. Gen. Virol. 36:59-72, 1977)細胞株である。好ましいBHK細胞株は、tk- ts13 BHK 細胞株(本明細書の一部として援用されるWaechter and Baserga, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 79:1106-1110, 1982)であり、以下ではBHK 570 細胞と称される。前記BHK 570細胞株は、ATCC 受付番号 CRL 10314として、アメリカンタイプカルチャーコレクション(American Type Culture Collection), 12301 Parklawn Dr., Rockville, Md. 20852に蓄積されている。tk- ts13 BHK細胞株は、受付番号CRL 1632としてATCCからも入手可能である。加えて、多数の他の細胞株が本発明の範囲内で使用されてよく、Rat Hep I (ラット肝細胞腫; ATCC CRL 1600)、 Rat Hep II (ラット肝細胞腫; ATCC CRL 1548)、TCMK (ATCC CCL 139)、ヒトの肺(ATCC HB 8065)、NCTC 1469 (ATCC CCL 9.1)、CHO (ATCC CCL 61)、およびDUKX細胞(Urlaub and Chasin, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 77:4216-4220, 1980)が含まれる。
【0094】
本発明のFVIII類似体は、細胞培地から回収され、限定するものではないが、クロマトグラフィー(例えば、イオン交換クロマトグラフィー、親和性クロマトグラフィー、疎水性クロマトグラフィー、等電点電気泳動、およびサイズ排除クロマトグラフィー)、電気泳動的な手法(例えば、分取等電点電気泳動(IEF)、溶解性の違い(例えば硫酸アンモニウム沈殿)、または抽出が含まれる、当該分野において既知の種々の手法により精製されてよい(例えば、Protein Purification, J.-C. Janson and Lars Ryden, editors, VCH Publishers, New York, 1989を参照されたい)。好ましくは、それらは抗FVIII抗体カラムを用いた親和性クロマトグラフィーにより精製されてよい。付加的な精製は、高速液体クロマトグラフィーのような通常の化学的な精製方法により達成されてよい。他の精製方法は、当該分野において既知であり、ここで述べられている新規のFVIIIポリペプチドの精製に適用されてよい(例えばScopes, R., Protein Purification, Springer-Verlag, N.Y., 1982を参照されたい)。
【0095】
治療的な目的のために、FVIII類似体は、少なくとも約90〜95%の均一性、好ましくは少なくとも約98%の均一性まで精製されることが好ましい。純度は、例えばゲル電気泳動およびアミノ末端アミノ酸シークエンシングにより評価されてよい。
【0096】
もう1つの側面において、本発明は、使用前に医師または患者が溶媒および/または希釈剤を加える、乾燥形態のFVIII類似体を含んでなる医薬製剤に関する。「乾燥形態」は、液体医薬組成物または製剤が、凍結乾燥(freeze drying)(例えば凍結乾燥(lyophilization);例えばWilliams and Polli (1984) J. Parenteral Sci. Technol. 38:48-59を参照されたい)、噴霧乾燥(Masters (1991) in Spray-Drying Handbook (5th ed; Longman Scientific and Technical, Essez, U.K. ), pp. 491-676; Broadhead et al. (1992) Drug Devel. Ind. Pharm. 18:1169-1206; and Mumenthaler et al. (1994) Pharm. Res. 11:12-20を参照されたい)、または風乾(Carpenter and Crowe (1988) Cryobiology 25:459-470; and Roser (1991) Biopharm. 4:47-53)により乾燥されることを意図するものである。
【0097】
さらなる側面において、本発明は、FVIII類似体の水溶液および緩衝剤を含んでなる医薬製剤に関し、前記FVIII類似体は0.01 mg/ml以上の濃度で存在し、前記製剤は約2.0〜約10.0のpHである。
【0098】
本発明のさらなる実施形態において、前記緩衝剤は、酢酸ナトリウム、炭酸ナトリウム、クエン酸塩、グリシルグリシン、ヒスチジン、グリシン、リジン、アルギニン、リン酸二水素ナトリウム、リン酸水素二ナトリウム、リン酸ナトリウム、およびトリス(ヒドロキシメチル)-アミノメタン、ビシン、トリシン、リンゴ酸、コハク酸塩、マレイン酸、フマル酸、酒石酸、アスパラギン酸、またはそれらの混合物からなる群より選択される。これら特異的な緩衝剤のそれぞれが本発明の代替の実施形態を構成する。
【0099】
本発明のさらなる実施形態において、前記製剤は、薬学的に許容可能な保存剤をさらに含んでなる。本発明のさらなる実施形態において、前記保存剤は、フェノール、o-クレゾール、m-クレゾール、p-クレゾール、メチルp-ヒドロキシベンゾエート、プロピルp-ヒドロキシベンゾエート、2-フェノキシエタノール、ブチル p-ヒドロキシベンゾエート、2-フェニルエタノール、ベンジルアルコール、クロロブタノール、チオメロサール、ブロノポール、安息香酸、イミドウレア、クロロヘキシジン、デヒドロ酢酸ナトリウム、クロロクレゾール、エチルp-ヒドロキシベンゾエート、塩化ベンゼトニウム、クロルフェネシン(3p-クロロフェノキシプロパン-1,2-ジオール)、またはそれらの混合物からなる群より選択される。本発明のさらなる実施形態において、前記保存剤は、0.1 mg/ml〜20 mg/mlの濃度で存在する。本発明のさらなる実施形態において、前記保存剤は、0.1 mg/ml〜5 mg/mlの濃度で存在する。本発明のさらなる実施形態において、前記保存剤は、5 mg/ml〜10 mg/mlの濃度で存在する。本発明のさらなる実施形態において、前記保存剤は、10 mg/ml〜20 mg/mlの濃度で存在する。これらの保存剤のそれぞれは、本発明の代替の実施形態を構成する。医薬組成物中における保存剤の使用は、当業者に周知である。好都合な参考文献は、Remington: The Science and Practice of Pharmacy, 19th edition, 1995である。
【0100】
本発明のさらなる実施形態において、前記製剤は等張化剤をさらに含んでなる。本発明のさらなる実施形態において、前記等張化剤は、塩(例えば塩化ナトリウム)、糖または糖アルコール、アミノ酸(例えば、L-グリシン、L-ヒスチジン、アルギニン、リジン、イソロイシン、アスパラギン酸、トリプトファン、スレオニン)、アルジトール(例えば、グリセロール(グリセリン)、1,2-プロパンジオール(プロピレングリコール)、1,3-プロパンジオール、1,3-ブタンジオール)、ポリエチレングリコール(例えば PEG400)、またはそれらの混合物からなる群より選択される。例えば、フルクトース、グルコース、マンノース、ソルボース、キシロース、マルトース、ラクトース、ショ糖、トレハロース、デキストラン、プルラン、デキストリン、シクロデキストリン、可溶性デンプン、ヒドロキシエチルスターチ、およびカルボキシメチルセルロース-Naを含む、単糖類、二糖類、もしくは多糖類、または水溶性グルカンのような任意の糖が使用されてよい。1つの実施形態において、前記糖添加物はショ糖である。糖アルコールは、少なくとも1のOH基を有するC4〜C8炭化水素と定義され、例えば、マンニトール、ソルビトール、イノシトール、ガラクチトール、ダルシトール、キシリトール、およびアラビトールが含まれる。1つの実施形態において、前記糖アルコール添加物はマンニトールである。上述の糖または糖アルコールは、単独または組み合わせて用いられてよい。糖または糖アルコールが液体製剤に溶解し、本発明の方法を用いて達成される安定作用に不利な影響を与えない限り、使用量に固定された制限はない。1つの実施形態において、前記糖または糖アルコールの濃度は、約1 mg/ml〜約150 mg/mlである。本発明のさらなる実施形態において、前記等張化剤は、1 mg/ml〜50 mg/mlの濃度で存在する。本発明のさらなる実施形態において、前記等張化剤は、1 mg/ml〜7 mg/mlの濃度で存在する。本発明のさらなる実施形態において、前記等張化剤は、8 mg/ml〜24 mg/mlの濃度で存在する。本発明のさらなる実施形態において、前記等張化剤は、25 mg/ml〜50 mg/mlの濃度で存在する。これら特異的な等張化剤のそれぞれは、本発明の代替の実施形態を構成する。医薬組成物中の等張化剤の使用は、当業者に周知である。好都合な参考文献は、Remington: The Science and Practice of Pharmacy, 19th edition, 1995である。
【0101】
