説明

血液検査装置

【課題】一日数回行わなければならないセンサの装填は、糖尿病患者にとって煩わしいものであった。
【解決手段】穿刺部13を有するとともに略直方体形状をした筐体12と、この筐体12内に設けられるとともに穿刺部13に対向して設けられた穿刺手段(レーザ穿刺ユニット)15と、センサ14が積層収納されるセンサカートリッジ16と、このセンサカートリッジ16内に収納されたセンサ14を穿刺部13へ搬送する搬送手段17と、穿刺部13へ搬送されたセンサ14と電気的に接続される測定回路部18とを備え、穿刺部13を覆うとともに開閉自在な穿刺部保護カバー21を設け、この穿刺部保護カバー21の開に連動してセンサカートリッジ16内に収納されたセンサ14を穿刺部13へ装填するものである。これにより、所期の目的を達成することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、血糖値等を検査する血液検査装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
以下、従来の血液検査装置について説明する。図20は、従来の血液検査装置の断面図であり、図21はその血液検査装置を用いた検査方法の斜視図である。
【0003】
図20において、従来の血液検査装置1は、筐体2と、この筐体2に設けられた穿刺部3と、この穿刺部3を構成するホルダ4と、穿刺部3に装填された血液センサ(以下センサという)5と、このセンサ5に接続された測定回路部6と、穿刺部3に対向して設けられたレーザ穿刺ユニット7と、これらに電源を供給する電池8とで構成されていた。
【0004】
以上のように構成された血液検査装置1を用いた検査方法について、図20、21を用いて説明する。先ず、準備段階として穿刺部3を構成するホルダ4を開く、そして新しいセンサ5をホルダ4内に挿入する。センサ5が挿入されたホルダ4を穿刺部3に装填する。
【0005】
その後、図21に示すように、血液検査装置1を例えば右手に持ち、左手の人差し指の皮膚9に穿刺部3を当接させる。そして、右手の中指で穿刺ボタン7aを押下する。そうすると、レーザ穿刺ユニット7からはレーザ光7bが放射される。このレーザ光7bにより、皮膚9が穿刺される。皮膚9からは血液10が滲出する。この滲出した血液10は、センサ5内へ取り込まれる。そして、このセンサ5から出力される信号は測定回路部6へ伝達される。測定回路部6では血糖値が測定される。
【0006】
なお、この出願の発明に関連する先行技術文献情報としては、例えば、特許文献1、特許文献2が知られている。
【特許文献1】特開2001―21556号公報
【特許文献2】特表2003―524496号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながらこのような従来の血液検査装置1では、血液検査装置1を用いて穿刺する前に、準備段階として穿刺部3を構成するホルダ4を開き、新しいセンサ5をホルダ4内に挿入する。そして、センサ5が挿入されたホルダ4を穿刺部3に装填するという煩雑な操作をしなければならなかった。しかも糖尿病患者はこの煩雑な操作を、一日数回行わなければならず、その作業は面倒なものであった。
【0008】
本発明は、このような問題を解決したもので、血液センサの装填が容易な血液検査装置を提供することを目的としたものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この目的を達成するために、本発明の血液検査装置は、穿刺部を有するとともに略直方体形状をした筐体と、この筐体内に設けられるとともに前記穿刺部に対向して設けられた穿刺手段と、血液センサが積層収納されるセンサカートリッジと、このセンサカートリッジ内に収納された前記血液センサを前記穿刺部へ搬送する搬送手段と、前記穿刺部へ搬送された前記血液センサと電気的に接続される測定回路部とを備え、前記穿刺部を覆うとともに開閉可動な穿刺部保護カバーを設け、この穿刺部保護カバーの開放動作に連動して前記センサカートリッジ内に収納された前記血液センサを前記穿刺部へ装填するものである。
【0010】
また、穿刺部を有するとともに略直方体形状をした筐体と、この筐体内に設けられるとともに前記穿刺部に対向して設けられた穿刺手段と、血液センサが積層収納されるセンサカートリッジと、このセンサカートリッジ内に収納された前記血液センサを前記穿刺部へ搬送する搬送手段と、前記穿刺部へ搬送された前記血液センサと電気的に接続される測定回路部とを備え、センサカートリッジにカートリッジ保護カバーを設け、このカートリッジ保護カバーの往復摺動により前記センサカートリッジの出口を開閉させるとともに、前記カートリッジ保護カバーの開放動作に連動して前記センサカートリッジ内に収納された前記血液センサを前記穿刺部へ装填する血液検査装置も提供する。
【0011】
さらに、センサカートリッジにカートリッジ保護カバーを設け、このカートリッジ保護カバーの往復摺動により前記センサカートリッジの出口を開閉させるとともに、前記カートリッジ保護カバーと前記穿刺部保護カバーとが連動してスライドする血液検査装置も提供するものである。
【0012】
これにより、所期の目的を達成することができる。
【発明の効果】
【0013】
以上のように本発明の血液検査装置は、穿刺部を有するとともに略直方体形状をした筐体と、この筐体内に設けられるとともに前記穿刺部に対向して設けられた穿刺手段と、血液センサが積層収納されるセンサカートリッジと、このセンサカートリッジ内に収納された前記血液センサを前記穿刺部へ搬送する搬送手段と、前記穿刺部へ搬送された前記血液センサと電気的に接続される測定回路部とを備え、前記穿刺部を覆うとともに開閉自在な穿刺部保護カバーを設け、この穿刺部保護カバーの開に連動して前記センサカートリッジ内に収納された前記血液センサを前記穿刺部へ装填するものであり、穿刺部保護カバーを開にするのみで、センサカートリッジ内に収納された血液センサを穿刺部に装填することができる。従って、血液センサの装填は著しく容易なものとなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
