説明

血液学的対照用の赤血球成分の調製

脊椎動物由来の赤血球は、それらを血液学的対照の効果的な成分にさせるように処理され、この対照が白血球及び血小板を含む全ての血液細胞成分を検出するために使用されることを可能にする。この処理には、濃度及び曝露時間の限定された条件下での固定剤の使用を含み、得られた赤血球は、血液学的機器において安定であるが、溶解性であり、粒子を形成する傾向が減少されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願への相互参照
本出願は、2006年7月17日に出願された米国仮特許出願第60/807,585号に基づく利益を主張し、この内容は、参照により全体として本明細書中に援用される。
【0002】
1.発明の分野
本発明は、対照物質の赤血球成分に特に着目して、血液学的機器類のための対照物質の分野に属する。
【背景技術】
【0003】
血液成分の分析及び化学のための血液学的機器は、多年に渡って試料され、その間、これらの機器の精度及び感度が進歩的に向上してきた。このようにして、血液学的機器類の初期の型は、各成分の複雑であり僅かな特徴に基づいて、血液の個々の成分を分析するという相対的に複雑なメカニズムによって置き換えられた。
【0004】
自動化血液学的機器類におけるごく最近の反復は、赤血球及び血小板の検出に加えて、ヒトの白血球の複数部分の分析であった。白血球集団は、典型的には、リンパ球、単球、好中球、好塩基球、及び好酸球を含む。血液細胞分析のための方法は、各種の血液細胞の電子的及び光学的特性の検出を伴う。典型的な機器は、白血球成分とは無関係に、赤血球及び血小板をカウントし、大きさを測定する。白血球をカウントするためには、カウント及びサイズ測定のために白血球を維持しながら、第四級アンモニウム塩などの界面活性剤を用いて赤血球を破壊することが必要である。
【0005】
Beckman−Coulter(商標)5パート白血球分析機器は、いくつかの別々の技術を使用し、それらは、様々に、電気インピーダンス、コンダクタンス(低圧DC測定を使用するDC数学的操作)、Rf(ラジオ周波数)モジュレーション、及び光散乱及び光吸収を含むレーザー技術に基づいている。Rf測定は、典型的には、RfをDCで割った計算である不透過率と呼ばれるパラメータを作るDC低周波数測定で用いられる。他の製造業者、例えば、Abbott Diagnostics(商標)、Bayer(商標)、及びTOA(商標)Medical Electronicsによる機器は、電気インピーダンス、DCコンダクタンス及び/又はレーザー技術、Rf、偏向した90°光散乱、及び/又は光吸収の組み合わせを用いる。電気的技術の基本型は同じようであるが、各々の製造業者は、血液細胞を分析するのに必要とされる機器ハードウェア及びソフトウェアに関して独自に実施している。種々の製造業者によるこの技術の個々の実施により、各々の製造業者の各々の特定の機器に関する多様な試薬及び方法論がもたらされ、それによって、それらの使用の複雑性及び費用を増している。複数の機器を用いて使用され得る単純な試薬又は方法論は存在しない。
【0006】
血液学的機器の信頼度及び精度を確保するために、規制当局は、機器の完全性を検証するために血液対照の使用を要求する。最適な対照は、ヒト血漿を真似るために人工的に調合した液体懸濁媒体である合成血漿と一緒に、新鮮な血液の細胞要素の全てを示す粒子を含む。合成血漿は、典型的には、生来の血漿の成分と同じであるか又は同じように機能する成分を含む。これらの成分は、血漿タンパク質によって維持されるのと同じようなホメオスタシスを維持するための無機塩、有機及び/又は無機緩衝剤、並びに粘性物質を含む。対照の製造業者は、基準値、例えば、細胞カウント、細胞サイズ、及び細胞種の全てを提供する。対照物質は、数日、数週間、又は数カ月間の使用を可能にするのに十分な保存期間を有しなければならず、それによって、経時的な機器性能の一致性を保証する。
【0007】
血液対照を調製する方法は、対照が使用されるべき特定の機器ハードウェア及びソフトウェア設計、並びに延長された保存期間の要求に依存している。血液対照は、典型的には、合成血漿に懸濁された洗浄されたヒト赤血球であるRBC成分からなる。赤血球が、白血球の亜集団として機器に見えるような1以上の粒子によって達成される。白血球対照は、ヒト白血球であり得るが、界面活性剤による崩壊から防ぐために、架橋剤を用いて安定化された動物赤血球が、代替として用いられる。Coulter(商標)型の機器における、ヒト白血球、赤血球、又は血小板に対する対照として利用され得る血液対照製造物に含まれる粒子は、他の機器、例えば、Abbott Laboratories(商標)、Bayer(商標)、又はTOA(商標)Medical Electronicsによって製造されたものには有効ではない場合がある。さらに、これらの粒子は、通常、種々のタイプの血液細胞の修飾された形態であるため、生存している生来の新鮮な血液細胞のようには振る舞わない。例えば、グルタルアルデヒドのような架橋剤を用いて固定されたヒト白血球は、Abbott(商標)機器では好中球のように振る舞い、Coulter(商標)機器では細胞の残骸のように振る舞われる場合がある。