本発明のさらなる実施形態において、前記製剤は、さらにキレート化剤を含んでなる。本発明のさらなる実施形態において、前記キレート化剤は、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、クエン酸、およびアスパラギン酸、ならびにそれらの混合物から選択される。本発明のさらなる実施形態において、前記キレート化剤は、0.1 mg/ml〜5 mg/mlの濃度で存在する。本発明のさらなる実施形態において、前記キレート化剤は、0.1 mg/ml〜2 mg/mlの濃度で存在する。本発明のさらなる実施形態において、前記キレート化剤は、2 mg/ml〜5 mg/mlの濃度で存在する。これら特異的なキレート化剤のそれぞれは、本発明の代替の実施形態を構成する。医薬組成物におけるキレート化剤の使用は、当業者に周知である。好都合な参考文献は、Remington: The Science and Practice of Pharmacy, 19th edition, 1995である。
【0102】
本発明のさらなる実施形態において、前記製剤は、安定化剤をさらに含んでなる。医薬組成物における安定化剤の使用は、当業者に周知である。好都合な参考文献は、Remington: The Science and Practice of Pharmacy, 19th edition, 1995である。
【0103】
本発明の医薬組成物には、該組成物の貯蔵の間のポリペプチドによる凝集体形成を減少させるのに十分な、ある一定量のアミノ酸塩基も含まれてよい。「アミノ酸塩基」により、アミノ酸またはアミノ酸の組み合わせが意図されており、与えられたアミノ酸は、遊離塩基またはその塩の形態で存在する。アミノ酸の組み合わせが使用される場合、全てのアミノ酸が遊離塩基の形態であるか、全てが塩の形態であるか、またはいくらかは遊離塩基の形態であり、残りが塩の形態であってもよい。1つの実施形態において、本発明の組成物の調製において用いられるアミノ酸は、アルギニン、リジン、アスパラギン酸、およびグルタミン酸のような電荷を帯びた側鎖を有している。特定のアミノ酸(例えば、グリシン、メチオニン、ヒスチジン、イミダゾール、アルギニン、リジン、イソロイシン、アスパラギン酸、トリプトファン、スレオニン、およびそれらの混合物)の立体異性体(すなわち、L、D、もしくはDL異性体)またはこれらの立体異性体の組み合わせは、前記特定のアミノ酸がその遊離塩基の形態またはその塩の形態である限り、本発明の医薬組成物中に存在してよい。1つの実施形態において、L-立体異性体が用いられる。本発明の組成物は、これらのアミノ酸の類似体を用いて構築されてもよい。「アミノ酸類似体」により、本発明の液体医薬組成物の貯蔵の間のポリペプチドによる凝集体形成を減少させる望ましい効果をもたらす、天然アミノ酸の誘導体が意図される。適切なアルギニン類似体には、例えば、アミノグアニジン、オルニチン、およびN-モノエチル L-アルギニンが含まれ、適切なメチオニン類似体には、エチオニンおよびブチオニンが含まれ、適切なシステイン類似体には、S-メチル-L-システインが含まれる。他のアミノ酸を用いた場合、前記アミノ酸類似体は、それらの遊離塩基の形態またはそれらの塩の形態で組成物に組み込まれる。本発明のさらなる実施形態において、前記アミノ酸またはアミノ酸類似体は、タンパク質の凝集を防ぐまたは遅延させるのに十分な濃度で用いられる。
【0104】
本発明のさらなる実施形態において、メチオニン(または他の含硫アミノ酸もしくはアミノ酸類似体)は、治療薬として作用するポリペプチドが少なくとも1の酸化されやすいメチオニン残基を含んでなる場合、メチオニン残基のメチオニンスルホキシドへの酸化を阻止するために加えられてよい。「阻止する」とは、一定時間に渡る、メチオニン酸化種の最小の蓄積が意図される。メチオニン酸化を阻害することは、適切な分子形態のポリペプチドのより良い保持を結果として生じる。メチオニンの立体異性体(L、D、もしくはDL異性体)またはそれらの組み合わせが用いられてよい。加えられる量は、メチオニンスルホキシドの量が調節性の作用に対して許容可能であるように、メチオニン残基の酸化を阻害するのに十分な量であるべきである。典型的に、これは、前記組成物が約10%〜約30%以下のメチオニンスルホキシドを含むことを意味する。一般的にこれは、メチオニン残基に加えられるメチオニンの割合が、約10:1〜約100:1のように、約1:1〜1000:1の範囲になるようにメチオニンを加えることにより達成することができる。
【0105】
本発明のさらなる実施形態において、前記製剤は、高分子量ポリマーまたは低分子化合物の群から選択される安定化剤をさらに含んでなる。本発明のさらなる実施形態において、前記安定化剤は、ポリエチレングリコール(例えばPEG 3350)、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリビニルピロリドン、カルボキシ-/ヒドロキシセルロースまたはそれらの誘導体(例えばHPC、HPC-SL、HPC-L、およびHPMC)、シクロデキストリン、モノチオグリセロール、チオグリコール酸、および2-メチルチオエタノールのような硫黄含有物質、ならびに異なる塩 (例えば塩化ナトリウム)から選択される。これらの特異的な安定化剤のそれぞれは、本発明の代替の実施形態を構成する。
【0106】
前記医薬組成物には、治療的に活性のあるポリペプチドの安定性をさらに強化する付加的な安定化剤も含まれてよい。本発明に特に関連する安定化剤には、限定するものではないが、メチオニン酸化に対してポリペプチドを保護するメチオニンおよびEDTA、ならびに凍結-融解または機械的せん断に付随する凝集に対してポリペプチドを保護する非イオン性界面活性剤が含まれる。
【0107】
本発明のさらなる実施形態において、前記製剤は、さらに界面活性剤を含んでなる。前記界面活性剤は、洗剤、エトキシル化ヒマシ油、ポリグリコール化グリセリド、アセチル化モノグリセリド、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシプロピレン-ポリオキシエチレンブロックポリマー (例えば、プルロニック(Pluronic)F68(登録商標)、ポロキサマー 188および407、トリトン X-100のようなポロキサマー)、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、アルキル化およびアルコキシル化誘導体のようなポリオキシエチレンおよびポリエチレン誘導体(例えば、ツイーン-20、ツイーン-40、ツイーン-80のようなツイーンおよびBrij-35)、モノグリセリドもしくはそれらのエトキシル化誘導体、ジグリセリドもしくはそれらのポリオキシエチレン誘導体、アルコール、グリセロール、レクチンおよびリン脂質(例えば、ホスファチジルセリン、ホスファチジルコリン、ホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジルイノシトール、ジホスファチジルグリセロール、およびスフィンゴミエリン)、リン脂質の誘導体(例えばジパルミトイルホスファチジン酸)およびリゾリン脂質の誘導体(例えば、パルミトイルリゾホスファチジル-L-セリンおよびエタノールアミン、コリン、セリン、もしくはスレオニンの1-アシル-sn-グリセロ-3-リン酸エステル)、例えばリゾホスファチジルコリンのラウロイルおよびミリストイル誘導体、ジパルミトイルホスファチジルコリン、ならびにコリン、エタノールアミン、ホスファチジン酸、セリン、スレオニン、グリセロール、イノシトールである極性頭部の修飾のようなリゾホスファチジルおよびホスファチジルコリンのアルキル、アルコキシル(アルキルエステル)、アルコキシ(アルキルエーテル)-誘導体、および陽性に帯電したDODAC、DOTMA、DCP、BISHOP、リゾホスファチジルセリンおよびリゾホスファチジルスレオニン、およびグリセロリン脂質(例えばセファリン)、グリセロ糖脂質(例えばガラクトピラノシド)、スフィンゴ糖脂質(例えばセラミド、ガングリオシド)、ドデシルホスホコリン、雌鶏卵リゾレシチン、フシジン酸誘導体- (例えば、タウロ-ジヒドロフシジン酸ナトリウム等)、長鎖脂肪酸およびそれらのC6〜C12の塩 (例えば、オレイン酸およびカプリル酸)、アシルカルニチンおよび誘導体、リジン、アルギニン、もしくはヒスチジンのNα-アシル化誘導体、またはリジンもしくはアルギニンの側鎖アシル化誘導体、リジン、アルギニン、もしくはヒスチジンおよび中性もしくは酸性アミノ酸の任意の組み合わせを含むジペプチドのNα-アシル化誘導体、中性アミノ酸および2つの電荷を有するアミノ酸の組み合わせを含んでなるトリペプチドのNα-アシル化誘導体、DSS (ドキュセートナトリウム;CAS 登録番号[577-11-7])、ドキュセートカルシウム;CAS 登録番号[128-49-4])、ドキュセートカリウム;CAS登録番号[7491-09-0])、SDS (ドデシル硫酸ナトリウムもしくはラウリル硫酸ナトリウム)、カプリル酸ナトリウム、コール酸もしくはそれらの誘導体、胆汁酸およびそれらの塩ならびにグリシンもしくはタウリン抱合体、ウルソデオキシコール酸、コール酸ナトリウム、デオキシコール酸ナトリウム、タウロコール酸ナトリウム、グリココール酸ナトリウム、N-ヘキサデシル-N,N-ジメチル-3-アンモニオ-1-プロパンスルホネート、陰イオン性(アルキル-アリール-スルホネート)一価界面活性剤、両性イオン性界面活性剤(例えば、N-アルキル-N,N-ジメチルアンモニオ-1-プロパンスルホネート、3-コールアミド-1-プロピルジメチルアンモニオ-1-プロパンスルホネート、陽イオン性界面活性剤(4級アンモニウム塩基) (例えば、セチルトリメチルアンモニウムブロミド、セチルピリジニウムクロリド)、非イオン性界面活性剤(例えばドデシルβ-D-グルコピラノシド)、プロピレンオキシドおよびエチレンオキシドの、エチレンジアミンに対する逐次付加に由来する四官能ブロック共重合体であるポロキサミン(例えばテトロニクス(Tetronic’s))、またはイミダゾリン誘導体の群から選択されてよい界面活性剤、あるいはそれらの混合物から選択される。これらの特異的な界面活性剤のそれぞれは、本発明の代替の実施形態を構成する。