(実施の形態1)
以下、本発明の実施の形態について図面に基づいて説明する。図1は、血液検査装置11の透視平面図である。図1において、12は略直方体形状をした筐体であり、主に樹脂材料で形成されている。この筐体12の下辺(図1において、下方向)の端部には穿刺部13が設けられている。この穿刺部13は上ホルダ13a(図示せず)と下ホルダ13b(図示せず)とで構成されおり、この上ホルダ13aと下ホルダ13bの間に血液センサ(以下センサという)14を挟んで固定する。
【0015】
穿刺部13に対向してレーザ穿刺ユニット15(穿刺手段の一例として用いた)が装着されている。なお、穿刺手段としては、レーザ穿刺ユニット15の他に、穿刺針を用いた針穿刺ユニットを用いることもできる。
【0016】
筐体12の下辺側にはセンサ14が積層収納されたセンサカートリッジ16が挿抜自在に挿入されている。このセンサカートリッジ16には、搬送手段17が設けられており、この搬送手段17を用いて積層収納されたセンサ14の内、一番下に収納されたセンサ14を穿刺部13へ搬送する。
【0017】
センサカートリッジ16の上方に隣接して測定回路部18が設けられている。この測定回路部18は、上ホルダ13aに設けられたコネクタ49(図示せず)に接続されており、このコネクタ49を介してセンサ14と接続されている。
【0018】
測定回路部18の出力は筐体12の前面上方に装着された表示部20に表示される。この表示部20の裏側(内部)には、電池19(図示せず)が挿抜自在に挿入されている。
【0019】
21は、穿刺部13を保護する穿刺部保護カバーであり、この穿刺部保護カバー21は、穿刺部にセンサ14を装填する働きも兼ねている。即ち、この穿刺部保護カバー21を、筐体12に対して水平方向(矢印22a方向、或るいは矢印22b方向)にスライドすることにより、センサ14を穿刺部13に装填するものである。
【0020】
以上のように構成された血液検査装置11において、以下その使用動作を説明する。先ず、穿刺部保護カバー21を矢印22a方向へスライドさせる。穿刺部保護カバー21のスライドにより、穿刺部13が露出するとともに、センサカートリッジ16内に収納されたセンサ14が穿刺部13へ装填される。
【0021】
患者は指9aの皮膚9を穿刺部13に当接させる。穿刺部13に皮膚9を当接させた状態で穿刺ボタン15a(図7参照)を押下する。穿刺ボタン15aを押下すると、レーザ穿刺ユニット15からレーザ光15bが放射される。
【0022】
レーザ穿刺ユニット15から放射されたレーザ光15bは、穿刺部13に装填されたセンサ14を貫通して皮膚9を穿刺する。穿刺された皮膚9からは血液10が滲出する。この血液10はセンサ14に取り込まれる。そして、センサ14内に載置された試薬(図4参照)と化学反応する。この化学反応の結果は、測定回路部18へ導かれる。
【0023】
測定回路部18では、センサ14から伝送された信号に基づいて血糖値を測定する。この測定された血糖値などは表示部20に表示される。患者は、穿刺部13から皮膚9を離す。そして、測定が終った後は、前記穿刺部保護カバー21を測定前とは逆に矢印22b方向にスライドすることで穿刺部13を覆うことが出来る。
【0024】
以上説明したように、穿刺部保護カバー21を矢印22a方向にスライドする操作のみで、センサカートリッジ16内に収納されたセンサ14を穿刺部13に装填することができる。つまり前記穿刺部保護カバー21のスライド操作に連動して、センサ14が自動的に穿刺部13に装填することができる。従って、センサ14の装填は、従来の血液検査装置1と比べて著しく操作性が向上し容易なものとなる。
【0025】
次に、センサカートリッジ16内に収納されたセンサ14の装填の詳細について述べる。このセンサ14の装填方法には、電気的な方法と機構的な方法とがある。電気的な装填方法においては、穿刺部保護カバー21の開を検知する開検知センサを筐体12に装備する。そして、この開検知センサの出力信号により搬送手段を駆動して、センサカートリッジ16内に収納されたセンサ14を穿刺部13へ搬送する。そして、搬送されたセンサ14を穿刺部13に装填する。
【0026】
次に、機械的な装填方法を、図2、3に基づいて説明する。図2(a)は、穿刺部保護カバー21を閉じた場合のセンサカートリッジ16とその周辺の正面図であり、図2(b)はその断図面である。図2において、16aは略直方体形状をしたカートリッジケースであり、このカートリッジケース16a内には、センサ14が積層収納されるセンサ室16bと、このセンサ室16bと並列に乾燥剤16cが収納された乾燥剤室16dが設けられている。
【0027】
カートリッジケース16a内に乾燥剤16cが収納されている理由は、センサ14の性能は湿気により影響があるため、この性能変化を防止するためである。16eはバネであり、センサ14を下方へ付勢している。センサ室16bの下端にはセンサ14の出口16fが形成されている。この出口16fは、センサカートリッジ16が筐体22へ挿入された状態で穿刺部13と連結する位置に設けられている。
【0028】
カートリッジケース16aの下方には、カートリッジケース16aを覆うように横断面が「コ」の字型のカートリッジ保護カバー17a(図2(b)参照)が設けられている。このカートリッジ保護カバー17aは、カートリッジケース16aに対して、水平方向(矢印22a、或いは矢印22b方向)の摺動が自在に設けられている。
【0029】