また、哺乳動物ではない脊椎動物由来の特別に処理され、架橋された赤血球は、あるタイプの血液学的機器では単核細胞として見られ、別のものではリンパ球と見られる場合がある。血液学的対照の赤血球成分は、多数であり化学的な値、例えばカウント及びヘモグロビン含有量、並びに物理的な特徴、例えば大きさ及び形状を検証するための多数の機器で十分に利用されてもよいが、なお、これらの値、特に平均細胞体積(MCV)、サイズ分布(RDW、即ち、赤血球分布幅)、及び細胞の形状の値は、種々の機器の間で幅広く変化し得る。さらに、赤血球の調製は、血小板及び/又は白血球カウント領域における残骸を含むなどのあるタイプの機器によって読まれ、別のタイプの機器によってはこのような残骸を含まないなどと読まれる場合がある。例えば、Bio−Rad Laboratories,Inc.によって製造されたHematology(C)製品における赤血球の調製物は、Bayer H1−E血液学装置では高い血小板バックグラウンドを有する。Abbott CELL−DYN 4000機器では、同じ赤血球調製物は、光学的な血小板及び白血球領域に干渉を示す。Abbott CELL−DYN 3000シリーズ又は1000シリーズの機器では血小板及び白血球の干渉は見られない。Bio−Rad Hematology(C)生成物に使用される赤血球調製物は、Coulter Model MaxMなどのCoulter機器では血小板及び白血球干渉を示さないが、Abbott CEL−DYN 4000機器では血小板及び白血球干渉を示す。
【0008】
従来技術は、成分の物理的特徴を修飾し、粒子残骸の形成を妨げることによって、対照における赤血球成分の性能を改善するために、血液対照の懸濁媒体にある種の分析物の添加についての報告を含む。Ryanらは、米国特許第6,403,377B1号において、白血球成分のサイズ特徴を改善するためのリポタンパク質の添加、及び赤血球溶解を防ぐための抗酸化剤の添加を教示する。同様に、リンパ球の体積を増加させるためのリポタンパク質の使用は、米国特許出願公開第US2005/0221497A1号に開示されている。Ryanらとは対照的に、Youngのリポタンパク質は、Coulter機器において使用される界面活性剤によって、赤血球の適切な溶解を可能にするために利用される。また、Youngは、血液対照に使用される白血球代理物(surrogate)の完全性を解決することなしに赤血球溶解をさらに助長するために、血液対照に非イオン性界面活性剤が必要であることを記載する。
【0009】
赤血球の固定は、リンパ球類似体としての使用に適切な非溶解性粒子を提供するための有効な方法であることが示されている。Huntは、米国特許第3,873,467号において、ヒトの赤血球を用いてリンパ球類似体を生成する固定化方法を記載する。上述のRyanらは、架橋剤を用いた赤血球の安定化を記載する。これらの方法によって固定された細胞は、超音波処理によって誘導されたものなどの機械的ストレスに耐性である。上述のYoungらは、多数の異種のリンパ球類似体を生成するための詳細な固定化手法を記載する。リンパ球類似体に対する他の固定化プロセスは、Carverら、米国特許第6,146,901号、第6,514,763B2号、第4,704,364号、及び第5,380,664号によって開示されている。この章及び本明細書の全体を通じて他所で引用されている特許及び公開された特許出願の全ては、参照により本明細書に援用される。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の目的は、血液学的な血液対照生成物における使用のための脊椎動物起源の赤血球を調製する方法、特に、血液学的機器の製造業者によって採用された種々の技術を補うのに十分に柔軟性がある方法を提供することである。本発明は、選ばれた血液学的機器の仕様を独自に満たす血液学的対照を達成するために、本明細書に記載されている方法を用いるプロセスをカスタマイズできるようにする。
【0011】
また、赤血球の溶解性を上げるための血漿コレステロール又はリポタンパク質を必要とせずに、ヒト赤血球から血液学的な血液対照を調製する方法を提供することが本発明の目的である。
【0012】
血液学的機器における赤血球成分の溶解性を改善するために、対照それ自体に界面活性剤や他の溶解促進剤を必要としない赤血球成分を有する血液学的な血液対照を提供することが本発明の更なる目的である。
【0013】
血小板及び白血球カウント領域に干渉する粒子の形成を最小化するか又は妨げる架橋剤で固定された赤血球成分を有する血液学的な血液対照を提供することが本発明の更なる目的である。
【0014】
(a)複数の機器のタイプに対して均一な大きさ及び形状を提供する架橋剤で固定され、(b)白血球の亜集団を区別する当該技術分野において知られ、使用されている従来の血液学的機器とともに用いられる中性(mild)界面活性剤(detergent)の存在下でなおも溶解性を維持する、赤血球成分を有する血液学的な血液対照を提供することが本発明の更なる目的である。
【0015】
異なる製造業者によって製造された複数の機器に対して利用され得る血液学的な血液対照を提供することが本発明の更なる目的である。