【0108】
医薬組成物における界面活性剤の使用は、当業者に周知である。好都合な参考文献は、Remington: The Science and Practice of Pharmacy, 19th edition, 1995である。
【0109】
本発明のペプチド医薬製剤中に他の成分が存在することは可能である。そのような付加的成分には、湿潤剤、乳化剤、酸化防止剤、充填剤、張度調節因子、キレート化剤、金属イオン、油性溶媒、タンパク質(例えば、ヒト血清アルブミン、ゼラチン、またはタンパク質)、および双性イオン(例えば、ベタイン、タウリン、アルギニン、グリシン、リジン、およびヒスチジンのようなアミノ酸)が含まれてよい。そのような付加的な成分は、もちろん、本発明の医薬製剤の全体的な安定性に不利な影響を与えるべきでない。
【0110】
非経口的な投与は、シリンジ、任意にペン様シリンジを用いて、皮下、筋肉内、腹腔内、または静脈内に注射されてよい。あるいは、非経口的な投与は、輸液ポンプを用いて行われてよい。さらなる選択肢としては、鼻腔または肺のスプレー剤の形態でFVIII化合物を投与するための溶液または懸濁液であってよい組成物である。さらなる選択肢として、本発明のFVIII化合物を含む医薬組成物は、例えば針なしの注射もしくはパッチ、任意にイオン泳動的なパッチを用いた経皮投与、または、例えば頬のような経粘膜投与も適用され得る。
【0111】
全長の因子FVIIIは、以下の配列を有する(配列番号1):
ATRRYYLGAVELSWDYMQSDLGELPVDARFPPRVPKSFPFNTSVVYKKTLFVEFTDHLFNIAKPRPPWMGLLGPTIQAEVYDTVVITLKNMASHPVSLHAVGVSYWKASEGAEYDDQTSQREKEDDKVFPGGSHTYVWQVLKENGPMASDPLCLTYSYLSHVDLVKDLNSGLIGALLVCREGSLAKEKTQTLHKFILLFAVFDEGKSWHSETKNSLMQDRDAASARAWPKMHTVNGYVNRSLPGLIGCHRKSVYWHVIGMGTTPEVHSIFLEGHTFLVRNHRQASLEISPITFLTAQTLLMDLGQFLLFCHISSHQHDGMEAYVKVDSCPEEPQLRMKNNEEAEDYDDDLTDSEMDVVRFDDDNSPSFIQIRSVAKKHPKTWVHYIAAEEEDWDYAPLVLAPDDRSYKSQYLNNGPQRIGRKYKKVRFMAYTDETFKTREAIQHESGILGPLLYGEVGDTLLIIFKNQASRPYNIYPHGITDVRPLYSRRLPKGVKHLKDFPILPGEIFKYKWTVTVEDGPTKSDPRCLTRYYSSFVNMERDLASGLIGPLLICYKESVDQRGNQIMSDKRNVILFSVFDENRSWYLTENIQRFLPNPAGVQLEDPEFQASNIMHSINGYVFDSLQLSVCLHEVAYWYILSIGAQTDFLSVFFSGYTFKHKMVYEDTLTLFPFSGETVFMSMENPGLWILGCHNSDFRNRGMTALLKVSSCDKNTGDYYEDSYEDISAYLLSKNNAIEPRSFSQNSRHPSTRQKQFNATTIPENDIEKTDPWFAHRTPMPKIQNVSSSDLLMLLRQSPTPHGLSLSDLQEAKYETFSDDPSPGAIDSNNSLSEMTHFRPQLHHSGDMVFTPESGLQLRLNEKLGTTAATELKKLDFKVSSTSNNLISTIPSDNLAAGTDNTSSLGPPSMPVHYDSQLDTTLFGKKSSPLTESGGPLSLSEENNDSKLLESGLMNSQESSWGKNVSSTESGRLFKGKRAHGPALLTKDNALFKVSISLLKTNKTSNNSATNRKTHIDGPSLLIENSPSVWQNILESDTEFKKVTPLIHDRMLMDKNATALRLNHMSNKTTSSKNMEMVQQKKEGPIPPDAQNPDMSFFKMLFLPESARWIQRTHGKNSLNSGQGPSPKQLVSLGPEKSVEGQNFLSEKNKVVVGKGEFTKDVGLKEMVFPSSRNLFLTNLDNLHENNTHNQEKKIQEEIEKKETLIQENVVLPQIHTVTGTKNFMKNLFLLSTRQNVEGSYDGAYAPVLQDFRSLNDSTNRTKKHTAHFSKKGEEENLEGLGNQTKQIVEKYACTTRISPNTSQQNFVTQRSKRALKQFRLPLEETELEKRIIVDDTSTQWSKNMKHLTPSTLTQIDYNEKEKGAITQSPLSDCLTRSHSIPQANRSPLPIAKVSSFPSIRPIYLTRVLFQDNSSHLPAASYRKKDSGVQESSHFLQGAKKNNLSLAILTLEMTGDQREVGSLGTSATNSVTYKKVENTVLPKPDLPKTSGKVELLPKVHIYQKDLFPTETSNGSPGHLDLVEGSLLQGTEGAIKWNEANRPGKVPFLRVATESSAKTPSKLLDPLAWDNHYGTQIPKEEWKSQEKSPEKTAFKKKDTILSLNACESNHAIAAINEGQNKPEIEVTWAKQGRTERLCSQNPPVLKRHQREITRTTLQSDQEEIDYDDTISVEMKKEDFDIYDEDENQSPRSFQKKTRHYFIAAVERLWDYGMSSSPHVLRNRAQSGSVPQFKKVVFQEFTDGSFTQPLYRGELNEHLGLLGPYIRAEVEDNIMVTFRNQASRPYSFYSSLISYEEDQRQGAEPRKNFVKPNETKTYFWKVQHHMAPTKDEFDCKAWAYFSDVDLEKDVHSGLIGPLLVCHTNTLNPAHGRQVTVQEFALFFTIFDETKSWYFTENMERNCRAPCNIQMEDPTFKENYRFHAINGYIMDTLPGLVMAQDQRIRWYLLSMGSNENIHSIHFSGHVFTVRKKEEYKMALYNLYPGVFETVEMLPSKAGIWRVECLIGEHLHAGMSTLFLVYSNKCQTPLGMASGHIRDFQITASGQYGQWAPKLARLHYSGSINAWSTKEPFSWIKVDLLAPMIIHGIKTQGARQKFSSLYISQFIIMYSLDGKKWQTYRGNSTGTLMVFFGNVDSSGIKHNIFNPPIIARYIRLHPTHYSIRSTLRMELMGCDLNSCSMPLGMESKAISDAQITASSYFTNMFATWSPSKARLHLQGRSNAWRPQVNNPKEWLQVDFQKTMKVTGVTTQGVKSLLTSMYVKEFLISSSQDGHQWTLFFQNGKVKVFQGNQDSFTPVVNSLDPPLLTRYLRIHPQSWVHQIALRMEVLGCEAQDLY。
【0112】
pTT5における配列F8-500(突然変異なし)は、以下の配列を有する(配列番号2):