カートリッジケース16aの側面には、出口16f近傍から、中央下方に向かって三日月型の凹溝16gが設けられている。また、カートリッジ保護カバー17aの側面の下方前方側(出口16f側)には、支点17bが植設されており、この支点17bにはセンサ室16bの出口16fを開閉する出口開閉部材17cの一方の端が回動自在に掛着されている。この出口開閉部材17cの他方の端17dは、スリット16g内を自在に摺動可能に取り付けられている。また、他方の端17dには、出口16fを塞ぐシャッタ17eが装着されている。
【0030】
従って、カートリッジ保護カバー17aを矢印22a方向へスライドさせると、他方の端17dはスリット16g内を摺動する。他方の端17dの摺動によりシャッタ17eもそれに連れて、カートリッジケース16aのスリット16gの形状に沿って下方中央へ移動し、出口16fは開となる。
【0031】
これに対して、カートリッジ保護カバー17aを矢印22b方向へスライドさせると、他方の端17dはスリット16g内を出口16f方向へ摺動する。他方の端17dの摺動によりシャッタ17eもそれに連れて出口16f方向へ移動し、出口16fは閉となる。即ち、出口16fはシャッタ17eで塞がれる。このようにして、出口16fをシャッタ17eで塞ぐことにより、出口16fから外部の湿気などがカートリッジケース16a内へ侵入することを防止するものである。これは、センサ14の性能劣化を防止するものであり、乾燥剤16cとともにその効果を向上させている。
【0032】
以下、センサカートリッジ16の下辺に設けられた搬送手段17について説明する。17fは、カートリッジケース16aの下辺を摺動するスライドプレートであり、センサ室16bに積層収納されたセンサ14の内、一番下に収納されたセンサ14を穿刺部13へ搬送するものである。このスライドプレート17fの側面には、歯17gが形成されている。一方、カートリッジケース16aの下辺中央には、歯17gに歯合する歯車17hが回転自在に固着されている。また、カートリッジ保護カバー17aの内側にも、歯車17hに歯合する歯17jが形成されている。
【0033】
従って、カートリッジ保護カバー17aを矢印22a方向へスライドすると、歯車17hは矢印22c方向に回転する。歯車17hが矢印22c方向に回転すると、この歯車17hに歯合するとともに歯17gが設けられたスライドプレート17fは、矢印22b方向へスライドする。即ち、スライドプレート17fは、一番下に収納されたセンサ14を穿刺部13へ搬送する。
【0034】
逆に、カートリッジ保護カバー17aを矢印22b方向へスライドすると、歯車17hは矢印22d方向に回転する。歯車17hが矢印22d方向に回転すると、この歯車17hに歯合するとともに歯17gが設けられたスライドプレート17fは、矢印22a方向へスライドする。即ち、スライドプレート17fは、カートリッジケース16a内の元の位置に戻る。このように、カートリッジ保護カバー17aを摺動させることにより、センサ14を穿刺部13に装填することもできる。
【0035】
穿刺部保護カバー21は、筐体22との間で、レール(図示せず)により水平方向(矢印22a、22b方向)に摺動可能に設けられている。カートリッジ保護カバー17aの下方後方側(出口16fの反対側)には、一対の凸部17kが設けられており、この凸部17kは、穿刺部保護カバー21に形成された一対の凹部21bと嵌合している。
【0036】
従って、穿刺部保護カバー21を水平方向に摺動させることにより、カートリッジ保護カバー17aを介して、シャッタ17eによる出口16fの開閉と、スライドプレート17fの摺動によりセンサ14の穿刺部13への装填をすることができる。
【0037】
図2(a)は、穿刺部保護カバー21で穿刺部13を覆った状態の正面図であり、図2(b)は、それを上方から見た断面図である。これに対して、図3(a)は、穿刺部保護カバー21を矢印22a方向へスライドした場合の正面図であり、図3(b)は、それを上方から見た断面図である。
【0038】
即ち、図3に示すように、穿刺部保護カバー21を矢印22a方向へスライドさせることにより、凹部21bと凸部17kが嵌合しているので、カートリッジ保護カバー17aも矢印22a方向へスライドする。カートリッジ保護カバー17aの矢印22a方向へのスライドにより、シャッタ17eは下方へ移動し、出口16fを開く。また、カートリッジ保護カバー17aの矢印22a方向へのスライドにより、歯車17hは矢印22c方向へ回転し、スライドプレート17fは、出口16fからセンサ14を搬出し穿刺部13に装填する。
【0039】
図4は、センサ14の断面図である。このセンサ14は、基板31と、この基板31の上面に貼り合わされたスペーサ32と、このスペーサ32の上面に貼り合わされたカバー33とで構成されている。
【0040】
34は、血液10(図1、21参照)の貯留部であり、この貯留部34は、基板31の略中央に形成された基板孔31aと、この基板孔31aに対応してスペーサ32に形成されたスペーサ孔32aと、基板孔31aに対応してカバー33に形成されたカバー孔33aとが連通して形成されている。
【0041】
35は、この貯留部34に一方の端が連結された血液10の供給路であり、貯留部34に溜められた血液10を毛細管現象で一気に検出部37へ導く路である。また、この供給路35の他方の端は空気孔38に連結している。貯留部34の容積は0.904μLであり、供給路35の容積は0.144μLとしている。このように少量の血液10で検査可能とし、患者への負担を軽減している。
【0042】
40は、検出部37上に載置された試薬である。この試薬40は、0.01〜2.0wt%CMC水溶液に、PQQ−GDHを0.1〜5.0U/センサ、フェリシアン化カリウムを10〜200mM、マルチトールを1〜50mM、タウリンを20〜200mM添加して融解させて試薬溶液を調整し、これを基板31に形成された検出電極41,43(図5参照)上に滴下し、乾燥させることで形成したものである。この試薬40は吸湿すると性能に影響が出てくる。この影響を防止するため、センサカートリッジ16内には通常乾燥剤16cが収納されている。
【0043】