【0016】
容易にかつ費用をかけずに調製可能な血液学的な血液対照を提供することが本発明のなお別の目的である。
【0017】
これらの目的及び他の関連する目的を達成するために、本発明の実施に使用される赤血球成分は、脊椎動物起源の赤血球、即ち、無核の哺乳動物の赤血球を、相対的に短期間、低濃度の固定剤で処理する(即ち、前処理(preconditioning)する)ことによって達成される。固定剤は、組織安定化剤としての使用で知られている種々の物質のいずれかであり得て、前処理手法には、機器内で細胞の溶解を維持しながら、細胞を架橋するのに十分な長さで固定剤とともに細胞をインキュベーションすることが含まれる。一度、前処理された細胞は、対照の組成を完成させるために、他の血液細胞型を代表する成分と一緒にされ、次に、この対照は、分析されるように求められる血液試料と同じように機器において処理される。次に、分析の結果は、対照の既知の組成、即ち、既知の血液細胞分布と比較され、この比較は、この機器が実際の試料での使用のための状態にあることを検証するために、機器の条件に関するチェックとして利用する。前処理プロセスは、限定された固定プロセスであり、血液対照生成物のための赤血球の典型的な従来の固定とは異なり、ここでは、細胞は、血液学的機器において用いられる界面活性剤による溶解に耐性となるように作製される。本発明では、赤血球の固定は、固定された細胞が、対照生成物において、赤血球と白血球の両方、必要に応じていずれかの他の血液成分がカウントされるようにする、所定の機器検証条件下で溶解性となるように行われる。それにもかかわらず、この固定は、カウント安定性、物理的安定性(即ち、安定な体積及び形状)、及び粒子の完全性を備えた赤血球を提供し、白血球及び/又は血小板の分析と干渉する粒子の形成を妨げるのに十分である。また、このプロセスは、限定されないが、電気的(例えば、インピーダンス)及び光学的(即ち、光散乱)技術を含む複数の機器技術全体で均一な細胞サイズ及びカウントを記録する赤血球をもたらす。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明の実施に使用され得る固定剤は、分子構造によって幅広く異なる。このような固定剤の1つのグループは、有機ジアルデヒドであり、好ましくは、少なくとも2つの炭素原子を含む骨格鎖を含む連結基によって分離された2つの末端アルデヒドを含むものである。また、この骨格鎖は、O原子及びN原子などのヘテロ原子を含むことができるが、特に好ましい骨格は、2〜6個の炭素原子の飽和アルキレン(即ち、二価アルキル鎖)である。連結基はまた、−OH、−NH2、−CH2、−OCH3、並びにこのような基の相同体及び類似体などの側鎖としてこの骨格に結合した分岐基を含むことができるが、特に好ましい連結基は、側鎖を含まない直鎖状アルキレンである。後者の記載を満たす有機ジアルデヒドの例は、グルタルアルデヒド及びブタン−1,4−ジアルである。ブタン−1,4−ジアルの1つの供給源は、HISTOCHOICE(登録商標)であり、Amresco Inc.(Solon,Ohio,USA)から市販されている組織固定剤であり、発行日1995年7月4日のCamienerによる米国特許第5,429,797号に開示されているように、その供給者によって同定されている。製品印刷物によれば、ブタン−1,4−ジアル以外のHISTOCHOICEの成分は、グリオキサル、塩化ナトリウム、及び硫酸亜鉛である。本発明の実施に有用な別のグループの固定剤は、ジアゾリジニルウレア、イミダゾリジニルウレア、ジメチロールウレア、ジメチロール−5,5−ジメチルヒダントイン、2−ブロモ−2−ニトロプロパン−1,3−ジオール、第四級アダマンチン、4−ヒドロキシメチル−1−アザ−3,7−ジオキサビシクロ[3.3.0]オクタン、及び5−ヒドロキシメチル−1−アザ−3,7−ジオキサビシクロ[3.3.0]オクタンである。このグループのうち、ジアゾリジニルウレア及びイミダゾリジニルウレアが好ましい。ジアゾリジニルウレアは、Streck Tissue Fixativeとして、Streck Laboratories,Inc.(La Vista,Nebraska,USA)から利用可能であり、ここでは、ジアゾリジニルウレアが主な有効成分であり、更なる成分として2−ブロモ−2−ニトロプロパン−1,3−ジオール、硫酸亜鉛、及び少量のホルムアルデヒドを含む。
【0019】
RBCの前処理の条件は、一般には、同じ固定剤の従来の使用と比較して穏やかであるが、ある種の範囲内に調整可能である。前処理は、室温、一般には、約15℃〜約25℃(59°F〜77°F)の範囲内の温度で行われる場合、例えば、固定剤濃度は、約0.1%〜約1.0%(重量/体積系、即ち、グラム/mL×100)の範囲であってもよく、インキュベーション時間は、約0.5時間〜約4時間であってもよい。対照的に、前処理が、例えば、約2℃〜約8℃(36°F〜44°F)などの温度低下で行われる場合、固定剤濃度は、約0.05%〜約0.25%(重量/体積系)の範囲であってもよく、インキュベーション時間は、約16時間〜約48時間の範囲であってもよい。