gtacatttatattggctcatgtccaatatgaccgccatgttgacattgattattgactagttattaatagtaatcaattacggggtcattagttcatagcccatatatggagttccgcgttacataacttacggtaaatggcccgcctggctgaccgcccaacgacccccgcccattgacgtcaataatgacgtatgttcccatagtaacgccaatagggactttccattgacgtcaatgggtggagtatttacggtaaactgcccacttggcagtacatcaagtgtatcatatgccaagtccgccccctattgacgtcaatgacggtaaatggcccgcctggcattatgcccagtacatgaccttacgggactttcctacttggcagtacatctacgtattagtcatcgctattaccatggtgatgcggttttggcagtacaccaatgggcgtggatagcggtttgactcacggggatttccaagtctccaccccattgacgtcaatgggagtttgttttggcaccaaaatcaacgggactttccaaaatgtcgtaataaccccgccccgttgacgcaaatgggcggtaggcgtgtacggtgggaggtctatataagcagagctcgtttagtgaaccgtcagatcctcactctcttccgcatcgctgtctgcgagggccagctgttgggctcgcggttgaggacaaactcttcgcggtctttccagtactcttggatcggaaacccgtcggcctccgaacggtactccgccaccgagggacctgagcgagtccgcatcgaccggatcggaaaacctctcgagaaaggcgtctaaccagtcacagtcgcaaggtaggctgagcaccgtggcgggcggcagcgggtggcggtcggggttgtttctggcggaggtgctgctgatgatgtaattaaagtaggcggtcttgagacggcggatggtcgaggtgaggtgtggcaggcttgagatccagctgttggggtgagtactccctctcaaaagcgggcattacttctgcgctaagattgtcagtttccaaaaacgaggaggatttgatattcacctggcccgatctggccatacacttgagtgacaatgacatccactttgcctttctctccacaggtgtccactcccaggtccaagtttaaacggatctctagcgaattccctctagagggcccgtttctgctagcaagcttgctagcggccgcgtttaactggtaagtttagtctttttgtcttttatttcaggtcccggatcgaagcttggctgcaggtcgacgccaccatggaaatagagctctccacctgcttctttctgtgccttttgcgattctgctttagtgccaccagaagatactacctgggtgcagtggaactgtcatgggactatatgcaaagtgatctcggtgagctgcctgtggacgcaagatttcctcctagagtgccaaaatcttttccattcaacacctcagtcgtgtacaaaaagactctgtttgtagaattcacggatcaccttttcaacatcgctaagccaaggccaccctggatgggtctgctaggtcctaccatccaggctgaggtttatgatacagtggtcattacacttaagaacatggcttcccatcctgtcagtcttcatgctgttggtgtatcctactggaaagcttctgagggagctgaatatgatgatcagaccagtcaaagggagaaagaagatgataaagtcttccctggtggaagccatacatatgtctggcaggtcctgaaagagaatggtccaatggcctctgacccactgtgccttacctactcatatctttctcatgtggacctggtaaaagacttgaattcaggcctcattggagccctactagtatgtagagaagggagtctggccaaggaaaagacacagaccttgcacaaatttatactactttttgctgtatttgatgaagggaaaagttggcactcagaaacaaagaactccttgatgcaggatagggatgctgcatctgctcgggcctggcctaaaatgcacacagtcaatggttatgtaaacaggtctctgccaggtctgattggatgccacaggaaatcagtctattggcatgtgattggaatgggcaccactcctgaagtgcactcaatattcctcgaaggtcacacatttcttgtgaggaaccatcgccaggcgtccttggaaatctcgccaataactttccttactgctcaaacactcttgatggaccttggacagtttctactgttttgtcatatctcttcccaccaacatgatggcatggaagcttatgtcaaagtagacagctgtccagaggaaccccaactacgaatgaaaaataatgaagaagcggaagactatgatgatgatcttactgattctgaaatggatgtggtcaggtttgatgatgacaactctccttcctttatccaaattcgctcagttgccaagaagcatcctaaaacttgggtacattacattgctgctgaagaggaggactgggactatgctcccttagtcctcgcccccgatgacagaagttataaaagtcaatatttgaacaatggccctcagcggattggtaggaagtacaaaaaagtccgatttatggcatacacagatgaaacctttaagactcgtgaagctattcagcatgaatcaggaatcttgggacctttactttatggggaagttggagacacactgttgattatatttaagaatcaagcaagcagaccatataacatctaccctcacggaatcactgatgtccgtcctttgtattcaaggagattaccaaaaggtgtaaaacatttgaaggattttccaattctgccaggagaaatattcaaatataaatggacagtgactgtagaagatgggccaactaaatcagatcctcggtgcctgacccgctattactctagtttcgttaatatggagagagatctagcttcaggactcattggccctctcctcatctgctacaaagaatctgtagatcaaagaggaaaccagataatgtcagacaagaggaatgtcatcctgttttctgtatttgatgagaaccgaagctggtacctcacagagaatatacaacgctttctccccaatccagctggagtgcagcttgaggatccagagttccaagcctccaacatcatgcacagcatcaatggctatgtttttgatagtttgcagttgtcagtttgtttgcatgaggtggcatactggtacattctaagcattggagcacagactgacttcctttctgtcttcttctctggatataccttcaaacacaaaatggtctatgaagacacactcaccctattcccattctcaggagaaactgtcttcatgtcgatggaaaacccaggtctatggattctggggtgccacaactcagactttcggaacagaggcatgaccgccttactgaaggtttctagttgtgacaagaacactggtgattattacgaggacagttatgaagatatttcagcatacttgctgagtaaaaacaatgccattgaaccaagaagcttctcccagaattcgcgacaccctagccaaaacccaccggtcttgaaacgccatcaacgggagatcactcgtactactcttcagtctgatcaagaggaaattgactatgatgataccatatcagttgaaatgaagaaggaagattttgacatttatgatgaggatgaaaatcagagcccccgcagctttcaaaagaaaacacgacactattttattgctgcagtggagaggctctgggattatgggatgagtagctccccacatgttctaagaaacagggctcagagtggcagtgtccctcagttcaagaaagttgttttccaggaatttactgatggctcctttactcagcccttataccgtggagaactaaatgaacatttgggactcctggggccatatataagagcagaagttgaagataatatcatggtaactttcagaaatcaggcctctcgtccctattccttctattctagccttatttcttatgaggaagatcagaggcaaggagcagaacctagaaaaaactttgtcaagcctaatgaaaccaaaacttacttttggaaagtgcaacatcatatggcacccactaaagatgagtttgactgcaaagcctgggcttatttctctgatgttgacctggaaaaagatgtgcactcaggcctgattggaccccttctggtctgccacactaacacactgaaccctgctcatgggagacaagtgacagtacaggaatttgctctgtttttcaccatctttgatgagaccaaaagctggtacttcactgaaaatatggaaagaaactgcagggctccctgcaatatccagatggaagatcccacttttaaagagaattatcgcttccatgcaatcaatggctacataatggatacactacctggcttagtaatggctcaggatcaaaggattcgatggtatctgctcagcatgggcagcaatgaaaacatccattctattcatttcagtggacatgtgttcactgtacgaaaaaaagaggagtataaaatggcactgtacaatctctatccaggtgtttttgagacagtggaaatgttaccatccaaagctggaatttggcgggtggaatgccttattggcgagcatctacatgctgggatgagcacactttttctggtgtacagcaataagtgtcagactcccctgggaatggcttctggacacattagagattttcagattacagcttcaggacaatatggacagtgggccccaaagctggccagacttcattattccggatcaatcaatgcctggagcaccaaggagcccttttcttggatcaaggtggatctgttggcaccaatgattattcacggcatcaagacccagggtgcccgtcagaagttctccagcctctacatc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【0113】