基板31の上面には金、白金、パラジウム等を材料として、スパッタリング法或いは蒸着法により導電層を形成し、これをレーザ加工により検出電極41〜45(図5参照)と、この検出電極41〜45から夫々導出された接続電極41a〜45aと識別電極47aが一体的に形成されている。
【0044】
図5は、センサ14の透視平面図であり、一方の端には、接続電極41a〜45aと、識別電極47aが形成されている。接続電極43aと識別電極47aとの間に、導電体パターンで形成された識別部47が形成されている。
【0045】
34は、センサ14の略中央に設けられた血液10の貯留部であり、この貯留部34に一方の端が接続された供給路35が検出電極42に向かって設けられている。そして、この供給路35の他方の端は空気孔38に連結している。この供給路35上には、貯留部34側から順に接続電極44aに接続された検出電極44と、接続電極45aに接続された検出電極45と、接続電極43aに接続された検出電極43と、接続電極41aに接続された検出電極41と、接続電極42aに接続された検出電極42が設けられている。また、検出電極41,43上には、試薬40(図4参照)が載置される。
【0046】
接続電極43aと識別電極47a間の電気的な導通があるか無いかで、センサ14が穿刺部13に装着されたか否かを識別することができる。即ち、このセンサ14を穿刺部13に搬送したとき、接続電極43aと識別電極47a間の電気的な導通を検知することにより、センサ14が確実に穿刺部13に装着されたか否かを検知することができる。若し電気的な導通がなければ、センサ14が穿刺部13に装着されていない訳である。この場合は、血液検査装置11の表示部20(図1参照)へ警告表示することができる。
【0047】
また、識別部47の電気抵抗値を変えることにより、使用する検量線の情報を格納したり、製造情報を格納したりすることが可能となる。従って、これらの情報を用いて、より精密な血液検査を行なうことができる。図6は、長方形状をするとともに板体で形成されたセンサ14の斜視図である。なお、本実施の形態においては、識別部47の導通・非導通の違いを用いて、穿刺部保護カバー21の開検知センサとしても活用している。
図7は、測定回路部20とその近傍のブロック図である。図7において、センサ14の接続電極41a〜45a、(図5参照)は、コネクタ49(49a〜49e)を介して切換回路18aに接続されている。この切換回路18aの出力は、電流/電圧変換器18bの入力に接続されている。そして、その出力はアナログ/デジタル変換器(以後、A/D変換器という)18cを介して演算部18dの入力に接続されている。この演算部18dの出力は、液晶で形成された表示部20と通信部18eに接続されている。また、切換回路18aには基準電圧源18fが接続されている。なお、この基準電圧源18fはグランド電位であっても良い。
【0048】
18gは制御部であり、この制御部18gの出力は、レーザ穿刺ユニット15に接続された高電圧発生回路18hと、切換回路18aの制御端子と、演算部18dと、通信部18eに接続されている。また、制御部18gの入力には、穿刺ボタン15aと、タイマ18kと、コネクタ49fが接続されている。
【0049】
以下、測定回路部18の動作を説明する。測定動作は先ず切換回路18aを切換えて、検出電極41を電流/電圧変換器18bに接続する。また、血液10流入を検知するための検知極となる検出電極42を基準電圧源18fに接続する。そして、検出電極41及び検出電極42間に一定の電圧を印加する。この状態において、血液10が流入すると、検出電極41,42間に電流が流れ、血液10が十分に流入したことを検出する。
【0050】
次に、血液成分であるグルコースの測定が行なわれる。グルコース成分量の測定は、制御部18gの指令により、切換回路18aを切換えて、グルコース成分量の測定のための作用極となる検出電極41を電流/電圧変換器18bに接続する。また、グルコース成分量の測定のための対極となる検出電極43を基準電圧源18fに接続する。
【0051】
そして、一定時間(1〜10秒)の経過後に、制御部18gの指令により、検出電極41と43間に一定の電圧(0.2〜0.5V)を印加する。そうすると、検出電極41,43間に電流が流れる。この電流値を基にグルコース成分量に換算する。
【0052】
グルコース成分量の測定後、Hct値の測定のための作用極となる検出電極45を電流/電圧変換器18bに接続する。また、Hct値の測定のための対極となる検出電極41を基準電圧源18fに接続する。
【0053】
次に、制御部18gの指令により、電流/電圧変換器18b及び基準電圧源18fから検出電極45と41間に一定の電圧(2V〜3V)を印加し、このとき流れる電流の値に基づいてHct値に換算する。
【0054】
この測定で得られたHct値とグルコース成分量を用い、予め求めておいた検量線または検量線テーブルを参照して、グルコース成分量をHct値で補正し、その補正された結果を表示部20に表示する。また、その結果を通信部18eからインスリンを注射する注射装置に向けて送信する。
【0055】
以上、グルコースの測定を例に説明したが、センサ14の試薬40を交換して、グルコースの測定の他に乳酸値やコレステロールの血液成分の測定にも適用できる。
【0056】
次に、図8を用いて血液検査装置11を用いた検査方法を説明する。先ずステップ51では、血液検査装置11の穿刺部保護カバー21を矢印22a(図1参照)へスライドする。即ち、穿刺部13を露出させる。このとき、穿刺部保護カバー21のスライドにより、同時にセンサ14が穿刺部13に装填される。この装填の確認は、センサ14の接続電極43aと識別電極47aの導通を検知することにより行う。
【0057】
そして、センサ14の装填が確認されたらステップ52へ移行する。ステップ52では、高電圧発生回路18hを動作させて穿刺に必要な高電圧を発生させる。高電圧が発生したら表示部20に「穿刺可」の表示をしてステップ53へ移行し、穿刺ボタン15aの押下を待つ。