【0020】
固定処理は、一段階又は多段階で行われ得る。第1段階は、例えば、穏やかな温度(15℃〜25℃)で、短時間(0.5時間〜4時間)、非常に低い固定剤濃度、例えば0.001%〜0.25%、室温又は15〜25℃での処理を含むことがき、第2段階は、同じ曝露時間及び温度であるが、より高い濃度、例えば0.1%〜1.0%、又は温度低下(2℃〜8℃)でより長期間(16時間〜48時間)の処理を含むことができる。更なる処理手法は、当業者に明らかであろう。固定曝露後の細胞処理(conditioning)は、例えば、約7日〜約30日間、約2℃〜約8℃で固定剤なしで疑似血漿中でのインキュベーションによって達成することができ、従来の洗浄溶液を用いた種々の洗浄工程、及び従来の代用血漿を用いた安定化工程が処理間で用いられてもよい。
【0021】
本発明の実施に使用することができる赤血球は、非核の哺乳動物の赤血球、例えば、一般には、ヒト、ウシ、ヒツジ、やギ、及び非鳥類の家畜類由来のものである。ヒトの赤血球が好ましい。さらに、多種多様の赤血球のうちいずれかが、本発明の実施において予め調節されてもよい。これには、A型、B1型、及びB2型が含まれる。
【0022】
上述したように、対照の残りの成分は、血液学的対照の従来の成分であり得て、白血球成分及び血小板成分が含まれる。白血球成分は、固定された脊椎動物の赤血球又は非生物学的粒子、例えばポリスチレン、ポリビニルトルエン若しくはスチレンジビニルベンゼンのマイクロビーズであり得る。生物起源の微粒子も使用することができる;例には、ラテックス粒子及び植物花粉が挙げられる。なお更なる材料は、Carverらによる発行日2002年2月21日の米国特許出願公開第US2002/0022269A1号、及び本明細書において引用されている参考文献に開示されているものである。血小板成分は、所望のサイズ範囲が達成されるまで、塩濃度を首尾よく増加させる一連の水性高張食塩液に細胞を懸濁させることによって、ヒト血液の血小板のサイズまで縮めたヤギから得られる赤血球であってもよい。適切な塩溶液の例には、ナフトール−ジスルホン酸のジアルカリ金属塩、例えば2−ナフトール−6,8−ジスルホン酸のジカリウム塩及び2−ナフトール−3,6−ジスルホン酸のジナトリウム塩の溶液が挙げられる。他の塩溶液及び血小板成分を得るための他の方法は、当該技術分野において知られ、同様にここにおいて使用可能である。
【0023】
対照のための懸濁培地として使用される人工的又は疑似の血漿は、この目的に対して知られている種々の液体調合物のいずれかであり得る。適切な調合物は、哺乳動物の血液に等張であり、生来の血漿と同一であるか又は類似しているか、あるいは生来の血漿と同じであるか又は類似しているように機能する成分を含む。これらの成分には、無機塩、有機及び無機緩衝剤、及びホメオスタシスを維持するための粘性物質又はポリエチレングリコールなどの合成代替物が含まれる。また、ProClin P150、Amikacin、ゲンタマイシン、ペニシリン、及びテトラサイクリンなどの1以上の抗体が、典型的には含まれる。商業的な供給者によって利用可能な合成血漿の例には、HESPAN(登録商標)(DuPont Pharmaceuticals,WilmingtonDelaware,USA)、PENTASPAN(登録商標)(DuPont Pharmaceuticals)、MACRODEX(登録商標)(Pharmacia,Inc.,Piscataway,New Jersey,USA)、RHEOMACRODEX(登録商標)(Pharmacia,Inc.)、及びHEXTEND(登録商標)(BioTime,Inc.,Berkeley,California,USA)が挙げられる。疑似血漿は、典型的には、生理学的濃度の電解質+高分子膨張(oncotic)剤及び生物学的緩衝剤の水溶液である。血液学対照生成物のための懸濁媒体としてのその使用に加えて、人工血漿はまた、処理後の細胞の安定化のための懸濁媒体として用いることができる。人工血漿が機器製造業者の技術に特異的な白血球及び血小板カウント領域における粒子の存在に対する効果を有することができるため、それを考慮して、特定の人工血漿の選択は、ある場合には、特定の血液学的機器を用いてなされる。
【0024】
上述したように、異なる製造業者からの血液学的機器は、異なる血液細胞カウント技術を利用することが当該技術分野において知られている。このようにして、部分的に分解した赤血球又は赤血球の断片は、血液試料に存在し、ある機器の読み出しの白血球領域、血小板領域、又はその両方において出現する(及び、カウントされる)場合があり、一方で、他の機器では、これらの部分的に分解した細胞及び断片は、これらの領域には出現しない。さらに、正常若しくは以上な新鮮な赤血球又は保存された赤血球の電子インピーダンス及び/又は光学特性は、無傷な赤血球又は分解した細胞(例えば、赤血球ゴースト及び/又は断片)が機器設計に依存して異なって挙動し得るようなものである。例えば、異常な新鮮な赤血球は、Abbott Cell−Dyne CD4000を用いると、溶解剤に対する赤血球の耐性により、WBCカウント領域に存在する場合がある。