出版物、特許出願、および特許が含まれる全ての参考文献は、各参考文献が個々におよび特に本明細書の一部として援用されることが示された場合、およびその全体がここで示された場合と同じ範囲で、それらの全体が本明細書の一部として援用される(法律によって許容される最大範囲)。
【0114】
全ての表題および副題は、便宜上のためだけに使用され、本発明を限定するものとして解釈されるべきではない。
【0115】
ここで提供される全ての例または例示的な用語(例えば「〜のような」)は、単に本発明をより明確にすることを意図しており、他に示さない限り本発明の範囲を限定するものではない。明細書中に用語がないことは、本発明の実施に不可欠な、権利請求しない要素を指すものとして解釈されるべきである。
【0116】
ここでの特許文献の引用および援用は、便宜上のためになされるのみであり、そのような特許文献の妥当性、特許性、および/または実施可能性に対する見解を示すものではない。
【0117】
本発明には、適用可能な法律により許容される場合、付属したクレームに列挙された発明特定事項の全ての修飾および均等物が含まれる。
【実施例】
【0118】
例1:Bドメイン欠失FVIII変異体の構築
A2ドメインLRP結合部位の中、または空間的に近い位置にN-グリコシル化部位またはシステイン残基を導入するために、制限酵素SalIおよびKpnIを用いて、1828bp FVIII重鎖断片をpTT5におけるF8-500 (配列番号2) (Bドメイン欠失FVIIIをコードする)からpブルースクリプト(Bluescript) II SK+にサブクローニングした。全ての変異は、クイックチェンジ(QuikChange:登録商標)部位特異的変異誘発キット(Stratagene, La Jolla, CA)を用いて導入した。望ましいヌクレオチド変化を提供する相補的なプライマー(プライマー1およびプライマー2と示す)が設計され、表3に示す。変異が確認された配列は、制限酵素SalIおよびKpnIを用いて、pブルースクリプト II SK+からpTT5におけるF8-500に戻してサブクローニングした。pTT5における変異の確認は、シークエンシングにより行った。
【表3】

【0119】
Bドメイン欠失FVIII変異体の構築(残基377K→C)
20 ng dsDNA 鋳型(1828bp SalI-KpnI FVIII 重鎖断片を有するpブルースクリプト II SK+)を、2.5μl 10×反応緩衝液(ストラタジーン社製)、0.5μl dNTP ミックス (ストラタジーン社製)、0.5μl PFUターボ DNA ポリメラーゼ(2.5 U/μl)(ストラタジーン社製)、62.5 ng プライマー1 CGC TCA GTT GCC AAG TGT CAT CCT AAA ACT TGG G (配列番号3)、および62.5 ng プライマー2 CCC AAG TTT TAG GAT GAC ACT TGG CAA CTG AGC G (配列番号4)と混合した。前記反応は、95℃で30秒間インキュベートし、続いて95℃で30秒間、55℃で1分間、68℃で4分間、DNAエンジンサーマルサイクラー(Engine thermal cycler) (MJResearch, Waltham, MA)中で繰り返した(18サイクル)。増幅生成物は、Dpn Iを用いて切り離し、XL1-ブルー スーパーコンピテント細胞を製造業者(ストラタジーン社)の指示に従って形質転換した。導入された変異は、pブルースクリプト SK+ (MWG DNA シークエンシングサービス)におけるSalI-KpnI FVIII 重鎖断片のシークエンシングを行うことにより確認した。1828 bp SalI-KpnI FVIII 重鎖断片をpTT5に戻してサブクローニングした後、配列確認を繰り返した。
【0120】
例2:BDD FVIII Cys変異体のシステイン配向性のPEG化
物質:還元および酸化されたグルタチオン(それぞれGSHおよびGSSG)をシグマ社から購入した。PEG5k-マレイミド(2E2M0H01)は、ネクターセラピューティクス社から購入した(Huntsville, AL)。
【0121】
濃度決定:貯蔵溶液中のGSSGの濃度は、381 M-1cm-1の吸光係数を用いて、248nmにおけるその吸収から決定した(Chau and Nelson, 1991)。GSHの濃度は、エルマン試薬(5,5’-ジチオビス(2-ニトロ安息香酸))および412nmにおける2-ニトロ-5-チオ安息香酸のモル吸光係数として14150 M-1cm-1を用いて決定した(Riddles et al., 1979)。
【0122】
クローニングおよびグルタレドキシンの発現:製造業者の推薦によるエキスパンドハイフィディリティPCRシステム(ロシュ診断コーポレーション(Roche Diagnostics Corporation), Indianapolis, IN)、ならびにフランキングNdeIおよびXhoI制限部位を導入するプライマーoHOJ98-fおよびoHOJ98-rを用いたPCRシステムにより、大腸菌グルタレドキシン 2 (Grx2; Vlamis-Gardikas et al., 1997)に対するDNAコード配列を増幅した(プライマー配列は、表4に列挙する)。PCR反応に対するゲノムの鋳型DNAは、公表された方法に従って大腸菌から調製した(Grimberg et al., 1989)。精製されたPCR産物は、NdeIおよびXhoIを用いて切断し、pET-24a(+) (ノバゲン)の対応する部位にライゲートし、pHOJ294とした。停止コドンはベクターにより提供されるため、遺伝子は、C末端LEHHHHHH親和性tagをコードする3’のベクター由来の伸長を備える。クローン化された配列の正確な同一性は、DNAシークエンシングにより確認される。
【0123】
発現のために、pHOJ294を化学的にコンピテントなBL21(DE3)細胞に導入した(Stratagene, La Jolla, CA)。新鮮なオーバーナイトの形質転換体を500 mlのテリフィック(terrific)ブロス (Sambrook et al., 1989)および30μg/ml カナマイシンに、初期のOD600が0.02で植え付けた。培養は、37℃、バッフルフラスコ中、230rpmで対数期の中間部(OD600 3-4)まで行い、その時温度は25℃に低下させ、タンパク質発現は0.1 mM イソプロピル-β-D-チオガラクトピラノシド(ITPG)により誘導された。オーバーナイトの発現の後、細胞を遠心分離により回収し、50 ml 溶解緩衝液(50 mM リン酸カリウム, 300 mM NaCl, pH 8.0)に再懸濁し、3回の凍結融解サイクルにより溶解した。透明な溶解産物を、流速5 ml/分、溶解緩衝液で平衡化した20-ml Ni-NTA スーパーフロー(Qiagen GmbH, Hilden, Germany)カラムに負荷した。溶解緩衝液で洗浄した後、溶解緩衝液中の0〜200 mMイミダゾールの直線勾配を用いて結合タンパク質を溶出した。ピーク画分を集め、20mM ジチオスレイトールで20分間処理し、50 mM トリス-HCl, 2 mM EDTA, pH 8.0に対して大規模に透析した。タンパク質は−80℃で保存し、SDS-PAGEにより>90%の純度であると判定された。タンパク質濃度は、21740 M-1cm-1の吸光係数を用いて、280 nmにおける吸収により見積もられた。
【0124】