【0058】
ステップ53において、穿刺ボタン15aが押下されると、レーザ穿刺ユニット15からレーザ光15bが放射され患者の皮膚9を穿刺する。なお、穿刺ボタン15aの押下のタイミングで「穿刺可」の表示はオフする。皮膚9の穿刺により、滲出した血液10がセンサ14の貯留部34に取り込まれる。この貯留部34に取り込まれた血液10は、供給路35による毛細管現象により一気に(定まった流速で)検出部37に取り込まれる。そして、ステップ54へ移行して血液10の血糖値が測定される。
【0059】
ステップ54で血糖値が測定されたら、ステップ55に移行し、測定した血糖値を表示部20に表示する。これで、血液10の測定は終了し、ステップ56へ移行する。ステップ56では、穿刺部保護カバー21を矢印22b(図1参照)へスライドする。即ち、穿刺部13を穿刺部保護カバー21で覆う。
【0060】
以上説明したように、ステップ51において、穿刺部保護カバー21を矢印22a方向へスライドするのみで、穿刺部13にはセンサ14が装填される。従って、センサ14の装填作業は従来と比べて、格段に簡潔化される。
【0061】
(実施の形態2)
実施の形態2における血液検査装置61(実施の形態1における血液検査装置11に該当する)は、穿刺部保護カバー62(実施の形態1における穿刺部保護カバー21に該当する)が筐体12に対して上下方向(矢印22e、22f方向)へスライドする点で、実施の形態1と異なる。従って、実施の形態2では、この異なる点に付いて説明し、同一のものには同符号を付して説明を簡略化している。なお、これは以降の実施の形態に関しても同様とする。
【0062】
図9に示すように、穿刺部保護カバー62の上方には、指9aの挿入孔62aが設けられており、穿刺部保護カバー62を下方(矢印22e方向)へスライドしたとき、カバーされていた穿刺部13部分が挿入口62aから見えてくることになる。従って、患者は、この挿入孔62aへ指9aを挿入することにより、指9aを穿刺部13に当接し、固定した状態で穿刺することができる。また、穿刺部保護カバー62を上方(矢印22f方向)へスライドした状態では、穿刺部保護カバー62で穿刺部13は覆われ、保護される。
【0063】
また、本実施の形態2においても実施の形態1と同様、穿刺部保護カバー62を矢印22e方向にスライドするのみで、センサカートリッジ16内に収納されたセンサ14を穿刺部13に装填することができる。従って、センサ14の装填は、従来の血液検査装置1と比べて操作性が向上し、作業が非常に容易なものとなる。
【0064】
次に、センサカートリッジ16内に収納されたセンサ14の穿刺部13への装填について述べる。このセンサ14の装填方法においても実施の形態1と同様、電気的な方法と機構的な方法とがある。電気的な装填方法においては、穿刺部保護カバー62の下方へのスライドを検知する開検知センサを筐体12に装着する。そして、この開検知センサの出力信号により搬送手段を駆動して、センサカートリッジ16内に収納されたセンサ14を穿刺部13へ搬送する。そして、搬送されたセンサ14を穿刺部13に装填する。
【0065】
次に、機械的な装填方法を、図10,11に基づいて説明する。図10(a)は、穿刺部保護カバー62を上方へスライドして、穿刺部13を閉じた場合のセンサカートリッジ16とその周辺の正面図であり、図10(b)はその断図面である。図10(a)及び(b)において、穿刺部保護カバー62の内側には、カートリッジ保護カバー17aに生成された凸部17kが嵌入する溝62bが形成されている。この溝62bは、カートリッジ保護カバー17aの下辺近傍から後方側(センサカートリッジ16の出口16fと反対側)へ斜め上方に向かって設けられている。従って、穿刺部保護カバー62を上下方向へスライドすることにより、カートリッジ保護カバー17aは実施の形態1と同様、前後方向(矢印22a、或いは矢印22b方向)へスライドすることになる。
【0066】
例えば、図10(a)に示すように、穿刺部保護カバー62を上方(矢印22f方向)へスライドさせると、カートリッジ保護カバー17aは、前方(矢印22b方向)へスライドする。カートリッジ保護カバー17aが前方へスライドすると、出口開閉部材17cはスリット16gに沿って斜め上方へ移動する。そうすると、出口開閉部材17cの他方の端17dに装着されたシャッタ17eがセンサカートリッジ16の出口16fを塞ぐ。このことによって、センサカートリッジ62内が外部と遮断され、センサカートリッジ62内に収納されているセンサ14が外部の湿気などの影響から保護される。
【0067】
また、カートリッジ保護カバー17aが前方へスライドすることにより、図10(b)に示すように、カートリッジ保護カバー17aの側面内部に形成された歯17jも矢印22b方向へスライドする。そうすると、歯車17hは矢印22d方向に回転する。歯車17hが矢印22d方向に回転すると、この歯車17hに歯合した歯17gは矢印22a方向に移動する。即ち、この歯17gが形成されたスライドプレート17fが矢印22a方向へ移動してカートリッジケース16a内に収納される。
【0068】
これに対して、図11(a)に示すように、穿刺部保護カバー62を下方(矢印22e方向)へスライドさせると、カートリッジ保護カバー17aは、後方(矢印22a方向)へスライドする。カートリッジ保護カバー17aが後方へスライドすると、出口開閉部材17cはスリット16gに沿って斜め右下方(図11(a)において)へ移動する。そうすると、出口開閉部材17cの他方の端17dに設けられたシャッタ17eがセンサカートリッジ16の出口16fから外れ、出口16fを開放する。このことによって、センサ14が出口16fから搬出可能となる。
【0069】