同じ異常な赤血球は、Coulter機器上で示されないか又は異なるサイン(signature)(粒子分布)を有する場合がある。本発明によれば、対照における使用のための赤血球の修飾は、対照が使用されるべき機器が無傷な赤血球の電子若しくは光学特性におけるいずれかの変化、又は赤血球以外の血液成分として部分的に分解した細胞若しくは断片の電子若しくは光学特性におけるいずれかの変化を示すかどうかに依存して、異なる条件下で行われ得る。このようにして、曝露時間、温度、及び固定剤濃度は、機器の読み出しにおける細胞型分布のこの誤った表示を避け、なおもこの機器のプロトコールに従って、赤血球成分の溶解を可能にするのに必要とされる修飾の程度を達成するために調整され得る。種々の機器がどのようにして作動し、相違するのかについての情報は、高度の技術を有し、熟練した血液学者のうちで容易に知られ、ある場合には、製造業者によって提供され、最適条件の選択は、これを基準にして容易になされる。また、このような情報は、日常的な調査によって、クエン酸塩で洗浄され、人工血漿に懸濁させた赤血球の標準的な懸濁を機器上で稼働し、いずれかの電子的若しくは光学的に修飾された無傷な細胞又は部分的に分解した細胞及び断片がどこで出現するのかを留意するためにこの読み出しを観察することによって容易に決定可能である。
【0025】
本発明の説明としての典型的な赤血球調製手法に必要とされる成分は下記の通りである:
血液ドナー部位で典型的に回収されパックされたヒト赤血球
パックされたヒト赤血球を洗浄するための流動体
洗浄されたパックされたヒト赤血球の一次固定のための流動体
一次固定された細胞を洗浄するための流動体
洗浄された一次固定された細胞を懸濁させるための流動体
任意:洗浄された一次固定された細胞の二次固定のための流動体。及び二次固定された細胞を洗浄するための流動体
一次(又は二次)洗浄され固定された細胞を保存するための流動体
【0026】
下記の実施例は、例示を目的としてのみ提供されるものであり、ここでは、全てのパーセントは重量/体積を基準にしている。
【実施例】
【0027】
実施例1
下記の実施例は、複数の血液学技術プラットフォームにわたって、均一な赤血球値を提供する市販の血液対照製造物における使用のためのA型赤血球成分の調製を例示する。本実施例で使用される手法は、非RBC領域(即ち、白血球及び血小板分析領域)における分散した粒子からの干渉を作らない対照製造物に帰着した。この実施例は、Bayer(以前、Technicon)のH1−E機器からの例示プロフィールを用いて、Bayer 5パート機器での使用のために最適化された。この手法は、より低い血小板カウント領域における粒状物質の形成を妨害するが、機器の種間での一致したRBCパラメータを有する血液対照のための赤血球成分を提供する。これは、RBC体積、分布幅、及び細胞のヘモグロビン含有量を評価するためのこれらの機器によって使用される独特の方法に起因して、Bayer機器に対して重要な区別である。
【0028】
手法は下記の通りである:
1.1Lの遠心ボトルにドナー側のパックされたRBCを添加し、2×106/μL〜4×106/μL、好ましくは3×106/μLのカウントになるように等浸透の平衡化されたクエン酸塩洗浄溶液を添加する。
2.10〜30分間、好ましくは20分間、2,000〜4,000RPM、好ましくは3,000RPMで遠心分離し、上清を吸引除去し、2×106/μL〜4×106/μL、好ましくは3×106/μLのカウントになるようにクエン酸塩洗浄溶液で充填する。
3.クエン酸塩洗浄を繰り返し、2×106/μL〜4×106/μL、好ましくは3×106/μLのカウントになるようにクエン酸塩洗浄溶液で再懸濁する。
4.ストック溶液である24%グルタルアルデヒドの1%に釣り合うように十分なグルタルアルデヒドを含む第2の1Lボトルに再懸濁させたRBCを注ぐ。
【0029】
5.0.5〜4時間、好ましくは2時間、室温で固定する。
6.上述されるようにクエン酸塩洗浄溶液で洗浄する。
7.12〜20時間、好ましくは16時間、人工血漿に再懸濁させる。
8.10〜30分間、好ましくは20分間、2,000〜4,000RPM、好ましくは3,000RPMで遠心分離し、上清を吸引除去し、2×106/μL〜5×106/μL、好ましくは2×106/μLの赤血球カウントになるように人工血漿溶液で充填する。
【0030】
9.細胞処理(conditioning)のために、1×106/μL〜3×106/μL、好ましくは2×106/μLで、2〜8℃で7〜30日間、好ましくは21日間保存する。
10.標的値に依存して約0.5〜約7×106/μLの範囲の最終血液対照生成物に必要とされるRBCカウントになるように上清を吸引除去する。例えば、レベル1は0.5〜4×106/μLであり、レベル2は2〜5×106/μLであり、及びレベル3対照は3〜7×106/μLである。
11.固定された脊椎動物の白血球の形態である白血球成分(単数又は複数)(WBC)、固定された脊椎動物のRBCの形態、及び/又はラテックス粒子及び花粉としての他の粒子型の形態であるWBC類似体を添加する。