選択的な還元およびPEG5k修飾:チオール修飾方法は、2つの連続的なステップに分けることができ、(A)低分子量チオールを用いた混合されたジスルフィドの選択的な還元により、引き続く修飾のための操作されたシステインが調製される、グルタレドキシンに触媒される選択的な還元反応と、(B)遊離したシステインのチオール特異的なアルキル化から成る。第1のステップにおいて、F8-500-T435CおよびF8-500-L504Cを、全量265μlの20 mM イミダゾール、150 mM NaCl、10 mM CaCl2、10% グリセロール、0.02% ツイーン80、0.5 mM GSH、10μM GSSG、および10μM 組換え大腸菌 グルタレドキシン 2 (Grx2)を含有するpH 7.3 緩衝剤中において、30℃で2時間インキュベートした。PEG5k-マレイミド標識化の前に低分子量チオールを除去するために、反応混合物の一定分量(65μl)を、製造業者の指示に従って、20 mM イミダゾール、150 mM NaCl、10 mM CaCl2、10% グリセロール、0.02% ツイーン80、pH 7.3 緩衝剤で平衡化したプロ-スピンスピンカラム(カタログ番号CS-800; プリンセトンセパレーションズ, アデルフィア, NJ)を用いてゲルろ過した。その後、最終濃度が0.25mMとなるようにPEG5k-マレイミド(水に溶解)を加えることにより、遊離チオールを修飾した。チオールアルキル化は、室温で20分間行われ、反応を停止させるため、および引き続くSDS-PAGE分析の準備をするために、サンプルを還元性のNuPAGE LDSサンプル緩衝液に希釈した(インビトロゲンライフテクノロジーズ, Carlsbad, CA)。選択的な還元反応の効果を示すために、2つの付加的なサンプルF8-500-T435CおよびF8-500-L504Cを、最初のインキュベーションをGSH、GSSG、およびGr×2の非存在下で行うことを除いて上述したように処理した。
【0125】
F8-500-T435CおよびF8-500-L504Cのサンプルは、製造業者の推薦に従って、4〜12% ビス-トリス NuPAGE(登録商標)ゲル(インビトロゲンライフテクノロジーズ, Carlsbad, CA)を用いて、MOPS緩衝液(インビトロゲンライフテクノロジーズ, Carlsbad, CA)中、200 Vで60分間流すことにより、還元性のSDS-PAGEにより分析した。前記ゲルを水で洗浄し、製造業者の推薦に従って、シンプリーブルー(商標)セーフステイン(インビトロゲンライフテクノロジーズ, Carlsbad, CA)を用いて染色した。選択的な還元およびPEG化により、重鎖が単一のPEG5kで修飾されていることが見られた。
【0126】
表4
大腸菌グルタレドキシン2 (Grx2)を発現するプラスミドpHOJ294の構築のために、DNAオリゴを使用した。NdelおよびXhol制限部位は下線で示す。
【表4】

【0127】
例3:FVIII変異体の一過性の発現および活性試験
ヒト胎児腎臓(HEK293F)細胞が適応された懸濁液(フリースタイル, インビトロゲン)は、製造業者の指示に従って、野生型BDD FVIIIまたは変異体BDD FVIIIをコードする発現プラスミドをトランスフェクションした。簡単に言えば、30μgのプラスミドを40 lの 293フェクチン(fectin)(インビトロゲン社製)を用いて20分間インキュベートし、125 mlの三角フラスコ中で3×107の細胞を加えた。トランスフェクションされた細胞は、振とうインキュベーター中でインキュベートした(37℃, 8% CO2、125 rpm)。トランスフェクション後2日、細胞を27℃の振とうインキュベーターに移した。トランスフェクション後4日で、培養液を1500×gで5分間遠心分離し、細胞ペレットを捨てた。イミダゾール pH 7.2を最終濃度20mMまで、ツイーン80を最終濃度0.02%まで加えることにより上清を安定化させ、一定分量を−80℃で凍結した。
【0128】
各変異体の収量を、サンドイッチELISAにより測定した。一定量の安定化し、且つ凍結した培養液を解凍し、ヒト因子VIII抗原のELISAに対するマッチドペア抗体セット(Matched-Pair Antbody Set)を用いて分析した(アフィニティーバイオロジカルズ)。
【0129】
活性試験のために、一定分量の安定化され、且つ凍結された培養液を解凍し、製造業者の指示に従ってコアテストVIII:C/4 キット(クロモゲニックス社製)により分析した。
【0130】
全部で10の個々のBDD FVIII変異体が発現した。4または2の変異体がある時間で発現し、各場合において、各変異体の活性を野生型BDD FVIIIと比較するために、野生型BDD FVIIIが平衡して発現された。野生型BDD FVIIIおよび10のBDD FVIII変異体について得られた結果は、表5に示す。
【表5】

【0131】
例4:内因性トロンビンポテンシャル(ETP)バイオアッセイによる、培地におけるFVIII活性の測定
ETP試験の原理:
内因性トロンビンポテンシャル(ETP)試験は、選択された血漿サンプルにおけるトロンビン生成の実時間測定に基づく。前記血漿サンプルは、テナーゼ(tenase)に対する生理的な表面ソースとしての血小板および凝固カスケードにおけるプロトロンビナーゼ複合体を含む。
【0132】
実時間トロンビン活性は、トロンビン特異的な基質から蛍光性の産物を継続的に検出することにより測定される(Hemker et al., 2000; Hemker et al., 1993; Hemker & Beguin, 1995)。
【0133】
物質:
FVIII欠乏性の血漿(ジョージキングバイオメディカル カタログ番号800-255-5108)
凍結乾燥したヒト血小板(バイオプール/トリニティref. 50710)
イノビン(Innovin) (Dade Behring Prod. No. B 4212-50)
トロンビン特異的な基質、例えばZ-Gly-Gly-Arg-AMC HCl フルオロフォア(Bachem Prod. No. I-1140)
因子VIII 標準(E.g. ReFacto (Wyeth))
FVIII-変異体含有培地
試験緩衝液: トリス-HCl, 50 mM; NaCl, 150 mM; CaCl2, グリセロール, 10%; ツイーン 8, 0.02%
希釈緩衝液: ヘペス, 20 mM; NaCl, 150 mM; pH 7.35; 2% ウシアルブミン。
【0134】
方法:
血小板を1mlの再構成緩衝液(TBS)中で再構成し、さらにFVIII欠乏性血漿中に希釈した。
イノビンおよび因子VIIIを希釈緩衝液および試験緩衝液にそれぞれ希釈した。
Z-Gly-Gly-Arg-AMCをDMSOに溶解し、さらにCaCl2を含む希釈緩衝液に希釈した。
イノビン (10μl, 最終0.12 pM)、因子VIII (10μl, 最終0〜1 U/ml)、および血小板含有血漿(80μl, 最終50.000 血小板/μl)をコスタープレート(96ウェル, Prod. No. 3631)の各ウェルに添加した。
ブランクまたは変異体含有媒質(10μl)を各ウェルに加えた。
【0135】
プレートを37℃で10分間、熱蛍光走査上昇(Thermo Fluoroscan Ascent)中でインキュベートした。基質(20μl, 最終16.7 mM CaCl2, 0.5% DMSO, 0.4 mM トロンビン特異的な基質を直ちに加え、蛍光を60分間継続して記録した(励起 355 nm, 発光 460 nm)。
因子VIIIシグナルを表す標準曲線を作成した(時間−250蛍光単位)。この標準曲線から、培地における因子VIII様活性のレベルを決定した(表6)。
【表6】

【0136】
例5:A2ドメイン変異体の構築
最初に、α-1抗トリプシンシグナルペプチドcDNAをpブルースクリプトII SK+プラスミド中で産生した。共に5’-リン酸塩を有する2つの相補的なオリゴヌクレオチドであるAATTCGCCACCATGCCCTCGAGCGTCTCGTGGGGCATCCTCCTGCTGGCAGGCCTGTGCTGCCTGGTCCCTGTCTCGCTAGCTCTGCA (配列番号25)およびGAGCTAGCGAGACAGGGACCAGGCAGCACAGGCCTGCCAGCAGGAGGATGCCCCACGAGACGCTCGAGGGCATGGTGGCG (配列番号26)を以下のようにアニールした。0,12 M トリス-HCl [pH = 7,5], 12 mM MgCl2 中の90ピコモルの各オリゴヌクレオチドを、65℃で5分間、37℃で10分間、最後に10分間のRTでインキュベートした。アニールされたオリゴヌクレオチドは、EcoRおよびPst I制限酵素で消化されたpブルースクリプト II SK+ プラスミド中にライゲートした(Stratagene, La Jolla, CA)。ライゲーションの産物は、α-1抗トリプシンシグナルペプチド、すなわち「pブルースクリプト中のA1AT」のコーディングDNAである。
【0137】
因子VIII A2ドメインのコーディングDNA領域は、pTT5 プラスミド(配列番号2)鋳型におけるF8-500上でプライマーCGCTAGCTAAAACTTGGGTACATTACATTGCTG (配列番号27)およびAGCGGCCGCTCTAACAACTAGAAACCTTCAGTAAGG (配列番号28)を用いてPCR増幅し、1 kb PCRバンドはクローン化されたTOPO-平滑末端(インビトロゲン)および変化した配列であった(シークエンシングサービス, MWG Biotech AG, Germany)。FVIII A2 断片は、Nhe IおよびNot I制限酵素を用いてTOPO-平滑末端(blunt)ベクターから「pブルースクリプト中のA1AT」プラスミドへ移すことにより、A1AT-FVIII-A2構築物を形成した。「A1AT-FVIII-A2」断片は、その後、制限部位EcoR IおよびNot Iを用いてpブルースクリプトII SK+ プラスミドからpTT5へ移し、その結果として生じるベクターをpTT5中のA1AT-FVIII-A2と呼ぶ。
【0138】