また、カートリッジ保護カバー17aが後方へスライドすることにより、図11(b)に示すように、カートリッジ保護カバー17aに形成された歯17jも矢印22a方向へスライドする。そうすると、歯車17hは矢印22c方向に回転する。歯車17hが矢印22c方向に回転すると、この歯車17hに歯合した歯17gは矢印22b方向に移動する。即ち、この歯17gが形成されたスライドプレート17fが矢印22b方向(図11(b)において左方向)へ移動する。従って、センサ14が矢印22b方向へ搬送され、穿刺部13で挟持されることで、センサ14が装填される。
【0070】
(実施の形態3)
実施の形態3における血液検査装置65(実施の形態1における血液検査装置11に相当する)は、穿刺部保護カバー66(実施の形態1における穿刺部保護カバー21に相当する)が筐体12に対して支点65aを中心として自在に回動(矢印22g、22h方向)する点で、実施の形態1と異なる。従って、実施の形態3では、この異なる点に付いて説明する。
【0071】
図12に示すように、穿刺部保護カバー66は、穿刺部13と反対方向に設けられた支点65aを中心に回動する。穿刺部保護カバー66を開方向(矢印22g方向)に回動すると、穿刺部13が現れ、皮膚を当接して穿刺が可能となる。これに対して、穿刺部13が現れた状態から、穿刺部保護カバー66を閉方向(矢印22h方向)に回動すると、穿刺部13が覆われ、穿刺部13が保護される。
【0072】
本実施の形態3においても実施の形態1と同様、穿刺部保護カバー66を開方向(図12において矢印22gの方向)に回動させるのみで、センサカートリッジ16内に収納されたセンサ14をセンサカートリッジ16の出口16fから排出して、穿刺部13に搬送し装填することができる。従って、センサ14の装填は、従来の血液検査装置1と比べて操作性に優れ、センサの装填作業が非常に容易なものとなる。
【0073】
次に、センサカートリッジ16内に収納されたセンサ14の穿刺部13への装填動作について述べる。このセンサ14の装填方法においても実施の形態1と同様、電気的な方法と機構的な方法とがある。電気的な装填方法においては、穿刺部保護カバー66の開方向への回動を検知する開検知センサを筐体12に設ける。そして、この開検知センサの出力信号により搬送手段を駆動して、センサカートリッジ16内に収納されたセンサ14を出口16fより1枚だけ排出し、穿刺部13へ搬送する。そして、搬送されたセンサ14は穿刺部13において挟持されて装填が完了する。
【0074】
次に、機械的な装填方法を、図13,14に基づいて説明する。図13(a)は、穿刺部保護カバー66を閉方向(矢印22h方向)に回動させて、穿刺部13を閉じた場合のセンサカートリッジ16とその周辺部の正面断面図であり、図13(b)は図13(a)において上方から見たセンサカートリッジ16とその周辺部の横断図面である。図13(a)、(b)において、穿刺部保護カバー66の内側には、カートリッジ保護カバー17aに生成された凸部17kが嵌入する溝66bが形成されている。この溝66bは、穿刺部保護カバー66の下辺近傍から後方側(図13(a)において出口16fの反対側)の斜め上方に向かって設けられている。従って、穿刺部保護カバー66は支点65aを中心にして開閉することにより、カートリッジ保護カバー17aは実施の形態1と同様、前後方向(矢印22a、或いは矢印22b方向)へスライドすることになる。
【0075】
例えば、図13(a)に示すように、穿刺部保護カバー66を閉方向(矢印22h方向)へ回動すると、カートリッジ保護カバー17aは、前方(矢印22b方向)へスライドする。そうすると、実施の形態1,2で説明したように、出口開閉部材17cの他方の端17dに装着されたシャッタ17eがセンサカートリッジ16の出口16fを塞ぐ。このことによって、センサカートリッジ16の内部に収納されているセンサ14が外部の湿気などの影響から保護される。
【0076】
また、カートリッジ保護カバー17aが前方へスライドすることにより、図13(b)に示すように、スライドプレート17fが矢印22a方向へ移動してカートリッジケース16a内に収納される。
【0077】
これに対して、図14(a)に示すように、穿刺部保護カバー66を開方向(矢印22g方向)へ回動させると、カートリッジ保護カバー17aは、後方(矢印22a方向)へスライドする。カートリッジ保護カバー17aが後方へスライドすると、シャッタ17eがセンサカートリッジ16の出口16fから外れ、出口16fを開放する。このことにより、センサ14が出口16fから搬出可能となる。
【0078】
また、穿刺部保護カバー66が開方向に回動することにより、図14(b)に示すように、カートリッジ保護カバー17aに形成された歯17jも矢印22a方向へスライドする。そうすると、歯車17hは矢印22c方向に回転する。歯車17hが矢印22c方向に回転すると、この歯車17hに歯合した歯17gは矢印22b方向に移動する。即ち、この歯17gが形成されたスライドプレート17fが矢印22b方向へ移動する。従って、センサ14が矢印22b方向へ搬送され、穿刺部13において挟持される。これにより装填が完了する。
【0079】
(実施の形態4)
実施の形態4における血液検査装置71(図示せず)におけるセンサカートリッジ72(実施の形態1におけるセンサカートリッジ16に相当する)は、二重装填防止機能が付加されている点で相違する。従って、重複してセンサ14を穿刺部13に装填することはない。
【0080】
実施の形態4におけるセンサカートリッジ72は、前述した血液検査装置11、61,65に夫々用いることが可能である。実施の形態4ではセンサカートリッジ16と異なる部分を中心に説明する。
【0081】
図15において、カートリッジケース72a(カートリッジケース16aに相該当する)には、カートリッジ保護カバー73がカートリッジケース72aに対して水平方向(矢印22a、矢印22b方向)へ摺動自在に装着されている。このカートリッジ保護カバー73には、支点73aを中心に回動するストッパ73bが設けられ装着されている。このストッパ73bの一方の端73cは、L字に折曲した形状をしており、スライドプレート17fを係止するようになっている。また、他方の端73dはバネ73eで上方(矢印22f方向)へ付勢されている。また、他方の端73dの近傍には、他方の端73dを下方(矢印22e方向)へ電磁的に引き付ける電磁石73fが設けられている。