12.血小板成分、例えば、抗凝血剤において調製される天然の哺乳動物の血小板又は動物供給源から調製される血小板類似体を添加する。好ましい血小板成分は、Hunt,米国特許第4,179,398号に開示されているヤギ赤血球などの動物供給源由来である。
13.正常及び異常な血液学条件を用いて、血液対照の製造に必要とされる細胞カウント及び細胞サイズを調整する。
【0031】
比較の目的で、組織固定のための固定剤としてグルタルアルデヒドの使用に関する従来の条件は、約1%のグルタルアルデヒド濃度を用いて約24時間、組織とグルタルアルデヒドとを接触させることを含む。上述される手法によって生成される対照は、Bayer H1−E及びAdvia 120機器に用いられ、より低い血小板領域における粒子の形成をもたらさなかった。対照は、Abbott CD4000による光学的な血小板領域の三日月形の粒子分布、CD4000WBC散布図における残骸を生じた。これは、CD4000においてはWBC(白血球)及びRBC(赤血球)のシステムエラーを引き起こした。
【0032】
本実施例で使用される対照生成物は、赤血球カウント(RBC)、ヘモグロビン(HGB)、平均細胞体積(MCV)に対する6つの市販の血液学的機器で試験され、また、新鮮な血液試料は、同じ6個の機器で試験された。新鮮な血液についての結果は、表Iに示され、対照についての結果は、表IIに示されている。
【0033】
【表1】

【0034】
【表2】

【0035】
表IIのデータは、特に平均細胞体積において、異なる機器間の結果の密接相関関係を示し、対照の普遍性を指示している。調製がなされたBayer Adviaは、新鮮な血液及びA1型対照と類似なMCVバイアスを示した。
【0036】
実施例2
この実施例は、非RBC(即ち、白血球及び血小板分析)領域における分散された粒子がほとんどない状態で、複数の血液学技術プラットフォームにわたって、均一な赤血球値を提供するB1型の赤血球成分の調製物を調製するための手法を例示する。この実施例における手法は、Abbott CD4000 5パート機器における使用のために最適化された。この手法は、光学的な血小板及び光学的なWBCカウント領域における粒状物質の形成を妨害するが、機器タイプ間の一致したRBCパラメータを有する血液対照について、赤血球成分を提供する。これは、RBC、血小板、及びWBCパラメータを評価するために用いられる方法に起因して、Abbott機器に対する重要な区別である。下記に概説される手法は、B1型のRBCのためのものであり、グルタルアルデヒドの超低の短い照射を用いた一次固定、その後、非グルタルアルデヒド固定剤、この場合は、環境への関心により相対的に安全であり、ホルムアルデヒド及びグルタルアルデヒドなどの固定剤を用いて達成されるものとは区別される効果を有するHISTOCHOICE(登録商標)を用いて二次固定(二次の固定)の中程度の濃度によって行われる。
【0037】
手法は下記の通りである:
1.1Lの遠心ボトルにドナー側のパックされたRBCを添加し、2×106/μL〜4×106/μL、好ましくは3×106/μLのカウントになるように等浸透の平衡化されたクエン酸塩洗浄溶液を添加する。
2.10〜30分間、好ましくは20分間、又はパックされるまで、2,000〜4,000RPM、好ましくは3,000RPMで遠心分離し、上清を吸引除去し、2×106/μL〜4×106/μL、好ましくは3×106/μLのカウントになるようにクエン酸塩洗浄溶液で充填する。
3.クエン酸塩洗浄を繰り返し、2×106/μL〜4×106/μL、好ましくは3×106/μLのカウントになるようにクエン酸塩洗浄溶液で赤血球を再懸濁する。
4.ストック溶液である24%グルタルアルデヒドの0.005%〜1%、好ましくは0.01%に釣り合うように十分なグルタルアルデヒドを含む第2の1Lボトルに再懸濁させたRBCを注ぎ、結果として、最終のグルタルアルデヒド濃度が0.001%〜0.25%、好ましくは0.0025%になるようにする。
【0038】
5.0.5〜4時間、しかし好ましくは2時間、室温で固定する。
6.上述されるようにクエン酸塩洗浄溶液で洗浄し、もう1回繰り返す。
7.12〜20時間、好ましくは16時間、人工血漿に再懸濁させる。
8.20分間、2,000〜4,000RPM、好ましくは3,000RPMで遠心分離し、上清を吸引除去し、2×106/μL〜4×106/μL、好ましくは3×106/μLのカウントになるように人工血漿懸濁媒体で充填する。
【0039】
9.HISTOCHOICEの最終濃度が0.1〜5%、好ましくは1%に等しくなるように第2容器に十分なHISTOCHOICEを添加する。
10.洗浄されたグルタルアルデヒドの一次固定され、洗浄された細胞をHISTOCHOICEを含むボトルに注ぐ。
11.2〜8℃で、16〜48時間、好ましくは24時間保存する。
12.2,000〜4,000RPM、好ましくは3,000RPMで10〜30分間、好ましくは20分間、遠心分離し、上清を吸引除去する。
【0040】
13.上述されるように、人工血漿懸濁溶液で洗浄する。
14.洗浄手法をもう2回繰り返す。
15.細胞調整のために、1×106/μL〜3×106/μL、好ましくは2×106/μLで、2〜8℃で7〜30日間、しかし好ましくは21日間保存する。