次に、HPC4-標識 (edqvdprlidgk)をコードするDNA断片を「pTT5中のA1AT-FVIII-A2」プラスミドに挿入した。FVIII-A2の最もN末端の部分を、プライマーGGAGTGCAGCTTGAGGATCCAGAG (配列番号29)およびAGCGGCCGCTCTATTTGCCATCAATCAGGCGCGGATCCACCTGATCTTCGCCGGAGAAGCTTCTTGGTTCAATGG (配列番号30)、ならびに鋳型として「pTT5中のF8-500」を使用して、PCRにより増幅した。逆性プライマーは、HPC4-標識をコードするDNA配列を有する。制限酵素Bsg IおよびNot Iを用いて、452 bpのPCR産物を「pTT5中のA1AT-FVIII-A2」構築物に導入した。生成物はA1AT-FVIII-A2-HPC4と呼ばれる。
【0139】
その後、Psi IおよびKpn I制限酵素を用いて、例1に記載した変異体を「pTT5中のF8-500」構築物から「pTT5中のA1AT-FVIII-A2-HPC4」に導入した。
【0140】
例6:A2ドメイン変異体の一過性の発現
製造業者の指示に従って、ヒト胎児腎臓(HEK293F)細胞(フリースタイル, インビトロゲン)を、野生型FVIIIのHPC4-標識 A2ドメインまたは上述した変異(例5を参照)を有するHPC4-標識 A2ドメインをコードする発現プラスミドで形質転換した。簡単に言うと、30μgのプラスミドを40μlの293フェクチン(インビトロゲン社製)と共に20分間インキュベートし、125mlの三角フラスコにおいて3×107 細胞に添加した。トランスフェクションされた細胞を振とうインキュベーター中でインキュベートした(37℃, 8 % CO2、125 rpm)。トランスフェクション後2日において、前記細胞を27℃の振とうインキュベーターに移した。トランスフェクション後4日において、媒質を1500×gで5分間遠心分離し、細胞ペレットを捨てた。標識されたA2ドメインの精製まで、上清を−80℃で凍結した。
【0141】
標識されたA2ドメイン変異体の精製
物質:1mlの抗タンパク質C親和性マトリックスカラムは、ロシュアプライドサイエンス(Roche Applied Science)から購入した。透析カセット(Slide-A-Lyzer, MW カットオフ: 3,500)はPierceから購入した。HBS-P 緩衝液(10 mM ヘペス, 150 mM NaCl, 0.005% P20)および10% P20をビアコア(Biacore) ABから購入した。
【0142】
緩衝液A:10 mM ヘペス, 150 mM, 1 mM CaCl2, 0.005% p20, pH 7.4。緩衝液B: 10 mM ヘペス, 1 M NaCl, 1 mM CaCl2, 0.005% P20, pH 7.4。緩衝液C: 10 mM ヘペス, 150 mM NaCl, 5 mM EDTA, 0.005% P20, pH 7.4。
【0143】
精製:一過性に発現したHPC4標識A2変異体ドメインを、1 ml の抗タンパク質C親和性マトリックスカラムを用いて精製した。HPC4標識A2ドメインを含有する30 mlの凍結した(−80℃)HEK293フリースタイル一過性トランスフェクション培地を解凍し、5 mM CaCl2 および0.005% P20を補充した。溶液をろ過し(22μm)、室温で緩衝液Aで平衡化した抗タンパク質Cカラムに負荷した。続いて、20mlの緩衝液Bで洗浄した。結合タンパク質の溶出は、緩衝液Cにおいて得られた。実験全体を通して流速0.5 ml/分を用いた。溶出されたタンパク質は、透析カセットを使用して、4℃で一晩、5mMのCaCl2を補充したHBS-P緩衝液に透析した。
【0144】
濃度:精製されたA2変異体ドメインの濃度決定はA280を用いて得た。理論的な吸光係数および38,370DaのMwは、エクスパシープロテオミクスサーバー(Expasy proteomics server)から得た。
【0145】
例7:A2ドメイン変異体のLRPに対する結合分析
物質:脱気したHBS-P 緩衝液 (10 mM HEPES, 150 mM NaCl, 0.005% P20)、CM5 センサーチップ、N-ヒドロキシスクシンイミド(NHS)、エチル-3(3-ジメチル-アミノプロピル)カルボジイミド(EDC)、およびエタノールアミンがビアコア ABにより供給された。標識されたA2ドメイン変異体を精製し(上述したように)、5 mM CaCl2を補充したHBS-P緩衝液に送達した。LRPはバイオマック(BioMac)(ドイツ)から凍結乾燥で供給され、製造業者に従って、0.5 mg/mlの濃度まで20 mM HEPES、150 mM NaCl、5 mM CaCl2、および0.05% ツイーン-20, pH 7.4中において再構築した。全ての他の試薬は、分析用またはそれ以上であった。
【0146】
固定化:LRPの固定化は、NHSおよびEDCおよびエタノールアミンを用いて、CM5固定化に対する標準的な方法により得られた(製造業者により供給された)。固定化の前に、10 mM 酢酸ナトリウム緩衝液, pH 3中に、25μg/mlの濃度までLRPを希釈した。固定化は、CM5センサーチップのフローセル2において、5〜15 fmol/mm2 (2000〜6000 RU)の密度で得られた。
【0147】
結合分析:固定化された可溶性のLRPに対するA2 wt, A2 433D->N, A2 488S->N & 490R->T およびA2 466K->A & 484R->A & 489R->Aの結合は、ビアコア(Biacore) 3000装置において、表面プラズモン共鳴により分析した。このアプローチは、Sarafanov et al., 2006により本質的に述べられている。
【0148】
装置に対して使用されるランニングバッファーは、最終濃度5mMまでCaCl2を補充したHBS-Pであった。動力学的な分析は、30μl/分のランニングバッファーの流速、25℃で行った。処理していないフローセル1は、自動的なインライン参照サブトラクションのために使用した。500nM〜62.5nMのA2ドメインの連続的な2倍希釈を分析した。ランニングバッファー中におけるフローセルの3分の平衡の後、150μlのタンパク質サンプルをKINJECTコマンドを使用して注入した。解離相は5分間維持し、再生は、3分間隔のHBS-P緩衝液中の20nM EDTAを用いて行った。表面プラズモン共鳴(SPR)のデータは、BIA測定 4.1 ソフトウェア (ビアコア AB)を用いた1:1のラングミュアー結合モデル(ソフトフェアにより提供された)に適合した。A2野生型および3つのA2ドメイン変異体について得られた結果を表7に示す。
【表7】

【参考文献】
【0149】
Chau,M.H. and Nelson,J.W. (1991). Direct measurement of the equilibrium between glutathione and dithiothreitol by high performance liquid chromatography. FEBS Lett. 291, 296-298.
Grimberg,J., Maguire,S., and Belluscio,L. (1989). A simple method for the preparation of plasmid and chromosomal E. coli DNA. Nucleic Acids Res 17, 8893.
Riddles,P.W., Blakeley,R.L., and Zerner,B. (1979). Ellman's reagent: 5,5'-dithiobis(2-nitrobenzoic acid)--a reexamination. Anal. Biochem. 94, 75-81.
Sambrook,J., Fritsch,E.F., and Maniatis,T. (1989). Molecular Cloning: A Laboratory Manual. (Cold Spring Harbor, NY: Cold Spring Harbor Laboratory).
Sarafanov AG, Makogonenko EM, Pechik IV, Ratke KP, Khrenov AV, Ananyeva NM, Strickland DK and Saenko EL. Identification of Coagulation Factor VIII A2 Domain Residues Forming the Binding Epitope for Low-Density Lipoprotein Receptor-Related Protein. Biochemistry. 2006, 45:1829-1840.
Vlamis-Gardikas,A., Aslund,F., Spyrou,G., Bergman,T., and Holmgren,A. (1997). Cloning, overexpression, and characterization of グルタレドキシン 2, an atypical グルタレドキシン from Escherichia coli. J. Biol. Chem. 272, 11236-11243.