【0082】
電磁石73fは、測定回路部18の制御部18g(図7参照)に接続されて制御される。また、この制御部18gはセンサ14の識別電極47aと接続電極43aにコネクタ49経由で接続されている。従って、センサ14が穿刺部13へ装填された状態では、識別電極47aと接続電極43a間が導通となる。これに対して、センサ14が穿刺部13へ非装填の場合は、識別電極47aと接続電極43a間が非導通となる。従って、センサ14が穿刺部13へ装填されているか否かは、識別電極47aと接続電極43a間の導通か非導通かで識別することができる。
【0083】
穿刺部13にセンサ14が装填されているときは、図15に示すように、識別電極47aと接続電極43a間が導通となり、電磁石73fは、ストッパ73bの他方の端73dを電磁石73fの電磁力により引き付けることになる。 従って、ストッパ73の一方の端73cは支点73aを中心に上方(矢印22f方向)へ回動され、スライドプレート17fを係止する。従って、スライドプレート17fによる搬送は禁止され、センサ14が二重装填されることはない。即ち、搬送手段17による搬送動作は禁止される。
【0084】
これに対して、穿刺部13にセンサ14が装填されていないときは、図16に示すように、識別電極47aと接続電極43a間が非導通となり、電磁石73fはその電磁力が機能せず、ストッパ73bの他方の端73dを引き付ける事は出来ない。即ち、ストッパ73の他方の端73dは、バネ73eにより上方(矢印22f方向)へ付勢される。従って、ストッパ73の一方の端73cは支点73aを中心に下方(矢印22e方向)へ回動され、スライドプレート17fの係止は解除される。即ち、搬送手段17による搬送動作は許可される。
【0085】
本実施の形態4では、穿刺部13にセンサ14が存在するか否かのセンサとして、センサ14に設けられた識別部47を二重装填検出センサとしても活用している。従って、二重装填検出センサとして別途センサを設ける必要はなく、小型・低価格化の血液検査装置71が実現できる。
【0086】
また二重装填検出センサはセンサ14に設けられた識別部47を利用する方法のほかに、センサ14の挿入状態では接続され、センサ14がない場合には開放されるようなスイッチを設けてもよい。
【0087】
(実施の形態5)
実施の形態5における血液検査装置81(図示せず)に装填されるセンサカートリッジ82(実施の形態1におけるセンサカートリッジ16に相当する)は、搬送手段17による搬送途中での回帰禁止機能が付加されている点で相違する。従って、センサ14が搬送途中で止まったり、搬送路で詰まったりすることはない。
【0088】
実施の形態5におけるセンサカートリッジ82は、他の実施の形態における前述の血液検査装置11、61,65、71に夫々用いることも可能である。なお、実施の形態5においてはセンサカートリッジ16と異なる部分を中心に説明する。
【0089】
図17,18において、カートリッジケース82a(カートリッジケース16aに相当する)には、カートリッジ保護カバー83がカートリッジケース82aに対して水平方向(矢印22a、矢印22b方向)へ摺動自在に設けられている。このカートリッジケース82aには、支点83aを中心に回動するラチェット爪83bが装備されている。一方、カートリッジ保護カバー83には、ラチェット爪83bと係合可能なラチェット歯部材83cが設けられている。このラチェット歯部材83cは、ラチェット歯83dと滑面83eとで構成されている。
【0090】
例えば、カートリッジ保護カバー83が矢印22a方向へスライドする場合(スライドプレート17fがセンサ14を搬出する場合)は、図17に示すように、ラチェット爪83bはラチェット歯83dと係合しながらスライドする。従って、スライドプレート17fによるセンサ14の中途で搬送を中止するような半端な搬送は禁止されるので、センサ14が搬送路で詰まることはない。即ち、搬送手段17による搬送途中での回帰は禁止されている。
【0091】
これに対して、カートリッジ保護カバー83が矢印22b方向へスライドする場合(スライドプレート17fがセンサ14の搬出を終えて元にもどる場合)は、図18に示すように、ラチェット爪83bは滑面83e上を滑動する。
【0092】
図19は、カートリッジ保護カバー83の動きに対するラチェット爪83bとラチェット歯部材83cの関係を示す要部平面図である。図19(a)は、カートリッジ保護カバー83のスライド開始位置におけるラチェット爪83bとラチェット歯部材83cの関係を示す平面図である。ラチェット爪83bは、ラチェット歯部材83cのラチェット歯83d側にある。
【0093】
図19(b)は、カートリッジ保護カバー83を矢印22a方向へスライドする途中におけるラチェット爪83bとラチェット歯部材83cの関係を示す平面図である。この時、センサ14は、穿刺部13(図19(b)において、矢印22aと反対方向)へ搬送されている状態にある。
【0094】
ラチェット爪83bは、ラチェット歯83dと係合しながらラチェット歯83d上を矢印22g方向にスライドする。ラチェット爪83bは、ラチェット歯83dと係合するので、逆方向へ戻ることはない。即ち、この状態においてカートリッジ保護カバー83を矢印22aと反対方向(図19(b)において、左方向)へ戻すことはできない。
【0095】
図19(c)は、カートリッジ保護カバー83のスライド最終位置(センサ14が穿刺部13に装填された位置)におけるラチェット爪83bとラチェット歯部材83cの関係を示す平面図である。ラチェット爪83bは、ラチェット歯部材83cのラチェット歯83dとの係合から外れて滑面83e側へ移動する。