16.10〜30分間、好ましくは20分間、2,000〜4,000RPM、好ましくは3,000RPMで遠心分離し、上清を吸引除去し、2×106/μL〜5×106/μL、好ましくは2×106/μLの赤血球カウントになるように人工血漿溶液で充填する。
【0041】
17.細胞調整のために、1×106/μL〜3×106/μL、好ましくは2×106/μLで、2〜8℃で7〜30日間、好ましくは21日間保存する。
18.標的値に依存して約0.5〜約7×106/μLの範囲の最終血液対照生成物に必要とされるRBCカウントになるように上清を吸引除去する。例えば、レベル1は0.5〜4×106/μLであり、レベル2は2〜5×106/μLであり、及びレベル3対照は3〜7×106/μLである。
19.固定された脊椎動物の白血球の形態である白血球成分(単数又は複数)(WBC)、固定された脊椎動物のRBCの形態、及び/又はラテックス粒子及び花粉としての他の粒子型の形態であるWBC類似体を添加する。
20.実施例1におけるように調製された血小板成分を添加する。
21.正常及び異常な血液学条件を用いて、血液対照の製造に必要とされる細胞カウント及び細胞サイズを調整する。
【0042】
得られた赤血球調製物は、Bayer H1−E及びAdvia 20機器でより低い血小板領域に粒子を形成した。この調製物は、Abbott CD4000の光学的な血小板領域に適合する粒子を有しなかった。RBC及びWBCシステムエラーは、典型的には古い(legacy)RBC調合物と一緒に生じるものなどのAbbott機器において観察されなかった。比較を目的として、HISTOCHOICE使用のための従来の条件は、約3〜4%の固定濃度で1〜3日、細胞と固定剤とを接触させることを含む。
【0043】
この実施例で使用された対照生成物は、赤血球カウント、ヘモグロビン、及び平均細胞体積に関して、実施例1などの7個の市販されている血液学的機器で試験された。実施例1で使用されたものとは異なる新鮮な血液はまた、7個の機器で試験された。新鮮な血液についての結果を表IIIに示し、対照の結果を表IVに示す。
【0044】
【表3】

【0045】
【表4】

【0046】
表IVのデータは、特に平均細胞体積において、異なる機器間の結果の密接相関関係を示し、対照の普遍性を指示している。
【0047】
実施例3
同様に、この実施例は、非RBC(即ち、白血球及び血小板分析)領域における分散された粒子がほとんどない状態で、再度、複数の血液学技術プラットフォームにわたって、均一な赤血球値を提供するB2型の赤血球成分の調製物を調製するための手法を例示する。実施例2のように、この実施例における手法は、Abbott CD4000 5パート機器における使用のために最適化された。この手法は、光学的な血小板領域における粒状物質の形成を可能にするが、光学的なWBCカウント領域における粒状物質の形成を妨害し、機器タイプ間の一致したRBCパラメータを有する血液対照について、赤血球成分を提供する。この手法に使用された固定剤は、HISTOCHOICE(登録商標)である。
【0048】
手法は下記の通りである:
1.1Lの遠心ボトルにドナー側のパックされたRBCを添加し、2×106/μL〜4×106/μL、好ましくは3×106/μLのカウントになるように等浸透の平衡化されたクエン酸塩洗浄溶液を添加する。
2.10〜30分間、好ましくは20分間、又はパックされるまで、2,000RPM〜4,000RPM、好ましくは3,000RPMで遠心分離し、上清を吸引除去し、2×106/μL〜4×106/μL、好ましくは3×106/μLのカウントになるようにクエン酸塩洗浄溶液で充填する。
3.クエン酸塩洗浄を繰り返し、2×106/μL〜4×106/μL、好ましくは3×106/μLのカウントになるようにクエン酸塩洗浄溶液で再懸濁する。
4.12〜20時間、好ましくは16時間、人工血漿懸濁溶液に再懸濁する。
【0049】
5.10〜30分間、好ましくは20分間、2,000RPM〜4,000RPM、好ましくは3,000RPMで遠心分離し、上清を吸引除去し、2×106/μL〜4×106/μL、好ましくは3×106/μLのカウントになるように人工血漿懸濁溶液で充填する。
6.HISTOCHOICEの最終濃度が0.1〜5%、しかし好ましくは1%に等しくなるように第2容器に十分なHISTOCHOICEを添加する。
7.洗浄された細胞をHISTOCHOICEを含むボトルに注ぐ。
8.2〜8℃で、16〜48時間、好ましくは24時間保存する。
【0050】
9.2,000RPM〜4,000RPM、好ましくは3,000RPMで10〜30分間、好ましくは20分間、遠心分離し、上清を吸引除去する。
10.上述されるように、人工血漿懸濁溶液で洗浄する。
11.洗浄手法をもう2回繰り返す。
12.細胞調整のために、1×106/μL〜3×106/μL、好ましくは2×106/μLで、2〜8℃で7〜30日間、しかし好ましくは21日間保存する。
【0051】
13.所望のRBCカウントまで上清を吸引除去する。
14.固定された脊椎動物の白血球の形態である白血球成分(単数又は複数)(WBC)、固定された脊椎動物のRBCの形態、及び/又はラテックス及び花粉としての他の粒子型の形態であるWBC類似体を添加する。