【特許請求の範囲】
【請求項1】
天然FVIII分子の20〜29、268〜276、302〜313、321〜326、333〜395、430〜520、528〜554、559〜564、571〜593、および/または638〜643位における少なくとも1の天然アミノ酸残基のアミノ酸置換を含んでなる因子VIII類似体であって、前記アミノ酸置換により、ヒト因子VIIIよりも低いLRP結合親和性を有し、活性化ヒト因子VIIIの活性と実質的に同じ因子VIII活性を有する因子VIII類似体を結果として生じる因子VIII類似体。
【請求項2】
請求項1に記載の因子VIII類似体であって、天然FVIII分子の残基20〜29に1以上のアミノ酸置換を含んでなる因子VIII類似体。
【請求項3】
請求項1に記載の因子VIII類似体であって、天然FVIII分子の残基268〜276に1以上のアミノ酸置換を含んでなる因子VIII類似体。
【請求項4】
請求項1に記載の因子VIII類似体であって、天然FVIII分子の残基302〜313に1以上のアミノ酸置換を含んでなる因子VIII類似体。
【請求項5】
請求項1に記載の因子VIII類似体であって、天然FVIII分子の残基321〜326に1以上のアミノ酸置換を含んでなる因子VIII類似体。
【請求項6】
請求項1に記載の因子VIII類似体であって、天然FVIII分子の残基333〜395に1以上のアミノ酸置換を含んでなる因子VIII類似体。
【請求項7】
請求項1に記載の因子VIII類似体であって、天然FVIII分子の残基420〜520に1以上のアミノ酸置換を含んでなる因子VIII類似体。
【請求項8】
請求項1に記載の因子VIII類似体であって、天然FVIII分子の残基528〜554に1以上のアミノ酸置換を含んでなる因子VIII類似体。
【請求項9】
請求項1に記載の因子VIII類似体であって、天然FVIII分子の残基559〜564に1以上のアミノ酸置換を含んでなる因子VIII類似体。
【請求項10】
請求項1に記載の因子VIII類似体であって、天然FVIII分子の残基571〜593に1以上のアミノ酸置換を含んでなる因子VIII類似体。
【請求項11】
請求項1に記載の因子VIII類似体であって、天然FVIII分子の残基638〜643に1以上のアミノ酸置換を含んでなる因子VIII類似体。
【請求項12】
天然FVIII分子の残基20〜29、268〜276、302〜313、321〜326、333〜395、430〜520、528〜554、559〜564、571〜593、および/または638〜643における1以上のアミノ酸置換を含んでなる因子VIII類似体であって、前記アミノ酸置換により、1以上のN-グリカンコンセンサス部位および/または1以上のシステイン残基を結果として生じる因子VIII類似体。
【請求項13】
請求項12に記載の因子VIII類似体であって、前記システインアミノ酸残基置換は、前記因子VIII類似体の分子量を増大させる化学的な基と接合する因子VIII類似体。
【請求項14】
請求項12に記載の因子VIII類似体であって、天然因子VIII分子の残基20〜29において1以上のアミノ酸残基置換を含んでなる因子VIII類似体。
【請求項15】
請求項12に記載の因子VIII類似体であって、天然因子VIII分子の残基268〜276において1以上のアミノ酸残基置換を含んでなる因子VIII類似体。
【請求項16】
請求項12に記載の因子VIII類似体であって、天然因子VIII分子の残基302〜313において1以上のアミノ酸残基置換を含んでなる因子VIII類似体。
【請求項17】
請求項12に記載の因子VIII類似体であって、天然因子VIII分子の残基321〜326において1以上のアミノ酸残基置換を含んでなる因子VIII類似体。
【請求項18】
請求項12に記載の因子VIII類似体であって、天然因子VIII分子の残基333〜395において1以上のアミノ酸残基置換を含んでなる因子VIII類似体。
【請求項19】
請求項12に記載の因子VIII類似体であって、天然因子VIII分子の残基559〜564において1以上のアミノ酸残基置換を含んでなる因子VIII類似体。
【請求項20】
請求項12に記載の因子VIII類似体であって、天然因子VIII分子の残基571〜593において1以上のアミノ酸残基置換を含んでなる因子VIII類似体。
【請求項21】
請求項12に記載の因子VIII類似体であって、天然因子VIII分子の残基638〜643において1以上のアミノ酸残基置換を含んでなる因子VIII類似体。
【請求項22】
請求項12に記載の因子VIII類似体であって、天然因子VIII分子の残基672〜675において1以上のアミノ酸残基置換を含んでなる因子VIII類似体。
【請求項23】
請求項12〜22のいずれか1項に記載の因子VIII類似体であって、前記少なくとも1の挿入されたシステインアミノ酸残基は、因子VIIIポリペプチドの分子量を増大させる化学的な基と接合する因子VIII類似体。
【請求項24】
請求項1または12に記載の因子VIII類似体であって、天然FVIII分子の少なくとも1の以下に示す位置における天然アミノ酸残基がシステインアミノ酸残基で置換される因子VIII類似体:
i) L24, D27, F276, F306, L307, Y323, W382, H384, Y385, E389, W393,R427, M429, A430, I442, E445, I448, E456, V457, A469, Y476, T481, D482, R484, K499, T514, E518, V537, N538, A544, G546, I548, N572, F576, V578, W585, L587, I639, S641, G643, S674; および/または
ii) Q334, K376, H378, T381, V383, E390, E391, D392, D394, D433, E434, R439, S446, L452, G458, K466, S470, R471, V483, L486, R489, D500, F501, E507, I508, K512, R541, N564, D580, R583, E589; および/または
iii) D20, L21, E23, A28, R29, L303, G304, Q305, K325, R336, K377, K380, K422, T432, T435, K437, T438, E440, A441, Q443, H444, Q468, Y487, S488, L491, G494, K496, H497, L498, L504, G506, V517, D560, Q561, R562, T588, Q592, R593。
【請求項25】
請求項24に記載の因子VIII類似体であって、前記少なくとも1の挿入されたシステインアミノ酸残基は、因子VIIIポリペプチドの分子量を増大させる化学的な基と接合する因子VIII類似体。
【請求項26】
請求項1〜12のいずれか1項に記載の因子VIII類似体であって、少なくとも1のN-グリコシル化部位は、天然FVIII分子の以下から選択される位置の始めに導入される因子VIII類似体:
i) D27, F276, F306, L307, Y323, W382, H384, Y385, E389, W393, R427, M429, A430, I442, E445, I448, E456, V457, A469, T481, D482, K499, T514, E518, V537, N538, A544, G546, N572, F576, V578, W585, L587, I639, S641, G643, S674; および/または
ii) Q334, K376, T381, V383, E390, E391, D392, D394, D433, E434, R439, S446, L452, G458, K466, L486, R489, E507, I508, K512, R541, N564, D580, R583, E589; および/または
iii) D20, L21, A28, L303, G304, Q305, K325, R336, K380, K422, T432, T435, K437, T438, E440, A441, Q443, H444, Q468, Y487, S488, G494, K496, H497, L498, G506, V517, D560, Q561, R562, T588, Q592, R593。
【請求項27】
請求項1または12に記載のFVIII類似体であって、377、435、488、496、または504位の少なくとも1にCysを含んでなるFVIII類似体。
【請求項28】
請求項1または12に記載のFVIII類似体であって、433位もしくは486位、またはその両方にAsnを含んでなるFVIII類似体。
【請求項29】
請求項1または12に記載のFVIII類似体であって、435位にAsnを含んでなり、且つ437位にThrまたはSerを含んでなるFVIII類似体。
【請求項30】
請求項1または12に記載のFVIII類似体であって、488位にAsnを含んでなり、且つ490位にThrまたはSerを含んでなるFVIII類似体。
【請求項31】
請求項1または12に記載のFVIII類似体であって、496位にAsnを含んでなり、且つ498位にThrまたはSerを含んでなるFVIII類似体。
【請求項32】
請求項1〜26のいずれか1項に記載の因子VIII類似体であって、3以下のアミノ酸置換を有する因子VIII類似体。
【請求項33】
請求項1〜26のいずれか1項に記載の因子VIII類似体であって、2以下のアミノ酸置換を有する因子VIII類似体。
【請求項34】
請求項1〜26のいずれか1項に記載の因子VIII類似体であって、アミノ酸置換を1つのみ有する因子VIII類似体。
【請求項35】
請求項1〜26のいずれか1項に記載の因子VIII類似体であって、ヒトFVIIIのBドメインの一部または全部を欠失している因子VIII類似体。
【請求項36】
請求項35に記載の因子VIII類似体であって、Bドメインの750位におけるセリン残基(S)から1636位におけるシステイン残基(C)のアミノ酸配列が欠失している因子VIII類似体。
【請求項37】
請求項35に記載の因子VIII類似体であって、Bドメインの760位におけるスレオニン残基(T)から1639位におけるアスパラギン残基(N)が欠失している因子VIII類似体。
【請求項38】
請求項1〜37のいずれか1項に記載のFVIII類似体を含んでなる医薬組成物。
【請求項39】
治療的に有効な量の請求項1〜37のいずれか1項に記載のFVIII類似体を薬学的に許容可能なキャリアと共に含んでなる、血友病患者の治療のための医薬組成物。
【請求項40】
治療的に有効な量の請求項1〜37のいずれか1項に記載のFVIII類似体を薬学的に許容可能なキャリアと共に患者に投与することを含んでなる、血友病患者の治療方法。
【請求項41】
請求項40に記載の方法であって、前記治療は週に少なくとも1回の治療を含んでなる方法。
【請求項42】
請求項40に記載の方法であって、前記治療は週に1回のみの治療を含んでなる方法。

【公表番号】特表2008−534559(P2008−534559A)
【公表日】平成20年8月28日(2008.8.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−503532(P2008−503532)
【出願日】平成18年4月3日(2006.4.3)
【国際出願番号】PCT/EP2006/061275
【国際公開番号】WO2006/103298
【国際公開日】平成18年10月5日(2006.10.5)
【出願人】(501497563)ノボ ノルディスク ヘルス ケア アクチェンゲゼルシャフト (58)
【Fターム(参考)】