【0096】
図19(d)は、カートリッジ保護カバー83を矢印22b方向(スライドプレート17fの戻り方向:図9(d)において、左方向)へスライドする途中におけるラチェット爪83bとラチェット歯部材83cの関係を示す平面図である。ラチェット爪83bは、滑面83e上を矢印22h方向にスライドする。最後(開始位置)までスライドすると、ラチェット爪83bはラチェット歯83d側へ移動する。
【0097】
このように、本実施の形態5におけるセンサカートリッジ82は、図19(b)で説明したように、ラチェット爪83bが、ラチェット歯83dと係合しながらスライドするので、カートリッジ保護カバー83を矢印22a方向へ戻すことはできない。即ち、搬送途中における停止や逆戻りなどの動作を規制することができるため、センサ14が搬送路で詰まることはない。
【産業上の利用可能性】
【0098】
本発明にかかる血液検査装置は、血液センサの穿刺部への装填が容易であり、血液検査装置等に適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0099】
【図1】本発明の実施の形態1における血液検査装置の透視正面図
【図2】同血液検査装置を構成するセンサカートリッジの第1の状態の説明図、(a)は同透視正面図、(b)は同平面断面図
【図3】同血液検査装置を構成するセンサカートリッジの第2の状態の説明図、(a)は同透視正面図、(b)は同平面断面図
【図4】同カートリッジに収納されるセンサの断面図
【図5】同センサの透視平面図
【図6】同センサの外観斜視図
【図7】同測定回路部とその近傍のブロック図
【図8】同検査方法のフローチャート
【図9】本発明の実施の形態2における血液検査装置の透視正面図
【図10】同血液検査装置を構成するセンサカートリッジの第1の状態の説明図、(a)は同正面断面図、(b)は同平面断面図
【図11】同血液検査装置を構成するセンサカートリッジの第2の状態の説明図、(a)は同正面断面図、(b)は同平面断面図
【図12】本発明の実施の形態3における血液検査装置の透視正面図
【図13】同血液検査装置を構成するセンサカートリッジの第1の状態の説明図、(a)は同正面断面図、(b)は同平面断面図
【図14】同血液検査装置を構成するセンサカートリッジの第2の状態の説明図、(a)は同正面断面図、(b)は同平面断面図
【図15】本発明の実施の形態4におけるセンサカートリッジの第1の状態の正面断面図
【図16】同第2の状態の正面断面図
【図17】本発明の実施の形態5におけるセンサカートリッジの第1の状態の正面断面図
【図18】同第2の状態の正面断面図
【図19】同血液検査装置を構成するセンサカートリッジの要部平面図、(a)は同第1の状態の平面図、(b)は同第2の状態の平面図、(c)は同第3の状態の平面図、(d)は同第4の状態の平面図
【図20】従来の血液検査装置の断面図
【図21】同検査方法の斜視図
【符号の説明】
【0100】
11、61、65 血液検査装置
12 筐体
13 穿刺部
14 センサ
15 穿刺手段(レーザ穿刺ユニット)
16 センサカートリッジ
17 搬送手段
18 測定回路部
21、62、66 穿刺部保護カバー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
穿刺部を有するとともに略直方体形状をした筐体と、この筐体内に設けられるとともに前記穿刺部に対向して設けられた穿刺手段と、血液センサが積層収納されるセンサカートリッジと、このセンサカートリッジ内に収納された前記血液センサを前記穿刺部へ搬送する搬送手段と、前記穿刺部へ搬送された前記血液センサと電気的に接続される測定回路部とを備え、前記穿刺部を覆うとともに開閉可動な穿刺部保護カバーを設け、この穿刺部保護カバーの開放動作に連動して前記センサカートリッジ内に収納された前記血液センサを前記穿刺部へ装填する血液検査装置。
【請求項2】
センサカートリッジにカートリッジ保護カバーを設け、このカートリッジ保護カバーの往復摺動により前記センサカートリッジの出口を開閉させるとともに、前記カートリッジ保護カバーと穿刺部保護カバーとが連動してスライドする請求項1に記載の血液検査装置。
【請求項3】
前記センサカートリッジ保護カバーと前記穿刺部保護カバーが一体的に形成されている、請求項2に記載の血液検査装置。
【請求項4】
穿刺部保護カバーは、筐体の長手方向に対して平行な方向にスライドする、請求項1に記載の血液検査装置。
【請求項5】
穿刺部保護カバーは、筐体の長手方向に対して垂直な方向にスライドする請求項1に記載の血液検査装置。
【請求項6】
穿刺部保護カバーは、筐体の内部または外部の一点を中心にして回動することを特徴とする請求項1に記載の血液検査装置。
【請求項7】
穿刺部に装填された血液センサからの信号に基づいて、前記穿刺部保護カバーの開閉動作を禁止する請求項1に記載の血液検査装置。
【請求項8】
穿刺部に装填された血液センサからの信号に基づいて、前記カートリッジ保護カバーの開閉動作を禁止する請求項2に記載の血液検査装置。
【請求項9】
穿刺部に装填された血液センサからの信号に基づいて、搬送手段による血液センサの搬送動作を禁止する請求項1に記載の血液検査装置。
【請求項10】
搬送手段による血液センサ搬送途中における搬送動作の回帰を禁止する請求項1または請求項2に記載の血液検査装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【公開番号】特開2009−195359(P2009−195359A)
【公開日】平成21年9月3日(2009.9.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−38256(P2008−38256)
【出願日】平成20年2月20日(2008.2.20)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】