15.血小板成分を添加する。
16.正常及び異常な血液学条件を用いて、血液対照の製造に必要とされる細胞カウント及び細胞サイズを調整する。
【0052】
得られた調製物は、Bayer H1−E及びAdvia 20機器でより低い血小板領域に粒子を形成した。Abbott CD4000のWBC散布図では、光学的な血小板領域で見られ、残骸は見られない。
【0053】
前述のものは、例示を目的として提供される。本発明の範囲内にある更なる変形、修飾、及び置換は、当業者に容易に明確となる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
赤血球を含む哺乳動物の血液試料を分析する血液学的機器の精度を検証する方法であって、該機器内で赤血球成分を溶解することを含み、該試料中の異種の血液細胞の相対量を測定するプロセスによるものであり、
該機器内で、疑似血漿に懸濁された既知の相対量の赤血球成分、白血球成分、及び血小板成分を含む血液対照を前記プロセスに従って分析することを含み、該赤血球成分は、該機器内で赤血球を溶解状態にしながら赤血球を架橋するために、固定剤とともにインキュベーションすることによって前処理(precondition)された無核の哺乳動物の赤血球からなり、該分析の結果を該既知の組成と比較することを含む前記方法。
【請求項2】
前記固定剤は、濃度が約0.1%〜約1.0%である有機ジアルデヒドであり、前記インキュベーションは、約15℃〜約25℃の温度で約0.5時間〜約48時間の期間行われる、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記固定剤は、濃度が約0.05%〜約2.5%である有機ジアルデヒドであり、前記インキュベーションは、約2℃〜約8℃の温度で約16時間〜約48時間の期間行われる、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記組成は、溶解プロモーターを欠いている、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記有機ジアルデヒドは、少なくとも2個の炭素原子を含む骨格鎖を含む連結基によって接続された2つの末端アルデヒド基を含む化合物である、請求項2又は3に記載の方法。
【請求項6】
前記骨格鎖が、2〜6個の炭素原子の飽和アルキレンである、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記有機ジアルデヒドは、グルタルアルデヒド及び1,4−ブタン−ジアルからなる群から選択されるメンバーである、請求項2又は3に記載の方法。
【請求項8】
前記固定剤は、ジアゾリジニルウレア及びイミダゾリジニルウレアからなる群から選択されるメンバーである、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記無核の哺乳動物の赤血球はA型赤血球であり、前記固定剤はグルタルアルデヒドであり、前記インキュベーションは、約15℃〜約25℃の温度で約0.5時間〜約4時間の期間、約0.1%〜約1.0%のグルタルアルデヒド濃度で行われる、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記無核の哺乳動物の赤血球はB1型赤血球であり、前記固定剤はブタン−1,4−ジアルであり、前記インキュベーションは、約2℃〜約8℃の温度で約16時間〜約48時間の期間、約0.05%〜約2.5%の固定剤濃度で行われる、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記無核の哺乳動物の赤血球はB2型赤血球であり、前記インキュベーションは第1段階及び第2段階を含み、第1段階固定が約15℃〜約25℃の温度で約0.5時間〜約4時間の期間、約0.0001%〜約0.25%の濃度のグルタルアルデヒドを含む、第2段階固定が約2℃〜約8℃の温度で約16時間〜約48時間、約0.05%〜約2.5%の濃度のブタン−1,4−ジアルを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記無核の哺乳動物の赤血球は、前記固定剤とのインキュベーション後、固定剤が存在しない状態で、約2℃〜約8℃で約7日〜約30日間、疑似血漿中でのインキュベーションによってさらに前処理されている、請求項1に記載の方法。

【公表番号】特表2009−544041(P2009−544041A)
【公表日】平成21年12月10日(2009.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−520945(P2009−520945)
【出願日】平成19年7月16日(2007.7.16)
【国際出願番号】PCT/US2007/073625
【国際公開番号】WO2008/011387
【国際公開日】平成20年1月24日(2008.1.24)
【出願人】(591099809)バイオ−ラッド ラボラトリーズ,インコーポレイティド (79)
【Fターム(参考)】